JP7029496B2 - 試験装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試験装置に関する。
従来、監視領域の設置面(例えば、天井等)に設置されている感知器であって、火災を検出する感知器と、当該感知器の検出結果を報知する受信機とを備える防災システムが知られている。この防災システムの点検を行う場合の、感知器の試験項目の1つとして、一般的に、感知器の感度を試験する感度試験が知られている。この感度試験を行うためには、感度試験を行うための装置である感度試験機に感知器を収容して煙を供給する必要があるので、感度試験を行うのに手間を要していた。すなわち、感知器の感度試験を行う場合、感知器を設置面から取り外して、感度試験機を用いて感度を試験した後に、当該感知器を設置面に再設置し、再設置した感知器の作動確認を行う必要があり、手間を要していた。特に、一般的に感知器は1つの建物内に複数設けられているために、上述の作業を各感知器に対して行う必要があり、手間が増大していた。
そこで、感知器の試験を行う場合の手間を軽減するための技術として、感知器に接続されている受信機に対して、感知器を試験するための機能である感知器試験機能を設けて、感知器が設置面に設置された状態において、この感知器試験機能を用いて感知器を試験する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特開平6-274769号公報
一方、防災システムの点検を行う場合の感知器の試験項目としては、一般的に、感度試験の他に感知器の外観の状態を目視にて確認する試験である目視試験が知られており、感知器を試験する作業者は、感知器側(例えば、監視領域における感知器を視認できる位置)でこの目視試験を行う必要があった。しかしながら、特許文献1の感知器試験機能については、受信機の操作手段を介して操作するように構成されていたので、感知器を試験する作業者は、前述の目視試験と感度試験を行うために、感知器側と受信機側(例えば、受信機が設置されている管理室等)とを行き来する必要があり、感知器を試験するのが、依然として手間となっていた。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、感知器の試験を行う作業効率を向上させることができる、試験装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の試験装置は、監視領域における検出対象の物理量に基づいて前記監視領域の異常を検出する感知器を試験する試験装置であって、前記試験装置は、前記感知器に対して前記検出対象を供給して行う供給試験に関する制御と、前記感知器に対して前記検出対象を供給しないで行う非供給試験に関する制御とを行う制御手段を備え前記制御手段は、前記供給試験に関する制御として、少なくとも、前記感知器に対して前記感知器が作動すべき第1物理量となる前記検出対象の供給を開始した時から所定時間以内に前記監視領域の異常を検出することを判定する作動試験と、前記感知器に対して前記感知器が作動すべきでない第2物理量となるように前記検出対象の供給を開始した時から所定時間以内に前記監視領域の異常を検出しないことを判定する不作動試験に関する制御を行、前記試験装置は、前記感知器が前記監視領域の異常を検出したか否か判定する試験装置側状態検出手段、を備え、前記感知器は、前記検出対象の供給を受けずに前記監視領域の異常を検出するための機能を確認するための自動試験を実施可能に構成されており、前記制御手段は、少なくとも、前記自動試験を開始させる制、前記自動試験の結果を前記感知器側から取得して出力する制御を、前記非供給試験に関する制御として行前記試験装置は、前記作動試験、前記不作動試験、前記自動試験の何れかを選択して開始させる操作手段を備えた。
請求項1に記載の試験装置によれば、感知器の試験を行う作業効率を向上させることができる。
実施の形態に係る防災システム及び試験装置を示すブロック図である。 感知器の試験状況を示す側面図である。 図2の試験装置の一部と感知器を示す拡大図である。 試験処理のフローチャートである。
以下に、本発明に係る試験装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、受信機と感知器とを備える防災システムの感知器を試験する試験装置に関するものである。
ここで、「防災システム」とは、監視領域の異常を検出して防災を行うシステムであり、具体的には、複数の装置によって構成されたもの、又は単一の装置によって構成されたものを含む概念である。「監視領域」とは、防災システムによる監視の対象となっている領域であり、具体的には、一定の広がりを持った空間であり、例えば、建築物の部屋(例えば、1階の部屋A、1階の部屋B等)、廊下、階段等を含む概念である。また、「監視領域の異常」とは、監視領域の状態が通常とは異なっている状態であることであり、具体的には、火災発生、ガス漏れ等を含む概念である。
また、「感知器」とは、監視領域の異常を検出する機器であって、受信機に電気的に接続されている機器であり、具体的には、監視領域の検出対象を検出することにより、火災、又はガス漏れ等の異常を検出する機器であり、例えば、煙感知器、熱感知器、火災感知器及びガス感知器等を含む概念である。「検出対象」とは、感知器による検出対象であり、具体的には、監視領域の異常に関連するものであり、例えば、煙、一酸化炭素等の有毒ガス、及び熱等を含む概念である。
また、「受信機」とは、監視領域の異常を警報する機器であり、具体的には、火災、又はガス漏れ等の異常を警報する機器であって、感知器が異常を検出した場合に警報音又は警報画像を出力したり、移報信号を出力したりする機器であり、例えば、感知器に電気的に接続されている機器であり、R型受信機又はP型受信機等含む概念である。
また、「試験装置」とは、感知器を試験するための装置であり、具体的には、少なくとも試験装置側物理量検出手段及び試験装置側出力手段を備えている装置であって、例えば、感知器の試験を行う場合にユーザ(つまり、作業者)によって保持される装置等を含む概念である。「試験」とは、感知器を点検する場合に行われる試験であり、具体的には、感知器の機能が正常であるか否かを検査する試験であり、例えば、感知器に対して検出対象を供給して行う試験(以下、供給試験)、及び感知器に対して検出対象を供給しないで行う試験(以下、非供給試験)等を含む概念である。「試験装置側物理量検出手段」とは、感知器の周辺の検出対象の物理量を検出する手段であり、また、「試験装置側出力手段」とは、少なくとも試験装置側物理量検出手段の検出結果を出力する手段である。なお、「検出対象の物理量」とは、検出対象についての検出可能な量であり、例えば、煙の濃度、一酸化炭素等の有毒ガスの濃度、及び熱の温度又熱量等を含む概念である。
以下に示す実施の形態では、「監視領域の異常」が「火災発生」であり、「感知器」が「火災感知器」であり、「検出対象」が「煙」であり、「受信機」が「P型受信機」であり、「試験」が「供給試験」である場合について説明する。
(構成)
まず、本実施の形態に係る防災システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る防災システム及び試験装置を示すブロック図であり、図2は、感知器の試験状況を示す側面図であり、図3は、図2の試験装置の一部と感知器を示す拡大図である。なお、図3について、実際には感知器2は収容部301に覆われているが、説明の便宜上、感知器2を覆っている試験装置3を2点鎖線で示し、感知器2を実線で示している。なお、以下の説明では、図2及び図3に示す「X―Z方向」が互いに直交する方向であり、「X―Z方向」に関する用語については、図示の各装置において、各構成品の相対的な位置関係(又は、方向)等を説明するための便宜的な表現であることとする。具体的には、Z方向が鉛直方向であって、X方向が鉛直方向に対して直交する水平方向であるものとして、例えば、Z方向を高さ方向と称し、+Z方向を上側と称し、-Z方向を下側と称して、以下説明する。また、図3の収容部301の中心位置を基準として、当該中心位置から離れる方向を「外側」と称し、中心位置に近づく方向を「内側」と称して、以下説明する。
(構成-防災システム)
図1に示す防災システム100は、概略的には、受信機1、及び感知器2を備えている。なお、感知器2については、実際には、監視対象となっている建物の構成(例えば、監視領域の広さ等)に応じて、1個以上設けられるが、ここでは、1個の感知器2を図示して、この感知器2に特に注目して説明する。
(構成-防災システム-受信機)
最初に、受信機1は、監視領域の異常を警報する警報手段であり、概略的には、接続部11、操作部12、表示部13、音響部14、記憶部15、及び制御部16を備えている。
(構成-防災システム-受信機-接続部)
図1の接続部11は、感知器2に対して回線L1を介して電気的に接続される接続手段である。この接続部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の端子である受信機側端子等を備えて構成することができる。
(構成-防災システム-受信機-操作部)
図1の操作部12は、ユーザの指等で操作されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の操作ボタン等を備えて構成することができる。
(構成-防災システム-受信機-表示部)
図1の表示部13は、制御部16の制御に基づいて各種情報を表示する表示手段である。この表示部13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の複数の地区表示灯等を備えて構成することができる。ここで、「地区表示灯」とは、受信機1に接続されている複数の感知器が設置されている地区での火災発生を報知する報知手段であり、具体的には、受信機1の接続部11の受信機側端子に対応付けられているものである。つまり、この「地区表示灯」は、防災システム100の回線及び感知器(図1の場合、例えば、回線L1及び感知器2)に対応付けられているものである。そして、ここでは、例えば、図1に示す感知器2の回線L1が接続されている受信機側端子を、「感知器2用の受信機側端子」と称し、また、当該「感知器2用の受信機側端子」が対応付けられている地区表示灯を「感知器2用の地区表示灯」と称して、以下説明する。
(構成-防災システム-受信機-音響部)
図1の音響部14は、制御部16の制御に基づいて音を出力する音出力手段である。この音響部14の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知のスピーカ等を備えて構成することができる。
(構成-防災システム-受信機-記憶部)
図1の記憶部15は、受信機1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はFlash、ROM、USBメモリ、SDカードの如き電気的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述する各装置の記憶部も同様である)。
(構成-防災システム-受信機-制御部)
図1の制御部16は、受信機1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して受信機1にインストールされることで、制御部16の各部を実質的に構成する(後述する各装置の記憶部も同様である)。なお、この制御部16の各部により行われる処理については、後述する。
(構成-防災システム-感知器)
次に、感知器2は、監視領域の異常を検出する検出手段であり、具体的には、図2に示すように、監視領域(具体的には、「1階の部屋A」)の設置面W1に設置されるものであり、概略的には、図1に示す、接続部21、物理量検出部22、表示部23、音響部24、記憶部25、及び制御部26を備えている。ここで、「設置面」W1とは、感知器2が設置される面であり、具体的には、天井面又は壁面等を含む任意の面であるが、以下では、「設置面」W1が天井面である場合について説明する。
(構成-防災システム-感知器-接続部)
図1の接続部21は、受信機1に対して回線L1を介して電気的に接続される接続手段である。この接続部21の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の端子である感知器側端子等を備えて構成することができる。
(構成-防災システム-感知器-物理量検出部)
図1の物理量検出部22は、監視領域の検出対象の物理量を検出する感知器側物理量検出手段であり、特に、感知器2の周辺の煙の濃度を、監視領域の検出対象の物理量として検出するものである。この物理量検出部22の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の光電式の煙センサ等を備えて構成することができる。
(構成-防災システム-感知器-表示部)
図1の表示部23は、制御部26の制御に基づいて各種情報を表示する表示手段である。この表示部23の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図3の表示灯231を備えて構成することができる。この表示灯231は、感知器2の状態を点灯(つまり、発光)又は消灯することにより(つまり、光により)表示して出力する表示手段であり、特に、後述する異常検出部261の検出結果を出力する感知器側出力手段であり、具体的な点灯態様は任意であるが、ここでは、例えば、感知器2が火災を検出していない場合に消灯し、感知器2が火災を検出した場合に点灯するものとして、以下説明する。
(構成-防災システム-感知器-音響部)
図1の音響部24は、制御部26の制御に基づいて音を出力する音出力手段である。この音響部24の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、不図示のスピーカ等を備えて構成することができる。この不図示のスピーカは、感知器2の状態を警報音の出力により報知する報知手段であり、特に、後述する異常検出部261の検出結果を出力する感知器側出力手段であり、例えば、感知器2が火災を検出していない場合に警報音を出力せずに、感知器2が火災を検出した場合に警報音を出力するものとして、以下説明する。
(構成-防災システム-感知器-記憶部)
図1の記憶部25は、感知器2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。この記憶部25には、火災判定閾値情報が格納されている。ここで、「火災判定閾値情報」とは、火災判定閾値を特定する情報である。「火災判定閾値」とは、監視領域における火災発生を検出(判定)するために用いられる閾値であって、物理量検出部22の検出結果と比較されるものである。そして、この火災判定閾値情報については、不図示の入力手段を用いて入力されて格納されているものとする。
(構成-防災システム-感知器-制御部)
図1の制御部26は、感知器2を制御する制御手段であり、機能概念的に、異常検出部261を備えている。異常検出部261は、物理量検出部22の検出結果に基づいて、監視領域の異常を検出する感知器側異常検出手段であり、特に、監視領域の火災を検出するものである。なお、この制御部26の各部により行われる処理については、後述する。
(構成-試験装置)
次に、試験装置の構成について説明する。図1に示す試験装置3は、感知器2を試験する試験手段であり、概略的には、図2に示す、収容部301、及び支持部302、図1に示す、操作部31、物理量検出部32、供給部33、状態検出部34、出力部35、記憶部36、及び制御部37を備えている。
(構成-試験装置-収容部)
図2及び図3の収容部301は、試験を行う場合に感知器2を収容する収容手段であり、具体的には、感知器2を収容可能な内部空間を有する椀状の中空体であって、上側(+Z方向)に開口が設けられており、この開口を介して収容部301の内部に感知器2を出し入れすることができるように構成されているものである。この収容部301は任意の材料を用いて形成することができるが、ここでは、例えば、樹脂又は金属等を用いて形成することもできる。
(構成-試験装置-支持部)
図2の支持部302は、収容部301を支持するための支持手段であり、具体的には、棒状のものであって、当該支持部302における上側(+Z方向)の端部に、収容部301が不図示のビス等の固定手段により固定されており、当該支持部302における下側(-Z方向)の端部に、当該試験装置3を利用するユーザが支持部302を保持するための保持部303が不図示のビス等の固定手段により固定されているものである。この支持部302は任意の材料を用いて形成することができるが、ここでは、例えば、樹脂又は金属等を用いて形成することもできる。
(構成-試験装置-操作部)
図1の操作部31は、ユーザの指等で操作されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部31の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、不図示のタッチパッド、及び不図示の試験開始ボタン等を備えて構成することができる。ここで、「タッチパッド」とは、試験についての情報を入力する場合にユーザによって操作されるものであり、例えば、図2の支持部302における保持部303の周辺に設けられているものである。また、「試験開始ボタン」とは、試験を開始する場合にユーザによって操作される操作ボタンであり、例えば、支持部302における保持部303の周辺に設けられているものである。
(構成-試験装置-物理量検出部)
図1の物理量検出部32は、監視領域の検出対象の物理量を検出する試験装置側物理量検出手段であり、特に、供給部33が供給した検出対象の物理量を、感知器2の周辺の検出対象の物理量として検出するものであり、詳細には、感知器2の周辺の煙の濃度を、監視領域の検出対象の物理量として検出するものである。この物理量検出部32の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の光電式の煙センサ(つまり、感知器2の物理量検出部22と同様な構成の煙センサ)として機能する図3の発光部321及び受光部322を備えて構成することができる。ここで、「発光部」321は、光を発光する発光手段であり、具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知のLED(Light emitting diode)を用い、当該LEDである発光部321が収容部301における内側面に設けられる場合について説明する。「受光部」322は、発光部321によって発光された光が煙の粒子によって散乱されることによって生じる散乱光を受光する受光手段であり、具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知のPD(Photodiode)を用い、当該PDである受光部322が収容部301における内側面に設けられる場合について説明する。
(構成-試験装置-供給部)
図1の供給部33は、感知器2に対して感知器2の検出対象を供給する試験装置側供給手段であり、特に、感知器2に対して煙を供給するものである。この供給部33の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、不図示の発煙体等を備えて構成することができる。ここで、「発煙体」とは、煙を発生させるものであり、公知の発煙体を含めて任意の発煙体を用いることができるが、ここでは、例えば、公知の発煙体としての、煙が充填されているガス缶を発煙体として用いる場合について説明する。この発煙体であるガス缶は、例えば、図2の支持部302における保持部303の周辺に取り付けられるものとし、また、取り付けられた発煙体からの煙が、支持部302に設けられている図3の流路F1であって、取り付けられた発煙体から収容部301の内側に至る流路F1を介して、収容部301の内側に供給されるように構成されているものとする。
(構成-試験装置-状態検出部)
図1の状態検出部34は、感知器2の状態を検出する試験装置側状態検出手段であり、特に、図3の表示灯231の表示結果に基づいて、感知器2による異常の検出に関する状態を検出する試験装置側状態検出手段である。この状態検出部34の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、感知器2の図3の表示灯231が出力した感知器2の状態を検出するために、受光部341を備えて構成することができる。ここで、「受光部」341は、感知器2の表示灯231が点灯して出力した光を受光する受光手段であり、具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知のPDを用い、当該PDである受光部341が収容部301の内側面に設けられているものとする。そして、図1の状態検出部34は、図3の受光部341が受光した光に基づいて、感知器2による異常の検出に関する状態を検出するように構成されているものとして、以下説明する。
(構成-試験装置-出力部)
図1の出力部35は、情報を出力する試験装置側出力手段であり、特に、少なくとも物理量検出部32の検出結果を出力するものであり、詳細には、少なくとも、異常検出部261の検出結果と物理量検出部32の検出結果とを出力するものである。この出力部35の具体的な種類や構成は任意であり、例えば、何れも不図示の、表示手段、音声出力手段、及び印字手段を用いることができる。ここで、「表示手段」とは、情報を表示する手段であり、例えば、公知の小型液晶ディスプレイ等を備えて構成することができる。また、「音声出力手段」とは、情報を音声出力する手段であり、例えば、公知の小型スピーカ等を備えて構成することができる。また、「印字手段」とは、情報を紙面に印字して出力する手段であり、例えば、公知の小型プリンタ等を備えて構成することができる。そして、ここでは、例えば、これらの表示手段、音声出力手段、印字手段が、図2の支持部302における保持部303の周辺に設けられているものとして、以下説明する。更に、ここでは、例えば、前述の図1の操作部31のタッチパッドが、透明又は半透明状に形成され、出力部35の小型液晶ディスプレイの表示面に重畳するように設けられてタッチパネルとして形成されているものとして、以下説明する。
(構成-試験装置-記憶部)
図1の記憶部36は、試験装置3の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。
(構成-試験装置-制御部)
図1の制部部37は、試験装置3を制御する制御手段であり、この制御部37の各部により行われる処理については、後述する。
(処理)
次に、このように構成される図1の防災システム100及び試験装置3によって実行される、試験処理について説明する。図4は、試験処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「試験処理」とは、試験に関する処理であり、具体的には、供給試験に関する処理である。この試験処理を実行するタイミングは任意のタイミングであるが、例えば、防災システム100及び試験装置3の電源をオンした状態において、受信機1の操作部12を介して行う所定操作により、受信機1を運転するモードである運転モードを、通常監視モードから試験モードに切り替えて当該試験モードに設定し、図3の試験装置3の操作部31の不図示のタッチパッドへのユーザからの所定の操作入力により、試験対象である感知器2の選択が行われた後に、起動されて実行するものとして、試験処理が起動されたところから説明する。ここで、「通常監視モード」とは、監視領域を監視するために通常時に設定されるモードであり、具体的には、監視領域の異常を検出した場合に外部への移報を行うモードである。また、「試験モード」とは、防災システム100の試験を行うために点検時に設定されるモードであり、具体的には、監視領域の異常を検出した場合に外部への移報を行わないモードである。また、試験処理の起動直後については、図3の感知器2の表示灯231が消灯しているものとして、以下説明する。また、試験処理において、作動試験(感度試験)を行う場合について説明する。ここで、「作動試験」とは、供給試験であって、感知器2の周辺に供給された検出対象に対する、少なくとも、感知器2の物理量検出部22又は異常検出部261の機能の正常性についての試験であり、具体的には、煙の供給を開始した時から所定の判定時間(例えば、1分等)以内に、感知器2が火災を検出したことを判定する試験である。
まず、図4に示すように、SA1において試験装置3の制御部37は、試験を開始するか否かを判定する。具体的には、図1の試験装置3の操作部31の不図示の「試験開始ボタン」が操作されたか否かを監視し、監視結果に基づいて判定する。そして、「試験開始ボタン」が操作されていない場合、試験を開始しないものと判定し(SA1のNO)、試験を開始するものと判定するまで、繰り返しSA1を実行する。また、「試験開始ボタン」が操作された場合、試験を開始するものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。ここでは、例えば、図2に示すように、感知器2が試験装置3の収容部301に収容されるように、ユーザが試験装置3を保持した状態において、不図示の「試験開始ボタン」を押下して操作した場合について、「例示の場合」と称して、以下説明する。この例示の場合、図4のSA1において、試験を開始するものと判定する。
次に、SA2において試験装置3の制御部37は、感知器2に対して感知器2の検出対象を供給する。具体的には、図1の供給部33における不図示の発煙体であるガス缶から、煙を所定量だけ出力する。ここでの煙の量については、感知器2が正常に動作している場合に火災を検出する量である限りにおいて任意であり、つまり、例えば、図3の収容部301と設置面W1とで囲まれている空間の煙の濃度が、図1の感知器2の記憶部25の火災判定閾値よりも高くなるように定められているものとする。ここでは、例示の場合、感知器2の記憶部25の火災判定閾値として「10(%/m)」が格納されており、SA2でガス缶から煙を出力することにより、当該出力された煙が、図3の流路F1を介して収容部301の内部に供給されて、感知器2の周辺の煙の濃度が上昇して「12(%/m)」になるものとして、以下説明する。
図4に戻って、一方、SB1において感知器2の異常検出部261は、火災が発生しているか否かを判定する。具体的には、図1の感知器2の物理量検出部22の検出結果(つまり、煙の濃度)を取得し、また、記憶部25の火災判定閾値を取得した上で、これらの取得した検出結果と取得した火災判定閾値とを比較して、比較結果に基づいて、火災が発生しているか否かを判定する。そして、取得した検出結果が取得した火災判定閾値を超えていない場合、火災を検出せずに、火災が発生していないものと判定して(SB1のNO)、火災が発生しているものと判定するまで、繰り返しSB1を実行する。また、取得した検出結果が取得した火災判定閾値を超えている場合、火災を検出し、火災が発生しているものと判定して(SB1のYES)、SB2に移行する。
ここでは、例示の場合、図1の感知器2の物理量検出部22の検出結果が「10.1(%/m)」であるものとする。この場合、図1の感知器2の物理量検出部22の検出結果として「10.1(%/m)」を取得し、また、記憶部25の火災判定閾値として「10(%/m)」を取得した上で、これらの取得した検出結果と取得した火災判定閾値とを比較して、取得した検出結果である「10.1(%/m)」が取得した火災判定閾値である「10(%/m)」を超えているので、火災が発生しているものと判定する。
図4に戻って、SB2において感知器2の制御部26は、SB1での検出結果を出力するために、発報する。具体的には、図1の感知器2の接続部21の感知器側端子から、回線L1を介して接点出力を出力し、また、図3の感知器2の表示灯231を所定の点灯時間(例えば、10~15秒等)だけ点灯することにより、火災が発生しているものと判定したことを光により出力し、また、図1の感知器2の音響部24を介して警報音を出力することにより、火災が発生しているものと判定したことを音により出力する。
図4に戻って、一方、SC1において受信機1の制御部16は、発報したか否かを判定する。具体的には、図1の受信機1の接続部11の受信機側端子を監視して、監視結果に基づいて接点出力が入力されたか否かを判定し、判定結果に基づいて発報したか否かを判定する。そして、接点出力が入力されていないものと判定した場合、発報していないものと判定し(SC1のNO)、発報したものと判定するまで、SC1を繰り返し実行する。また、接点出力が入力されたものと判定した場合、発報したものと判定し(SC1のYES)、SC2に移行する。ここでは、例示の場合、SB2において回線L1を介して接点出力が出力されたので、前述の「感知器2用の受信機側端子」に接点出力が入力されることになり、接点出力が入力されたものと判定し、発報したものと判定する。
図4に戻って、SC2において受信機1の制御部16は、試験結果を出力する。具体的には、SC1で接点出力が入力された受信機側端子に基づいて、公知の手法を用いて発報した感知器を特定した上で、特定した感知器が発報したことを、図1の表示部13及び音響部14を介して出力する。ここでは、例示の場合、発報した感知器として感知器2を特定し、表示部13の「感知器2用の地区表示灯」を点灯し、また、音響部14から「1階の部屋Aの感知器が発報しました」等の音声メッセージを音響部14から出力する。
図4に戻って、一方、SA3において試験装置3の状態検出部34は、感知器2の状態を検出することにより、煙の供給を開始した時から所定の判定時間以内に、感知器2が火災を検出したか否かを判定する。具体的には、図1の試験装置3に、不図示のカウンタの如き計時手段が設けられており、この計時手段の計時結果に基づいて、図4のSA2を実行した時刻(以下、時刻T1)から、現在の時刻(以下、時刻T2)までの経過時間を特定できるように構成されているものとして、以下の判定を行う。判定について具体的には、図3の試験装置3の受光部341の受光結果を監視して、監視結果に基づいて図3の感知器2の表示灯231が点灯したか否かの判定を、前述の時刻T1から時刻T2までの経過時間が所定の判定時間を超えるまで、所定の測定時間(なお、所定の測定時間は所定の判定時間よりも短く、例えば、5秒等)毎に繰り返し行う。そして、時刻T1から時刻T2までの経過時間が所定の判定時間を超えるまでに、図3の感知器2の表示灯231が点灯したものと判定した場合、感知器2が火災を検出した状態であることを検出し、感知器2が火災を検出したものと判定する。また、時刻T1から時刻T2までの経過時間が所定の判定時間を超えるまでに、図3の感知器2の表示灯231が点灯したものと判定しなかった場合、感知器2が火災を検出しなかった状態であることを検出し、感知器2が火災を検出しなかったものと判定する。
ここでは、例示の場合、時刻T1から時刻T2までの経過時間が所定の判定時間を超えるまでに、図1の感知器2の物理量検出部22の検出結果が「10.1(%/m)」となって、図3の感知器2の表示灯231が点灯したものとする。この場合、感知器2が火災を検出したものと判定する。
図4に戻って、SA4において試験装置3の制御部37は、煙の濃度を取得する。具体的には、物理量検出部32の検出結果を取得する。より具体的には、図3の発光部321及び受光部322を駆動した上で、公知の手法を用いて、収容部301の内部の煙の濃度を物理量検出部32に検出させて、当該物理量検出部32の検出結果を取得した後、発光部321及び受光部322の駆動を終了する。ここでは、例示の場合、物理量検出部32の検出結果が「10.13(%/m)」であるものとする。この場合、「10.13(%/m)」を煙の濃度として取得する。
図4に戻って、SA5において試験装置3の制御部37は、情報を格納する。具体的には、試験対象の感知器を特定し、特定した感知器に対して、SA3の判定結果及びSA4の取得結果を対応付けて格納する。まず、試験処理の起動時に試験対象として選択した感知器2を特定する。次に、SA3で火災を検出したものと判定した場合、動作が正常であることを示す試験結果である「良」を特定し、一方、SA3で火災を検出しなかったものと判定した場合、動作が正常でないことを示す試験結果である「否」を特定する。そして、特定した感知器2に対して、特定した試験結果とSA4の取得結果とを関連付けて、図1の記憶部36に格納する。ここでは、例示の場合、SA3で火災を検出したものと判定し、SA4で「10.13(%/m)」を取得したので、感知器2を一意に識別するための感知器識別情報である「ID2」に対して「良」及び「10.13(%/m)」を関連付けて格納する。なお、ここでの「特定した試験結果」が、「異常検出部261の検出結果」に相当し、「SA4の取得結果」が「物理量検出部32の検出結果」に相当する。
図4に戻って、SA6において試験装置3の制御部37は、試験結果を出力する。なお、この試験結果の出力については、少なくとも異常検出部261の検出結果又は物理量検出部32の検出結果を出力する限りにおいて任意の手法を用いることができるが、ここでは、例えば、SA5で格納した情報を、出力部35の表示手段を介して表示出力し、また、出力部35の音声出力手段を介して音声出力し、また、出力部35の印字手段を介して紙面出力するものとする。ここでは、例示の場合、図1の防災システム100における感知器2の感知器識別情報である「ID2」と、感知器2の設置場所である「1階の部屋A」とが対応付けられている情報である設置場所情報が、試験装置3の記憶部36に格納されているものとして、以下説明する。この場合、まず、記憶部36から「設置場所情報」及びSA5で格納した「ID2」を取得し、取得したこれらの情報に基づいて、「ID2」が特定する感知器2の設置場所として「1階の部屋A」を特定する。次に、SA5で格納した「良」、及び「10.13(%/m)」を取得し、前述の特定結果とこの取得結果とに基づいて、以下の処理を行う。具体的には、「1階の部屋Aの感知器」に対して、試験結果である「良」及び発報時の煙の濃度である「10.13(%/m)」を対応づけて、表示手段及び印字手段を介して文字情報として出力したり、「1階の部屋Aの感知器の動作は正常であり、発報したときの煙の濃度は10.13(%/m)でした」等の音声メッセージを音声出力手段から出力したりする。このように情報を出力することにより、試験装置3側において、ユーザに対して、試験終了及び試験結果を報知することができる。これにて、試験処理を終了する。
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、監視領域の異常を検出するための感知器2を試験する試験装置3が、物理量検出部32の検出結果を出力することにより、例えば、感知器2側(例えば、監視領域における感知器2を視認できる位置等)に留まって、試験装置3を用いて試験を行うことができるので、感知器2の試験を行う作業効率を向上させることができる。また、例えば、感知器2の周辺の検出対象の物理量を検出して出力することができるので、検出対象に対する感知器2の動作を正確に把握することができ、有用な試験を行うことができる。
また、感知器2に対して感知器2の検出対象を供給する供給部33を備えることにより、例えば、設置面W1に設置されたままの状態の感知器2に対して検出対象を供給することができるので、前述の「感度試験機」に感知器2を収容する必要がなく、感知器2の試験を行う作業効率をより一層向上させることができる。
また、供給部33が供給した検出対象の物理量を、感知器2の周辺の検出対象の物理量として検出することにより、例えば、試験装置3自体が正常に動作しているか否かを確認することができるので、試験装置3自体の状態を把握し、感知器2を適切に試験することができる。
また、少なくとも、感知器2の異常検出部261の検出結果と、試験装置3の物理量検出部32の検出結果とを出力することにより、例えば、検出対象に対する感知器2の動作を一層正確に把握することができる。
また、感知器側出力手段の出力結果に基づいて、感知器による異常の検出に関する状態を検出する試験装置側状態検出手段を備えることにより、例えば、感知器による異常の検出に関する状態を確実に把握することができるので、検出対象に対する感知器の動作をより一層正確に把握することができる。
また、受光手段が受光した光に基づいて感知器による異常の検出に関する状態を検出することにより、例えば、試験装置を用いて試験を行う環境において騒音がある場合であっても、感知器の状態を検出することが当該騒音によって妨げられるのを防止することができるので、騒音がある環境でも確実に感知器の動作を把握することができる。
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。
(試験について)
また、上記実施の形態の特徴を、図4の試験処理で説明した試験(具体的には、作動試験)以外の任意の試験に適用してもよい。具体的には、不作動試験(感度試験)又は自動試験に適用してもよい。
ここで、「不作動試験」とは、前述の供給試験であって、感知器2の周辺に供給された検出対象に対する、少なくとも、感知器2の物理量検出部22又は異常検出部261の機能の正常性についての試験であり、具体的には、煙の供給を開始した時から所定の判定時間(例えば、1分等)以内に、感知器2が火災を検出しないことを判定する試験である。この「不作動試験」に適用する場合について具体的には、図4のSA2、及びSA5を以下のように変更してもよい。具体的には、図4のSA2において、感知器2が正常に動作している場合に火災を検出しない量だけ供給部33に煙を出力させてもよい。より詳細には、図3の収容部301と設置面W1とで囲まれている空間の煙の濃度が、感知器2の火災判定閾値よりも低くなるように、供給部33に煙を出力させてもよい。また、図4のSA5において、実施の形態での「良」、「否」の特定とは逆に、SA3で火災を検出したものと判定した場合に「否」を特定し、SA3で火災を検出しなかったものと判定した場合に「良」を特定してもよい。なお、図4のSA2、及びSA5以外の処理についても、必要がある場合には、適宜変更又は省略等を行ってもよい。
また、「自動試験」とは、前述の非供給試験であって、自動試験機能を有する感知器にて行われる試験である。なお、自動試験機能を有する感知器を「自動試験機能付感知器」と称し、この自動試験機能付感知器は、少なくとも、実施の形態の感知器2の物理量検出部22及び異常検出部261と同様な構成を備えているものとして、以下説明する。ここで、「自動試験機能」とは、少なくとも、自動試験機能付感知器の物理量検出部又は異常検出部の正常性についての自動試験であり、具体的な試験内容は任意であるが、ここでは、例えば、以下の第1の試験、又は第2の試験を行ってもよい。「第1の試験」は、物理量検出部の試験であり、具体的には、物理量検出部の検出結果を所定の自動測定時間(例えば、1秒等)毎に繰り返し取得して記憶部に格納し、所定の評価時間(例えば、10分等)毎に前述の格納した検出結果の平均値を繰り返し求め、求めた平均値が所定の零点レベル(例えば、0.1~0.2(%/m)等)から予め定められた値(例えば、0.01(%/m)等)を超えてずれているか否かを確認する試験である。また、「第2の試験」は、異常検出部の試験であり、具体的には、実施の形態の図4のSB1の処理を所定回数(例えば、20回等)繰り返し実行した上で、SB1の処理結果が同じであることを確認する試験である。この「自動試験」に適用する場合について具体的には、煙の供給が不要となるので、図4のSA2を省略した上で、SA1がYESの場合に、試験装置3が任意の開始手法を用いて自動試験機能付感知器の自動試験を開始してもよい。任意の開始手法について具体的には、自動試験機能付感知器及び試験装置3を、無線通信回路、ICタグ、ホール素子、又は発光部及び受光部等を含む公知の通信手段を用いて通信を行えるようにして、この通信を利用して試験装置3が自動試験機能付感知器に自動試験を開始するためのトリガ信号を送信する手法を用いてもよい。更に、試験装置3が、この通信手段による通信を利用して、自動試験の結果を自動試験機能付感知器から取得して出力してもよい。このように構成した場合、正常性についての自動試験を行うことにより、例えば、トリガ信号を送信した後に自動試験機能付感知器を放置することができるので、試験終了までユーザが自動試験機能付感知器側に留まる必要がなく、ユーザの作業負担を軽減することができる。また、ここでのトリガ信号については、伝搬距離が極めて短く(例えば、数センチメートル等)なるように送信されるものとする。そして、伝搬距離が極めて短くなっているために、試験の対象となっている自動試験機能付感知器以外の感知器に対して、ユーザの意図に反してトリガ信号が無線送信されるのを防止することができる。
また、上記実施の形態及び変形例で説明した各試験を、ユーザが選択して実行できるようにしてもよい。具体的には、図1の試験装置3の操作部31に対して、各試験を開始するための試験開始ボタン(例えば、作動試験を開始するための「作動試験開始ボタン」、不作動試験を開始するための「不作動試験開始ボタン」、自動試験の第1の試験を開始するための「第1自動試験開始ボタン」、自動試験の第2の試験を開始するための「第2自動試験開始ボタン」)を設けて、各試験開始ボタンが操作された場合に、操作された各試験開始ボタンに対応する試験が行われるようにしてもよい。この場合、第1自動試験開始ボタン又は第2自動試験開始ボタンが操作された場合に、操作された試験開始ボタンに対応する試験を開始するためのトリガ信号を、試験装置3が自動試験機能付感知器に送信し、自動試験機能付感知器が試験装置3からのトリガ信号に基づいて、実行するべき試験を区別するように構成した上で、前述の操作された各試験開始ボタンに対応する試験を実行するようにしてもよい。また、この場合、作動試験開始ボタンが操作された場合に、実施の形態の各処理を行い、不作動試験開始ボタンが操作された場合に、変形例の「(試験について)」に記載の「不作動試験」の各処理を行ってもよい。なお、実施の形態及び変形例で説明した各試験全てではなくて、各試験のうちの任意の試験のみを、ユーザが選択して実行できるようにしてもよい。また、実施の形態及び変形例で説明した各試験を複数選択して、選択した複数の試験を順次実行できるようにしてもよい。
(供給部について)
また、上記実施の形態の図1の試験装置3の供給部33が出力する煙の濃度を、ユーザが設定できるようにしてもよい。具体的には、試験装置3の操作部31に対して、濃度を調整するための濃度調整ダイヤルを設けた上で、当該濃度調整ダイヤルを操作して煙の濃度を調整できるようにしてもよいし、操作部31のタッチパッドに所望する濃度を入力できるように構成した上で、当該タッチパッドに入力された濃度の煙を出力できるようにしてもよい。また、上記実施の形態の図1の試験装置3の供給部33が出力する煙の量を、試験装置3の物理量検出部32の検出結果に基づくフィードバック制御を行って調整してもよい。具体的には、物理量検出部32による検出を繰り返し行って、物理量検出部32の検出結果が所望する濃度(例えば、実施の形態の所定量等)になるまで煙を供給し続ける制御を行ってもよい。なお、ここに記載の概念を、検出対象が「煙」である場合以外に適用してもよく、一例としては、検出対象が一酸化炭素等の「有毒ガス」である場合に適用してもよく、あるいは、検出対象が「熱」である場合に適用してもよい。
(物理量検出部について)
また、上記実施の形態の図1の試験装置3の物理量検出部32については、図3の感知器2の表示灯231の点灯の影響を除去するための補正値を事前に求めておき、求めた補正値を用いて補正することにより、煙の濃度の検出確度を向上させてもよい。また、図3の感知器2の表示灯231の点灯の影響を除去するために、試験装置3に対して公知の感知器の検煙部の技術を適用してもよい。公知の検煙空間を区画するラビリンスを収容部301の内側の空間に設けて、当該ラビリンスによって区画された検煙空間の内部に発光部321及び受光部322を設けてもよい。なお、ここに記載の概念を、検出対象が「煙」である場合以外に適用してもよく、一例としては、検出対象が一酸化炭素等の「有毒ガス」である場合に適用してもよく、あるいは、検出対象が「熱」である場合に適用してもよい。
(状態検出部について(その1))
また、上記実施の形態の図1の試験装置3の状態検出部34については、光以外の検出対象(例えば、感知器2の音響部24から出力される警報音等)を検出して、感知器2の状態を検出してもよい。具体的には、状態検出部34に対して、受光部341の代わり、あるいは、受光部341と共に受音部を設けてもよい。ここで、「受音部」は、感知器2の音響部24の不図示のスピーカが出力した音を受音する受音手段であり、具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知のマイクロフォン等を用い、当該マイクロフォン等である受音部が図3の収容部301の内側面に設けられているものとする。そして、この受音部が設けられた状態検出部34を、受音部が受音した音に基づいて、感知器2による異常の検出に関する状態を検出するように構成してもよい。このように構成した場合、受音部が受音した音に基づいて感知器2による異常の検出に関する状態を検出することにより、例えば、試験を行うために煙等の検出対象を供給する場合であっても、感知器2の状態を検出することが当該検出対象によって妨げられるのを防止することができるので、確実に感知器2の動作を把握することができる。
(状態検出部について(その2))
また、上記実施の形態の試験装置3における状態検出部34の受光部341として、公知のPDを用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、カメラやイメージセンサ等を用いてもよく、このカメラやイメージセンサ等にて、感知器2の状態を検出して把握できるように構成してもよい。このように構成する場合、試験装置3に対して液晶ディスプレイの如き表示手段を設けて、カメラやイメージセンサ等によって撮像又は検出される画像を当該表示手段に表示させるように構成してもよい。また、このように構成する場合、カメラやイメージセンサ等によって撮像又は検出される画像を、試験装置3の記憶部36に格納するように構成してもよい。
(出力部について)
また、上記実施の形態の図1の試験装置3の出力部35については、表示手段、音声出力手段、又は印字手段のうちの1つのみ、又は任意に選択した複数を設けてもよい。また、試験装置3の出力部35については、異常検出部261の検出結果、又は物理量検出部32の検出結果のうちの何れか一方のみを出力してもよい。
(試験結果の出力形式について)
また、上記実施の形態の図4のSA6にて出力される試験結果については、ユーザが所望する所定の報告書形式(例えば、試験を行った複数の感知器の試験結果のリスト表示等)で出力してもよい。また、試験装置3の操作部31のタッチパッドを介してユーザが入力した情報を、試験装置3の記憶部36に格納して、出力する試験結果に反映してもよい。
(受信機の処理について)
また、上記実施の形態の図4のSC1及びSC2の処理については、公知の処理を含む任意の処理と置き換えてもよいし、省略してもよい。
(火災の検出処理について)
また、上記実施の形態の図4のSA3では、図3の感知器2の表示灯231が点灯したか否かの判定を、時刻T1から時刻T2までの経過時間が所定の判定時間を超えるまで、所定の測定時間毎に繰り返し行う場合について説明したが、これに限らない。例えば、時刻T1から時刻T2までの経過時間が所定の判定時間を超えていなくても、感知器2の表示灯231が点灯したものと判定した場合、直ちにSA3を終了した上でSA4を実行してもよい。このように構成した場合、図4のSB1にて火災判定閾値を超えているものと判定したときの煙の濃度を、SA4にて正確に検出して取得できる。
(各部又は各処理について)
また、上記実施の形態で説明した各装置の各部又は各処理を、適宜省略又は変更してもよい。具体的には、変形例の「(試験について)」の「自動試験」のみを行うように構成した場合、煙の供給が不要となるので、図1の試験装置3の供給部33を省略してもよい。また、図1の試験装置3の操作部31に、試験結果を出力するためのボタンである「試験結果出力ボタン」を設けた上で、この試験結果出力ボタンが操作された場合に、図4のSA5で格納した情報を出力するようにしてもよい。
(R型への適用について)
また、上記実施の形態の図1の試験装置3を用いて、R型受信機に接続されている感知器を試験してもよい。
(特徴について)
また、上記実施の形態の構成、及び変形例の特徴を、任意に組み合わせてもよい。
(付記)
付記1の試験装置は、監視領域の異常を検出するための感知器を試験する試験装置であって、前記感知器は、前記監視領域の検出対象の物理量を検出する感知器側物理量検出手段と、前記感知器側物理量検出手段の検出結果に基づいて、前記監視領域の異常を検出する感知器側異常検出手段と、前記感知器側異常検出手段の検出結果を出力する感知器側出力手段と、を備え、前記試験装置は、前記感知器の周辺の検出対象の物理量を検出する試験装置側物理量検出手段と、少なくとも前記試験装置側物理量検出手段の検出結果を出力する試験装置側出力手段とを備える。
付記2の試験装置は、付記1に記載の試験装置において、前記試験装置は、前記感知器に対して前記感知器の検出対象を供給する試験装置側供給手段を備える。
付記3の試験装置は、付記2に記載の試験装置において、前記試験装置側物理量検出手段は、前記試験装置側供給手段が供給した検出対象の物理量を、前記感知器の周辺の検出対象の物理量として検出する。
付記4の試験装置は、付記1から3のいずれか一項に記載の試験装置において、前記試験装置側出力手段は、少なくとも、前記感知器側異常検出手段の検出結果と、前記試験装置側物理量検出手段の検出結果とを出力する。
付記5の試験装置は、付記1から4のいずれか一項に記載の試験装置において、前記試験装置は、前記感知器側出力手段の出力結果に基づいて、前記感知器による異常の検出に関する状態を検出する試験装置側状態検出手段、を備え、前記試験装置側出力手段は、少なくとも前記試験装置側状態検出手段の検出結果に基づいて、少なくとも前記感知器側異常検出手段の検出結果、を出力する。
付記6の試験装置は、付記5に記載の試験装置において、前記感知器側出力手段は、前記感知器側異常検出手段の検出結果を、光により出力するものであり、前記試験装置側状態検出手段は、前記感知器側出力手段からの光を受光する受光手段、を備え、前記試験装置側状態検出手段は、前記受光手段が受光した光に基づいて、前記感知器による異常の検出に関する状態を検出する。
付記7の試験装置は、付記5又は6に記載の試験装置において、前記感知器側出力手段は、前記感知器側異常検出手段の検出結果を、音により出力するものであり、前記試験装置側状態検出手段は、前記感知器側出力手段からの音を受音する受音手段、を備え、前記試験装置側状態検出手段は、前記音光手段が受音した音に基づいて、前記感知器による異常の検出に関する状態を検出する。
(付記の効果)
付記1に記載の試験装置によれば、監視領域の異常を検出するための感知器を試験する試験装置が、試験装置側物理量検出手段の検出結果を出力することにより、例えば、感知器側(例えば、監視領域における感知器を視認できる位置等)に留まって、試験装置を用いて試験を行うことができるので、感知器の試験を行う作業効率を向上させることができる。また、例えば、感知器の周辺の検出対象の物理量を検出して出力することができるので、検出対象に対する感知器の動作を正確に把握することができ、有用な試験を行うことができる。
付記2に記載の試験装置によれば、感知器に対して感知器の検出対象を供給する試験装置側供給手段を備えることにより、例えば、設置面に設置されたままの状態の感知器に対して検出対象を供給することができるので、前述の「感度試験機」に感知器を収容する必要がなく、感知器の試験を行う作業効率をより一層向上させることができる。
付記3に記載の試験装置によれば、試験装置側供給手段が供給した検出対象の物理量を、感知器の周辺の検出対象の物理量として検出することにより、例えば、試験装置自体が正常に動作しているか否かを確認することができるので、試験装置自体の状態を把握し、感知器を適切に試験することができる。
付記4に記載の試験装置によれば、少なくとも、感知器側異常検出手段の検出結果と、試験装置側物理量検出手段の検出結果とを出力することにより、例えば、検出対象に対する感知器の動作を一層正確に把握することができる。
付記5に記載の試験装置によれば、感知器側出力手段の出力結果に基づいて、感知器による異常の検出に関する状態を検出する試験装置側状態検出手段を備えることにより、例えば、感知器による異常の検出に関する状態を確実に把握することができるので、検出対象に対する感知器の動作をより一層正確に把握することができる。
付記6に記載の試験装置によれば、受光手段が受光した光に基づいて感知器による異常の検出に関する状態を検出することにより、例えば、試験装置を用いて試験を行う環境において騒音がある場合であっても、感知器の状態を検出することが当該騒音によって妨げられるのを防止することができるので、騒音がある環境でも確実に感知器の動作を把握することができる。
付記7に記載の試験装置によれば、受音手段が受音した音に基づいて感知器による異常の検出に関する状態を検出することにより、例えば、試験を行うために煙等の検出対象を供給する場合であっても、感知器の状態を検出することが当該検出対象によって妨げられるのを防止することができるので、確実に感知器の動作を把握することができる。
1 受信機
2 感知器
3 試験装置
11 接続部
12 操作部
13 表示部
14 音響部
15 記憶部
16 制御部
21 接続部
22 物理量検出部
23 表示部
24 音響部
25 記憶部
26 制御部
31 操作部
32 物理量検出部
33 供給部
34 状態検出部
35 出力部
36 記憶部
37 制御部
100 防災システム
231 表示灯
261 異常検出部
301 収容部
302 支持部
303 保持部
321 発光部
322 受光部
341 受光部
F1 流路
L1 回線
W1 設置面

Claims (1)

  1. 監視領域における検出対象の物理量に基づいて前記監視領域の異常を検出する感知器を試験する試験装置であって、
    前記試験装置は、
    前記感知器に対して前記検出対象を供給して行う供給試験に関する制御と、前記感知器に対して前記検出対象を供給しないで行う非供給試験に関する制御とを行う制御手段を備え
    前記制御手段は、
    前記供給試験に関する制御として、少なくとも、前記感知器に対して前記感知器が作動すべき第1物理量となる前記検出対象の供給を開始した時から所定時間以内に前記監視領域の異常を検出することを判定する作動試験と、前記感知器に対して前記感知器が作動すべきでない第2物理量となるように前記検出対象の供給を開始した時から所定時間以内に前記監視領域の異常を検出しないことを判定する不作動試験に関する制御を行
    前記試験装置は、
    前記感知器が前記監視領域の異常を検出したか否か判定する試験装置側状態検出手段、を備え、
    前記感知器は、
    前記検出対象の供給を受けずに前記監視領域の異常を検出するための機能を確認するための自動試験を実施可能に構成されており、
    前記制御手段は、
    少なくとも、前記自動試験を開始させる制、前記自動試験の結果を前記感知器側から取得して出力する制御を、前記非供給試験に関する制御として行
    前記試験装置は、
    前記作動試験、前記不作動試験、前記自動試験の何れかを選択して開始させる操作手段を備え
    試験装置。
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