JP6004784B2 - 新規な四価アルコールのエステル - Google Patents
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Description
(1)下記一般式(I)で表される四価アルコールのエステル。
一般式(I)
(一般式(I)中R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2,R3,R4は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Pは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
(2)下記一般式(II)で表されることを特徴とする(1)記載のエステル。
一般式(II)
(一般式(II)中R5は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R6,R7,R8は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数10〜22のアシル基を表す。Qは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
(3)下記一般式(III)で表されることを特徴とする(1)記載のエステル。
一般式(III)
(一般式(III)中R9は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R10,R11,R12は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9のアシル基を表す。Sは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
(4)四価のアルコールがジグリセリン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、D−トレイトール、L−トレイトールからなる群から選択される四価のアルコールであることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のエステル。
本発明は下記一般式(I)で表される新規な四価アルコールのエステルである。
一般式(I)
(一般式(I)中R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2,R3,R4は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Pは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
一般式(II)
(一般式(II)中R5は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R6,R7,R8は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数10〜22のアシル基を表す。Qは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
一般式(III)
(一般式(III)中R9は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R10,R11,R12は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9のアシル基を表す。Sは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
なお、ステップa)及びb)の具体的な方法に関しては、US特許4,405,798、Anne Buyle Padias, H. K. Hall Jr. Macromolecules 15, 217(1982)等に記載されている。
a)四価アルコールの三つのOH基をエステル化しマスキングする。
b)aで合成し化合物と(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸無水物又は(メタ)アクリル酸クロライドを反応させる。得られたエステルをさらに加水分解し、四価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルを合成する。
c)bで得られた四価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルと所定の分岐構造を有するカルボン酸又はその無水物又はそのクロライドとを反応させ、本発明の四価アルコールのエステルを得る。
工程(1)攪拌器、冷却器付3Lの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール34.0g、オルトギ酸トリエチル(シグマ−アルドリッチ社製)37.0g、フタル酸ジオクチル(東京化成工業(株)製)750ml及びパラトルエンスルフォン酸(東京化成工業(株)製)0.1gをとり攪拌混合した。その後、140℃に加熱し、2.5時間反応を行った。反応終了後、減圧蒸留により精製を行って、一般式(IV)で表される、4−(ヒドロキシメチル)−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン(化合物1)を得た。
一般式(IV)
一般式(V)
一般式(VI)
製造例1の工程(1)におけるペンタエリスリトール、工程(2)における工程(1)で得られる化合物の仕込み量及び(メタ)アクリル酸クロライド、工程(3)における工程(2)で得られる化合物の仕込み量を表1のように変更し、四価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルを合成した。四価のアルコール及びその仕込み量、工程(1)で得られる化合物及びその仕込み量、工程(2)で得られる化合物及びその仕込み量、得られるモノ(メタ)アクリル酸エステルについて表1に示す。また、製造例2〜6の反応工程をスキーム1〜5に示す。
* 2)東京化成工業(株)製
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、16−メチルヘプタデカン酸(シグマ−アルドリッチ社製)28.4g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、16−メチルヘプタデカン酸クロライドを得た。
一般式(VII)
攪拌装置を備えた反応容器中で、ジグリセリンモノアクリレート(製造例4で得た化合物)44.0g、トリエチルアミン50.0gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、2−エチルヘキサン酸クロライド(シグマ−アルドリッチ社製)97.6gをテトラヒドロフラン200mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(VIII)で表される、本発明の四価アルコールのエステルであることが確認された。
一般式(VIII)
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、2−ブチル−2−エチルオクタン酸(シグマ−アルドリッチ社製)22.8g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、2−ブチル−2−エチルオクタン酸クロライドを得た。
一般式(IX)
攪拌装置を備えた反応容器中で、ペンタエリスリトールモノメタクリレート(製造例2で得た化合物)40.8g、トリエチルアミン50.0gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、3,5,5−トリメチルヘキサン酸クロライド(シグマ−アルドリッチ社製)106.0gをテトラヒドロフラン200mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(X)で表される、本発明の四価アルコールのエステルであることが確認された。
一般式(X)
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、19−メチルエイコサン酸(シグマ−アルドリッチ社製)32.7g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、19−メチルエイコサン酸クロライドを得た。
一般式(XI)
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、2,2−ジメチルオクタン酸(シグマ−アルドリッチ社製)17.2g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、2,2−ジメチルオクタン酸クロライドを得た。
一般式(XII)
実施例1〜6の四価アルコールエステル、比較例1としてメタクリル酸nドデシル(DMAと省略 東京化成工業(株)製)、比較例2として特開平07−82216号公報実施例1記載の方法で得たアクリル酸エステル(C13−Aと省略)、硬化剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPAと省略 大阪有機化学工業(株)製)及び光重合開始剤としてのIrgacure 184(IR184と省略)チバガイギー社製を表2記載の組成で混合し、UV硬化組成物を調製した。なお、表2中の数字は質量%を意味する。
次に、このUV硬化組成物をシャーレーに10mlとり、そこへ紫外線を320mJ/cm2光量で照射し、硬化組成物を硬化させた。硬化後の体積を測定し、硬化時の収縮率を求めた。結果を表3に示す。
試験例1で硬化させた硬化物の表面硬度を1H〜6Hの鉛筆を用い、鉛筆硬度試験(旧 JIS K5400)を実施した。結果を表3に示す。
試験例1で用いたUV硬化組成物をテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、試験例1と同様の条件で紫外線を照射し、硬化膜を調製した。この硬化膜を前後に曲げ、膜表面にクラックが入るまでこの操作を繰り返し、クラックが生じる折り曲げ回数を被膜の柔軟性とした。折り曲げ回数が多いほど柔軟性が高いことを意味する。結果を表3に示す。
表3から明らかなように、本発明のエステルを含有する硬化組成物が形成する被膜は、表面硬度が高く、且つ硬化時の体積収縮率が低く、柔軟な被膜を与えることが実証された。
Claims (4)
- 下記一般式(I)で表される四価アルコールのエステルを含むラジカル硬化性組成物からなる被膜形成剤。
一般式(I)
(一般式(I)中R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2,R3,R4は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Pは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。) - 前記四価アルコールのエステルが下記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項1記載の被膜形成剤。
一般式(II)
(一般式(II)中R5は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R6,R7,R8は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数10〜22のアシル基を表す。Qは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。) - 前記四価アルコールのエステルが下記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項1記載の被膜形成剤。
一般式(III)
(一般式(III)中R9は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R10,R11,R12は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9のアシル基を表す。Sは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。) - 四価アルコールがジグリセリン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、D−トレイトール、L−トレイトールからなる群から選択される四価のアルコールであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の被膜形成剤。
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