JP5939973B2 - 炊飯器 - Google Patents

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Description

この発明は、米飯を炊き上げる炊飯器に係り、特に、もちもちした美味しい米飯を炊くことのできる新規な炊飯制御を有する炊飯器および炊飯方法に関するものである。
一般的にかまどで炊き上げた米飯はもちもちしており、美味しいと言われている。その理由として、かまどでの炊飯は火力を気にせず炊き上げることができ、米飯を高温に保つことが出来るからと言われている。
このかまどでの炊飯を模して米飯を炊き上げる際の沸点を100℃以上の高温にする圧力式炊飯器が開発された。このものにあってはもちもち感を有した米飯を炊くことは出来たが構造が複雑であった。
このような状況に鑑み、圧力式でない構造が簡単な炊飯器でももちもちした粘りを有する米飯を炊き上げる方法について種々検討なされている。例えば、一つの方法として米飯を炊く際の予熱工程の温度と時間を調整するもの(特許文献1参照)が考えられており、また、他の方法として、米飯が炊き上がった後の蒸らし工程において、米飯に高温の熱水を吹きかけるもの(特許文献2参照)が考えられている。
特開2001−46224号公報 特開2008−104683号公報
しかし、前者の方法では、「米飯のもちもちさ」は「糊化の程度」に大きく影響されるため、予熱工程において十分な時間糊化させようとすると、米飯の表面組織が軟化し吸水が妨げられると言う現象が生じた。すなわち、予熱工程においては米飯への吸水を促進させることが重要であるにも関わらず、結果として米飯への吸水を妨げているため、炊き上がり後の米飯の表面が崩れ、内部には芯が残り、十分な粘りを得ることが難しいものであった。
また、後者の方法では「米飯のもちもちさ」を得るために、熱水を加えるための機構、加える熱水量、タイミングなど構造が複雑になるものであった。
この発明は上記した点を背景としてなされたものであり、焦がすことなく米飯の糊化を促進することのできる炊飯器を得ることを目的としているものである。
この発明に係る炊飯器は、上面に開口を有する本体と、前記本体を開閉する蓋体と、前記本体の内部に収容される釜と、前記釜を加熱する加熱手段と、前記釜及び米飯の少なくとも一方の温度を検知する温度検知手段と、米種、メニュー、仕上がりの硬さ及び仕上がりの粘りの程度のうちの少なくとも1つ以上に対応した炊飯モードを選択するモード選択手段と、前記加熱手段の通電制御を行い、炊飯制御を実行する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記炊飯制御の工程として、前記釜内の余分な水分を蒸発させる工程であって、前記釜及び米飯の少なくとも一方の温度を沸騰温度よりも高温でかつ米飯が焦げないような一定温度であるドライアップピーク温度に維持するドライアップ工程を備え、前記ドライアップ工程は、前記釜内の沸騰を検知した後に実行され、前記制御手段は、前記ドライアップ工程において前記温度検知手段からの温度情報に基づいて前記加熱手段への電力の供給を制御するとともに、前記モード選択手段で選択された炊飯モードの仕上がりの粘りの程度に応じて前記ドライアップ工程の開始から前記ドライアップピーク温度に至るまでの時間、又は前記ドライアップピーク温度に維持させる時間を制御するものである。
この発明によれば、焦がすことなく米飯の糊化を促進することができるため、美味しい米飯を炊くことができる。
炊飯器の構成を示す断面模式図である。 炊飯器の操作/表示部の正面図である。 実施の形態1に係る炊飯器において、粘りレベルが「強」である場合の温度に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフと、そのときの通電率及び通電量の関係である。 実施の形態1に係る炊飯器において、粘りレベルが「中」である場合の温度に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフと、そのときの通電率及び通電量の関係である。 実施の形態1に係る炊飯器において、粘りレベルが「弱」である場合の温度に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフと、そのときの通電率及び通電量の関係である。 実施の形態1に係る炊飯器の炊飯工程の温度に関する動作を示すフローチャートである。 実施の形態1に係るドライアップ工程のピーク温度が110℃の場合の粘りの強さを基準とした各温度の相対的な粘りの強さを示すグラフである。 実施の形態2に係る炊飯器において、粘りレベルが「強」である場合の時間に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフと、そのときの通電率及び通電量の関係である。 実施の形態2に係る炊飯器において、粘りレベルが「中」である場合の時間に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフと、そのときの通電率及び通電量の関係である。 実施の形態2に係る炊飯器において、粘りレベルが「弱」である場合の時間に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフと、そのときの通電率及び通電量の関係である。 実施の形態2に係る炊飯器の炊飯工程の時間に関する動作を示すフローチャートである。 実施の形態2に係るドライアップ工程のピーク温度に達するまでの時間が10分の場合の粘りの強さを基準とした各時間の相対的な粘りの強さを示すグラフである。 実施の形態3に係るドライアップ工程の炊飯中の釜温度の推移を示すグラフと、そのときの通電率及び通電量の関係である。 実施の形態3に係る炊飯器の炊飯工程の動作を示すフローチャートである。 実施の形態4に係る炊飯器において、粘りレベルが「強」である場合の温度に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフと、そのときの通電率及び通電量の関係である。 実施の形態4に係る炊飯器において、粘りレベルが「中」である場合の温度に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフと、そのときの通電率及び通電量の関係である。 実施の形態4に係る炊飯器において、粘りレベルが「弱」である場合の温度に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフと、そのときの通電率及び通電量の関係である。 実施の形態4に係る炊飯器の炊飯工程の動作を示すフローチャートである。 実施の形態5に係る炊飯器において、粘りレベルが「強」である場合の時間に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフである。 実施の形態5に係る炊飯器において、粘りレベルが「中」である場合の時間に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフである。 実施の形態5に係る炊飯器において、粘りレベルが「弱」である場合の時間に着目した炊飯中の釜温度の推移示すグラフである。 実施の形態5に係る炊飯器の炊飯工程の動作を示すフローチャートである。 実施の形態5に係る蒸らし工程を90℃から100℃の温度域で15分行った場合の粘りの強さを基準とした各時間の相対的な粘りの強さを示すグラフである。
本発明に係る炊飯器の実施の形態について図面を参照して説明する。以下本願発明の実施の形態1について図1乃至図7を用いて説明する。実施の形態1は、ドライアップ工程の温度を調整することで米飯の粘りの程度を調節するものである。
実施の形態1
この発明の実施の形態1を図1乃至図7を用いて説明する。この実施の形態1は炊飯工程におけるドライアップ工程に温度調整による米飯の粘りの程度を調節する粘り調節工程を設けたことを特徴とするものである。
まず、図1に基づいて実施の形態1に係る炊飯器の構成について説明する。
炊飯器100は、外観が有底筒状に形成された本体1と、外蓋10aと内蓋10bとで構成される蓋体10と、容器カバー2と、鍋底を加熱する加熱手段として加熱コイル3と、鍋側面を加熱する加熱手段として側面加熱手段28と、蓋に備えられた加熱手段として蓋ヒーター29と、鍋底温度センサー4と、蓋体を開閉自在に支持するヒンジ部6と、制御手段8と、を備えている。なお、加熱手段として、加熱コイル3に代えてシーズヒーターを設けてもよい。
容器カバー2は、有底筒状に形成されていて、その内部に釜5が着脱自在に収容される。容器カバー2の底部中央には、鍋底温度センサー4を挿入させる孔部2aが設けられている。鍋底温度センサー4は、例えばサーミスタからなる。
外蓋10aは、上面に操作/表示部13が設けられているとともに、内蓋10bまで貫通するカートリッジ12が着脱自在に取り付けられている。このカートリッジ12には、炊飯中に発生する蒸気圧に応じて上下動する弁を備えた蒸気取入口12aと、蒸気取入口12aの弁を通過した蒸気を外部へ排出する蒸気排出口12bとが設けられている。
内蓋10bは、外蓋10aの本体1側の面に係止材11を介して取り付けられている。内蓋10bの周縁部には、釜5の上端部外周に形成されたフランジ部5aとの密閉性を確保するためのシール材の蓋パッキン9が取り付けられている。また、内蓋10bには、釜5内の温度を検知する例えばサーミスタからなる内部温度センサー14が取り付けられている。
制御手段8は、鍋底温度センサー4、時間計測手段7、操作/表示部13、内部温度センサー14からの出力に基づいて加熱コイル3、側面加熱手段28、蓋ヒーター29へ通電する高周波電流を制御するほか、炊飯器の動作全般を制御する。制御手段8は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
次に、操作/表示部13について詳細を図2に示す。図2は実施の形態1に係る炊飯器の操作/表示部13の正面図である。
中央に液晶表示板15が配置され、液晶表示板15に、時刻、米種として「白米」「無洗米」「玄米」「発芽玄米」の印刷表示16、仕上がりの硬さとして「ふつう」「かため」「やわらか」の印刷表示17、仕上がりの粘りの程度として「強」「中」「弱」の印刷表示18、メニューとして「白米」「おかゆ」「炊きこみ」の印刷表示19が表示される。液晶表示板15の左側に、米種表示16の米種を選択する米種選択スイッチ20と、硬さのレベル表示17の硬さを選択する硬さのレベル選択スイッチ21と、粘りのレベル表示18の粘りを選択する粘りのレベル選択スイッチ22と、メニュー表示19のメニューを選択するメニュー選択スイッチ23と、切/保温スイッチ24が設けられ、液晶表示板15の右側に、炊飯スイッチ25、予約スイッチ26、時刻スイッチ27が設けられている。
次に、本実施の形態1に係る炊飯器の炊飯動作を図3乃至図6を用いて説明する。
まず、使用者は操作表示部13におけるスイッチ群を操作し、所望の炊飯を設定する。今、「白米」、「ふつう」のかたさ、いずれかの粘りの程度が設定され、炊飯スイッチ25が接触されたとする。すると、図6に示したフローチャートに基づき炊飯を開始する。
ステップS1にて粘り程度選択スイッチ22からの粘り程度を示す信号に基づいて設定された米飯の粘り程度を判定し、ステップS2の予熱工程に進む。予熱工程は釜5内の水が沸騰する前の段階で、釜5を所定温度、所定時間加熱して米の吸水を促進し、甘味成分である糖や旨味成分であるアミノ酸などの呈味成分を生成する工程である。制御手段8は鍋底温度センサー4からの温度情報に従い、図3乃至図5に示すように釜温度がT0’まで加熱手段3に所望の電力が供給されるよう制御し、釜温度がT0’になると時間計測手段7からの時間情報が時間t0’を示すまでその釜温度を維持するよう加熱手段3への電力の供給をオンオフ制御する。
時間計測手段7からの時間情報が時間t0’を示すと、ステップS3の沸騰前工程に進む。沸騰前工程は予熱工程終了後から釜5内の水が沸騰、つまり、鍋底温度センサー4からの温度情報が釜5内の沸騰を検知するまでの工程である。予熱工程よりもさらに吸水が進み、米の澱粉の糊化が始まる。制御手段8は時間計測手段7からの時間情報が時間t0’を示すと、鍋底温度センサー4からの温度情報に従い、図3乃至図5に示すように釜温度が沸騰検知温度T0になるまで加熱手段3に所望の電力が供給されるよう制御する。なお、この実施の形態1では沸騰検知温度T0の判定を鍋底温度センサー4からの温度情報によって行ったが、内部温度センサー14からの温度情報、もしくは両者からの温度情報に基づいて沸騰検知温度T0の判定を行うようにしても良い。
制御手段8が鍋底温度センサー4からの温度情報によって沸騰検知温度T0と判定するとステップS4の沸騰維持工程に進む。沸騰維持工程は沸騰検知後に釜5内の米および水を高温に保持することで米飯の澱粉の糊化を促進し、米飯を炊き上げる工程であり、所定の時間、釜5内の米飯が焦げ付かないような入力で加熱する。制御手段8は時間計測手段7からの時間情報が沸騰検知温度T0と判定した後、所定の時間経過するまで所望の電力が供給されるように制御する。なお、沸騰維持工程の時間は鍋底温度センサー4の温度変化から釜5内の水分量を判定、つまり、釜5内の余分な水分がなくなったと推定することにより、決定しても良い。
制御手段8が沸騰検知温度T0と判定後所定の時間経過するとステップS5のドライアップ工程に進む。ドライアップ工程は水分を米の中心まで完全に吸水させ、米飯の中心まで完全に糊化させ、余分な水分が釜内にあれば完全に蒸発させる工程であり、沸騰検知温度T0より高いドライアップピーク温度(ドライアップ工程における最高の温度)まで釜温度を上昇させ、米の糊化を促進する工程である。このドライアップ工程に粘り調節工程を設けてある。粘り調節工程は粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度「強」「中」「弱」に基づいてドライアップピーク温度を変更する工程である。粘り程度「弱」「中」「強」の順に、ドライアップピーク温度を高くして米の糊化度を高くし、粘り程度を順に強くしている。十分吸水された米飯を高温に保持、また、温度を高くすることにより、澱粉の糊化度を高められ、粘りが強い米飯を炊き上げられると言う実験結果に基づき、ドライアップ工程に粘り調節工程を設けたものである。
制御手段8はステップS5のドライアップ工程に進むと、ステップS51で鍋底温度センサー4からの温度情報を取り込み、ステップS52で粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「強」であるか否かを判定する。「強」に設定されていると、ステップS53に進む。図3は「強」に設定された場合の釜温度曲線と粘り調節工程における加熱手段3への通電率および通電量を示している。なお、通電率とは一定時間における通電時間の割合であり、図3において山の幅の大きさで示しており、山の幅が大きいと通電率が高く、山の幅が小さいと通電率が低いことを示す。
制御手段8はステップS53にて鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T1、この実施の形態1では130℃であるか否かを判定し、ドライアップピーク温度T1未満であるとステップS531に進み、加熱手段3への電力供給を継続させ、ステップ51に戻り、以下順に、ステップS52、ステップS53、ステップS531と繰り返し、鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T1になるまで加熱手段3への電力供給を継続させる。この時の加熱手段3への電力供給は図3に示す通電率を大きくした通電率パターンに基づいて行っても良く、また、図3に示す通電量を大きくした通電量パターン(ドライアップ工程開始後ドライアップピーク温度T1に達するまでの通電量w1)に基づいて行っても良い。
ステップS53にて鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T1に達したと判定すると加熱手段3へ電力供給を停止させ、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下になるとステップS6の蒸らし工程に進む。なお、蒸らし工程に進むに際し、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下としたが、時間計測手段7からの時間情報に基づきドライアップピーク温度T1に達した後所定の時間経過後に蒸らし工程に進むようにしても良い。
また、粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「中」であると、ステップS52からステップS521に進み、ステップS522にて鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T2、この実施の形態1では120℃であるか否かを判定し、ドライアップピーク温度T2未満であるとステップS5221に進み、加熱手段3への電力供給を継続させ、ステップ51に戻り、以下順に、ステップS52、ステップS521、ステップS522、ステップS5221と繰り返し、鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T2になるまで加熱手段3への電力供給を継続させる。この時の加熱手段3への電力供給は図4に示す通電率を「強」の場合に比して小さくした通電率パターンに基づいて行っても良く、また、図3に示す通電量を「強」の場合に比して小さくした通電量パターン(ドライアップ工程開始後ドライアップピーク温度T2に達するまでの通電量w2<w1)に基づいて行っても良い。
ステップS522にて鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T2に達したと判定すると加熱手段3へ電力供給を停止させ、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下になるとステップS6の蒸らし工程に進む。なお、蒸らし工程に進むに際し、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下としたが、時間計測手段7からの時間情報に基づきドライアップピーク温度T1に達した後所定の時間経過後に蒸らし工程に進むようにしても良い。
さらに、粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「弱」であると、ステップS521からステップS5211に進み、ステップ5211にて鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T3、この実施の形態1では110℃であるか否かを判定し、ドライアップピーク温度T3未満であるとステップS52111に進み、加熱手段3への電力供給を継続させ、ステップS51に戻り、以下順に、ステップS52、ステップS521、ステップS5211、ステップS52111と繰り返し、鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T3になるまで加熱手段3への電力供給を継続させる。この時の加熱手段3への電力供給は図5に示す通電率を「中」の場合に比して小さくした通電率パターンに基づいて行っても良く、また、図4に示す通電量を「中」の場合に比して小さくした通電量パターン(ドライアップ工程開始後ドライアップピーク温度T3に達するまでの通電量w3<w2<w1)に基づいて行っても良い。
ステップS5211にて鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T3に達したと判定すると加熱手段3へ電力供給を停止させ、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下になるとステップS6の蒸らし工程に進む。なお、蒸らし工程に進むに際し、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下としたが、時間計測手段7からの時間情報に基づきドライアップピーク温度T1に達した後所定の時間経過後に蒸らし工程に進むようにしても良い。
蒸らし工程は米飯の表面についた水分を蒸発させ、米飯の水分を均一にし、米飯内部を完全に糊化させるための工程であり、米飯が焦げ付かず、釜温度が80℃以上を所定時間保持する工程である。所定時間経過後、炊飯を終了し、加熱手段3への電力供給を停止させる。
図7はこの実施の形態1に基づいて炊飯を実施した場合、ドライアップ工程の粘り調節工程におけるドライアップピーク温度を横軸に、炊き上がった米飯の粘り程度をドライアップピーク温度が110℃(粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「弱」)の時を1として相対比較した値を縦軸に示した図である。
この図7から明らかなように、ピーク温度が120℃(粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「中」)、130℃(粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「強」)のときそれぞれ1.08、1.19を示しており、米飯における粘りの炊き分けが実現できている。このようにドライアップ工程のピーク温度を高くすることで粘りの程度を強くすることが可能である。
言い換えれば、使用者の好みに応じて粘り程度の異なったもちもちした美味しい米飯を炊くことができるものである。
なお、この実施の形態1においては、釜温度として鍋底温度センサー4からの温度情報を中心とした実施例として示したが、内部温度センサー14からの温度情報、言い換えれば米飯の温度情報を中心として制御するようにしても同様の効果を奏するものである。
さらに、本実施の形態1では説明の都合上粘りのレベルを「強」、「中」、「弱」の三段階で説明したが、三段階に限るものではない。以下に示す実施の形態2乃至8でも上記同様に三段階に限るものではない。
実施の形態2
次に、この発明の実施の形態2について図8乃至図12を用いて説明する。
実施の形態2は、実施の形態1が炊飯工程におけるドライアップ工程に温度調整による米飯の粘りの程度を調節する粘り調節工程を設け、この粘り調節工程におけるドライアップピーク温度を変えて粘り程度を変えたものに対し、ドライアップピーク温度までの時間を変えた、つまり、粘り程度「弱」「中」「強」の順に当該時間を長くしたものである。その他の点については実施の形態1と同じか相当なものとしている。
以下、実施の形態1と相違する点を中心に炊飯器の炊飯動作を説明する。
炊飯を開始し、ステップS1からS4までは実施の形態と同じ動作をする。
制御手段8はステップS5のドライアップ工程に進むと、ステップS51aで時間計測手段7からの時間情報に基づきドライアップ経過時間tを取り込み、ステップS52aで粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「強」であるか否かを判定する。「強」に設定されていると、ステップS53aに進む。図8は「強」に設定された場合の釜温度曲線と粘り調節工程における加熱手段3への通電率および通電量を示している。
制御手段8はステップS53aにて時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t1、この実施の形態2では20分であるか否かを判定し、調節用時間t1未満であると、図8に示す通電率を小さくした通電率パターンもしくは通電量を小さくした通電量パターン(ドライアップ工程開始所定時間後における通電量w1’が小さい)に基づいて加熱手段3への電力供給を継続させ(S531a)、ステップ51aに戻る。以下順に、ステップS52a、ステップS53a、ステップS531a、ステップS51aと繰り返し、時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t1になるまで加熱手段3への電力供給を継続させる。なお、粘り調節用時間t1はドライアップ工程開始からドライアップピーク温度T’(この実施の形態2では120℃)までの時間である。
ステップS53aにて時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t1に達したと判定すると加熱手段3へ電力供給を停止させ、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下になるとステップS6の蒸らし工程に進む。なお、蒸らし工程に進むに際し、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下としたが、時間計測手段7からの時間情報に基づき粘り調節用時間t1後所定の時間経過後に蒸らし工程に進むようにしても良い。
また、粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「中」であると、ステップS52aからステップ521aに進み、ステップ522aにて時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t2、この実施の形態2では15分であるか否かを判定し、粘り調節用時間t2未満であると図9に示す通電率を「強」の場合に比して大きくした通電率パターンもしくは通電量を「強」の場合に比して大きくした通電量パターン(ドライアップ工程開始所定時間後における通電量w2’>w1’)に基づいて加熱手段3への電力供給を継続させ、ステップ51aに戻る。以下順に、ステップS52a、ステップS521a、ステップS522a、ステップS5221a、ステップS51aと繰り返し、時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t2になるまで加熱手段3への電力供給を継続(S5221a)させる。
ステップS522aにて時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t2に達したと判定すると加熱手段3へ電力供給を停止させ、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下になるとステップS6の蒸らし工程に進む。なお、蒸らし工程に進むに際し、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下としたが、時間計測手段7からの時間情報に基づき時間計測手段7からの時間情報に基づき粘り調節用時間t1後所定の時間経過後に蒸らし工程に進むようにしても良い。
さらに、粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「弱」であると、ステップS521aからステップ5211aに進み、ステップ5211aにて時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t3、この実施の形態2では10分であるか否かを判定し、時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t3未満であると図10に示す通電率を「中」の場合に比して大きくした通電率パターンもしくは通電量を「中」の場合に比して大きくした通電量パターン(ドライアップ工程開始所定時間後における通電量w3’>w2’>w1’)に基づいて加熱手段3への電力供給を継続(S52111a)させ、ステップ51aに戻る。以下順に、ステップS52a、ステップS521a、ステップS5211a、ステップS52111a、ステップS51aと繰り返し、時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t3になるまで加熱手段3への電力供給を継続させる。
ステップS5211aにて時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t3に達したと判定すると加熱手段3への電力供給を停止させ、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下になるとステップS6の蒸らし工程に進む。なお、蒸らし工程に進むに際し、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下としたが、時間計測手段7からの時間情報に基づき粘り調節用時間t3後所定の時間経過後に蒸らし工程に進むようにしても良い。
図12はこの実施の形態2に基づいて炊飯を実施した場合、ドライアップ工程の粘り調節工程における粘り調節用時間tを横軸に、炊き上がった米飯の粘り程度を粘り調節用時間tが10分粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「弱」)の時を1として相対比較した値を縦軸に示した図である。
この図12から明らかなように、粘り調節用時間tが15分(粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「中」)、20分(粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「強」)のときそれぞれ1,12、1,21であった。ドライアップピーク温度を120℃とした場合、粘り調節用時間tを10分延ばすことで21%程度粘りが向上し、粘り調節用時間tを長くすることで粘りの程度を強くすることが可能である。
言い換えれば、使用者の好みに応じて粘り程度の異なったもちもちした美味しい米飯を炊くことができるものである。
なお、この実施の形態2においては、釜温度として鍋底温度センサー4からの温度情報を中心とした実施例として示したが、内部温度センサー14からの温度情報、言い換えれば米飯の温度情報を中心として制御するようにしても同様の効果を奏するものである。
実施の形態3
次に、この発明の実施の形態3について図13及び図14を用いて説明する。
実施の形態1が炊飯工程におけるドライアップ工程に温度調整による米飯の粘りの程度を調節する粘り調節工程を設け、この粘り調節工程におけるドライアップピーク温度を変えて粘り程度を変えたものであり、実施の形態2が炊飯工程におけるドライアップ工程に時間調整による米飯の粘りの程度を調節する粘り調節工程を設け、この粘り調節工程におけるドライアップピーク温度に達するまでの時間を変えて粘り程度を変えたものであるのに対し、実施の形態3は、粘り調節工程としてドライアップピーク温度を所定の温度で所定の時間維持したものである。
すなわち、制御手段8は鍋底温度センサー4、時間計測手段7、操作/表示部13の全てのスイッチ、および内部温度センサー14からの出力に基づいて加熱手段3へ通電する高周波電流を制御、つまり、鍋底温度センサー4からの温度が図13にて釜温度を示す曲線になるよう加熱手段3への通電量と通電時間の制御を行うとともに、炊飯器の動作全般を制御する。そして、制御手段8は粘り調節工程においてドライアップピーク温度を所定の温度で所定の時間維持させる電力供給を加熱手段3に行わせるようにしたものである。
以下、実施の形態1と相違する点を中心に炊飯器の炊飯動作を説明する。
炊飯を開始し、ステップS1からS4までは実施の形態と同じ動作をする。
制御手段8はステップS5のドライアップ工程に進むと、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0よりも高いドライアップピーク温度T4(例えばこの実施の形態3では110℃)へ向けて加熱手段3への電力供給を行い、ステップS51bにて保持時間をリセット(0にセット)し、ステップS52bに進む。
制御手段8はステップS52bにて鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T4に達するか否かを判定し、温度情報がドライアップピーク温度T4に未満であるとステップS521bに進み、加熱手段3への電力供給を継続させ、ステップ51bに戻る。以下順に、ステップS52b、ステップS521b、ステップS51bと繰り返し、鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T4になるまで加熱手段3への電力供給を継続させる。
ステップS52bにて鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T4に達したと判定すると、ステップS53bにて時間計測手段7からの時間情報に基づき保持時間tの計測を開始する。ステップS55bにて保持時間tが所定時間t4に達するか否かを判定し、保持時間tが粘り調節用時間(保持時間)t4未満であると、ステップS53bに進み、鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T4を維持するように加熱手段3への電力供給を行う。この電力供給は鍋底温度センサー4からの温度情報がドライアップピーク温度T4を維持するよう加熱手段3への電力の供給をオンオフ制御する。
以下これらステップを繰り返し、時間計測手段7からの時間情報に基づいた保持時間tが粘り調節用時間t4になるまで加熱手段3への電力供給を継続し、釜温度をドライアップピーク温度T4に維持させ、保持時間tが粘り調節用時間t4に達すると、加熱手段3への電力供給を停止させ、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下になるとステップS6の蒸らし工程に進む。なお、蒸らし工程に進むに際し、鍋底温度センサー4からの温度情報が沸騰検知温度T0(100℃)以下としたが、時間計測手段7からの時間情報に基づき粘り調節用時間t4後所定の時間経過後に蒸らし工程に進むようにしても良い。
この実施の形態3では、加熱手段3により温度調整を行って所定時間(粘り調節用時間t4)釜温度をドライアップピーク温度T4に維持させるようにしたので、米飯の糊化程度が調整しやすく、粘り程度が高精度に調整できるものである。
また、ドライアップピーク温度T4を米飯が焦げないような温度である110℃に設定しているため、釜に接する米飯が黄ばんだり、硬くなったり、さらには焦げが発生することもなく、粘りの高い米飯が得られる。なお、粘り程度選択スイッチ22からの粘り程度「強」、「中」、「弱」を示す信号と連動させ、「強」、「中」、「弱」に応じて、粘りのレベルが強いほどドライアップピーク温度T4を高くする設定にすれば、好みに応じた粘りを持つ米飯が得られる。
この実施の形態3では粘り調節用時間を1つのものとしたが、実施の形態2に示したように、粘り程度選択スイッチ22からの粘り程度「強」、「中」、「弱」を示す信号と連動させ、「強」、「中」、「弱」に応じて、粘りのレベルが強いほど粘り調節用時間t4を長くする設定にすれば、好みに応じた粘りを持つ米飯が得られる。
上記実施の形態1乃至3に記載のドライアップ工程において、加熱手段として主に鍋底に配置された加熱コイル3が用いられるが、側面加熱手段28及び蓋ヒーター29へも入力比率を配分することで、米飯を焦がさず所望の粘りを有する米飯を得ることが出来る。
実施の形態4
次に、この発明の実施の形態4について図15乃至図18を用いて説明する。
実施の形態4は、ドライアップ工程終了後の蒸らし工程の温度を調節したものである。つまり、粘り程度「弱」「中」「強」の順に当該温度を高くしたものである。その他の点については実施の形態1と同じか相当なものとしている。
以下、実施の形態1と相違する点を中心に炊飯器の炊飯動作を説明する。
炊飯を開始し、ステップS1からS4までは実施の形態と同じ動作をする。
制御手段8はステップS5のドライアップ工程が終了し、ステップ6の蒸らし工程に進むと、ステップS61で鍋底温度センサー4からの温度情報を取り込み、ステップS62で粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「強」であるか否かを判定する。「強」に設定されていると、ステップS63に進む。図15は「強」に設定された場合の釜温度曲線T5と加熱手段3への通電率および通電量を示している。そして上記温度曲線T5で所定の時間蒸らし工程を行うと電力供給を停止し炊飯が終了する。
また、粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「強」ではなかった場合、ステップS62からステップ621に進む。そしてステップ621にて設定された粘りの程度が「中」であった場合ステップS622に進む。図16は「中」に設定された場合の釜温度曲線T6と加熱手段3への通電率および通電量を示している。そして上記温度曲線T6で所定の時間蒸らし工程を行うと電力供給を停止し炊飯が終了する。
さらに、粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「中」でもなかった場合、ステップS621からステップ6211に進む。図17は「弱」に設定された場合の釜温度曲線T7と加熱手段3への通電率および通電量を示している。そして上記温度曲線T7で所定の時間蒸らし工程を行うと電力供給を停止し炊飯が終了する。
上記温度曲線を維持するための通電率は「強」の場合が一番大きく、「弱」の場合が一番小さい。さらに、上記温度を維持するための通電量パターン(w4>w5>w6)の関係がある。
本実施の形態4に基づいて炊飯を実施した場合の実施結果を以下に述べる。
蒸らし工程の時間を一定とした場合に、上記温度曲線が80℃から90℃の領域内を滞在するよりも90℃から100℃の領域内を滞在した方が粘りの程度が強くなるという結果が得られた。具体的には、前者及び後者において、蒸らし工程を10分行った場合に、後者のほうが10%程度の粘りの程度が強いという結果が得られた。言い換えれば、使用者の好みに応じて粘りの程度の異なったもちもちした美味しい米飯を炊くことができるものである。
また、前記ドライアップ工程直後の工程である本工程は既に米飯の温度が高温に保たれているため上記90℃から100℃に保つための通電量はほとんど要さず、省エネで所望の粘りを有する米飯の炊飯を可能にする。
実施の形態5
次に、この発明の実施の形態5について図19乃至図23を用いて説明する。
実施の形態5は、ドライアップ工程終了後の蒸らし工程の時間を調節したものである。つまり、粘り程度「弱」「中」「強」の順に当該時間を長くしたものである。その他の点については実施の形態1と同じか相当なものとしている。
以下、実施の形態1と相違する点を中心に炊飯器の炊飯動作を説明する。
炊飯を開始し、ステップS1からS4までは実施の形態と同じ動作をする。
制御手段8はステップS5のドライアップ工程が終了し、ステップ6の蒸らし工程に進むと、ステップS61aで時間計測手段7からの時間情報に基づき蒸らし工程の経過時間tを取り込み、ステップS62aで粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「強」であるか否かを判定する。「強」に設定されていると、ステップS63aに進む。図19は「強」に設定された場合の釜温度曲線を示している。
制御手段8は、ステップS62aで「強」であると判定した場合、ステップS63aにて時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t5、この実施の形態5では25分であるか否かを判定し、調節用時間t5未満であると、S61aに戻る。以下順に、ステップS62a、ステップS63a、ステップS61aと繰り返し、時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t5になるまで加熱手段3への電力供給を継続させる。そして所定の時間(実施の形態5では25分)経過すると蒸らし工程が終了し、炊飯が終了する。
また、粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「強」ではなかった場合、ステップS62aからステップ621aに進む。そしてステップ621aにて設定された粘りの程度が「中」であった場合ステップS622aに進む。図20は「中」に設定された場合の釜温度曲線を示している。そして上記温度曲線で所定の時間t6蒸らし工程を行うと電力供給を停止し炊飯が終了する。
制御手段8は、ステップS621aで「中」であると判定した場合、ステップS622aにて時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t6、この実施の形態5では20分であるか否かを判定し、調節用時間t6未満であると、S61aに戻る。以下順に、ステップS62a、ステップS621a、ステップS622a、ステップS61aと繰り返し、時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t6になるまで加熱手段3への電力供給を継続させる。そして所定の時間(実施の形態5では20分)経過すると蒸らし工程が終了し、炊飯が終了する。
さらに、粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「強」及び「中」でなかった場合、ステップS62aからステップ621aに進み、ステップS6211aに進む。図21は「弱」に設定された場合の釜温度曲線を示している。そして上記温度曲線で所定の時間t7蒸らし工程を行うと電力供給を停止し炊飯が終了する。
制御手段8は、ステップS621aで「中」でないと判定した場合、ステップS6211aにて時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t7、この実施の形態5では15分であるか否かを判定し、調節用時間t7未満であると、S61aに戻る。以下順に、ステップS62a、ステップS621a、S6211a、ステップS61aと繰り返し、時間計測手段7からの時間情報が粘り調節用時間t7になるまで加熱手段3への電力供給を継続させる。そして所定の時間(実施の形態5では15分)経過すると蒸らし工程が終了し、炊飯が終了する。
図23はこの実施の形態5に基づいて炊飯を実施した場合、蒸らし工程の時間を横軸に、炊きあがった米飯の粘りの程度を蒸らし工程の時間を15分(粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「弱」)したときを1として相対比較した値を縦軸に示した図である。この図23から明らかなように、蒸らし工程の時間を20分(粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「中」)、25分(粘り程度選択スイッチ22にて設定された粘り程度が「強」)のときはそれぞれ1,12、1,26を示しており、米飯における粘りの炊き分けが実現できている。このように蒸らし工程の時間を長くすることで粘りの程度を強くすることが可能である。
言い換えれば、使用者の好みに応じて粘り程度の異なったもちもちした美味しい米飯を炊くことができるものである。
実施の形態6
次に、この発明の実施の形態6について説明する。
実施の形態6は、沸騰検知後の工程の温度と時間を調整することで米飯の粘りの程度を調節するものである。
粘りの程度に大きく影響を与えるのは米飯内に十分吸水がなされた前記ドライアップ工程及び、蒸らし工程であるが、沸騰維持工程でも米飯内に吸水がなされた状態で高温に保たれているため粘りの程度に影響を与える。したがって、沸騰維持工程の温度及び時間、またはいずれか一方を調整することで粘りの程度を調整することが出来る。具体的には、粘りの程度を強くするためには、沸騰維持工程の時間を長くする制御を行う必要がある。
さらに、前記実施の形態1乃至6を組み合わせることで粘りの程度の炊き分け幅の拡大が可能である。すなわち沸騰検知後の工程の温度または時間を制御することにより粘りの程度を調整することが可能となる。
実施の形態7
次に本願発明の実施の形態7について説明する。実施の形態7は実施の形態1乃至6の温度制御を圧力式炊飯器にも適応したものである。
前記実施の形態1乃至6は温度と時間のみを制御するものであるため、非圧力式の炊飯器で粘りを調整する手段として非常に有用であるが、もちろん圧力式等の付加機能を有する炊飯器にも適用可能である。例えば、ある所定の強さの粘りを有する米飯を得るために沸騰後の工程で1.2気圧必要であったものが、当該温度と時間を制御する手段を併用することで、前記の1.2気圧よりも低い圧力値で前記1.2気圧をかける制御と同じ程度の粘りを得ることが可能となる。
実施の形態8
次に本願発明の実施の形態8について説明する。実施の形態8は実施の形態1乃至7の粘りの制御に硬さの制御を含めたものである。
一般的に米飯の吸水量は浸している水温が高く、浸している時間が長いほど多くなり、前記温度が低く、前記時間が短いほど少なくなる。また、吸水量が多い米飯は軟らかく、吸水量が少ない米飯は硬く炊き上がる。したがって、米飯に吸水させる予熱工程又は沸騰前工程の温度又は時間を調整することで炊き上がり後の米飯の硬さを調整することができる。
実施の形態1乃至7で示したドライアップ工程、蒸らし工程で粘りを調整する制御と、硬さを調整する制御を組み合わせることで、粘り又は硬さの一方を制御するよりも需要者の好みにあった米飯を炊き上げることが可能となる。
炊き上がった米飯において所望の粘り及び硬さを得るためには、粘りのレベル選択スイッチ22で粘りのレベルを選択し、硬さのレベル選択スイッチ21で硬さのレベルを選択する。
具体的には、(1)硬めでしゃっきりした米飯を炊き上げるには、予熱工程で時間t0’を短く、釜温度T0’を低くし、沸騰前工程の時間が短くなるよう沸騰前工程の電力を大きくし、ドライアップ工程又は蒸らし工程の温度を低く、時間を短くする制御を行う必要がある。また、(2)硬めでもちもちした米飯を炊き上げるためには、予熱工程で時間t0’を短く、釜温度T0’を低くし、沸騰前工程の時間が短くなるよう沸騰前工程の電力を大きくし、ドライアップ工程又は蒸らし工程の温度を高く、時間を長くする制御を行う必要があり、(3)軟らかくてしゃっきりした米飯を炊き上げるためには、予熱工程で時間t0’を長く、釜温度T0’を高くし、沸騰前工程の時間が長くなるよう沸騰前工程の電力を小さくし、ドライアップ工程又は蒸らし工程の温度を低く、時間を短くする制御を行う必要があり、(4)軟らかくてもちもちした米飯を炊き上げるためには、予熱工程で時間t0’を長く、釜温度T0’を高くし、沸騰前工程の時間が長くなるよう沸騰前工程の電力を小さくし、ドライアップ工程又は蒸らし工程の温度を高く、時間を長くする制御を行う必要がある。これらの制御を精度よく行うことで幅広い需要者の好みにあった食感を有する米飯を提供するこができる。
一般的に古米は硬くて粘りのない米飯が炊きあがると言われている。しかし、上記(4)の制御を行うことで、普通のお米で炊いた場合と同じ食感となるように炊き上げることが出来る。また、新米は軟らかくて粘りのある米飯が炊き上がると言われている。しかし、上記(1)の制御を行うことで、普通のお米で炊いた時と同じ食感となるように炊き上げることが出来る。このように、粘りと硬さの両方を調節できることで、お米の品質、状態によらず需要者の好みの食感を得ることができる。
お寿司や、カレーライスには硬めでしゃっきりした米飯が適しており、お弁当には軟らかくてもちもちした米飯が適している。硬さ、粘りの両方の調節することで、料理、またはターゲットに応じた米飯を提供することが出来る。
本発明にかかる炊飯器は、簡易な構造で所望の粘りを有する米飯を炊き上げることが出来るため有用である。
1 本体、2 容器カバー、2a 孔部、3 加熱コイル、4 鍋底温度センサー、5 釜、5a フランジ部、6 ヒンジ部、7 時間計測手段、8 制御手段、9 蓋パッキン、10 蓋体、10a 外蓋、10b 内蓋、11 係止材、12 カートリッジ、12a 蒸気取入口、12b 蒸気排出口、13 操作/表示部、14 内部温度センサー、15 液晶表示板、16 米種表示、17 硬さのレベル表示、18 粘りのレベル表示、19 メニュー表示、20 米種選択スイッチ、21 硬さ選択スイッチ、22 粘り選択スイッチ、23 メニュー選択スイッチ、24 切/保温スイッチ、25 炊飯スイッチ、26 予約スイッチ、27 時刻スイッチ、28 側面加熱手段、29 蓋ヒーター、100 炊飯器。

Claims (2)

  1. 上面に開口を有する本体と、
    前記本体を開閉する蓋体と、
    前記本体の内部に収容される釜と、
    前記釜を加熱する加熱手段と、
    前記釜及び米飯の少なくとも一方の温度を検知する温度検知手段と、
    米種、メニュー、仕上がりの硬さ及び仕上がりの粘りの程度のうちの少なくとも1つ以上に対応した炊飯モードを選択するモード選択手段と、
    前記加熱手段の通電制御を行い、炊飯制御を実行する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記炊飯制御の工程として、前記釜内の余分な水分を蒸発させる工程であって、前記釜及び米飯の少なくとも一方の温度を沸騰温度よりも高温でかつ米飯が焦げないような一定温度であるドライアップピーク温度に維持するドライアップ工程を備え、
    前記ドライアップ工程は、前記釜内の沸騰を検知した後に実行され、
    前記制御手段は、前記ドライアップ工程において前記温度検知手段からの温度情報に基づいて前記加熱手段への電力の供給を制御するとともに、前記モード選択手段で選択された炊飯モードの仕上がりの粘りの程度に応じて前記ドライアップ工程の開始から前記ドライアップピーク温度に至るまでの時間、又は前記ドライアップピーク温度に維持させる時間を制御する
    ことを特徴とする炊飯器。
  2. 前記ドライアップ工程は、前記釜内の沸騰を維持する沸騰維持工程を行った後に実行される
    ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
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