JP2020023456A - エステル組成物、(メタ)アクリレート組成物、エステル組成物の製造方法、(メタ)アクリレート組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、トリメチロールプロパンの第一級ヒドロキシル基を残しつつ、第三級ヒドロキシル基を導入したエステル化合物を所定量以上で含むエステル組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、上記エステル組成物に含まれる第一級ヒドロキシル基を有する化合物について、その第一級ヒドロキシル基を(メタ)アクリレート化した(メタ)アクリレート化合物を含む(メタ)アクリレート組成物の提供を目的とする。
さらには、上記エステル組成物の製造方法および(メタ)アクリレート組成物の製造方法の提供を目的とする。
<1>トリメチロールプロパンのヒドロキシル基の1個または2個に−C(=O)−L−C(OH)(CH3)2(ここで、Lは単結合または−CH2−である)で表される第三級ヒドロキシル基含有基が導入されたエステル化合物を合計で20質量%以上含む、エステル組成物。
<2>トリメチロールプロパンと(CH3)2(OH)C−L−COOH(ここで、Lは単結合または−CH2−である、または、そのエステル)との、エステル交換反応またはエステル化反応によって、前記第三級ヒドロキシル基含有基が導入された、<1>に記載のエステル組成物。
<3>(CH3)2(OH)C−L−COOHのエステルが、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、またはブチルエステルである、<2>に記載のエステル組成物。
<4>トリメチロールプロパンが有するヒドロキシル基の3個に前記第三級ヒドロキシル基含有基が導入されたエステル化合物の含有量が30質量%以下である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のエステル組成物。
<5>前記第三級ヒドロキシル基含有基が−C(=O)−C(OH)(CH3)2で表される、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のエステル組成物。
<6>トリメチロールプロパンが有するヒドロキシル基の1個または2個に前記第三級ヒドロキシル基含有基が導入されたエステル化合物を合計で55質量%以上含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のエステル組成物。
<7><1>〜<6>のいずれか1つに記載のエステル組成物に含まれる、メチロール基を有するエステル化合物について、前記メチロール基に(メタ)アクリロイル基が導入された化合物を含む、(メタ)アクリレート組成物。
<8>前記エステル組成物に含まれるメチロール基を有するエステル化合物と(メタ)アクリル酸またはそのエステルとをエステル化反応またはエステル交換反応させて、前記メチロール基に(メタ)アクリロイル基を導入した、<7>に記載の(メタ)アクリレート組成物。
<9>分子中に(メタ)アクリロイル基を1個または2個含む(メタ)アクリレート化合物を合計で35質量%以上含む、<7>または<8>に記載の(メタ)アクリレート組成物。
<10>分子中に(メタ)アクリロイル基を1個または2個含む(メタ)アクリレート化合物を合計で55質量%以上含む、<7>〜<9>のいずれか1つに記載の(メタ)アクリレート組成物。
<11>トリメチロールプロパンに、(CH3)2(OH)C−L−COOH(ここで、Lは単結合または−CH2−である)、または、そのエステルを、エステル交換反応またはエステル化反応させることを含む、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のエステル組成物の製造方法。
<12><1>〜<6>のいずれか1つに記載のエステル組成物と、(メタ)アクリル酸またはそのエステルとを反応させて、エステル交換反応またはエステル化反応を介して、ヒドロキシル基に(メタ)アクリロイル基を導入する、(メタ)アクリレート組成物の製造方法。
また、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの両方を意味する。(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリレート化、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリレート組成物等というときにも同様の意味である。
本発明のエステル組成物は、トリメチロールプロパンのヒドロキシル基の1個または2個に−C(=O)−L−C(OH)(CH3)2(ここで、Lは単結合または−CH2−である)で表される第三級ヒドロキシル基含有基が導入されたエステル化合物を合計で20質量%以上含むことを特徴とする。
前記第三級ヒドロキシル基含有基は、トリメチロールプロパンと(CH3)2(OH)C−L−COOH(ここで、Lは単結合または−CH2−である)、または、そのエステルとのエステル化反応またはエステル交換反応によって導入されたものであることが好ましい。
なお、HIBはα−ヒドロキシイソブチリル基の略称であるが、上記式で表されたとおり、本発明においてはこれに限定されず、β−ヒドロキシイソバレリル基であってもよい。
特に、3置換体の含有量を、0質量%超30質量%以下とすることにより、3置換体と、1置換体および2置換体との相分離をより効果的に抑制しつつ、得られるエステル組成物の粘度を低減できる利点がある。
本発明のエステル組成物は、また、(CH3)2(OH)C−L−COOH(ここで、Lは単結合または−CH2−である)、または、そのエステルの二量体(例えば、テトラメチルグリコシド)の含有量が、トリメチロールプロパンとエステル化合物(すなわち、トリメチロールプロパンの1置換体、2置換体、3置換体)の合計量の10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが一層好ましい。このように、不純物である二量体の含有量を減らすことによって、より精度の高いエステル組成物が得られる。
本発明のエステル組成物は、溶媒で希釈した組成物として用いることもできる。すなわち、本発明のエステル組成物と溶媒を含む組成物として用いてもよい。
(CH3)2(OH)C−L−COOHまたはそのエステルは、換言すると、α−ヒドロキシイソ酪酸またはそのエステル、あるいはβ−ヒドロキシイソ吉草酸またはそのエステルであり、第三級ヒドロキシル基含有化合物と称することがある。(CH3)2(OH)C−L−COOHのエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、またはブチルエステルであることが好ましく、なかでもメチルエステル((CH3)2(OH)C−L−COOCH3)またはエチルエステル((CH3)2(OH)C−L−COOC2H5)がより好ましく、メチルエステルがさらに好ましい。具体的には、β−ヒドロキシイソ吉草酸メチル((CH3)2(OH)C−CH2−COOCH3)、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル((CH3)2(OH)C−COOCH3)、β−ヒドロキシイソ吉草酸エチル((CH3)2(OH)C−CH2−COOC2H5)、α−ヒドロキシイソ酪酸エチル((CH3)2(OH)C−COOC2H5)が挙げられ、β−ヒドロキシイソ吉草酸メチルまたはα−ヒドロキシイソ酪酸メチルが好ましく、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルがより好ましい。
本発明で用いる(CH3)2(OH)C−L−COOHまたはそのエステルは、1種を用いても、2種以上であってもよい。
トリメチロールプロパンの第一級ヒドロキシル基は、第三級ヒドロキシル基を有するカルボン酸化合物によって、容易にエステル化される。そのため、トリメチロールプロパンの3つの水酸基は、容易にエステル化されてしまう。本発明では、反応条件を調整することによって、トリメチロールプロパンのヒドロキシル基の1個または2個に−C(=O)−L−C(OH)(CH3)2で表される第三級ヒドロキシル基含有基が導入されたエステル化合物とすることが望ましい。
また、トリメチロールプロパンの1置換体(1HIB)、2置換体(2HIB)、3置換体(3HIB)は、高極性化合物のため蒸留による分離が困難であり、また結晶性が低い為、晶析分離も難しい。そのほか液々分離、カラムクロマトグラフィによる分離などが考えられるが、工業化に際して経済的な理由から好ましくない。そのため、本発明のように、反応条件を適切に調節して所望のエステル化合物を製造することが好ましい。
例えば、反応に用いるエステル化合物の量に対する、第三級ヒドロキシル基を有する化合物(第三級ヒドロキシル基含有化合物、例えばα−ヒドロキシイソ酪酸メチル)の量を調節することで制御することができる。具体的には、トリメチロールプロパンに対して、モル比で、第三級ヒドロキシル基含有化合物(第三級ヒドロキシル基含有化合物/トリメチロールプロパン)を0.4倍以上で反応させることが好ましく、0.6倍以上であることがより好ましく、0.8倍以上であることがさらに好ましい。上限値としては、5倍以下であることが好ましく、4倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることがさらに好ましい。
あるいは、反応時間を調節してもよく、具体的には、1時間以上であることが好ましく、2時間以上であることがより好ましく、2.5時間以上であることがさらに好ましい。上限値としては、20時間以下であることが好ましく、10時間以下であることがより好ましく、7時間以下であることがさらに好ましい。
本発明の(メタ)アクリレート組成物は、前記エステル組成物に含まれる、メチロール基(−CH2−OH)を有するエステル化合物(トリメチロールプロパン由来のヒドロキシル基が残されたエステル化合物、未反応のトリメチロールプロパンは除く)について、前記メチロール基(トリメチロールプロパン由来のヒドロキシル基)に(メタ)アクリロイル基が導入されている。特に、本発明では、(メタ)アクリレート組成物に含まれる(メタ)アクリレート化合物は、第三級ヒドロキシル基含有基に(メタ)アクリロイル基が導入されていないことが好ましい。
なお、1−2置換体の1−2(HIB−AA.MA)は、トリメチロールプロパンの分子内で、第三級ヒドロキシル基含有基で置換された数、(メタ)アクリロイル基で置換された数をその順で示している。
あるいは、エステル化ないしエステル交換反応を推進する金属塩の種類や量を調節することができる。例えば、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属塩や、テトライソプロピルチタネート等のチタンアルコキシドなどを選定することが挙げられる。添加量としては、(メタ)アクリル酸またはそのエステル100質量部に対して、金属化合物を0.5質量部以上とすることが好ましく、1.0質量部以上であることがより好ましい。上限値としては、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
反応時間は仕込み量等に応じて適宜定めればよいが、1時間以上であることが好ましく、2時間以上であることがより好ましく、5時間以上であることがさらに好ましい。上限値としては、20時間以下であることが好ましく、10時間以下であることがより好ましく、8時間以下であることがさらに好ましい。
また、(メタ)アクリレート化反応においては、重合禁止剤を配合してもよい。重合禁止剤としては、パラメトキシフェノールおよびヒドロキノンなどのフェノール系化合物が挙げられる。重合禁止剤の量は、適宜調節して添加すればよいが、例えば、エステル組成物100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、0.010質量部以上であることがより好ましい。上限としては、3質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。
上記触媒、触媒助剤および重合禁止剤は、それぞれ、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
上述したエステル組成物および(メタ)アクリレート組成物にはさらに他の成分を含有させてもよい。用途にもよるが、一般的な添加剤を上げると、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、重合禁止剤、フィラーなどの補強剤、分散材、改質剤、色材(顔料、染料)などが挙げられる。
また、本発明の(メタ)アクリレート組成物は、溶媒で希釈した組成物として用いることもできる。すなわち、本発明の(メタ)アクリレート組成物と溶媒、さらに必要に応じて配合されるその他の成分を含む組成物として用いてもよい。
本発明のエステル組成物は、トリメチロールプロパン構造において、第三級ヒドロキシル基含有基とともに、反応活性の高い第一級ヒドロキシル基を含んでいるため、同構造の化合物において選択的な反応を必要とする化合物の合成に好適に利用することができる。また、上述のように第一級ヒドロキシル基に(メタ)アクリロイル基を導入した化合物を生成させることができる。さらに、酸化されやすい第二級ヒドロキシル基を含まないため、酸化防止剤などといった添加剤、安定剤用途としても利用することができる。
本発明の(メタ)アクリレート組成物は、(メタ)アクリロイル基を有するため、各種ポリマーの原料モノマーとして有用である。例えば、上記原料モノマーを基材に塗布し、これを紫外線の照射や加熱等により重合させてポリマーを硬化物として活用することができる。さらにポリマー中に残存している第3級ヒドロキシル基を、反応性の高いジイソアネートなどで架橋させることができるので、接着剤用途や塗料用途で利用可能である。
(1)核磁気共鳴装置(NMR)
化合物の構造決定にはNMRを使用した(日本電子社製、型式:JNM−ECA500)。
使用した重溶媒および測定周波数は各化合物の帰属中に記載した。
(2)生成物の質量比
生成物の質量比はガスクロマトグラフィー(装置名:Agilent 7890A GC system、アジレント社製)にて、内部標準法により定量した。エステル組成物、ならびに、内標物質としてフタル酸ジメチル(和光純薬工業社製、特級試薬)をメタノールに溶解した検液を調製し、GC測定を行った。得られたチャートにおける内標物質(フタル酸ジメチル)のピーク面積にファクターを補正することで、生成物の質量比とした。ファクターとは、内標物質(フタル酸ジメチル)のGC面積に対して、目的物質(エステル組成物)のGC面積の検出度合を表す指標であり、既知量の内標物質であるフタル酸ジメチルを添加して得られたGC面積にファクターを補正することで、未知量の目的物重量を算出した。なお、ファクターは物質ごとに固有の数値であり、同一分析条件下においては一定である。以下の実施例中での測定に用いるファクターは、既知量の内標物質と既知量の目的物数種類を混合した検液から得られたピーク強度の比から予め算出した値である。
(3)高分解能質量分析
化合物の高分解能質量(ミリマス)分析は、GC−MSにて行った。
GC装置:Agilent 7890A(アジレント社製)
MS装置:AccuTOF GCV JMS−T100GCV(日本電子社製)
GC使用時の測定条件
カラム:HP−FFAP、またはHP−1
移動相:ヘリウム
流速:1.0mL/分から1.3mL/分
試料濃度:1質量%
注入量:1μL
MS測定条件
イオン化法:CI+
イオン化温度:250℃
イオン化電圧/電流:200eV/300μA
検出器電圧:2400V
(トリメチロールプロパンへのHIBの導入)
α−ヒドロキシイソ酪酸メチル(略式:HBM)(三菱ガス化学社製)46.8g(0.396モル)と、トリメチロールプロパン(略式:TMP)(三菱ガス化学社製)49.3g(0.367モル)と、トルエン(和光純薬工業社製、特級試薬)235.0gと、酸化カルシウム(和光純薬工業社製、99.9%試薬)0.87gとを、1Lの三口フラスコに収容し、常圧下で釜内温度が90℃〜120℃の間となるように加熱してエステル交換反応を行った。その温度にて、反応によって生成したメタノールをトルエンと共沸させながら系外へ除去して、4.5時間反応させた。メタノールを除去した後の反応系を放冷すると二相に分離し、沈殿物も確認された。反応液を60℃で加熱、攪拌したのち、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)メンブレンフィルターを用いたろ過にて沈殿物を除去した。ろ液を1L三口フラスコに戻し、40torr〜340torr減圧下で釜内温度が90℃〜120℃となるように加熱してトルエンを系内から系外へ除去、濃縮することで化合物A〜化合物Cを含むエステル組成物74.0gを得た。
得られたエステル組成物に既知量の内標物質を添加してGC測定を行い、エステル組成物の各成分と内標物質のピーク強度比にファクターを補正することで、エステル組成物の各成分の質量比を算出した。なお、得られたエステル組成物中には、GC測定により、化合物A〜CおよびTMP以外の成分がほぼ0質量%であることを確認した。エステル組成物中の各化合物の割合は、化合物A:47.4質量%、化合物B:36.6質量%、化合物C:5.5質量%、TMP:9.9質量%であった。
α−ヒドロキシイソ酪酸メチル46.8gを67.5gに、酸化カルシウム0.87gを0.11gに変更した以外は実施例1と同様の条件にて、6.0時間エステル交換反応を行った。濃縮後に得られた化合物A〜化合物Cのエステル組成物は90.2gであった。得られたエステル組成物中の各化合物の割合は、実施例1と同様の手法により測定したところ、化合物A:44.9質量%、化合物B:39.6質量%、化合物C:6.8質量%、TMP:8.5質量%であった。また、得られたエステル組成物中には、GC測定により、化合物A〜CおよびTMP以外の成分がほぼ0質量%であることを確認した。
トルエン235.0gをN,N−ジメチルホルムアミド(略式:DMF)(和光純薬工業社製、特級試薬)200.0gとトルエン40.0gに変更した以外は実施例1と同様の条件にて、3.3時間エステル交換反応を行った。メタノールを除去した後の反応系内は単相で、白色の沈殿物が確認された。実施例1と同様の条件にて濾過と濃縮を行い、DMFを留去した後、メタキシレン(和光純薬工業社製、特級試薬)900gを投入し残存したDMFをメタキシレンと共沸させながら系外へ除去することで、化合物A〜化合物Cのエステル組成物100.6gを得た。得られたエステル組成物中の各化合物の割合は、実施例1と同様の手法により測定したところ、化合物A:24.8質量%、化合物B:55.6質量%、化合物C:14.5質量%、TMP:2.0質量%であった。
α−ヒドロキシイソ酪酸メチル88.6g(0.750モル)と、トリメチロールプロパン(三菱ガス化学社製)50.0(0.373)と、ヘキサン(和光純薬工業社製、特級試薬)145.3gと、ナトリウムメトキシド(和光純薬工業社製、和光一級)0.20gとを、1Lの三口フラスコに収容し、常圧下で釜内温度が70℃〜100℃の間となるように加熱してエステル交換反応を行った。その温度にて、反応によって生成したメタノールをヘキサンと共沸させながら系外へ除去して、3.0時間反応させた。後処理は実施例1と同様の方法にて、化合物A〜化合物Cのエステル組成物92.2gを得た。得られたエステル組成物中の各化合物の割合は、実施例1と同様の手法により測定したところ、化合物A:32.0質量%、化合物B:47.4質量%、化合物C:14.1質量%、TMP:0.7質量%であった。
特開2003−160649号公報の参考例2と同様の基質比率を再現する為α−ヒドロキシイソ酪酸メチル46.8g(0.396モル)を257.0g(2.175モル)に変更した以外は実施例1と同様の条件にて、38.0時間エステル交換反応を行った。濃縮後に得られた化合物A〜化合物Cのエステル組成物は160.5gであった。得られたエステル組成物中の各化合物の割合は、実施例1と同様の手法により測定したところ、化合物A:1.7質量%、化合物B:14.2質量%、化合物C:62.4質量%、TMP:0質量%であった。また、得られたエステル組成物中にはHBM二量体(テトラメチルグリコリド)が質量比13.9質量%で含まれていた。
(実施例1の組成物のアクリレート化)
実施例1で得られたエステル組成物21.4g(質量比は化合物A:47.4質量%、化合物B:36.5質量%、化合物C:5.5質量%、TMP:9.9質量%)(0.090モル)と、アクリル酸(和光純薬工業社製、試薬)24.6g(0.341モル)と、パラトルエンスルホン酸一水和物(和光純薬工業社製、試薬)1.9gと、ヒドロキノン(和光純薬工業社製、試薬)0.2gと、パラメトキシフェノール(和光純薬工業社製、試薬)0.05gと、トルエン(和光純薬工業社製、特級試薬)60.0gとを、1Lの三口フラスコに収容し、325torrの減圧下で釜内温度が70℃〜90℃の間となるように加熱してアクリレート化反応を行った。その温度にて、反応によって生成した水をトルエンと共沸させながらディーン・スターク・トラップを用いて系内から系外へ除去して、7.0時間反応させた。反応液を300mL分液ロートに移し、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液50mLで3回中和したのち、水50mLで2回洗浄を行った。得られた有機層にパラメトキシフェノール0.01gを加えてエバポレーターで濃縮することで、化合物D〜化合物Fのアクリレート組成物25.4gを得た。得られたアクリレート組成物について、GC測定により、より不純物がほぼ未反応の原料エステルであることを確認した。また、上記エステル組成物の分析で算出したファクターから、アクリレート組成物中の不純物の含有量と質量比を算出した。不純物以外を化合物D、化合物E、化合物Fと認定し、各化合物のNMRピーク積分比率を測定し、化合物D、化合物E、化合物Fの相対質量比を算出し、アクリレート組成物中の化合物D、化合物E、化合物Fの質量比を算出した。得られたアクリレート組成物中の各化合物の割合は、化合物D:24.9質量%、化合物E:50.4質量%、化合物F:21.7質量%であった。
下記に実施例5の反応スキームを示す。
(参考例1の組成物のアクリレート化)
原料として参考例1で得られたエステル組成物22.0g(質量比は化合物A:1.0質量%、化合物B:8.3質量%、化合物C:36.6質量%、TMP:0質量%)(0.028モル)を用いた以外は実施例5と同様の条件にて7.0時間アクリレート化反応を行った。反応液を300mL分液ロートに移し、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液50mLで3回中和したのち、水50mLで2回洗浄を行った。得られた有機層にパラメトキシフェノール0.01gを加えてエバポレーターで濃縮することで、化合物Eと化合物Fのアクリレート組成物8.2gを得た。得られたアクリレート組成物中の各化合物の割合は、実施例5と同様に測定したところ、化合物E:2.8質量%、化合物F:22.8質量%であった。参考例1に示す条件で得られるエステルは第一級ヒドロキシル基が全てエステル化された化合物の質量比が大きく、加えてHBM由来の不純物が多く含まれていた。これをアクリレート化反応に用いるとアクリレート化物の純度、ならびに収量が著しく減少する結果となった。
この結果から、アクリレート化されたのは第一級ヒドロキシル基のみであり、エステル交換によって導入した第三級ヒドロキシル基はアクリレート化していないことがわかった。
実施例5にて製造された化合物D〜化合物Fのアクリレート組成物(4.9g)に対して、重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、和光純薬工業社製、試薬)5質量%(0.245g)を添加し、均一溶解させたものをモノマー組成物とした。得られたモノマー組成物を、バーコーターを用いて、基板素材0.3mm厚ポリカーボネート上で紫外線照射によって硬化させ、硬化物の膜厚が22μmの薄膜硬化板を得た。得られた硬化物の各種物性を測定したところ、耐屈曲性16mm、鉛筆硬度3H、水接触角67.2°、接着性0点であった。
円柱型マンドレル屈曲試験機は、コーテック株式会社製のものを用いた。
鉛筆硬度の測定は、コーテック株式会社製の鉛筆硬度計を用いて行った。
接触角計は、協和界面科学製のものを用いた。
Claims (12)
- トリメチロールプロパンのヒドロキシル基の1個または2個に−C(=O)−L−C(OH)(CH3)2(ここで、Lは単結合または−CH2−である)で表される第三級ヒドロキシル基含有基が導入されたエステル化合物を合計で20質量%以上含む、エステル組成物。
- トリメチロールプロパンと(CH3)2(OH)C−L−COOH(ここで、Lは単結合または−CH2−である)、または、そのエステルとの、エステル交換反応またはエステル化反応によって、前記第三級ヒドロキシル基含有基が導入された、請求項1に記載のエステル組成物。
- (CH3)2(OH)C−L−COOHのエステルが、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、またはブチルエステルである、請求項2に記載のエステル組成物。
- トリメチロールプロパンが有するヒドロキシル基の3個に前記第三級ヒドロキシル基含有基が導入されたエステル化合物の含有量が30質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエステル組成物。
- 前記第三級ヒドロキシル基含有基が−C(=O)−C(OH)(CH3)2で表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエステル組成物。
- トリメチロールプロパンが有するヒドロキシル基の1個または2個に前記第三級ヒドロキシル基含有基が導入されたエステル化合物を合計で55質量%以上含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエステル組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のエステル組成物に含まれる、メチロール基を有するエステル化合物について、当該メチロール基に(メタ)アクリロイル基が導入された化合物を含む、(メタ)アクリレート組成物。
- 前記エステル組成物に含まれるメチロール基を有するエステル化合物と(メタ)アクリル酸またはそのエステルとをエステル化反応またはエステル交換反応させて、前記メチロール基に(メタ)アクリロイル基を導入した、請求項7に記載の(メタ)アクリレート組成物。
- 分子中に(メタ)アクリロイル基を1個または2個含む(メタ)アクリレート化合物を合計で35質量%以上含む、請求項7または8に記載の(メタ)アクリレート組成物。
- 分子中に(メタ)アクリロイル基を1個または2個含む(メタ)アクリレート化合物を合計で55質量%以上含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の(メタ)アクリレート組成物。
- トリメチロールプロパンに、(CH3)2(OH)C−L−COOH(ここで、Lは単結合または−CH2−である)、または、そのエステルを、エステル交換反応またはエステル化反応させることを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエステル組成物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のエステル組成物と、(メタ)アクリル酸またはそのエステルとを反応させて、エステル交換反応またはエステル化反応を介して、ヒドロキシル基に(メタ)アクリロイル基を導入する、(メタ)アクリレート組成物の製造方法。
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CN112010753A (zh) * | 2020-08-18 | 2020-12-01 | 青岛科技大学 | 一种6-羟基己酸酯的制备方法 |
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JPH05179267A (ja) * | 1991-11-08 | 1993-07-20 | Sanken Kako Kk | 合成潤滑油 |
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JP2003160649A (ja) * | 2001-11-28 | 2003-06-03 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 第3級ヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂の製造方法 |
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