JP5986385B2 - 仮設兼用階段及びその施工方法 - Google Patents
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Description
木製階段には大きく分けて箱型階段、雛壇階段、露出型階段等があるが、特に雛壇階段と称される階段は、下階から上階へ斜めに掛け渡した2本の鋸歯状のささら桁(側板)の水平面上に踏板を載置して上面から釘や木ネジ等で固定するとともに、鉛直面に蹴込板を同じく釘や木ネジ等で固定されてなるものである。この構造は、施工が簡単であるために、近年広く使用されるようになって来た。
この軋み音は、歩行者100等の荷重によって踏板10に撓み15が発生し、蹴込板11の上端部と踏板10の下面に形成された溝10Zとが擦れることが原因で発生したり、蹴込板11と踏板10とが、一応、釘Nで固定されているものの、蹴込板11の化粧面(表面)には既に塗装16が介在しているために接着剤(図示せず)の効力が半減し固定不十分となって擦れることが原因で発生したり、あるいは、蹴込板11の厚さが4〜6mm(ミリメートル)程度と薄いことから容易に座屈17が生じてしまうことが原因で発生するものと考えられる。
これに対して、図6に示されるように、蹴込板11の上下に隙間18を設け、その隙間18を隠蔽材19で隠すことで踏板10と蹴込板11とを絶縁し、踏板10の撓みを吸収する場所を設けるようにしたものが知られている(特許文献1)。
この構造であれば、踏板10の撓みが蹴込板11に作用しないので、擦れ等の発生が防止されるが、これまで幾分かは蹴込板11が負担してきた荷重の全てを踏板10が負担することになるので、軋み音の発生が減少するかわりに踏板10の撓みが一段と増えてしまうので階段としての強度が低下してしまう。
このような狭い空間での作業は、脚立等の搬入の他に、作業灯の設置やコンプレッサーの高圧ホース引き回し等、一般居室には見られない困難さがある。
基本的に階段表面からの作業を可能にした技術も知られているが(特許文献2、3)、一部は階段裏面からの作業が必要なので不完全である。
しかし、従来の仮設兼用階段は、仮設階段設置時には踏板部として使用可能に水平に固定される下地材と、ささら桁(側板)の水平面と鉛直面とが交差する部分を切り欠き、その切り欠いた部分に固定される架橋材からなり、蹴込板に相当するものはないので、階段の強度に関して十分ではない場合がある。
下部前面に切り欠き(53m)が形成され、前記鉛直面(50b)に対して、仮設階段の蹴込部として使用可能で、上下に隣接する前記踏板下地(51,51)の間に、前記切り欠き(53m)に前記踏板下地(51)の後面側が嵌め込まれて前記踏板下地(51)と一体的に強固に固定され、前記踏板下地(51)と完全一体化された蹴込板下地(53)と、
前記踏板下地(51)の上面に重ね合わされ固定される踏板化粧材(52)と、及び、
前記蹴込板下地(53)の前面に重ね合わされ固定される蹴込板化粧材(55)からなることを特徴とする。
階段設置時には、踏板化粧材(52)を前記踏板下地(51)の上面に重ね合わせて固定するとともに、蹴込板化粧材(55)を前記蹴込板下地(53)の前面に重ね合わせて固定することを特徴とする。
その上、踏板下地と蹴込板下地を一体的に強固に固定したものは、仮設階段として使用され、階段設置時に、踏板化粧材と蹴込板化粧材を、踏板下地の上面と蹴込板下地の前面に重ね合わせるだけで下地材に付いた傷や汚れは覆い隠されるので外観が損なわれることはないし、段ボールや合板などの養生材を使用する必要もない。また、養生材設置に伴う手間は一切不要となり、さらに不適切な養生テープの使用による踏板化粧材の破損など養生材自体に起因する問題もない。
また、踏板下地と蹴込板下地は完全一体化されているので、踏板下地に荷重が作用するとその力は、上下の蹴込板下地に分散され、撓みを極めて抑えることができる。特に住宅を新築するときには、その工事中に重量物を運搬することが多くなるが、高い安全性を確保することができる。
これによれば、材料(蹴込板下地)の有効利用が図れるとともに、階段の表側からその空間に手を入れ、裏側に設けられた、例えば照明器具の配線などを、特に階段の裏側に回ることなく検査することができる。また、階段の裏面側から踏板下地や蹴込板下地の施工作業が不要になる。さらに、蹴込板下地を取付ける際に位置ずれが生じた場合には、隙間を利用して微調整することも簡単に行うことができる。
踏板下地51と蹴込板下地53は、ともに木質材料からなるものである。
なお、踏板化粧材52と蹴込板化粧材55はそれぞれ別体のものに限定されるものではなく、連続シート状の化粧材を使用したもの、例えば、いわゆるカーペット階段と呼ばれるような、カーペットを踏板下地51と蹴込板下地53の上に連続して貼り付けた一体ものであってもよい。
蹴込板下地53の下部前面には切り欠き53mが形成され、その切り欠き53mに踏板下地51の後面側が嵌め込まれた後、木ネジ59で強固に固定される。また、蹴込板下地53の上面は、踏板下地51の前面下部に当接させられた後、木ネジ59で強固に固定される。なお、木ネジ59は、一本だけでなく二本を並列して使用したり、木ネジ59での固定に接着剤による固定を併用することもできるし、強力な接着剤を使用すれば木ネジ59の使用は不要になる。また、切り欠き53mの形状についてはフィンガージョイントなど様々の態様のものが考えられ、踏板下地51と蹴込板下地53が強固に固定されるものであればよい。
この期間中、基本的に養生材は施工しないが、多少の汚れや傷が付いても、後述のように、踏板化粧材52及び蹴込板化粧材55を施工によって完全に隠蔽できるので問題ない。
工事最終段階に至って、図3に示したように、踏板化粧材52及び蹴込板化粧材55を踏板下地51及び蹴込板下地53の上から重ねて貼着すれば、階段として完成する。これらの化粧部材に関しては、特に構造を限定するものでは無い。
踏板化粧材52及び蹴込板化粧材55の踏板下地51及び蹴込板下地53上への貼着は、通常は工事の最終段階で実施するが、大量の大型の荷物が搬入される入居者の引越しが終了した段階で施工するようにすれば、一層安心である。
その上、踏板下地51と蹴込板下地53を一体的に強固に固定したものを、ただの下地材としてだけでなく、仮設階段としても使用することができようにしたので、階段設置時に、踏板化粧材52と蹴込板化粧材55を踏板下地51の上面と蹴込板下地53の前面に重ね合わせるだけで下地材に付いた傷や汚れは覆われ隠されるので外観が損なわれることはないし、段ボールや合板などの養生材を使用する必要もない。また、養生材設置に伴う手間は一切不要となり、さらに不適切な養生テープの使用による踏板化粧材52の破損など養生材自体に起因する問題もない。
また、踏板下地51と蹴込板下地53は完全一体化されているので、踏板下地51に荷重が作用するとその力は、上下の蹴込板下地53に分散され、撓みを極めて抑えることができる。特に住宅を新築するときには、その工事中に重量物を運搬することが多くなるが、高い安全性を確保することができる。
これによれば、材料(蹴込板下地)の有効利用が図れるとともに、階段の表側からその空間に手を入れ、裏側に設けられた、例えば照明器具の配線などを、特に階段の裏側に回ることなく検査することができる。また、図7に示すような、階段の裏面側から踏板下地51や蹴込板下地53の施工作業が不要になり、図8に示すように、すべて階段の表面(上面)からの作業となるので作業性が良好である。さらに、蹴込板下地51を取付ける際に位置ずれが生じた場合には、形成された空間Hを利用して微調整することも簡単に行うことができる。
10Z 溝
11 蹴込板
15 撓み
16 塗装
17 座屈
18 隙間
19 隠蔽材
50 ささら桁(側板)
50a 水平面
50b 鉛直面
51 踏板下地
52 踏板化粧材
52a 平面部
52b 覆い部
53 蹴込板下地
53m 切り欠き
55 蹴込板化粧材
59 木ネジ
100 歩行者
200 作業員
201 脚立
H 空間
N 釘
Claims (5)
- 傾斜配置された一対の平行な側板の上部に、予め鋸歯状に切り欠くことによって段状に形成された水平面と鉛直面のうち、前記水平面に対して、仮設階段の踏板部として使用可能に固定される踏板下地と、
下部前面に切り欠きが形成され、前記鉛直面に対して、仮設階段の蹴込部として使用可能で、上下に隣接する前記踏板下地の間に、前記切り欠きに前記踏板下地の後面側が嵌め込まれて前記踏板下地と一体的に強固に固定され、前記踏板下地と完全一体化された蹴込板下地と、
前記踏板下地の上面に重ね合わされ固定される踏板化粧材と、及び、
前記蹴込板下地の前面に重ね合わされ固定される蹴込板化粧材からなることを特徴とする仮設兼用階段。 - 前記蹴込板下地の横幅を、前記踏板下地の横幅よりも狭くし、前記蹴込板下地の左右両側又は左右一方側に手を入れることが可能な空間を形成したことを特徴とする請求項1に記載の仮設兼用階段。
- 前記蹴込板下地を、前記踏板下地の略中央部に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の仮設兼用階段。
- 仮設階段設置時には、傾斜配置された一対の平行な側板の上部に、予め鋸歯状に切り欠くことによって段状に形成された水平面と鉛直面のうち、前記水平面に対して、踏板下地を固定するとともに、前記鉛直面に対して、上下に隣接する前記踏板下地の間に、下部前面に切り欠きが形成された蹴込板下地のその切り欠きに前記踏板下地の後面側を嵌め込んで前記踏板下地と一体的に強固に固定し前記踏板下地と前記蹴込板下地を完全一体化させ、
階段設置時には、踏板化粧材を前記踏板下地の上面に重ね合わせて固定するとともに、蹴込板化粧材を前記蹴込板下地の前面に重ね合わせて固定することを特徴とする仮設兼用階段の施工方法。 - 前記踏板下地の後端部に前記蹴込板下地の下端部を固定して略L字状にした踏板・蹴込ユニットを予め複数製作し、前記仮設階段設置時、前記踏板・蹴込ユニットを階段の下方から上方に順次、組付けるようにして施工することを特徴とする請求項4に記載の仮設兼用階段の施工方法。
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