JP2015044955A - ポリグリセリン(メタ)アクリレート及びその製造方法、並びにそれを含む組成物 - Google Patents

ポリグリセリン(メタ)アクリレート及びその製造方法、並びにそれを含む組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に製造することができ、粘度が低く、透明性、硬化性、貯蔵安定性、及び安全性に優れ、反応性希釈剤として有用なポリグリセリン(メタ)アクリレートを提供する。【解決手段】本発明のポリグリセリン(メタ)アクリレートは、下記高分岐ポリグリセリンの少なくとも1つの水酸基(OH基)の水素原子(H)が(メタ)アクリロイル基で置換された構成を有する。高分岐ポリグリセリン:重合度が3以上であり、全水酸基の50%以上が第1級水酸基であるポリグリセリン本発明のポリグリセリン(メタ)アクリレートは、25℃における粘度(E型粘度計により測定)が2000mPa・s以下であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、反応性希釈剤として有用なポリグリセリン(メタ)アクリレート及びその製造方法、並びにそれを含むリソグラフィー用光硬化性樹脂組成物、インク組成物、及び粘着剤組成物に関する。
紫外線や電子線等のエネルギー照射によって硬化する樹脂は、様々な産業分野(例えば、コーティング材、接着剤、封止材、粘着剤、塗料、インク、レジスト、歯科材料、レンズ、成型材料等)において利用されている。
例えば、リソグラフィー用光硬化性樹脂組成物では、光化学反応を起こす高分子樹脂(プレポリマー)として、アクリル酸/1,6−ヘキサンジオール/アクリル酸、無水フタル酸/プロピレンオキサイド/アクリル酸、トリメリット酸/ジエチレングリコール/アクリル酸等の比較的大きな分子量からなるポリエステル系紫外線硬化樹脂が用いられるが、前記プレポリマーは極めて粘度が高く塗布等の取り扱いが困難なため、希釈剤を加えて粘度を下げることが行われている。
前記希釈剤には反応性希釈剤と非反応性希釈剤が含まれる。前記非反応性希釈剤としては溶剤や可塑剤が一般的に用いられ、溶剤としてはトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤が用いられるが、フォトリソグラフィー用硬化性樹脂組成物に使用した場合、溶剤の揮発によって粘度が経時的に変化し、最適粘度を保持することが困難であり、その上、光照射時に溶剤が揮発した場合は表面に凹凸が生じ、加工精度が低下する点が問題であった。その他、揮発した有機溶剤により健康被害等が引き起こされることも問題であった。また、可塑剤はそのままの形で硬化物中に残るため、それによって硬化物の物性が低下することが問題であった。
一方、反応性希釈剤は揮発することないため粘度を一定に保つことができ、揮発することにより引き起こされる健康被害等の問題も生じない点、及び重合反応により硬化物の一部となるため、得られる硬化物の物性低下を防止することができる点で優れている。
反応性希釈剤としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル等知られているが、前記化合物は皮膚刺激性を有する等毒性が強く、強度の変異原性が認められ、重度の健康障害を引き起こす可能性が指摘されているため、取り扱いが困難である点が問題であった。その他、直鎖状ポリグリセリンの水酸基に(メタ)アクリロリル基が置換した直鎖ポリグリセリン(メタ)アクリレートが知られているが(特許文献1)、これは粘度が高く、十分な希釈性が得られない点で問題であった。更に、重合可能なエポキシ基若しくは(メタ)アクリロイル基を有し、コア分子としてのジカルボン酸のカルボキシル基を起点としてトリオールとジカルボン酸とが交互にエステル結合を形成して分岐状となったデンドリマーや、重合可能なエポキシ基若しくは(メタ)アクリロイル基を有し、コア分子としてのジアミンのアミノ基を起点としてアミド結合と3級アミンとが交互に形成されて分岐状となったデンドリマーも知られているが、これらのデンリドマーは製造工程が複雑であり、製造コストが高く付くことが問題であった(特許文献2、3)。
特開2006−182725号公報 特開2007−16154号公報 特開2007−246483号公報
従って、本発明の目的は、容易に製造することができ、粘度が低く、透明性、硬化性、貯蔵安定性、及び安全性に優れ、反応性希釈剤として有用なポリグリセリン(メタ)アクリレートを提供することにある。
本発明の他の目的は、粘度が低く、透明性、硬化性、貯蔵安定性、及び安全性に優れ、反応性希釈剤として有用なポリグリセリン(メタ)アクリレートの製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、粘度が低く、透明性、硬化性、貯蔵安定性、及び安全性に優れたポリグリセリン(メタ)アクリレートを含有するリソグラフィー用光硬化性樹脂組成物、インク組成物、及び粘着剤組成物を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、高分岐ポリグリセリンの水酸基の水素原子を(メタ)アクリロイル基に置換してなる化合物は、粘度が低く、透明性、硬化性、貯蔵安定性、及び安全性に優れ、反応性希釈剤として好適に使用することができること、前記化合物は(メタ)アクリル酸とグリシドールを付加重合させることにより、若しくは高分岐ポリグリセリンと(メタ)アクリル酸を反応させることにより容易に製造することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記高分岐ポリグリセリンの少なくとも1つの水酸基(OH基)の水素原子(H)が(メタ)アクリロイル基で置換された構成を有するポリグリセリン(メタ)アクリレートを提供する。
高分岐ポリグリセリン:重合度が3以上であり、全水酸基の50%以上が第1級水酸基であるポリグリセリン
本発明は、また、25℃における粘度(E型粘度計により測定)が2000mPa・s以下である前記のポリグリセリン(メタ)アクリレートを提供する。
本発明は、また、酸触媒の存在下で、(メタ)アクリル酸とグリシドールを付加重合させることにより前記のポリグリセリン(メタ)アクリレートを得るポリグリセリン(メタ)アクリレートの製造方法を提供する。
本発明は、また、酸触媒の存在下で、下記高分岐ポリグリセリンと(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを反応させることにより前記のポリグリセリン(メタ)アクリレートを得るポリグリセリン(メタ)アクリレートの製造方法を提供する。
高分岐ポリグリセリン:重合度が3以上であり、全水酸基の50%以上が第1級水酸基であるポリグリセリン
本発明は、また、前記のポリグリセリン(メタ)アクリレートを含有することを特徴とするリソグラフィー用光硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、前記のポリグリセリン(メタ)アクリレートを含有することを特徴とするインク組成物を提供する。
本発明は、また、前記のポリグリセリン(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする粘着剤組成物を提供するを提供する。
本発明のポリグリセリン(メタ)アクリレートは、粘度が低く、透明性、硬化性、貯蔵安定性、及び安全性に優れるため、コーティング材、接着剤、封止材、粘着剤、塗料、インク、レジスト、歯科材料、レンズ、成型材料等の反応性希釈剤として好適に使用することができる。
本発明の製造方法によれば、上記特性を有するポリグリセリン(メタ)アクリレートを簡便に製造することができる。
本発明のリソグラフィー用光硬化性樹脂組成物、インク組成物、及び粘着剤組成物は反応性希釈剤として前記ポリグリセリン(メタ)アクリレートを含有するため、使用性に優れた粘度を有し、希釈剤として溶剤を使用した場合は溶剤が揮発することにより組成物の粘度を一定に保つことが困難であったが、本発明の組成物は光照射等を行うまでその粘度を保持することができる。また、貯蔵安定性、安全性に優れ、光照射等を行うことにより速やかに硬化して、希釈剤に起因した着色を生じること無く、所望の形状を高精度に有する硬化物を形成することができる。
[ポリグリセリン(メタ)アクリレート]
本発明のポリグリセリン(メタ)アクリレートは、下記高分岐ポリグリセリンの少なくとも1つの水酸基(OH基)の水素原子(H)が(メタ)アクリロイル基で置換された構成を有する。
高分岐ポリグリセリン:重合度(=グリセリン由来のモノマー単位の数)が3以上であり、全水酸基の50%以上が第1級水酸基であるポリグリセリン
前記高分岐ポリグリセリンは、重合度が3以上(例えば3〜40)であり、なかでも反応性に優れる点で10〜20が好ましい。重合度が上記範囲を下回ると、反応性が低下するため好ましくない。
前記高分岐ポリグリセリンは全水酸基の50%以上(例えば、50〜100%)が第1級水酸基であり、なかでも全水酸基の60%以上(特に好ましくは全水酸基の70%以上、最も好ましくは全水酸基の75%以上)が第1級水酸基であることが、低粘度で、反応性に優れる点で好ましい。
尚、特定の化合物に含まれる全水酸基の占める第1級水酸基の割合は、炭素原子に対する核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定する方法を用いて測定される。例えば、ポリグリセリンの炭素原子に対するNMRスペクトルは、以下のようにして測定することができる。
ポリグリセリン500mgを重水2.8mLに溶解し、ろ過後、ゲートつきデカップリングにより13C−NMR(125MHz)スペクトルを得る。尚、ピーク強度は炭素数に比例する
第1級水酸基と第2級水酸基の存在を示す13C化学シフトはそれぞれメチレン炭素(CH2OH)が63ppm付近、メチン炭素(CHOH)が71ppm付近であり、これらのシグナル強度を分析することにより、第1級水酸基と第2級水酸基の存在比を算出する。但し、第2級水酸基を示すメチン炭素(CHOH)は、第1級水酸基を示すメチレン炭素に結合するメチン炭素にさらに隣接するメチレン炭素ピークと重なるため、それ自体の積分値を得られない。そのため、メチン炭素(CHOH)と隣り合うメチレン炭素(CH2)の74ppm付近のシグナル強度により積分値を算出する。
本発明のポリグリセリン(メタ)アクリレートにおける(メタ)アクリロイルオキシ基の数[=(メタ)アクリロイル基の付加率]としては、ポリグリセリン(メタ)アクリレートが有する水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基の和に対する(メタ)アクリロイルオキシ基の割合が、例えば2〜100%、特に好ましくは10〜50%であることが、低粘度で、反応性に優れる点で好ましい。
本発明のポリグリセリン(メタ)アクリレートの25℃における粘度は、例えば2000mPa・s以下(例えば、100〜2000mPa・s)が好ましく、特に好ましくは1500mPa・s以下(例えば、100〜1500mPa・s)、最も好ましくは1000mPa・s以下(例えば、100〜1000mPa・s)である。尚、本発明における粘度は、E型粘度計(商品名「TVE−22H」、東機産業(株)製)を使用して、25℃、回転速度50rpmで測定した値である。本発明のポリグリセリン(メタ)アクリレートは前記の通り低粘度である為、反応性希釈剤として好適に使用することができる。
[ポリグリセリン(メタ)アクリレートの製造方法]
本発明のポリグリセリン(メタ)アクリレートの製造方法としては、例えば、下記1〜3の方法等を挙げることができる。
1.(メタ)アクリル酸とグリシドールの付加重合反応を行う方法
2.高分岐ポリグリセリンと(メタ)アクリル酸のエステル化反応を行う方法
3.高分岐ポリグリセリンと(メタ)アクリル酸エステルのエステル交換反応を行う方法
(方法1)
上記方法1は(メタ)アクリル酸とグリシドールの付加重合反応を行う方法であり、(メタ)アクリル酸を仕込んだ反応器内にグリシドールを連続的又は間欠的に滴下して行うことが好ましい。
上記方法1は酸触媒の存在下で行うことが好ましい。前記酸触媒としては、例えば、ルイス酸、ブレンステッド酸、ヘテロポリ酸等を挙げることができる。本発明においては、なかでもブレンステッド酸が好ましく、特にリン酸系酸性触媒を使用することが、安全性に優れる点で好ましい。
前記リン酸系酸性触媒としては、具体的には、リン酸、無水リン酸、ポリリン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類;メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル類(モノエステル体、ジエステル体、及びこれらの混合物を含む)等を用いることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用して使用することができる。更に、これらは無水で使用しても、水溶液で使用してもよい。
酸触媒の使用量としては、(メタ)アクリル酸100重量部に対して例えば0.05〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部、特に好ましくは0.2〜2重量部である。酸触媒を上記範囲で使用することにより効率よくポリグリセリン(メタ)アクリレートを製造することができる。酸触媒を過剰に使用しても使用量に応じた製造効率の向上は期待できず、使用する酸触媒によっては、副生物(例えば、酸触媒にグリシドールが付加重合して得られる化合物等)が多く生成するため、ポリグリセリン(メタ)アクリレートの製造効率がかえって低下する場合がある。
上記方法1においては、(メタ)アクリル酸の重合を防止するために重合防止剤を添加してもよく、微量の酸素若しくは空気を反応液中にバブリングしてもよい。前記重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(=パラメトキシフェノール)、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、パラベンゾキノン、フェノチアジン、N−ニトロジフェニルアミン等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用して使用することができる。
重合防止剤の使用量としては、(メタ)アクリル酸100重量部に対して例えば0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部である。重合防止剤を上記範囲で使用することにより効率よくポリグリセリン(メタ)アクリレートを製造することができる。
付加重合反応における反応温度は触媒の種類等に応じて適宜選択でき、例えば50〜100℃程度、好ましくは70〜90℃である。反応温度が低すぎると反応速度が遅くなり製造効率が低下する傾向がある。一方、反応温度が高すぎると、ゲル化を呈する場合がある。また、反応時間は、反応温度、品質及び生産性を考慮して決定され、例えば5〜15時間程度である。
付加重合反応は常圧で行ってもよく、減圧又は加圧下で行ってもよい。反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うのが好ましい。反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法で行うこともできる。
(方法2)
上記方法2は高分岐ポリグリセリンと(メタ)アクリル酸のエステル化反応を行う方法である。
前記高分岐ポリグリセリンは、重合度が3以上(例えば3〜40、好ましくは10〜20)であり、全水酸基の50%以上(例えば50〜100%、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、最も好ましくは75%以上)が第1級水酸基であるポリグリセリンであり、例えば、多価アルコールにグリシドールを付加重合することにより製造することができる。
前記多価アルコールとしては、グリシドールのエポキシ基と反応可能な水酸基を有する分子であれば特に制限無く用いることができ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、チオグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、meso−エリトリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、ヘキサメチレングリコール、トリエタノールアミン、N,N−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)ベンジルアミン、N,N−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)オクチルアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2,3−ジヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N−フェニルジエタノールアミン、2−フェニル−1,3−プロパンジオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、1,2,3−ブタントリオール、アラビトール、リビトール、フロログルシノール、ピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、ヘキサヒドロキシベンゼン、ロイコキニザリン、キニザリン、アントラルフィン、クリサジン、ビスフェノールA、2,6−ジヒドロキシアントラキノン、プルプリン、アリザリン、1,8,9−トリヒドロキシアントラセン、ビス(3−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル−4,4’−ビフェノール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、及びトレイトール等を挙げることができる。
本発明の高分岐ポリグリセリンとしては、例えば、商品名「PGL10PS」(重合度:10、第1級水酸基比率:81%、(株)ダイセル製)等の市販品を使用しても良い。
また、高分岐ポリグリセリンと反応させる(メタ)アクリル酸としては、(メタ)アクリル酸、又はその誘導体を1種又は2種以上使用することができる。前記(メタ)アクリル酸の誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ダイマー、(メタ)アクリル酸オリゴマー等を挙げることができる。
エステル化反応は酸触媒の存在下で行うことが好ましい。前記酸触媒としては、例えば、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用して使用することができる。
前記酸触媒の使用量は、エステル化反応における反応時間および反応温度を考慮して適宜決定されるが、高分岐ポリグリセリンと(メタ)アクリル酸の合計使用量100重量部に対して、例えば0.1〜10重量部程度、好ましくは0.5〜7重量部、特に好ましくは0.5〜3重量部である。
エステル化反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。前記溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記方法1と同様に、(メタ)アクリル酸の重合を防止するための重合防止剤を使用してもよい。
エステル化反応の反応温度は、例えば50〜130℃程度、好ましくは65〜95℃である。また、反応時間は特に制限はされないが、得られるポリグリセリン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基の導入量を向上することができる点、及び未反応原料の残存量を低減することができ、以後の精製処理を簡便に行うことができる点で、5〜15時間程度が好ましい。
エステル化反応は常圧で行ってもよく、減圧又は加圧下で行ってもよい。反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うのが好ましい。反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法で行うこともできる。
(方法3)
上記方法3は高分岐ポリグリセリンと(メタ)アクリル酸エステルのエステル交換反応を行う方法である。
前記高分岐ポリグリセリンとしては方法2と同様のものを使用することができる。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル等の(メタ)アクリル酸低級(炭素数1〜3)アルキルエステル等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
エステル交換反応は、触媒(例えば、酸触媒、塩基触媒、中性触媒)の存在下で行うことが好ましい。前記酸触媒としては、例えば、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等を挙げることができる。前記塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。前記中性触媒としては、例えば、錫触媒(例えば、ジ酢酸ジブチル錫、ジラウリン酸ジブチル錫、ジイソオクタン酸ジブチル錫、及びマレイン酸ジブチル錫等の比較的長鎖の脂肪酸エステルを有するジカルボン酸ジブチル錫;ジラウリン酸ジオクチル錫、モノブチル錫ジヒドロキシクロライド、二酸化モノブチル錫、酢酸錫、シュウ酸錫、塩化錫等)、チタン触媒(例えば、オルトチタン酸テトライソプロピル、オルトチタン酸テトラプロピル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラブチル等)、ジルコニウム触媒(例えば、ジルコニウム酸テトラプロピル等)、アセチルアセトン酸塩(例えば、アセチルアセトン酸アルミニウム(III)、アセチルアセトン酸クロム(III)、アセチルアセトン酸鉄(III)、アセチルアセトン酸コバルト(III)、アセチルアセトン酸ニッケル(II)、アセチルアセトン酸亜鉛等)等を挙げることができる。触媒の使用量は、高分岐ポリグリセリンと(メタ)アクリル酸の合計使用量100重量部に対して、例えば0.1〜5重量部程度である。
また、上記方法1と同様に、(メタ)アクリル酸の重合を防止するための重合防止剤を使用してもよい。更に、エステル交換反応はエステル化反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒としては方法2に記載の溶媒と同様の例を挙げることができる。
エステル交換反応の反応温度は、例えば70〜100℃程度である。また、反応時間は、例えば5〜15時間程度である。
エステル交換反応は常圧で行ってもよく、減圧又は加圧下で行ってもよい。反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うのが好ましい。反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法で行うこともできる。
上記方法1〜3で得られたポリグリセリン(メタ)アクリレートは、反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製することが、不純物(例えば、未反応原料、酸触媒、及びその誘導体等)の含有量を低減することができ、それにより粘度をより低くすることができ、透明性、硬化性、貯蔵安定性、及び安全性をより向上することができる点で好ましい。その他、必要に応じて、減圧下に飽和加熱水蒸気を吹き込むことによる水蒸気脱臭、次亜燐酸ソーダ又は過酸化水素による漂白等を施しても良い。
[リソグラフィー用光硬化性樹脂組成物、インク組成物、及び粘着剤組成物]
本発明のリソグラフィー用光硬化性樹脂組成物、インク組成物、及び粘着剤組成物(以後、「本発明の組成物」と称する場合がある)は、本発明のポリグリセリン(メタ)アクリレートを希釈剤として使用することを特徴とする。
本発明の組成物におけるポリグリセリン(メタ)アクリレートの含有量としては特に制限されることがなく、所望する粘度に応じて適宜調整することができる。
本発明の組成物にはポリグリセリン(メタ)アクリレート以外にも他の希釈剤を含有していても良いが、本発明の組成物に含まれる全希釈剤に占めるポリグリセリン(メタ)アクリレートの割合は、例えば50重量%以上、好ましくは70重量%以上、特に好ましくは85重量%以上である。
本発明の組成物には希釈剤以外に、通常リソグラフィー用光硬化性樹脂組成物、インク組成物、及び粘着剤組成物に含まれる成分(例えば、硬化性化合物、重合開始剤、充填剤、顔料、染料、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤等)を一般的な割合で含有する。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
窒素導入管、撹拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた反応器に、アクリル酸72g、ハイドロキノン1.8g、85%燐酸0.74gを仕込み、90℃に加熱した。
次いで、反応温度を90℃に保ちながらグリシドール296gを6時間かけて滴下した。
滴下終了後、90℃で3時間熟成反応を続けて、系中のオキシラン酸素濃度が0.1%以下になった時点で冷却し、グリセリン重合度が約4のポリグリセリンアクリレートを得た。得られたポリグリセリンアクリレートを加水分解してポリグリセリンの全水酸基に占める1級水酸基の割合を確認したところ64%であった。また、アクリロイルオキシ基の付加率は17%であった。
更に、得られたポリグリセリンアクリレートの25℃における粘度(E型粘度計により測定)は、968mPa・sであった。
実施例2
分水器付き冷却管、撹拌機、温度計、及び空気吹き込み管を備えた反応装置に、高分岐ポリ(デカ)グリセリン(商品名「PGL10PS」、(株)ダイセル製、1級水酸基比率:81%)74g、アクリル酸28g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1g、p−トルエンスルホン酸1g、及びシクロヘキサン25gを仕込み、30mL/分の流量で空気を反応液中に吹き込みながら、反応系内の温度を1時間かけて85℃まで昇温し、シクロヘキサンを還流した。
次いで、85〜92℃で還流下に約13時間保温し、生成水量が理論生成水量の97%に達した後に反応を終了し、不揮発分濃度が86%の反応生成物のシクロヘキサン溶液を得た。
前記反応生成物のシクロヘキサン溶液110g、シクロヘキサン20g、及びトルエン100gをビーカーに入れ、次いで撹拌下に20%濃度の水酸化ナトリウム水溶液2gを徐々に加え約30分間撹拌し、アクリル酸(未反応原料)とp−トルエンスルホン酸(残留触媒)を中和した。
次いで、該中和液を分液ロートに移して1時間放置し、水層を除去し、中和工程を終了した後、余分の溶媒を除去してポリグリセリンアクリレート(グリセリン重合度:10、全水酸基に占める1級水酸基の割合:81%)を得た。
得られたポリグリセリンアクリレートのアクリロイルオキシ基の付加率は33%であった。
また、得られたポリグリセリンアクリレートの25℃における粘度(E型粘度計により測定)は、843mPa・sであった。

Claims (7)

  1. 下記高分岐ポリグリセリンの少なくとも1つの水酸基(OH基)の水素原子(H)が(メタ)アクリロイル基で置換された構成を有するポリグリセリン(メタ)アクリレート。
    高分岐ポリグリセリン:重合度が3以上であり、全水酸基の50%以上が第1級水酸基であるポリグリセリン
  2. 25℃における粘度(E型粘度計により測定)が2000mPa・s以下である請求項1に記載のポリグリセリン(メタ)アクリレート。
  3. (メタ)アクリル酸とグリシドールを付加重合させることにより請求項1又は2に記載のポリグリセリン(メタ)アクリレートを得るポリグリセリン(メタ)アクリレートの製造方法。
  4. 下記高分岐ポリグリセリンと(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを反応させることにより請求項1又は2に記載のポリグリセリン(メタ)アクリレートを得るポリグリセリン(メタ)アクリレートの製造方法。
    高分岐ポリグリセリン:重合度が3以上であり、全水酸基の50%以上が第1級水酸基であるポリグリセリン
  5. 請求項1又は2に記載のポリグリセリン(メタ)アクリレートを含有することを特徴とするリソグラフィー用光硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1又は2に記載のポリグリセリン(メタ)アクリレートを含有することを特徴とするインク組成物。
  7. 請求項1又は2に記載のポリグリセリン(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする粘着剤組成物。
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