以下、図1〜図8を用いて、本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、本発明に係る電源装置1を含む複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機100の概略構成)
まず、図1に基づき、実施形態に係る複合機100本体の概略を説明する。図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
本実施形態の複合機100には、上部に画像読取部2a、原稿搬送部2b、操作パネル3が設けられる。原稿搬送部2bは、原稿載置トレイ21に積載された原稿を1枚ずつ連続的に画像読取部2aの読取位置(送り読取用コンタクトガラス22)に向けて搬送する。又、原稿搬送部2bは、図1の紙面奥側に設けられた支点(不図示)により、手前側を振るようにして開閉可能である。例えば書籍等の原稿を載置読取用コンタクトガラス23に載せ、原稿搬送部2bを閉じることで原稿を抑えることができる。画像読取部2aは、送り読取用コンタクトガラス22を通過する原稿、又は、載置読取用コンタクトガラス23に載置された原稿を読み取り、画像データを生成する。生成された原稿の画像データは、コピーや送信などに用いられる。
また、操作パネル3は、複合機100の状態や各種メッセージや設定用画面を表示する表示部31を備える。また、表示部31に対し、各種操作を受け付けるためのタッチパネル部32やハードキー33が設けられる。操作パネル3は、これらの部材を用いて、コビーやスキャンのようなジョブに関する設定や送信ジョブでの送信方法のようなジョブの実行内容の設定や、設定したジョブの実行指示を受け付ける。
また、複合機100本体内部に、印刷部4が設けられる。印刷部4は、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部4c、中間転写部4d、定着部4eを含む。
給紙部4aは、印刷に用いる用紙を収容、供給する。搬送部4bは、装置内で用紙を搬送する通路である。画像形成部4cは、各色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)の画像形成ユニット41Bk、41Y、41C、41Mと画像形成ユニット41Bk〜41Mのそれぞれに設けられた感光体ドラムを露光する露光装置42を含む。各画像形成ユニット41Bk、41Y、41C、41Mと露光装置42は、画像データに基づき、各色のトナー像を生成する。中間転写部4dは、生成されたトナー像を各画像形成ユニット41Bk、41Y、41C、41Mからずれなく重畳しつつ1次転写を受け、給紙部4aから供給された用紙にトナー像を2次転写する。定着部4eは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。搬送部4bは、定着部4eを通過した用紙を排出トレイ43に排出する。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を説明する。図2は、実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を示す図である。
まず、複合機100本体内に、主制御部5が、複合機100の動作の制御を統括する部分として設けられる。例えば、主制御部5は、基板であり、制御を行う部分としてCPU51や、画像処理を行う部分としての画像処理部52を有する。
又、主制御部5は、記憶部53を有する。記憶部53は、複合機100の制御用のプログラムやデータの他、画像データ等を記憶できる。例えば、記憶部53は、RAM、ROM、HDD、フラッシュROM等の揮発性と不揮発性の記憶装置を組み合わせてなる。CPU51は、記憶部53に記憶されるプログラムやデータに基づき、演算処理の実行や制御信号の発信、受信を行って、複合機100の制御を行う。
又、コピージョブなどのような画像形成や用紙搬送を伴うジョブを行うとき、各種回転体を回転させるモーター等のON/OFF等を行い、印刷部4を制御するエンジン制御部40が設けられる。エンジン制御部40は、主制御部5等と通信可能に接続され、主制御部5の指示に基づき、印刷に関して実際に印刷部4の制御を行う部分である。
エンジン制御部40は、例えば、演算処理装置としてエンジンCPU40aを有する。又、エンジン制御部40には、その他、チップ、マイコン、各種回路、素子、メモリ等が実装される。そして、例えば、エンジン制御部40は、制御対象としての印刷部4の各部(給紙部4a、搬送部4b、画像形成部4c、中間転写部4d、定着部4e)等と通信可能に接続され、印刷部4の各部を制御する。
又、主制御部5は、原稿の読み取りや、画像データの送受信に必要な原稿搬送部2b、画像読取部2aなどと通信可能に接続される。コピーやスキャンのような原稿の読み取りを伴うジョブを実行するとき、主制御部5は、原稿搬送部2bや画像読取部2aに指示を与え、制御する。尚、エンジン制御部40が、主制御部5の指示に基づき、原稿搬送部2b、画像読取部2aの動作制御を、行うようにしてもよい。
又、主制御部5は、操作パネル3と通信可能に接続される。これにより、操作パネル3でなされた設定、入力の内容は、主制御部5に伝達される。主制御部5は、ジョブを実行するとき、設定内容に合わせて各部が動作するように、複合機100に含まれる各部に指示を与え、動作させる。
更に、主制御部5は、通信部54と通信可能に接続される。通信部54は、コンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバ)や、相手方のFAX装置300と、ネットワークやケーブルや通信網により通信を行うためのインターフェイスである。通信部54がコンピューター200から受け取った画像データ等に基づき、印刷を行うことができる(プリンタ機能)。また、画像読取部2aで読み取られた画像データを記憶部53に蓄積したり、通信部54から画像データをコンピューター200やFAX装置300に送信したりすることができる(送信、スキャナ機、FAX機能)。
(電源装置1)
次に、図2、図3を用いて、実施形態に係る複合機100に含まれる電源装置1と、各部分への電力供給系統を説明する。図3は、実施形態に係る複合機100の電源装置1の一例を示す図である。
図2に示すように、複合機100内に、電源装置1が設けられる。電源装置1は、商用電源と接続される。具体的には、複合機100は、電源コードなどによって、コンセント(商用電源)と接続される。電源装置1は、複合機100を動作させるための各種電圧を生成し、供給する。主制御部5は、電源装置1の動作を制御する。例えば、主制御部5は、電力の供給先の制御(各部への電圧印加のON/OFF)を行う。
図3に示すように、電源装置1は、1次電源部11と2次電源部12を含む。1次電源部11は、電源コードを介して複合機100に入力される商用電源の整流、平滑化等を行う。例えば、1次電源部11は、ダイオードブリッジ、トランス、コンデンサー等を含むスイッチング電源である。
1次電源部11は、用紙搬送やトナー像形成で回転させる回転体(感光体ドラムや用紙搬送用のローラー)を回転させるモーター用の電圧を生成する(例えば、DC24V)。尚、図3では、便宜上、モーター40cを1つのみ図示するが、複合機100内には、複数のモーターが設けられる。そして、主制御部5は、各モーターのON/OFF(モーターへの電力供給と停止)を行うための駆動回路40bを制御し、各モーターの動作を制御する。
2次電源部12は、主制御部5のCPU51や記憶部53のRAMやROMのような電子回路、各種制御基板や画像処理回路などの回路、素子に印加する電圧を生成する。具体的に、2次電源部12は、1次電源部11が生成する電圧を変換し、主制御部5等の回路用の電圧を生成する。そして、2次電源部12は、1次電源部11が生成する直流電圧を降圧して出力するDCDCコンバーターを含む。
(通常モードと省電力モード)
次に、図4に基づき、実施形態に係る複合機100での通常モードと省電力モード間の遷移を説明する。図4は、実施形態に係る複合機100での通常モードと省電力モード間の遷移を説明するための図である。
まず、複合機100のメインスイッチMS投入(主電源投入、図2参照)により、複合機100は、2次電源部12が動作を開始する。尚、主電源を落としているときでも、2次電源部12のうち、一部のDCDCコンバーターを動作させているとき、主電源ONとともに、動作していないDCDCコンバーターが動作(電圧生成)を開始する。また、主電源を落としているとき、1次電源部11も停止させるならば、主電源ONとともに1次電源部11も動作を開始する。
これにより、複合機100の全部分に対し、電力が供給される。そして、通信部54の起動や、記憶部53からのメインプログラムの読み出し、主制御部5やエンジン制御部40の起動や、定着部4eを温めるウォームアップなどが開始される。最終的に、主電源投入により複合機100の全ての機能が利用できる状態となり、通常モードで立ち上がる。
本実施形態の複合機100の通常モードは、主電源投入や、省電力モードから通常モードの復帰に伴うウォームアップが完了していて、ジョブを実行している状態、又は、複合機100を直ちに利用できる状態としておくため、複合機100の各部分に(全ての部分に)電力が供給されている状態である。省電力モードで電力供給を行わない部分(予め定められた供給停止部分)に対して、電力を供給している状態が通常モードともいえる。
《通常モードから省電力モードへの移行》
次に、図4を用いて、通常モードから省電力モードへの移行を説明する。まず、通常モードは、直ちに複合機100を利用できるように保たれている状態、又は、ジョブを実行している状態である。しかし、直ちに複合機100を利用できるように保つ状態でも、主制御部5やエンジン制御部40などで一定の電力が消費される。また、定着部4eの加熱用のローラーを暖めるヒーターを間欠的にON/OFFして、加熱用のローラーの温度を一定の温度で保つため、一定の電力が消費される。そこで、複合機100は、消費電力を通常モードよりも減らす省電力モードを有する。
通常モードから省電力モードへの移行条件が整うと(満たされると)、複合機100は、通常モードから省電力モードに移行する。省電力モードになると、主制御部5は、予め定められた供給停止部分への電力供給を停止させる。供給停止部分は任意に定めることができる。本実施形態の複合機100では、エンジン制御部40、原稿搬送部2b、操作パネル3、画像読取部2a、印刷部4などへの電力供給が停止される。尚、省電力モード中でも一定の制御、通信を行う必要性のため、主制御部5の一部(詳細は後述)には、電力供給がなされる。また、自機宛てのデータを受信できるようにするため、省電力モードでも通信部54に対しては電力が供給される。
通常モードから省電力モードへの移行条件は、任意に定めることができる。例えば、操作パネル3に設けられ、省電力モードへの移行を指示するための節電キー34(図3参照)が押されたことが、省電力モードへの移行条件とされてもよい。
又、(1)ウォームアップの完了、(2)ジョブの完了、(3)複合機100に対する操作、入力がなくなり使用されない状態(待機状態)となったとき、の(1)〜(3)のうち、最も遅い何れかのときから、予め定められた時間(省電力モードへの移行時間。例えば、数秒〜数分)の経過が、省電力モードへの移行条件とされてもよい。例えば、主制御部5が省電力モードへの移行時間を計時する。
複合機100に対する操作、入力は、主制御部5が認識する(他の部分が認識してもよい)。例えば、主制御部5は、給紙部4aの用紙カセットの挿脱を検知するカセットセンサーS3や、筐体に設けられたメンテナンス用のカバーの開閉を検知するカバーセンサーS4や、原稿搬送部2bへの原稿セットを検知する原稿セットセンサーS1や、原稿搬送部2bの上げ下げを検知する開閉検知センサーS2のような各種センサーの出力に基づき、複合機100への操作を認識する。更に、別種のセンサーが設けられてもよい。また、主制御部5は、タッチパネル部32などの操作パネル3への入力があったことによる操作パネル3からの信号や、通信部54が印刷用データを受信したことの通信部54からの信号に基づき、複合機100への入力を認識する。
省電力モードへの移行条件が満たされると、主制御部5は、電源装置1に、省電力モードへの移行を指示する。この指示を受け、電源装置1は、予め定められた省電力モードでも動作させる部分(省電力モード駆動部分)にのみ電力に供給し、供給停止部分への電力供給を停止する。尚、複合機100への操作、入力を認識するための部分(例えば、カセットセンサーS3、カバーセンサーS4、原稿セットセンサーS1、開閉検知センサーS2、タッチパネル部32、電源キー35、通信部54)の一部又は全てに対しては、省電力モードでも電力供給は行われる(詳細は後述)。
《省電力モードの解除・省電力モード→通常モード》
省電力モードでは、電力供給部分は限られる。そのため、省電力モードでは、複合機100の各種機能(コピー、スキャン、プリント、FAX等)を用いることができない。
そこで、本実施形態の複合機100では、複合機100への一定の操作、入力が復帰条件とされ、復帰条件が整うと、複合機100は、省電力モードから通常モードに復帰し、の各種機能が利用可能な状態となる。
省電力モードから通常モードへの復帰条件は、任意に定めることができる。例えば、省電力モードでも電力供給がなされていて、複合機100への操作、入力を認識するための部分(例えば、カセットセンサーS3、カバーセンサーS4、原稿セットセンサーS1、開閉検知センサーS2、タッチパネル部32、電源キー35、通信部54)の出力、信号によって、主制御部5が、複合機100に対して操作、入力がなされたことを認識したことが復帰条件とされる。
復帰条件が満たされると、主制御部5は、電源装置1に、省電力モードで電力供給を停止していた部分に対する電力供給を再開させる。これによって、電力供給を停止していた部分の起動、ウォームアップが開始される。ウォームアップ後、複合機100の各種機能が利用できる状態(通常モード)となる。
(電力供給系統)
次に、図5を用いて、実施形態に係る複合機100(電源装置1)での電力供給系統を説明する。図5は、実施形態に係る複合機100での電力供給系統の一例を示す図である。
上述のように、実施形態に係る複合機100は、1次電源部11の出力を受けて、CPU51や各種回路や、記憶部53の駆動に要する電圧を生成する2次電源部12を含む。
そして、図5に示すように、2次電源部12は、複数の電力変換部を含む。各電力変換部は、電力を供給する部分で必要な電圧を生成するため、DCDCコンバーターを含む。また、定電圧を生成するレギュレータが含まれてもよい。
このように、本実施形態の複合機100では、電源(2次電源部12)が細分化されている。例えば、図5に示すように、複合機100には、第1電力変換部61(主制御部5のCPU51用の電圧を生成、主電力変換部に相当)、第2電力変換部62(主制御部5のCPU51用の電圧を生成、副電力変換部に相当)、第3電力変換部63(主制御部5内の画像処理部52やI/O用の回路用の電圧を生成)、第4電力変換部64(エンジン制御部40用の電圧を生成)、第5電力変換部65(記憶部53用の電圧を生成)、第6電力変換部66(印刷部4用の電圧を生成)、第7電力変換部67(原稿搬送部2b用の電圧を生成)、第8電力変換部68(画像読取部2a)などが設けられる。また、通信部54や操作パネル3用の電力変換部が設けてもよいが、詳細な図示は省略する。また、各電力変換部が含むDCDCコンバーターは1つとは限らず、各電力変換部のうち、対応する電力供給先に複数種の電圧を供給すべき電力変換部は、複数のDCDCコンバーターを含む場合がある。
尚、図5に示す例は一例であり、図5に示す電力変換部を全て設ける必要はなく、1つの電力変換部や1つのDCDCコンバーターを、複数の部分で共用してもよい。例えば、印刷部4や原稿搬送部2bは、1つの電力変換部から電力の供給(電圧の印加)を受けるようにしてもよい。また、例えば、主制御部5と操作パネル3と通信部54は、同じ電力変換部から電力の供給(電圧の印加)を受けるようにしてもよい。一方、更に複数の電力変換部を設け、電源を更に細分化してもよい。
そして、主制御部5は、各電力変換部の駆動(ON/OFF、電圧を生成するか、しないか)を制御する。例えば、主制御部5のCPU51が、各電力変換部の駆動を制御できるが、CPU51の指示を受けて、各電力変換部の駆動の制御(ON/OFF制御)を行う回路(駆動制御回路)を設けてもよい。
通常モードでは、主制御部5は、全ての電力変換部に電圧を生成、出力させる。一方、省電力モードでは、主制御部5は、供給停止部分に対応する電力変換部(DCDCコンバーター)の動作(電圧生成)を停止させる(スイッチングを停止させ、出力電圧をグランドに落とす)。複数のDCDCコンバーターを含む電力変換部の場合、主制御部5は、省電力モードでは電力供給を停止すると予め定められた供給停止部分に対応するDCDCコンバーターの動作を停止させる。
従来では、2次電源部12としてのDCDCコンバーターを設ける個数を少なくし、1つのDCDCコンバーターの出力に対し、スイッチング素子としてのFET(トランジスタ)を並列に接続し、FETを介し、複数の負荷(例えば、主制御基板、エンジン制御基板、各種記憶装置、印刷用の部材、原稿搬送装置、画像読取装置)を並列に接続して、省電力モードでは、電力供給を停止する部分に対応するFETをOFF状態としていた。しかし、このような構成では、電流が大きいと、FETのオン抵抗によって電圧ドロップが生じ、負荷電圧が小さくなる可能性がある。このような電圧ドロップは、負荷としての回路や素子の動作に悪影響を与える場合がある。
しかし、本実施形態の電源装置1(複合機100)では、2次電源部12が細分化されているので、電圧ドロップによる負荷(回路や素子)の動作に悪影響が出ない。
(CPU51への電圧印加)
次に、図5を用いて、実施形態に係る複合機100に含まれるCPU51への電圧生成と印加について説明する。
本実施形態の複合機100のCPU51は、第1コア511と第2コア512を含むデュアルコアCPUである。尚、本実施形態では、デュアルコアのCPU51を搭載する例を説明するが、コア数は2つとは限られず、クアッドコアでもよいし、更にコア数が多いCPU51にも本発明は適用できる。
CPU51の第1コア511は、メインコアであって、通常モード、省電力モードを問わず、電圧を印加して、動作させる。一方、第2コア512は、サブのコアであって、通常モードでは、電圧を印加して動作させ、省電力モードでは、電圧を印加せず、動作させない。省電力モードでは、通常モードのときよりも処理能力は必要ないので、第2コア512は、省電力モードで停止させる。これにより、CPU51単体で、省電力モードでの消費電力を減らすことができる。
そして、図5に示すように、2次電源部12には、第1電力変換部61(主電力変換部)と第2電力変換部62(副電力変換部)が含まれる。第1電力変換部61と第2電力変換部62は、主制御部5のCPU51に印加する電圧を生成する。
そして、図5に示すように、2次電源部12のうち、第1電力変換部61は、CPU51の第1コア511に印加する電圧を生成し、第1コア511に出力する。また、2次電源部12のうち、第2電力変換部62は、CPU51の第2コア512に印加する電圧を生成し、第2コア512に出力する。
第1電力変換部61は、1つのDCDCコンバーターを含み、第2電力変換部62も1つのDCDCコンバーターを含む。尚、第1電力変換部61などに、CPU51のI/O用の電圧を生成するDCDCコンバーターを含めてもよい。そして、同じCPU51に対して電圧を印加するので、第1電力変換部61のDCDCコンバーターと、第2電力変換部62のDCDCコンバーターは同じ大きさの電圧を生成し、同様(同じ)仕様である。
(第1電力変換部61と第2電力変換部62の回路構成)
次に、図6を用いて、実施形態に係る第1電力変換部61と第2電力変換部62の回路構成を説明する。図6は、実施形態に係る第1電力変換部61と第2電力変換部62の回路構成の一例を示す図である。
図6のうち、上部に、第1電力変換部61(主電力変換部)のDCDCコンバーター(以下、便宜上、「主DCDCコンバーターA」と称する)を示す。一方、図6のうち下方に、第2電力変換部62(副電力変換部)のDCDCコンバーター(以下、便宜上、「副DCDCコンバーターB」と称する)を示す。尚、主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBは、同じCPU51に電圧を印加するので、出力電圧値が等しい、若しくは、差があっても許容範囲に収まる程度に小さいことが望ましい。そのため基本的に主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBは同様の仕様である。
〈主DCDCコンバーターAについて〉
まず、主DCDCコンバーターAについて説明する。図6に示すように、主DCDCコンバーターAは、第1参照電圧生成部A1、第1設定回路A2、第1出力生成部A3を含む。また、図6に示すように、主DCDCコンバーターAの出力には、負荷として、CPU51の第1コア511が接続される。
第1参照電圧生成部A1は、一定の電圧を生成する回路である。例えば、第1参照電圧生成部A1は、1次電源部11の出力を受けて一定電圧を生成するレギュレータである。
第1設定回路A2は、主DCDCコンバーターAの出力を設定するための回路である。第1設定回路A2は、2つの抵抗(抵抗R1、抵抗R2)の直列回路である。この第1設定回路A2には、主DCDCコンバーターAの出力が印加される(帰還)。具体的に、抵抗R1の一端に主DCDCコンバーターAの出力が印加され、抵抗R2のうち、抵抗R1と接続されていない端部とグランドが接続される。そして、抵抗R1と抵抗R2の間の電圧が第1設定回路A2の出力として取り出される。第1設定回路A2の出力は、主DCDCコンバーターAの出力値と、抵抗R1と抵抗R2の分圧により定まる。
第1出力生成部A3は、第1アンプA4、第1デューティ比設定部A5、第1制御回路部A6、FETtr1(スイッチング素子)、FETtr2(スイッチング素子)、第1コイルL1、第1コンデンサーC1などを含む。
第1アンプA4は、主DCDCコンバーターAの第1設定回路A2の出力(出力電圧)と、第1参照電圧生成部A1が生成した第1参照電圧Vref1の差を増幅する回路である。第1デューティ比設定部A5は、第1アンプA4の出力に応じ、主DCDCコンバーターA(FETtr1、FETtr2)でのスイッチングのデューティ比を指示、設定する回路である。
第1制御回路部A6は、第1デューティ比設定部A5の指示に基づき、FETtr1とFETtr2のスイッチングを制御する。FETtr1とFETtr2は直列接続される。具体的に、第1制御回路部A6は、FETtr1のゲートと、FETtr2のゲートに接続される。第1制御回路部A6は、各ゲートへの電圧のON/OFFにより、FETtr1とFETtr2のON/OFFを制御する。
FETtr1のドレインに電源Vaが接続される。電源Vaは、1次電源部11が生成した電圧、又は、1次電源部11が生成した電圧を変圧した電圧である。そして、FETtr1のソースと、FETtr2のドレインが接続される。FETtr2のソースは、抵抗R3を介して、グランドに接続される。
そして、FETtr1のソースとFETtr2のドレイン間に、第1コイルL1と第1コンデンサーC1が接続される。第1コイルL1と第1コンデンサーC1は、主DCDCコンバーターAの出力電圧を平滑化するための回路である。また、第1コイルL1と第1コンデンサーC1間の電圧が主DCDCコンバーターAの出力電圧Vout1として取り出される。例えば、主DCDCコンバーターAの出力電圧Vout1は、CPU51の第1コア511(メインコア)に印加される。
主DCDCコンバーターAの動作について説明しておく。例えば、複合機100の主電源が投入されると、主DCDCコンバーターAの第1制御回路部A6がスイッチングを開始する。第1制御回路部A6は、FETtr1をONしているとき、FETtr2をOFFするとともに、FETtr1をOFFしているとき、FETtr2をONする。FETtr1とFETtr4が同時にON状態にはならない。そして、スイッチング開始時のFETtr1のオンデューティ(FETtr2のオフデューティ)は、予め定められた値である。
第1制御回路部A6は、第1デューティ比設定部A5からの指示に基づき、FETtr1のON/OFFを行う。第1デューティ比設定部A5が第1制御回路部A6に指示するデューティ比は、第1アンプA4の出力に基づき定まる。第1デューティ比設定部A5は、主DCDCコンバーターAの出力電圧値が理想的な値であるときの第1アンプA4の出力に対し、第1アンプA4の出力が大きいとき(例えば、主DCDCコンバーターAの出力電圧値が理想的な値であるときよりも、まだ第1設定回路A2の出力が小さいとき)、第1制御回路部A6に、FETtr1のON/OFFでのデューティ比(ONデューティ)を大きくする旨の指示を出す。
一方、第1デューティ比設定部A5は、主DCDCコンバーターAの出力電圧Vout1が理想的な値であるときの第1アンプA4の出力に対し、第1アンプA4の出力が大きいとき(主DCDCコンバーターAの出力電圧Vout1が理想的な値であるときよりも、第1設定回路A2の出力が大きいとき)、第1制御回路部A6に、FETtr1のON/OFFでのデューティ比(ONデューティ)を小さくする旨の指示を出す。
このようなフィードバックにより、主DCDCコンバーターAの出力電圧値は、仕様上、適切な出力電圧値(CPU51の第1コア511の定格電圧)となるように、保たれる。
〈副DCDCコンバーターBについて〉
次に、副DCDCコンバーターBについて説明する。図6に示すように、副DCDCコンバーターBは、第2参照電圧生成部B1、第2設定回路B2、第2出力生成部B3を含む。また、図6に示すように、副DCDCコンバーターBの出力には、負荷として、CPU51の第2コア512が接続される。
主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBは、第1参照電圧生成部A1と第2参照電圧生成部B1が異なる点を除き、同じ仕様である。そのため、主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBは共通する部分が多いが、同様の仕様であることを明確にするために、副DCDCコンバーターBについて詳細に説明しておく。
まず、第2参照電圧生成部B1は、電圧を生成するとともに、生成する電圧を変えることができる回路である。例えば、第2参照電圧生成部B1は、ディジタル信号で指示された大きさの電圧を生成、出力するディジタル/アナログコンバーターである。
第2設定回路B2は、副DCDCコンバーターBの出力を設定するための回路である。本実施形態の副DCDCコンバーターBの第2設定回路B2は、2つの抵抗(抵抗R4、抵抗R5)の直列回路である。この第2設定回路B2には、副DCDCコンバーターBの出力が印加される。具体的に、抵抗R4の一端に副DCDCコンバーターBの出力が印加され、抵抗R5のうち、抵抗R4と接続されていない端部にグランドが接続される。そして、抵抗R4と抵抗R5の間の電圧が第2設定回路B2の出力として取り出される。第2設定回路B2の出力は、副DCDCコンバーターBの出力値と、抵抗R4と抵抗R5の分圧により定まる。
尚、主DCDCコンバーターAの抵抗R1と副DCDCコンバーターBの抵抗R4は同じ抵抗値を有するものとして製造されたものであり、主DCDCコンバーターAの抵抗R2と副DCDCコンバーターBの抵抗R5は同じ抵抗値を有するものとして製造されたものである(仕様が同じ)。
次に、副DCDCコンバーターBの第2出力生成部B3は、第2アンプB4、第2デューティ比設定部B5、第2制御回路部B6、FETtr3、FETtr4、第2コイルL2、第2コンデンサーC2などを含む。
第2アンプB4は、副DCDCコンバーターBの第2設定回路B2の出力(出力電圧値)と、第2参照電圧生成部B1が生成する第2参照電圧Vref2の差を増幅する回路である。第2デューティ比設定部B5は第2アンプB4の出力に応じ、副DCDCコンバーターB(FETtr3、FETtr4)でのスイッチングのデューティ比を指示、設定する回路である。尚、副DCDCコンバーターBの第2アンプB4は、主DCDCコンバーターAの第1アンプA4と同じ仕様のものとして製造されたものである。また、副DCDCコンバーターBの第2デューティ比設定部B5も、主DCDCコンバーターAの第1デューティ比設定部A5と同じ仕様のものとして製造されたものである。
第2制御回路部B6は、第2デューティ比設定部B5の指示に基づき、FETtr3とFETtr4のスイッチングを制御する。尚、副DCDCコンバーターBのFETtr3は、主DCDCコンバーターAのFETtr1と同じ仕様のものとして製造されたものである。また、副DCDCコンバーターBのFETtr4も、主DCDCコンバーターAのFETtr2と同じ仕様のものとして製造されたものである。
副DCDCコンバーターBのFETtr3とFETtr4は、直列接続される。具体的に、第2制御回路部B6は、FETtr3のゲートと、FETtr4のゲートに接続される。第2制御回路部B6は、各ゲートへの電圧のON/OFFにより、FETtr3とFETtr4のON/OFFを制御する。
FETtr3のドレインに電源Vaが接続される。電源Vaは、主DCDCコンバーターAと共通した電源である。そして、副DCDCコンバーターBのFETtr3のソースと、副DCDCコンバーターBのFETtr4のドレインが接続される。FETtr4のソースは、抵抗6を介して、グランドに接続される。
そして、FETtr3のソースとFETtr4のドレイン間に、第2コイルL2と第2コンデンサーC2が接続される。第2コイルL2と第2コンデンサーC2は、副DCDCコンバーターBの出力電圧を平滑化するための回路である。尚、副DCDCコンバーターBの第2コイルL2は、主DCDCコンバーターAの第1コイルL1と同じ仕様のものとして製造されたものである。また、副DCDCコンバーターBの第2コンデンサーC2も、主DCDCコンバーターAの第1コンデンサーC1と同じ仕様のものとして製造されたものである。
そして、主DCDCコンバーターAと同様に、第2コイルL2と第2コンデンサーC2間の電圧が副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2として取り出される。例えば、副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2は、CPU51の第2コア512(サブコア)に印加される。
副DCDCコンバーターBの動作について説明しておく。複合機100の主電源が投入されたとき、主制御部5の起動したとき、又は、省電力モードから通常モードに復帰したとき、主制御部5は、副DCDCコンバーターBの第2制御回路部B6にスイッチング開始の指示(信号)を与える。そして、スイッチング開始時のFETtr3のオンデューティ(FETtr4のオフデューティ)は、予め定められた値である。
また、主制御部5は、通常モードでは、副DCDCコンバーターBの第2制御回路部B6に、FETtr3とFETtr4のスイッチングを継続させる指示(信号)を与える。これにより、通常モードでは、副DCDCコンバーターBから電圧が出力され、第2コア512が動作する。通常モードでの副DCDCコンバーターBの第2制御回路部B6の動作、スイッチング制御と、主DCDCコンバーターAの第1制御回路部A6の動作、スイッチング制御は同じである。
一方、省電力モードでは、主制御部5は、副DCDCコンバーターBの第2制御回路部B6に、FETtr3とFETtr4の両方のスイッチングを停止させ、いずれもOFF状態で保つ指示(信号)を与える。これにより、省電力モードでは、副DCDCコンバーターBからの電圧出力がなくなり、第2コア512は停止する。
第2制御回路部B6は、第2デューティ比設定部B5からの指示に基づき、FETtr3のON/OFFを行う。第2デューティ比設定部B5が第2制御回路部B6に指示するデューティ比は、第2アンプB4の出力に基づき定まる。副DCDCコンバーターBの第2デューティ比設定部B5も、副DCDCコンバーターBの出力電圧値が理想的な値であるときの第2アンプB4の出力に対し、第2アンプB4の出力が大きいとき(例えば、副DCDCコンバーターBの出力電圧値が理想的な値であるときよりも、まだ第2設定回路B2の出力が小さいとき)、第2制御回路部B6に、FETtr3のON/OFFでのデューティ比(ONデューティ)を大きくする旨の指示を出す。
一方、第2デューティ比設定部B5は、副DCDCコンバーターBの出力電圧値が理想的な値であるときの第2アンプB4の出力に対し、第2アンプB4の出力が大きいとき(副DCDCコンバーターBの出力電圧値が理想的な値であるときよりも、第2設定回路B2の出力が大きいとき)、第2制御回路部B6に、FETtr3のON/OFFでのデューティ比(ONデューティ)を小さくする旨の指示を出す。
(出力電圧値の差の低減)
次に、図6、図7を用いて、実施形態に係る電源装置1(複合機100)での主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBの出力電圧値の差の低減を説明する。図7は、実施形態に係る主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBの出力電圧値の差を低減するための構成を示す図である。
主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBでは、仕様がほぼ同じで、同じ電圧値を出力するように設計されている。そして、主DCDCコンバーターAの出力電圧Vout1は、主DCDCコンバーターAに含まれる第1設定回路A2と第1参照電圧生成部A1によって定まる。また、副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2は、副DCDCコンバーターBに含まれる第2設定回路B2と第2参照電圧生成部B1によって定まる。言い換えると、主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBの出力電圧値はそれぞれが含む設定回路と参照電圧生成部の出力に基づき定まる。
そして、主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBは、同じCPU51に対して電圧を印加するので、同じ電圧値を出力することが求められる。また、同じ回路や素子ではなく、複数のDCDCコンバーターが別々の回路に同じ大きさの電圧を印加する場合でも、動作の異常や停止を防ぐため、それぞれのDCDCコンバーターの出力電圧値の差は、許容範囲に収めるべき場合がある。
本実施形態のCPU51においては、電圧値に差があると各コアに印加される電圧に差が生ずることになり、CPU51の動作に悪影響が出る。第1コア511(メインコア)と第2コア512(サブコア)に印加される電圧の大きさの差が、許容範囲を超えて異常発生範囲内の値になると、CPU51が正常に動作しない場合がある。例えば、異常発生範囲内の値になると、コア間で伝達される信号の電圧に影響が出て、伝送されるデータに異常が生じ、命令、データが正常に伝達されなくなる場合がある。
ここで、主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBに全く同じ仕様のものを用いたとき、主DCDCコンバーターAで生成される参照電圧と、副DCDCコンバーターBで生成される参照電圧に比較的大きな差が生ずる場合がある。
例えば、各DCDCコンバーターの参照電圧をレギュレーターで生成するとき、レギュレーターの特性の個体差によって、各DCDCコンバーターで生成される参照電圧に差が生ずることがある。また、各DCDCコンバーターの参照電圧を抵抗の分圧で生成するようなときは、用いられる抵抗の個体差によって、各DCDCコンバーターで生成される参照電圧に差が生ずることがある。
各DCDCコンバーターで生成される参照電圧に差があると、同じ電圧値を出力させようとしても、ずれが生ずる。この出力電圧値の差は、上述のように、回路の動作に悪影響が出る場合がある。
そこで、本実施形態の電源装置1(複合機100)では、同じ、又は、差があっても許容範囲に収まるように、主DCDCコンバーターAの出力電圧Vout1と副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2の差を低減して調整する部分を含む。図6、図7を用いて、この部分を説明する。
図7に示すように、主DCDCコンバーターAの出力電圧Vout1と副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2の差を低減して調整する部分として、電源装置1には、誤差アンプ7と、副DCDCコンバーターBの調整制御部8と、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧生成部B1内に電圧可変回路9(調整部に相当)が設けられる。このように、各参照電圧生成部を異ならせるだけで、主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBはほぼ同じものを用いることができる。尚、調整制御部8は、第2制御回路部B6の内部に別途設けてもよい。また調整制御部8は、第2制御回路部B6内に設けられる制御、演算用の回路を流用するものでもよい。
具体的に、図6、図7に示すように、誤差アンプ7には、主DCDCコンバーターAの第1参照電圧Vref1と、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2が入力される。誤差アンプ7は差を増幅する。
例えば、誤差アンプ7は、主DCDCコンバーターAの第1参照電圧Vref1の方が、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2よりも大きいとき、負(−)の電圧を出力し、差の絶対値が大きいほど、小さい電圧を出力する。また、主DCDCコンバーターAの第1参照電圧Vref1の方が、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2よりも小さいとき、正(+)の電圧を出力し、差の絶対値が大きいほど、大きい電圧を出力する。
そして、誤差アンプ7の出力は、調整制御部8に入力される。そして、調整制御部8は、主DCDCコンバーターAの第1参照電圧Vref1と、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2のうち、どちらが大きいか、及び、誤差アンプ7の出力と、誤差アンプ7の増幅率に基づき、第1参照電圧Vref1と第2参照電圧Vref2の差の絶対値を認識する。例えば、調整制御部8は、誤差アンプ7の出力の絶対値を増幅率で除すことで、第1参照電圧Vref1と第2参照電圧Vref2の差の絶対値を認識する。
尚、誤差アンプ7を設けず、第1参照電圧Vref1と第2参照電圧Vref2をそれぞれ調整制御部8に入力し、調整制御部8が参照電圧をA/D変換し、各参照電圧の大きさをそれぞれ認識するようにしてもよい。このように、調整制御部8が、第1参照電圧Vref1と第2参照電圧Vref2のうち何れが大きいか、及び、第1参照電圧Vref1と第2参照電圧Vref2の差の絶対値を認識してもよい。
そして、第2制御回路部B6(調整制御部8)は、主DCDCコンバーターAの第1参照電圧Vref1と、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2の大きさが等しくなるように、副DCDCコンバーターBの電圧可変回路9に指示を与える。この指示をうけ、電圧可変回路9は、生成する参照電圧を変化させて、第2参照電圧Vref2を調整する。
例えば、電圧可変回路9がD/Aコンバーターであって、第1参照電圧Vref1の方が副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2よりも大きいとき、調整制御部8は、電圧可変回路9に、第2参照電圧Vref2を大きくする旨と、差の絶対値を示す信号を通知する。この通知に基づき、電圧可変回路9は、差の絶対値分、第2参照電圧Vref2を大きくする。
また、例えば、電圧可変回路9がD/Aコンバーターであって、第1参照電圧Vref1の方が副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2よりも小さいとき、調整制御部8は、電圧可変回路9に、第2参照電圧Vref2を小さくする旨と、差の絶対値を示す信号(ディジタル信号)を通知する。この通知に基づき、電圧可変回路9は、差の絶対値分、第2参照電圧Vref2を小さくする。
このように、調整制御部8は、主DCDCコンバーターAの第1参照電圧Vref1の大きさと、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2の大きさの差を実際に認識したうえで、差が無くなるように、電圧可変回路9に出力を変化させる。従って、正確に第1参照電圧Vref1と第2参照電圧Vref2の大きさを一致させることができる。第1参照電圧Vref1と第2参照電圧Vref2を同じ大きさ(差があっても微小な誤差)とすることができるので、主DCDCコンバーターAの出力電圧Vout1と、副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2の差を低減することができる。
そして、図7に示すように、副DCDCコンバーターBの第2制御回路部B6は、副DCDCコンバーターBの駆動開始後、第2出力生成部B3の出力電圧値が予め定められた大きさに到達したことを検知し、信号(POWER_GOOG信号)を出力する検知回路B61を含む。尚、主DCDCコンバーターAの第1制御回路部A6もPOWER_GOOG信号を出力する同様の検知回路を含む。
ここで、予め定められた大きさとは、予め副DCDCコンバーターBが出力すべき電圧として設定された設定電圧であり、CPU51の第2コア512の定格電圧値の範囲内の電圧である。例えば、CPU51の第2コア512に印加する定格の電圧の範囲内のうち、少なくとも最低レベルを越える値である。
検知回路B61は、副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2の大きさを認識し、副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2が設定電圧(予め定められた大きさ)よりも大きくなったことを検知する。言い換えると、検知回路B61は、副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2が安定したことを検知する。
また、本実施形態の電源装置1では、誤差アンプ7の出力端と、第2制御回路部B6(調整制御部8)の接続を開閉するためのスイッチ部81が設けられる。尚、誤差アンプ7を設けず、各参照電圧生成部を調整制御部8に直接入力する場合には、第1参照電圧Vref1を調整制御部8に入力するための信号線、又は、第2参照電圧Vref2を調整制御部8に入力するための信号線のいずれかに、スイッチ部81を設けるようにしてもよい。
ここで、参照電圧の調整は、温度変化などによるDCDCコンバーターの出力特性の変化を考慮すると、DCDCコンバーターの温度上昇や出力電圧がある程度安定してから行う方が効果的である。
そして、副DCDCコンバーターBの動作開始(電圧生成開始)から検知回路B61によって副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2が安定したことを検知するまでは(副DCDCコンバーターBの電圧生成開始から出力電圧Vout2の上昇中は)、第2制御回路部B6(検知回路B61)は、スイッチ部81を開状態で保つ。これにより、誤差アンプ7の出力は、調整制御部8(第2制御回路部B6)に入力されない。そのため、副DCDCコンバーターBの動作開始(電圧生成開始)から検知回路B61によって副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2が安定したことを検知するまで、調整制御部8による副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2の調整は行われない。
検知回路B61によって出力電圧Vout2の安定検知がなされると、検知回路B61は信号(POWER_GOOG信号)を出力する。このPOWER_GOOG信号に応じて、第2制御回路部B6は、スイッチ部81を閉状態とする。これにより、誤差アンプ7の出力は、調整制御部8(第2制御回路部B6)に入力され、調整制御部8は、各参照電圧の差を認識する。そのため、副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2が安定したことを検知してから、調整制御部8による副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2の調整が行われる。このように、本実施形態の電源装置1では、DCDCコンバーターの温度上昇や出力電圧がある程度安定してから、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2の調整が実行される。
尚、スイッチ部81を設けず、副DCDCコンバーターBによる電圧生成開始から、検知回路B61が信号(POWER_GOOG信号)を発するまで、調整制御部8が副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2の調整を行わないようにしてもよい。言い換えると、調整制御部8は、POWER_GOOG信号をトリガとして、第2参照電圧Vref2の調整を行ってもよい。
次に、図8を用いて、実施形態に係る複合機100(電源装置1)での副DCDCコンバーターBの動作開始時の処理の流れの一例を説明する。図8は、実施形態に係る複合機100(電源装置1)での副DCDCコンバーターBの動作開始時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8のスタートは、副DCDCコンバーターBの動作開始時(電圧生成開始時)である。具体的には、複合機100の主電源が投入されたときや、省電力モードから通常モードに復帰したときが当てはまる。
主制御部5は、副DCDCコンバーターBの第2制御回路部B6に電圧生成開始の指示を出し、第2制御回路部B6は、指示を受けて、副DCDCコンバーターBのFETtr3とFETtr4のスイッチングを開始して、電圧生成を開始する(ステップ♯1)。第2制御回路部B6は、電圧生成開始時のスイッチングでのデューティ比(ONデューティ)として、予め定められたデューティ比でスイッチングを開始する。また、副DCDCコンバーターBの第2制御回路部B6は、電圧生成開始時の第2参照電圧Vref2として、予め定められた大きさの第2参照電圧Vref2の大きさでの出力を行う旨を第2参照電圧生成部B1に指示する。
そして、副DCDCコンバーターBの第2デューティ比設定部B5の指示に基づき、第2制御回路部B6は、FETtr3とFETtr4のスイッチングを行い、副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2を上昇させる(ステップ♯2)。
そして、副DCDCコンバーターBの検知回路B61は、副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2が予め定められた大きさ(設定電圧)に到達したか否かを確認する(ステップ♯3)。もし、到達していなければ(ステップ♯3のNo)、フローは、ステップ♯2に戻る。
一方、到達したとき(ステップ♯3のYes)、第2制御回路部B6は、スイッチ部81を閉状態(導通状態)とする(ステップ♯4)。そして、調整制御部8は、誤差アンプ7の出力に基づき、主DCDCコンバーターAの第1参照電圧Vref1と、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2の差を求める(ステップ♯5)。
そして、調整制御部8は、求めた差に基づき、実際の第1参照電圧Vref1と実際の第2参照電圧Vref2の差が無くなるように、電圧可変回路9に、第2参照電圧Vref2の変更を指示する(ステップ♯6)。この指示を受けて、副DCDCコンバーターBの参照電圧生成部は、第2参照電圧Vref2を調整する(ステップ♯7)。そして、フローは終了する。
そして、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2を調整に行った後、副DCDCコンバーターBが電圧生成を行っている間、定期的に、周期的に第2参照電圧Vref2の調整を行うようにしてもよい。副DCDCコンバーターBの起動後、2回目以降の第2参照電圧Vref2の調整では、調整を行うごとに、図8のフローのうち、ステップ♯5〜ステップ♯7を実行すればよい。
このようにして、実施形態に係る電源装置1は、第1参照電圧生成部A1と、出力電圧を設定するための第1設定回路A2と、第1参照電圧生成部A1が生成した第1参照電圧Vref1と第1設定回路A2からの出力の電位差に応じて電圧を生成、出力する第1出力生成部A3を含むDCDCコンバーター(主DCDCコンバーターA)を備えた主電力変換部と、少なくとも1つ設けられ、第2参照電圧Vref2を生成する第2参照電圧生成部B1と、出力電圧を設定するための回路であって第1設定回路A2と同じ仕様の第2設定回路B2と、第2参照電圧Vref2と第2設定回路B2からの出力の電位差に応じて電圧を生成、出力し、第1出力生成部A3と同じ仕様の第2出力生成部B3を含むDCDCコンバーター(副DCDCコンバーターB)を備えた副電力変換部と、主電力変換部と副電力変換部の出力電圧が等しくなるように調整するための調整制御部8を含む。また、副電力変換部は、第2参照電圧Vref2を可変させて調整するための調整部(電圧可変回路9)を含む。そして、調整制御部8は、第1参照電圧Vref1と第2参照電圧Vref2の差を認識し、各参照電圧の差が無くなるように調整部に第2参照電圧Vref2を調整させることとした。
DCDCコンバーターを複数含み(主電力変換部と副電力変換部を含み)、参照電圧と設定回路の出力電圧に基づいて、それぞれのDCDCコンバーターの出力電圧の大きさが定められる構成において、調整制御部8は、主電力変換部の第1参照電圧Vref1と副電力変換部の第2参照電圧Vref2の差を認識して、各参照電圧の差が無くなるように調整部(電圧可変回路9)に調整させる。これにより、主電力変換部(DCDCコンバーター)と副電力変換部(DCDCコンバーター)のそれぞれから、等しい電圧を出力させようとする構成において、出力電圧値を定める要因としての参照電圧の差が無くなるように調整することができる。そして、主電力変換部と副電力変換部の出力電圧値の差を低減することができる(差を許容範囲に収めることができる)。従って、主電力変換部の負荷と、副電力変換部の負荷の間での電位差を減らすことができ、主電力変換部と副電力変換部から電力供給を受けるデバイス、回路、チップでの誤動作、異常動作、動作停止などを防ぐことができる。
又、副電力変換部は、副電力変換部の駆動開始後、第2出力生成部B3の出力電圧値が予め定められた大きさに到達したことを検知する検知回路B61を含む。調整制御部8は、検知回路B61によって、第2出力生成部B3の出力電圧値が予め定められた大きさに到達したことが検知される前は、第2参照電圧Vref2の調整を調整部(電圧可変回路9)に行わせず、検知されてから第2参照電圧Vref2の調整を調整部に行わせる。
熱などにより、DCDCコンバーターに含まれる素子の特性の変化が、DCDCコンバーターの特性に影響を与える場合がある。そこで、調整制御部8は、検知回路B61によって、第2出力生成部B3の出力電圧値が予め定められた大きさに到達したことが検知される前は、第2参照電圧Vref2の調整を調整部(電圧可変回路9)に行わせず、検知されてから第2参照電圧Vref2の調整を調整部(電圧可変回路9)に行わせる。副電力変換部の出力が不安定な状態で行った調整が、時間の経過とともに不適切な調整となる場合があるところ、副電力変換部の出力電圧が安定した状態となってから、副電力変換部の参照電圧を調整することができる。従って、副電力変換部の参照電圧を1回で適切に調整することができ、1回調整を行うだけで、主電力変換部と副電力変換部の出力電圧値の差が無い、又は、ほぼ無い状態で保つことができる。
又、電源装置1(複合機100)は、通常モードで予め定められた移行条件が満たされたとき移行する省電力モードと、省電力モードで予め定められた復帰条件が満たされたときに復帰する通常モードを有する。そして、省電力モードでは、副電力変換部は、第2出力生成部B3からの電圧の出力を停止し、調整制御部8及び調整部(電圧可変回路9)は調整を行わず、通常モードでは、副電力変換部は、第2出力生成部B3からの電圧の出力を行い、調整制御部8及び調整部は調整を行い、主電力変換部は、通常モードと省電力モードの両方で、第1出力生成部A3からの電圧の出力を続ける。
これにより、副電力変換部は省電力モードと通常モードで状態が大きく変化するところ、モードの変化による状態の変化が副電力変換部よりも小さい主電力変換部の参照電圧を基準として、副電力変換部の参照電圧を調整することができる。
又、主電力変換部と副電力変換部の負荷は、複数のコアを持つCPU51であり、主電力変換部は、CPU51に含まれるコアのうち、省電力モードでも駆動させるコアに電力を供給し、副電力変換部は、CPU51に含まれるコアのうち、省電力モードでは駆動させないコアに対して電力を供給する。
これにより、複数のコアを持つCPU51に含まれるそれぞれのコアに対応してDCDCコンバーターを設け、各DCDCコンバーターから対応するコアに電力供給を行うとき、各コアに印加される電圧の差を抑えることができ、電源的な理由により、マルチコアのCPU51が動作しないことを無くすことができる。従って、CPU51を安定して、問題なく動作させることができる。また、DCDCコンバーターのON/OFFだけで、どのコアを動作させるか定めることができる。
又、第1参照電圧Vref1と、第2参照電圧Vref2の入力を受けて差を増幅する誤差アンプ7を含み、
調整制御部8は、誤差アンプ7の出力に基づいて、第1参照電圧Vref1と第2参照電圧Vref2の差を認識し、差がなくなるように調整部(電圧可変回路9)に指示を与える
これにより、調整制御部8は、正確に参照電圧の差を認識することができ、参照電圧の差が無くなるように、副電力変換部の参照電圧を調整することができる。
又、複合機100(画像形成装置)は、上述の電源装置1を含む。そのため、複数のDCDCコンバーター(電源)を用いて、同じ大きさの電圧を出力しようとするとき、主電力変換部と副電力変換部の出力電圧値の差を低減させ、主電力変換部と副電力変換部から電力供給を受けるデバイス、回路、チップでの誤動作や動作停止を防ぐことができる電源装置1を含む。従って、動作にエラーや異常停止がなく、動作が安定している画像形成装置を提供することができる。
次に、他の実施形態を説明する。
主DCDCコンバーターAは動作し、出力電圧Vout1を生成している状態で、副DCDCコンバーターBの動作(電圧生成)を開始するときの副DCDCコンバーターBの参照電圧の調整について説明した。しかし、主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBを同時に動作(電圧生成)を開始した場合も、本発明を適用することができる。例えば、省電力モードに移行したとき、主DCDCコンバーターAと副DCDCコンバーターBの何れもが電圧生成を停止し、通常モードに復帰したとき、両DCDCコンバーターが電圧生成を開始する場合などでも、本発明を適用することができる。この場合、主DCDCコンバーターAの出力電圧Vout1と、副DCDCコンバーターBの出力電圧Vout2のいずれもが、設定電圧値に到達してから、第2参照電圧Vref2の調整を行うようにしてもよい
また、CPU51の第1コア511(メインコア)に電圧を印加するDCDCコンバーターを主DCDCコンバーターA(主電力変換部)とし、CPU51の第2コア512(サブコア)に電圧を印加するDCDCコンバーターを副DCDCコンバーターB(副電力変換部)として説明した。しかし、CPU51の第1コア511(メインコア)に電圧を印加するDCDCコンバーターを副DCDCコンバーターBとし、CPU51の第2コア512(サブコア)に電圧を印加するDCDCコンバーターを主DCDCコンバーターA(主電力変換部)としてもよい。この場合、省電力モードでは、副DCDCコンバーターBの動作を続けさせ、主DCDCコンバーターAが動作を停止させる。そして、通常モードへの復帰によって、主DCDCコンバーターAが動作(電圧生成)を開始し、主DCDCコンバーターAの出力電圧値が設定電圧に到達すると、副DCDCコンバーターBの第2参照電圧Vref2の大きさを調整すればよい。言い換えると、調整制御部8や、電圧可変回路9(調整部)は、CPU51の第1コア511に電圧を印加するDCDCコンバーターに対して設けるようにしてもよい。
また、CPU51に対して、同じ電圧を印加する例を説明した。しかし、本発明は、CPU51に電圧を印加するためのDCDCコンバーターに限られない。例えば、同じ仕様であって、同じ電圧を出力するものとして設計されたDCDCコンバーター間での出力誤差の低減に適用することができる。
また、CPU51は、2つのコアである例を説明した。しかし、コア数は2つに限らず、2つを越える場合でも本発明を適用することができる。例えば、コア数が4つのとき、メインコアに対し、主DCDCコンバーターAを1つ設け、3つのサブコアに対してそれぞれ副DCDCコンバーターBを設け、各副DCDCコンバーターBに対し、誤差アンプ7や、調整制御部8や、電圧可変回路9(調整部)を設けるようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。