JP6005369B2 - 加煙試験器具 - Google Patents
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Description
そして、煙感知器の動作試験を行う場合には、支持棒を把持して天井に設置された煙感知器にカバーをかぶせ、電気ヒータに加温して油貯蓄部を低温加熱し、油を燃焼させずに熱分解して霧状の油煙として煙感知器に送る。
また、特許文献2に記載の加煙試験機は、油煙貯蓄部の代わりに微粒子ガス体の原料物質を充填したガスボンベを備え、このガスボンベから、その充填圧力により霧化されて噴射されるガス体を擬似煙として煙感知器に検知させるようになっている。
また、例えば特許文献2の加煙試験機によれば、発煙体としてガスボンベを使用しているため製造コストが嵩むという問題があった。
また、ガス噴射量の制御が容易でないため、疑似煙を高濃度に噴射した場合には、試験で噴射した疑似煙を除去して通常の検知可能状態に復旧させるのに時間が掛かり、また、疑似煙を低濃度に噴射した場合には、煙感知器による検知に時間が掛かり、いずれの場合であっても、点検の作業効率が悪いという問題があった。
また、工業用線香を用いた加煙試験機もあるが、かかる加煙試験機はにおいが強いため、多数の人が集まる建物内での使用は敬遠され、また、火種を使うため、周囲のものを焦がしてしまうおそれがあり、或いは試験対象の煙感知器に煙跡を付けて汚してしまうおそれがあるという問題があった。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、煙感知器や天井面を汚すことなく、的確、迅速、かつ低製造コストで煙感知器の動作試験を行うことのできる加煙試験器具を提供することを課題とする。
本発明では、水溶性液体を霧化した疑似煙を発生させるものであるため、煙感知器や天井面に付着して汚したり、更に塵埃類を付着させたりすることを回避することができる。
また、安価な成分の水溶性液体及び安価な部材により発煙体を製造することができるため、加煙試験器具の製造コストを抑えることができる。
また、気流センサを設けて、気流の検知に応じてヒータの加熱/加熱停止を制御することができる。
また、気流の変化や強弱に応じてヒータへの供給電流値を連続的或いは段階的に可変することができる。その結果、気流が無い(弱い)にも関わらずヒータが加熱されて温度が異常に上昇することを回避することができる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の加煙試験器具において、前記ヒータは、前記筒体の基端と先端との間に配された導電性を有する金属線により形成され、該金属線に沿って前記液体供給部が配置されていることを特徴とする。
本発明では、筒体の基端と先端との間に配された金属線よりなるヒータに沿って液体供給部が配置されているため、ヒータ全体で効率的に水溶性液体を加熱することができ、また、液体供給部の設定に応じて少量から多量の煙まで自在に発生させることができる。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の加煙試験器具において、前記ヒータは、棒状体又は板状の導電性部材により形成され、このヒータに沿って前記液体供給部が配置されていることを特徴とする。
本発明では、ヒータが棒状体又は板状の導電性部材により形成され、このヒータの表面に沿って液体供給部が配置されているため、ヒータ全体で効率的に水溶性液体を加熱することができ、また、液体供給部の設定に応じて少量から多量の煙まで自在に発生させることができる。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の加煙試験器具において、前記発煙体は、加煙部に着脱自在に設けられていることを特徴とする。
本発明では、発煙体が加煙部から着脱自在となっているため、液体供給部の量が不十分になったり、ヒータが消耗したりした際に発煙体ごと簡便に交換することができる。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の加煙試験器具において、前記液体供給部が前記筒体から着脱自在とされていることを特徴とする。
本発明では、液体供給部のみを筒体から取り外して新たな液体供給部を取り付けることができる。
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の加煙試験器具において、前記水溶性液体は、前記発煙体に着脱自在に設けられた液体保持容器に貯留され、該液体保持容器から前記液体供給部に前記水溶性液体が供給されることを特徴とする。
本発明では、液体保持容器から液体供給部に水溶性液体が供給されるようになっているため、加煙試験器具の液体供給部ないし筒体の交換頻度を抑えることができる。
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の加煙試験器具において、前記水溶性液体は、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール又はグリコールのうち少なくとも一の成分を含むものであることを特徴とする。
本発明では、水溶性液体がプロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール又はグリコールの少なくともいずれかを含んでいるため、親水性を有するとともに保水性が高いこれらの成分がヒータにより水と共に蒸発し、噴出口にてこれらの成分が核となって霧化する。これらの成分は、保水性が高いことから、水のみが蒸発する場合と異なり、空気中で暫く漂い疑似煙としての役割を良好に果たすことができる。
また、安価な成分の水溶性液体及び安価な部材により発煙体を製造することができるため、加煙試験器具の製造コストを抑えることができるという効果を奏する。
また更に、水溶性液体を気化した後に霧化して煙を発生させ、送風手段で放出する構成であるため、煙の濃度及び放出量の制御が容易であり、的確かつ作業効率よく煙感知器を動作確認することができるという効果を奏する。
また、水溶性液体として匂いの少ない成分もしくは無臭の成分、又は人に好まれやすい匂いの成分を選択的に用いることができるという効果を奏する。
以下、図を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態である加煙試験機(加煙試験器具)1Aは、発煙体2を備え煙感知器Kに対して加煙する加煙部3と、加煙部3を支持する支持棒4と、加煙部3を操作する操作部5とを備えている。
カバー11は、合成樹脂製材料等により形成され、一方向に拡径するテーパ部11aと、該テーパ部11aの外縁に連設された筒状部11bとを備えている。また、テーパ部11aの小径部側の中心には開口部12が形成されており、支持棒4の先端部を開口部12に挿入配置された状態でカバー11が支持棒4に必要に応じて着脱できるように固定されている。筒状部11bは、一部が蛇腹状になっており、これによりカバー11は、軸線L方向に所定の伸縮性を有している。カバー11は、試験対象の煙感知器K近傍に、空調機等による外因性の気流が存在する場合に、この気流を遮断して擬似煙を確実に煙感知器Kに到達させ、安定して確実に試験できるようにするためのものであり、このような気流が存在しない場合には取り外してもよい。
支持棒4の先端、かつ、テーパ部11aの開口部12近傍には、発煙体2が取り付けられており、後に詳述するように、操作部5を操作することによってカバー11内に加煙することができるようになっている。
図2、図3に示すように、操作部5には、気流センサ19による気流の検知に応じてヒータ7の加熱/加熱停止を制御する制御部21と、電力供給部22と、制御部21と電力供給部22とを接続する電源スイッチ23と、電源スイッチ23がONの状態で制御部21を経由して送風手段10に電力を供給し、送風手段10を駆動する駆動スイッチ24とが備えられている。
電源供給部22としては、動作電力を供給し得るものであればどのようなものであってもよく、例えば、乾電池、充電式電池、AC電源を用いることができる。
図1,図2に示すように、加煙試験機1Aにより煙感知器Kの動作試験を行うには、操作部5の電源スイッチ23をONにして、加煙部3を煙感知器Kが設置された例えば天井材Wに向け、カバー11を煙感知器Kに被せてカバー11の周端縁を天井材Wに密着させる。
そして、駆動スイッチ24をONにし、図2に示す送風手段10を駆動すると、気流が容器20内を流通する。すると、気流センサ19が気流を検知して制御部21に信号を送り、制御部21がヒータ7に給電し該ヒータ7を加熱する。このヒータ7の加熱により液体供給部8のフィルタに含浸された発煙剤である水溶性液体が気化し、更に送風手段10により吹き込まれた空気によって霧化して筒体6の先端方向に流動し、筒体6の放出口9から水溶性液体が霧化した擬似煙(エアロゾル)Sが放出される。擬似煙がカバー11内に充満した際、煙感知器Kが正常に作動可能であれば、擬似煙Sに煙感知器Kが反応し、警告音を発し及び/又は警告ランプを点灯するので、煙感知器Kが正常に作動することを確認することができる。一方、煙感知器Kに不具合がある場合には、煙感知器Kは擬似煙Sに反応せず、警報音を発せず及び/又は警告ランプを点灯しないので、煙感知器Kに不具合があることを確認することができる。
また、安価な成分の水溶性液体及び安価な樹脂製の部材を用いたシンプルな構造により発煙体2を製造することができるため、加煙試験機1Aの製造コストを抑えることができる。また、フロンガス等の環境に悪影響を与えるガスを排出することがないため、環境負荷も小さい。
また、水溶性液体として無臭の成分もしくは匂いの少ない成分、又は人に好まれやすい匂いの成分を選択的に用いることができ、加煙試験機1Aを病院その他、人がたくさん集まる場所でも加煙試験機1Aを使用しやすいという効果が得られる。又は、人に不快感を与えない匂いを水溶性液体に付加した場合には、加煙試験機1Aによる煙感知器Kの動作試験後に、煙の残存状態を認識することができる。
次に、本発明の第2の実施形態として、加煙試験機1Bについて図4,図5を用いて説明する。なお、以降の実施形態において、第1の実施形態と構成が共通する箇所には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
発煙体2は、コネクタ(図4では不図示)を介して制御部21に接続されている。また、中空形状の支持棒4の基端側に手動式の送風手段10が設けられている。送風手段10は、例えば、ゴム製の手動式ブロアにより形成されている。この送風手段10は、ゴム製の手動性ブロアに代えてふいご等が用いられてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態として、煙感知器Kの動作確認に用いられる加煙試験ボックス1Cについて図6を用いて説明する。
加煙試験ボックス1Cは、第1の実施形態の加煙試験機1Aのカバー11に代えて、試験槽を形成するボックス状の筐体31を有し、この筐体31内に発煙体2と煙濃度計30を備え、試験対象となる煙感知器Kを配置して、どの程度の煙濃度によって煙感知器Kが作動するかを確認するものである。
このような構成とすることによって、水溶性液体やヒータ7が消耗した場合であっても液体供給部8及びヒータ7を筒体6ごと簡便に交換することができ、加煙試験機1Aを経済的に使用することができるという効果が得られる。
ヒータ7のON/OFFを切り替えられるようにして送風手段10又は前記ファン35を使用できるようにすることにより、煙感知器Kの動作試験を行う際にはヒータ7へ通電(ONに)して擬似煙Sを発生させるとともに、上述したように送風手段10又は前記ファン35によって擬似煙Sをすばやく充満させることができる。また、動作試験が完了した際には、ヒータ7への通電を遮断(OFFに)して擬似煙Sの発生を停止させ、この状態で送風手段10又はファン35を駆動することにより、煙感知器Kに向かって空気を送り、放出された煙Sを煙感知器K及びその周辺から速やかに除去することができる。これによって、煙感知器Kの動作試験の終了後、速やかに通常の煙の感知状態に復旧することが可能となる。
なお、送風手段10又はファン35に代えて、圧縮空気を充填したボンベを利用してもよい。
また、送風手段10又はファン35には、ファンの回転を逆回転させる切換えスイッチ(不図示)が設けられていてもよい。かかる切換えスイッチを設け、ファンを逆回転させることにより、動作試験完了後に放出された煙を吸引し、煙感知器K周辺の煙をすばやく除去することができる。
また、ヒータ7は、図9に示すように、金属線を一平面上に櫛形に曲げて形成し、平板上に形成されたヒータ7を2枚の平板状フィルタ(液体供給部)8(図9では一方(紙面奥側)の平板状フィルタのみを図示)で挟み込むことにより、ヒータ7を液体供給部8に接触又は近接配置させ、発煙させてもよい。
この場合、液体保持容器40は、液体供給部8に対して貯留している水溶性液体を供給するため、外部から空気を流入のみさせる微細な孔41を有するとともに、開口部42に水溶性液体を流動させる管43が接続されたものが用いられる。管43は液体供給部8に連結されている。容器本体44の形状は、直方体形状、円柱形、その他どのようなものであってもよい。そして、発煙体2の筒体6に設けられた開口部42に管43が接続されている。
このような構成とすることで、発煙量を一定濃度に保つように自動制御することができる。
また、制御部21は、発煙体2の装着を検知した場合にのみ送風手段10が動作するように設定されたものであってもよい。
このような設定とすることで、発煙体2の装着忘れを防止することができる。
1C 加煙試験ボックス(加煙試験器具)
2 発煙体
3 加煙部
6 筒体
7 ヒータ
8 液体供給部
9 放出口
10 送風手段
24 切換えスイッチ(駆動スイッチ)
35 ファン
40 液体保持容器
S 擬似煙
Claims (7)
- 先端部から煙を放出する発煙体を備えた加煙試験器具において、
前記発煙体は、先端に煙の放出口を有する筒体と、該筒体内に配置されたヒータと、該ヒータの熱により気化する水溶性液体を保持しかつ該水溶性液体を前記ヒータに供給する液体供給部とを備え、
前記発煙体には、前記筒体内に空気を送り、前記ヒータにより気化した前記水溶性液体
を霧化して疑似煙とし、該疑似煙を前記放出口から放出させる送風手段が連結され、
前記送風手段からの気流を検知する気流センサが設けられ、
前記気流センサが検知した前記気流の大きさによって前記ヒータに供給する電流を制御可能に構成し、前記ヒータの加熱量を調整可能としたことを特徴とする加煙試験器具。 - 請求項1に記載の加煙試験器具において、
前記ヒータは、前記筒体の基端と先端との間に配された導電性を有する金属線により形成され、
該金属線に沿って前記液体供給部が配置されていることを特徴とする加煙試験器具。 - 請求項1または2に記載の加煙試験器具において、
前記ヒータは、棒状体又は板状の導電性部材により形成され、
このヒータに沿って前記液体供給部が配置されていることを特徴とする加煙試験器具。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の加煙試験器具において、
前記発煙体は、加煙部に着脱自在に設けられていることを特徴とする加煙試験器具。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の加煙試験器具において、
前記液体供給部が前記筒体から着脱自在とされていることを特徴とする加煙試験器具。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の加煙試験器具において、
前記水溶性液体は、前記発煙体に着脱自在に設けられた液体保持容器に貯留され、該液体保持容器から前記液体供給部に前記水溶性液体が供給されることを特徴とする加煙試験器具。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の加煙試験器具において、
前記水溶性液体は、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール又はグリコールのうち少なくとも一の成分を含むものであることを特徴とする加煙試験器具。
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