JP4869214B2 - 部品実装時間シミュレーション方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板に部品を実装することにより実装基板を生産する部品実装機の実装時間をシミュレーションする部品実装時間シミュレーション方法等に関するものである。
基板に部品を実装することにより実装基板を生産する部品実装機において、部品の実装に要する時間を事前に把握することを目的として、部品実装時間のシミュレーションが行われる。具体的には、部品供給部から供給される部品を予め定められた基板上の実装点へ装着するまでの動作を分解し、分解された動作ごとに所要時間を算出し、各動作間の制約条件を考慮しながら実装時間を算出する。このようにして得られた部品実装時間のシミュレーション結果は、その部品実装機が含まれる生産ラインの生産計画作成や部品実装条件の最適化の検証等に利用される。
ところが、上記のようなシミュレーションで得られた部品実装時間は、経時変化等の様々な要因により実際の稼動時に要する部品実装時間と乖離してしまうことがある。
そこで、従来、経時変化にともなって部品の実装時間も変化することに着目し、部品実装機の部品実装に係る各動作に関するシミュレーション上のパラメータを、固定とはせずに経時変化に応じて変化させることでシミュレーションの精度を向上させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2003−17897号公報
しかしながら、上記従来の方法では、吸着ノズルに吸着された部品をカメラ等により認識するために必要な時間(認識時間)については、どのようにシミュレーションの精度を向上させるかは明らかにされていない。従来、部品実装時間シミュレーションにおいて、部品の認識時間はシミュレーションの精度を向上させるうえで重要な要素ではなく、認識時間を無視する、又は、一定として算出している。しかし、最近では部品実装機が実装する部品の種類が増加するにしたがって、コネクタ等の異形部品を基板に実装する機会も多くなり、従来のような認識時間を無視する、又は、一定として部品実装時間をシミュレーションしたのでは、十分な精度が得られない状況になっている。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、精度の高い部品実装時間のシミュレーションを可能とする、特に部品の認識に要する時間のシミュレーションの精度を向上させる部品実装時間シミュレーション方法等の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明における部品実装時間シミュレーション方法は、吸着ノズルに吸着された部品を認識する認識手段を備える部品実装機によって基板に部品を実装する際の実装時間をシミュレーションする部品実装時間シミュレーション方法であって、記憶手段に記憶された部品種ごとに、部品の認識に要すると予想される時間である第1の予想認識時間が示された第1の情報テーブルを参照することで、所定の部品種に対応する前記第1の予想認識時間を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した前記第1の予想認識時間を利用して前記実装時間をシミュレーションするシミュレーションステップと、前記部品実装機において部品認識時間を部品種ごとに実測し、実測された時間を前記第1の予想認識時間として前記第1の情報テーブルに登録する登録ステップとを含み、前記第1の情報テーブルには、さらに、部品種ごとに、部品吸着状態の位置ずれを認識するためのアルゴリズムの種別を識別する認識種別番号が示され、前記取得ステップでは、前記部品種に対応する前記第1の予想認識時間が取得できない場合に、前記認識種別番号を取得し、前記記憶手段に格納された前記認識種別番号ごとに第2の予想認識時間が示された第2の情報テーブルを参照することで、前記認識種別番号に対応する前記第2の予想認識時間を取得することを特徴とする。
これにより、部品の認識時間を一律としてシミュレーションすることが難しい部品において、部品種ごとに記憶された予想認識時間を利用することにより、精度の高い部品実装時間のシミュレーションを行うことが可能となる。つまり、部品種に依存して認識時間が異なることが考慮されてシミュレーションが実行される。さらに、このようにして得られた精度の高い部品実装時間のシミュレーション結果を利用して、部品実装条件の最適化を行うことで、従来よりも実際の稼動時における部品実装に要する時間を短縮するという効果も期待できる。
これにより、部品の認識時間を予測することが難しい部品において、実際に部品実装機で部品の認識に要する時間を実測し、実測された時間を利用して部品実装時間シミュレーションを行うことが可能となる。その結果、理論値ではなく現実の値に基づく精度の高い部品実装時間のシミュレーションが可能となる。
これにより、一部の部品種でしか部品種ごとの予想認識時間が登録されていない場合であっても、登録されている部品種については精度の高いシミュレーションを実現することができる。
また、前記登録ステップでは、不規則な形状をした部品である異形部品の部品種について前記登録をすることが好ましい。
これにより、認識アルゴリズム等により部品の認識時間を予測することが難しいコネクタ等の異形部品を中心に部品種ごとの予想認識時間を登録することで、予想認識時間の登録に費やす労力とシミュレーションの精度向上のバランスを図ることができる。
なお、本発明は、このような部品実装時間シミュレーション方法に含まれるステップを手段とする部品実装時間シミュレーション装置又は部品実装機として実現することもできる。また、部品実装時間シミュレーション方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)等の記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができる。
本発明により、部品実装時間のシミュレーションの精度を向上させる、特に部品の認識に要する時間のシミュレーションの精度を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態における部品実装機について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における部品実装機の構成を示す外観図である。図に示す部品実装機100は、本発明に係る部品実装機の一例であり、後述するように精度の高い実装時間シミュレーション機能を備える点に特徴を有する。この部品実装機100は、上流から回路基板(以下、単に基板という)20を受け取り、その基板20に対して部品を実装し、その部品が実装された基板20を下流側に送り出す。なお、部品実装機100によって部品が実装された基板20を、以下、実装基板という。また、部品実装機100は、オペレータからの操作を受け付けたり、操作結果を表示したりするための操作パネル105を備える。
図2は、部品実装機100内部の主要な機械的構成を示す平面図である。部品実装機100は、基板20に対して部品を実装する2つの実装ユニット110a、110bと、基板20を搬送するための一対の基板搬送レール122a、122bとを備える。2つの実装ユニット110a、110bは、協調して基板搬送レール122a、122b上にある基板20に対して部品を実装する。
実装ユニット110aと実装ユニット110bはそれぞれ同様の構成を有している。つまり、実装ユニット110a及び110bは、それぞれ、部品供給部115、部品認識カメラ116、ヘッド112を備える。
なお、本実施の形態では、ヘッド112が実装ユニットごとに備えられる事例について説明するが、本発明が適用される部品実装機は、このような部品実装機に限定されるものではない。例えば、ヘッド112を1つしか備えていない部品実装機であっても本発明を適用可能である。
ここで、実装ユニット110aの詳細な構成について説明する。なお、実装ユニット110bの詳細な構成については、実装ユニット110aと同様であるため省略する。
部品供給部115は、部品テープを収納する複数の部品カセット(フィーダ)114の配列からなる。また、部品供給部115の各部品カセット114は、基板20の搬送方向(X軸方向)に沿って配列されている。なお、部品テープとは、例えば、同一部品種の複数の部品がテープ(キャリアテープ)上に並べられたものであり、リール等に巻かれた状態で供給される。また、部品テープに並べられる部品は、例えばチップ部品であって、具体的には0402チップ部品や1005チップ部品等である。
ヘッド112は、例えばマルチ装着ヘッドと呼ばれるヘッドであって、X軸方向及びY軸方向へ自在に動くことができる。また、ヘッド112は複数の吸着ノズル(以下、単にノズルという)を備えることができ、部品供給部115から例えば10個の部品を吸着して基板20に装着することができる。
基板搬送レール122a、122bは、それぞれX軸方向に対して平行となるように配置されている。ここで、基板搬送レール122aは固定され、基板搬送レール122bは、搬送される基板20のサイズ(幅)に応じてY軸方向に移動する。部品実装機100に搬入された基板20は、一対の基板搬送レール122a、122b上に沿って搬送されてストッパー等により停止される。
部品認識カメラ116は、ヘッド112に吸着された部品を撮影し、その部品の形状や吸着状態を2次元又は3次元的に検査するために用いられる。また、部品認識カメラ116は、部品供給部115におけるX軸方向に沿った中央付近に配置されている。
このように構成された部品実装機100では、部品供給部115から供給される部品のヘッド112による「吸着」、吸着された部品の部品認識カメラ116による「撮像」及び「認識」、部品認識カメラ116から基板20までのヘッド112による「移動」、ヘッド112による吸着された部品の基板20上の各実装点への「装着」という一連の動作が繰り返し実行されることで、複数の部品が基板20へ実装される。ここで実行される一連の動作、または1回あたりの一連の動作でヘッドに吸着される部品群を、以下、タスクという。また、実装点とは、基板20上の部品が実装されるべき位置である。このような、部品の「吸着」、「撮像」、「認識」、「移動」及び「装着」の各動作を正確に予測することで、精度の高い部品実装時間のシミュレーションを行うことが可能となる。
図3は、本発明に係る部品実装時間シミュレーションにおいて精度向上の対象となる動作である、部品認識カメラ116による部品の認識について説明するための図である。部品認識カメラ116には、2次元画像を撮像する2Dカメラと、高さ情報も検出できる3Dカメラが搭載されている。なお、2Dカメラ又は3Dカメラの一方のみが搭載されている部品認識カメラ116であってもよい。図に示すように、部品認識カメラ116上をヘッド112が移動する際に、部品認識カメラ116が上記の2Dカメラ又は3Dカメラを利用して部品を撮像する。ここで、認識スキャン速度(部品認識カメラ116の上方をヘッド112が移動する速度)は、撮像するカメラに依存するため比較的容易に部品の撮像に要する時間をシミュレーションすることができる。なお、本実施の形態では、ヘッド112が部品認識カメラ116上を一定速度で移動している際に、部品認識カメラ116が部品を撮像する事例について説明するが、本発明が適用される部品実装機は、このような部品実装機に限定されるものではない。例えば、ヘッド112が部品認識カメラ116上で一時停止した際に、部品認識カメラ116が部品を撮像しても構わない。
このように撮像された画像から部品の形状を解析することにより、吸着されている部品がこれから装着しようとしている部品で間違いないか等の確認を行う。また、撮像された画像から、ノズル140に吸着されている部品の位置と本来吸着されているはずの位置とのずれを解析することにより、基板20へ部品を装着する際の補正の必要性や補正すべき量等を算出する。このような、画像の解析、部品の確認、装着時の補正量の算出等を部品の認識という。なお、部品の認識は、ヘッド112が撮像後に部品認識カメラ116から基板20上の実装点へ移動するのと並行して実行することができ、部品の認識及び実装点への移動の両方が終了することで部品の装着が可能となる。また、認識する部品の順番は撮像された部品の順番と同じである。
この部品の認識に要する時間(認識時間)は、1005形状等のチップ部品であれば、認識アルゴリズムを決定する番号である認識種別番号を決めれば、ほぼ同一の時間となる。ここで、認識アルゴリズムとは、撮像するカメラの種類及び撮像条件(照明等)に応じて、吸着した部品の形状を認識して部品の吸着状態の位置ずれを認識するためのアルゴリズム等のことをいう。しかし、異形部品と呼ばれる特殊な部品では、認識種別番号が同じであっても認識時間は異なる。ここで異形部品とは、汎用部品ではない不規則な形状の部品であり、例えば、図4に示されるようなコネクタ、BGA(Ball Grid Array)、コンデンサ等である。このような異形部品においては、認識種別番号ごとに設定された一律の予想認識時間を利用してシミュレーションした場合、シミュレーションで得られる実装時間と、実際の稼動時に要する実装時間との間の誤差が大きくなる傾向がある。そこで本実施の形態では、後述するように、異形部品と呼ばれるような認識種別番号が同じであっても認識時間が異なるような部品においては、認識種別番号ではなく部品種に対応した予想認識時間を利用することで、シミュレーションの精度を高めることを可能とする。
図4は、代表的な異形部品の一例を示す図である。ここで示されるような異形部品は、認識種別番号が同一であり、異形複合認識という同一のアルゴリズムを利用して認識が行われる。一般的に、予想認識時間を一律100ms程度としてシミュレーションされることが多い。
図4(a)は、異形コネクタの一例である。コネクタとは、ケーブル同士、ケーブルと基板、基板同士を接続する際に使われる接続部品のことである。図に示されるように、端子が2段になっていたり、端子によって長さが異なったりする異形コネクタの場合、事前に認識時間を予想することが難しい。条件によっては、実際の稼動時に要する認識時間が200ms程度となり、予想よりも時間を要する場合がある。
図4(b)は、異形BGAの一例である。BGAとは、端子が行列(Grid)状に配置される部品のことである。図に示されるように、端子の間隔が一定でなかったり、端子の抜けがパターン化できなかったりする異形BGAの場合、事前に認識時間を予想することが難しい。条件によっては、実際の稼動時に要する認識時間が950ms程度となり、予想よりも時間を要する場合がある。
図4(c)は、異形電解コンデンサの一例である。図に示されるように、円筒状の本体の端部に浅皿状の底部を備えている場合、事前に認識時間を予想することが難しい。条件によっては、実際の稼動時に要する認識時間が50ms程度となり、予想よりも短い時間で認識が終了する場合がある。
以上のような異形部品においては、実際に部品の実装を行う前に、実機を利用して部品の認識を試行し、認識に必要なパラメータを取得するという教示という作業を行うことが多い。
図5は、本発明に係る部品実装時間シミュレーション機能を備えていることに特徴を有する部品実装機100の機能構成を示すブロック図である。この部品実装機100は、機構部150、制御部151、表示部152、入力部153、記憶部154、登録部155、取得部156、シミュレーション部157、通信部158を備えている。
機構部150は、図2に示されるヘッド112、部品供給部115及び部品認識カメラ116等の機構部品の集合である。
制御部151は、例えば制御プログラムを格納しているメモリやマイコン等からなり、予め設定された実装条件に従って制御プログラムが機構部150を制御することで、順次搬入されてくる基板20に対して部品を装着し、実装基板を下流に搬出する。
表示部152は、例えば図1で示される操作パネル105や液晶ディスプレイ等で構成されており、記憶部154等に格納されているデータを表示したり、シミュレーション部157が実行したシミュレーションの結果を表示したりする。
入力部153は、例えば図1で示される操作パネル105やキーボード等で構成されており、オペレータからの部品の教示等の開始の指示を受け付ける。この入力部153が受け付けた操作結果は、制御部151や登録部155等に通知される。
記憶部154は、例えば読み書き可能なメモリ等からなり、部品ライブラリ154a、認識種別データ154b、実装点データ154c及び実装条件データ154dを記憶する記憶手段の一例である。各データの詳細は後述する。
登録部155は、例えばメモリやマイコン等によって実現される処理部であり、部品ライブラリ154aに予想認識時間を登録する登録手段の一例である。この登録部155は、入力部153が受け付けた指示に従って機構部150及び制御部151が実行した部品の認識動作により測定された部品の認識時間を、あるいは、オペレータによって指定された部品の認識時間を取得し、部品ライブラリ154aに取得した部品認識時間を予想認識時間として登録する。
取得部156は、例えばメモリやマイコン等によって実現される処理部であり、部品ライブラリ154a又は認識種別データ154bから予想認識時間を取得する取得手段の一例である。
シミュレーション部157は、例えばメモリやマイコン等によって実現される処理部であり、実装条件データ154d等に基づいて部品の実装時間をシミュレーションするシミュレーション手段の一例である。このシミュレーション部157は、取得部156が取得した予想認識時間を利用して実装時間のシミュレーションを実行する。
通信部158は、他の情報端末等と通信を行う処理部であり、例えば、実装点データ154cや実装条件データ154d等を、実装条件を決定する装置等から取得して、それらを記憶部154に格納する。
図6は、図5で示された部品ライブラリ154aの一例を示す図である。この部品ライブラリ154aは、部品種ごとに予想認識時間及び認識種別番号が示された情報テーブルの一例であり、部品実装機100が扱うことができる全ての部品種のそれぞれについての固有の情報を集めたライブラリである。図中に示されるように、その部品種(部品名)における部品サイズ、部品吸着状態の位置ずれを認識するためのアルゴリズムの種別を識別する認識種別番号、図3で示されるような部品の認識に要すると予想される時間である予想認識時間及びその他制約情報等からなる。例えば、部品種が4TRである部品の予想認識時間は150msであり、認識種別番号はRXであることを示す。なお、図中の0603CR等の部品種のように、認識アルゴリズム(認識種別番号)から予想認識時間を特定することができる等の理由により、予想認識時間が登録されていない場合もある。なお、認識アルゴリズム(認識種別番号)から予想認識時間を特定することができる場合であっても、予想認識時間が部品ライブラリ154aに登録されても構わない。
図7は、図5で示された認識種別データ154bの一例を示す図である。この認識種別データ154bは、認識種別番号ごとに予想認識時間が示された情報テーブルの一例であり、図中に示すように、認識種別番号における部品の撮像に利用する2次元、3次元等のカメラの種類であるカメラ種別、図3で示されるような部品の認識に要すると予想される時間である予想認識時間等からなる。この認識種別データ154bを参照することで、部品ライブラリ154aに予想認識時間が登録されていない部品種の予想認識時間を特定することが可能となる。
図8は、図5で示された実装点データ154cの一例を示す図である。この実装点データ154cは、通信部158が実装条件を決定する装置等から取得したデータであり、基板20において装着の対象となる全ての部品の実装点に関する情報を示す。1つの実装点piは、部品種ci、X座標xi、Y座標yi、制御データφi、および実装角度θiからなる。ここで、部品種は、部品ライブラリ154aにおける部品名に相当し(図6参照)、X座標およびY座標は実装点の座標であり、制御データφiは、その部品の装着に関する制約情報、例えば、使用可能なノズル140のタイプや、ヘッド112の最高移動加速度等を示す。実装角度θiは、部品種ciの部品を吸着したノズル140が回転すべき角度を示す。
図9は、図5で示された実装条件データ154dの一例を示す図である。この実装条件データ154dは、通信部158が実装条件を決定する装置等から取得したデータであり、部品供給部115における部品カセット114の配列(部品配列)や、ヘッド112のタスクごとの実装順序等を示す。例えば、実装条件データ154dは、部品配列として、部品供給部Aには、X軸方向の一方からA1番目に部品種c1があり、A2番目に部品種c2があることを示し、部品供給部Bには、X軸方向の一方からB1番目に部品種c1があり、B2番目に部品種c2があることを示す。また、実装条件データ154dは、ヘッドAの実装順序として、部品種c1〜c4の部品を含むタスク番号Ta1のタスクが実装点p1〜p4へ装着され、次に、部品種c9〜c12の部品を含むタスク番号Ta2のタスクが実装点p5〜p8へ装着され、さらにその後、部品種c17〜c20の部品を含むタスク番号Ta3のタスクが実装点p9〜p12へ装着されることを示す。ヘッドBの実装順序については、ヘッドAと同様であるので説明を省略する。
次に、以上のように構成された本実施の形態における部品実装機100の基本的な動作について説明する。
図10は、部品実装機100による部品実装時間のシミュレーションに関わる処理手順を示したフローチャートである。
まず、取得部156は、部品ライブラリ154aを参照することで、部品種ごとに設定された予想認識時間を取得する(S101)。ここで、部品ライブラリ154aに予想認識時間が登録されていない等の理由により、予想認識時間が取得できなかった場合(S102でNo)、取得部156は、部品ライブラリ154aから部品種に対応した認識種別番号を取得し、認識種別データ154bを参照することで、取得した認識種別番号に対応する予想認識時間を取得する(S103)。一方、予想認識時間が取得できた場合は(S102でYes)、ステップS103の処理は行わずステップS104の処理へ進む。
そして、シミュレーション部157は、ステップS101又はステップS103で取得された予想認識時間を利用して、部品の実装時間のシミュレーションを実行する(S104)。
最後に、シミュレーション部157は、シミュレーションにより得られた実装時間を表示部152に表示し(S105)、終了する。
なお、ステップS104の実装時間のシミュレーションでは、ステップS101〜S103の処理で1つのタスクに含まれる部品種の予想認識時間を取得し、タスクごとの「吸着」、「撮像」、「認識」、「移動」及び「装着」等の動作に要する各時間を算出し、機械的な制約条件及び実装条件データ154d等に示されたタスク内の部品の撮像順や装着順等の制約条件を考慮しながら積算することで実装時間が求められる。例えば、ある一つの部品を基板20に装着するタスクにおいて、「吸着」、「撮像」、「認識」、「移動」及び「装着」の時間がそれぞれ、100ms、100ms、50ms、100ms及び100msと算出された場合、このタスクの実行に要する時間は、400msとなる。ここで、各動作の所要時間の和である450msとならないのは、「認識」と「移動」の動作は並行して実行できるので、「認識」と「移動」に要する時間のうち大きい方の時間のみを考慮して積算すればよいからである。このような同時に並行して実行することができる動作が存在するのは、実装ユニットが異なるタスク同士の関係でも同様である。つまり、同一の基板20に部品を実装する実装ユニット110a及び110bにおいて実行されるタスクが1つずつ存在する場合に、各タスクの所要時間の単純合計が実装時間となるわけではない。例えば、実装ユニット110aが部品の「装着」を実行しているときに、実装ユニット110bが部品の「吸着」及び「認識」を実行することが可能である。
図11は、図10で示された処理手順により、部品実装時間のシミュレーションの精度が向上する一例を示す図である。図では、4個の部品の「吸着」、吸着された部品の「撮像」及び「認識」、吸着された部品の基板20の各実装点への「移動」及び「装着」という1つのタスクにおける各動作の所要時間を棒グラフで示している。なお、この図においてシミュレーションの対象とするタスクは、図4で示されるような異形部品を実装するタスクとする。
図11(a)は、従来の方法で部品実装時間をシミュレーションした場合、つまり、異形部品の予想認識時間を一律としてシミュレーションした場合の、タスク実行に要する時間を示したグラフである。まず、ヘッド112が部品供給部115から異形部品c1、c2、c3及びc4の吸着を行う。この「吸着」に要する時間は、実装条件データ154d等から得られる情報をもとにシミュレーションされ、時刻t0に開始し、時刻t1に終了する。
次に、ヘッド112は、「吸着」が終了すると、吸着された部品を保持した状態で部品認識カメラ116上を一定速度で通過する。その通過の際に、部品認識カメラ116は部品の撮像を行う。この「撮像」に要する時間は、部品ライブラリ154a及び認識種別データ154b等を参照することで特定されたカメラ種別に対応した認識スキャン速度を利用してシミュレーションされ、「吸着」が終了した時刻t1に開始し、時刻t2に終了する。
そして、部品認識カメラ116は、「撮像」が終了すると、撮像した画像から撮像した部品の順番で、つまり異形部品c1、c2、c3、c4の順番で部品の認識を行う。この「認識」に要する時間は、従来、部品認識番号に対応した予想認識時間、つまり異形部品c1、c2、c3及びc4で同一の予想認識時間を用いてシミュレーションされ、「撮像」が終了した時刻t2に開始し、時刻t4に終了する。
一方、ヘッド112は、「撮像」が終了すると、「認識」の動作と並行しながら、これから装着しようとする部品の基板20上の実装点へ順に移動する。そして、ヘッド112は、「移動」が終了かつ「認識」が終了した部品から順に、基板20上の実装点へ装着する。つまり、ヘッド112は、始めに、異形部品c1の実装点へ移動し、異形部品c1の「認識」の終了後に、異形部品c1を実装点へ装着する。次に、ヘッド112は、異形部品c1の装着が終了すると、異形部品c2の実装点へ移動し、異形部品c2の「認識」の終了後に、異形部品c2を実装点へ装着する。続けて、異形部品c3及びc4についても、異形部品c1及びc2と同様に、ヘッド112は、順に「移動」及び「装着」を実行する。その結果、異形部品c1、c2、c3、c4が基板20へ装着され、タスクが終了する。ここで「移動」に要する時間は、部品ライブラリ154a等から得られる吸着された部品に対応した最高速度以下で移動するようにシミュレーションされる。また、「装着」に要する時間は、装着される部品等に対応した予想装着時間を利用してシミュレーションされる。図に示されるように、ヘッド112による「移動」及び「装着」は、「撮像」が終了した時刻t2に開始し、時刻t5に終了する。また、異形部品c1に着目すると、「認識」及び「移動」は、ともに「撮像」が終了した時刻t2に開始し、時刻t3に終了する。そして、異形部品c1の「装着」は、「認識」及び「移動」がともに終了した時刻t3に開始する。
以上のような異形部品の予想認識時間を一律としたシミュレーションにおいて、実際の稼動時に要する認識時間が一律ではなかった場合、つまり図に示すように異形部品c1の認識時間が他の部品の認識時間より長く、時刻t3ではなく時刻t3’に終了するような場合は、シミュレーションと実際との間に認識時間の誤差が発生する。
図11(b)は、図10で示された処理手順によりシミュレーションした場合、つまり、異形部品の予想認識時間を部品種ごとに設定してシミュレーションした場合の、タスク実行に要する時間を示したグラフである。「吸着」及び「撮像」は、図11(a)と同様であるので説明を省略する。
図に示されるように、一律に設定された予想認識時間ではなく、部品種ごとに定められた予想認識時間を利用してシミュレーションされるため、異形部品c1の認識時間が他の異形部品より長いというシミュレーションも可能となる。その結果、異形部品c1の「認識」が終了する時刻は時刻t3’となり、実際の稼動時に要する時間と等しい、あるいは、それに近い結果が得られる。
「装着」は、「認識」の終了により開始可能となるため、開始時刻が時刻t3から時刻t3’となる。この「装着」の開始時刻が遅れる影響により、後続の異形部品c2、c3、c4に係る「移動」及び「装着」の開始時刻及び終了時刻が遅れる。その結果、タスクの終了時刻も図11(a)で得られる時刻t5から時刻t5’に変更される。
以上より、従来のように全ての異形部品で一律の予想認識時間を利用してシミュレーションすると、他の異形部品と実際の稼動時に要する認識時間が異なる異形部品(図では異形部品c1)では、シミュレーションと実際の間に認識時間の誤差が発生する。そして、認識で発生した誤差が後続の動作のシミュレーションにも影響することで、結果として実装時間全体として誤差が発生することがわかる。一方、部品種ごとに設定された予想認識時間を利用してシミュレーションすることで、認識時間が他の異形部品と異なる異形部品でも、認識時間の誤差の発生を抑えることができ、部品実装時間のシミュレーションの精度を高めることができる。
図12は、部品実装時間のシミュレーション結果が、部品実装条件の最適化に及ぼす影響を説明するための図である。
図12(a)は、図11(b)と同様のグラフであり、図10で示された処理手順によりシミュレーションした場合のタスク実行に要する時間を示したグラフである。図に示されるように、シミュレーションされた実装条件で部品の実装を実行すると、時刻t3に異形部品c1の基板20上の実装点への「移動」が終了したヘッド112は、異形部品c1の「認識」が終了する時刻t3’まで基板20上で待機する必要があることがわかる。このようなヘッド112の待機時間は、図12(a)のような精度の高いシミュレーションが行えることで初めて実装前に把握することができる。そして、ヘッド112の待機時間を削減するように実装条件を最適化することで、実装時間の短縮が可能となる。
図12(b)は、実装条件の最適化により実装時間が短縮された一例を示したグラフである。図に示されるように、「認識」を実行する部品の順番を変更する、つまり、認識時間の長いc1の認識を最後に行うように実装条件を変更することで、時刻t3から時刻t3’で発生していたヘッド112の待機時間が発生しなくなる。そして、最終的なタスクの終了時刻を時刻t5’から時刻t5”に早めることが可能となる。
このように、部品実装時間のシミュレーションの精度が向上することで、部品実装条件の最適化の効果を高めることも可能となる。
なお、このような精度の高いシミュレーションを可能とするには、部品種ごとに登録された予想認識時間の精度が高いことが前提となる。しかし、図4で示されたような異形部品では、部品寸法、リードの数や色、リードピッチの寸法等の情報から、事前に認識時間を特定することが難しい。そこで、実機による教示の際に認識時間を測定し、測定された認識時間を部品種ごとの予想認識時間として利用することが望ましい。
図13は、部品実装機100で実際に測定した部品種ごとの認識時間の登録に関わる処理手順を示したフローチャートである。
まず、入力部153等から開始の指示を受けると、制御部151は、ヘッド112を制御して、部品供給部115から指示された部品の吸着を実行させる(S201)。次に、制御部151は、部品を吸着したヘッド112を部品認識カメラ116の上方を移動させて、吸着された部品を部品認識カメラ116に撮像、認識させる(S202)。そして、登録部155は、認識に要した時間を計測して、記憶部154に記憶された部品ライブラリ154aに、計測された時間を対応する部品種の予想認識時間として登録する。併せて、登録部155は、表示部152に計測された時間を表示する(S203)。
以上の処理によって、例えば図14に示されるように、オペレータが教示ボタンを押下して部品の認識時間の計測開始を指示した場合に、実際に部品の認識が実行され、認識に要した時間が計測される。そして、計測された認識時間が、画面に表示されるとともに、予想認識時間として部品ライブラリ154aに保存される。
このように、実機において実際に計測された部品の認識時間を、部品種ごとの予想認識時間として情報テーブルに登録することで、事前に認識時間を予測することが難しい異形部品等においても予想認識時間の精度を高めることが可能となる。
以上のように、本実施の形態によれば、部品の認識時間を一律に予測することが難しい異形部品のような部品において、実際に部品実装機で実測した部品の認識時間を利用して部品実装時間シミュレーションを行うことで、精度の高い部品実装時間のシミュレーションを行うことが可能となる。さらに、このようにして得られた精度の高い部品実装時間のシミュレーション結果を利用して、部品実装条件の最適化を行うことで、従来よりも実際の稼動時に要する実装時間を短縮することも可能となる。
以上、本発明に係る部品実装機について、実施の形態に基づいて説明した、本発明は本実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、本実施の形態では、部品実装機が部品実装時間のシミュレーションを行っていたが、部品実装時間シミュレーション装置が行ってもよい。その場合、部品実装時間シミュレーション装置は、部品実装機とネットワークを介して接続され、図5で示された記憶部154、取得部156及びシミュレーション部157を備えることとなる。そして、部品実装機に備えられた記憶部154には、部品ライブラリ154a、認識種別データ154b、実装点データ154c及び実装条件データ154dが記憶されることとなる。また、部品実装機が備える登録部155は、ネットワークを介して、部品実装時間シミュレーション装置に備えられた記憶部154に記憶された部品ライブラリ154aに部品認識時間を登録することとなる。
本発明は、基板に部品を実装することにより実装基板を生産する部品実装機の実装時間をシミュレーションする部品実装機等として、特に、吸着ノズルに吸着された部品の認識に要する時間のシミュレーションの精度を向上させることができる部品実装機等として、例えば、各部品実装機の上位に位置する生産ライン監視用コンピュータや各部品実装機内に実装されるコンピュータ等として、利用することができる。
本発明の実施の形態に係る部品実装機の構成を示す外観図である。 部品実装機内部の主要な機械的構成を示す平面図である。 部品認識カメラによる部品の認識について説明するための図である。 (a)、(b)及び(c)は、代表的な異形部品の一例を示す図である。 部品実装機の機能構成を示すブロック図である。 部品ライブラリの一例を示す図である。 認識種別データの一例を示す図である。 実装点データの一例を示す図である。 実装条件データの一例を示す図である。 部品実装時間のシミュレーションに関わる処理手順を示したフローチャートである。 (a)及び(b)は、部品実装時間のシミュレーションの精度が向上する一例を示す図である。 (a)及び(b)は、部品実装時間のシミュレーション結果が部品実装条件の最適化に及ぼす影響を説明するための図である。 認識時間の登録に関わる処理手順を示したフローチャートである。 認識時間の登録に関わる画面の一例を示す図である。
符号の説明
20 基板
100 部品実装機
105 操作パネル
110a、110b 実装ユニット
112 ヘッド
114 部品カセット
115 部品供給部
116 部品認識カメラ
122a、122b 基板搬送レール
140 ノズル
150 機構部
151 制御部
152 表示部
153 入力部
154 記憶部
154a 部品ライブラリ
154b 認識種別データ
154c 実装点データ
154d 実装条件データ
155 登録部
156 取得部
157 シミュレーション部
158 通信部

Claims (1)

  1. 吸着ノズルに吸着された部品を認識する認識手段を備える部品実装機によって基板に部品を実装する際の実装時間をシミュレーションする部品実装時間シミュレーション方法であって、
    記憶手段に記憶された部品種ごとに、部品の認識に要すると予想される時間である第1の予想認識時間が示された第1の情報テーブルを参照することで、所定の部品種に対応する前記第1の予想認識時間を取得する取得ステップと、
    前記取得ステップで取得した前記第1の予想認識時間を利用して前記実装時間をシミュレーションするシミュレーションステップと、
    前記部品実装機において部品認識時間を部品種ごとに実測し、実測された時間を前記第1の予想認識時間として前記第1の情報テーブルに登録する登録ステップとを含み、
    前記第1の情報テーブルには、さらに、部品種ごとに、部品吸着状態の位置ずれを認識するためのアルゴリズムの種別を識別する認識種別番号が示され、
    前記取得ステップでは、前記部品種に対応する前記第1の予想認識時間が取得できない場合に、前記認識種別番号を取得し、前記記憶手段に格納された前記認識種別番号ごとに第2の予想認識時間が示された第2の情報テーブルを参照することで、前記認識種別番号に対応する前記第2の予想認識時間を取得する
    ことを特徴とする部品実装時間シミュレーション方法。
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