JP6042118B2 - 新規な三価アルコールのエステル - Google Patents
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(1)下記一般式(I)で表されるエステル。
一般式(I)
(一般式(I)中R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2,R3は互いに同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する炭素数6〜22のアシル基を表す。Pは三価アルコールからOH基が脱離した基を表す。)
(2)下記一般式(II)で表されることを特徴とする(1)記載のエステル。
一般式(II)
(一般式(II)中R4は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R5,R6は互いに同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する炭素数10〜22のアシル基を表す。Qは三価アルコールからOH基が脱離した基を表す。)
(3)下記一般式(III)で表されることを特徴とする(1)記載のエステル。
一般式(III)
(一般式(III)中R7は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R8,R9は互いに同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9のアシル基を表す。Sは三価アルコールからOH基が脱離した基を表す。)
(4)三価アルコールがグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンからなる群から選択されることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のエステル。
本発明は下記一般式(I)で表される新規な三価アルコールのエステルである。
一般式(I)
(一般式(I)中R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2,R3は互いに同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する炭素数6〜22のアシル基を表す。Pは三価アルコールからOH基が脱離した基を表す。)
一般式(II)
(一般式(II)中R4は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R5,R6は互いに同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する炭素数10〜22のアシル基を表す。Qは三価アルコールからOH基が脱離した基を表す。)
一般式(III)
(一般式(III)中R7は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R8,R9は互いに同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9のアシル基を表す。Sは三価アルコールからOH基が脱離した基を表す。)
R5、R6で表される、環構造を含まない、分岐を有する炭素数10〜22のアシル基としては、2−メチルノナノイル基、4−メチルノナノイル基、8−メチルノナノイル基、4−エチルオクタノイル基、2−エチルオクタノイル基、2−ブチルヘキサノイル基、2−tert−ブチルヘキサノイル基、2,2−ジエチルヘキサノイル基、2,2−ジメチルオクタノイル基、3,7−ジメチルオクタノイル基、ネオデカノイル基、7−メチルデカノイル基、2−メチル−2−エチルオクタノイル基、2−メチルウンデカノイル基、10−メチルウンデカノイル基、2,2ジメチルデカノイル基、2−エチルデカノイル基、2−ブチルオクタノイル基、ジエチルオクタノイル基、2−tert−ブチル−2,2,4−トリメチルペンタノイル基、10−メチルドデカノイル基、3−メチルドデカノイル基、4−メチルドデカノイル基、11−メチルドデカノイル基,10−エチルウンデカノイル基、12−メチルトリデカノイル基、2−ブチルデカノイル基、2−ヘキシルオクタノイル基、2−ブチル−2−エチルオクタノイル基、12−メチルテトラデカノイル基、14−メチルペンタデカノイル基、2−ブチルドデカノイル基、2−ヘキシルデカノイル基、16−メチルヘプタデカノイル基、2,2−ジメチルヘキサノイル基、2−ブチルヘキサデカノイル基、2−ヘキシルドデカノイル基、2,4,10,14−テトラメチルペンタノイル基、18−メチルノナデカノイル基、3,7,11,15−テトラ−メチルヘキサデカノイル基、19−メチルエイコサノイル基等を例示することができる。
a)三価アルコールをケタール化する。具体的な合成方法としては、例えば、特開2009−136749号公報の製造例1記載の方法が例示できる。
b)aで合成したケタール化された三価アルコールと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとのエステル交換でケタールの(メタ)アクリル酸エステルを合成し、得られたケタールの(メタ)アクリル酸エステルの脱ケトン反応を行い、三価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルを合成する。具体的な合成方法としては、例えば、特開2004−18389号公報の実施例1記載の方法が例示できる。
c)bで得られた三価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルと所定の分岐構造を有するカルボン酸又はその無水物又はそのクロライドとを反応させ、本発明の三価アルコールのエステルを得る。
3Lの4つ口フラスコに、R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサラン−4−メタノール(東京化成工業(株)製)79.5g、メチルアクリレート258.0g、テトラメトキシチタン3.7gを仕込んだ。そして、反応液を撹拌し、液中に窒素ガスを導入しながら、105〜110℃で2.5時間エステル交換反応を行った。反応終了後、減圧蒸留による分取により一般式(IV)で表される、イソプロピリデングリセリルアクリレートを得た。
一般式(IV)
一般式(V)
工程(1):カルシウム管、冷却管及びディーン−スターク(Dean−Stark)トラップを装着したナス型フラスコに、トリメチロールプロパン145.7g、アセトン300ml、p−トルエンスルホン酸1水和物3g及び石油エーテル300mLを加え、50℃に設定したオイルバス中で加熱還流させた。12時間後、新たに水分が生成しなくなったことを確認した後、反応混合物を室温まで冷却した。次いで、酢酸ナトリウム3gを加え、更に30分間攪拌した後、エバポレータにより石油エーテル及びアセトンを留去した。得られた粗生成物を減圧蒸留することにより、ケタール化されたトリメチロールプロパン(化合物1)を得た。
スキーム1
製造例2におけるトリメチロールプロパン、メチルアクリレート(アクリレート)、工程(1)で得られる化合物の仕込み量、工程(2)で得られる化合物の仕込み量を表1のように変更し、三価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルを合成した。三価のアルコール及びその仕込み量、工程(1)で得られる化合物及びその仕込み量、工程(2)で得られる化合物及びその仕込み量、得られるモノ(メタ)アクリル酸エステルについて表1に示す。また、製造例3〜5の反応工程をスキーム2〜4に示す。
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、16−メチルヘプタデカン酸(シグマ−アルドリッチ社製)28.4g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、16−メチルヘプタデカン酸クロライドを得た。
一般式(VI)
攪拌装置を備えた反応容器中で、グリセリルモノアクリレート(製造例1で得た化合物)29.2、トリエチルアミン50.0gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、2−エチルヘキサン酸クロライド(シグマ−アルドリッチ社製)65.1gをテトラヒドロフラン100mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(VII)で表される、本発明の三価アルコールのエステルであることが確認された。
一般式(VII)
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、2−ブチル−2−エチルオクタン酸(シグマ−アルドリッチ社製)22.8g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、2−ブチル−2−エチルオクタン酸クロライドを得た。
一般式(VIII)
攪拌装置を備えた反応容器中で、トリメチロールプロパンモノメタクリレート(製造例3で得た化合物)40.4、トリエチルアミン50.0gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、3,5,5−トリメチルヘキサン酸クロライド(シグマ−アルドリッチ社製)70.7gをテトラヒドロフラン100mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(IX)で表される、本発明の三価アルコールのエステルであることが確認された。
一般式(IX)
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、19−メチルエイコサン酸(シグマ−アルドリッチ社製)32.7g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、19−メチルエイコサン酸クロライドを得た。
一般式(X)
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、2,2−ジメチルオクタン酸(シグマ−アルドリッチ社製)17.2g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、2,2−ジメチルオクタン酸クロライドを得た。
一般式(XI)
実施例1〜6の三価アルコールエステル、比較例1としてメタクリル酸nドデシル(DMAと省略 東京化成工業(株)製)、比較例2として特開平07−82216号公報実施例1記載の方法で得たアクリル酸エステル(C13−Aと省略)、硬化剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPAと省略 大阪有機化学工業(株)製)及び光重合開始剤としてのIrgacure 184(IR184と省略)チバガイギー社製を表2記載の組成で混合し、UV硬化組成物を調製した。なお、表2中の数字は質量%を意味する。
次に、このUV硬化組成物をシャーレーに10mlとり、そこへ紫外線を320mJ/cm2光量で照射し、硬化組成物を硬化させた。硬化後の体積を測定し、硬化時の収縮率を求めた。結果を表3に示す。
試験例1で硬化させた硬化物の表面硬度を1H〜6Hの鉛筆を用い、鉛筆硬度試験(旧 JIS K5400)を実施した。結果を表3に示す。
試験例1で用いたUV硬化組成物をテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、試験例1と同様の条件で紫外線を照射し、硬化膜を調製した。この硬化膜を前後に曲げ、膜表面にクラックが入るまでこの操作を繰り返し、クラックが生じる折り曲げ回数を被膜の柔軟性とした。折り曲げ回数が多いほど柔軟性が高いことを意味する。結果を表3に示す。
Claims (4)
- 下記一般式(I)で表されるエステルを含むラジカル硬化性組成物からなる被膜形成剤。
一般式(I)
(一般式(I)中R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2,R3は互いに同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する炭素数6〜22のアシル基を表す。Pは三価アルコールからOH基が脱離した基を表す。) - 下記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項1記載の被膜形成剤。
一般式(II)
(一般式(II)中R4は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R5,R6は互いに同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する炭素数10〜22のアシル基を表す。Qは三価アルコールからOH基が脱離した基を表す。) - 下記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項1記載の被膜形成剤。
一般式(III)
(一般式(III)中R7は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R8,R9は互いに同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9アシル基を表す。Sは三価アルコールからOH基が脱離した基を表す。) - 三価アルコールがグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の被膜形成剤。
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