JP6004770B2 - ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 - Google Patents
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Description
一方、ポリイミド、液晶ポリエステルに代表される高耐熱材料は、電気、電子部品の基板材料として用いられている。しかしながら、このような材料は、性能面で非常に優れるものの、非常に高価であり加工適性に劣るため、前記半芳香族ポリアミドをこのような用途で用いることが検討されている。
ポリアミド6Tは、そのホモポリマーの融点が370℃と高すぎるため、溶融加工時のポリアミド6Tの熱分解を抑制することができなくなってしまう。そのため、ポリアミド6Tは、共重合成分を多く導入することにより、融点を十分に下げた状態で使用されている。しかし、このような共重合されたポリアミド6Tは、結晶性が損なわれ、結晶化を速めることはできなかった。
一方、特許文献2には、ポリアミド9Tよりも成形加工性に優れるポリアミド10Tを用いたポリアミド成形体が開示されている。しかしながら、これら材料であっても、結晶化は遅く、射出成形を行う場合には短時間で金型からの取出し可能なまで、十分に結晶化を速め、成形サイクルを短縮したポリアミドは得られていなかった。
本発明は、機械的特性に加えて、成形性を向上させたポリアミド樹脂組成物、およびそれからなる成形体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド100質量部に、繊維状強化材5〜200質量部と、リン系酸化防止剤0.01〜5質量部とを含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミドを構成するジカルボン酸成分がテレフタル酸を主成分とし、ジアミン成分が1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンのいずれかであり、用いるポリアミドのDSCを用いて測定される過冷却度△Tが40℃以下であって、
リン系酸化防止剤がテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニリレンジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトまたはビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンであることを特徴とする(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)繊維状強化材がガラス繊維、炭素繊維、金属繊維から選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミドである。本発明においては、高結晶性の観点から、特定の化学構造を有するジカルボン酸成分とジアミン成分とを用いることが必要である。
ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分は、主成分としてテレフタル酸を用いる必要がある。その理由は、テレフタル酸は、芳香族ジカルボン酸の中でも化学構造の対称性が高く、高い結晶性を有するポリアミド樹脂を得る上で最も好ましいからである。
ポリアミド樹脂を構成するジアミン成分は、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンのいずれかである直鎖脂肪族ジアミンである。直鎖脂肪族ジアミンは、化学構造の対称性が高いため、高い結晶性を有するポリアミド樹脂を得る上で好ましい。
ΔT=Tm−Tcc
上記式においては、DSCを用いて、不活性ガス雰囲気下、当該ポリアミドを溶融状態から20℃/分の降温速度で25℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度をTmと定義する。また、同様に溶融状態から20℃/分の降温速度で25℃まで降温した場合に現れる発熱ピークの温度をTccと定義する。このΔTが小さい程、ポリマー溶融状態からの結晶化が速いことを示す。
また、本発明で用いるポリアミド樹脂のように、ポリアミド6、ポリアミド66に比べ融点が高く、成形体を得るための樹脂溶融温度が高く、樹脂が長時間にわたって成形機シリンダー内に滞留する場合には、前記樹脂の劣化、分解ガスの発生は著しくなるため、成形サイクルを短くし、溶融樹脂の成形機シリンダー内への滞留を極力抑制することは、本発明のポリアミド樹脂組成物を成形して耐熱性に優れた成形体を得るための成形体品質面、成形ハンドリング面において好ましいことである。
繊維状強化材を含有するポリアミド樹脂組成物は、高温のシリンダー内に長時間滞留した場合、繊維状強化材の表面処理剤が熱分解し、機械的強度の低下を引き起こす場合がある。しかしながら、本発明においては、シリンダー内で長時間樹脂組成物を滞溜させた場合、すなわち、射出成形時において成形サイクルが長い場合や射出量が少なくシリンダー内に樹脂が長く滞留する場合でも、酸化防止剤を含有することにより、前記樹脂組成物の引張強度の低下を抑制することができる。なお、酸化防止剤は、通常、ポリアミドの分子量低下や色の退化を目的に含有させるものである。本発明においては、これらの効果に加えて、樹脂組成物の滞留安定性を向上させることができる。酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤が挙げられる。中でも、リン系酸化防止剤を用いることにより、樹脂組成物の滞留安定性を飛躍的に向上させることができる。
成形サイクルとは、同じ射出条件で連続して成形した際、1ショット目の成形体の射出が開始してから、2ショット目の成形体の射出が開始するまでの時間をいう。すなわち、一つの成形体を成形するのに要する時間(射出時間+冷却時間+取出し時間の合計)をいう。成形サイクルの短縮とは、上記一つの成形体を成形するのに要する時間中、特に冷却時間の短縮を意味する。
中でも、繊維状強化材による補強効果を生かして、耐久消費財用途で用いることが可能であり、自動車部品、電気電子部品に好適に用いることができる。
自動車部品用途においては、エンジンカバー、エアインテークマニホールド、スロットルボディ、エアインテークパイプ、ラジエタータンク、ラジエターサポート、ラジエターホース、ラジエターグリル、タイミングベルトカバー、ウォーターポンプレンレット、ウォーターポンプアウトレット、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンマウント等のエンジン周辺部品、プロペラシャフト、スタビライザーバーリンケージロッド、アクセルペダル、ペダルモジュール、シールリング、ベアリングリテーナー、ギア、ドリブンギア、電動パワステアリングギア等の機構部品、オイルパン、オイルフィルターハウジング、オイルフィルターキャップ、オイルレベルゲージ、燃料タンク、燃料チューブ、フューエルカットオフバルブ、キャニスター、フューエルデリバリーパイプ、フューエルフィラーネック、フューエルセンダーモジュール、燃料配管用継手等の燃料・配管系部品、ワイヤーハーネス、リレーブロック、センサーハウジング、エンキャプシュレーション、イグニッションコイル、ディストリビューター、サーモスタットハウジング、クイックコネクター、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ランプエクステンション、ランプソケット、ホーン用ボビン等の電装系部品、マフラーカバー、吸気ダクト、リアスポイラー、ホイールカバー、ホイールキャップ、カウルベントグリル、エアアウトレットルーバー、エアスクープ、フードバルジ、フェンダー、バックドア、シフトレバーハウジング、ウインドーレギュレータ、ドアロック、ドアハンドル、アウトサイドドアミラーステー等の各種内外装部品等で好適に用いることができる。
電気電子部品用途においては、コネクタ、LEDリフレクタ、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、抵抗器、IC、LEDのハウジング、各種筐体等が挙げられる。
雑貨部品用途においては、樹脂ネジ、時計枠、ファスナー等が挙げられる。
これら自動車部品、電気電子部品、雑貨部品は、主に射出成形、ブロー成形により成形されるため、本発明のポリアミド樹脂組成物を用いた場合には、成形サイクルを短縮し、樹脂劣化物、分解ガスの混入を抑制し、外観に優れた成形体を得ることができる。また、成形サイクルを短縮しているため、量産性に優れ、品質を均一にして大量に生産を行うような部品の成形においては、顕著に優れた成形性を有する。
以下のような方法にしたがって、樹脂特性の測定、成形体の性能評価を行った。
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で測定した。
東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフィ装置を用い、下記条件で調整した試料溶液にてGPC分析を行った後、ポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として作成した検量線を用いて、重量平均分子量を求めた。
<試料調整>
ポリアミド樹脂5mgに10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール2mLを加えて溶解後、ディスクフィルターで濾過した。
<条件>
・検出器:示差屈折率検出器RI−8010(東ソー社製)
・溶離液:10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール
・流速:0.4mL/分
・温度:40℃
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7を用い、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温した際の発熱ピークのトップを与える温度をTcc、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップをTmとした。融点と降温結晶化温度の差(Tm−Tcc)をΔTとした。
ポリアミド樹脂10mgに47%臭化水素酸を3mL加え、130℃で20時間加熱後、蒸発乾固し、さらに80℃2時間減圧乾燥する。これにピリジン2mL、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド1mLを加え、90℃で30分加熱する。冷却後、メンブランフィルターでろ過した溶液を、質量分析計を備えたガスクロマトグラフィー装置で分析した。別に測定した標準物質のジアミンとトリアミンにより得た検量線を用いてポリアミド樹脂中のジアミンとトリアミンを定量し、ジアミンに対するトリアミンのモル比を算出した。トリアミンの標準物質は、酸化パラジウムを触媒として用いて、オートクレーブ中にてジアミンを240℃で3時間加熱撹拌して反応させて得たトリアミン化合物を用いた。
JIS K7210に従い、ポリアミド樹脂組成物ペレットを用い、340℃、1.2kgfの荷重で測定した。単位はg/10分である。
ASTM D790に準拠して測定した。
東芝機械社製射出成形機EC−100を用いて、シリンダー温度を(融点+25℃)、金型温度を(融点−185℃)で設定した後、射出圧力100MPa、射出時間10秒、取出し時間5秒で、試験片(127mm×12.7mm×10mm)を射出成形した。
(7−1)成形サイクル
前記射出成形に際し、突出ピンで試験片に対し変形を与えないで容易に取出しが可能な最短の冷却時間を計測した。ここで成形サイクルとは、同じ射出条件で連続して成形した際、1ショット目の試験片の射出を開始してから、2ショット目の試験片の射出を開始するまでの時間をいう。すなわち、一つの試験片を成形するのに要する時間(射出時間+冷却時間+取出し時間の合計)をいう。成形サイクルは、30秒以下が好ましく、25秒以下がより好ましい。
(7−2)連続生産性
(7−1)で得られた成形サイクルにしたがって連続して射出成形を行った(最大で100個)。金型からの試験片取出し時、突出ピンによる試験片の変形を伴わないような円滑な取出しが連続何回までできるかを取出せた試験片の個数で評価した。90個以上が好ましく、95個以上がより好ましい。
ファナック社製射出成形機S2000i−100Bを用いて、シリンダー温度を(融点+25℃)℃、金型温度を(融点−185℃)で設定した後、型締力100トン、射出圧力100MPa、射出速度50mm/秒、射出時間5秒で、シリンダー先端に片側1点ゲートの専用金型を取り付けて成形を行った。専用金型は、厚さ0.4mm、幅20mmのL字状の成形品が採取できる形状で、渦巻の中心にゲートを有するものであって、流動長は最大150mmである。
流動長が長いほど、流動性に優れていることを意味する。
ファナック社製射出成形機S2000i−100B型を用いて、シリンダー温度340℃、金型温度130℃で設定した後、型締力100トン、射出圧力100MPa、射出速度50mm/秒、成形サイクル20秒で試験片(127mm×12.7mm×3.2mm)を成形した。得られた試験片について、ASTM D790に準拠して引張強度を測定した。この引張強度を、「通常引張強度」とする。
また、射出成形機のシリンダー内に樹脂を10分間滞留させて、同様に射出成形を行い、試験片を得た。この試験片の引張強度を「滞留後引張強度」とする。以下の式を用いて、引張強度保持率を求め、滞留安定性の指標とした。
引張強度保持率(%)=滞留後引張強度/通常引張強度×100
強度保持率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)ジカルボン酸成分
・テレフタル酸
・イソフタル酸
(2)ジアミン成分
・1,8−オクタンジアミン
・1,9−ノナンジアミン
・1,10−デカンジアミン
・1,12−ドデカンジアミン
(3)強化材
・GF−1:ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製、商品名「03JAFT692」)、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm
・GF−2:ガラス繊維(日東紡社製、商品名「CS3G225S」)、平均繊維径9.5μm、平均繊維長3mm
・偏平GF:偏平ガラス繊維(日東紡社製、商品名「CSG3PA820S」)、長径28μm×短径7μm、平均繊維長3mm
・CF:炭素繊維(東邦テナックス社製、商品名「HTA−C6−NR」)、平均繊維径7μm、平均繊維長6mm
・MF:ステンレス繊維(日本精線社製、商品名「ナスロンSUS304」)、平均繊維径8μm、平均繊維長6mm
・GB:ガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ社製、商品名「EGB731」)、平均
粒径20μm
(4)酸化防止剤
・PA−1:リン系酸化防止剤、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニリレンジフォスファイト(クラリアントジャパン社製、商品名「ホスタノックスP−EPQ」)
・PA−2:リン系酸化防止剤、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカ社製、商品名「アデカスタブPEP−36」)
・PA−3:リン系酸化防止剤、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカ社製、商品名「アデカスタブPEP−4C」)
・HPA:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド](チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名「Irganox1098」)
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。原料モノマーのモル比は、1,10−デカンジアミン:テレフタル酸=50:50であった。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応と破砕を同時に行った。反応により生じた水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−1)を得た。得られたポリアミド(P−1)について、相対粘度、重量平均分子量、融点、降温結晶化温度、△T、トリアミン量の測定を行った。その結果を表1に示す。
[工程(i)]
体積平均粒径80μmのテレフタル酸粉末(4870質量部)、重合触媒としての次亜リン酸ナトリウム(6質量部)、末端封鎖剤としての安息香酸(72質量部)からなる混合物を、リボンブレンダー式の反応装置に供給し、窒素密閉下、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、100℃に加温したデカンジアミン(5050質量部、100質量%)を、28質量部/分の速度で、3時間かけて連続的(連続液注方式)にテレフタル酸粉末に添加し反応物を得た。
工程(i)で得られた反応物を、引き続き工程(i)で用いたリボンブレンダー式の反応装置内で、窒素気流下、230℃に昇温し、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−2)を得た。得られたポリアミド(P−2)について、相対粘度、重量平均分子量、融点、降温結晶化温度、△T、トリアミン量の測定を行った。その結果を表1に示す。
使用するモノマーの種類、製造条件を表1のように変更する以外は、実施例2と同様にしてポリアミド(P−3)〜(P−5)および(P−7)を得、各特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水400質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して、4質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応を行ないながら、得られた固形物を破砕した。水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−6)を得た。得られたポリアミド(P−6)について、相対粘度、重量平均分子量、融点、降温結晶化温度、△T、トリアミン量の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、ポリアミド(P−6)を得るにあたり、原料モノマーの合計量100質量部に対して、蒸留水を4質量部用いて重合を行ったため、蒸留水の添加の有無以外が同条件である製造例1に比べ、重量平均分子量はやや低めであり、トリアミン量は多かった。
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水9200質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して、92質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応を行ないながら、得られた固形物を破砕した。水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−8)を得た。得られたポリアミド(P−8)について、相対粘度、重量平均分子量、融点、降温結晶化温度、△T、トリアミン量の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、ポリアミド(P−8)を得るにあたり、原料モノマーの合計量100質量部に対して、蒸留水を92質量部用いて重合を行ったため、蒸留水の添加の有無以外が同条件である製造例1に比べ、重量平均分子量は顕著に低めであり、トリアミン量は顕著に多かった。
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水600質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して、6質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応を行ないながら、得られた固形物を破砕した。水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−9)を得た。得られたポリアミド(P−9)について、相対粘度、重量平均分子量、融点、降温結晶化温度、△T、トリアミン量の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、ポリアミド(P−9)を得るにあたり、原料モノマーの合計量100質量部に対して、蒸留水を6質量部用いて重合を行ったため、蒸留水の添加の有無以外が同条件である製造例1に比べ、重量平均分子量はやや低めであり、トリアミン量は多かった。
用いる末端封鎖剤の配合量を変更する以外は、実施例1と同様にしてポリアミド(P−10)、(P−11)を得、各特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
製造例1で得たポリアミド(P−1)100質量部をクボタ製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS)の主供給口に供給した。押出機のバレル温度設定は、320℃〜340℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/時間として溶融混練を行い、サイドフィーダーより(GF−1)を30質量部供給しさらに混練を行った。最後にダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
含有する(GF−1)の配合量を変更した以外は、参考例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表2に示す。
繊維状強化材をそれぞれ(GF−2)、偏平GF、CF、MFに変更した以外は、参考例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表2に示す。
用いるポリアミド樹脂を(P−2)〜(P−6)、(P−10)、(P−11)のそれぞれに変更した以外は参考例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表2に示す。
(GF−1)の配合量を変更した以外は、参考例8と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表2に示す。
用いるポリアミド樹脂を(P−8)、(P−9)のそれぞれに変更した以外は参考例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表2に示す。ポリアミド樹脂(P−8)、(P−9)は、実用的には問題はないが、成形サイクルがやや長かった。
さらに(PA−1)を0.1質量部加える以外は、参考例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表3に示す。
(PA−1)の配合量を1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表3に示す。
さらに(PA−1)を1.0質量部加える以外は、参考例5と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表3に示す。
酸化防止剤を(PA−2)、(PA−3)、HPAのそれぞれに変更した以外は、実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表3に示す。
繊維状強化材を(GF−2)、扁平GFのそれぞれに変更した以外は、実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表3に示す。
繊維状強化材の配合を行わず、ポリアミド樹脂(P−1)〜(P−11)を射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表3に示す。
参考例1と同様の操作を行って、ポリアミド樹脂(P−1)100質量部、(GF−2)50質量部の溶融混練を行ったが、ガラス繊維の配合が過剰でストランドの切断を伴い、ポリアミド樹脂ペレットを得ることができなかった。
用いるポリアミド樹脂を(P−7)に変更した以外は参考例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表4に示す。
繊維状強化材に代えてGBを用いる以外は参考例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形して試験片を得、各種評価試験を行った。その結果を表4に示す。
実施例1〜7は、リン系酸化防止剤を用いたため、特に滞留安定性の向上効果が顕著であった。
Claims (5)
- ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド100質量部に、繊維状強化材5〜200質量部と、リン系酸化防止剤0.01〜5質量部とを含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミドを構成するジカルボン酸成分がテレフタル酸を主成分とし、ジアミン成分が1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンのいずれかであり、用いるポリアミドのDSCを用いて測定される過冷却度△Tが40℃以下であって、
リン系酸化防止剤がテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニリレンジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトまたはビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。 - ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 繊維状強化材がガラス繊維、炭素繊維、金属繊維から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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