以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本発明の一実施の形態である部品装着装置(チップマウンタ)は、例えば、プリント基板等の対象物に対して、複数種類の電子部品等の部品を多数装着することを可能とする装置である。このとき、プリント基板に対するはんだペーストの印刷ずれを考慮して、部品の装着位置をはんだペーストの印刷位置上に補正することで実装精度を向上させる。なお、印刷されたはんだペースト上に部品を装着することで実装精度の向上という効果を得るためには、リフロー時に溶融したはんだペーストによるセルフアライメント効果が得られる部品(例えば、2端子の軽量・小型部品)であることが望ましい。
プリント基板に印刷されたはんだペーストの位置に部品を装着するためには、上述したように、対象部品の装着位置におけるはんだペーストの印刷ずれ量を検査・測定する必要がある。本実施の形態では、部品装着装置とは別の検査装置等を設けたり、部品装着装置に検査用のヘッドを設けたり、部品装着ヘッドに検査ヘッドを結合させたり等の構成の追加や変更を行うことなく印刷ずれ量を測定する。これを実現するため、既存の部品装着装置において部品装着ヘッドに取り付けられている基板位置の認識用のカメラおよび照明を、はんだペーストの印刷ずれ量を測定するためにも用いるものとする。
すなわち、一般的な検査装置や検査ヘッド等と異なり、検査・測定の対象と目的をはんだペーストの印刷ずれ量の測定に用いることで、プリント基板上を撮像可能な基板認識用カメラを代替的に用いることを可能とするものである。これにより、部品装着ヘッドの部品装着ノズルと基板認識カメラとの距離を近くに保てることから、部品装着ヘッドにおける部品の装着と基板認識カメラによる検査とを部品の保持から装着までのタイミングで行うことが可能となる。また、これにより、部品装着ヘッド等において、印刷ずれ量の検査・測定のために必要となる動作を原則として不要とし、通常の部品装着の工程における動作の中で並行的に印刷ずれ量を測定することが可能となる。従って、生産効率を維持しつつ部品装着の実装精度を向上させることが可能となる。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1である部品装着装置の構成例について概要を示した上面図である。図1では、部品装着装置100において部品装着の動作を行う機構に係る部分の構成例を示しており、図中の水平方向をX軸方向、垂直方向をY軸方向とし、部品装着装置100の上方向から見た状態を示している。
部品装着装置100は、例えば、部品フィーダブロック110(図1の例では部品フィーダブロックA(110a)およびB(100b)の2つ)、Yビーム120、Xビーム130(図1の例ではXビームA(130a)およびB(130b)の2つ)、部品認識カメラ140(図1の例では部品認識カメラA(140a)およびB(140b)の2つ)、部品装着ヘッド150(図1の例では部品装着ヘッドA(150a)およびB(150b)2つ)、基板認識カメラ160(図1の例では基板認識カメラA(160a)およびB(160b)2つ)、およびプリント基板搬送路170などの各部を有する。
また、プリント基板搬送路170上には、部品を装着する対象となるプリント基板180が固定されて配置されている。なお、プリント基板は、フレキシブル基板等の部品装着装置で部品を装着できる基板であればどのような基板であってもよい。また、プリント基板180上には、基板認識マーク181、およびプリント基板電極182をそれぞれ複数有しており、各プリント基板電極182に対しては、予め印刷装置等によりはんだペースト183がそれぞれ印刷されている。
図1の例では、X軸方向にプリント基板180を搬送して所定の位置に固定するプリント基板搬送路170に対して、Y軸方向の両側に1つずつ、部品装着ヘッド150に対して部品を供給する部品フィーダブロック110がそれぞれ配置されている。なお、各部品フィーダブロック110は、それぞれ、所定の種類の部品を複数保持する部品フィーダ111をX軸方向に複数有しており、部品装着ヘッド150に対して複数種類の部品を供給することが可能である。
さらに、各部品フィーダブロック110のX軸方向の両側に、Y軸方向に沿って1組のYビーム120が配置されている。また、Yビーム120に直交して、1つ以上(図1の例では2つ)のXビーム130がX軸方向に沿って配置されている。YビームとXビームのなす角は直交としているが、機械的な誤差を含んでもよい。また、各Xビーム130には、それぞれ1つずつ部品装着ヘッド150が取り付けられている。また、プリント基板搬送路170と各部品フィーダブロック110との間にそれぞれ部品認識カメラ140が配置されている。
プリント基板搬送路170は、後述する制御部での制御により、1組のYビーム120の間にプリント基板180が配置されるよう、プリント基板180をX軸方向に搬送して固定する。各Xビーム130および部品装着ヘッド150は、それぞれ、各部品フィーダブロック110に対応しており、各Xビーム130は、制御部での制御により、対応する部品フィーダブロック110とプリント基板180を含む上方の領域を、Yビーム120に沿ってY軸方向に移動可能なストロークを有する。また、各部品装着ヘッド150は、制御部での制御により、1組のYビーム120の間の領域をXビーム130に沿ってX軸方向に移動可能なストロークを有する。
このXビーム130のY軸方向のストロークと部品装着ヘッド150のX軸方向のストロークの組み合わせにより、例えば、部品装着ヘッドA(150a)を部品フィーダブロックA(110a)内の所定の部品フィーダ111上に移動させ、部品を吸着等により取り出した後、プリント基板180上の所定の位置に移動させて部品を装着することが可能である。部品装着ヘッドB(150b)についても同様に、部品フィーダブロックB(110b)内の所定の部品フィーダ111上に移動させ、部品を取り出した後、プリント基板180上の所定の位置に移動させて装着することが可能である。
図2は、部品装着ヘッド150の構成例について概要を示した底面図である。部品装着ヘッド150は、部品フィーダブロック110内の1つ以上の部品フィーダ111から複数(種類)の部品を取り出して、取り出した各部品をプリント基板180上の所定の位置に装着するものであり、例えば、複数(図2の例では12個)の部品装着ノズル151、基板認識カメラ160、およびリング照明162を有する。
部品装着ヘッド150は、Xビーム130に取り付けられ、Xビーム130によって駆動されてX軸方向に移動可能なストロークを有する。また、複数の部品装着ノズル151の内、部品を取出・装着するノズルを所定の操作可能位置に配置するよう、対象の部品装着ノズル151を移動させる。図2の例では、部品装着ノズル151は円形状に配置されているため、これらをXY平面上で回転させて対象の部品装着ノズル151を所定の操作可能位置に順次移動させる。なお、部品装着ノズル151の配置構成や数は図2の例のものに限られない。例えば、円状ではなく複数の列状等に配置してもよい。
また、部品装着ヘッド150は、対象の部品装着ノズル151により部品を取出・装着するため、部品装着ノズル151を含む部品装着ヘッド150の一部または全部を上下方向に移動可能なストロークを有する。すなわち、これらの移動等により、部品装着ノズル151の先端に吸着等(例えば空気圧等を利用)によって部品を取り出し、保持された部品の姿勢を調整して、プリント基板180の所定の位置で解放することで部品を装着することが可能である。この部品装着ノズル151は、吸着する部品の種類等に応じて異なる特性のものを適宜付け替え可能としてもよい。
なお、本実施の形態では、部品装着ヘッド150において、部品を取り出して保持し、装着する部材(部品装着部材)として、部品を吸着して保持する部品装着ノズル151を用いているが、部品装着部材はこれに限らず、例えば、部品を挟んで取り出して保持するチャック等を用いる部品装着手段であっても部品を保持可能である。また、部品装着ヘッド150や部品装着ノズル151(および部品装着装置100における他の駆動機構)を駆動する方式は特に限定されず、例えば、ラックアンドピニオン機構などの他に、ピエゾアクチュエーターやリニアモーターなどの公知の各種技術を適宜利用することができる。
また、部品装着ヘッド150には、基板認識カメラ160が取り付けられている。また、基板認識カメラ160で撮像する際の光源としてリング照明162を有している。これらの構成は、プリント基板180上の基板認識マーク181を撮像して画像処理によりプリント基板180の位置を認識するためのものである。従って、検査装置や検査ヘッド等において用いられるような高性能のカメラや大型の照明等の大規模な構成を必要とせず、構成を小型化することが可能である。その結果、部品装着ノズル151の近傍に配置することができ、プリント基板180上で部品装着ノズル151が部品を装着する位置の近傍の領域を視野とすることができる。
本実施の形態では、上述したように、基板認識カメラ160による撮像の対象を基板認識マーク181だけに限らず、プリント基板電極182に対するはんだペースト183の印刷ずれ量を測定するため、プリント基板電極182およびはんだペースト183についても撮像する。従って、本実施の形態では、基板認識カメラ160の性能等については上記の目的を達成するために必要となる程度のものでよく、また、光源についてもリング照明162など、簡易な構成の光源を適宜用いることができる。
図3は、本実施の形態の部品装着装置100を有する部品装着システムの構成例について概要を示した図である。部品装着システム1は、上述した部品装着装置100、および部品装着装置100が装着処理を行うための制御情報を生成するための部品装着設定サーバ300を有する。部品装着装置100は、図1、図2において示した構造の他に、部品の装着処理に係る各構造の動作を制御する後述する制御部200を有する。
部品装着装置100では、プリント基板180に対して微小な電子部品を大量に装着する。このため、部品装着装置100に対しては、プリント基板180のどの位置にどの種類の部品を装着するかの制御情報を与える必要がある。このとき、特に、本実施の形態におけるような複数の部品装着ヘッド150を有する部品装着装置100では、複数のヘッドの動作について、相互に干渉しないように、かつ効率的に部品装着ができるよう、ヘッドの動作経路や部品の装着順を最適化して制御する必要が生じる。
本実施の形態では、部品装着設定サーバ300の最適経路探索部310において、CAD(Computer Aided Design)システムなどの基板設計システム400により設計・作成された基板設計データ401等を入力として、各部品装着ヘッド150の動作経路の最適化を行い、最適経路情報311として出力するものとする。なお、基板設計データ401には、例えば、プリント基板180の型式ごとに、プリント基板180の寸法、プリント基板180の座標原点位置、プリント基板180に付された基板認識マーク181の原点からの座標、プリント基板180に装着する部品の型式、種類、形状、本体幅、本体長、本体高、端子数、各端子の形状、位置、端子幅、端子長、端子高、装着座標および角度等の情報が含まれるものとする。
各部品装着ヘッド150の動作経路の最適化を行う技術については種々のものが研究・開発されており、本実施の形態では、これら既存の技術やアルゴリズム等を適宜選択して使用することができる。出力された最適経路情報311、および基板設計システム400により生成された基板設計データ401は、部品装着装置100の制御部200への入力となる。
さらに、本実施の形態では、部品装着設定サーバ300の補正対象端子リスト生成部320において、プリント基板180に装着する全部品のうち、はんだペースト183の印刷ずれ量に基づいて部品装着位置を補正する対象となる部品のリストを生成し、補正対象端子リスト321として出力する。上述したように、はんだペースト183の印刷ずれによって部品の装着時に不具合が発生し易いのは、主に複数端子を有する小型・軽量の部品である。従って、本実施の形態では、基板設計データ401に基づいて、印刷位置の補正の対象となる部品(例えば、所定の大きさ・重量より小さい2端子部品)を抽出して後述する補正対象端子リスト321を生成して出力するものとする。なお、部品装着設定サーバ300における最適経路探索部310や補正対象端子リスト生成部320を含む各部は、例えば、ソフトウェアプログラムとして実装することができる。
図4は、部品装着装置100の制御部200の構成例について概要を示した図である。制御部200は、例えば、インタフェース201、MPU(Micro-Processing Unit)202、RAM(Random Access Memory)203、ROM(Read Only Memory)204、外部記憶装置205、LCD(Liquid Crystal Display)タッチパネル206、バーコードリーダ207、基板認識画像処理回路208、はんだ印刷画像処理回路209、部品認識画像処理回路210、部品フィーダ駆動回路211、部品装着ヘッド駆動回路213、および基板搬送路駆動回路215などを有する。
制御部200の電源が投入されると、ROM204に収められた起動プログラムがMPU202により実行される。起動処理では、インタフェース201に接続された各装置や回路等を初期化し、その後、各駆動部(部品フィーダ駆動部212、部品装着ヘッド駆動部214、基板搬送路駆動部216など)を動作させて、各部品フィーダ111や部品装着ヘッド150などの各機構部を所定の待機位置に停止させる。その後、外部記憶装置205に保持されている部品装着プログラムがMPU202により実行される。
部品装着プログラムは、バーコードリーダ207等による部品供給情報(例えば、どの部品フィーダ111にどの種類の部品が保持されているか等)の入力や、LCDタッチパネル206による生産するプリント基板180の型式や枚数、生産の開始指示等の入力を受け付けるための待ち状態となる。LCDタッチパネル206等を介して生産の開始指示を受け付けると、以下の処理フローに従ってプリント基板180に部品を装着する処理を開始する。
図5は、部品装着プログラムによる部品装着処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。ここでは、1枚のプリント基板180に部品を装着する場合の処理の流れの例について説明する。従って、複数のプリント基板180への部品の装着を連続して実行するには、図5の処理フローに示した一連の処理を適宜繰り返すことになる。
まず、部品装着処理を開始する前に、初期処理として、部品装着装置100の操作担当者(以下では単に“ユーザ”と記載する場合がある)からの各種の設定情報の入力を受け付けて外部記憶装置205に保持しておく(S01)。例えば、部品型式ごとの部品の寸法、使用可能な部品装着ノズル151の種類、部品装着ヘッド150で部品を運搬する際のX軸およびY軸方向の速度や加速度、部品装着ノズル151を上下動する際の速度や加速度、下降時の高さ、などの情報を含む部品情報を外部記憶装置205に保持しておく。同様に、基板認識カメラ160や部品認識カメラ140の撮像方法、および基板認識画像処理回路208やはんだ印刷画像処理回路209、部品認識画像処理回路210による画像認識方法などの情報についても保持しておく。
また、プリント基板180に装着する部品を型式(種類)毎に保持する部品フィーダ111を、ユーザが予め部品フィーダブロック110として配置する。さらに、部品メーカから供給される部品フィーダ111に貼付された部品型式情報を、ユーザがバーコードリーダ207によって読み取る、もしくはLCDタッチパネル206を介して入力する等により、どの型式の部品(部品フィーダ111)が部品フィーダブロック110のどの位置に配置されているかの情報を取得する。当該情報と上記の部品情報とに基づいて、部品型式ごとに、部品装着ヘッド150の部品装着ノズル151が部品フィーダブロック110内の部品フィーダ111から部品を取り出す際の停止座標を予め計算し、外部記憶装置205に保存しておく。
また、図3において示したように、基板設計システム400等により生成された基板設計データ401や、部品装着設定サーバ300の最適経路探索部310により生成された最適経路情報311、補正対象端子リスト生成部320により生成された補正対象端子リスト321の情報についても、外部記憶装置205に保存しておく。さらに、プリント基板180の寸法に応じて、プリント基板搬送路170上でプリント基板180を固定する位置を設定したり、ユーザからの当該情報の入力を受け付けたりして、例えば、基板設計データ401に含めて外部記憶装置205に保存するようにしてもよい。
プリント基板180への部品装着は、後述するように、部品吸着サイクルと部品装着サイクルとによって構成される部品実装サイクルを、必要な部品が全てプリント基板180に装着されるまで繰り返すことにより実現される。部品吸着サイクルでは、部品装着ヘッド150を部品フィーダブロック110上に移動させ、指定された複数の部品を指定された部品装着ノズル151によって部品フィーダ111から吸着する。部品装着サイクルでは、吸着した各部品の姿勢を測定後に、部品装着ヘッド150をプリント基板180上に移動させ、吸着した各部品をプリント基板180の指定された位置に装着する。
ここで、各部品実装サイクルにおいて、各部品吸着サイクルでどのような手順で部品装着ヘッド150が部品を吸着するか、および各部品装着サイクルでどのような手順で部品装着ヘッド150が部品を装着するか等の情報を、基板設計データ401や最適経路情報311等に基づいて予め決定しておき、これらの情報を部品実装サイクル情報として外部記憶装置205に保存しておく。
この情報には、例えば、各部品吸着サイクルにおいて、部品フィーダブロック110上のどの位置に部品装着ヘッド150を移動させ、どの順番でどの部品装着ノズル151を使用してどの部品フィーダ111の部品を吸着するか等の情報や、吸着後の部品の姿勢を測定するための部品認識カメラ140の撮像条件や認識方法などが含まれる。また、各部品装着サイクルにおいて、どの位置に部品装着ヘッド150を移動させ、どの順番でどの部品装着ノズル151に吸着されている部品をプリント基板180上のどの位置にどの向きで装着するか等の情報が含まれる。
各種設定情報が外部記憶装置205に保持された状態で、ユーザが、生産するプリント基板180を特定する情報として型式等の情報をLCDタッチパネル206を介して入力し、生産開始を指示すると、プリント基板180への部品の装着による生産を開始する(S02)。生産を開始すると、まず、予め外部記憶装置205に保持されている部品実装サイクル情報や、指定されたプリント基板180についての基板設計データ401、補正対象端子リスト321等を読み込んで、RAM203に保持する(S03)。次に、読み込んだ基板設計データ401等に設定されたプリント基板180の固定位置の情報に従って、プリント基板180をプリント基板搬送路170上で搬送し、指定された固定位置にプリント基板180を固定する(S04)。
これ以降の処理は、部品装着装置100が図1に示すように部品装着ヘッド150を複数有する場合に、原則としてそれぞれの部品装着ヘッド150が個別に並行して動作するものであり、最適経路情報311等の内容に基づく部品実装サイクル情報に基づいて、部品装着ヘッド150間で相互に干渉しないように制御されるものとする。なお、複数の部品装着ヘッド150間での並行動作の詳細については後述する。
まず、基板設計データ401、最適経路情報311および補正対象端子リスト321等に基づいて、装着位置補正の対象の部品のうち、後述するプリント基板180の基板認識マーク181の認識時に、部品装着ヘッド150の各移動先において、はんだペースト183の印刷ずれ量を測定可能な部品(の端子)のリストである撮像端子リストを作成する(S05)。すなわち、後述する処理により部品装着ヘッド150に取り付けられた基板認識カメラ160がプリント基板180の位置を把握するために基板認識マーク181を撮像する際、撮像データに含まれる部品(端子)(すなわち、基板認識カメラ160の視野に含まれる部品(端子))のうち、補正対象端子リスト321に含まれるものを抽出して、プリント基板180の認識時の撮像端子リストとする。
その後、部品実装サイクルの開始前に、必要に応じて、所定の部品装着ヘッド150に取り付けられた基板認識カメラ160により、プリント基板180の所定の基板認識マーク181を撮像し、プリント基板搬送路170上に固定されたプリント基板180の位置を把握する。なお、この処理は、上述したように、部品装着ヘッド150を複数有する場合にはそれぞれ異なる基板認識マーク181を個別に並行して認識することが可能であるが、例えば、部品装着ヘッド150の数が基板認識マーク181の数より多いような場合には、部品装着ヘッド150によっては実行しない場合もある。
プリント基板180の位置の把握では、まず、基板設計データ401に定義されたプリント基板180の基板認識マーク181の座標情報に従って、指定された部品装着ヘッド150を、対象となる基板認識マーク181が印刷された位置近辺(当該部品装着ヘッド150に取り付けられた基板認識カメラ160の視野に基板認識マーク181が入る位置)に移動させる(S06)。その後、基板認識カメラ160で撮像し、基板認識画像処理回路208の画像処理によって撮像データから基板認識マーク181の位置を検出して、その座標の情報をRAM203に保存する(S07)。これにより、プリント基板180上において部品を配置するための座標系の原点位置を把握する。
また、このとき合わせて、基板認識カメラ160で撮像したデータから、はんだ印刷画像処理回路209の画像処理によって、後述するように、ステップS05で作成した撮像端子リストに含まれる部品(端子)についてのプリント基板電極182とはんだペースト183との印刷ずれ量を測定し、当該部品についての装着位置の補正量を算出する(S07)。算出した補正量の情報は、例えば、補正対象端子リスト321の対象の部品(端子)のエントリに追記して登録する。なお、1つの部品装着ヘッド150が複数の基板認識マーク181を検出する必要がある場合は、上記のステップS06、S07の処理を繰り返す。
その後、部品実装サイクルのループ処理を開始する(S08)。まず、準備処理として、必要に応じて部品装着ヘッド150を対応する部品フィーダブロック110上の所定の位置に移動させる(S09)。部品装着装置100の起動直後等の初期状態など、部品装着ヘッド150が既に部品フィーダブロック110上に存在している場合には当該処理は不要である。
その後、ステップS03で読み込んだ部品実装サイクル情報に基づいて、まず、部品吸着サイクルのループ処理を開始する(S10)。部品吸着サイクルでは、まず、Yビーム120によるXビーム130のY軸方向の駆動、およびXビーム130による部品装着ヘッド150のX軸方向の駆動により、部品装着ヘッド150を部品フィーダブロック110内の指定された部品フィーダ111上に移動させる(S11)。次に、部品フィーダブロック110内の指定された部品フィーダ111に対して、部品装着ヘッド150が部品装着ノズル151を駆動して下降させ、指定された部品を部品装着ノズル151により吸着して取り出す(S12)。
ここで、1回の部品実装サイクルで装着する全部品の吸着が完了していない(まだ部品を吸着すべきなのにしていない状態の部品装着ノズル151が存在する)場合は、全部品の吸着が完了するまで上記の部品吸着サイクルのループ処理を繰り返す(S13、S10)。全部品の吸着が完了している場合は、部品吸着サイクルのループ処理を終了し(S13)、各部品装着ノズル151によって吸着した部品の吸着姿勢を測定する(S14)。ここでは、部品装着ヘッド150を部品認識カメラ140上に移動させ、吸着した各部品を部品認識カメラ140で撮像する。得られた撮像データに対して、部品認識画像処理回路210での画像処理によって部品の吸着中心位置等の姿勢を計算し、結果をRAM203に保持する。
次に、上記のステップS05と同様に、基板設計データ401、最適経路情報311および補正対象端子リスト321等に基づいて、装着位置補正の対象の部品のうち、後述する部品装着サイクルでの部品装着時に、部品装着ヘッド150の各移動先において、はんだペースト183の印刷ずれ量を測定可能な部品(端子)からなる撮像端子リストを作成する(S15)。すなわち、後述する部品装着時に、部品装着ヘッド150に取り付けられた基板認識カメラ160がプリント基板180上を撮像する際、撮像データに含まれる部品(端子)(すなわち、基板認識カメラ160の視野に含まれる部品(端子))のうち、補正対象端子リスト321に含まれ、かつ未装着のものを抽出して、部品装着時の撮像端子リストとする。なお、上述したプリント基板180の認識時の場合は、全ての部品が未装着であるため、未装着か否かの判定は不要である。
次に、ステップS03で読み込んだ部品実装サイクル情報に基づいて、部品装着サイクルのループ処理を開始する(S16)。部品装着サイクルでは、まず、Yビーム120によるXビーム130のY軸方向の駆動、およびXビーム130による部品装着ヘッド150のX軸方向の駆動により、部品装着ヘッド150をプリント基板180上の指定された位置に移動させる(S17)。このとき、装着対象の部品(端子)が補正対象端子リスト321に含まれるものである場合、補正対象端子リスト321から当該部品についての装着位置の補正量を取得し、これに基づいて部品装着ヘッド150の移動位置を補正する。なお、部品装着ノズル151が吸着している部品の位置についても、ステップS14で測定した部品の吸着中心位置等の姿勢の情報を参照して補正した上で位置決めする。
その後、プリント基板180上の対象の部品(端子)の装着位置に印刷されたはんだペースト183に対して、部品装着ヘッド150が部品装着ノズル151を駆動して下降させ、吸着された部品を装着する(S18)。また、このとき合わせて、基板認識カメラ160によってプリント基板180上を撮像する。得られた撮像データから、ステップS07の処理と同様に、はんだ印刷画像処理回路209の画像処理によって、後述するように、ステップS15で作成した撮像端子リストに含まれる部品(端子)についてのプリント基板電極182とはんだペースト183との印刷ずれ量を測定し、当該部品についての装着位置の補正量を算出する(S18)。算出した補正量の情報は、例えば、補正対象端子リスト321の対象の部品(端子)のエントリに追記して登録する。
ここで、1回の部品実装サイクルで装着する全部品の装着が完了していない(まだ部品を吸着した状態の部品装着ノズル151が存在する)場合は、全部品の装着が完了するまで上記の部品装着サイクルのループ処理を繰り返す(S19、S16)。全部品の装着が完了している場合は、部品装着サイクルのループ処理を終了する(S19)。このとき、全ての部品実装サイクルが完了していない場合は、全ての部品実装サイクルが完了するまで上記の部品実装サイクルの処理を繰り返す(S20、S08)。全ての部品実装サイクルが完了すると部品実装サイクルのループ処理を終了し(S20)、これにより、1枚分のプリント基板180の部品装着処理が完了する。
図6は、部品装着処理において複数の部品装着ヘッド150が並行動作する場合の処理フローの例について示した図である。ここでは、上記の図5の処理フローにおけるステップS05以降の処理について、図1の例における部品装着ヘッドA(150a)と部品装着ヘッドB(150b)の2つが並行動作する場合を例として説明する。
図7は、図6の処理フローの例において部品を装着する対象となるプリント基板180の例について概要を簡略化して示した図である。プリント基板180には、プリント基板180がプリント基板搬送路170上に固定された際の位置を部品装着装置100が認識できるようにするため、複数の基板認識マーク181(図7の例では基板認識マーク1〜3(181−1〜3)の3つ)が予め印刷等により付されている。基板認識マーク181は主にプリント基板180の端部に付されるものとし、本実施の形態では、プリント基板180の位置の認識の精度を高めるため、基板認識マーク181は3つ以上付されているものとする。また、プリント基板180上に装着される全ての部品について、部品装着位置184が定義されている。各部品装着位置184は、図示するように、プリント基板電極182と、その上に印刷されたはんだペースト183からなる。
図6において、並行動作では、まず、部品装着ヘッドA(150a)と部品装着ヘッドB(150b)がともに基板認識時の撮像端子リストを作成する(S31、S51)。ここで、本実施の形態では、図7に示すプリント基板180の認識において、部品装着ヘッドA(150a)は、基板認識マーク1(181−1)と基板認識マーク2(181−2)の2つを撮像して認識し、部品装着ヘッドB(150b)は、基板認識マーク3(181−3)を撮像して認識するものとする。
従って、ステップS31では、補正対象端子リスト321に含まれる部品(端子)のうち、部品装着ヘッドA(150a)に取り付けられた基板認識カメラ160A(160a)が、基板認識マーク1(181−1)および基板認識マーク2(181−2)を認識するためにそれらの近傍を撮像した際の視野に含まれる部品(端子)を、撮像端子リストとして出力する。また、ステップS51では、補正対象端子リスト321に含まれる部品(端子)のうち、部品装着ヘッドB(150b)に取り付けられた基板認識カメラ160B(160b)が、基板認識マーク3(181−3)を認識するためにその近傍を撮像した際の視野に含まれる部品(端子)を、撮像端子リストとして出力する。
その後、図8に示すように、部品装着ヘッドA(150a)により、基板認識マーク1(181−1)を認識する処理を行い、これと並行して、部品装着ヘッドB(150b)により、基板認識マーク3(181−3)を認識する処理を行う。
部品装着ヘッドA(150a)については、初期状態の位置(例えば、部品フィーダブロックA(110a)上の所定の位置)から、基板認識カメラA(160a)により基板認識マーク1(181−1)を撮像可能な位置へ移動させる(S32)。その位置で、基板認識カメラA(160a)により基板認識マーク1(181−1)を撮像し(S33)、撮像データから基板認識画像処理回路208により基板認識マーク1(181−1)の位置を測定する(S34)。
さらに、撮像データに含まれる部品(端子)、すなわち、基板認識カメラA視野161aに含まれる部品(端子)のうち、撮像端子リストに含まれるものについて、はんだ印刷画像処理回路209によりはんだペースト183の印刷位置を測定し、これに基づいてプリント基板電極182に対するはんだペースト183の印刷ずれ量を測定する(S35)。さらに、測定した印刷ずれ量に基づいて対象の部品(部品装着位置184)における装着位置の補正量を算出し、補正対象端子リスト321の対象の部品のエントリを更新する(S36)。
図9は、プリント基板電極182に対するはんだペースト183の印刷ずれ量について概要を説明する図である。部品185の2つの端子(図中の部品185における網掛け部分)にそれぞれ対応するプリント基板電極182−1および182−2に対して、対応するはんだペースト183−1および183−2がずれて印刷されている状態を示している。ここで、印刷ずれ量は、例えば、プリント基板電極182とはんだペースト183との間の、各端子の中心位置座標のx軸方向およびy軸方向のずれにより表される。なお、図9の例では、プリント基板電極182およびはんだペースト183の形状を長方形とし、これに応じて中心位置座標を示しているが、他の形状の場合はそれに応じて適宜中心位置座標を設定すればよい。
図10は、各部品の部品装着位置での補正量の値を更新した補正対象端子リスト321の例について概要を示した図である。補正対象端子リスト321は、上述したように、装着位置を補正する必要がある部品とその補正量の情報を保持するテーブルであり、部品装着設定サーバ300の補正対象端子リスト生成部320により生成され、部品装着装置100の制御部200に入力される。
補正対象端子リスト321は、例えば、部品番号、端子番号、端子中心座標、印刷中心座標、および装着座標補正量などの項目を有する。部品番号の項目は、プリント基板180上の部品を一意に特定するIDやシーケンス番号等の情報を保持する。また、端子番号の項目は、対象の部品における各端子を特定するために端子毎に設定された番号の情報を保持する。図10の例では、補正対象の部品が2端子のものである場合を示している。
端子中心座標および印刷中心座標の項目は、それぞれ、基板設計データ401から取得したプリント基板電極182の端子の中心位置、および基板認識カメラ160が撮像した撮像データから画像処理により認識されたはんだペースト183の端子部分について算出された中心位置のx,y座標の情報を保持する。装着座標補正量の項目は、対象の部品についての端子中心座標および印刷中心座標の項目に基づいて得られる印刷ずれ量に基づいて算出された装着位置の補正量の情報を保持する。なお、初期状態の補正対象端子リスト321では、上記の部品番号、端子番号および端子中心座標の項目のみ値が設定されており、以降の他の項目はブランクとなっている。
図10の例では、部品番号“1”および“3”の各部品について、基板認識カメラ160により部品装着位置が撮像され、プリント基板電極182の端子およびはんだペースト183の端子部分の中心座標が算出され、これらの値に基づいて装着座標補正量が算出されている状態を示している。本実施の形態では、装着座標補正量を、例えば、部品全体の中心位置座標に対するx軸方向およびy軸方向の補正量であるdx、dyと、xy平面での回転角であるdθにより表すものとする。例えば、部品番号“1”の部品については、プリント基板電極182の各端子の中心座標((x11,y11)および(x12,y12))と、対応するはんだペースト183の中心座標((sx11,sy11)および(sx12,sy12))とに基づいて、以下の式により、補正量dx1、dy1、dθ1を求めることができる。
一方、図6において、部品装着ヘッドB(150b)についても同様に、初期状態の位置(例えば、部品フィーダブロックB(110b)上の所定の位置)から、基板認識カメラB(160b)により基板認識マーク3(181−3)を撮像可能な位置へ移動させる(S52)。その位置で、基板認識カメラB(160b)により基板認識マーク3(181−3)を撮像し(S53)、撮像データから基板認識画像処理回路208により基板認識マーク3(181−3)の位置を測定する(S54)。
さらに、撮像データに含まれる部品(端子)、すなわち、基板認識カメラB視野161bに含まれる部品(端子)のうち、撮像端子リストに含まれるものについて、はんだ印刷画像処理回路209によりはんだペースト183の印刷位置を測定し、これに基づいてプリント基板電極182に対するはんだペースト183の印刷ずれ量を測定する(S55)。さらに、測定した印刷ずれ量に基づいて対象の部品(部品装着位置184)における装着座標補正量を算出し、補正対象端子リスト321の対象の部品のエントリを更新する(S56)。
その後、図11に示すように、部品装着ヘッドA(150a)により、基板認識マーク2(181−2)を認識する処理を行い、これと並行して、部品装着ヘッドB(150b)により、部品フィーダブロックB(110b)から部品を吸着して取り出す部品吸着サイクルを実行する。
部品装着ヘッドA(150a)については、上記と同様に、基板認識マーク1(181−1)を認識した位置から、基板認識カメラA(160a)により基板認識マーク2(181−2)を撮像可能な位置へ移動させる(S37)。その位置で、基板認識カメラA(160a)により基板認識マーク2(181−2)を撮像し(S38)、撮像データから基板認識画像処理回路208により基板認識マーク2(181−2)の位置を測定する(S39)。
さらに、撮像データに含まれる部品(端子)、すなわち、基板認識カメラA視野161aに含まれる部品(端子)のうち、撮像端子リストに含まれるものについて、はんだ印刷画像処理回路209によりはんだペースト183の印刷位置を測定し、これに基づいてプリント基板電極182に対するはんだペースト183の印刷ずれ量を測定する(S40)。さらに、測定した印刷ずれ量に基づいて対象の部品(部品装着位置184)における装着座標補正量を算出し、補正対象端子リスト321の対象の部品のエントリを更新する(S41)。
一方、部品装着ヘッドB(150b)については、部品吸着サイクルを実行するため、基板認識マーク3(181−3)を認識した位置から部品フィーダブロックB(110b)上に移動させ(S57)、1つ以上の所定の部品フィーダ111から部品を吸着して取り出す(S58)。その後、部品装着ヘッドB(150b)を部品認識カメラB(140b)上に移動させ(S59)、吸着した各部品を部品認識カメラB(140b)で撮像し、部品の吸着中心位置等の姿勢を測定する(S60)。部品吸着サイクルではプリント基板180上で部品装着ヘッドB(150b)が停止することがないため、基板認識カメラB(160b)による部品装着位置の撮像は行わない。
その後、図12に示すように、部品装着ヘッドA(150a)により、部品フィーダブロックA(110a)から部品を吸着して取り出す部品吸着サイクルを実行する。ここでの処理(図6におけるステップS42〜S45)は、上述した部品装着ヘッドB(150b)の部品吸着サイクル(ステップS57〜S60)と同様であるため、説明は省略する。また、部品装着ヘッドA(150a)の部品吸着サイクルと並行して、部品装着ヘッドB(150b)により、プリント基板180上の所定の部品装着位置に部品を装着する部品装着サイクルを実行する。
部品装着ヘッドB(150b)については、まず、部品装着時の撮像端子リストを作成する(S61)。ここでは、部品装着サイクルにおいて部品を装着する予定の部品装着位置184において、基板認識カメラB(160b)によりプリント基板180を撮像する際の視野に含まれ、かつ未装着の部品(端子)を、撮像端子リストとして出力する。
その後、部品装着サイクルを実行するため、部品認識カメラB(140b)上で部品を撮像した位置から、部品実装サイクル情報により指定されたプリント基板180上の所定の部品装着位置へ移動させる(S62)。このとき、装着対象の部品(端子)が補正対象端子リスト321に含まれるものである場合、当該エントリにおける装着座標補正量の値(dx、dy、dθ)を取得し、これに基づいて部品装着ヘッドB(150b)の移動位置を補正する。
このとき、装着対象の部品(端子)が補正対象端子リスト321に含まれているが、当該エントリに装着座標補正量の値が未登録である場合が生じ得る。特に、部品装着処理の開始から間もない場合は、基板認識カメラ160による撮像により装着座標補正量が既に測定済みとなっている部品装着位置184が少ないため、装着座標補正量が未測定の場合が生じ易い。
本実施の形態では、このような場合でも可能な限り装着位置の補正を行うことができるよう、補正量の推定を行う。図13は、部品の装着座標補正量を推定する手法の例について概要を説明する図である。ここでは、装着位置の推定の対象となる未測定の部品(端子)の近傍に存在する複数の測定済みの部品(端子)における補正量から、未測定の部品(端子)についての補正量を推定する。
図13の例では、端子1(x1,y1)と、端子2(x2,y2)をそれぞれ有する部品については既に装着座標補正量が測定済みであるが、端子3(x3,y3)を有する部品については未測定である状態を示している。この状態で端子3を含む部品を装着しようとする場合、装着座標補正量が補正対象端子リスト321に登録されていないため、装着位置の補正をすることができない。そこで、本実施の形態では、端子3から近い順に2箇所以上の測定済みの部品(図13の例では端子1および端子2をそれぞれ有する部品)を選択し、これらにおける補正量に対して、各部品(端子)間の位置関係(距離)に応じて内挿もしくは外挿して推定するものとする。
例えば、x軸方向の補正量dxについては、図示するように、端子1のx座標x1に対する補正量dx1と、端子2のx座標x2に対する補正量dx2との間に端子3のx座標x3を内挿し、補正量dx3を得る。同様に、y軸方向の補正量dyについては、図示するように、端子2のy座標y2に対する補正量dy2と、端子1のy座標y1に対する補正量dy1とに対して端子3のy座標y3を外挿し、補正量dy3を得る。回転角の補正量dθについても同様の手法で補正量を求めることができる。なお、上記の推定の手法は一例であり、これに限られるものではない。また、推定により得た補正量は、補正対象端子リスト321に登録して、他の部品(端子)における推定の際の基準となるようにしてもよいし、登録しないことにより基板認識カメラ160による実際の撮像によって測定された補正量のみが基準となるようにしてもよい。
その後、ステップS60で測定した部品の吸着中心位置等の姿勢の情報を参照して、部品装着ノズル151が吸着している部品の位置を補正し(S63)、当該位置で部品をはんだペースト183上に装着する(S64)。その後、基板認識カメラB(160b)によりプリント基板180上の当該部品装着位置184の近傍の領域を撮像する(S65)。
その後、撮像データに含まれる部品(端子)、すなわち、基板認識カメラB視野161bに含まれる部品(端子)のうち、部品装着時の撮像端子リストに含まれるものについて、はんだ印刷画像処理回路209によりはんだペースト183の印刷位置を測定し、これに基づいてプリント基板電極182に対するはんだペースト183の印刷ずれ量を測定する(S66)。さらに、測定した印刷ずれ量に基づいて対象の部品(部品装着位置184)における装着座標補正量を算出し、補正対象端子リスト321の対象の部品(端子)のエントリを更新する(S67)。
その後、図14に示すように、部品装着ヘッドA(150a)により部品装着サイクルを実行し(S46〜)、また、これと並行して、部品装着ヘッドB(150b)により部品吸着サイクルを実行する(S68〜)。以降、全ての部品の装着が完了するまで上記の部品吸着サイクルと部品装着サイクルとを原則として交互に繰り返す。
このような一連の処理の中で、部品装着装置100において部品装着ヘッド150と一体的もしくはこれに取り付けられた形で通常有している基板認識カメラ160を用いて、余計な処理や機構部の動作を可能な限り行わずに、はんだペースト183の印刷ずれ量を測定し、部品装着時の装着座標補正量を求め、部品装着の精度を向上させることが可能である。
なお、図6の例では、基板認識カメラ160による部品装着位置184の撮像(例えばステップS65)を部品装着(例えばステップS64)の後に行うものとしているが、部品装着ヘッド150が停止している状態であれば部品装着の前であってもよい。この場合、部品装着の前に、対象の部品についての装着座標補正量の算出(例えばステップS66、S67)についても行い、即座に部品装着ヘッド150の位置を補正する、というシーケンスにすることも理論上は可能であり、この場合は、上述したような装着座標補正量の推定処理は不要となる。しかしながら、実装上は機械的な構造における動作速度の関係等から、一般的な部品装着装置100の部品装着ヘッド150で対応することは現実的に困難である。
本実施の形態では、上述したように、部品装着サイクルにおいて、基板認識カメラ160により対象の部品装着位置184を撮像して、撮像データに含まれる部品(端子)について装着座標補正量を算出し、この情報を他の部品装着ヘッド150も含めた次の部品装着サイクル以降において用いるようにする。これにより、部品装着ヘッド150の移動と装着処理に対して余計な影響を与えることなく、装着座標補正量の算出と、これを用いた装着位置の補正を行うことができる。
なお、本実施の形態では、図1の例に示すように、プリント基板搬送路170およびプリント基板180のY軸方向の両側に対称的に部品フィーダブロック110を1つずつ配置し、それぞれに対応する部品装着ヘッド150を有する2ヘッド構成としている。これにより、処理の並列度を高め、生産スループットを向上させるとともに、装置構成の小型化を図っているが、部品装着ヘッド150の数はこれに限られない。部品装着ヘッド150の数をさらに4つや6つ等に拡張して処理の並列度をより高めることも可能であるし、部品装着ヘッド150(および部品フィーダブロック110)の数を1つにして装置構成をより小型化することも可能である。
部品装着ヘッド150の数が1つの場合、上述したような部品吸着サイクルと部品装着サイクルとを複数の部品装着ヘッド150で交互に行うという並行動作はできない。すなわち、一方の部品装着ヘッド150における部品装着サイクルで測定した装着座標補正量の情報を、後続する他方の部品装着ヘッド150での部品装着サイクルで参照するということはできない。しかしながら、部品装着ヘッド150の数が1つの場合は、ある部品装着サイクルで測定した装着座標補正量を、当該部品装着ヘッド150の次回以降の部品装着サイクルで参照して装着位置を補正することができるという点で、手法上は相違がない。従って、部品装着ヘッド150の数が1つの場合であっても、本実施の形態の手法を適用して処理性能を落とさずに部品装着の精度を向上させることが可能である。
<実施の形態2>
上述した実施の形態1における部品装着装置100では、基板認識マーク181の検出時、および各部品装着ヘッド150による部品の装着時に、基板認識カメラ160により得られたプリント基板180の撮像データから部品装着位置184におけるはんだペースト183の印刷ずれ量を測定して、部品の装着座標補正量を算出している。しかしながら、これだけでは一回のサイクルや処理で装着座標補正量を測定できる部品(端子)の数が少ない場合があり、部品装着時に補正対象端子リスト321に対象の部品(端子)についての装着座標補正量が未測定である場合が生じ易くなる。この場合、上述したように、近傍の測定済みの部品(端子)における装着座標補正量から推測することが可能であるが、精度としては実際に印刷ずれ量を測定して得た補正量よりは劣ると考えられる。
そこで、本発明の実施の形態2である部品装着装置100は、実施の形態1におけるようなタイミング、すなわち部品装着ヘッド150が停止している状態だけでなく、図15に示すように、部品装着ヘッド150が移動中においてもプリント基板180上を撮像し、得られた撮像データに基づいて部品の装着座標補正量を算出する。これにより、はんだペースト183の印刷ずれ量を測定する測定点、すなわち装着座標補正量が算出される部品(端子)を増やし、部品装着時に当該補正量に基づいて装着位置が補正できる場合を増やして、部品装着の精度をより向上させることを可能とする。
なお、図15に示すように、部品装着ヘッド150の移動中にプリント基板180上を撮像するため、基板認識カメラ160に取り付けられているリング照明162を撮像時にフラッシュさせる(短時間光らせる)。これにより、部品装着ヘッド150および基板認識カメラ160が移動中であっても、画像がぶれることなく静止画に近い状態で撮像することができる。また、部品装着ヘッド150の移動経路上において複数回撮像することも当然可能である。
本実施の形態において、部品装着装置100や、部品装着システム1の構成例については、実施の形態1における図1〜図4の例に示したものと同様であるため、説明は省略する。
図16は、部品装着プログラムによる部品装着処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。本実施の形態の部品装着処理の流れは、基本的に実施の形態1における図5の例に示したものと同様であるが、上述したように、部品装着ヘッド150がプリント基板180上を移動する際にも撮像して、基板認識カメラ160の視野(撮像データ)に含まれる部品装着位置におけるはんだペースト183の印刷ずれ量を測定し、装着座標補正量を算出するという点が相違する。
具体的には、部品装着ヘッド150を基板認識マーク181の位置へ移動させる際(ステップS06)、部品装着サイクル(ステップS16〜S19)が終了し、次の部品吸着サイクル(ステップS10〜S13)を実行するために部品装着ヘッド150を部品フィーダブロック110へ移動させる際(S09)、および部品装着サイクルにおいて対象の部品装着位置まで部品装着ヘッド150を移動させる際(S17)などの、部品装着ヘッド150が移動中のタイミングにおいて、基板認識カメラ160によりプリント基板180上を撮像し、はんだペースト183の印刷ずれ量を測定する。なお、これらのタイミングの全てで撮像することが必要というわけではなく、いずれか1つ以上のタイミングで撮像すれば、部品装着の精度向上という効果を得ることができる。
これらのタイミングで撮像するため、撮像端子リストを作成する際(ステップS05、S15)には、部品装着ヘッド150の停止時における基板認識カメラ160の視野に含まれる部品(端子)だけでなく、部品装着ヘッド150(基板認識カメラ160の視野)の移動経路に含まれる部品(端子)についても含むよう作成することになる。
図17は、部品装着ヘッド150の移動中に基板認識カメラ160により部品装着位置を撮像する処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。処理を開始すると、まず部品装着ヘッド150を目的位置(例えば、基板認識マーク181や、部品装着位置、部品フィーダブロック110など)に向かって移動させる(S101)。移動中において、部品装着ヘッド150に取り付けられている基板認識カメラ160の視野に、撮像端子リストに含まれる部品(端子)が入ってきたか否かを判定する(S102)。入っていない場合は、ステップS106に進む。
ステップS102で、基板認識カメラ160の視野に撮像端子リストに含まれる部品(端子)が入ってきた場合、リング照明162をフラッシュさせて、基板認識カメラ160でプリント基板180上を撮像し、撮像データを得る(S103)。さらに、撮像データに含まれる部品(端子)、すなわち、基板認識カメラ160の視野に含まれる部品(端子)のうち、撮像端子リストに含まれるものについて、はんだ印刷画像処理回路209によりはんだペースト183の印刷位置を測定し、これに基づいてプリント基板電極182に対するはんだペースト183の印刷ずれ量を測定する(S104)。さらに、測定した印刷ずれ量に基づいて対象の部品における装着座標補正量を算出し、補正対象端子リスト321の対象の部品(端子)のエントリを更新する(S105)。
その後、ステップS106に進み、部品装着ヘッド150が目的の位置に到達したか否かを判定する(S106)。目的位置に到達していない場合は、ステップS101に戻り、目的位置に向けた部品装着ヘッド150の移動を継続する。目的位置に到達している場合は、部品装着ヘッド150を停止させて移動を終了する。
なお、部品装着ヘッド150の移動中に、基板認識カメラ160での撮像を行うタイミングであるか否かを判定する際に、上記のステップS102におけるような判定方法ではなく、例えば、撮像端子リストを作成する際に予め対象の部品(端子)を撮像するための部品装着ヘッド150の停止位置の座標情報等を算出しておいてもよい。
このように、本実施の形態の部品装着装置100では、実施の形態1におけるような部品装着ヘッド150が停止しているタイミングだけでなく、部品装着ヘッド150が移動中においてもプリント基板180上を撮像し、得られた撮像データに基づいて部品の装着座標補正量を算出することができる。これにより、装着座標補正量が算出される部品(端子)を増やし、部品装着時に当該補正量に基づいて装着位置が補正できる場合を増やして、部品装着の精度をより向上させることが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、またはICカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。