JP4110340B2 - 仮設兼用階段 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物、特に住宅の仮設兼用階段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅における階段の施工は、通常は、工程上の都合上、屋根が施工された直後に行われるのが一般的である。この段階では、外壁やサッシ等は、まだ施工されてないため、強風雨により雨水が掛かる事もしばしばある。又、上階への連絡作業通路として頻繁に資材運搬作業に使用されることが多いために、施工直後に厳重な養生材の使用により、傷の防止が図られるのが一般的である。
【0003】
住宅等に使用される階段は、図8に示すように、傾斜配置された一対の平行な側板1,1に、予め鋸歯状に切り欠くことによって形成された複数対の水平段部1aに、踏板2が雛段状に載せられ、釘・木ねじ等で固定されてなるため、いわゆる「雛段タイプ」と称されている。この構造は、施工が簡単であるために、近年広く使用されるようになって来た。
【0004】
この「雛段タイプ」階段の施工は、次のような手順で行われる。すなわち、
(ア)一対の鋸歯状の側板1,1を左右の壁面(図示省略)に仮固定する。
(イ)踏板2又は適当な有り合わせの板を一対の側板1,1に形成された水平段部1a間に載せ、仮設置する。
(ウ)踏板2の上に水準器を置いて鋸歯状の側板の水平を出す。
(エ)水平が確認されたら側板1,1を左右の壁面に本固定する。
(オ)踏板2、蹴込板6を釘等で固定設置する。これで階段本体の施工は終了。
(カ)引き続いて、踏板2の傷や汚染防止の為に、踏板2を段ボール、合板、市販の養生カバー等の養生材(保護材)7で覆い、養生する。
(キ)その後室内造作工事が終了した段階で、養生材7を撤去する。
【0005】
なお、養生期間中は、
(a)階段は、1〜2階間の作業通路として使用されるため、作業員が重い資材を落とすと、特に踏板2が損傷するおそれがあり、注意する必要がある。
(b)踏板2取り付け時には、それを一旦梱包から取り出して裸の状態で施工する必要があり(養生をしたままでは、施工できない)、この間、養生空白期間となる。
(c)養生カバーとして、通常は有り合わせの板等を重ねて使用するため、養生カバーは万全ではない。
(d)階段施工の段階では、屋根が取り付けられてはいるが、壁や窓は未施工の場合が多いので、雨の降り込みによる各種トラブルが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この「雛段タイプ」階段の施工に関して次のような問題点がある。すなわち、(A)水平出し作業が面倒ある。
踏板2又は適当な板を仮固定の不安定な状態の1対の側板1,1間に仮に設置しなければならないので、水平出しが不十分だと、左右の側板1,1の水平が狂い、隙間や軋み音が発生してクレームとなる場合がある。
(B)厳重な養生が必要である。
踏板2は化粧材と一体化されているが、階段は2階への作業通路も兼ねている場合が多く、土足歩行や資材等の落下・衝突による損傷の恐れが大きい。階段用養生カバーが市販されているが、高価である。又、これだけでは不十分な場合も多いので、有り合わせの合板等を貼り足す場合も多い。養生材7の取り付け時の粘着テープによる化粧材(踏み板等)の剥離のトラブルがある。養生専用粘着テープは、このようなことはないが、粘着力が弱いので、剥離しやすく、剥離を生じると傷が付くばかりでなく、養生材7が脱落し、滑って作業者が転落する場合もあり得る。
【0007】
その他、養生材7と化粧材との間に雨水が侵入して、黴・膨れ・変色等の発生や、養生材7と化粧材との間への石や砂粒の侵入による傷の発生の恐れがある。また、養生材7が部分的である場合、被覆されていない化粧材部分が日焼けして変色する恐れがある(特に米マツでは顕著)。そのうえ、傷の発生を完全に防止したいのであれば、別に作業用階段やリフト等を作る必要があるが、敷地内に余裕が無い場合もあり、別途これらの仮設、維持、撤去費用等も必要となる。
【0008】
(C)踏み鳴りが発生しやすい。
踏板2の強度が不足したり、踏板2や蹴込板6の接合が不十分であると、昇降時に踏板2が撓み、蹴込板6との間に擦れが生じて踏み鳴りが発生しやすい。
【0009】
そこで本発明の目的とするところは、上記従来例の欠点を解消した、水平出しが容易で、格別の養生が不要であり、踏み鳴りを起こさない、安価な仮設兼用階段を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達するために、請求項1の発明の仮設兼用階段は、傾斜配置された一対の平行な側板(1,1)の上部に、予め鋸歯状に切り欠くことによって段状に形成された水平面(11a,11a)とその水平面(11a,11a)に対して下段側の鉛直面とが交差する部分をさらに切り欠き、その切り欠いた部分(11b,11b,11c,11c)に固定される架橋材(4)と,架橋材(4)の上面および水平面(11a,11a)に仮設階段の踏み板部として使用可能に強固に固定された仮設板(5)と,仮設板(5)の取外し後仮設板(5)に替えて固定される化粧材(12)と,架橋材(4)の前面および鉛直面にそれぞれ固定される蹴込板(6)と,からなることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、傾斜配置された一対の平行な側板(1,1)の上部に、予め鋸歯状に切り欠くことによって段状に形成された水平面(11a,11a)と鉛直面のうち前記鉛直面の前面に固定される架橋材(4)と,架橋材(4)の上面および水平面(11a,11a)に仮設階段の踏み板部として使用可能に強固に固定された仮設板(5)と,仮設板(5)の取外し後仮設板(5)に替えて固定される化粧材(12)と,架橋材(4)の前面にそれぞれ固定される蹴込板(6)と,からなることを特徴とするものである。
【0013】
なお、上記の課題を解決するための手段に記載された括弧内の記号は図面及び後述する発明の実施の形態に記載された記号に対応するものである。
【0016】
請求項1の発明によれば、架橋材に付いた傷や汚れは、後で蹴込板で覆われるため、表面に露出せず階段の仕上がりの外観が損なわれることはない。
そして、施工に当たっては、先ず、仮設階段としても使用可能に、例えば、現場で発生する端材等よりなる、十分な強度を有する架橋材を、水平面と鉛直面とが交差する切り欠き部分に当て、釘等で強固に固定すると共に、架橋材上面に、水準器を載せ、水平出しを行うことによって、側板を左右の壁面に本固定することが出来る。そのため、傷や汚れに格別の注意を払うことなく、施工可能であり、従来例に比較して、水平出しが極めて容易になる。
【0017】
特に架橋材が、水平面と鉛直面とが交差した切り欠き部に載せられるため、架橋材の側板への位置決めならびにその保持が著しく容易となり、水平出しが極めて容易になる。また、単に釘等による固定に比べて、その固定度が増大するので、強度の小さい仮設板や化粧材が使用可能になる。
従って、養生が不要となり、その効果が発揮される。また、仮設板や化粧材が、側板に強固に固定された架橋材及び水平面よりなる断面コの字状段部の上に、載せられ、固定されるため、撓むことがなく、踏み鳴りは発生しない。
【0018】
請求項2の発明によれば、架橋材は鉛直面の前面に固定されるので取付けが容易である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の仮設兼用階段の第1の実施の形態例について図面を参照して説明する。 図1は、本発明の仮設兼用階段の第1の実施の形態例を示す斜視図であり、図2は、図1の側板のみを示す斜視図である。また図3は、図1の断面図であり、図4は、図3の分解断面図である。
【0020】
一対の平行な側板1,1の上部は、予め鋸歯状に切り欠くことにより段状にされていて、傾斜配置されることによって、複数対の水平面1a,1aと鉛直面1c,1cが形成されるよう構成されている。しかも、階段が完成された状態では、各対の水平面1a,1aには、後述する踏板2が雛段状に載せられたうえ、木ねじや釘Nで固定されている。さらに、下段側の各水平面1a,1aの前端面となる鉛直面1c,1cには、蹴込板6が当てられ、釘等で固定されている。
【0021】
踏板2について説明すると、それぞれ別体の、例えば、薄くて、強度の高いベニヤ等よりなる下地材2aと,その上面に重ね合わされる化粧材2bと,よりなる。しかも、下地材2aには、十分な強度な強度が与えられおり、釘等Nで強固に固定されていて、それのみが水平面1a,1aに取り付けられたものでも、仮設階段の踏み板部として使用可能に構成されている。
【0022】
なお、下地材2aとしては、その他に合板(厚さ15ミリ以上)、修正材その他の木質材、プラスチック、金属等が使用される。また、後日取り付けられる化粧材2bを容易に取り付けるために、表面の一部に凹凸から成る嵌合手段を設けておくと、定位置への取り付けが可能である。さらに、表面に滑り止めの溝を設けておくと、作業者にとって安全である。
【0023】
他方、化粧材2bは、階段の美観を受け持つ部分であり、室内造作工事がほぼ終了し、養生が不要となった時点で、下地材2aの上面に重ね合わされ固定される。固定方法は、釘・木ネジ等の従来の手段の他に、先に述べた嵌合による方法も考えられる。必要に応じて、壁面と化粧材2bとの隙間を隠蔽するために、巾木を使用してもよい(図示省略)。
【0024】
施工に当たっては、先ず、左右の壁面への側板1,1の仮固定が行われ、下地材2aのみが水平面1a,1aに載せられ、仮設階段の踏み板部として使用可能に釘等Nで強固に固定される。その際、下地材2aに、水準器が載せられ、必要ならば釘の打ち直し等も行われ、水平出しが行われる。このようにして、側板1,1の本固定が完了し、作業用昇降通路として使用可能となる。
その後、階段設置時には下地材2aの上面に化粧材2bが重ね合わされ固定されるとともに、蹴込板6が鉛直面1c,1cにそれぞれ固定される。
【0025】
これによれば、下地材2aは、後で化粧材2bと蹴込板6とで覆われるため、下地材2aの水平出しに当たって、傷や汚れに格別の注意を払うことなく、釘打ち等施工が可能であり、従来例に比較して、水平出しが極めて容易に行われる。また、上述のように、下地材2aのみが水平面1a,1aに取り付けられたものは、仮設階段として使用可能であり、雨に多少濡れても、乾燥すれば問題なく、作業上必要な昇降その他による、傷や汚れに格別の注意を払う必要がない。
【0026】
従って、養生が不要となり、高価な市販の養生カバーの使用、有り合わせの合板等の貼り足し、粘着テープによる化粧材の剥離のトラブル等、種々の問題点が解消されると共に、それに伴う費用負担が一切不要となり、材料費・工事費がそれだけ軽減される。もちろん、下地材2aとして、十分な強度を持つLVL材や合板が使用されれば、強度不足による昇降時の撓みもなく、踏み鳴りは発生しない。
【0027】
次に本発明の第2の実施の形態例について、図5乃至図7を参照して説明する。一対の平行な側板11,11の上部が、予め鋸歯状に切り欠くことによって段状にされると共に、傾斜配置されることによって、水平面11a,11aと,鉛直面と,が交互に形成されるよう構成されている。そして、水平面11a,11aと鉛直面とが交差する部分をさらに切り欠く。
【0028】
施工に当たっては、図5に示すように、先ず、切り欠いた交差部分11a,11a,11c,11cに架橋材4が取り付けられ、釘等で強固に固定されると共に、架橋材4の上面および水平面11a,11aよりなる断面コの字状段部の上面に、仮設階段と踏み板部として使用可能に、現場で発生する端板等よりなる、十分な強度を有する仮設板5が、釘等Nで強固に仮固定される。なお、昇降時若干不安定ではあるが、仮設板5を取り付けず、架橋材4により昇降することも可能である。
【0029】
なお、架橋材4が取り付けられ、釘等Nで固定される段階で、架橋材4の上面に、水準器が載せられ、必要ならば釘の打ち直し等も行われ、水平出しが行われる。このようにして、側板1,1の本固定が完了し、作業用昇降通路として使用可能となる。さらに、仮設板5は、その必要性が消失した工事の最終段階で撤去され、それに替えて、図6,図7に示すように、化粧材12が載せられ、釘等Nで固定されると共に、架橋材4の前面および鉛直面に蹴込板6が当てられ、釘等で固定され、階段として完成する。
【0030】
これによれば、架橋材4に付いた傷や汚れは、後で蹴込板6で覆われるため表面に露出しない。また、仮設板5は、傷や汚れが付いても、化粧材12によって置換されるため、階段の仕上がりの外観が損なわれることはない。
そして、架橋材4が、水平面11c,11cと鉛直面とが交差した切り欠き部分に当てられるため、架橋材4の側板11への位置決めならびにその保持が著しく容易となる。しかも、架橋材4が取り付けられ、釘等で固定される段階で、架橋材4の上面に、水準器が載せられ、水平出しが行われるため、傷や汚れに格別の注意を払うことなく、側板11,11の壁面への本固定が可能であり、従来例に比較して、水平出しが極めて容易になる。
【0031】
また、上述のように、端材等よりなる仮設板5が架橋材4の上面および水平面11a,11aに取り付けられたものは、安定した仮設階段として使用可能であり、しかも仮設板5は、後で化粧材12と置換されるため、仮設板5の傷や汚れに格別の注意を払う必要がない。従って、第1の実施の形態例同様に、養生が不要となり、その効果が発揮される。また、架橋材4が、前述のように踏み板となる仮設板5や化粧材12の支持材となるため、第1の実施の形態例同様に、踏み鳴りは発生しない。
【0032】
なお、架橋材4が切り欠き部に支えられるため、単に釘等による固定に比べて、固定度が増大し、強度の小さい仮設板5や化粧材12が使用可能になる。
【0033】
第2の実施の形態例では、架橋材4を水平面11c,11cと鉛直面とが交差した切り欠き部分に当て固定するようにしたが、切り欠き部分を形成するまでもなく鉛直面の前面に当てて固定するようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、架橋材に付いた傷や汚れは、後で蹴込板で覆われるため、表面に露出せず階段の仕上がりの外観が損なわれることはない。
そして、施工に当たっては、先ず、仮設階段としても使用可能に、例えば、現場で発生する端材等よりなる、十分な強度を有する架橋材を、水平面と鉛直面とが交差する切り欠き部分に当て、釘等で強固に固定すると共に、架橋材上面に、水準器を載せ、水平出しを行うことによって、側板を左右の壁面に本固定することが出来る。そのため、傷や汚れに格別の注意を払うことなく、施工可能であり、従来例に比較して、水平出しが極めて容易になる。
【0037】
特に架橋材が、水平面と鉛直面とが交差した切り欠き部に載せられるため、架橋材の側板への位置決めならびにその保持が著しく容易となり、水平出しが極めて容易になる。また、単に釘等による固定に比べて、その固定度が増大するので、強度の小さい仮設板や化粧材が使用可能になる。
従って、養生が不要となり、その効果が発揮される。また、仮設板や化粧材が、側板に強固に固定された架橋材及び水平面よりなる断面コの字状段部の上に、載せられ、固定されるため、撓むことがなく、踏み鳴りは発生しない。
【0038】
請求項2の発明によれば、架橋材は鉛直面の前面に固定されるので取付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の仮設兼用階段の第1の実施の形態例を示す斜視図である。
【図2】図1の側板のみを示す斜視図である。
【図3】図1の断面図である。
【図4】図3の分解断面図である。
【図5】本発明の仮設兼用階段の第2の実施の形態例の仮設板を取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】図5の仮設板を取り外し蹴込板と化粧材を取り付けた最終の状態を示す断面図である。
【図7】図6の分解断面図である。
【図8】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 側板
1a 水平面
1c 鉛直面
2 踏板
2a 下地材
2b 化粧材
4 架橋材
5 仮設板
6 蹴込板
7 養生材
11 側板
11a 水平面
11b,11c 切り欠き部
12 化粧材
N 釘等
Claims (2)
- 傾斜配置された一対の平行な側板の上部に、予め鋸歯状に切り欠くことによって段状に形成された水平面とその水平面に対して下段側の鉛直面とが交差する部分をさらに切り欠き、その切り欠いた部分に固定される架橋材と,該架橋材の上面および前記水平面に仮設階段の踏み板部として使用可能に強固に固定された仮設板と,前記仮設板の取外し後仮設板に替えて固定される化粧材と,前記架橋材の前面および前記鉛直面にそれぞれ固定される蹴込板と,からなることを特徴とする仮設兼用階段。
- 傾斜配置された一対の平行な側板の上部に、予め鋸歯状に切り欠くことによって段状に形成された水平面と鉛直面のうち前記鉛直面の前面にそれぞれ固定される架橋材と,該架橋材の上面および前記水平面に仮設階段の踏み板部として使用可能に強固に固定された仮設板と,前記仮設板の取外し後仮設板に替えて固定される化粧材と,前記架橋材の前面にそれぞれ固定される蹴込板と,からなることを特徴とする仮設兼用階段。
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