以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
<装置構成>
図1は、本実施の形態に係る炊飯器100を斜め上方から見た概略斜視図である。図2は、蓋体を開いた状態の炊飯器100の概略斜視図である。
図1と図2を参照して、炊飯器100は、炊飯器本体1と、炊飯器本体1に開閉可能に取り付けられた蓋体2とを含む。炊飯器本体1は蓋体2に対して下部に位置する。蓋体2は、炊飯器本体1の上部に開閉可能に取付けられており、且つ当該炊飯器本体1に収容される内釜7の上部開口部を覆うように閉じることが可能な形状を有する。
炊飯器本体1の前面には、蓋体2を開けるための開ボタン3が配される。炊飯器本体1の後面には電源コード47が配される。この電源コード47の大部分は、炊飯器本体1内のコードリール(図示せず)に引き出し可能に巻き付けられていている。
蓋体2の上面の前部には、炊き方または調理名などを表示する液晶表示部5と、複数の操作スイッチ6とが配され、さらに、操作スイッチ6には動作状態を表わすためのLED(Light Emitting Diode)インジケータ61が設けられている。操作スイッチ6は物理的な操作(押下等)を受け付けるスイッチであってもよいし、静電容量式タッチキーであってもよい。操作スイッチ6が静電容量式タッチキーである場合には、インジケータ61に替えてタッチキーのバックライトが用いられてもよい。なお、液晶表示部5は表示部の一例である。
蓋体2の上面の後部には、米などの食材である被加熱物を収容するための釜に相当する内釜7(図2)内の蒸気を排出するための蒸気排出口2aが設けられる。蒸気排出口2aは後述の蒸気筒22aに相当する。
図2を参照して、炊飯器本体1には、被加熱物の一例としての米または水などの被加熱物を収容するための内釜7が収納されている。
炊飯器本体1の上面の前部には被係止部8が設けられており、蓋体2の下面の前部には係止部23が設けられている。被係止部8には係止部23が解除可能に係止する。
炊飯器本体1内には、蓋体2をロックするための蓋ロック部9が設けられている。
蓋体2は、蓋体2を閉じたときに内釜7側とは反対側に位置する外蓋21aと、蓋体2を閉じたときに内釜7側に位置する内蓋22とを含む。
外蓋21a内には回転モータ24が設置されている。外蓋21aの中央部内には回転可能に連結軸(図示せず)が設置され、回転モータ24が発生した回転駆動力を、プーリ(図示せず)または後述するタイミングベルト21(図示せず)を介して受けて回転する。
炊飯器本体1と蓋体2との間には回転体25が回転可能に配置されて、蓋体2に着脱可能に取り付けられている。回転体25は蓋体2の釜側に回転可能に取り付けられている。より詳しくは、回転体25の蓋体2側の部分からは回転軸29の一方の端部が突出している(図4参照)。回転軸29は、一方の端部が外蓋21aの上記連結軸に着脱可能に連結されて、上記連結軸と一体に回転する。また、回転軸29は回転体25に対して回転可能となっている。
回転体25には第1,第2撹拌棒26A,26B(これらを代表させて撹拌棒26とも称する)が取り付けられている。第1,第2撹拌棒26A,26Bは、それぞれ、径方向において回転体25と隣り合って、内釜7内の米などに接触するように展開し撹拌可能な状態である展開状態と、内釜7内の米などから乖離して撹拌不可能な状態である収納状態と、両状態の中間位置である半展開状態に相互に切替可能になっている。すなわち、第1,第2撹拌棒26A,26Bのそれぞれは、一方の端部が回転体25に回動可能に取り付けられて、他方の端部(後述する先端部19a,19b)が、回転体25から離れて展開したり、回転体25に近づいて図3のように収納されたりなど、その状態が切替え可能になっている。ここでは、第1,第2撹拌棒26A,26Bは具体的には、ツインのブレード形状を有し、本実施の形態では撹拌部の一例である。
図3は、回転体25を内釜7側から見た概略図である。
回転体25は、蓋体側部材27と、この蓋体側部材27の内釜7側の表面に着脱可能に取り付けられた内釜側部材28とを有している。蓋体側部材27と内釜側部材28との間には、第1,第2撹拌体兼用傘ギア30と、第1撹拌体用ギア31A,32A,33Aと、第2撹拌体用ギア31B,32B,33Bとが配置されている。回転軸29の回転駆動は、第1,第2撹拌体兼用傘ギア30および第1撹拌体用ギア31A,32A,33Aを介して第1撹拌体用回動軸34Aに伝わると共に、第1,第2撹拌体兼用傘ギア30および第2撹拌体用ギア31B,32B,33Bを介して第2撹拌体用回動軸34Bに伝わる。これにより、回転軸29が回転すれば、第1,第2撹拌棒26A,26Bを第1,第2撹拌体用回動軸34A,34Bを中心に回動させて、図2,図3に示す、撹拌棒26を回転体25に収納した状態(以下、収納状態ともいう)、図4に示す、撹拌棒26を回転体25から展開した状態(以下、展開状態ともいう)、および上記展開状態から上記収納状態の中間位置である半展開状態との間の相互の切替えが可能になっている。
なお、図4では、第1,第2撹拌棒26A,26Bを視認できるように、炊飯器本体1および蓋体2の図示を省略している。
図5は、炊飯器100を上方から見た概略上面図である。
図5を参照して、蓋体2の上面の前部には表示部の一例としての液晶表示部5と、液晶表示部5を囲むように配置された複数の操作スイッチ6とが設けられている。後述のメインCPU(Central Processing Unit)10aは、操作スイッチ6のユーザ操作から、操作内容が示す指示を入力する指示受付部の機能を有する。
操作スイッチ6は、保温/取消スイッチ6Aと、お料理選択スイッチ6Bと、炊飯選択スイッチ6Cと、炊飯/スタートスイッチ6Dと、撹拌棒26による撹拌を利用した洗米を指示するための洗米スイッチ6Eと、予約スイッチ6Fと、下方向スイッチ6Gと、上方向スイッチ6Hとを含む。各操作スイッチ6A〜6Hには、それぞれLEDインジケータ61A〜61Hが設けられている。
保温/取消スイッチ6Aは、保温の開始、または開始した調理や選択内容などの取り消しを指示するためのスイッチであって、LEDインジケータ61Aが点灯していることで保温状態であることを表わす。
お料理選択スイッチ6Bは、予め記憶されている調理メニュー内から実行する調理メニューを選択するためのスイッチであって、押すたびに予め規定された順で調理メニューが選択状態となる。LEDインジケータ61Bが点灯していることで調理メニューが選択された状態であることを表わす。
炊飯選択スイッチ6Cは、予め記憶されている炊飯メニューの内から実行する炊飯メニューを選択するためのスイッチであって、押すたびに予め規定された順で炊飯メニューが選択状態となる。LEDインジケータ61Cが点灯していることで炊飯メニューが選択された状態であることを表わす。炊飯メニューには、玄米炊飯および発芽玄米炊飯が含まれる。
炊飯/スタートスイッチ6Dは、炊飯メニューや調理メニューや後述する洗米メニューや設定時間に応じた調理シーケンスのスタートを指示するためのスイッチであって、押すことで、調理シーケンスまたは先に選択されているメニューに対応したプログラムに従った加熱制御の開始(調理開始等)が指示される。LEDインジケータ61Dが点灯していることで炊飯メニュー、調理メニュー、または洗米メニューが実行中の状態であることを表わす。
洗米スイッチ6Eは、内釜7に収容された米を水洗いする動作メニューである洗米メニューを選択するためのスイッチである。LEDインジケータ61Eが点灯していることで洗米メニューが選択された状態であることを表わす。
予約スイッチ6Fは、炊飯メニューや調理メニューや洗米メニューなどの開始の予約を指示するためのスイッチであって、押すことで、先に選択されているメニューの開始までの時間(予約時間)を受け付ける状態となる。LEDインジケータ61Fが点灯していることで炊飯メニューや調理メニューや洗米メニューなどの開始が予約された状態であることを表わす。
下方向スイッチ6Gおよび上方向スイッチ6Hは、選択内容や設定時間を先または後へ送る(先送り、後送り)ことを指示するためのスイッチである。LEDインジケータ61G,61Hが点灯していることで先送り操作または後送り操作がなされている状態であることを表わす。
図6は、液晶表示部5の拡大図であり、液晶表示部5が表示可能な文字および図をすべて図示している。
液晶表示部5は、米の種類を表示するための米表示部5aと、米の炊き方を表示するための炊き方表示部5bと、調理メニューを表示するための調理表示部5cと、回転体25や第1,第2撹拌棒26A,26Bによる内釜7内の撹拌状態を表示するための内部状態表示部5dと、時間表示部5eと、操作スイッチ6での操作状態を表示するための操作状態表示部5fとを含む。
米表示部5aは、一例として、「白米」、「無洗米」、「玄米」、「発芽玄米」および「分づき米」のうちの1つを表示する。
炊き方表示部5bは、一例として、「ごはん」、「極上」、「おいそぎ」、「炊きこみ」、「おかゆ」、「極美がゆ」、「カレー用」、「少量」、「おこげ」、「すしめし」および「エコ炊飯」のうちの1つを表示する。
調理表示部5cは、一例として、「煮物」、「シチュー」、「蒸し物」、「お菓子」、「マイメニュー」、「予約1」および「予約2」のうちの1つを表示する。
これらの米表示部5a、炊き方表示部5b、調理表示部5cの表示は、操作スイッチ6の操作に応じて変化する。
内部状態表示部5dの表示は、回転体25および第1,第2撹拌棒26A,26Bの状態に応じて変化する。
時間表示部5eの表示は時間または調理工程の経過に伴って変化する。
操作状態表示部5fは、操作スイッチ6での操作が無効状態となっていることを表示する。
図7は、炊飯器100を鉛直面で切った断面の概略図である。
図7において、炊飯器本体10は、米と水を収容した内釜7がセットされている。内釜7の周囲には、加熱のためのIHヒータ12と加熱ヒータ15、電源装置13a、内釜7の温度を検知する温度センサ15aを備える。また、タイミングベルト21、固定内蓋28aに内蔵された機構であって撹拌棒26の展開・収納を切替えるためのツインブレードメカ20a(図3、図4参照)、および内釜7からの蒸気を排出するための蒸気筒22aを備える。内釜7には、被加熱物23aである米と水が収容されており、展開状態の撹拌棒26により撹拌されている。なお、IHヒータ12に変えて、熱板式のヒータ、マイクロ波を利用した加熱部を備えてもよく、これらを組合わせてもよい。
本実施の形態では、内釜7は外側ステンレスおよび内側アルミニウムの2層構造を有し、内側にはフッ素塗装がされた厚さ3mmのものを使用した。内釜7の内側壁面には被加熱物の収納量の目安を示す炊飯線が印刷してある。使用者は炊飯合数によりこの目盛線まで加水する。被加熱物を収容した内釜7が炊飯器本体1にセットされた状態で、本体底面から側面に配置されたIHヒータ12に通電することで、内釜7を発熱させ、被加熱物が加熱されて炊飯が行われる。内釜7の温度の調整は、釜底に配置された温度センサ15aの検知温度を後述のメインCPU10aが受け取り、加熱制御信号をIHヒータ12に出力し、IHヒータ12は加熱制御信号に従い動作する。
ツインブレードメカ20aは、撹拌棒26を保持する固定内蓋28aに付設した回転体25による回転機構を、タイミングベルト21を介して動作させるための機構であり、後述する回転体制御部に関連して設けられる。ツインブレードメカ20aは回転体25を回転させ、回転体25が右回転時には撹拌棒26を展開させ、左回転を与えると収納されるようにする機能メカである。
固定内蓋28aは使用者が取り外し可能なようにマグネットによって蓋体2に付属されてあり、炊飯終了後は取り外して洗うことが可能である。また、固定内蓋28aは蓋体2が閉まった状態で内釜7を密閉するように構成してあり、沸騰時には蒸気が排気可能なように表面に小孔(図示せず)が設けてある。
CPU10aはユーザが操作スイッチ6を介して入力する操作指令、および温度センサ15aから入力する温度検知の信号などに基づき、予め記憶されたプログラムにより、IHヒータ12の加熱制御および撹拌棒26の展開・収納の切替制御を行う。
<機能構成>
図8は、炊飯器100の制御系の構成の概要を表わしたブロック図である。
図8を参照して、炊飯器100の制御系は、大きくは、蓋体2側のメイン制御系と炊飯器本体1側のサブ制御系とに分かれる。蓋体2側のメイン制御系はメインCPU10aを含み、炊飯器本体1側のサブ制御系はサブCPU10bを含む。
メインCPU10aはメイン制御系に含まれる各機能を制御する他、サブCPU(Central Processing Unit)10bに対して制御信号を出力して、サブCPU10bにサブ制御系に含まれる各機能の制御を実行させる。また、サブCPU10bは各種信号をメインCPU10aに対して出力する。
メインCPU10aとサブCPU10bとは電気的に分離(絶縁)されている。そのため、メインCPU10aとサブCPU10bとの間の上記信号のやり取りをするための通信部54a,54bは、一例として、フォトカプラによる無線通信をする。
メイン制御系には電源回路50a、サブ制御系には電源回路50b,50cが含まれる。炊飯器本体1に含まれる電源コード47(図示せず)を介して、電源装置13aに相当する商用電源470から供給された交流電力は、サブ制御系の電源回路50b,50cにもたらされる。
サブ制御系の電源回路50cは供給された交流電力を直流電力に変換してサブCPU10bに供給する。サブ制御系の電源回路50bはメイン制御系への供給用の電源回路であって、供給された交流電力を直流電力に変換した後に、メイン制御系に供給するための交流電力に変換して絶縁トランス40に渡す。交流電力は絶縁トランス40において変圧された後にメイン制御系の電源回路50aに入力される。メイン制御系の電源回路50aは、入力された交流電力を直流電力に変換してメインCPU10aに供給する。すなわち、電源回路50aおよび電源回路50bは、絶縁トランス40によって電気的に絶縁されており、電磁誘導によって電源回路50aから電源回路50bへ電気エネルギーを伝達する。
図9は、図8の制御系構成の内のメイン制御系の詳細を表わしたブロック図である。一部、説明のためにサブ制御系の構成も図示されている。
図9を参照して、メイン制御系にはメインCPU10aが含まれる。メインCPU10aは電源回路50aから電力供給を受けて動作する。
メインCPU10aには、メインCPU10aで実行されるプログラムおよび各種データを記憶するためのメモリであるROM(Read Only Memory)11aおよびRAM(Random Access Memory)12aが電気的に接続される。
メインCPU10aには、さらに、通信部54a、液晶表示部5、操作スイッチ6、LEDインジケータ61、報知のためのブザー14、予約タイマおよび炊飯工程の計時をするためのタイマー16、着脱検知部55、モータ駆動回路57、および蓋開閉検知部56が電気的に接続されている。メインCPU10aは、タイマー16からの計時データと、炊飯工程のための予め定めた時間データとを照合し、照合結果に基づき、炊飯工程の実行を制御する。
メインCPU10aは操作スイッチ6からの操作信号の入力を受け付けることで対応するプログラムを選択し、実行する。メインCPU10aは、プログラムを実行することで液晶表示部5での表示、LEDインジケータ61の点灯/消灯、ブザー14の鳴動を制御する。また、サブ制御系に含まれる各部のうち上記プログラムの実行に基づいて制御対象となる構成を制御するための制御信号を通信部54aに渡すことで、サブCPU10bに対して出力する。回転体制御部は、回転体25に連動させて、撹拌棒26の撹拌動作(展開/収納、撹拌速度)を制御するように作用する撹拌制御部としても機能する。
モータ駆動回路57は回転体25に関連した回転モータ24を駆動させるための機構である。メインCPU10aは上記プログラムの実行に従って、必要なタイミングで必要な駆動量で回転モータ24を駆動させるよう、モータ駆動回路57を制御する回転体制御部の機能を有する。なお、モータ駆動回路57には、後述する蓋開閉検知部56からの検知信号も入力され、その検知に応じて回転モータ24を駆動/非駆動するようにしてもよい。
モータ駆動回路57はメインCPU10aからの制御信号に従う電圧を回転モータ24に印加する。回転モータ24の図示しない出力軸は回転体25の回転軸29に連接されており、回転モータ24に印加される電圧に比例して出力軸の回転数が設定される。回転モータ24に同一電圧が印加される場合に、負荷(トルク)が大きくなると、換言すると回転体25に係る負荷などが大きくなると、それに伴って出力軸の回転数が低下する一方で、回転モータ24に通電される電流は比例して大きくなる。
着脱検知部55は、蓋体2に着脱可能に構成されている回転体25の着脱を検知するための機構である。蓋開閉検知部56は蓋体2の炊飯器本体1に対する開閉状態を検知するための機構である。
また、図9の構成の他、回転体25に対する撹拌棒26の状態(展開状態、半展開状態、収納状態)を検知するための機構が含まれてもよい。この機構の構成もまた特定の構成に限定されるものではないが、たとえば、センサを用いてもよいし、回転モータ24のパルス信号に基づいてその回転量を判断することで撹拌棒26の状態を検知してもよい。
これらの検知信号はメインCPU10aに入力され、必要に応じて制御に用いられる。
図10は、図8の制御構成の内のサブ制御系の詳細を表わしたブロック図である。一部、説明のためにメイン制御系の構成も図示されている。
図10を参照して、サブ制御系にはサブCPU10bが含まれる。サブCPU10bは電源回路50cから電力供給を受けて動作する。
サブCPU10bには、同期検出部43、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)45、カレントトランス59、リレー51a
,51b、パルス信号を発生させるための発振回路52、蓋ロック駆動部44、ファン駆動回路58、温度検知回路41、およびリセット制御を行なうためのリセット回路53が電気的に接続されている。
商用電源470からの電力線は、リレー51cを経て整流回路48に接続されている。商用電源470から整流回路48までの間にはカレントトランス59が接続される。カレントトランス59は、電力線に流れる電流を検出し、検出値をサブCPU10bに対して出力する。
整流回路48にはチョークコイル42を経てコンデンサ46,49が接続され、コンデンサ46に並列に誘導コイル4cが接続されている。整流回路48によって直流に変換された電力がチョークコイル42およびコンデンサ49からなる平滑回路を経て誘導コイル4cに供給される。コンデンサ46および誘導コイル4cはIGBT45を経てサブCPU10bに接続されている。
さらに、商用電源470からの電力線は、ダイオードD1,D2を経て蓋ヒータ4aおよび保温ヒータ4bに接続され、これらヒータに電力が供給される。蓋ヒータ4aおよび保温ヒータ4bへの給電経路には、リレー51a,51bが接続される。リレー51a,51bはサブCPU10bからの制御信号に応答してON/OFFされる。リレー51a,51bは、蓋ヒータ4a、保温ヒータ4bへの給電経路を遮断可能な「開閉装置」を構成する。
サブCPU10bにはさらに通信部54bが電気的に接続され、メインCPU10aからの制御信号を通信部54bで受信してその制御信号に従って各部を制御する。サブCPU10bは、メインCPU10aからの制御信号に従ってIGBT45のON/OFFを制御することで、誘導コイル4cの通電率(Duty比)を可変に変化させてIHヒータ12による加熱量が変化するように制御する。このとき、同期検出部43が商用電源470から供給される交流電力から同期信号を抽出し、サブCPU10bに入力する。サブCPU10bは、同期信号に基づくタイミングでIGBT45のON/OFFを制御する。
また、サブCPU10bは、メインCPU10aからの制御信号に従ってリレー51a,51bのON/OFFを制御することで、蓋ヒータ4aおよび保温ヒータ4bでの加熱、保温を制御する。
蓋ロック駆動部44は蓋ロック部9を駆動させるための機構であり、サブCPU10bはメインCPU10aからの制御信号に従って蓋ロック部9に施錠/解錠させるよう蓋ロック駆動部44を制御する。
ファン駆動回路58は、誘導コイル4cの発熱を冷却する冷却ファン13を駆動させるための機構であり、サブCPU10bはメインCPU10aからの制御信号に従って冷却ファン13を駆動させるよう、ファン駆動回路58を制御する。
温度検知回路41は温度センサ15aからのセンサ信号に基づいて温度を検知して、検知信号をサブCPU10bに入力する。サブCPU10bは、検知信号をデジタルデータに変換しメインCPU10aに出力する。これにより、メインCPU10aは、入力するデジタルデータから温度センサ15aが測定した内釜7の温度を示す温度データを取得する。
リレー51cは、商用電源470から供給された電力の、蓋ヒータ4a、保温ヒータ4b、および誘導コイル4cへの供給を遮断する。リレー51cの励磁コイルは、メイン制御系のメインCPU10aに接続される。メインCPU10aから励磁コイルに電力が供
給されると、リレー51cの接点が閉成(OFF)される。励磁コイルの非通電時には、リレー51cに接点が開放(ON)される。すなわち、メイン制御系のメインCPU10aは、実行するプログラムに従って蓋ヒータ4a、保温ヒータ4b、および誘導コイル4cへ電力の供給を直接遮断するための制御が可能となる。
ここでは、誘導コイル4cに関連したIHヒータ12は加熱調理時に内釜7を加熱するための加熱部に相当するが、蓋ヒータ4aまたは保温ヒータ4bも加熱部として機能するようにしてもよい。
以下の各実施の形態で、上記の炊飯器100を用いた玄米炊飯工程について説明する。
[実施の形態1]
<動作>
本実施の形態1では、調理シーケンスとして玄米の炊飯シーケンスを説明する。この炊飯シーケンスは、内釜7の温度および加熱時間が変化するように加熱部を加熱制御するためのプログラムに相当する。プログラムは、加熱部に対する通電率(Duty比)を時間経過に従って変化するよう加熱部を制御するための機能を有し、プログラムはパラメータとして加熱時間、通電率および目標温度等に関する情報を含む。また炊飯シーケンスは、調理の進行に応じた炊飯工程を含み、メインCPU10aがシーケンス(プログラム)を実行することを、炊飯工程を実行するとも称する。
<実施の形態1の玄米炊飯工程>
発明者らは、新米と古米との違いからも明らかなように、食味に優れた飯を得るには、米に十分に吸水させてから炊飯することが重要であって、それは玄米についても同様であるとの考察のもと、玄米の特性から吸水し易さを検討した。検討によれば、玄米は白米の表面にぬか層(「糊粉層」と「皮(種皮と果皮)」で形成)を有し、この果皮は食物繊維が多く、不溶性セルロースを含むから、水に溶けにくい不溶性セルロースが、玄米の吸水を妨げているとの知見を得た。そこで、発明者らは、浸漬工程(すなわち吸水工程)で不溶性セルロースを除去することができれば、吸水は促進されて、食味に優れた炊飯米が得られるとの知見に至った。発明者らは、実験により、60℃または80℃のお湯に浸漬した場合には外皮の硬さに違いは生じがたく、略90℃以上の高温にすると不溶性セルロースの破壊が始まる、より特定的には92℃で顕著な破壊が始まるとの知見を得た。
そこで、本実施の形態1では、浸漬工程において、玄米を高温加熱する。これにより、不溶性セルロースを破壊して、吸水を促進させる。また、吸水し易くすることで浸漬工程の期間、および炊飯工程の期間を短縮する。
図11を参照して玄米の炊飯工程を説明する。図11には、共通の時間軸に関連付けて、(A)には炊飯工程における温度(単位:℃)変化が示され、(B)には炊飯工程における回転体25の回転数(単位:rpm)変化が示され、(C)には回転体25の回転の効果(目的)が示される。時間軸には説明のために時間T1,T2,T3,T4,T5,T6およびT7が付される。
図11の(A)を参照して、炊飯工程では、玄米の吸水工程に相当する浸漬工程(炊飯工程開始〜時間T3)と、その後の米の糊化を促進する加熱工程を含む。浸漬工程は、被加熱物である玄米と当該玄米を浸漬するための水とを収容した内釜7を加熱するための工程である。加熱工程は、時間順に、沸騰までの炊き上げ工程(時間T3〜T4)と、沸騰状態を維持する沸騰工程(時間T4〜T6)と、蒸らし工程(時間T6〜T7)とを含む。蒸らし工程を終了後は、炊きあがった米飯の保温工程に移行する。
図12には、本実施の形態1による炊飯工程のフローチャートが示される。当該フローチャートは、玄米炊飯のための加熱シーケンスのプログラムを示し、当該プログラムは予めメモリに格納される。メインCPU10aは、被加熱物量(玄米量)を図示しない重量センサの出力から、またはユーザ操作入力から取得し、当該プログラムに与える。プログラムは、IHヒータ12に通電するためのDuty比および時間T1〜T7を含むパラメータを取得する。例えば、被加熱物量(玄米量)から所定演算式を用いて、これらパラメータを算出する。または、予め定めたテーブルを検索して、これらパラメータを取得する。被加熱物量(玄米量)に従い決定されるパラメータに基づき炊飯工程が実行されることで、玄米炊飯のための加熱シーケンスでは、被加熱物量にかかわらず内釜7の温度を図11の(A)のように変化させることができる。
まず、ユーザは、炊飯器本体1から取り出した内釜7に、予め定めた量の洗米後の玄米と、当該玄米量に対応する量の水とを入れる。玄米量の単位は合および升であり、1合は150g、1升は1500gに相当する。玄米の場合は同じ量の白米に比べて加える水の量は多い。内釜7の内壁面に印刷された玄米量に対応する水位線に合わせて加水する。
その後、内釜7を炊飯器本体1内にセットし、蓋体2を閉じる。玄米コースの指定操作をして炊飯/スタートスイッチ6Dを操作すると、メインCPU10aは当該操作指令を受付ける。
メインCPU10aは、受付けた操作指令(ステップS3)に基づき、玄米炊飯のための加熱シーケンスのプログラムをメモリから読出し、当該プログラムを実行する。メインCPU10aは当該プログラムに従って、IHヒータ12を含む各部を制御し、図11の(A)の炊飯工程が実行開始される(ステップS5)。炊飯工程開始と同時に温度センサ15aも起動し、炊飯工程中の内釜7の温度が検知される。メインCPU10aは、温度がハンチングする場合は一定温度を維持するようにDuty比を制御する。なお、メインCPU10aは操作指令を受付けたときは(ステップS3)、重量センサの検出データに基づき内釜7がセットされていること、および被加熱物を収容した内釜7がセットしてあることを判定したことを条件に、炊飯工程を開始するとしてもよい。
メインCPU10aは、炊飯工程開始後は、温度センサ15aの検知温度から略100℃に達したかを判定しながら(ステップS7)、時間T1に内釜7の温度が略100℃に達するようにIHヒータ12のDuty比を制御する。
時間T1において略100℃に達したことを判定すると(ステップS7でYES)、メインCPU10aは、その後の時間T1〜時間T2では内釜7の温度が略沸騰温度(100℃)を維持するようにIHヒータ12のDuty比を制御する(ステップS9)。この沸騰は、例えば1秒以上5分以内の期間継続する。
メインCPU10aは、時間T2〜時間T3では、IHヒータ12をOFFなどし、また冷却ファン13を回転させて内釜7の温度を低下させ、略90℃以上100℃未満となるように維持する(ステップS11)。浸漬工程の終了を判定すると、すなわちタイマー16のデータが時間T3を示すと判定すると(ステップS15でYES)、沸騰工程に移行する。
メインCPU10aは、炊き上げ工程では、時間T3〜時間T4の比較的短期間に略沸騰温度(100℃)となるようにIHヒータ12のDuty比を制御する。炊き上げ工程後の沸騰工程は、時間T4〜T6の期間継続するように、メインCPU10aはIHヒータ12に関するDuty比を制御する。
沸騰継続後には内釜7に自由水はほとんどなくなっており、米は十分に糊化され飯となっている。その後、蒸らし工程に移る。時間T6〜T7の蒸らし工程では、温度が90℃以下にならないようにIHヒータ12のDuty比が制御される。蒸らし工程では、表面に僅かに残った水分は飯粒に吸水されて、ご飯は十分に蒸らされた状態に変化する。蒸らし工程が終了すると、炊飯工程は完了する。その後は、保温工程に移行する。
なお、炊飯工程では、時間T1〜T2およびT4〜T6の沸騰中に余分となった蒸気は必要に応じ内蓋の小孔、または蒸気筒22aを通して外部に排気される。
図11の(A)の炊飯工程によれば、浸漬工程において、玄米を略90℃以上の高温に加熱することで、不溶性セルロースが破壊されて、吸水が促進されることで、その後の加熱工程において食味に優れた炊飯米に炊き上げることができる。
また、図11の(A)では、浸漬工程の少なくとも一部の期間において、内釜7は略90℃以上100℃(沸騰温度)未満となるよう加熱制御される。この少なくとも一部の期間は、浸漬工程のうちの沸騰状態に至るまでの略前半の工程(炊飯工程開始〜時間T1に相当)に含まれてもよく、また、略後半の工程に含まれてもよく、その両方に含まれてもよい。略後半の工程では、内釜7の温度を略100℃(略沸騰温度)に上昇させ、その後の少なくとも一部の期間(時間T2〜T3)において略90℃以上100℃(沸騰温度)未満となるよう加熱制御がされる。
<流動性付与のための構成>
本実施の形態1では、加熱とともに被加熱物に対して流動性を付与する。
メインCPU10aは、回転体25を制御する回転体制御部の機能を備え、回転体制御部は、浸漬工程を含む炊飯工程における回転体25の駆動を、すなわち撹拌棒26の撹拌動作を制御する。図11の(B)では、一点鎖線は展開状態の撹拌棒26により撹拌期間を示し、実線は撹拌棒26の収納状態における回転体25のみを回転させる期間を示し、破線は回転体25が回転を停止している期間を示す。
図11の(B)と(C)を参照し、炊飯工程における流動性付与を説明する、まず、炊飯工程が開始されると、回転体制御部はモータ制御部に信号を送り、右回転動作を行うように出力する。モータ制御部は与えられる回転数に基づいた制御信号をモータ駆動回路57に出力する。モータ駆動回路57は制御信号に基づき回転モータ24に通電する。これにより、回転体25が右回転し、この右回転動作にともなって撹拌棒26が内釜7に展開(降りる)する。撹拌棒26が下りたことを判定すると、引き続き回転動作を行うよう撹拌時間のタイムカウントが行われる。展開状態で時間T1まで内釜7の被加熱物の撹拌動作(流動性付与)が継続する。
回転体制御部は、タイマー16の出力データから時間T1になったことを判定すると、モータ制御部は、モータ駆動回路57に回転用モータを停止させるための制御信号を出力する。モータ駆動回路57は、制御信号に基づき回転モータ24の回転を停止させる。これにより、撹拌棒26の回転による撹拌動作は停止し、被加熱物に対する流動性付与は停止する。
その後、再びモータ駆動回路57は制御信号に基づき回転モータ24に通電する。これにより、回転体25が左回転し、この左回転動作にともなって撹拌棒26が収納状態となる。収納されたことを判定すると、時間T1〜T2の略沸騰温度の期間では、蓋体2の回転体25を回転させる。
回転体制御部は、時間T2になったことを判定すると、モータ制御部は、モータ駆動回路57に回転モータ24に制御信号を出力し、撹拌棒26が展開状態になり、撹拌棒26が時間T3まで内釜7の被加熱物を撹拌する。
回転体制御部は、時間T3になったとき、制御信号を出力し、展開状態の撹拌棒26を収納状態に切替えて、その後の時間T3〜T4の炊き上げの期間は、撹拌棒26を収納状態にし、且つ回転体25の回転を停止(0rpm)させる。
回転体制御部は、その後、再びモータ駆動回路57に制御信号を出力し、時間T4〜T6の沸騰工程の期間は蓋体2の回転体25を回転させる。その後、蒸らし工程および保温工程では、回転体25を停止する。
図11の(C)を参照すると、炊飯工程開始から時間T1までの期間、および時間T2〜T3の期間は展開状態の撹拌棒26によって浸漬状態の玄米と水が撹拌され、効率的に熱が伝導して、不溶性セルロースの破壊が促進される。換言すると、玄米の種皮が沸騰時に軟化され、その後の撹拌により生じる流動によって、玄米外皮が薄くなる。この結果、玄米内部に水が浸透し易くなり吸水が一層進展する。したがって、これら期間における撹拌は主に食味の向上に寄与する。
また、時間T1〜T2および時間T4〜T5の沸騰状態における収納状態の回転体25の回転は、沸騰により蓋体2まで上昇した水蒸気の気泡を潰すように作用する。これにより、蒸気筒22aからの突沸が防止される。また、沸騰工程のうち時間T4〜T5では、回転体25の回転は突沸防止に作用するが、その後の時間T5〜T6の回転は、蒸気の気泡を内釜7内の米の表面に戻して、うまみ成分である、いわゆる“おねば”の被膜を形成し食味向上に作用する。
本実施の形態では、回転体制御部は回路とプログラムの組合わせからなり、このプログラムは、プログラムに組み込まれたパラメータ設定機能によって、回転体25の回転速度、回転する期間等が可変に制御される。例えば、2合炊飯時の場合、図11の(B)に示すように、撹拌棒26の収納状態の回転速度は400rpmであり、展開状態の回転速度は少なくとも150rpmとしたが、回転速度はこれに限定されない。例えば2合炊飯時には、炊飯開始〜時間T1の期間では2/60秒の間隔で回転し、時間T2〜T3の期間では5/15秒の間隔で回転する、としてもよい。
また、撹拌棒26による撹拌動作に関しては、炊飯工程開始から時間T1の沸騰までの撹拌量は、沸騰維持検知後の時間T2〜T3における撹拌量よりも多くするとしてもよい。このようにすれば、炊飯工程開始から比較的初期段階で速やかに沸騰維持工程に到達させることができ、また一旦軟化させた外皮を撹拌により研磨しつつ、流動性を与えて吸水を促進させることができる。
また、撹拌動作期間に関しては、2合炊飯の場合、炊飯開始から25分以上経過したことを判断し、且つ内釜7の温度が90℃以下になっていることを判定したとき(時間T3に相当)、時間T2〜T3の撹拌動作を終了するとしてもよい。
また、プログラムに組み込まれたパラメータ設定によって、予め定めた温度帯のみに展開状態の撹拌棒26による撹拌動作を連続的に、または間欠的に繰り返すとしてもよい。
<従来の玄米炊飯工程との比較>
図13は発明者らの実験によるデータを示す。図13を参照して、上記の玄米炊飯工程を、従来の典型的な玄米炊飯工程と比較して説明する。玄米炊飯工程は、炊飯開始から時間順に吸水のための浸漬工程、炊き上げ工程、沸騰工程、および蒸らし工程からなる。図13の(A)は実施の形態1に係る玄米の炊飯工程の温度特性を示すグラフであり、図13の(B)は従来の玄米炊飯の各工程の温度特性を示すグラフである。また各グラフについて火力の強さ(すなわち、IHヒータ12の消費電力)が強火・弱火の2値で示される。グラフの横軸に経過時間(単位:分)を、縦軸に内釜7の温度(単位:℃)をとる。
図13の(B)の従来の玄米炊飯では、常温(20℃)から60℃までゆるやかに加温を行い徐々に吸水を高めるような温度特性で炊飯する。
これに対して、本実施の形態1では強火で炊き始めて浸水工程の略前半、より特定的には初期(炊飯工程開始〜時間T1)に内釜7が略90℃以上100℃(沸騰温度)未満となるよう加熱制御し、その後、略沸騰温度(100℃)に達し、時間T1〜時間T2は沸騰温度を維持する。本実施の形態1では炊飯工程開始〜時間T1までの比較的に初期の段階で、撹拌棒26により流動性が付与されることで(図11の(C)参照)、短い時間で沸騰温度に到達させることができる。その後、沸騰維持を継続し、温度低下をするように制御し、再び撹拌し流動性を付与する。その間、加熱部がOFFされ、撹拌動作がされ、さらに冷却ファン13により冷却促進されることにより、内釜7の温度は低下する。この温度低下時(時間T2〜T3)の撹拌棒26の撹拌量(撹拌棒26の回転量など)は、初期(炊飯工程開始〜時間T1)の撹拌量よりも多くし、温度低下を促す。
上記の時間T2〜T3では、仮に沸騰温度(高温)状態を維持し過ぎると、内釜7内での水分の蒸発量が多くなりすぎる。つまり、吸水が不十分になってしまう。そこで、本実施の形態1では、時間T2〜T3では、加熱部をOFFしたり、冷却ファン13を駆動したり、また撹拌棒26により被加熱物を撹拌したりすることで、高温を維持し過ぎない程度に、すなわち水が蒸発しない程度に内釜7内の温度を維持することが可能となり、吸水のための水分量を保つことができる。また、米が撹拌されることにより、吸水も促進される。
炊き上げ工程後は、従来の玄米の炊き上げ工程と同様に再度沸騰させ、熱を加えるとともに余分な水分は蒸気として排出し、その後の蒸らし工程を経て炊飯は完了する。
2合炊飯とした場合に、本実施の形態1による図13の(A)の玄米炊飯工程によれば、およそ55分で炊飯が完了し、図13の(B)の従来ケースに比べて炊飯所要時間を短縮することができた。グラフによれば、実施の形態1による炊飯工程の方が、従来よりも炊飯所要時間を3割以上短縮できた。
図14は、図13の(A)の実施の形態1に係る炊飯工程(炊飯所要時間55分)で炊き上げた玄米ご飯と、図13の(B)の従来炊飯工程(炊飯所要時間90分)で炊き上げた玄米ご飯との食味評価結果を示す。評価者は成人10人であり、たべやすさ、やわらかさを評価した。評価方法は、食べやすい順、やわらかい順に3、2、1と点数をつけた。すなわち点数3に近いほど食べやすく、やわらかいとの評価を示す。結果には統計的に5%の危険率で有意差があったものに異なるアルファベットを付した。同一のアルファベットのものは有意差がないということである。図14には、これらの統計結果がグラフで示される。このグラフからは、従来の炊飯工程で炊飯した玄米よりも、実施の形態1による炊飯工程の方が、食味評価は高いことがわかる。
図13および図14によれば、従来とは異なり、浸漬工程における吸水を促進させるように加熱および撹拌を行うことで、従来よりも、十分に食味に優れた玄米ご飯を短時間で炊き上げることができた。つまり、浸漬工程中から沸騰させるまでの期間(炊飯工程開始〜時間T1)、また沸騰状態後から温度を低下させる期間(時間T2〜時間T3)において、被加熱物に流動性を付与することで、食味に優れた玄米ご飯に炊き上げることができ、白米しか食さない人にであっても食味に優れた玄米ご飯の炊き上げが可能となる。
<実施の形態1の変形例>
浸漬工程において沸騰継続期間を除く全期間において流動性を付与することは可能であるが、一方、毎回同じ炊き上がりでは、毎日食べる上では飽きてしまう。その点に鑑みて、上記の実施の形態における流動性の付与時間を、可変にする。換言すると、間欠的に撹拌する場合に各撹拌時間を異ならせて、玄米らしい食感を残すとしてもよい。その場合は、回転体制御部は、流動性付与時間30秒、休止30秒と周期的に繰り返されるように回転体25を駆動制御し、または、95℃以下の検知温度のもとでは流動性を付与しないように制御をするプログラムに従って、回転体25を制御する。
また、予約タイマによる玄米炊飯設定時にも本実施の形態1のプログラムが実行される。その場合は、予約待ち時間の長さ、または予約待ち期間による水温上昇により玄米の軟化が促進されていることに従い、予約設定されてから予約炊飯開始までの期間長さに応じて浸漬工程における撹拌量を変更する。
[実施の形態2]
<動作>
本実施の形態2でも、炊飯器100の調理シーケンスとして玄米の炊飯シーケンスを説明するが、とりわけ玄米から“うまみ成分”を引き出すように加熱温度を制御する炊飯シーケンスを説明する。本実施の形態2の玄米炊飯シーケンスも、実施の形態1と同様に、内釜7の温度および加熱時間が変化するように加熱部を加熱制御するためのプログラムに相当する。プログラムは、加熱部に対する通電率(Duty比)を時間経過に従って変化するよう加熱部を制御するための機能を有し、プログラムはパラメータとして加熱時間、通電率および目標温度などに関する情報を含む。また炊飯シーケンスは、調理の進行に応じた炊飯工程を含み、メインCPU10aがシーケンス(プログラム)を実行することを、炊飯工程を実行するとも称する。なお、本実施の形態2で説明する玄米の炊飯シーケンスは、白米の炊飯シーケンスにも、同様に適用することができる。
<実施の形態2の玄米炊飯工程>
玄米のうまみ成分を引き出すには、浸漬工程において、玄米に含まれる酵素の活性を促す至適温度帯は40℃〜60℃を利用することが知られている。発明者らは、酵素の種類によって、その至適温度帯は異なることに着目して、浸漬工程では、酵素の種類に応じて異なる至適温度帯を設定されるように加熱制御することが望ましいとの知見を得た。
発明者らは、実験から、浸水工程においてアミノ酸およびグルコースなどの“うまみ成分”を引き出すには、アミノ酸を生成するたんぱく質分解酵素の至適温度帯(以下、第1温度帯ともいう)で温度維持(以下、第1吸水工程ともいう)し、その後、それより高い温度帯であってグルコースを生成するデンプン分解酵素の至適温度帯(以下、第2温度帯ともいう)で温度維持(以下、第2吸水工程ともいう)するという、段階的な昇温による加熱制御により、食味(うまみ)に優れた玄米ご飯に炊き上げることができるとの結果を得た。ここで「至適温度帯」とは、酵素が作用を発揮する最適の温度幅または温度範囲を示す。
図15は、被加熱物である玄米量および水はそれぞれ同じ量とした場合の、本実施の形態2に係る炊飯工程と従来の炊飯工程とを対比して示す図であり、発明者らの実験結果を表す。図15の(A)は実施の形態2に係る玄米の炊飯工程の温度特性を示すグラフであり、図15の(B)は従来の玄米炊飯の各工程の温度特性を示すグラフである。また各グラフでは火力の強さ(すなわち、IHヒータ12の電力量)があわせて示される。また、グラフでは横軸に経過時間(単位:分)を、縦軸に内釜7の温度(単位:℃)をとる。玄米炊飯工程では、吸水工程に相当する浸漬工程と、その後の米の糊化を促進する加熱工程を含む。加熱工程は、時間順に、沸騰までの炊き上げ工程と、沸騰状態を維持する沸騰工程と、蒸らし工程とを含む。蒸らし工程を終了後は、炊きあがった米飯を保温するための保温工程に移行する。
図15の(B)の従来の玄米炊飯では、浸漬工程の初期の段階で内釜7を常温(20℃)から略60℃まで上昇させて、その後は略60℃を維持することで、玄米に対して加温を行い、徐々に吸水を高めるとした温度特性で炊飯する。このように、従来は浸漬工程での温度帯は略60℃のみである。
これに対して、図15の(A)の本実施の形態2では、浸漬工程に異なる至的温度帯を設ける。具体的にはアミノ酸を生成するたんぱく質分解酵素の至適温度帯である第1温度帯と、第1温度帯よりも高温であってグルコースを生成するデンプン分解酵素の至適温度帯である第2温度帯を設ける。炊飯工程を開始し、加熱に伴い昇温し第1温度帯(略40℃)に至ると、第1温度帯を第1吸水工程の期間長さだけ維持するように加熱する。そして、第1吸水工程を終了後は、それに続く第2吸水工程期間において温度が、第1温度帯から第2温度帯(略60℃)に至るまで昇温するように加熱する。
このように、浸漬工程において酵素の至適温度帯を維持することで酵素の働きが活性化され、旨みの呈味成分であるアミノ酸と甘味の呈味成分であるグルコースの生成が促進される。その結果、良食味のご飯に炊き上げることができる。
取り分け、第2吸水工程開始後の初期の比較的短い期間(図15の(A)の期間TH)には、加熱量を多くして温度上昇速度を大きくし、第2温度帯に近付ける。期間THを経過後は、加熱量を少なくして、第2温度帯を超えないように、すなわち第2温度帯を維持するように緩やかに加熱制御する。これにより、第2温度帯に達するよりも早い段階で加熱量を増やすことで内釜7内の水が急激に加熱され昇温速度が大きくなり、第2温度帯に到達する時間を短縮することができる。続いて、それより少ない加熱量で加熱することにより第2温度帯を超過することなく効率よく第2温度帯を到達することができる。このような加熱制御により、米内在性の酵素の至適温度を精度よく維持することができ、甘味やうまみの引き出された良食味のご飯に炊き上げることができる。
実験によれば、第1吸水工程の期間長さを、炊飯工程開始後の6分〜16分に設定する方法(第1の方法という)と、炊飯工程開始直後(0分)〜16分に設定する方法(第2の方法という)とに異ならせても(第2吸水工程の期間長さは炊飯工程を開始後の16分〜27分の期間で共通)、同様の良食味のご飯に炊き上げることができた。したがって、炊飯工程では第1吸水工程として、第1の方法および第2の方法のいずれか一方を適用することになるが、いずれを適用したとしても、同様に良食味のご飯に炊き上げることができる。
図16には、本実施の形態2による炊飯工程のフローチャートが示される。当該フローチャートは、玄米炊飯のための加熱シーケンスのプログラムを示し、当該プログラムは予めメモリに格納される。メインCPU10aは、被加熱物量(玄米量)を図示しない重量センサの出力から、またはユーザ操作入力から取得し、当該プログラムに与える。プログラムは、IHヒータ12のDuty比および加熱時間のパラメータを取得する。加熱時間のパラメータには、第1吸水工程および第2吸水工程についての開始時間と終了時間とが含まれる。メインCPU10aは、例えば、被加熱物量(玄米量)から所定演算式を用いて、または、予め定めたテーブルを検索して、これらパラメータを取得する。被加熱物量(玄米量)に従い決定されるパラメータに基づき炊飯工程が実行されることで、玄米炊飯のための加熱シーケンスによれば、被加熱物量にかかわらず内釜7の温度を図15の(A)の変化特性に従って炊飯することができる。
動作において、まず、ユーザは、予め定めた量の玄米と、当該玄米量に応じた量の水を収容した内釜7を炊飯器本体1内にセットし、蓋体2を閉じる。玄米コースの指定操作をして炊飯/スタートスイッチ6Dを操作すると、メインCPU10aは当該操作指令を受付ける。
メインCPU10aは、受付けた操作指令(ステップS23)に基づき、玄米炊飯のための加熱シーケンスのプログラムをメモリから読出し、当該プログラムを実行する。メインCPU10aは当該プログラムに従って、IHヒータ12を含む各部を制御し、図15の(A)の炊飯工程が実行開始される(ステップS25)。
炊飯工程開始と同時に温度センサ15aも起動し、炊飯工程中の内釜7の温度が検知される。メインCPU10aは、温度がハンチングする場合は一定温度を維持するようにDuty比を制御する。なお、メインCPU10aは操作指令を受付けたとき(ステップS23)、重量センサの検出データに基づき内釜7がセットされていること、および被加熱物を収容した内釜7がセットされていることを判定したことを条件に、炊飯工程を開始するとしてもよい。
メインCPU10aは、炊飯工程開始後は、温度センサ15aの検知温度から第1温度帯に達したかを判定しながら(ステップS27)、第1吸水工程の開始時に内釜7の温度が第1温度帯に達するよう加熱制御する。
第1吸水工程の開始時に第1温度帯に達したことを判定すると(ステップS27でYES)、第1吸水工程の期間において検知温度が第1温度帯を維持するよう加熱制御する。タイマー16の出力から第1吸水工程の終了時を判定すると(ステップS31でYES)、メインCPU10aは、予め定めたDuty比で加熱制御することにより検知温度を急上昇させ、第2吸水工程の開始時間に第2温度帯に達するよう加熱制御する。この温度急上昇のための加熱制御は期間THだけ実行される(ステップS33)。
その後、メインCPU10aは、第2吸水工程の期間において検知温度が第2温度帯を維持するよう加熱制御する(ステップS35でNO、ステップS37)。タイマー16の出力から第2吸水工程の終了時を判定すると(ステップS35でYES)、メインCPU10aは、炊き上げ工程に移行し、その後に沸騰工程に移行するように加熱制御する。
沸騰継続後には内釜7に自由水はほとんどなくなっており、米は十分に糊化され飯となっている。その後、蒸らし工程に移る。蒸らし工程では、温度が90℃以下にならないようにIHヒータ12に関するDuty比が制御される。蒸らし工程が終了すると、炊飯工程は完了する。その後は、保温工程に移行する。
上記の玄米炊飯工程では、浸漬工程において第1温度帯に保持した後に、それよりも高い第2温度帯に移行させて保持することで、内釜7底部のIHヒータ12近傍の米の温度が、急激に上昇するのを防ぐことができる。また、浸漬工程で加熱するとしても、至適温度帯を保持するように加熱制御することで、玄米中の栄養成分が水中に流出するのを抑制できる。したがって、浸漬工程中に水中に流出した栄養成分によって玄米への吸水が妨げられるのを回避できる。
また、玄米の吸水は水温が高いほど促進されることが知られているが、本実施の形態2の浸漬工程において第1温度帯からより高い第2温度帯への移行期間を、比較的短い期間THとすることで、吸水のための浸漬工程時間を短縮でき、ひいてはトータルの炊飯工程時間を短縮することができる。
<浸漬工程における撹拌>
本実施の形態2では、浸漬工程において、図7のように展開状態の撹拌棒26により被加熱物を撹拌する(図7参照)。回転体制御部は、第1吸水工程が実行されるときは、被加熱物を第1撹拌量で間欠撹拌し、第2吸水工程が実行されるときは第1撹拌量よりも多い第2撹拌量で撹拌するように回転体25を制御する。第1吸水工程では、米粒の重なりを解くように撹拌し、第2吸水工程では、第1吸水工程よりも多めの撹拌量にして、米粒どうしを衝突させて表面が削られるようにする。
発明者らの実験によれば、浸漬工程で撹拌しない場合に比べて、撹拌した方が、より良食味のご飯に炊き上げることができた。
撹拌量に関し、回転体制御部は回転体25を150rpmで回転させるように制御する。第1吸水工程の回転に関し、第1の方法では、2分当たり1秒ONとなるDuty比に従い回転モータ24を駆動し、第2の方法では、回転モータ24を、1分当たり10秒ONとなるDuty比で約4分継続した後に、2分当たり1秒ONとなるDuty比で駆動する。第1吸水工程にいずれの方法を適用した場合でも、その後の第2吸水工程では、25秒当たり4秒ONした後、2分当たり1秒ONとなるDuty比で駆動する。
このように浸漬工程で被加熱物を撹拌することにより、被加熱物への熱伝導が促進されて、撹拌しない場合よりも早く第1または第2温度帯に達することができる。
また、撹拌により内釜7内の水温が均一にできて、米粒内部への吸水ムラを防止でき、炊飯されたご飯の食感のムラを低減し食味の良いご飯を得ることができる。具体的には、第1吸水工程では米の吸水が始まったばかりで十分でないため間欠撹拌することにより米粒どうしの重なりを低減し、水と米粒との接触面積を増やす効果がある。第2吸水工程の撹拌量を連続で行うことにより米粒同士の摩擦により米の表面のデンプンを適量削り、水中の含有デンプン粒を増加させることができる。デンプン粒は酵素との反応性が上がるので甘味が増量する。さらに、このデンプン粒は、沸騰工程を経た蒸らし工程では、ご飯粒を覆うように付着するので、ユーザがご飯粒を口に含んだときに甘味を感じ、程良い粘り気のある良食味に炊き上げることができる。また、デンプン粒で覆われることで表面が滑らかとなりご飯粒のツヤは増す。
<実施の形態2の構成>
実施の形態2の炊飯器100は、被加熱物を収容するための釜(内釜7)と、釜を加熱するための加熱部(IHヒータ12等)と、釜の温度を検知するための温度検知部(温度センサ15a)と、加熱部を加熱制御するための制御部(加熱制御部)と、を備え、制御部は、浸漬工程とその後の沸騰工程とを含んだ玄米炊飯工程の開始指示を受付けた場合に、浸漬工程において、アミノ酸を生成するたんぱく質分解酵素の至適温度帯で温度維持(第1吸水工程)した後、それより高いグルコースを生成するデンプン分解酵素の至適温度帯で温度維持(第2吸水工程)するように段階的に昇温するように制御する。
したがって、浸漬工程において酵素の至適温度帯を維持することで酵素の働きが活性化され、旨みの呈味成分であるアミノ酸と甘味の呈味成分であるグルコースの生成を促進させることにより、良食味のご飯に炊き上げることができる。
好ましくは、上記の炊飯器100は、釜内の被加熱物を撹拌するための撹拌部(撹拌棒26)と、撹拌部の撹拌動作を制御する撹拌制御部と、をさらに備え、撹拌制御部は、上記の浸漬工程で撹拌部を駆動させる。
したがって、温度維持するまでに撹拌することにより撹拌しない場合よりも早く至適温度に到達させることができる。また、撹拌することにより釜内部の水温が均一となり、米粒内部への吸水がムラなく行われ、食感のムラを低減し食味の良い炊き上がりが可能となる。
好ましくは、撹拌制御部は、第1吸水工程においては釜内の被加熱物を第1撹拌量で間欠撹拌し、第2吸水工程では第1撹拌量より多い第2撹拌量で撹拌するよう撹拌部を制御する。
したがって、第1吸水工程では米の吸水が始まったばかりで十分でないため間欠撹拌することにより米の重なりを低減し、水と米粒との接触面積を増やす効果がある。また、第2吸水工程では撹拌を連続で行うことにより米同士の摩擦により米の表面のデンプンを適量削り、デンプン粒を増加させる。デンプン粒は酵素との反応性が上がるので甘味が増量する。さらにこのデンプン粒はご飯粒を覆うので口に含んだときに甘味を感じ程良い粘り気のある良食味のご飯に炊き上げることができる。また、米粒表面が削られて、またデンプン粒で覆われることで、米粒表面を滑らかにしツヤを向上させることができる。
好ましくは、加熱制御部は、浸漬工程において、第2吸水工程の温度昇温の際第1加熱量で急激に加熱した後、第1加熱量よりも少ない第2加熱量で緩やかに加熱するように加熱部を制御する。
したがって、至適温度に達するよりも早い段階で加熱量を増やすことで釜内部に接している水が急激に加熱され浸漬水の昇温速度が大きくなり、至適温度に到達する時間を短縮することができる。続いて、それよりも少ない加熱量で加熱することにより至適温度を超過することなく効率よく至適温度にまで到達させることができる。これにより、米内在性酵素のための至適温度を精度よく維持することができ、甘味やうまみの引き出された良食味のご飯に炊き上げることができる。
<従来技術との比較>
上記の特許文献4と5に記載の炊飯方法では、吸水の工程で、鍋加熱時間に近い鍋底近傍の米の温度が、急激に上昇することを防ぐことができず米中の栄養成分が流出したり、米内部への吸水が妨げられたりすることから、おいしいご飯を均一に炊飯することができない、との課題を有する。また、米は水温が高いほど吸水が促進されるとの特徴を有するが、これら特許文献に記載の方法では吸水工程において低温度帯を段階的に通過するため、従来の一般的な炊飯シーケンス(60℃付近に一気に昇温するシーケンス)と同等の米の軟らかさを得る場合、吸水工程の時間を延長するしかなくトータルの炊飯時間が長くなってしまうという課題を有する。
上記の実施の形態2の玄米炊飯工程によれば加熱制御により至適温度帯に速やかに移行させることで炊飯工程時間を短くでき、特許文献4と5が有する課題を解消することができる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、炊飯器100が有する玄米炊飯コースのうち発芽玄米炊飯コースを説明する。発芽玄米は各種ミネラルをはじめとする栄養成分やγ-アミノ酪酸(GABA:Gamma-Amino Butyric Acid)やイノシトール、フェルラ酸、ビタミンE、フィチン酸等の機能性成分を多く含む。しかし玄米をそのまま白米同様に炊飯しても食味や消化吸収が悪いため、食用としてはこれらの課題が低減されている発芽玄米の方が好まれている。さらに、GABA含量等の栄養面でも発芽玄米の方が勝っており、健康志向の高まる昨今、発芽玄米は優れた機能性食品として評価されている。
発芽玄米は、一般には玄米を水中に浸漬し吸水させることで製造されるが、発芽まで長時間を要し、また製造過程で菌が増殖し、また発酵に伴う悪臭成分(炭酸ガス等)が発生するが、実施の形態3の発芽玄米炊飯コースによれば、発芽所要時間を短縮化し、菌の増殖、発芽に伴う悪臭成分(炭酸ガス等)の発生を抑制することができる。
図17は、本実施の形態3に係る浸漬工程の撹拌態様を説明する図である。図17では、回転体制御部は、回転モータ24の回転量(角度、方向)を制御することにより、撹拌棒26を蓋体2となす角度が略45°となるように保持する。これを、半展開状態と称する。半展開状態とは、撹拌棒26の先端部19a,19bが玄米に接することなくその上の浸漬水のみに接する(浸る)ような撹拌棒26の展開状態を示す。
回転体制御部は、被加熱物量から半展開状態のための回転量を取得する。具体的には、浸漬工程における浸漬水位は玄米量により変化するから、回転体制御部は、炊飯工程開始時に取得した玄米量から水位を推定し、推定した水位から、上記の半展開状態のための回転量を取得する。なお、水位または回転量の取得は、予め定めた演算式から算出することにより、または予め定めたテーブルを検索することにより取得する。
このように、撹拌棒26は、先端部19a,19bとは反対側の端部が回転体25側に回動可能に取り付けられて、先端部19a,19bが、回転体25から離れたり、近づいたりして離間する距離が可変となるように取り付けられる。
<動作>
本実施の形態3の発芽玄米炊飯シーケンスも、実施の形態1,2と同様に、内釜7の温度および加熱時間が変化するように加熱部を加熱制御するためのプログラムに相当する。プログラムは、加熱部に対する通電率(Duty比)を時間経過に従って変化するよう加熱部を制御するための機能を有する。プログラムはパラメータとして加熱時間、通電率および目標温度などに関する情報を含む。また炊飯シーケンスは、調理の進行に応じた炊飯工程を含み、メインCPU10aがシーケンス(プログラム)を実行することを、炊飯工程を実行するとも称する。
<実施の形態3の発芽玄米炊飯工程>
発明者らは、実験から、発芽玄米炊飯工程における浸漬工程では、浸漬水の容存酸素量を維持すれば発芽までの所要時間を短縮できるとの知見に至った。この知見に従う発芽玄米炊飯工程を図18と図19に示す。これらの図で示す実施の形態3の発芽玄米炊飯工程は、浸漬水中の溶存酸素量を維持するシーケンスを実行することによって短時間で発芽させる浸漬工程と、その後の加熱工程とを有する。加熱工程では、発芽による栄養成分が多く含まれた浸漬水ごと玄米を炊き上げる
<実験に基づく知見>
図20は、実施の形態3に係る容存酸素量の変化を示す実験結果のグラフであり、図21は、実施の形態3に係る玄米発芽の実験結果を示すグラフである。図20のグラフは、縦軸に容存酸素量(単位:mg/l)がとられて、横軸には経過時間がとられる。図20では、同じ量および同じ温度(目標温度30℃)の水について、浸漬物がない水のみのケース1と、玄米炊飯を想定したケース2および3とを示す。ケース2と3は、ケース1と同じ水量に対応した量の玄米を浸漬させたケースであるが、ケース2は撹拌するケースを、ケース3は撹拌しないケースを示す。
これらケースそれぞれについて、容存酸素量の時間変化を測定した。その結果、ケース1からは、時間が経過すれば、容存酸素量の自然減少することがわかるが、ケース2と3では、この減少速度がケース1に比べて速い。これは、玄米の発芽に酸素が消費されていることに起因する。ケース2と3を比較すると、ケース2の容存酸素量の減少速度は、ケース3に比較して遅くすることができる。つまり、玄米の浸漬水であっても、撹拌により浸漬水表面に漂う空気(酸素)を水中に引き込むことで、容存酸素量を補うことができ、減少速度を遅くできる、との知見を得た。
図21のグラフは、縦軸に発芽率(単位:%)がとられ、横軸に経過時間(単位:Hour)がとられる。図21には、炊飯器100の内釜7に予め定めた量の玄米と水(目標温度30℃)とで浸漬状態(撹拌あり)にしたケースAと、ビーカ内にケースAと同量の玄米と水(目標温度30℃)で浸漬状態(撹拌無し)にしたケースBとにおける水中の容存酸素量の変化が示される。グラフによれば、ケースBのように撹拌無し、すなわち空気を送らず容存酸素量が消費され続けるケースでは玄米の30%を発芽させるのに略18時間要したのに対し、撹拌し容存酸素量を維持するようにしたケースAでは、30%を発芽させるのに略6時間にまで短縮することができた。
これら実験から、発明者らは、発芽玄米炊飯工程における浸漬工程では、浸漬水の容存酸素量を撹拌により維持する(補う)ことで発芽までの所要時間を短縮できるとの知見に至った。そこで、実施の形態3では、浸漬工程において浸漬水を撹拌する工程を備えるようにする。
<実施の形態3の発芽玄米炊飯工程>
図18には、実施の形態3に係る発芽玄米炊飯工程の温度変化が示される。発芽玄米炊飯工程は、浸漬工程と、加熱工程とを含む。加熱工程は、時間順に炊き上げ工程、沸騰工程、および蒸らし工程を含む。その後は、保温工程に移行する。
図18を参照して、まず、メインCPU10aは、炊飯工程を開始後、すなわち浸漬工程の第1期間の開始によりIHヒータ12に通電し加熱制御する。ここで、第1期間とは内釜7内に収容された被加熱物を予め設定された目標温度(例えば30℃)にまで昇温するよう加熱制御する期間である。この目標温度は、上記の非特許文献に記載があるように、浸漬状態の玄米を発芽させるための浸漬水の温度を示す。
次に、回転体制御部は、回転モータ24に対して、制御信号を出力し、内蓋20の正回転動作に伴って撹拌棒26を内釜7内に完全に展開する。回転体制御部は、回転体25を回転させることにより、展開状態の撹拌棒26を内釜7内で回転させて、被加熱物を撹拌させる。回転体制御部は、温度センサ15aからの内釜7の温度データとタイマー16の計時に基づいて、回転モータ24を連続的または間欠的に回転させる。この回転に連動して展開状態の撹拌棒26により、内釜7内の被加熱物が撹拌される。
炊飯工程開始後は、加熱制御部によりIHヒータ12への通電が制御されて、被加熱物の加熱が開始される。加熱制御部は、目標温度(30℃)に達するまで展開状態の撹拌棒26により撹拌を行わせる。これにより、熱が米と水の混合物に効率的に移動し、内釜7内全体を短時間で目標温度に昇温させることができる。
仮に、この撹拌動作をしないとしたならば、メインCPU10aは温度センサ15aの出力から30℃に達したと判定した時点で、すなわちIHヒータ12で温められた内釜7とその付近のみが30℃に達した時点で一旦IHヒータ12をOFFする。しかし、この温度センサ15aで検知する温度は内釜7の内部温度と乖離しているため、まだ十分に温められていない内部の米と水により温度センサ15a付近の内釜7が冷やされて初めて、再度IHヒータ12がオン状態になる。よって実際に米と水の混合物が30℃に達するまでに長い時間が必要となる。
図18に戻り、メインCPU10aは、温度センサ15aの検知温度が浸漬工程の上限温度として予め定めた30℃を超える時間が一定時間続いたと判定すると、回転体制御部により回転モータ24を一旦停止させる。
次に、回転体制御部は、回転モータ24に対して、撹拌棒26を半展開状態に切替えるような回転量を示す制御信号を出力する。回転モータ24が制御信号に従い回転することで、撹拌棒26の先端部19a,19bが内釜7内の任意の位置(例えば撹拌棒26が蓋体2に対してなす角度が45°の位置)まで移動する。これは、撹拌棒26の先端部19a,19bが内釜7内の下方にある玄米には触れず、その玄米の上方にある水のみに触れる位置である(図17参照)。
その後、浸漬工程の第2期間に入る。第2期間とは、内釜7内に収容された玄米と水の混合物を目標温度(30℃)に保持する期間である。このとき、撹拌棒26を上記の半展開状態にして、回転体25を予め定めた回転数だけ回転させて、撹拌を行わせる。半展開状態の撹拌棒26により水のみの撹拌が行われることで水中への酸素取り込みが促進されて、浸漬中の米を傷つけることなく、浸漬水の溶存酸素量を保つ(補う)ことができる。
加熱制御部は、第2期間において目標温度(30℃)を維持するように、IHヒータ12の通電を制御する。ここで、撹拌棒26により流動性を付与するプログラムは、その設定によっては、ある温度帯のみの動作としてもよいし、時間で区切られたオンオフの繰り返しとしてもよい。
次に、メインCPU10aは第2期間の終了を判断すると、すなわち浸漬工程の終了を判定すると、回転体制御部は回転モータ24に制御信号を出力する。回転体25は制御信号が示す回転量だけ回転し、この回転に連動した撹拌棒26は、半展開状態から収納状態に切替えられて、撹拌動作は停止する。
その後は、実施の形態1,2と同様に加熱工程(立ち上げ工程→沸騰工程→蒸らし工程)に移行し、加熱工程を終了後は、保温工程に移行する。
図19は、本実施の形態3に係る加熱シーケンスのフローチャートである。当該フローチャートは、発芽玄米炊飯のための加熱シーケンスのプログラムを示し、当該プログラムは予めメモリに格納される。メインCPU10aは、被加熱物量(玄米量)を図示しない重量センサの出力から、またはユーザ操作入力から取得し、当該プログラムに与える。プログラムは、IHヒータ12のDuty比のパラメータおよび炊飯工程の各工程の時間、第1期間および第2期間を指示するパラメータ等を取得する。例えば、被加熱物量(玄米量)から所定演算式を用いて、これらパラメータを算出する。または、予め定めたテーブルを検索して、これらパラメータを取得する。被加熱物量(玄米量)に従い決定されるパラメータに基づき炊飯工程が実行されることで、発芽玄米炊飯のための加熱シーケンスでは、被加熱物量にかかわらず内釜7の温度を図18の特性に従うように変化させることができる。
まず、ユーザは、炊飯器本体1から取り出した内釜7に、予め定めた量の洗米した玄米と、当該玄米量に対応する量の水とを入れる。その後、内釜7を炊飯器本体1内にセットし、蓋体2を閉じる。発芽玄米コースの指定操作をして炊飯/スタートスイッチ6Dを操作すると、メインCPU10aは当該操作指令を受付ける。
メインCPU10aは、受付けた操作指令(ステップS41)に基づき、発芽玄米炊飯のための加熱シーケンスのプログラムをメモリから読出し、当該プログラムを実行する。メインCPU10aは当該プログラムに従って、IHヒータ12を含む各部を制御し、図18の炊飯工程が実行開始される(ステップS43)。炊飯工程開始と同時に温度センサ15aも起動し、炊飯工程中の内釜7の温度が検知される。メインCPU10aは、温度がハンチングする場合は一定温度を維持するようにDuty比を制御する。
加熱制御部は、炊飯工程開始後の第1期間において、温度センサ15aの検知温度から目標温度(30℃)に達したかを判定しながら(ステップS45)IHヒータ12を制御する。
目標温度に達したことを判定すると(ステップS45でYES)、加熱制御部は第2期間において目標温度を維持するようにIHヒータ12を制御する。
加熱制御部は、タイマー16の計時データから第2期間の終了、すなわち浸漬工程の終了を判定すると(ステップS49でYES)、炊き上げ工程を経て沸騰工程に移行し(ステップS51)、蒸らし工程後に炊飯工程は完了する。その後は、保温工程に移行する。
本実施の形態3では、浸漬工程において半展開状態の撹拌棒26を用いた撹拌によって浸漬水に酸素を混入させて溶存酸素量の低下を抑制することで、浸漬工程の比較的に短時間での発芽が可能になる。また、発芽時間が短縮されることで、発酵に伴う悪臭成分の発生を抑制できる。
また、溶存酸素量低下を防止するための撹拌機構に、洗米または実施の形態1,2の食味改善に用いられる撹拌機構を用いることができる、すなわちエアポンプ、その他の気泡発生装置、水循環のための特別機構等の専用システムを備える必要はない。
また、この浸漬工程に引き続いて加熱工程に移行することで、浸漬工程中の発芽により水に溶出した栄養分等(GABA等)を含んだまま、加熱工程に移行することで、食味に優れたご飯を炊き上げることができる。すなわち、炊飯器100中で玄米を発芽玄米へと変化させ、その後追加の操作を加えることなく栄養豊富な発芽玄米を炊飯することができる。
なお、実施の形態3では、浸漬工程終了後に撹拌棒26を収納状態に切替えているが、再び、展開状態に切替えて、立ち上げ工程で温度を均一にするために撹拌を加えても良い。また、沸騰工程では収納状態で内蓋18を回転させ、うま味成分を含む“おねば”(沸騰中に湧きあがってくる浸漬水)を釜内に留めるような制御を行ってもよい。
<実施の形態3の構成>
本実施の形態3の炊飯器100は、被加熱物を収容するための釜(内釜7)と、釜を加熱するための加熱部(IHヒータ12)と、釜の温度を検知するための温度検知部(温度センサ15a)と、加熱部を加熱制御するための制御部(加熱制御部)と、釜内の被加熱物を撹拌するための撹拌部(撹拌棒26)と、撹拌部の動作を制御する撹拌制御部と、を備える。浸漬工程とその後の沸騰工程とを含んだ発芽玄米炊飯工程の開始指示を受付けた場合に、撹拌制御部は、浸漬工程で撹拌部を駆動させる。
したがって、浸漬工程において撹拌部による撹拌がされることで、水面中の酸素を浸漬水に引き込み、溶存酸素量が低下するのを抑制する。これに引き続いて浸漬水と米をそのまま加熱して炊飯がされる。
上記の炊飯器100によれば、浸漬水の酸素濃度の発芽(玄米呼吸)に因る低下を抑制し、発芽反応に必要な酸素を供給することができるため、上記制御を持たない水の浸漬による発芽よりも急速に発芽させることができる。これにより発芽の短時間化が可能になる。
また、酸素を供給することで嫌気的なアルコール発酵が抑えられ、悪臭も発生しにくい。さらに、浸漬工程に用いた系のまま炊飯工程に移るため、浸漬水に溶出した栄養成分を損なわず、水替えをするものに比べて栄養豊富な発芽玄米を炊き上げることができる。
また、浸漬水の溶存酸素量の低下を抑制する手段として、撹拌部は、系内の米には直接触れることなく、米上部の水のみを撹拌する。好ましくは、比較的に高速で撹拌する。
このような撹拌部により、エアポンプ等を用いた専用のシステムを持たなくても簡単に溶存酸素量を保つことができる。さらに、撹拌部は炊飯中も釜内の温度を均一に保ったり、吹きこぼれを抑制したりするのに利用できる。
上記の炊飯器100は、炊飯器本体の上部に開閉可能に取り付けられ、上記内釜を覆うように閉じることが可能な蓋体と、炊飯器本体と上記蓋体との間に回転可能に配置された回転体(回転体25)と、回転体を回転させる駆動機構とを、さらに備える。撹拌部は、第1端部が上記回転体に回動可能に取り付けられて、上記第1端部とは反対側に位置する第2端部(先端部19a,19b)が、回転体から離間する距離が可変となるように(離れたり、近づいたり)取り付けられる。
駆動部が回転体を第1方向に回転させるための駆動力を発生することにより、撹拌部の第2端部が回転体から離れる一方、駆動部が回転体を第1方向とは反対方向の第2方向に回転させるための駆動力を発生することにより、撹拌部の上記第2端部が上記回転体に近づくように制御し、撹拌部の第2端部を任意の位置で固定するよう駆動力を制御する。これにより、米上部の浸漬水のみが撹拌される。
上記の任意の位置は、釜内に収容された被加熱物の量から決定する。より好ましくは、釜内の米量と水位を検知し、この検知に基づいて上記の任意の位置を取得する。したがって、米量および加水量に関わらず、米を傷付けずに米上部の浸漬水のみを撹拌するための任意の位置を取得できる。
好ましくは、撹拌制御部は、浸漬工程の初期(第1期間)には、米と水全体を撹拌するように、撹拌部を、回転体の回転面に対して完全な展開状態(位置Aとする)を取るように制御し、一定時間後に上記第2方向に回転させるための駆動力を発生することにより撹拌部の第2端部を米に触れない位置まで移動させ(位置Bとする)、少なくとも浸漬工程終了まで(第2期間)は、位置Bで撹拌する制御する。
したがって、浸漬工程初期に全体を撹拌することで釜内を、発芽に適した温度帯に急速に合わせこむことができる。更に、一旦温度が合えば撹拌部が上記の位置Bの形を取り、米を破砕することなく浸漬水の溶存酸素濃度を保つことができる。
<従来技術との比較>
上記の非特許文献1は、玄米の呼吸に伴う溶存酸素量の低下を抑制することで発芽が促進されることを示しており、具体的な方法として、特許文献6が開示する浸漬中にバブリングする方法、特許文献7の撹拌する等何らかの手段によって浸漬水中に酸素を混入する方法が提案されている。これら方法は、あくまで発芽玄米製造のみに特化しているため、エアポンプかその他気泡を発生させる装置や水を循環させる機構等、専用のシステムが必要となっている。さらに、これらの場合発芽後に乾燥工程を経るため、発芽工程で水に溶出した栄養分等は捨てられることになる。
また、特許文献8と9は、玄米を水に浸漬した後そのまま炊き上げる炊飯器を開示するが、これらは単純に玄米を水に浸漬させる時間を設けることで発芽させるか、浸漬直後から増加が始まるGABAを玄米より増やすことに特化している。そのため、浸漬の工程ではそれぞれに適した温度制御を行うのみであり、それ以外に発芽を促進するような機構は設けられておらず、炊飯器において、玄米発芽をより促進する機能の提供が望まれる。
これに対して、実施の形態3に係る発芽玄米炊飯工程では、上記したように撹拌機能により発芽を促進し、短時間で発芽玄米炊飯が可能とされる。
<実施の形態の変形例>
撹拌棒26による被加熱物の撹拌としては、炊飯工程を開始する前の、米の研ぎ工程としての洗米工程の撹拌動作に利用することができる。
また、実施の形態では、回転モータ24とタイミングベルト21とツインブレードメカ20aと内蓋18と撹拌棒26による撹拌機構を構成したが、撹拌機構はこれに限らず、内釜7内の底面に設けられた撹拌翼などを用いた機構であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。