JP6001618B2 - シュレッダ及びこれを用いたシート状物処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シート状物を細断するシュレッダに係り、特に、細断サイズを再現不可能なレベルまで極小にすることを企図したシュレッダ及びこれを用いたシート状物処理装置に関する。
従来におけるシュレッダとしては例えば特許文献1,2に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、回転刃板間に介設固定され、回転刃板間から排出される細断片が回転軸の外面部に沿って巻き込むあるいは巻き上がることを防止する巻き込み防止ガイド体を設け、このガイド体を回転刃板間に介設する前は、広狭変形用切欠部を介して包囲内縁の先端間の対向距離が大きくこの包囲内縁が開いた変形状態となっていることで、この先端間から回転軸の外側よりガイド体を回転刃板間に挿入し、その後クランプすることで広狭変形用切欠部を介して包囲内縁の先端間の距離を狭め閉じた状態として、包囲内縁を外面部の少なくとも半円領域以上の外周範囲に沿って被嵌状態にして包囲状態に配設したシュレッダが開示されている。
特許文献2には、カッターディスクとスペーサーとを交互に積層した一対のローラーカッターを形成し、一方のカッターディスクが他方のカッターディスク間に互いに噛み合うように両者を平行に組み合わせ、かつ、各カッターディスクとスペーサーの外周面にこれより径方向に突出するエッジ部を形成すると共に、それらの噛合部で、一方のカッターディスクのエッジ部と他方のスペーサーのエッジ部同士が互いに摺接するようにし、これによって、縦切りされた紙葉類がその噛合部でエッジ部によって上下に引き千切られるように切断されるシュレッダが開示されている。
特開2000−354784号公報(実施例,図6) 特開2009−131750(発明を実施するための最良の形態,図1)
しかしながら、この種のシュレッダにおいては、ユーザの要請に沿ったセキュリティレベルでシート状物に対する細断サイズを決め、それに合う細断機構を採用するようにしているが、セキュリティレベルが高いものであっても、現在市場に販売されているシュレッダでは、細断片の細断サイズは1.0mm×5.0mm(面積:5.0mm)を限度としている。
近年、ドイツの規格協会が制定したDIN規格(DIN66399/制定日2012年9月)によれば、細断寸法に応じて7段階あり、最もセキュリティレベルの高いのがレベル7(細断寸法:面積5.0mm以下)とされている。
してみると、前述した細断サイズは前述したDIN規格の最高水準であるセキュリティレベル7を満たすことにはなるものの、機密性の高い書類などを細断処理する場合には、仮に、細断処理後の細断片が第三者の目に触れたとしても、細断片から再現不可能なレベルまで極小に細断したいという要請がユーザから強く求められつつあるのが現状である。
このような要請に沿って、各シュレッダメーカーでは、細断片の細断サイズをより細かくする対策が検討されているが、細断片の細断サイズを細かくする細断機構の製造が難しいばかりか、細断片の細断サイズをより細かくした場合には細断機構のカッタ要素に細かい細断片が詰まり易いという不具合を解決する必要がある。
本発明が解決しようとする技術的課題は、シート状物を細断するに当たり、細断機構での細断片の詰まりを未然に防止し、細断サイズを再現不可能なレベルまで極小にするシュレッダ及びこれを用いたシート状物処理装置を提供することにある。
本発明の第1の技術的特徴は、シート状物が挿入される搬入経路の途中に設けられ、当該シート状物を細断する細断機構と、この細断機構を駆動する駆動装置と、前記駆動装置を制御する制御装置と、を備え、前記細断機構は、回転するドラム本体の周囲に当該ドラム本体の回転方向に予め決められたピッチの切断刃が形成されたカッタ部をドラム本体の回転軸方向に沿って予め決められた間隔の凹部を介して一体的に切り出し加工する第1の刃付ドラムと、この第1の刃付ドラムと同様に構成され、第1の刃付ドラムの凹部にカッタ部が食い込み且つ第1の刃付ドラムのカッタ部と凹部が食い込むように第1の刃付ドラムと噛み合う第2の刃付ドラムと、対構成の刃付ドラムの噛み合い領域とは異なる領域にて各刃付ドラムのカッタ部間に位置する凹部に食い込むように配置され、対構成の刃付ドラムの噛み合い領域で細断された細断片を凹部内から掻き取る複数の掻き取り部材と、を有し、前記駆動装置は、前記細断機構の対構成の刃付ドラムを正逆回転可能に駆動する駆動源を有し、前記制御装置は、前記細断機構に細断すべきシート状物が搬入されないときに前記駆動装置を駆動することで前記細断機構の対構成の刃付ドラムを正方向に空駆動し、当該細断機構の空駆動時における前記駆動装置に対する負荷から前記細断機構の細断片の詰まり状況を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記細断機構の細断片の詰まり状況が細断機構に対する清掃モードの実施を要する第1の閾値に至ったか否かを判断し、前記清掃モードを要する場合には、少なくとも前記駆動源の逆転動作を1回は含む清掃処理を実施する清掃モード判断部と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記細断機構の細断片の詰まり状況が前記第1の閾値を超えて前記細断機構に対するメンテナンスを要する第2の閾値に至ったか否かを判断するメンテナンス判断部と、を有していることである。
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記掻き取り部材は、第1又は第2の刃付ドラムの凹部の底面形状に沿った掻き取り面を有していることである。
本発明の第3の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記掻き取り部材は、第1又は第2の刃付ドラムに対向して1若しくは2つ設けられ、各刃付ドラムの凹部に対する食い込み量を規制するために各刃付ドラムに対し2箇所の位置規制部材によって位置規制されていることである。
本発明の第4の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記掻き取り部材は、前記対構成の刃付ドラムの噛み合い領域とは異なる領域にて各刃付きドラムの凹部の周囲を覆うように多段配置され、対構成の刃付ドラムの噛み合い領域で細断された細断片を各刃付ドラムの凹部内から取り除くように仕切られる第1の仕切り部材と、前記対構成の刃付ドラムの噛み合い領域とは異なる領域にて各刃付ドラムのカッタ部の周囲を覆うように多段配置され、対構成の刃付ドラムの噛み合い領域で細断された細断片が前記第1の仕切り部材間に入り込む隙間を塞ぐように仕切られる第2の仕切り部材と、を有することである。
本発明の第5の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて前記制御装置の判定部は、前記駆動源の駆動電流を検出することで前記駆動装置に対する負荷を把握するものであることである。
本発明の第6の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記清掃モード判断部は、前記清掃モードを要する場合には、少なくとも前記駆動源の正逆転動作を1回は含む清掃処理を実施することである。
本発明の第の技術的特徴は、シート状物を処理する処理部と、この処理部による処理が適正になされないシート状物を細断する第1の技術的特徴を備えたシュレッダと、を備えているシート状物処理装置である。
本発明の第1の技術的特徴によれば、シート状物を細断するに当たり、細断機構での細断片の詰まりを未然に防止し、細断サイズを再現不可能なレベルまで極小にすることができ、更に、細断機構の細断片の詰まり状況に基づいて、メンテナンスの要否を容易に判断することができると共に、必要時には清掃処理を実施することで細断片の詰まり状況を改善することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、本構成を有さない態様に比べて、掻き取り部材による掻き取り作用を広範囲に亘って働かせることができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、本構成を有さない態様に比べて、刃付ドラムに対する掻き取り部材の位置規制精度を良好に維持することができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、シート状物を細断するに当たり、細断機構での細断片の詰まりをより確実に防止でき、細断機構による細断性能を長期に亘って維持することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、簡単な構成で、細断機構の細断片の詰まり状況を容易に判定することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、清掃モードとして駆動源の1回の逆転動作を実施する場合に比べて、刃付ドラムに堆積している細断片を効果的に掻き取ることができる。
本発明の第の技術的特徴によれば、シート状物を細断するに当たり、細断機構での細断片の詰まりを未然に防止し、細断片のサイズを極小にすることができ、更に、細断機構の細断片の詰まり状況に基づいて、メンテナンスの要否を容易に判断すると共に、必要時には清掃処理を実施することで細断片の詰まり状況を改善することが可能なシュレッダを付加したシート状物処理装置を構築することができる。
本発明が適用されたシュレッダの実施の形態の概要を示す説明図である。 実施の形態1に係るシュレッダの全体構成を示す説明図である。 (a)は実施の形態1に係るシュレッダの要部を示す説明図、(b)は細断機構の駆動装置の一例を示す説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられる細断機構の詳細を示す説明図、(b)は対構成の刃付ドラムの噛み合い領域の詳細を示す説明図である。 (a)は細断機構の各要素の位置関係を模式的に示す説明図、(b)は対構成の刃付ドラムの要部を示す説明図、(c)は対構成の刃付ドラムの噛み合い領域での相対位置関係を示す説明図である。 実施の形態1で用いられる制御装置の細断制御処理の内容を示すフローチャートである。 (a)は駆動源としてのモータ電流と投入用紙枚数との関係を示すグラフ図、(b)はシュレッダの使用初期段階と細断機構の紙詰まり段階における駆動開始時のモータ電流の時間変化を示す説明図、(c)はシュレッダの使用初期段階と細断機構の紙詰まり段階における細断終了後のモータ電流の時間変化を示す説明図である。 実施の形態1で用いられる清掃モードの動作例を示すグラフ図である。 (a)(b)は実施の形態1に係る細断機構のスクレーパの変形の形態を示す説明図であり、(a)に係るスクレーパは刃付ドラムの凹部に対し1つ置きに配置され、(b)に係るスクレーパは(a)のスクレーパの間に位置する凹部に対し1つ置おきに配置されるものを示す。 実施の形態2で用いられる細断機構の要部を示す説明図である。 実施の形態2で用いられる細断機構の各要素の位置関係を模式的に示す説明図である。 (a)はスクレーパにおける第1の仕切り部材の構成例を示す説明図、(b)は(a)のB部詳細図である。 (a)はスクレーパにおける第1の仕切り部材の構成例を示す説明図、(b)はスクレーパにおける第2の仕切り部材の構成例を示す説明図である。 (a)は細断機構における刃付ドラムと第1の仕切り部材との配置関係を示す説明図、(b)は細断機構における刃付ドラムと第2の仕切り部材との配置関係を示す説明図である。 (a)〜(c)は細断機構の組立過程を示す説明図である。 実施の形態3に係る画像形成装置の要部を示す説明図である。
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用されたシュレッダの実施の形態の概要を示す。
同図において、シュレッダは、シート状物1が挿入される搬入経路2の途中に設けられ、当該シート状物1を細断する細断機構3と、この細断機構3を駆動する駆動装置10と、駆動装置10を制御する制御装置12と、を備え、細断機構3は、回転するドラム本体4aの周囲に当該ドラム本体4aの回転方向に予め決められたピッチの切断刃4cが形成されたカッタ部4bをドラム本体4aの回転軸方向に沿って予め決められた間隔の凹部(図示せず)を介して一体的に切り出し加工する第1の刃付ドラム4と、この第1の刃付ドラム4と同様に構成され、第1の刃付ドラム4の凹部にカッタ部5bが食い込み且つ第1の刃付ドラム4のカッタ部4bと凹部が食い込むように第1の刃付ドラム4と噛み合う第2の刃付ドラム5と、対構成の刃付ドラム4,5の噛み合い領域Mとは異なる領域にて各刃付ドラム4,5のカッタ部4b,5b間に位置する凹部に食い込むように配置され、対構成の刃付ドラム4,5の噛み合い領域Mで細断された細断片1aを凹部内から掻き取る複数の掻き取り部材6(本例では4つ、6a〜6d)と、を有し、駆動装置10は、細断機構3の対構成の刃付ドラム4,5を正逆回転可能に駆動する駆動源11を有し、制御装置12は、細断機構3に細断すべきシート状物1が搬入されないときに駆動装置10を駆動することで細断機構3の対構成の刃付ドラム4,5を正方向に空駆動し、当該細断機構3の空駆動時における駆動装置10に対する負荷から細断機構3の細断片1aの詰まり状況を判定する判定部13と、判定部13の判定結果に基づいて、細断機構3の細断片1aの詰まり状況が細断機構3に対する清掃モードの実施を要する第1の閾値に至ったか否かを判断し、清掃モードを要する場合には、少なくとも駆動源11の逆転動作を1回は含む清掃処理を実施する清掃モード判断部15と、判定部13の判定結果に基づいて、細断機構3の細断片1aの詰まり状況が第1の閾値を超えて細断機構3に対するメンテナンスを要する第2の閾値に至ったか否かを判断するメンテナンス判断部14と、を有している。
尚、図1中、符号5aは第2の刃付ドラム5のドラム本体、5cはカッタ部5bを構成する切断刃である。
このような技術的手段において、細断機構3は、対構成の刃付ドラム4,5、掻き取り部材6を有している。
ここで、対構成の刃付ドラム4,5はドラム本体4a,5aの周囲に切断刃4c,5cが形成されたカッタ部4b,5bを凹部を介して並設したものであるが、カッタ部4b,5bが極薄になることから、複数のカッタ板を積層してもその位置精度が出にくい。このため、本例では、炭素鋼などの強化材料からなるドラム本体4a,5aの周囲にカッタ部4b,5bを一体的に切り出し加工する製法を採用した。このとき、カッタ部4b,5bの切断刃4c,5cについては切断性能を十分に確保する上で研磨加工を施すことが好ましい。
また、カッタ部4b,5bの切断刃4c,5cは予め決められたピッチで形成すればよいが、このピッチがシート状物1の矩形状細断片1aの一辺の長さ寸法に相当する。また、カッタ部4b,5b間の凹部の間隔が矩形状細断片1aの他辺の長さ寸法に相当する。
更に、掻き取り部材6は各刃付ドラム4,5のカッタ部4b,5b間に位置する凹部に食い込むように配置され、細断片1aを掻き取る作用を奏するものであれば、刃付ドラム4,5の凹部の底面形状に沿った掻き取り面を有するものは勿論であるが、凹部の一部に対向する突出片など適宜選定して差し支えない。
更にまた、駆動装置10を制御する制御装置12は、細断機構3の細断片1aの詰まり状態を判定する判定部13を有するものであることを要する。シート状物1の細断サイズが再現不可能なレベルまで極小になると、細断サイズがある程度大きい場合に比べて、細断機構3の対構成の刃付ドラム4,5に細断片1aが詰まり易い。よって、本願では、判定部13を設けることによって細断片1aの詰まり易さを監視するようにしたものである。
次に、本実施の形態に係るシュレッダの代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、掻き取り部材6の代表的態様としては、第1又は第2の刃付ドラム4,5の凹部の底面形状に沿った掻き取り面を有している態様が挙げられる。本態様では、掻き取り部材6の掻き取り面は刃付ドラム4,5の凹部の底面形状に沿って形成されることから、凹部の底に堆積する細断片1aは掻き取り部材6の広い掻き取り面に接触してその摩擦抵抗で掻き取られる。
また、掻き取り部材6の代表的な位置規制構造としては、掻き取り部材6は、第1又は第2の刃付ドラム4,5に対向して1若しくは2つ設けられ、各刃付ドラム4,5の凹部に対する食い込み量を規制するために各刃付ドラム4,5に対し2箇所の位置規制部材7(本例では7a〜7d)によって位置規制されている態様が挙げられる。尚、図1中、符号8は位置規制部材7に係わり合うように掻き取り部材6に設けられる被位置規制部(本例では被位置規制溝として構成)を示す。
本態様では、各刃付ドラム4,5に対して掻き取り部材6の位置規制を2箇所で行うと、1箇所で行う場合に比べて、刃付ドラム4,5と掻き取り部材6との相対位置関係がより正確になる点で好ましい。
更に、掻き取り部材6の好ましい態様としては、対構成の刃付ドラム4,5の噛み合い領域Mとは異なる領域にて各刃付きドラム4,5の凹部の周囲を覆うように多段配置され、対構成の刃付ドラム4,5の噛み合い領域Mで細断された細断片1aを各刃付ドラム4,5の凹部内から取り除くように仕切られる第1の仕切り部材と、対構成の刃付ドラム4,5の噛み合い領域Mとは異なる領域にて各刃付ドラム4,5のカッタ部4b,5bの周囲を覆うように多段配置され、対構成の刃付ドラム4,5の噛み合い領域Mで細断された細断片1aが第1の仕切り部材間に入り込む隙間を塞ぐように仕切られる第2の仕切り部材と、を有する態様が挙げられる。
本態様では、第1の仕切り部材は刃付ドラム4,5の凹部の周囲を覆い、かつ、凹部内から細断片1aを取り除くものであれば、任意の形状で差し支えない。
また、第2の仕切り部材は刃付ドラム4,5のカッタ部4b,5bの周囲を覆い、かつ、細断片1aが第1の仕切り部材間に入り込む隙間を塞ぐものであれば、任意の形状で差し支えない。
ここで、細断サイズを小さくする場合にはカッタ部4b,5b、凹部の間隔が狭くなることから、第1、第2の仕切り部材の厚みを薄くせざるを得ないので、各仕切り部材の形状としては板状として面剛性を確保することが好ましい。
本例では、掻き取り部材6を工夫することで、細断機構3の周辺に細断片1aが堆積することを阻止する構成であるから、細断機構3による細断性能を保つことが可能である。このため、細断機構3の細断性能を維持するために給油システムを採用してもよいが、給油する必要性は極めて少ない。
次に、判定部13の代表的態様としては駆動源11の駆動電流を検出することで駆動装置10に対する負荷を把握するものである態様が挙げられる。
本態様では、駆動源11の駆動電流を検出すると、仮に、細断機構3に細断片1aがある程度詰まっている状況では、シート状物1を細断しなくともその細断片1aの詰まり状況に伴って駆動源11に負荷がかかり、その分、駆動源11の駆動電流が変化することを利用したものである。
更に、本実施の形態では、制御装置12としては、判定部13の判定結果に基づいて、細断機構3の細断片1aの詰まり状況が細断機構3に対するメンテナンスを要するか否かを判断するメンテナンス判断部14を有するものが採用されている
このメンテナンス判断部14は、シュレッダのユーザがメンテナンスを要するか否かを判断可能であればよい。この場合に、メンテナンスを要することを表示器に表示したり、あるいは、細断機構3は精密に構成されていることから、例えばメンテナンスの保守契約を結ぶことで通信を利用して必要時にメンテナンスの要請処理をするなど適宜選定して差し支えない。
また、メンテナンス判断部14がメンテナンスを要すると判断した場合には、細断機構3の寿命を考慮すると、ユーザによるシュレッダの運転を停止し、ユーザによる運転停止の解除操作を容易にはできないようにしておくことが好ましい。
更にまた、制御装置12としては、判定部13の判定結果に基づいて、細断機構3の細断片1aの詰まり状況が細断機構3に対する清掃モードの実施を要するか否か判断する清掃モード判断部15を有し、清掃モードを要する場合に少なくとも駆動源11の逆転動作を1回は含む清掃処理を実施する態様が採用されている
清掃モード判断部15は、細断機構3の細断片1aの詰まり状況がユーザにより除去可能である場合には、清掃モードの要否を判断し、清掃モードを要する場合には所定の清掃処理を実施するようにすればよい。
清掃処理としては、少なくとも駆動源11の逆転動作を1回は含むようにすればよい。このような駆動源11の逆転動作を行うと、細断機構3に詰まっていた細断片1aが対構成の刃付ドラム4,5を逆転方向に回転させることで、正転方向で詰まっていた細断片1aが逆転方向に戻されて取り除き易くなり、細断片1aの清掃が実現するのである。
ここで、本例の清掃処理は、少なくとも駆動源11の逆転動作を1回含んでいればよく、清掃動作が不十分であれば、更に、正転動作を付加したり、正逆転動作を1回あるいは複数回繰り返すなど適宜選定して差し支えない。
上述したシュレッダは単体で適用されることは勿論であるが、本願は、これに限られるものではなく、シュレッダを組み込んだシート状物処理装置をも対象とする。
この種のシート状物処理装置としては、シート状物1を処理する処理部(図示せず)と、この処理部による処理が適正になされないシート状物1を細断するシュレッダと、を備えた態様が挙げられる。ここでいう処理部としては、シート状物1を処理する機能部であれば適宜選定して差し支えなく、例えばシート状物1が用紙等の記録材である場合には、画像を作成する作像部、あるいは、記録材に対して折り等の後処理を実施する後処理部を指す。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は実施の形態1に係るシュレッダの全体構成を示す。
−シュレッダの全体構成−
同図において、シュレッダ20は、略直方体形状のシュレッダ筐体21を有し、このシュレッダ筐体21の上面には細断するシート状物としての用紙が投入される投入口22を開設し、この投入口22には一対のガイドシュートで区画された搬入経路23を設け、この搬入経路23の途中に細断機構24を配設し、シュレッダ筐体21内の細断機構24の下方には用紙の細断片が収容される屑容器27を出し入れ可能に配設したものである。
ここで、細断機構24は、カッタ要素として対構成の刃付ドラム31,32が用いられるカットクロス方式を採用したもので、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域に用紙を挿通させることで、用紙の搬入方向に沿う方向(縦方向)及びこれに略直交する交差方向(横方向)について縦横同時に細断するようにしたものである。尚、図2中、符号50は細断機構24を駆動する駆動装置、60はシュレッダ20を操作するための操作パネルである。
−細断機構−
本実施の形態において、第1の刃付ドラム31は、図2、図4及び図5に示すように、例えば炭素鋼等の高強度の材料からなるドラム本体311を有し、図示外の支持枠にドラム本体311を回転軸310を中心に回転可能に支持するようになっている。
そして、ドラム本体311の周面には当該ドラム本体311の回転方向に予め決められたピッチp(例えば3.5mm)の切断刃313を形成したカッタ部312がドラム本体311の回転軸310方向に沿って予め決められた間隔g(例えば0.7mm)の凹部315を介して一体的に切り出し加工されている。尚、カッタ部312間の凹部315底面は断面円形状のスペーサ部314として形成され、カッタ部312の先端エッジ部の幅寸法は凹部315と同程度に設定されている。
本例では、切断刃313は、その先端エッジ部が用紙の搬送方向に交差する方向(横方向)を切断する機能部と、先端エッジ部の両側に位置する側方エッジ部が用紙の搬送方向に沿う方向(縦方向)を切断する機能部とを有する。そして、切断刃313の先端エッジ部及び側方エッジ部は切断性能を良好に保つように研磨加工が施されている。
また、第2の刃付ドラム32は、図2、図4及び図5に示すように、炭素鋼等の高強度の材料にて第1の刃付ドラム31と略同様に構成されており、ドラム本体321の周面に切断刃323を形成したカッタ部322が凹部325を介して一体的に切り出し加工されている。尚、符号320はドラム本体321の回転軸、符号324はカッタ部322間の凹部325底面に形成される断面円形状のスペーサ部である。
そして、第2の刃付ドラム32は、そのカッタ部322が第1の刃付ドラム31の凹部315に食い込むように、また、その凹部325に第1の刃付ドラム31のカッタ部312を食い込ませるように、第1の刃付ドラム31と噛み合っている。
そして、この対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mでは、図5(a)〜(c)に示すように、凹部315(又は325)の深さをhとすると、カッタ部322(又は312)の切断刃323(又は313)が凹部315(又は325)内に埋まり込む程度の寸法h1で食い込むように噛み合っている。尚、図5(c)中、符号h2は凹部315(又は325)の深さhから切断刃323(又は313)の食い込み寸法h1を差し引いた寸法を示す。
更に、本例では、図2、図4及び図5に示すように、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mとは異なる領域にて掻き取り部材としてのスクレーパ41,42が設けられている。ここで、スクレーパ41,42としては炭素鋼等の高強度の材料からなる板材が用いられている。
本例では、スクレーパ41は、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mとは異なる領域のうち、第1の刃付ドラム31の上半部の周囲を囲む上スクレーパ41aと、第1の刃付ドラム31の下半部の周囲を囲む下スクレーパ41bとに分離して設けられている。
これらのスクレーパ41(41a,41b)は第1の刃付ドラム31のカッタ部312間に位置する凹部315に食い込むように配置され、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mで細断された細断片Saを凹部315内から掻き取るようにしたものである。
一方、スクレーパ42は、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mとは異なる領域のうち、第2の刃付ドラム32の上半部の周囲を囲む上スクレーパ42aと、第2の刃付ドラム32の下半部の周囲を囲む下スクレーパ42bとに分離して設けられている。
これらのスクレーパ42(42a,42b)も、一方のスクレーパ41(41a,41b)と同様に、第2の刃付ドラム32のカッタ部322間に位置する凹部325に食い込むように配置され、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mで細断された細断片Saを凹部325内から掻き取るようにしたものである。
更に、上スクレーパ41a(又は42a)は、板状のスクレーパ本体411(又は421)の用紙の搬入側には対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mに用紙を案内するための案内面412(又は422)が形成されており、また、刃付ドラム31(又は32)の凹部315(又は325)に対向した部位には凹部315(又は325)の底面形状に沿った掻き取り面413(又は423)が形成され、更に、後述する位置規制ロール45(又は46)に対向する部位には略半円状の被位置規制溝414(又は424)が形成されている。
一方、下スクレーパ41b(又は42b)は、上スクレーパ41a(又は42a)と同様に、掻き取り面413(又は423)及び被位置規制溝414(又は424)が形成されており、更に、板状のスクレーパ本体411(421)の用紙の排出側には対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mにて細断された細断片Saを下方へと案内するための案内面415(425)が形成されている。
また、本実施の形態では、図2、図4及び図5に示すように、各刃付ドラム31,32の周囲にスクレーパ41,42が設けられているが、各刃付ドラム31,32が所定の組付位置に組み付けられた後、各スクレーパ41,42が各刃付ドラム31,32の各凹部315,325に食い込むように配置され、この状態で、スクレーパ41(41a,41b),42(42a,42b)の被位置規制溝414,424に位置規制ロール45(本例では45a,45b),46(本例では46a,46b)が嵌まり込む。このとき、位置規制ロール45,46を予め決められた位置に位置決めするようにすれば、この位置規制ロール45,46の位置に基づいて各スクレーパ41,42が各刃付ドラム31,32に対して位置規制されることになり、各スクレーパ41,42の掻き取り面413,423は刃付ドラム31,32の凹部315,325の凹部底面に対して位置規制された所定の位置に配置される。
−駆動装置−
本実施の形態において、駆動装置50は、図2及び図3(a)(b)に示すように、駆動源としての駆動モータ51と、この駆動モータ51からの駆動力を細断機構24の対構成の刃付ドラム31,32に伝達する駆動伝達機構59とを有している。
本例において、駆動伝達機構59としては、例えば駆動モータ51の駆動軸及び第1の刃付ドラム31の回転軸に夫々プーリ59a,59bを固着すると共に、これらプーリ59a,59b間に伝達ベルト59cを掛け渡し、更に、各対構成の刃付ドラム31,32の回転軸には伝達ギア59d,59eを互いに噛合させた状態で固着するようにしたものである。
−制御装置−
更に、本実施の形態では、図3に示すように、細断機構24を駆動する駆動装置50は制御装置100によって制御されるようになっている。
本例において、制御装置100はCPU、RAM、ROM及び入出力ポートを含むマイクロコンピュータシステムからなり、操作パネル60からの操作信号、搬入経路23に用紙Sが搬入されたか否かを検出する位置センサ28からの信号などを入出力ポートを介して受け取り、CPU,RAMによってROM内に予めインストールされている細断制御プログラム(図6参照)を実行し、入出力ポートを介して細断機構24の駆動装置50に対し所定の制御信号を送出するようになっている。
そして、駆動モータ51には当該駆動モータ51に供給される駆動電流を検出する電流検出器120が設けられている。
尚、本例では、操作パネル60は、図3に示すように、シュレッダ20に電源を投入するためのスタートスイッチ61(図中STと表記)と、用紙Sが搬入経路23で紙詰まりした場合に用紙Sを逆転排出する排出モードや、細断機構24に細断片Saが詰まった場合に清掃処理を実施する清掃モードなどを指定するときにオン操作するモード選択スイッチ62(図中MSと表記)と、シュレッダ20の動作状態を表示する表示器63と、を有している。また、位置センサ28は用紙Sが通過したことを検出可能な構成であれば、機械的、光学式センサなど適宜選定して差し支えない。
−シュレッダの細断制御処理−
次に、本実施の形態に係るシュレッダの細断制御処理を主として図3及び図6に示すフローチャートに従って説明する。
<通常細断処理>
先ず、制御装置100は、操作パネル60のスタートスイッチ61がオン操作されたことを判断した後、駆動装置50の駆動条件(例えば駆動モータ51の駆動速度条件)を予め決められた所定のものに設定する。
この状態において、シュレッダ筐体21の投入口22に用紙Sが投入されると、当該用紙Sは搬入経路23に沿って細断機構24に向かって移動する。このとき、位置センサ28は用紙Sが通過したことを検出すると、位置センサ28による検出信号が制御装置100に取り込まれ、これに連動して、駆動モータ51が所定の駆動条件に従って細断機構24の対構成の刃付ドラム31,32を駆動する。
本例では、用紙Sは対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mを通過することで、縦横同時に細断され、細断された細断片Saはスクレーパ41,42によって刃付ドラム31,32から掻き取られて下方へと落下する。
このような細断処理においては、細断片Saは例えば0.7mm×3.5mm(2.45mm)の極小の細断サイズで細断されることから、仮に、細断処理後の細断片Saを集めて元の用紙情報を再現しようとしても、細断片Saの細断サイズが細かいことから、再現は略不可能である。
そして、用紙Sの後端が位置センサ28を通過して予め決められた時間(細断処理が終了したであろうと推測される時間)が経過すると、制御装置100は細断処理が終了したものと判断し、駆動モータ51の駆動を停止し、一連の細断制御処理を終了する。
<メンテナンス判断処理>
本実施の形態では、上述したように、細断片Saの細断サイズが極小であることから、細断片Saが対構成の刃付ドラム31,32に堆積し易いという傾向がある。
つまり、図7(a)に示すように、シュレッダの使用開始初期の段階では、駆動モータ51の駆動電流は、シュレッダ筐体21の投入口22に投入される用紙Sがない場合にはゼロ付近であり、用紙Sの枚数(投入口22に同時に搬入される用紙Sの枚数)に応じて徐々に増加するというように変化する。
これに対し、シュレッダを経時使用した段階で、例えば対構成の刃付ドラム31,32に細断片Saが堆積して紙詰まりしたような場合には、駆動モータ51の駆動電流は、シュレッダ筐体21の投入口22に投入される用紙Sがない条件でも、予め決められた閾値THを超える所定レベルを示し、用紙Sの枚数に応じて更に増加するというように変化する。これは、対構成の刃付ドラム31,32に細断片Saが詰まったことから、駆動モータ51に負荷がかかっていることが要因になっているものと推測される。
このような状況において、駆動モータ51に過剰な負荷がかかってしまうと、この状態で駆動モータ51を駆動すると、細断機構24が破損する懸念がある。
そこで、本実施の形態では、図6に示すように、シュレッダ筐体21の投入口22に用紙Sが投入されていない条件で、予め決められた時期(例えばシュレッダ起動時、シュレッダ細断終了時、モード選択スイッチ62による人為的な指定時期)にシュレッダのメンテナンスの要否を判定するようにしている。
メンテナンスの要否を判定する場合には、先ず駆動モータ51の駆動を開始し、モータの駆動電流のモニタを開始する。このとき、駆動モータ51の電流変化が予め決められた閾値レベルIa以上か否かを判定する。本例では、この閾値電流Iaは細断機構24に細断片Saが過剰に詰まり、メンテナンスを要する程度に駆動モータ51に負荷がかかっているレベルのものを選定する。
この状態において、例えばシュレッダ起動時には、図7(b)に示すように、駆動モータ51の駆動電流は起動直後に一旦ピークに至り、その後に安定レベルに落ち着くという変化を示すが、安定域に至った駆動電流が許容レベルIsを超えて閾値レベルIa以上になった条件では、細断機構24に細断片Saが過剰に堆積していることが把握される。また、例えば細断終了時には、図7(c)に示すように、駆動モータ51の駆動電流は細断終了後に下降し、その後に安定レベルに落ち着くという変化を示すが、安定域に至った駆動電流が許容レベルIeを超えて閾値レベルIa以上になった条件では、細断機構24に細断片Saが過剰に堆積していることが把握される。
よって、駆動モータ51の駆動電流が閾値レベルIa以上である条件に至った場合には、制御装置100はメンテナンスが必要と判定し、細断機構24の駆動を停止し、メンテナンス要請処理を実施する。
ここでいうメンテナンス要請処理とは、例えば表示器63に「メンテナンス必要」の表示をしてユーザにメンテナンス要請を促したり、例えば通信機能付きのシュレッダなどを利用する場合には、通信機能を利用してメンテナンス要請処理をメンテナンス作業者に通知するなどを意味する。
<清掃モード>
また、本実施の形態では、メンテナンスの要否を判定する過程で、メンテナンスまでは必要ないが、細断機構24に細断片Saが少し堆積しているような場合がある。このような場合、これを放置しておくと、いずれメンテナンスを必要とする状況に至るが、本例では清掃モードを実施し、細断機構24に堆積した細断片Saを清掃処理することが行われる。
つまり、図8に示すように、例えば細断終了時には駆動モータ51の駆動電流は降下し、その後に安定レベルに落ち着くという変化を示すが、安定域に至った駆動電流が許容レベルIe(図7(c)参照)より大きく閾値レベルIa未満の閾値レベルIb以上になった条件では、細断機構24に細断片Saが少し堆積していることが把握される。
この場合、制御装置100は清掃モードを実施する。ここでいう清掃モードは、図8に示すように、細断終了後に駆動モータ51を逆転動作させ、更に、必要に応じて、図8に仮想線で示すように、正転動作、逆転動作を予め決められた所定回数繰り返す。
このような駆動モータ51の正逆回転を繰り返すことで、対構成の刃付ドラム31,32を正転、逆転させ、刃付ドラム31,32に堆積している細断片Saを効果的に掻き取り、細断機構24に堆積された細断片Saを清掃することが可能である。
尚、本実施の形態では、清掃モードは駆動モータ51の正逆回転を数回繰り返しているが、少なくとも駆動モータ51の逆転動作を1回含むものであればある程度の清掃効果が得られる。
◎変形の形態
本実施の形態では、スクレーパ41,42は各刃付ドラム31,32に対して上下に分離した形で設けられているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば図9(a)(b)に示すように、各刃付ドラム31,32に対し上下が分離していないスクレーパ41(具体的には41c,41d),42(具体的には42c,42d)を用いることも可能である。
本例の場合、スクレーパ41c,42cは、図9(a)に示すように、例えばスクレーパ本体411,421に、略U状に切り欠かれた掻き取り面413,423、被位置規制溝414,424、細断片Sa排出のための案内面415,425を有し、刃付ドラム31,32の凹部(図示せず)に対し一つ置きに矢印A、A’方向から挿入して噛み合い可能に配置されるようになっている。
また、スクレーパ41d,42dは、図9(b)に示すように、例えばスクレーパ本体411,421に、用紙Sを案内する案内面412,422、略U字状に切り欠かれた掻き取り面413,423及び被位置規制溝414,424を有し、刃付ドラム31,32の凹部(図示せず)に対し、スクレーパ41c,42cと隣合うように一つ置きに矢印B、B’方向から挿入して噛み合い可能に配置されるようになっている。
本態様においては、スクレーパ41c,42cは用紙Sを案内する案内面が、スクレーパ41d,42dは細断片Saを排出方向に案内する案内面が形成されていないが、一つ置きのスクレーパ41(41c,41d),42(42c,42d)によってそれらの案内面の機能を発揮していることから、用紙Sあるいは細断片Saの案内作用は有効に確保されている。
◎実施の形態2
図10は実施の形態2に係るシュレッダの細断機構24の要部を示す。
本実施の形態では、細断機構24は、実施の形態1と略同様な対構成の刃付ドラム31,32を備えているが、実施の形態1とは異なる掻き取り部材としてのスクレーパ41,42を備えている。
本例では、スクレーパ41は、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mとは反対側に位置する第1の刃付ドラム31の略左半部の周囲を囲み、第1の刃付ドラム31のカッタ部312間に位置する凹部315に対応して設けられる第1の仕切り部材41eと、第1の仕切り部材41e間に配置され、第1の刃付ドラム31のカッタ部312に対応して設けられる第2の仕切り部材41fとを備えている。
ここで、第1の仕切り部材41eは、図10及び図11に示すように、第1の刃付ドラム31のカッタ部312間に位置する凹部315に食い込むように配置され、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mで細断された細断片Saのうち凹部315内に堆積した細断片Saを掻き取るようになっている。
また、第2の仕切り部材41fは、図10及び図11に示すように、第1の刃付ドラム31のカッタ部312の周囲を囲むように配置され、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mで細断された細断片Saのうちカッタ部312の周囲に付着した細断片Saを掻き取るようになっている。
一方、スクレーパ42は、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mとは反対側に位置する第2の刃付ドラム32の略右半部の周囲を囲み、第2の刃付ドラム32のカッタ部322間に位置する凹部325に対応して設けられる第1の仕切り部材42eと、第1の仕切り部材42e間に配置され、第2の刃付ドラム32のカッタ部322に対応して設けられる第2の仕切り部材42fとを備えている。
ここで、第1の仕切り部材42eは、図10及び図11に示すように、第2の刃付ドラム32のカッタ部322間に位置する凹部325に食い込むように配置され、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mで細断された細断片Saのうち凹部325内に堆積した細断片Saを掻き取るようになっている。
また、第2の仕切り部材42fは、図10及び図11に示すように、第2の刃付ドラム32のカッタ部322の周囲を囲むように配置され、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mで細断された細断片Saのうちカッタ部322の周囲に付着した細断片Saを掻き取るようになっている。
<第1の仕切り部材の構成例>
第1の仕切り部材41e(又は42e)は、図10及び図12(a)(b)に示すように、板状の仕切り本体431を有し、この仕切り本体431の刃付ドラム31(又は32)の凹部315(又は325)に対向した部位の底面形状に沿った円弧状のエッジ面(本例では半円状のエッジ面)432を形成し、また、仕切り本体431の用紙Sの搬入側には対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mに用紙Sを案内する案内面433を形成すると共に、仕切り本体431の用紙Sの排出側には対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mにて細断された細断片Saを下方へ案内するための案内片434を形成したものである。
本例では、第1の仕切り部材41e(又は42e)のエッジ面432は、図12(a)及び図14(a)に示すように、刃付ドラム31(又は32)のカッタ部312(又は322)間に位置するスペーサ部314(又は324)の半径をrsとすると、rsより僅かに大きいrs+αの半径の円弧面として形成されている。
また、本例では、案内片434は、図12(a)(b)に示すように、斜め下方に延びる山型状の2つの案内突起435,436を有しており、用紙Sの通路寄りに位置する案内突起435は例えば鉛直方向に対して所定の角度θ(例えば30〜50°)だけ傾斜した傾斜面437を具備し、先端角部が角度η(例えば20〜40°:本例ではη<θ)で突出した形状に形成されている。また、2つめの案内突起436は例えば先端角度が角度ξ(例えば20〜40°:本例ではξ=η)のV溝438を介して案内突起435に隣接し、先端角度ηで突出した形状に形成されている。
<第2の仕切り部材の構成例>
第2の仕切り部材41f(又は42f)は、図10及び図13(a)(b)に示すように、板状の仕切り本体441を有し、この仕切り本体441の刃付ドラム31(又は32)のカッタ部312(又は322)の先端外周縁に沿った円弧状のエッジ面(本例では円弧角が半円未満、例えば140〜150°のエッジ面)442を形成したものである。
本例では、第2の仕切り部材41f(又は42f)のエッジ面442は、図13(b)及び図14(b)に示すように、刃付ドラム31(又は32)のカッタ部312(又は322)の先端外周縁の半径をrcとすると、rcより僅かに大きいrc+βの半径の円弧面として形成されている。
そして、本例では、第2の仕切り部材41f(又は42f)は、第1の仕切り部材41e(又は42e)と重ね合わせたときに、第1の仕切り部材41e(又は42e)の案内面433に沿った案内面443を有し、第1の仕切り部材41e(又は42e)の仕切り本体431の上辺部、下辺部及びエッジ面432と反対側に位置する側辺部が略合致する形状になっている。
<位置決め機構>
本実施の形態では、細断機構24は、図10乃至図14に示すように、スクレーパ41(又は42)の第1の仕切り部材41e(又は42e)と第2の仕切り部材41f(又は42f)とが位置決め可能な位置決め機構47を備えている。
本例では、位置決め機構47は、第1の仕切り部材41e(又は42e)の仕切り本体431の任意の位置(本例では刃付ドラム31(又は32)から離れた側の下側隅部)に円形の位置決め孔451を開設すると共に、この位置決め孔451から離れた部位(本例では位置決め孔451の直上に位置する仕切り本体431の上辺部)にU字状の位置決め溝452を形成し、更に、第2の仕切り部材41f(又は42f)の仕切り本体441には、第1の仕切り部材41e(又は42e)の位置決め孔451、位置決め溝452に対応した位置に同様な位置決め孔453、位置決め溝454を形成し、第1の仕切り部材41e(又は42e)と第2の仕切り部材41f(又は42f)とを交互に積み上げた状態で、位置決め孔451,453に第1の位置決めロッド455(図15参照)を挿入すると共に、位置決め溝452,454に第2の位置決めロッド456を挿入することで、スクレーパ41(又は42)の第1の仕切り部材41e(又は42e)と第2の仕切り部材41f(又は42f)とを位置決めするようになっている。
−細断機構の組立過程−
本実施の形態における細断機構24の組立過程について説明する。
細断機構24を組み立てるに際し、対構成の刃付ドラム31,32にスクレーパ41,42を組み付ける必要がある。
先ず、図15(a)示すように、スクレーパ41(又は42)として、第1の仕切り部材41e(又は42e)と第2の仕切り部材41f(又は42f)とを交互に積み上げ、位置決め孔451,453に第1の位置決めロッド455を挿入する。
この状態では、第1の仕切り部材41e(又は42e)と第2の仕切り部材41f(又は42f)とは第1の位置決めロッド455位置を揺動支点として揺動自在になっている。
この後、図15(b)に示すように、刃付ドラム31(又は32)に対し、スクレーパ41(又は42)の第1の仕切り部材41e(又は42e)、第2の仕切り部材41f(又は42f)を、刃付ドラム31(又は32)の凹部315(又は325)に対応した部位、刃付ドラム31(又は32)のカッタ部312(又は322)に対応した部位に夫々配置する。
そして、スクレーパ41(又は42)の各仕切り部材41e,41f(又は42e,42f)の配置が完了した段階において、図15(c)に示すように、第1の仕切り部材41e(又は42e)及び第2の仕切り部材41f(又は42f)の位置決め溝452,454に第2の位置決めロッド456を挿入するようにすればよい。
この状態において、シュレッダ筐体21の予め決められた位置に各位置決めロッド455,456を位置決めするようにすれば、この位置決めロッド455,456の位置に基づいて各スクレーパ41,42が各刃付ドラム31,32に対して位置決めされることになり、細断ユニット24はシュレッダ筐体21の所定位置に設置される。
−シュレッダの細断処理−
次に、本実施の形態に係るシュレッダの細断処理について説明する。
実施の形態1と略同様に通常細断処理が行われると、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域Mで細断された細断片Saの多くは下方に落下して屑容器27に収容される。
しかしながら、細断片Saの一部は刃付ドラム31,32の周囲に静電付着する可能性がある。
しかしながら、本実施の形態におけるスクレーパ41(又は42)は、図10乃至図15に示すように、第1の仕切り部材41e(又は42e)に加えて、第2の仕切り部材41f(又は42f)を備えているため、刃付ドラム31,32のカッタ部312(又は322)間の凹部315(又は325)内の細断片Saを掻き取ることに加えて、カッタ部312(又は322)に付着した細断片Saをも掻き取る。
このため、刃付ドラム31,32の周囲に細断片Saが静電付着したまま堆積する懸念は極めて少ない。
特に、本実施の形態では、第1、第2の仕切り部材41e,41f(又は42e,42f)は広範囲に亘って刃付ドラム31(又は32)の凹部315(又は325)の底面、カッタ部312(又は322)の先端外周縁に近接したエッジ面432,442を形成したため、刃付ドラム31,32の周面に静電付着したまま細断片Saが各仕切り部材41e,42e(又は41f,42f)との微小隙間を通過することはない。
更に、本実施の形態では、第1の仕切り部材41e(又は42e)は、図12(a)(b)に示すような案内片434を有しているため、刃付ドラム31,32の周面に静電付着した細断片Saは案内片434に突き当たった後に下方へと案内される。特に、本例の案内片434は2つの案内突起435,436にて構成され、案内突起435,436間にV溝438が存在することから、仮に、細断片Saが案内片434付近に静電付着したとしても、V溝438付近で落下することから、細断片Saが案内片434付近にそのまま残存する懸念は極めて少ない。
◎実施の形態3
図16は実施の形態3に示す画像形成装置の要部を示す説明図である。
同図において、画像形成装置200は、装置筐体210内にシュレッダ20を組み込んだものである。
本例において、画像形成装置200の基本的構成は、装置筐体210内に例えば電子写真方式の画像が作成可能な作像部220を有し、所定の搬送経路213に沿って、用紙供給トレイ230から供給された用紙Sを作像部220まで搬送した後、作像部220にて作成された画像を用紙Sに転写すると共に、例えば加熱加圧定着方式の定着器240にて用紙S上に画像を定着するようにしたものである。尚、符号250は作像部220による通常の画像形成処理を実施した画像形成済みの用紙Sを収容する用紙収容トレイである。
ここで、作像部220の一例としては、例えば感光体221の周囲に、当該感光体221を帯電する帯電器222、帯電された感光体221上に静電潜像を書き込む露光器223、感光体221上に書き込まれた静電潜像をトナーにて可視像化する現像器224、感光体221上に作成された画像(トナーによる像)を用紙Sに静電転写させる転写器225、及び、感光体221上の転写後の残留物を清掃する清掃器226を配設したものが挙げられる。
そして、本実施の形態では、装置筐体210内にはシュレッダ20が組み込まれており、例えば装置筐体210の側方にはシュレッダ20に用紙Sを案内する用紙案内トレイ280が設けられ、この用紙案内トレイ280からシュレッダ20に細断すべき用紙Sが案内されるようになっている。
本例で用いられるシュレッダ20としては実施の形態1に挙げられた態様や変形形態のいずれでも適用することが可能である。
更に、装置筐体210には、画像形成装置200の操作パネル260が設けられ、この操作パネル260には通常の作像処理に対する作像操作部261のほかに、シュレッダ20に対する細断操作部262(例えば実施の形態1の操作パネル60に相当)が設けられ、この操作パネル260による操作に伴って画像形成装置200を制御する制御装置270が設けられている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
同図において、今、操作パネル260の作像操作部261を操作したとすると、制御装置270は、作像モードに従って、作像部220、用紙供給トレイ230、定着器240、用紙Sの搬送系に対して画像形成に必要な制御信号を送出し、一連の画像形成処理を実施する。
一方、操作パネル260の細断操作部262を操作したとすると、用紙案内トレイ280に細断すべき用紙Sをセットしてシュレッダ20に搬入すれば、ユーザの要望に沿って用紙Sの通常の細断処理やメンテナンスの要否に伴う処理あるいは清掃モードに伴う処理が実施される。
本例では、画像形成装置200にシュレッダ20を組み込んだので、例えば作像部220による作像処理が不適正であった用紙Sなどが生じたとしても、直ちにシュレッダ20による細断処理を実施することが可能である点で好ましい。
1…シート状物,1a…細断片,2…搬入経路,3…細断機構,4…第1の刃付ドラム,4a…ドラム本体,4b…カッタ部,4c…切断刃,5…第2の刃付ドラム,5a…ドラム本体,5b…カッタ部,5c…切断刃,6(6a〜6d)…掻き取り部材,7(7a〜7d)…位置規制部材,8…被位置規制部,10…駆動装置,11…駆動源,12…制御装置,13…判定部,14…メンテナンス判断部,15…清掃モード判断部,M…噛み合い領域

Claims (7)

  1. シート状物が挿入される搬入経路の途中に設けられ、当該シート状物を細断する細断機構と、
    この細断機構を駆動する駆動装置と、
    前記駆動装置を制御する制御装置と、を備え、
    前記細断機構は、回転するドラム本体の周囲に当該ドラム本体の回転方向に予め決められたピッチの切断刃が形成されたカッタ部をドラム本体の回転軸方向に沿って予め決められた間隔の凹部を介して一体的に切り出し加工する第1の刃付ドラムと、
    この第1の刃付ドラムと同様に構成され、第1の刃付ドラムの凹部にカッタ部が食い込み且つ第1の刃付ドラムのカッタ部と凹部が食い込むように第1の刃付ドラムと噛み合う第2の刃付ドラムと、
    対構成の刃付ドラムの噛み合い領域とは異なる領域にて各刃付ドラムのカッタ部間に位置する凹部に食い込むように配置され、対構成の刃付ドラムの噛み合い領域で細断された細断片を凹部内から掻き取る複数の掻き取り部材と、を有し、
    前記駆動装置は、前記細断機構の対構成の刃付ドラムを正逆回転可能に駆動する駆動源を有し、
    前記制御装置は、前記細断機構に細断すべきシート状物が搬入されないときに前記駆動装置を駆動することで前記細断機構の対構成の刃付ドラムを正方向に空駆動し、当該細断機構の空駆動時における前記駆動装置に対する負荷から前記細断機構の細断片の詰まり状況を判定する判定部と、
    前記判定部の判定結果に基づいて、前記細断機構の細断片の詰まり状況が細断機構に対する清掃モードの実施を要する第1の閾値に至ったか否かを判断し、前記清掃モードを要する場合には、少なくとも前記駆動源の逆転動作を1回は含む清掃処理を実施する清掃モード判断部と、
    前記判定部の判定結果に基づいて、前記細断機構の細断片の詰まり状況が前記第1の閾値を超えて前記細断機構に対するメンテナンスを要する第2の閾値に至ったか否かを判断するメンテナンス判断部と、
    を有していることを特徴とするシュレッダ。
  2. 請求項1記載のシュレッダにおいて、
    前記掻き取り部材は、第1又は第2の刃付ドラムの凹部の底面形状に沿った掻き取り面を有していることを特徴とするシュレッダ。
  3. 請求項1又は2に記載のシュレッダにおいて、
    前記掻き取り部材は、第1又は第2の刃付ドラムに対向して1若しくは2つ設けられ、各刃付ドラムの凹部に対する食い込み量を規制するために各刃付ドラムに対し2箇所の位置規制部材によって位置規制されていることを特徴とするシュレッダ。
  4. 請求項1に記載のシュレッダにおいて、
    前記掻き取り部材は、前記対構成の刃付ドラムの噛み合い領域とは異なる領域にて各刃付きドラムの凹部の周囲を覆うように多段配置され、対構成の刃付ドラムの噛み合い領域で細断された細断片を各刃付ドラムの凹部内から取り除くように仕切られる第1の仕切り部材と、
    前記対構成の刃付ドラムの噛み合い領域とは異なる領域にて各刃付ドラムのカッタ部の周囲を覆うように多段配置され、対構成の刃付ドラムの噛み合い領域で細断された細断片が前記第1の仕切り部材間に入り込む隙間を塞ぐように仕切られる第2の仕切り部材と、
    を有することを特徴とするシュレッダ。
  5. 請求項1に記載のシュレッダにおいて
    前記制御装置の判定部は、前記駆動源の駆動電流を検出することで前記駆動装置に対する負荷を把握するものであることを特徴とするシュレッダ。
  6. 請求項1に記載のシュレッダにおいて、
    前記清掃モード判断部は、前記清掃モードを要する場合には、少なくとも前記駆動源の正逆転動作を1回は含む清掃処理を実施することを特徴とするシュレッダ。
  7. シート状物を処理する処理部と、
    この処理部による処理が適正になされないシート状物を細断する請求項1に記載のシュレッダと、を備えていることを特徴とするシート状物処理装置。
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