JP5976426B2 - 炊飯器および炊飯器の制御方法 - Google Patents

炊飯器および炊飯器の制御方法 Download PDF

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Description

この発明は炊飯器および炊飯器の制御方法に関し、特に、撹拌機能を有する炊飯器および該炊飯器の制御方法に関する。
米飯には、糖質、ミネラル、たんぱく質、食物繊維、および脂質などが含まれている。また、炊飯後の重量で他の炭水化物のカロリーと比較して考えると低カロリーでもある。そのため、近年、健康食として見直されてきている。そうした中、従来、おいしい米飯を炊き上げるためにさまざまな炊飯器が開発されている。
通常、炊飯器では、洗米後の米および所定量の水を炊飯釜に入れて炊飯器にセットした後、炊飯をスタートさせると、炊飯釜の温度を検知して加熱制御しながら、米に予め水分を吸水させるための吸水工程、沸騰温度まで昇温加熱する昇温工程、および、さらに吸水させながら米を充分にα化させる沸騰維持工程を経て、最後に蒸らし工程が実行される。
また、近年の消費者の嗜好の多様化に伴って、上記各工程の時間、温度、または水加減を変えて、消費者の好みにあった硬さや粘りなどで米飯を炊き分けるシーケンスを備えた炊飯器もある。
しかしながら、米飯に関する嗜好には、硬さや粘りといった物性の他に、香り、外観、および味覚が深く関係する。
このうち、香りや外観は炊飯前の米に依存する。近年では精米技術の進歩により玄米表面の糠を最小限に残した均一な精米が可能となったため、精白米を炊飯前に軽く洗米するだけで香りや外観の良い炊飯ができる。
一方、米飯の味覚については、基本味に位置付けられる甘味、旨味、苦味、酸味、および塩味のうち甘味の違いが最も感じ易いことが発明者等の調査により判かった。
特開平9−429号公報(以下、特許文献1)は、炊飯物の甘みの程度を選択指定する選択手段を設け、米飯の甘みの程度を操作する吸水工程において、炊飯物の現在の検知温度と、選択された甘みの程度に対応するよう決定された吸水温度とから、加熱手段に供給するパワーを制御することで、選択された甘みの程度に対応した炊飯を行なう技術を開示している。
また、特開2004−344570号公報(以下、特許文献2)は、炊飯の甘みを増加させるために、昇温工程において少なくとも30秒かけて被炊飯物を75℃から85℃に上昇させるように加熱装置の加熱量を制御する炊飯器を開示している。
また、特開昭62−144606号公報(以下、特許文献3)、特開平10−108786号公報(以下、特許文献4)、および特開2011−183085号公報(以下、特許文献5)は、炊飯中の均温化および炊飯時間の短縮を図ることを目的として、炊飯釜内部にて米を撹拌するための撹拌機構を設けた炊飯器を開示している。
特開平9−429号公報 特開2004−344570号公報 特開昭62−144606号公報 特開平10−108786号公報 特開2011−183085号公報
通常の炊飯器では、炊飯釜内部の米には、釜を横から見た方向での上方と下方、および釜を上から見た方向での内側と外側とで温度差が生じる。炊飯中の米に温度差が生じることで、炊飯後の米飯の甘味に部位差が生じる、という問題がある。
この温度差を抑えるためには、加熱時の昇温を緩やかにするか、昇温加熱と共に内部を直接撹拌する必要がある。
上記特許文献1では、甘味を調整するために炊飯釜温度を60℃前後で10分から20分保持している。しかしながら、炊飯釜内部での熱の移動は水の対流のみによるため、米の温度は炊飯釜の温度に速やかには追従し難い。そのため、少なくとも昇温加熱初期においては炊飯釜内部の米に温度差が生じる。そのため、炊飯後の米飯の甘味に部位差が生じる、という問題は解消しきれない。
上記特許文献2も特許文献1と同様に炊飯釜内部での熱の移動は水の対流のみによるため、炊飯釜内部の米には温度差が生じる。そのため、特許文献1と同様に、炊飯後の米飯の甘味に部位差が生じる、という問題は解消しきれない。また、米は高温の水に浸かっている時間が長いほどデンプンの溶出量が多くなるため、75℃から85℃である温度帯の時間を長くするとデンプンの溶出量が多くなる。その結果、炊飯後の焦げの発生が生じやすくなる、という問題も生じる。
特許文献3、特許文献4、および特許文献5では、炊飯釜内部に設けた撹拌機構の駆動により炊飯中の米および水が撹拌される。しかしながら、この撹拌は、あくまでも炊飯中の均温化および炊飯時間の短縮を目的としたものであるため、米飯の甘味を増加させたり調整したりするために撹拌制御はなされていない。そのため、米飯の食味を向上させるという効果は得られない。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、短時間で食味に優れ、かつ食味にムラのない米飯に炊き上げる炊飯器および該炊飯器の制御方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、炊飯器は、被加熱物を収容するための釜と、釜内の被加熱物を攪拌するための攪拌部を有する回転体と、釜を加熱するための加熱部と、回転体の回転動作および加熱部での加熱を制御するための制御部とを備える。制御部は、常温から、60℃前後に規定されている吸水温度まで釜内の被加熱物を昇温加熱する吸水加熱工程と、釜内の吸水温度を、規定されている吸水時間、維持する吸水工程と、吸水工程の後、規定されている沸騰温度まで釜内の被加熱物を昇温加熱する沸騰加熱工程と、沸騰状態を規定されている沸騰時間、維持する沸騰工程と、沸騰工程の後、釜内を規定されている蒸らし温度に保持して釜内の被加熱物を蒸らす蒸らし工程と、を含んだ炊飯シーケンスを実行し、制御部は、さらに、吸水加熱工程で攪拌部を第1の駆動量にて駆動させる第1の駆動を実行し、吸水工程で、攪拌部を第1の駆動量よりも小さい第2の駆動量で駆動させる第2の駆動を実行する。
好ましくは、制御部は攪拌部を釜内の被加熱物に接した状態で移動させる駆動を行ない、第1の駆動量を総駆動時間T1および攪拌部の移動速度A1の積、第2の駆動量を総駆動時間T2および攪拌部の移動速度A2の積で表わすと、制御部は、第1の駆動量と第2の駆動量とがA1×T1>A2×T2となるよう、第1の駆動および第2の駆動を実行する。
好ましくは、回転体は、釜が収容される炊飯器本体の上部に開閉可能に取り付けられて釜を覆うように閉じることが可能な蓋体の、蓋体を炊飯器本体に対して閉状態としたときに釜内の被加熱物に向かう側の面に取り付けられており、蓋体に取り付けられた状態で移動可能であって、制御部は、さらに、沸騰工程で、回転体を第3の駆動量で回転移動するよう駆動させる第3の駆動を実行する。第1の駆動における回転体の移動速度をA1、第3の駆動における回転体の移動速度をA3とすると、制御部は、第1の駆動量と第3の駆動量との回転速度がA3>A1となるよう、第1の駆動および第3の駆動を実行する。
好ましくは、吸水温度は糖化酵素の至適温度より高い温度である。
好ましくは、回転体は攪拌部を収納および展開可能であって、制御部は、攪拌部の回転体からの展開、および回転体への収納もさらに制御する。
より好ましくは、制御部は、吸水加熱工程での第1の駆動および吸水工程での第2の駆動では攪拌部を回転体から展開した状態とし、吸水加熱工程および吸水工程以外の工程では攪拌部を回転体に収容した状態とする。
本発明の他の局面に従うと、炊飯器の制御方法は、被加熱物を収容するための釜と、釜内の被加熱物を攪拌するための攪拌部を有する回転体と、釜を加熱するための加熱部と、を含んだ炊飯器の制御方法であって、常温から、60℃前後に規定されている吸水温度まで釜内の被加熱物を昇温加熱するステップと、釜内の吸水温度を、規定されている吸水時間、維持するステップと、吸水温度を維持するステップの後、規定されている沸騰温度まで釜内の被加熱物を昇温加熱するステップと、沸騰状態を規定されている沸騰時間、維持するステップと、沸騰状態を維持するステップの後、釜内を規定されている蒸らし温度に保持して釜内の被加熱物を蒸らすステップとを備える。釜内の被加熱物を昇温加熱するステップは、昇温加熱しながら攪拌部を第1の駆動量にて駆動させるステップを含み、吸水温度を維持するステップは、規定されている吸水時間中に、攪拌部を第1の駆動量よりも小さい第2の駆動量で駆動させるステップを含む。
この発明によると、短時間で、食味に優れ、かつ食味にムラのない米飯に炊き上げることができる。
実施の形態にかかる炊飯器の装置構成の具体例を示す概略図である。 実施の形態にかかる炊飯器での炊飯の各工程を説明する図である。 実施の形態にかかる炊飯器での炊飯の各工程における、撹拌翼の状態および撹拌体の動作状態を示した図である。 吸水工程の保持温度を変化させて各条件にて炊飯したときのグルコース生成量の測定結果(A)と、各条件での炊飯後の焦げおよび炊飯終了から24時間70℃保温後の黄変の評価(B)とを表わした図である。 米粒と米粉とそれぞれを炊飯したときのグルコースの生成量の測定結果を示した図である。 撹拌の駆動量である回転速度および総駆動時間と、水および米粒の温度と、水中に溶出する固形分の分量との関係を表わした図である。 図5の測定での温度制御下の温度履歴を表わした図である。 撹拌動作を行なわなかった場合の吸水加熱工程および吸水工程における炊飯釜内の米の上部と下部との温度履歴の測定結果を表わした図である。 撹拌動作を行なった場合の吸水加熱工程および吸水工程における炊飯釜内の米の上部と下部との温度履歴の測定結果を示した図である。 吸水工程の時間のそれぞれ異なる第1の条件〜第3の条件それぞれにて炊飯したときの、グルコース生成量の測定結果を示した図である。 図10の測定の第1の条件での温度制御を表わした図である。 図10の測定の第2の条件での温度制御を表わした図である。 図10の測定の第1の条件における撹拌動作の詳細を表わした図である。 図10の測定の第2の条件における撹拌動作の詳細を表わした図である。 図10の測定の第3の条件における撹拌動作の詳細を表わした図である。 吸水工程での撹拌駆動の駆動量のそれぞれ異なる第4の条件〜第6の条件にて炊飯したときのグルコース生成量の測定結果(A)と、各条件での炊飯後の焦げおよび炊飯終了から24時間70℃保温後の黄変の評価(B)とを表わした図である。 図10の測定の第5の条件における撹拌動作の詳細を表わした図である。 図10の測定の第6の条件における撹拌動作の詳細を表わした図である。 炊飯器での、吸水加熱工程での撹拌駆動と吸水工程での撹拌駆動との具体例を表わした図である。 炊飯器での、吸水加熱工程での撹拌駆動と吸水工程での撹拌駆動との具体例を表わした図である。 炊飯器での、吸水加熱工程での撹拌駆動と吸水工程での撹拌駆動との具体例を表わした図である。 炊飯器での、吸水加熱工程での撹拌駆動と吸水工程での撹拌駆動との具体例を表わした図である。 炊飯器での、吸水加熱工程での撹拌駆動と吸水工程での撹拌駆動との具体例を表わした図である。 炊飯器での、吸水加熱工程での撹拌駆動と吸水工程での撹拌駆動との具体例を表わした図である。 炊飯器での、吸水加熱工程での撹拌駆動と吸水工程での撹拌駆動との具体例を表わした図である。 炊飯器での、吸水加熱工程での撹拌駆動と吸水工程での撹拌駆動との具体例を表わした図である。 炊飯器の機能構成の具体例を示すブロック図である。 炊飯器において炊飯開始の指示がなされた際の動作の流れの概要を表わしたフローチャートである。 図28のステップS4で図2で表わされた通常の炊飯動作が行なわれる場合の、具体的な動作の流れを表わした図である。 図28のステップS4で図2で表わされた通常の炊飯動作が行なわれる場合の、具体的な動作の流れを表わした図である。
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
<装置構成>
図1は、本実施の形態にかかる炊飯器100の装置構成の具体例を示す概略図である。
図1を参照して、炊飯器100は、開口を有する本体1と、本体1に収納される、被加熱物である水および米を収容するための炊飯釜2と、図示しない枢軸(ヒンジ軸)およびラッチの機構により開閉できるよう本体1に接続された蓋3とを備える。当該蓋3には、内蓋4が備えられており、さらに内蓋4の内部には蓋ヒータ5および蓋温度センサ6が備えられている。当該蓋4の外部には内蓋4および蓋ヒータ5と非接触にて貫通してなる回転軸7、回転軸7と同期して回転可能な回転体としての撹拌体8、撹拌体8に収納および展開する撹拌部である撹拌翼9が備えられており、回転軸7は蓋3の内部にあるモータMと連結され撹拌体を回転駆動可能に構成されている。
本体1の内部には、炊飯釜2の収容部を構成する外鍋10、炊飯釜2に収容された調理物を加熱および保温するためのヒータ11、炊飯釜2の温度を検出する温度センサ12、図示しない炊飯器の動作を制御する制御部が配置されている。また、制御部30が含まれている。なお、ヒータ11は炊飯釜2を加熱するための加熱部を構成し、撹拌翼9は、炊飯釜2内の被加熱物を撹拌し、擦り合わせるための撹拌部を構成している。また、撹拌体8は駆動形態の一例として回転動作を行なう回転体を構成している。
蓋3の筐体には、炊飯中に炊飯釜2内に発生する水蒸気を外部に逃すための蒸気口13、炊飯器の動作状態を指す情報の表示およびユーザの命令を受け付けるための操作部14、および本体1に収納された炊飯釜2と密着するパッキン15が存在する。
温度センサ12は炊飯釜2の底部温度を計測可能に設置され、炊飯釜2に収容された内容物(米、水)の温度が計測されるようになっている。温度センサ12で計測される鍋底壁面温度は、炊飯釜2に収容された被加熱物(米、水)の温度に略等しいことが確認されている。
炊飯釜2は、外鍋10の中に自由に出し入れできる。内蓋4は、蓋3が閉じられたときパッキン15が炊飯釜2の開口を覆って密着するようになっている。
撹拌体8内には、撹拌翼9を保持して撹拌体8内部に収容(収納)された状態とするための保持機構81が含まれ、その保持機構81によって保持されることで撹拌体8に収容された状態となり、保持機構81での保持が解除されることで撹拌体8から突出(展開)した状態となる。つまり、保持機構81での保持/解除によって撹拌翼9は撹拌体8内に収納された状態および展開された状態の両状態を採ることができる。撹拌翼9は、展開した状態において撹拌体8の回転に連動して回転可能となっている。
なお、保持機構81の具体的な構成は特定の構成に限定されず、撹拌翼9を撹拌体8内に収納/展開可能な構成であればどのような構成であってもよい。また、撹拌翼9の形状や撹拌体8の構成も特定のものに限定されず、上の動作が可能であればどのようなものであってもよい。
後述するように、炊飯器100では撹拌体8から撹拌翼9が展開した状態で撹拌体8を回転させることで撹拌翼9が炊飯釜2内の被加熱物を撹拌し、それによって被加熱物が擦り合わされるものとしている。しかしながら、擦り合わせるための撹拌駆動は回転動作によるものに限定されない。すなわち、撹拌翼9が回転動作を行なわずに被加熱物中を移動する駆動であっても被加熱物は撹拌され、それによって被加熱物は擦り合わされる。同様に、撹拌体8自体も回転動作に限定されず、たとえば撹拌翼9を収納または展開した状態で蓋4上を往復するような移動動作であってもよい。そのため、回転動作は一例であって、回転を含む、往復移動等のあらゆる移動動作であってよい。従って、以降の説明においてその駆動量を表わすパラメータとして回転速度(回転数)が用いられているが、それは、移動速度(移動距離)の一例とする。
操作部14は、蓋3の筐体表面において一体的に設けられている。なお、操作部14の取り付け位置は、ユーザが表示情報を視認可能であり、またボタン操作などの操作が可能な位置であれば、本実施形態に限定されない。
炊飯器は、図示しない電源コードを介して商用電源に接続されるようになっている。そして、商用電源からの供給電力を、図示しない電源部を介して各部に供給するようになっている。
なお、本実施形態では、加熱・保温用の熱源として、ヒータ11は、IH(Induction Heating:電磁誘導加熱)で構成してもよく、特にこれらに限定されるものではない。
操作部14のボタン操作などによって、炊飯コースが選択決定される。制御部30は、温度センサ12、ヒータ11、モータMの駆動機構、撹拌体8内の保持機構81などに電気的に接続されている。そして、制御部30は、決定された炊飯コースに基づき対応する制御プログラムに従って炊飯モードを選択し、そのモードに規定されるように、温度センサ12の信号に基づきヒータ11による加熱部の制御、撹拌翼の収納および展開の制御、撹拌体の回転速度および駆動時間の制御などを行なう。
さらに、炊飯器100には、炊飯釜2に収容された水および米の重量を判定するための機構が含まれてもよい。この機構としては、たとえば重量センサであって、該重量センサで直接計測されてもよい。または、撹拌体8を回転させるためのモータMの負荷に基づき制御部30が検出してもよい。さらに、炊飯釜2内の水位を検出するセンサを設けて、該センサでの検出結果に基づき検出するようにしてもよい。また、ユーザが操作部14から米の量を入力するようにしてもよい。
制御部30はこの機構にも電気的に接続され、炊飯モードの選択や、制御量の決定に上記重量を用いてもよい。
<動作概要>
本実施の形態にかかる炊飯器100では、吸水加熱工程において炊飯釜2に収容された水および米を撹拌する。
撹拌時、撹拌翼9が撹拌体8より展開した状態で撹拌体8と連動して回転する。これにより、撹拌翼9が炊飯釜2に収容された水と米とを回転させることになる。その回転に基づいて、撹拌翼9と米とが衝突すると共に、米粒同士が擦り合わされる。このことにより、米から固形分が溶出する。
図2は、本実施の形態にかかる炊飯器100での炊飯の各工程を説明する図である。図2において、縦軸は水温を示し、横軸は炊飯開始からの経過時間を示している。
また、図3は、本実施の形態にかかる炊飯器100での炊飯の各工程における、撹拌翼9の状態および撹拌体8の動作状態を示した図である。なお、図2および図3は、5.5合(米の1合は150グラム)炊きの炊飯器において、炊飯釜2に3合の米およびそれに対応した水を収容して炊飯した場合を示している。
図2を参照して、炊飯が開始すると、第1の工程としての吸水加熱工程で、温度センサ12が54〜66℃の温度範囲内で設定された吸水温度になるまでヒータ11により加熱される。吸水加熱工程は5分程度とされる。
次に、吸水温度まで達すると、第2の工程としての吸水工程で、所定時間、温度センサ12の温度が設定温度である吸水温度に保持されるようにヒータ11による加熱が制御される。上記所定時間は15分程度とされる。
吸水加熱工程および吸水工程では、米のデンプン質を糊化させるために、米の芯にまで充分水を吸わせるようになっている。米に水と熱とを加えることにより、生デンプンが消化されやすいアルファ(α)化デンプンに変化する。この生デンプンからアルファ化デンプンへの変化を「糊化」と呼ぶ。また、水と熱とに加えて糖化酵素によりデンプンが加水分解され、甘味成分であるグルコースが生成される。
糖化酵素の至適温度は約60℃であるが、糊化温度はうるち米で約60〜64℃、もち米では約55〜60℃である。従って、吸水温度の一例として上述の54〜66℃の温度範囲が挙げられる。
上記所定時間が経過すると、第3の工程としての沸騰加熱工程で、95℃に設定された沸騰温度になるまでヒータ11により加熱される。沸騰加熱工程は5分程度とされる。
そして、95℃に達すると、第4の工程としての沸騰工程で、所定時間、ヒータ11による加熱を継続し、沸騰状態を上記所定時間継続する。上記所定時間は8分程度とされる。
上記所定時間、沸騰状態が経過すると、最終工程としての蒸らし工程で温度センサ12が予め規定された蒸らし温度となるまでヒータ11による加熱を弱め、所定時間、温度センサ12の温度が上記蒸らし温度に保持されるようにヒータ11による加熱が制御される。上記所定時間は17分程度とされる。
図3を参照して、本実施の形態にかかる炊飯器100では、炊飯開始と共に撹拌体8から撹拌翼9を展開し、吸水加熱工程にて、第1の駆動量で撹拌体8を回転させることで撹拌翼9で炊飯釜2内の水および米を撹拌する。ここでの「駆動量」は、回転速度および/または総駆動時間を指す。また、吸水加熱工程で第1の駆動量で撹拌させる駆動を「撹拌駆動1」と称する。
次に、吸水工程に移行すると、第1の駆動量よりも小さい第2の駆動量で撹拌体8を回転させることで撹拌翼9で炊飯釜2内の水および米を撹拌する。吸水工程で第2の駆動量で撹拌させる駆動を「撹拌駆動2」と称する。
その後、沸騰加熱工程に移行すると、撹拌駆動を停止して撹拌翼9を撹拌体8に収納する。
次に、沸騰工程に移行すると、撹拌翼9を収納した状態で第3の駆動量で撹拌体8を回転させる。沸騰工程で第3の駆動量で撹拌させる駆動を「撹拌駆動3」と称する。
そして、蒸らし工程に移行すると、撹拌駆動を停止する。
<制御量>
発明者らは、炊飯器100において上記動作を実行させる際の撹拌の駆動量や温度、駆動の要否等、上記動作の制御量を決定するためにさまざまな実験を行なった。
上記吸水工程での温度を決定するため、発明者らは、吸水工程の保持温度をさまざまに変化させて炊飯したときの甘味成分であるグルコースを測定した。
図4(A)は、吸水工程の保持温度を変化させて各条件にて炊飯したときの、グルコース生成量の測定結果を示した図である。また、図4(B)に示されたように、各条件で炊飯後の焦げおよび炊飯終了から24時間70℃保温後の黄変の評価も併せて行なった。
この測定では、炊飯の条件として、23℃の2012年度産富山産コシヒカリ、23℃の水道水を使用し、図2のように吸水加熱工程を5分、各吸水工程温度を保持する吸水工程を15分、沸騰加熱工程を5分、沸騰工程を8分、蒸らし工程を17分とした。また、撹拌体動作は各々、撹拌駆動1での第1の駆動量としての回転速度を170rpm、総駆動時間を100sec、撹拌駆動2での第2の駆動量としての回転速度を100rpm、総駆動時間を900sec、撹拌駆動3での第3の駆動量としての回転速度を400rpm、総駆動時間を120secとした。
なお、グルコース量の測定には(株)J.K.インターナショナル製F−キットグルコースを使用した。以降の測定でも同様である。また、焦げは、炊飯後の炊飯釜底の炊飯米の変色を目視により確認した。さらに、保温後の黄変は目視により確認した。以降の測定でも同様である。
図4(A)を参照して、吸水工程の保持温度が58℃では100g(乾燥重量)あたり116mgのグルコース、吸水工程の保持温度が60℃では100g(乾燥重量)あたり125mgのグルコース、吸水工程の保持温度が62℃では100g(乾燥重量)あたり137mgのグルコース、吸水工程の保持温度が64℃では100g(乾燥重量)あたり155mgのグルコース、吸水工程の保持温度が66℃では100g(乾燥重量)あたり166mgのグルコースが測定された。
また、図4(B)を参照して、吸水工程の保持温度が58℃〜64℃では焦げは確認されなかったが吸水工程の保持温度が66℃では焦げが少し確認された。また、吸水工程の保持温度が58℃〜62℃で炊飯して保温した後に黄変は確認されなかったが、吸水工程の保持温度が64℃で少し黄変が確認され、吸水工程の保持温度が66℃でそれよりも多い黄変が確認された。
この測定より、吸水工程の温度が高い方がグルコースの生成量が多くなる一方で、吸水工程の温度が高い方が焦げや保温後の黄変が生じやすいことが分かった。
この理由として、次のように考えられる。すなわち、米のデンプン質に水と熱とを加えることで糊化が開始すると、デンプン質が糊状に変化する現象が見られ、米粒表面は徐々に粘りをもったやわらかいデンプンに変化する。そのため擦り合わせを続けると糊様な固形分が多く溶出される。この溶出された固形分量が多いと焦げが生じる。また、保温後の黄変はグルコースとアミノ酸とのメイラード反応により生じる。
従って、この測定より、過剰な固形分の溶出およびグルコースの生成を避けるために、吸水工程の温度は64℃以下が好ましいことが考察された。そこで、炊飯器100では、吸水加熱工程にて吸水温度として54〜66℃の温度範囲、より好ましくはそのうちの64℃以下となるまで加熱し、その後、吸水工程にて当該吸水温度に保持させることとした。すなわち、炊飯器100では、吸水加熱工程での到達温度および吸水工程における保持温度を、約60℃である糖化酵素の至適温度よりも高い温度とする。
次に、発明者らは、米飯の甘味の観点から炊飯工程での撹拌の要否を決定するため、溶出する固形分を米粉とみたてて、米粒と米粉とそれぞれを炊飯したときの甘味成分であるグルコースを測定した。
図5は、米粒と米粉とそれぞれを炊飯したときのグルコースの生成量の測定結果を示した図である。この測定では、23℃の2012年度産富山産コシヒカリの粒2gと、山本電気(株)製の家庭用精米機MB−RC02を用いて粉末化した米粉2gと、23℃の水道水を3mlとを用いた。
この測定では、米粒2gおよび水3ml、米粉2gおよび水3mlを、それぞれ試験管に入れ、各試験管に穴を空けたラップをかけて温度制御可能な温浴槽に浸けて試験管内部の温度を制御した後の各試験管内のグルコース量を測定した。図7は、この温度制御での試験管内の温度履歴を表わした図である。
図5を参照して、この温度制御の後には、米粒を入れた試験管からは100g(乾燥重量)あたり137mgのグルコースが測定されたのに対して、米粉を入れた試験管からは100g(乾燥重量)あたり329mgのグルコースが測定された。従って、米粒に比べ米粉の方がグルコース量が多くなることが分かった。
この測定より、本実施の形態にかかる炊飯器100において炊飯工程で撹拌動作を行なって固形分を多く溶出させることによって、グルコースを多く生成することが可能であることが分かった。従って、炊飯器100では炊飯工程で撹拌動作を実行させ、米飯の甘味を増加させることとした。
図6は、撹拌の駆動量である回転速度および総駆動時間と、水および米粒の温度と、水中に溶出する固形分の分量との関係を表わした図である。
図6を参照して、温度が高いほど水中に溶出する固形分の分量が多くなり、また、撹拌の駆動量が大きいほど水中に溶出する固形分の分量が多くなる。
図4の測定結果および図5の測定結果を図6の関係と併せて考えると、温度を高くし、かつ、撹拌動作の駆動量を大きくした方が水中に溶出する固形分の分量が多くなるためグルコースを多く生成することができる。一方で、溶出された固形分量が多いと焦げや黄変の原因となる。そのため、吸水温度としては先述の54〜66℃の温度範囲、より好ましくはそのうちの64℃以下とし、適切な範囲での撹拌駆動が効果的と考えられた。
次に、発明者らは、炊飯釜内の温度ムラの観点から炊飯工程での撹拌の要否を決定するため、同じ温度制御下で撹拌動作ありとなしとでの炊飯釜内の温度を測定した。
図8は撹拌動作を行なわなかった場合の吸水加熱工程および吸水工程における炊飯釜内の米の上部と下部との温度履歴の測定結果、図9は撹拌動作を行なった場合の吸水加熱工程および吸水工程における炊飯釜内の米の上部と下部との温度履歴の測定結果を示した図である。図8および図9において、実線は炊飯釜上部、破線は炊飯釜下部の温度履歴を表わしている。
図8を参照して、撹拌動作を行なわなかった場合、吸水加熱工程および吸水工程では、炊飯釜上部の温度が下部の温度に対して低く移行することが分かる。これは、炊飯釜下部の方が炊飯釜下部に設置されたヒータ11によってより加熱されるためであり、吸水加熱工程および吸水工程に炊飯釜内で温度ムラが生じていることが分かる。
これに対して図9を参照して、撹拌動作を行なうと、炊飯釜上部および下部共に同じ温度で移行している。
この測定より、本実施の形態にかかる炊飯器100において炊飯工程で撹拌動作を行なうことで炊飯釜内の温度ムラを抑えながら速やかに60℃前後まで昇温することができることが分かった。そこで、炊飯器100では炊飯工程で撹拌動作をさせ、炊飯釜内の温度ムラを抑えながら速やかに60℃前後まで昇温させることとした。
次に、発明者らは、吸水工程の時間を決定するため、炊飯工程のうちの吸水加熱工程および吸水工程の合計時間を一定として吸水工程の時間(の割合)を変化させて炊飯したときの甘味成分であるグルコースを測定した。
図10は、吸水工程の時間のそれぞれ異なる第1の条件〜第3の条件それぞれにて炊飯したときの、グルコース生成量の測定結果を示した図である。この測定では、炊飯の条件として、23℃の2012年度産富山産コシヒカリ、23℃の水道水を使用し、第1の条件として図11で表わされた温度制御、第2の条件として図12で表わされた温度制御、および第3の条件として上述の図3で表わされた温度制御で炊飯している。
より詳しくは、第1の条件としては、図11を参照して、吸水加熱工程および吸水工程の合計時間を20分一定としたうちの吸水工程の時間を0とし、以降、他の条件と同じ温度制御とする。第2の条件としては、図12を参照して、吸水加熱工程および吸水工程の合計時間を20分一定としたうちの吸水工程の時間を10分とし、以降、他の条件と同じ温度制御とする。第3の条件としては、図3で説明されたように、吸水加熱工程および吸水工程の合計時間を20分一定としたうちの吸水工程の時間を15分とし、以降、他の条件と同じ温度制御とする。
また、いずれの条件においても、撹拌動作は各工程で均等に行なわれるものとし、撹拌駆動1での第1の駆動量としての回転速度を170rpm、総駆動時間を100sec、撹拌駆動2での第2の駆動量としての回転速度を170rpm、総駆動時間を15sec、撹拌駆動3での第3の駆動量としての回転速度を400rpm、総駆動時間を120secとした。なお、吸水工程の時間を0とした条件1においてのみ撹拌駆動1の総駆動時間を120secとした。
図13〜図15は、それぞれ、第1の条件、第2の条件、および第3の条件における撹拌動作の詳細を表わした図である。すなわち、図13を参照して、第1の条件においては、20分間の吸水加熱工程の全体にわたって、撹拌翼9での170rpmの回転動作を1.5秒実行(ON)、13.5秒停止(OFF)を繰り返す。図14を参照して、第2の条件においては、10分間の吸水加熱工程の全体にわたって2.5秒の回転(ON)、12.5秒の停止(OFF)を繰り返し、その後の10分間の吸水工程の全体にわたって3秒の回転(ON)、117秒の停止(OFF)を繰り返す。図15を参照して、第3の条件においては、5分間の吸水加熱工程の全体にわたって5秒の回転(ON)、10秒の停止(OFF)を繰り返し、その後の15分間の吸水工程の全体にわたって2秒の回転(ON)、118秒の停止(OFF)を繰り返す。
図10を参照して、吸水工程の時間を0とした第1の条件では100g(乾燥重量)あたり110mgのグルコースが測定され、吸水工程の時間を10分とした第2の条件では100g(乾燥重量)あたり125mmgのグルコースが測定され、吸水工程の時間を15分とした第3の条件では100g(乾燥重量)あたり137mmgのグルコースが測定された。
この測定より、吸水加熱工程および吸水工程の合計時間が同じである場合、吸水加熱工程が短く吸水工程が長いほど、つまり吸水工程の時間の割合が高いほど甘味成分であるグルコース量が多くなることが分かった。そこで、炊飯器100の炊飯工程では、吸水加熱工程と吸水工程との合計時間のうち吸水工程の時間の方を長くすることとした。
次に、発明者らは、撹拌駆動1と撹拌駆動2との関係を決定するため、吸水工程時間を15分一定、撹拌駆動1での第1の駆動量(回転数および総駆動時間)を一定として撹拌駆動2での第2の駆動量を変化させて炊飯したときの甘味成分であるグルコース量を測定した。
図16(A)は、23℃の2012年度産富山産コシヒカリ、23℃の水道水を使用し、吸水加熱工程を5分一定、吸水工程時間を15分一定、撹拌駆動1での第1の駆動量としての回転速度を170rpm、総駆動時間を100sec一定で、撹拌駆動2での第2の駆動量のそれぞれ異なる第4の条件〜第6の条件にて炊飯したときの、グルコース生成量の測定結果を示した図である。また、図16(B)に示されたように、各条件で炊飯後の焦げおよび炊飯終了から24時間70℃保温後の黄変の評価も併せて行なった。
第4の条件として撹拌駆動2での回転速度×総駆動時間で表わされる第2の駆動量を2.7×103rpm・sec、第5の条件として第2の駆動量を1.8×104rpm・sec、第6の条件として第2の駆動量を1.5×105rpm・secとした。
図17および図18は、それぞれ、第5の条件および第6の条件における撹拌動作の詳細を表わした図である。第4の条件における撹拌動作の詳細は、先の図15に表わされたものと同様とする。すなわち、図15を参照して、第4の条件においては、5分間の吸水加熱工程の全体にわたって、撹拌翼9での170rpmの回転動作を5秒の実行(ON)、10秒の停止(OFF)を繰り返し、その後の15分間の吸水工程の全体にわたって170rpmの回転動作を2秒の実行(ON)、118秒の停止(OFF)を繰り返す。図17を参照して、第5の条件においては、吸水加熱工程での同様の撹拌動作の後、吸水工程の全体にわたって170rpmの回転動作を3.5秒の実行(ON)、26.5秒の停止(OFF)を繰り返す。図18を参照して、第6の条件においては、吸水加熱工程での同様の撹拌動作の後、吸水工程の全体(20分=900秒)にわたって170rpmの回転動作を継続する。
図16(A)を参照して、第2の駆動量を2.7×103rpm・secとした第4の条件では100g(乾燥重量)あたり137mgのグルコースが測定され、第2の駆動量を1.8×104rpm・secとした第5の条件では100g(乾燥重量)あたり152mgのグルコースが測定され、第2の駆動量を1.5×105rpm・secとした第6の条件では100g(乾燥重量)あたり169mgのグルコースが測定された。
また、図16(B)を参照して、第4の条件では焦げが確認されず、第5の条件および第6の条件では多少焦げが確認された。また、第4の条件で炊飯して保温した後に黄変は確認されなかったが、第5の条件、第6の条件となりに連れて黄変が多くなることが確認された。
この測定より、撹拌駆動1での第1の駆動量よりも撹拌駆動2での第2の駆動量を小さくすることで、つまり、第1の駆動量に対する第2の駆動量の割合を小さくすることで、炊飯後の焦げや黄変を抑制して甘味成分であるグルコースを多く含む炊飯が可能となることが分かった。そこで、炊飯器100は、吸水加熱工程での撹拌駆動1の駆動量より吸水工程での撹拌駆動2の駆動量を小さくすることとした。すなわち、吸水加熱工程での回転速度A1[rpm]、総駆動時間T1[sec]と吸水工程での回転速度A2[rpm]、総駆動時間T2[sec]との間の関係をA1×T1>A2×T2とした。
図19は、炊飯器100での、吸水加熱工程での撹拌駆動1と吸水工程での撹拌駆動2との具体例を表わした図である。図19に表わされたように、たとえば両撹拌駆動における回転数を同じとした場合、制御部は、第2の駆動量を第1の駆動量よりも小さくするために、その継続時間、実行頻度を撹拌駆動1のそれよりも小さくして、撹拌駆動2での総駆動時間を撹拌駆動1での総駆動時間よりも短くする。
もちろん、図19に表わされたように、両撹拌駆動での回転速度は同じでなくてよい。たとえば、図20に表わされたように、撹拌駆動2の回転速度の方を撹拌駆動1の回転速度よりも小さくしてもよい。
また、両工程での撹拌駆動はONとOFFとを繰り返す断続運転(間欠動作)に限定されず、上述した駆動量の関係を満たすものであれば、たとえば図21に表わされたように連続運転(連続動作)であってもよい。これは、沸騰工程での撹拌駆動3も同様である。単位時間(10秒)当たりの運転率として、たとえば2秒運転(ON)、8秒停止(OFF)の断続運転の場合を運転率20%とした場合、発明者らの実験によれば、上述した擦り合わせによる効果を得るには運転率は30%〜100%であることが望ましいとの知見を得た。
また、上述した駆動量の関係を満たすものであれば、図22に表わされたように一方の工程(たとえば吸水加熱工程)で駆動量を可変としてもよいし、上述した駆動量の関係を満たすものであれば、図23や図24に表わされたように両工程(吸水加熱工程、吸水工程)にて駆動量を可変としてもよい。さらには、図25や図26に表わされたように、連続運転と断続運転とを組み合わせてもよい。
なお、発明者らは、実験によって、沸騰工程で撹拌翼9を撹拌体8に収納した状態で撹拌させる撹拌駆動3での回転速度を撹拌駆動1での回転速度よりも大きく、かつ、撹拌駆動3の総駆動時間を沸騰が継続する間の約100秒以上とすることにより、おねばを吹きこぼさずに炊飯が可能であることを確認した。これは、水中に溶出した溶出固形分を含む沸騰泡が炊飯釜の内部で破壊され、水中に溶出された溶出固形分を炊飯釜から排除されることなく炊飯釜内に戻るためである。
このようにして炊飯された米飯は、おねばが吹きこぼれて炊飯された米飯よりも、より甘味やツヤ、粘りがある。これは、撹拌により溶出した溶出固形成分が、グルコースやアミロース、アミロペクチンを含むデンプン粒子であり、沸騰工程での撹拌駆動3で沸騰泡を炊飯釜の内部で破壊することにより、炊飯後の米飯表面に、多くの溶出固形成分を存在させることができるためである。また、炊飯釜内に戻された溶出固形分によって米粒の表面が平滑となるために、光が米の表面において反射され易くなって、米のツヤが向上するためである。
従って、この撹拌駆動3により、米飯の粘りやツヤを向上させることが可能となることが分かった。また、表面をコーティングするアミロペクチン量も多くなるので、炊飯後冷めてからのツヤも向上させることが可能となることが分かった。
そこで、炊飯器100では、沸騰工程での撹拌駆動3での回転速度を吸水加熱工程での撹拌駆動1の回転速度よりも大きく、かつ、総駆動時間を100秒以上とすることとした。すなわち、吸水加熱工程での撹拌駆動1の回転速度A1[rpm]と沸騰工程での撹拌駆動3の回転速度A3[rpm]、総駆動時間T3[sec]との関係を、A3>A1、およびT3>100secとした。
なお、以上の実験、測定によって決定した各撹拌駆動での駆動量(回転速度Aおよび総駆動時間T)は撹拌体8に含まれる撹拌翼9の形状によって異なるものである。そのため、上述の各値や値の範囲は参考値であり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明には、上述した具体的な数値や数値範囲のみならず、同じ技術思想による駆動量、制御が含まれるものとする。
<機能構成>
図27は、上述の動作を行なうための炊飯器100の機能構成の具体例を示すブロック図である。図27の各機能は、制御部30に含まれる図示しないCPU(Central Processing Unit)がメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行し、主に、CPU上で形成されるものである。しかしながら、少なくとも一部が、図1に表わされた構成によって実現されてもよい。
図27を参照して、図示しないメモリには、予め設定可能な炊飯モードを記憶しておくための記憶領域であるモード記憶部201が設けられる。
さらに図27を参照して、制御部30は、操作部14の操作に従う操作信号の入力を受け付けるための指示入力部101と、その指示に従って炊飯モードを決定するための決定部102と、決定された炊飯モードに従って炊飯動作を行なわせるための炊飯制御部103とを含む。
炊飯制御部103は、図示しないタイマでの時間経過に応じて、決定された炊飯モードで規定された温度となるように温度センサ12で計測された温度を元にヒータ11での加熱やその終了を制御するための温度制御部1031と、決定された炊飯モードで規定されたタイミングで撹拌体8から撹拌翼9を展開/収納するように保持機構81での保持状態を制御するための撹拌翼状態制御部1032と、撹拌体8や撹拌翼9に所定の駆動量で回転動作を実行させるようにモータMを制御するための撹拌動作制御部1033とを含む。
温度制御部1031は、図2に表わされたような吸水加熱工程、吸水工程、沸騰加熱工程、沸騰工程、および蒸らし工程を有する通常の炊飯モードにおいては、吸水加熱工程にて吸水温度として、糖化酵素の至適温度より高い温度である、54〜66℃の温度範囲、より好ましくはそのうちの64℃以下となるまで加熱し、その後、吸水工程にて当該吸水温度に保持する。また、吸水加熱工程から吸水工程に移行するタイミングは、吸水加熱工程と吸水工程との合計時間のうち吸水工程の時間の方が長くなるタイミングに設定されている。
その後、沸騰加熱工程として規定された約5分で95℃に設定された沸騰温度になるまで加熱し、沸騰工程で、沸騰時間として規定された約8分、ヒータ11による加熱を維持して沸騰状態を継続させる。そして、その後の蒸らし工程で予め規定された蒸らし温度とし、蒸らし時間として規定された約17分、蒸らし温度を維持する。
撹拌翼状態制御部1032は、吸水加熱工程および吸水工程においては撹拌翼9を撹拌体8から展開した状態とし、その後に沸騰加熱工程に移行する際に撹拌翼9を撹拌体8内に収納させて、沸騰加熱工程、沸騰工程、および蒸らし工程では撹拌翼9が撹拌体8内に収納された状態を維持する。
撹拌動作制御部1033は、吸水加熱工程にて上述の撹拌駆動1、吸水工程にて上述の撹拌駆動2、および沸騰工程にて上述の撹拌駆動3を実行させる。
このとき、撹拌駆動1での駆動量(回転速度A1[rpm]×総駆動時間T1[sec])より撹拌駆動2での駆動量(回転速度A2[rpm]×総駆動時間T2[sec])を小さくする。また、撹拌駆動3での回転速度A3[rpm]を撹拌駆動1での回転速度A1[rpm]よりも大きくする。好ましくは、撹拌駆動3での総駆動時間T3[sec]を所定時間(たとえば100秒)以上とする。
なお、吸水加熱工程での撹拌駆動1および吸水工程での撹拌駆動2では、回転ONと回転OFFとを繰り返す断続運転(間欠動作)であってもよいし、連続回転であってもよいし、その組み合わせであってもよい。ただし、好ましくは、2秒運転(ON)、8秒停止(OFF)の断続運転の場合を運転率20%とした場合、運転率を30%〜100%とする。
さらに図27を参照して、決定部102には、モード記憶部201に記憶されている炊飯モードから設定する炊飯モードを選択するためのモード選択部1021と、選択された炊飯モードにおける各種制御量を決定するための制御量決定部1022とが含まれてもよい。すなわち、一例として、炊飯釜2内の水および米の重量や温度や圧力などの環境条件に基づいて各工程の時間や、各撹拌駆動での駆動量、各工程の温度などを決定するようにしてもよいし、操作部14での入力に従ってこれらを決定するようにしてもよい。前者の例の場合、制御量決定部1022は、予め炊飯釜2内の水および米の重量や温度や圧力などの環境条件と各種制御量との対応を記憶しておき、炊飯釜2内の水および米の重量や温度や圧力などの環境条件を判定するための機構から該重量を得て必要な制御量を決定するようにしてよい。その際、制御量決定部1022は、A1×T1>A2×T2やA3>A1などの上述した制御量の関係、54〜66℃の温度範囲、などを記憶しておき、その関係や範囲に従って各制御量を決定する。上記機構としては、たとえば温度センサ12などが該当する。制御量決定部1022は、たとえば、吸水加熱工程の時間および吸水工程の時間や、各工程の温度、これら工程での撹拌駆動の駆動量である第1の駆動量、第2の駆動量、沸騰工程での撹拌駆動の駆動量である第3の駆動量などを決定するようにしてもよい。
<動作フロー>
図28は、炊飯器100において炊飯開始の指示がなされた際の動作の流れの概要を表わしたフローチャートである。図28のフローチャートは、制御部30に含まれる図示しないCPUがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行し、図27の各機能を発揮させることによって実現される。
図28を参照して、ステップS1でCPUは操作部14での操作に従って炊飯モードを決定し、ステップS2で各センサからのセンサ信号等に基づいて、炊飯釜2内の重量や温度等の環境条件を測定する。そして、予め記憶している環境条件に応じた制御量や、各炊飯工程での制御量の関係などに基づいて、ステップS3でCPUは、各炊飯工程の時間や温度、撹拌駆動の回転速度、総駆動時間などの制御量を決定する。
ステップS4でCPUは、上記ステップS3で決定した制御量を用いて炊飯動作を実行する。そして、ステップS4の炊飯動作が完了すると、スイッチが切られたり、蓋3が開けられたりするまで、ステップS5でCPUは、予め規定された保温温度として炊飯釜2内の炊飯後の米飯を保温状態で維持する保温動作を行なう。
図29、図30は、上記ステップS4で図2で表わされた通常の炊飯動作が行なわれる場合の、具体的な動作の流れを表わした図である。
図29を参照して、炊飯動作が開始すると、ステップS101で撹拌体8から撹拌翼9を展開させ、ステップS103で上記ステップS2で決定された駆動量に基づいて撹拌駆動1を開始すると共に、ヒータ11の加熱を開始し、ステップS105でその加熱を維持する。ここでの動作順はこの順には限定されない。
CPUは、炊飯釜2内の温度を監視し、上記ステップS2で決定された吸水温度に達するまで(ステップS107でNO)、ヒータ11での加熱を維持する。この工程が吸水加熱工程となる。
炊飯釜2内の温度が吸水温度に達すると(ステップS107でYES)、ステップS109でCPUは撹拌駆動1を終了して、上記ステップS2で決定された駆動量に基づいて撹拌駆動2を開始すると共に、ステップS111で吸水温度を維持するようにヒータ11を制御する。ここでの動作順もこの順には限定されない。
CPUは、上記ステップS2で決定された吸水時間の経過を監視して、その時間に達するまで(ステップS113でNO)、吸水温度を維持する。この工程が吸水工程となる。
吸水温度が維持されたまま吸水時間が経過すると(ステップS113でYES)、ステップS115でCPUは撹拌駆動2を終了し、ステップS117で撹拌翼9を撹拌体8内に収納すると共に、図29を参照して、CPUはヒータ11の加熱を開始して、ステップS119でその加熱を維持する。ここでの動作順もこの順には限定されない。
CPUは炊飯釜2内の温度を監視し、上記ステップS2で決定された沸騰温度に達するまで、あるいは、炊飯釜2内が沸騰状態となるまで(ステップS121でNO)、ヒータ11での加熱を維持する。この工程が沸騰加熱工程となる。
炊飯釜2内が沸騰状態となると(ステップS121でYES)、ステップS123で撹拌駆動3を開始すると共に、ステップS125で炊飯釜2内が沸騰温度を維持するようヒータ11を制御する。ここでの動作順もこの順には限定されない。
CPUは、上記ステップS2で決定された沸騰時間の経過を監視して、その時間に達するまで(ステップS127でNO)、炊飯釜2内の沸騰温度を維持する。この工程が沸騰工程となる。
沸騰状態が維持されたまま沸騰時間が経過すると(ステップS127でYES)、ステップS129でCPUは撹拌駆動3を終了すると共にステップS131でヒータ11での加熱を減少させていく。CPUは炊飯釜2内の温度を監視し、上記ステップS2で決定された蒸らし温度に達するまで(ステップS133でNO)、ヒータ11での加熱を減少させ続ける。そして、蒸らし温度に達すると(ステップS133でYES)、上記ステップS2で決定された蒸らし時間が経過するまで(ステップS137でNO)、ステップS135でCPUは炊飯釜2内の温度を蒸らし温度で維持する。蒸らし時間が経過すると(ステップS137でYES)、一連の炊飯動作が終了する。
<実施の形態の効果>
炊飯器100では吸水加熱工程において、撹拌駆動1を行なって擦り合わせ部を駆動させることにより、炊飯釜2内の水および米を60℃前後に素早くかつ均一に加温することができる。
先述のように、発明者らは、吸水工程で60℃前後の温度を保持して炊飯動作を行なう際、水中に溶出した溶出固形分が多いほど、グルコースを多く生成できることを発見した。
そのため、吸水加熱工程の後の吸水工程において吸水加熱工程よりも弱い駆動力で撹拌駆動2を行なって擦り合わせ部を駆動させ、固形分が過剰に溶出されないように長時間かつ均一に60℃前後を保持することで、焦げの発生を抑えながら甘味成分であるグルコースの生成を促進することができる。
炊飯器100では、炊飯釜2に収容され水に浸された米を擦り合わせる撹拌翼9を有することから、水に浸された米を擦り合わせることができて、水中に溶出固形分を溶出させることができる。
さらに、沸騰工程において擦り合わせ部である撹拌翼9を収納した状態で撹拌体8を駆動させる撹拌駆動3を行なうことにより、水中に溶出した溶出固形分を含む沸騰泡(いわゆるおねば)を炊飯釜の内部で破壊し、水中に溶出された溶出固形分が炊飯釜の排除されることなく炊飯釜2内に戻すことができる。これにより、より甘味、ツヤ、粘りある米飯を炊き上げることが可能となる。詳しくは、撹拌により溶出した溶出固形成分は、グルコースやアミロース、アミロペクチンを含むデンプン粒子であり、炊飯時に沸騰泡を炊飯釜の内部で破壊することにより、炊き上がり後の米飯の表面に、多くの溶出固形成分を存在させることができる。
また、発明者らは、水に浸された米を限度以上に擦り合わせることにより必要以上の固形分を水中に溶出すると、米飯の黄変や焦げ付きの原因になることを発見した。
炊飯器100では、炊飯釜内での水および米の温度ムラを抑えながら糖化酵素の至適温度まで速やかに加温し、その温度で長時間保持することにより、甘味成分であるグルコースを多く生成することができる。さらに、過度な撹拌をしないため、固形分の過度な溶出を抑え、炊き上がりの米飯の黄変や焦げ付きを抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 本体、2 炊飯釜、3 蓋、4 内蓋、5 蓋ヒータ、6 蓋温度センサ、7 回転軸、8 撹拌体、9 撹拌翼、10 外鍋、11 ヒータ、12 温度センサ、13 蒸気口、14 操作部、15 パッキン、30 制御部、81 保持機構、100 炊飯器、101 指示入力部、102 決定部、103 炊飯制御部、201 モード記憶部、1021 モード選択部、1022 制御量決定部、1031 温度制御部、1032 撹拌翼状態制御部、1033 撹拌動作制御部。

Claims (7)

  1. 被加熱物を収容するための釜と、
    前記釜内の被加熱物を攪拌するための攪拌部を有する回転体と、
    前記釜を加熱するための加熱部と、
    前記回転体の回転動作および前記加熱部での加熱を制御するための制御部とを備え、
    前記制御部は、
    常温から、60℃前後に規定されている吸水温度まで前記釜内の被加熱物を昇温加熱する吸水加熱工程と、
    前記釜内の前記吸水温度を、規定されている吸水時間、維持する吸水工程と、
    前記吸水工程の後、規定されている沸騰温度まで前記釜内の被加熱物を昇温加熱する沸騰加熱工程と、
    沸騰状態を規定されている沸騰時間、維持する沸騰工程と、
    前記沸騰工程の後、前記釜内を規定されている蒸らし温度に保持して前記釜内の被加熱物を蒸らす蒸らし工程と、を含んだ炊飯シーケンスを実行し、
    前記制御部は、さらに、
    前記吸水加熱工程で前記攪拌部を第1の駆動量にて駆動させる第1の駆動を実行し、
    前記吸水工程で、前記攪拌部を前記第1の駆動量よりも小さい第2の駆動量で駆動させる第2の駆動を実行し、
    前記回転体は前記攪拌部を収納および展開可能であって、
    前記回転体は、前記釜が収容される炊飯器本体の上部に開閉可能に取り付けられて前記釜を覆うように閉じることが可能な蓋体の、前記蓋体を前記炊飯器本体に対して閉状態としたときに前記釜内の被加熱物に向かう側の面に取り付けられており、前記蓋体に取り付けられた状態で回転可能であって、
    前記制御部は、さらに、前記沸騰工程で、前記回転体を第3の駆動量で回転移動するよう駆動させる第3の駆動を実行し、
    前記第1の駆動における前記回転体の移動速度をA1、前記第3の駆動における前記回転体の移動速度をA3とすると、前記制御部は、前記第1の駆動量と前記第3の駆動量との移動速度がA3>A1となるよう、前記第1の駆動および前記第3の駆動を実行する、炊飯器。
  2. 被加熱物を収容するための釜と、
    前記釜内の被加熱物を攪拌するための攪拌部を有する回転体と、
    前記釜を加熱するための加熱部と、
    前記回転体の回転動作および前記加熱部での加熱を制御するための制御部とを備え、
    前記制御部は、
    常温から、60℃前後に規定されている吸水温度まで前記釜内の被加熱物を昇温加熱する吸水加熱工程と、
    前記釜内の前記吸水温度を、規定されている吸水時間、維持する吸水工程と、
    前記吸水工程の後、規定されている沸騰温度まで前記釜内の被加熱物を昇温加熱する沸騰加熱工程と、
    沸騰状態を規定されている沸騰時間、維持する沸騰工程と、
    前記沸騰工程の後、前記釜内を規定されている蒸らし温度に保持して前記釜内の被加熱物を蒸らす蒸らし工程と、を含んだ炊飯シーケンスを実行し、
    前記制御部は、さらに、
    前記吸水加熱工程で前記攪拌部を第1の駆動量にて駆動させる第1の駆動を実行し、
    前記吸水工程で、前記攪拌部を前記第1の駆動量よりも小さい第2の駆動量で駆動させる第2の駆動を実行し、
    前記回転体は前記攪拌部を収納および展開可能であって、
    前記制御部は、前記攪拌部の前記回転体からの展開、および前記回転体への収納もさらに制御し、
    前記制御部は、前記吸水加熱工程での前記第1の駆動および前記吸水工程での前記第2の駆動では前記攪拌部を前記回転体から展開した状態とし、前記吸水加熱工程および前記吸水工程以外の工程では前記攪拌部を前記回転体に収納した状態とする、炊飯器。
  3. 前記制御部は、前記攪拌部を前記釜内の被加熱物に接した状態で移動させる駆動を行ない、
    前記第1の駆動量を総駆動時間T1および前記攪拌部の移動速度A1の積、前記第2の駆動量を総駆動時間T2および前記攪拌部の移動速度A2の積で表わすと、前記制御部は、前記第1の駆動量と前記第2の駆動量とがA1×T1>A2×T2となるよう、前記第1の駆動および前記第2の駆動を実行する、請求項1または2に記載の炊飯器。
  4. 前記吸水温度は糖化酵素の至適温度より高い温度である、請求項1〜3のいずれかに記載の炊飯器。
  5. 被加熱物を収容するための釜と、
    前記釜内の被加熱物を攪拌するための攪拌部を有する回転体と、
    前記釜を加熱するための加熱部と、を含んだ炊飯器の制御方法であって、
    常温から、60℃前後に規定されている吸水温度まで前記釜内の被加熱物を昇温加熱するステップと、
    前記釜内の前記吸水温度を、規定されている吸水時間、維持するステップと、
    前記吸水温度を維持するステップの後、規定されている沸騰温度まで前記釜内の被加熱物を昇温加熱するステップと、
    沸騰状態を規定されている沸騰時間、維持するステップと、
    前記沸騰状態を維持するステップの後、前記釜内を規定されている蒸らし温度に保持して前記釜内の被加熱物を蒸らすステップとを備え、
    前記釜内の被加熱物を昇温加熱するステップは、前記昇温加熱しながら前記攪拌部を第1の駆動量にて駆動させるステップを含み、
    前記吸水温度を維持するステップは、前記規定されている吸水時間中に、前記攪拌部を前記第1の駆動量よりも小さい第2の駆動量で駆動させるステップを含み、
    前記回転体は前記攪拌部を収納および展開可能であって、
    前記回転体は、前記釜が収容される炊飯器本体の上部に開閉可能に取り付けられて前記釜を覆うように閉じることが可能な蓋体の、前記蓋体を前記炊飯器本体に対して閉状態としたときに前記釜内の被加熱物に向かう側の面に取り付けられており、前記蓋体に取り付けられた状態で回転可能であって、
    前記昇温加熱するステップは、前記回転体を第3の駆動量で回転移動するよう駆動させる第3の駆動を実行するステップを含み、
    前記制御方法は、さらに、前記第1の駆動における前記回転体の移動速度をA1、前記第3の駆動における前記回転体の移動速度をA3とすると、前記第1の駆動量と前記第3の駆動量との移動速度がA3>A1となるよう、前記第1の駆動および前記第3の駆動を実行するステップを備える、炊飯器の制御方法。
  6. 被加熱物を収容するための釜と、
    前記釜内の被加熱物を攪拌するための攪拌部を有する回転体と、
    前記釜を加熱するための加熱部と、を含んだ炊飯器の制御方法であって、
    常温から、60℃前後に規定されている吸水温度まで前記釜内の被加熱物を昇温加熱するステップと、
    前記釜内の前記吸水温度を、規定されている吸水時間、維持するステップと、
    前記吸水温度を維持するステップの後、規定されている沸騰温度まで前記釜内の被加熱物を昇温加熱するステップと、
    沸騰状態を規定されている沸騰時間、維持するステップと、
    前記沸騰状態を維持するステップの後、前記釜内を規定されている蒸らし温度に保持して前記釜内の被加熱物を蒸らすステップとを備え、
    前記釜内の被加熱物を昇温加熱するステップは、前記昇温加熱しながら前記攪拌部を第1の駆動量にて駆動させるステップを含み、
    前記吸水温度を維持するステップは、前記規定されている吸水時間中に、前記攪拌部を前記第1の駆動量よりも小さい第2の駆動量で駆動させるステップを含み、
    前記回転体は前記攪拌部を収納および展開可能であって、
    前記制御方法は、さらに、
    前記攪拌部の前記回転体からの展開、および前記回転体への収納を制御するステップを含み、
    前記制御するステップは、前記昇温加熱するステップにおける前記第1の駆動および前記温度を維持するステップにおける前記第2の駆動では前記攪拌部を前記回転体から展開した状態に制御し、前記昇温加熱するステップおよび前記温度を維持するステップ以外のステップでは前記攪拌部を前記回転体に収納した状態に制御するステップを有する、炊飯器の制御方法。
  7. 前記攪拌部は、前記釜内の被加熱物に接した状態で移動可能であって、
    前記制御方法は、
    前記第1の駆動量を総駆動時間T1および前記攪拌部の移動速度A1の積、前記第2の駆動量を総駆動時間T2および前記攪拌部の移動速度A2の積で表わすと、前記第1の駆動量と前記第2の駆動量とがA1×T1>A2×T2となるよう、前記第1の駆動および前記第2の駆動を実行するステップをさらに備える、請求項5または6に記載の炊飯器の制御方法。
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