JP6011608B2 - 二次電池負極用バインダー組成物、二次電池用負極、二次電池負極用スラリー組成物、製造方法及び二次電池 - Google Patents
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Description
特許文献2には、芳香族イミド基とガラス転移点が30℃以下のポリマーを形成し得るソフトセグメントとを含有する所定の分子量のウレタン樹脂をバインダーとして用いることが開示されている。
特許文献3には、−35℃以下のガラス転移温度と所定以下の分子量を有する重合体をバインダーとして用いることが開示されている。
さらに、従来の二次電池においては、高温環境での充放電の繰り返しによる容量の低下を、より少なくする技術の開発も望まれている。また、上記の性能を向上させるため、二次電池用の電極の製造において、集電体と、集電体上に形成された電極活物質層との密着性を高めることが望まれ、且つ、均質な製品を効率的に製造することも望まれている。
すなわち、本発明によれば以下の〔1〕〜〔12〕が提供される。
前記水溶性重合体のガラス転移温度が30℃〜80℃であり、
前記水溶性重合体において、分子量100,000以上の分子の個数の割合が30%以下であり、且つ分子量100以上1000以下の分子の個数の割合が0.1%以上10%以下である、
二次電池負極用バインダー組成物。
〔2〕 前記水溶性重合体が、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有し、前記水溶性重合体中の前記フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合が1〜20重量%である〔1〕記載の二次電池負極用バインダー組成物。
〔3〕 前記水溶性重合体が、架橋性単量体単位を含有し、前記水溶性重合体中の前記架橋性単量体単位の含有割合が0.1〜2重量%である〔1〕または〔2〕記載の二次電池負極用バインダー組成物。
〔4〕 前記水溶性重合体が、反応性界面活性剤単位を含有し、前記水溶性重合体中の前記反応性界面活性剤単位の含有割合が0.1〜5重量%である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の二次電池負極用バインダー組成物。
〔5〕 前記粒子状バインダーと前記水溶性重合体の含有割合が、粒子状バインダー/水溶性重合体=99.5/0.5〜80/20(重量比)である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の二次電池負極用バインダー組成物。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の二次電池負極用バインダー組成物および負極活物質を含む二次電池用負極。
〔7〕 前記負極活物質が、リチウムを吸蔵し、放出する金属を含む〔6〕に記載の二次電池用負極。
〔8〕 前記負極活物質が、Si含有化合物を含む〔6〕または〔7〕に記載の二次電池用負極。
〔9〕 負極活物質、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の二次電池負極用バインダー組成物および水を含む二次電池負極用スラリー組成物。
〔10〕 〔9〕に記載の二次電池負極用スラリー組成物を、集電体上に塗布し、乾燥することを含む二次電池用負極の製造方法。
〔11〕 正極、負極、電解液、及びセパレーターを備えるリチウムイオン二次電池であって、前記負極が〔6〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の二次電池用負極である二次電池。
本発明の二次電池は、高温環境及び低温環境のいずれで保存した場合でも容量を低下し難く、且つ高温環境での充放電の繰り返しによる容量の低下が少ない。
本発明の二次電池負極用スラリー組成物を用いれば、本発明の二次電池用負極を製造できる。特に、スラリーの安定性が高いため、スラリー中に分散している粒子の偏在などの発生が少なく、その結果、性能の高い電池を容易に製造することができる。
本発明の二次電池用負極の製造方法によれば、本発明の二次電池用負極を製造できる。
本発明の二次電池負極用バインダー組成物は、粒子状バインダー、および特定の水溶性重合体を含む。
本発明のバインダー組成物が含有する粒子状バインダーは、負極において電極活物質を集電体の表面に結着させる成分である。本発明の負極では、粒子状バインダーが負極活物質を結着することにより、負極活物質層からの負極活物質の脱離が抑制される。また、粒子状バインダーは通常は負極活物質層に含まれる負極活物質以外の粒子をも結着し、負極活物質層の強度を維持する役割も果たしている。
粒子状バインダー重合体を製造するための単量体組成物は、1種類のみの脂肪族共役ジエン系単量体を含んでもよく、2種類以上の脂肪族共役ジエン系単量体を任意の比率で組み合わせて含んでもよい。したがって、粒子状バインダー重合体は、脂肪族共役ジエン系単量体単位を、1種類だけ含んでもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含んでもよい。
粒子状バインダー重合体を製造するための単量体組成物は、1種類のみの芳香族ビニル系単量体を含んでもよく、2種類以上の芳香族ビニル系単量体を任意の比率で組み合わせて含んでもよい。したがって、粒子状バインダー重合体は、芳香族ビニル系単量体単位を、1種類だけ含んでもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含んでもよい。
粒子状バインダー重合体を製造するための単量体組成物は、1種類のみのエチレン性不飽和カルボン酸単量体を含んでもよく、2種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸単量体を任意の比率で組み合わせて含んでもよい。したがって、粒子状バインダー重合体は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を、1種類だけ含んでもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含んでもよい。
単量体組成物中の各単量体の比率は、通常、粒子状バインダー重合体における繰り返し単位(例えば、脂肪族共役ジエン系単量体単位、芳香族ビニル系単量体単位、及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位)の比率と同様にする。
また、アミン類などの添加剤を重合助剤として用いてもよい。
本発明の二次電池負極用バインダー組成物は、酸性官能基を有する水溶性重合体(以下、単に「水溶性重合体」という場合がある。)を含む。
酸性官能基を有する水溶性重合体は、酸性官能基含有単量体、及び必要に応じて他の任意の単量体を含む単量体組成物を重合することによって調製しうる。このような方法によって、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性重合体を調製することができ、これを本発明の二次電池負極用バインダー組成物の水溶性重合体として用いることができる。
酸性官能基含有単量体の例としては、リン酸基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、及びカルボキシル基含有単量体を挙げることができ、特にカルボキシル基含有単量体が好ましい。
リン酸基含有単量体としては、例えば、リン酸基及びアリロキシ基を含む化合物、及びリン酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。リン酸基及びアリロキシ基を含む化合物としては、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸を挙げることができる。リン酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、ジオクチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノメチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジメチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノエチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジエチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノイソプロピル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジイソプロピル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノn−ブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジn−ブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノブトキシエチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブトキシエチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノ(2−エチルヘキシル)−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)−2−メタクリロイロキシエチルホスフェートなどが挙げられる。
前記の式(I)において、R2は、フッ素原子を含有する炭化水素基を表す。炭化水素基の炭素数は、好ましくは1以上であり、好ましくは18以下である。また、R2が含有するフッ素原子の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。
単官能性単量体に含まれる熱架橋性の架橋性基の例としては、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキセタニル基、オキサゾリン基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、エポキシ基が、架橋及び架橋密度の調節が容易な点でより好ましい。
カチオン系の親水基の例としては、−Cl、−Br、−I、及び−SO3ORXが挙げられる。ここでRXは、アルキル基を示す。RXの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基が挙げられる。
ノニオン系の親水基の例としては、−OHが挙げられる。
また、本発明の二次電池負極用バインダー組成物中の水溶性重合体は、分子量が異なる多数種類の分子の混合物であり、従って分子量分布を有する。
本発明の二次電池負極用バインダー組成物中の水溶性重合体においては、分子量100,000以上の分子の個数の割合は、30%以下であり、好ましくは25%以下であり、より好ましくは20%以下である。一方、分子量100,000以上の分子の個数の割合の下限は特に限定されないが、例えば10%以上とすることができる。分子量100,000以上の分子の個数の割合を前記上限値以下とすることにより、電極と集電体との密着性を構造させることができ、且つ電池の高温保存特性及び低温出力特性の向上等の、本発明の効果を得ることができる。分子量100,000以上の分子の分子量の上限は、特に限定されないが、1,000,000以下とすることができる。
本発明の二次電池負極用バインダー組成物中の水溶性重合体においては、さらに、分子量100以上1,000以下の分子の個数の割合は、0.1%以上であり、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上であり、一方10%以下であり、好ましくは8%以下であり、より好ましくは5%以下である。分子量100以上1,000以下の分子の個数の割合を前記上限値以下とすることにより、電極活物質層の耐久性を良好な範囲に保つことができる。また、分子量100以上1,000以下の分子の個数の割合を前記下限値以上とすることにより、電池の高温保存特性及び低温出力特性の向上等の、本発明の効果を得ることができる。
水溶性重合体の数平均分子量、及びその分布は、GPCによって、ジメチルホルムアミドの10体積%水溶液に0.85g/mlの硝酸ナトリウムを溶解させた溶液を展開溶媒としたポリスチレン換算の値として求めうる。
単量体組成物中の各単量体の比率は、通常、水溶性重合体における繰り返し単位(例えば、酸性官能基含有単量体単位、架橋性単量体単位、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、及び反応性界面活性剤単位)の比率と同様にする。
水溶性重合体の分子量分布は、単量体の種類及び割合を適宜選択することに加え、必要に応じて反応系に分子量調整剤を加えることにより調整することが可能である。具体的には、分子量調整剤を添加しない通常の重合反応では、分子量100以上〜1000以下の分子の個数の割合が0.1%未満となる場合において、ある種の分子量調整剤を反応系に添加することにより、かかる割合を0.1%以上に上昇させることができる。
水溶性重合体を製造する工程において、分子量調整剤を反応系に添加する際の添加量は、単量体組成物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.15重量部以上、さらにより好ましくは0.2重量部以上であり、一方好ましくは2.0重量部以下、より好ましくは1.5重量部以下、さらにより好ましくは1重量部以下である。分子量調整剤の添加量を当該範囲内とすることにより、ガラス転移温度及び分子量分布の両方を所望の範囲に調整することができる。
本発明の二次電池負極用バインダー組成物は、粒子状バインダー及び水溶性重合体のみからなってもよいが、必要に応じて、他の任意の成分を含みうる。例えば、反応性界面活性剤単位を含有するのに代えて、又は反応性界面活性剤単位を含有するのに加えて、別途界面活性剤を含むことができる。かかる界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることができる。
本発明の二次電池負極用バインダー組成物における粒子状バインダー及び水溶性重合体の含有割合は、特に限定されず、後述する本発明の二次電池負極用スラリー組成物及び本発明の二次電池用負極を調製するのに適した割合に適宜調整することができる。例えば、粒子状バインダー/水溶性重合体の重量比として、99.5/0.5〜80/20であることが好ましく、99/1〜85/15であることがより好ましく、98/2〜90/10であることがさらにより好ましい。これらの比率をこの範囲内とすることにより、電極活物質層と集電体との密着性、及び電池の耐久性を両立させることができる。
本発明の二次電池用負極(以下、適宜「本発明の負極」という。)は、前記本発明の二次電池負極用バインダー組成物及び負極活物質を含む。
通常、本発明の負極は、集電体と、前記集電体の表面に形成された負極活物質層とを備え、電極活物質層が前記の二次電池負極用バインダー組成物及び負極活物質を含む。
負極活物質は、負極用の電極活物質であり、二次電池の負極において電子の受け渡しをする物質である。
例えば本発明の二次電池がリチウムイオン二次電池である場合には、負極活物質として、通常は、リチウムを吸蔵及び放出しうる物質を用いる。このようにリチウムを吸蔵及び放出しうる物質としては、例えば、金属系活物質、炭素系活物質、及びこれらを組み合わせた活物質などが挙げられる。
炭素質材料としては、一般的には、炭素前駆体を2000℃以下で熱処理して炭素化させた、黒鉛化の低い(即ち、結晶性の低い)炭素材料である。前記の熱処理の下限は特に限定されないが、例えば500℃以上としてもよい。
本発明の負極における負極活物質及び二次電池負極用バインダー組成物の含有割合は、特に限定されないが、負極活物質100重量部に対する二次電池負極用バインダー組成物の量として、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、且つ、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5.0重量部以下である。負極活物質に対する二次電池負極用バインダー組成物の割合を上記範囲内とすることにより、上述した本発明の効果を安定して発揮できる。
本発明の負極において、負極活物質層には、上述した二次電池負極用バインダー組成物及び負極活物質以外に他の成分が含まれていてもよい。その成分の例を挙げると、粘度調整剤、導電剤、補強材、レベリング剤、電解液添加剤等が挙げられる。また、電池の性能に大きな悪影響を与えない範囲において、水溶性重合体の製造の際に用いた分子量調整剤等の物質が含まれていてもよい。また、これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
電解液添加剤の量は、負極活物質の量100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜10重量部である。電解液添加剤の量を上記範囲にすることにより、サイクル特性及び高温特性に優れた二次電池を実現できる。
ナノ微粒子の量は、負極活物質の量100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜10重量部である。ナノ微粒子が上記範囲であることにより、二次電池負極用スラリー組成物の安定性及び生産性を改善し、高い電池特性を実現できる。
本発明の負極は、上述した負極活物質、二次電池負極用バインダー組成物、並びに必要に応じて用いられる他の成分を含む負極活物質層を備える。この負極活物質層は、通常、集電体の表面に設けられる。この際、負極活物質層は、集電体の少なくとも片面に設けうるが、両面に設けられていることが好ましい。
集電体は、負極活物質層との接着強度を高めるため、表面に予め粗面化処理して使用することが好ましい。粗面化方法としては、例えば、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、通常、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用される。また、負極活物質層の接着強度や導電性を高めるために、集電体の表面に中間層を形成してもよい。
負極活物質層の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは30μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下である。負極活物質層の厚みが上記範囲にあることにより、負荷特性及びサイクル特性を良好にすることができる。
このような低い水分量は、水溶性重合体中の単位の組成を適宜調整することにより達成しうる。特に、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲にすることにより水分量を低減することができる。
本発明の二次電池用負極の製造方法(以下、適宜「本発明の負極の製造方法」という。)は特に制限されないが、例えば、(I)本発明の二次電池負極用スラリー組成物を用意し、その二次電池負極用スラリー組成物を集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより集電体の表面に負極活物質を形成する方法(塗布法)や、(II)本発明の二次電池負極用スラリー組成物から複合粒子を調製し、これを集電体上に供給してシート成形し、所望により、さらにロールプレスして負極活物質層を形成する方法(乾式成形法)等が挙げられる。
本発明の二次電池は、本発明の負極を備える。通常、本発明の二次電池は、正極、負極、電解液及びセパレーターを備え、前記負極が、本発明の負極となっている。
本発明の負極を備えるので、本発明の二次電池では、充放電に伴う負極の膨らみを抑制できたり、高温環境で保存した場合でも容量を低下し難くしたりできる。また、通常は、本発明の二次電池の高温サイクル特性及び低温出力特性を改善したり、負極活物質層の集電体への密着性を高めたりすることもできる。
正極は、通常、集電体と、集電体の表面に形成された、正極活物質及び正極用バインダーを含む正極活物質層とを備える。
上記の遷移金属としては、例えばTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo等が挙げられる。
遷移金属硫化物としては、例えば、TiS2、TiS3、非晶質MoS2、FeS等が挙げられる。
層状構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としては、例えば、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO2)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO2)、Co−Ni−Mnのリチウム複合酸化物、Ni−Mn−Alのリチウム複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム複合酸化物等が挙げられる。
スピネル構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としては、例えば、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)又はMnの一部を他の遷移金属で置換したLi[Mn3/2M1/2]O4(ここでMは、Cr、Fe、Co、Ni、Cu等)等が挙げられる。
オリビン型構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としては、例えば、LiXMPO4(式中、Mは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B及びMoからなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、Xは0≦X≦2を満たす数を表す。)で表されるオリビン型燐酸リチウム化合物が挙げられる。
さらに、前記の化合物を部分的に元素置換したものを正極活物質として用いてもよい。また、上記の無機化合物と有機化合物の混合物を正極活物質として用いてもよい。
正極活物質は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
電解液としては、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものを使用してもよい。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLiなどのリチウム塩が挙げられる。特に溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF6、LiClO4、CF3SO3Liは好適に用いられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
セパレーターとしては、通常、気孔部を有する多孔性基材を用いる。セパレーターの例を挙げると、(a)気孔部を有する多孔性セパレーター、(b)片面または両面に高分子コート層が形成された多孔性セパレーター、(c)無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート層が形成された多孔性セパレーター、などが挙げられる。これらの例としては、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリオレフィン系、またはアラミド系多孔性セパレーター、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルまたはポリビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレン共重合体などの固体高分子電解質用またはゲル状高分子電解質用の高分子フィルム;ゲル化高分子コート層がコートされたセパレーター;無機フィラーと無機フィラー用分散剤とからなる多孔膜層がコートされたセパレーター;などが挙げられる。
本発明の二次電池の製造方法は、特に限定されない。例えば、上述した負極と正極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口してもよい。さらに、必要に応じてエキスパンドメタル;ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子;リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をしてもよい。電池の形状は、例えば、ラミネートセル型、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型などいずれであってもよい。
1.密着強度
実施例および比較例で製造した負極を、長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して試験片とした。この試験片を、負極活物質層の表面を下にして、負極活物質層の表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは試験台に固定しておいた。その後、集電体の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を3回行い、その平均値を求めて、当該平均値をピール強度とした。ピール強度が大きいほど、負極活物質層の集電体への結着力が大きいこと、すなわち、密着強度が大きいことを示す。
実施例および比較例で製造したラミネート型セルのリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で、24時間静置させた後に、0.1Cの定電流法によって、4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を行い、その時の電気容量(初期容量C0)を測定した。さらに、25℃の環境下で、4.2Vに充電し、60℃で7日間保存した後、0.1Cの定電流法によって4.2Vまで充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を行い、高温保存後の電気容量C1を測定した。高温保存特性は、ΔCS=C1/C0×100(%)で示す容量変化率ΔCSにて評価した。この容量変化率ΔCSの値が高いほど、高温保存特性に優れることを示す。
実施例および比較例で製造したラミネート型セルのリチウムイオン二次電池を25℃の環境下で、24時間静置させた後に、0.1Cの定電流法によって、4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を行い、その時の電気容量(初期容量C0)を測定した。さらに、60℃の環境下で、0.1Cの定電流法によって、4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を100回(100サイクル)繰り返し、100サイクル後の電気容量C2を測定した。高温サイクル特性は、ΔCC=C2/C0×100(%)で示す容量変化率ΔCCにて評価した。この容量変化率ΔCCの値が高いほど、高温サイクル特性に優れることを示す。
前記の「4.高温サイクル特性」の評価の後でリチウムイオン二次電池のセルを解体し、負極を取り出し、これを、60℃、24時間、0.1MPa以下の減圧下で乾燥させた。乾燥させた負極について「1.密着強度」と同様にして密着強度を測定した。但し、試験片の寸法は長さ40mm、幅10mmとした。
実施例および比較例で製造したラミネート型セルのリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で、24時間静置させた後に、25℃の環境下で、4.2V、0.1Cの定電流法によって4.2Vに充電し、このときの電圧V0を測定した。その後、−25℃の環境下で、0.1Cの定電流法によって放電の操作を行い、放電開始10秒後の電圧V10を測定した。低温出力特性は、ΔV=V0−V10で示す電圧変化ΔVにて評価した。この電圧変化ΔVの値が小さいほど、低温出力特性に優れることを示す。
実施例および比較例で製造した水溶性重合体の水溶液を、それぞれ、乾燥厚みが1mmとなるようにシリコン容器に流入し、室温、72時間乾燥し、1cm×1cmの正方形のフィルムを作製した。このフィルムを、ジメチルホルムアミドに溶解して1%溶液を調製した。これを試料として、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を行い、数平均分子量及び分子量分布(分子量100,000以上の分子の個数の割合、及び分子量100以上1000以下の分子の個数の割合)を求めた。GPCの標準物質としてはポリスチレンを用い、展開溶媒としては、ジメチルホルムアミドの10体積%水溶液に0.85g/mlの硝酸ナトリウムを溶解させた溶液を用いた。
<測定条件>
GPC測定装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHZM−M
展開溶媒:ジメチルホルムアミドの10体積%水溶液に0.85g/mlの硝酸ナトリウムを溶解させた溶液
流速:0.6mL/min
注入量:20μl
温度:40℃
検出器:示差屈折率検出器RI(東ソー社製HLC−8320 GPC RI検出器)
(1−1.水溶性重合体の製造)
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、メタクリル酸(酸性官能基含有単量体)32.5部、エチレンジメタクリレート(架橋性単量体)0.8部、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体)7.5部、ブチルアクリレート(その他の単量体)58.0部、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(反応性界面活性剤単量体、花王製、商品名「ラテムルPD−104」)1.2部、t−ドデシルメルカプタン0.6部、イオン交換水150部、及び過硫酸カリウム(重合開始剤)0.5部を入れ、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、水溶性重合体を含む混合物を得た。上記水溶性重合体を含む混合物に、10%アンモニア水を添加して、pH8に調整し、所望の水溶性重合体を含む水溶液を得た。
得られた水溶性重合体について、ガラス転移温度、分子量及び分子量分布を測定した。結果を表1に示す。
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、1,3−ブタジエン33部、イタコン酸3.5部、スチレン63.5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4部、イオン交換水150部及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、粒子状バインダー(SBR)を含む混合物を得た。上記粒子状バインダーを含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った後、30℃以下まで冷却し、所望の粒子状バインダーを含む水分散液を得た。
上記(1−1)で得られた水溶性重合体を含む水溶液をイオン交換水で希釈して濃度を5%に調整した。そして、上記(1−2)で得られた粒子状バインダーを含む水分散液に、固形分相当で粒子状バインダー:水溶性重合体=97.0:3.0となるように混合して、二次電池負極用バインダー組成物を得た。
ディスパー付きのプラネタリーミキサーに、負極活物質として比表面積4m2/gの人造黒鉛(平均粒子径:24.5μm)70部、SiOC(平均粒子径:12μm)30部、分散剤としてカルボキシメチルセルロースの1%水溶液(第一工業製薬株式会社製「BSH−12」)を固形分相当で1部を加え、イオン交換水で固形分濃度55%に調整した後、25℃で60分混合した。次に、イオン交換水で固形分濃度52%に調整した後、さらに25℃で15分混合し混合液を得た。
上記(1−4)で得られた二次電池負極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して負極原反を得た。この負極原反をロールプレスで圧延して、負極活物質層の厚みが80μmの負極を得た。
得られた負極について、密着強度を測定した。結果を表2に示す。
正極用バインダーとして、ガラス転移温度Tgが−40℃で、数平均粒子径が0.20μmのアクリレート重合体の40%水分散体を用意した。前記のアクリレート重合体は、アクリル酸2−エチルヘキシル78重量%、アクリロニトリル20重量%、及びメタクリル酸2重量%を含む単量体混合物を乳化重合して得られた共重合体である。
正極活物質として体積平均粒子径0.5μmでオリビン結晶構造を有するLiFePO4を100部と、分散剤としてカルボキシメチルセルロースの1%水溶液(第一工業製薬株式会社製「BSH−12」)を固形分相当で1部と、正極用バインダーとして上記のアクリレート重合体の40%水分散体を固形分相当で5部と、イオン交換水とを混合した。イオン交換水の量は、全固形分濃度が40%となる量とした。これらをプラネタリーミキサーにより混合し、正極用スラリー組成物を調製した。
上記の正極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔の上に、乾燥後の膜厚が200μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、正極原反を得た。この正極原反をロールプレスで圧延して、正極極板を製造した。
単層のポリプロピレン製セパレーター(幅65mm、長さ500mm、厚さ25μm、乾式法により製造、気孔率55%)を、5×5cm2の正方形に切り抜いた。
電池の外装として、アルミ包材外装を用意した。上記(1−6)で得られた正極を、4×4cm2の正方形に切り出し、集電体側の表面がアルミ包材外装に接するように配置した。正極の正極活物質層の面上に、上記(1−7)で得られた正方形のセパレーターを配置した。さらに、上記(1−5)で得られた負極を、4.2×4.2cm2の正方形に切り出し、これをセパレーター上に、負極活物質層側の表面がセパレーターに向かい合うよう配置した。電解液(溶媒:EC/DEC=1/2、電解質:濃度1MのLiPF6)を空気が残らないように注入し、さらに、アルミ包材の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミ外装を閉口し、リチウムイオン二次電池を製造した。
得られたリチウムイオン二次電池について、高温保存特性、高温サイクル特性、高温サイクル特性測定後の密着強度、及び低温出力特性を評価した。結果を表2に示す。
(1−1)の水溶性重合体の製造において、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、エチレンジメタクリレート、tert-ドデシルメルカプタン及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウムの量を表1〜表2に示す通り変更した他は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表1〜表2に示す。
(12−1.水溶性重合体の製造)
実施例1の(1−1)の水溶性重合体の製造において、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートに代えて、トリフルオロメチルメタクリレート(実施例12)又はパーフルオロオクチルメタクリレート(実施例13)を添加した他は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液を得た。
得られた水溶性重合体について、ガラス転移温度、分子量及び分子量分布を測定した。結果を表2〜表3に示す。
水溶性重合体を含む水溶液として、実施例1の(1−1)で得られたものに代えて上記(12−1)で得られたものを用いた他は、実施例1の(1−2)〜(1−8)と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表2〜表3に示す。
(1−4)の二次電池負極用スラリー組成物の製造において、粒子状バインダーと水溶性重合体の5%水溶液を含む水分散液の添加量を変更し、粒子状バインダーと水溶性重合体の割合を表3に示す通りとした他は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表3に示す。
(1−4)の二次電池負極用スラリー組成物の製造において、SiOCを添加せず、且つ人造黒鉛の添加量を100部に変更した他は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表3に示す。
(1−4)の二次電池負極用スラリー組成物の製造において、人造黒鉛及びSiOCの添加量をそれぞれ90部及び10部に変更した他は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表3に示す。
(1−1)の水溶性重合体の製造において、界面活性剤として、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウムに代えて、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムを用い、さらにブチルアクリレートの量を59.2部に変更した他は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表3に示す。
(19−1.水溶性重合体の製造)
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、メタクリル酸(酸性官能基含有単量体)32.5部、エチレンジメタクリレート(架橋性単量体)0.8部、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体)7.5部、ブチルアクリレート(その他の単量体)57.0部、スチレンスルホン酸(スルホン酸基含有単量体)1部、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(反応性界面活性剤単量体、花王製、商品名「ラテムルPD−104」)1.2部、t−ドデシルメルカプタン0.6部、イオン交換水150部、及び過硫酸カリウム(重合開始剤)0.5部を入れ、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、水溶性重合体を含む混合物を得た。上記水溶性重合体を含む混合物に、10%アンモニア水を添加して、pH8に調整し、所望の水溶性重合体を含む水溶液を得た。
得られた水溶性重合体について、ガラス転移温度、分子量及び分子量分布を測定した。結果を表4に示す。
水溶性重合体を含む水溶液として、実施例1の(1−1)で得られたものに代えて上記(19−1)で得られたものを用いた他は、実施例1の(1−2)〜(1−8)と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(C1−1.水溶性重合体の製造)
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、メタクリル酸(酸性官能基含有単量体)32.5部、ブチルアクリレート(その他の単量体)67.5部、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム1.2部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、イオン交換水150部、及び過硫酸カリウム(重合開始剤)0.5部を入れ、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、水溶性重合体を含む混合物を得た。上記水溶性重合体を含む混合物に、10%アンモニア水を添加して、pH8に調整し、所望の水溶性重合体を含む水溶液を得た。
得られた水溶性重合体について、ガラス転移温度、分子量及び分子量分布を測定した。結果を表4示す。
水溶性重合体を含む水溶液として、実施例1の(1−1)で得られたものに代えて上記(C1−1)で得られたものを用いた他は、実施例1の(1−2)〜(1−8)と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(C1−1)の水溶性重合体の製造において、t−ドデシルメルカプタンの量を2.5部に変更した他は、比較例1と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(C3−1.水溶性重合体の製造)
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、メタクリル酸(酸性官能基含有単量体)32.5部、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体)30部、ブチルアクリレート(その他の単量体)37.5部、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム1.2部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、イオン交換水150部、及び過硫酸カリウム(重合開始剤)0.5部を入れ、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、水溶性重合体を含む混合物を得た。上記水溶性重合体を含む混合物に、10%アンモニア水を添加して、pH8に調整し、所望の水溶性重合体を含む水溶液を得た。
得られた水溶性重合体について、ガラス転移温度、分子量及び分子量分布を測定した。結果を表4に示す。
水溶性重合体を含む水溶液として、実施例1の(1−1)で得られたものに代えて上記(C3−1)で得られたものを用いた他は、実施例1の(1−2)〜(1−8)と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(C1−1)の水溶性重合体の製造において、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムの量を3.5部に変更し、t−ドデシルメルカプタンの量を1部に変更した他は、比較例1と同様にして、リチウムイオン二次電池の各構成要素及びリチウムイオン二次電池を作製し、評価した。結果を表4に示す。
TDM:tert−ドデシルメルカプタン
EDMA:エチレンジメタクリレート
TFEMA:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート
TFMMA:トリフルオロメチルメタクリレート
PFOMA:パーフルオロオクチルメタクリレート
POAAE:ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム
※1:反応性界面活性剤単量体を添加せず、代わりに、反応性単量体でない界面活性剤であるドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム1.2部を添加した。
※2:反応性界面活性剤単量体を添加せず、代わりに、反応性単量体でない界面活性剤であるドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム3.5部を添加した。
Tg:水溶性重合体のガラス転移温度(℃)
100000≦:水溶性重合体中の、分子量100,000以上の分子の個数の割合(%)
100−1000:水溶性重合体中の、分子量100以上1000以下の分子の個数の割合(%)
Mn:水溶性重合体の数平均分子量
メタクリル酸量:メタクリル酸の配合割合(部)
BA量:ブチルアクリレートの配合割合(部)
フッ素種類:フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体の種類
フッ素量:フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体の配合割合(部)
架橋性種類:架橋性単量体の種類
架橋性量:架橋性単量体の配合割合(部)
調整剤種類:分子量調整剤種類
調整剤量:分子量調整剤の配合割合(部)
反応性界面種類:反応性界面活性剤単量体の種類
反応性界面量:反応性界面活性剤単量体の配合割合(部)
スルホン酸量:スチレンスルホン酸の配合割合(部)
粒子状バインダー/水溶性重合体:負極用バインダーにおける、粒子状バインダー/水溶性重合体の重量比
ピール強度:密着性試験で測定された負極活物質のピール強度(N/m)
高温保存特性:高温保存特性試験で測定された容量変化率ΔCS(%)
高温サイクル特性:高温サイクル特性試験で測定された容量変化率ΔCC(%)
高温サイクル特性後のピール強度:高温サイクル特性後の密着強度試験で測定されたピール強度(N/m)
低温出力特性:低温出力特性で測定された電圧変化ΔV(mV)
Claims (10)
- 粒子状バインダー、および酸性官能基を有する水溶性重合体を含み、
前記水溶性重合体が、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有し、前記水溶性重合体中の前記フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合が1〜20重量%であり、
前記水溶性重合体のガラス転移温度が30℃〜80℃であり、
前記水溶性重合体において、分子量100,000以上の分子の個数の割合が30%以下であり、且つ分子量100以上1000以下の分子の個数の割合が0.1%以上10%以下である、
二次電池負極用バインダー組成物。 - 前記水溶性重合体が、架橋性単量体単位を含有し、前記水溶性重合体中の前記架橋性単量体単位の含有割合が0.1〜2重量%である請求項1に記載の二次電池負極用バインダー組成物。
- 前記水溶性重合体が、反応性界面活性剤単位を含有し、前記水溶性重合体中の前記反応性界面活性剤単位の含有割合が0.1〜5重量%である請求項1又は2に記載の二次電池負極用バインダー組成物。
- 前記粒子状バインダーと前記水溶性重合体の含有割合が、粒子状バインダー/水溶性重合体=99.5/0.5〜80/20(重量比)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池負極用バインダー組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池負極用バインダー組成物および負極活物質を含む二次電池用負極。
- 前記負極活物質が、リチウムを吸蔵し、放出する金属を含む請求項5に記載の二次電池用負極。
- 前記負極活物質が、Si含有化合物を含む請求項5または6に記載の二次電池用負極。
- 負極活物質、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池負極用バインダー組成物および水を含む二次電池負極用スラリー組成物。
- 請求項8に記載の二次電池負極用スラリー組成物を、集電体上に塗布し、乾燥することを含む二次電池用負極の製造方法。
- 正極、負極、電解液、及びセパレーターを備えるリチウムイオン二次電池であって、前記負極が請求項5〜7のいずれか1項に記載の二次電池用負極である二次電池。
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