JP5974012B2 - 突然変異体スムースンド及びその使用方法 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2010年10月5日に出願された米国特許出願第61/389,995号の優先権の恩典を主張するものである。
本発明は、腫瘍の化学療法耐性に関連する単離された突然変異体SMO核酸及びタンパク質、並びにSMO突然変異体に結合するか、又はSMO活性を調節する化合物についてスクリーニングする方法に関し、また、癌の診断及び治療、特に、診断的及び/又は予後判定的である突然変異の検出、並びに薬物耐性腫瘍の治療にも関する。
分子標的癌治療薬は、臨床において優れた活性を示している。最も著名な例の一部には、フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(CML)又はKIT/PDGFR突然変異胃腸管系間質腫瘍(GIST)におけるチロシンキナーゼ阻害剤イマチニブ及びEGFR突然変異非小細胞肺癌(NSCLC)におけるエルロチニブが含まれる(Krause,D.S.及びR.A.Van Etten(2005)N.Engl.J.Med.353(2):172−187)。これらの薬剤を用いた治療は、これらの分子異常を有する患者集団において劇的な抗腫瘍応答をもたらしている。しかしながら、優れた初期の臨床応答にもかかわらず、ほとんどの患者は、薬物耐性の獲得が原因で最終的には進行する(Engelman,J.A.及びJ.Settleman(2008)Curr.Opin.Genet.Dev.18(1):73−79)。結果的に、耐性の機構の同定は、耐性の出現を潜在的に克服又は回避することができる、より合理的な薬物の組合せ及び「第2世代」阻害剤の開発への扉を開いた。
髄芽腫は、子供において最も一般的な脳の悪性腫瘍を表す、小脳の原始的な神経外胚葉性腫瘍である(Polkinghorn,W.R.及びN.J.Tarbell(2007)Nat.Clin.Pract.Oncol.4(5):295−304)。生存率の改善にもかかわらず、アジュバント照射の消耗性の副作用は大きな臨床的課題を表しており、したがって、新しい分子標的治療の必要性を支持している。
ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路は、髄芽腫の病因に直接関係があるとされている。ほとんどの場合、阻害性受容体PTCH1の機能喪失型突然変異に起因する、構成的Hhシグナル伝達は、弧発例のおよそ30%で示されている(Zurawel,R.H.ら(2000)Genes Chromosomes Cancer 27(1):44−51;Kool,M.ら(2008)PLoS ONE 3(8):e3088;Dellovade,T.ら(2006)Annu.Rev.Neurosci.29:539;Rubin,L.L.及びF.J.de Sauvage(2006)Nat.Rev.Drug Discov.5:1026)。Ptch1についてヘテロ接合性のマウス(Ptch1+/-)は、髄芽腫を自然発生することがあり、Hh経路阻害剤による治療は、腫瘍の消失及び延命をもたらす(Goodrich,L.V.ら(1997)Science 277(5329):1109−1113;Romer,J.T.ら(2004)Cancer Cell 6(3):229−240)。しかしながら、新規のHh経路阻害剤GDC−0449で治療された患者は、最初は治療に対する劇的な応答を示したが(Charles M.Rudinら(2009)N.Engl.J.Med.(提出済み))、結局は、治療に対する持続性のある応答を有することができず、腫瘍が再発することが最近観察された。
GDC−0449で治療したときの薬物耐性を克服するために、そのような突然変異体SMOタンパク質のSMO活性を調節する化合物を見出すことが、当技術分野において緊急に必要である。さらに、そのSMO遺伝子型の自然な変動又は突然変異及び耐性の獲得のいずれかによって治療に対して耐性であり得る患者を診断する方法が必要である。
本発明は、突然変異体SMOタンパク質をコードする単離された核酸分子を提供する。一態様では、核酸分子は、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列をコードしており、ここで、該アミノ酸配列は、配列番号2の位置518にグルタミン酸(E)以外の任意のアミノ酸であるアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、配列番号2の位置518のアミノ酸は、アラニン(A)又はリジン(K)である。本発明の一態様では、配列番号3の親核酸配列(野生型SMO)を含むが、コードされたアミノ酸をグルタミン酸(E)から異なるアミノ酸へと変化させる、位置1552、1553、及び/又は1554での1つ又は複数の突然変異を含む、単離された核酸配列である。いくつかの実施形態では、突然変異は、グルタミン酸(E)からアラニン(A)又はリジン(K)への変化をもたらす。
別の態様は、本発明は、SMOのアミノ酸518に突然変異を取り込んでいる、突然変異SMOタンパク質又はその断片をコードする核酸と特異的にハイブリダイズすることができる核酸プローブを提供する。一実施形態では、プローブは、突然変異SMO又は該その断片をコードする核酸に相補的である。プローブは、約10〜約50ヌクレオチドの長さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、プローブは、検出可能に標識されていてもよい。プローブは、野生型Smo(位置518にグルタミン酸を有する)よりも突然変異体Smoと示差的に結合する。
本発明はまた、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、このアミノ酸配列が、位置518でグルタミン酸(E)以外のアミノ酸を含む、単離された突然変異体SMOタンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、位置518のアミノ酸は、アラニン(A)又はリジン(K)である。
本発明はさらに、抗体のエピトープが、位置518でグルタミン酸以外のアミノ酸を有する突然変異体SMO上に存在する本発明の突然変異体SMOタンパク質に特異的に結合するが、野生型SMOに結合しない抗体を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、突然変異体SMOに高い親和性で結合するが、野生型SMOには高い親和性で結合しない。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、又はこれらの抗原結合断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、もしくはFv断片)である。いくつかの実施形態では、抗体は、検出可能な標識にコンジュゲートされている。他の実施形態では、抗体は、限定されないが、化学療法剤、毒素、又は放射性同位体などの細胞毒性剤にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、抗体は、SMO活性を阻害する。他の実施形態では、抗体は、突然変異体SMO活性のみを阻害する。
本発明はまた、試料中の突然変異SMO遺伝子を検出する方法であって、試料から、突然変異を含むことが疑われるSMOの膜貫通ドメイン7のカルボキシ末端又はその断片をコードする核酸を増幅すること、及び増幅された核酸の電気泳動移動度を、対応する野生型SMO遺伝子又はその断片の電気泳動移動度と比較することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、電気泳動移動度は、ポリアクリルアミドゲル上で決定される。そのような実施形態では、突然変異体Smoの電気泳動移動度は、野生型Smoと区別することができる。
本発明はさらに、試料中の少なくとも1つのSMO突然変異を同定する方法であって、試料由来の核酸を、突然変異を取り込んでいる突然変異SMOタンパク質又はその断片をコードする核酸に特異的にハイブリダイズすることができる核酸プローブと接触させること、及びハイブリダイゼーションを検出することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、SMOの膜貫通ドメイン7のカルボキシ末端部分の突然変異を検出する。いくつかの実施形態では、SMO突然変異は、Smo中の位置1552、1553、及び/又は1554(位置518のアミノ酸をコードする)で起こり、ここで、この突然変異は、グルタミン酸以外のアミノ酸をコードするコドンを生じさせる。いくつかの実施形態では、プローブは、検出可能に標識されている。いくつかの実施形態では、プローブは、アンチセンスオリゴマーである。いくつかの実施形態では、試料中のSMO遺伝子又はその断片の核酸を増幅し、プローブと接触させる。
本発明はまた、GDC−0449などの化学療法剤による治療に対して耐性であるヒト対象の腫瘍を同定する方法であって、腫瘍の試料中の突然変異SMO遺伝子又は突然変異SMOタンパク質の存在を決定することを含み、ここで、該突然変異が、細胞外膜表面のSMOの一部(例えば、SMOの膜貫通ドメイン7のカルボキシ末端部分)をコードするSMO遺伝子中に位置しており、突然変異SMO遺伝子又は突然変異SMOタンパク質の存在により、腫瘍が、限定されないが、GDC−0449などの化学療法剤による治療に対して耐性であることが示される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、GDC−0449である。他の実施形態では、化学療法剤は、シクロパミン(Cyclopamine)である。いくつかの実施形態では、突然変異は、SMOのアミノ酸518をコードするSMO遺伝子の一部にある。いくつかの実施形態では、突然変異は、Aspから別のアミノ酸へのSMOのアミノ酸518の変化を引き起こす。いくつかの実施形態では、他のアミノ酸は、アラニン(A)又はリジン(K)である。
本発明はまた、SMO阻害剤による治療に対して感受性があるヒト対象の腫瘍を同定する方法であって、(i)腫瘍の試料中の野生型SMOタンパク質もしくは遺伝子の存在を決定することを含み、野生型SMOタンパク質もしくは遺伝子の存在により、腫瘍がSMO阻害剤による治療に対して感受性があることが示されるか、又は(ii)腫瘍の試料中の突然変異SMOタンパク質もしくは遺伝子の存在を決定することを含み、突然変異がSMOの位置518でのアミノ酸の変化をもたらし、突然変異SMOタンパク質もしくは遺伝子の存在により、腫瘍が、GDC−0449などのSMO阻害剤による治療に対して感受性がないことが示される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、SMO突然変異は、グルタミン酸(E)518から任意の他のアミノ酸への変化である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、アラニン(A)又はリジン(K)である。
本発明はまた、ヘッジホッグ依存性腫瘍について治療されている患者の予後を決定する方法であって、腫瘍の試料中のアミノ酸518での突然変異の存在又は不在を決定することを含み、突然変異の存在により、特定のSmo阻害剤を用いて該突然変異の不在と比較したより不良な予後が示される、方法を提供する。
本発明はさらに、アミノ酸518で突然変異を取り込んでいる突然変異体SMOタンパク質のシグナル伝達を阻害する化合物についてスクリーニングする方法であって、突然変異体SMOを試験化合物と接触させること、及びこの化合物と突然変異体SMOとの結合を検出することを含み、試験化合物と突然変異体SMOとの結合により、試験化合物が突然変異体SMOの阻害剤であることが示される、方法を提供する。
本発明はまた、アミノ酸518で突然変異を取り込んでいる突然変異体SMOタンパク質のシグナル伝達を阻害する化合物についてスクリーニングする方法であって、突然変異体SMOを発現する細胞を試験化合物と接触させること、及び細胞内のGliの活性を検出することを含み、Gli活性の存在により、試験化合物が突然変異体SMOの阻害剤でないことが示される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、Gli活性は、検出可能な標識にコンジュゲートされているGliタンパク質を用いて測定される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識(例えば、ルシフェラーゼ)である。
本発明はまた、位置518でアミノ酸置換(突然変異)を有するSMOに特異的に結合する化合物を、それを必要としている患者に投与することによって、癌を治療する方法も提供する。いくつかの実施形態では、突然変異体SMOタンパク質は、518のグルタミン酸から任意の他のアミノ酸への置換を含む。いくつかの実施形態では、他のアミノ酸は、アラニン(A)又はリジン(K)である。いくつかの実施形態では、化合物は、抗体である。いくつかの実施形態では、化合物は、式I、式II、及び/又は式IIIの構造式(下記を参照)を有する小分子である。
本発明はまた、薬物誘発性の突然変異生成を遅延させるか又は予防する方法であって、SMOの阻害剤及びPI3K阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、SMO阻害剤は、GDC−0449である。いくつかの実施形態では、SMO阻害剤は、位置518でアミノ酸置換を有する突然変異体SMOの阻害剤である。いくつかの実施形態では、突然変異体SMO阻害剤は、式I、式II、又は式IIIの構造式(下記を参照)を有する化合物である。
E518が、GDC−0449によるSMO阻害に重要な新規の残基であることを示す。パネルA:ヒトSMOの模式図。アラニンスキャン突然変異生成によって標的とされる領域が薄灰色で示されている。GDC−0449結合に重要なアミノ酸は黒で示されており、一方、薬物活性に極めて重要な残基は灰色で示されている。 パネルB:示されたSMOコンストラクトでトランスフェクトされたCH310T1/2細胞のGDC−0449の用量応答後のGli−ルシフェラーゼレポーター活性。値は、最大活性レベルに対して正規化されており、平均±SDを表す。 化合物4(式II)及び5(式III)が、マウスにおいて良好な薬物動態特性を有する強力なSMO−D473H及びE518Kアンタゴニストであることを示す。パネルA:本研究で使用される様々なSMOアンタゴニストの化学構造。丸は、HhAntagについて示されたいくつかの化合物のA環、B環、及びC環を示す。 パネルB:C3H10T1/2細胞におけるSMO−WT、SMO−D473H、又はE518Kの過剰発現によって誘導されるGli−ルシフェラーゼ活性の%阻害値を有する、1μMでスクリーニングされた化合物。 パネルC:マウスにおける平均血漿濃度対化合物4(四角)又は化合物5(三角)のどちらかの単回経口100mg kg−1投与後の時間(n=24;1つの時点につき3匹の動物)。構造的に類似しているが、より効力のある化合物4は、化合物5よりも速やかに血流から除去される(21/2時間対22時間のt1/2)。
本発明の1つの発見は、ヘッジホッグ依存性腫瘍の化学療法に対する耐性と関連する突然変異事象がスムースンド(SMO)で生じ、この事象が、シクロパミン及びGDC−0449などのヘッジホッグシグナル伝達を阻害する化合物による治療に対する腫瘍の耐性を付与することである。本発明は、ヘッジホッグシグナル伝達に依存的な癌の予後判定剤、診断剤、及び治療剤として有用な組成物及び方法を提供する。
本明細書に記載又は言及される技術及び手順は、一般に十分に理解され、従来の方法を用いて当業者によって一般的に利用されており、例えば、Sambrookら,分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)第3版(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor.NY;分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(F.M.Ausubelら編,(2003));酵素学の方法(Methods in Enzymology)シリーズ(Academic Press,Inc.):PCR2:実践的アプローチ(PCR 2:A Practical Approach)(M.J.MacPherson,B.D.Hames、及びG.R.Taylor編(1995))、Harlow及びLane編(1988)抗体、実験室マニュアル(Antibodies,A Laboratory Manual)、並びに動物細胞培養(Animal Cell Culture)(R.I.Freshney編(1987));オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)(M.J.Gait編,1984);分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)、Humana Press;細胞生物学:実験室ノート(Cell Biology:A Laboratory Notebook)(J.E.Cellis編,1998)Academic Press;動物細胞培養(Animal Cell Culture)(R.I.Freshney)編,1987);細胞及び組織培養入門(Introduction to Cell and Tissue Culture)(J.P.Mather及びP.E.Roberts,1998)Plenum Press;細胞及び組織培養:実験室手順(Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures)(A.Doyle,J.B.Griffiths,及びD.G.Newell編,1993−8)J.Wiley and Sons;実験免疫学のハンドブック(Handbook of Experimental Immunology)(D.M.Weir及びC.C.Blackwell編);哺乳動物細胞用の遺伝子導入ベクター(Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells)(J.M.Miller及びM.P.Calos編,1987);PCR:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:The Polymerase Chain Reaction),(Mullisら編,1994);免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)(J.E.Coliganら編,1991);分子生物学の短いプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(Wiley and Sons,1999);免疫生物学(Immunobiology)(C.A.Janeway及びP.Travers,1997);抗体(Antibodies)(P.Finch,1997);抗体:実践的アプローチ(Antibodies:A Practical Approach)(D.Catty.編,IRL Press、1988−1989);モノクローナル抗体:実践的アプローチ(Monoclonal Antibodies:A Practical Approach)(P.Shepherd及びC.Dean編,Oxford University Press,2000);抗体の使用:実験室マニュアル(Using Antibodies:A Laboratory Manual)(E.Harlow及びD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);抗体(The Antibodies)(M.Zanetti及びJ.D.Capra編,Harwood Academic Publishers,1995);並びに癌:腫瘍学の原理及び実践(Cancer:Principles and Practice of Oncology)(V.T.DeVitaら編,J.B.Lippincott Company,1993)に記載されている、広く利用されている方法などがある。引用文献は、その全体が参照により組み込まれている。
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義が適用され、適切な場合はいつも、単数形で使用される用語は複数形も含み、その逆もそうである。以下に示される任意の定義が、参照により本明細書に組み込まれている任意の文書と矛盾する場合は、以下に示される定義が優先するものとする。
本明細書中の「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成された多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の生物活性を示す限りは抗体断片に及ぶ。
「単離された」抗体は、その天然の環境の成分から同定され、かつ分離及び/又は回収されたものである。その天然の環境の夾雑物成分は、抗体の研究、診断的又は治療的な使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性の溶質を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、(1)例えば、ローリー方法によって決定したとき、抗体の95重量%超まで、いくつかの実施形態では、99重量%超まで、(2)例えば、スピニングカップシーケネーターの使用によって、N末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)例えば、クマシーブルーもしくは銀染色を用いる、還元もしくは非還元条件下でのSDS−PAGEによって均一になるまで精製される。抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、単離された抗体は、組換え細胞内のインサイチュの抗体を含む。しかしながら、通常は、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
「ネイティブ抗体」は、通常、2本の同一の軽(L)鎖及び2本の同一の重(H)鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質である。各々の軽鎖は、1つの共有結合的ジスルフィド結合によって重鎖と連結されているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各々の重鎖及び軽鎖は、規則的な間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各々の重鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VH)と、それに続く、いくつかの定常ドメインを有する。各々の軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VL)、そのもう一方の末端に定常ドメインを有しており;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の最初の定常ドメインとアラインし、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインとアラインする。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間の界面を形成すると考えられている。
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインは、「VH」と称することができる。軽鎖の可変ドメインは、「VL」と称することができる。これらのドメインは、通常、抗体の最も変化しやすい部分であり、抗原結合部位を含む。
「可変」という用語は、可変ドメインの特定の部分の配列が抗体間で大きく異なり、その特定の抗原に対する各々の特定の抗体の結合及び特異性において使用されることを指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメインの全体にわたって均等に分布しているわけではない。それは、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの両方の超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。ネイティブな重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、3つのHVRによって接続された、主にβ−シート立体配置を取る4つのFR領域を含み、これは、β−シート構造を接続し、場合によっては、その一部を形成するループを形成する。各々の鎖中のHVRは、FR領域によって極めて近接して結び付けられ、他方の鎖のHVRは、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら,免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest),第5版,国立衛生研究所(National Institute of Health),Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体と抗原との結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害性における抗体の関与などの、様々なエフェクター機能を示す。
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明白に異なる種類のうちの1つに割り当てることができる。
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体(免疫グロブリン)を様々なクラスに割り当てることができる。5つの主要な免疫グロブリンクラス;IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2へとさらに分けることができる。様々な免疫グロブリンクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。様々な免疫グロブリンクラスのサブユニット構造及び三次元立体配置は周知であり、一般に、例えば、Abbasら,細胞及び分子免疫学(Cellular and Mol.Immunology),第4版(W.B.Saunders,Co.2000)に記載されている。抗体は、抗体と1以上の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合的又は非共有結合的な会合によって形成された、より大きな融合分子の一部であってもよい。
「完全長抗体」、「インタクト抗体」、及び「完全抗体」という用語は、以下に定義する抗体断片ではなく、その実質的にインタクトな形態の抗体を指すよう、本明細書で互換的に用いられる。本用語は、特に、Fc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
本明細書の目的のために、「裸の抗体」は、細胞傷害性部分又は放射性標識にコンジュゲートされていない抗体である。
「抗体断片」は、インタクト抗体の一部を含み、好ましくは、その抗原結合領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディー;直鎖抗体;単鎖抗体分子;並びに抗体断片から形成された多特異性抗体が含まれる。
抗体のパパイン消化により、各々が単一の抗原結合部位を有する、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、及びその名前が容易に結晶化するその能力を反映している残りの「Fc」断片が生じる。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋することができるF(ab’)2断片が得られる。
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。一実施形態では、二本鎖のFv種は、非共有結合的に密に会合した1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。単鎖Fv(scFv)種では、1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインは、軽鎖及び重鎖が、二本鎖のFv種のものと類似した「二量体」構造で会合できるように、柔軟なペプチドリンカーによって共有結合させることができる。各々の可変ドメインの3つのHVRが相互作用してVH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を規定するのは、この立体配置においてである。集合的に、6つのHVRが抗体に抗原結合の特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのHVRしか含まない半分のFv)さえも、結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識及び結合する能力を有する。
Fab断片は、重鎖及び軽鎖可変ドメインを含み、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)も含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1以上のシステインを含む、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端での数個の残基の付加により、Fab断片とは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有するFab’の本明細書における名称である。F(ab’)2抗体断片は、当初は、その間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的結合も公知である。
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、ここで、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。通常、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これにより、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することが可能となる。scFvの総説については、例えば、Pluckthuen,モノクローナル抗体の薬理学(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies),第113巻,Rosenburg及びMoore編,(Springer−Verlag,New York,1994),269−315ページを参照されたい。
「ダイアボディー」という用語は、軽鎖可変ドメイン(VL)と接続された重鎖可変ドメイン(VH)を同じポリペプチド鎖(VH−VL)中に含む、2つの抗原結合部位を有する抗体断片を指す。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、これらのドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合して2つの抗原結合部位を作り出すことを強いられる。ダイアボディーは、二価又は二重特異性であることができる。ダイアボディーは、例えば、EP404,097号;WO1993/01161号;Hudsonら,Nat.Med.9:129−134(2003);及びHollingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)に、より完全に記載されている。トリアボディー及びテトラボディーも、Hudsonら,Nat.Med.9:129−134(2003)に記載されている。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指す、すなわち、この集団を構成する個々の抗体は、わずかな量で存在し得る潜在的な突然変異、例えば、天然に存在する突然変異以外は同一である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、抗体の特徴が個別の抗体の混合物ではないことを示す。特定の実施形態では、そのようなモノクローナル抗体には、通常、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体が含まれ、標的に結合するポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から標的に結合する単一のポリペプチド配列を選択することが含まれるプロセスによって得られたものである。例えば、選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローン、又は組換えDNAクローンのプールなどの複数のクローンからの、独特のクローンの選択であることができる。選択された標的結合配列は、例えば、標的に対する親和性を改善するために、標的結合配列をヒト化するために、細胞培養物中でのその産生を改善するために、そのインビボでの免疫原性を低下させるために、多特異性抗体を作製するためになどの目的でさらに改変することができ、また、改変された標的結合配列を含む抗体も本発明のモノクローナル抗体であることが理解されるべきである。通常、異なる決定基(エピトープ)を対象とした異なる抗体が含まれるポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各々のモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象としている。その特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、それらに、通常、他の免疫グロブリンが夾雑していないという点で有利である。
「モノクローナル」という修飾語は、抗体の特徴が実質的に均一な抗体の集団から得られたものであることを示す。そして、該修飾語は、抗体を特定の方法によって産生することを要するものと解釈されるべきでない。例えば、本発明に従って用いられるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler及びMilstein,Nature,256:495−97(1975);Hongoら,Hybridoma,14(3):253−260(1995)、Harlowら,抗体:実験室マニュアル(Antibodies:A Laboratory Manual),(Cold Spring Harbor Laboratory Press,第2版,1988);Hammerlingら,モノクローナル抗体及びT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas)563−681(Elsevier,N.Y.1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clacksonら,Nature 352:624−628(1991);Marksら,J.Mol.Biol.222:581−597(1992);Sidhuら,J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004);Leeら,J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004);及びLeeら,J.Immunol.Methods 284(1−2):119−132(2004)を参照、並びにヒト免疫グロブリン遺伝子座又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全てを有する動物中でヒト又はヒト様抗体を産生させる技術(例えば、WO1998/24893号;WO1996/34096号;WO1996/33735号;WO1991/10741号;Jakobovitsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovitsら,Nature 362:255−258(1993);Bruggemannら,Year in Immunol.7:33(1993);米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;及び第5,661,016号;Marksら,Bio/Technology 10:779−783(1992);Lonbergら,Nature 368:856−859(1994);Morrison,Nature 368:812−813(1994);Fishwildら,Nature Biotechnol.14:845−851(1996);Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996);並びにLonberg及びHuszar,Intern.Rev.Immunol.13:65−93(1995)を参照を含む、種々の技術によって作製することができる。
本明細書中のモノクローナル抗体には、特に、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来するか又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である一方で、鎖(複数可)の残りの部分が、別の種に由来するか又は別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体、並びに所望の生物活性を示す限りは、そのような抗体の断片が具体的に含まれる(例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855(1984)を参照)。キメラ抗体には、抗体の抗原結合領域が、例えば、マカクザルを関心対象の抗原で免疫化することによって産生された抗体に由来する、PRIMATIZED(登録商標)抗体が含まれる。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含むキメラ抗体である。一実施形態では、ヒト化抗体は、レシピエントのHVR由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び/又は能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類などの非ヒト種のHVR由来の残基(ドナー抗体)によって置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFR残基が、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体中に見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の性能をさらに洗練させるために行なうことができる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、通常2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、このドメイン内では、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応しており、FRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、通常、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、例えば、Jonesら,Nature 321:522−525(1986);Riechmannら,Nature 332:323−329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照されたい。また、例えば、Vaswani及びHamilton,Ann.Allergy,Asthma & Immunol.1:105−115(1998);Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035−1038(1995);Hurle及びGross,Curr.Op.Biotech.5:428−433(1994);並びに米国特許第6,982,321号及び第7,087,409号も参照されたい。
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有し、かつ/又は本明細書に開示されたヒト抗体を作製する技術のうちのいずれかを用いて作製されたものを指す。ヒト抗体のこの定義は、具体的には、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当技術分野で公知の様々な技術を用いて産生することができる。Hoogenboom及びWinter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marksら,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。Coleら,モノクローナル抗体及び癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy),Alan R.Liss,p.77(1985);Boernerら,J.Immunol.,147(1):86−95(1991)に記載されている方法もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。van Dijk及びvan de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368−74(2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原刺激に応答してそのような抗体を産生するように改変されているが、その内在性の遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、免疫化されたxenomouseに抗原を投与することによって調製することができる(XENOMOUSE(商標)技術に関しては、例えば、米国特許第6,075,181号及び第6,150,584号を参照されたい)。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して作製されるヒト抗体に関しては、例えば、Liら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557−3562(2006)を参照されたい。
「超可変領域」、「HVR」、又は「HV」という用語は、本明細書で使用される場合、配列が超可変性であり、かつ/又は構造的に定義されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域を指す。通常、抗体は、6つのHVR;VH中に3つ(H1、H2、H3)、及びVL中に3つ(L1、L2、L3)を含む。ネイティブ抗体では、H3及びL3が6つのHVRのうちで最大の多様性を示し、特にH3は、抗体に細かい特異性を付与することにおいて独特の役割を果たすと考えられている。例えば、Xuら,Immunity 13:37−45(2000);Johnson及びWu,分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)248:1−25(Lo編,Human Press,Totowa,NJ,2003)を参照されたい。実際、重鎖のみからなる、天然に存在するラクダ科抗体は、軽鎖の非存在下で機能的であり、かつ安定である。例えば、Hamers−Castermanら,Nature 363:446−448(1993);Sheriffら,Nature Struct.Biol.3:733−736(1996)を参照されたい。
いくつかのHVRの描写が用いられており、本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は配列の可変性に基づいており、最も一般的に用いられている(Kabatら,免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest),第5版,公衆衛生局(Public Health Service)、国立衛生研究所(National Institutes of Health)、Bethesda,MD.(1991))。Chothiaは、その代わりに、構造ループの場所に言及している(Chothia及びLesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))。AbM HVRは、KabatのHVRとChothiaの構造ループの折衷物を表しており、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって用いられている。「接触」HVRは、利用可能な複雑な結晶構造の分析に基づいている。これらのHVRの各々に由来する残基を以下に記載する。
ループ Kabat AbM Chothia 接触
−−− −−−−− −−− −−−−−−− −−
L1 L24〜L34 L24〜L34 L26〜L32 L30〜L36
L2 L50〜L56 L50〜L56 L50〜L52 L46〜L55
L3 L89〜L97 L89〜L97 L91〜L96 L89〜L96
H1 H31〜H35B H26〜H35B H26〜H32 H30〜H35B
(Kabat付番)
H1 H31〜H35 H26〜H35 H26〜H32 H30〜H35
(Chothia付番)
H2 H50〜H65 H50〜H58 H53〜H55 H47〜H58
H3 H95〜H102 H95〜H102 H96〜H101 H93〜H101
HVRは、以下のような「伸張したHVR」を含むことができる:VL中の24〜36又は24〜34(L1)、46〜56又は50〜56(L2)、及び89〜97又は89〜96(L3)、並びにVH中の26〜35(H1)、50〜65又は49〜65(H2)、及び93〜102、94〜102、又は95〜102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、Kabatら,上記に従って付番されている。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で定義したようなHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
「Kabatの可変ドメイン残基の付番」又は「Kabatのアミノ酸位置の付番」という用語、及びその変化形は、Kabatら,上記における抗体の編成の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに用いられる付番システムを指す。この付番システムを用いると、実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはHVRの短縮、又は可変ドメインのFRもしくはHVRへの挿入に対応する、より少ない又は追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後ろの単一のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)並びに重鎖FR残基82の後ろの挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82cなど)を含み得る。残基のKabat付番は、相同性領域での抗体の配列と「標準的な」Kabat付番配列とのアラインメントによって、所定の抗体について決定することができる。
Kabat付番システムは、通常、可変ドメイン中の残基(軽鎖の残基1〜107付近及び重鎖の残基1〜113付近)に言及するときに使用される(例えば、Kabatら,免疫学的に興味深い配列(Sequences of Immunological Interest).第5版,公衆衛生局(Public Health Service),国立衛生研究所(National Institutes of Health),Bethesda,MD.(1991))。「EU付番システム」又は「EU指標」は、通常、免疫グロブリン重鎖定常領域中の残基に言及するときに使用される(例えば、Kabatら,上記に報告されているEU指標)。「KabatのEU指標」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基の付番を指す。本明細書で特に記述しない限り、抗体の可変ドメイン中の残基番号への言及は、Kabat付番システムによる残基付番を意味する。本明細書で特に記述しない限り、抗体の定常ドメイン中の残基番号への言及は、EU付番システムによる残基付番を意味する(例えば、米国仮出願第60/640,323号、EU付番の図を参照されたい)。
「親和性成熟した」抗体は、その1以上のHVR中に1以上の改変を有する抗体であり、これらの1以上の改変は、それらの改変(複数可)を保有しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす。一実施形態では、親和性成熟した抗体は、標的抗原に対するナノモル濃度又はさらにはピコモル濃度の親和性を有する。親和性成熟した抗体は、当技術分野で公知の特定の手順を用いて産生することができる。例えば、Marksら,Bio/Technology 10:779−783(1992)は、VH及びVLのドメインシャフリングによる親和性成熟を記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異生成は、例えば、Barbasら,Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809−3813(1994);Schierら,Gene 169:147−155(1995);Yeltonら,J.Immunol.155:1994−2004(1995);Jacksonら,J.Immunol.154(7):3310−9(1995);及びHawkinsら,J.Mol.Biol.226:889−896(1992)によって記載されている。
「ブロッキング」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物活性を阻害するか又は低下させる抗体である。特定のブロッキング抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を実質的に又は完全に阻害する。
本明細書で使用される「アゴニスト抗体」は、関心対象のポリペプチドの機能的活性の少なくとも1つを部分的に又は完全に模倣する抗体である。
「成長阻害性」抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞の増殖を防止するか又は低下させる抗体である。例えば、抗体は、Smo又は突然変異体を発現する癌細胞の増殖をインビトロ及び/又はインビボで防止するか又は低下させることができる。
「アポトーシスを誘導する」抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞の縮小、小胞体の拡張、細胞の断片化、及び/又は膜小胞(アポトーシス小体と呼ばれる)の形成などの標準的なアポトーシスアッセイによって決定される、プログラム細胞死を誘導する抗体である。
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物活性を指し、抗体のアイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例には:C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);貪食;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;並びにB細胞活性化が含まれる。
本明細書中の「Fc領域」という用語は、ネイティブ配列Fc領域及び変異体Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、位置Cys226のアミノ酸残基から、又はPro230から、そのカルボキシル末端までのストレッチと定められている。Fc領域のC末端リジン(EU付番システムによる残基447)は、例えば、抗体の産生もしくは精製時に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって除去することができる。したがって、インタクト抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、並びにK447残基を有する抗体とK447残基を有さない抗体の混合物を有する抗体集団を含むことができる。
「機能的Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域の「エフェクター機能」を保有する。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合;CDC;Fc受容体結合;ADCC;貪食;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)の下方調節などが含まれる。そのようなエフェクター機能は、通常、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わされることを必要とし、例えば、本明細書中の定義に開示されている様々なアッセイを用いて評価することができる。
「ネイティブ配列Fc領域」は、天然に見られるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。ネイティブ配列ヒトFc領域には、ネイティブ配列ヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ);ネイティブ配列ヒトIgG2 Fc領域;ネイティブ配列ヒトIgG3 Fc領域;及びネイティブ配列ヒトIgG4 Fc領域、並びに天然に存在するこれらの変異体が含まれる。
「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸の修飾、好ましくは1以上のアミノ酸の置換によってネイティブ配列Fc領域のものと異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比べて、少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、ネイティブ配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域中の約1〜約10個のアミノ酸置換、好ましくは、約1〜約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書中の変異体Fc領域は、好ましくは、ネイティブ配列Fc領域との及び/又は親ポリペプチドのFc領域との少なくとも約80%の相同性、最も好ましくは、それとの少なくとも約90%の相同性、より好ましくは、それとの少なくとも約95%の相同性を保有する。
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載している。いくつかの実施形態では、FcRは、ネイティブなヒトFcRである。いくつかの実施形態では、FcRは、IgG抗体に結合するものであり(ガンマ受容体)、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、それらの受容体の対立遺伝子変異体及び選択的にスプライシングされた形態が含まれる。FcγRII受容体には、主にその細胞質ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有する、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害性受容体」)が含まれる。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン中に免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン中に免疫受容体チロシンに基づく阻害モチーフ(ITIM)を含む。(例えば、Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)を参照されたい)。FcRは、例えば、Ravetch及びKinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991);Capelら,Immunomethods 4:25−34(1994);並びにde Haasら,J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)に概説されている。他のFcRは、将来同定されることになるものを含め、本明細書中の「FcR」という用語によって包含される。
「Fc受容体」又は「FcR」という用語には、母親IgGの胎児への移動(Guyerら,J.Immunol.117:587(1976)及びKimら,J.Immunol.24:249(1994))、並びに免疫グロブリンの恒常性の調節に関与する、新生児受容体FcRnも含まれる。FcRnの結合を測定する方法は公知である(例えば、Ghetie及びWard.Immunol.Today 18(12):592−598(1997);Ghetieら,Nature Biotechnology,15(7):637−640(1997);Hintonら,J.Biol.Chem.279(8):6213−6216(2004);WO2004/92219号(Hintonら)を参照されたい。
インビボでのヒトFcRnとの結合及びヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスもしくはトランスフェクトされたヒト細胞株で、又は変異体Fc領域を有するポリペプチドが投与された霊長類でアッセイすることができる。WO2000/42072号(Presta)は、FcRとの結合が改善されたか又は減少した抗体変異体を記載している。例えば、Shieldsら,J.Biol.Chem.9(2):6591−6604(2001)も参照されたい。
「ヒトエフェクター細胞」は、1以上のFcRを発現し、エフェクター機能を果たす白血球である。特定の実施形態では、細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能(複数可)を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞、及び好中球が含まれる。エフェクター細胞は、ネイティブな供給源から、例えば、血液から単離することができる。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又は「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(例えば、NK細胞、好中球、及びマクロファージ)表面に存在するFc受容体(FcR)上に結合した分泌されたIgが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原を担持する標的細胞に特異的に結合し、その後、細胞毒素で標的細胞を死滅させることを可能にする、細胞傷害性の一形態を指す。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcRの発現は、Ravetch及びKinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991)の464ページの表3にまとめられている。関心対象の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号もしくは第5,821,337号又は米国特許第6,737,056号(Presta)に記載されているものなどのインビトロADCCアッセイを実施することができる。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞には、PBMC及びNK細胞が含まれる。或いは、又はさらに、関心対象の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynesら,PNAS(USA)95:652−656(1998)に開示されているものなどの動物モデルで評価することができる。
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」は、補体の存在下における標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1成分(C1q)と、その同族抗原に結合している(適切なサブクラスの)抗体との結合によって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano−Santoroら,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されているようなCDCアッセイを実施することができる。改変されたFc領域アミノ酸配列を有するポリペプチド変異体(変異体Fc領域を有するポリペプチド)及び増大又は減少したC1q結合能力は、例えば、米国特許第6,194,551 B1号及びWO1999/51642号に記載されている。例えば、Idusogieら,J.Immunol.164:4178−4184(2000)も参照されたい。
「Fc領域を含む抗体(Fc region−comprising antibody)」という用語は、Fc領域を含む抗体を指す。Fc領域のC末端リジン(EU付番システムによる残基447)は、例えば、抗体の精製時に、又は抗体をコードする核酸の組換え操作によって除去することができる。したがって、本発明によるFc領域を有する抗体を含む組成物は、K447を有する抗体、全てのK447が除去された抗体、又はK447残基を有する抗体とK447残基を有さない抗体の混合物を含むことができる。
「結合親和性」は、通常、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合的相互作用の総和の強度を指す。特に示さない限り、本明細書で使用される「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、通常、解離定数(Kd)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載の方法を含む、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体が、通常、抗原にゆっくりと結合し、容易に解離する傾向にあるのに対し、高親和性抗体は、通常、抗原により速く結合し、より長く結合したままである傾向にある。結合親和性を測定する種々の方法が当技術分野で公知であり、そのうちのいずれかを本発明の目的に使用することができる。結合親和性を測定するための具体的な説明的かつ例示的な実施形態を以下に記載する。
一実施形態では、本発明による「Kd」又は「Kd値」は、以下のアッセイによって記載されているように、関心対象の抗体のFab型及びその抗原を用いて実施される放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、一連の漸増量の未標識抗原の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原でFabを平衡化し、その後、結合した抗原を抗Fab抗体がコーティングされたプレートで捕捉することによって測定される(例えば、Chenら,J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照されたい)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mlの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)のウシ血清アルブミンで、室温(約23℃)で2〜5時間ブロッキングする。非吸着プレート(Nunc#269620)中で、100pM又は26pMの[125I]−抗原を関心対象のFabの連続希釈物と混合する(例えば、Prestaら,Cancer Res.57:4593−4599(1997)の抗VEGF抗体、Fab−12の評価と一致)。その後、関心対象のFabを一晩インキュベートする。しかしながら、平衡に達するのを保証するために、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、混合物を捕捉プレートに移して、室温でインキュベートする(例えば、1時間)。その後、溶液を除去し、プレートをPBS中の0.1%のTWEEN−20(商標)で8回洗浄する。プレートを乾燥させた後、150μl/ウェルのシンチレーション剤(MICROSCINT−20(商標);Packard)を添加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)で10分間計数する。最大結合の20%以下を与える各々のFabの濃度を、競合的結合アッセイでの使用のために選択する。
別の実施形態によれば、Kd又はKd値は、BIACORE(登録商標)−2000又はBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.Piscataway,NJ)を、25℃で、約10応答単位(RU)の固定された抗原CM5チップとともに使用する表面プラズモン共鳴アッセイを用いることによって測定される。簡潔に述べると、カルボキシメチル化したデキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給者の指示に従って、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を、10mMの酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/ml(約0.2μM)にまで希釈した後、5μl/分の流速で注入して、約10応答単位(RU)のカップリングされたタンパク質を達成する。抗原を注入した後、1Mのエタノールアミンを注入して未反応の基をブロッキングする。反応速度の測定のために、Fabの2倍連続希釈物(0.78nM〜500nM)を、25℃、約25μl/分の流速で、0.05%のTWEEN−20(商標)界面活性剤を含むPBS(PBST)中に注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は、単純な1対1ラングミュアー結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合及び解離のセンサーグラムを同時に当てはめることによって算出される。平衡解離定数(Kd)は、koff/konの比として算出される。例えば、Chenら,J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照されたい。on速度が、上記の表面プラズモン共鳴アッセイによって106-1-1を超える場合、on速度は、ストップフローを備えたスペクトロフォメーター(spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズのSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定されるような、漸増濃度の抗原の存在下における、PBS、pH7.2中の20nMの抗抗原抗体(Fab型)の25℃での蛍光放出強度の増加又は減少を測定する蛍光クエンチング技術(励起=295nm;放出=340nm、16nmの帯域通過)を用いることによって決定することができる。
本発明による「on速度」、「会合の速度」、「会合速度」、又は「kon」は、BIACORE(登録商標)−2000又はBIACORE(登録商標)−3000システム(BIAcore,Inc.Piscataway,NJ)を用いて上述のように決定することもできる。
本明細書で使用される「実質的に類似する」又は「実質的に同じ」という用語は、当業者によって、2つの値間の差異が、該値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴との関連において、生物学的及び/又は統計的にほとんど又は全く有意ではないものとみなされるような、2つの数値(例えば、一方は、本発明の抗体に関連するものであり、もう一方は、参照/比較抗体に関連するものである)間の十分に高い度合の類似度を示す。該2つの値間の差異は、例えば、参照/比較値の関数として約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/又は約10%未満である。
本明細書で使用される「実質的に低下した」又は「実質的に異なる」という語句は、当業者によって、2つの値間の差異が、該値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴との関連において、統計的に有意であるものとみなされるような、2つの数値(通常、一方は、分子に関連するものであり、もう一方は、参照/比較分子に関連するものである)間の十分に高い度合の差異を示す。該2つの値間の差異は、例えば、参照/比較分子の値の関数として、約10%より大きい、約20%より大きい、約30%より大きい、約40%より大きい、及び/又は約50%より大きい。
「精製された」は、分子が、それが含まれる試料の少なくとも95重量%、又は少なくとも98重量%の濃度で試料中に存在することを意味する。
「単離された」核酸分子は、それが通常、例えば、その天然の環境中で関連している少なくとも1つの他の核酸分子から分離されている核酸分子である。単離された核酸分子には、通常は核酸分子を発現する細胞内に含まれているが、染色体外か、又はその天然の染色体位置とは異なる染色体の位置に存在する核酸分子がさらに含まれる。
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すことが意図される。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは、その中に付加的なDNAセグメントを連結させ得る環状の二本鎖DNAを指す。別のタイプのベクターはファージベクターである。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、この場合、付加的なDNAセグメントをウイルスゲノム中に連結させることができる。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞内で自律複製することができる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞内に導入されたときに宿主細胞のゲノム中に組み込まれることができ、その結果、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、ある種のベクターは、それらが機能的に連結されている遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」、又は単に「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態であるため、本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は互換的に使用することができる。
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドもしくは塩基、及び/又はそれらの類似体、或いはDNAもしくはRNAポリメラーゼによるか、又は合成反応によってポリマーに取り込ませることができる任意の基質であることができる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びその類似体などの修飾されたヌクレオチドを含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアセンブリの前又は後に与えることができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、標識とのコンジュゲーションなどの、合成後になされる修飾(複数可)を含むことができる。他の修飾の種類には、例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ又は複数を類似体に置換すること、非荷電結合(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)を有するもの及び荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するものなどのヌクレオチド間修飾、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ(ply)−L−リジンなど)などのペンダント部分を含有するもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結を有するもの(例えば、アルファアノマー核酸など)、並びにポリヌクレオチド(複数可)の非修飾形態が含まれる。さらに、糖の中に通常存在するヒドロキシル基のうちのいずれかを、例えば、ホスホン酸基、リン酸基によって置き換えるか、標準的な保護基によって保護するか、もしくはさらなるヌクレオチドとのさらなる連結を調製するために活性化することができるか、又は固体もしくは半固体の支持体にコンジュゲートさせることができる。5’及び3’末端のOHは、リン酸化するか、又はアミンもしくは1〜20個の炭素原子の有機キャップ基部分で置換することができる。他のヒドロキシルを標準的な保護基へと誘導体化することもできる。ポリヌクレオチドは、例えば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル−、2’−フルオロ−、又は2’−アジド−リボース、炭素環式糖類似体、α−アノマー糖、アラビノース、キシロース、又はリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環状類似体、及びメチルリボシドなどの塩基性ヌクレオシド類似体を含む、当技術分野で一般に知られているリボース又はデオキシリボース糖の類似形態を含有することもできる。1以上のリン酸ジエステル結合を代替の連結基によって置き換えることができる。これらの代替の連結基には、限定されないが、リン酸が、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、又はCH2(「ホルムアセタール」)によって置き換えられている実施形態が含まれ、ここで、各々のR又はR’は、独立して、H、又はエーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、もしくはアラルジルを任意に含有する置換もしくは非置換アルキル(1〜20個のC)である。ポリヌクレオチド中の全ての連結が同一である必要はない。前述の説明は、RNA及びDNAを含む、本明細書で言及された全てのポリヌクレオチドに適用される。
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」は、短い、通常は一本鎖の、通常は合成されたポリヌクレオチドを指し、これは、通常、長さが約200ヌクレオチド未満であるが、必ずしもそうである必要はない。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は相互排他的ではない。ポリヌクレオチドの上記の説明は、オリゴヌクレオチドにも同等かつ完全に適用可能である。
本明細書で使用される「Smo」又は「SMO」という用語は、特に示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)並びに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物供給源由来の任意のネイティブなSMOを指す。この用語は、「完全長」のプロセッシングされていないSMO、及び細胞内でのプロセッシングから生じる任意の形態のSMOを包含する。この用語は、SMOの天然に存在する変異体、例えば、スプライシング変異体又は対立遺伝子変異体も包含する。本明細書で使用される「突然変異体Smo」は、ヒトSMOの位置518でSMOの膜貫通7のカルボキシ末端部分に突然変異を有するSMOを指す。
本明細書で使用されるように、「治療」(及び「治療する」又は「治療している」などの変化形)は、治療されている個体又は細胞の自然経過を変化させる試みにおける臨床的介入を指し、予防のため、又は臨床病理の経過中に行なうことができる。治療の望ましい効果には、疾患の発生又は再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減少、転移の予防、疾患の進行の速度の減少、病状の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、疾患もしくは障害の発症を遅延させるために、又は疾患もしくは障害の進行を遅くするために使用される。
「個体」、「対象」、又は「患者」は、脊椎動物である。特定の実施形態では、脊椎動物は哺乳動物である。哺乳動物には、限定されないが、家畜(例えば、ウシ)、競技用動物、ペット(例えば、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類、マウス、並びにラットが含まれる。特定の実施形態では、哺乳動物はヒトである。
「医薬製剤」という用語は、活性成分の生物活性が有効であることを可能にするような形態にあり、製剤が投与される対象に対して許容できないほど毒性があるさらなる成分を含有しない調製物を指す。そのような製剤は滅菌性であることができる。
「滅菌」製剤は、無菌性であるか、又は全ての生きた微生物及びその胞子を含まない。「有効量」は、必要な投薬量で、かつ必要な期間、所望の治療的又は予防的結果を達成するのに有効な量を指す。
本発明の物質/分子の「治療的有効量」は、個体の病状、年齢、性別、及び重量、並びに個体において所望の応答を誘発する物質/分子の能力などの因子に応じて変動し得る。治療的有効量は、物質/分子の任意の毒性効果又は有害効果を治療上有益な効果が上回る量を包含する。「予防的有効量」は、必要な投薬量で、かつ必要な期間、所望の予防的結果を達成するのに有効な量を指す。通常、予防的用量は、疾患の前又は疾患の初期段階の対象において使用されるため、予防的有効量は、治療的有効量よりも少なくなるが、必ずしもそうである必要はない。
本明細書で使用される「細胞毒性剤」という用語は、細胞機能を阻害もしくは予防し、かつ/又は細胞の死もしくは破壊を引き起こす物質を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体)、化学療法剤(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、又は他のインターカレート剤、核酸分解性酵素などの酵素及びその断片、抗生物質、細菌、真菌、植物、又は動物起源の小分子毒素又は酵素活性毒素などの毒素(その断片及び/又は変異体を含む)、並びに以下に開示する様々な抗腫瘍剤又は抗癌剤を含むことが意図される。他の細胞毒性剤を以下に記載する。殺腫瘍剤は腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「毒素」は、細胞の成長又は増殖に対して有害な効果を有することができる任意の物質である。
「化学療法剤」は、癌の治療において有用な化学物質である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロスホスファミド(cyclosphosphamide)(CYTOXAN(登録商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロメラミンを含む、エチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン(scopolectin)、及び9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW−2189及びCB1−TM1を含む);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムヌスチン(ranimnustine)などのニトロソ尿素;エネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンオメガI1(例えば、Nicolaouら,Angew.Chem Intl.Ed.Engl.,33:183−186(1994)を参照);CDP323、経口アルファ−4インテグリン阻害剤;ダイネミシンAを含むダイネミシン;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射液(DOXIL(登録商標))、リポソームドキソルビシンTLC D−99(MYOCET(登録商標))、ペグ化リポソームドキソルビシン(CAELYX(登録商標))、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、テガフール(UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、エポチロン、及び5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗物質;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸などの葉酸リプレニッシャー;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン及びアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作したナノ粒子製剤(ABRAXANE(商標))、及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標));クロランブシル(chloranbucil);6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン(例えば、ELOXATIN(登録商標))、及びカルボプラチンなどの白金剤;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))、ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標))、及びビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))を含む、チューブリン重合が微小管を形成するのを妨げるビンカ;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ロイコボリン;ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標))を含むレチノイン酸などのレチノイド;クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE−58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、又はリセドロネート(ACTONEL(登録商標))などのビスホスホネート;トロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えば、PKC−アルファ、Raf、H−Ras、及び表皮成長因子受容体(EGF−R)などの、異常な細胞増殖に関係があるとされるシグナル伝達経路内の遺伝子の発現を阻害するもの;THERATOPE(登録商標)ワクチン並びに遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチンなどのワクチン;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、LURTOTECAN(登録商標));rmRH(例えば、ABARELIX(登録商標));BAY439006(ソラフェニブ;Bayer);SU−11248(スニチニブ、SUTENT(登録商標)、Pfizer);ペリホシン、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ又はエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341);ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標));CCI−779;チピファルニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;オブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標))などのBcl−2阻害剤;ピクサントロン;EGFR阻害剤(以下の定義を参照);チロシンキナーゼ阻害剤(以下の定義を参照);ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標))などのセリン−トレオニンキナーゼ阻害剤;ロナファルニブ(SCH6636、SARASAR(商標))などのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;及び上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体;並びにシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの組合せ療法の略記であるCHOP;及びオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を5−FU及びロイコボリンと組み合わせた治療レジメンの略記であるFOLFOXなどの、上記のうちの2つ以上の組合せが含まれる。
本明細書で定義される化学療法剤には、癌の成長を促進することができるホルモンの効果を調節するか、低下させるか、遮断するか、又は阻害するように作用する「抗ホルモン剤」又は「内分泌治療剤」が含まれる。それらは、限定されないが:タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標))、4−ヒドロキシタモキシフェン、トレミフェン(FARESTON(登録商標))、イドキシフェン、ドロロキシフェン、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))、トリオキシフェン、ケオキシフェン、及びSERM3などの選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)を含む、混合アゴニスト/アンタゴニストプロファイルを有する抗エストロゲン;フルベストラント(FASLODEX(登録商標))及びEM800などの、アゴニスト特性を有さない純粋な抗エストロゲン(そのような薬剤は、エストロゲン受容体(ER)の二量体化を遮断し、DNA結合を阻害し、ERの代謝回転を増加させ、かつ/又はERレベルを抑制し得る);フォルメスタン及びエキセメスタン(AROMASIN(登録商標))などのステロイド性アロマターゼ阻害剤、並びにアナストラゾール(ARIMIDEX(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、及びアミノグルテチミドなどの非ステロイド性アロマターゼ阻害剤を含む、アロマターゼ阻害剤であり、他のアロマターゼ阻害剤にはボロゾール(RIVISOR(登録商標))、酢酸メゲストロール(MEGASE(登録商標))、ファドロゾール、及び4(5)−イミダゾールが含まれる;ロイプロリド(LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標))、ゴセレリン、ブセレリン、並びにトリプテレリン(tripterelin)を含む、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト;酢酸メゲストロール及び酢酸メドロキシプロゲステロンなどのプロゲスチン、ジエチルスチルベストロール及びプレマリンなどのエストロゲン、並びにフルオキシメステロン、全てのトランスレチオニン酸(transretionic acid)及びフェンレチニドなどのアンドロゲン/レチノイドを含む、性ステロイド;オナプリストン;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体下方調節物質(ERD);フルタミド、ニルタミド、及びビカルタミドなどの抗アンドロゲン;上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体;並びに上記のうちの2つ以上の組合せを含む、ホルモン自体であってもよい。
本明細書で使用される場合の「成長阻害性薬剤」は、細胞(例えば、SMOを発現する細胞)の成長をインビトロ又はインビボのどちらかで阻害する化合物又は組成物を指す。したがって、成長阻害性薬剤は、S期の細胞(例えば、SMOを発現する細胞)パーセンテージを有意に低下させる物であり得る。成長阻害性薬剤の例には、G1停止及びM期停止を誘導する薬剤などの、細胞周期の進行を(S期以外の時点で)遮断する薬剤が含まれる。古典的なM期遮断剤には、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン、並びにドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンなどのトポイソメラーゼII阻害剤が含まれる。G1を停止させる薬剤は、S期停止にも波及し、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、及びara−CなどのDNAアルキル化剤がある。さらなる情報は、Mendelsohn及びIsrael編,癌の分子基盤(The Molecular Basis of Cancer),第1章,表題「細胞周期の調節、癌遺伝子、及び抗新生物薬(Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs)」、Murakamiら(W.B.Saunders,Philadelphia,1995),例えば、13ページに見出すことができる。タキサン(パクリタキセル及びドセタキセル)は、どちらもイチイに由来する抗癌薬である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標),Rhone−Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標),Bristol−Myers Squibb)の半合成類似体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体からの微小管のアセンブリを促進し、脱重合を防止することによって微小管を安定化し、細胞内の有糸分裂の阻害をもたらす。
「突然変異体Smoアンタゴニスト」は、ヒトSMOの位置518でアミノ酸置換を有する、SMOの生物活性を阻害する化合物であり、このアミノ酸置換は、この位置の野生型グルタミン酸を任意の他のアミノ酸へと変化させる。SMOの生物活性は、ヘッジホッグで刺激したときにシグナルをGli転写因子の活性化へと伝達する能力である。
I.核酸
本発明の核酸には、単離された突然変異体SMOをコードする配列が含まれる。核酸は、配列番号3の核酸配列と少なくとも80%同一であり、位置518でグルタミン酸(E)以外の任意のアミノ酸をコードする配列を含むように、この配列からの少なくとも1つの突然変異を含有する。いくつかの実施形態では、核酸は、位置518でアラニン(A)又はリジン(K)をコードする。いくつかの実施形態では、核酸は、ヌクレオチド1552、1553、及び/又は1554で親野生型SMOからの少なくとも1つの突然変異を有する。いくつかの実施形態では、配列番号3とのパーセント同一性は、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%であるが、但し、位置1552、1553、及び/又は1554に少なくとも1つの突然変異が存在する。本発明はまた、長さが少なくとも20ヌクレオチドである断片中の、上記の突然変異の領域にまたがるほどの核酸の断片も企図している。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド断片は、長さが25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100ヌクレオチドである。断片は、上記の突然変異の領域から完全長の突然変異体SMOをコードする核酸分子にまで及ぶ任意の長さであり得る。単離された突然変異体SMO及びその断片は、例えば、ハイブリダイゼーションのために、本発明の予後判定アッセイ及び診断アッセイのためのプライマー及びプローブを作製するために、並びに組換え系での発現のために(例えば、免疫原として使用するための及び本明細書に記載の本発明のアッセイで使用するための突然変異体SMOタンパク質又はその一部を作製するために)使用することができる。
本発明は、本発明の方法において突然変異体SMO核酸分子を同定するために使用し得る核酸プローブを提供する。突然変異体SMOを有することが疑われる組織又はSMOの状態が未知である組織に由来する核酸試料を、突然変異体SMOに対する特異的プローブを用いて、Sambrookら,分子クローニング:実験室マニュアル(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL),Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,1989)に記載されているものなどの標準的な手順を用いてスクリーニングすることができる。或いは、SMOをコードする核酸を組織から増幅し、本発明の特異的プローブでプロービングして、突然変異体SMOの不在又は存在を決定することができる。PCR法は当技術分野で周知である(Sambrookら,上記;Dieffenbachら,PCRプライマー:実験室マニュアル(PCR PRIMER:A LABORATORY MANUAL),Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,1995)。
突然変異体SMOをコードするヌクレオチド配列(又はその相補配列)は、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用、並びにアンチセンスRNA及びDNAプローブの作製における使用を含む、分子生物学の分野における様々な用途を有する。突然変異体SMOをコードする核酸は、本明細書に記載の組換え技術による突然変異体SMOポリペプチドの調製にも有用であり、この場合、これらの突然変異体SMOポリペプチドは、例えば、本明細書に記載の抗突然変異体SMO抗体の調製において用途を見出すことができる。
完全長の突然変異体SMO核酸、又はその部分は、突然変異体SMOを同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。
任意に、プローブの長さは約20〜約50塩基である。ハイブリダイゼーションプローブは、完全長の突然変異体SNOヌクレオチド配列の少なくとも突然変異領域に由来し得る。
例として、スクリーニング方法は、約40塩基の選択されたプローブを合成するために、既知のDNA配列を用いて突然変異体SMOのコード領域を単離することを含む。ハイブリダイゼーションプローブは、32Pもしくは35Sなどの放射性ヌクレオチド、又はアビジン/ビオチン結合系を介してプローブに結合されたアルカリホスファターゼなどの酵素標識を含む、種々の標識によって標識することができる。本発明の突然変異体SMO遺伝子に相補的な配列を有する標識プローブを用いて、ヒトcDNA、ゲノムDNA、又はmRNAのライブラリーをスクリーニングし、そのようなライブラリーのどのメンバーにプローブがハイブリダイズするかを決定することができる。ハイブリダイゼーション産物はポリアクリルアミドゲル上で分離することができる。さらに、SMO突然変異は、実施例に記載の方法を用いて決定することができる。中等度のストリンジェンシー及び高いストリンジェンシーを含むハイブリダイゼーション条件は、Sambrookら,上記に提供されている。
そのようなライブラリースクリーニング方法で同定された配列は、SMO及び突然変異体SMOの既知の配列と比較し、整列させることができる。膜貫通ドメイン7のカルボキシ末端領域での配列同一性は、当技術分野で公知の方法を用いて決定することができる。
SMOをコードする核酸の他の有用な断片には、標的突然変異体SMO mRNA(センス)又は突然変異体SMO DNA(アンチセンス)配列に結合することができる一本鎖核酸配列(RNA又はDNAのどちらか)を含むアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。本発明によるアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、突然変異領域を含む突然変異体SMO DNAのコード領域の断片を含む。そのような断片は、通常、少なくとも約14個のヌクレオチド、好ましくは約14〜30個のヌクレオチドを含む。所与のタンパク質をコードするcDNA配列に基づいて、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを得る能力は、例えば、Stein及びCohen(1988)Cancer Res.48:2659、並びにvan der Krolら(1988)BioTechniques 6:958に記載されている。
アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸配列との結合は、二重鎖の分解の増強、転写もしくは翻訳の早期終結を含むいくつかの手段のうちの1つによるか、又は他の手段による、標的配列の転写又は翻訳を遮断する二重鎖の形成をもたらす。そのような方法は本発明によって包含されている。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて突然変異体SMOタンパク質の発現を遮断することができ、これらの突然変異体SMOタンパク質は、GDC−0449などの化学療法剤に対する哺乳動物内の癌の耐性において役割を果たすことができる。アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、修飾された糖−ホスホジエステル骨格(又はWO91/06629号に記載されているものなどの他の糖連結)を有し、かつそのような糖連結が、内在性ヌクレアーゼに対して耐性であるオリゴヌクレオチドをさらに含む。耐性のある糖連結を有するそのようなオリゴヌクレオチドは、インビボで安定である(すなわち、酵素分解に抵抗することができる)が、標的ヌクレオチド配列に結合することができるための配列特異性を保持している。
突然変異体SMOタンパク質の発現を阻害するのに有用な好ましいアンチセンス化合物の具体的な例には、修飾骨格又は非天然のヌクレオシド間連結を含むオリゴヌクレオチドが含まれる。修飾骨格を有するオリゴヌクレオチドには、骨格中にリン原子を保持しているもの及び骨格中にリン原子を有さないものが含まれる。本明細書の目的のために、かつ当技術分野において時折言及されるように、そのヌクレオシド間骨格中にリン原子を有さない修飾オリゴヌクレオチドもオリゴヌクレオシドであるとみなすことができる。好ましい修飾オリゴヌクレオチド骨格には、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリ−エステル、3’−アルキレンホスホネート、5’−アルキレンホスホネート、及びキラルホスホネートを含む、メチル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホロアミデート、及びアミノアルキルホスホロアミデートを含む、ホスホロアミデート(phosphoramidate)、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスホネート、並びに通常の3’−5’連結を有するボラノ−ホスホネート、これらの2’−5’連結類似体、及び1以上のヌクレオチド間連結が3’から3’、5’から5’、又は2’から2’への連結である、逆転した極性を有するものが含まれる。逆転した極性を有する好ましいオリゴヌクレオチドは、最も3’側のヌクレオチド間連結で単一の3’から3’への連結、すなわち、脱塩基(核酸塩基が欠失しているか、又はその代わりにヒドロキシル基を有する)であり得る単一の逆転したヌクレオシド残基を含む。様々な塩、混合塩、及び遊離酸の形態も含まれる。リン含有連結の調製を教示している代表的な米国特許には、限定されないが、米国特許第3,687,808号;第4,469,863号;第4,476,301号;第5,023,243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;第5,194,599号;第5,565,555号;第5,527,899号;第5,721,218号;第5,672,697号、及び第5,625,050号が含まれ、これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。
その中にリン原子を含まない、好ましい修飾オリゴヌクレオチド骨格は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子及びアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、又は1以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間連結によって形成される骨格を有する。これらには、モルホリノ連結(ヌクレオシドの糖部分から一部形成される);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド、及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;リボアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格を有するもの;並びに混合されたN、O、S、及びCH2成分部分を有する他のものが含まれる。そのようなオリゴヌクレオシドの調製を教示している代表的な米国特許には、限定されないが、米国特許第5,034,506号;第5,166,315号;第5,185,444号;第5,214,134号;第5,216,141号;第5,235,033号;第5,264,562号;第5,264,564号;第5,405,938号;第5,434,257号;第5,466,677号;第5,470,967号;第5,489,677号;第5,541,307号;第5,561,225号;第5,596,086号;第5,602,240号;第5,610,289号;第5,602,240号;第5,608,046号;第5,610,289号;第5,618,704号;第5,623,070号;第5,663,312号;第5,633,360号;第5,677,437号;第5,792,608号;第5,646,269号、及び第5,677,439号が含まれ、これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。
他の好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドでは、ヌクレオチド単位の糖とヌクレオシド間連結、すなわち、骨格が両方とも、新規の基で置き換えられている。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持されている。1つのそのようなオリゴマー化合物、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているオリゴヌクレオチド模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物では、オリゴヌクレオチドの糖骨格は、アミド含有骨格、特に、アミノエチルグリシン骨格で置き換えられている。核酸塩基は保持されており、骨格のアミド部分のアザ窒素原子と直接的又は間接的に結合している。PNA化合物の調製を教示している代表的な米国特許には、限定されないが、米国特許第5,539,082号;第5,714,331号;及び第5,719,262号が含まれ、これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsenら(1991)Science 254:1497−1500に見出すことができる。
好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、上で言及した米国特許第5,489,677号に記載のホスホロチオエート骨格及び/又はヘテロ原子骨格、特に、−CH2−NH−O−CH2−、−CH2−N(CH3)−O−CH2−(メチレン(メチルイミノ)又はMMI骨格として知られる)、−CH2−O−N(CH3)−CH2−、−CH2−N(CH3)−N(CH3)−CH2−、及び−O−N(CH3)−CH2−CH2−(天然のホスホジエステル骨格は−O−P−O−CH2−として表される)、並びに上で言及した米国特許第5,602,240号のアミド骨格を取り込んでいる。上で言及した米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドも好ましい。
修飾オリゴヌクレオチドはまた、1以上の置換された糖部分を含有することもできる。好ましいオリゴヌクレオチドは、2’位に以下のうちの1つを含む:OH;F;O−アルキル、S−アルキル、もしくはN−アルキル;O−アルケニル、S−アルケイニル(alkeynyl)、もしくはN−アルケニル;O−アルキニル、S−アルキニル、もしくはN−アルキニル;又はO−アルキル−O−アルキル(ここで、アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、置換又は非置換のC1〜C10アルキル又はC2〜C10アルケニル及びアルキニルであってもよい)。特に好ましいのは、O[(CH2nO]mCH3、O(CH2nOCH3、O(CH2nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2nONH2、及びO(CH2nON[(CH2nCH3)]2(ここで、n及びmは1〜約10である)である。他の好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’位に以下のうちの1つを含む:C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリール、もしくはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、又はオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、及び類似の特性を有する他の置換基。好ましい修飾には、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CH2CH2OCH3、2’−O−(2−メトキシエチル)又は2’−MOEとしても知られる)(Martinら(1995)Helv.Chim.Acta 78:486−504)、すなわち、アルコキシアルコキシ基が含まれる。さらに好ましい修飾には、本明細書において以下の実施例に記載されている、2’−DMAOEとしても知られる、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、O(CH22ON(CH32基、及び2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野で2’−O−ジメチルアミノエトキシエチル又は2’−DMAEOEとしても知られる)、すなわち、2’−O−CH2−O−CH2−N(CH2)が含まれる。
さらに好ましい修飾には、2’−ヒドロキシル基が糖環の3’又は4’の炭素原子と連結されており、それにより二環式の糖部分が形成されている、ロックされた核酸(LNA)が含まれる。連結は、好ましくは、2’酸素原子と4’炭素原子を架橋するメテリン(methelyne)(−CH2−)n基(式中、nは1又は2である)である。LNA及びその調製は、WO98/39352号及びWO99/14226号に記載されている。
他の好ましい修飾には、2’−メトキシ(2’−O−CH3)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCH2CH2CH2NH2)、2’−アリル(2’−CH2−CH=CH2)、2’−O−アリル(2’−O−CH2−CH=CH2)、及び2’−フルオロ(2’−F)が含まれる。2’−修飾は、アラビノ(上)位置又はリボ(下)位置にあってもよい。好ましい2’−アラビノ修飾は、2’−Fである。同様の修飾は、オリゴヌクレオチド上の他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上、又は2’−5’連結のオリゴヌクレオチド中の糖の3’位、及び5’末端ヌクレオチドの5’位で行なわれてもよい。オリゴヌクレオチドはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有していてもよい。そのような修飾された糖構造の調製を教示している代表的な米国特許には、限定されないが、米国特許第4,981,957号;第5,118,800号;第5,319,080号;第5,359,044号;第5,393,878号;第5,446,137号;第5,466,786号;第5,514,785号;第5,519,134号;第5,567,811号;第5,576,427号;第5,591,722号;第5,597,909号;第5,610,300号;第5,627,053号;第5,639,873号;第5,646,265号;第5,658,873号;第5,670,633号;第5,792,747号;及び第5,700,920号が含まれ、これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
オリゴヌクレオチドには、核酸塩基(多くの場合、当技術分野において単に「塩基」と呼ばれる)の修飾又は置換も含まれ得る。本明細書で使用されるように、「非修飾」又は「天然」核酸塩基には、プリン塩基のアデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)、及びウラシル(U)が含まれる。修飾核酸塩基には、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6−メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2−プロピル及び他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン、及び2−チオシトシン、5−ハロウラシル及びシトシン、5−プロピニル(−C=C−CH3又は−CH2−C=CH)ウラシル及びシトシン並びにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシン、及びチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル、及び他の8−置換アデニン及びグアニン、5−ハロ、特に、5−ブロモ、5−トリフルオロメチル、及び他の5−置換ウラシル及びシトシン、7−メチルグアニン及び7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニン及び8−アザアデニン、7−デアザグアニン及び7−デアザアデニン、並びに3−デアザグアニン及び3−デアザアデニンなどの、他の合成及び天然核酸塩基が含まれる。さらなる修飾核酸塩基には、三環系ピリミジン、例えば、フェノキサジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンズオキサジン−2(3H)−オン)、フェノチアジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾチアジン−2(3H)−オン)、G−クランプ、例えば、置換フェノキサジンシチジン(例えば、9−(2−アミノエトキシ)−H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンズオキサジン−2(3H)−オン)、カルバゾールシチジン(2H−ピリミド[4,5−b]インドール−2−オン)、ピリドインドールシチジン(H−ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−オン)が含まれる。修飾核酸塩基には、プリン又はピリミジン塩基が他の複素環で置き換えられているもの、例えば、7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジン、及び2−ピリドンも含まれ得る。さらなる核酸塩基には、米国特許第3,687,808号に開示されているもの、高分子科学及び工学の簡潔な百科事典(THE CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING),Kroschwitz,J.I.編,John Wiley&Sons,1990,858−859ページに開示されているもの、並びにEnglischら,ANGEWANDTE CHEMIE,国際版,Wiley−VCH,Germany,1991,30:613によって開示されているものが含まれる。これらの核酸塩基のうちの特定のものが、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増大させるのに特に有用である。これらには、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、及び5−プロピニルシトシンを含む、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、並びにN−2、N−6、及びO−6置換プリンが含まれる。5−メチルシトシン置換は、核酸二重鎖の安定性を0.6〜1.2℃増加させることが示されており(Sanghviら,アンチセンスの研究及び応用(ANTISENSE RESEARCH AND APPLICATIONS),CRC Press,Boca Raton,1993,276−278ページ)、また、この置換は、好ましい塩基置換であり、さらにより好ましいのは、特に、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わされる場合である。修飾核酸塩基の調製を教示している代表的な米国特許には、限定されないが、米国特許第3,687,808号、並びに米国特許第4,845,205号;第5,130,302号;第5,134,066号;第5,175,273号;第5,367,066号;第5,432,272号;第5,457,187号;第5,459,255号;第5,484,908号;第5,502,177号;第5,525,711号;第5,552,540号;第5,587,469号;第5,594,121;5,596,091号;第5,614,617号;第5,645,985号;第5,830,653号;第5,763,588号;第6,005,096号;第5,681,941号、及び第5,750,692号が含まれ、これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の修飾として、オリゴヌクレオチドに、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、又は細胞取込みを増強する1以上の部分又はコンジュゲートを化学的に連結させる修飾がある。本発明の化合物は、第1級又は第2級ヒドロキシル基などの官能基に共有結合したコンジュゲート基を含むことができる。本発明のコンジュゲート基には、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学的特性を増強する基、及びオリゴマーの薬物動態特性を増強する基が含まれる。典型的なコンジュゲート基には、コレステロール、脂質、陽イオン脂質、リン脂質、陽イオン性リン脂質、ビオチン、フェナジン、フォレート、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、及び色素が含まれる。本発明との関連における、薬力学的特性を増強する基には、オリゴマーの取込みを改善する基、分解に対するオリゴマーの耐性を増強する基、及び/又はRNAとの配列特異的ハイブリダイゼーションを強化する基が含まれる。本発明との関連における、薬物動態特性を増強する基には、オリゴマーの取込み、分布、代謝、又は排泄を改善する基が含まれる。コンジュゲート部分には、限定されないが、コレステロール部分(Letsingerら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−6556)、コール酸(Manoharanら(1994)Bioorg.Med.Chem.Lett.4:1053−1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharanら(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:306−309;Manoharanら(1993)Bioorg.Med.Chem.Lett.3:2765−2770)、チオコレステロール(Oberhauserら(1992)Nucl.Acids Res.20:533−538)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基(Saison−Behmoarasら(1991)EMBO J.10:1111−1118;Kabanovら(1990)FEBS Lett.259:327−330;Svinarchukら(1993)Biochimie 75:49−54、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールもしくはトリエチル−アンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharanら(1995)Tetrahedron Lett.36:3651−3654;Sheaら(1990)Nucl.Acids Res.18:3777−3783)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら(1995)Nucleosides&Nucleotides 14:969−973)、又はアダマンタン酢酸(Manoharanら(1995)Tetrahedron Lett.36:3651−3654)、パルミチル部分(Mishraら(1995)Biochim.Biophys.Acta 1264:229−237)、又はオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分などの、脂質部分が含まれる。本発明のオリゴヌクレオチドはまた、活性薬物物質、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)−(+)−プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5−トリヨード安息香酸、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメチシン、バルビツレート、セファロスポリン、スルファ薬、抗糖尿病薬、抗細菌薬、又は抗生物質にコンジュゲートされていてもよい。オリゴヌクレオチド−薬物コンジュゲート及びその調製は、米国特許第4,828,979号;第4,948,882号;第5,218,105号;第5,525,465号;第5,541,313号;第5,545,730号;第5,552,538号;第5,578,717;5,580,731号;第5,580,731号;第5,591,584号;第5,109,124号;第5,118,802号;第5,138,045号;第5,414,077号;第5,486,603号;第5,512,439号;第5,578,718号;第5,608,046号;第4,587,044号;第4,605,735号;第4,667,025号;第4,762,779号;第4,789,737号;第4,824,941号;第4,835,263号;第4,876,335号;第4,904,582号;第4,958,013号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,245,022号;第5,254,469号;第5,258,506号;第5,262,536号;第5,272,250号;第5,292,873号;第5,317,098号;第5,371,241;5,391,723号;第5,416,203号;5,451,463号;第5,510,475号;第5,512,667号;第5,514,785号;第5,565,552号;第5,567,810号;第5,574,142号;第5,585,481号;第5,587,371号;第5,595,726号;第5,597,696号;第5,599,923号;第5,599,928号;第5,688,941号、及び第6,656,730号に記載されており、これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。
所与の化合物中の全ての位置が均一に修飾されている必要はなく、実際、前述の修飾のうちの2つ以上が、単一の化合物、又はさらにはオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシド中に取り込まれていてもよい。本発明には、キメラ化合物であるアンチセンス化合物も含まれる。本発明との関連における、「キメラ」アンチセンス化合物又は「キメラ」は、各々が少なくとも1つの単量体単位、すなわち、オリゴヌクレオチド化合物の場合はヌクレオチドから構成される、2以上の化学的に異なる領域を含有するアンチセンス化合物、特に、オリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、通常、オリゴヌクレオチドに、ヌクレアーゼ分解に対する増大した耐性、増大した細胞取込み、及び/又は標的核酸に対する増大した結合親和性を付与するように、オリゴヌクレオチドが修飾されている、少なくとも1つの領域を含有する。オリゴヌクレオチドのさらなる領域は、RNA:DNA又はRNA:RNAハイブリッドを切断することができる酵素の基質としての役割を果たすことができる。例として、RNアーゼHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。それゆえ、RNアーゼHの活性化は、RNA標的の切断をもたらし、それにより、遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率を大いに増強する。その結果、多くの場合、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドと比べて、キメラオリゴヌクレオチドを用いる場合に、より短いオリゴヌクレオチドで同程度の結果を得ることができる。本発明のキメラアンチセンス化合物は、上記のような2以上のオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、及び/又はオリゴヌクレオチド模倣体の複合構造物として形成させることができる。好ましいキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性を付与するために、3’末端に少なくとも1つの2’修飾糖(好ましくは、2’−O−(CH22−O−CH3)を取り込み、かつRNアーゼH活性を付与するために、少なくとも4つの連続的な2’−H糖を有する領域を取り込んでいる。そのような化合物は、当技術分野でハイブリッド又はギャップマーとも呼ばれている。好ましいギャップマーは、3’末端及び5’末端に、少なくとも4つの連続的な2’−H糖を有する少なくとも1つの領域によって隔てられた2’修飾糖(好ましくは、2’−O−(CH22−O−CH3)の領域を有しており、好ましくは、ホスホロチオエート骨格連結を取り込んでいる。そのようなハイブリッド構造の調製を教示している代表的な米国特許には、限定されないが、米国特許第5,013,830号;第5,149,797号;第5,220,007号;第5,256,775号;第5,366,878号;第5,403,711号;第5,491,133号;第5,565,350号;第5,623,065号;第5,652,355号;第5,652,356号;及び第5,700,922号が含まれ、これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明に従って使用されるアンチセンス化合物は、固相合成の周知の技術によって好都合かつルーチンに作製することができる。そのような合成のための機器は、例えば、Applied Biosystems(Foster City,Calif.)を含むいくつかの販売業者によって販売されている。当技術分野で公知のそのような合成のための任意の他の手段を、それに加えて又はその代わりに用いることができる。同様の技術を用いてホスホロチオエート及びアルキル化誘導体などのオリゴヌクレオチドを調製することが周知である。本発明の化合物は、取込み、分布、及び/又は吸収を助けるための、例えば、リポソーム、受容体標的分子、経口、直腸、局所、又は他の製剤として、他の分子、分子構造、又は化合物の混合物と混合するか、これらとともに封入するか、これらとコンジュゲートするか、又はこれらと別の方法で関連させることもできる。そのような取込み、分布、及び/又は吸収を助ける製剤の調製を教示している代表的な米国特許には、限定されないが、米国特許第5,108,921号;第5,354,844号;第5,416,016号;第5,459,127号;第5,521,291号;第5,543,158号;第5,547,932号;第5,583,020号;第5,591,721号;第4,426,330号;第4,534,899号;第5,013,556号;第5,108,921号;第5,213,804号;第5,227,170号;第5,264,221号;第5,356,633号;第5,395,619号;第5,416,016号;第5,417,978号;第5,462,854号;第5,469,854号;第5,512,295号;第5,527,528号;第5,534,259号;第5,543,152号;第5,556,948号;第5,580,575号;及び第5,595,756号が含まれ、これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。
センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例には、WO90/10048号に記載されているものなどの有機部分、及びポリ−(L−リジン)などの、標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増大させる他の部分に共有結合しているオリゴヌクレオチドが含まれる。またさらに、エリプチシンなどのインターカレート剤、及びアルキル化剤又は金属錯体をセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドに付着させて、標的ヌクレオチド配列に対するアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの結合特異性を修飾することができる。
アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、CaPO4によって媒介されるDNAトランスフェクション、エレクトロポレーション、又はエプスタイン−バーウイルスなどの遺伝子移入ベクターを使用することによるものを含む、任意の遺伝子移入方法によって、標的核酸配列を含む細胞内に導入することができる。好ましい手順では、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを好適なレトロウイルスベクターに挿入する。標的核酸配列を含む細胞を、インビボ又はエクスビボのどちらかで、組換えレトロウイルスベクターと接触させる。好適なレトロウイルスベクターには、限定されないが、マウスレトロウイルスM−MuLVに由来するもの、N2(M−MuLVに由来するレトロウイルス)、又はDCT5A、DCT5B、及びDCT5Cと命名された二重コピーベクター(WO90/13641号を参照)が含まれる。
センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、WO91/04753号に記載されているように、リガンド結合分子とのコンジュゲートの形成によって、標的ヌクレオチド配列を含む細胞内に導入することもできる。好適なリガンド結合分子には、限定されないが、細胞表面受容体、成長因子、他のサイトカイン、又は細胞表面受容体に結合する他のリガンドが含まれる。好ましくは、リガンド結合分子のコンジュゲーションは、リガンド結合分子がその対応する分子又は受容体に結合する能力を実質的に妨害することもないし、センスもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲート型の細胞内への進入を遮断することもない。
或いは、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、WO90/10448号に記載されているように、オリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成によって、標的核酸配列を含む細胞内に導入することができる。センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド−脂質複合体は、好ましくは、内在性リパーゼによって細胞内で解離する。
アンチセンス又はセンスRNA又はDNA分子は、通常、長さが少なくとも約5ヌクレオチド、或いは長さが少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、又は1000ヌクレオチドであり、この文脈において、「約」という用語は、言及されたヌクレオチド配列の長さプラス又はマイナスその言及された長さの10%を意味する。
突然変異体SMOをコードするヌクレオチド配列を用いて、そのSMOをコードする遺伝子をマッピングするための、及び遺伝的障害を有する個体の遺伝子解析のためのハイブリダイゼーションプローブを構築することもできる。インサイチュハイブリダイゼーション、既知の染色体マーカーに対する連鎖解析、及びライブラリーを用いるハイブリダイゼーションスクリーニングなどの既知の技術を用いて、本明細書で提供されるヌクレオチド配列を染色体及び染色体の特定の領域にマッピングすることができる。
潜在的な突然変異体SMOアンタゴニストは、アンチセンス技術を用いて調製されるアンチセンスRNA又はDNAコンストラクトであり、この場合、例えば、アンチセンスRNA又はDNA分子は、標的とされるmRNAにハイブリダイズし、タンパク質の翻訳を妨げることによって、mRNAの翻訳を直接遮断するように作用する。アンチセンス技術を用いて、三重ヘリックス形成又はアンチセンスDNAもしくはRNAによって遺伝子発現を制御することができ、これらの方法はどちらも、ポリヌクレオチドとDNA又はRNAとの結合に基づいている。例えば、本明細書中の突然変異体SMOをコードする核酸を用いて、長さが約10〜40塩基対のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計する。DNAオリゴヌクレオチドを、転写に関与する遺伝子の領域に相補的であるように設計し(三重らせん−Leeら(1979)Nucl.Acids Res.6:3073;Cooneyら(1988)Science 241:456;Dervanら(1991)Science 251:1360を参照)、それにより、突然変異体SMOの転写及び産生を妨げる。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダイズし、mRNA分子から突然変異体SMOへの翻訳を遮断する(Okano(1991)Neurochem.56:560);遺伝子発現のアンチセンス阻害剤としてのオリゴデオキシヌクレオチド(OLIGODEOXYNUCLEOTIDES AS ANTISENSE INHIBITORS OF GENE EXPRESSION),CRC Press,Boca Raton,FL,1988)。上記のオリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNA又はDNAがインビボで発現されて、突然変異体SMOの産生を阻害し得るように、細胞に送達することもできる。アンチセンスDNAを用いる場合、翻訳開始部位、例えば、標的遺伝子ヌクレオチド配列の約−10〜+10の位置に由来するオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
突然変異体SMOの潜在的なアンタゴニストには、野生型SMO中でGDC−0449によって占有される部位に結合し、それにより、突然変異体SMOの生物活性を遮断する小分子が含まれる。小分子の例には、限定されないが、小ペプチド又はペプチド様分子、好ましくは、可溶性ペプチド、及び非ペプチジル合成有機又は無機化合物が含まれる。
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒することができる酵素的RNA分子である。リボザイムは、相補的な標的RNAに対する配列特異的ハイブリダイゼーションと、その後のエンドヌクレアーゼ切断によって作用する。潜在的RNA標的内の特異的なリボザイム切断部位は、既知の技術によって同定することができる。さらなる詳細については、例えば、Rossi(1994)Current Biology,4:469−471、及びPCT公開WO97/33551号(1997年9月18日に公開)を参照されたい。
転写を阻害するために使用される三重ヘリックス形成中の核酸分子は、一本鎖であり、かつデオキシヌクレオチドから構成されるべきである。これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成は、それが、フーグスティーン塩基対形成則を介する三重ヘリックス形成を促進するように設計されており、このフーグスティーン塩基対形成則は、通常、二重鎖の一方の鎖上にプリン又はピリミジンのかなり大きなストレッチを必要とする。さらなる詳細については、例えば、PCT公開WO97/33551号、上記を参照されたい。
これらの小分子は、本明細書において上で論じられたスクリーニングアッセイのうちのいずれか1つもしくは複数によって、及び/又は当業者に周知の任意の他のスクリーニング技術によって同定することができる。突然変異体SMOアンタゴニストとして使用し得る小分子の例は、以下の構造式を有する化合物である:
II.タンパク質
本発明は、単離された突然変異体SMOタンパク質を提供する。野生型ヒトSMOは、配列番号1に示されている。突然変異ヒトSMOは、配列番号2に示されており、ここで、アミノ酸518は、本出願に関して、グルタミン酸(E)以外の任意のアミノ酸を表す「X」として示されている。いくつかの実施形態では、Xは、アラニン(A)又はリジン(K)である。突然変異体SMO及びその断片は、本明細書に記載の突然変異体SMO核酸を用いて、当技術分野で周知であるように組換え系で産生することができる。そのような核酸を、当技術分野で周知であるような発現ベクターに組み込み、タンパク質の提案される用途に応じて原核細胞又は真核細胞であり得る宿主細胞内にトランスフェクトすることができる。突然変異体SMOの完全長又は断片(この断片は、少なくとも膜貫通ドメイン7のカルボキシ末端部分及び配列番号2のアミノ酸518を含む)を免疫原として用いて、例えば、本発明の抗体を産生するか、又は本発明の抗体を精製することができる。
III.抗体
A.抗突然変異体SMO抗体
一態様では、本発明は、SMO、特に、突然変異体SMOに結合する抗体を提供する。一実施形態では、抗SMO抗体はモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗SMO抗体は、抗体断片、例えば、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、又は(Fab’)2断片である。一実施形態では、抗突然変異体SMO抗体は、キメラ、ヒト化、又はヒト抗体である。一実施形態では、抗SMO抗体は精製されている。特定の実施形態では、組成物は、癌の治療のための医薬製剤である。
1.抗体断片
本発明は、抗体断片を包含する。抗体断片は、酵素消化などの従来の手段によるか、又は組換え技術によって作製することができる。特定の状況下では、完全抗体ではなく、抗体断片を使用することに利点がある。断片のサイズがより小さいために、迅速なクリアランスが可能となり、固形腫瘍への接近の改善がもたらされ得る。特定の抗体断片の総説については、Hudsonら(2003)Nat.Med.9:129−134を参照されたい。
抗体断片を産生するために、様々な技術が開発されている。従来、これらの断片は、インタクト抗体のタンパク質分解的消化を介して得られた(例えば、Morimotoら,Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)、及びBrennanら,Science,229:81(1985)を参照されたい)。しかしながら、これらの断片は、現在、組換え宿主細胞によって直接産生させることができる。Fab、Fv、及びScFv抗体断片は全て、大腸菌で発現させ、大腸菌から分泌させることができ、したがって、大量のこれらの断片の容易な産生が可能となる。抗体断片は、上で論じた抗体ファージライブラリーから単離することができる。或いは、Fab’−SH断片を大腸菌から直接回収し、化学的に結合させて、F(ab’)2断片を形成させることができる(Carterら,Bio/Technology 10:163−167(1992))。別の手法によれば、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含む、インビボ半減期が増大したFab及びF(ab’)2断片は、米国特許第5,869,046号に記載されている。抗体断片を産生するための他の技術は、当業者には明らかであろう。特定の実施形態では、抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。WO93/16185号;米国特許第5,571,894号;及び第5,587,458号を参照されたい。Fv及びscFvは、定常領域を欠くインタクトな結合部位を有する唯一の種であり;したがって、それらは、インビボ使用時の低下した非特異的結合に好適であり得る。scFv融合タンパク質は、scFvのアミノ末端又はカルボキシ末端のどちらかでエフェクタータンパク質との融合を生じるように構築することができる。抗体工学(Antibody Engineering),Borrebaeck編,上記を参照されたい。抗体断片はまた、例えば、米国特許第5,641,870号に記載されているような、「直鎖抗体」であってもよい。そのような直鎖抗体は単一特異性又は二重特異性であり得る。
2.ヒト化抗体
本発明は、ヒト化抗体を包含する。非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が当技術分野で公知である。例えば、ヒト化抗体は、その中に導入された、非ヒトである供給源由来の1以上のアミノ酸残基を有することができる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「輸入」(移入、import)残基と呼ばれ、これらは通常、「輸入」可変ドメインから取られる。ヒト化は、Winter及び共同研究者らの方法(Jonesら(1986)Nature 321:522−525;Riechmannら(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyenら(1988)Science 239:1534−1536)に従って、超可変領域配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに用いることによって、本質的に実施することができる。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、その場合、インタクトなヒト可変ドメインには実質的に満たないものが、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、通常、いくつかの超可変領域残基、及び場合によってはいくつかのFR残基が齧歯類抗体中の類似部位の残基によって置換されている、ヒト抗体である。
ヒト化抗体を作製する際に使用されるべき、軽鎖と重鎖の両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低下させるために重要であり得る。いわゆる「ベストフィット」法に従って、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。その後、齧歯類のものに最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のヒトフレームワークとして許容する。例えば、Simsら(1993)J.Immunol.151:2296;Chothiaら(1987)J.Mol.Biol.196:901を参照されたい。別の方法は、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを用いる。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に用いることができる。例えば、Carterら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285;Prestaら(1993)J.Immunol.151:2623を参照されたい。
通常、抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の有利な生物学的特性を保持してヒト化されることがさらに望ましい。この目的を達成するために、1つの方法によれば、ヒト化抗体は、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを用いた、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析の過程によって調製される。三次元免疫グロブリンモデルは一般に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推定三次元立体構造を例示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検査により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のあり得る役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を与える残基の分析が可能となる。このようにして、標的抗原(複数可)に対する増大した親和性などの、所望の抗体特徴が達成されるように、FR残基をレシピエント配列及び輸入配列から選択し、組み合わせることができる。一般に、超可変領域残基は、抗原結合に影響を与えることに直接かつ最も実質的に関与している。
3.ヒト抗体
本発明のヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列(複数可)を、上記のような既知のヒト定常ドメイン配列(複数可)と組み合わせることによって構築することができる。或いは、本発明のヒトモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法によって作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の産生用のヒト骨髄腫及びマウス−ヒト異種骨髄腫細胞株は、例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら,モノクローナル抗体の産生技術及び応用(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications),51−63ページ(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);並びにBoernerら,J.Immunol.,147:86(1991)によって記載されている。
現在、免疫化後に、内在性免疫グロブリン産生の非存在下で、ヒト抗体の完全レパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を産生することが可能である。例えば、キメラマウス及び生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖接合領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失が、内在性抗体の産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。そのような生殖系列突然変異体マウスにヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイを移入することによって、抗原刺激後にヒト抗体の産生がもたらされる。例えば、Jakobovitsら,Proc.Natl.Acad.Sci USA,90:2551(1993);Jakobovitsら,Nature,362:255(1993);Bruggermannら,Year in Immunol.,7:33(1993)を参照されたい。
遺伝子シャフリングを用いて、非ヒト、例えば、齧歯類の抗体からヒト抗体を得ることができ、この場合、ヒト抗体は、出発非ヒト抗体と同様の親和性及び特異性を有する。「エピトープインプリンティング」とも呼ばれるこの方法によって、本明細書に記載されるようなファージディスプレイ技術によって得られた非ヒト抗体断片の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のどちらかをヒトVドメイン遺伝子のレパートリーと置き換え、非ヒト鎖/ヒト鎖のscFv又はFabキメラの集団を作出する。抗原を用いた選択によって、非ヒト鎖/ヒト鎖のキメラscFv又はFabの単離がもたらされ、この場合、ヒト鎖は、一次ファージディスプレイクローン中の対応する非ヒト鎖を除去するときに破壊された抗原結合部位を回復する、すなわち、エピトープがヒト鎖パートナーの選択を支配する(刷り込む)。残りの非ヒト鎖を置き換えるためにこのプロセスを繰り返すと、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日に公開されたPCT WO93/06213号を参照されたい)。CDR移植による非ヒト抗体の従来のヒト化とは異なり、この技術は、非ヒト起源のFR残基もCDR残基も有さない、完全にヒトの抗体を提供する。
4.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒト又はヒト化抗体である。特定の実施形態では、結合特異性のうちの一方はSMOに対するものであり、もう一方は任意の他の抗原に対するものである。特定の実施形態では、二重特異性抗体は、SMOの2つの異なるエピトープに結合することができる。二重特異性抗体を用いて、SMOを発現する細胞に細胞毒性剤を局在化させることもできる。これらの抗体は、SMO結合アーム、及び例えば、サポリン、抗インターフェロン−α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサート、又は放射性同位体ハプテンなどの、細胞毒性剤に結合するアームを保有する。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作製する方法は当技術分野で公知である。従来、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の共発現に基づいており、この場合、2つの重鎖は異なる特異性を有する(Milstein及びCuello,Nature,305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな取り合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10種の異なる抗体分子の潜在的な混合物を産生し、そのうちの1つしか正しい二重特異性構造を有さない。親和性クロマトグラフィー工程によって通常行なわれる正しい分子の精製はかなり面倒であり、生成物の収率は低い。同様の手順は、1993年5月13日に公開されたWO93/08829号、及びTrauneckerら,EMBO J.,10:3655(1991)に開示されている。
異なる手法によれば、所望の結合特異性(抗体−抗原の結合部位)を有する抗体可変ドメインが、免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合される。融合は、例えば、ヒンジ、CH2、及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。特定の実施形態では、軽鎖結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)は、融合体のうちの少なくとも1つに存在する。免疫グロブリン重鎖融合体をコードするDNA、及び所望の場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、別々の発現ベクターに挿入し、好適な宿主生物にコトランスフェクトする。これは、その構築で使用される不等比の3つのポリペプチド鎖が最適な収率をもたらす実施形態において、3つのポリペプチド断片の相互割合を調整する際の大きな自由度を提供する。しかしながら、等比の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高い収率をもたらす場合、又は比が特に重要でない場合は、2つ又は3つ全てのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
この手法の一実施形態では、二重特異性抗体は、一方のアーム中の第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、及びもう一方のアーム中のハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)から構成される。免疫グロブリン軽鎖が二重特異性分子の半分にしか存在しないことで、容易な分離方法が提供されるため、この非対称性構造が、不要な免疫グロブリン鎖の組合せからの所望の二重特異性化合物の分離を容易にすることが分かった。この手法は、WO94/04690号に開示されている。二重特異性抗体の作製のさらなる詳細については、例えば、Sureshら,酵素学の方法(Methods in Enzymology),121:210(1986)を参照されたい。
別の手法によれば、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大化するように、1対の抗体分子間の界面を操作することができる。界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面からの1以上の小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)で置き換える。大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例えば、アラニン又はトレオニン)で置き換えることによって、大きな側鎖(複数可)と同一又は同等の大きさの代償的「空隙」を第2の抗体分子の界面上に作り出す。これにより、ホモ二量体などの他の不要な最終生成物よりもヘテロ二量体の収率を増加させる機構が提供される。
二重特異性抗体には、架橋抗体又は「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲート中の抗体のうちの一方をアビジンと結合させ、もう一方をビオチンと結合させることができる。そのような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に標的化するために(米国特許第4,676,980号)、並びにHIV感染を治療するために(WO91/00360号、WO92/00373号、及びEP03089号)、提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋方法を用いて作製することができる。好適な架橋剤は当技術分野で周知であり、いくつかの架橋技術とともに、米国特許第4,676,980号に開示されている。
二重特異性抗体を抗体断片から作製する技術も文献中に記載されている。例えば、二重特異性抗体は化学結合を用いて調製することができる。Brennanら,Science,229:81(1985)は、インタクト抗体をタンパク質分解によって切断し、F(ab’)2断片を作製する手順を記載している。これらの断片は、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元されて、近接するジチオールを安定化し、分子間ジスルフィド形成を妨げる。その後、作製されたFab’断片をチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体へと変換する。その後、メルカプトエチルアミンによる還元によってFab’−TNB誘導体のうちの1つをFab’−チオールへと再変換し、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合して、二重特異性抗体を形成させる。生成される二重特異性抗体は、酵素の選択的固定のための薬剤として用いることができる。
最近の進歩により、Fab’−SH断片を大腸菌から直接回収することが容易となり、このFab’−SH断片を化学的に結合させて、二重特異性抗体を形成させることができる。Shalabyら,J.Exp.Med.,175:217−225(1992)は、完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab’)2分子の産生を記載している。各々のFab’断片は、大腸菌から別々に分泌させられ、インビトロでの方向性のある化学結合に供されて、二重特異性抗体を形成した。このようにして形成された二重特異性抗体は、HER2受容体を過剰発現する細胞及び正常なヒトT細胞に結合するだけでなく、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を誘発することもできた。
二重特異性抗体断片を組換え細胞培養物から直接作製及び単離する様々な技術も記載されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて産生されている。Kostelnyら,J.Immunol.,148(5):1547−1553(1992)。Fos及びJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドが、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab’部分に連結させられた。この抗体ホモ二量体は、ヒンジ領域で還元されて単量体を形成し、その後、再び酸化されて抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法は、抗体ホモ二量体の産生にも利用することができる。Hollingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)によって記載されている「ダイアボディー」技術は、二重特異性抗体断片を作製するための代替機構を提供している。この断片は、同じ鎖上での2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、1つの断片のVH及びVLドメインが、別の断片の相補的なVL及びVHドメインと対合することが強いられ、それにより、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体の使用によって二重特異性抗体断片を作製する別の戦略も報告されている。Gruberら,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい。
3以上の結合価を有する抗体が企図される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tuttら,J.Immunol.147:60(1991)。
5.多価抗体
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞によって二価抗体よりも速く内在化(及び/又は異化)されることができる。本発明の抗体は、3以上の抗原結合部位を有する(IgMクラス以外のものである)多価抗体(例えば、四価抗体)であることができ、これは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって容易に産生させることができる。多価抗体は、二量体化ドメイン及び3以上の抗原結合部位を含むことができる。特定の実施形態では、二量体化ドメインは、Fc領域又はヒンジ領域を含む(又は該領域からなる)。このシナリオでは、抗体は、Fc領域、及びFc領域のアミノ末端側の3以上の抗原結合部位を含む。特定の実施形態では、多価抗体は、3〜約8個の抗原結合部位を含む(又は該抗原結合部位からなる)。1つのそのような実施形態では、多価抗体は、4つの抗原結合部位を含む(又は該抗原結合部位からなる)。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(例えば、2つのポリペプチド鎖)を含み、ここで、ポリペプチド鎖(複数可)は、2以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VD1−(X1)n−VD2−(X2)n−Fcを含むことができ、ここで、VD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2はアミノ酸又はポリペプチドを表し、nは0又は1である。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VH−CH1−柔軟なリンカー−VH−CH1−Fc領域の鎖、又はVH−CH1−VH−CH1−Fc領域の鎖を含むことができる。本明細書中の多価抗体は、少なくとも2つ(例えば、4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含むことができる。本明細書中の多価抗体は、例えば、約2〜約8個の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含むことができる。ここで企図される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、任意にCLドメインをさらに含む。
6.単一ドメイン抗体
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、単一ドメイン抗体である。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部又は軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部を含む、単一のポリエプチド(polyeptide)鎖である。特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6,248,516 B1号を参照)。一実施形態では、単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て又は一部からなる。
7.抗体変異体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体のアミノ酸配列の修飾(複数可)が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適切な変化を導入することによるか、又はペプチド合成によって調製することができる。そのような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は該残基中への挿入、及び/又は該残基の置換が含まれる。最終的なコンストラクトが所望の特徴を保有するという条件で、最終的なコンストラクトに達するために、欠失、挿入、及び置換の任意の組合せを行なうことができる。アミノ酸の改変は、対象抗体のアミノ酸配列を作製するときに、その配列中に導入することができる。
突然変異生成のための好ましい場所である、抗体の特定の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham及びWells(1989)Science,244:1081−1085によって記載されているように、「アラニンスキャニング突然変異生成」と呼ばれる。ここでは、標的残基の残基又は基が同定され(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電残基)、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を及ぼすために、中性の又は負電荷を有するアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)に置き換えられている。その後、さらなる変異体又はその他の変異体を、置換部位に又は置換部位の代わりに導入することによって、置換に対して機能的感受性を示すアミノ酸の場所を絞り込む。したがって、アミノ酸配列の変動を導入する部位は事前に決定されているが、突然変異の性質自体は事前に決定されている必要はない。例えば、所与の部位での突然変異の性能を分析するために、alaスキャニング又はランダム突然変異生成を標的コドン又は標的領域で実施し、発現された免疫グロブリンを所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列の挿入には、長さが1残基から100以上の残基を含むポリペプチドまでの範囲に及ぶアミノ末端及び/又はカルボキシル末端の融合、並びに単一もしくは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体には、抗体のN末端又はC末端と酵素(例えば、ADEPTのためのもの)又は抗体の血清半減期を増大させるポリペプチドとの融合が含まれる。
特定の実施形態では、本発明の抗体を改変して、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させる。ポリペプチドのグリコシル化は、通常、N−結合型又はO−結合型のどちらかである。N−結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付着を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−トレオニン(ここで、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的付着のための認識配列である。したがって、これらのトリペプチド配列のどちらかがポリペプチド中に存在することにより、潜在的なグリコシル化部位が作出される。O−結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリン又はトレオニンへの、糖であるN−アセイルガラクトサミン(aceylgalactosamine)、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの付着を指すが、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリジンが使用される場合もある。
抗体に対するグリコシル化部位の付加又は欠失は、上記の(N−結合型グリコシル化部位用の)トリペプチド配列のうちの1つ又は複数が作出又は除去されるように、アミノ酸配列を改変することによって、好都合に達成される。この改変は、(O−結合型グリコシル化部位については)もとの抗体の配列に対する1以上のセリン又はトレオニン残基の付加、欠失、又は置換によって行なうこともできる。
抗体がFc領域を含む場合、それに付着している炭水化物を改変することができる。哺乳動物細胞によって産生されるネイティブ抗体は、通常、Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN−結合によって通常付着させられる、分岐状のバイアンテナ型オリゴ糖を含む。例えば、Wrightら(1997)TIBTECH 15:26−32を参照されたい。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びにバイアンテナ型オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに付着したフコースが含まれ得る。いくつかの実施形態では、本発明の抗体中のオリゴ糖の修飾は、特定の改善された特性を有する抗体変異体を作出するために行なうことができる。
例えば、Fc領域に(直接的又は間接的に)付着したフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体変異体が提供される。そのような変異体は、改善されたADCC機能を有することができる。例えば、米国特許公開US2003/0157108号(Presta,L.)、US2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」又は「フコース欠損」抗体変異体に関連する刊行物の例には:US2003/0157108号;WO2000/61739号;WO2001/29246号;US2003/0115614号;US2002/0164328号;US2004/0093621号;US2004/0132140号mUS2004/0110704号;US2004/0110282号;US2004/0109865号;WO2003/085119号;WO2003/084570号;WO2005/035586号;WO2005/035778号;WO2005/053742号;WO2002/031140号;Okazakiら,J.Mol.Biol.336:1239−1249(2004);Yamane−Ohnukiら,Biotech.Bioeng.87:614(2004)が含まれる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例には、タンパク質のフコシル化に欠損があるLec13 CHO細胞(Ripkaら,Arch.Biochem.Biophys.249:533−545(1986);米国特許出願US2003/0157108 A1号,Presta,L;及びWO2004/056312 A1号,Adamsら,特に、実施例11)、並びにノックアウト細胞株、例えば、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8のノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane−Ohnukiら,Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.ら,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680−688(2006);及びWO2003/085107号を参照)が含まれる。
例えば、抗体のFc領域に付着したバイアンテナ型オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、バイセクト型(bisected)オリゴ糖を有する抗体変異体がさらに提供される。そのような抗体変異体は、低下したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有することができる。そのような抗体変異体の例は、例えば、WO2003/011878号(Jean−Mairetら);米国特許第6,602,684号(Umanaら);及びUS2005/0123546号(Umanaら)に記載されている。Fc領域に付着したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は、改善されたCDC機能を有することができる。そのような抗体変異体は、例えば、WO1997/30087号(Patelら);WO1998/58964号(Raju,S.);及びWO1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。
特定の実施形態では、抗体変異体は、ADCCをさらに改善する1以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置298、333、及び/又は334(Eu残基付番)での置換を有するFc領域を含む。そのような置換は、上記の変動のいずれかと組み合わせて生じ得る。
特定の実施形態では、本発明は、全てではないが、いくつかのエフェクター機能を保有する抗体変異体を企図しており、このエフェクター機能のために、この抗体変異体は、抗体のインビボ半減期は重要であるが、特定のエフェクター機能(例えば、補体及びADCC)は不必要又は有害である多くの用途のための望ましい候補となる。特定の実施形態では、所望の特性だけが維持されていることを保証するために、抗体のFc活性を測定する。インビトロ及び/又はインビボの細胞傷害性アッセイを実施して、CDC及び/又はADCC活性の低下/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施して、抗体がFcγR結合を欠く(したがって、おそらくはADCC活性を欠く)が、FcRn結合能力を保持することを保証することができる。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞が、FcγRIIIのみを発現するのに対し、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcRの発現は、Ravetch及びKinet,Annu.Rev.Immunol.9:457−92(1991)の464ページの表3にまとめられている。関心対象の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.ら,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059−7063(1986)を参照されたい)、及びHellstrom,Iら,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499−1502(1985);第5,821,337号(Bruggemann,M.ら,J.Exp.Med.166:1351−1361(1987)を参照されたい)に記載されている。或いは、非放射性アッセイ法を利用することができる(例えば、フローサイトメトリーについては、ACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA;及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい)。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。或いは、又はそれに加えて、関心対象の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynesら,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652−656(1998)に開示されているものなどの動物モデルで評価することができる。C1q結合アッセイを実施して、抗体がC1qに結合することができず、したがって、CDC活性を欠くことを確認することもできる。補体活性化を評価するためには、CDCアッセイを実施することができる(例えば、Gazzano−Santoroら,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.ら,Blood 101:1045−1052(2003);並びにCragg,M.S.及びM.J.Glennie,Blood 103:2738−2743(2004)を参照されたい)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期の決定を、当技術分野で公知の方法を用いて実施することもできる(例えば、Petkova,S.B.ら,Int’l.Immunol.18(12):1759−1769(2006)を参照されたい)。
1以上のアミノ酸置換を有する他の抗体変異体が提供される。置換突然変異生成のための関心対象の部位には超可変領域が含まれるが、FRの改変も企図される。保存的置換は、「好ましい置換」という見出しで表1に示されている。「例示的な置換」と命名されたより実質的な変化は、表1に、又はアミノ酸クラスに関連して以下にさらに記載されるように、提供されている。アミノ酸置換を関心対象の抗体中に導入し、生成物を、例えば、改善された抗原結合、減少した免疫原性、改善されたADCC又はCDCなどの所望の活性についてスクリーニングすることができる。
抗体の生物学的特性の修飾は、(a)例えば、シートもしくはヘリックス立体構造としての置換領域中のポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、又は(c)側鎖の嵩高さに影響を及ぼす置換を選択することによって達成することができる。アミノ酸は、その側鎖の特性の類似性によって分類することができる(A.L.Lehninger,生化学(Biochemistry),第2版、73−75ページ,Worth Publishers,New York(1975)):
(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)
(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)
(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)
或いは、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。そのような置換された残基は、保存的置換部位に、又は残りの(非保存的)部位に導入することもできる。
1つのタイプの置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1以上の超可変領域残基の置換を含む。通常、さらなる開発のために選択された、得られた変異体(複数可)は、それらを作製した親抗体と比べて修飾された(例えば、改善された)生物学的特性を有する。例示的な置換変異体は、ファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を用いて好都合に作製し得る、親和性成熟した抗体である。簡潔に述べると、いくつかの超可変領域部位(例えば、6〜7個の部位)を突然変異させて、各々の部位で全ての可能なアミノ酸置換を生成させる。このようにして作製された抗体を、各々の粒子内にパッケージングされたファージコートタンパク質の少なくとも一部(例えば、M13の遺伝子IIIの産物)との融合体として、繊維状ファージ粒子からディスプレイさせる。その後、ファージディスプレイされた変異体を、その生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。修飾する候補超可変領域部位を同定するために、スキャニング突然変異生成(例えば、アラニンスキャニング)を行なって、抗原結合に顕著に寄与する超可変領域残基を同定することができる。或いは、又はそれに加えて、抗体と抗原の接触点を同定するために、抗原−抗体複合体の結晶構造を解析することが有益である場合がある。そのような接触残基及び隣接残基は、本明細書で詳述したものを含む当技術分野で公知の技術による置換の候補である。そのような変異体が作製されれば、変異体のパネルを、本明細書に記載したものを含む当技術分野で公知の技術を用いるスクリーニングに供し、1以上の関連するアッセイにおいて優れた特性を有する変異体を、さらなる開発のために選択することができる。
抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当技術分野で公知の種々の方法によって調製される。これらの方法には、限定されないが、天然源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合)、又は以前に調製された抗体変異体もしくは非変異体型抗体のオリゴヌクレオチド媒介性(もしくは部位特異的)突然変異生成、PCR突然変異生成、及びカセット突然変異生成による調製が含まれる。
本発明の抗体のFc領域中に1以上のアミノ酸修飾を導入し、それにより、Fc領域変異体を作製することが望ましい場合がある。Fc領域変異体は、ヒンジシステインのものを含む1以上のアミノ酸の位置でのアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のFc領域)を含むことができる。
本説明及び当技術分野の教示に従って、いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、野生型対応物の抗体と比較して、例えば、Fc領域中に1以上の改変を含み得ることが企図される。それでもなお、これらの抗体は、その野生型対応物と比較して、治療的有用性に必要な実質的に同じ特徴を保持する。例えば、WO99/51642号に記載されているような、改変された(すなわち、改善された又は減少した)C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)をもたらす特定の改変を、例えば、Fc領域中で行なうことができると考えられる。Fc領域変異体の他の例に関するDuncan及びWinter,Nature 322:738−40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;並びにWO94/29351号も参照されたい。WO00/42072号(Presta)及びWO2004/056312号(Lowman)は、FcRに対する改善された又は減少した結合を有する抗体変異体を記載している。これらの特許公開の内容は、参照により本明細書に具体的に組み込まれている。Shieldsら,J.Biol.Chem.9(2):6591−6604(2001)も参照されたい。増大した半減期、並びに母親IgGの胎児への移行に関与する(Guyerら,J.Immunol.117:587(1976)及びKimら,J.Immunol.24:249(1994))新生児Fc受容体(FcRn)に対する改善された結合を有する抗体は、US2005/0014934A1号(Hintonら)に記載されている。これらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1以上の置換をその中に有するFc領域を含む。改変されたFc領域アミノ酸配列及び増大又は減少したC1q結合能力を有するポリペプチド変異体は、米国特許第6,194,551 B1号、WO99/51642号に記載されている。これらの特許公開の内容は、参照により本明細書に具体的に組み込まれている。Idusogieら,J.Immunol.164:4178−4184(2000)も参照されたい。
別の態様では、本発明は、Fc領域を含むFcポリペプチドの界面に修飾を含む抗体を提供し、ここで、この修飾は、ヘテロ二量体化を容易にし、かつ/又はヘテロ二量体化を促進する。これらの修飾は、第1のFcポリペプチド内への隆起及び第2のFcポリペプチド内への空隙の導入を含み、この場合、隆起は、第1のFcポリペプチドと第2のFcポリペプチドの複合体形成を促進するように空隙中に配置可能である。これらの修飾を有する抗体を作製する方法は、例えば、米国特許第5,731,168号に記載されているように、当技術分野で公知である。
さらに別の態様では、抗体の1以上の残基がシステイン残基で置換されている、システインを操作した抗体、例えば、「チオMAb」を作製することが望ましい場合がある。特定の実施形態では、置換された残基は、抗体の接近可能な部位で生じる。本明細書でさらに記載されているように、それらの残基をシステインと置換することによって、反応性チオール基がそれにより抗体の接近可能な部位に配置され、かつ該反応性チオール基を用いて、抗体を薬物部分又はリンカー−薬物部分などの他の部分にコンジュゲートさせることができる。特定の実施形態では、以下の残基:軽鎖のV205(Kabat付番);重鎖のA118(EU付番);及び重鎖Fc領域のS400(EU付番)のうちのいずれか1つ又は複数をシステインと置換することができる。
8.抗体誘導体
本発明の抗体を、当技術分野で公知であり、かつ容易に利用可能なさらなる非タンパク質部分を含むように、さらに修飾することができる。好ましくは、抗体の誘導体化に好適な部分は水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定的な例には、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのどちらか)、及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、プロリルプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物が含まれる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のために、製造上の利点を有することができる。ポリマーは任意の分子量であってもよく、分岐状又は非分岐状であってもよい。抗体に付着したポリマーの数は様々に異なっていてもよく、2以上のポリマーが付着している場合、これらは同じ又は異なる分子であることができる。一般に、誘導体化に用いられるポリマーの数及び/又は種類は、限定されないが、改善されるべき抗体の具体的な特性又は機能、抗体誘導体が定義された条件下で治療に使用されるかどうかなどを含む検討事項に基づいて決定することができる。
別の実施形態では、抗体と、放射線への曝露によって選択的に加熱し得る非タンパク質部分とのコンジュゲートが提供される。一実施形態では、非タンパク質部分はカーボンナノチューブである(Kamら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600−11605(2005))。放射線は、任意の波長であってもよく、限定されないが、通常の細胞に害を与えないが、抗体−非タンパク質部分の近くの細胞を死滅させる温度にまで非タンパク質部分を加熱する波長を含む。
B.抗体を作製する特定の方法
1.特定のハイブリドーマに基づく方法
本発明のモノクローナル抗体は、Kohlerら,Nature,256:495(1975)によって最初に記載され、ヒト−ヒトハイブリドーマに関して、例えば、Hongoら,Hybridoma,14(3):253−260(1995)、Harlowら,抗体:実験室マニュアル(Antibodies:A Laboratory Manual),(Cold Spring Harbor Laboratory Press,第2版,1988);Hammerlingら,モノクローナル抗体及びT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas)563−681(Elsevier,N.Y.,1981)、並びにNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265−268(2006)にさらに記載されている、ハイブリドーマ法を用いて作製することができる。
さらなる方法には、ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒト天然IgM抗体の産生に関して、例えば、米国特許第7,189,826号に記載されているものが含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はVollmers及びBrandlein,組織学及び組織病理学(Histology and Histopathology),20(3):927−937(2005)、並びにVollmers及びBrandlein、実験的及び臨床的薬理学の方法及び発見(Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology),27(3):185−91(2005)に記載されている。
様々な他のハイブリドーマ技術については、例えば、US2006/258841号、US2006/183887号(完全ヒト抗体)、US2006/059575号、US2005/287149号、US2005/100546号、US2005/026229号、並びに米国特許第7,078,492号及び第7,153,507号を参照されたい。ハイブリドーマ法を用いてモノクローナル抗体を産生する例示的なプロトコルは、以下のように記載されている。一実施形態では、マウス、又はハムスターなどの他の適切な宿主動物を免疫化して、免疫化に使用されるタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するか、又は産生ことができるリンパ球を誘発させる。抗体は、突然変異体SMO又はその断片を含むポリペプチド、及びモノホスホリル脂質A(MPL)/トレハロースジクリノミコレート(dicrynomycolate)(TDM)(Ribi Immunochem.Research,Inc.,Hamilton,MT)などのアジュバントの複数回の皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射によって動物内で惹起させる。突然変異体SMO又はその断片を含むポリペプチドは、その一部が本明細書にさらに記載されている、組換え法などの、当技術分野で周知の方法を用いて調製することができる。免疫化した動物由来の血清を抗突然変異体SMO抗体についてアッセイし、追加免疫を任意に投与する。抗突然変異体SMO抗体を産生する動物由来のリンパ球を単離する。或いは、リンパ球をインビトロで免疫化してもよい。
その後、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を用いてリンパ球を骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる。例えば、Goding,モノクローナル抗体:原理及び実践(Monoclonal Antibodies:Principles and Practice),59−103ページ(Academic Press,1986)を参照されたい。効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体産生を支持し、HAT培地などの培地に感受性のある骨髄腫細胞を使用することができる。例示的な骨髄腫細胞には、限定されないが、米国カリフォルニア州サンディエゴのソーク研究所細胞配布センター(Salk Institute Cell Distribution Center)から入手可能なMOPC−21及びMPC−11マウス腫瘍、並びに米国メリーランド州ロックヴィルのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)から入手可能なSP−2又はX63−Ag8−653細胞に由来するものなどの、マウス骨髄腫株が含まれる。ヒトモノクローナル抗体の産生用のヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株も記載されている(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら,モノクローナル抗体の産生技術及び応用(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications),51−63ページ(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、好適な培養培地、例えば、融合していない親骨髄腫細胞の成長又は生存を阻害する1以上の物質を含む培地中に播種し、成長させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマの培養培地は、通常、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン(HAT培地)を含み、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の成長を妨げる。例えば、Evenら,Trends in Biotechnology,24(3),105−108(2006)に記載されているように、無血清ハイブリドーマ細胞培養法を用いて、胎仔ウシ血清などの動物由来血清の使用を減らすことが好ましい。
ハイブリドーマ細胞培養物の生産性を改善するツールとしてのオリゴペプチドは、Franek,Trends in Monoclonal Antibody Research,111−122(2005)に記載されている。具体的には、標準的な培養培地を特定のアミノ酸(アラニン、セリン、アスパラギン、プロリン)、又はタンパク質加水分解物の画分で強化し、アポトーシスを、3〜6アミノ酸残基から構成される合成オリゴペプチドによって顕著に抑制することができる。ペプチドは、ミリモル濃度又はそれよりも高い濃度で存在する。
ハイブリドーマ細胞を成長させている培養培地を、突然変異体SMOに結合するモノクローナル抗体の産生についてアッセイすることができる。ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によるか、又はラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって決定することができる。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、スキャッチャード分析によって決定することができる。例えば、Munsonら,Anal.Biochem.,107:220(1980)を参照されたい。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後、クローンを限界希釈手順によってサブクローニングし、標準的な方法によって成長させることができる。例えば、Goding,上記を参照されたい。この目的のための好適な培養培地には、例えば、D−MEM又はRPMI−1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物内の腹水腫瘍としてインビボで成長させることができる。サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又は親和性クロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地、腹水、又は血清から好適に分離される。タンパク質をハイブリドーマ細胞から単離するための1つの手順は、US2005/176122号及び米国特許第6,919,436号に記載されている。この方法は、結合プロセスでリオトロピック塩などの最小限の塩を使用すること、好ましくは、溶出プロセスで少量の有機溶媒も使用することを含む。
2.特定のライブラリースクリーニング方法
本発明の抗体は、コンビナトリアルライブラリーを用いて、所望の1つ又は複数の活性を有する抗体をスクリーニングすることによって作製することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを作製し、そのようなライブラリーを所望の結合特徴を保有する抗体についてスクリーニングするための、種々の方法が当技術分野で公知である。そのような方法は、一般に、Hoogenboomら,分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)178:1−37(O’Brienら編,Human Press,Totowa,NJ,2001)に記載されている。例えば、関心対象の抗体を作製する1つの方法は、Leeら,J.Mol.Biol.(2004),340(5):1073−93に記載されているようなファージ抗体ライブラリーの使用によるものである。
原理的に、合成抗体クローンは、ファージコートタンパク質に融合した抗体可変領域(Fv)の様々な断片をディスプレイするファージを含むファージライブラリーをスクリーニングすることによって選択される。そのようなファージライブラリーは、所望の抗原に対する親和性クロマトグラフィーによってパニングされる。所望の抗原に結合することができるFv断片を発現するクローンは抗原に吸着させられ、したがって、ライブラリー中の非結合クローンから分離される。その後、結合クローンを抗原から溶出させ、抗原の吸着/溶出のさらなるサイクルによってさらに濃縮することができる。本発明の抗体はいずれも、関心対象のファージクローンを選択するための好適な抗原スクリーニング手順を設計し、次いで、関心対象のファージクローン由来のFv配列、及びKabatら,免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest),第5版,NIH出版,91−3242,Bethesda,MD(1991),第1−3巻に記載の好適な定常領域(Fc)配列を用いて完全長抗体クローンを構築することによって得ることができる。
特定の実施形態では、抗体の抗原結合ドメインは、どちらも3つの超可変ループ(HVR)又は相補性決定領域(CDR)を提示する、軽鎖(VL)及び重鎖(VH)から各々1つずつの、約110アミノ酸の2つの可変(V)領域から形成される。Winterら,Ann.Rev.Immunol.,12:433−455(1994)に記載されているように、可変ドメインは、VH及びVLが短い柔軟なペプチドを介して共有結合している単鎖Fv(scFv)断片としてか、又はそれらが、各々定常ドメインに融合され、非共有結合的に相互作用するFab断片としてのどちらかで、ファージ上に機能的にディスプレイされることができる。本明細書で使用されるように、scFvをコードするファージクローン及びFabをコードするファージクローンは、「Fvファージクローン」又は「Fvクローン」と総称される。
VH及びVL遺伝子のレパートリーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングし、ファージライブラリー中でランダムに組み換えることができ、その後、これを、Winterら,Ann.Rev.Immunol.,12:433−455(1994)に記載されているように、抗原結合クローンについて検索することができる。免疫化した供給源由来のライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原に対する高親和性の抗体を提供する。或いは、Griffithsら,EMBO J,12:725−734(1993)に記載されているような免疫化を全く用いることなく、ナイーブなレパートリーをクローニングして、広範囲の非自己及び自己抗原に対するヒト抗体の単一の供給源を提供することができる。最後に、ナイーブなライブラリーを、Hoogenboom及びWinter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)によって記載されているように、再編成されていないV遺伝子セグメントを幹細胞からクローニングし、高度に可変性のあるCDR3領域をコードするために、及びインビトロで再編成を達成するために、ランダムな配列を含むPCRプライマーを用いることによって、合成により作製することもできる。
特定の実施形態では、繊維状ファージを用いて、マイナーコートタンパク質pIIIへの融合によって抗体断片をディスプレイさせる。抗体断片は、例えば、Marksら,J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)によって記載されているような、VH及びVLドメインが、柔軟なポリペプチドスペーサーによって同じポリペプチド鎖上で接続されている単鎖Fv断片として、又は例えば、Hoogenboomら,Nucl.Acids Res.,19:4133−4137(1991)によって記載されているような、一方の鎖がpIIIに融合され、もう一方が、野生型コートタンパク質の一部を置き換えることによってFab−コートタンパク質の構造のアセンブリがファージ表面上にディスプレイされるようになる細菌宿主細胞ペリプラズム中に分泌されるFab断片として、ディスプレイさせることができる。
一般に、抗体遺伝子断片をコードする核酸は、ヒト又は動物から回収された免疫細胞から得られる。抗突然変異体SMOクローンが有利となるように偏ったライブラリーが望ましい場合、対象を突然変異体SMOで免疫化して抗体応答を生じさせ、脾臓細胞及び/又は循環B細胞、他の末梢血リンパ球(PBL)をライブラリー構築のために回収する。好ましい実施形態では、抗突然変異体SMOクローンが有利となるように偏ったヒト抗体遺伝子断片ライブラリーは、突然変異体SMO免疫化によって、突然変異体SMOに対するヒト抗体を産生するB細胞が生じるように、機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイを担持する(及び機能的内在性抗体産生系を欠く)トランスジェニックマウスにおいて抗突然変異体SMO抗体応答を生成させることによって得られる。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスの作製は、以下に記載されている。
抗突然変異体SMO反応性細胞集団のさらなる濃縮は、突然変異体SMO特異的な膜結合抗体を発現するB細胞を単離するための好適なスクリーニング手順を用いることによって、例えば、突然変異体SMO親和性クロマトグラフィーを用いる細胞分離、又は蛍光色素で標識した突然変異体SMOへの細胞の吸着と、それに続くフロー活性化セルソーティング(FACS)によって得ることができる。
或いは、免疫化していないドナー由来の脾臓細胞及び/又はB細胞もしくは他のPBLの使用は、可能な抗体レパートリーのより良好な表示を提供し、突然変異体SMOが抗原性でない任意の動物(ヒト又は非ヒト)種を用いた抗体ライブラリーの構築も可能にする。インビトロでの抗体遺伝子構築を組み込んだライブラリーについては、幹細胞を対象から回収して、再編成されていない抗体遺伝子セグメントをコードする核酸を提供する。関心対象の免疫細胞は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ目、ルプリン(luprine)、イヌ科、ネコ科、ブタ、ウシ、ウマ科、及びトリ種などの種々の動物種から得ることができる。
抗体可変遺伝子セグメント(VH及びVLセグメントを含む)をコードする核酸を関心対象の細胞から回収し、増幅する。再編成されたVH及びVL遺伝子ライブラリーの場合、所望のDNAは、ゲノムDNA又はmRNAをリンパ球から単離し、次いで、Orlandiら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),86:3833−3837(1989)に記載されているように、再編成されたVH及びVL遺伝子の5’及び3’末端に一致するプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって得ることができ、それにより、発現用の多様なV遺伝子レパートリーが作製される。V遺伝子は、Orlandiら(1989)及びWardら,Nature,341:544−546(1989)に記載されているように、成熟Vドメインをコードするエキソンの5’末端のバックプライマー、及びJセグメント内に基づくフォワードプライマーを用いて、cDNA及びゲノムDNAから増幅することができる。しかしながら、cDNAからの増幅については、バックプライマーが、Jonesら,Biotechnol,9:88−89(1991)に記載されたようにリーダーエクソン中に、また、フォワードプライマーが、Sastryら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),86:5728−5732(1989)に記載されているように定常領域内に基づくこともできる。相補性を最大化するために、Orlandiら(1989)又はSastryら(1989)に記載されているように、プライマー中に縮重を組み込むことができる。特定の実施形態では、例えば、Marksら,J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)の方法に記載されているように、又はOrumら,Nucleic Acids Res.,21:4491−4498(1993)の方法に記載されているように、ライブラリーの多様性は、免疫細胞核酸試料中に存在する全ての利用可能なVH及びVL配置を増幅するために、各々のV遺伝子ファミリーを標的としたPCRプライマーを用いることによって最大化する。増幅したDNAを発現ベクター内クローニングするために、稀少な制限部位を、Orlandiら(1989)に記載されているように、一方の末端でのタグとしてPCRプライマー中に、又はClacksonら,Nature,352:624−628(1991)に記載されているように、タグ付けしたプライマーを用いるさらなるPCR増幅によって導入することができる。
合成によって再編成されたV遺伝子のレパートリーは、インビトロでV遺伝子セグメントから得ることができる。ヒトVH−遺伝子セグメントの大半はクローニング及びシークエンシングされており(Tomlinsonら,J.Mol.Biol.,227:776−798(1992)に報告されている)、マッピングされており(Matsudaら,Nature Genet.,3:88−94(1993)に報告されている);これらのクローニングされたセグメント(H1及びH2ループの全ての主要な立体構造を含む)を用いて、Hoogenboom及びWinter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)に記載されているように、多様な配列及び長さのH3ループをコードするPCRプライマーを用いて、多様なVH遺伝子レパートリーを作製することができる。VHレパートリーは、Barbasら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4457−4461(1992)に記載されているように、全ての配列多様性を単一の長さの長いH3ループに集中させて作製することもできる。ヒトVκ及びVλセグメントはクローニング及びシークエンシングされており(Williams及びWinter,Eur.J.Immunol.,23:1456−1461(1993)に報告されている)、該セグメントを用いて、合成軽鎖レパートリーを作製することができる。合成V遺伝子レパートリーは、様々なVH及びVLのフォールド、並びにL3及びH3の長さに基づいて、構造的にかなり多様な抗体をコードする。V遺伝子をコードするDNAの増幅後、Hoogenboom及びWinter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)の方法に従って、生殖系列V遺伝子セグメントをインビトロで再編成することができる。
抗体断片のレパートリーは、VH及びVL遺伝子レパートリーをいくつかの方法で一緒に組み合わせることによって構築することができる。各々のレパートリーを異なるベクター中で作出し、ベクターを、例えば、Hogrefeら,Gene,128:119−126(1993)に記載されているように、インビトロで、又は例えば、Waterhouseら,Nucl.Acids Res.,21:2265−2266(1993)に記載されているloxP系などの、コンビナトリアル感染によってインビボで、組み換えることができる。インビボ組換え手法では、大腸菌の形質転換の効率によって強いられるライブラリーの大きさの制限を克服するために、Fab断片の二本鎖の性質が利用される。ナイーブのVH及びVLレパートリーを、一方はファージミド中に、もう一方はファージベクター中に、別々にクローニングする。その後、各々の細胞が異なる組合せを含み、ライブラリーの大きさが存在する細胞の数(約1012個のクローン)によってのみ制限されるように、2つのライブラリーをファージミド含有細菌のファージ感染によって組み合わせる。どちらのベクターも、VH及びVL遺伝子が単一のレプリコン上に組み換えられ、ファージビリオン中に同時にパッケージングされるように、インビボ組換えシグナルを含む。これらの巨大なライブラリーは、良好な親和性の多数の多様な抗体を提供する(約10-8MのKd -1)。
或いは、レパートリーは、例えば、Barbasら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:7978−7982(1991)に記載されているように、同じベクター中に連続的にクローニングするか、又は例えば、Clacksonら,Nature,352:624−628(1991)に記載されているように、PCRによって1つにアセンブルし、その後、クローニングすることができる。PCRアセンブリを用いて、柔軟なペプチドスペーサーをコードするDNAを用いてVH DNAとVL DNAを結合させ、単鎖Fv(scFv)レパートリーを形成させることもできる。さらに別の技術では、Embletonら,Nucl.Acids Res.,20:3831−3837(1992)に記載されているように、「細胞内PCRアセンブリ」を用いて、VH遺伝子とVL遺伝子をリンパ球内でPCRによって組み合わせ、その後、連結された遺伝子のレパートリーをクローニングする。
ナイーブのライブラリー(天然物又は合成物のどちらか)によって産生された抗体は、中等度の親和性(約106〜107-1のKd -1)であることができるが、親和性成熟は、Winterら(1994),上記に記載されているように、2次ライブラリーから構築及び再選択することによってインビトロで模倣することもできる。突然変異は、例えば、Hawkinsら,J.Mol.Biol.,226:889−896(1992)の方法又はGramら,Proc.Natl.Acad.Sci USA,89:3576−3580(1992)の方法において、エラープローンポリメラーゼ(Leungら,Technique,1:11−15(1989)に報告されている)を用いることによって、インビトロでランダムに導入することができる。さらに、親和性成熟は、例えば、関心対象のCDRにまたがるランダム配列を担持するプライマーを用いるPCRを用いて、1以上のCDRを、選択された個々のFvクローンにおいてランダムに突然変異させ、より高い親和性のクローンについてスクリーニングすることによって行なうことができる。WO9607754号(1996年3月14日公開)は、免疫グロブリン軽鎖の相補性決定領域中の突然変異生成を誘導して、軽鎖遺伝子のライブラリーを作出する方法を記載している。別の有効な手法は、Marksら,Biotechnol.,10:779−783(1992)に記載されているように、ファージディスプレイによって選択されたVH又はVLドメインを、免疫化していないドナーから得られた天然に存在するVドメイン変異体のレパートリーと組み換えて、数ラウンドの鎖再シャフリングでより高い親和性についてスクリーニングすることである。この技術により、約10-9M以下の親和性を有する抗体及び抗体断片の産生が可能となる。
ライブラリーのスクリーニングは、当技術分野で公知の様々な技術によって達成することができる。例えば、突然変異体SMOは、吸着プレートのウェルをコーティングするために用いるか、吸着プレートに付着しているもしくはセルソーティングで用いられる宿主細胞上で発現させるか、又はストレプトアビジンがコーティングされたビーズで捕捉するためにビオチンにコンジュゲートさせるか、又はファージディスプレイライブラリーをパニングするための任意の他の方法で用いることができる。
ファージライブラリー試料を、ファージ粒子の少なくとも一部を吸着剤と結合させるのに好適な条件下で、固定された突然変異体SMOと接触させる。通常、pH、イオン強度、温度などを含む条件は、生理的条件を模倣するように選択される。固相に結合したファージを洗浄し、その後、例えば、Barbasら,Proc.Natl.Acad.Sci USA,88:7978−7982(1991)に記載されているように、酸によるか、もしくは例えば、Marksら,J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)に記載されているように、アルカリによるか、又は例えば、Clacksonら,Nature,352:624−628(1991)の抗原競合法と同様の手順での、突然変異体SMO抗原競合によって溶出させる。ファージは、1回の選択ラウンドで20〜1,000倍濃縮することができる。さらに、濃縮されたファージを細菌培養物中で成長させ、さらなる選択ラウンドに供することができる。
選択の効率は、洗浄時の解離の反応速度、及び単一のファージ上の複数の抗体断片が抗原と同時に触れることができるかどうかを含む、多くの因子によって決まる。速い解離反応速度(及び弱い結合親和性)を有する抗体は、短い洗浄、多価のファージディスプレイ、及び固相中の抗原の高いコーティング密度の使用によって保持することができる。高い密度は、多価の相互作用によってファージを安定化するだけでなく、解離したファージの再結合に有利に働きもする。遅い解離反応速度(及び良好な結合親和性)を有する抗体の選択は、Bassら,Proteins,8:309−314(1990)及びWO92/09690号に記載されているような長い洗浄及び一価のファージディスプレイ、並びにMarksら,Biotechnol.,10:779−783(1992)に記載されているような抗原の低いコーティング密度の使用によって促進することができる。
突然変異体SMOに対して、異なる親和性を有するファージ抗体を、親和性がわずかしか異ならない場合であっても、選択することが可能である。しかしながら、(例えば、一部の親和性成熟技術で実施されているような)選択された抗体のランダム突然変異は、大半が抗原と結合し、わずかのものだけがより高い親和性を有する、多くの突然変異体を生じさせる可能性が高い。突然変異体SMOを制限すれば、稀少な高親和性のファージが競合して除去される可能性がある。全てのより高い親和性の突然変異体を保持するために、ファージを、過剰のビオチン化突然変異体SMOとインキュベーションすることができるが、ビオチン化突然変異体SMOは、突然変異体SMOの標的モル濃度親和性定数よりも低いモル濃度の濃度とする。その後、高親和性結合ファージを、ストレプトアビジンがコーティングされた常磁性ビーズによって捕捉することができる。そのような「平衡捕捉」により、抗体を、わずか2倍しか高くない親和性を有する突然変異体クローンをより低い親和性を有する大過剰のファージから単離することを可能にする感度で、その結合の親和性に応じて選択することが可能となる。固相に結合したファージを洗浄する際に用いられる条件を操作して、解離反応速度に基づいて識別することもできる。
抗突然変異体SMOクローンは、活性に基づいて選択することができる。特定の実施形態では、本発明は、GDC−0449耐性腫瘍細胞などの、突然変異体SMOを自然に発現する生細胞に結合する抗突然変異体SMO抗体を提供する。一実施形態では、本発明は、野生型SMO中のGDC−0449によって結合される領域と同じ領域に結合する抗突然変異体SMO抗体を提供する。そのような抗突然変異体SMO抗体に対応するFvクローンは、(1)抗突然変異体SMOクローンを上記のようなファージライブラリーから単離し、任意に、単離されたファージクローンの集団を好適な細菌宿主中で成長させることによって、この集団を増幅すること;(2)それぞれ、それに対する遮断活性及び非遮断活性が望まれる突然変異体SMO及び第2のタンパク質を選択すること;(3)抗突然変異体SMOファージクローンを固定された突然変異体SMOに吸着させること;(4)過剰の第2のタンパク質を用いて、第2のタンパク質の結合決定基と重複するか又は該決定基と共有される突然変異体SMO結合決定基を認識する全ての望ましくないクローンを溶出させること;並びに(5)工程(4)の後に吸着したままであり続けるクローンを溶出させることによって選択することができる。任意に、所望の遮断/非遮断特性を有するクローンを、本明細書に記載の選択手順を1回又は複数回繰り返すことによってさらに濃縮することができる。
本発明のハイブリドーマ由来モノクローナル抗体又はファージディスプレイFvクローンをコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、関心対象の重鎖及び軽鎖コード領域をハイブリドーマ又はファージDNA鋳型から特異的に増幅するように設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いることによって)容易に単離及びシークエンシングされる。単離されれば、DNAを発現ベクターに入れ、その後、これを、トランスフェクトされなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞などの宿主細胞内にトランスフェクトして、組換え宿主細胞内で所望のモノクローナル抗体の合成を得ることができる。抗体をコードするDNAの細菌内での組換え発現に関する総説の文献には、Skerraら,Curr.Opinion in Immunol.,5:256(1993)及びPluckthun,Immunol.Revs,130:151(1992)が含まれる。
完全長又は部分長の重鎖及び/又は軽鎖をコードするクローンを形成させるために、本発明のFvクローンをコードするDNAを、重鎖及び/又は軽鎖定常領域をコードする既知のDNA配列と組み合わせることができる(例えば、適切なDNA配列をKabatら,上記から得ることができる)。IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgE定常領域を含む任意のアイソタイプの定常領域をこの目的のために使用することができること、並びにそのような定常領域を任意のヒト又は動物種から得ることができることが理解されるであろう。1つの動物(例えば、ヒト)種の可変ドメインDNAに由来し、その後、別の動物種の定常領域DNAと融合されて、「ハイブリッド」の完全長重鎖及び/又は軽鎖のコード配列(複数可)を形成するFvクローンが、本明細書で使用される「キメラ」及び「ハイブリッド」抗体の定義に含まれる。特定の実施形態では、ヒト可変DNAに由来するFvクローンをヒト定常領域DNAに融合させて、完全長又は部分長のヒト重鎖及び/又は軽鎖のコード配列(複数可)を形成させる。
本発明のハイブリドーマに由来する抗突然変異体SMO抗体をコードするDNAは(例えば、Morrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984)の方法と同様に)例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列をハイブリドーマクローンに由来する相同なマウス配列の代わりに用いることによって修飾することもできる。ハイブリドーマ又はFvクローン由来の抗体又は断片をコードするDNAは、免疫グロブリンコード配列に、非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全て又は一部を共有結合させることによって、さらに修飾することができる。このようにして、本発明のFvクローン又はハイブリドーマクローン由来抗体の結合特異性を有する「キメラ」又は「ハイブリッド」抗体を調製する。
3.ベクター、宿主細胞、及び組換え方法
抗体は、組換え方法を用いて産生することもできる。抗突然変異体SMO抗体の組換え産生のために、抗体をコードする核酸を単離し、さらなるクローニング(DNAの増幅)用又は発現用の複製可能なベクターに挿入する。抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)容易に単離及びシークエンシングすることができる。多くのベクターが利用可能である。ベクター成分には、通常、限定されないが、以下のうちの1つ又は複数:シグナル配列、複製起点、1以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列が含まれる。
a)シグナル配列成分
本発明の抗体は、直接的にだけでなく、異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても組換え産生させることができ、この異種ポリペプチドは、好ましくは、成熟タンパク質又はポリペプチドのN末端に特異的な切断部位を有するシグナル配列又は他のポリペプチドである。選択される異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識及びプロセッシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。ネイティブ抗体のシグナル配列を認識及びプロセッシングしない原核宿主細胞について、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、又は熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列によって置換される。酵母分泌のために、ネイティブシグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(サッカロミセス属及びクルイベロミセス属のα因子リーダーを含む)、もしくは酸ホスファターゼリーダー、C.アルビカンスのグルコアミラーゼリーダー、又はWO90/13646号に記載のシグナルによって置換され得る。哺乳動物細胞発現では、哺乳動物のシグナル配列及びウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。
b)複製起点
発現ベクター及びクローニングベクターはどちらも、ベクターが1以上の選択された宿主細胞内で複製することを可能にする核酸配列を含む。通常、クローニングベクター中では、この配列は、ベクターが宿主の染色体DNAとは独立して複製することを可能にするものであり、複製起点又は自己複製配列が含まれる。そのような配列は、種々の細菌、酵母、及びウイルスについて周知である。プラスミドpBR322由来の複製起点は、ほとんどのグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド起点は酵母に好適であり、様々なウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、又はBPV)は、哺乳動物細胞のクローニングベクターに有用である。通常、複製起点成分は、哺乳動物発現ベクターには必要ない(SV40起点が典型的に使用され得るが、これは、単にそれが初期プロモーターを含有しているからに過ぎない)。
c)選択遺伝子成分
発現ベクター及びクローニングベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含有することができる。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンに対する耐性を付与するか、(b)栄養要求性欠損を相補するか、又は(c)例えば、バチルス属のD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子のように、複合培地から利用可能でない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
選択スキームの1つの例では、宿主細胞の成長を停止させる薬物が利用される。異種遺伝子による形質転換が成功した細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を産生し、その結果、選択レジメンを切り抜けて生き残る。そのような優性選択の例では、薬物のネオマイシン、ミコフェノール酸、及びハイグロマイシンが用いられる。
哺乳動物細胞の好適な選択マーカーの別の例は、DHFR、グルタミンシンセターゼ(GS)、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン−I及び−II、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどの、抗体をコードする核酸を取り込む能力を有する細胞の同定を可能にするものである。
例えば、DHFR遺伝子で形質転換された細胞は、形質転換体を、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含む培養培地中で培養することによって同定される。これらの条件下では、DHFR遺伝子は、任意の他の共形質転換させた核酸とともに増幅される。内在性DHFR活性に欠損があるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(例えば、ATCC CRL−9096)を用いることができる。
或いは、GS遺伝子で形質転換された細胞は、形質転換体を、GSの阻害剤であるL−メチオニンスルホキシミン(Msx)を含む培養培地中で培養することによって同定される。これらの条件下では、GS遺伝子は、任意の他の共形質転換させた核酸とともに増幅される。GS選択/増幅系は、上記のDHFR選択/増幅系と組み合わせて用いることができる。
或いは、関心対象の抗体、野生型DHFR遺伝子、及びアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)などの別の選択マーカーをコードするDNA配列で形質転換又は共形質転換された宿主細胞(特に、内在性DHFRを含む野生型宿主)は、アミノグリコシド抗生物質、例えば、カナマイシン、ネオマイシン、又はG418などの選択マーカーの選択剤を含む培地中での細胞成長によって選択することができる。米国特許第4,965,199号を参照されたい。
酵母で使用するための好適な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcombら,Nature,282:39(1979))。trp1遺伝子は、トリプトファン中で成長する能力を欠く酵母の突然変異体株、例えば、ATCC番号44076又はPEP4−1の選択マーカーを提供する。Jones,Genetics,85:12(1977)。したがって、酵母宿主細胞ゲノム中のtrp1障害の存在は、トリプトファンの非存在在下における成長によって形質転換を検出する有効な環境を提供する。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC20,622又は38,626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによって相補される。
さらに、1.6μm環状プラスミドpKD1に由来するベクターをクリベロミセス属酵母の形質転換に用いることができる。或いは、組換えウシキモシンの大規模産生のための発現系が、K.ラクチスについて報告された。Van den Berg,Bio/Technology,8:135(1990)。クルイベロミセス属の工業用株による成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌のための、安定な複数コピー発現ベクターも開示されている。Fleerら,Bio/Technology,9:968−975(1991)。
d)プロモーター成分
発現ベクター及びクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、抗体をコードする核酸に機能的に連結されているプロモーターを含む。原核生物宿主とともに使用するのに好適なプロモーターには、phoAプロモーター、β−ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼプロモーター、トリプトファン(trp)プロモーター系、並びにtacプロモーターなどのハイブリッドプロモーターが含まれる。しかしながら、他の既知の細菌プロモーターが好適である。また、細菌系で使用するためのプロモーターは、抗体をコードするDNAに機能的に連結されたシャイン−ダルガノ(S.D.)配列も含む。
プロモーター配列は真核生物について公知である。ほとんど全ての真核生物遺伝子は、転写が開始される部位からおよそ25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写の始点から70〜80塩基上流に見られる別の配列は、CNCAAT領域(ここで、Nは、任意のヌクレオチドであり得る)である。ほとんどの真核生物遺伝子の3’末端には、コード配列の3’末端にポリAテールを付加するためのシグナルであり得るAATAAA配列がある。これらの配列は全て、真核生物発現ベクターに好適に挿入されている。
酵母宿主とともに使用するための好適なプロモーター配列の例には、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ、又はエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼなどの他の糖分解酵素のプロモーターが含まれる。
成長条件によって制御される転写のさらなる利点を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、並びにマルトース及びガラクトースの利用に関与する酵素のプロモーター領域である。酵母発現で使用するための好適なベクター及びプロモーターは、EP73,657号にさらに記載されている。酵母エンハンサーも酵母プロモーターとともに有利に使用される。
哺乳動物宿主細胞内でのベクターからの抗体の転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、サルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから、又は異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーターもしくは免疫グロブリンプロモーターから、熱ショックプロモーターから得られたプロモーターによって制御することができ、但し、そのようなプロモーターは、宿主細胞株と適合性がある。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含むSV40制限断片として好都合に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの即初期プロモーターは、HindIII E制限断片として好都合に得られる。ウシパピローマウイルスをベクターとして用いて哺乳動物宿主内でDNAを発現させる系は、米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の修飾は、米国特許第4,601,978号に記載されている。単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのマウス細胞におけるヒトβ−インターフェロンcDNAの発現に関する文献であるReyesら,Nature,297:598−601(1982)も参照されたい。或いは、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復をプロモーターとして用いることができる。
e)エンハンサーエレメント成分
高等真核生物による、本発明の抗体をコードするDNAの転写は、多くの場合、エンハンサー配列をベクターに挿入することによって増加する。哺乳動物遺伝子について、多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、及びインスリン)。しかしながら、通常、真核生物細胞ウイルス由来のエンハンサーが用いられる。例として、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが含まれる。真核生物プロモーターを活性化させるためのエンハンサーエレメントに関しては、Yaniv,Nature 297:17−18(1982)も参照されたい。エンハンサーは、抗体をコードする配列の5’又は3’側の位置でベクターに挿入されてもよいが、好ましくはプロモーターから5’側の部位に位置する。
f)転写終結成分
真核生物宿主細胞(酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞、ヒト細胞、又は他の多細胞生物からの有核細胞)で使用される発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含む。そのような配列は、一般的に、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5’及び場合によっては3’非翻訳領域から入手可能である。これらの領域は、抗体をコードするmRNAの非翻訳部分のポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026号及びその中に開示されている発現ベクターを参照されたい。
g)宿主細胞の選択及び形質転換
本明細書中のベクター中のDNAをクローニングするか、又は発現させるための好適な宿主細胞は、上記の原核生物、酵母、又は高等真核生物の細胞である。この目的のための好適な原核生物には、グラム陰性又はグラム陽性生物などの真正細菌、例えば、腸内細菌科、例えば、エシェリキア属、例えば、大腸菌、エンテロバクター属、エルウィニア属、クレブシエラ属、プロテウス属、サルモネラ属、例えば、ネズミチフス菌、セラチア属、例えば、霊菌、及びシゲラ属、並びにバチルス属、例えば、枯草菌及びB.リケニフォルミス(例えば、1989年4月12日に公開されたDD266,710号に開示されているB.リケニフォルミス41P)、シュードモナス属、例えば、緑膿菌、及びストレプトミセス属が含まれる。1つの好ましい大腸菌クローニング宿主は、大腸菌294(ATCC31,446)であるが、大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31,537)、及び大腸菌W3110(ATCC27,325)などの他の株が好適である。これらの例は、限定的なものではなく、例示的なものである。
完全長抗体、抗体融合タンパク質、及び抗体断片は、治療的抗体が、単独で腫瘍細胞の破壊における有効性を示す細胞毒性剤(例えば、毒素)にコンジュゲートされている場合などの、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要でない場合に、細菌内で産生させることができる。完全長抗体は、循環中でのより長い半減期を有する。大腸菌内での産生は、より速くかつ費用効率がより高い。細菌内での抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、発現及び分泌を最適化するための翻訳開始領域(TIR)及びシグナル配列を記載しているU.S.5,648,237号(Carterら)、U.S.5,789,199号(Jolyら)、U.S.5,840,523号(Simmonsら)を参照されたい。大腸菌内での抗体断片の発現を記載しているCharlton,分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology),第248巻(B.K.C.Lo編,Humana Press,Totowa,NJ,2003)、245−254ページも参照されたい。発現後、抗体を可溶性画分中の大腸菌細胞ペーストから単離してもよく、また、例えば、アイソタイプに応じてプロテインA又はプロテインGカラムに通して精製することができる。最終精製は、例えば、CHO細胞で発現された抗体を精製するプロセスと同様に実施することができる。
原核生物に加え、糸状菌又は酵母などの真核微生物は、抗体をコードするベクターのための好適なクローニング又は発現宿主である。出芽酵母、又は一般的なパン酵母が、下等真核生物宿主微生物の中で最も一般的に用いられている。しかしながら、いくつかの他の属、種、及び株が一般に利用可能かつ本明細書で有用であり、分裂酵母;例えば、K.ラクチス、K.フラギリス(ATCC12,424)、K.ブルガリクス(ATCC16,045)、K.ウィッケラミイ(wickeramii)(ATCC24,178)、K.ワルティ(ATCC56,500)、K.ドロソフィラルム(ATCC36,906)、K.サーモトレランス、及びK.マルキシアヌスなどのクルイベロミセス属宿主;ヤロウイア属(EP402,226号);ピキア・パストリス(EP183,070号);カンジダ属;トリコデルマ・レエシア(EP244,234号);アカパンカビ;シュワニオミセス・オクシデンタリスなどのシュワニオミセス属;例えば、ニューロスポラ属、ペニシリウム属、トリポクラディウム属などの糸状菌、並びに偽巣性コウジ菌及びクロコウジカビなどのアスペルギルス属宿主などがある。治療的タンパク質の産生のための酵母及び糸状菌の使用を考察している総説については、例えば、Gerngross,Nat.Biotech.22:1409−1414(2004)を参照されたい。
グリコシル化経路が「ヒト化」されており、結果として、部分的に又は完全にヒトのグリコシル化様式を有する抗体の産生がもたらされる、特定の真菌及び酵母株を選択することができる。例えば、Liら,Nat.Biotech.24:210−215(2006)(ピキア・パストリスのグリコシル化経路のヒト化を記載している);及びGerngrossら,上記を参照されたい。
グリコシル化された抗体の発現のための好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物及び昆虫細胞が含まれる。数々のバキュロウイルス株及び変異体、並びにヨトウガ(毛虫)、ネッタイシマカ(蚊)、ヒトスジシマカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)、及びカイコなどの宿主由来の対応する許容される昆虫宿主細胞が同定されている。トランスフェクションのための種々のウイルス株、例えば、オートグラファ・カリフォルニカNPVのL−1変異体及びカイコNPVのBm−5株が公的に利用可能であり、そのようなウイルスを、特に、ヨトウガ細胞のトランスフェクションのための、本発明による本明細書中のウイルスとして用いることができる。
綿、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、ウキクサ(ウキクサ科)、アルファルファ(タルウマゴヤシ)、及びタバコの植物細胞培養物を宿主として利用することもできる。例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号、及び第6,417,429号(トランスジェニック植物中で抗体を産生させるためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載している)を参照されたい。
脊椎動物細胞を宿主として用いてもよく、培養(組織培養)での脊椎動物細胞の繁殖はルーチンの手順となっている。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓株(浮遊培養での成長のためにサブクローニングされた293又は293細胞、Grahamら,J.Gen Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980));サル腎臓細胞(CV1、ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝細胞癌株(Hep G2)である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株には、DHFR-CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaubら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));並びにNS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が含まれる。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞株の総説については、例えば、Yazaki及びWu,分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology),第248巻(B.K.C.Lo編,Humana Press,Totowa,NJ,2003),255−268ページを参照されたい。
宿主細胞を、抗体産生用の上記の発現又はクローニングベクターで形質転換し、プロモーターを誘導するか、形質転換体を選択するか、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために必要に応じて修飾された従来の栄養培地中で培養する。
h)宿主細胞の培養
本発明の抗体を産生させるために使用される宿主細胞は、種々の培地中で培養することができる。ハムのF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma)、RPMI−1640(Sigma)、及びダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販の培地が、宿主細胞を培養するのに好適である。さらに、Hamら,Meth.Enz.58:44(1979)、Barnesら,Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号;第4,657,866号;第4,927,762号;第4,560,655号;もしくは第5,122,469号;WO90/03430号;WO87/00195号;又は米国再発行特許第30,985号に記載の培地のうちのいずれかを、宿主細胞用の培養培地として用いることができる。これらの培地のうちのいずれかに、必要に応じて、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、もしくは上皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩)、バッファー(例えば、HEPES)、ヌクレオチド(例えば、アデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCIN(商標)薬)、微量元素(通常マイクロモル濃度範囲の最終濃度で存在する無機化合物と定義される)、並びにグルコース又は同等のエネルギー源を補充することができる。任意の他の必要な補助物質を当業者に知られる適切な濃度で含めることもできる。例えば、温度、pHなどの培養条件は、発現用に選択される宿主細胞とともにこれまでに使用されているものであり、当業者には明らかであろう。
i)抗体の精製
組換え技術を用いる場合、抗体は、細胞内、ペリプラズム空間で産生されるか、又は培地中に直接分泌されることができる。抗体が細胞内で産生される場合、最初の工程として、宿主細胞又は溶解断片のどちらかの微粒子残屑を、例えば、遠心分離又は限外濾過によって除去する。Carterら,Bio/Technology 10:163−167(1992)は、大腸菌のペリプラズム空間に分泌される抗体を単離する手順を記載している。簡潔に述べると、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の存在下で、約30分間かけて解凍する。細胞残屑を遠心分離によって除去することができる。抗体が培地中に分泌される場合、そのような発現系からの上清を、通常、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amicon又はMillipore Pellicon限外濾過ユニットを用いてまず濃縮する。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を前述の工程のうちのいずれかに含めてタンパク質分解を阻害することができ、また、抗生物質を含めて外来性汚染菌の成長を防止することができる。
細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及び親和性クロマトグラフィーを用いて精製することができ、親和性クロマトグラフィーは、一般的に好ましい精製工程のうちの1つである。親和性リガンドとしてのプロテインAの好適性は、抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプによって決まる。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づく抗体を精製するために用いることができる(Lindmarkら,J.Immunol.Meth.62:1−13(1983))。タンパク質Gは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨される(Gussら(1986)EMBO J.5:1567−1575)。親和性リガンドが付着しているマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースであるが、他のマトリックスが利用可能である。コントロールドポアガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定なマトリックスは、アガロースで達成できるよりも速い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)が精製に有用である。イオン交換カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)上でのクロマトグラフィー、陰イオン交換樹脂又は陽イオン交換樹脂(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)上でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、及び硫安塩析などの他のタンパク質精製技術も、回収される抗体に応じて利用可能である。
任意の予備的精製工程(複数可)の後、関心対象の抗体及び夾雑物を含む混合物を、約2.5〜4.5のpHの溶出バッファーを用いる、好ましくは、低塩濃度(例えば、約0〜0.25Mの塩)で行なわれる、低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供することができる。
一般に、研究、試験、及び臨床で使用するための抗体を調製する様々な方法は、当技術分野で十分に確立され、上記の方法と一致しており、かつ/又は当業者によって関心対象の特定の抗体に適切であるとみなされる。
C.免疫コンジュゲート
本発明はまた、化学療法剤、薬物、成長阻害因子、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性毒素、又はそれらの断片)、或いは放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)などの、1以上の細胞毒性剤にコンジュゲートされた抗体を含む免疫コンジュゲート(「抗体−薬物コンジュゲート」又は「ADC」と互換的に呼ばれる)を提供する。
免疫コンジュゲートは、癌の治療において、細胞毒性剤、すなわち、細胞の成長又は増殖を中止又は阻害する薬物の局所送達に用いられている(Lambert,J.(2005)Curr.Opinion in Pharmacology 5:543−549;Wuら(2005)Nature Biotechnology 23(9):1137−1146;Payne,G.(2003)i 3:207−212;Syrigos及びEpenetos(1999)Anticancer Research 19:605−614;Niculescu−Duvaz及びSpringer(1997)Adv.Drug Deliv.Rev.26:151−172;米国特許第4,975,278号)。コンジュゲートされていない薬物の全身投与が、正常細胞及び排除しようとしている腫瘍細胞に対して許容されないレベルの毒性をもたらし得る場合、免疫コンジュゲートは、腫瘍への薬物部分の標的送達、及びその中での細胞内蓄積を可能にする(Baldwinら,Lancet(1986年3月15日)603−05ページ;Thorpe(1985)「癌治療における細胞毒性剤の抗体担体:総説(Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review)」、モノクローナル抗体’84:生物学的及び臨床的応用(Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications)(A.Pincheraら編)475−506ページ。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体はどちらも、これらの戦略において有用であると報告されている(Rowlandら,(1986)Cancer Immunol.Immunother.21:183−87)。これらの方法で用いられる薬物には、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、及びビンデシンが含まれる(Rowlandら,(1986)上記)。抗体−毒素コンジュゲートで用いられる毒素には、ジフテリア毒素などの細菌毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシン(Mandlerら(2000)J.Nat.Cancer Inst.92(19):1573−1581;Mandlerら(2000)Bioorganic&Med.Chem.Letters 10:1025−1028;Mandlerら(2002)Bioconjugate Chem.13:786−791)、メイタンシノイド(EP1391213号;Liuら,(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618−8623)、及びカリケアマイシン(Lodeら(1998)Cancer Res.58:2928;Hinmanら(1993)Cancer Res.53:3336−3342)などの小分子毒素が含まれる。毒素は、チューブリン結合、DNA結合、又はトポイソメラーゼ阻害を含む機構によってその細胞毒性効果を発揮することができる。細胞毒性薬の中には、大きい抗体又はタンパク質受容体リガンドにコンジュゲートされた場合、不活性になるか又は活性が弱くなる傾向にあるものもある。
ZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen/Idec)は、正常Bリンパ球及び悪性Bリンパ球の表面に見られるCD20抗原に向けられたマウスIgG1カッパモノクローナル抗体とチオ尿素リンカー−キレート剤によって結合された111In又は90Y放射性同位体とから構成される抗体−放射性同位体コンジュゲートである(Wisemanら(2000)Eur.Jour.Nucl.Med.27(7):766−77;Wisemanら(2002)Blood 99(12):4336−42;Witzigら(2002)J.Clin.Oncol.20(10):2453−63;Witzigら(2002)J.Clin.Oncol.20(15):3262−69)。ZEVALINは、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する活性を有するが、投与は、ほとんどの患者において重篤かつ持続的な血球減少をもたらす。カリケアマイシンに連結されたhuCD33抗体から構成される抗体−薬物コンジュゲートである、MYLOTARG(商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン、Wyeth Pharmaceuticals)は、2000年に、注射による急性骨髄性白血病の治療用に承認された(Drugs of the Future(2000)25(7):686;米国特許第4970198号;第5079233号;第5585089号;第5606040号;第5693762号;第5739116号;第5767285号;第5773001)。ジスルフィドリンカーSPPを介してメイタンシノイド薬物部分DM1に連結されたhuC242抗体から構成される抗体−薬物コンジュゲートである、カンツズマブメルタンシン(Immunogen,Inc.)は、結腸癌、膵癌、胃癌、及び他の癌などの、CanAgを発現する癌の治療のために、第II相治験に進んでいる。メイタンシノイド薬物部分DM1に連結された抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)モノクローナル抗体から構成される抗体−薬物コンジュゲートである、MLN−2704(Millennium Pharm.,BZL Biologics,Immunogen Inc.)は、前立腺腫瘍の潜在的治療のために開発中である。アウリスタチンペプチドのアウリスタチンE(AE)、及びドラスタチンの合成類似体であるモノメチルアウリスタチン(MMAE)がキメラモノクローナル抗体cBR96(上皮癌表面のルイスYに特異的)及びcAC10(血液学的悪性腫瘍表面のCD30に特異的)にコンジュゲートされ(Doroninaら(2003)Nature Biotechnol.21(7):778−784)、治療用に開発中である。
特定の実施形態では、免疫コンジュゲートは、抗体及び化学療法剤又は他の毒素を含む。免疫コンジュゲートの作製に有用な化学療法剤が本明細書に記載されている(例えば、上記)。使用可能な酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンが含まれる。例えば、1993年10月28日に公開されたWO93/21232号を参照されたい。種々の放射性核種が、放射性コンジュゲートされた抗体の作製のために利用可能である。例として、212Bi、131I、131In、90Y、及び186Reが含まれる。抗体と細胞毒性剤のコンジュゲートは、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6−ジイソシアネート)、及びビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)などの種々の二官能性タンパク質結合剤を用いて作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら,Science,238:1098(1987)に記載されているように調製することができる。炭素−14標識した1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体にコンジュゲートさせるための例示的なキレート化剤である。WO94/11026号を参照されたい。
抗体と、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウロスタチン、トリコテセン、及びCC1065、並びに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体などの、1以上の小分子毒素とのコンジュゲートも本明細書で企図される。
1.メイタンシン及びメイタンシノイド
いくつかの実施形態では、免疫コンジュゲートは、1以上のメイタンシノイド分子にコンジュゲートされた抗体(完全長又は断片)を含む。
メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することによって作用する有糸分裂(mitototic)阻害剤である。メイタンシンは、東アフリカの低木メイテナス・セラタから最初に単離された(米国特許第3,896,111号)。その後、特定の微生物も、メイタンシノール及びC−3メイタンシノールエステルなどのメイタンシノイドを産生することが判明した(米国特許第4,151,042号)。合成メイタンシノール並びにその誘導体及び類似体は、例えば、米国特許第4,137,230号;第4,248,870号;第4,256,746号;第4,260,608号;第4,265,814号;第4,294,757号;第4,307,016号;第4,308,268号;第4,308,269号;第4,309,428号;第4,313,946号;第4,315,929号;第4,317,821号;第4,322,348号;第4,331,598号;第4,361,650号;第4,364,866号;第4,424,219号;第4,450,254号;第4,362,663号;及び第4,371,533号に開示されている。
メイタンシノイド薬物部分は、(i)発酵又は化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製するために比較的利用しやすく、(ii)非ジスルフィドリンカーを介した抗体へのコンジュゲーションに好適な官能基を用いた誘導体化に適しており、(iii)血漿中で安定であり、かつ(iv)種々の腫瘍細胞株に対して効果的であるので、それらは、抗体薬物コンジュゲート中の魅力的な薬物部分である。
メイタンシノイドを含有する免疫コンジュゲート、その作製方法、及びその治療的使用は、例えば、その開示が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許第5,208,020号、第5,416,064号、及び欧州特許EP0 425 235 B1号に開示されている。Liuら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618−8623(1996)は、ヒト結腸直腸癌に向けられたモノクローナル抗体C242に連結されたDM1と命名されたメイタンシノイドを含む免疫コンジュゲートを記載している。このコンジュゲートは、培養結腸癌細胞に対して細胞毒性が高いことが見出され、インビボ腫瘍成長アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。Chariら,Cancer Research 52:127−131(1992)は、メイタンシノイドが、ジスルフィドリンカーを介して、ヒト結腸癌細胞株上の抗原に結合するマウス抗体A7、又はHER−2/neu癌遺伝子に結合する別のマウスモノクローナル抗体TA.1にコンジュゲートされた免疫コンジュゲートを記載している。TA.1−メイタンシノイドコンジュゲートの細胞毒性は、1細胞当たり3×105個のHER−2表面抗原を発現するヒト乳癌細胞株SK−BR−3に対してインビトロで試験された。薬物コンジュゲートは、遊離メイタンシノイド薬物と同様の程度の細胞毒性を達成し、これは、抗体1分子当たりのメイタンシノイド分子の数を増加させることによって増加させることができた。A7−メイタンシノイドコンジュゲートはマウスで低い全身細胞毒性を示した。
抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、抗体又はメイタンシノイド分子のどちらの生物活性も顕著に減少させずに、抗体をメイタンシノイド分子に化学的に連結させることによって調製される。例えば、米国特許第5,208,020号を参照されたい(その開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれている)。抗体1分子当たりにコンジュゲートされた平均3〜4個のメイタンシノイド分子は、抗体の機能又は溶解度に負の影響を及ぼさずに、標的細胞の細胞毒性を増強させるのに効力を示しているが、抗体1つ当たり毒素1分子でさえも、裸の抗体の使用を超えて細胞毒性を増強させると考えられる。メイタンシノイドは当技術分野で周知であり、既知の技術によって合成するか、又は天然源から単離することができる。好適なメイタンシノイドは、例えば、米国特許第5,208,020号、並びに本明細書において上で言及した他の特許及び非特許刊行物に開示されている。好ましいメイタンシノイドは、メイタンシノール、及び芳香環中又はメイタンシノール分子の他の位置で修飾されているメイタンシノール類似体、例えば、様々なメイタンシノールエステルである。
抗体−メイタンシノイドコンジュゲートを作製するための多くの連結基が当技術分野で知られており、これには、例えば、その開示が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許第5,208,020号又はEP特許0 425 235 B1号、Chariら,Cancer Research 52:127−131(1992)、及び2004年10月8日に出願された米国特許出願第10/960,602号に開示されているものが含まれる。リンカー成分SMCCを含む抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、2004年10月8日に出願された米国特許出願第10/960,602号に開示されているように調製することができる。連結基には、上で特定されている特許に開示されているような、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸に不安定な基、光に不安定な基、ペプチダーゼに不安定な基、又はエステラーゼに不安定な基が含まれ、ジスルフィド及びチオエーテル基が好ましい。さらなる連結基が本明細書に記載及び例示されている。
抗体及びメイタンシノイドのコンジュゲートは、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6−ジイソシアネート)、及びビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)などの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製することができる。特に好ましいカップリング剤には、ジスルフィド結合を提供するためのN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(Carlssonら,Biochem.J.173:723−737(1978))及びN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)が含まれる。
リンカーは、連結の種類に応じて、様々な位置でメイタンシノイド分子に付着させることができる。例えば、エステル結合は、従来のカップリング技術を用いたヒドロキシル基との反応によって形成させることができる。反応は、ヒドロキシル基を有するC−3位置、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位置、ヒドロキシル基で修飾されたC−15位置、及びヒドロキシル基を有するC−20位置で起こることができる。好ましい実施形態では、連結は、メイタンシノール又はメイタンシノール類似体のC−3位置で形成される。
2.アウリスタチン及びドラスタチン
いくつかの実施形態では、免疫コンジュゲートは、ドラスタチン、又はドロスタチン(dolostatin)ペプチド類似体及び誘導体のアウリスタチンにコンジュゲートされた抗体を含む(米国特許第5635483号;第5780588)。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、並びに核分裂及び細胞分裂を妨害し(Woykeら(2001)Antimicrob.Agents and Chemother.45(12):3580−3584)、抗癌活性(US5663149号)及び抗真菌活性(Pettitら(1998)Antimicrob.Agents Chemother.42:2961−2965)を有することが示されている。ドラスタチン又はアウリスタチン薬物部分は、ペプチド薬物部分のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端を介して抗体に付着させることができる(WO02/088172号)。
例示的なアウリスタチン実施形態には、その開示がその全体として参照により本明細書に明示的に組み込まれる、2004年11月5日に出願された米国特許出願第10/983,340号、「リガンドへのコンジュゲーションが可能なモノメチルバリン化合物(Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands)」に開示されている、N末端で連結されたモノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDFが含まれる。
通常、ペプチドに基づく薬物部分は、2以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片の間にペプチド結合を形成させることによって調製することができる。そのようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野で周知である液相合成法(E.Schroeder及びK.Luebke,「ペプチド(The Peptides)」,第1巻,76−136ページ,1965,Academic Pressを参照)に従って調製することができる。アウリスタチン/ドラスタチン薬物部分は、US5635483号;US5780588号;Pettitら(1989)J.Am.Chem.Soc.111:5463−5465;Pettitら(1998)Anti−Cancer Drug Design 13:243−277;Pettit,G.R.ら,Synthesis,1996,719−725;及びPettitら(1996)J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 5:859−863の方法に従って調製することができる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Doronina(2003)Nat Biotechnol 21(7):778−784;2004年11月5日に出願された米国第10/983,340号、「リガンドへのコンジュゲーションが可能なモノメチルバリン化合物(Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands)」(例えば、リンカー、及びリンカーにコンジュゲートされたMMAE及びMMAFなどのモノメチルバリン化合物を調製する方法を開示している)も参照されたい。
3.カリケアマイシン
他の実施形態では、免疫コンジュゲートは、1以上のカリケアマイシン分子にコンジュゲートされた抗体を含む。カリケアマイシンファミリーの抗生物質は、ピコモル濃度未満の濃度で二本鎖DNAの切断を生じさせることができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5,712,374号、第5,714,586号、第5,739,116号、第5,767,285号、第5,770,701号、第5,770,710号、第5,773,001号、第5,877,296号(全て、American Cyanamid Companyのもの)を参照されたい。使用し得るカリケアマイシンの構造類似体には、限定されないが、γ1I、α2I、α3I、N−アセチル−γ1I、PSAG、及びθI1が含まれる(Hinmanら,Cancer Research 53:3336−3342(1993)、Lodeら,Cancer Research 58:2925−2928(1998)、及びAmerican Cyanamidの前述の米国特許)。抗体をコンジュゲートさせることができる別の抗腫瘍薬は、抗葉酸剤であるQFAである。カリケアマイシン及びQFAはどちらも細胞内作用部位を有しており、形質膜を容易には横断しない。したがって、抗体媒介性の内在化を介したこれらの薬剤の細胞取込みは、その細胞毒性効果を大いに増強する。
4.他の細胞毒性剤
抗体にコンジュゲートさせることができる他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチン、及び5−フルオロウラシル、LL−E33288複合体と総称される、米国特許第5,053,394号、第5,770,710号に記載の薬剤ファミリー、並びにエスペラマイシン(米国特許第5,877,296号)が含まれる。
使用することができる酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンが含まれる。例えば、1993年10月28日に公開されたWO93/21232号を参照されたい。
本発明は、抗体と、核酸分解活性(例えば、リボヌクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ、例えば、デオキシリボヌクレアーゼ;DNアーゼ)を有する化合物との間で形成された免疫コンジュゲートをさらに企図している。
腫瘍の選択的破壊のために、抗体は、高放射性原子を含むことができる。種々の放射性同位体が、放射性コンジュゲートされた抗体の生成に利用可能である。例として、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体が含まれる。コンジュゲートを検出に用いる場合、それは、シンチグラフィー研究用の放射性原子、例えば、tc99mもしくはI123、又は核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、mriとしても知られる)用のスピン標識、例えば、再度のヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン、もしくは鉄を含むことができる。
放射性標識又は他の標識は、既知の方法でコンジュゲート中に取り込ませることができる。例えば、ペプチドは、例えば、水素の代わりにフッ素−19を含む好適なアミノ酸前駆体を用いて、生合成させることができるか、又は化学的アミノ酸合成によって合成することができる。tc99m又はI123、Re186、Re188、及びIn111などの標識は、ペプチド中のシステイン残基を介して付着させることができる。イットリウム−90は、リジン残基を介して付着させることができる。IODOGEN法(Frakerら(1978)Biochem.Biophys.Res.Commun.80:49−57)を用いて、ヨウ素−123を取り込ませることができる。「免疫シンチグラフィーにおけるモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy)」(Chatal,CRC Press 1989)は他の方法を詳細に記載している。
抗体及び細胞毒性剤のコンジュゲートは、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6−ジイソシアネート)、及びビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)などの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら,Science 238:1098(1987)に記載されているように調製することができる。炭素−14標識した1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体にコンジュゲートさせるための例示的なキレート化剤である。WO94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞内での細胞毒性薬の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であることができる。例えば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光に不安定なリンカー、ジメチルリンカー、又はジスルフィド含有リンカー(Chariら,Cancer Research 52:127−131(1992)、米国特許第5,208,020号)を用いることができる。
化合物は、限定されないが、クロスリンカー試薬:(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aから)市販されている、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、及びスルホ−SMPB、並びにSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)を用いて調製されたADCを明示的に企図している。アプリケーションハンドブック及びカタログ(Applications Handbook and Catalog)2003〜2004年版、467−498ページを参照されたい。
5.抗体薬物コンジュゲートの調製
抗体薬物コンジュゲート(ADC)中で、抗体(Ab)は、リンカー(L)を介して、1以上の薬物部分(D)、例えば、抗体1つ当たり約1〜約20個の薬物部分(p=1〜約20)にコンジュゲートされている。下に示す式のADCは、(1)共有結合を介して、Ab−Lを形成させるための、抗体の求核基と二価リンカー試薬との反応と、それに続く、薬物部分Dとの反応、及び(2)共有結合を介して、D−Lを形成させるための、薬物部分の求核基と二価リンカー試薬との反応と、それに続く、抗体の求核基との反応を含む、当業者に公知の有機化学の反応、条件、及び試薬を用いて、いくつかの経路によって調製することができる。ADCを調製するためのさらなる方法が本明細書に記載されている。
Ab−(L−D)p
リンカーは、1以上のリンカー成分から構成されることができる。例示的なリンカー成分には、6−マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン−シトルリン(「val−cit」)、アラニン−フェニルアラニン(「ala−phe」)、p−アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N−スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1カルボキシレート(「SMCC」)、及びN−スクシンイミジル(4−ヨード−アセチル)アミノベンゾエート(「SIAB」)が含まれる。さらなるリンカー成分が当技術分野で公知であり、その一部が本明細書に記載されている。その内容がその全体として参照により本明細書に組み込まれる、2004年11月5日に出願された米国特許出願第10/983,340号、「リガンドへのコンジュゲーションが可能なモノメチルバリン化合物(Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands)」も参照されたい。
いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基を含むことができる。例示的なアミノ酸リンカー成分には、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、又はペンタペプチドが含まれる。例示的なジペプチドには:バリン−シトルリン(vc又はval−cit)、アラニン−フェニルアラニン(af又はala−phe)が含まれる。例示的なトリペプチドには:グリシン−バリン−シトルリン(gly−val−cit)及びグリシン−グリシン−グリシン(gly−gly−gly)が含まれる。アミノ酸リンカー成分を含むアミノ酸残基には、天然に存在するもの、並びに少数アミノ酸及び天然に存在しないアミノ酸類似体、例えば、シトルリンが含まれる。アミノ酸リンカー成分を設計し、特定の酵素、例えば、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C、及びD、又はプラスミンプロテアーゼによる酵素切断に対するその選択性について最適化することができる。
抗体上の求核基には、限定されないが:(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、例えば、リジン、(iii)側鎖チオール基、例えば、システイン、及び(iv)抗体がグリコシル化されている場合、糖のヒドロキシル又はアミノ基が含まれる。アミン、チオール、及びヒドロキシル基は求核性であり、(i)NHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート、及び酸ハロゲン化物などの活性エステル;(ii)ハロアセトアミドなどのアルキル及びベンジルハロゲン化物;(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル、及びマレイミド基を含む、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成することができる。特定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド、すなわち、システイン架橋を有する。抗体は、DTT(ジチオスレイトール)などの還元剤での処理によるリンカー試薬とのコンジュゲーションに対して反応性にすることができる。したがって、各々のシステイン架橋は、理論的には、2つの反応性チオール求核剤を形成する。アミンからチオールへの変換を生じさせるリジンと2−イミノチオラン(トラウト試薬)との反応によって、さらなる求核基を抗体に導入することができる。1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのシステイン残基を導入する(例えば、1以上の非天然システインアミノ酸残基を含む突然変異体抗体を調製する)ことによって、反応性チオール基を抗体(又はその断片)に導入することができる。
抗体薬物コンジュゲートは、リンカー試薬又は薬物上の求核置換基と反応することができる求電子部分を導入するための抗体の修飾によって生成させることもできる。グリコシル化された抗体の糖を、例えば、過ヨウ素酸酸化剤を用いて酸化させ、リンカー試薬又は薬物部分のアミン基と反応し得るアルデヒド又はケトン基を形成させることができる。得られるイミンシッフ塩基基は、安定な連結を形成することができるか、又は例えば、水素化ホウ素試薬によって還元されて安定なアミン連結を形成することができる。一実施形態では、グリコシル化された抗体の炭水化物部分と、グラクトース(glactose)オキシダーゼ又はメタ過ヨウ素酸ナトリウムのどちらかとの反応は、薬物上の適切な基と反応することができるタンパク質中のカルボニル(アルデヒド及びケトン)基を生じさせることができる(Hermanson,バイオコンジュゲート技術(Bioconjugate Techniques))。別の実施形態では、N末端セリン又はトレオニン残基を含むタンパク質は、メタ過ヨウ素酸ナトリウムと反応して、第1のアミノ酸の代わりにアルデヒドの生成をもたらすことができる(Geoghegan及びStroh,(1992)Bioconjugate Chem.3:138−146、US5362852号)。そのようなアルデヒドは、薬物部分又はリンカー求核剤と反応させることができる。
同様に、薬物部分上の求核基には、限定されないが:(i)NHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート、及び酸ハロゲン化物などの活性エステル;(ii)ハロアセトアミドなどのアルキル及びベンジルハロゲン化物;(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル、及びマレイミド基:を含むリンカー部分及びリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成することができる、アミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、及びアリールヒドラジド基が含まれる。
或いは、抗体及び細胞毒性剤を含む融合タンパク質は、例えば、組換え技術又はペプチド合成によって作製することができる。DNAの長さは、互いに隣接するか、又はコンジュゲートの所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域によって隔離されているかのどちらかの、コンジュゲートの2つの部分をコードする各々の領域を含むことができる。
さらに別の実施形態では、抗体を、腫瘍のプレターゲッティングで利用する「受容体」(例えば、ストレプトアビジン)にコンジュゲートさせることができ、この場合、抗体−受容体コンジュゲートを患者に投与し、次いで、クリアリング剤を用いて未結合のコンジュゲートを循環から除去し、その後、細胞毒性剤(例えば、放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートされている「リガンド」(例えば、アビジン)を投与する。
IV.方法
A.抗体を用いた突然変異体SMOの診断方法及び検出方法
一態様では、本発明の抗体は、生体試料中の突然変異体SMOの存在を検出するために有用である。本明細書で使用される「検出すること」という用語は、定量的又は定性的な検出を包含する。特定の実施形態では、生体試料は、細胞又は組織、例えば、腫瘍組織を含む。
一態様では、本発明は、生体試料中の突然変異体SMOの存在を検出する方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、抗突然変異体SMO抗体と突然変異体SMOとの結合が許容される条件下で、生体試料を抗突然変異体SMO抗体と接触させること、及び抗突然変異体SMO抗体と突然変異体SMOの間で複合体が形成されるかどうかを検出することを含む。
一態様では、本発明は、突然変異体SMOの発現と関連する障害を診断する方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、試験細胞を抗突然変異体SMO抗体と接触させること;抗突然変異体SMO抗体と突然変異体SMOとの結合を検出することによって、試験細胞による突然変異体SMOの発現のレベルを(定量的又は定性的に)決定すること;及び試験細胞による突然変異体SMOの発現のレベルを対照細胞(例えば、試験細胞と同じ組織起源の正常細胞又はそのような正常細胞と同程度のレベルで野生型SMOを発現する細胞)による突然変異体SMOの発現のレベルと比較することを含み、ここで、対照細胞と比較して試験細胞による突然変異体SMOの発現のレベルがより高い場合は、突然変異体SMOの発現の増大と関連する障害の存在を示す。特定の実施形態では、試験細胞は、突然変異体SMOの発現の増大と関連する障害を有することが疑われる個体から得られる。特定の実施形態では、障害は、癌又は腫瘍などの細胞増殖性障害である。
本発明の抗体を用いて診断し得る例示的な障害には、限定されないが、髄芽腫、膵癌基底細胞癌が含まれる。
特定の他の方法を用いて、抗体と突然変異体SMOとの結合を検出することができる。そのような方法には、限定されないが、ウェスタンブロット、放射免疫アッセイ、ELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免疫アッセイ、及び免疫組織化学(IHC)などの、当技術分野で周知の抗原結合アッセイが含まれる。
特定の実施形態では、抗体を標識する。標識には、限定されないが、直接的に検出される標識又は部分(例えば、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、及び放射性標識)、並びに間接的に、例えば、酵素反応又は分子相互作用を介して検出される、酵素又はリガンドなどの部分が含まれる。例示的な標識には、限定されないが、放射性同位体32P、14C、125I、3H、及び131I、希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体などのフルオロフォア、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ(luceriferase)、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化する酵素、例えば、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はミクロペルオキシダーゼと共役した、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなどの複素環オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定なフリーラジカルなどが含まれる。
特定の実施形態では、抗体を不溶性マトリックス上に固定する。固定は、抗突然変異体SMO抗体を、溶液中に遊離したまま残る全ての突然変異体SMOから分離することを必要とする場合がある。これは、従来、水不溶性のマトリックスもしくは表面への吸着のような、アッセイ手順の前に抗突然変異体SMO抗体を不溶化することによるか(Bennichら,U.S.3,720,760号)、又は共有結合によるか(例えば、グルタルアルデヒド架橋を用いる)、又は抗突然変異体SMO抗体と突然変異体SMOの間での複合体の形成後に、例えば、免疫沈降によって抗突然変異体SMO抗体を不溶化することによるかのいずれかで達成される。
診断又は検出の上記実施形態はいずれも、抗突然変異体SMO抗体の代わりに又はそれに加えて、本発明の免疫コンジュゲートを用いて実施し得ることが理解される。
B.核酸プローブを用いて突然変異体SMOを検出する方法
一態様では、本明細書に記載の核酸プローブは、生体試料中の突然変異体SMO核酸の存在を検出するために有用である。本明細書で使用される「検出すること」という用語は、定量的又は定性的な検出を包含する。特定の実施形態では、生体試料は、細胞又は組織、例えば、腫瘍組織を含む。
一態様では、本発明は、生体試料中の突然変異体SMOをコードする核酸の存在を検出する方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、生体試料由来の核酸を本明細書に記載のプローブと接触させること、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションが許容される条件下でプローブを核酸にハイブリダイズさせること、及びプローブと核酸試料との間に複合体が形成されるかどうかを検出することを含む。
突然変異体SMOをコードする核酸は、限定されないが、本明細書に記載のプローブの使用、もしくはPCR増幅、rtPCRシークエンシング、一本鎖立体構造多型(SSCP)、DNAの示差制限消化(DNAの制限酵素消化による差異)、ハイブリダイゼーションによるものを含む、当技術分野で公知の任意の方法、又は当技術分野で公知の任意の他の方法を用いて検出することができる。
これらの方法では、細胞における本明細書に記載の突然変異体SMOの検出は、突然変異体SMOの発現の増大と関連する障害(すなわち、GDC−0449などのSmo阻害剤による治療に対する耐性)の存在を示す。特定の実施形態では、試験細胞は、突然変異体SMOの発現と関連する耐性腫瘍を有することが疑われる個体から得られる。
本発明の抗体を用いて診断し得る例示的な障害には、限定されないが、髄芽腫、膵癌基底細胞癌が含まれる。
C.細胞に基づくアッセイで突然変異体SMOを検出する方法
突然変異体SMOは、限定されないが、腫瘍試料又は突然変異体SMOを含むことが疑われる組織の組織学的調製物の腫瘍試料インビトロ免疫組織化学的染色などの、突然変異体SMO検出抗体と細胞試料の表面との結合を含む、当技術分野で公知の細胞に基づくアッセイで検出することができる。Hhシグナル伝達が起こるかどうかを(例えば、経路成分の活性化、Gliの発現などを測定することによって)決定するために、組織試料をGDC−0449及びヘッジホッグと接触させる機能的アッセイがある。GDC−0449を用いて混乱させることができる、Hhシグナル伝達経路を用いる任意の機能的アッセイを本発明の方法で用いて、突然変異体SMOの存在を決定することができる。
D.突然変異体SMOに結合する化合物についてスクリーニングする方法
本発明は、突然変異体SMOに結合する化合物についてスクリーニングする方法を提供する。任意の特定の作動様式に拘泥するものではないが、GDC−0449が野生型SMOに結合して、突然変異体SMOには結合しないのと同じように、突然変異体SMOの阻害剤として作用する化合物であれば、第6膜貫通ドメイン(TM6)のカルボキシ末端部分内の同じ領域中で突然変異体SMOに結合するであろうと考えられる。したがって、突然変異体SMOタンパク質のこの領域を発現させ、化合物のライブラリーを用いる結合アッセイを当技術分野で公知の任意の手段によって実行することができる。また、GDC−0449の潜在的な接触点に基づくモデリング手法を用いて、GDC−0449のバリエーションによって表されるより小さい化合物ライブラリーを使用し、その後、突然変異体SMOとGDC−0449のバリエーションの類似の接触点をモデリングすることもできる。そのようなモデリングプログラム及びアルゴリズムは、当技術分野で公知である任意のものであってもよい。野生型と突然変異体SMOの両方の阻害剤となる、突然変異体SMO及び野生型SMOに結合する化合物を同定することができる。或いは、突然変異体SMOには結合するが、野生型SMoには結合せず、それゆえ、突然変異体SMOのみに対する阻害剤となる化合物を発見することができる。
一実施形態では、スクリーニングされるべき化合物は、GDC−0449の変異体などの小分子化合物である。他の実施形態では、突然変異体SMOに結合する化合物は、GDC−0449と野生型SMOとの結合部位と同じ領域中にあるエピトープを特異的に認識する抗体である。一実施形態では、抗体は、突然変異体SMOのTM6のカルボキシ末端部分の領域に結合し、突然変異体SMO活性を阻害する。
或いは、又はそれに加えて、化合物を、突然変異体SMO活性を阻害するその能力についてスクリーニングすることができる。これらの実施形態では、突然変異体SMOを発現する細胞のヘッジホッグシグナル伝達を阻害するこれらの化合物の能力を評価することができる。これらのアッセイは、インタクトのヘッジホッグシグナル伝達経路を有するが、野生型SMOの代わりに又はそれに加えて突然変異を有する組換えSMOを発現する細胞で実施することができる。これらのアッセイでは、候補阻害剤の存在又は非存在下でヘッジホッグとともにインキュベートした場合に、活性のあるヘッジホッグシグナル伝達を有する細胞の能力が決定される。ヘッジホッグシグナル伝達が候補化合物の存在下で阻害される場合、そのような化合物は、ヘッジホッグ阻害剤である。いくつかの実施形態では、細胞は、野生型と突然変異体SMOを両方を発現しており、GDC−0449及び候補阻害剤とともにインキュベートされる。他の実施形態では、細胞は、突然変異SMoのみを発現しており、Hh及び候補阻害剤のみとともに(すなわち、GDC−0449の非存在下で)インキュベートされてもよい。Hhシグナル伝達がそのような細胞で低下するか又は阻害される場合、化合物は、突然変異体SMOの阻害剤である。
E.突然変異体SMOに結合する化合物を用いる治療方法
本発明は、GDC−0449などの化学療法化合物に対して耐性であるヘッジホッグシグナル伝達依存性腫瘍を有する患者を、突然変異体SMOに結合する化合物で治療する方法を提供する。
1.治療方法
本発明の抗体は、例えば、インビトロ、エクスビボ、及びインビボの治療方法で使用することができる。一態様では、本発明は、インビボ又はインビトロのどちらかで、癌を治療し、望まない細胞増殖を阻害し、癌の転移を阻害し、かつ腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、抗体と突然変異体SMOとの結合が許容される条件下で、細胞を本発明の抗体に曝露することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、細胞は、骨髄性白血病細胞、肺癌細胞、胃癌細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞、腎細胞癌細胞、及び膠芽腫細胞である。一実施形態では、本発明の抗体は、突然変異体SMOの活性を阻害するために使用することができ、この方法は、突然変異体SMOの活性が阻害されるように、突然変異体SMOを本発明の抗体に曝露することを含む。
一態様では、本発明は、癌を治療する方法であって、個体に有効量の本発明の抗体を投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、癌を治療する方法は、個体に、本発明の抗体を含む有効量の医薬製剤と、任意に、以下に提供するものなどの、少なくとも1つの追加の治療剤とを投与することを含む。
本発明の抗体は、治療において単独で又は他の組成物と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体は、少なくとも1つの追加の治療剤及び/又はアジュバントと共投与することができる。特定の実施形態では、追加の治療剤は、抗VEGF抗体である。
上述のそのような組合せ療法は、組合せ投与(この場合、2種以上の治療剤が同じ又は個別の製剤中に含まれる)及び個別投与を包含し、その場合、本発明の抗体の投与は、追加の治療剤及び/又はアジュバントの投与の前に、その投与と同時に、及び/又はその投与の後に起こることができる。本発明の抗体は、放射線療法と組み合わせて使用することもできる。
一実施形態では、本発明の抗体は、突然変異体SMOの発現及び/又は活性の増大と関連する障害を患っている個体の突然変異体SMOに結合させる方法であって、個体の突然変異体SMOが結合されるように個体に抗体を投与することを含む、方法で使用される。一実施形態では、突然変異体SMOはヒト突然変異体SMOであり、個体はヒトである。
本発明の抗体(及び任意の追加の治療剤又はアジュバント)は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内を含む任意の好適な手段によって、かつ所望する場合、局所的治療、病巣内投与のために投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下への投与が含まれる。さらに、抗体は、特に漸減用量の抗体を用いる、パルス注入によって好適に投与される。投与が短期間のものであるか又は持続的なものであるかに一部依存して、投薬は、任意の好適な経路によるもの、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射によるものであることができる。
本発明の抗体の結合標的の位置を、抗体の調製及び投与において考慮することができる。結合標的が細胞内分子である場合、本発明の特定の実施形態は、結合標的が位置する細胞に導入されるべき抗体又はその抗原結合断片を提供する。一実施形態では、本発明の抗体は、細胞内でイントラボディとして発現させることができる。本明細書で使用される「イントラボディ」という用語は、例えば、Marasco,Gene Therapy 4:11−15(1997);Kontermann,Methods 34:163−170(2004);米国特許第6,004,940号及び第6,329,173号;米国特許出願公開第2003/0104402号、並びにPCT公開WO2003/077945号に記載されているような、細胞内で発現され、標的分子に選択的に結合することができる抗体又はその抗原結合部分を指す。細胞内抗体を作製するための遺伝子治療の使用に関しては、例えば、1996年3月14日に公開されたWO96/07321号も参照されたい。
イントラボディの細胞内発現は、所望の抗体又はその抗原結合部分をコードする核酸(抗体又は抗原結合断片をコードする遺伝子と通常関連している野生型リーダー配列及び分泌シグナルを欠く)を標的細胞に導入することによって達成することができる。本発明の抗体の全て又は一部をコードする1以上の核酸は、細胞内標的ポリペプチドに結合して標的ポリペプチドの活性を調節することができる1以上のイントラボディが発現されるように、標的細胞に送達することができる。核酸を細胞に導入する任意の標準的な方法を用いることができ、これには、限定されないが、マイクロインジェクション、バリスティックインジェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、リポソーム、並びに関心対象の核酸を担持するレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びワクシニアベクターを用いるトランスフェクションが含まれる。
特定の実施形態では、核酸(任意にベクターに含まれる)は、インビボ及びエクスビボの方法によって患者の細胞に導入することができる。インビボ送達の一例では、核酸を、患者に直接、例えば、治療的介入が必要とされる部位に注射する。インビボ送達のさらなる例では、核酸を、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、単純ヘルペスIウイルス、又はアデノ随伴ウイルス)並びに脂質に基づく系(遺伝子の脂質媒介性移入に有用な脂質は、例えば、DOTMA、DOPE、及びDC−Cholである)によるトランスフェクションを用いて細胞に導入する。特定の遺伝子マーキング及び遺伝子治療プロトコルの総説については、Andersonら,Science 256:808−813(1992)、並びにWO93/25673号及びその中に引用されている参考文献を参照されたい。エクスビボ治療の一例では、患者の細胞を取り出し、核酸をこれらの単離された細胞に導入し、修飾された細胞を、直接的に、又は例えば、患者に埋め込まれる多孔性膜の中に封入して、患者に投与する(例えば、米国特許第4,892,538号及び第5,283,187号を参照されたい)。核酸のエクスビボ送達に一般的に用いられるベクターは、レトロウイルスベクターである。
別の実施形態では、内在化抗体が提供される。抗体は、細胞内への抗体の送達を増強する特定の特徴を保有することができるか、又はそのような特徴を保有するように修飾することができる。これを達成するための技術は、当技術分野で公知である。例えば、抗体の陽イオン化は、細胞内へのその取込みを容易にすることが知られている(例えば、米国特許第6,703,019号を参照されたい)。リポフェクション又はリポソームを用いて、抗体を細胞内に送達することもできる。抗体断片を用いる場合、標的タンパク質に特異的に結合する最も小さい阻害性断片が有利である場合がある。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を保持するペプチド分子を設計することができる。そのようなペプチドは、化学的に合成され、かつ/又は組換えDNA技術によって産生されることができる。例えば、Marascoら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:7889−7893(1993)を参照されたい。
標的細胞内への抗体の進入は、当技術分野で公知の他の方法によって増強することができる。例えば、特定の配列、例えば、HIV Tat又はアンテナペディアホメオドメインタンパク質に由来する配列は、細胞膜を横断する異種タンパク質の効率的な取込みを導くことができる。例えば、Chenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999),96:4325−4329を参照されたい。
抗体の結合標的が脳内に位置する場合、本発明の特定の実施形態は、血液脳関門を横断する抗体を提供する。血液脳関門を横断して分子を輸送するための、いくつかの当技術分野で公知の手法が存在し、これには、限定されないが、物理的方法、脂質に基づく方法、幹細胞に基づく方法、並びに受容体及びチャネルに基づく方法が含まれる。
血液脳関門を横断して抗体を輸送する物理的方法には、限定されないが、血液脳関門を完全に迂回するもの、又は血液脳関門に開口を形成することによるものが含まれる。迂回法には、限定されないが、脳内への直接注射(例えば、Papanastassiouら,Gene Therapy 9:398−406(2002)を参照)、組織内注入/対流増強送達(例えば、Boboら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2076−2080(1994)を参照)、並びに脳内への送達装置の埋込み(例えば、Gillら,Nature Med.9:589−595(2003);及びGliadel Wafers(商標),Guildford Pharmaceuticalを参照)が含まれる。関門に開口を形成する方法には、限定されないが、超音波(例えば、米国特許公開第2002/0038086号を参照)、浸透圧(例えば、高張マンニトールの投与によるもの(Neuwelt,E.A.,血液脳関門及びその操作の意義(Implication of the Blood−Brain Barrier and its Manipulation),第1巻及び第2巻,Plenum Press,N.Y.(1989))、例えば、ブラジキニン又は透過処理剤A−7による透過処理(例えば、米国特許第5,112,596号、第5,268,164号、第5,506,206号、及び第5,686,416号を参照)、並びに抗体をコードする遺伝子を含むベクターを用いる、血液脳関門をまたぐニューロンのトランスフェクション(例えば、米国特許公開第2003/0083299号を参照)が含まれる。
血液脳関門を横断して抗体を輸送する脂質に基づく方法には、限定されないが、抗体を、血液脳関門の血管内皮上の受容体に結合する抗体結合断片と結合されているリポソーム中に封入すること(例えば、米国特許出願公開第20020025313を参照)、及び抗体を低密度リポタンパク質粒子(例えば、米国特許出願公開第20040204354号を参照)又はアポリポタンパク質E(例えば、米国特許出願公開第20040131692号を参照)中にコーティングすることが含まれる。
血液脳関門を横断して抗体を輸送する幹細胞に基づく方法は、関心対象の抗体を発現するように神経前駆細胞(NPC)を遺伝子操作し、その後、治療されるべき個体の脳に幹細胞を移植することを必要とする。Behrstockら(2005)Gene Ther.2005年12月15日、先行オンライン出版(齧歯類及び霊長類モデルの脳に移植したとき、神経栄養因子GDNFを発現するように遺伝子操作されたNPCがパーキンソン病の症状を軽減したことを報告している)を参照されたい。
血液脳関門を横断して抗体を輸送する受容体及びチャネルに基づく方法には、限定されないが、糖質コルチコイド遮断薬を用いて血液脳関門の透過性を増加させること(例えば、米国特許出願公開第2002/0065259号、第2003/0162695号、及び第2005/0124533号を参照);カリウムチャネルを活性化させること(例えば、米国特許出願公開第2005/0089473号を参照)、ABC薬物輸送体を阻害すること(例えば、米国特許出願公開第2003/0073713号を参照);抗体にトランスフェリンをコーティングし、1以上のトランスフェリン受容体の活性を調節すること(例えば、米国特許出願公開第2003/0129186号を参照)、並びに抗体を陽イオン化すること(例えば、米国特許第5,004,697号を参照)が含まれる。
本発明の抗体は、医療実施基準(good medical practice)と一致した様式で製剤化、投薬、及び投与される。これに関連して考慮される因子には、治療される具体的な障害、治療される具体的な哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与の方法、投与のスケジュール、及び医療従事者に公知の他の因子が含まれる。抗体は、必ずしもその必要はないが、場合により、問題になっている障害を予防又は治療するために現在使用されている1以上の薬剤とともに製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害又は治療の種類、及び上で考察された他の因子によって決まる。これらは、通常、本明細書に記載のものと同じ投薬量及び投与経路で、もしくは本明細書に記載の投薬量の約1〜99%で、又は経験的/臨床的に適切であることが明らかにされている任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
疾患の予防又は治療のために、本発明の抗体の適切な投薬量(単独で又は1以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)は、治療されるべき疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体を予防目的で投与するのか治療目的で投与するのかということ、過去の治療、患者の臨床歴及び抗体に対する応答、並びに担当医の裁量によって決まる。抗体は、一度に又は一連の治療の間、患者に好適に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体が、例えば、1回もしくは複数回の別々の投与によるものであれ、連続注入によるものであれ、患者への投与のための初期候補投薬量であることができる。1つの典型的な1日投薬量は、上述の因子に応じて、約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲であり得る。数日間又はそれより長くにわたる繰返し投与については、状態に応じて、通常、疾患症状の所望の抑制が起こるまで治療を持続させる。抗体の1つの例示的な投薬量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲である。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、もしくは10mg/kgのうちの1つもしくは複数の用量(又はその任意の組合せ)を患者に投与することができる。そのような用量は、間欠的に、例えば、週に1回又は3週に1回(例えば、患者が約2〜約20用量、又は例えば、約6用量の抗体を受容するように)投与することができる。初期のより高い負荷用量と、それに次ぐ、1以上のより低い用量を投与することができる。例示的な投与レジメンは、約4mg/kgの初期負荷用量と、それに次ぐ、週に1回の約2mg/kgの抗体の維持量を投与することを含む。しかしながら、他の投薬量レジメンが有用である場合がある。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易にモニタリングされる。
上記の治療方法はいずれも、抗突然変異体SMO抗体の代わりに又はそれに加えて本発明の免疫コンジュゲートを用いて実施し得ることが理解されよう。
V.GDC−0449耐性腫瘍を治療するための化合物
アミノ酸位置518でのスムースンドの突然変異に起因するGDC−0449耐性腫瘍を治療するために使用し得る小分子化合物には、以下のものがある。
小分子は、化合物が投与される対象に対して有害な効果を引き起こさずに突然変異体SMO活性を阻害するための有効量で提供される。化合物は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内を含む任意の好適な手段によって、かつ所望する場合、局所的治療、病巣内投与のために投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下への投与が含まれる。投与が短期間のものであるか又は持続的なものであるかに一部依存して、投薬は、任意の好適な経路によるもの、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射によるものであることができる。
本発明の化合物はさらに、PI3K阻害剤とともに投与することができる。PI3K阻害剤の投与は、SMOタンパク質のさらなる突然変異生成及びSmo阻害剤に対する耐性の獲得を予防するか又は遅延させる。好適なPI3K阻害剤には、限定されないが、Maira S−Mら(2009)「癌治療のためのPI3K阻害剤:我々が置かれている現状は?(PI3K Inhibitors for Cancer Treament:Where Do We Stand?」、Biochem.Soc.Trans.37:265−272に記載されているものを含む、当技術分野で公知の任意のものが含まれる。
序論
新規のHh経路阻害剤GDC−0449による広範な転移性疾患を有する髄芽腫患者の治療が、治療に対する劇的かつ迅速な応答をもたらすことが最近実証された(Charles M.Rudinら(2009)N.Engl.J.Med.361:1173−1178)。GDC−0449は、PTCH1の喪失後に活性化されるようになるGタンパク質共役様受容体のスムースンド(SMO)を標的とする(Charles M.Rudinら(2009)N.Engl.J.Med.361:1173−1178;Molckovsky,A.及びL.L.Siu(2008)J.Hematol.Oncol.1:20)。
GDC−0449による治療の前に採取されたこの髄芽腫患者の原発性及び転移性腫瘍の分子プロファイリングによって、PTCH1における基礎的な体細胞突然変異(PTCH1−W844C)、及びHh経路標的遺伝子の上方調節された発現が明らかとなり、腫瘍が、異常調節されたHhシグナル伝達によって引き起こされるという仮説が支持された(C.M.Rudinら(2009)N.Engl.J.Med.361:1173−1178)。PTCH1−W844C突然変異は、野生型(WT)SMOとともにコトランスフェクトされたとき、Hh応答性のGLI−ルシフェラーゼレポーター細胞株(C3H10T12線維芽細胞)においてSMO活性を抑制することができず、この特定の突然変異が、SMOを抑制するPTCH1の能力を阻害し、それにより、Hh経路の異常なリガンド非依存的活性化をもたらすことができることが示された。この患者では、顕著な腫瘍の縮小が初期に観察されたにもかかわらず、治療の開始から約3カ月後に撮影されたPETスキャンでは、疾患の進行が示された。疾患の再発を確認するために、及びその後のGDC−0449に対する獲得耐性の機構を探索するための分子プロファイリングのために、進行病変の細針吸引物を得た。PTCH1のシークエンシングにより、以前に検出された、ヘテロ接合性の損失を伴う、ホモ接合性PTCH1−W844C突然変異の存在が確認された。
再発の機構を特徴付けるために、本出願では、本発明者らは、GDC−0449の直接的な標的である、SMOを含むHh経路の既知の成分の状態を評価した。
材料及び方法
試薬及びコンストラクト。KAAD−シクロパミンは、Toronto Research Chemicals Inc.から購入した(カタログ番号K171000)。GDC−0449は、Genentechで作製された(A.Molckovsky及びL.L.Siu(2008)J.Hematol.Oncol.1:20)。Hh阻害剤は全て、100%DMSO(Sigma)中の30mMのストックとして−20℃で保存した。ヒトSMO、ヒトPTCH1(転写物変異体1b、GenBank NM_000264.3)、及びeGFPをpRK5(BD Biosciences)にクローニングし、CMVプロモーターから発現させた。点突然変異を、Stratagene製のQuikChange II Site−Directed Mutagenesis Kit(カタログ番号200524)を用いて導入し、野生型及び突然変異体ヒトSMOのカルボキシ末端にFLAGタグを、Invitrogen製のPlatinum Taq DNA Polymerase High Fidelity(カタログ番号11304−011)を用いるPCRによって導入した。(Muroneら(1999)Curr Biol.9:76−84)は、以前にHhルシフェラーゼレポーターGli−BSを記載しており、ウミシイタケトランスフェクション対照プラスミド(pRL−TK)は、Promega製である(カタログ番号E2241)。全てのコンストラクトをシークエンシングによって確認した。
アラニンスキャン突然変異生成。SMO突然変異体を上記のようにpRK5−SMOから作製した。アラニンをロイシンに突然変異させ(CTG)、その一方で、他の残基を全てアラニンに突然変異させた(GCA)。
Gli−ルシフェラーゼレポーターアッセイ。Gli−ルシフェラーゼレポーターアッセイを、以下の修飾を用いて、上記のように実施した(Rudin,C.M.ら(2009)N.Engl.J.Med.361:1173−1178);C3H10T1/2細胞(ATCC、CCL−226)を6ウェルプレートに1.85×105細胞/ウェルで播種した。示されている値は、4回の別々の実験の平均±1標準偏差(SD)である。
3H]−GDC−0449−結合アッセイ。HEK−293細胞を、以前に記載されているようにSMO発現コンストラクトでトランスフェクトし、回収し、固定し、洗浄した。細胞をPBSに再懸濁し、96ウェルプレートに播種し(2×106細胞/ウェル)、50μMの未標識GDC−0449の存在下又は非存在下で、5nMの[3H]−GDC−0449(0.05μCi/ウェル;Tritec,Teufen,Switzerland)とともに、37℃で1時間インキュベートした。細胞を、細胞回収器(Wallac)を用いてフィルタープレート(Perkin Elmer #6005174)に移し、水で5回洗浄した。プレートを乾燥させ、結合した放射能を、Topcountシンチレーションカウンター及びMicroscint−20シンチレーションカクテル(どちらもPerkin Elmer製)を用いて測定した。データは、生のカウントとして示したか、又は(トランスフェクトしていない細胞から得られる)バックグラウンド値を減算した後にSMO−WTに対して正規化した。
SMO突然変異体のFACS解析。SMO突然変異体の細胞表面発現を決定するためのFACS解析を以前に記載されているように実施した。%SMO陽性細胞をSMO−WT対照に対して正規化した。
実施例1
E518はGDC−0449によるSMO阻害に重要である。本発明者らは、SMOのシグナリング活性を劇的に変化させることなく、GDC−0449結合、及び腫瘍成長を抑制するその能力を妨げる、このタンパク質中の保存されたアスパラギン酸残基の2つの突然変異を以前に報告した(Yauch R.Lら(2009)Science 326:572−574)。本発明者らは、アラニンスキャン突然変異生成手法を用いて、GDC−0449結合に極めて重要なSMO中のさらなる残基を同定した(図1A)。GDC−0449が、GPCRのそのリガンドへの結合によく似た様式でSMOに結合することを考慮して、本発明者らは、そのような相互作用に重要であることが知られている領域を突然変異させた(Rosenbaum D.M.ら(2009)Nature 459:356−363)。これらには、膜貫通ヘリックス(TM)3、TM5、TM6、及びTM7、並びに細胞外ループ中の隣接アミノ酸が含まれる。SMOの第3細胞外ループ全体は、その開始点にD473を含むので、それも本発明者らのスクリーニングに含まれた。本発明者らは、薬物結合の喪失を一次読み出しとして用いて、合計102個のSMO突然変異体を解析した(データは示さない)。GDC−0449結合に欠陥があることが分かった21個の新しいSMO突然変異体の大半は、不活性であり、かつ/又は細胞表面で発現されなかった。SMO−E518Aは、1μMのGDC−0449の存在にもかかわらず、顕著なシグナリング活性を示し、GDC−0449に対して部分的に耐性であることが分かった(図1B;データは示さない)。次に、本発明者らは、この位置の電荷を反転させ、かつ単一ヌクレオチド変化によって達成することができるより大きなアミノ酸置換を導入した。このSMO−E518K突然変異体は、SMO−WTと同程度の活性を有し、さらに、最大1μMまで、GDC−0449に対して完全に耐性である(データは示さない;図1B)。したがって、本発明者らは、E518を、GDC−0449に対する耐性を付与することができるSMO中の新規の突然変異部位候補として同定した。
実施例2
化学的に多様なHPIのスクリーニングにより、いくつかのSMOE518Kアンタゴニストが同定された。SMO突然変異体阻害剤をGDC−0449耐性腫瘍の潜在的な治療剤として同定するために、本発明者らは、野生型タンパク質に対する強力な活性を有する53個のアンタゴニストのパネル(代表的な化合物を図2Aに示す)をスクリーニングした(図2B)。これらの化合物は、高スループットスクリーニング(自前のものと他者によるものの両方)で同定されたか、又は従来的な医薬品化学の方法を用いて、スクリーニングヒットのヒットからリードへの最適化(hit−to−lead optimization)によって作製された。C3H10T1/2細胞に、野生型又は突然変異体SMO発現ベクターをGli−ルシフェラーゼレポーターコンストラクトとともにコトランスフェクトし(Murone M.ら(1999)Curr.Biol.9(2):76−84)、経路の活性化を1μMの化合物の存在下又は非存在下で測定した。興味深いことに、ベンズイミダゾールHhAntag(Romer J.T.ら(2004)Cancer Cell、6:229−240)は、GDC−0449とのいくつかの構造的類似性にもかかわらず、全てのSMO対立遺伝子に対して本質的に等しい効力を有し、これら2つの化合物間の構造活性相関(SAR)の微妙な違いを示した。化合物1によって例示されるように(A、B、及びC環の命名法については、図2A参照)、GDC−0449の様々なC環アミド誘導体は、SMOD473Hに対して弱い効力を示した。対照的に、HhAntagの多くのC環アミド誘導体は効力を保持し(データは示さない)、HhAntagに見られるベンズイミダゾールA環が、このSMO突然変異体の阻害において、GDC−0449に見られる2−ピリジルA環よりも優れていることが実証された。他のA環置換を見ると、キナゾリン(化合物2によって表される)が不活性であることが分かった一方で、ビス−アミド化合物3は、GDC−0449と同一のC環を有するにもかかわらず、測定可能な活性を示した。このビス−アミドの一般的なクラスは、化合物4及び5によって例示される、最適な置換パターンが見出されれば、SMO−D473Hに対する改善された効力を示した。C環はSMO−D473Hの阻害に明白に寄与するが、本発明者らのSAR観察結果は、A環の置換が最も劇的に効力を改善することができることを示唆している。具体的には、ベンズイミダゾールHhAntag及びビス−アミド化合物3〜5に見られるように、SMO−D473Hに結合するとき、水素結合受容体単独と比べて、水素結合供与体と水素結合受容体の両方を有するA環が好ましい。逆に、化合物1がこの突然変異体に対する強い効力を示すので、SMO−E518Kの効率的な阻害は、GDC−0449のC環を置換することによって達成することができる。さらに、SMO−E518Kが、天然植物アルカロイドのシクロパミンに対して完全に耐性であるが、ヒラジノイミン(hyrazinoimine)のSANT−1に対して感受性である(Chen J.Kら(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:14071−14076)のに対し、SMO−D473Hは、両方の化合物に対して部分的に耐性であり、これら2つのGDC−0449耐性突然変異体の阻害のための要件が異なるという研究結果が裏付けられている。本発明者らは、HhAntagを、マウスのHhシグナリングを遮断するツール化合物として、ルーチンに使用しているが、この阻害剤は、ヒト肝細胞によって迅速に代謝されるため、治療剤としては好適ではない(SEG、未発表の観察結果)。本発明者らの目的は、獲得されたGDC−0449耐性を臨床で克服することができるSMOアンタゴニストを同定することであったので、本発明者らは、ビス−アミドクラスの阻害剤にその取り組みを集中させた。この群由来の14の薬物候補のうちの3つだけが、マウスにおける良好な薬物動態特性を示した(データは示さない)。
前述の実施例は、例示目的のものであるに過ぎず、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものとみなされるべきでない。
一側面において、本発明は以下の発明を包含する。
(発明1)
配列番号1と少なくとも95%同一であり、アミノ酸518でグルタミン酸以外のアミノ酸を含むアミノ酸配列を含む、突然変異体SMOタンパク質をコードする単離された核酸分子。
(発明2)
前記突然変異体SMOタンパク質が、アミノ酸518でアラニン(A)又はリジン(K)を含む配列番号2のアミノ酸配列を含む、発明1に記載の単離された核酸配列。
(発明3)
アミノ酸518をコードする配列が異なるアミノ酸をコードするように変化させる突然変異を含む、配列番号3の親核酸配列を含む、発明1に記載の単離された核酸配列。
(発明4)
アミノ酸518をコードする配列中に突然変異を取り込んでいる突然変異SMOタンパク質又はその断片をコードする核酸に特異的にハイブリダイズすることができる、核酸プローブ。
(発明5)
前記突然変異SMO又は前記その断片をコードする前記核酸に相補的である、発明4に記載のプローブ。
(発明6)
約10〜約50ヌクレオチドの長さを有する、発明4に記載のプローブ。
(発明7)
検出可能な標識をさらに含む、発明4に記載のプローブ。
(発明8)
配列番号2と少なくとも95%同一であり、アミノ酸518でグルタミン酸以外のアミノ酸を含むアミノ酸配列を含む、単離された突然変異体SMOタンパク質。
(発明9)
アミノ酸518でグルタミン酸以外のアミノ酸を含む配列番号2のアミノ酸配列を含む、発明8に記載の単離された突然変異体SMOタンパク質。
(発明10)
前記アミノ酸配列が、アミノ酸518でアラニン(A)又はリジン(K)を含む、発明8又は9に記載の単離された突然変異体SMOタンパク質。
(発明11)
発明8又は9に記載の突然変異体SMOタンパク質に特異的に結合する抗体であって、前記抗体のエピトープが、位置518でグルタミン酸を有する野生型SMOと結合しない、抗体。
(発明12)
モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、又はこれらの抗原結合断片である、発明11に記載の抗体。
(発明13)
細胞毒性剤にコンジュゲートされている、発明11に記載の抗体。
(発明14)
SMO活性を阻害する、発明11に記載の抗体。
(発明15)
試料中の突然変異SMO遺伝子を検出する方法であって、前記試料から、突然変異を含むことが疑われるSMOの膜貫通ドメイン7のカルボキシ末端又はその断片に対応する核酸を増幅すること、及び増幅された核酸の電気泳動移動度を、対応する野生型SMO遺伝子又はその断片の電気泳動移動度と比較することを含む、方法。
(発明16)
前記電気泳動移動度がポリアクリルアミドゲル上で決定される、発明15に記載の方法。
(発明17)
試料中の少なくとも1つのSMO突然変異を同定する方法であって、前記試料由来の核酸を、アミノ酸518をコードする配列をグルタミン酸以外のアミノ酸に変化させる突然変異を取り込んでいる突然変異SMOタンパク質又はその断片をコードする核酸に特異的にハイブリダイズすることができる核酸プローブと接触させること、及び前記ハイブリダイゼーションを検出することを含む、方法。
(発明18)
前記プローブが検出可能に標識されている、発明17に記載の方法。
(発明19)
前記プローブがアンチセンスオリゴマーである、発明17に記載の方法。
(発明20)
前記試料中の前記核酸のSMO遺伝子又はその断片を増幅し、前記プローブと接触させる、発明17に記載の方法。
(発明21)
GDC−0449による治療に対して耐性であるヒト対象の腫瘍を同定する方法であって、前記腫瘍の試料中の突然変異SMO遺伝子又は突然変異SMOタンパク質の存在を決定することを含み、ここで、前記突然変異がアミノ酸518をコードするSMO遺伝子中に位置しており、前記突然変異SMO遺伝子又は突然変異SMOタンパク質の存在により、前記腫瘍がGDC−0449による治療に対して耐性であることが示される、方法。
(発明22)
GDC−0449による治療に対して感受性がない腫瘍を有する前記対象を、前記突然変異SMOに結合する化合物で治療することをさらに含む、発明21に記載の方法。
(発明23)
前記突然変異の存在又は不在を核酸試料の検査によって実施する、発明21に記載の方法。
(発明24)
前記突然変異の存在又は不在をタンパク質試料の検査によって実施する、発明21に記載の方法。
(発明25)
アミノ酸518で突然変異が取り込まれている突然変異体SMOタンパク質のシグナル伝達を阻害する化合物についてスクリーニングする方法であって、前記突然変異体SMOを試験化合物と接触させること、及び前記化合物と前記突然変異体SMOとの結合を検出することを含み、前記試験化合物と突然変異体SMOとの結合により、前記試験化合物が突然変異体SMOの阻害剤であることが示される、方法。
(発明26)
アミノ酸518で突然変異が取り込まれている突然変異体SMOタンパク質のシグナル伝達を阻害する化合物についてスクリーニングする方法であって、前記突然変異体SMOを発現する細胞を試験化合物と接触させること、及び前記細胞内のGliの活性を検出することを含み、Gli活性の存在により、前記試験化合物が突然変異体SMOの阻害剤でないことが示される、方法。
(発明27)
位置518でグルタミン酸以外のアミノ酸を生じさせる突然変異を有する突然変異体SMOタンパク質に特異的に結合する化合物を、癌治療を必要としている患者に投与することによって癌を治療する方法。
(発明28)
前記化合物が、位置518でグルタミン酸以外のアミノ酸を有する突然変異体SMOに特異的に結合する抗体である、発明27に記載の方法。
(発明29)
前記化合物が、式I、II、及び/又はIIIの化合物である、発明27に記載の方法。
(発明30)
SMO阻害剤に対する耐性の獲得を遅延させるか又は予防する方法であって、
(a)式I、式II、及び式IIIの構造式を有する化合物からなる群から選択されるSMO阻害剤、並びに
(b)PI3K阻害剤
を、それを必要としている患者に投与することを含む、方法。

Claims (8)

  1. 配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列が、配列番号2の518番目のアミノ酸の位置で、アラニン(A)又はリジン(K)を有する、単離された突然変異体SMOタンパク質であり、前記突然変異体SMOタンパク質は、SMO活性を維持し、且つGDC−0449に対して少なくとも部分的に耐性を有する、該タンパク質。
  2. 請求項1に記載の単離された突然変異体SMOタンパク質であって、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列が、配列番号2の518番目のアミノ酸の位置で、アラニン(A)又はリジン(K)を有する、該タンパク質。
  3. 請求項1又は2に記載の単離された突然変異体SMOタンパク質であって、前記アミノ酸配列が、配列番号2の518番目のアミノ酸の位置で、アラニン(A)を有する、該タンパク質。
  4. 請求項1又は2に記載の単離された突然変異体SMOタンパク質であって、前記アミノ酸配列が、配列番号2の518番目のアミノ酸の位置で、リジン(K)を有する、該タンパク質。
  5. 配列番号2と少なくとも95%同一であり、配列番号2の518番目のアミノ酸の位置で、アラニン(A)又はリジン(K)を有するアミノ酸配列を含む、突然変異体SMOタンパク質をコードする単離された核酸分子であり、前記突然変異体SMOタンパク質は、SMO活性を維持し、且つGDC−0449に対して少なくとも部分的に耐性を有する、該核酸分子。
  6. 試料中の突然変異SMO遺伝子を検出する方法であって、
    前記突然変異SMO遺伝子は突然変異したSMOタンパク質をコードし、
    前記突然変異したSMOタンパク質は、SMO活性を維持し、且つGDC−0449に対して少なくとも部分的に耐性を有し、
    前記突然変異したSMOタンパク質は、配列番号2の518番目のアミノ酸の位置で、アラニン(A)又はリジン(K)を有しており、前記突然変異したSMOタンパク質は、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、
    前記方法は
    MOの膜貫通ドメイン7の少なくとも一部をコードするSMO遺伝子の一部に対応する核酸を前記試料からrtPCRシークエンシングすることであって、ここで、前記SMOの膜貫通ドメイン7の少なくとも一部は、配列番号2の518番目のアミノ酸に対応するアミノ酸を含み、前記核酸は少なくとも20ヌクレオチドの長さを有する、該rtPCRシークエンシングすること;及び、
    前記シークエンシングしたSMO遺伝子を野生型のSMO遺伝子又はこれらの断片と比較することを含前記野生型のSMO遺伝子又はこれらの断片は配列番号2の518番目のアミノ酸をコードする野生型のSMO遺伝子の一部に対応する核酸を含む、方法。
  7. GDC−0449による治療に対して耐性であるヒト対象の腫瘍を同定する方法であって、前記腫瘍の試料中の突然変異SMO遺伝子又は突然変異SMOタンパク質の存在を決定することを含み、ここで、突然変異SMOタンパク質は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の突然変異体SMOタンパク質であり、前記突然変異SMO遺伝子は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の突然変異体SMOタンパク質をコードし、前記突然変異SMO遺伝子又は突然変異SMOタンパク質の存在により、前記腫瘍がGDC−0449による治療に対して耐性であることが示される、方法。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の突然変異体SMOタンパク質のシグナル伝達を阻害する化合物についてスクリーニングする方法であって、
    a)前記突然変異体SMOを試験化合物と接触させること、及び前記化合物と前記突然変異体SMOとの結合を検出することを含み、前記試験化合物と突然変異体SMOとの結合により、前記試験化合物が突然変異体SMOの阻害剤であることが示される、並びに/又は
    b)前記突然変異体SMOを発現する細胞を試験化合物と接触させること、及び前記細胞内のGliの活性を検出することを含み、Gli活性の存在により、前記試験化合物が突然変異体SMOの阻害剤でないことを示す、
    方法。
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