JP6312364B2 - 半芳香族ポリアミドおよびその成形体 - Google Patents

半芳香族ポリアミドおよびその成形体 Download PDF

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本発明は、溶融流動性に優れた半芳香族ポリアミドに関する。
芳香族ジカルボン酸とジアミンを用いて重合される半芳香族ポリアミドは、耐熱性が高く、機械的特性に優れていることから、電気・自動車部品等の成形材料として広く用いられている。成形材料には、一般にコストダウンの観点から、成形サイクルの短縮が求められており、そのためには溶融流動性の向上が有効である。
溶融流動性は、樹脂の分子量を低くしたり、加工温度を高くしたりすることで向上する。しかしながら、樹脂の分子量を低くすると成形体の機械的強度が低下するという問題があり、加工温度を高くすると、そもそも半芳香族ポリアミドは高融点であるため、樹脂の劣化が促進され得られる成形体の色調が悪くなるという問題がある。
前記のような問題を解決するために、溶融粘度低下剤を添加することが提案されている(特許文献1、2)。
特開平07−228768号公報 特開2008−195965号公報
本発明は、かかる従来技術に鑑み、実用的な分子量を有しており、溶融粘度低下剤を用いることなく、溶融流動性を向上させた半芳香族ポリアミドを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分およびモノカルボン酸成分からなり、脂肪族ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンであり、以下の(a)および(b)を満たすことを特徴とする半芳香族ポリアミド。
(a)96%硫酸中、25℃、濃度1g/dLで測定した場合の相対粘度が1.6以上であり、2.71以下である。
(b)モノカルボン酸成分として、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸のうちの少なくとも1種であり、分子量が140以上のモノカルボン酸を含有する。
[2]モノカルボン酸成分を、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマーに対して、0.3モル%以上含有することを特徴とする[1]記載の半芳香族ポリアミド。
[3]モノカルボン酸成分が、ステアリン酸であることを特徴とする[2]記載の半芳香族ポリアミド。
[4]芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸であることを特徴とする[1]〜[3]いずれかに記載の半芳香族ポリアミド。
[5]半芳香族ポリアミドの融点が、300℃以上であることを特徴とする[1]〜[4]いずれかに記載の半芳香族ポリアミド。
[6][1]〜[5]いずれかに記載の半芳香族ポリアミドと繊維状強化材からなることを特徴とする樹脂組成物。
[7][1]〜[5]いずれかに記載の半芳香族ポリアミドまたは[6]記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
本発明の半芳香族ポリアミドは、実用的な分子量を有していながら、溶融流動性が向上している。そのため、成形サイクルを短縮することができ、生産効率を向上させることができる。また、あえて溶融粘度を低下させるための添加剤を用いる必要がないため、工程の簡略化やコストダウンを図ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分およびモノカルボン酸成分から構成される。
本発明の半芳香族ポリアミドを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が挙げられ、中でも、テレフタル酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有することにより、耐熱性を向上させることができる。芳香族ジカルボン酸成分は、2種以上の芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。
本発明においては、ジカルボン酸成分として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を含有してもよい。脂肪族ジカルボン酸や脂環式ジカルボン酸を含有させる場合、その含有量は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下であることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドを構成する脂肪族ジアミン成分としては、例えば、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミンが挙げられ、中でも、汎用性が高く、耐熱性が向上することから、1,10−デカンジアミンが好ましい。脂肪族ジアミン成分は、2種以上の脂肪族ジアミンを併用してもよい。
本発明においては、ジアミン成分として、シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミンや、キシリレンジアミン、ベンゼンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン成分を含有してもよい。脂環式ジアミンや芳香族ジアミンを含有させる場合、その含有量は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下とすることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドには、必要に応じて、カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸や11−アミノウンデカン酸等のω−アミノカルボン酸を含有してもよい。
本発明の半芳香族ポリアミドを構成するモノカルボン酸成分としては、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸が挙げられ、中でも、溶融流動性の向上効果が高いことから、脂肪族モノカルボン酸が好ましい。脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、ステアリン酸が好ましい。脂環族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−へキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−ラウリルシクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。芳香族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチル安息香酸、4−へキシル安息香酸、4−ラウリル安息香酸、アルキル安息香酸類、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸およびそれらの誘導体が挙げられる。モノカルボン酸成分は、2種以上のモノカルボン酸を併用してもよい。
本発明においては、モノカルボン酸成分が、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマーに対して、0.3〜3.8モル%であることが好ましく、1.0〜3.8モル%であることがより好ましい。モノカルボン酸成分の含有量が0.3モル%未満の場合、溶融流動性の向上効果が小さい場合がある。モノカルボン酸成分の含有量が3.8モル%を超える場合、得られる半芳香族ポリアミドの分子量が小さくなり、機械的特性が低下する場合がある。
本発明において、モノカルボン酸成分の分子量は、140以上であることが必要で、170以上であることが好ましい。モノカルボン酸の分子量が140未満である場合、溶融流動性の向上効果が小さいので好ましくない。なお、本発明において、モノカルボン酸の分子量は、原料のモノカルボン酸の分子量を指す。
本発明の半芳香族ポリアミドは、前記した特定分子量のモノカルボン酸を特定量用いることにより、溶融粘度が顕著に低下し、成形サイクルが飛躍的に短縮される。溶融粘度が低下していることは、モノカルボン酸成分が安息香酸である以外は同一の組成(モル比)であって、相対粘度が同じである半芳香族ポリアミドと比較することによって確認することができる。具体的には、同じ温度での1000s−1の溶融粘度が0.9倍以下に低下させることができる。溶融粘度は、0.8倍以下であることが好ましく、0.7倍以下であることがより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドは、融点が300℃以上であることが好ましく、310℃以上であることがより好ましい。半芳香族ポリアミドの融点を高くすることにより、より高温環境下における成形体として使用することができる。
本発明の半芳香族ポリアミドは、分子量の指標となる、96%硫酸中、25℃、濃度1g/dLで測定した場合の相対粘度が、1.6以上であることが必要で、1.8以上であることが好ましく、1.8〜3.5であることがより好ましく、1.9〜3.2であることがさらに好ましい。相対粘度が1.6未満の場合、実用的な機械的特性が得られないので好ましくない。
本発明の半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸成分と、脂肪族ジアミン成分と、モノカルボン酸成分とからナイロン塩を得る工程(i)と、得られたナイロン塩を重合する工程(ii)からなる方法により製造することができる。
工程(i)としては、例えば、芳香族ジカルボン酸粉末とモノカルボン酸とを混合し、予め脂肪族ジアミンの融点以上、かつ芳香族ジカルボン酸の融点以下の温度に加熱し、この温度の芳香族ジカルボン酸粉末とモノカルボン酸とに、芳香族ジカルボン酸の粉末の状態を保つように、実質的に水を含有させずに、脂肪族ジアミンを添加する方法が挙げられる。あるいは、別の方法としては、溶融状態の脂肪族ジアミンと固体の芳香族ジカルボン酸とからなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得た後、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとモノカルボン酸の反応による塩の生成反応と、生成した塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る方法が挙げられる。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。工程(i)としては、反応物の形状の制御が容易な前者の方が好ましい。
工程(ii)としては、例えば、工程(i)で得られた反応物を、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、半芳香族ポリアミドを得る方法が挙げられる。固相重合は、重合温度180〜270℃、反応時間0.5〜10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
工程(i)および工程(ii)の反応装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いればよい。工程(i)と工程(ii)を同じ装置で実施してもよいし、異なる装置で実施してもよい。
半芳香族ポリアミドの製造において、重合の効率を高めるため重合触媒を用いてもよい。重合触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩が挙げられ、重合触媒の添加量は、通常、原料モノマーの総モル数に対して、2モル%以下で用いることが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドは、必要に応じて、各種添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、繊維状強化材、板状強化材、耐衝撃改良材、帯電防止剤、導電付与剤、熱伝導性充填材、脂肪族ポリアミド、非晶性ポリアミド、熱安定剤、光安定剤、摺動性改良材、難燃剤、難燃助剤、顔料が挙げられる。添加剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
繊維状強化材としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アスベスト繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ケナフ繊維、竹繊維、麻繊維、バガス繊維、高強度ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、玄武岩繊維、セピオライト、パリゴルスカイトが挙げられる。繊維状強化材を添加することにより、機械的強度を向上させることができる。中でも、耐熱性が高く、入手しやすいことからガラス繊維、炭素繊維、金属繊維が好ましい。繊維状強化材は2種以上併用してもよい。繊維状強化材は、シランカップリング剤で表面処理されていてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン系、アクリルシラン系、エポキシシラン系、アミノシラン系が挙げられ、半芳香族ポリアミドとの密着性が高いことから、アミノシラン系カップリング剤が好ましい。
繊維状強化材の平均繊維長は、0.1〜7mmであることが好ましく、0.5〜6mmであることがより好ましい。繊維状強化材の平均繊維長が0.1〜7mmであることにより、成形性に悪影響を及ぼすことなく、半芳香族ポリアミドの機械的特性を向上させることができる。また、平均繊維径は3〜20μmであることが好ましく、5〜13μmであることがより好ましい。平均繊維径を3〜20μmとすることにより、溶融混練時に折損を減らしながらも、半芳香族ポリアミドの機械的特性を向上させることができる。断面形状は、円形断面であることが好ましいが、必要に応じて、長方形、楕円(偏平)、それ以外の異形断面であってもよい。
繊維状強化材を用いる場合、その含有量は、半芳香族ポリアミド100質量部に対し、5〜200質量部とすることが好ましく、10〜180質量部とすることがより好ましく、20〜150質量部とすることがさらに好ましく、30〜130質量部とすることが最も好ましい。
上記添加剤の添加方法は特に限定されないが、二軸混練機を用いた溶融混練法が好適に用いられる。混練温度は、半芳香族ポリアミドの融点以上とすることが必要であり、(融点+100℃)未満とすることが好ましい。混練温度を半芳香族ポリアミドの融点以上、(融点+100℃)未満とすることにより、混練機が過負荷となり、ベントアップすることを抑制しながらも、半芳香族ポリアミドの分解、黄変を抑制することができる。混練した樹脂組成物はストランドとし、ペレット化することが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドやそれを用いてなる樹脂組成物を射出成形することにより、成形体とすることができる。射出成形に用いる射出成形機としては、特に限定されないが、例えば、スクリューインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融された半芳香族ポリアミドやその樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、半芳香族ポリアミドの融点以上とすることが必要であり、(融点+100℃)未満とすることが好ましい。なお、半芳香族ポリアミドを射出成形に用いる場合は、半芳香族ポリアミドは十分に乾燥していることが好ましい。射出成形に用いる半芳香族ポリアミドの水分率は、0.3質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドは、Tダイ押出、インフレーション成形等の公知の製膜方法により、フィルムやシートに成形することができる。本発明の半芳香族ポリアミドを成形してなるフィルムやシートは、例えば、スピーカー振動板、フィルムコンデンサの用途に用いることができる。
また、本発明の半芳香族ポリアミドは、溶融紡糸法、フラッシュ紡糸法、エレクトロスピニング法等の公知の紡糸方法により、各種繊維に成形することができる。本発明の半芳香族ポリアミドを成形してなる繊維は、例えば、エアーバッグ基布、耐熱フィルター、ラジエータホース用補強用繊維、ブラシ用ブリッスル、釣糸、タイヤコード、人工芝、絨毯、魚網、ロープ、フィルター用繊維、座席シート用繊維の用途に用いることができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.分析方法
半芳香族ポリアミドの物性測定は以下の方法によりおこなった。
(1)融点
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7を用い、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温した。25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点とした。
(2)相対粘度
96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で、相対粘度を測定した。
(3)曲げ強度
半芳香族ポリアミドを十分に乾燥した後、東芝機械社製射出成形機EC100を用いて射出成形をおこない、127mm×12.7mm×3.2mmの成形体を作製した。シリンダー温度は、用いる半芳香族ポリアミドの(融点+30℃)とした。また、射出圧力は100MPa、射出時間は10秒、取り出し時間は5秒とした。
得られた成形体を用いて、ASTM D790に従って、曲げ強度を測定した。
(4)荷重たわみ温度
上記(3)で作製した成形体を用いて、ASTM D648に準拠し、荷重1.8MPaで荷重たわみ温度を測定した。
(5)成形サイクル
東芝機械社製射出成形機EC−100を用いて、シリンダー温度を(融点+25℃)、金型温度を(融点−185℃)で設定した後、射出圧力100MPa、射出時間10秒、取出し時間5秒で、成形体(127mm×12.7mm×10mm)を作製した。その際、突出ピンで成形体に対し変形を与えないで容易に取出しが可能な最短の冷却時間を計測した。ここで成形サイクルとは、同じ射出条件で連続して成形した際、1ショット目の成形体の射出が開始してから、2ショット目の成形体の射出が開始するまでの時間をいう。すなわち、一つの成形体を成形するのに要する時間(射出時間+冷却時間+取出し時間の合計)をいう。成形サイクルは、30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。
(6)溶融粘度
島津製作所社製フローテスターCFT−500を用い、用いる半芳香族ポリアミドの(融点+30℃)の温度に加熱したシリンダーに試料を入れ、2分間予熱した後、直径1mm、長さ1mmのダイより押出した。この測定を種々の荷重でおこない、せん断速度と溶融粘度との両対数プロットにおいて、5以上の測定点から得られる直線を用いて、せん断速度1000s−1での溶融粘度を算出した。
(7)BA溶融粘度
各実施例、比較例の半芳香族ポリアミドのモノカルボン酸成分の種類を安息香酸に変更し、相対粘度が同じ値になるように固相重合の時間を変更した以外は、各実施例、比較例の半芳香族ポリアミドを製造する際と同様の操作をおこなって半芳香族ポリアミドを作製した。
得られた半芳香族ポリアミドを用いて、(6)と同様に、せん断速度1000s−1での溶融粘度を算出した。
2.原材料
用いた原材料を以下に示す。
(1)芳香族ジカルボン酸成分
・TPA:テレフタル酸
・IPA:イソフタル酸
(2)脂肪族ジアミン成分
・DDA:1,10−デカンジアミン
・HMDA:1,6−ヘキサンジアミン
・NDA:1,9−ノナンジアミン
(3)モノカルボン酸成分
・STA:ステアリン酸(分子量:284)
・CP:カプリル酸(分子量:144)
・LA:ラウリン酸(分子量:200)
・LBA:4−ラウリル安息香酸(分子量:290)
・BHA:ベヘン酸(分子量:341)
・BA:安息香酸(分子量:122)
・CA:カプロン酸(分子量:116)
(4)繊維状強化材
・GF−1:ガラス繊維、旭ファイバーグラス社製03JAFT692、平均繊維径:10μm、平均繊維長:3mm
・GF−2:ガラス繊維、日東紡社製CS3G225S、平均繊維径:9.5μm、平均繊維長:3mm
(5)リン系酸化防止剤
・PA−1:テトラキス、2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニリレンジフォスファイト(クラリアントジャパン社製ホスタノックスP−EPQ
・PA−2:ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、アデカ社製アデカスタブPEP−36
実施例1
芳香族ジカルボン酸成分の粉末状のテレフタル酸(TPA)11.72kg、モノカルボン酸成分として分子量284のステアリン酸(STA)0.83kgおよび、重合触媒の次亜リン酸ナトリウム一水和物49gを、リボンブレンダー型の反応容器に入れ、窒素雰囲気下、回転数35rpmで撹拌しながら160℃に加熱した。その後、温度を160℃、回転数を35rpmに保ちつつ、液注装置にて、脂肪族ジアミン成分として105℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)12.40kgを、3.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=48.5:49.5:2.0であった。
続いて、得られた反応物を、同じ反応容器中で、窒素気流下、250℃、回転数25rpmで10.5時間加熱して重合し、半芳香族ポリアミドの粉末を作製した。
半芳香族ポリアミドの粉末を払出し、二軸混練機を用いてストランド状とし、ストランドを水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして半芳香族ポリアミド(P−1)ペレットを得た。
実施例3〜5、7〜10参考例1〜4、比較例1〜4
樹脂組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって半芳香族ポリアミドのペレットを得た。
実施例3〜5、7〜10参考例1〜4、比較例1〜4で得られた半芳香族ポリアミド樹脂組成物の樹脂組成およびその特性値を表2に示す。
Figure 0006312364
実施例13
半芳香族ポリアミド(P−1)100質量部を、クボタ社製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS)の主供給口に供給し、サイドフィーダーより繊維状強化材(GF−1)30質量部を供給し、溶融混練をおこなった。押出機のシリンダー温度は用いる半芳香族ポリアミドの(融点+30℃)、スクリュー回転数は250rpm、吐出量は35kg/時間であった。
次いで、溶融樹脂組成物をダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして半芳香族ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
実施例15〜17、19〜24、27〜28、参考例5〜8、比較例5〜8
樹脂組成物の組成を表2に示すように変更した以外は、実施例13と同様の操作をおこなって半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例13、15〜17、19〜24、27〜28、参考例5〜8、比較例5〜8で得られた半芳香族ポリアミド樹脂組成物の樹脂組成およびその特性値を表2に示す。
Figure 0006312364
実施例1、3〜5、7〜10の半芳香族ポリアミドは、安息香酸を用いて製造した従来品である比較例1、2の半芳香族ポリアミドと比較して、溶融粘度が0.9倍以下になっており、溶融流動性が向上していた。その結果、成形サイクルが短縮されていた。
また、実施例1、3〜5、7〜10の半芳香族ポリアミドに繊維状強化材を配合した実施例13、15〜17、19〜24、27〜28の樹脂組成物も、比較例1、2の半芳香族ポリアミドに繊維状強化材を配合した比較例5、6の樹脂組成物と比較して、成形サイクルが短縮されていた。
比較例3の半芳香族ポリアミドは、用いるモノカルボン酸の分子量が本発明で規定する好ましい範囲でなかったため、溶融粘度の低下効果が小さかった。そのため、成形サイクルの短縮効果も小さかった。
比較例4の半芳香族ポリアミドは、用いるモノカルボン酸の含有量が本発明で規定する好ましい範囲でなかったため、溶融粘度の低下効果が小さかった。そのため、成形サイクルの短縮効果も小さかった。

Claims (7)

  1. 芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分およびモノカルボン酸成分からなり、脂肪族ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンであり、以下の(a)および(b)を満たすことを特徴とする半芳香族ポリアミド。
    (a)96%硫酸中、25℃、濃度1g/dLで測定した場合の相対粘度が1.6以上であり、2.71以下である。
    (b)モノカルボン酸成分として、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸のうちの少なくとも1種であり、分子量が140以上のモノカルボン酸を含有する。
  2. モノカルボン酸成分を、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマーに対して、0.3モル%以上含有することを特徴とする請求項1記載の半芳香族ポリアミド。
  3. モノカルボン酸成分が、ステアリン酸であることを特徴とする請求項2記載の半芳香族ポリアミド。
  4. 芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の半芳香族ポリアミド。
  5. 半芳香族ポリアミドの融点が、300℃以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の半芳香族ポリアミド。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の半芳香族ポリアミドと繊維状強化材からなることを特徴とする樹脂組成物。
  7. 請求項1〜5いずれかに記載の半芳香族ポリアミドまたは請求項6記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
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