JP2003203279A - 火災報知設備の試験装置 - Google Patents

火災報知設備の試験装置

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JP2003203279A
JP2003203279A JP2002001625A JP2002001625A JP2003203279A JP 2003203279 A JP2003203279 A JP 2003203279A JP 2002001625 A JP2002001625 A JP 2002001625A JP 2002001625 A JP2002001625 A JP 2002001625A JP 2003203279 A JP2003203279 A JP 2003203279A
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学 土肥
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雅彦 根本
Naoto Yamano
直人 山野
Yasushi Shima
裕史 島
Naoya Matsuoka
直哉 松岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一人の要員で火災感知器の作動試験とアドレ
ス確認とを同時に行い要員コストの削減を図る。 【解決手段】 試験装置70を用いて火災感知器13を
試験発報させると、その火災感知器13の表示灯42の
光が当該火災感知器13のアドレス情報で変調される。
そして、その光が試験装置70の受光部80で受光さ
れ、試験装置70の制御部81によって前記発報状態に
ある火災感知器のアドレス情報が特定されると共に、そ
のアドレスが試験装置70の表示部82に表示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火災報知設備の試
験装置に関し、詳しくは、火災感知器の作動試験を行う
際に試験現場で用いられる試験装置であって、その火災
感知器が固有のアドレス情報を持つタイプのもの(いわ
ゆる「アドレッサブル型火災感知器」)である場合に、
そのアドレス情報を試験現場で確認できるようにした、
火災報知設備の試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図18は、一例として示す、P(Pro
prietary Typeの略)型火災報知設備(以
下単に「火災報知設備」という)のシステム概念図であ
る。火災報知設備は、複数の火災感知器1と、それら火
災感知器1からの発報信号を感知器回線L1〜Lnごと
に受信して、その回線単位(警戒区域ともいう。図示の
例では1階〜n階の各階ごと。)に火災警報を行う火災
受信機2とにより構成されている。火災感知器1はアド
レッサブル型火災感知器である。すなわち、火災感知器
1の各々には、あらかじめ固有の識別情報(以下「アド
レス」という。)が割り当てられており、たとえば、感
知器回線L1に接続された火災感知器1には左から順に
「A001」、「A002」及び「A003」の各アド
レスが割り当てられている。
【0003】このような構成の火災報知設備において
は、一つの火災感知器1(便宜的に101号室に設置
されたものとする)が発報すると、その火災感知器1の
アドレス(この場合“A001”)が火災受信機2に伝
えられ、火災受信機2のフロントパネルにそのアドレ
ス(発報を行った火災感知器1のアドレス;“A00
1”)が表示されるようになっている。このため、警戒
区域をより細分化した、火災感知器1の設置場所単位に
火災発報の検知表示を行うことができ、無駄のない効率
的な避難誘導及び消火活動を行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のアド
レッサブル型火災感知器(火災感知器1)を含む火災報
知設備にあっては、火災感知器1のアドレスを確認する
必要に迫られた場合、次の方法でしか確認することがで
きなかった。すなわち、アドレスを知りたい火災感知器
1(以下「被試験感知器」という)の設置場所まで出向
き、被試験感知器に適合する試験器(被試験感知器が熱
感知型である場合は加熱試験器または被試験感知器が煙
感知型である場合は加煙試験器)を用いて、被試験感知
器を強制的に発報させ、そして、火災受信機2のフロン
トパネルに表示されたアドレスを確認するという方法で
ある。
【0005】この方法の不都合な点は、一人の要員でア
ドレスの確認を行うことができないことにある。これ
は、一般に火災感知器1(被試験感知器)と火災受信機
2との距離が離れているため、少なくとも被試験感知器
の試験要員と火災受信機2の確認要員の二人が必要にな
るからである。そこで、本発明は、被試験感知器の試験
要員のみで被試験感知器の作動試験とアドレス確認とを
同時に行うことができ、要員コストの削減を図った火災
報知設備の試験装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明に係る火災報知
設備の試験装置は、火災感知器を試験発報させるために
用いられる、火災報知設備の試験装置であって、前記火
災感知器は、発報状態にあるときに自己のアドレス情報
で変調された光を発生する発光部を本体部または基台部
に有し、前記試験装置は、前記火災感知器の発光部の光
を受光する受光部と、該受光部によって受光された光の
変調状態から前記発報状態にある火災感知器のアドレス
情報を特定するアドレス特定手段と、前記アドレス特定
手段によって特定されたアドレス情報を出力する出力手
段とを備えたこととされているものである。
【0007】なお、「本体部」とは、被試験感知器の筐
体、ケース、ボディまたはそれらに相当するものであっ
て、火災感知器と一体化されている部分のことをいう。
また、「基台部」とは、火災感知器を建造物の天井等に
取り付ける際に、その天井等と火災感知器の本体部との
間に介在させる部分(ベースまたはアタッチメントとも
いう)のことをいう。
【0008】この発明では、火災感知器を試験発報させ
ると、その火災感知器の本体部または基台部に設けられ
た発光部の光が、当該火災感知器のアドレス情報で変調
される。そして、その発光部の光が試験装置の受光部で
受光され、試験装置のアドレス特定手段によって前記発
報状態にある火災感知器のアドレス情報が特定されると
共に、そのアドレスが出力される。したがって、試験現
場で火災感知器のアドレスを確認することができるの
で、火災感知器の発報試験要員のみで火災感知器の発報
作動試験とアドレス確認とを同時に行うことができ、要
員コストの削減を図ることができる。
【0009】なお、この発明の好ましい構成は、前記受
光部は、単一または複数の受光素子で構成されたもので
あることとされているものである。このような構成であ
ると、単一の受光素子とした場合は受光部のコスト削減
を図ることができ、また、複数の受光素子とした場合は
受光部の感度向上を図ることができる。
【0010】また、この発明の好ましい構成は、前記受
光部は、単一または複数の受光素子で構成されたもので
あって、且つ、火災感知器の発光部からの光を、それら
単一または複数の受光素子のすべてまたはいずれかにガ
イドする光ガイド手段を備えたこととされているもので
ある。このような構成であると、光ガイド手段により、
火災感知器の発光部からの光を受光部に導くことがで
き、受光部への入射光量の増大を図ることができると共
に、受光部のレイアウト位置の柔軟性を確保することが
できる。
【0011】また、この発明の好ましい構成は、さら
に、前記アドレス特定手段によって特定されたアドレス
情報を保持する保持手段と、該保持手段に保持されたア
ドレス情報を読み出して前記出力手段から出力する読み
出し手段とを備えたこととされているものである。この
ような構成であると、火災感知器の試験を終わった後
に、アドレス情報を読み出して再確認することができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、P
型火災報知設備(以下、単に「火災報知設備」とい
う。)を例にして、図面を参照しながら説明する。ま
ず、はじめに、本発明に係る「火災報知設備の試験装
置」に適用して好ましい火災報知設備の詳細を説明し、
しかる後に、その試験装置の構成及び動作を説明するこ
ととする。
【0013】1.火災報知設備の詳細 図1は、火災報知設備の概念的なシステム構成図であ
る。この図において、火災受信機10からは、n個(図
では便宜的にn=4)の感知器回線12a〜12dが引
き出されている。感知器回線12a〜12dはそれぞれ
後述するように2線式の構成(L線とC線のペア構成)
であり、各々の感知器回線12a〜12dには、任意数
の火災感知器13が並列接続されると共に、感知器回線
12a〜12dの各端末は、抵抗14で終端されてい
る。
【0014】ここで、火災感知器13は、要するに、火
災を検出したときに、接続された感知器回線を短絡(L
線とC線の間を短絡)状態とするものであり、実際の火
災感知器13としては、たとえば、感知器回線12aに
ついて代表的に示すように、光電式煙感知器13a、サ
ーミスタ式熱感知器13b、差動式感知器13c、定温
式感知器13dなど、様々なタイプの火災感知器を使用
することができる。
【0015】火災受信機10は、そのフロントパネル1
5に、各種の表示ランプや操作ボタンなどを配置して構
成されている。たとえば、図示の例では、火災発生時に
点灯する火災代表灯16や火災発生場所を表示する地区
表示部17及び操作部18並びに音響出力部19などが
設けられているほか、小扉20の内側に保守点検用の操
作表示部21が設けられている。
【0016】図2は、火災受信機10及び火災報知器1
3の電気的構成図である。火災受信機10は、受信制御
部22や回線選択部23などを含む中央制御部24、フ
ロントパネル15、移報出力部25、メモリ26、n個
の電流検出部(以下、第1電流検出部27_1〜第n電
流検出部27_n)などを備えて構成されている。な
お、移報出力部25は、いずれかの回線または火災感知
器が火災状態であることを中央制御部24で検出したと
き、接点、電圧若しくは電流の変化で外部機器(たとえ
ば、副表示盤等)に対して、その情報(移報という)を
出力するものである。移報は代表の出力だけでなく、回
線ごとあるいは指定の火災感知器の出力も可能である。
また、メモリ26は、中央制御部24の動作ソフトを格
納するマスクロムやフラッシュロムなどである。動作履
歴や出荷時の品質管理情報を書き込むこともできる。
【0017】火災報知設備を構築する場合は、第1電流
検出部27_1〜第n電流検出部27_nのそれぞれか
ら引き出された感知器回線(説明の都合上、12a〜1
2cの三つとする)のL線とC線に、任意数(便宜的に
m個、すなわちNo.1〜No.m)の火災感知器13
を接続すると共に、各感知器回線12a〜12cのL線
とC線の端末に終端のための抵抗14を接続する。
【0018】第1電流検出部27_1〜第n電流検出部
27_nは、中央制御部24のタイムシェアリング制御
(後述)により、それぞれ所定の時間ごとに時分割動作
し、各々に接続された感知器回線のL線とC線の間に流
れる電流(以下「LC間電流」という)の大きさを検出
する。すなわち、第1電流検出部27_1は、第1のタ
イムシェアリング期間でLC間電流の大きさを検出し、
第2電流検出部27_2は、第2のタイムシェアリング
期間でLC間電流の大きさを検出し、第n電流検出部2
7_nは、第nのタイムシェアリング期間でLC間電流
の大きさを検出し、いずれもその計測信号を、各々のタ
イムシェアリング期間において中央制御部24に出力す
る。
【0019】中央制御部24は、火災受信機10の全体
動作を制御するものである。その具体的な構成は、設計
容易性や改修容易性などの点で、一般にマイクロプロセ
ッサを主たる要素とする、いわゆるマイクロプログラム
制御方式で設計されることが多いが、たとえば、ハード
ロジックで設計されたものであってもよい。中央制御部
24に必要な第一の機能はフロントパネル15や移報出
力部25の動作制御機能であり、第二の機能は火災発報
の検出制御機能、その火災発報位置の火災感知器単位の
判定制御、及び、第1電流検出部27_1〜第n電流検
出部27_nのタイムシェアリング制御機能である。
【0020】図示の受信制御部22及び回線選択部23
は、第二の機能を模式的に表した概念ブロックである。
すなわち、受信制御部22は、第1電流検出部27_1
〜第n電流検出部27_nからの計測信号(LC間電流
の計測結果信号)に基づいて火災の発報を検出し、その
火災発報位置を火災感知器13の単位に判定するもので
あり、また、回線選択部23は、第1電流検出部27_
1〜第n電流検出部27_nのタイムシェアリング動作
を制御するものである。
【0021】図3は、中央制御部24(の一部)及び電
流検出部(第1電流検出部27_1〜第n電流検出部2
7_n)の回路構成を示す図である。電流検出部(第1
電流検出部27_1〜第n電流検出部27_n)は、い
ずれも同一の構成を有しており、代表として、第1の電
流検出部27_1を説明すると、第1の電流検出部27
_1は、感知器回線接続用の二つの端子(L1、C
1)、電流検出回路30、及び、スイッチング回路31
を備え、それら各部の詳細は、以下のとおりである。
【0022】すなわち、L1端子には感知器回線12a
のL線が接続され、C1端子には感知器回線12aのC
線が接続される。C1端子は共通電位(コモン電位;図
では接地電位)に接続されており、電流検出回路30
は、二つの端子(L1、C1)の間に流れる電流(すな
わちLC間電流)に比例した電流を検出し、スイッチン
グ回路31は、電流検出回路30で検出した電流を所定
のタイムシェアリング期間に計測信号として中央制御部
24に出力する。
【0023】たとえば、図示の電流検出回路30は、四
つの抵抗素子30a〜30d、オペアンプ30e及びト
ランジスタ30fを備え、L1端子と+24V電源との
間に抵抗素子30a、30bを直列挿入し、それらの抵
抗素子30a、30bの接続点をオペアンプ30eの反
転入力(−入力)に接続し、+24V電源を抵抗素子3
0cを介してオペアンプの非反転入力(+入力)に接続
し、オペアンプ30eの出力を抵抗素子30dを介して
トランジスタ30fのベースに接続し、オペアンプ30
eの非反転入力をトランジスタ30fのエミッタに接続
して構成されている。
【0024】また、スイッチング回路31は、三つの抵
抗素子31a、31b、31c及び二つのトランジスタ
31d、31eを備え、トランジスタ31dのコレクタ
−ベース間に抵抗素子31aを接続し、トランジスタ3
1dのエミッタを、電流検出回路30のトランジスタ3
0fのコレクタに接続し、トランジスタ31dのベース
を抵抗素子31bを介してトランジスタ31eのコレク
タに接続するとともに、トランジスタ31eのエミッタ
を共通電位に接続し、トランジスタ31eのベースに抵
抗素子31cを介して中央制御部24(の回線選択部2
3)からのタイムシェアリング信号(T1)を印加し、
トランジスタ31dのコレクタを中央制御部24(の受
信制御部22)に設けられた負荷抵抗22aを介して共
通電位に接続して構成されている。
【0025】ここで、図中の“T1”は第1電流検出部
27_1のタイムシェアリング信号、“T2”は第2電
流検出部27_2のタイムシェアリング信号、“Tn”
は第n電流検出部27_nのタイムシェアリング信号で
あり、“SI”は負荷抵抗22aの両端から取り出され
る電流−電圧変換信号である。
【0026】このような構成において、スイッチング回
路31のトランジスタ31d、31eは、タイムシェア
リング信号T1の電位を切り換えることにより、オン/
オフ変化する。以下、便宜的にトランジスタ31d、3
1eがオンになるときのタイムシェアリング信号T1の
電位状態を「アクティブ」ということにすると、このア
クティブ状態においては、電流検出回路30のトランジ
スタ30fのコレクタは、中央制御部24(の受信制御
部22)に設けられた負荷抵抗22aを介して共通電位
に接続された状態にある。
【0027】そして、このときの、電流検出回路30の
トランジスタ30fのコレクタ電流icは、二つの入力
抵抗(抵抗素子30a、30c)の抵抗比に従って正確
に制御される。すなわち、+24V電源から感知器回線
12aに流れ込む電流(LC間電流)をiaとし、且
つ、オペアンプ30eの二つの入力抵抗(抵抗素子30
a、30c)の抵抗比をAとすると、ic=ia/Aと
なり、たとえば、抵抗素子30aを100Ω、抵抗素子
30cを10kΩとすると、抵抗比Aは1/100にな
るから、ic=ia/100となり、タイムシェアリン
グ信号T1のアクティブ期間においては、中央制御部2
4の負荷抵抗22aに、+24V電源から感知器回線1
2aに流れ込む電流ia(LC間電流)を正確に1/1
00にした電流icを流すことができる。
【0028】したがって、たとえば、負荷抵抗22aを
10kΩとすると、その負荷抵抗22aの両端から取り
出される電流−電圧変換信号SIの値は、10kΩ×i
cとなるから、たとえば、ia=35mAのとき、SI
=10kΩ×ic=10kΩ×(35mA/100)=
3.5Vとなる。
【0029】図4(a)は、タイムシェアリング動作の
概念図である。図中模式化して示す多接点スイッチ32
は、第1電流検出部27_1〜第n電流検出部27_n
のn個のスイッチ回路31をまとめたものである。この
多接点スイッチ32は、図4(b)に示すタイムシェア
リング信号T1〜Tnの巡回的なアクティブ動作(1サ
イクルを単位に繰り返す)に従って接点を順次に閉じて
いくものであり、負荷抵抗22aには、上記のアクティ
ブ動作に伴って、L1回線のic、L2回線のic、・・
・・、Ln回線のicが順次に流れ込み、それを1サイク
ルとして延々と繰り返すという作用が得られ、その結
果、タイムシェアリング期間ごとに感知回線(L1〜L
n)ごとのSIを取り出すことができる。
【0030】さて、以上のとおり、SIはia=35m
Aのときに3.5Vとなるが、詳細は後述するが、ia
は、上記の35mAのほかに、2.4mAと10mAの
合計三種類の値をとることができる。このため、SI
は、3.5V(ia=35mAのとき)、0.24V
(ia=2.4mAのとき)及び1.0V(ia=10
mAのとき)の三種類の値をとる。なお、言うまでもな
く、これらの電流値(2.4mA、10mA及び35m
A)は説明のための便宜値である。
【0031】図5は、火災感知器の外観図とその回路ブ
ロック図である。図示の火災感知器13は、たとえば、
煙感知器を例にすると、ケース40(本体部)に煙感知
窓41を形成すると共に、火災発報及びアドレス情報表
示用の表示灯42(発光部)を取り付けて構成されてい
る。ケース40の内部には、ノイズ吸収回路/整流回路
44、電源部45、検出回路46、アドレス設定部4
7、変調信号発生部48(光変調部)、及び、電流変調
部49(光変調部)が設けられており、これら各部はそ
れぞれ以下の機能を有する。
【0032】まず、ノイズ吸収回路/整流回路44は、
感知器回線(便宜的に12a)を介して火災受信機10
から供給されるLC間電流(定常時2.4mA、火災発
生時35mA/10mA)のノイズ成分を取り除き、そ
の電流を整流する回路である。電源部45は、ノイズ吸
収回路/整流回路44によって整流された電流から検知
回路46及び変調信号発生部48の動作に必要な内部電
源を発生する回路である。検出回路46は、図示の例に
おいては、煙の濃度を測定して所定値以上の濃度を検知
した場合に変調信号発生部48の動作を起動するための
起動信号を発生する回路である。
【0033】アドレス設定部47は、少なくとも一つの
火災報知設備を構成する各々の火災感知器13に固有の
識別情報(アドレス情報また単にアドレスという)を設
定するための回路である。変調信号発生部48は、検出
回路46からの起動信号に応答して所定の変調信号を発
生する回路である。変調信号の詳細は後述するが、火災
発報の情報と、アドレス設定部47に設定されたアドレ
ス情報とを含む信号である。電流変調部49は、変調信
号発生部48からの変調信号で電流を変調する回路であ
る。以下、この火災感知器13の変調信号発生部48か
らの変調信号に基づき、電流変調部49によって変調さ
れる電流のこと“発報電流”と呼ぶことにする。この電
流変調部49の働きにより、定常時(非火災時)に2.
4mAであったLC間電流が、火災発生時には35mA
と10mAの二値論理で振幅変調され、その変調波形が
火災受信機10に伝えられる。なお、発報電流と定常電
流(2.4mA)とを足し合わせた電流がLC間電流と
して検出される。
【0034】表示灯42は、上記の発報電流によって発
光する、たとえば、LED(Light Emitti
ng Diode)等の発光素子を用いたものであり、
その発光光量(明るさまたは輝度)は、発報電流の大き
さに対応したものとなる。すなわち、発報電流が最小値
(LC間電流が10mAのときで、その10mAから定
常電流を引いた値;7.6mA)のときは最小輝度(L
min)となり、同電流が最大値(LC間電流が35m
Aのときで、その35mAから定常電流を引いた値;3
2.6mA)のときは最大輝度(Lmax)となるもの
である。
【0035】なお、定常電流(定常時のLC間電流)の
役割は、感知器回線や終端抵抗の断線を検出することに
ある。定常電流の値は、表示灯42の発光とは無関係で
あって、さらに、上記の役割(断線検出)を支障なくこ
なすことができる点を満たしていればよく、設計の範疇
ではあるが、たとえば、本明細書では一例として2.4
mAとしている。
【0036】図6は、LC間電流の変調波形を示す図で
ある。なお、(a)は比較のために示す一般的なP型火
災報知設備の電流波形(以下「従来波形」という)、
(b)は図示の火災報知設備から供給される電流波形
(以下「本実施例波形」という)である。まず、従来波
形を説明すると、定常時の電流値は2.4mAであり、
発報時に35mAへと増大する。火災受信機はこのLC
間電流の増大変化(2.4mA→35mA)を検出して
火災発報と判定する。
【0037】一方、本実施例波形(b)は、定常時に
2.4mA、発報時に35mAへと増大変化する点で従
来波形と同様であるが、LC間電流の35mA増大期間
Kaの長さが所定時間taとなっている点、その35m
A増大期間Kaの経過後に所定時間tbの振幅変調期間
Kbに移行する点、及び、その35mA増大期間Kaと
振幅変調期間Kbを1単位にして所定時間ta+tbご
とに繰り返す点で従来波形と相違する。
【0038】図7は、火災受信機10の動作概要を示す
タイムチャートである。(a)は定常時のicと、サン
プリングクロックCKと、そのサンプリングクロックC
Kを適用してSI(icを電圧変換した値)を二値化し
たディジタル信号波形DSとを示している。(a)の場
合(定常時)、ic=2.4mAであるから、先に説明
したとおり、SIは0.24Vとなり、二値化のための
しきい値を、たとえば、1.0Vを若干上回る値として
おけば、DSは0V(CKのタイミングごとに論理0)
を維持する。
【0039】一方、(b)は発報時のicと、サンプリ
ングクロックCKと、そのサンプリングクロックCKを
適用してSI(icを電圧変換した値)を二値化したデ
ィジタル信号波形DSとを示している。(b)の場合
(発報時)、icは35mA増大期間Kaと振幅変調期
間Kbの組み合わせで構成され、振幅変調期間Kbは論
理1(35mA)と論理0(10mA)の組み合わせで
構成されるから、上記のしきい値を適用してSI(ic
を電圧変換した値)をサンプリングクロックCKごとに
二値化することにより、図示のディジタル信号波形DS
を得ることができる。
【0040】たとえば、図示のDSは、35mA増大期
間Kaで「111〜111」(9個の論理1系列)とな
っており、また、振幅変調期間Kbで「010001
0」となっている。ここで、振幅変調期間Kbの信号系
列「0100010」は、最初の2ビット(「01」)
がヘッダ部であり、残りの5ビットが感知器アドレス
(火災感知器13のアドレス設定部47で設定されたア
ドレス)の情報部(ペイロード部)である。
【0041】したがって、この火災受信機10によれ
ば、最初の35mA増大期間Kaの継続時間(ta)の
間に9個の論理1系列が得られた場合に発報を検知する
ことができ、且つ、振幅変調期間Kbのヘッダ部に続く
5ビットの情報部から発報した感知器のアドレス情報を
知ることができる。たとえば、図示の例では、ヘッダ部
に続く5ビットの情報部が「00010」となっている
たため、これを10進数変換して「2」、すなわち、ア
ドレス番号2が付与された火災感知器13からの発報で
あることを火災受信機10で知ることができる。
【0042】図8は、火災感知器13における動作フロ
ーチャートを示す図である。定常時(非火発報時)に
2.4mAに維持されるLC間電流は(ステップS1
1)、火災検出または後述の試験装置によって試験発報
されると(ステップS12)、火災感知器13は、ま
ず、LC間電流を35mAに増大(ステップS13)さ
せて、その35mA増大期間Kaを所定時間(ta)維
持(ステップS14)した後、アドレス設定部47に設
定されているアドレス情報を基にLC間電流を振幅変調
(論理1=35mA、論理0=10mA)し(ステップ
S15)、以降、その35mA増大期間Kaの維持と変
調動作とを繰り返す。
【0043】一方、図9は、火災受信機10における動
作フローチャートを示す図である。火災受信機10は、
LC間電流が35mA以上(正確には35mA±α以
上;αはマージン)であるか否かを判定し(ステップS
21)、その判定結果が“YES”の場合で、且つ、そ
のYES状態が所定時間(ta)継続する場合に(ステ
ップS22)、火災発報または試験発報を検知すると共
に、LC間電流の変調情報から、発報が行われた火災感
知器13のアドレス情報を抽出する(ステップS2
3)。
【0044】さて、本発明は、以上説明した火災報知設
備に適用する「試験装置」に係るものであり、試験装置
にとって必要な要素は、火災報知設備を構成する火災報
知器13そのものにある。すなわち、本発明の「試験装
置」は、上記図8のフローチャートに従って動作する火
災報知器13、詳しくは、「発報電流の変化を光の強度
に変換する要素(表示灯42)」を備えたものを対象と
するものであり、この条件を満たしている限り、他の変
形態様の火災感知器であっても構わない。
【0045】たとえば、以上の説明では、火災感知器1
3それ自体にアドレス発生機能を搭載しているが、火災
感知器の分離可能なベース部(基台部)にアドレス発生
機能を実装したものであってもよい。図10は、ベース
部分離型の火災感知器の外観図及びそのベース部に実装
された回路ブロック図である。図10(a)において、
火災感知器51は、煙感知窓41から煙が流入したこと
を散乱光方式により検出する検知部15−1と、散乱光
量を煙濃度信号に変換して出力する回路基板15−2と
を有する本体部53と、アドレス発生機能を有するアド
レス送信回路54と、表示灯60を備えたベース部55
(基台部)とからなり、本体部53をベース部55に組
み付けると、回路基板15−2とアドレス送信回路54
との間が電気的に接続されるようになっている。図10
(b)に示す回路ブロック図は、本体部53(の回路基
板15−2)とアドレス送信回路54との間が電気的に
接続された状態を表している。
【0046】アドレス送信回路54は、発報検出及び電
源部56、アドレス設定部57、変調信号発生部58
(光変調部)及び電流変調部59(光変調部)を備えて
おり、また、ベース部55の一部に表示灯60(図5の
表示灯42に相当)を備えており、これら各部はそれぞ
れ以下の機能を有する。発報検出及び電源部56は、火
災感知器52のL´C´端子間の短絡動作(発報動作)
を検出し、その検出時に変調信号発生部58の動作に必
要な内部電源電圧を発生する回路である。アドレス設定
部57は、少なくとも一つの火災報知設備を構成する各
々の火災感知器51に固有の識別情報(アドレス情報)
を設定するための回路でる。
【0047】変調信号発生部58は、発報検知時に所定
の変調信号を発生する回路である。変調信号の詳細は、
先に説明したとおり、発報の検知期間(35mA増大期
間Ka)と、アドレス設定部57に設定されたアドレス
情報の設定期間(振幅変調期間Kb)とを含む信号であ
る。電流変調部59は、変調信号発生部58からの変調
信号で電流を変調する回路である。この回路の働きによ
り、定常時(非発報時)に2.4mAであったLC間電
流が、火災発報時または試験発報時に35mAと10m
Aの二値論理で変調され、その変調波形が火災受信機1
0に伝えられる。なお、発報電流と定常電流(2.4m
A)とを足し合わせた電流がLC間電流として検出され
る。
【0048】表示灯60(発光部)は、上記の発報電流
によって発光する、たとえば、LED等の発光素子を用
いたものであり、その発光光量(明るさまたは輝度)
は、発報電流の大きさに対応したものとなる。すなわ
ち、前記の表示灯42(図5(a)参照)と同様に、発
報電流が最小値(LC間電流は10mA)のときは最小
輝度(Lmin)となり、同電流が最大値(LC間電流
は35mA)のときは最大輝度(Lmax)となるもの
である。
【0049】以上の火災感知器51においても、上記図
8のフローチャートに従って動作すると共に、「発報電
流の変化を光の強度に変換する要素(表示灯60)」を
備えているので、本発明に係る「試験装置」を適用する
ことができる。
【0050】2.試験装置の詳細 次に、本発明に係る「火災報知設備の試験装置」(以下
単に「試験装置」という)の実施の形態を説明する。な
お、本発明に係る試験装置は、上記のとおり、火災感知
器13(本体部に表示灯42を有するもの)または火災
感知器51(ベース部に表示灯60を有するもの)のい
ずれにも適用可能であるが、以下の説明では、簡単化の
ために、本体部に表示灯42を有するもの(火災感知器
13)を試験対象とすることにする。
【0051】図11は、試験装置70の外観図(a)、
上面図(b)及び使用状態図(c)である。これらの図
において、試験装置70は、電子回路収納ボックス71
の上面に適当な長さ(天井に設置された火災感知器13
に届く程度の長さ)のパイプ72(固定長であっても伸
縮自在であってもよい)を取り付け、そのパイプ72の
先端に漏斗形状の感知器カバー73を取り付けて構成さ
れている。
【0052】電子回路収納ボックス71の前面には、発
報表示灯74、アドレス表示部75、スタートボタン7
6及びリセットボタン77が配置されており、電子回路
収納ボックス71の側面には、電源スイッチ78が取り
付けられている。
【0053】また、感知器カバー73の内部には、火災
感知器13を試験発報させるための発報試験部79(た
とえば、火災感知器13が熱感知型であれば白金ヒータ
ー等の加熱部若しくは火災感知器13が煙感知型であれ
ば試験用ガス発生部)が取り付けられており、さらに、
感知器カバー73の内部側壁には、フォトダイオード等
の受光素子からなる受光部80が取り付けられている。
【0054】受光部80の取り付け位置は、試験装置7
0の感知器カバー73を火災感知器13に被せた状態
(以下「試験状態」という)において、その火災感知器
13の表示灯42からの光をできるだけロスを少なく受
光できる適切な位置に設定されている。
【0055】ここで、表示灯42は、先にも説明したと
おり、定常時(非発報時)は発光していないが、発報時
には最小輝度(Lmin)と最大輝度(Lmax)で発
光し、受光部80は、試験状態において、これらの輝度
変化に対応した大きさの検知出力(PS)を発生する。
【0056】このPSと上記の各輝度(Lmin及びL
max)とは、火災感知器13の表示灯42と試験装置
70の受光部80との間隔が離れているため、厳密には
一致しないが、ここでは、火災感知器13の表示灯42
と試験装置70の受光部80との間の光量ロスを簡単化
のために「ゼロ」とすることとし、表示灯42が最小輝
度(Lmin)で発光しているときのPSをQmin、
同最大輝度(Lmax)で発光しているときのPSをQ
maxとして説明することにする。
【0057】図12は、試験装置70の電気的構成を示
すブロック図である。電子回路収納ボックス71には、
制御部81(アドレス特定手段、読み出し手段)と、前
記の発報表示灯74及びアドレス表示部75を含む表示
部82(出力手段)と、前記のスタートボタン76及び
リセットボタン77を含む操作部83と、電源部84と
が実装されている。
【0058】制御部81は、それぞれ信号線85、86
を介して表示部82及び操作部83が接続されていると
共に、さらに、信号線87、88を介して感知器カバー
73内の発報試験部79及び受光部80が接続されてい
る。また、制御部81には、電源スイッチ78がONに
なっているとき、電源線89を介して電源部84からの
内部電源電圧が供給されるようになっており、この制御
部81は、内部電源供給状態(電源スイッチ78のON
状態)において、火災感知器13の試験発報と、その発
報検知並びにその火災感知器13のアドレス表示を行う
ための制御を実行する。
【0059】図13は、制御部81のブロック構成図で
ある。図示の例においては、制御部81はマイクロプロ
グラム制御方式でデザインされており、たとえば、入出
力インターフェース81a、マイクロコンピュータユニ
ット(以下「CPUと略す」)81b、揮発性情報記憶
部(以下「RAM」と略す)81c、及び、読み出し専
用不揮発性情報記憶部(以下「ROM」と略す)81d
などを備えて構成されているが、これに限定されない。
ハードロジックで構成されたものであっても構わない。
【0060】入出力インターフェース81aには、受光
部80からの受光信号(PS)及び操作部83からのキ
ーボタン操作信号(前記のスタートボタン76及びリセ
ットボタン77の操作信号)が入力され、また、入出力
インターフェース81aからは、発報試験部79への駆
動信号や表示部87への各種表示信号(前記の発報表示
灯74及びアドレス表示部75の表示信号)が出力され
る。
【0061】CPU81bは、ROM81dにあらかじ
め格納されている制御プログラムをRAM81cにロー
ドし、その制御プログラムを実行することにより、入出
力インターフェース81aを介して各部(受光部80や
操作部83)から所要の信号を取り込みつつ、火災感知
器13の試験発報に必要な演算処理、及び、その発報検
知並びにその火災感知器13のアドレス表示を行うため
の演算処理を実行し、その演算結果として得られる様々
な制御データを入出力インターフェース81aを介して
各部(発報試験部79や表示部87)に出力する。な
お、RAM81cは、CPU81bのワークエリアとし
て使用されるものであり、ROM81dは、上記の制御
プログラム及びそのプログラムの実行に必要な各種固定
データをあらかじめ格納するものである。
【0062】次に、本実施の形態における試験装置70
の作用を説明する。図14は、電源スイッチ78がON
状態になったとき、または、電源ON状態中に電子回路
収納ボックス71の前面に設けられたリセットボタン7
7が押し下げ操作されたときに制御部81で実行される
「リセット処理プログラム」のフローチャートを示す図
である。このプログラムでは、表示部82の表示が初期
状態(リセット)に戻される(ステップS31)。初期
状態とは、表示部82の発報表示灯74が消えている状
態で、且つ、アドレス表示部75に有効なアドレスが表
示されていない状態のことをいう。
【0063】さて、この初期状態中に、電子回路収納ボ
ックス71の前面に設けられたスタートボタン76を押
し下げ操作すると、制御部81は、次に説明する「発報
試験処理プログラム」を実行する。図15は、発報試験
処理プログラムのフローチャートを示す図である。この
プログラムでは、まず、発報試験部79に電源を供給し
て発報試験部79駆動する(ステップS41)。たとえ
ば、発報試験部79が白金ヒーター等の加熱部である場
合は、その加熱部で試験熱を発生し、火災感知器13
(この場合は当然ながら熱感知型の感知器である)を加
熱する。
【0064】先にも説明(図8参照)したとおり、LC
間電流は定常時に2.4mAに維持される。試験発報さ
れると、火災感知器13は、LC間電流を35mAに増
大させて、その35mA増大期間Kaを所定時間ta維
持した後、自己のアドレス情報(アドレス設定部47に
設定されているアドレス情報)を基に、LC間電流を振
幅変調(論理1=35mA、論理0=10mA)させ、
このLC間電流の変調動作を所定の時間ta+tbを単
位にして繰り返すため、火災感知器13の表示灯42
は、それらのLC間電流の変化に対応した輝度変化(L
min及びLmax)を呈することになる。先にも述べ
たが、定常時に流れるLC間電流(2.4mA)は断線
検出用であり、表示灯42の輝度変化に影響を与えな
い。
【0065】発報試験処理プログラムは、次に、受光部
80の検知信号(PS)から表示灯42の輝度値が最大
輝度(Qmax)に達しているか否かを判定する(ステ
ップS42)。そして、達している場合は、その持続時
間が所定時間taに達したか否かを判定し(ステップS
43)、所定時間taに達した場合に、火災感知器13
が発報したと判断して発報表示灯74を点灯し(ステッ
プS44)、次いで、受光部80の検知信号(PS)か
ら表示灯42の輝度変化パターン(前記振幅変調期間K
bにおけるQminとQmaxの組み合わせからなる輝
度変化パターン)を読み込み、その輝度変化パターンに
基づいて、火災感知器13のアドレス情報を特定する
(ステップS45)。
【0066】たとえば、輝度変化パターンが「0100
010」である場合(ただし、論理0:Qmin、論理
1:Qmax)を想定すると、先にも説明したとおり、
振幅変調期間Kbの信号系列は、最初の2ビット(「0
1」)がヘッダ部であり、残りの5ビットが感知器アド
レス(火災感知器13のアドレス設定部47で設定され
たアドレス)の情報部(ペイロード部)であるから、こ
の輝度変化パターン「0100010」においては、ヘ
ッダ部に続く5ビットの情報部が「00010」である
ため、これを10進数変換して「2」、すなわち、アド
レス番号2が付与された火災感知器13からの発報であ
ることを知ることができる。発報試験処理プログラム
は、このアドレス情報をアドレス表示部75に表示(ス
テップS46)して試験を終了する。
【0067】以上説明した本実施の形態の試験装置70
によれば、前記の火災報知設備の火災感知器13(本体
部に表示灯42を有するもの)または火災感知器51
(ベース部に表示灯60を有するもの)に適用して、そ
の試験発報を行うことができると共に、さらに、その発
報表示(発報表示灯74の点灯)とアドレス表示(アド
レス表示部75へのアドレス表示)とを試験装置70そ
れ自体で行うことができる。したがって、火災受信機1
0で確認する必要がないので、一人の要員ですべての試
験を行うことができるという格別有益なメリットを得る
ことができる。
【0068】なお、本発明に係る火災報知設備の試験装
置は、以上の実施形態に限定されず、様々な変形態様を
含むことはもちろんである。たとえば、以上の説明で
は、各々の火災感知器の試験を終了するたびにリセット
ボタン77を押して表示部82の表示(報知表示灯74
の点灯表示とアドレス表示部75のアドレス表示)を初
期状態に戻して(クリアして)いるが、一連の試験結果
を試験装置70の内部に記憶させておき、後から反復確
認できるように改良してもよい。
【0069】図16は、その改良概念図である。RAM
81cには試験結果の記憶エリア90(保持手段)が設
けられており、記憶エリア90の各単位領域E1、E
2、E3、E4、・・・・、Enには、それぞれ1回目の試
験結果(“01,1”)、2回目の試験結果(“02,
1”)、3回目の試験結果(“03,0”)、4回目の
試験結果(“04,1”)、・・・・、n回目の試験結果
(“nn,1”)が格納されている。ここに、試験結果
の格納形式は、先頭2文字でアドレスを表し、末尾1文
字で発報結果(1は発報、0は非発報)を表すものとす
る。
【0070】電子回路収納ボックス71の前面に読み出
しボタン91を設けておき、この読み出しボタン91を
押すたびに、記憶エリア90の各単位領域E1、E2、
E3、E4、・・・・、Enをサイクリックに読み出し、こ
の読み出しデータによって表示部82(発報表示灯7
4、アドレス表示部75)の表示を制御するようにして
おくと、一連の発報試験完了後に、各々の火災感知器の
試験結果を反復確認することができる。その結果、発報
試験の最中にいちいち手作業で試験結果を書き留めてお
く必要がなくなり、作業記録の確実性向上と作業の容易
化とを図ることができる。
【0071】また、上記の実施の形態では、感知器カバ
ー73の内部側壁に1個の受光部80を取り付けている
が、これに限定されない。火災感知器13の表示灯42
(または火災感知器51の表示灯60)からの光を効率
よく受光するためには、たとえば、図17(a)に示す
ように、感知器カバー73の内部側壁に複数個(図では
4個であるが、これ以外の個数であっても当然構わな
い)の受光部80a〜80dを取り付てもよい。
【0072】あるいは、図17(b)に示すように、火
災感知器13の表示灯42(または火災感知器51の表
示灯60)からの光を受光部80(図では1個であるが
複数個であっても構わない)に導くための光ガイド手段
92を設けてもよい。この光ガイド手段92は、たとえ
ば、反射鏡で構成されたものであってもよい。反射鏡の
反射角度や鏡面曲率を最適化して、火災感知器13の表
示灯42(または火災感知器51の表示灯60)からの
光ができるだけ多く受光部80に集まるようにする。
【0073】または、光ガイド手段92は、透明導光板
で構成されたものであってもよい。たとえば、透明導光
板の表面に細かな凹模様または凸模様もしくはそれらの
混在模様を形成し、火災感知器13の表示灯42(また
は火災感知器51の表示灯60)からの光をその模様部
分で乱反射させて透明導光板内部を伝達させ、その伝達
光を透明導光板の端面または所定形状の光導出部から取
り出して受光部80に伝えるようにしてもよい。このよ
うにすると、受光部80の取り付け位置を自由にできる
から好ましい。
【0074】
【発明の効果】この発明に係る火災報知設備の試験装置
によれば、火災感知器を試験発報させると、その火災感
知器の本体部または基台部に設けられた発光部の光が、
当該火災感知器のアドレス情報で変調される。そして、
その発光部の光が試験装置の受光部で受光され、試験装
置のアドレス特定手段によって前記発報状態にある火災
感知器のアドレス情報が特定されると共に、そのアドレ
スが出力される。したがって、試験現場で火災感知器の
アドレスを確認することができるので、火災感知器の発
報試験要員のみで火災感知器の発報作動試験とアドレス
確認とを同時に行うことができ、要員コストの削減を図
ることができる。
【0075】なお、この発明の好ましい構成によれば、
単一の受光素子とした場合は受光部のコスト削減を図る
ことができ、また、複数の受光素子とした場合は受光部
の感度向上を図ることができる。
【0076】また、この発明の好ましい構成によれば、
光ガイド手段により、火災感知器の発光部からの光を受
光部に導くことができ、受光部への入射光量の増大を図
ることができると共に、受光部のレイアウト位置の柔軟
性を確保することができる。
【0077】また、この発明の好ましい構成によれば、
火災感知器の試験を終わった後に、アドレス情報を読み
出して再確認することができる。したがって、発報試験
の最中にいちいち手作業で試験結果を書き留めておく必
要がないので、作業記録の確実性向上と作業の容易化と
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】火災報知設備の概念的なシステム構成図であ
る。
【図2】火災受信機10及び火災報知器13の電気的構
成図である。
【図3】中央制御部24及び第1電流検出部27_1〜
第n電流検出部27_nの回路構成図である。
【図4】タイムシェアリング動作の概念図である。
【図5】火災感知器13の外観図とその回路ブロック図
である。
【図6】LC間電流の変調波形図である。
【図7】火災受信機10の動作タイムチャートを示す図
である。
【図8】火災感知器13の動作フローチャートを示す図
である。
【図9】火災受信機10の動作フローチャートを示す図
である。
【図10】ベース部分離型の火災感知器51の外観図及
びそのベース部に実装された回路ブロック図である。
【図11】試験装置70の外観図及び上面図並びに使用
状態図である。
【図12】試験装置70の電気的構成を示すブロック図
である。
【図13】制御部81のブロック構成図である。
【図14】リセット処理プログラムのフローチャートを
示す図である。
【図15】発報試験処理プログラムのフローチャートを
示す図である。
【図16】試験装置70の改良概念図である。
【図17】感知器カバー73における他の受光部配置例
を示す図である。
【図18】従来の火災報知設備のシステム概念図であ
る。
【符号の説明】 13・・・・火災感知器 40・・・・ケース(本体部) 42・・・・表示灯(発光部) 48・・・・変調信号発生部(光変調部) 49・・・・電流変調部(光変調部) 51・・・・火災感知器 55・・・・ベース部(基台部) 58・・・・変調信号発生部(光変調部) 59・・・・電流変調部(光変調部) 60・・・・表示灯(発光部) 70・・・・試験装置 80・・・・受光部 80a〜80d・・・・受光部 81・・・・制御部(アドレス特定手段、読み出し手段) 82・・・・表示部(出力手段) 90・・・・記憶エリア(保持手段) 92・・・・光ガイド手段
フロントページの続き (72)発明者 山野 直人 東京都品川区上大崎2丁目10番43号 ホー チキ株式会社内 (72)発明者 島 裕史 東京都品川区上大崎2丁目10番43号 ホー チキ株式会社内 (72)発明者 松岡 直哉 東京都品川区上大崎2丁目10番43号 ホー チキ株式会社内 Fターム(参考) 2G059 AA05 BB01 CC19 EE01 GG06 GG10 JJ13 KK01 KK03 MM10 PP04 5G405 AA06 AD07 CA13 CA20 CA22 CA53 DA21 EA16 FA17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 火災感知器を試験発報させるために用い
    られる、火災報知設備の試験装置であって、 前記火災感知器は、発報状態にあるときに自己のアドレ
    ス情報で変調された光を発生する発光部を有し、 前記試験装置は、 前記火災感知器の発光部の光を受光する受光部と、 該受光部によって受光された光の変調状態から前記発報
    状態にある火災感知器のアドレス情報を特定するアドレ
    ス特定手段と、 前記アドレス特定手段によって特定されたアドレス情報
    を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする、火災
    報知設備の試験装置。
  2. 【請求項2】 前記受光部は、単一または複数の受光素
    子で構成されたものであることを特徴とする請求項1記
    載の火災報知設備の試験装置。
  3. 【請求項3】 前記受光部は、単一または複数の受光素
    子で構成されたものであって、且つ、火災感知器の発光
    部からの光を、それら単一または複数の受光素子のすべ
    てまたはいずれかにガイドする光ガイド手段を備えたこ
    とを特徴とする請求項1記載の火災報知設備の試験装
    置。
  4. 【請求項4】 さらに、前記アドレス特定手段によって
    特定されたアドレス情報を保持する保持手段と、該保持
    手段に保持されたアドレス情報を読み出して前記出力手
    段から出力する読み出し手段とを備えたことを特徴とす
    る請求項1乃至3いずれかに記載の火災報知設備の試験
    装置。
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JP2015207125A (ja) * 2014-04-18 2015-11-19 パナソニックIpマネジメント株式会社 自動火災報知システムの子機及びそれを用いた自動火災報知システム
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