JP3097430U - 感知器検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】火災警報システムの感知器の検査作業において火災を発生させるおそれがなく、さらには作業者の運搬上の負担を軽減する感知器検査装置を提供する。
【解決手段】本考案の感知器検査装置は、有底筒状に形成された本体部2と、前記本体部2の内部空間に煙を発生させる発煙手段3とを具えており、前記本体部2の上端開口に検査対象である感知器81が挿入される。発煙手段3は、発煙剤の発火点より低い温度に昇温される加熱部材34を有する発煙剤加熱部31と、前記加熱部材34に発煙剤を付着させる発煙剤供給部35とを具えている。本体部2は、挿入された感知器82を加熱する感知器加熱手段を具えており、感知器検査装置は、前記発煙手段3が動作する煙感知器検査モードと、前記感知器加熱手段が動作する熱感知器検査モードとを選択可能である。
【選択図】 図3
【解決手段】本考案の感知器検査装置は、有底筒状に形成された本体部2と、前記本体部2の内部空間に煙を発生させる発煙手段3とを具えており、前記本体部2の上端開口に検査対象である感知器81が挿入される。発煙手段3は、発煙剤の発火点より低い温度に昇温される加熱部材34を有する発煙剤加熱部31と、前記加熱部材34に発煙剤を付着させる発煙剤供給部35とを具えている。本体部2は、挿入された感知器82を加熱する感知器加熱手段を具えており、感知器検査装置は、前記発煙手段3が動作する煙感知器検査モードと、前記感知器加熱手段が動作する熱感知器検査モードとを選択可能である。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、建物の火災警報システムが具える煙感知器及び熱感知器の検査に使用される感知器検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビルディング等の建物に配備されている火災警報システムは、天井に配設された煙感知器と熱感知器、これら感知器の動作状態を表示する監視装置、及びこれら感知器の動作に応じて警報音を発する警報装置等から構成されている。火災が発生した場合に、火災警報システムは確実に動作することが求められているために、煙感知器及び熱感知器の検査が定期的に行われている。
【0003】
図5は、煙感知器及び熱感知器の検査の模様を示す説明図である。建物の各部屋の天井には、煙感知器(81)及び熱感知器(82)が対となって配設されている。作業員は、煙感知器検査装置(91)及び熱感知器検査装置(92)を所持しており、これら感知器検査装置(91)(92)を使用して感知器(81)(82)を試験的に動作させる。検査において感知器(81)(82)が正常に動作すれば、監視装置(83)に配設された該感知器(81)(82)に対応したランプ(84)が点灯し、さらには警報装置(図示せず)から警報音が発せられる。
【0004】
煙感知器検査装置(91)は、煙検知器(81)に感知させる煙を発生する装置である。従来の煙感知器検査装置(91)には、特開平11−53659号等に開示されたように、発煙材を燃焼させて煙を発生させるものがある。熱感知器検査装置(92)は熱検知器(82)を加熱する装置であり、従来の熱感知器検査装置(92)には、特開2001−155269号等に開示されたように、発熱体で空気を加熱して熱感知器(82)を加熱するものがある。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
特開平11−53659号等に記載された発煙材を用いた煙感知器検査装置(91)では、発煙材として大径の線香が主に使用されている。そのために、発煙材が発火して炎が立つことがあり、この状態において、煙感知器検査装置(91)を使用すると、天井が炎によって燃やされて火災が発生するおそれがある。さらに、このタイプの煙感知器検査装置(91)には、発煙材に空気を供給する通気口が設けられているが、アクシデントが発生して作業員が煙感知器検査装置(91)を床に落とした場合に、この通気口を経て発煙材の火種の小片が床に散乱して、火災が発生するおそれがある。
【0006】
また、図5に示すように、煙感知器(81)及び熱感知器(82)の検査を行うためには、作業員は、煙感知器検査装置(91)及び熱感知器検査装置(92)の両方を所持する必要がある。ホテルのような部屋数の多い建物にて煙感知器(81)及び熱感知器(82)の検査を行う場合、2つの感知器検査装置(91)(92)を各部屋に運んで感知器(81)(82)の検査作業を行うことは、作業者にとって多大な負担となっている。
【0007】
本考案は、上記課題を解決するものであり、火災警報システムが具える感知器の検査作業において火災を発生させるおそれはなく、さらには検査作業における作業者の運搬上の負担を軽減する感知器検査装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案の感知器検査装置は、有底筒状に形成された本体部と、前記本体部の内部空間に煙を発生させる発煙手段とを具えており、前記本体部の上端開口に検査対象である感知器が挿入される感知器検査装置に於いて、発煙手段は、発煙剤の発火点より低い温度に昇温される加熱部材を有する発煙剤加熱部と、前記加熱部材に発煙剤を付着させる発煙剤供給部とを具えていることを特徴とする。
さらに、本考案の感知器検査装置は、前記本体部は、挿入された感知器を加熱する感知器加熱手段を具えており、前記発煙手段が動作する煙感知器検査モードと、前記感知器加熱手段が動作する熱感知器検査モードとを選択可能である。
【作用及び効果】
【0009】
本考案の感知器検査装置は、従来装置のように、発煙材を直接燃焼させて、その燃焼状態を継続するのではなく、昇温された加熱部材に発煙剤を付着させ、この付着した発煙剤を加熱して煙を発生させる。発煙剤の付着量は、感知器数個分の煙感知器の検査に必要な程度の煙を発生させる程度にされ、付着した発煙剤が消耗又は消滅した場合には、再度、加熱部材に発煙剤を付着させる。加熱部材の温度を発煙剤の発火点より低くしておけば発煙剤が燃焼することはなく、仮に発煙剤から炎が発生しても、燃焼する発煙剤の量が限られているから、発生した炎は短時間で消える。
【0010】
発煙剤を固形にし、これを加熱部材に対して接近離間自在に設けることによって、発煙剤の取扱いが容易になる。また、発煙剤を加熱部材に接触させて、少量の発煙剤を加熱部材に付着させることができる。パラフィンは、常温で固形であり、発火点が300度程度であり、約130度で発煙するので、発煙剤として好適である。
【0011】
本体部の側壁部に透明な領域があると、作業者が目視により本体部内の煙の様子を確認できる。本体部に、上側へ向かう空気の流れを生じる送風手段を設けることにより、発煙手段からの煙を効率的に煙感知器に送ることができる。
【0012】
感知器を加熱する感知器加熱手段を具え、発煙手段が動作するモードと加熱手段が動作するモードを選択可能とすることにより、感知器検査装置は、煙感知器の検査に加えて、熱感知器の検査にも使用できる。よって、作業者は、従来のように、煙感知器検査装置と熱感知器検査装置の2つの検査装置を持ち運ぶ必要がない。また、感知器加熱手段が感知器に光を照射してこれを加熱する発光手段であると、従来の熱感知器検査装置のように空気を媒介して熱感知器を加熱するのではなく、光により感知器を直接加熱するから、短時間で熱感知器が昇温して検査時間が短縮される。煙感知器モードでは、発煙手段の発煙剤加熱部と発光手段は電気的に直列に接続されて給電されているので、バッテリ等の電源の電圧を発光手段によって降下させて加熱部に供給できる。また、この構成によれば、本体部の側壁部が透明であれば、発光手段の点滅を確認することにより加熱部が正常であるか否かを判断でき、さらに、発光手段の点灯によって、作業者は、暗い場所でも本体部内部の煙を容易に観察できる。
【0013】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施例を図を用いて説明する。図1は、本考案の感知器検査装置(1)の平面図である。図2は、図1におけるA方向から見た感知器検査装置(1)の正面図である(図の右半分は断面図である)。図3は、図1におけるB方向から見た感知器検査装置(1)の側面図である(一部破断してある)。
【0014】
感知器検査装置(1)は、U字状に形成された支持杆(11)が上端に取り付けられた支持棒(12)と、該支持杆(11)の上端に揺動自在に取り付けられた有底筒状の本体部(2)とを具えている。本体部(2)は、アクリルを材料とする透明な円筒部材(21)と、該円筒部材(21)の下側に固定された底板部材(22)とを具えている。円筒部材(21)は、本体部(2)の側部を構成する。本実施例では円筒部材(21)の全ての領域が透明であるが、円筒部材(21)の一部の領域のみ(例えば、上半分)が透明であってもよい。
【0015】
円板状に形成された底板部材(22)は、本体部(2)の底部を構成する。底板部材(22)の外縁部には、上方に向けて複数の突片(23)が設けられている。これら突片(23)は、円筒部材(21)の外側面と当接する。突片(23)及び円筒部材(21)にはネジ孔が開設されており、底板部材(22)は、円筒部材(21)の下側開口を塞ぐようにネジ止め固定されている。
【0016】
円筒部材(21)の上端部には、ゴムを材料とする円環状の緩衝部材(24)が装着されている。緩衝部材(24)は、円筒部材(21)の上端面を覆う部分と、円筒部材(21)の外側面及び内側面を覆う部分とを有しており、これら部分により形成された凹溝に円筒部材(21)の上端部が嵌合している。図3に示すように、煙感知器(81)又は熱感知器(82)の検査を行う場合、煙感知器(81)又は熱感知器(82)は、円筒部材(21)の上側開口に嵌められる。緩衝部材(24)が円筒部材(21)の上端部に装着されていることにより、円筒部材(21)が感知器(81)(82)に接触する際の衝撃が緩和されている。
【0017】
緩衝部材(24)の直下において、円筒部材(21)の外側面には一対の対向する円柱状の凸部(25)(25)が突設されており、これら凸部(25)(25)から側方に軸体(図示せず)が突出している。これら軸体は支持杆(11)に開設された貫通孔(図示せず)に挿入される。軸体の先端部には蝶ネジ(26)(26)が螺合することにより、本体部(2)と支持杆(11)は連結されている。
【0018】
底板部材(22)には、発煙手段(3)が配設されている。発煙手段(3)は、発煙剤加熱部(31)と、該発煙剤加熱部(31)に発煙剤を供給する発煙剤供給部(35)とを具えている。発煙剤加熱部(31)は、底板部材(22)の上面に立設された支持柱(32)に固定された棒ヒータ(33)を具えており、該棒ヒータ(33)には、発煙剤を加熱する加熱部材である金属製の加熱プレート(34)が固定されている。棒ヒータ(33)から与えられる熱によって、加熱プレート(34)は昇温される。支持柱(32)は四角柱状に形成されており、棒ヒータ(33)は、支持柱(32)の一側面から底板部材(22)の上面と略平行に突出している。加熱プレート(34)の上端部に形成された孔に棒ヒータ(33)が挿通されており、加熱プレート(34)は、棒ヒータ(33)から垂下するように配置されている。
【0019】
図2に示す如く、発煙剤供給部(35)は、加熱プレート(34)の下方に配設されている。発煙剤供給部(35)は、略円柱状に形成された固形の発煙剤(36)を具えており、該発煙剤(36)は、加熱プレート(34)の直下に、且つ該加熱プレート(34)の下端部に対して接近離間自在に配置されている。
【0020】
発煙剤供給部(35)は、ハウジング(41)と、該ハウジング(41)に取り付けられた摺動軸体(38)と、該摺動軸体(38)に取り付けられた発煙剤(36)と、ソレノイドコイル(39)とを含んでいる。ハウジング(41)は底板部材(22)に脱着自在に取り付けられており、摺動軸体(38)は、ハウジング(41)の平板部(42)の中央に形成された貫通孔に挿通している。発煙剤(36)は、摺動軸体(38)の上端部に形成された台座部(37)に取り付けられている。発煙剤(36)及び台座部(37)は平板部(42)の上方に配置されており、ハウジング(41)には、発煙剤(36)及び台座部(37)を囲うように、これら(36)(37)の上下動を案内するガイド筒部(44)が形成されている。摺動軸体(38)の下側への移動は、台座部(37)がハウジング(41)の平板部(42)と当接することにより規制される。
【0021】
底板部材(22)には開口が開設され、該開口の内面にはねじ溝(図示せず)が形成されている。ガイド筒部(44)の下端部外面にはねじ山(図示せず)が形成されており、ガイド筒部(44)を該開口に挿入して螺合させ、ハウジング(41)を底板部材(22)に固定しているので、発煙剤供給部(35)が底板部材(22)に脱着自在に取り付けられている。
【0022】
摺動軸体(38)には、螺旋状のバネ部材(40)が巻回されており、該バネ部材(40)は、摺動軸体(38)の側面に形成された鍔部(46)と、ハウジング(41)の平板部(42)との間に介挿されて、摺動軸体(38)を下方に付勢する。摺動軸体(38)の下端側は、ソレノイドコイル(39)に囲まれている。摺動軸体(38)は、鉄等の磁性体で形成されており、ソレノイドコイル(39)に通電すると、これにより発生する磁力により、摺動軸体(38)は上方に移動する。電流を停止すると、バネ部材(40)による付勢力によって、摺動軸体(38)は元の位置に戻る。平板部(42)の下側には、摺動軸体(38)を囲う保護用の円筒状カバー部(47)が形成されている。
【0023】
上記構成により、ソレノイドコイル(39)に通電すると、発煙剤(36)の先端部が加熱プレート(34)の下端部と接触し、微量の発煙剤(36)が溶融して該加熱プレート(34)の下端部に付着する。通電を停止すると、固形の発煙剤(36)の先端部は加熱プレート(34)の下端部から離れる。付着した発煙剤は加熱プレート(34)により加熱されて発煙する。発煙剤(36)は、加熱プレート(34)に付着するものであり、加熱プレート(34)からの熱で発煙するものであれば特に限定はされない。ソレノイドコイル(39)の通電時間は、加熱プレート(34)に付着する発煙剤(36)の量を適切にするために調整される。
【0024】
考案者が各種発煙剤(36)を試験したところ、発煙剤(36)としてパラフィンを使用するのが好ましいことが分かった。パラフィンは、室温で固体であり、図のように円柱状の形態を維持できる。加熱プレート(34)の温度を約130度にした状態で、ソレノイドコイル(39)に通電して、円柱状のパラフィンの先端を加熱プレート(34)下端部に数秒程度押しつけると、パラフィンの一部は、溶融して加熱プレート(34)下端部に付着して発煙する。また、発煙に伴い、加熱プレート(34)に付着したパラフィンは消滅する。パラフィンの発火点は300度程度であるので、加熱プレート(34)の温度を約130度に維持しておけば、パラフィンが発火して炎が発生する事態は生じない。さらに、パラフィンは、加熱プレート(34)に付着する量がわずかであっても、煙感知器(81)を動作させるのに十分な量の煙を発生する。
【0025】
本体部(2)の底板部材(22)上面には、該底板部材(22)から本体部(2)の上端開口へ向かう空気の流れを発生させる送風手段(5)が配設されている。本実施例では、送風手段(5)としてDCファンモータを用いている。DCファンモータが発生する空気の流れによって、発煙手段(3)から発生した煙は、効率よく煙感知器(81)まで送られる。なお、本実施例の感知器検査装置(1)では、本体部(2)の円筒部材(21)が透明であるので、作業者は、本体部(2)内部の発煙状態を検査作業中に容易に把握できる。
【0026】
以上のように、本実施例の感知器検査装置(1)は、発煙手段(3)及び送風手段(5)を具えており、煙感知器検査装置としての機能を有しているが、さらに、感知器加熱手段を具えており、熱感知器検査装置としての機能をも具えている。底板部材(22)上面の略中央には、感知器加熱手段である発光手段(6)が配設されている。発光手段(6)は、本体部(2)先端の開口に挿入された熱感知器に高強度の光を照射して加熱する。発光手段は、従来装置のようにヒータで加熱した空気によって熱感知器を加熱する場合と比較して、照射した光で直接的に熱感知器を加熱しているので、熱感知器の昇温時間が短いという利点がある。発光手段(6)には赤外線ランプ等を用いてもよいが、本実施例ではハロゲンランプを用いている。なお、感知器加熱手段として、発光手段(6)を用いずに、従来の熱感知器検査装置のように空気を加熱するためのヒータ等の発熱体を設けることも可能である。
【0027】
発光手段(6)たるハロゲンランプは、発光部(61)と、該発光部(61)からの光を上方へ向けて反射する碗状のリフレクタ(62)とを含んでいる。リフレクタ(62)は石英等で形成されており、その内面は、誘電体多層膜が蒸着されることにより、発光部(61)から放射された光は反射される。リフレクタ(62)の下部は円筒状に形成されており、該下部の内側には発光部(61)を埋設する石膏が充填されている。該下部の外面には円筒部材が接合されており、該部材が、底板部材(22)上面の略中央に形成された円筒部(28)に嵌められることにより、ハロゲンランプ(6)が底板部材(22)に固定されている。
【0028】
棒ヒータ(33)、ソレノイドコイル(39)、DCファンモータ(5)、及びハロゲンランプ(6)は、作業者が携帯するバッテリ(図示省略)によって給電される。支持棒(12)は中空構造になっており、該バッテリから伸びたリード線(71a)は、支持棒(12)の下端部から上端部まで、その内部を挿通する。支持棒(12)の上端部から外部に出されたリード線(71a)はコネクタ(72)と繋がれている。一方、棒ヒータ(33)等と繋がれたリード線(71b)は支持杆(11)に固定されたレセプタクル(73)に繋がれており、該コネクタ(72)を該レセプタクル(73)と結合することにより、バッテリと棒ヒータ(33)等が電気的に接続される。
【0029】
底板部材(22)下面には、使用モード切替え用スイッチ(74)が配設されている。該スイッチ(74)を操作することにより、バッテリの電圧は、ハロゲンランプ(6)に、又は該ハロゲンランプ(6)、棒ヒータ(33)、及びDCファンモータ(5)からなる直列回路に印加される。バッテリの電圧がハロゲンランプ(6)に印加され、棒ヒータ(33)及びDCファンモータ(5)には印加されない場合、本実施例の感知器検査装置(1)は、感知器加熱手段が動作する熱感知器検査モードとなり、バッテリの電圧が該直列回路に印加される場合、本実施例の感知器検査装置(1)は、発煙手段(3)が動作する煙感知器検査モードとなる。一般的な感知器検査装置と同様に、本実施例の支持棒(12)は伸縮自在に構成されている。作業者は、支持棒(12)を縮めて本体部(2)を手元に持っていき、使用モード切替え用スイッチ(74)を操作することにより、使用モードの選択を行う。なお、図示は省略するが、支持棒(12)の下端部にはバッテリからのハロゲンランプ(6)等への給電をオン又はオフにするオン・オフスイッチも設けられている。
【0030】
本実施例の感知器検査装置(1)では、使用モード切替え用スイッチ(74)が煙感知器検査モードである場合にのみ、ソレノイドコイル(39)への通電を所定の時間行えるように構成されている。図示は省略するが、支持棒(12)の下端部には、オン・オフスイッチに加えて、ソレノイドコイル(39)の通電を開始するスイッチも設けられている。ソレノイドコイル(39)には、駆動回路を介して電流が供給されており、該駆動回路は、前記スイッチが押されると、所定時間の間だけソレノイドコイル(39)に電流を流すように働く。
【0031】
図4は、本実施例の感知器検査装置(1)の使用状態の説明図である。図4(a)は、感知器検査装置(1)を熱感知器検査モードで使用している状態を示している。天井(85)に配設された熱感知器(82)を本体部(2)の開口に挿入した後、作業者が、オン・オフスイッチを操作すると、発光部(61)が点灯してハロゲンランプ(6)からの光が熱感知器(82)に照射される。ハロゲンランプ(6)の発光部(61)からの光の一部は、リフレクタ(62)を透過する。本体部(2)の円筒部材(21)が透明であるので、作業者は、検査作業中にハロゲンランプ(6)を目視して、該ハロゲンランプ(6)の点滅状態、すなわちリフレクタ(62)が透過光によって輝いているか否かを確認することにより、ハロゲンランプ(6)が正常に動作しているか否かを判断できる。熱感知器(82)で反射された光も円筒部材(21)を介して外部に洩れるので、これを確認することによっても上記判断が可能である。
【0032】
図4(b)は、感知器検査装置(1)を煙感知器検査モードで使用している状態を示している。例えば、熱感知器(82)の検査後に、煙感知器(81)の検査を行う場合には、作業者は、支持棒(12)を縮ませて、使用モード切替え用スイッチ(74)を煙感知器検査モードに設定する。作業者は、支持棒(12)を伸ばした後、天井(85)に配設された煙感知器(81)を本体部(2)の開口に挿入する。オン・オフスイッチが操作されると、棒ヒータ(33)が昇温し、DCファンモータ(5)が回転する。そして、作業者が、ソレノイドコイル(39)の通電を開始させるスイッチを押すと、所定時間、発煙剤(36)が棒ヒータ(33)の下端部と接触し、微量の発煙剤(36)が該下端部に付着して煙が発生する。発生した煙は、DCファンモータ(5)によって生じる上方への空気の流れに沿って、棒ヒータ(33)の下側部から煙感知器(81)に送られる。
【0033】
先に説明したように、棒ヒータ(33)、DCファンモータ(5)、及びハロゲンランプ(6)は直列に接続されており、煙感知器検査モードでは、この直接回路にバッテリ電圧が印加される。バッテリの電圧を棒ヒータ(33)及びDCファンモータ(5)の直列回路に印加すると、この電圧が高くて棒ヒータ(33)が切線するおそれがあるので、ハロゲンランプ(6)(の発光部(61))をこれらと直列に接続することにより棒ヒータ(33)に印加される電圧を降下させている。また、棒ヒータ(33)が切れた場合(及びその他電気系統に関するトラブルが生じた場合)は、ハロゲンランプ(6)は点灯しない。本体部(2)の円筒部材(21)が透明であるので、リフレクタ(62)が透過光により発光しているか否かを確認することにより、作業者は、感知器検査装置(1)が正常に動作しているか否かを判断できる。さらに、ハロゲンランプ(6)が点灯することにより、作業者は、部屋が薄暗い状況でも煙の発生状態を容易に確認できる。
【0034】
上記実施例の説明は、本考案を説明するためのものであって、実用新案登録請求の範囲に記載の考案を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。本考案の各部構成は上記実施例に限らず、実用新案登録請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る感知器検査装置の平面図である。
【図2】図1におけるA方向から見た、本考案に係る感知器検査装置の正面図である。
【図3】図1におけるB方向から見た感知器検査装置の側面図である。
【図4】本考案に係る感知器検査装置の使用状態の説明図である。
【図5】火災警報システムの動作試験の模様を示す説明図である。
【符号の説明】
(2) 本体部
(3) 発煙手段
(5) 送風手段
(6) 発光手段
(31) 加熱部
(34) 加熱プレート
(35) 発煙剤供給部
(36) 発煙剤
(81) 煙感知器
(82) 熱感知器
【考案の属する技術分野】
本考案は、建物の火災警報システムが具える煙感知器及び熱感知器の検査に使用される感知器検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビルディング等の建物に配備されている火災警報システムは、天井に配設された煙感知器と熱感知器、これら感知器の動作状態を表示する監視装置、及びこれら感知器の動作に応じて警報音を発する警報装置等から構成されている。火災が発生した場合に、火災警報システムは確実に動作することが求められているために、煙感知器及び熱感知器の検査が定期的に行われている。
【0003】
図5は、煙感知器及び熱感知器の検査の模様を示す説明図である。建物の各部屋の天井には、煙感知器(81)及び熱感知器(82)が対となって配設されている。作業員は、煙感知器検査装置(91)及び熱感知器検査装置(92)を所持しており、これら感知器検査装置(91)(92)を使用して感知器(81)(82)を試験的に動作させる。検査において感知器(81)(82)が正常に動作すれば、監視装置(83)に配設された該感知器(81)(82)に対応したランプ(84)が点灯し、さらには警報装置(図示せず)から警報音が発せられる。
【0004】
煙感知器検査装置(91)は、煙検知器(81)に感知させる煙を発生する装置である。従来の煙感知器検査装置(91)には、特開平11−53659号等に開示されたように、発煙材を燃焼させて煙を発生させるものがある。熱感知器検査装置(92)は熱検知器(82)を加熱する装置であり、従来の熱感知器検査装置(92)には、特開2001−155269号等に開示されたように、発熱体で空気を加熱して熱感知器(82)を加熱するものがある。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
特開平11−53659号等に記載された発煙材を用いた煙感知器検査装置(91)では、発煙材として大径の線香が主に使用されている。そのために、発煙材が発火して炎が立つことがあり、この状態において、煙感知器検査装置(91)を使用すると、天井が炎によって燃やされて火災が発生するおそれがある。さらに、このタイプの煙感知器検査装置(91)には、発煙材に空気を供給する通気口が設けられているが、アクシデントが発生して作業員が煙感知器検査装置(91)を床に落とした場合に、この通気口を経て発煙材の火種の小片が床に散乱して、火災が発生するおそれがある。
【0006】
また、図5に示すように、煙感知器(81)及び熱感知器(82)の検査を行うためには、作業員は、煙感知器検査装置(91)及び熱感知器検査装置(92)の両方を所持する必要がある。ホテルのような部屋数の多い建物にて煙感知器(81)及び熱感知器(82)の検査を行う場合、2つの感知器検査装置(91)(92)を各部屋に運んで感知器(81)(82)の検査作業を行うことは、作業者にとって多大な負担となっている。
【0007】
本考案は、上記課題を解決するものであり、火災警報システムが具える感知器の検査作業において火災を発生させるおそれはなく、さらには検査作業における作業者の運搬上の負担を軽減する感知器検査装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案の感知器検査装置は、有底筒状に形成された本体部と、前記本体部の内部空間に煙を発生させる発煙手段とを具えており、前記本体部の上端開口に検査対象である感知器が挿入される感知器検査装置に於いて、発煙手段は、発煙剤の発火点より低い温度に昇温される加熱部材を有する発煙剤加熱部と、前記加熱部材に発煙剤を付着させる発煙剤供給部とを具えていることを特徴とする。
さらに、本考案の感知器検査装置は、前記本体部は、挿入された感知器を加熱する感知器加熱手段を具えており、前記発煙手段が動作する煙感知器検査モードと、前記感知器加熱手段が動作する熱感知器検査モードとを選択可能である。
【作用及び効果】
【0009】
本考案の感知器検査装置は、従来装置のように、発煙材を直接燃焼させて、その燃焼状態を継続するのではなく、昇温された加熱部材に発煙剤を付着させ、この付着した発煙剤を加熱して煙を発生させる。発煙剤の付着量は、感知器数個分の煙感知器の検査に必要な程度の煙を発生させる程度にされ、付着した発煙剤が消耗又は消滅した場合には、再度、加熱部材に発煙剤を付着させる。加熱部材の温度を発煙剤の発火点より低くしておけば発煙剤が燃焼することはなく、仮に発煙剤から炎が発生しても、燃焼する発煙剤の量が限られているから、発生した炎は短時間で消える。
【0010】
発煙剤を固形にし、これを加熱部材に対して接近離間自在に設けることによって、発煙剤の取扱いが容易になる。また、発煙剤を加熱部材に接触させて、少量の発煙剤を加熱部材に付着させることができる。パラフィンは、常温で固形であり、発火点が300度程度であり、約130度で発煙するので、発煙剤として好適である。
【0011】
本体部の側壁部に透明な領域があると、作業者が目視により本体部内の煙の様子を確認できる。本体部に、上側へ向かう空気の流れを生じる送風手段を設けることにより、発煙手段からの煙を効率的に煙感知器に送ることができる。
【0012】
感知器を加熱する感知器加熱手段を具え、発煙手段が動作するモードと加熱手段が動作するモードを選択可能とすることにより、感知器検査装置は、煙感知器の検査に加えて、熱感知器の検査にも使用できる。よって、作業者は、従来のように、煙感知器検査装置と熱感知器検査装置の2つの検査装置を持ち運ぶ必要がない。また、感知器加熱手段が感知器に光を照射してこれを加熱する発光手段であると、従来の熱感知器検査装置のように空気を媒介して熱感知器を加熱するのではなく、光により感知器を直接加熱するから、短時間で熱感知器が昇温して検査時間が短縮される。煙感知器モードでは、発煙手段の発煙剤加熱部と発光手段は電気的に直列に接続されて給電されているので、バッテリ等の電源の電圧を発光手段によって降下させて加熱部に供給できる。また、この構成によれば、本体部の側壁部が透明であれば、発光手段の点滅を確認することにより加熱部が正常であるか否かを判断でき、さらに、発光手段の点灯によって、作業者は、暗い場所でも本体部内部の煙を容易に観察できる。
【0013】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施例を図を用いて説明する。図1は、本考案の感知器検査装置(1)の平面図である。図2は、図1におけるA方向から見た感知器検査装置(1)の正面図である(図の右半分は断面図である)。図3は、図1におけるB方向から見た感知器検査装置(1)の側面図である(一部破断してある)。
【0014】
感知器検査装置(1)は、U字状に形成された支持杆(11)が上端に取り付けられた支持棒(12)と、該支持杆(11)の上端に揺動自在に取り付けられた有底筒状の本体部(2)とを具えている。本体部(2)は、アクリルを材料とする透明な円筒部材(21)と、該円筒部材(21)の下側に固定された底板部材(22)とを具えている。円筒部材(21)は、本体部(2)の側部を構成する。本実施例では円筒部材(21)の全ての領域が透明であるが、円筒部材(21)の一部の領域のみ(例えば、上半分)が透明であってもよい。
【0015】
円板状に形成された底板部材(22)は、本体部(2)の底部を構成する。底板部材(22)の外縁部には、上方に向けて複数の突片(23)が設けられている。これら突片(23)は、円筒部材(21)の外側面と当接する。突片(23)及び円筒部材(21)にはネジ孔が開設されており、底板部材(22)は、円筒部材(21)の下側開口を塞ぐようにネジ止め固定されている。
【0016】
円筒部材(21)の上端部には、ゴムを材料とする円環状の緩衝部材(24)が装着されている。緩衝部材(24)は、円筒部材(21)の上端面を覆う部分と、円筒部材(21)の外側面及び内側面を覆う部分とを有しており、これら部分により形成された凹溝に円筒部材(21)の上端部が嵌合している。図3に示すように、煙感知器(81)又は熱感知器(82)の検査を行う場合、煙感知器(81)又は熱感知器(82)は、円筒部材(21)の上側開口に嵌められる。緩衝部材(24)が円筒部材(21)の上端部に装着されていることにより、円筒部材(21)が感知器(81)(82)に接触する際の衝撃が緩和されている。
【0017】
緩衝部材(24)の直下において、円筒部材(21)の外側面には一対の対向する円柱状の凸部(25)(25)が突設されており、これら凸部(25)(25)から側方に軸体(図示せず)が突出している。これら軸体は支持杆(11)に開設された貫通孔(図示せず)に挿入される。軸体の先端部には蝶ネジ(26)(26)が螺合することにより、本体部(2)と支持杆(11)は連結されている。
【0018】
底板部材(22)には、発煙手段(3)が配設されている。発煙手段(3)は、発煙剤加熱部(31)と、該発煙剤加熱部(31)に発煙剤を供給する発煙剤供給部(35)とを具えている。発煙剤加熱部(31)は、底板部材(22)の上面に立設された支持柱(32)に固定された棒ヒータ(33)を具えており、該棒ヒータ(33)には、発煙剤を加熱する加熱部材である金属製の加熱プレート(34)が固定されている。棒ヒータ(33)から与えられる熱によって、加熱プレート(34)は昇温される。支持柱(32)は四角柱状に形成されており、棒ヒータ(33)は、支持柱(32)の一側面から底板部材(22)の上面と略平行に突出している。加熱プレート(34)の上端部に形成された孔に棒ヒータ(33)が挿通されており、加熱プレート(34)は、棒ヒータ(33)から垂下するように配置されている。
【0019】
図2に示す如く、発煙剤供給部(35)は、加熱プレート(34)の下方に配設されている。発煙剤供給部(35)は、略円柱状に形成された固形の発煙剤(36)を具えており、該発煙剤(36)は、加熱プレート(34)の直下に、且つ該加熱プレート(34)の下端部に対して接近離間自在に配置されている。
【0020】
発煙剤供給部(35)は、ハウジング(41)と、該ハウジング(41)に取り付けられた摺動軸体(38)と、該摺動軸体(38)に取り付けられた発煙剤(36)と、ソレノイドコイル(39)とを含んでいる。ハウジング(41)は底板部材(22)に脱着自在に取り付けられており、摺動軸体(38)は、ハウジング(41)の平板部(42)の中央に形成された貫通孔に挿通している。発煙剤(36)は、摺動軸体(38)の上端部に形成された台座部(37)に取り付けられている。発煙剤(36)及び台座部(37)は平板部(42)の上方に配置されており、ハウジング(41)には、発煙剤(36)及び台座部(37)を囲うように、これら(36)(37)の上下動を案内するガイド筒部(44)が形成されている。摺動軸体(38)の下側への移動は、台座部(37)がハウジング(41)の平板部(42)と当接することにより規制される。
【0021】
底板部材(22)には開口が開設され、該開口の内面にはねじ溝(図示せず)が形成されている。ガイド筒部(44)の下端部外面にはねじ山(図示せず)が形成されており、ガイド筒部(44)を該開口に挿入して螺合させ、ハウジング(41)を底板部材(22)に固定しているので、発煙剤供給部(35)が底板部材(22)に脱着自在に取り付けられている。
【0022】
摺動軸体(38)には、螺旋状のバネ部材(40)が巻回されており、該バネ部材(40)は、摺動軸体(38)の側面に形成された鍔部(46)と、ハウジング(41)の平板部(42)との間に介挿されて、摺動軸体(38)を下方に付勢する。摺動軸体(38)の下端側は、ソレノイドコイル(39)に囲まれている。摺動軸体(38)は、鉄等の磁性体で形成されており、ソレノイドコイル(39)に通電すると、これにより発生する磁力により、摺動軸体(38)は上方に移動する。電流を停止すると、バネ部材(40)による付勢力によって、摺動軸体(38)は元の位置に戻る。平板部(42)の下側には、摺動軸体(38)を囲う保護用の円筒状カバー部(47)が形成されている。
【0023】
上記構成により、ソレノイドコイル(39)に通電すると、発煙剤(36)の先端部が加熱プレート(34)の下端部と接触し、微量の発煙剤(36)が溶融して該加熱プレート(34)の下端部に付着する。通電を停止すると、固形の発煙剤(36)の先端部は加熱プレート(34)の下端部から離れる。付着した発煙剤は加熱プレート(34)により加熱されて発煙する。発煙剤(36)は、加熱プレート(34)に付着するものであり、加熱プレート(34)からの熱で発煙するものであれば特に限定はされない。ソレノイドコイル(39)の通電時間は、加熱プレート(34)に付着する発煙剤(36)の量を適切にするために調整される。
【0024】
考案者が各種発煙剤(36)を試験したところ、発煙剤(36)としてパラフィンを使用するのが好ましいことが分かった。パラフィンは、室温で固体であり、図のように円柱状の形態を維持できる。加熱プレート(34)の温度を約130度にした状態で、ソレノイドコイル(39)に通電して、円柱状のパラフィンの先端を加熱プレート(34)下端部に数秒程度押しつけると、パラフィンの一部は、溶融して加熱プレート(34)下端部に付着して発煙する。また、発煙に伴い、加熱プレート(34)に付着したパラフィンは消滅する。パラフィンの発火点は300度程度であるので、加熱プレート(34)の温度を約130度に維持しておけば、パラフィンが発火して炎が発生する事態は生じない。さらに、パラフィンは、加熱プレート(34)に付着する量がわずかであっても、煙感知器(81)を動作させるのに十分な量の煙を発生する。
【0025】
本体部(2)の底板部材(22)上面には、該底板部材(22)から本体部(2)の上端開口へ向かう空気の流れを発生させる送風手段(5)が配設されている。本実施例では、送風手段(5)としてDCファンモータを用いている。DCファンモータが発生する空気の流れによって、発煙手段(3)から発生した煙は、効率よく煙感知器(81)まで送られる。なお、本実施例の感知器検査装置(1)では、本体部(2)の円筒部材(21)が透明であるので、作業者は、本体部(2)内部の発煙状態を検査作業中に容易に把握できる。
【0026】
以上のように、本実施例の感知器検査装置(1)は、発煙手段(3)及び送風手段(5)を具えており、煙感知器検査装置としての機能を有しているが、さらに、感知器加熱手段を具えており、熱感知器検査装置としての機能をも具えている。底板部材(22)上面の略中央には、感知器加熱手段である発光手段(6)が配設されている。発光手段(6)は、本体部(2)先端の開口に挿入された熱感知器に高強度の光を照射して加熱する。発光手段は、従来装置のようにヒータで加熱した空気によって熱感知器を加熱する場合と比較して、照射した光で直接的に熱感知器を加熱しているので、熱感知器の昇温時間が短いという利点がある。発光手段(6)には赤外線ランプ等を用いてもよいが、本実施例ではハロゲンランプを用いている。なお、感知器加熱手段として、発光手段(6)を用いずに、従来の熱感知器検査装置のように空気を加熱するためのヒータ等の発熱体を設けることも可能である。
【0027】
発光手段(6)たるハロゲンランプは、発光部(61)と、該発光部(61)からの光を上方へ向けて反射する碗状のリフレクタ(62)とを含んでいる。リフレクタ(62)は石英等で形成されており、その内面は、誘電体多層膜が蒸着されることにより、発光部(61)から放射された光は反射される。リフレクタ(62)の下部は円筒状に形成されており、該下部の内側には発光部(61)を埋設する石膏が充填されている。該下部の外面には円筒部材が接合されており、該部材が、底板部材(22)上面の略中央に形成された円筒部(28)に嵌められることにより、ハロゲンランプ(6)が底板部材(22)に固定されている。
【0028】
棒ヒータ(33)、ソレノイドコイル(39)、DCファンモータ(5)、及びハロゲンランプ(6)は、作業者が携帯するバッテリ(図示省略)によって給電される。支持棒(12)は中空構造になっており、該バッテリから伸びたリード線(71a)は、支持棒(12)の下端部から上端部まで、その内部を挿通する。支持棒(12)の上端部から外部に出されたリード線(71a)はコネクタ(72)と繋がれている。一方、棒ヒータ(33)等と繋がれたリード線(71b)は支持杆(11)に固定されたレセプタクル(73)に繋がれており、該コネクタ(72)を該レセプタクル(73)と結合することにより、バッテリと棒ヒータ(33)等が電気的に接続される。
【0029】
底板部材(22)下面には、使用モード切替え用スイッチ(74)が配設されている。該スイッチ(74)を操作することにより、バッテリの電圧は、ハロゲンランプ(6)に、又は該ハロゲンランプ(6)、棒ヒータ(33)、及びDCファンモータ(5)からなる直列回路に印加される。バッテリの電圧がハロゲンランプ(6)に印加され、棒ヒータ(33)及びDCファンモータ(5)には印加されない場合、本実施例の感知器検査装置(1)は、感知器加熱手段が動作する熱感知器検査モードとなり、バッテリの電圧が該直列回路に印加される場合、本実施例の感知器検査装置(1)は、発煙手段(3)が動作する煙感知器検査モードとなる。一般的な感知器検査装置と同様に、本実施例の支持棒(12)は伸縮自在に構成されている。作業者は、支持棒(12)を縮めて本体部(2)を手元に持っていき、使用モード切替え用スイッチ(74)を操作することにより、使用モードの選択を行う。なお、図示は省略するが、支持棒(12)の下端部にはバッテリからのハロゲンランプ(6)等への給電をオン又はオフにするオン・オフスイッチも設けられている。
【0030】
本実施例の感知器検査装置(1)では、使用モード切替え用スイッチ(74)が煙感知器検査モードである場合にのみ、ソレノイドコイル(39)への通電を所定の時間行えるように構成されている。図示は省略するが、支持棒(12)の下端部には、オン・オフスイッチに加えて、ソレノイドコイル(39)の通電を開始するスイッチも設けられている。ソレノイドコイル(39)には、駆動回路を介して電流が供給されており、該駆動回路は、前記スイッチが押されると、所定時間の間だけソレノイドコイル(39)に電流を流すように働く。
【0031】
図4は、本実施例の感知器検査装置(1)の使用状態の説明図である。図4(a)は、感知器検査装置(1)を熱感知器検査モードで使用している状態を示している。天井(85)に配設された熱感知器(82)を本体部(2)の開口に挿入した後、作業者が、オン・オフスイッチを操作すると、発光部(61)が点灯してハロゲンランプ(6)からの光が熱感知器(82)に照射される。ハロゲンランプ(6)の発光部(61)からの光の一部は、リフレクタ(62)を透過する。本体部(2)の円筒部材(21)が透明であるので、作業者は、検査作業中にハロゲンランプ(6)を目視して、該ハロゲンランプ(6)の点滅状態、すなわちリフレクタ(62)が透過光によって輝いているか否かを確認することにより、ハロゲンランプ(6)が正常に動作しているか否かを判断できる。熱感知器(82)で反射された光も円筒部材(21)を介して外部に洩れるので、これを確認することによっても上記判断が可能である。
【0032】
図4(b)は、感知器検査装置(1)を煙感知器検査モードで使用している状態を示している。例えば、熱感知器(82)の検査後に、煙感知器(81)の検査を行う場合には、作業者は、支持棒(12)を縮ませて、使用モード切替え用スイッチ(74)を煙感知器検査モードに設定する。作業者は、支持棒(12)を伸ばした後、天井(85)に配設された煙感知器(81)を本体部(2)の開口に挿入する。オン・オフスイッチが操作されると、棒ヒータ(33)が昇温し、DCファンモータ(5)が回転する。そして、作業者が、ソレノイドコイル(39)の通電を開始させるスイッチを押すと、所定時間、発煙剤(36)が棒ヒータ(33)の下端部と接触し、微量の発煙剤(36)が該下端部に付着して煙が発生する。発生した煙は、DCファンモータ(5)によって生じる上方への空気の流れに沿って、棒ヒータ(33)の下側部から煙感知器(81)に送られる。
【0033】
先に説明したように、棒ヒータ(33)、DCファンモータ(5)、及びハロゲンランプ(6)は直列に接続されており、煙感知器検査モードでは、この直接回路にバッテリ電圧が印加される。バッテリの電圧を棒ヒータ(33)及びDCファンモータ(5)の直列回路に印加すると、この電圧が高くて棒ヒータ(33)が切線するおそれがあるので、ハロゲンランプ(6)(の発光部(61))をこれらと直列に接続することにより棒ヒータ(33)に印加される電圧を降下させている。また、棒ヒータ(33)が切れた場合(及びその他電気系統に関するトラブルが生じた場合)は、ハロゲンランプ(6)は点灯しない。本体部(2)の円筒部材(21)が透明であるので、リフレクタ(62)が透過光により発光しているか否かを確認することにより、作業者は、感知器検査装置(1)が正常に動作しているか否かを判断できる。さらに、ハロゲンランプ(6)が点灯することにより、作業者は、部屋が薄暗い状況でも煙の発生状態を容易に確認できる。
【0034】
上記実施例の説明は、本考案を説明するためのものであって、実用新案登録請求の範囲に記載の考案を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。本考案の各部構成は上記実施例に限らず、実用新案登録請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る感知器検査装置の平面図である。
【図2】図1におけるA方向から見た、本考案に係る感知器検査装置の正面図である。
【図3】図1におけるB方向から見た感知器検査装置の側面図である。
【図4】本考案に係る感知器検査装置の使用状態の説明図である。
【図5】火災警報システムの動作試験の模様を示す説明図である。
【符号の説明】
(2) 本体部
(3) 発煙手段
(5) 送風手段
(6) 発光手段
(31) 加熱部
(34) 加熱プレート
(35) 発煙剤供給部
(36) 発煙剤
(81) 煙感知器
(82) 熱感知器
Claims (9)
- 有底筒状に形成された本体部(2)と、前記本体部(2)の内部空間に煙を発生させる発煙手段(3)とを具えており、前記本体部(2)の上端開口に検査対象である感知器(81)(82)が挿入される感知器検査装置に於いて、
発煙手段(3)は、発煙剤の発火点より低い温度に昇温される加熱部材(34)を有する発煙剤加熱部(31)と、前記加熱部材(34)に発煙剤を付着させる発煙剤供給部(35)とを具えていることを特徴とする感知器検査装置。 - 前記発煙剤供給部(35)は、前記加熱部材(34)に対して接近離間自在に設けられた固形の発煙剤(36)を具えている請求項1に記載の感知器検査装置。
- 前記発煙剤(36)はパラフィンである請求項2に記載の感知器検査装置。
- 前記本体部(2)の側壁部は透明な領域を有している請求項1乃至3の何れかに記載の感知器検査装置。
- 前記本体部(2)は、その内部空間の下側から上側へ向かう空気の流れを生じる送風手段(5)を具えている請求項1乃至4の何れかに記載の感知器検査装置。
- 前記本体部(2)は、挿入された感知器(81)を加熱する感知器加熱手段を具えており、
前記発煙手段(3)が動作する煙感知器検査モードと、前記感知器加熱手段が動作する熱感知器検査モードとを選択可能な請求項1乃至5の何れかに記載の感知器検査装置。 - 前記感知器加熱手段は、光を照射して挿入された感知器(81)を加熱する発光手段(6)である請求項6に記載の感知器検査装置。
- 前記煙感知器検査モードでは、前記発煙手段(3)の発煙剤加熱部(31)と前記発光手段(6)とは電気的に直列に接続されて給電されている請求項7に記載の感知器検査装置。
- 前記発光手段(6)は、発光部(61)と、該発光部(61)からの光を上方へ向けて反射するリフレクタ(62)とを具えたハロゲンランプであり、前記リフレクタ(62)は発光部(61)の点灯時に輝く請求項7又は8に記載の感知器検査装置。
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