JP2000344838A - アクリル系樹脂、非水溶媒系バインダ組成物、電極の製造法、電極及び非水溶媒系二次電池 - Google Patents

アクリル系樹脂、非水溶媒系バインダ組成物、電極の製造法、電極及び非水溶媒系二次電池

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JP2000344838A
JP2000344838A JP11154043A JP15404399A JP2000344838A JP 2000344838 A JP2000344838 A JP 2000344838A JP 11154043 A JP11154043 A JP 11154043A JP 15404399 A JP15404399 A JP 15404399A JP 2000344838 A JP2000344838 A JP 2000344838A
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Japan
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aqueous solvent
electrode
binder composition
acrylic resin
active material
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Toshihiko Ito
敏彦 伊藤
Masaru Tanaka
勝 田中
Takao Hirayama
隆雄 平山
Shin Nishimura
西村  伸
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Hitachi Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
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Hitachi Chemical Co Ltd
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 接着性、屈曲性及び耐電解液性が優れ、非水
溶媒系等の二次電池の正極材又は負極材用のバインダー
樹脂として好適なアクリル系樹脂、非水溶媒系バインダ
組成物、活物質、電池にしたときのサイクル寿命特性、
活物質の増量に有効で体積エネルギー密度を増大するこ
とができる電極並びに破裂・爆発危険性が小さく、安全
性が高い非水溶媒系二次電池の製造法。 【解決手段】 (A)エポキシ基を有する(メタ)アク
リレート及び(B)ニトリル基を有する(メタ)アクリ
レートを必須成分とし、ガラス転移点温度が−30〜2
5℃であるアクリル系樹脂、このアクリル系樹脂を非水
溶媒に溶解又は分散させた非水溶媒系バインダ組成物、
この非水溶媒系バインダ組成物と活物質とを混合し、電
極基体表面に塗布後、非水溶媒を除去することを特徴と
する電極の製造法、電極並びに非水溶媒系二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系樹脂、
非水溶媒系バインダ組成物、電極の製造法、電極及び非
水溶媒系二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】電子技術の進歩により、電子機器の性能
が向上し、小型、ポータブル化が進み、電源として高エ
ネルギー密度の電池が望まれている。従来の二次電池と
して、鉛蓄電池、ニッケル、カドミウム電池が挙げられ
るが、エネルギー密度の高い電池を得るという点では未
だ不十分である。そこで、これらの電池に替わるものと
して、高エネルギー密度の有機電解液二次電池(以下リ
チウム二次電池と記す)が開発され、急速に普及してい
る。
【0003】リチウム二次電池は、正極にリチウムコバ
ルト複合酸化物等のリチウム複合金属酸化物を、負極に
はリチウムを吸蔵放出可能で優れた可とう性やリチウム
の析出の恐れが少ない炭素材料が用いられ、これらとバ
インダ樹脂とをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)
に分散させてスラリーとしたものを集電体である金属箔
上に両面塗布し、溶剤を乾燥した後、ローラープレス機
にて圧縮成形して正・負極板を得ている。バインダとし
て主にポリフッ化ビニリデン(PVDF)が多く使用さ
れている。
【0004】しかしながら、ポリフッ化ビニリデンをバ
インダとして使用した場合、集電体と合剤層との界面の
密着及び合剤層相互間の密着性が劣るため、極板の裁断
工程や捲回工程等の製造工程時に合剤の一部が集電体か
ら剥離・脱落して微少短絡や電池容量ばらつきの原因と
なる。また、充放電を繰り返すことによって特に負極の
炭素材料は膨張・収縮するため、合剤が集電体から剥離
・脱落したり、合剤相互間の密着の低下により、集電効
率の低下、リチウムとの反応の不均一が生じて電池容量
が次第に低下するという問題があった。
【0005】さらに特開平6−172452号公報に記
載のフッ化ビニリデンを主成分とする単量体と不飽和二
塩基性モノエステルとを共重合して得られたフッ化ビニ
リデン系共重合体をバインダとする場合、集電体との密
着強度は向上するものの、高電圧下での異常温度上昇に
より分解してフッ化水素が発生し、負極板表面のリチウ
ム層間化合物(GIC)や析出した金属リチウムと反応
して異常発熱して、電池が破裂・爆発する恐れがあっ
た。
【0006】ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂以外
のバインダとして、例えば特開平5−74461号公報
に記載のスチレンブタジエンゴム(SBR)系合成ゴ
ム、特開平9−87571号公報に記載のジエン系ゴム
を含む合成ゴムや特開平6−163031号公報に記載
のポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂を使用する提案がな
されている。しかし、これらは電解液に対して溶解しも
しくは大きく膨潤して、集電体と合剤層との界面の密着
及び合剤層相互間の密着性を長期間維持できない。ま
た、ポリイミド樹脂を用いる場合、合剤層を形成しても
可とう性が低く、作製した電極を捲回する際に合剤層の
割れ、剥離が生じて容量を低下させる。スチレンブタジ
エンゴム等のジエン系合成ゴムは耐電解液性を有するも
のの活物質とバインダ等との均一分散が非常に困難であ
り、セルロースや界面活性剤等の添加が必要で、これら
が電解液に溶解して電池の充放電効率を低下させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】請求項1記載の発明
は、接着性、屈曲性及び耐電解液性が優れ、非水溶媒系
等の二次電池の正極材又は負極材用のバインダー樹脂と
して好適なアクリル系樹脂を提供する。請求項2記載の
発明は、請求項1記載の発明の効果を奏し、さらに接着
性が優れるアクリル系樹脂を提供する。
【0008】請求項3記載の発明は、接着性、屈曲性及
び有機溶剤への溶解性が優れる非水溶媒系バインダ組成
物を提供する。請求項4記載の発明は、請求項3記載の
発明の効果に加えて、耐電解液性が優れる非水溶媒系バ
インダ組成物を提供する。
【0009】請求項5、6及び7記載の発明は、活物
質、電極基体への接着性、耐電解液性、耐熱性、電池に
したときのサイクル寿命特性及び高温下での接着性が優
れ、活物質の増量に有効で体積エネルギー密度を増大す
ることができる電極の製造法を提供する。
【0010】請求項8記載の発明は、活物質、電極基体
への接着性、耐電解液性、耐熱性、電池にしたときのサ
イクル寿命特性及び高温下での接着性が優れ、活物質の
増量に有効で体積エネルギー密度を増大することができ
る電極を提供する。
【0011】請求項9記載の発明は、サイクル寿命特
性、耐電解液性、耐熱性及び高温下での接着性が優れ、
活物質の増量に有効で体積エネルギー密度を増大するこ
とができ、破裂・爆発危険性が小さく、安全性が高い非
水溶媒系二次電池の製造法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)エポキ
シ基を有する(メタ)アクリレート及び(B)ニトリル
基を有する(メタ)アクリレートを必須成分とし、ガラ
ス転移点温度が−30〜25℃であるアクリル系樹脂に
関する。また、本発明は、重量平均分子量が500,0
00〜1,000,000である前記アクリル系樹脂に
関する。
【0013】また、本発明は、前記アクリル系樹脂を非
水溶媒に溶解又は分散させた非水溶媒系バインダ組成物
に関する。また、本発明は、さらに、エポキシ系樹脂及
び硬化促進剤を含有してなる前記非水溶媒系バインダ組
成物に関する。
【0014】また、本発明は、前記非水溶媒系バインダ
組成物と活物質とを混合し、電極基体表面に塗布後、非
水溶媒を除去することを特徴とする電極の製造法に関す
る。また、本発明は、活物質が、充放電により可逆的に
リチウムイオンを挿入又は放出できる遷移金属酸化物で
ある前記電極の製造法に関する。また、本発明は、遷移
金属酸化物が一般式LixMny2(xは0.2≦x≦
2.5の範囲であり、yは0.8≦y≦1.25の範囲
である)で示されるリチウムマンガン複合酸化物である
前記電極の製造法に関する。
【0015】また、本発明は、前記電極の製造法により
製造された電極に関する。また、本発明は、非水溶媒系
二次電池の少なくとも一方の極に前記電極を用いた非水
溶媒系二次電池に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。なお、本発明における(メタ)アクリル酸とは、
アクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、
(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びそれに対
応するメタクリレートを意味する。
【0017】本発明における(A)エポキシ基を有する
(メタ)アクリレ−トとしては、特に制限はないが、例
えば、グリシジル(メタ)アクリレート等の共重合性二
重結合を有する化合物などが挙げられる。これらは単独
で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0018】本発明における(B)ニトリル基を有する
(メタ)アクリレ−トとしては、例えば、(メタ)アク
リロニトリル等が挙げられる。これらは単独で又は2種
類以上を組み合わせて使用される。
【0019】本発明におけるアクリル系樹脂は、上記
(A)成分及び(B)成分と(A)成分及び(B)成分
以外の化合物(C)とを共重合成分として、共重合させ
ることにより得ることができ、それらの(A)成分及び
(B)成分以外の化合物(C)としては、例えば、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレー
ト、シクロアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート、アミノメチル(メタ)アクリレ
ート、N−メチルアミノメチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等
のアミノアルキル(メタ)アクリレート、メタクリル
酸、アクリル酸、スチレンビニルトルエン、α−メチル
スチレン等のスチレン系モノマー、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニル
誘導体、マレイン酸、フマル酸等の不飽和二塩基酸など
が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合
わせて使用される。
【0020】前記(A)エポキシ基を有する(メタ)ア
クリレートの使用量は、共重合成分の総量に対して、
0.5〜10重量%であることが好ましく、2〜7重量
%であることがより好ましい。この使用量が0.5重量
%未満では必要な接着力が得られない傾向があり、10
重量%を超えると樹脂がゲル化する傾向がある。
【0021】前記(B)ニトリル基を有する(メタ)ア
クリレートの使用量は、共重合成分の総量に対して10
〜50重量%であることが好ましく、20〜40重量%
であることがより好ましい。この使用量が10重量%未
満では必要な屈曲性が得られない傾向があり、50重量
%を超えると屈曲性がなくなる傾向がある。
【0022】上記(A)成分及び(B)成分以外の化合
物の使用量は、共重合成分の総量に対して、40〜8
9.5重量%であることが好ましく、53〜78重量%
であることがより好ましい。この使用量が40重量%未
満では屈曲性が悪化する傾向があり、89.5重量%を
超えると耐電解液性が悪化する傾向がある。
【0023】本発明のアクリル系樹脂を得るための重合
法としては、例えば、前記(A)成分、(B)成分又は
(C)成分を有機溶剤に溶解してなる溶液を公知のラジ
カル重合法等によって溶液重合することにより得ること
ができる。上記有機溶剤としてメチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、
酢酸ブチル等のエステル系溶剤、N−メチル−2−ピロ
リドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素系極
性溶剤などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以
上を組み合わせて使用される。
【0024】上記ラジカル重合法等に使用する重合開始
剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジク
ミルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、t−ブ
チルオキシパーベンゾエート等の有機過酸化物、アゾビ
スイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のア
ゾビス系化合物などが挙げられる。これらは単独で又は
2種類以上を組み合わせて使用される。
【0025】重合開始剤の濃度は、共重合成分の総量に
対して0.01〜0.1重量%であることが好ましく、
0.03〜0.07重量%であることがより好ましい。
溶液重合開始時の共重合成分の濃度は、90〜100重
量%であることが好ましく、95〜100重量%である
ことがより好ましい。この共重合成分の濃度が90重量
%未満では重合体の分子量が高くならない傾向がある。
反応温度は80〜100℃で重合されることが好まし
い。この温度が80℃未満では反応が停止する傾向があ
り、100℃を超えると重合体の分子量が低くなり、反
応熱も大きくなるため反応速度の制御が難しくなる傾向
がある。反応時間は2〜10時間程度であることが好ま
しい。重合反応は重合率が10〜50%で終点にするこ
とが好ましい。この重合率が10%では分子量が高くな
らない傾向があり、50%を超えると分子量分散度が広
がる傾向がある。上記分子量分散度は1.5〜3.0で
あることが好ましく、1.5〜2.5であることがより
好ましい。未反応の共重合成分の除去法としては、例え
ば、反応後の重合体にポリマーが不溶のメタノール等の
溶剤を加え、ポリマーを沈殿させ、未反応の共重合成分
が溶解した溶剤を除去する方法などが挙げられる。
【0026】本発明のアクリル系樹脂のガラス転移点温
度は、−30〜25℃である必要があり、−20〜0℃
であることが好ましい。このガラス転移点温度が−30
℃未満では、接着性が低下し、25℃を超えると屈曲性
が悪化する。本発明において、ガラス転移点温度は以下
数式(i)による計算値によるものである。
【0027】
【数1】
【0028】本発明のアクリル系樹脂の重量平均分子量
は、特性のバランスから500,000〜1,000,
000であることが好ましく、600,000〜80
0,000であることがより好ましい。この重量平均分
子量が500,000未満では屈曲性が低下する傾向が
あり、1,000,000を超えると接着性が悪化する
傾向がある。本発明において、重量平均分子量は、ゲル
パーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)によ
り標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定される。
【0029】本発明のアクリル系樹脂を非水溶媒に固形
分が10〜30重量%程度になるように溶解又は分散さ
せて非水溶媒系バインダ組成物とすることが好ましい。
上記非水溶媒としては、アクリル系樹脂を均一に溶解又
は分散できる有機溶媒であればよく、例えば、アクリル
系樹脂の合成に用いることのできる前記溶媒がそのまま
使用できるが、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチ
ル−2−ピロリドンとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢
酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカ
ルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、
エチルカルビトールアセテート等)又はグライム系溶媒
(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)との
混合溶媒などが好ましい。
【0030】本発明のアクリル系樹脂以外にエポキシ系
樹脂又は硬化促進剤を非水溶媒系バインダ組成物に配合
することが好ましい。上記エポキシ系樹脂としては、例
えば、エピコート828(油化シェルエポキシ(株)製)
等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノール
F型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、
プライオーフェンLF2822(大日本インキ化学工業
(株)製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、E
SCN001(住友化学工業(株)製)等のクレゾールノ
ボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及
びその変性物、ビキシレニルグリシジルエーテル、YD
C1312(東都化成(株)製)、テクモアVG3101
(三井化学(株)製)、TMH574(住友化学工業(株)
製)、エピコート1031S(油化シェルエポキシ(株)
製)等の芳香族エポキシ樹脂、ネオペンチルグリコール
ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグ
リシジルエーテル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジル
エステル等の脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイ
ソシアネート等の複素環式エポキシ化合物などが挙げら
れる。
【0031】反応性制御の見地から2官能エポキシ樹脂
が好ましく、耐熱性の見地からは芳香族系エポキシ樹脂
又は複素環式エポキシ樹脂が好ましい。これらは単独で
又は2種類以上を組み合わせて使用される。上記エポキ
シ樹脂の使用量は、アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂
の総量に対して、5〜30重量%とすることが好まし
く、10〜20重量%とすることがより好ましい。この
使用量が5重量部未満では良好な接着性が得られない傾
向があり、30重量部を超えると耐熱性が低下する傾向
がある。
【0032】上記硬化促進剤としては、エポキシ系樹脂
硬化剤等が挙げられ、例えば、無水ヘキサヒドロフタル
酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテト
ラヒドロフタル酸等の酸無水物、ビスフェノールA、テ
トラブロモビスフェノールA、トリメチロールアリルオ
キシフェノール、フェノールノボラック樹脂、ブチル化
フェノール樹脂等のフェノール類、脂肪族ポリアミン、
芳香族ポリアミン、2級または3級アミン、メラミン、
トリアジン化合物、有機酸、2−エチル−4−メチルイ
ミダゾール等のイミダゾール類、ジシアンジアミド、ト
リフェニルホスフィン、ポリメルカプタンなどが挙げら
れる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使
用される。硬化促進剤の使用量は、アクリル系樹脂及び
エポキシ系樹脂の総量に対して、0.1〜20重量%で
あることが好ましく、1〜10重量%であることがより
好ましい。この使用量が0.1重量部未満では十分な接
着性が得られない傾向があり、20重量部を超えると接
着性が低下する傾向がある。
【0033】本発明の非水溶媒系バインダ組成物と活物
質とを混合し、電極基体表面に塗布し、極性非水溶媒を
除去することにより電極を製造することができる。上記
電極基体としては、例えば、アルミニウム、銅等が挙げ
られる。
【0034】上記活物質としては、公知のものを使用す
ることができ、炭素粉末等が挙げられるが、可逆的にリ
チウムイオンを挿入又は放出できる遷移金属酸化物であ
ることが好ましく、これらの例としては、例えば、コバ
ルト酸リチウム等のリチウムコバルト複合酸化物、ニッ
ケル酸リチウム等のリチウムニッケル複合酸化物、マン
ガン酸リチウム等のリチウムマンガン複合酸化物、これ
らの混合物などが挙げられる。上記リチウムニッケル複
合酸化物において、Al、V、Cr、Fe、Co、S
r、Mo、W、Mn、B、Mg等から選ばれる少なくと
も1種以上の金属でニッケルサイト又はリチウムサイト
を置換したリチウムニッケル複合酸化物でも良い。上記
リチウムマンガン複合酸化物においても、Li、Al、
V、Cr、Fe、Co、Ni、Mo、W、Zn、B、M
gから選ばれる少なくとも1種以上の金属でマンガンサ
イト又はリチウムサイトを置換したリチウムマンガン複
合酸化物でもよい。
【0035】上記リチウムマンガン複合酸化物は、Li
xMny2であることが好ましい。上記xは、0.2≦
x≦2.5の範囲であることが好ましく、上記yは、
0.8≦y≦1.25であることが好ましい。上記リチ
ウムマンガン複合酸化物を正極活物質として用いて非水
溶媒系二次電池を製造する場合、リチウムマンガン複合
酸化物の粒子表面の一部を覆うように非水溶媒系バイン
ダ組成物が存在するため、正極活物質から溶出するMn
量を低減でき、正極の電子伝導性を確保し、一方で溶出
したMnによる負極の劣化も抑制できるため、充放電サ
イクルによる電池容量低下を改善した有機電解液二次電
池が得ることができる。
【0036】上記電極を用いて非水溶媒系二次電池は、
特に制限はないが、例えば、ポリエチレン微多孔膜等か
らなるセパレータを介して捲回し、スパイラル状の捲回
群を作製し、この捲回群を電池缶に挿入し、予め負極集
電体の銅箔に溶接しておいたニッケルタブ端子を電池缶
底に溶接し、得られた電池容器に電解液を入れ、予め正
極集電体のアルミニウム箔に溶接したアルミニウムタブ
端子を蓋に溶接して、蓋を絶縁性のガスケットを介して
電池缶の上部に配置させ、密閉するなどをして製造する
ことができる。
【0037】上記電解液としては、例えば、カーボネー
ト類、エステル類、エーテル類、ケトン類、ラクトン
類、ニトリル類、アミン類、アミド類、硫黄化合物類、
塩素化炭化水素類、スルホラン系化合物類等の有機溶媒
が挙げられ、プロピレンカーボネート、エチレンカーボ
ネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキ
シエタン、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、スルホラ
ン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、N−メチ
ル−2ピロリドン等の単独又は二種類以上の混合溶媒が
好ましい。上記電解質としては、例えば、LiCl
4、LiPF6、LiPF4、LiBF4、LiCl、L
iBr、CH3SO3Li、LiAsF6等が挙げられ
る。
【0038】本発明の電極は、活物質を含む合剤層と電
極基体である金属箔との密着性に優れ、耐電解液性及び
耐熱性に優れ、高温下で使用されても長期間電極基体と
合剤層及び合剤層相互間の密着強度を維持できる。電極
基体と合剤層及び合剤層相互間の密着強度が向上する
と、合剤中の非水溶媒系バインダ組成物の添加量を低減
でき、その結果活物質量を増やすことが可能で、この電
極を用いた電池は体積エネルギー密度を増大できる。長
期間電極基体と合剤層及び合剤層相互間の密着強度を維
持した電極を用いた電池は、充放電を繰り返しても電極
基体と合剤層及び合剤層相互間の導電ネットワークを維
持でき、充電反応及び放電反応が均一に行えるので、サ
イクル寿命特性も向上できる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。なお、実施例中特に断らない限り、部及び%はそれ
ぞれ重量部及び重量%を示す。
【0040】実施例1〜5、比較例1〜3 1.アクリル系樹脂A〜Gの製造 混合機及び冷却器を備えた反応器に表1に示す配合物
(I)を入れ、80〜85℃に加熱し、表1に示す配合
物(II)を添加し、4〜8時間保温し、重合率で30〜
40%反応させた重合体を得た。冷却後、メタノールを
加え、ポリマーを沈殿させ、上澄み液を取り除き、ま
た、アクリル系樹脂中に残ったメタノール及びモノマー
は乾燥除去した。続いてN−メチル−2−ピロリドンを
固形分が12%になるように加えてアクリル系樹脂を溶
解した。
【0041】この重合体A〜Eの重量平均分子量は、ゲ
ルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)に
より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。 使用機器:日立635型HPLC〔(株)日立製作所製〕 カラム :ゲルパックR440、R450、R400M
〔日立化成工業(株)製商品名〕 溶離液 :テトラヒドロフラン 測定温度:40℃ 流量 :2.0ml/min 検出器 :示差屈折計 測定結果は表1に示す。なお、ガラス転移点温度は、前
記数式(i)による計算値である。
【0042】
【表1】
【0043】得られたアクリル系樹脂A〜Gに対して、
表2に示す材料を各々加え非水溶媒系バインダ組成物I
〜VIIを得た。
【0044】
【表2】
【0045】得られた非水溶媒系バインダ組成物溶液
(I〜VII)及び比較樹脂組成物としてポリフッ化ビニ
リデンのN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分12
%、呉羽化学工業(株)製、製品名KF−1100)を、
乾燥膜厚約30μmとなるように、圧延銅箔又はアルミ
箔上に、アプリケーター法で流延した後、90℃で10
分間予備乾燥し、次いで、150℃で1時間乾燥硬化さ
せて、硬化塗膜を作製した。この硬化塗膜上に二液硬化
型エポキシ樹脂接着剤(昭和高分子(株)製、製品名アダ
ルタイト)を塗布して、塗布面をガラス板に押付け、室
温で12時間硬化させて得られた両面接着硬化塗膜を得
た。この硬化塗膜について、接着性(圧延銅箔面または
アルミ箔面に対するピ−ル強度)を評価した。その結果
を表3に示した。
【0046】
【表3】
【0047】実施例1〜5に示したバインダ樹脂組成物
は、基材に対する接着力が比較例1〜3に比べ向上し
た。
【0048】2.正極電極の作製 実施例6 平均粒径10μmのマンガン酸リチウムと平均粒径3μ
mの炭素粉末(呉羽化学工業(株)製、製品名非晶質炭
素)と非水溶媒系バインダ組成物Iとを80:10:1
0体積%の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドン
に投入混合して、スラリー状の溶液を作製する。厚み2
0μmのアルミニウム箔の両面にこの溶液を塗布、乾燥
する。合剤塗布量は片面290g/m2である。合剤かさ密
度が2.6g/cm3になるように、ロールプレス機で圧延
し、54mm幅に切断して短細状の正極合剤電極シートを
作製した。正極合剤電極シートの端部にアルミニウム製
の集電タブを超音波溶着し、その後電極内の残留溶媒、
吸着水の除去及び非水溶媒系バインダ組成物の架橋のた
め、160℃で16時間真空乾燥して正極合剤電極を得
た。本実施例6では可逆的にリチウムイオンを挿入・放
出できる遷移金属酸化物としてLi1.12Mn1.884
いう組成のリチウムマンガン複合酸化物を用いた。
【0049】実施例7〜10 非水溶媒系バインダ組成物としてバインダ組成物II〜V
を用いる以外は実施例6と同様にして正極電極を得た。
【0050】実施例11 平均粒径10μmのコバルト酸リチウムと平均粒径3μ
mの炭素粉末と非水溶媒系バインダ組成物Iとを80:
10:10体積%の割合で混合し、N−メチル−2−ピ
ロリドンに投入混合して、スラリー状の溶液を作製す
る。厚み20μmのアルミニウム箔の両面にこの溶液を
塗布、乾燥する。合剤塗布量は片面290g/m2である。
合剤かさ密度が2.6g/cm3になるように、ロールプレ
ス機で圧延し、54mm幅に切断して短細状の正極合剤電
極シートを作製した。正極合剤電極シートの端部にアル
ミニウム製の集電タブを超音波溶着し、その後、電極内
の残留溶媒や吸着水の除去及びバインダ樹脂の熱硬化の
ため、160℃で16時間真空乾燥して正極合剤電極を
得た。
【0051】実施例12 平均粒径10μmのニッケル酸リチウムと平均粒径3μ
mの炭素粉末と非水溶媒系バインダ組成物Iとを80:
10:10体積%の割合で混合し、N−メチル−2−ピ
ロリドンに投入混合して、スラリー状の溶液を作製す
る。厚み20μmのアルミニウム箔の両面にこの溶液を
塗布、乾燥する。合剤塗布量は片面220g/m2である。
合剤かさ密度が3.5g/cm3になるように、ロールプレ
ス機で圧延し、54mm幅に切断して短細状の正極合剤電
極シートを作製した。正極合剤電極シートの端部にアル
ミニウム製の集電タブを超音波溶着し、その後電極内の
残留溶媒、吸着水の除去及び非水溶媒系バインダ組成物
の架橋のため、160℃で16時間真空乾燥して正極合
剤電極を得た。
【0052】比較例4 平均粒径10μmのマンガン酸リチウムと平均粒径3μ
mの炭素粉末とポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工
業(株)製、製品名KF−1100)とを80:10:1
0体積%の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドン
に投入混合して、スラリー状の溶液を作製する。厚み2
0μmのアルミニウム箔の両面にこの溶液を塗布、乾燥
する。合剤塗布量は片面290g/m2である。合剤かさ密
度が2.6g/cm3になるように、ロールプレス機で圧延
し、54mm幅に切断して短細状の正極合剤電極シートを
作製した。正極合剤電極シートの端部にアルミニウム製
の集電タブを超音波溶着し、その後電極内の残留溶媒や
吸着水の除去及びバインダ樹脂の熱硬化のため、150
℃で16時間真空乾燥して正極合剤電極を得た。
【0053】比較例5 正極活物質として平均粒径10μmのコバルト酸リチウ
ムを用いる以外は比較例4と同様にして正極電極を得
た。
【0054】比較例6 正極活物質として平均粒径10μmのニッケル酸リチウ
ムを用いる以外は比較例4と同様にして正極電極を得
た。
【0055】比較例7及び8 非水溶媒系バインダ組成物として、非水溶媒系バインダ
組成物VI及びVIIを用いる以外は比較例4と同様にして
正極電極を得た。
【0056】3.負極電極の作製 実施例13 平均粒径20μmの非晶質炭素と非水溶媒系バインダ組
成物Iとを90:10体積%の割合で混合し、N−メチ
ル−2−ピロリドンに投入混合して、スラリー状の溶液
を作製する。厚み10μmの銅箔の両面にこの溶液を塗
布、乾燥する。合剤塗布量は片面65g/m2である。合剤
かさ密度が1.0g/cm3になるように、ロールプレス機
で圧延し、56mm幅に切断して短細状の負極合剤電極シ
ートを作製した。負極合剤電極シートの端部にニッケル
製の集電タブを超音波溶着し、その後、電極内の残留溶
媒、吸着水の除去及び非水溶媒系バインダ組成物の架橋
のため、160℃で16時間真空乾燥して負極合剤電極
を得た。
【0057】実施例14〜17 非水溶媒系バインダ組成物として非水溶媒系バインダ組
成物II〜Vを用いる以外は実施例13と同様にして負極
電極を得た。
【0058】実施例18 平均粒径20μmの人造黒鉛と非水溶媒系バインダ組成
物Iとを90:10体積%の割合で混合し、N−メチル
−2−ピロリドンに投入混合して、スラリー状の溶液を
作製する。厚み10μmの銅箔の両面にこの溶液を塗
布、乾燥する。合剤塗布量は正極電極と対向する単位面
積当たりに活物質利用率が負極/正極が1以上になるよ
うに塗布した。実施例6〜11など正極活物質にリチウ
ムマンガン複合酸化物を用いた場合、片面130g/m
2で、実施例11の正極活物質にリチウムニッケル複合
酸化物を用いた場合、片面150g/m2である。合剤かさ
密度はいずれの場合も1.5g/cm3になるように、ロー
ルプレス機で圧延し、56mm幅に切断して短細状の負極
合剤電極シートを作製した。負極合剤電極シートの端部
にニッケル製の集電タブを超音波溶着し、その後、電極
内の残留溶媒、吸着水の除去及び非水溶媒系バインダ組
成物の架橋のため、160℃で16時間真空乾燥して負
極合剤電極を得た。
【0059】比較例9 平均粒径20μmの非晶質炭素とポリフッ化ビニリデン
樹脂とを90:10体積%の割合で混合し、N−メチル
−2−ピロリドンに投入混合して、スラリー状の溶液を
作製する。厚み10μmの銅箔の両面にこの溶液を塗
布、乾燥する。合剤塗布量は正極電極と対向する単位面
積当たりに活物質利用率が負極/正極が1以上になるよ
うに塗布した。実施例6〜11など正極活物質にリチウ
ムマンガン複合酸化物を用いた場合、片面65g/m2で、
実施例11の正極活物質にリチウムコバルト複合酸化物
を用いた場合、片面100g/m2である。合剤かさ密度は
いずれの場合も1.0g/cm3になるように、ロールプレ
ス機で圧延し、56mm幅に切断して短細状の負極合剤電
極シートを作製した。負極合剤電極シートの端部にニッ
ケル製の集電タブを超音波溶着し、その後、電極内の残
留溶媒や吸着水の除去及びバインダ樹脂の熱硬化のた
め、150℃で16時間真空乾燥して負極合剤電極を得
た。
【0060】比較例10及び11 非水溶媒系バインダ組成物として、非水溶媒系バインダ
組成物VI及びVIIを用いる以外は実施例13と同様にし
て負極電極を得た。
【0061】比較例12 非水溶媒系バインダ組成物Iに代わってポリフッ化ビニ
リデン樹脂を用いる以外は実施例13と同様にして負極
電極を得た。
【0062】比較例13及び14 非水溶媒系バインダ組成物Iに代わって非水溶媒系バイ
ンダ組成物VI及びVIIを用いる以外は比較例12と同
様にして負極電極を得た。
【0063】得られた電極について、耐電解液性(電解
液として、(A)N−メチル−2−ピロリドン及び
(B)濃度が1MとなるようにLiPFを溶解させた
エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=1/2
(体積比)の混合液を用い、これらに50℃で24時間
浸漬後の電子顕微鏡による倍率1000倍における外観
異常の有無)を評価した。これらの結果をまとめて表4
及び表5に示した。
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】表4及び表5に示した通り、ポリフッ化ビ
ニリデン及び非水溶媒系バインダ組成物VIをバインダ樹
脂として用いた場合、電極合剤を50℃で電解液に浸漬
すると表面のバインダ樹脂が膨潤し、電極合剤の基材か
らの剥離やバインダ樹脂が活物質を被覆する状況が観察
され、また、非水溶媒系バインダ組成物VIIをバインダ
樹脂として用いた場合、電極合剤を50℃で電解液に浸
漬すると電極合剤が溶解してしまうのに対し、実施例6
〜18ではバインダ樹脂組成物の電解液に対する耐性が
向上し、これらの現象は観察されなかった。
【0067】3.電池の作製 実施例19〜33及び比較例15〜19 上記実施例6〜12及び比較例4〜8で作製した正極合
剤電極と実施例13〜18及び比較例9〜14で作製し
た負極合剤電極を表6及び表7に示すように組み合わ
せ、厚さ25μm58mmのポリエチレン微多孔膜からな
るセパレータを介して捲回し、スパイラル状の捲回群を
作製した。
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】この捲回群を電池缶に挿入し、予め負極集
電体の銅箔に溶接しておいたニッケルタブ端子を電池缶
底に溶接した。
【0071】次にエチレンカーボネートとジメチルカー
ボネートを体積比で1:1に混合した溶液にLiPF6
を1モル/リットルの濃度で溶解した電解液を電池容器
に5ミリリットル注入した。次に、予め正極集電体のア
ルミニウム箔に溶接したアルミニウムタブ端子を蓋に溶
接して、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部
に配置させ、この部分をかしめて密閉し、直径18mm、
高さ65mmの円筒型電池を作製した。
【0072】実施例19〜25、比較例15、比較例1
7及び比較例19の電池は、充電電流400mA、制限電
圧4.2Vで定電圧充電した後、放電電流800mAで放
電終止電圧2.7Vに至るまで放電して初回容量を測定
した。また、正極活物質から電解液へのマンガン溶出量
を確認するため、完全充電状態の電池を解体し、正極電
極のみを新しい電解液に浸漬して密閉する。50℃に設
定した恒温槽内に7日間放置して、電解液中に溶出した
マンガン量をプラズマ発光分光分析装置(ICP)を用
いて測定した。
【0073】実施例26〜32、比較例16及び比較例
18の電池は、充電電流750mA、制限電圧4.2Vで
定電圧充電した後、放電電流1500mAで放電終止電圧
2.5Vに至るまで放電して初回容量を測定した。実施
例33及び比較例17の電池は、充電電流900mA、制
限電圧4.15Vで定電圧充電した後、放電電流180
0mAで放電終止電圧3.0Vに至るまで放電して初回容
量を測定した。
【0074】これらの条件での充電・放電を1サイクル
として、周囲温度50℃で充放電を初回容量の70%以
下に至るまで繰り返した。サイクル寿命試験の結果を表
8及び表9に示し、実施例19、実施例20、実施例2
1及び比較例15の電池についてのサイクル寿命試験結
果を図1に示す。
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】表8、表9及び図1が示すように、活物質
としてマンガン酸リチウム、バインダとしてポリフッ化
ビニリデン樹脂を用いた正極と、活物質として非晶質炭
素、バインダとしてポリフッ化ビニリデン樹脂を用いた
負極とを組み合わせた比較例15の電池は100サイク
ルで寿命に至っているにもかかわらず、正極、負極の少
なくとも一方の電極のバインダを本発明による非水溶媒
系バインダ組成物を用いた非水電解液二次電池(実施例
19〜29)は、200サイクル以上と寿命が延びてい
る。
【0078】特に負極バインダに非水溶媒系バインダ組
成物I〜Vを用いた非水電解液二次電池(実施例19、
21、22、24、26及び28)は、サイクル寿命特
性が向上している。寿命後の電池を解体すると、比較例
15は負極合剤が電極基体である銅箔から剥離し、この
部分に金属リチウムの析出が確認されたが、本発明の非
水溶媒系バインダ組成物を用いた電極には見られない。
このことから、本発明の非水溶媒系バインダ組成物を用
いた電池は電極基体と合剤層界面及び合剤層相互間の優
れた密着性を維持しているため、容量低下が小さいもの
と考える。
【0079】
【発明の効果】請求項1記載のアクリル系樹脂は、接着
性、屈曲性及び耐電解液性が優れ、非水溶媒系等の二次
電池の正極材又は負極材用のバインダー樹脂として好適
である。請求項2記載のアクリル系樹脂は、請求項1記
載の発明の効果を奏し、さらに接着性が優れる。
【0080】請求項3記載の非水溶媒系バインダ組成物
は、接着性、屈曲性及び有機溶剤への溶解性が優れる。
請求項4記載の非水溶媒系バインダ組成物は、請求項3
記載の発明の効果に加えて、耐電解液性が優れる。
【0081】請求項5、6及び7記載の電極の製造法
は、活物質、電極基体への接着性、耐電解液性、耐熱
性、電池にしたときのサイクル寿命特性及び高温下での
接着性が優れ、活物質の増量に有効で体積エネルギー密
度を増大することができる。
【0082】請求項8記載の電極は、活物質、電極基体
への接着性、耐電解液性、耐熱性、電池にしたときのサ
イクル寿命特性及び高温下での接着性が優れ、活物質の
増量に有効で体積エネルギー密度を増大することができ
る。
【0083】請求項9記載の非水溶媒系二次電池の製造
法は、サイクル寿命特性、耐電解液性、耐熱性及び高温
下での接着性が優れ、活物質の増量に有効で体積エネル
ギー密度を増大することができ、破裂・爆発危険性が小
さく、安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例19、実施例20、実施例21及び比較
例15の電池についてのサイクル寿命試験結果を示した
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 63/00 C08L 63/00 A H01M 4/02 H01M 4/02 C 4/04 4/04 A 4/58 4/58 4/62 4/62 Z 10/40 10/40 Z (72)発明者 田中 勝 茨城県鹿島郡波崎町大字砂山五番壱 日立 化成工業株式会社鹿島工場内 (72)発明者 平山 隆雄 茨城県鹿島郡波崎町大字砂山五番壱 日立 化成工業株式会社鹿島工場内 (72)発明者 西村 伸 茨城県日立市大みか町7−1−1 株式会 社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 4J002 BG071 BG101 CC043 CC093 CD022 CD042 CD052 CD062 CD102 CD142 DA017 DE097 DE187 EJ036 EJ056 EL136 EN086 ER026 EU116 EU186 EW146 FD153 GQ00 4J100 AB02R AB03R AB04R AC03R AC04R AG04R AG10R AJ02R AJ09R AL03R AL05R AL08R AL09R AL10P AM02Q BA30R BA31R BC04R CA04 CA05 DA01 DA25 JA43 5H003 AA02 AA04 AA07 AA08 AA10 BB03 BB05 BB11 BD00 BD01 5H014 AA02 BB03 BB06 BB08 BB11 EE05 EE10 HH00 HH08 5H029 AJ03 AJ05 AJ12 AJ14 AK02 AK03 AL06 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ02 BJ14 CJ08 CJ12 CJ22 DJ08 EJ11 HJ02 HJ14

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エポキシ基を有する(メタ)アク
    リレート及び(B)ニトリル基を有する(メタ)アクリ
    レートを必須成分とし、ガラス転移点温度が−30〜2
    5℃であるアクリル系樹脂。
  2. 【請求項2】 重量平均分子量が500,000〜1,
    000,000である請求項1記載のアクリル系樹脂。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のアクリル系樹脂を
    非水溶媒に溶解又は分散させた非水溶媒系バインダ組成
    物。
  4. 【請求項4】 さらに、エポキシ系樹脂及び硬化促進剤
    を含有してなる請求項3記載の非水溶媒系バインダ組成
    物。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載の非水溶媒系バイン
    ダ組成物と活物質とを混合し、電極基体表面に塗布後、
    非水溶媒を除去することを特徴とする電極の製造法。
  6. 【請求項6】 活物質が、充放電により可逆的にリチウ
    ムイオンを挿入又は放出できる遷移金属酸化物である請
    求項5記載の電極の製造法。
  7. 【請求項7】 遷移金属酸化物が一般式LixMny2
    (xは0.2≦x≦2.5の範囲であり、yは0.8≦
    y≦1.25の範囲である)で示されるリチウムマンガ
    ン複合酸化物である請求項6記載の電極の製造法。
  8. 【請求項8】 請求項5、6又は7記載の電極の製造法
    により製造された電極。
  9. 【請求項9】 非水溶媒系二次電池の少なくとも一方の
    極に請求項8記載の電極を用いた非水溶媒系二次電池。
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