JP6279527B2 - 突然変異体smoothenedおよびその使用方法 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、その開示が全体で本明細書中に参考として組み込まれている、2009年9月2日に出願の米国仮出願第61/239,364号の優先権を主張するものである。
発明の分野
本発明は、腫瘍の化学療法耐性に関連する単離した突然変異SMO核酸およびタンパク質、ならびにSMO突然変異体と結合するまたはSMO活性を変調させる化合物についてスクリーニングする方法に関し、また、癌の診断および治療、具体的には診断的および/または予後的である突然変異の検出ならびに薬物耐性腫瘍の処置にも関する。
分子標的癌治療剤は臨床において印象的な活動を示している。最も著名な例の一部には、フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(CML)またはKIT/PDGFR突然変異胃腸管系間質腫瘍(GIST)におけるチロシンキナーゼ阻害剤イマチニブおよびEGFR突然変異非小細胞肺癌(NSCLC)におけるエルロチニブが含まれる(Krause,D.S.およびR.A. Van Etten(2005)N.Engl.J.Med.、353(2):172〜187)。これらの薬剤を用いた処置は、これらの分子異常を宿している患者集団において劇的な抗腫瘍応答をもたらしている。しかし、印象的な初期の臨床反応にもかかわらず、ほとんどの患者は、薬物耐性の獲得が原因で最終的には進行する(Engelman,J.A.およびJ. Settleman(2008)Curr.Opin.Genet.Dev.、18(1):73〜79)。結果的に、耐性の機構の同定は、耐性の出現に打ち勝つまたはそれを回避することができる潜在性を有する、より合理的な薬物の組合せおよび「第二世代」阻害剤の開発への扉を開いている。
髄芽腫とは、子供において最も一般的な脳の悪性腫瘍を表す、小脳の原始的な神経外胚葉性腫瘍である(Polkinghorn,W.R.およびN.J.Tarbell(2007)Nat.Clin.Pract.Oncol.、4(5):295〜304)。生存率の改善にもかかわらず、アジュバント照射の衰弱させる副作用は大きな臨床的課題を表しており、したがって新しい分子標的治療の必要性を支持している。
ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路は、髄芽腫の病因に直接関連づけられている。構成的Hhシグナル伝達は、ほとんどの場合は根底にある阻害性受容体PTCH1中の機能喪失型の突然変異が原因で、弧発例の約30%で実証されている(Zurawel,R.H.ら(2000)Genes Chromosomes Cancer、27(1):44〜51、Kool,M.ら(2008)PLoS ONE、3(8):e3088、Dellovade,T.ら(2006)Annu.Rev.Neurosci.、29:539、Rubin,L.L.およびF.J. de Sauvage(2006)Nat.Rev.Drug Discov.、5:1026)。Ptch1についてヘテロ接合性のマウス(Ptch1+/-)は、髄芽腫を自発的に発生する場合があり、Hh経路阻害剤を用いた処置は腫瘍の排除および延命をもたらす(Goodrich,L.V.ら(1997)Science、277(5329):1109〜1113、Romer,J.T.ら(2004)Cancer Cell、6(3):229〜240)。しかし、新規Hh経路阻害剤GDC−0449で処置した患者は、最初は処置に対して劇的な応答を示したが(Charles M.Rudinら(2009)N.Engl.J.Med.(提出済み))、結局は処置に対する耐久性のある応答を有することに失敗して腫瘍が再発することが、最近観察された。
当分野では、GDC−0449を用いて処置した際の薬物耐性に打ち勝つために、そのような突然変異SMOタンパク質におけるSMO活性を変調させる化合物を見つける、緊急の必要性が存在する。さらに、そのSMO遺伝子型の天然の変動または獲得された突然変異および耐性のどちらかによって処置に対して耐性であり得る患者を診断する方法の必要性が存在する。
本発明は、突然変異SMOタンパク質をコードしている単離した核酸分子を提供する。一態様では、核酸分子は、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列をコードしており、前記アミノ酸配列は、配列番号2の位置473にアスパラギン酸(D)以外の任意のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、配列番号2の位置473のアミノ酸は、ヒスチジン(H)、グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、セリン(S)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアスパラギン(N)である。本発明の一態様では、単離した核酸配列は、配列番号3の親核酸配列(野生型SMO)を含むが、コードされているアミノ酸をアスパラギン酸(D)から異なるアミノ酸へと変化させる、位置1417、1418および/または1419での突然変異(複数可)を含有する。一部の実施形態では、突然変異は、アスパラギン酸(D)からヒスチジン(H)、グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、セリン(S)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアスパラギン(N)への変化をもたらす。
別の態様では、本発明は、SMOのアミノ酸473中に突然変異を取り込んでいる、突然変異したSMOタンパク質またはその断片をコードしている核酸と特異的にハイブリダイズできる核酸プローブを提供する。一実施形態では、プローブは、突然変異したSMOまたはその前記断片をコードしている核酸に相補的である。プローブは、約10〜約50個のヌクレオチドの長さを有し得る。一部の実施形態では、プローブは検出可能に標識し得る。プローブは、野生型Smo(位置473にアスパラギン酸を有する)よりも突然変異Smoと示差的に結合する。
また、本発明は、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列が、位置473でアスパラギン酸(D)以外のアミノ酸を含む、単離した突然変異SMOタンパク質も提供する。一部の実施形態では、位置473のアミノ酸は、ヒスチジン(H)、グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、セリン(S)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアスパラギン(N)である。
本発明は、抗体のエピトープ位置473でアスパラギン酸以外のアミノ酸を有する突然変異SMO上に存在する本発明の突然変異SMOタンパク質と特異的に結合するが、野生型SMOと結合しない抗体を、さらに提供する。一部の実施形態では、抗体は突然変異SMOと高い親和性で結合するが、野生型SMOとは高い親和性で結合しない。一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体またはその抗原結合断片(たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)2、もしくはFv断片)である。一部の実施形態では、抗体は検出可能な標識とコンジュゲートされている。他の実施形態では、抗体は、それだけには限定されないが化学療法剤、毒素または放射性同位元素などの細胞毒性剤とコンジュゲートされている。一部の実施形態では、抗体はSMO活性を阻害する。他の実施形態では、抗体は突然変異SMO活性のみを阻害する。
また、本発明は、試料から、突然変異を含有することが疑われるSMOの膜貫通ドメイン6のカルボキシ末端またはその断片をコードしている核酸を増幅することと、増幅した核酸の電気泳動移動度を、対応する野生型SMO遺伝子またはその断片の電気泳動移動度と比較することとを含む、試料中の突然変異したSMO遺伝子を検出する方法も提供する。一部の実施形態では、電気泳動移動度はポリアクリルアミドゲル上で決定する。そのような実施形態では、突然変異Smoの電気泳動移動度は野生型Smoから区別することができる。
本発明は、試料からの核酸を、突然変異を取り込んでいる突然変異したSMOタンパク質またはその断片をコードしている核酸と特異的にハイブリダイズできる核酸プローブと接触させることと、ハイブリダイゼーションを検出することとを含む、試料中の少なくとも1つのSMO突然変異を同定する方法をさらに提供する。一部の実施形態では、方法では、SMOの膜貫通ドメイン6のカルボキシ末端部分中の突然変異が検出される。一部の実施形態では、SMO突然変異は、Smo中の位置1417、1418、および/または1419(位置473のアミノ酸をコードしている)で起こり、突然変異は、アスパラギン酸以外のアミノ酸をコードしているコドンをもたらす。一部の実施形態では、プローブは検出可能に標識されている。一部の実施形態では、プローブはアンチセンスオリゴマーである。一部の実施形態では、試料中のSMO遺伝子またはその断片の核酸を増幅し、プローブと接触させる。
また、本発明は、腫瘍の試料中の突然変異したSMO遺伝子または突然変異したSMOタンパク質の存在を決定することを含み、前記突然変異が、細胞外膜表面でのSMOの一部分(たとえば、SMOの膜貫通ドメイン6のカルボキシ末端部分)をコードしているSMO遺伝子中に位置しており、突然変異したSMO遺伝子または突然変異したSMOタンパク質の存在により、腫瘍が、それだけには限定されないがGDC−0449などの化学療法剤を用いた処置に対して耐性であることが示される、GDC−0449などの化学療法剤を用いた処置に対して耐性であるヒト対象において腫瘍を同定する方法も提供する。一部の実施形態では、化学療法剤はGDC−0449である。他の実施形態では、化学療法剤はシクロパミンである。一部の実施形態では、突然変異は、SMOのアミノ酸473をコードしているSMO遺伝子の一部分中にある。一部の実施形態では、突然変異は、SMOのアミノ酸473がAspから別のアミノ酸へと変化することを引き起こす。一部の実施形態では、他のアミノ酸は、ヒスチジン(H)、グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、セリン(S)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアスパラギン(N)である。
また、本発明は、(i)腫瘍の試料中の野生型SMOタンパク質もしくは遺伝子の存在を決定することを含み、野生型SMOタンパク質もしくは遺伝子の存在により、腫瘍がSMO阻害剤を用いた処置に対して感受性があることが示される、または、(ii)腫瘍の試料中の突然変異したSMOタンパク質もしくは遺伝子の存在を決定することを含み、突然変異がSMOの位置473のアミノ酸の変化をもたらし、突然変異したSMOタンパク質もしくは遺伝子の存在により、腫瘍が、GDC−0449などのSMO阻害剤を用いた処置に対して感受性がないことが示される、SMO阻害剤を用いた処置に対して感受性があるヒト対象において腫瘍を同定する方法も提供する。一部の実施形態では、SMO突然変異は、アスパラギン酸(D)473から任意の他のアミノ酸への変化である。一部の実施形態では、アミノ酸は、ヒスチジン(H)、グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、セリン(S)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアスパラギン(N)である。
また、本発明は、腫瘍の試料中のアミノ酸473での突然変異の存在または非存在を決定することを含み、突然変異の存在により、特定のSmo阻害剤を使用した前記突然変異の非存在と比較してより不良の予後診断が示される、ヘッジホッグ依存性腫瘍について処置されている患者の予後診断を決定する方法も提供する。
本発明は、突然変異SMOを試験化合物と接触させることと、化合物と突然変異SMOとの結合を検出することとを含み、試験化合物と突然変異SMOとの結合により、試験化合物が突然変異SMOの阻害剤であることが示される、アミノ酸473に突然変異が取り込まれている突然変異SMOタンパク質のシグナル伝達を阻害する化合物についてスクリーニングする方法をさらに提供する。
また、本発明は、突然変異SMOを発現する細胞を試験化合物と接触させることと、細胞中のGliの活性を検出することとを含み、Gli活性の存在により、試験化合物が突然変異SMOの阻害剤でないことが示される、アミノ酸473に突然変異が取り込まれている突然変異SMOタンパク質のシグナル伝達を阻害する化合物についてスクリーニングする方法も提供する。一部の実施形態では、Gli活性は、検出可能な標識とコンジュゲートされているGliタンパク質を使用して測定する。一部の実施形態では、検出可能な標識は蛍光標識(たとえばルシフェラーゼ)である。
また、本発明は、位置473でアミノ酸置換(突然変異)を有するSMOと特異的に結合する化合物を、それを必要としている患者に投与することによって、癌を処置する方法も提供する。一部の実施形態では、突然変異SMOタンパク質は、473のアスパラギン酸から任意の他のアミノ酸への置換を含む。一部の実施形態では、他のアミノ酸は、ヒスチジン(H)、グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、セリン(S)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアスパラギン(N)である。一部の実施形態では、化合物は抗体である。一部の実施形態では、化合物は、式I、式IIおよび/または式IIIの構造式(下記を参照)を有する小分子である。
また、本発明は、SMOの阻害剤およびPI3K阻害剤を投与することを含む、薬物誘発性の突然変異誘発を遅延させるまたは予防する方法も提供する。一部の実施形態では、SMO阻害剤はGDC−0449である。一部の実施形態では、SMO阻害剤は、位置473でアミノ酸置換を有する突然変異SMOの阻害剤である。一部の実施形態では、突然変異SMO阻害剤は、式I、式IIまたは式IIIの構造式(下記を参照)を有する化合物である。
GDC−0449に対する初期応答の後に再発した髄芽腫患者からの腫瘍試料中のSMO突然変異の同定を示す図である。(A)アミノ酸473でAsp>Hisの変化を引き起こすSMO中のヘテロ接合性突然変異を示す、ヌクレオチド配列の追跡である(アスタリスク)。この突然変異は、再発時に採取した転移生検中に存在していたが、GDC−0449処置前の原発性腫瘍中には存在していなかった。 (B)SMOのGPCR構造は、D473H突然変異からTM6のC末端の位置をマッピングしている。GPCRヘリックスバンドルの細胞外面(TM1からTM7まで色勾配をつけ、明瞭にするために外ループを除外した)を見下ろすと、MODELLER(Sali,A.およびT.L. Blundell(1993)J.Mol.Biol.、234:779)を用いてロドプシン(PDB:2Z73)およびβ1−アドレナリン作動性受容体鋳型(PDB:2VT4)上に構築したSMOの分子モデルは、中心結合空隙に面したAsp−473残基の位置を示している。 SMO D473H突然変異がHh経路阻害剤GDC−0449に対する耐性を与えることを示す図である。(A)PTCH1 DNA(20ng)の存在(灰色のバー)または非存在(黒いバー)下における、SMO変異体の形質移入後のGLI−ルシフェラーゼレポーター活性である。SMO−M2は、以前に同定された、活性化させる突然変異を表す。 (B)様々な用量のGDC−0449で処置した後の、SMO−WT(黒丸)またはSMO−D473H(白丸)で形質移入したC3H10T1/2細胞中のGLI−ルシフェラーゼレポーター活性である。レポーター活性は、未処置の培養物に対して正規化されている。 (C)特異性を実証するための、14Cで標識したGDC−0449(5nM)と冷GDC−0449(5μM)の存在または非存在下においてSMO変異体で形質移入したHEK−293細胞との結合である。すべての実験におけるデータは平均+/−SDを表す。 遺伝子操作した髄芽腫のマウスモデルにおけるSMO突然変異による、GDC−0449に対する獲得耐性を示す図である。(A)75mg/kgのGDC−0449を用いた断続的な1日1回の投薬によって、Ptch+/−;p53−/−マウスからの髄芽腫同種移植をGDC−0449耐性にした。処置日を三角によって表し、GDC−0449を用いた1日2回の投薬に応答しなくなった際に腫瘍を切除した。 (B)親およびSMOのアミノ酸477(ヒトSMOの位置473に相同的)でD>Gの変化をもたらすヘテロ接合性突然変異を示すGDC−0449耐性(SG274)の髄芽腫同種移植からのヌクレオチド配列の追跡である。 (C)様々な用量のGDC−0449で処置した後の、SMO−WT(黒丸)またはSMO−D477G(白丸)で形質移入したC3H10T1/2細胞中のGLI−ルシフェラーゼレポーター活性である。 (D)ビヒクル対照(白いバー)または75mg/kgのGDC−0449(黒いバー)を用いた処置の6時間後に親およびSG274腫瘍を保有するマウスから採取した複数(n=3匹)の腫瘍からの、qRT−PCRによるGli1 mRNAレベルの定量である。データは平均+/−SDを示す。*、p<0.05(t検定)。 再発時に採取した生検中で確認された既存のPTCH1 W844C突然変異のヘテロ接合性の存在および損失(LOH)を示す図である。(A)ヌクレオチド配列の追跡により、再発時に採取した生検中の既存のPTCH1 W844Cホモ接合性突然変異が確認される。 (B)Affymetrix SNPアレイによって評価した、再発時の生検から得られたDNA中の染色体9上のヘテロ接合性の損失である。染色体9のハイライトした領域にわたるそれぞれのSNPプローブの、ホモ接合性の対立遺伝子のストレッチの名前を示す。 PTCH1−W844CがHh経路の活性を抑制できないことを示す図である。SMOとWT(黒丸)またはW844C(白丸)PTCH1 DNAのどちらかとを様々な投入比でC3H10T1/2細胞中に同時形質移入した後の、GLI−ルシフェラーゼレポーター活性を示す図である。 SMOコピー数の変更が、進行時の生検に由来するgDNAからの2つの独立したアッセイを使用したqPCRによって検出されなかったことを示す図である。コピー数は、qPCRによって決定し、LINE−1に対する正規化後に正常なヒトゲノムDNAに対して較正した。対照としては、Affymetrix100Kアレイプロファイリングによって以前に決定された(予測値)、SMO座位で低レベルのコピー数の変化を有する細胞系からのgDNAを利用した。 複数の生検からのSMO WTおよびD473H変異体(アスタリスク)の拡張したDNA産物の質量スペクトルを示す図である。原発性および転移性の髄芽腫(MB)生検は、どちらもGDC−0449処置の前に採取した。質量スペクトルの強度は自由裁量の単位を表す。 ローディング対照として抗FLAGまたは抗アクチンを用いてプロービングした、FLAGタグ付けしたSMO−WTおよびSMO−D473dHで形質移入したC3H10T1/2細胞の免疫ブロット分析を示す図である。 FLAGタグ付けしたSMO−WTおよびSMO−D473dHで形質移入したC3H10T1/2細胞のフローサイトメトリー分析を示す図である。 SMO−D473Hが、KAAD−シクロパミンがHhシグナル伝達を抑制する能力を損なわせることを示す図である。様々な用量のKAAD−シクロパミンで処置した後の、SMO−WT(黒丸)またはSMO−D473H(白丸)で形質移入したC3H10T1/2細胞中のGLI−ルシフェラーゼレポーター活性である。 SMOのAsp−473残基がSMOおよびFrz受容体にわたって良好に保存されていることを示す図である。代表的なSMO種変異体および10個のヒトFrz受容体鎖のTM6−TM7領域にわたるアラインメントは、位置473の保存的なAsp/Glu残基を示す。また、SMO−M2活性化突然変異を宿すTrp−535のTM7テイル位置もハイライトする。興味深いことに、どちらの感受性のあるアミノ酸位置にも、短い膜会合した両親媒性のヘリックスが続いている。 SMOのAsp−473残基がSMOおよびFrz受容体にわたって良好に保存されていることを示す図である。SMOのGPCRの折り畳みは、細胞外膜界面でD473H突然変異からTM6のC末端の位置をマッピングしている。SMOトポロジーの模式図は、TM7のC末端のW535L SMO−M2活性化突然変異の、鏡像的なサイトゾル膜界面位置を示す(Xie,J.ら(1998)Nature、391:90)。TM6およびTM7にはどちらも、短い両親媒性の膜会合したヘリックスが続くと予測されている。 D473がSMO活性およびGDC−0449結合の主要な残基であることを示す図である。(A)野生型または突然変異SMO構築体で形質移入したCH310T1/2細胞中のGliルシフェラーゼ活性である。レポーターアッセイを1μMのGDC−0449の存在(灰色のバー)または非存在(黒いバー)下で行い、値をSMO−WTに対して正規化した。比較を容易にするために、薬物の非存在下におけるSMO−WTの活性レベルを、点線(−−−)を用いてグラフを横断して示す。SMO−M2は、以前に記載されているW535L置換を用いた発癌性突然変異体である(Xie,J.ら(1998)Nature、391:90)。 (B)3Hで標識したGDC−0449と過剰量の未標識のGDC−0449の存在(灰色のバー)または非存在(黒いバー)下で様々なSMOプラスミドで形質移入したHEK−293細胞との結合である。薬物結合は、1分間あたりのカウント数(cpm)で測定した。 (C)PTCH1および選択したSMO構築体で同時形質移入したCH310T1/2細胞中のGli−ルシフェラーゼ活性である。値は、PTCH1を用いない培養物の最大活性レベルに対して正規化した。すべての実験におけるデータは平均±SDである。 化合物5(式III)がマウスにおいて良好な薬物動態学的特性を有する強力なSMO−D473H拮抗剤であることを示す図である。(A)様々なSMO拮抗剤の化学構造を本研究で使用する。HhAntagでは、丸印はA環を印し、2つ目の丸印はC環を示し、B環を2つの間に示す。他の化合物はこれらの構造要素の変形を含有する。 (B)1μMでスクリーニングした化合物およびC3H10T1/2細胞中でSMO−WTまたはSMO−D473Hの過剰発現によって誘導したGli−ルシフェラーゼ活性の%阻害値である。 (C)マウス(n=24匹、1つの時点あたり3匹の動物)における、化合物4(黒い四角)または化合物5(灰色の三角)のどちらかの単一の経口の100mg kg−1用量後の平均血漿濃度対時間である。構造的に類似しているがより強力な化合物4は、化合物5よりもはるかに迅速に血流からクリアランスされる(t1/2は2 1/2対22時間)。 (D)GDC−0449(黒い四角)または化合物5(灰色の三角)のどちらかの用量応答に続く、SMO−WT(黒)またはSMO−D473H(白)で形質移入したC3H10T1/2細胞のGli−ルシフェラーゼレポーター活性である。レポーター活性は、対照レポーターおよび最大活性レベルに対して正規化した。化合物5はSMO−WTに対してGDC−0449よりも効力が低いが、薬物耐性の突然変異体を阻害することができる。(B)〜(D)のデータは平均±SDである。 化合物5がin vitroでSmo−D477G依存性の腫瘍成長を阻害し、Smoの毛様体蓄積を妨げることを示す図である。(A)ビヒクル(n=4匹、黒い菱形)、100mg kg−1の化合物5、1日1回(n=6匹、灰色の三角)または100mg kg−1のHhAntag691、1日2回(n=6匹、灰色の四角)を用いて経口処置した皮下SG274同種移植の当てはめた腫瘍体積である。マウスはその腫瘍負担が2000mm3に達した際に安楽死させたため、ビヒクル対照曲線は8日目に停止している。 (B)最後の薬物処置の6時間後に採取したパネル(A)からの腫瘍における、qRT−PCRによるmGli1 mRNAレベルの評価である。値は平均±SDを表す。 (C)Shhの非存在(上部)または存在(下部)下で示した化合物で16時間処置したS12細胞の代表的な画像である。繊毛および中心体(それぞれアセチル化およびガンマのチューブリン、ならびにSmoは免疫蛍光によって検出した一方で、核はDAPI染色によって可視化した。3つすべてのチャネルの1つの重ね合わせを示し、(Smo)チャネルは右に6ピクセルシフトさせた。矢印は、Smo染色が頑強(灰色)および弱いまたはなし(白)である繊毛を指している。スケールバーは15μMである。 (D)パネル(C)に示したものに類似の複数の画像から計算した、示した条件下でSmo+繊毛(灰色の矢印)を有する%S12細胞を示す棒グラフである。3回以上の実験からの少なくとも200個の繊毛を評価し、値は平均±SDを表す。比較を容易にするために、ビヒクル(DMSO)で処置した細胞中の毛様体Smoのレベルを、−Hh条件(灰色のバー)では点線(・・・)、+Hh条件(黒いバー)では破線(−−−)で示した。 追加の耐性MB同種移植モデルの分子特徴づけが、Smoの下流のGDC−0449耐性の機構を明らかにすることを示す図である。(A)ビヒクル(黒い三角)またはGDC−0449(白い三角)のどちらかで処置した6時間後に採取した拡大した腫瘍(n=3匹)中の、qRT−PCRによるGli1 mRNAレベルの定量である。Gli1はすべてのモデルにおいて同様に発現されたが、対照およびSG102腫瘍中ではGDC−0449によってわずかだけダウンレギュレーションされた(*p<0.02)。 (B)対照およびGDC−0449耐性の腫瘍中のCcnd1(黒)およびGli2(灰色)のコピー数(バー)およびmRNA発現(データ点)を同時に示すグラフである。遺伝子コピー数の分析はaCGHによって観察された遺伝子増幅を確認するために初期の耐性腫瘍のqPCRによって行った一方で、mRNA発現は3つの拡大した腫瘍のマイクロアレイプロファイリングによって決定した。mRNA発現レベルは自由裁量の単位で示し、平均±SDを表す。 (C)Ccnd1およびGli2のタンパク質レベルを示す免疫ブロットである。3つの拡大した腫瘍をそれぞれの腫瘍系について分析し、アクチンレベルをローディング対照として示す。Gli2FLおよびGli2Rは、Gli2の完全長およびリプレッサー形態を表す。分子量マーカーの位置は、Gli2免疫ブロットの左側にキロダルトン(kDa)で示す。 (D)ビヒクル(Veh)またはGDC−0449(449)のどちらかを用いた24時間の処置の後の、拡大した対照およびSG102腫瘍(n=3匹/群)中のCcnd1タンパク質レベルを示す免疫ブロットである。Hh−標的遺伝子Ccnd1は、SG102腫瘍中でGDC−0449に媒介されるダウンレギュレーションに対して不応性である。 対照およびGDC−0449耐性のMB同種移植がPI3K阻害に対して感受性であることを示す図である。A、ビヒクル(Veh)またはGDC−0941(941)のどちらかを用いた6時間の処置の後の、4つのモデル(n=3匹/群)の拡大した腫瘍中の活性化したAKTおよびS6のレベルを示す免疫ブロットである。全AKTおよびS6レベルをローディング対照として示す。 B、ビヒクル(白い四角)または150mg kg−1のGDC−0941、1日1回(黒い三角)のどちらかを用いて経口処置した、対照およびGDC−0449耐性のMB同種移植の平均の当てはめた腫瘍体積である。それぞれの腫瘍モデルのどちらの処置アームについても、等しい数の動物を分析した:対照(n=7匹)、SG102(n=5匹)、SG152(n=5匹)およびSG274(n=7匹)。 様々なSMO−D473突然変異体のGDC−0449阻害および細胞表面発現を示す図である。(A)図1Aと同様であるが、位置473で様々な他のアミノ酸置換を用いた。 (B)GDC−0449の用量応答に続く、SMO−WT(黒い四角)またはSMO−D473V(灰色の三角)で形質移入したCH310T1/2細胞のGli−ルシフェラーゼレポーター活性である。SMO−D473Vは、約20倍高いIC50でこのHPIに対して部分的に耐性である。 (C)いくつかのSMO−D473突然変異体の相対的細胞表面発現である。 Shhの非存在または存在下でKAADシクロパミンまたはHhAntagのどちらかで処置したS12細胞中でのSmoの局在化を示す図である。図15Cと同様であるが、他の化合物を用いた。 (A)モデルSG102中の染色体7にわたるコピー数の変動の要約を示す図である。記号に関連して、Log2比をy軸上にプロットし、染色体の位置をx軸上にプロットする。外側の上部および下部の線は、材料および方法に記載の事前に定義された閾値を示す。 (B)モデルSG152中の染色体1にわたるコピー数の変動の要約を示す図である。記号に関連して、Log2比をy軸上にプロットし、染色体の位置をx軸上にプロットする。外側の上部および下部の線は、材料および方法に記載の事前に定義された閾値を示す。
本発明の1つの発見は、シクロパミンおよびGDC−0449などのヘッジホッグシグナル伝達を阻害する化合物を用いた処置に対する耐性を腫瘍に与える、ヘッジホッグ依存性腫瘍の化学療法に対する耐性に関連する突然変異事象が、Smoothened(SMO)で引き起こされることである。本発明は、ヘッジホッグシグナル伝達に依存的な癌の予後診断剤、診断剤および治療剤として有用な組成物および方法を提供する。
本明細書中で記載または引用した技法および手順は、一般に十分に理解されており、慣用の方法を使用して当業者によって一般的に用いられており、例は、Sambrookら、分子クローニング:実験室の手引き(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)第3版(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州Cold Spring Harbor、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(F.M.Ausubelら編、(2003))、Methods in Enzymologyシリーズ(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(PCR2:実践的なアプローチ)(M.J.MacPherson、B.D.HamesおよびG.R.Taylor編(1995))、HarlowおよびLane編(1988)抗体、実験室の手引き(Antibodies,A Laboratory Manual)および動物細胞培養(Animal Cell Culture)(R.I.Freshney編(1987))、オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)(M.J.Gait編、1984)、分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)、Humana Press、細胞生物学:実験室の手帳(Cell Biology:A Laboratory Notebook)(J.E.Cellis編、1998)Academic Press、動物細胞培養(Animal Cell Culture)(R.I.Freshney)編、1987)、細胞および組織培養入門(Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)Plenum Press、細胞および組織培養:実験室の手順(Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures)(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993〜8)J.Wiley and Sons、実験的免疫学のハンドブック(Handbook of Experimental Immunology)(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編)、哺乳動物細胞用の遺伝子導入ベクター(Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells)(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987)、PCR:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:The Polymerase Chain Reaction)、(Mullisら編、1994)、免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)(J.E.Coliganら編、1991)、分子生物学の短いプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(Wiley and Sons、1999)、免疫生物学(Immunobiology)(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997); 抗体(Antibodies)(P.Finch、1997)、抗体:実践的なアプローチ(Antibodies:A Practical Approach)(D.Catty.編、IRL Press、1988〜1989)、モノクローナル抗体:実践的なアプローチ(Monoclonal Antibodies:A Practical Approach)(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000)、抗体の使用:実験室の手引き(Using Antibodies:A Laboratory Manual)(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999)、抗体(The Antibodies)(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)、ならびに癌:腫瘍学の原理および実施(Cancer:Principles and Practice of Oncology)(V.T.DeVitaら編、J.B.Lippincott Company、1993)などに記載されている、広く利用されている方法である。引用文献はその全体で参考として組み込まれている。
I.定義
本明細書を解釈する目的のために、適切な場合はすべて以下の定義が適用され、単数形で使用する用語には複数形も含まれ、その逆もそうである。以下に記載の任意の定義が本明細書中に参考として組み込まれている任意の文書と矛盾する場合は、以下に記載の定義が支配する。
本明細書中で用語「抗体」とは最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成された多特異性抗体(たとえば二重特異性抗体)、および所望の生物活性を示す限りは抗体断片に及ぶ。
「単離した」抗体とは、その天然の環境の構成要素から同定ならびに分離および/または回収されたものである。その天然の環境の汚染物質構成要素とは、抗体の研究、診断的または治療的な使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が含まれ得る。一部の実施形態では、抗体は、(1)たとえばローリー方法によって決定して、抗体の95重量%より高くまで、一部の実施形態では99重量%より高くまで、(2)たとえばスピニングカップ配列決定装置を使用することによって、N末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るために十分な度合まで、または、(3)たとえばクマシーブルーもしくは銀染色を使用して、還元もしくは非還元条件下でSDS−PAGEによって均一性まで、精製する。単離した抗体には、組換え細胞内のin situの抗体が含まれ、これは、抗体の天然の環境の少なくとも1つの構成要素が存在しないからである。しかし、通常は、単離した抗体は少なくとも1つの精製ステップによって調製する。
「ネイティブ抗体」とは、通常は約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質であり、2本の同一の軽(L)鎖および2本の同一の重(H)鎖からなる。それぞれの軽鎖は、1つの共有的ジスルフィド結合によって重鎖と連結されている一方で、ジスルフィド結合の数は、様々な免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変動する。また、それぞれの重鎖および軽鎖は、規則的な間隔の鎖内ジスルフィド橋も有する。それぞれの重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)を有しており、いくつかの定常ドメインが続く。それぞれの軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)および他端に定常ドメインを有している。軽鎖の定常ドメインは重鎖の最初の定常ドメインとアラインメントされており、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインとアラインメントされている。特定のアミノ酸残基は、軽鎖および重鎖の可変ドメイン間で界面を形成すると考えられている。
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインをいう。重鎖の可変ドメインは、「VH」と呼び得る。軽鎖の可変ドメインは、「VL」と呼び得る。これらのドメインは、一般に、抗体の最も可変性の部分であり、抗原結合部位を含有する。
用語「可変」とは、可変ドメインの特定の一部分の配列が抗体間で大規模に異なっており、それぞれの特定の抗体の、その特定の抗原に対する結合および特異性に使用されることをいう。しかし、可変性は抗体の可変ドメインの全体にわたって均等に分布していない。これは、軽鎖および重鎖の可変ドメインの両方中の超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存的な部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。ネイティブ重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ4つのFR領域を含み、ほとんどの場合は、ベータシート構造を接続し、一部の事例ではその一部を形成するループを形成する、3つのHVRによって接続されたベータシート立体配置をとる。それぞれの鎖中のHVRは、FR領域によって近接近して一緒に保たれ、他方の鎖からのHVRは、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、国立衛生研究所(National Institute of Health)、メリーランド州Bethesda(1991)を参照)。定常ドメインは抗体と抗原との結合に直接関与していないが、抗体依存性の細胞毒性における抗体の参加などの、様々なエフェクター機能を示す。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの明白に異なる種類のうちの1つに割り当てることができる。
抗体(免疫グロブリン)は、その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて様々なクラスに割り当てることができる。5つの主要な免疫グロブリンクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2へとさらに分け得る。様々な免疫グロブリンクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、β、ε、γ、およびμと呼ばれる。様々な免疫グロブリンクラスのサブユニット構造および三次元立体配置は周知であり、一般に、たとえばAbbasら、細胞および分子免疫学(Cellular and Mol. Immunology)、第4版(W.B.Saunders,Co.、2000)に記載されている。抗体は、抗体と1つまたは複数の他のタンパク質またはペプチドとの共有または非共有的会合によって形成された、より大きな融合分子の一部であり得る。
用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」および「完全抗体」とは、本明細書中で互換性があるように使用し、以下に定義する抗体断片ではなく、その実質的にインタクトな形態にある抗体をいう。この用語は、特に、Fc領域を含有する重鎖を有する抗体をいう。
本明細書の目的のために、「裸抗体」とは、細胞毒性部分または放射標識とコンジュゲートしていない抗体である。
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分を含み、好ましくはその抗原結合領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、ジアボディー、直鎖抗体、単鎖抗体分子、ならびに抗体断片から形成された多特異性抗体が含まれる。
抗体のパパイン消化により、それぞれが単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、およびその名称が容易に結晶化するその能力を反映している残りの「Fc」断片が生じる。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有しており、依然として抗原を架橋結合させることができるF(ab’)2断片が得られる。
「Fv」とは、完全な抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。一実施形態では、二本鎖のFv種は、密に非共有会合した1つの重鎖および1つの軽鎖の可変ドメインの二量体からなる。単鎖Fv(scFv)種では、1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインは、軽鎖および重鎖が二本鎖のFv種に類似の「二量体」構造で会合できるように、柔軟なペプチドリンカーによって共有結合させることができる。この立体配置で、それぞれの可変ドメインの3つのHVRが相互作用してVH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を定義する。総合すると、6個のHVRが抗体に抗原結合の特異性を与える。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異的な3つのHVRしか含まないFvの半分)さえも、結合部位全体より低い親和性でではあるが、抗原を認識および結合する能力を有する。
Fab断片は重鎖および軽鎖可変ドメインを含有しており、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端で、抗体ヒンジ領域からの1つまたは複数のシステインを含めた数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を保有するFab’の、本明細書中における命名は、Fab’−SHである。F(ab’)2抗体断片は、その間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として最初に生成された。また、抗体断片の他の化学的カップリングも知られている。
「単鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VHおよびVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これにより、scFvが抗原結合のために所望の構造を形成することが可能となる。scFvの総説には、たとえばPluckthuen、モノクローナル抗体の薬理学(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies)、第113巻、RosenburgおよびMoore編、(Springer−Verlag、New York、1994)、ページ269〜315を参照されたい。
用語「ジアボディー」とは、同じポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメイン(VL)と接続された重鎖可変ドメイン(VH)(VH−VL)を含む、2つの抗原結合部位を有する抗体断片をいう。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合して2つの抗原結合部位を作製することを強いられる。ジアボディーは二価または二重特異性であり得る。ジアボディーは、たとえば、EP404,097号、WO1993/01161号、Hudsonら、Nat.Med.、9:129〜134(2003)、およびHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444〜6448(1993)によって完全に記載されている。また、トリアボディーおよびテトラボディーも、Hudsonら、Nat.Med.、9:129〜134(2003)に記載されている。
本明細書中で使用する用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体をいい、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量存在し得る潜在的な突然変異、たとえば天然に存在する突然変異以外は同一である。したがって、修飾語「モノクローナル」とは、抗体の特徴が別々の抗体の混合物ではないことを示す。特定の実施形態では、そのようなモノクローナル抗体には、典型的には、標的と結合するポリペプチド配列を含む抗体が含まれ、標的と結合するポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的と結合するポリペプチド配列を選択することが含まれるプロセスによって得られたものである。たとえば、選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローン、または組換えDNAクローンのプールなどの複数のクローンからの、ユニークなクローンの選択であることができる。選択された標的結合配列は、たとえば、標的に対する親和性を改善させるため、標的結合配列をヒト化するため、細胞培養物中でのその産生を改善させるため、そのin vivo免疫原性を低下させるため、多特異性抗体を作製するためにさらに変更することができ、また、変更された標的結合配列を含む抗体も本発明のモノクローナル抗体であることを理解されたい。異なる決定要因(エピトープ)に向けられた異なる抗体が典型的に含まれるポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物のそれぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定要因に向けられている。その特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、これらが典型的には他の免疫グロブリンによって汚染されていないという点で有利である。
修飾語「モノクローナル」とは、抗体の特徴が実質的に均一な抗体の集団から得られたものであることを示し、抗体を特定の方法によって生成することを要すると解釈されるべきでない。たとえば、本発明に従って使用するモノクローナル抗体は、たとえば、ハイブリドーマ方法(たとえば、KohlerおよびMilstein、Nature、256:495〜97(1975)、Hongoら、Hybridoma、14(3):253〜260(1995)、Harlowら、抗体:実験室の手引き(Antibodies:A Laboratory Manual)、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988)、Hammerlingら、モノクローナル抗体およびT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas)、563〜681(Elsevier、N.Y.、1981))、組換えDNA方法(たとえば米国特許第4,816,567号を参照)、ファージディスプレイ技術(たとえば、Clacksonら、Nature、352:624〜628(1991)、Marksら、J.Mol.Biol.、222:581〜597(1992)、Sidhuら、J.Mol.Biol.、338(2):299〜310(2004)、Leeら、J.Mol.Biol.、340(5):1073〜1093(2004)、Fellouse、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、101(34):12467〜12472(2004)、およびLeeら、J.Immunol.Methods、284(1〜2):119〜132(2004)を参照、ならびにヒト免疫グロブリン座位またはヒト免疫グロブリン配列をコードしている遺伝子の一部または全体を有する動物中でヒトまたはヒト様抗体を産生させる技術(たとえば、WO1998/24893号、WO1996/34096号、WO1996/33735号、WO1991/10741号、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:2551(1993)、Jakobovitsら、Nature、362:255〜258(1993)、Bruggemannら、Year in Immunol.、7:33(1993)、米国特許第5,545,807号、第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,661,016号、Marksら、Bio/Technology、10:779〜783(1992)、Lonbergら、Nature、368:856〜859(1994)、Morrison、Nature、368:812〜813(1994)、Fishwildら、Nature Biotechnol.、14:845〜851(1996)、Neuberger、Nature Biotechnol.、14:826(1996)、およびLonbergおよびHuszar、Intern.Rev.Immunol.、13:65〜93(1995)を参照を含めた、様々な技法によって作製し得る。
本明細書中のモノクローナル抗体には、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一またはそれに相同的である一方で、鎖(複数可)の残りの部分が、別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一またはそれに相同的である「キメラ」抗体、ならびに所望の生物活性を示す限りはそのような抗体の断片が具体的に含まれる(たとえば,米国特許第4,816,567号、およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851〜6855(1984)を参照)。キメラ抗体には、抗体の抗原結合領域が、たとえばマカクサルを対象の抗原で免疫化することによって産生させた抗体に由来する、PRIMATIZED(登録商標)抗体が含まれる。
非ヒト(たとえばネズミ)抗体の「ヒト化」形態とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有するキメラ抗体である。一実施形態では、ヒト化抗体とは、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であるが、レシピエントのHVRからの残基が、所望の特異性、親和性、および/または能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種のHVRからの残基(ドナー抗体)によって置き換えられている。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFR残基が、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体中に見つからない残基を含み得る。これらの改変は、抗体の性能をさらに洗練させるために行い得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのそれに対応しており、FRのすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のものである。また、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部分も、任意選択で含む。さらなる詳細にはたとえば、Jonesら、Nature、321:522〜525(1986)、Riechmannら、Nature、332:323〜329(1988)、およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.、2:593〜596(1992)を参照されたい。また、たとえば、VaswaniおよびHamilton、Ann.Allergy,Asthma&Immunol.、1:105〜115(1998)、Harris、Biochem.Soc.Transactions、23:1035〜1038(1995)、HurleおよびGross、Curr.Op.Biotech.、5:428〜433(1994)、ならびに米国特許第6,982,321号および第7,087,409号も参照されたい。
「ヒト抗体」とは、ヒトによって産生された抗体のそれに対応するアミノ酸配列を保有するもの、および/または本明細書中に開示したヒト抗体を作製する技法のうちの任意のものを使用して作製されたものをいう。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に排除する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含めた、当分野で知られている様々な技法を使用して生成することができる。HoogenboomおよびWinter、J.Mol.Biol.、227:381(1991)、Marksら、J.Mol.Biol.、222:581(1991)。また、Coleら、モノクローナル抗体および癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)、Alan R.Liss、ページ77(1985)、Boernerら、J.Immunol.、147(1):86〜95(1991)に記載されている方法も、ヒトモノクローナル抗体を調製するために利用可能である。van Dijkおよびvan de Winkel、Curr.Opin.Pharmacol.、5:368〜74(2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原を、抗原刺激に応答してそのような抗体を産生するように改変されているが、内在性の座位が無効化されているトランスジェニック動物、たとえば免疫化したxenomouseに投与することによって、調製することができる(XENOMOUSE(商標)技術に関しては、たとえば米国特許第6,075,181号および第6,150,584号を参照)。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して作製したヒト抗体に関しては、たとえばLiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103:3557〜3562(2006)も参照されたい。
本明細書中で使用する場合、用語「超可変領域」、「HVR」、または「HV」とは、配列が超可変性であるおよび/または構造的に定義されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域をいう。一般に、抗体は、VH中に3つ(H1、H2、H3)、およびVL中に3つ(L1、L2、L3)の6個のHVRを含む。ネイティブ抗体では、H3およびL3が6個のHVRのうちで最大の多様性を示し、特にH3は、抗体に細かい特異性を与えることにおいてユニークな役割を果たすと考えられている。たとえば、Xuら、Immunity、13:37〜45(2000)、JohnsonおよびWu、分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)、248:1〜25(Lo編、Human Press、ニュージャージー州Totowa、2003)を参照されたい。実際、重鎖のみからなる、天然に存在するラクダ科抗体は、軽鎖の非存在下で機能的かつ安定している。たとえば、Hamers−Castermanら、Nature、363:446〜448(1993)、Sheriffら、Nature Struct.Biol.、3:733〜736(1996)を参照されたい。
いくつかのHVRの描写が使用されており、本明細書中に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は配列の可変性に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabatら、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、公衆衛生局(Public Health Service)、国立衛生研究所(National Institutes of Health)、メリーランド州Bethesda.(1991))。Chothiaは、その代わりに構造的ループの位置を参照している(ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.、196:901〜917(1987))。AbM HVRは、Kabat HVRとChothia構造的ループとの間の譲歩を表しており、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。「接触」HVRは、利用可能な複雑な結晶構造の分析に基づいている。これらのHVRのそれぞれからの残基を以下に記載する。
ループ Kabat AbM Chothia 接触
−−− −−−−− −−− −−−−−−− −−
L1 L24〜L34 L24〜L34 L26〜L32 L30〜L36
L2 L50〜L56 L50〜L56 L50〜L52 L46〜L55
L3 L89〜L97 L89〜L97 L91〜L96 L89〜L96
H1 H31〜H35B H26〜H35B H26〜H32 H30〜H35B
(Kabat付番)
H1 H31〜H35 H26〜H35 H26〜H32 H30〜H35
(Chothia付番)
H2 H50〜H65 H50〜H58 H53〜H55 H47〜H58
H3 H95〜H102 H95〜H102 H96〜H101 H93〜H101
HVRは、以下の「拡張されたHVR」を含み得る:VL中の24〜36または24〜34(L1)、46〜56または50〜56(L2)および89〜97または89〜96(L3)ならびにVH中の26〜35(H1)、50〜65または49〜65(H2)および93〜102、94〜102、または95〜102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義のそれぞれについて、Kabatら、上記に従って付番されている。
「フレームワーク」または「FR」残基とは、本明細書中で定義したHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
用語「Kabatの可変ドメイン残基の付番」または「Kabatアミノ酸位置の付番」、およびその変形とは、Kabatら、上記中の抗体のコンパイルの重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用されている付番システムをいう。この付番システムを使用して、実際の直鎖状のアミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはHVRの短縮、またはそれ内への挿入に対応する、より少ないまたは追加のアミノ酸を含有し得る。たとえば、重鎖可変ドメインには、H2の残基52の後の単一のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)ならびに重鎖FR残基82の後の挿入された残基(たとえば、Kabatによる残基82a、82b、および82cなど)が含まれ得る。残基のKabat付番は、抗体の配列の相同性領域と「標準の」Kabat付番配列とのアラインメントによって、所定の抗体について決定し得る。
Kabat付番システムは、一般に、可変ドメイン中の残基(軽鎖残基1〜107および重鎖残基1〜113付近)に言及する際に使用する(たとえばKabatら、免疫学的に興味深い配列(Sequences of Immunological Interest).第5版、公衆衛生局(Public Health Service)、国立衛生研究所(National Institutes of Health)、メリーランド州Bethesda.(1991))。「EU付番システム」または「EU指針」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域中の残基に言及する際に使用する(たとえば、Kabatら、上記に報告されているEU指針)。「KabatのEU指針」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基の付番をいう。本明細書中で別段に記述しない限りは、抗体の可変ドメイン中の残基の番号への言及は、Kabat付番システムによる残基の付番を意味する。本明細書中で別段に記述しない限りは、抗体の定常ドメイン中の残基への言及は、EU付番システムによる残基の付番を意味する(たとえば、米国仮出願第60/640,323号、EU付番の図を参照)。
「親和性成熟した」抗体とは、その1つまたは複数のHVR中に1つまたは複数の変更を有するものであり、これらの変更(複数可)を保有しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす。一実施形態では、親和性成熟した抗体は、標的抗原に対してナノモーラーまたはさらにはピコモーラーの親和性を有する。親和性成熟した抗体は、当分野で知られている特定の手順を使用して作製し得る。たとえば、Marksら、Bio/Technology、10:779〜783(1992)は、VHおよびVLのドメインシャフリングによる親和性成熟を記載している。HVRおよび/またはフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、たとえば、Barbasら、Proc Nat.Acad.Sci.USA、91:3809〜3813(1994)、Schierら、Gene、169:147〜155(1995)、Yeltonら、J.Immunol.、155:1994〜2004(1995)、Jacksonら、J.Immunol.、154(7):3310〜9(1995)、およびHawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889〜896(1992)によって記載されている。
「遮断」抗体または「拮抗」抗体とは、それが結合する抗原の生物活性を阻害または低下させるものである。特定の遮断抗体または拮抗抗体は、抗原の生物活性を実質的にまたは完全に阻害する。
本明細書中で使用する「作用抗体」とは、対象のポリペプチドの機能的活性のうちの少なくとも1つを部分的にまたは完全に模倣する抗体である。
「成長阻害性」抗体とは、抗体が結合する抗原を発現する細胞の増殖を防止または低下させるものである。たとえば、抗体は、Smoまたは突然変異体を発現する癌細胞の増殖をin vitroおよび/またはin vivoで防止または低下させ得る。
「アポトーシスを誘導する」抗体とは、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞の縮小、小胞体の拡張、細胞の断片化、および/または膜小胞(アポトーシス体と呼ばれる)の形成などの標準のアポトーシスアッセイによって決定される、プログラム細胞死を誘導するものである。
抗体「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物活性をいい、抗体のアイソタイプに応じて変動する。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合および補体依存性細胞傷害(CDD)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、貪食、細胞表面受容体(たとえばB細胞受容体)のダウンレギュレーション、ならびにB細胞活性化が含まれる。
本明細書中の用語「Fc領域」とは、ネイティブ配列Fc領域および変異体Fc領域を含めた免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用する。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、位置Cys226のアミノ酸残基またはPro230からそのカルボキシル末端までのストレッチに定義されている。Fc領域のC末端リシン(EU付番システムによる残基447)は、たとえば、抗体の産生もしくは精製中、または抗体の重鎖をコードしている核酸を組換え操作することによって除去し得る。したがって、インタクトな抗体の組成物は、すべてのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、ならびにK447残基を有するおよび有さない抗体の混合物を有する抗体集団を含み得る。
「機能的Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域の「エフェクター機能」を保有する。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合、CDD、Fc受容体結合、ADCC、貪食、細胞表面受容体(たとえばB細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが含まれる。そのようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域が結合ドメイン(たとえば抗体可変ドメイン)と結合されることを必要とし、たとえば本明細書中の定義に開示されている様々なアッセイを使用して評価することができる。
「ネイティブ配列Fc領域」は、天然に見つかるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。ネイティブ配列ヒトFc領域には、ネイティブ配列ヒトIgG1 Fc領域(非AおよびAアロタイプ)、ネイティブ配列ヒトIgG2 Fc領域、ネイティブ配列ヒトIgG3 Fc領域、ネイティブ配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびに天然に存在するその変異体が含まれる。
「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸の修飾、好ましくは1つまたは複数のアミノ酸の置換によってネイティブ配列Fc領域と異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域中に少なくとも1つのアミノ酸置換、たとえば約1〜約10個のアミノ酸置換、好ましくは約1〜約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書中の変異体Fc領域は、好ましくはネイティブ配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、最も好ましくはそれと少なくとも約90%の相同性、より好ましくはそれと少なくとも約95%の相同性を保有する。
「Fc受容体」または「FcR」とは、抗体のFc領域と結合する受容体を記載している。一部の実施形態では、FcRはネイティブヒトFcRである。一部の実施形態では、FcRは、IgG抗体と結合するものであり(ガンマ受容体)、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体が含まれ、これらの受容体の対立遺伝子変異体および選択的スプライシングされた形態が含まれる。FcγRII受容体には、主にその細胞質ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有する、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)が含まれる。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン中に免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン中に免疫受容体チロシンに基づく阻害モチーフ(ITIM)を含有する。(たとえばDaeron、Annu.Rev.Immunol.、15:203〜234(1997)を参照)。FcRは、たとえば、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol、9:457〜92(1991)、Capelら、Immunomethods、4:25〜34(1994)、ならびにde Haasら、J.Lab.Clin.Med.、126:330〜41(1995)に総説されている。将来同定されるものを含めた他のFcRが、本明細書中の用語「FcR」によって包含される。
また、用語「Fc受容体」または「FcR」には、母系IgGを胎児に移すこと(Guyerら、J.Immunol.、117:587(1976)およびKimら、J.Immunol.、24:249(1994))ならびに免疫グロブリンの恒常性を調整することを司っている、新生児受容体FcRnも含まれる。FcRnの結合を測定する方法は知られている(たとえば、GhetieおよびWard.、Immunol.Today、18(12):592〜598(1997)、Ghetieら、Nature Biotechnology、15(7):637〜640(1997)、Hintonら、J.Biol.Chem.、279(8):6213〜6216(2004)、WO2004/92219号(Hintonら)を参照。
ヒトFcRnとのin vivo結合およびヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、たとえば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスもしくは形質移入したヒト細胞系、または変異体Fc領域を有するポリペプチドを投与した霊長類においてアッセイすることができる。WO2000/42072号(Presta)は、FcRとの結合が改善されたまたは減少した抗体変異体を記載している。また、たとえばShieldsら、J.Biol.Chem.、9(2):6591〜6604(2001)も参照されたい。
「ヒトエフェクター細胞」とは、1つまたは複数のFcRを発現し、エフェクター機能を行う白血球である。特定の実施形態では、細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能(複数可)を行う。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血単核球(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞、および好中球が含まれる。エフェクター細胞は、ネイティブ供給源、たとえば血液から単離し得る。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」または「ADCC」とは、特定の細胞毒性細胞(たとえば、NK細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)と結合した分泌されたIgが、これらの細胞毒性エフェクター細胞が抗原を保有する標的細胞と特異的に結合し、続いて細胞毒素を有する標的細胞を死滅させることを可能にする、細胞毒性の一形態をいう。ADCCを媒介するための初代細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcRの発現は、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol、9:457〜92(1991)のページ464の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号もしくは第5,821,337号または米国特許第6,737,056号(Presta)に記載のものなどのin vitro ADCCアッセイを行い得る。そのようなアッセイのために有用なエフェクター細胞には、PBMCおよびNK細胞が含まれる。あるいは、またはそれに加えて、対象の分子のADCC活性は、in vivoで、たとえば、Clynesら、PNAS(USA)、95:652〜656(1998)に開示されているものなどの動物モデルにおいて評価し得る。
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」とは、補体の存在下における標的細胞の溶解をいう。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1構成要素(C1q)と、その同族抗原と結合している抗体(適切なサブクラスのもの)との結合によって開始される。補体の活性化を評価するためには、たとえばGazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods、202:163(1996)に記載のCDDアッセイを行い得る。変更されたFc領域アミノ酸配列を有するポリペプチド変異体(変異体Fc領域を有するポリペプチド)および増加または減少したC1q結合能力は、たとえば米国特許第6,194,551 B1号およびWO1999/51642号に記載されている。また、たとえばIdusogieら、J.Immunol.、164:4178〜4184(2000)も参照されたい。
用語「Fc領域を含む抗体(Fc region−comprising antibody)」とは、Fc領域を含む抗体をいう。Fc領域のC末端リシン(EU付番システムによる残基447)は、たとえば、抗体の精製中または抗体をコードしている核酸の組換え操作によって除去し得る。したがって、本発明によるFc領域を有する抗体を含む組成物は、K447を有する抗体、すべてのK447が除去された抗体、またはK447残基を有するおよび有さない抗体の混合物を含むことができる。
「結合親和性」とは、一般に、分子(たとえば抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(たとえば抗原)との間の非共有的相互作用の和の強度をいう。別段に指摘しない限りは、本明細書中で使用する「結合親和性」とは、結合対のメンバー(たとえば抗体および抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性をいう。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、一般に解離定数(Kd)によって表すことができる。親和性は、本明細書中に記載のものを含めた、当分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般に抗原とゆっくり結合し、容易に解離する傾向にある一方で、高親和性抗体は、一般に抗原とより速く結合し、より長く結合されたままである傾向にある。結合親和性を測定する様々な方法が当分野で知られており、その任意のものを本発明の目的に使用することができる。結合親和性を測定するための具体的な説明的かつ例示的な実施形態を以下に記載する。
一実施形態では、本発明による「Kd」または「Kd値」は、以下のアッセイによって記載されているように、対象の抗体のFab型およびその抗原を用いて行う放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定する。Fabの抗原に対する溶液結合親和性は、未標識の抗原の一連の滴定の存在下で、Fabを最小限の濃度の(125I)で標識した抗原で平衡化し、その後、結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することによって測定する(たとえばChenら、J.Mol.Biol.、293:865〜881(1999)を参照)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mlの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)で終夜コーティングし、続いて、PBS中の2%(w/v)のウシ血清アルブミンで2〜5時間、室温(約23℃)で遮断する。非吸着プレート(Nunc#269620)では、100pMまたは26pMの[125I]−抗原を対象のFabの段階希釈と混合する(たとえば、Prestaら、Cancer Res.、57:4593〜4599(1997)の抗VEGF抗体、Fab−12の評価と一致)。その後、対象のFabを終夜インキュベーションする。しかし、平衡に達することを確実にするために、インキュベーションをより長い期間(たとえば約65時間)続けてもよい。その後、混合物を捕捉プレートに移して、室温でインキュベーションする(たとえば1時間)。その後、溶液を除去し、プレートをPBS中の0.1%のTWEEN−20(商標)で8回洗浄する。プレートを乾かせた後、150μl/ウェルのシンチレーション剤(MICROSCINT−20(商標)、Packard)を加え、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)で10分間計数する。最大結合の20%以下を与えるそれぞれのFabの濃度を、競合的結合アッセイで使用するために選択する。
別の実施形態によれば、KdまたはKd値は、BIACORE(登録商標)−2000またはBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.、ニュージャージー州Piscataway)、25℃、約10応答単位(RU)の固定した抗原CM5チップを使用した、表面プラズモン共鳴アッセイを使用することによって測定する。手短に述べると、カルボキシメチル化したデキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給者の指示に従って、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原は、10mMの酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/ml(約0.2μM)まで希釈した後に、5μl/分の流速で注入して、約10応答単位(RU)のカップリングされたタンパク質を達成する。抗原を注入した後、1Mのエタノールアミンを注入して未反応の基を遮断する。動力学の測定には、Fabの2倍段階希釈(0.78nM〜500nM)を、PBS中で、0.05%のTWEEN−20(商標)界面活性剤(PBST)と共に、25℃、約25μl/分の流速で注入する。会合速度(kon)および解離速度(koff)は、単純な1対1ラングミュアー結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を使用して、会合および解離のセンサーグラムを同時に当てはめることによって計算する。平衡解離定数(Kd)はkoff/konの比として計算する。たとえばChenら、J.Mol.Biol.、293:865〜881(1999)を参照されたい。on速度が上記の表面プラズモン共鳴アッセイによって106-1-1を超える場合は、on速度は、ストップフローを備えた分光光度計(spectrophometer)(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを用いた8000シリーズSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定した漸増濃度の抗原の存在下で、PBS、pH7.2中の20nMの抗抗原抗体(Fab型)の、蛍光発光強度の増加または減少を測定する蛍光消光技法(励起=295nm、発光=340nm、16nmの帯域通過)、25℃を使用することによって決定できる。
また、本発明による「on速度」、「会合の速度」、「会合速度」、または「kon」も、BIACORE(登録商標)−2000またはBIACORE(登録商標)−3000システム(BIAcore,Inc.、ニュージャージー州Piscataway)を使用して上述のように決定することができる。
本明細書中で使用する用語「実質的に類似」または「実質的に同じ」とは、当業者により、2つの値間の差異が、前記値(たとえばKd値)によって測定された生物学的特徴のコンテキスト内で生物学的および/または統計的有意性がわずかであるまたはないものとみなされるような、2つの数値(たとえば、一方は本発明の抗体に関連するものであり、他方は参照/比較抗体に関連するものである)間の十分に高い度合の類似度を示す。前記2つの値間の差異は、たとえば、参照/比較値の関数として約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、および/または約10%未満である。
本明細書中で使用する語句「実質的に低下した」または「実質的に異なる」とは、当業者により、2つの値間の差異が、前記値(たとえばKd値)によって測定された生物学的特徴のコンテキスト内で統計的有意性があるものとみなされるような、2つの数値(一般に、一方は分子に関連するものであり、他方は参照/比較分子に関連するものである)間の十分に高い度合の差異を示す。前記2つの値間の差異は、たとえば、参照/比較分子の値の関数として約10%より高い、約20%より高い、約30%より高い、約40%より高い、および/または約50%より高い。
「精製した」とは、分子が、試料中で、それが含有される試料の少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%の濃度で存在することを意味する。
「単離した」核酸分子とは、それが通常、たとえばその天然の環境中で関連している少なくとも1つの他の核酸分子から分離された核酸分子である。単離した核酸分子には、通常は核酸分子を発現する細胞中に含有されているが、染色体外またはその天然の染色体の位置とは異なる染色体の位置に存在する核酸分子がさらに含まれる。
本明細書中で使用する用語「ベクター」とは、それが連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子をいうことを意図する。1つのベクターの種類は「プラスミド」であり、これは、それ内に追加のDNAセグメントをライゲーションさせ得る環状の二本鎖DNAをいう。別のベクターの種類はファージベクターである。別のベクターの種類はウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノム内にライゲーションさせ得る。特定のベクターは、それらが導入された宿主細胞中で自律複製することができる(たとえば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(たとえば非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞内に導入された際に宿主細胞のゲノム内に取り込まれることができ、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書中で「組換え発現ベクター」、または単に「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技法において有用な発現ベクターは、多くの場合はプラスミドの形態である。プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態であるため、本明細書中では、「プラスミド」および「ベクター」は互換性があるように使用し得る。
本明細書中で互換性があるように使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいい、DNAおよびRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドもしくは塩基、および/またはその類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼまたは合成反応によってポリマー内に取り込ませることができる任意の基質であることができる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびその類似体などの修飾されたヌクレオチドを含み得る。存在する場合は、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーのアセンブリの前または後に与え得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識とのコンジュゲーションなどの、合成後に行った修飾(複数可)を含み得る。他の修飾の種類には、たとえば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つまたは複数の類似体による置換、ヌクレオチド間修飾、たとえば、非荷電結合(たとえば、ホスホン酸メチル、リン酸トリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)および荷電結合(たとえば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を含有するもの、たとえばタンパク質(たとえば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply−L−リシンなど)等のペンダント部分を含有するもの、インターカレーター(たとえば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレート剤(たとえば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結を有するもの(たとえばアルファアノマー核酸など)、ならびにポリヌクレオチド(複数可)の非修飾形態が含まれる。さらに、糖中に通常存在するヒドロキシル基のうちの任意のものを、たとえばホスホン酸基、リン酸基によって置き換える、標準の保護基によって保護する、もしくは追加のヌクレオチドとの追加の連結を調製するために活性化し得るか、または、固体もしくは半固体の支持体とコンジュゲートさせ得る。5’および3’末端のOHは、リン酸化するか、またはアミンもしくは1〜20個の炭素原子の有機キャップ基部分で置換することができる。また、他のヒドロキシルも、標準の保護基へと誘導体化し得る。また、ポリヌクレオチドは、たとえば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル−、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環式糖類似体、α−アノマー糖、アラビノース、キシロースまたはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環状類似体、およびメチルリボシドなどの塩基性ヌクレオシド類似体を含めた、当分野で一般に知られているリボースまたはデオキシリボース糖の類似体も含有することができる。1つまたは複数のリン酸ジエステル結合を代替の連結基によって置き換え得る。これらの代替の連結基には、それだけには限定されないが、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCH2(「ホルムアセタール」)によって置き換えられている実施形態[式中、それぞれのRまたはR’は、独立して、H、またはエーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルジルを任意選択で含有する置換もしくは非置換のアルキル(1〜20個のC)である]が含まれる。ポリヌクレオチド中のすべての連結が同一である必要はない。前述の説明は、RNAおよびDNAを含めた、本明細書中で言及したすべてのポリヌクレオチドに適用される。
本明細書中で使用する「オリゴヌクレオチド」とは、一般に、必ずしもではないが一般に約200個未満のヌクレオチドの長さである、短い、一般に一本鎖の、一般に合成のポリヌクレオチドをいう。用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は相互排他的ではない。ポリヌクレオチドの上述の説明は、オリゴヌクレオチドにも同等かつ完全に適用される。
本明細書中で使用する用語「Smo」または「SMO」とは、別段に指定しない限りは、霊長類(たとえばヒト)ならびにげっ歯類(たとえばマウスおよびラット)などの哺乳動物を含めた、任意の脊椎動物供給源からの任意のネイティブSMOをいう。この用語には、「完全長」のプロセッシングされていないSMOおよび細胞中でのプロセッシングから生じるSMOの任意の形態が包含される。また、この用語には、SMOの天然に存在する変異体、たとえば、スプライシング変異体または対立遺伝子変異体も包含される。本明細書中で使用する「突然変異Smo」とは、ヒトSMOの位置473でSMOの膜貫通6のカルボキシ末端部分中に突然変異を有するSMOをいう。
本明細書中で使用する「処置」(および「処置する」または「処置すること」などの変形)とは、処置する個体または細胞の自然経過を変更する試みの臨床行為をいい、予防のため、または臨床病理の経過中のどちらかに行うことができる。処置の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接または間接的な病理学的結果の減少、転移の予防、疾患の進行の速度の減少、病状の寛解または緩和、および寛解または改善された予後診断が含まれる。一部の実施形態では、本発明の抗体は、疾患もしくは障害の発生を遅延させるため、または疾患もしくは障害の進行を遅くするために使用する。
「個体」、「対象」、または「患者」は脊椎動物である。特定の実施形態では、脊椎動物は哺乳動物である。哺乳動物には、それだけには限定されないが、家畜(ウシなど)、スポーツ動物、ペット(ネコ、イヌ、およびウマなど)、霊長類、マウスならびにラットが含まれる。特定の実施形態では、哺乳動物はヒトである。
用語「医薬配合物」とは、活性成分の生物活性が有効であることを可能にするような形態にあり、配合物を投与する対象に対して許容できないほど毒性がある追加の構成要素を含有しない調製物をいう。そのような配合物は無菌的であり得る。
「無菌的な」配合物とは、無菌性である、またはすべての生きた微生物およびその胞子を含まない。
「有効量」とは、必要な用量および期間で所望の治療的または予防的結果を達成するために有効な量をいう。
本発明の物質/分子の「治療上有効な量」は、個体の病状、年齢、性別、および重量、ならびに個体において所望の応答を誘発する物質/分子の能力などの要因に応じて変動し得る。治療上有効な量には、物質/分子の任意の毒性があるまたは有害な効果を治療上有益な効果が上回る量が包含される。「予防上有効な量」とは、必要な用量および期間で所望の予防的結果を達成するために有効な量をいう。典型的には、必ずしもではないが、予防的用量は対象において疾患の前またはその初期段階で使用されるため、予防上有効な量は治療上有効な量よりも少なくなる。
本明細書中で使用する用語「細胞毒性剤」とは、細胞機能を阻害もしくは予防するおよび/または細胞の死もしくは破壊を引き起こす物質をいう。この用語には、放射性同位元素(たとえば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位元素)、化学療法剤(たとえば、メトトレキサート、adriamicin、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他のインターカレーター剤、核酸分解性酵素などの酵素およびその断片、抗生物質、細菌、真菌、植物または動物起源の小分子毒素または酵素活性毒素などの毒素(その断片および/または変異体が含まれる)、ならびに以下に開示する様々な抗腫瘍財または抗癌剤が含まれることを意図する。他の細胞毒性剤を以下に記載する。殺腫瘍剤は腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「毒素」とは、細胞の成長または増殖に対して有害な効果を有することができる任意の物質である。
「化学療法剤」とは、癌の処置に有用な化学物質である。化学療法剤の例には、チオテパおよびシクロスホスファミド(cyclosphospamido)(CYTOXAN(登録商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロメラミンを含めたエチレンイミンおよびメチラメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン(scopolectin)、および9−アミノカンプトテシンが含まれる);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体が含まれる);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW−2189およびCB1−TM1が含まれる);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムヌスチン(ranimnustine)などのニトロソ尿素;エネジイン抗生物質(たとえばカリチアマイシン、特にカリチアマイシンガンマ1IおよびカリチアマイシンオメガI1(たとえばNicolaouら、Angew.Chem Intl.Ed.Engl.、33:183〜186(1994)を参照);CDP323、経口アルファ−4インテグリン阻害剤;ダイネミシンAを含めたダイネミシン;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射用(DOXIL(登録商標))、リポソームドキソルビシンTLC D−99(MYOCET(登録商標))、peg化リポソームドキソルビシン(CAELYX(登録商標))、およびデオキシドキソルビシンが含まれる)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、テガフール(UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、エポチロン、および5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補液;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフオルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);メイタンシンおよびアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、オレゴン州Eugene);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、たとえば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作したナノ粒子配合物(ABRAXANE(商標))、およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標));クロランブシル(chloranbucil);6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン(たとえばELOXATIN(登録商標))、およびカルボプラチンなどの白金剤;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))、ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標))、およびビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))を含めた、チューブリン重合が微小管を形成することを防止するビンカ;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ロイコボリン;novantrone;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標))を含めたレチノイン酸などのレチノイド;クロドロネート(たとえば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE−58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、またはリセドロねーと(ACTONEL(登録商標))などのビスホスホネート;トロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関連づけられているシグナル伝達経路中の遺伝子の発現を阻害するもの、たとえば、PKC−アルファ、Raf、H−Ras、および表皮成長因子受容体(EGF−R)など;THERATOPE(登録商標)ワクチンならびに遺伝子治療ワクチン、たとえば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチンなどのワクチン;トポイソメラーゼ1阻害剤(たとえばLURTOTECAN(登録商標));rmRH(たとえばABARELIX(登録商標));BAY439006(ソラフェニブ、Bayer);SU−11248(スニチニブ、SUTENT(登録商標)、Pfizer);ペリホシン、COX−2阻害剤(たとえば、セレコキシブまたはエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(たとえばPS341);ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標));CCI−779;チピファルニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;オブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標))などのBcl−2阻害剤;ピクサントロン;EGFR阻害剤(以下の定義を参照);チロシンキナーゼ阻害剤(以下の定義を参照);ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標))などのセリン−スレオニンキナーゼ阻害剤;ロナファルニブ(SCH6636、SARASAR(商標))などのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;上記のうちの任意のものの薬学的に許容される塩、酸または誘導体;ならびに、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの組合せ療法の略記であるCHOP;およびオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を5−FUおよびロイコボリンと組み合わせた治療レジメンの略記であるFOLFOXなどの、上記のうちの2つ以上の組合せが含まれる。
本明細書中で定義する化学療法剤には、癌の成長を促進することができるホルモンの効果を調整、低下、遮断、または阻害する作用を有する「抗ホルモン剤」または「内分泌治療剤」が含まれる。これらは、それだけには限定されないが、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標))、4−ヒドロキシタモキシフェン、トレミフェン(FARESTON(登録商標))、イドキシフェン、ドロロキシフェン、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))、トリオキシフェン、ケオキシフェン、および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、たとえばSERM3を含めた、混合作用剤/拮抗剤プロフィールを有する抗エストロゲン;フルベストラント(FASLODEX(登録商標))およびEM800などの、作用剤特性を有さない純粋な抗エストロゲン(そのような薬剤は、エストロゲン受容体(ER)の二量体化を遮断、DNA結合を阻害、ERの代謝回転を増加、および/またはERレベルを抑制し得る);フォルメスタンおよびエキセメスタン(AROMASIN(登録商標))などのステロイド性アロマターゼ阻害剤、ならびにアナストラゾール(ARIMIDEX(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))およびアミノグルテチミドなどの非ステロイド性アロマターゼ阻害剤を含めたアロマターゼ阻害剤であり、他のアロマターゼ阻害剤にはボロゾール(RIVISOR(登録商標))、酢酸メゲストロール(MEGASE(登録商標))、ファドロゾール、および4(5)−イミダゾールが含まれる;ロイプロリド(LUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標))、ゴセレリン、ブセレリン、ならびにトリプテレリン(tripterelin)を含めた黄体形成ホルモン放出ホルモン作用剤;酢酸メゲストロールおよび酢酸メドロキシプロゲステロンなどのプロゲスチン、ジエチルスチルベストロールおよびpremarinなどのエストロゲン、ならびにフルオキシメステロン、すべてのトランスレチオニン(transretionic)酸およびフェンレチニドなどのアンドロゲン/レチノイドを含めた性ステロイド;オナプリストン;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体ダウンレギュレーション剤(ERD);フルタミド、ニルタミドおよびビカルタミドなどの抗アンドロゲン;上記のうちの任意のものの薬学的に許容される塩、酸または誘導体;ならびに上記のうちの2つ以上の組合せ を含めた、ホルモン自体であり得る。
本明細書中で「成長阻害性薬剤」とは、細胞(SMOを発現する細胞など)の成長をin vitroまたはin vivoのどちらかで阻害する化合物または組成物をいうために使用する。したがって、成長阻害性薬剤は、S期の細胞(SMOを発現する細胞など)の百分率を有意に低下させるものであり得る。成長阻害性薬剤の例には、G1停止およびM期停止を誘導する薬剤などの、細胞周期の進行を(S期以外の時点で)遮断する薬剤が含まれる。古典的なM期遮断剤には、ビンカ(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、タキサン、ならびに、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、およびブレオマイシンなどのトポイソメラーゼII阻害剤が含まれる。G1を停止させる薬剤は、S期停止にも波及し、たとえば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、およびara−CなどのDNAアルキル化剤がある。さらなる情報はMendelsohnおよびIsrael編、癌の分子基盤(The Molecular Basis of Cancer)、第1章、表題「細胞サイクルの調整、癌遺伝子、および抗新生物薬(Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs)」、Murakamiら(W.B.Saunders、Philadelphia、1995)、たとえばページ13中に見つけることができる。タキサン(パクリタキセルおよびドセタキセル)は、どちらもイチイに由来する抗癌薬である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb)の半合成類似体である。パクリタキセルおよびドセタキセルは、チューブリン二量体からの微小管のアセンブリを促進し、細胞中の有糸分裂の阻害をもたらす脱重合を防止することによって、微小管を安定化させる。
「突然変異Smo拮抗剤」とは、ヒトSMOの位置473でアミノ酸置換を有してこの位置の野生型アスパラギン酸を任意の他のアミノ酸へと変化させる、SMOの生物活性を阻害する化合物である。SMOの生物活性とは、ヘッジホッグを用いて刺激した際のシグナルをGli転写因子の活性化へと伝達する能力である。
I.核酸
本発明の核酸には、単離した突然変異SMOのコード配列が含まれる。核酸は、配列番号3の核酸配列と少なくとも80%同一であり、この配列からの少なくとも1つの突然変異を含有して位置473でアスパラギン酸(D)以外の任意のアミノ酸をコードしている配列を含む。一部の実施形態では、核酸は、位置473でヒスチジン(H)、グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、セリン(S)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアスパラギン(N)をコードしている。一部の実施形態では、核酸は、ヌクレオチド1417、1418および/または1419で親野生型SMOからの少なくとも1つの突然変異を有する。一部の実施形態では、配列番号3とのパーセント同一性は、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%であるが、ただし、位置1417、1418および/または1419に少なくとも1つの突然変異が存在する。また、本発明は、少なくとも20個のヌクレオチドの長さである断片中の、上述の突然変異の領域にまたがるそのような核酸の断片も企図する。一部の実施形態では、ヌクレオチド断片は、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100個のヌクレオチドの長さである。断片は、上述の突然変異の領域から完全長の突然変異SMOをコードしている核酸分子までにまたがる、任意の長さであり得る。単離した突然変異SMOおよびその断片は、たとえば、ハイブリダイゼーションのため、本発明の予後的および診断的アッセイのためのプライマーおよびプローブを作製するため、ならびに組換え系中での発現のため(免疫原として使用するためおよび本明細書中に記載の本発明のアッセイで使用するための突然変異SMOタンパク質またはその一部分を作製するためなど)に使用し得る。
本発明は、本発明の方法において突然変異SMO核酸分子を同定するために使用し得る核酸プローブを提供する。突然変異SMOを有すると疑われる組織またはSMOの状態が未知である組織に由来する核酸試料を、突然変異SMOに対する特異的プローブを使用して、Sambrookら、分子クローニング:実験室の手引き(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、NY、1989)に記載されているものなどの標準の手順を使用してスクリーニングし得る。あるいは、SMOをコードしている核酸を組織から増幅し、本発明の特異的プローブでプロービングして、突然変異SMOの非存在の存在を決定し得る。PCR方法は当分野において周知である(Sambrookら、上記; Dieffenbachら、PCRプライマー:実験室の手引き(PCR PRIMER:A LABORATORY MANUAL)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、NY、1995)。
突然変異SMOをコードしているヌクレオチド配列(またはその相補体)は、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用、ならびにアンチセンスRNAおよびDNAプローブの作製における使用を含めた、分子生物学の分野における様々な応用を有する。また、突然変異SMOをコードしている核酸は、本明細書中に記載の組換え技法による突然変異SMOポリペプチドの調製にも有用であり、これらの突然変異SMOポリペプチドは、たとえば、本明細書中に記載の抗突然変異SMO抗体の調製において使用が見つかり得る。
完全長の突然変異SMO核酸、またはその一部分は、突然変異SMOを同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用し得る。
任意選択で、プローブの長さは約20〜約50個の塩基である。ハイブリダイゼーションプローブは、完全長の突然変異体SNOヌクレオチド配列の少なくとも突然変異領域に由来し得る。
例として、スクリーニング方法は、約40個の塩基の選択されたプローブを合成するために、既知のDNA配列を使用して突然変異SMOのコード領域を単離することを含む。ハイブリダイゼーションプローブは、32Pもしくは35Sなどの放射性ヌクレオチド、またはアビジン/ビオチンカップリング系を介してプローブとカップリングされたアルカリホスファターゼなどの酵素標識を含めた、様々な標識によって標識し得る。本発明の突然変異SMO遺伝子に相補的な配列を有する標識したプローブを使用し、ヒトcDNA、ゲノムDNAまたはmRNAのライブラリをスクリーニングして、そのようなライブラリのどのメンバーがプローブとハイブリダイズするかを決定することができる。ハイブリダイゼーション産物はポリアクリルアミドゲル上で分離し得る。さらに、SMO突然変異は、実施例中に記載の方法を使用して決定し得る。中等度のストリンジェンシーおよび高いストリンジェンシーを含めたハイブリダイゼーション条件は、Sambrookら、上記中に提供されている。
そのようなライブラリスクリーニング方法で同定した配列は、SMOおよび突然変異SMOの既知の配列と比較およびアラインメントすることができる。膜貫通ドメイン6のカルボキシ末端領域での配列同一性は、当分野で知られている方法を使用して決定することができる。
SMOをコードしている核酸の他の有用な断片には、標的突然変異SMO mRNA(センス)または突然変異SMO DNA(アンチセンス)配列と結合することができる一本鎖核酸配列(RNAまたはDNAのどちらか)を含むアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。本発明によるアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、突然変異領域を含有する突然変異SMO DNAのコード領域の断片を含む。そのような断片は、一般に、少なくとも約14個のヌクレオチド、好ましくは約14〜30個のヌクレオチドを含む。所定のタンパク質をコードしているcDNA配列に基づいてアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを誘導する能力は、たとえば、SteinおよびCohen(1988)Cancer Res.、48:2659ならびにvan der Krolら(1988)BioTechniques、6:958に記載されている。
アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸配列との結合は、二重鎖の増強された分解、転写もしくは翻訳の未熟な終結、または他の手段を含めたいくつかの手段のうちの1つによる、標的配列の転写または翻訳を遮断する二重鎖の形成をもたらす。そのような方法は本発明によって包含されている。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して突然変異SMOタンパク質の発現を遮断し得、これらの突然変異SMOタンパク質は、哺乳動物中の癌のGDC−0449などの化学療法剤に対する耐性において役割を果たし得る。アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、内在性ヌクレアーゼに対して耐性である、修飾された糖−リン酸ジエステル主鎖(またはWO91/06629号に記載されているものなどの他の糖結合)を有するオリゴヌクレオチドをさらに含む。耐性糖結合を有するそのようなオリゴヌクレオチドはin vivoで安定である(すなわち、酵素分解に抵抗することができる)が、標的ヌクレオチド配列と結合することができるように配列特異性を保持している。
突然変異SMOタンパク質の発現の阻害に有用な好ましいアンチセンス化合物の具体的な例には、修飾された主鎖または非天然のヌクレオシド間連結を含有するオリゴヌクレオチドが含まれる。修飾された主鎖を有するオリゴヌクレオチドには、主鎖中にリン原子を保持しているものおよび主鎖中にリン原子を有さないものが含まれる。本明細書の目的のために、かつ当分野において時折言及されるように、そのヌクレオシド間主鎖中にリン原子を有さない修飾されたオリゴヌクレオチドも、オリゴヌクレオシドであるとみなすことができる。好ましい修飾されたオリゴヌクレオチド主鎖には、たとえば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキルホスホトリ−エステル、3’−アルキレンホスホネート、5’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含めたメチルおよび他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホロアミデートおよびアミノアルキルホスホロアミデートを含めたホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスホネート、ならびに通常の3’−5’連結を有するボラノ−ホスホネート、これらの2’−5’連結類似体、および1つまたは複数のヌクレオチド間連結が3’から3’、5’から5’または2’から2’の連結である、逆転した極性を有するものが含まれる。逆転した極性を有する好ましいオリゴヌクレオチドは、最も3’側のヌクレオチド間連結で単一の3’から3’の連結、すなわち、脱塩基(核酸塩基が欠失している、またはその代わりにヒドロキシル基を有する)であり得る単一の逆転したヌクレオシド残基を含む。また、様々な塩、混合塩および遊離酸の形態も含まれる。リン含有連結の調製を教示している代表的な米国特許には、それだけには限定されないが、そのそれぞれが本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,196号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,306号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号、第5,194,599号、第5,565,555号、第5,527,899号、第5,721,218号、第5,672,697号および第5,625,050号が含まれる。
それ中にリン原子が含まれない、好ましい修飾されたオリゴヌクレオチド主鎖は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、または1つもしくは複数の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間連結によって形成された主鎖を有する。これらには、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される);シロキサン主鎖;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン主鎖;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;リボアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファメート主鎖;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ主鎖;スルホネートおよびスルホンアミド主鎖;アミド主鎖;ならびに混合N、O、SおよびCH2構成要素部分を有する他のものを有するものが含まれる。そのようなオリゴヌクレオシドの調製を教示している代表的な米国特許には、それだけには限定されないが、そのそれぞれが本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,264,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,610,289号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、第5,792,608号、第5,646,269号および第5,677,439号が含まれる。
他の好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドでは、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間連結、すなわち主鎖が、どちらも新規の基で置き換えられている。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持されている。1つのそのようなオリゴマー化合物、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているオリゴヌクレオチド模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物では、オリゴヌクレオチドの糖主鎖は、アミド含有主鎖、具体的にはアミノエチルグリシン主鎖で置き換えられている。核酸塩基は保持されており、主鎖のアミド部分のアザ窒素原子と直接または間接的に結合されている。PNA化合物の調製を教示している代表的な米国特許には、それだけには限定されないが、そのそれぞれが本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第5,539,082号、第5,714,331号、および第5,719,262号が含まれる。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsenら(1991)Science、254:1497〜1500中に見つけることができる。
好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドには、上記引用した米国特許第5,489,677号に記載のホスホロチオエート主鎖および/またはヘテロ原子主鎖、具体的には、−CH2−NH−O−CH2−、−CH2−N(CH3)−O−CH2−(メチレン(メチルイミノ)またはMMI主鎖として知られる)、−CH2−O−N(CH3)−CH2−、−CH2−N(CH3)−N(CH3)−CH2−および−O−N(CH3)−CH2−CH2−(ネイティブリン酸ジエステル主鎖は−O−P−O−CH2−として表される)、ならびに上記引用した米国特許第5,602,240号のアミド主鎖が取り込まれている。また、上記引用した米国特許第5,034,506号のモルホリノ主鎖構造を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドも好ましい。
また、修飾されたオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の置換された糖部分も含有し得る。好ましいオリゴヌクレオチドは、2’位に以下のうちの1つを含む:OH;F;O−アルキル、S−アルキル、もしくはN−アルキル;O−アルケニル、S−アルケイニル(alkeynyl)、もしくはN−アルケニル;O−アルキニル、S−アルキニルもしくはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル[式中、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または非置換のC1〜C10アルキルまたはC2〜C10アルケニルおよびアルキニルであり得る]。O[(CH2nO]mCH3、O(CH2nOCH3、O(CH2nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2nONH2、およびO(CH2nON[(CH2nCH3)]2[式中、nおよびmは1〜約10である]が特に好ましい。他の好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’位に以下のうちの1つを含む:C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリールまたはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2 CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善させるための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善させるための基、および類似の特性を有する他の置換基。好ましい修飾には、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CH2CH2OCH3、2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られる)(Martinら(1995)Helv.Chim.Acta、78:486〜504)、すなわちアルコキシアルコキシ基が含まれる。さらに好ましい修飾には、本明細書中以下の実施例中に記載の2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわちO(CH22ON(CH32基(2’−DMAOEとしても知られる)、および2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当分野で2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’−DMAEOEといても知られる)、すなわち2’−O−CH2−O−CH2−N(CH2)が含まれる。
さらに好ましい修飾には、2’−ヒドロキシル基が糖環の3’または4’の炭素原子と連結されており、それにより二環式の糖部分が形成されている、ロックド核酸(LNA)が含まれる。連結は、好ましくは、2’酸素原子と4’炭素原子とを架橋するメテリン(methelyne)(−CH2−)n基である[式中、nは1または2である]。LNAおよびその調製は、WO98/39352号およびWO99/14226号に記載されている。
他の好ましい修飾には、2’−メトキシ(2’−O−CH3)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCH2CH2CH2NH2)、2’−アリル(2’−CH2−CH=CH2)、2’−O−アリル(2’−O−CH2−CH=CH2)および2’−フルオロ(2’−F)が含まれる。2’−修飾は、アラビノ(上)位置またはリボ(下)位置であり得る。好ましい2’−アラビノ修飾は2’−Fである。また、類似の修飾を、オリゴヌクレオチド上の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位または2’−5’連結のオリゴヌクレオチドおよび5’末端ヌクレオチドの5’位で行ってもよい。また、オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有していてもよい。そのような修飾された糖構造の調製を教示している代表的な米国特許には、それだけには限定されないが、そのそれぞれがその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号、第5,792,747号、および第5,700,920号が含まれる。
また、オリゴヌクレオチドには、核酸塩基(当分野で多くの場合は単に「塩基」と呼ばれる)の修飾または置換も含まれ得る。本明細書中で使用する「非修飾」または「天然」の核酸塩基には、プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)が含まれる。修飾された核酸塩基には、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニル(−C=C−CH3または−CH2−C=CH)ウラシルおよびシトシンおよびピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換のアデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換のウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンなどの、他の合成および天然の核酸塩基が含まれる。さらなる修飾された核酸塩基には、三環系ピリミジン、たとえばフェノキサジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンズオキサジン−2(3H)−オン)、フェノチアジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾチアジン−2(3H)−オン)、G−クランプ、たとえば置換フェノキサジンシチジン(たとえば、9−(2−アミノエトキシ)−H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンズオキサジン−2(3H)−オン)、カルバゾールシチジン(2H−ピリミド[4,5−b]インドール−2−オン)、ピリドインドールシチジン(H−ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−オン)が含まれる。また、修飾された核酸塩基には、プリンまたはピリミジン塩基が他の複素環で置き換えられているもの、たとえば、7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジンおよび2−ピリドンも含まれ得る。さらなる核酸塩基には、米国特許第3,687,808号に開示されているもの、ポリマー化学および工学の簡潔な百科事典(THE CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING)、Kroschwitz,J.I.編、John Wiley&Sons、1990、ページ858〜859に開示されているもの、ならびにEnglischら、応用化学(ANGEWANDTE CHEMIE)、国際版、Wiley−VCH、ドイツ、1991、30:613によって開示されているものが含まれる。これらの核酸塩基のうちの特定のものが、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増加させるために特に有用である。これらには、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含めた、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびにN−2、N−6およびO−6置換のプリンが含まれる。5−メチルシトシン置換は、核酸二重鎖の安定性を0.6〜1.2℃増加させることが示されており(Sanghviら、アンチセンスの研究および応用(ANTISENSE RESEARCH AND APPLICATIONS)、CRC Press、Boca Raton、1993、ページ276〜278)、好ましい塩基置換であり、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合に特に好ましい。修飾された核酸塩基の調製を教示している代表的な米国特許には、それだけには限定されないが、そのそれぞれが本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第3,687,808号、ならびに米国特許第4,845,205号、第5,130,302号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121、5,596,091号、第5,614,617号、第5,645,985号、第5,830,653号、第5,763,588号、第6,005,096号、第5,681,941号および第5,750,692号が含まれる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の修飾は、オリゴヌクレオチドに、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取込みを強化させる1つまたは複数の部分またはコンジュゲートを化学的に連結させることである。本発明の化合物には、第一級または第二級ヒドロキシル基などの官能基と共有結合したコンジュゲート基が含まれることができる。本発明のコンジュゲート基には、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学的特性を増強させる基、およびオリゴマーの薬物動態学的特性を増強させる基が含まれる。典型的なコンジュゲート基には、コレステロール、脂質、陽イオン脂質、リン脂質、陽イオン性リン脂質、ビオチン、フェナジン、フォレート、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および色素が含まれる。本発明のコンテキストにおいて、薬力学的特性を増強させる基には、オリゴマーの取込みを改善させる基、分解に対するオリゴマーの耐性を増強させる基、および/またはRNAとの配列特異的ハイブリダイゼーションを強化する基が含まれる。本発明のコンテキストにおいて、薬物動態学的特性を増強させる基には、オリゴマーの取込み、分布、代謝または排泄を改善させる基が含まれる。コンジュゲート部分には、それだけには限定されないが、コレステロール部分(Letsingerら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:6553〜6556)、コール酸(Manoharanら(1994)Bioorg.Med.Chem.Lett.、4:1053〜1060)、チオエーテル、たとえば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharanら(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.、660:306〜309、Manoharanら(1993)Bioorg.Med.Chem.Lett.、3:2765〜2770)、チオコレステロール(Oberhauserら(1992)Nucl.Acids Res.、20:533〜538)、脂肪族鎖、たとえば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基(Saison−Behmoarasら(1991)EMBO J.、10:1111〜1118、Kabanovら(1990)FEBS Lett.、259:327〜330、Svinarchukら(1993)Biochimie、75:49〜54、リン脂質、たとえば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールもしくはトリエチル−アンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharanら(1995)Tetrahedron Lett.、36:3651〜3654、Sheaら(1990)Nucl.Acids Res.、18:3777〜3783)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら(1995)Nucleosides&Nucleotides、14:969〜973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharanら(1995)Tetrahedron Lett.、36:3651〜3654)、パルミチル(palmityl)部分(Mishraら(1995)Biochim.Biophys.Acta、1264:229〜237)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分などの、脂質部分が含まれる。また、本発明のオリゴヌクレオチドは、活性薬物物質、たとえば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)−(+)−プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5−トリヨード安息香酸、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメチシン、バルビツレート、セファロスポリン、スルファ薬物、抗糖尿病剤、抗細菌剤または抗生物質とコンジュゲートされていてもよい。オリゴヌクレオチド−薬物のコンジュゲートおよびその調製は、そのそれぞれが本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第4,828,979号、第4,948,882号、第5,218,105号、第5,525,465号、第5,541,313号、第5,545,730号、第5,552,538号、第5,578,717、5,580,731号、第5,580,731号、第5,591,584号、第5,109,124号、第5,118,802号、第5,138,045号、第5,414,077号、第5,486,603号、第5,512,439号、第5,578,718号、第5,608,046号、第4,587,044号、第4,605,735号、第4,667,025号、第4,762,779号、第4,789,737号、第4,824,941号、第4,835,263号、第4,876,335号、第4,904,582号、第4,958,013号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,245,022号、第5,254,469号、第5,258,506号、第5,262,536号、第5,272,250号、第5,292,873号、第5,317,098号、第5,371,241、5,391,723号、第5,416,203、5,451,463号、第5,510,475号、第5,512,667号、第5,514,785号、第5,565,552号、第5,567,810号、第5,574,142号、第5,585,481号、第5,587,371号、第5,595,726号、第5,597,696号、第5,599,923号、第5,599,928号、第5,688,941号および第6,656,730号に記載されている。
所定の化合物中のすべての位置が均一に修飾されている必要はなく、実際、前述の修飾のうちの複数を、単一の化合物またはさらにはオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシド中に取り込ませ得る。また、本発明には、キメラ化合物であるアンチセンス化合物も含まれる。本発明のコンテキストにおいて、「キメラ」アンチセンス化合物または「キメラ」とは、それぞれが少なくとも1つの単量体単位、すなわち、オリゴヌクレオチド化合物の事例ではヌクレオチド構成される2つ以上の化学的に異なる領域を含有するアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的には、オリゴヌクレオチドに、ヌクレアーゼ分解に対する増加した耐性、増加した細胞取込み、および/または標的核酸に対する増加した結合親和性を与えるために、オリゴヌクレオチドが修飾されている、少なくとも1つの領域を含有する。オリゴヌクレオチドの追加の領域が、RNA:DNAまたはRNA:RNAのハイブリッドを切断することができる酵素の基質として役割を果たし得る。例として、RNase Hは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNase Hの活性化はRNA標的の切断をもたらし、それにより、遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率が大きく強化される。その結果、多くの場合、キメラオリゴヌクレオチドを使用した場合に、同じ標的領域とハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドと比較して、より短いオリゴヌクレオチドで匹敵する結果を得ることができる。本発明のキメラアンチセンス化合物は、上述の2つ以上のオリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドおよび/またはオリゴヌクレオチド模倣体の複合構造として形成し得る。好ましいキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、3’末端に少なくとも1つの2’修飾された糖(好ましくは2’−O−(CH22−O−CH3)を取り込んでヌクレアーゼ耐性を与え、少なくとも4つの連続的な2’−H糖を有する領域を取り込んでRNase H活性を与える。また、そのような化合物は、当分野でハイブリッドまたはギャップマーとも呼ばれている。好ましいギャップマーは、3’末端および5’末端に、少なくとも4つの連続的な2’−H糖を有する少なくとも1つの領域によって分離された2’修飾された糖(好ましくは2’−O−(CH22−O−CH3)の領域を有しており、好ましくはホスホロチオエート主鎖連結を取り込んでいる。そのようなハイブリッド構造の調製を教示している代表的な米国特許には、それだけには限定されないが、そのそれぞれがその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第5,013,830号、第5,149,797号、第5,220,007号、第5,256,775号、第5,366,878号、第5,403,711号、第5,491,133号、第5,565,350号、第5,623,065号、第5,652,355号、第5,652,356号、および第5,700,922号が含まれる。
本発明にしたがって使用するアンチセンス化合物は、固相合成の周知の技法によって好都合かつルーチン的に作製し得る。そのような合成のための機器は、たとえばApplied Biosystems(カリフォルニア州Foster City)を含めたいくつかの販売業者によって販売されている。当分野で知られているそのような合成のための任意の他の手段を、それに加えてまたはその代わりに用い得る。類似の技法を使用してホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体などのオリゴヌクレオチドを調製することが周知である。また、本発明の化合物は、取込み、分布および/または吸収を補助するために、混合、カプセル封入、コンジュゲートまたは他の様式で、他の分子、分子構造または化合物の混合物と、たとえば、リポソーム、受容体標的分子、経口、直腸、局所または他の配合物として会合させてもよい。そのような取込み、分布および/または吸収を補助する配合物の調製を教示している代表的な米国特許には、それだけには限定されないが、そのそれぞれが本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第5,108,921号、第5,354,844号、第5,416,016号、第5,459,127号、第5,521,291号、第5,543,158号、第5,547,932号、第5,583,020号、第5,591,721号、第4,426,330号、第4,534,899号、第5,013,556号、第5,108,921号、第5,213,804号、第5,227,170号、第5,264,221号、第5,356,633号、第5,395,619号、第5,416,016号、第5,417,978号、第5,462,854号、第5,469,854号、第5,512,295号、第5,527,528号、第5,534,259号、第5,543,152号、第5,556,948号、第5,580,575号、および第5,595,756号が含まれる。
センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例には、WO90/10048号に記載されているものなどの、有機部分と共有結合されたオリゴヌクレオチド、およびポリ−(L−リシン)などの、標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増加させる他の部分が含まれる。さらに、エリプチシンなどのインターカレーター剤、およびアルキル化剤または金属錯体をセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドに付着させて、標的ヌクレオチド配列に対するアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドの結合特異性を改変させ得る。
アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、たとえば、CaPO4に媒介されるDNA形質移入、電気穿孔、またはエプスタイン−バーウイルスなどの遺伝子移入ベクターを使用することを含めた任意の遺伝子移入方法によって、標的核酸配列を含有する細胞内に導入し得る。好ましい手順では、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを適切なレトロウイルスベクター内に挿入する。標的核酸配列を含有する細胞を組換えレトロウイルスベクターと、in vivoまたはex vivoのどちらかで接触させる。適切なレトロウイルスベクターには、それだけには限定されないが、ネズミレトロウイルスM−MuLVに由来するもの、N2(M−MuLVに由来するレトロウイルス)、またはDCT5A、DCT5BおよびDCT5Cと命名された二重コピーベクター(WO90/13641号を参照)が含まれる。
また、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、WO91/04753号に記載のように、リガンド結合分子とのコンジュゲートの形成によっても、標的ヌクレオチド配列を含有する細胞内に導入し得る。適切なリガンド結合分子には、それだけには限定されないが、細胞表面受容体、成長因子、他のサイトカイン、または細胞表面受容体と結合する他のリガンドが含まれる。好ましくは、リガンド結合分子のコンジュゲーションは、リガンド結合分子がその対応する分子または受容体と結合する能力を実質的に妨害しない、あるいはセンスもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのコンジュゲート型の細胞内への進入を遮断しない。
あるいは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、WO90/10448号に記載のように、オリゴヌクレオチド−脂質の複合体の形成によって、標的核酸配列を含有する細胞内に導入し得る。センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド−脂質の複合体は、好ましくは細胞内で内在性リパーゼによって解離される。
アンチセンスまたはセンスRNAまたはDNA分子は、一般に少なくとも約5個のヌクレオチドの長さ、あるいは少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、または1000個のヌクレオチドの長さであり、このコンテキストでは、用語「約」とは、言及したヌクレオチド配列の長さプラスまたはマイナスその言及した長さの10%を意味する。
また、突然変異SMOをコードしているヌクレオチド配列を使用して、そのSMOをコードしている遺伝子をマッピングするため、および遺伝子障害を有する個体の遺伝子分析のためのハイブリダイゼーションプローブを構築することもできる。in situハイブリダイゼーション、既知の染色体マーカーに対する連結分析、およびライブラリを用いたハイブリダイゼーションスクリーニングなどの既知の技法を使用して、本明細書中に提供するヌクレオチド配列を染色体および染色体の具体的な領域にマッピングし得る。
潜在的な突然変異SMO拮抗剤は、アンチセンス技術を使用して調製したアンチセンスRNAまたはDNA構築体であり、たとえば、アンチセンスRNAまたはDNA分子が、標的mRNAとハイブリダイズし、タンパク質の翻訳を防止することによって、mRNAの翻訳を直接遮断するように作用する。アンチセンス技術を使用して、三重ヘリックス編成またはアンチセンスDNAもしくはRNAによって遺伝子発現を制御することができ、これらの方法はどちらも、ポリヌクレオチドとDNAまたはRNAとの結合に基づいている。たとえば、本明細書中の突然変異SMOをコードしている核酸を使用して、約10〜40個の塩基対の長さのアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計する。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に相補的であるように設計されており(三重らせん−Leeら(1979)Nucl.Acids Res.、6:3073、Cooneyら(1988)Science、241:456、Dervanら(1991)Science、251:1360を参照)、それにより、突然変異SMOの転写および産生が妨げられる。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはmRNAとin vivoでハイブリダイズし、mRNA分子から突然変異SMOへの翻訳を遮断する(Okano(1991)Neurochem.、56:560)、遺伝子発現のアンチセンス阻害剤としてのオリゴデオキシヌクレオチド(OLIGODEOXYNUCLEOTIDES AS ANTISENSE INHIBITORS OF GENE EXPRESSION)、CRC Press、フロリダ州Boca Raton、1988)。また、上述のオリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNAまたはDNAがin vivoで発現されて突然変異SMOの産生が阻害され得るように、細胞に送達することもできる。アンチセンスDNAを使用する場合は、翻訳開始部位、たとえば標的遺伝子のヌクレオチド配列の約−10〜+10の位置に由来するオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
突然変異SMOの潜在的な拮抗剤には、野生型SMO中でGDC−0449によって占有される部位と結合し、それにより突然変異SMOの生物活性を遮断する小分子が含まれる。小分子の例には、それだけには限定されないが、小ペプチドまたはペプチド様分子、好ましくは可溶性ペプチド、および合成非ペプチジルの有機または無機化合物が含まれる。
リボザイムとは、RNAの特異的切断を触媒することができる酵素的RNA分子である。リボザイムは、相補的な標的RNAとの配列特異的ハイブリダイゼーション、次いでエンドヌクレアーゼ切断によって作用する。潜在的なRNA標的内の特異的なリボザイム切断部位は、既知の技法によって同定することができる。さらなる詳細には、たとえば、Rossi(1994)Current Biology、4:469〜471、およびPCT公開WO97/33551号(1997年9月18日に公開)を参照されたい。
転写を阻害するために使用する三重ヘリックス編成中の核酸分子は、一本鎖であり、デオキシヌクレオチドから構成されているべきである。これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成は、一般に二重鎖の一方の鎖上にプリンまたはピリミジンのかなり大きなストレッチを必要とするフーグスティーンの塩基対合規則を介した三重ヘリックス編成が促進されるように、設計されている。さらなる詳細には、たとえば、PCT公開WO97/33551号、上記を参照されたい。
これらの小分子は、本明細書中で上述したスクリーニングアッセイのうちの任意の1つもしくは複数によって、および/または当業者に周知の任意の他のスクリーニング技法によって同定することができる。突然変異SMO拮抗剤として使用し得る小分子の例は、以下の構造式を有する化合物である。
II.タンパク質
本発明は、単離した突然変異SMOタンパク質を提供する。野生型ヒトSMOを配列番号1に示す。突然変異ヒトSMOを配列番号2に示し、アミノ酸473を「X」として示し、これは、本出願に関してはアスパラギン酸(D)以外の任意のアミノ酸を表す。一部の実施形態では、Xは、ヒスチジン(H)、グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、セリン(S)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアスパラギン(N)である。突然変異SMOおよびその断片は、本明細書中に記載のように突然変異SMO核酸を使用して、当分野で周知のように組換え系中で産生させ得る。そのような核酸は、当分野で周知のように発現ベクター内に組込み、タンパク質の提案された使用に応じて原核または真核細胞であり得る宿主細胞内に形質移入し得る。突然変異SMOの完全長または断片(断片は、少なくとも膜貫通ドメイン6のカルボキシ末端部分および配列番号2のアミノ酸473を含有する)を免疫原として使用して、たとえば本発明の抗体を産生させ得るか、または本発明の抗体を精製し得る。
III.抗体
A.抗突然変異SMO抗体
一態様では、本発明は、SMO、特に突然変異SMOと結合する抗体を提供する。一実施形態では、抗SMO抗体はモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗SMO抗体は、抗体断片、たとえば、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2断片である。一実施形態では、抗突然変異SMO抗体は、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体である。一実施形態では、抗SMO抗体は精製されている。特定の実施形態では、組成物は癌を処置するための医薬配合物である。
1.抗体断片
本発明には抗体断片が包含される。抗体断片は、酵素消化などの伝統的な手段、または組換え技法によって作製し得る。特定の状況下では、完全抗体ではなく抗体断片を使用することに利点がある。断片の大きさが小さいことにより迅速なクリアランスが可能となり、固形腫瘍への接近の改善がもたらされ得る。特定の抗体断片の総説には、Hudsonら(2003)Nat.Med.、9:129〜134を参照されたい。
様々な技法が抗体断片を産生するために開発されている。伝統的には、これらの断片は、インタクトな抗体のタンパク質分解消化を介して誘導していた(たとえば、Morimotoら、Journal of Biochemical and Biophysical Methods、24:107〜117(1992)、およびBrennanら、Science、229:81(1985)を参照)。しかし、これらの断片は、現在では組換え宿主細胞によって直接産生させることができる。Fab、FvおよびScFv抗体断片はすべて大腸菌から発現および分泌させることができ、したがって、大量のこれらの断片の容易な産生が可能となる。抗体断片は、上述の抗体ファージライブラリから単離することができる。あるいは、Fab’−SH断片を大腸菌から直接回収し、化学的にカップリングさせてF(ab’)2断片を形成することができる(Carterら、Bio/Technology、10:163〜167(1992))。別の手法によれば、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞の培養物から直接単離することができる。救出受容体結合エピトープ残基を含む、増加したin vivo半減期を有するFabおよびF(ab’)2断片は、米国特許第5,869,046号に記載されている。抗体断片を産生するための他の技法は、当業者に明らかであろう。特定の実施形態では、抗体は単鎖Fv断片(scFv)である。WO93/16185号、米国特許第5,571,894号、および第5,587,458号を参照されたい。定常領域を欠くインタクトな結合部位を有する種はFvおよびscFvのみである。したがって、これらはin vivo使用における低下した非特異的結合に適切であり得る。scFv融合タンパク質を構築して、scFvのアミノまたはカルボキシ末端のどちらかでのエフェクタータンパク質の融合体を得てもよい。抗体工学(Antibody Engineering)、Borrebaeck編、上記を参照されたい。また、抗体断片は、たとえば、たとえば米国特許第5,641,870号に記載のように、「直鎖抗体」であってもよい。そのような直鎖抗体は単一特異性または二重特異性であり得る。
2.ヒト化抗体
本発明にはヒト化抗体が包含される。非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が当分野で知られている。たとえば、ヒト化抗体には、非ヒトである供給源からの1つまたは複数のアミノ酸残基がそれ内に導入されていることができる。これらの非ヒトアミノ酸残基は多くの場合「輸入」残基と呼ばれ、これらは典型的には「輸入」可変ドメインからとられる。ヒト化は、Winterおよび共同研究者らの方法に従って(Jonesら(1986)Nature、321:522〜525、Riechmannら(1988)Nature、332:323〜327、Verhoeyenら(1988)Science、239:1534〜1536)、超可変領域配列でヒト抗体の対応する配列を置換することによって、本質的に行うことができる。したがって、そのような「ヒト化」抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、実質的にインタクトなヒト可変ドメイン未満のものが、非ヒト種からの対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、一部の超可変領域残基および場合によっては一部のFR残基がげっ歯類抗体中の類似部位の残基によって置換されている、ヒト抗体である。
ヒト化抗体の作製に使用する軽鎖および重鎖の両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低下させるために重要な場合がある。いわゆる「ベストフィット」方法に従って、げっ歯類抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニングする。その後、げっ歯類のものに最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のヒトフレームワークとして受容する。たとえば、Simsら(1993)J.Immunol.、151:2296、Chothiaら(1987)J.Mol.Biol.、196:901を参照されたい。別の方法では、軽鎖または重鎖の特定の部分群のすべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用し得る。たとえば、Carterら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4285、Prestaら(1993)J.Immunol.、151:2623を参照されたい。
一般に、抗体は、抗原に対する高い親和性および他の好都合な生物学的特性を保持してヒト化されることがさらに望ましい。この目的を達成するために、一方法によれば、ヒト化抗体は、親およびヒト化配列の三次元モデルを使用した、親配列および様々な概念的なヒト化産物の分析プロセスによって調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に利用可能であり、当業者が精通している。選択された候補免疫グロブリン配列の確からしい三次元コンホメーション構造を例示かつ表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検査により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原と結合する能力に影響を与える残基の分析が可能となる。このようにして、標的抗原(複数可)に対する増加した親和性などの所望の抗体特徴が達成されるように、FR残基をレシピエントおよび輸入配列から選択して組み合わせることができる。一般に、超可変領域残基が、抗原結合に影響を与えることに直接かつ最も実質的に関与している。
3.ヒト抗体
本発明のヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されたFvクローン可変ドメイン配列(複数可)を、上述の既知のヒト定常ドメイン配列(複数可)と組み合わせることによって、構築することができる。あるいは、本発明のヒトモノクローナル抗体はハイブリドーマ方法によって作製することができる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫およびマウス−ヒトのヘテロ骨髄腫細胞系は、たとえば、Kozbor、J.Immunol.、133:3001(1984)、Brodeurら、モノクローナル抗体の産生技法および応用(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications)、ページ51〜63(Marcel Dekker,Inc.、New York、1987)、ならびにBoernerら、J.Immunol.、147:86(1991)によって記載されている。
現在では、免疫化後に、内在性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の完全レパートリーを産生することができる、トランスジェニック動物(たとえばマウス)を生成することが可能である。たとえば、キメラおよび生殖系列突然変異マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失が、内在性抗体の産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。そのような生殖系列突然変異マウス中にヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイを移入することで、抗原刺激後にヒト抗体の産生がもたらされる。たとえば、Jakobovitsら、Proc. Natl. Acad. Sci USA、90:2551(1993)、Jakobovitsら、Nature、362:255(1993)、Bruggermannら、Year in Immunol.、7:33(1993)を参照されたい。
また、遺伝子シャフリングを使用しても、ヒト抗体を非ヒト、たとえばげっ歯類の抗体から誘導することができ、ヒト抗体は開始非ヒト抗体と同様の親和性および特異性を有する。「エピトープ刷込み」ともよばれるこの方法によれば、本明細書中に記載のファージディスプレイ技法によって得られた非ヒト抗体断片の重鎖または軽鎖可変領域のどちらかをヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置き換えて、非ヒト鎖/ヒト鎖のscFvまたはFabキメラの集団を作製する。抗原を用いた選択により、非ヒト鎖/ヒト鎖のキメラscFvまたはFabの単離がもたらされ、ヒト鎖が、初代ファージディスプレイクローン中で対応する非ヒト鎖を除去した際に破壊された抗原結合部位を復元する、すなわち、エピトープがヒト鎖パートナーの選択を支配する(刷込み)。残りの非ヒト鎖を置き換えるためにこのプロセスを繰り返した際に、ヒト抗体が得られる(PCT WO93/06213号、1993年4月1日に公開を参照)。CDR移植による伝統的な非ヒト抗体のヒト化とは異なり、この技法は、非ヒト起源のFRまたはCDR残基を有さない、完全にヒトである抗体を提供する。
4.二重特異性抗体
二重特異性抗体とは、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施形態では、二重特異性抗体はヒトまたはヒト化抗体である。特定の実施形態では、結合特異性のうちの一方はSMOに対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。特定の実施形態では、二重特異性抗体はSMOの2つの異なるエピトープと結合し得る。また、二重特異性抗体は、SMOを発現する細胞に細胞毒性剤を局在化させるためにも使用し得る。これらの抗体は、SMO結合アーム、および、たとえば、サポリン、抗インターフェロン−α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサートまたは放射性同位元素ハプテンなどの細胞毒性剤と結合するアームを保有する。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片(たとえばF(ab’)2二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作製する方法は当分野で知られている。伝統的には、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖の対の同時発現に基づいており、2つの重鎖は異なる特異性を有する(MilsteinおよびCuello、Nature、305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな取り合わせが原因で、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10個の異なる抗体分子の潜在的な混合物を生じ、そのうちの1つのみが正しい二重特異性構造を有する。通常はアフィニティークロマトグラフィーステップによって実施する正しい分子の精製は、多少厄介であり、生成物の収率は低い。類似の手順が、1993年5月13日に公開のWO93/08829号およびTrauneckerら、EMBO J.、10:3655(1991)中に開示されている。
異なる手法によれば、所望の結合特異性(抗体−抗原の結合部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。融合は、たとえば、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとである。特定の実施形態では、軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)は、融合体のうちの少なくとも1つ中に存在する。免疫グロブリン重鎖融合体、および所望する場合は免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAは、別々の発現ベクター内に挿入され、適切な宿主生物内に同時形質移入される。これにより、構築中に使用する3つのポリペプチド鎖の等しくない比が最適な収率をもたらす実施形態において、3つのポリペプチド断片の相互割合を調節することにおいて大きな柔軟性が提供される。しかし、等比の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現がより高い収率をもたらす場合、または比が特に重要でない場合は、2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクター中に挿入することが可能である。
この手法の一実施形態では、二重特異性抗体は、一方のアーム中の第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方のアーム中のハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)からなる。免疫グロブリン軽鎖が二重特異性分子の半分にしか存在しないことが容易な分離方法を提供するため、この不斉構造が、所望の二重特異性化合物を所望しない免疫グロブリン鎖の組合せから分離することを容易にすることが見出された。この手法はWO94/04690号に開示されている。二重特異性抗体の作製のさらなる詳細には、たとえばSureshら、Methods in Enzymology、121:210(1986)を参照されたい。
別の手法によれば、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の百分率を最大限にするために、1対の抗体分子間の界面を操作することができる。界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面からの1つまたは複数の小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(たとえばチロシンまたはトリプトファン)で置き換える。大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(たとえばアラニンまたはスレオニン)で置き換えることによって、大きな側鎖(複数可)と同一または類似の大きさの代償「空隙」を第2の抗体分子の界面上に作製する。これにより、ヘテロ二量体の収率を、ホモ二量体などの他の所望しない最終産物を超えて増加させるための機構が提供される。
二重特異性抗体には、架橋結合したまたは「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。たとえば、ヘテロコンジュゲート中の抗体のうちの一方をアビジンとカップリングさせ、他方をビオチンとカップリングさせることができる。そのような抗体は、たとえば、免疫系細胞を所望しない細胞に標的化するため(米国特許第4,676,980号)、ならびにHIV感染症を処置するために提案されている(WO91/00360号、WO92/00373号、およびEP03089号)。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋結合方法を使用して作製し得る。適切な架橋結合剤は当分野で周知であり、いくつかの架橋結合技法と共に米国特許第4,676,980号に開示されている。
また、二重特異性抗体を抗体断片から作製する技法も文献中に記載されている。たとえば、二重特異性抗体は化学結合を使用して調製することができる。Brennanら、Science、229:81(1985)は、インタクトな抗体をタンパク質分解切断して、F(ab’)2断片を作製する手順を記載している。これらの断片は、ジチオール錯化剤亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元されて、近接するジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を妨げる。その後、作製されたFab’断片をチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体へと変換する。その後、メルカプトエチルアミンを用いた還元によってFab’−TNB誘導体のうちの1つをFab’−チオールへと再度変換し、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合して二重特異性抗体を形成する。生成される二重特異性抗体は、酵素の選択的固定のための薬剤として使用することができる。
最近の進歩により、Fab’−SH断片を大腸菌から直接回収することが容易となり、これを化学的にカップリングさせて二重特異性抗体を形成することができる。Shalabyら、J.Exp.Med.、175:217〜225(1992)は、完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab’)2分子の産生を記載している。それぞれのFab’断片を大腸菌から別々に分泌させ、in vitroの指令化学的カップリング(directed chemical coupling)に供して二重特異性抗体を形成する。そのように形成された二重特異性抗体は、HER2受容体を過剰発現する細胞および正常なヒトT細胞と結合することができ、また、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞毒性リンパ球の溶解活性を始動させることができた。
また、二重特異性抗体断片を組換え細胞培養物から直接作製および単離する様々な技法も記載されている。たとえば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを使用して生成されている。Kostelnyら、J.Immunol.、148(5):1547〜1553(1992)。FosおよびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab’部分に連結させた。抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元して単量体を形成し、その後、再度酸化して抗体ヘテロ二量体を形成した。また、この方法は抗体ホモ二量体の生成にも利用することができる。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444〜6448(1993)によって記載されている「ジアボディー」技術は、二重特異性抗体断片を作製するための代替機構を提供している。断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)と接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、1つの断片のVHおよびVLドメインが、別の断片の相補的なVLおよびVHドメインと対合することが強いられ、それにより2つの抗原結合部位が形成される。また、単鎖Fv(sFv)二量体の使用によって二重特異性抗体断片を作製する別の戦略も報告されている。Gruberら、J.Immunol.、152:5368(1994)を参照されたい。
2つより多くの結合価を有する抗体が企図される。たとえば、三重特異性抗体を調製することができる。Tuttら、J.Immunol.、147:60(1991)。
5.多価抗体
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞によって二価抗体よりも速く内部移行(および/または異化)され得る。本発明の抗体は、3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(IgMクラス以外のものである)(たとえば四価抗体)であることができ、これは抗体のポリペプチド鎖をコードしている核酸の組換え発現によって容易に産生させることができる。多価抗体は、二量体化ドメインおよび3つ以上の抗原結合部位を含むことができる。特定の実施形態では、二量体化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはそれからなる)。このシナリオでは、抗体は、Fc領域およびFc領域のアミノ末端側に3つ以上の抗原結合部位を含む。特定の実施形態では、多価抗体は、3〜約8個の抗原結合部位を含む(またはそれからなる)。1つのそのような実施形態では、多価抗体は、4つの抗原結合部位を含む(またはそれからなる)。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(たとえば2つのポリペプチド鎖)を含み、ポリペプチド鎖(複数可)は2つ以上の可変ドメインを含む。たとえば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VD1−(X1)n−VD2−(X2)n−Fcを含んでいてよく、VD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1およびX2はアミノ酸またはポリペプチドを表し、nは0または1である。たとえば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VH−CH1−柔軟なリンカー−VH−CH1−Fc領域の鎖、またはVH−CH1−VH−CH1−Fc領域の鎖を含み得る。本明細書中の多価抗体は、少なくとも2つ(たとえば4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含み得る。本明細書中の多価抗体は、たとえば、約2〜約8個の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含み得る。ここで企図される軽鎖可変ドメインポリペプチドは軽鎖可変ドメインを含み、任意選択でCLドメインをさらに含む。
6.単一ドメイン抗体
一部の実施形態では、本発明の抗体は単一ドメイン抗体である。単一ドメイン抗体とは、抗体の重鎖可変ドメインの全体もしくは一部分または軽鎖可変ドメインの全体もしくは一部分を含む、単一のポリエプチド(polyeptide)鎖である。特定の実施形態では、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、マサチューセッツ州Waltham、たとえば米国特許第6,248,516 B1号を参照)。一実施形態では、単一ドメイン抗体は抗体の重鎖可変ドメインの全体または一部分からなる。
7.抗体変異体
一部の実施形態では、本明細書中に記載の抗体のアミノ酸配列の修飾(複数可)が企図される。たとえば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善させることが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードしているヌクレオチド配列内に適切な変化を導入することによって、またはペプチド合成によって調製し得る。そのような修飾には、たとえば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失および/またはそれ内への挿入および/またはその置換が含まれる。最終構築体が所望の特徴を保有する限りは、欠失、挿入、および置換の任意の組合せを行って最終構築体に達することができる。アミノ酸の変更は、対象抗体アミノ酸配列中に、その配列の作製時に導入し得る。
突然変異誘発に好ましい位置である、抗体の特定の残基または領域を同定するための有用な方法は、CunninghamおよびWells(1989)Science、244:1081〜1085によって記載されている「アラニン走査突然変異誘発」と呼ばれる。ここでは、標的残基の残基または基を同定し(たとえば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を与えるために中性または負荷電のアミノ酸(たとえばアラニンまたはポリアラニン)によって置き換える。その後、追加または他の変異体を置換の部位でまたはその代わりに導入することによって、置換に対して機能的感受性を実証するアミノ酸位置を洗練する。したがって、アミノ酸配列の変動を導入する部位は事前に決定されているが、突然変異の性質自体は事前に決定されている必要はない。たとえば、所定の部位での突然変異の性能を分析するために、ala走査またはランダム突然変異誘発を標的コドンまたは領域で実施し、発現された免疫グロブリンを所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列の挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含有するポリペプチドの範囲の長さのアミノおよび/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異には、抗体のNまたはC末端と酵素(たとえばADEPTに対するもの)または抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドとの融合が含まれる。
特定の実施形態では、本発明の抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるために変更する。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的にはN−連結またはO−連結のどちらかである。N−連結とは、炭水化物部分をアスパラギン残基の側鎖に付着させることをいう。トリペプチド配列であるアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン[式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である]は、炭水化物部分とアスパラギン側鎖との酵素付着の認識配列である。したがって、これらのトリペプチド配列のうちのいずれかがポリペプチド中に存在することで、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O−連結グリコシル化とは、糖であるN−アセイルガラクトサミン(aceylgalactosamine)、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つと、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニン(ただし、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンも使用し得る)との付着をいう。
抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、上述のトリペプチド配列(N−連結グリコシル化部位用)のうちの1つまたは複数が作製または除去されるようにアミノ酸配列を変更することによって、好都合に達成される。また、変更は、元の抗体の配列への1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基の付加、欠失、または置換によっても行い得る(O−連結グリコシル化部位用)。
抗体がFc領域を含む場合、それに付着させた炭水化物を変更させ得る。哺乳動物細胞によって産生されたネイティブ抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297とのN−連結によって一般に付着している、分枝状の二分岐のオリゴ糖を含む。たとえばWrightら(1997)TIBTECH、15:26〜32を参照されたい。オリゴ糖には、様々な炭水化物、たとえば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、およびシアル酸、ならびに二分岐のオリゴ糖構造の「幹部」中のGlcNAcに付着したフコースが含まれ得る。一部の実施形態では、本発明の抗体中のオリゴ糖の修飾は、特定の改善された特性を有する抗体変異体を作製するために行い得る。
たとえば、Fc領域と(直接または間接的に)付着したフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体変異体が提供される。そのような変異体は改善されたADCC機能を有し得る。たとえば、米国特許公開US2003/0157108号(Presta、L.)、US2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化された」または「フコース欠損」抗体変異体に関連する出版物の例には、US2003/0157108号、WO2000/61739号、WO2001/29246号、US2003/0115614号、US2002/0164328号、US2004/0093621号、US2004/0132140号mUS2004/0110704号、US2004/0110282号、US2004/0109865号、WO2003/085119号、WO2003/084570号、WO2005/035586号、WO2005/035778号、WO2005/053742号、WO2002/031140号、Okazakiら、J.Mol.Biol.、336:1239〜1249(2004)、Yamane−Ohnukiら、Biotech.Bioeng.、87:614(2004)が含まれる。脱フコシル化された抗体を産生することができる細胞系の例には、タンパク質のフコシル化を欠くLec13 CHO細胞(Ripkaら、Arch.Biochem.Biophys.、249:533〜545(1986)、米国特許出願US2003/0157108 A1号、Presta,L、およびWO2004/056312 A1号、Adamsら、特に実施例11)、ならびにノックアウト細胞系、たとえば、アルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(たとえば、Yamane−Ohnukiら、Biotech.Bioeng.、87:614(2004)、Kanda,Y.ら、Biotechnol.Bioeng.、94(4):680〜688(2006)、およびWO2003/085107号を参照)が含まれる。
抗体変異体は、二分されたオリゴ糖を有してさらに提供される、たとえば、抗体のFc領域に付着した二分岐のオリゴ糖がGlcNAcによって二分されている。そのような抗体変異体は、低下したフコシル化および/または改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体変異体の例は、たとえば、WO2003/011878号(Jean−Mairetら)、米国特許第6,602,684号(Umanaら)、およびUS2005/0123546号(Umanaら)に記載されている。また、Fc領域と付着したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は改善されたCDD機能を有し得る。そのような抗体変異体は、たとえば、WO1997/30087号(Patelら)、WO1998/58964号(Raju,S.)、およびWO1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。
特定の実施形態では、抗体変異体は、ADCCをさらに改善させる1つまたは複数のアミノ酸置換、たとえば、Fc領域の位置298、333、および/または334(EU残基付番)での置換を有するFc領域を含む。そのような置換は、上述の変動のうちの任意のものと組み合わせて起こり得る。
特定の実施形態では、本発明は、エフェクター機能の一部を保有するがすべてを保有しない抗体変異体を企図し、それにより、これが、抗体のin vivo半減期は重要であるが特定のエフェクター機能(補体およびADCCなど)は不必要または有害である、多くの応用における望ましい候補となる。特定の実施形態では、所望の特性のみが維持されることを確実にするために、抗体のFc活性を測定する。in vitroおよび/またはin vivoの細胞毒性アッセイを実施して、CDDおよび/またはADCC活性の低下/枯渇を確認することができる。たとえば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施して、抗体がFcγR結合を欠く(したがって恐らくはADCC活性を欠く)が、FcRn結合能力を保持することを確実にすることができる。ADCCを媒介するための初代細胞、NK細胞は、Fc(RIIIのみを発現する一方で、単球はFc(RI、Fc(RIIおよびFc(RIIIを発現する。造血細胞上でのFcRの発現は、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol.、9:457〜92(1991)のページ464の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(たとえばHellstrom,I.ら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、83:7059〜7063(1986)を参照)およびHellstrom,Iら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、82:1499〜1502(1985)、第5,821,337号(Bruggemann,M.ら、J.Exp.Med.、166:1351〜1361(1987)を参照)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ方法を用い得る(たとえば、フローサイトメトリーにはACTI(商標)非放射性細胞毒性アッセイ(CellTechnology,Inc.、カリフォルニア州Mountain View;およびCytoTox96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega、ウィスコンシン州Madison)を参照。そのようなアッセイのために有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、またはそれに加えて、対象の分子のADCC活性は、in vivoで、たとえば、Clynesら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、95:652〜656(1998)に開示されているものなどの動物モデルにおいて評価し得る。また、C1q結合アッセイも実施して、抗体がC1qと結合することができず、したがってCDD活性を欠くことを確認し得る。補体の活性化を評価するためには、CDDアッセイを行い得る(たとえば、Gazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods、202:163(1996)、Cragg,M.S.ら、Blood、101:1045〜1052(2003)、ならびにCragg,M.S.およびM.J.Glennie、Blood、103:2738〜2743(2004)を参照)。また、FcRn結合およびin vivoクリアランス/半減期の決定も、当分野で知られている方法を使用して行うことができる(たとえばPetkova,S.B.ら、Int’l.Immunol.、18(12):1759〜1769(2006)を参照)。
1つまたは複数のアミノ酸置換を有する他の抗体変異体が提供される。置換突然変異誘発のための対象の部位には超可変領域が含まれるが、FRの変更も企図される。保存的置換は、表1中、「好ましい置換」の見出しの下に示されている。「例示的な置換」と命名したより実質的な変化が、表1中に、またはアミノ酸クラスを参照して以下にさらに記載するように、提供されている。アミノ酸置換を対象の抗体内に導入し、生成物を、たとえば、改善された抗原結合、減少した免疫原性、改善されたADCCまたはCDDなどの所望の活性についてスクリーニングし得る。
抗体の生物学的特性の改変は、(a)置換領域中の、たとえばシートもしくはヘリックスコンホメーションとしてのポリペプチド主鎖の構造、(b)標的部位での分子の荷電もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩に影響を与える置換を選択することによって、達成し得る。アミノ酸は、その側鎖の特性の類似性に応じて分類し得る(A.L.Lehninger、生化学(Biochemistry)、第2版、ページ73〜75、Worth Publishers、New York(1975)):
(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)
(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)
(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)
あるいは、天然に存在する残基は、共通の側鎖の特性に基づいて群に分け得る:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性:Asp、Glu、
(4)塩基性:His、Lys、Arg、
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro、
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。そのような置換された残基は、保存的置換部位内、または残りの(非保存的)部位内に導入してもよい。
1つの置換変異体の種類は、親抗体(たとえばヒト化またはヒト抗体)の1つまたは複数の超可変領域残基の置換を含む。一般に、さらなる開発のために選択された、生じた変異体(複数可)は、それらを作製した親抗体と比較して改変された(たとえば改善された)生物学的特性を有する。例示的な置換変異体は、ファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して好都合に作製し得る、親和性成熟した抗体である。手短に述べると、いくつかの超可変領域部位(たとえば6〜7個の部位)を突然変異させて、それぞれの部位ですべての可能なアミノ酸置換を作製する。そのようにして作製された抗体は、それぞれの粒子内にパッケージングされたファージコートタンパク質の少なくとも一部(たとえばM13の遺伝子IIIの産物)との融合体として、線維状ファージ粒子からディスプレイされる。その後、ファージディスプレイされた変異体を、その生物活性(たとえば結合親和性)についてスクリーニングする。修飾する候補超可変領域部位を同定するために、走査突然変異誘発(たとえばアラニン走査)を行って、抗原結合に顕著に貢献する超可変領域残基を同定することができる。あるいは、またはそれに加えて、抗体と抗原との接触点を同定するために、抗原−抗体複合体の結晶構造を分析することが有益であり得る。そのような接触残基および隣接残基は、本明細書中で詳述したものを含めた当分野で知られている技法による置換の候補である。そのような変異体が作製された後、変異体のパネルを、本明細書中に記載したものを含めた当分野で知られている技法を使用したスクリーニングに供し、1つまたは複数の関連するアッセイにおいて優れた特性を有する変異体を、さらなる開発のために選択し得る。
抗体のアミノ酸配列変異体をコードしている核酸分子は、当分野で知られている様々な方法によって調製される。これらの方法には、それだけには限定されないが、天然源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合)、または抗体の以前に調製した変異体もしくは非変異体の型のオリゴヌクレオチドに媒介される(もしくは部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、およびカセット突然変異誘発による調製が含まれる。
本発明の抗体のFc領域中に1つまたは複数のアミノ酸修飾を導入し、それによりFc領域変異体を作製することが望ましい場合がある。Fc領域変異体は、ヒンジシステインを含めた1つまたは複数のアミノ酸の位置でのアミノ酸修飾(たとえば置換)を含むヒトFc領域配列(たとえば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
本説明および当分野の教示に従って、一部の実施形態では、本発明の抗体は、野生型対応物の抗体と比較して、たとえばFc領域中に1つまたは複数の変更を含み得ることが企図される。そうとはいえ、これらの抗体は、その野生型対応物と比較して、治療的な有用性に必要な実質的に同じ特徴を保持する。たとえば、たとえばWO99/51642号に記載のように、変更された(すなわち、改善されたまたは減少した)C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDD)をもたらすであろう特定の変更を、Fc領域中に行うことができると考えられている。また、Fc領域変異体の他の例に関するDuncanおよびWinter、Nature、322:738〜40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、ならびにWO94/29351号も参照されたい。WO00/42072号(Presta)およびWO2004/056312号(Lowman)は、FcRに対して改善されたまたは減少した結合を有する抗体変異体を記載している。これらの特許公開の内容は、本明細書中に参考として具体的に組み込まれている。また、Shieldsら、J.Biol.Chem.、9(2):6591〜6604(2001)も参照されたい。増加した半減期ならびに母系IgGを胎児に移すことを司っている(Guyerら、J.Immunol.、117:587(1976)およびKimら、J.Immunol.、24:249(1994))新生児Fc受容体(FcRn)に対する改善された結合を有する抗体は、US2005/0014934A1号(Hintonら)に記載されている。これらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善させる1つまたは複数の置換をそれ中に有するFc領域を含む。変更されたFc領域アミノ酸配列を有するポリペプチド変異体および増加または減少したC1q結合能力は、米国特許第6,194,551 B1号、WO99/51642号に記載されている。これらの特許公開の内容は、本明細書中に参考として具体的に組み込まれている。また、Idusogieら、J.Immunol.、164:4178〜4184(2000)も参照されたい。
別の態様では、本発明は、Fc領域を含むFcポリペプチドの界面中に修飾を含む抗体を提供し、修飾は、ヘテロ二量体化を容易にするおよび/または促進する。これらの修飾は、第1のFcポリペプチド内への隆起および第2のFcポリペプチド内への空隙の導入を含み、第1および第2のFcポリペプチドの複合体形成を促進するように、隆起は空隙内に配置可能である。これらの修飾を有する抗体を作製する方法は、たとえば米国特許第5,731,168号に記載のように、当分野で知られている。
さらに別の態様では、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換されている、システインを操作した抗体、たとえば「チオMAb」を作製することが望ましい場合がある。特定の実施形態では、置換された残基は、抗体の接近可能な部位で起こる。本明細書中にさらに記載されているように、これらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基がそれにより抗体の接近可能な部位に配置され、抗体を薬物部分またはリンカー−薬物部分などの他の部分とコンジュゲートさせるために使用し得る。特定の実施形態では、軽鎖軽鎖のV205(Kabat付番)、重鎖のA118(EU付番)、および重鎖Fc領域のS400(EU付番)の残基のうちの任意の1つまたは複数をシステインで置換し得る。
8.抗体誘導体
本発明の抗体は、当分野で知られており、かつ容易に利用可能な追加の非タンパク質部分を含有するように、さらに修飾することができる。好ましくは、抗体の誘導体化に適した部分は水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定的な例には、それだけには限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのどちらか)、およびデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、酸化プロリルプロピレン(prolypropylene)/酸化エチレンコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(たとえばグリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにその混合物が含まれる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性が原因で、製造における利点を有し得る。ポリマーは任意の分子量であってよく、分枝状または非分枝状であってよい。抗体に付着したポリマーの数は変動していてよく、複数のポリマーが付着している場合、これらは同じまたは異なる分子であることができる。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/または種類は、それだけには限定されないが、改善させる抗体の具体的な特性または機能、抗体誘導体が定義された条件下で治療に使用されるかどうかなどを含めた検討事項に基づいて決定することができる。
別の実施形態では、抗体と放射線への曝露によって選択的に加熱し得る非タンパク質部分とのコンジュゲートが提供される。一実施形態では、非タンパク質部分は炭素ナノチューブである(Kamら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、102:11600〜11605(2005))。照射は任意の波長であってよく、それだけには限定されないが、通常の細胞に害を与えないが、非タンパク質部分を抗体−非タンパク質部分に近位の細胞が死滅される温度まで加熱する波長が含まれる。
B.抗体を作製する特定の方法
1.特定のハイブリドーマに基づく方法
本発明のモノクローナル抗体は、最初にKohlerら、Nature、256:495(1975)によって記載されており、ヒト−ヒトハイブリドーマに関してたとえばHongoら、Hybridoma、14(3):253〜260(1995)、Harlowら、抗体:実験室の手引き(Antibodies:A Laboratory Manual)、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988)、Hammerlingら、モノクローナル抗体およびT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas)、563〜681(Elsevier、N.Y.、1981)、ならびにNi、Xiandai Mianyixue、26(4):265〜268(2006)にさらに記載されている、ハイブリドーマ方法を使用して作製することができる。
さらなる方法には、ハイブリドーマ細胞系からのモノクローナルヒト天然IgM抗体の産生に関してたとえば米国特許第7,189,826号に記載されているものが含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はVollmersおよびBrandlein、組織学および組織病理学(Histology and Histopathology)、20(3):927〜937(2005)ならびにVollmersおよびBrandlein、実験的および臨床的薬理学の方法および発見(Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology)、27(3):185〜91(2005)に記載されている。
様々な他のハイブリドーマ技法には、たとえば、US2006/258841号、US2006/183887号(完全ヒト抗体)、US2006/059575号、US2005/287149号、US2005/100546号、US2005/026229号、ならびに米国特許第7,078,492号および第7,153,507号を参照されたい。ハイブリドーマ方法を使用してモノクローナル抗体を産生する例示的なプロトコルは、以下のように記載されている。一実施形態では、マウス、またはハムスターなどの他の適切な宿主動物を免疫化して、免疫化に使用されるタンパク質と特異的に結合する抗体を産生する、または産生ことができるリンパ球を誘発させる。抗体は、動物中で、突然変異SMOまたはその断片を含むポリペプチド、およびモノホスホリル脂質A(MPL)/トレハロースジクリノミコレート(dicrynomycolate)(TDM)(Ribi Immunochem.Research,Inc.、モンタナ州Hamilton)などのアジュバントなどの複数の皮下(sc)または腹腔内(ip)注射によって産生させる。突然変異SMOまたはその断片を含むポリペプチドは、その一部が本明細書中にさらに記載されている、組換え方法などの当分野で周知の方法を使用して調製し得る。免疫化した動物からの血清を抗突然変異SMO抗体についてアッセイし、ブースト免疫化を任意選択で投与する。抗突然変異SMO抗体を産生している動物からのリンパ球を単離する。あるいは、リンパ球をin vitroで免疫化し得る。
その後、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を使用してリンパ球を骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する。たとえばGoding、モノクローナル抗体:原理および実施(Monoclonal Antibodies:Principles and Practice)、ページ59〜103(Academic Press、1986)を参照されたい。効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体産生を支持し、HAT培地などの培地に感受性のある骨髄腫細胞を使用し得る。例示的な骨髄腫細胞には、それだけには限定されないが、Salk Institute Cell Distribution Center、米国カリフォルニア州San Diegoから入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍、ならびにAmerican Type Culture Collection、米国メリーランド州Rockvilleから入手可能なSP−2またはX63−Ag8−653細胞に由来するものなどの、ネズミ骨髄腫系が含まれる。また、ヒト骨髄腫およびマウス−ヒトのヘテロ骨髄腫細胞系も、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor、J.Immunol.、133:3001(1984); Brodeurら、モノクローナル抗体の産生技法および応用(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications)、ページ51〜63(Marcel Dekker,Inc.、New York、1987))。
そのようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、適切な培養培地、たとえば、融合していない親骨髄腫細胞の成長または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含有する培地中に播種し、成長させる。たとえば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマの培養培地には、典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT培地)が含まれ、これらの物質はHGPRT欠損細胞の成長を防止する。好ましくは、ウシ胎児血清などの動物由来の血清の使用を低下させるために、たとえばEvenら、Trends in Biotechnology、24(3)、105〜108(2006)に記載のように、無血清ハイブリドーマ細胞培養方法を使用する。
ハイブリドーマ細胞培養物の生産性を改善させるツールとしてのオリゴペプチドは、Franek、Trends in Monoclonal Antibody Research、111〜122(2005)に記載されている。具体的には、標準の培養培地を特定のアミノ酸(アラニン、セリン、アスパラギン、プロリン)、またはタンパク質加水分解物の画分で強化し、アポトーシスが3〜6個のアミノ酸残基から構成される合成オリゴペプチドによって有意に抑制され得る。ペプチドはミリモーラー以上の濃度で存在する。
ハイブリドーマ細胞を成長させている培養培地を、突然変異SMOと結合するモノクローナル抗体の産生についてアッセイし得る。ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)などのin vitro結合アッセイによって決定し得る。モノクローナル抗体の結合親和性は、たとえばスキャッチャード分析によって決定することができる。たとえばMunsonら、Anal.Biochem.、107:220(1980)を参照されたい。
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを限界希釈手順によってサブクローニングし、標準の方法によって成長させ得る。たとえばGoding、上記を参照されたい。この目的のための適切な培養培地には、たとえば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物中の腹水腫瘍としてin vivoで成長させ得る。サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、たとえば、タンパク質A−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなどの慣用の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地、腹水、または血清から適切に分離される。タンパク質をハイブリドーマ細胞から単離するために一手順は、US2005/176122号および米国特許第6,919,436号に記載されている。この方法には、リオトロピック塩などの最小限の塩を結合プロセスで使用し、好ましくは溶出プロセスに小量の有機溶媒も使用することが含まれる。
2.特定のライブラリのスクリーニング方法
本発明の抗体は、所望の活性または複数の活性を有する抗体をスクリーニングするために、コンビナトリアルライブラリを使用して作製することができる。たとえば、ファージディスプレイライブラリを作製し、そのようなライブラリを所望の結合特徴を保有する抗体についてスクリーニングための、様々な方法が当分野で知られている。そのような方法は、一般にHoogenboomら、分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)、178:1〜37(O’Brienら編、Human Press、ニュージャージー州Totowa、2001)に記載されている。たとえば、対象の抗体を作製する一方法は、Leeら、J.Mol.Biol.(2004)、340(5):1073〜93に記載のファージ抗体ライブラリの使用によるものである。
原理上は、合成抗体クローンは、ファージコートタンパク質と融合した抗体可変領域(Fv)の様々な断片をディスプレイするファージを含有するファージライブラリをスクリーニングすることによって選択される。そのようなファージライブラリは、所望の抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによってパニングされる。所望の抗原と結合することができるFv断片を発現するクローンは抗原に吸着され、したがってライブラリ中の結合しないクローンから分離される。その後、結合クローンを抗原から溶出させ、抗原の吸着/溶出のさらなるサイクルによってさらに強化することができる。Kabatら、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、NIH出版、91〜3242、メリーランド州Bethesda(1991)、第1〜3巻に記載のように、本発明の抗体のうちの任意のものを、対象のファージクローンを選択するための適切な抗原スクリーニング手順を設計し、次いで、対象のファージクローンおよび適切な定常領域(Fc)配列からのFv配列を使用して完全長抗体クローンを構築することによって、得ることができる。
特定の実施形態では、抗体の抗原結合ドメインは、どちらも3個の超可変ループ(HVR)または相補性決定領域(CDR)を提示する、軽鎖(VL)および重鎖(VH)からそれぞれ1個ずつの、約110個のアミノ酸の2つの可変(V)領域から形成される。Winterら、Ann.Rev.Immunol.、12:433〜455(1994)に記載のように、可変ドメインは、VHおよびVLが短い柔軟なペプチドを介して共有結合されている単鎖Fv(scFv)断片として、または、それぞれ定常ドメインに融合されており、非共有に相互作用するFab断片として、ファージ上に機能的にディスプレイされることができる。本明細書中で使用する、scFvをコードしているファージクローンおよびFabをコードしているファージクローンは、「Fvファージクローン」または「Fvクローン」と総称される。
Winterら、Ann.Rev.Immunol.、12:433〜455(1994)に記載のように、VHおよびVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングし、ファージライブラリ中でランダムに組み替えることができ、その後、これを抗原結合クローンについて検索することができる。免疫化した供給源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性の抗体をもたらす。あるいは、Griffithsら、EMBO J、12:725〜734(1993)に記載のように、ナイーブなレパートリーをクローニングして、免疫化をまったく用いずに広範囲の非自己および自己抗原に対するヒト抗体の単一の供給源を提供することができる。最後に、HoogenboomおよびWinter、J.Mol.Biol.、227:381〜388(1992)によって記載されているように、ナイーブなライブラリは、再編成されていないV遺伝子セグメントを幹細胞からクローニングし、高度に可変性のCDR3領域をコードするためにランダム配列を含有するPCRプライマーを使用し、in vitroの再編成を達成することによって、合成によっても作製することができる。
特定の実施形態では、線維状ファージを使用して、副コートタンパク質pIIIとの融合によって抗体断片をディスプレイさせる。抗体断片は、たとえばMarksら、J.Mol.Biol.、222:581〜597(1991)によって記載されているように、VHおよびVLドメインが同じポリペプチド鎖上で柔軟なポリペプチドスペーサーによって接続されている単鎖Fv断片として、または、たとえばHoogenboomら、Nucl.Acids Res.、19:4133〜4137(1991)によって記載されているように、一方の鎖がpIIIと融合されており、他方が細菌宿主細胞ペリプラズム内に分泌されるFab断片として、ディスプレイさせることができ、野生型コートタンパク質の一部を置き換えることによってファージ表面上にディスプレイされる、Fab−コートタンパク質の構造のアセンブリである。
一般に、抗体遺伝子断片をコードしている核酸は、ヒトまたは動物から収穫した免疫細胞から得られる。抗突然変異SMOクローンが有利となるように偏ったライブラリが所望される場合は、対象を突然変異SMOで免疫化して抗体応答を生じさせ、脾臓細胞および/または循環B細胞、他の末梢血リンパ球(PBL)をライブラリ構築のために回収する。好ましい実施形態では、抗突然変異SMOクローンが有利となるように偏ったヒト抗体遺伝子断片ライブラリは、突然変異SMO免疫化により突然変異SMOに対するヒト抗体を産生するB細胞が生じるように、機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイを保有する(かつ機能的内在性抗体産生系を欠く)トランスジェニックマウスにおいて抗突然変異SMO抗体応答を生じさせることによって得られる。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスの作製は以下に記載されている。
抗突然変異SMO反応性細胞集団のさらなる強化は、突然変異SMOに特異的な膜結合抗体を発現するB細胞を単離するための適切なスクリーニング手順を使用することによって、たとえば、突然変異SMOアフィニティークロマトグラフィーを使用した細胞分離、または細胞を蛍光色素で標識した突然変異SMOをと吸着させ、次いでフロー活性化細胞分取(FACS)によって、得ることができる。
あるいは、免疫化していないドナーからの脾臓細胞および/またはB細胞もしくは他のPBLの使用は、潜在的な抗体レパートリーのより良好な提示を提供し、また、突然変異SMOが抗原性でない任意の動物(ヒトまたは非ヒト)種を使用した抗体ライブラリの構築も可能にする。in vitroの抗体遺伝子構築を組み込んだライブラリでは、幹細胞を対象から収穫して、再編成されていない抗体遺伝子セグメントをコードしている核酸を提供する。対象の免疫細胞は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ目動物、ルプリン(luprine)、イヌ科動物、ネコ科動物、ブタ、ウシ、ウマ科動物、およびトリ種などの様々な動物種から得ることができる。
抗体可変遺伝子セグメント(VHおよびVLセグメントが含まれる)をコードしている核酸を対象の細胞から回収し、増幅する。再編成されたVHおよびVL遺伝子ライブラリの場合、所望のDNAは、ゲノムDNAまたはmRNAをリンパ球から単離し、次いで、Orlandiら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、86:3833〜3837(1989)に記載のように、再編成されたVHおよびVL遺伝子の5’および3’末端に一致するプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって得ることができ、それにより、発現のための多様なV遺伝子レパートリーが作製される。Orlandiら(1989)およびWardら、Nature、341:544〜546(1989)に記載されているように、V遺伝子はcDNAおよびゲノムDNAから増幅することができ、エクソンの5’末端の逆方向プライマーは成熟Vドメインをコードしており、順方向プライマーはJセグメント内に基づく。しかし、cDNAからの増幅には、逆方向プライマーJonesら、Biotechnol.、9:88〜89(1991)に記載のようにリーダーエクソン中に、順方向プライマーはSastryら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、86:5728〜5732(1989)に記載のように定常領域内に基づいていることもできる。Orlandiら(1989)またはSastryら(1989)に記載のように、相補性を最大にするために、縮重をプライマー中に取り込ませることができる。特定の実施形態では、たとえば、Marksら、J.Mol.Biol.、222:581〜597(1991)の方法に記載のように、またはOrumら、Nucleic Acids Res.、21:4491〜4498(1993)の方法に記載のように、ライブラリの多様性は、免疫細胞核酸試料中に存在するすべての利用可能なVHおよびVLの配置を増幅するために、それぞれのV遺伝子ファミリーに対して標的化されたPCRプライマーを使用することによって最大にする。増幅したDNAを発現ベクター内にクローニングするためには、希少な制限部位をPCRプライマー内に、Orlandiら(1989)に記載のように一端にタグとして、または、Clacksonら、Nature、352:624〜628(1991)に記載のようにタグ付けしたプライマーを用いたさらなるPCR増幅によって、導入することができる。
合成によって再編成されたV遺伝子のレパートリーは、in vitroでV遺伝子セグメントから誘導することができる。ヒトVH−遺伝子セグメントのほとんどがクローニングおよび配列決定されており(Tomlinsonら、J.Mol.Biol.、227:776〜798(1992)中に報告)、マップされており(Matsudaら、Nature Genet.、3:88〜94(1993)中に報告、HoogenboomおよびWinter、J.Mol.Biol.、227:381〜388(1992)に記載のように、これらのクローニングされたセグメント(H1およびH2ループのすべての主要なコンホメーションが含まれる)を使用して、多様な配列および長さのH3ループをコードしているPCRプライマーを用いて多様なVH遺伝子レパートリーを作製することができる。また、Barbasら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4457〜4461(1992)に記載のように、VHレパートリーは、すべての配列多様性を単一の長さの長いH3ループ中に集中させて作製することもできる。ヒトVκおよびVλセグメントはクローニングおよび配列決定されており(WilliamsおよびWinter、Eur.J.Immunol.、23:1456〜1461(1993)中に報告)、合成軽鎖レパートリーを作製するために使用することができる。合成V遺伝子レパートリーは、様々なVHおよびVLの折り畳み、ならびにL3およびH3の長さに基づいて、相当な構造的多様性の抗体をコードする。V遺伝子のコードDNAの増幅の後、HoogenboomおよびWinter、J.Mol.Biol.、227:381〜388(1992)の方法に従って生殖系列のV遺伝子セグメントをin vitroで再編成することができる。
抗体断片のレパートリーは、VHおよびVL遺伝子レパートリーをいくつかの様式で一緒に組み合わせることによって構築することができる。それぞれのレパートリーを異なるベクター中で作製させ、ベクターをin vitroで、たとえばHogrefeら、Gene、128:119〜126(1993)に記載のように、またはin vivoでコンビナトリアル感染によって、たとえばWaterhouseら、Nucl.Acids Res.、21:2265〜2266(1993)に記載のloxP系によって組み換えることができる。in vivo組換え手法では、大腸菌の形質転換の効率によって課されるライブラリの大きさの制限に打ち勝つために、Fab断片の二本鎖性質を活用する。ナイーブなVHおよびVLレパートリーは、一方なファージミド内、他方はファージベクター内に、別々にクローニングする。その後、それぞれの細胞が異なる組合せを含有し、ライブラリの大きさが存在する細胞の数(約1012個のクローン)によってのみ制限されるように、2つのライブラリをファージミド含有細菌のファージ感染によって組み合わせる。どちらのベクターも、VHおよびVL遺伝子が単一のレプリコン上に組み換えられ、ファージビリオン内に同時にパッケージングされるように、in vivo組換えシグナルを含有する。これらの大きなライブラリは、多数の良好な親和性の多様な抗体を提供する(約10-8MのKd -1)。
あるいは、レパートリーは、たとえばBarbasら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:7978〜7982(1991)に記載のように同じベクター内に連続的にクローニングし得るか、または、たとえばClacksonら、Nature、352:624〜628(1991)に記載のように、PCRによって一緒にアセンブルし、その後、クローニングし得る。また、PCRアセンブリを使用して、柔軟なペプチドスペーサーをコードしているDNAを用いてVHおよびVL DNAを結合させて、単鎖Fv(scFv)レパートリーを形成することもできる。さらに別の技法では、Embletonら、Nucl.Acids Res.、20:3831〜3837(1992)に記載のように、「細胞内PCRアセンブリ」を使用して、VHおよびVL遺伝子をリンパ球内でPCRによって組み合わせ、その後、連結された遺伝子のレパートリーをクローニングする。
ナイーブなライブラリ(天然または合成のどちらか)によって産生された抗体は、中等度の親和性(約106〜107-1のKd -1)であることができるが、親和性成熟は、Winterら(1994)、上記に記載のようにin vitroで二次ライブラリから構築および再選択することによっても模倣することができる。たとえば、Hawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889〜896(1992)の方法またはGramら、Proc. Natl. Acad. Sci USA、89:3576〜3580(1992)の方法において誤りがちなポリメラーゼ(Leungら、Technique、1:11〜15(1989)中に報告)を使用することによって、突然変異はランダムにin vitroで導入することができる。さらに、親和性成熟は、たとえば対象のCDRをパニングするランダム配列を保有するプライマーを用いたPCRを使用して、1つまたは複数のCDRを選択された個体Fvクローンにおいてランダムに突然変異させ、より高い親和性のクローンについてスクリーニングすることによって、行うことができる。WO9607754号(1996年3月14日に公開)は、免疫グロブリン軽鎖の相補性決定領域中の突然変異誘発を誘導して、軽鎖遺伝子のライブラリを作製する方法を記載している。別の有効な手法は、Marksら、Biotechnol.、10:779〜783(1992)に記載のように、ファージディスプレイによって選択されたVHまたはVLドメインを、免疫化していないドナーから得られた天然に存在するVドメイン変異体のレパートリーと組み換えて、数ラウンドの鎖再シャフリングでより高い親和性についてスクリーニングすることである。この技法により、約10-9M以下の親和性を有する抗体および抗体断片の産生が可能となる。
ライブラリのスクリーニングは、当分野で知られている様々な技法によって達成することができる。たとえば、突然変異SMOは、吸着プレートのウェルをコーティングするために使用する、吸着プレートに固着された宿主細胞上で発現させるもしくは細胞分取で使用する、またはストレプトアビジンでコーティングしたビーズで捕捉するためにビオチンとコンジュゲートさせる、またはファージディスプレイライブラリをパニングするための任意の他の方法で使用することができる。
ファージライブラリの試料を、固定した突然変異SMOと、ファージ粒子の少なくとも一部分を吸着剤と結合させるために適した条件下で接触させる。通常は、pH、イオン強度、温度などを含めた条件は、生理的条件を模倣するように選択される。固相と結合したファージを洗浄し、その後、たとえばBarbasら、Proc. Natl. Acad. Sci USA、88:7978〜7982(1991)に記載のように酸によって、もしくはたとえばMarksら、J.Mol.Biol.、222:581〜597(1991)に記載のようにアルカリによって、または突然変異SMO抗原競合、たとえばClacksonら、Nature、352:624〜628(1991)の抗原競合方法に類似の手順において、溶出させる。ファージは1回の選択ラウンドで20〜1,000倍強化することができる。さらに、強化されたファージを細菌培養物中で成長させ、さらなる選択ラウンドに供することができる。
選択の効率は、洗浄中の解離の動力学、および単一のファージ上の複数の抗体断片が抗原と同時に結合できるかどうかを含めた、多くの要因に依存する。速い解離動力学(および弱い結合親和性)を有する抗体は、短い洗浄、多価のファージディスプレイおよび固相中の抗原の高いコーティング密度を使用することによって保持することができる。高い密度は、多価の相互作用によってファージを安定化させるだけでなく、解離したファージの再結合を有利にする。遅い解離動力学(および良好な結合親和性)を有する抗体の選択は、Bassら、Proteins、8:309〜314(1990)およびWO92/09690号に記載の長い洗浄および一価のファージディスプレイ、ならびにMarksら、Biotechnol.、10:779〜783(1992)に記載の抗原の低いコーティング密度を使用することによって促進することができる。
突然変異SMOに対して異なる親和性を有するファージ抗体間を、親和性がわずかしか異ならない場合でさえも選択することが可能である。しかし、選択された抗体のランダム突然変異(たとえば一部の親和性成熟技法で行う)は多くの突然変異体を生じる可能性が高く、そのほとんどが抗原と結合し、数個がより高い親和性を有する。制限された突然変異SMOでは、希少な高い親和性のファージは競合により除去される可能性がある。すべてのより高い親和性の突然変異体を保持するために、ファージを、過剰量のビオチン標識した突然変異SMOとインキュベーションすることができるが、ビオチン標識した突然変異SMOは、突然変異SMOの標的モル濃度親和定数よりも低いモル濃度の濃度である。その後、高親和性結合のファージを、ストレプトアビジンでコーティングした常磁性ビーズによって捕捉することができる。そのような「平衡捕捉」により、わずか2倍高い親和性しか有さない突然変異体クローンを、より低い親和性を有する多大な過剰量のファージから単離することを可能にする感受性で、抗体がその結合の親和性に応じて選択されることが可能となる。また、固相と結合したファージの洗浄に使用される条件も、解離動力学に基づいて区別するために操作することができる。
抗突然変異SMOクローンは、活性に基づいて選択し得る。特定の実施形態では、本発明は、GDC−0449耐性の腫瘍細胞などの、突然変異SMOを自然に発現する生細胞と結合する抗突然変異SMO抗体を提供する。一実施形態では、本発明は、野生型SMOにおいてGDC−0449によって結合される領域と同じ領域と結合する抗突然変異SMO抗体を提供する。そのような抗突然変異SMO抗体に対応するFvクローンは、(1)抗突然変異SMOクローンを上述のファージライブラリから単離し、単離したファージクローンの集団を、集団を適切な細菌宿主中で成長させることによって、任意選択で増幅することと、(2)それぞれそれに対する遮断および非遮断活性が望まれる突然変異SMOおよび第2のタンパク質を選択することと、(3)抗突然変異SMOファージクローンを固定した突然変異SMOに吸着させることと、(4)過剰量の第2のタンパク質を使用して、第2のタンパク質の結合決定要因と重複するまたは共有される突然変異SMO結合決定要因を認識するすべての望ましくないクローンを溶出させることと、(5)ステップ(4)の後に吸着されたまま保たれるクローンを溶出させることによって、選択することができる。任意選択で、本明細書中に記載の選択手順を1回または複数回繰り返すことによって、所望の遮断/非遮断特性を有するクローンをさらに強化することができる。
本発明のハイブリドーマ由来モノクローナル抗体またはファージディスプレイFvクローンをコードしているDNAは、慣用の手順を使用して容易に単離および配列決定される(たとえば、対象の重鎖および軽鎖コード領域をハイブリドーマまたはファージDNA鋳型から特異的に増幅するように設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用することによる)。単離した後、DNAを発現ベクター内に入れ、その後、これを、そうでなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞内に形質移入して、組換え宿主細胞中で所望のモノクローナル抗体の合成を得ることができる。抗体をコードしているDNAの細菌中での組換え発現に関する総説の文献には、Skerraら、Curr.Opinion in Immunol.、5:256(1993)およびPluckthun、Immunol.Revs、130:151(1992)が含まれる。
本発明のFvクローンをコードしているDNAを、重鎖および/または軽鎖定常領域をコードしている既知のDNA配列(たとえば、適切なDNA配列は、Kabatら、上記から得ることができる)と組み合わせて、完全長または部分長の重鎖および/または軽鎖をコードしているクローンを形成することができる。IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE定常領域を含めた任意のアイソタイプの定常領域をこの目的のために使用でき、そのような定常領域は任意のヒトまたは動物種から得ることができることを理解されたい。1つの動物(ヒトなど)種の可変ドメインDNAから誘導し、その後、別の動物種の定常領域DNAと融合させて、「ハイブリッド」の完全長重鎖および/または軽鎖のコード配列(複数可)を形成したFvクローンが、本明細書中で使用する「キメラ」および「ハイブリッド」抗体の定義に含まれる。特定の実施形態では、ヒト可変DNAに由来するFvクローンをヒト定常領域DNAと融合させて、完全長または部分長のヒト重鎖および/または軽鎖のコード配列(複数可)を形成する。
また、本発明のハイブリドーマに由来する抗突然変異SMO抗体をコードしているDNAは、たとえば、ヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を、ハイブリドーマクローンに由来する相同的なネズミ配列の代わりに置換することによっても、改変することができる(たとえばMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851〜6855(1984)の方法のように)。ハイブリドーマまたはFvクローン由来の抗体または断片をコードしているDNAは、免疫グロブリンコード配列に、非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全体または一部を共有結合させることによって、さらに改変することができる。このようにして、本発明のFvクローンまたはハイブリドーマクローン由来抗体の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体を調製する。
3.ベクター、宿主細胞、および組換え方法
また、抗体は、組換え方法を使用しても産生し得る。抗突然変異SMO抗体の組換え産生には、抗体をコードしている核酸を単離し、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のために、複製可能なベクター内に挿入する。抗体をコードしているDNAは、慣用の手順を使用して容易に単離および配列決定し得る(たとえば、抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子と特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによる)。多くのベクターが利用可能である。ベクターの構成要素には、一般に、それだけには限定されないが、シグナル配列、複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、および転写終結配列のうちの1つまたは複数が含まれる。
a)シグナル配列の構成要素
本発明の抗体は、直接だけでなく、好ましくは成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的な切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドである、異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても、組換え産生させ得る。選択される異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識およびプロセッシングされる(すなわちシグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。ネイティブ抗体のシグナル配列を認識およびプロセッシングしない原核宿主細胞では、シグナル配列は、たとえば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核シグナル配列によって置換される。酵母分泌では、ネイティブシグナル配列は、たとえば、酵母インベルターゼリーダー、サッカロマイセス属およびクルイベロマイセス属のα因子リーダー)、もしくは酸ホスファターゼリーダーを含めたα因子リーダー、シー・アルビカンスのグルコアミラーゼリーダー、またはWO90/13646号に記載のシグナルによって置換されていてもよい。哺乳動物細胞発現では、哺乳動物のシグナル配列およびウイルス分泌リーダー、たとえば単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。
b)複製起点
発現およびクローニングベクターはどちらも、ベクターが1つまたは複数の選択された宿主細胞中で複製されることを可能にする核酸配列を含有する。一般に、クローニングベクター中では、この配列は、ベクターが宿主の染色体DNAとは独立して複製されることを可能にするものであり、複製起点または自己複製配列が含まれる。そのような配列は、様々な細菌、酵母、およびウイルスについて周知である。プラスミドpBR322からの複製起点がほとんどのグラム陰性細菌に適しており、2μプラスミド起点が酵母に適しており、様々なウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)が哺乳動物細胞中のクローニングベクターに有用である。一般に、複製起点構成要素は、哺乳動物発現ベクターには必要ない(SV40起点は、典型的には、初期プロモーターを含有することのみが理由で使用し得る)。
c)選択遺伝子構成要素
発現およびクローニングベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含有し得る。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素、たとえば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンに対する耐性を与える、(b)栄養要求欠乏性を補完する、または(c)複合培地から利用可能でない重要な栄養素を供給する(たとえば桿菌のD−アラニンラセマーゼをコードしている遺伝子)、タンパク質をコードしている。
選択スキームの一例では、宿主細胞の成長を停止させる薬物を利用する。異種遺伝子を用いた形質転換が成功した細胞は、薬物耐性を与えるタンパク質を産生し、したがって選択レジメンを生き延びる。そのような優性選択の例では、薬物ネオマイシン、ミコフェノール酸およびハイグロマイシンを使用する。
哺乳動物細胞の適切な選択マーカーの別の例は、DHFR、グルタミン合成酵素(GS)、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン−Iおよび−II、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチン脱炭酸酵素などの、抗体をコードしている核酸を受け取る能力を有する細胞の同定を可能にするものである。
たとえば、DHFR遺伝子で形質転換させた細胞は、形質転換体を、DHFRの競合的拮抗剤であるメトトレキサート(Mtx)を含有する培養培地中で培養することによって同定する。これらの条件下では、DHFR遺伝子は、任意の他の同時形質転換させた核酸と共に増幅される。内在性DHFR活性を欠くチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系(たとえば、ATCC CRL−9096)を使用し得る。
あるいは、GS遺伝子で形質転換させた細胞は、形質転換体を、GSの阻害剤であるL−メチオニンスルホキシミン(Msx)を含有する培養培地中で培養することによって同定する。これらの条件下では、GS遺伝子は、任意の他の同時形質転換させた核酸と共に増幅される。GS選択/増幅系は、上述のDHFR選択/増幅系と組み合わせて使用し得る。
あるいは、対象の抗体、野生型DHFR遺伝子、およびアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)などの別の選択マーカーをコードしているDNA配列で形質転換または同時形質転換させた宿主細胞(特に内在性DHFRを含有する野生型宿主)は、アミノグリコシド抗生物質、たとえば、カナマイシン、ネオマイシン、またはG418などの選択マーカーの選択剤を含有する場位置中での細胞成長によって選択することができる。米国特許第4,965,199号を参照されたい。
酵母中で使用するための適切な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7中に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcombら、Nature、282:39(1979))。trp1遺伝子は、トリプトファン中で成長する能力を欠く酵母の突然変異株、たとえば、ATCC番号44076またはPEP4−1の選択マーカーを提供する。Jones、Genetics、85:12(1977)。したがって、酵母宿主細胞ゲノムにおけるtrp1障害の存在は、トリプトファンの非存在下における成長によって形質転換を検出する有効な環境を提供する。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を保有する既知のプラスミドによって補完される。
さらに、1.6μm環状プラスミドpKD1に由来するベクターをクリベロマイセス属酵母の形質転換に使用することができる。あるいは、組換え仔ウシキモシンの大スケール産生のための発現系が、ケー・ラクチスについて報告されている。Van den Berg、Bio/Technology、8:135(1990)。また、クリベロマイセス属の工業株による成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌のための、安定な複数コピー発現ベクターも開示されている。Fleerら、Bio/Technology、9:968〜975(1991)。
d)プロモーター構成要素
発現およびクローニングベクターは、一般に、宿主生物によって認識され、抗体をコードしている核酸と作動可能に連結されているプロモーターを含有する。原核宿主との使用に適したプロモーターには、phoAプロモーター、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼプロモーター、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにtacプロモーターなどのハイブリッドプロモーターが含まれる。しかし、他の既知の細菌プロモーターが適切である。また、細菌系中で使用するためのプロモーターは、抗体をコードしているDNAと作動可能に連結されたシャイン−ダルガノ(S.D.)配列も含有する。
プロモーター配列は真核生物について既知である。事実上すべての真核遺伝子は、転写が開始される部位から約25〜30個の塩基上流に位置するATリッチな領域を有する。多くの遺伝子の転写の開始から70〜80個の塩基上流に見つかる別の配列は、CNCAAT領域であり、Nは任意のヌクレオチドであり得る。ほとんどの真核遺伝子の3’末端には、コード配列の3’末端にポリAテイルを付加するためのシグナルであり得るAATAAA配列が存在する。これらの配列はすべて、真核発現ベクター内に適切に挿入されている。
酵母宿主で使用するための適切なプロモーター配列の例には、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ、またはエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸脱炭酸酵素、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼなどの他の糖分解酵素のプロモーターが含まれる。
成長条件によって制御される転写の追加の利点を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコール脱水素酵素2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトースの利用を司っている酵素のプロモーター領域である。酵母発現で使用するための適切なベクターおよびプロモーターは、EP73,657号にさらに記載されている。また、酵母エンハンサーも酵母プロモーターと共に有利に使用される。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの抗体の転写は、プロモーターが宿主細胞系と適合性がある限りは、たとえば、ポリオーマウイルス、トリポックスウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、シミアンウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られたプロモーター、または異種哺乳動物プロモーター、たとえばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターによって制御することができる。
SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含有するSV40制限断片として好都合に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモーターは、HindIII E制限断片として好都合に得られる。ウシパピローマウイルスをベクターとして使用して哺乳動物宿主中でDNAを発現させる系は、米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の改変は、米国特許第4,601,978号に記載されている。また、単純ヘルペスウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下にあるマウス細胞におけるヒトβ−インターフェロンcDNAの発現には、Reyesら、Nature、297:598〜601(1982)も参照されたい。あるいは、ラウス肉腫ウイルスの末端反復配列をプロモーターとして使用することができる。
e)エンハンサー要素構成要素
高等真核生物による、本発明の抗体をコードしているDNAの転写は、多くの場合、エンハンサー配列をベクター内に挿入することによって増加される。多くのエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子について現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、およびインスリン)。しかし、典型的には、真核細胞ウイルスからのエンハンサーを使用する。例には、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。また、真核プロモーターを活性化させるためのエンハンサー要素には、Yaniv、Nature、297:17〜18(1982)も参照されたい。エンハンサーはベクター内に抗体のコード配列の5’または3’側の位置にスプライシングされていてよいが、好ましくはプロモーターから5’側の部位に位置する。
f)転写終結構成要素
また、真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物からの有核細胞)で使用する発現ベクターは、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列も含有する。そのような配列は、一般的に、真核またはウイルスのDNAまたはcDNAの、5’および場合によっては3’非翻訳領域から利用可能である。これらの領域は、抗体をコードしているmRNAの非翻訳部分中のポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結構成要素は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026号およびそれ中に開示されている発現ベクターを参照されたい。
g)宿主細胞の選択および形質転換
本明細書中のベクター中のDNAをクローニングまたは発現させるための適切な宿主細胞は、上述の原核生物、酵母、または高等真核生物の細胞である。この目的のための適切な原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物などの真正細菌、たとえば腸内細菌科、たとえば、エシェリキア属、たとえば大腸菌、エンテロバクター属、エルウィニア属、クレブシエラ属、プロテウス属、サルモネラ属、たとえばネズミチフス菌、セラチア属、たとえば霊菌、およびシゲラ属、ならびに枯草菌およびビー・リケニフォルミス(たとえば、1989年4月12日に公開のDD266,710号に開示されているビー・リケニフォルミス41P)などの桿菌属、緑膿菌などのシュードモナス属、およびストレプトマイセス属が含まれる。1つの好ましい大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC31,446)であるが、大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31,537)、および大腸菌W3110(ATCC27,325)などの他の株が適切である。これらの例は、限定的であるよりは説明的である。
完全長抗体、抗体融合タンパク質、および抗体断片は、治療用抗体が、それ自体で腫瘍細胞の破壊における有効性を示す細胞毒性剤(たとえば毒素)とコンジュゲートされている場合などの、特にグリコシル化およびFcエフェクター機能が必要でない場合に、細菌中で産生させることができる。完全長抗体は、より長い循環中の半減期を有する。大腸菌中での産生はより速く、対費用効率がより高い。細菌中での抗体断片およびポリペプチドの発現には、たとえば、発現および分泌を最適化するための翻訳開始領域(TIR)およびシグナル配列を記載しているU.S.5,648,237号(Carterら)、U.S.5,789,199号(Jolyら)、U.S.5,840,523号(Simmonsら)を参照されたい。また、大腸菌中での抗体断片の発現を記載しているCharlton、分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)、第248巻(B.K.C.Lo編、Humana Press、ニュージャージー州Totowa、2003)、ページ245〜254も参照されたい。発現後、抗体を可溶性画分注の大腸菌細胞ペーストから単離してもよく、たとえばアイソタイプに応じてタンパク質AまたはGカラムによって精製することができる。最終精製は、たとえばCHO細胞中で発現された抗体を精製するプロセスと同様に実施することができる。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物が、抗体をコードしているベクターの適切なクローニングまたは発現宿主である。出芽酵母、または一般的なパン酵母が、下等真核宿主微生物間で最も一般的に使用されている。しかし、いくつかの他の属、種、および株が一般的に利用可能かつ本明細書中で有用であり、分裂酵母;たとえばケー・ラクチス、ケー・フラジリス(ATCC12,424)、ケー・ブルガリカス(ATCC16,045)、ケー・ウィッケルハミ(wickeramii)(ATCC24,178)、ケー・ワルティ(ATCC56,500)、ケー・ドロソフィラルム(ATCC36,906)、ケー・サーモトレランス、およびケー・マルシアヌスなどのクリベロマイセス属宿主;ヤロウイア属(EP402,226号);ピキア・パストリス(EP183,070号);カンジダ属;トリコデルマ・リージア(EP244,234号);アカパンカビ;シュワニオマイセス・オクシデンタリスなどのシュワニオマイセス属;糸状菌、たとえば、ニューロスポラ属、ペニシリウム属、トリポクラジウム属、ならびに偽巣性コウジ菌およびクロコウジカビなどのアスペルギルス属宿主等である。治療的タンパク質を産生するための酵母および糸状菌の使用を述べた総説には、たとえばGerngross、Nat.Biotech.、22:1409〜1414(2004)を参照されたい。
グリコシル化経路が「ヒト化」されており、その結果、部分的または完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の産生がもたらされる、特定の真菌および酵母株を選択し得る。たとえば、Liら、Nat.Biotech.、24:210〜215(2006)(ピキア・パストリス中のグリコシル化経路のヒト化を記載している)、およびGerngrossら、上記を参照されたい。
また、グリコシル化された抗体を発現させるための適切な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物および脊椎動物)からも誘導される。無脊椎動物細胞の例には植物および昆虫細胞が含まれる。スポドプテラ・フルギペルダ(イモムシ)、ネッタイシマカ(蚊)、ヒトスジシマカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)、およびカイコなどの宿主からの、数々のバキュロウイルス株および変異体ならびに対応する許容される昆虫宿主細胞が同定されている。形質移入のための様々なウイルス株、たとえば、オートグラファ・カリフォルニカNPVのL−1変異体およびカイコNPVのBm−5株が公的に利用可能であり、そのようなウイルスを、本発明による本明細書中のウイルスとして、特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞の形質移入のために使用し得る。
また、ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト、ウキクサ(ウキクサ科)、アルファルファ(タルウマゴヤシ)、およびタバコの植物細胞培養物も宿主として利用することができる。たとえば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号、および第6,417,429号(トランスジェニック植物中で抗体を産生させるためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載している)を参照されたい。
脊椎動物細胞を宿主として使用してよく、培養物(組織培養物)中の脊椎動物細胞の繁殖はルーチン的な手順となっている。有用な哺乳動物宿主細胞系の例は、SV40によって形質転換させたサル腎臓CV1系(COS−7、ATCC CRL1651)、ヒト胚性腎臓系(懸濁培養中で成長についてサブクローニングした293または293細胞、Grahamら、J.Gen Virol.、36:59(1977))、ベビーハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL10)、マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol.Reprod.、23:243〜251(1980))、サル腎細胞(CV1、ATCC CCL70)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2)、イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL34)、バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75)、ヒト肝細胞(Hep G2、HB8065)、マウス乳癌(MMT 060562、ATCC CCL51)、TRI細胞(Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.、383:44〜68(1982))、MRC5細胞、FS4細胞、およびヒト肝細胞癌系(Hep G2)である。他の有用な哺乳動物宿主細胞系には、DHFR-CHO細胞を含めたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216(1980))、ならびにNS0およびSp2/0などの骨髄腫細胞系が含まれる。抗体産生に適切な特定の哺乳動物宿主細胞系の総説には、たとえばYazakiおよびWu、分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)、第248巻(B.K.C.Lo編、Humana Press、ニュージャージー州Totowa、2003)、ページ255〜268を参照されたい。
宿主細胞を上述の抗体産生用の発現またはクローニングベクターで形質転換させ、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードしている遺伝子の増幅のために必要に応じて改変した慣用の栄養素培地中で培養する。
h)宿主細胞の培養
本発明の抗体を産生させるために使用する宿主細胞は、様々な培地中で培養し得る。ハムのF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma)、RPMI−1640(Sigma)、およびダルベッコ変法イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販の培地が宿主細胞の培養に適している。さらに、Hamら、Meth.Enz.、58:44(1979)、Barnesら、Anal.Biochem.、102:255(1980)、米国特許第4,767,704号、第4,657,866号、第4,927,762号、第4,560,655号、もしくは第5,122,469号、WO90/03430号、WO87/00195号、または米国再発行特許第30,985号のうちの任意のものに記載の培地を、宿主細胞の培養培地として使用し得る。これらの培地のうちの任意のものに、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の成長因子(インスリン、トランスフェリン、もしくは表皮成長因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(GENTAMYCIN(商標)薬など)、微量元素(通常はマイクロモーラーの範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義される)、ならびにグルコースまたは同等のエネルギー源を添加し得る。また、任意の他の必要な補充剤も、当業者に知られる適切な濃度で含めてよい。温度、pHなどの培養条件、発現用に選択された宿主細胞で以前に使用されているものであり、当業者には明らかであろう。
i)抗体の精製
組換え技法を使用する場合、抗体は、細胞内、細胞膜周辺腔中で産生される、または培地中に直接分泌されることができる。抗体が細胞内で産生される場合は、最初のステップとして、宿主細胞または溶解断片のどちらかである粒子状の細片を、たとえば遠心分離または限外濾過によって除去する。Carterら、Bio/Technology、10:163〜167(1992)は、大腸菌の細胞膜周辺腔に分泌された抗体を単離する方法を記載している。手短に述べると、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、およびフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の存在下で、約30分間かけて解凍する。細胞細片を遠心分離によって除去することができる。抗体が培地中に分泌される場合、そのような発現系からの上清を、一般に、最初に市販のタンパク質濃縮フィルター、たとえばAmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して濃縮する。タンパク質分解を阻害するためにPMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を前述のステップのうちの任意のもの中に含めてもよく、外来性汚染物質の成長を防止するために抗生物質を含めてもよい。
細胞から調製された抗体組成物は、たとえば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、およびアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製することができ、アフィニティークロマトグラフィーが、とりわけ典型的に好ましい精製ステップのうちの1つである。タンパク質Aが親和性リガンドとして適切であるかどうかは、抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプに依存する。タンパク質Aは、ヒトγ1、γ2、またはγ4重鎖に基づく抗体を精製するために使用することができる(Lindmarkら、J.Immunol.Meth.、62:1〜13(1983))。タンパク質Gは、すべてのマウスアイソタイプおよびヒトγ3に推奨される(Gussら、EMBO J.、5:15671575(1986))。親和性リガンドが付着するマトリックスは、ほとんどの場合はアガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。制御孔ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定したマトリックスは、アガロースで達成できるよりも速い流速およびより短いプロセス時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合は、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker、ニュージャージー州Phillipsburg)が精製に有用である。また、イオン交換カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上のクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)上のクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラムなど)上のクロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS−PAGE、および硫安塩析等の、タンパク質精製の他の技法も、回収する抗体に応じて利用可能である。
任意の予備の精製ステップ(複数可)の後、対象の抗体および汚染物質を含む混合物を、約2.5〜4.5のpHの溶出緩衝液を使用した、好ましくは低い塩濃度(たとえば約0〜0.25Mの塩)で行う低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し得る。
一般に、研究、試験、および臨床に使用する抗体を調製するための様々な方法が当分野で十分に確立されており、上述の方法と一致している、および/または特定の対象の抗体について当業者によって適切とみなされる。
C.免疫コンジュゲート
また、本発明は、化学療法剤、薬物、成長阻害性薬剤、毒素(たとえば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性のある毒素、またはその断片)、あるいは放射性同位元素(すなわち放射性コンジュゲート)などの、1つまたは複数の細胞毒性剤とコンジュゲートされている抗体を含む免疫コンジュゲート(「抗体−薬物のコンジュゲート」または「ADC」と互換性があるように呼ばれる)も提供する。
免疫コンジュゲートは、癌の処置において細胞毒性剤、すなわち細胞の成長または増殖を死滅させるまたは阻害する薬物の局所送達に使用されている(Lambert,J.(2005)Curr.Opinion in Pharmacology、5:543〜549、Wuら(2005)Nature Biotechnology、23(9):1137〜1146、Payne,G.(2003)i 3:207〜212、SyrigosおよびEpenetos(1999)Anticancer Research、19:605〜614、Niculescu−DuvazおよびSpringer(1997)Adv.Drug Deliv.Rev.、26:151〜172、米国特許第4,975,278号)。免疫コンジュゲートは、コンジュゲートしていない薬物の全身投与が正常細胞および排除を狙う腫瘍細胞に対して許容されないレベルの毒性をもたらし得る場合に、薬物部分を腫瘍に標的化送達すること、およびそれ中の細胞内蓄積を可能にする(Baldwinら、Lancet(1986年3月15日)ページ603〜05、Thorpe(1985)「癌治療における細胞毒性剤の抗体担体:総説(Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review)」、モノクローナル抗体’84:生物学的および臨床的な応用(Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications)(A.Pincheraら編)ページ475〜506。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体がどちらも、これらの戦略において有用であるとして報告されている(Rowlandら、(1986)Cancer Immunol.Immunother.、21:183〜87)。これらの方法で使用される薬物には、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、およびビンデシンが含まれる(Rowlandら、(1986)上記)。抗体−毒素のコンジュゲートで使用される毒素には、ジフテリア毒素などの細菌毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシン(Mandlerら(2000)J.Nat.Cancer Inst.、92(19):1573〜1581、Mandlerら(2000)Bioorganic&Med.Chem.Letters、10:1025〜1028、Mandlerら(2002)Bioconjugate Chem.、13:786〜791)、メイタンシノイド(EP1391213号、Liuら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:8618〜8623)、およびカリチアマイシン(Lodeら(1998)Cancer Res.、58:2928、Hinmanら(1993)Cancer Res.、53:3336〜3342)などの小分子毒素が含まれる。毒素は、チューブリン結合、DNA結合、またはトポイソメラーゼ阻害を含めた機構によってその細胞毒性効果を発揮し得る。一部の細胞毒性薬物は、大きな抗体またはタンパク質受容体リガンドとコンジュゲートされている場合に不活性または活性がより低い傾向にある。
ZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen/Idec)は、正常および悪性のBリンパ球の表面上に見つかるCD20抗原に向けられたネズミIgG1カッパモノクローナル抗体とチオ尿素リンカー−キレート剤によって結合された111Inまたは90Y放射性同位元素とから構成される、抗体−放射性同位元素のコンジュゲートである(Wisemanら(2000)Eur.Jour.Nucl.Med.、27(7):766〜77、Wisemanら(2002)Blood、99(12):4336〜42、Witzigら(2002)J.Clin.Oncol.、20(10):2453〜63、Witzigら(2002)J.Clin.Oncol.、20(15):3262〜69)。ZEVALINはB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する活性を有するが、投与はほとんどの患者において重篤かつ長期的な血球減少症をもたらす。MYLOTARG(商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン、Wyeth Pharmaceuticals)、カリチアマイシンと連結されたhuCD33抗体から構成される抗体−薬物のコンジュゲートは、2000年に、注射による急性骨髄性白血病の処置用に承認された(Drugs of the Future(2000)25(7):686、米国特許第4970198号、第5079233号、第5585089号、第5606040号、第5693762号、第5739116号、第5767285号、第5773001)。ジスルフィドリンカーSPPを介してメイタンシノイド薬物部分DM1と連結されたhuC242抗体から構成される抗体−薬物のコンジュゲートであるカンツズマブメルタンシン(Immunogen,Inc.)は、結腸、膵臓、胃、および他の癌などのCanAgを発現する癌を処置するために、第II相治験に進んでいる。メイタンシノイド薬物部分DM1と連結された抗前立腺に特異的な膜抗原(PSMA)モノクローナル抗体から構成される抗体−薬物のコンジュゲートであるMLN−2704(Millennium Pharm.、BZL Biologics、Immunogen Inc.)は、前立腺腫瘍の潜在的な処置のために開発中である。アウリスタチンE(AE)であるアウリスタチンペプチドおよびドラスタチンの合成類似体であるモノメチルアウリスタチン(MMAE)を、キメラモノクローナル抗体cBR96(癌腫上のルイスYに特異的)およびcAC10(血液学的悪性腫瘍上のCD30に特異的)とコンジュゲートさせ(Doroninaら(2003)Nature Biotechnol.、21(7):778〜784)、治療開発中である。
特定の実施形態では、免疫コンジュゲートは、抗体および化学療法剤または他の毒素を含む。免疫コンジュゲートの作製に有用な化学療法剤が本明細書中に記載されている(たとえば上記)。使用することができる酵素活性のある毒素およびその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、リストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンが含まれる。たとえば1993年10月28日に公開のWO93/21232号を参照されたい。様々な放射性核種が放射性コンジュゲートされた抗体の生成に利用可能である。例には212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが含まれる。抗体と細胞毒性剤とのコンジュゲートは、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHClなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6−ジイソシアネートなど)、およびビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)等の様々な二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作製される。たとえば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science、238:1098(1987)に記載のように調製することができる。炭素−14で標識した1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体にコンジュゲートさせるための例示的なキレート化剤である。WO94/11026号を参照されたい。
また、抗体と、カリチアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウロスタチン、トリコテセン、およびCC1065、ならびに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体などの1つまたは複数の小分子毒素とのコンジュゲートも、本明細書中で企図される。
1.メイタンシンおよびメイタンシノイド
一部の実施形態では、免疫コンジュゲートは、1つまたは複数のメイタンシノイド分子とコンジュゲートされている抗体(完全長または断片)を含む。
メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することによって作用する有糸分裂(mitototic)阻害剤である。メイタンシンは、東アフリカの低木メイテナス・セラタから最初に単離された(米国特許第3,896,111号)。続いて、特定の微生物もメイタンシノールおよびC−3メイタンシノールエステルなどのメイタンシノイドを産生することが判明した(米国特許第4,151,042号)。合成メイタンシノールならびにその誘導体および類似体は、たとえば、米国特許第4,137,230号、第4,248,870号、第4,256,746号、第4,260,608号、第4,265,814号、第4,294,757号、第4,307,016号、第4,308,268号、第4,308,269号、第4,309,428号、第4,313,946号、第4,315,929号、第4,317,821号、第4,322,348号、第4,331,598号、第4,361,650号、第4,364,866号、第4,424,219号、第4,450,254号、第4,362,663号、および第4,371,533号に開示されている。
メイタンシノイド薬物部分は、(i)発酵または化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製が比較的到達可能である、(ii)非ジスルフィドリンカーを介した抗体とのコンジュゲーションに適した官能基を用いた誘導体化を受け入れられる、(iii)血漿中で安定である、および(iv)様々な腫瘍細胞系に対して有効であるため、抗体薬物コンジュゲート中の魅力的な薬物部分である。
メイタンシノイドを含有する免疫コンジュゲート、その作製方法、およびその治療的使用は、たとえば、その開示が本明細書中に明白に参考として組み込まれている米国特許第5,208,020号、第5,416,064号および欧州特許EP0 425 235 B1号に開示されている。Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:8618〜8623(1996)は、ヒト結腸直腸癌に向けられたモノクローナル抗体C242と連結されたDM1と命名されたメイタンシノイドを含む免疫コンジュゲートを記載している。このコンジュゲートは、培養結腸癌細胞に対して細胞毒性が高いことが見い出され、in vivo腫瘍成長アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。Chariら、Cancer Research、52:127〜131(1992)は、メイタンシノイドを、ジスルフィドリンカーを介して、ヒト結腸癌細胞系上の抗原と結合するネズミ抗体A7、またはHER−2/neu癌遺伝子と結合する別のネズミモノクローナル抗体TA.1とコンジュゲートさせた、免疫コンジュゲートを記載している。TA.1−メイタンシノイドのコンジュゲートの細胞毒性は、in vitroで、3×105個のHER−2表面抗原/細胞を発現するヒト乳癌細胞系SK−BR−3上で試験した。薬物コンジュゲートは遊離メイタンシノイド薬物に類似の細胞毒性の度合を達成し、これは、抗体分子1個あたりのメイタンシノイド分子の数を増加することによって増加させることができる。A7−メイタンシノイドのコンジュゲートはマウスにおいて低い全身性細胞毒性を示した。
抗体−メイタンシノイドのコンジュゲートは、抗体またはメイタンシノイド分子のどちらの生物活性も顕著に減少させずに、抗体をメイタンシノイド分子と化学的に連結させることによって調製する。たとえば米国特許第5,208,020号を参照されたい(その開示は本明細書中に明白に参考として組み込まれている)。抗体分子1個あたり平均して3〜4個のメイタンシノイド分子がコンジュゲートされていることが、抗体の機能または溶解度に負の影響を与えずに、標的細胞の細胞毒性を増強させることに有効性を示しているが、1個の毒素分子/抗体さえでも、裸抗体の使用を超えて細胞毒性を増強させることが予測される。メイタンシノイドは当分野で周知であり、既知の技法によって合成するか、または天然源から単離することができる。適切なメイタンシノイドは、たとえば、米国特許第5,208,020号ならびに本明細書中上記で言及した他の特許および非特許出版物中に開示されている。好ましいメイタンシノイドは、メイタンシノール、および芳香環中またはメイタンシノール分子の他の位置で修飾されているメイタンシノール類似体、たとえば様々なメイタンシノールエステルである。
抗体−メイタンシノイドのコンジュゲートを作製するための多くの連結基が当分野で知られており、たとえば、その開示が本明細書中に明白に参考として組み込まれている米国特許第5,208,020号またはEP特許0 425 235 B1号、Chariら、Cancer Research、52:127〜131(1992)、および2004年10月8日に出願の米国特許出願第10/960,602号に開示されているものが含まれる。リンカー構成要素SMCCを含む抗体−メイタンシノイドのコンジュゲートは、2004年10月8日に出願の米国特許出願第10/960,602号中に開示されているように調製し得る。連結基には、上記同定した特許中に開示されているジスルフィド基、チオエーテル基、酸に不安定な基、光に不安定な基、ペプチダーゼに不安定な基、またはエステラーゼに不安定な基が含まれ、ジスルフィドおよびチオエーテル基が好ましい。さらなる連結基が本明細書中に記載および例示されている。
抗体とメイタンシノイドとのコンジュゲートは、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHClなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6−ジイソシアネートなど)、およびビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)等の様々な二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作製し得る。特に好ましいカップリング剤には、ジスルフィド結合を提供するためのN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(Carlssonら、Biochem.J.、173:723〜737(1978))およびN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)が含まれる。
リンカーは、連結の種類に応じて様々な位置でメイタンシノイド分子と付着していてよい。たとえば、エステル結合は、慣用のカップリング技法を使用したヒドロキシル基との反応によって形成させ得る。反応は、ヒドロキシル基を有するC−3位置、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位置、ヒドロキシル基で修飾されたC−15位置、およびヒドロキシル基を有するC−20位置で起こり得る。好ましい実施形態では、連結はメイタンシノールまたはメイタンシノール類似体のC−3位置で形成される。
2.アウリスタチンおよびドラスタチン
一部の実施形態では、免疫コンジュゲートは、ドラスタチンドロスタチン(dolostatin)ペプチド類似体および誘導体のアウリスタチンとコンジュゲートされている抗体を含む(米国特許第5635483号、第5780588)。ドラスタチンおよびアウリスタチンは、微小管の動力学、GTP加水分解、ならびに核および細胞の分裂を妨害し(Woykeら(2001)Antimicrob.Agents and Chemother.、45(12):3580〜3584)、抗癌活性(US5663149号)および抗真菌活性(Pettitら(1998)Antimicrob.Agents Chemother.、42:2961〜2965)を有することが示されている。ドラスタチンまたはアウリスタチン薬物部分は、ペプチド薬物部分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシル)末端を介して抗体に付着していてよい(WO02/088172号)。
例示的なアウリスタチン実施形態には、その開示がその全体で明白に参考として組み込まれている2004年11月5日に出願の米国第10/983,340号、「リガンドとのコンジュゲーションが可能なモノメチルバリン化合物(Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands)」中に開示されている、N末端で連結されたモノメチルアウリスタチン薬物部分DEおよびDFが含まれる。
典型的には、ペプチドに基づく薬物部分は、2つ以上のアミノ酸および/またはペプチド断片の間にペプチド結合を形成させることによって調製できる。そのようなペプチド結合は、たとえば、ペプチド化学の分野で周知の液相合成方法(E.SchroederおよびK.Luebke、「ペプチド(The Peptides)」、第1巻、ページ76〜136、1965、Academic Pressを参照)に従って調製することができる。アウリスタチン/ドラスタチン薬物部分は、US5635483号、US5780588号、Pettitら(1989)J.Am.Chem.Soc.、111:5463〜5465、Pettitら(1998)Anti−Cancer Drug Design、13:243〜277、Pettit,G.R.ら、Synthesis、1996、719〜725、およびPettitら(1996)J.Chem.Soc.Perkin Trans.、15:859〜863の方法に従って調製し得る。また、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている、Doronina(2003)Nat Biotechnol、21(7):778〜784、2004年11月5日に出願の米国第10/983,340号「リガンドとのコンジュゲーションが可能なモノメチルバリン化合物(Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands)」(たとえば、リンカーとコンジュゲートされているMMAEおよびMMAFなどのモノメチルバリン化合物を調製するためのリンカーおよび方法を開示している)も参照されたい。
3.カリチアマイシン
他の実施形態では、免疫コンジュゲートは、1つまたは複数のカリチアマイシン分子とコンジュゲートされている抗体を含む。カリチアマイシン抗生物質ファミリーは、ピコモル濃度未満で二本鎖DNAの切断を生じさせることができる。カリチアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製には、米国特許第5,712,374号、第5,714,586号、第5,739,116号、第5,767,285号、第5,770,701号、第5,770,710号、第5,773,001号、第5,877,296号(すべてAmerican Cyanamid Company)を参照されたい。使用し得るカリチアマイシンの構造的類似体には、それだけには限定されないが、γ1I、α2I、α3I、N−アセチル−γ1I、PSAGおよびθI1が含まれる(Hinmanら、Cancer Research、53:3336〜3342(1993)、Lodeら、Cancer Research、58:2925〜2928(1998)およびAmerican Cyanamidの前述の米国特許)。抗体をコンジュゲートさせることができる別の抗腫瘍薬は、葉酸代謝拮抗剤であるQFAである。カリチアマイシンおよびQFAはどちらも細胞内の作用部位を有しており、形質膜を容易に横断しない。したがって、抗体に媒介される内部移行による、これらの薬剤の細胞取込みは、これらの細胞毒性効果を大きく増加させる。
4.他の細胞毒性剤
抗体とコンジュゲートさせることができる他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチンおよび5−フルオロウラシル、米国特許第5,053,394号、第5,770,710号に記載のLL−E33288複合体として総合的に知られている薬剤ファミリー、ならびにエスペラミシン(米国特許第5,877,296号)が含まれる。
使用することができる酵素活性のある毒素およびその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、リストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが含まれる。たとえば1993年10月28日に公開のWO93/21232号を参照されたい。
本発明は、抗体と核酸分解活性(たとえば、リボヌクレアーゼまたはデオキシリボヌクレアーゼDNaseなどのDNAエンドヌクレアーゼ)を有する化合物との間で形成された免疫コンジュゲートをさらに企図する。
腫瘍の選択的破壊には、抗体は放射性の高い原子を含み得る。様々な放射性同位元素が放射性コンジュゲートされた抗体の生成に利用可能である。例には、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位元素が含まれる。コンジュゲートを検出に使用する場合、これは、シンチグラフィー研究用の放射性原子、たとえばtc99mもしくはI123、または、ヨウ素−123再度、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガンもしくは鉄などの核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴画像法、mriとしても知られる)用のスピン標識を含み得る。
放射性または他の標識は、既知の方法でコンジュゲート中に取り込ませ得る。たとえば、ペプチドは、たとえばフッ素−19を水素の代わりに含む適切なアミノ酸前駆体を使用して、生合成し得るか、または化学的アミノ酸合成によって合成し得る。tc99mまたはI123、Re186、Re188およびIn111などの標識は、ペプチド中のシステイン残基を介して付着させることができる。イットリウム−90は、リシン残基を介して付着させることができる。IODOGEN方法(Frakerら(1978)Biochem.Biophys.Res.Commun.、80:49〜57)を使用してヨウ素−123を取り込ませることができる。「免疫シンチグラフィーにおけるモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy)」(Chatal,CRC Press、1989)は他の方法を詳細に記載している。
抗体と細胞毒性剤とのコンジュゲートは、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHClなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6−ジイソシアネートなど)、およびビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)等の様々な二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作製し得る。たとえば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science、238:1098(1987)に記載のように調製することができる。炭素−14で標識した1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体にコンジュゲートさせるための例示的なキレート化剤である。WO94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞中への細胞毒性薬物の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であり得る。たとえば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光に不安定なリンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chariら、Cancer Research、52:127〜131(1992)、米国特許第5,208,020号)を使用し得る。
化合物は、それだけには限定されないが、架橋結合試薬、すなわち、市販のBMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、およびスルホ−SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)(たとえばPierce Biotechnology,Inc.、米国イリノイ州Rockford製)を用いて調製されたADCを明白に企図する。ページ467〜498、2003〜2004、応用のハンドブックおよびカタログ(Applications Handbook and Catalog)を参照されたい。
5.抗体薬物コンジュゲートの調製
抗体薬物コンジュゲート(ADC)中で、抗体(Ab)は、1つまたは複数の薬物部分(D)、たとえば約1〜約20個の薬物部分/抗体と、リンカー(L)を介してコンジュゲートされている。式IのADCは、(1)抗体の求核基と二価リンカー試薬を反応させて、共有結合を介してAb−Lを形成させ、次いで薬物部分Dと反応させること、および(2)薬物部分の求核基を二価リンカー試薬と反応させて、共有結合を介してD−Lを形成させ、次いで抗体の求核基と反応させることを含めた、いくつかの経路によって、当業者に知られている有機化学の反応、条件、および試薬を用いて調製し得る。ADCを調製するためのさらなる方法が本明細書中に記載されている。
Ab−(L−D)p
リンカーは、1つまたは複数のリンカー構成要素から構成されていてよい。例示的なリンカー構成要素には、6−マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン−シトルリン(「val−cit」)、アラニン−フェニルアラニン(「ala−phe」)、p−アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N−スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1カルボキシレート(「SMCC」)、およびN−スクシンイミジル(4−ヨード−アセチル)アミノベンゾエート(「SIAB」)が含まれる。さらなるリンカー構成要素が当分野で知られており、その一部が本明細書中に記載されている。その内容がその全体で本明細書中に参考として組み込まれている2004年11月5日に出願の米国第10/983,340号、「リガンドとのコンジュゲーションが可能なモノメチルバリン化合物(Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands)」も参照されたい。
一部の実施形態では、リンカーはアミノ酸残基を含み得る。例示的なアミノ酸リンカー構成要素には、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドまたはペンタペプチドが含まれる。例示的なジペプチドには、バリン−シトルリン(vcまたはval−cit)、アラニン−フェニルアラニン(afまたはala−phe)が含まれる。例示的なトリペプチドには、グリシン−バリン−シトルリン(gly−val−cit)およびグリシン−グリシン−グリシン(gly−gly−gly)が含まれる。アミノ酸リンカー構成要素を含むアミノ酸残基には、天然に存在するもの、ならびに少数アミノ酸およびシトルリンなどの天然に存在しないアミノ酸類似体が含まれる。アミノ酸リンカー構成要素は、特定の酵素、たとえば、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、CおよびD、またはプラスミンプロテアーゼによる酵素切断に対するその選択性について設計および最適化することができる。
抗体上の求核基には、それだけには限定されないが、(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、たとえばリシン、(iii)側鎖チオール基、たとえばシステイン、および(iv)抗体がグリコシル化されている場合は糖のヒドロキシルまたはアミノ基が含まれる。アミン、チオール、およびヒドロキシル基は求核性であり、(i)NHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート、および酸ハロゲン化物などの活性エステル、(ii)ハロアセトアミドなどのアルキルおよびベンジルハロゲン化物;(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル、およびマレイミド基を含めた、リンカー部分およびリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成することができる。特定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン橋を有する。抗体は、DTT(ジチオスレイトール)などの還元剤で処理することによって、リンカー試薬とのコンジュゲーションに対して反応性にし得る。したがって、それぞれのシステイン橋は、理論的には2つの反応性チオール求核剤を形成する。リシンと2−イミノチオラン(トラウト試薬)との反応によってさらなる求核基を抗体内に導入することができ、これはアミンからチオールへの変換をもたらす。1個、2個、3個、4個、またはそれより多くのシステイン残基を導入する(たとえば、1つまたは複数の非ネイティブシステインアミノ酸残基を含む突然変異抗体を調製する)ことによって、反応性チオール基を抗体(またはその断片)内に導入し得る。
また、抗体薬物コンジュゲートは、リンカー試薬または薬物上の求核性置換基と反応することができる求電子性部分を導入するための抗体の修飾によっても生成し得る。グリコシル化された抗体の糖は、リンカー試薬または薬物部分のアミン基と反応し得るアルデヒドまたはケトン基を形成するために、たとえば過ヨウ素酸酸化剤を用いて酸化し得る。生じるイミンシッフ塩基基は、安定な連結を形成し得る、またはたとえば水素化ホウ素試薬によって還元されて安定なアミン連結を形成し得る。一実施形態では、グリコシル化された抗体の炭水化物部分とグラクトース(glastose)オキシダーゼまたはメタ過ヨウ素酸ナトリウムのどちらかとの反応は、薬物上の適切な基と反応することができるタンパク質中にカルボニル(アルデヒドおよびケトン)基を与え得る(Hermanson、バイオコンジュゲート技法(Bioconjugate Techniques))。別の実施形態では、N末端セリンまたはスレオニン残基を含有するタンパク質は、メタ過ヨウ素酸ナトリウムと反応して、第1のアミノ酸の代わりにアルデヒドの生成をもたらすことができる(GeogheganおよびStroh、(1992)Bioconjugate Chem.、3:138〜146、US5362852号)。そのようなアルデヒドは、薬物部分またはリンカー求核剤と反応させることができる。
同様に、薬物部分上の求核基には、それだけには限定されないが、(i)NHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート、および酸ハロゲン化物などの活性エステル、(ii)ハロアセトアミドなどのアルキルおよびベンジルハロゲン化物、(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル、およびマレイミド基を含めたリンカー部分およびリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成することができる、アミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、およびアリールヒドラジド基が含まれる。
あるいは、抗体および細胞毒性剤を含む融合タンパク質は、たとえば、組換え技法またはペプチド合成によって作製し得る。DNAの全長は、コンジュゲートの2つの部分をコードしているそれぞれの領域を、互いに隣接して、またはコンジュゲートの所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードしている領域によって分離されて含み得る。
さらに別の実施形態では、腫瘍の事前標的化で利用するために、抗体を「受容体」(ストレプトアビジンなど)とコンジュゲートさせてよく、ここでは、抗体−受容体のコンジュゲートを患者に投与し、次いで、クリアランス剤を使用して未結合のコンジュゲートを循環から除去、その後、細胞毒性剤(たとえば放射性ヌクレオチド)とコンジュゲートされている「リガンド」(たとえばアビジン)を投与する。
IV.方法
A.抗体を用いた突然変異SMOの診断方法および検出方法
一態様では、本発明の抗体は、生体試料中の突然変異SMOの存在を検出するために有用である。本明細書中で使用する用語「検出すること」には、定量的または定性的な検出が包含される。特定の実施形態では、生体試料は腫瘍組織などの細胞または組織を含む。
一態様では、本発明は、生体試料中の突然変異SMOの存在を検出する方法を提供する。特定の実施形態では、この方法は、生体試料を、抗突然変異SMO抗体と、抗突然変異SMO抗体と突然変異SMOとの結合が許容される条件下で接触させることと、抗突然変異SMO抗体と突然変異SMOとの間に複合体が形成されるかどうかを検出することとを含む。
一態様では、本発明は、突然変異SMOの発現に関連する障害を診断する方法を提供する。特定の実施形態では、この方法は、試験細胞を抗突然変異SMO抗体と接触させることと、抗突然変異SMO抗体と突然変異SMOとの結合を検出することによって試験細胞による突然変異SMOの発現レベルを(定量的または定性的に)決定することと、試験細胞による突然変異SMOの発現レベルを対照細胞(たとえば、試験細胞と同じ組織起源の正常細胞またはそのような正常細胞に匹敵するレベルで野生型SMOを発現する細胞)による突然変異SMOの発現レベルと比較することとを含み、対照細胞と比較して試験細胞による突然変異SMOの発現レベルがより高いことが、増加した突然変異SMOの発現に関連する障害の存在を示す。特定の実施形態では、試験細胞は、増加した突然変異SMOの発現に関連する障害に罹患していると疑われる個体から得る。特定の実施形態では、障害は、癌または腫瘍などの細胞増殖性障害である。
本発明の抗体を使用して診断し得る例示的な障害には、それだけには限定されないが、髄芽腫、膵癌基底細胞癌が含まれる。
特定の他の方法を使用して、抗体と突然変異SMOとの結合を検出することができる。そのような方法には、それだけには限定されないが、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光免疫アッセイ、タンパク質A免疫アッセイ、および免疫組織化学(IHC)などの、当分野で周知の抗原結合アッセイが含まれる。
特定の実施形態では、抗体を標識する。標識には、それだけには限定されないが、直接検出される標識または部分(蛍光、発色団、高電子密度、化学発光性、および放射性の標識など)、ならびに間接的に、たとえば酵素反応または分子相互作用を介して検出される、酵素またはリガンドなどの部分が含まれる。例示的な標識には、それだけには限定されないが、放射性同位元素32P、14C、125I、3H、および131I、希土類キレートまたはフルオレセインおよびその誘導体などのフルオロフォア、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルセリフェラーゼ(luceriferase)、たとえばホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、たとえば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼなどの複素環式オキシダーゼ(過酸化水素を用いてHRPなどの色素前駆体を酸化する酵素、ラクトペルオキシダーゼ、またはマイクロペルオキシダーゼとカップリングされているもの)、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定フリーラジカル等が含まれる。
特定の実施形態では、抗体を不溶性マトリックス上に固定する。固定は、抗突然変異SMO抗体を、溶液中で遊離されたまま保たれるすべての突然変異SMOを分離することを伴い得る。これは、慣習的に、非水溶性のマトリックスもしくは表面への吸着などによってアッセイ手順の前に抗突然変異SMO抗体を不溶化することによって(Bennichら、U.S.3,720,760号)、または、共有的カップリングによって(たとえばグルタルアルデヒド架橋結合を使用)、または、抗突然変異SMO抗体と突然変異SMOとの間の複合体の形成後に、たとえば免疫沈降によって抗突然変異SMO抗体を不溶化することによって、達成する。
抗突然変異SMO抗体の代わりにまたはそれに加えて本発明の免疫コンジュゲートを使用することによって、診断または検出の上記実施形態のうちの任意ものを実施し得ることを理解されたい。
B.核酸プローブを用いた突然変異SMOの検出方法
一態様では、本明細書中に記載の核酸プローブは、生体試料中の突然変異SMO核酸の存在を検出するために有用である。本明細書中で使用する用語「検出すること」には、定量的または定性的な検出が包含される。特定の実施形態では、生体試料は腫瘍組織などの細胞または組織を含む。
一態様では、本発明は、生体試料中の突然変異SMOをコードしている核酸の存在を検出する方法を提供する。特定の実施形態では、この方法は、生体試料からの核酸を、本明細書中に記載のプローブと接触させることと、プローブを、核酸と、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションが許容される条件下でハイブリダイズさせることと、プローブと核酸試料との間に複合体が形成されるかどうかを検出することとを含む。
突然変異SMOをコードしている核酸は、それだけには限定されないが、本明細書中に記載のプローブの使用、またはPCR増幅、rtPCR配列決定、単鎖コンホメーション多型(SSCP)、DNAの示差的制限消化、ハイブリダイゼーション、または当分野で知られている任意の他の方法を含めた、当分野で知られている任意の方法を使用して検出し得る。
これらの方法では、細胞中の本明細書中に記載の突然変異SMOの検出は、増加した突然変異SMOの発現に関連する障害(すなわち、GDC−0449などのSmo阻害剤を用いた処置に対する耐性)の存在を示す。特定の実施形態では、試験細胞は、突然変異SMOの発現に関連する耐性腫瘍を有すると疑われる個体から得る。
本発明の抗体を使用して診断し得る例示的な障害には、それだけには限定されないが、髄芽腫、膵癌基底細胞癌が含まれる。
C.細胞に基づくアッセイにおける突然変異SMOの検出方法
突然変異SMOは、それだけには限定されないが、腫瘍試料または突然変異SMOを含有することが疑われる組織の組織学的な調製物の、瘍試料in vitro免疫組織化学的染色などの、突然変異SMO検出抗体と細胞試料の表面との結合を含めた、当分野で知られている細胞に基づくアッセイにおいて検出し得る。Hhシグナル伝達(たとえば、経路の構成要素の活性化、Gliの発現などを測定することによる)が起こるかどうかを決定するために、組織試料をGDC−0449およびヘッジホッグと接触させる機能的アッセイ。GDC−0449を使用して乱すことができるHhシグナル伝達経路を使用した任意の機能的アッセイを本発明の方法で使用して、突然変異SMOの存在を決定し得る。
D.突然変異SMOと結合する化合物についてスクリーニングする方法
本発明は、突然変異SMOと結合する化合物をスクリーニングする方法を提供する。特定の作動様式に縛られずに、GDC−0449が野生型SMOと結合して突然変異SMOと結合しない様式とほぼ同様に、突然変異SMOの阻害剤として作用する化合物は、第6膜貫通ドメイン(TM6)のカルボキシ末端部分内の同じ領域中の突然変異SMOと結合すると予測される。したがって、当分野で知られている任意の手段によって、突然変異SMOタンパク質のこの領域を発現させ、化合物ライブラリを使用した結合アッセイを実行し得る。また、GDC−0449の潜在的な接触点に基づくモデリング手法を使用した、GDC−0449のバリエーションによって表されるより小さな化合物ライブラリを使用し、その後、突然変異SMOとGDC−0449のバリエーションとの類似の接触点をモデリングしてもよい。そのようなモデリングプログラムおよびアルゴリズムは、当分野で知られている任意のものであり得る。野生型および突然変異SMOのどちらの阻害剤でもある、突然変異SMOおよび野生型SMOと結合する化合物を同定し得る。あるいは、突然変異SMOと結合するが、野生型SMoと結合せず、したがって突然変異SMOのみの阻害剤である化合物を発見し得る。
一実施形態では、スクリーニングする化合物は、GDC−0449の変異体などの小分子化合物である。他の実施形態では、突然変異SMOと結合する化合物は、GDC−0449と野生型SMOとの結合部位と同じ領域中にあるエピトープを特異的に認識する抗体である。一実施形態では、抗体は、突然変異SMOのTM6のカルボキシ末端部分注の領域と結合し、突然変異SMO活性を阻害する。
あるいは、またはそれに加えて、化合物を、突然変異SMO活性を阻害するその能力についてスクリーニングし得る。これらの実施形態では、これらの化合物の、突然変異SMOを発現する細胞においてヘッジホッグシグナル伝達を阻害する能力を評価し得る。これらのアッセイは、ヘッジホッグシグナル伝達経路がインタクトであるが、野生型SMOの代わりにまたはそれに加えて突然変異を保有する組換えSMOを発現する細胞において、行い得る。これらのアッセイでは、細胞の、候補阻害剤の存在または非存在下でヘッジホッグと共にインキュベーションした場合に活性のあるヘッジホッグシグナル伝達を有する能力を決定する。ヘッジホッグシグナル伝達が候補化合物の存在下で阻害される場合、そのような化合物はヘッジホッグ阻害剤である。一部の実施形態では、細胞は野生型および突然変異SMOをどちらも発現し、GDC−0449および候補阻害剤と共にインキュベーションする。他の実施形態では、細胞は突然変異SMoのみを発現し、Hhと共におよび候補阻害剤単独(すなわちGDC−0449の非存在下)でインキュベーションし得る。Hhシグナル伝達がそのような細胞中で低下または阻害された場合に、化合物は突然変異SMOの阻害剤である。
E.突然変異SMOと結合する化合物を使用した治療方法
本発明は、GDC−0449などの化学療法化合物に対して耐性であるヘッジホッグシグナル伝達依存性腫瘍を有する患者を、突然変異SMOと結合する化合物で処置する方法を提供する。
1.治療方法
本発明の抗体は、たとえば、in vitro、ex vivo、およびin vivoの治療方法で使用し得る。一態様では、本発明は、細胞を、本発明の抗体に、抗体と突然変異SMOとの結合が許容される条件下で曝露することを含む、in vivoまたはin vitroのどちらかで癌を処置する方法、所望しない細胞増殖を阻害する方法、癌の転移を阻害する方法、および腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する方法を提供する。特定の実施形態では、細胞は、骨髄性白血病細胞、肺癌細胞、胃癌細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞、腎細胞癌細胞、および膠芽細胞腫細胞である。一実施形態では、本発明の抗体は、突然変異SMOの活性を阻害するために使用することができ、この方法は、突然変異SMOの活性が阻害されるように、突然変異SMOを本発明の抗体に曝露することを含む。
一態様では、本発明は、個体に有効量の本発明の抗体を投与することを含む、癌を処置する方法を提供する。特定の実施形態では、癌を処置する方法は、個体に、有効量の、本発明の抗体を含む医薬配合物と、任意選択で、以下に提供するものなどの少なくとも1つの追加の治療剤とを投与することを含む。
本発明の抗体は、治療において単独でまたは他の組成物と組み合わせて使用することができる。たとえば、本発明の抗体は、少なくとも1つの追加の治療剤および/またはアジュバントと同時投与し得る。特定の実施形態では、追加の治療剤は抗VEGF抗体である。
上述のそのような組合せ療法には、組合せ投与(2つ以上の治療剤が同じまたは別々の配合物中に含まれる)および別々の投与が包含され、その場合、本発明の抗体の投与は、追加の治療剤および/またはアジュバントを投与する前、それと同時に、および/またはその後に起こることができる。また、本発明の抗体は、放射線療法と組み合わせて使用することができる。
一実施形態では、本発明の抗体は、個体中の突然変異SMOが結合されるように個体に抗体を投与することを含む、増加した突然変異SMOの発現および/または活性に関連する障害を患っている個体において突然変異SMOを結合する方法で使用する。一実施形態では、突然変異SMOはヒト突然変異SMOであり、個体はヒトである。
本発明の抗体(および任意の追加の治療剤またはアジュバント)は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、および鼻腔内を含めた任意の適切な手段によって、所望する場合は局所的処置の病巣内投与のために投与することができる。非経口輸液には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下の投与が含まれる。さらに、抗体は、特に低下する用量の抗体を用いた、パルス輸液によって適切に投与する。投薬は、投与が短期間または慢性であるかに部分的に依存して、任意の適切な経路、たとえば静脈内または皮下注射などの注射によるものであることができる。
本発明の抗体の結合標的の位置を、抗体の調製および投与において考慮し得る。結合標的が細胞内分子である場合、本発明の特定の実施形態は、結合標的が位置する細胞内に導入する抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態では、本発明の抗体は、細胞内で細胞内抗体として発現させることができる。本明細書中で使用する用語「細胞内抗体」とは、たとえば、Marasco、Gene Therapy、4:11〜15(1997)、Kontermann、Methods、34:163〜170(2004)、米国特許第6,004,940号および第6,329,173号、米国特許出願公開第2003/0104402、およびPCT公開WO2003/077945号に記載されているように、細胞内で発現され、標的分子と選択的に結合することができる抗体またはその抗原結合部分をいう。また、細胞内抗体を生じるための遺伝子治療の使用に関しては、たとえば1996年3月14日に公開のWO96/07321号も参照されたい。
細胞内抗体の細胞内発現は、所望の抗体またはその抗原結合部分をコードしている核酸(抗体または抗原結合断片をコードしている遺伝子と通常会合している野生型リーダー配列および分泌シグナルを欠く)を標的細胞内に導入することによって達成し得る。本発明の抗体の全体または一部分をコードしている1つまたは複数の核酸は、細胞内標的ポリペプチドと結合して標的ポリペプチドの活性を変調させることができる1つまたは複数の細胞内抗体が発現されるように、標的細胞内に送達することができる。それだけには限定されないが、微量注入、弾道注入、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、リポソーム、ならびに対象の核酸を保有するレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルスおよびワクシニアのベクターを用いた形質移入を含めた、核酸を細胞内に導入するための任意の標準の方法を使用し得る。
特定の実施形態では、核酸(任意選択でベクター中に含有される)は、in vivoおよびex vivo方法によって患者の細胞内に導入し得る。in vivo送達の一例では、核酸を、患者内に直接、たとえば治療行為が必要な部位に注射する。in vivo送達のさらなる例では、ウイルスベクター(アデノウイルス、単純ヘルペスIウイルス、またはアデノ関連ウイルス)および脂質に基づく系(脂質に媒介される遺伝子の移入に有用な脂質は、たとえば、DOTMA、DOPEおよびDC−Cholである)を用いた形質移入を使用して、核酸を細胞内に導入する。特定の遺伝子マーキングおよび遺伝子治療プロトコルの総説には、Andersonら、Science、256:808〜813(1992)、およびWO93/25673号ならびにそれ中に引用される参考文献を参照されたい。ex vivo処置の一例では、患者の細胞を取り出し、核酸をこれらの単離された細胞内に導入し、改変された細胞を、患者に直接、またはたとえば患者内に植え込む多孔性膜内にカプセル封入して投与する(たとえば、米国特許第4,892,538号および第5,283,187号を参照)。核酸のex vivo送達に一般的に使用されるベクターはレトロウイルスベクターである。
別の実施形態では、内部移行抗体が提供される。抗体は、細胞内への抗体の送達を強化させる特定の特徴を保有することができるか、またはそのような特徴を保有するように改変することができる。このことを達成するための技法が当分野で知られている。たとえば、抗体の陽イオン化は、細胞内へのその取込みを容易にすることが知られている(たとえば米国特許第6,703,019号を参照)。また、リポフェクションまたはリポソームも、抗体を細胞内に送達するために使用することができる。抗体断片を使用する場合、標的タンパク質と特異的に結合する最も小さな阻害性断片が有利であり得る。たとえば、抗体の可変領域配列に基づいて、ペプチド分子は、標的タンパク質配列と結合する能力を保持するように設計することができる。そのようなペプチドは、化学的に合成するおよび/または組換えDNA技術によって産生させることができる。たとえばMarascoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:7889〜7893(1993)を参照されたい。
抗体の標的細胞内への進入は、当分野で知られている他の方法によって強化させることができる。たとえば、HIV Tatまたはアンテナペディアホメオドメインタンパク質に由来するものなどの特定の配列が、細胞膜を横断する異種タンパク質の効率的な取込みを指示することができる。たとえばChenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999)、96:4325〜4329を参照されたい。
抗体の結合標的が脳内に位置する場合、本発明の特定の実施形態は、抗体が血液脳関門を横切ることをもたらす。血液脳関門を横断して分子を輸送するために、それだけには限定されないが、物理的方法、脂質に基づく方法、幹細胞に基づく方法、ならびに受容体およびチャネルに基づく方法を含めたいくつかの当分野で知られている手法が存在する。
血液脳関門を横断して抗体を輸送する物理的方法には、それだけには限定されないが、血液脳関門を完全に、または血液脳関門中に開口部を作製することによって回避することが含まれる。回避方法には、それだけには限定されないが、脳内への直接注射(たとえばPapanastassiouら、Gene Therapy、9:398〜406(2002)を参照)、間質性輸液/対流増強送達(たとえばBoboら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91:2076〜2080(1994)を参照)、および送達装置を脳内に植え込むこと(たとえば、Gillら、Nature Med.、9:589〜595(2003)、およびGliadel Wafers(商標)、Guildford Pharmaceuticalを参照)が含まれる。関門中に開口部を作製する方法には、それだけには限定されないが、超音波(たとえば米国特許公開第2002/0038086号を参照)、浸透圧(たとえば高張性マンニトールの投与による(Neuwelt,E.A.、血液脳関門の関連およびその操作(Implication of the Blood−Brain Barrier and its Manipulation)、第1および2巻、Plenum Press、N.Y.(1989))、たとえばブラジキニンまたは透過処理剤A−7による透過処理(たとえば、米国特許第5,112,596号、第5,268,164号、第5,506,206号、および第5,686,416号を参照)、ならびに、抗体をコードしている遺伝子を含有するベクターを用いた、血液脳関門にまたがるニューロンの形質移入(たとえば米国特許公開第2003/0083299号を参照)が含まれる。
血液脳関門を横断して抗体を輸送する脂質に基づく方法には、それだけには限定されないが、抗体を、血液脳関門の血管内皮上の受容体と結合する抗体結合断片とカップリングされたリポソーム中にカプセル封入すること(たとえば米国特許出願公開第20020025313を参照)、および抗体を低密度リポタンパク質粒子(たとえば米国特許出願公開第20040204354号を参照)またはアポリポタンパク質E(たとえば米国特許出願公開第20040131692号を参照)でコーティングすることが含まれる。
血液脳関門を横断して抗体を輸送する幹細胞に基づく方法は、対象の抗体を発現するように神経前駆細胞(NPC)を遺伝子操作すること、および、その後、幹細胞を処置する個体の脳内に移植することを伴う。Behrstockら(2005)Gene Ther.、2005年12月15日、先行オンライン出版(神経栄養因子GDNFを発現するように遺伝子操作したNPCが、げっ歯類および霊長類モデルの脳内に移植した場合にパーキンソン病の症状を低下させたことを報告している)を参照されたい。
血液脳関門を横断して抗体を輸送する受容体およびチャネルに基づく方法には、それだけには限定されないが、血液脳関門の透過性を増加させるために糖質コルチコイド遮断剤を使用すること(たとえば、米国特許出願公開第2002/0065259号、第2003/0162695号、および第2005/0124533号を参照)、カリウムチャネルを活性化させること(たとえば米国特許出願公開第2005/0089473号を参照)、ABC薬物トランスポーターを阻害すること(たとえば米国特許出願公開第2003/0073713号を参照)、抗体をトランスフェリンでコーティングし、1つまたは複数のトランスフェリン受容体の活性を変調させること(たとえば米国特許出願公開第2003/0129186号を参照)、ならびに抗体を陽イオン化すること(たとえば米国特許第5,004,697号を参照)が含まれる。
本発明の抗体は、優良医療規範(good medical practice)に一致した様式で配合、投薬、および投与する。このコンテキストにおいて考慮される要因には、処置する具体的な障害、処置する具体的な哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与の方法、投与のスケジュール、および医療従事者に知られている他の要因が含まれる。抗体は、必ずしもではないが、任意選択で、問題の障害を予防または処置するために現在使用されている1つまたは複数の薬剤と共に配合する。有効量のそのような他の薬剤は、配合物中に存在する抗体の量、障害または処置の種類、および上述の他の要因に依存する。これらは、一般に、本明細書中に記載のものと同じ用量および投与経路で、または、本明細書中に記載の用量の約1〜99%、もしくは任意の用量で、経験的/臨床的に適切であると決定されている任意の経路によって使用する。
疾患の予防または処置には、本発明の抗体を適切な用量(単独でまたは1つもしくは複数の他の追加の治療剤と組み合わせて使用する場合)は、処置する疾患の種類、抗体の種類、疾患の重篤度および経過、抗体を予防的または治療的な目的で投与するか、以前の治療、患者の病歴および抗体に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存する。抗体は、一度にまたは一連の処置にわたって患者に適切に投与する。疾患の種類および重篤度に応じて、たとえば1回もしくは複数回の別々の投与によるか、または持続注入によるかにかかわらず、約1μg/kg〜15mg/kg(たとえば0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体が、患者に投与する初期候補用量であることができる。1つの典型的な1日用量は、上述の要因に応じて約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲であり得る。数日間以上にわたる繰返し投与には、状態に応じて、一般に疾患症状の所望の抑制が起こるまで処置を持続させる。抗体の1つの例示的な用量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kgもしくは10mg/kgの1つもしくは複数の用量(またはその任意の組合せ)を患者に投与し得る。そのような用量は、断続的に、たとえば隔週または3週間毎に投与し得る(たとえば、患者が約2〜約20回、またはたとえば約6回の用量の抗体を受けるように)。初期のより高いローディング用量、次いで1つまたは複数のより低い用量を投与し得る。例示的な投薬レジメンは、約4mg/kgの初期のローディング用量、次いで週に1回の約2mg/kgの抗体の維持量を投与することを含む。しかし、他の投薬レジメンが有用であり得る。この治療の進行は、慣用の技術およびアッセイによって容易に監視される。
上記治療方法のうちの任意のものは、抗突然変異SMO抗体の代わりにまたはそれに加えて本発明の免疫コンジュゲートを使用して実施し得ることが理解されよう。
GDC−0449耐性の腫瘍を処置するための化合物
アミノ酸位置473でのsmoothenedの突然変異が原因のGDC−0449耐性の腫瘍を処置するために使用し得る小分子化合物は、とりわけ以下である。
小分子は、化合物を投与した対象に不都合な効果を引き起こさずに突然変異SMO活性を阻害するために有効な量で提供される。化合物は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、および鼻腔内を含めた任意の適切な手段によって、所望する場合は局所的処置の病巣内投与のために投与し得る。非経口輸液には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下の投与が含まれる。投薬は、投与が短期間または慢性であるかに部分的に依存して、任意の適切な経路、たとえば静脈内または皮下注射などの注射によるものであることができる。
本発明の化合物はさらに、PI3K阻害剤と共に投与し得る。PI3K阻害剤の投与は、SMOタンパク質のさらなる突然変異誘発およびSmo阻害剤に対する獲得耐性を予防するまたは遅延させる。適切なPI3K阻害剤には、それだけには限定されないが、Maira S−Mら(2009)“癌を処置するためのPI3K阻害剤:我々の見解は?「PI3K Inhibitors for Cancer Treament:Where Do We Stand?」、Biochem.Soc.Trans.、37:265〜272に記載のものを含めた、当分野で知られている任意のものが含まれる。
導入
新規Hh経路阻害剤GDC−0449を用いた、広範な転移性疾患を宿している髄芽腫患者の処置により、処置に対する劇的かつ迅速な応答がもたらされたことが、最近実証された(Charles M.Rudinら(2009)N.Engl.J.Med.、361:1173〜1178)。GDC−0449は、PTCH1を失った後に活性化されるGタンパク質カップリング様受容体、Smoothened(SMO)を標的とする(Charles M.Rudinら(2009)N.Engl.J.Med.、361:1173〜1178、Molckovsky,A.およびL.L.Siu(2008)J.Hematol.Oncol.、1:20)。
GDC−0449を用いた処置の前に採取した、この髄芽腫患者の原発性および転移性の腫瘍の分子プロファイリングにより、PTCH1における根底にある体細胞突然変異(PTCH1−W844C)、およびアップレギュレーションされたHh経路の標的遺伝子の発現が明らかとなり、これは、腫瘍が調節不全のHhシグナル伝達によって駆動されているという仮説を支持している(C.M.Rudinら(2009)N.Engl.J.Med.、361:1173〜1178)図4。PTCH1−W844C突然変異は、野生型(WT)SMOと一緒に同時形質移入した場合に、Hh−応答性のGLI−ルシフェラーゼレポーター細胞系(C3H10T12線維芽細胞)においてSMO活性を抑制することができず、これは、この特異的な突然変異がSMOを抑圧し、したがってHh経路の異常なリガンド非依存性の活性化をもたらすPTCH1の能力を阻害できることを示している(図5)。この患者において最初に観察される顕著な腫瘍の縮小にもかかわらず、処置の開始から約3カ月後にとったPET走査は疾患の進行を示した。疾患の再発を確認するため、および続くGDC−0449に対する獲得耐性の機構を探索するための分子プロファイリングのために、進行中の病変の細針吸引液を得た。PTCH1の配列決定により、以前に検出されているヘテロ接合性の損失を伴ったホモ接合性PTCH1−W844C突然変異の存在が確認された(図4)。
再発の機構を特徴づけるために、本出願では、本発明者らは、GDC−0449の直接標的であるSMOを含めたHh経路の既知の構成要素の状態を評価した。
材料および方法
試薬および構築体。KAAD−シクロパミンは、Toronto Research Chemicals Inc.から購入した(カタログ番号K171000)。GDC−0449はGenentechで作製されたものである(A.MolckovskyおよびL.L.Siu(2008)J.Hematol.Oncol.、1:20)。すべてのHh阻害剤は、100%のDMSO(Sigma)中の30mMのストックとして、−20℃で保管した。ヒトSMO、ヒトPTCH1(転写変異体1b、GenBank NM_000264.3)およびeGFPをpRK5(BD Biosciences)内にクローニングし、CMVプロモーターから発現させた。点突然変異を、StratageneからのQuikChange II部位特異的突然変異誘発キット(カタログ番号200524)を用いて導入し、FLAGタグを、野生型および突然変異ヒトSMOのカルボキシ末端に、PCRによって、InvitrogenからのPlatinum Taq DNA Polymerase High Fidelity(カタログ番号11304−011)を使用して導入した。(Muroneら(1999)Curr Biol.、9:76〜84)は以前にHhルシフェラーゼレポーターGli−BSを記載しており、ウミシイタケ形質移入対照プラスミド(pRL−TK)はPromegaからのものである(カタログ番号E2241)。すべての構築体を配列決定によって確認した。
アラニン走査突然変異誘発。SMO突然変異体を上述のようにpRK5−SMOから作製した。アラニンをロイシンに突然変異させた一方で(CTG)、すべての他の残基をアラニンに突然変異させた(GCA)。
ヘッジホッグ経路遺伝子の状態。マウスおよびヒトSMO/SMOのオープンリーディングフレームを包含するエクソン、ならびにPTCH1のエクソン15を、1対の入れ子状態のプライマーを使用してゲノムDNAからPCR増幅した。増幅に使用したプライマーの内部対は、m13順方向またはm13逆方向プライマー配列を含有していた。PCR後、ExoSAP−ITキット(USB)を使用して遊離ヌクレオチドおよび過剰量のプライマーを除去した。m13配列決定プライマーを使用してPCR産物を両方向で配列決定した。BigTerminatorキット(Applied Biosystems)を使用してPCR産物をサイクル配列決定した。すべての配列決定産物を3730xl配列決定器(Applied Biosystems)上で分離した。Sequencher(GeneCodes)および/またはMutation Surveyor(SoftGenetics LLC)を使用して配列追跡ファイルを分析した。SMO D473H突然変異を、プライマー伸長および増幅されたDNAのMALDI−TOF質量分析によってさらに確認した(MassARRAY、Sequenom、カリフォルニア州San Diego)。以下のプライマーを利用した:拡張プライマー(UEP.D473H):TCAGCTGCCACTTCTAC(5081.3Da)(配列番号13)、分析物G:TCAGCTGCCACTTCTACG(5368.5Da)(配列番号14)、分析物C:TCAGCTGCCACTTCTACC(5328.5Da)(配列番号15)。SMO D473H突然変異は、以前に希少なSNPとして報告されていたが(参照SNP ID:rs17710891)、本発明者らは、罹患している個体またはその系統から得られたDNA中にこの遺伝子型を確認することができなかった。
ディープ配列決定。SMOエクソン8突然変異部位の周囲の領域を、原疾患生検のDNA、転移性疾患生検のDNAおよび対照の正常なDNAからPCR増幅し(Promega、ウィスコンシン州)、プールし、Illuminaゲノム分析器で分析した。原疾患DNAには配列バーコード「AACGCA」、転移性疾患DNAには「AACTGC」および正常なDNAには「AAGCCT」をPCRプロセスの一部として加え、この配列を使用して、配列決定後に配列を3つの分類へと分別した。標的領域にわたる合計5700万個の36bpの読取値を、突然変異した対立遺伝子の存在について分析した(G>C)。本発明者らは、3つの配列バーコードのうちの1つとの完全一致を必要とし、突然変異対立遺伝子の位置をマスキングした後に2つのミスマッチを許容して、短い読取値の93.5%と標的とのアラインメントに成功した。アラインメントは、不良の品質アラインメントをフィルタリングするための初期設定基準を用いたMAQを使用して行った(s1)。分析は品質スコア≧30を有する塩基に限定し、それぞれの位置で、変異対立遺伝子を含有する読取値の割合を計算した。対象の突然変異体G>C対立遺伝子は、原発性試料では読取値の0.029%(品質≧30を有する1120万個の読取値のうち)、転移性試料では0.02%(1370万個の読取値のうち)、正常な試料では0.02%(1020万個の読取値のうち)で起こった。対象の位置外にあるバーコード領域および配列を使用して、本発明者らは、バックグラウンドの配列決定の誤差率が0.02%であると推定し、これは、この技術を使用した検出の閾値を表す。二項試験(p〜0)は、すべての試料中での0.1%以上のレベルの突然変異対立遺伝子の存在を排除する。
ルシフェラーゼレポーターアッセイ。C3H10T1/2細胞(ATCC、カタログ番号CCL−226)を、6ウェルプレート内に、1.5×105個の細胞/ウェルで、4mMのグルタミン、10mMのHepes、pH7.2および10%のFBSを含むDMEM高グルコース中で、形質移入の前日の午後に播種した。翌朝、細胞を、400ngの発現構築体、400ngのGli−BSおよび200ngのpRL−TK/ウェルを用いて、GeneJuice形質移入試薬(Novagen、カタログ番号70967)を使用して形質移入した。PTCH1阻害実験には、様々な比のPTCH1対eGFPの発現構築体を含有するさらに200ngのDNAで細胞を形質移入した。NF−ΚBおよびSV40レポーターアッセイには、Gli−BSをpGL4.32またはpGL3−プロモーターのどちらかで置き換えた。6時間後、細胞をトリプシン処理によって収集し、それぞれのウェルを、12ウェルプレートの4つのウェルにわたって再分配した。翌朝、培養培地のFBS含有率を0.5%まで低下させて、原発性繊毛の形成を誘導し、小分子Hh阻害剤を示した濃度で加えた。ルシフェラーゼ活性を48時間後にDual−Gloルシフェラーゼアッセイ系(Promega、カタログ番号E2940)を用いて決定した。形質移入効率を正規化するために値をウミシイタケルシフェラーゼ活性によって除算し、3回の別々の実験の平均±1標準偏差として示す。
D473突然変異体(すべてのアミノ酸の可能性)のGli−ルシフェラーゼレポーターアッセイ。以下の改変を用いて、Gli−ルシフェラーゼレポーターアッセイを上述のように行った(Rudin,C.M.ら(2009)N.Engl.J.Med.、361:1173〜1178);C3H10T1/2細胞(ATCC、CCL−226)を6ウェルプレートに1.85×105個の細胞/ウェルで播種し、示した値は4回の別々の実験の平均±1標準偏差(SD)である。
3H]−GDC−0449−結合アッセイ。以前に記載のようにHEK−293細胞をSMO発現構築体で形質移入し、収穫し、固定し、洗浄した。細胞をPBS中に再懸濁させ、96ウェルプレートに播種し(2×106個の細胞/ウェル)、1時間、37℃で、5nMの[3H]−GDC−0449(0.05μCi/ウェル、Tritec、スイスTeufen)と共に、50μMの未標識のGDC−0449の存在または非存在下でインキュベーションした。細胞収穫器(Wallac)を使用して細胞をフィルタープレート(Perkin Elmer#6005174)に移し、水で5回洗浄した。プレートを乾燥させ、TopcountシンチレーションカウンターおよびMicroscint−20シンチレーションカクテル(どちらもPerkin Elmer製)を使用して結合した放射活性を測定した。データは、生の計数として示したか、またはバックグラウンド値(形質移入していない細胞から得られたもの)を減算した後にSMO−WTに対して正規化した。
SMO突然変異体のFACS分析。SMO突然変異体の細胞表面発現を決定するためのFACS分析を、以前に記載のように行った。%SMO陽性細胞をSMO−WT対照に対して正規化した。
10T1/2細胞におけるSMOおよびFlagの発現のウエスタンブロット。10T1/2細胞を、GeneJuice形質移入試薬(Novagen70967)を使用して、WT SMO、mut SMO、または空のpRK5ベクターのいずれかを用いて、48時間、一過的に形質移入した。ウエスタンブロットを、4〜12%のトリス−グリシンゲルおよびニトロセルロース膜を利用した標準の公開されている方法を使用して実施した。タンパク質は、抗Flag抗体M2(Sigma F3165)を使用して、Alexa488抗マウス二次(Molecular Probes A11001)を用いて検出した。ブロットは、Amersham Biosciences Typhoon Trioを使用した蛍光によってイメージングした。FACS分析には、形質移入した細胞を1mMのEDTA/PBS中で取り外し、続いて、SMO抗体2D11(1ug/ml)と共にインキュベーションし、次いで、ビオチン−SPとコンジュゲートさせたAffiniPureヤギ抗マウスIgG(1:100、Jackson Immunoresearch Labs、115−065−071)およびR−フィコエリスリンとコンジュゲートさせたストレプトアビジン(1:50、Jackson Immunoresearch Labs、016−110−084)と共に20分間インキュベーションした。PI(500ng/ml)中に再懸濁させた後、BD Biosciences HTS FacsCaliburを使用して細胞を分析した。
14C−GDC0449結合および競合。293細胞を、GeneJuiceを使用して、WT SMOまたはmut SMOのどちらかを用いて、48時間、一過的に形質移入した。PBS中の1mMのEDTA中で収穫した後、1000万個の細胞を、4%PFAを用いて10分間、室温で固定し、PBS中の1mMのEDTAで3回洗浄し、その後、1時間、室温で、14C−GDC−0449(5nM)と共に、50μMの冷GDC−0449を用いてまたは用いずにインキュベーションした。細胞をPBSで3回洗浄し、その後、シンチレーションバイアルに移した。15mlのPicoFluor40を加え、PerkinElmer液体シンチレーション分析器Tri−Carb2900TRを使用してカウント毎分を評価した。すべての試料は3つ組で行った。
GDC−0449耐性のマウス髄芽腫モデルの作製。4週齢から開始して、C57BL/6バックグラウンド上のPtch1-/+;p53-/-マウスを、MRIによって髄芽腫の存在について週に1回観察した。すべてのマウスを、CNSの関与の指標である異常な挙動の任意の兆候について、毎日監視した。MRIによって検出された明確に定義された腫瘍を有するマウスを屠殺し、腫瘍を正常な小脳から解体し、機械的に解離させ、5×106個の細胞をCD−1ヌードマウス(CRL)の外側胸部領域内に注射した。腫瘍を約400mm3の大きさまで進行させ、この時点で、マウスを75mg/kgのGDC−0449(遊離塩基の等価量)で1日1回、腫瘍が約100mm3の大きさに減少するまで処置した。再成長が起こるまでマウスに投薬休暇を与えた。腫瘍が1日1回の投薬にもはや応答性でなくなるまで、処置および再成長の連続的なラウンドを適用し、この時点で、投薬頻度を1日2回の75mg/kgに増加した。耐性は、これらのモデルにおいて7〜10週間の期間かけて発生し、これは、GDC−0449の最適以下の投薬が、迅速に耐性をもたらす場合があることを示唆している。その後、この用量および頻度に応答しなかった腫瘍を分子分析用に収穫し、拡大のために追加のマウス内に皮下で継代培養した(初代継代)。GDC−0449に応答した経路の変調を分析するために、第2継代の腫瘍を保有するマウスを75mg/kgのGDC−0449で1回投薬し、分析のために投薬の6時間後に収穫した。すべてのマウスは、カリフォルニア州の法律および倫理の実施に一致したGenentech,Incの動物使用の指針に従って収容および維持した。図4の参照は、H.Li、J.RuanおよびR.Durbin(2008)Genome Res.、18:1851である。
マウスの薬物動態学研究。化合物4および5を用いたマウスの薬物動態学研究は、GDC−0449について記載のように本質的に行った(Wong H.ら(2009)Xenobiotica、39:850〜861)。手短に述べると、研究開始時に重さが25〜33gの、24匹の雌のCD−1マウスに、化合物4または5のどちらかの単一の経口の100mg kg−1用量を、0.2%のTween−80を含む0.5%のメチルセルロース(MCT)中の懸濁液として与えた。血液試料(n=3匹のマウス/時点)を、抗凝固剤としてEDTAを含有するチューブ中に、イソフルラン下の末端心穿刺によって、以下の時点で収集した:投薬の5、15および30分後、ならびに1、3、6、9および24時間後。血液試料を遠心分離して血漿を収集し、薬物濃度をLC/MS/MSによって定量するまでこれを−80℃で保管した。
MB同種移植を有する動物の薬物処置。腫瘍を保有する動物を、ネズミPtch+/−;p53−/−MB腫瘍系の連続的な皮下繁殖を介して作製した(Wetmore C.ら(2001)Cancer Res.、61:513〜516)。1500〜2000mm3の皮下腫瘍を、敗血症状態下にあるドナーマウスから切除し、高グルコースDMEM中で2本の#10メスを用いて繰り返しスライスおよびチョップすることによって刻み、細胞解離篩に通した(Sigma、CD1−1KT)。生じた単一細胞の懸濁液を高グルコースDMEMで2回洗浄し、70μmのナイロン細胞濾過器(BD Falcon)を通して濾過した後、Vi−CELL細胞生存度分析器(Beckman Coulter)で計数した。100μlの体積中の約2.5〜4×106個の生細胞を7〜10週齢の雌のCD−1ヌードマウス(CRL)の右外側胸部内に皮下注射した。腫瘍の寸法はUltra Cal IVカリパー(Fred V.Fowler Company Inc.、マサチューセッツ州Newton)で測定し、腫瘍体積は式v=0.5×a×b2[式中、aおよびbは、それぞれ最短および最長の垂直腫瘍直径である]を使用して計算した。腫瘍の体積が125〜350mm3に達した際、動物を類似の大きさの腫瘍を有する処置群に分け、薬物の投与を開始した。化合物をMCT中で配合し、マウスに、HPI研究にはビヒクルを1日2回、化合物5を100mg kg−1で1日1回、またはHhAntagを100mg kg−1で1日2回のいずれか、PI3K阻害研究にはビヒクルまたは薬物のどちらかを8〜10mg kg−1で1日1回、0.2mlで経口投与した。腫瘍が2000mm3を超えた際、および/またはマウスの体重が>20%減った際に、マウスを安楽死させた。すべてのマウスは、カリフォルニア州の法律および倫理の実施に一致したGenentech Inc.の動物使用の指針に従って収容および維持した。
統計的方法。当てはめた腫瘍成長曲線は、Rバージョン2.9.2(R Development Core Team2008、R Foundation for Statistical Computing;オーストリアVienna)中の非線形混合効果パッケージ「nlme」、バージョン3.1−96(Pinheiro J.ら(2009)のパッケージ「nlme」、バージョン3.1−96)を使用して誘導した。
RNA単離およびqRT−PCR。RNeasy Miniキット(Qiagen74106)を使用して全RNAを腫瘍から抽出した。RNA濃度はNanoDrop分光光度計を用いて決定し、qRT−PCRは、100ngのRNAを用いて、Applied Biosystems7500サーモサイクラー上で実施した。発現レベルはRpl19に対して正規化し、正規化した遺伝子発現値として表す(2−ΔCt)。Gli1用のTaqMan遺伝子発現アッセイはApplied Biosystemsから購入し、そのプローブ(アッセイID:Mm00494646_g1)はエクソン3〜4の境界にまたがっていた。Rpl19のプライマーおよびプローブ配列は、F:5’−AGAAGGTGACCTGGATGAGA−3’(配列番号10)、R:5’−TGATACATATGGCGGTC AATCT−3’(配列番号11)およびP:5’−CTTCTCAGGAGATACCGGGAATC CAAG−3’(配列番号12)である。
Smo免疫染色。S12細胞をコンフルエントになるまでプレートし、飽和化合物レベル(シクロパミンでは5μM、他のものでは1μM)の存在下で、±200ng/mlのオクチル−Shhで16時間血清飢餓させた。その後、細胞を100%のメタノール中で固定し、抗Smo(5928B、マウスSmoのC末端テイルに対して産生させたウサギpAb(Wen X.ら(2010)Mol.Cell.Biol.、30:1910〜1922)、Cy3−抗ウサギで検出[Jackson Immunoresearch])ならびに抗アセチル化および抗ガンマチューブリン(それぞれmAb6−11B−1およびGTU88、FITC抗マウスで同時検出[すべてJackson Immunoresearch])で染色し、記載のようにイメージングした(Wen X.ら(2010)Mol.Cell.Biol.、30:1910〜1922)。3回以上の独立した実験からの少なくとも200本の繊毛を、繊毛軸全体に沿って頑強なSmo染色について分析した(基部に限局される弱いシグナルまたは染色を有するものを排除する)。
Hh経路遺伝子の状態。AllPrep DNA/RNA Miniキット(Qiagen)を用いてゲノムDNAを腫瘍から単離し、M13順方向および逆方向配列を含有する1対の入れ子状態のプライマーを使用して、ネズミSmo、SufuおよびGli2からのすべてのエクソンをPCR増幅した。ExoSAP−IT キット(USB)を用いて過剰量のプライマーおよび遊離ヌクレオチドを除去し、M13配列決定プライマー、BigDye Terminator v3.1キットおよび3730xlDNA分析器(どちらもApplied Biosystems製)を使用してPCR産物を両方向でサイクル配列決定した。Sequencher(GeneCodes)およびMutation Surveyor(SoftGenetics LLC)ソフトウェアを使用して配列ファイルを分析した。
遺伝子コピー数の分析。腫瘍のDNAを標識し、製造者に推奨されたプロトコルに従って、正常な二倍体マウスゲノムDNAを参照として使用して、マウスゲノム244K CGHマイクロアレイ(Agilent)とハイブリダイズさせた。Feature Extractionソフトウェアv9.5(Agilent)を用いてデータを正規化し、ランクセグメント化アルゴリズムを使用してコピー数の変数領域をNexus4.0.1(Biodiscovery)で決定した。コピー数の増加の自由裁量の閾値を0.6というlog2比の値に設定し、最低5個のプローブ/セグメントを用いた。コピー数の増加は、25ngのゲノムDNA/反応を使用したMX3000P qPCR機器(Stratagene)上での定量的PCR(qPCR)によって確認した。標的座位をネズミSINE1要素と比較し、(Zhao X.ら(2004)Cancer Res.、64:3060〜3071)に記載のように、以下のプライマーを使用して正常な二倍体マウスDNAの検量線上で定量した:
Gli2F:5’−GCAGGACATTCCACACAGTTCTTG−3’(配列番号4)、
Gli2R:5’−ATAGGTGCTGGGATACAGGCTTG−3’(配列番号5)、
Ccnd1F:5’−TACCCTGACACCAATCTCCTCAACG−3’(配列番号6)、
Ccnd1R:5’−GGAATTCCCATCTTCCCAACTCC−3’(配列番号7)、
Sine1F:5’−AGATGGCTGAGTGGGTAAAGG−3’(配列番号8)および
Sine1R:5’−GTGGAGGTCAGAGGACAAACTT−3’(配列番号9)。
免疫ブロッティング。凍結した腫瘍試料を、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含有するM−PER哺乳動物タンパク質抽出試薬(Pierce)中で溶解した。溶解物を4〜12%のビス−トリスゲル上で分離し、iBlot(Invitrogen)を用いてタンパク質をPVDF膜上に移した。ブロットを遮断し、終夜、4℃で、抗サイクリンD1(Cell Signaling、#2922)、抗ホスホ(Ser473)−AKT(Cell Signaling、#4060)、抗全AKT(Cell Signaling #9272)、抗Gli2(Cho A.ら(2008)Dev.Biol.、321:27〜39)、または抗アクチン(Santa Cruz Biotechnology、sc−47778)の一次抗体のうちの1つを含有する5%の乳と共にインキュベーションし、次いで、適切なHRPとコンジュゲートさせた二次抗体と共に1時間、室温でインキュベーションした。抗原−抗体の相互作用を、SuperSignal West Dura長期持続基質(Pierce)を用いて可視化した。
D473H突然変異の分析。本発明者らは、髄芽腫患者の検体中にSMO座位の増幅を検出しなかったが(図6)、位置1417にヘテロ接合性のGからCへのミスセンス突然変異を同定し、これは、コドン473をAspからHisへと変化させると予測されている(D473H)(図1A)。この変化は、原疾患の検体中では検出されなかった。質量分光測定に基づく遺伝子型決定を使用して、本発明者らは、突然変異対立遺伝子を再発後に採取した生検中のみで検出し、この個体からの正常な皮膚中またはGDC−0449処置の前に採取した原発性および転移性の疾患の生検中では検出されなかった(図7)。ディープ配列決定によって、突然変異対立遺伝子は、GDC−0449処置の前に得られた原発性または転移性の疾患の生検のどちらにおいても≧0.1%の対立遺伝子頻度で検出されなかった。また、突然変異対立遺伝子は、64個のバンクに保存された髄芽腫検体の質量分光測定に基づく遺伝子型決定によっても検出されなかった。
この突然変異の機能的結果を研究するために、本発明者らは、C3H10T12細胞に、SMO−WTまたはSMO−D473Hをコードしている発現ベクターをHh応答性のGLI−ルシフェラーゼレポーター構築体と一緒に同時形質移入した。SMO−WTおよびSMO−D473Hは、ウエスタンブロッティング(図8)およびFACS分析(図9)によって決定して、類似のレベルで発現された。SMO−D473Hの形質移入は、Hh経路の活性をSMO−WTで見られたものに匹敵するレベルまで誘導し、これは、SMO−D473HがHhシグナル伝達を完全に活性化できることを実証している(図2A)。しかし、構成的に活性のある突然変異SMO−M2とは対照的に(J.Xieら(1998)Nature、391:90)、SMO−D473Hの活性はSMO−WTよりも有意に高くなく、PTCH1阻害に対してSMO−WTと類似の感受性を実証し、これは、SMO−D473Hは固有の発癌性の潜在性を有しておらず、PTCH1の非存在下でのみHhシグナル伝達を活性化させ得ることを示唆している。この突然変異が、GDC−0449がHhシグナル伝達を阻害する能力を妨げるかどうかを決定するために、GLI−ルシフェラーゼレポーター活性を阻害するために必要な薬物の最大半減濃度(IC50)を測定した(図2B)。GDC−0449は、SMO−WTで形質移入した細胞において20nMのIC50でレポーター活性を阻害したが、3μMと高い濃度でさえもSMO−D473Hで形質移入した細胞において阻害は観察されず、これは、この突然変異が、Hhシグナルを伝達するその能力に影響を与えずに、GDC−0449に対する耐性を与えることを示している。また、SMO−D473Hは、化学的に異なるSMO阻害剤、KAAD−シクロパミン(J.Taipaleら(2000)Nature、406:1005)の、GLI−ルシフェラーゼレポーター活性を阻害する能力も、IC50の43倍の変化を伴って損なわせた(図10)。
D473H突然変異の機能的分析。本研究では、D473H突然変異がGDC−0449と結合する受容体の能力に影響を与えたかどうかに取り組んだ。
14Cで標識したGDC−0449はSMO−WTと特異的に結合した一方で、これはSMO−D473Hとの特異的結合は示さなかった(図2C)。したがって、SMO−D473H突然変異のコンテキストにおいてGDC−0449がHhシグナル伝達を抑制できないことは、薬物結合の欠損に関連している。
髄芽腫のin vivoでのGDC−0449耐性の潜在的な機構をさらに探索するために、本発明者らは、腫瘍が1日2回のGDC−0449の投薬にもはや応答しなくなるまで断続的な投薬を行うことによって、Ptch1+/−;p53−/−マウスからの髄芽腫腫瘍の薬物耐性の皮下同種移植誘導体を開発した(J.T.Romerら(2004)Cancer Cell、6:229)。この手法を使用して、本発明者らは、3つの別々の薬物耐性腫瘍系を確立し、そのうちの1つのモデル(SG274)をここに記載する(図3A)。SG274モデルにおけるSmoの配列決定により、位置1944でヘテロ接合性のAからGへのミスセンス突然変異が明らかとなり、これは、親のGDC−0449感受性のモデルでは同定されなかった、アスパラギン酸−477からグリシン(D477G)への変化をもたらした(図3B)。驚くべきことに、ヒトSMO中の対応する残基は、再発した髄芽腫患者中で突然変異していた位置473のアスパラギン酸である(図11)。GDC−0449は、WTと比較して、この位置でグリシン変異体を異所的に発現する細胞において約100倍の減少したHhシグナル伝達を抑制する能力を示した(図3C)。
さらに、GDC−0449は、GDC−0449がGli1レベルをダウンレギュレーションできなかったことによって実証されるように、in vivoでHhシグナル伝達を抑制しなかった(図3D)。したがって、このマウスモデルからのデータは、この具体的なアスパラギン酸残基でのSMOの突然変異がGDC−0449に対する耐性を与えることができるというさらなる証拠を提供している。Smo突然変異は他の2つのモデルでは同定されなかったため、GDC−0449に対する耐性のさらなる機構が存在する。
SMOのトポロジーの予測および構造的モデリングにより、Asp−473残基が第6膜貫通セグメント(TM6)のC末端にマッピングされ、これは、SMO相同分子種および関連するWnt受容体のFrizzledファミリーにわたって高度に保存されている位置である(図1B、図12)。SMOの7−ヘリックス構造は、シクロパミンの結合に必要であり(J.Chen K.ら(2002)Genes Dev.、16:2743)、オルトおよびアロステリックGPCRモジュレーターの標的である(Goudetら(2004)Drug Discovery Today:Therapeutic Strategies、1:125)。Asp−473は、SMOのカノニカルなGPCR構造(Rosenbaum,D.M.ら(2009)Nature、459:356)によって形成される中心空隙細胞外リップに配置されているため、この残基の非保存的な突然変異は、SMOの外ループの詰め込みまたは保護された結合ポケットの内部トポグラフィーを潜在的に不安定化させ得る。
本発明者らの研究により、GPCR様タンパク質が遺伝子突然変異の獲得を介して薬物耐性となる場合があることが示されている。これらの発見は、Hh経路が突然変異している腫瘍におけるSMO阻害剤の臨床開発に直接的な関連性を有しており、その多くが腫瘍成長および転移において重要な役割を果たしていることを示しているため、癌における将来のGPCR標的に適用可能であり得る(R.T.DorsamおよびJ.S.Gutkind(2007)Nat.Rev.Cancer、7:79)。さらに、これらの突然変異がHhシグナル伝達に影響を与えないという実証は、この経路を標的化する理論的根拠を支持し続けているが、獲得耐性に打ち勝つことができる第二世代SMO阻害剤を同定すること、下流のシグナル伝達分子を標的化する阻害剤を同定すること(J.M.Hymanら(2009)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、106(33):14132〜14137)、または放射線もしくは他のDNA傷害剤を用いた治療の前により早期の処置を潜在的に開始することのいずれかの必要性も強調している。
D473はGDC−0449によるによるSMO活性および阻害に重要である。SMO機能におけるD473の役割をより良好に特徴づけるために、本発明者らは、この残基をすべてのアミノ酸で置換し、生じた突然変異体を、1μMのGDC−0449の存在または非存在下におけるGli−ルシフェラーゼレポーターアッセイで分析した(図13A、図18A)。誤折り畳みされた可能性のあるSMO−D473Pは別として、すべての突然変異体がHh経路の活性を誘導し、SMO−WTよりもGDC−0449阻害に対する感受性が低かった。見かけ上応答性のD473V突然変異体は、用量応答アッセイにおいて部分的に薬物耐性であった(図18B)。驚くべきことに、SMO−D473E突然変異体も、この保存的置換がこの位置で負電荷を維持しているにもかかわらず、GDC−0449に対して耐性であった。次に、本発明者らは、これらの突然変異体のうちのいくつかの細胞表面発現を確認し(図18C)、GDC−0449と結合するその能力を試験した(図13B)。SMO−D473Hと同様に、このHPIに対する耐性はSMO結合の欠損に関連していた。
このアッセイはSMOの薬物親和性の小さな変化にさえも感受性であり、これは、SMO−D473V突然変異体がGDC−0449結合中で欠損しているように見えるが、それでも高い薬物濃度で阻害することができることの原因を説明している可能性がある。総合すると、これらの観察は、D473がGDC−0449によるSMO阻害に重要であることを強く示唆している。
D473は、GDC−0449結合に直接関与している可能性がある、または、単に結合のための正しいSMOコンホメーションを維持するために必要である可能性がある。D473KおよびD473Rなどの正電荷を有するものを含めたいくつかの突然変異体は、SMO−WTよりも活性があり、発癌性SMO−M2突然変異体とほぼ同等に活性があり(図13A、J.Xieら(1998)Nature、391:90)、これは、D473が構造的に重要な残基である可能性があることを暗示している。この概念に一致して、SMO−D473KおよびSMO−D473R突然変異体は自己活性化特性を有しており、PTCH1による阻害に対して耐性である(図13C)。しかし、これらのアミノ酸置換は2つのヌクレオチドの変化を必要とするため、これらが天然に存在する発癌性または薬物耐性の突然変異体である可能性は低い。
化学的に多様なHPIのスクリーニングによりいくつかのSMO−D473H拮抗剤が同定された。SMO突然変異体阻害剤をGDC−0449耐性腫瘍の潜在的な治療剤として同定するために、本発明者らは、野生型タンパク質に対する強力な活性を有する53個の拮抗剤のパネル(代表的な化合物を図14Aに示す)をスクリーニングした(図14B)。これらの化合物は、高スループットスクリーニング(インハウスおよび他のものの両方による)で同定したか、または伝統的な医薬品化学的方法を使用したスクリーニングのヒットの、ヒットからリードに導く(hit−to−lead)最適化によって作製した。C3H10T1/2細胞に、野生型または突然変異SMO発現ベクターをGli−ルシフェラーゼレポーター構築体と一緒に同時形質移入し(Murone M.ら(1999)Curr Biol.、9:76〜84)、経路の活性化を1μMの化合物の存在または非存在下で測定した。興味深いことに、ベンズイミダゾールHhAntag(Romer J.T.ら(2004)Cancer Cell、6:229〜240)は、GDC−0449とのいくつかの構造的類似性にもかかわらずすべてのSMO対立遺伝子に対して本質的に等効力であり、これは、これら2つの化合物間の構造と活性との関係性(SAR)の軽微な差異を示している。
化合物1によって例示されるように(A、B、およびC環の命名法には図14Aを参照)GDC−0449の様々なC環アミド誘導体は、SMO D473Hに対して弱い効力を示した。対照的に、HhAntagの多くのC環アミド誘導体は効力を保持しており(データ示さず)、これは、HhAntag中に見つかるベンズイミダゾールA環がこのSMO突然変異体を阻害することにおいてGDC−0449中に見つかる2−ピリジルA環よりも優れていることを実証している。
他のA環置換を見ると、キナゾリン(化合物2によって表す)は不活性であることが判明した一方で、ビス−アミド化合物3(式I)は、GDC−0449と同一のC環を有するにもかかわらず、測定可能な活性を示した。化合物4(式II)および5(式III)によって例示されるように、このビス−アミドの一般的なクラスは、最適な置換パターンが見つかった後に、SMO−D473Hに対する改善された効力を示した。
C環はSMO−D473Hの阻害に明らかに貢献しているが、本発明者らのSAR観察は、A環の置換が最も劇的に効力を改善できることを暗示している。具体的には、ベンズイミダゾールHhAntagおよびビス−アミド化合物3〜5に見つかるように、水素結合ドナーおよびアクセプターをどちらも有するA環が、水素結合アクセプター単独と比較して、SMO−D473Hと結合する際に好ましい。さらに、SMO−D473Hは、天然の植物アルカロイドシクロパミンおよびヒラジノイミン(hyrazinoimine)SANT−1に対して部分的に耐性である。
本発明者らは、HhAntagをマウスにおいてHhシグナル伝達を遮断するためのツール化合物としてルーチン的に使用するが、この阻害剤はヒト肝細胞によって迅速に代謝され、したがって治療剤として適していない(Stephen E.Gould、非公開の観察)。本発明者らの目的は臨床において獲得されたGDC−0449耐性に打ち勝つことができ得るSMO拮抗剤を同定することであったため、本発明者らはビス−アミド阻害剤クラスに労力を集中した。この群からの14個の薬物候補のうちの3個のみが、マウスにおいて良好な薬物動態学的特性を示した(データ示さず)。本発明者らは、これらのうち、これらの研究において、約22時間の末端半減期(t1/2)を有し(図14C)、野生型およびSMO−D473Hのどちらに対しても最も頑強な活性を示してそれぞれ300nMおよび700nMのIC50でGli−ルシフェラーゼレポーター活性を阻害する(図14D)、化合物5(式III)をさらに調査することを選択した。これらのIC50値は、このアッセイ系におけるSMOの過剰発現が原因で過大推定であり、約10倍低い化合物が、Hhリガンドによる刺激の後に内在性SMOを阻害するために十分であることに注意されたい(データ示さず)。
化合物5(式III)はGDC−0449耐性Smoによって媒介される腫瘍成長を阻害する。化合物5(式III)がin vivoの薬物耐性Smoも阻害できるかどうかを決定することが重要であった。この点で、本発明者らは、ヒトSMO中で突然変異していたものと同じアスパラギン酸残基であるSmo中のD477Gアミノ酸置換が原因でGDC−0449に対する耐性が与えられたネズミPtch+/-;p53-/-MB腫瘍系SG274の皮下同種移植を有するマウスを作製した。これらのマウスは2週間以内に125−350mm3の腫瘍を発生し、その後、経口薬処置を開始した。ビヒクルおよびGDC−0449で処置したマウスは抑制のない腫瘍成長を示し、過剰の腫瘍負担を防ぐために、9日間の処置後に安楽死させなければならなかった(図15A、データ示さず)。驚くべきことに、化合物5で処置した動物における腫瘍は、成長が停止しただけでなく、この比較的短い期間の間に縮小さえされ始めた。この腫瘍成長の阻害にはGli1 mRNAレベルのダウンレギュレーションが伴っており(図15B)、これは、化合物5がin vivoのGDC−0449耐性Smoによって媒介されるHhシグナル伝達を抑制できることを示している。類似の結果がHhAntagで得られた。
GDC−0449および化合物5はどちらも原発性繊毛へのSmoの転座を妨害する。最近、いくつかのグループが、多様な拮抗剤がSmoの原発性繊毛への輸送および局在化に示差的な影響を与えることを報告している(Wilson C.W.ら(2009)PLoS One、4:e5182、Wang Y.ら(2009)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、106:2623〜2628、Rohatgi R.ら(2009)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、106:3196〜201)。シクロパミンは、活性Hhシグナル伝達の非存在下でSmoの毛様体蓄積を促進することが判明した一方で、SANT−1などの他のSmo阻害剤は、その代わりに、Shhおよび作用剤誘導性の、このオルガネラへのSmoの転座を防止した。これらおよび他の観察に基づいて、Rohatgiおよび同僚ら(Rohatgi R.ら(2009)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、106:3196〜201)は、このタンパク質の完全な活性化が、Smoが繊毛において下流のシグナル伝達機構に関与することを可能にする未だ同定されていない第2の活性化ステップと連関した毛様体の輸送を必要とする、Smo活性化の2ステップの機構を提案した。彼らのモデルの主要な概念は、Smo拮抗剤を2つのクラス、すなわち、Smoの繊毛への輸送に影響を与えることができる「SANT−1様」阻害剤および活性化ステップに影響を与えるシクロパミン様」阻害剤へと分類できるということである。著者らは、そのモデルが薬物耐性に打ち勝つために有用であり、交差耐性の欠損が原因で臨床におけるこれら2つのクラスのSMO拮抗剤の相補的な役割が期待さ得ることをさらに提案している。このモデルが正しい場合、GDC−0449およびSMO突然変異体阻害剤は、繊毛へのSmo輸送に示差的な影響を与えるはずである。
これを試験するために、本発明者らは、コンフルエントなS12細胞(Frank−Kamenetsky M.ら(2002)J.Biol.、1:10)を、示した化合物と共に、16時間、Hh刺激の非存在または存在下でインキュベーションし、内在性Smoが原発性繊毛マーカーアセチル化チューブリンおよび/または中心体マーカーγチューブリンと同時局在化されたかどうかを決定した(図15Cおよび図15D)。対照(DMSOで処置)細胞は、わずかな繊毛中でのみ、非常にかすかなSmo染色を示した。以前に報告されているように、ShhまたはSMO作用剤SAGのどちらかを用いた刺激は(Chen J.K.ら(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、99:14071〜14076)、Smoから原発性繊毛への頑強な転座をもたらし、シクロパミン処置も同様であった。SANT−1と同様、GDC−0449は毛様体の濃縮を促進せず、Hh誘導性のSmo転座を防止した。
化合物5(式III)およびHhAntagは、Smoの局在化に対して非常に類似した効果を有しており、突然変異体シグナル伝達を阻害するその能力はSmoの輸送に関与しないことを示唆している。この概念は、1μMでSmo−D473Hを完全に阻害する、シクロパミンのより強力な型であるKAAD−シクロパミン(Taipale,J.ら(2000)Nature、406:1005)が、リガンドの非存在下で毛様体の転座を部分的に誘導したという逆の発見によってさらに確証された(図19、図15D)。Shhの添加はSmoの輸送にさらなる効果を与えなかったため、すべての薬物がHh経路の活性化の予防に有効であった。SMO突然変異体阻害剤である化合物5およびHhAntagが、GDC−0449と区別できないほどにSmoの局在化に影響を与えたため、本発明者らのデータは、同じクラスからの阻害剤を薬物耐性に打ち勝つために実際に使用できることを明白に実証している。さらに、シクロパミンまたはSANT−1はどちらもSmo−D473Hを完全に阻害することができないため、異なるクラスからの拮抗剤が交差耐性を示すことができる。最後に、KAAD−シクロパミンの場合に脂質部分をシクロパミンに付加することなどの、化合物の軽微な修飾は、効力およびSmoの局在化に影響を与える能力のどちらにも劇的な影響を与える場合がある。シクロパミンおよびKAAD−シクロパミンはSmo上の同じ部位と結合する可能性が高いため、Smo輸送に対するその異なる効果は、1つの局在化を別のものより有利にするわずかに異なるSmoコンホメーションの誘導の結果、または、前毛様体部位へのKAADシクロパミンの接近を許容するがシクロパミンを許容しない、変更された細胞透過性が原因である可能性がある。要するに、本発明者らは、特定の様式でSmoの局在化を操作する拮抗剤の能力と、GDC−0449耐性の突然変異体を阻害するその能力との間に、明白な相関性を発見しなかった。
GDC−0449は、2つの追加の耐性MB同種移植モデルにおいて、Gli1 mRNA発現に対して示差的な効果を有する。GDC−0449を用いた断続的な投薬によって作製した本発明者らの3つの別々の薬物耐性MB腫瘍系では、SG274のみがSmo中に突然変異を保有することが見つかり、これは、GDC−0449に対する耐性の追加の機構がモデルSG102およびSG152に存在することを示している。腫瘍抑制因子SUFU中の突然変異は、個体をMBに罹りやすくさせ(Taylor M.D.ら(2002)Nat.Genet.、31:306〜310)、理論的にはSmo拮抗剤にに対する耐性を与える可能性があるが、どちらの耐性MB同種移植モデルでも、この遺伝子は突然変異していなかった。当然、これらの腫瘍がHhシグナル伝達に対するその依存性を失った場合にも、耐性が生じる可能性がある。したがって、本発明者らは、元の耐性腫瘍を拡大し、Hh経路がこれらのMB腫瘍系中で依然として活性であるかどうかを問い、そうである場合は、GDC−0449がin vivoシグナル伝達を抑制できるかどうかを問うた(図16A)。ビヒクルで処置した、GDC−0449耐性のSG102またはSG152同種移植のGli1レベルは、対照またはSmo突然変異体SG274同種移植のそれと匹敵しており、これは、Hh経路がすべてのモデルにおいて同様に活性であることを示している。興味深いことに、GDC−0449処置は、対照およびSG102腫瘍においてGli1レベルをダウンレギュレーションさせたが、SG152およびSG274腫瘍中ではHhシグナル伝達に影響を与えることに失敗した。これらの観察は、SG102およびSG152がSmoまたはSufu突然変異に依存しないGDC−0449耐性の異なる機構を保有することを示唆しており、SG102の場合は、Smo依存性のGli1調整の下流の事象を伴い得る。
2つの追加のMB同種移植モデルの分子特徴づけがSmoの下流のGDC−0449耐性の機構を明らかにする。GDC−0449耐性の機構をさらに調査するために、本発明者らは、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(array Comparative Genomic Hybridization、aCGH)を使用して、元の腫瘍中の遺伝子コピー数の異常を同定した。モデルSG102は、Hh標的遺伝子Ccnd1(サイクリンD1)を宿す染色体7上の領域の含有していた一方で、モデルSG152は、Hh経路転写因子Gli2を包含する染色体1上の領域の高レベルの限局的な増幅を有していた(図20)。どちらのモデルも、MBまたは異常なHhシグナル伝達のどちらにも以前に関連づけられていない、追加のコピー数異常を含有していた(データ示さず)。サイクリンD1およびGli2はSmoの下流に作用し、MBの発生に以前に関連づけられているが、本発明者らは、GDC−0449耐性におけるこれらの他のゲノム変更の関与を正式に除外することができない。Ccnd1およびGli2の増幅は、GDC−0449感受性対照およびSmo突然変異体SG274腫瘍と比較した場合のSG102およびSG152でのqPCRによって、独立して確認した(図16B)。拡大した腫瘍は、サイクリンD1およびGli2の両方の強化されたmRNA発現および上昇したタンパク質レベルを示したため、これらのゲノム変更は、続くMB腫瘍系の繁殖の間、維持された(図16Bおよび図16C)。
サイクリンD1は、CDK4およびCDK6の両方と結合してそれを刺激して、網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化および細胞周期に入ることをもたらすその能力によって、増殖を促進する(Kim J.K.およびJ.A.Diehl(2009)J.Cell.Physiol.、220:292〜296)。Ccnd1の遺伝子除去は、Ptch+/−マウスにおけるMBの発生率を劇的に低下させる一方で(Pogoriler J.ら(2006)Development、133:3929〜3937)、Ink4c−/−;p53−/−GNPにおけるサイクリンD1の強制発現は、免疫無防備状態のレシピエント動物の脳内に注射して戻した場合に、細胞がMBを開始することを可能にした(Zindy F.ら(2007)Cancer Res.、67:2676〜2684)。GDC−0449は、対照腫瘍においてサイクリンD1レベルをダウンレギュレーションし、これは、Ccnd1がHh標的遺伝子であることと一致している(図16D、Zindy F.ら(2007)Cancer Res.、67:2676〜2684)。対照的に、GDC−0449はGli1 mRNAレベルを減少させたが、サイクリンD1レベルはSG102腫瘍中で上昇したまま保たれた。遺伝子増幅が原因でCcnd1の発現はもはやHhシグナル伝達に依存性でないため、高いサイクリンD1レベルは、GDC−0449の存在下で腫瘍細胞増殖を持続させる可能性が高い。
GLI2増幅がヒトMBにおいて観察されているが、これらは比較的希少である(Northcott P.A.ら(2009)Nat.Genet.、41:465〜472)。Gli2は、欠失させた場合に30倍高い転写活性を有する構成的に活性のあるタンパク質をもたらす、アミノ末端リプレッサードメインを含有する(Roessler E.ら(2005)Hum.Mol.Genet.、14:2181〜2188)。この切断された転写因子の組織特異的発現は、毛様体形成が損なわれている場合にMBをもたらす場合がある(Han Y.G.ら(2009)Nat Med.、15:1062〜1065)。モデルSG152におけるGli2の配列決定により、突然変異の切断は明らかとならず、完全長およびリプレッサー形態がどちらも免疫ブロッティングによって検出され、これは、Gli2のプロセッシングが比較的正常であったことを示している(図16C)。それにもかかわらず、Gli2の発癌性の潜在性がBCCのマウスモデルでしっかりと確立されており(Grachtchouk M.ら(2000)Nat Genet.、24:216〜217)、完全長タンパク質のウイルス媒介性発現により、GNPがHhリガンドの非存在下でin vitroで増殖することが可能となる(Oliver T.G.ら(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、100:7331〜7336)。同様に、遺伝子増幅による強化されたGli2発現は、明らかに、腫瘍細胞中のHh経路をSmo非依存性、したがってGDC−0449非感受性とする。
HPI耐性MB同種移植はPI3K阻害に対して感受性である。Smoの下流の耐性機構の同定を考慮して、本発明者らは、MBに関連づけられている他のシグナル伝達経路を調べて、これらのうちの任意のものの標的化がGDC−0449耐性と戦うための代替治療手法であり得るかを見た。異常なホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)/AKTシグナル伝達は、MBを含めた多くのヒト癌の腫瘍成長および生存を促進する(Vivanco I.およびC.L.Sawyers(2002)Nat.Rev.Cancer、2:489〜501、Vivanco I.およびC.L.Sawyers(2002)Nat.Rev.Cancer、2:489〜501)。したがって、本発明者らは、本発明者らのMB同種移植モデルにおいて活性化されたAKT(Ser473でリン酸化)および活性化されたS6(Ser235/236でリン酸化)のレベルを検査し、どちらのリンタンパク質も検出することができ、これは、PI3K/AKT経路がこれらの腫瘍中で活性であることを示唆している(図17A)。しかし、AKTおよびS6はGDC−0449感受性の対照腫瘍中でもリン酸化されており、また、耐性モデルのマイクロアレイプロフィールにおいて感受性対照と比較した際に明白なPI3K遺伝子発現シグネチャ(Hartmann W.ら(2005)Clin.Cancer Res.、12:3019〜27、Saal L.H.ら(2007)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、104:7564〜7569、Creighton C.J.(2007)Oncogene、26:4648〜4655)が欠損していたため(データ示さず)、増加したPI3K/AKTシグナル伝達が耐性に貢献している可能性は低い。重要なことに、PI3K阻害剤GDC−0941(Chang J.T.ら(2009)Mol.Cell.、34:104〜114)は、対照および耐性モデルのどちらにおいても腫瘍成長を大きく低下させ、これは、HPI耐性の腫瘍がPI3Kシグナル伝達に対するその依存性を維持していることを示している(図17B)。GDC−0941処置はpAKTおよびpS6のレベルを減少させたため、腫瘍成長の阻害にはPI3K経路の変調が伴っていた(図17A)。その結果、PI3K/AKTシグナル伝達の薬理学的阻害は、HPI耐性のMBを処置するための有望な治療手法を表す。
前述の実施例は、例示目的のみのためであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。

なお、一側面において、本発明は以下の発明を包含する。
発明1)
配列番号1と少なくとも95%同一である、アミノ酸473でアスパラギン酸以外のアミノ酸を含むアミノ酸配列を含む、突然変異SMOタンパク質をコードしている単離した核酸分子。
(発明2)
突然変異SMOタンパク質が、アミノ酸473でヒスチジン、グリシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンを含む配列番号2のアミノ酸配列を含む、発明1に記載の単離した核酸配列。
(発明3)
アミノ酸473をコードしている配列が異なるアミノ酸をコードするように変更させる突然変異を含有する、配列番号3の親核酸配列を含む、発明1に記載の単離した核酸配列。
(発明4)
アミノ酸473をコードしている配列中に突然変異を取り込んでいる突然変異したSMOタンパク質またはその断片をコードしている核酸と特異的にハイブリダイズできる、核酸プローブ。
(発明5)
突然変異したSMOまたはその前記断片をコードしている前記核酸に相補的である、発明4に記載のプローブ。
(発明6)
約10〜約50個のヌクレオチドの長さを有する、発明4に記載のプローブ。
(発明7)
検出可能な標識をさらに含む、発明4に記載のプローブ。
(発明8)
配列番号2と少なくとも95%同一である、アミノ酸473でアスパラギン酸以外のアミノ酸を含むアミノ酸配列を含む、単離した突然変異SMOタンパク質。
(発明9)
アミノ酸473でアスパラギン酸以外のアミノ酸を含む配列番号2のアミノ酸配列を含む、発明8に記載の単離した突然変異SMOタンパク質。
(発明10)
前記アミノ酸配列が、アミノ酸473でヒスチジン、グリシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンを含む、発明8または9に記載の単離した突然変異SMOタンパク質。
(発明11)
前記抗体のエピトープが、位置473にアスパラギン酸を有する野生型SMOと結合しない、発明8または9に記載の突然変異SMOタンパク質と特異的に結合する抗体。
(発明12)
モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体またはその抗原結合断片である、発明11に記載の抗体。
(発明13)
細胞毒性剤とコンジュゲートされている、発明11に記載の抗体。
(発明14)
SMO活性を阻害する、発明11に記載の抗体。
(発明15)
前記試料から、突然変異を含有することが疑われるSMOの膜貫通ドメイン6のカルボキシ末端またはその断片に対応する核酸を増幅することと、増幅した核酸の電気泳動移動度を、対応する野生型SMO遺伝子またはその断片の電気泳動移動度と比較することとを含む、試料中の突然変異したSMO遺伝子を検出する方法。
(発明16)
電気泳動移動度がポリアクリルアミドゲル上で決定される、発明15に記載の方法。
(発明17)
前記試料からの核酸を、アミノ酸473をコードしている配列をアスパラギン酸以外のアミノ酸に変更させる突然変異を取り込んでいる突然変異したSMOタンパク質またはその断片をコードしている核酸と特異的にハイブリダイズできる核酸プローブと接触させることと、前記ハイブリダイゼーションを検出することとを含む、試料中の少なくとも1つのSMO突然変異を同定する方法。
(発明18)
前記プローブが検出可能に標識されている、発明17に記載の方法。
(発明19)
前記プローブがアンチセンスオリゴマーである、発明17に記載の方法。
(発明20)
前記核酸の前記試料中のSMO遺伝子またはその断片を増幅し、前記プローブと接触させる、発明17に記載の方法。
(発明21)
前記腫瘍の試料中の突然変異したSMO遺伝子または突然変異したSMOタンパク質の存在を決定することを含み、前記突然変異がアミノ酸473をコードしているSMO遺伝子中に位置しており、前記突然変異したSMO遺伝子または突然変異したSMOタンパク質の存在により、前記腫瘍がGDC−0449を用いた処置に対して耐性であることが示される、ヒト対象において、GDC−0449を用いた処置に対して耐性である腫瘍を同定する方法。
(発明22)
GDC−0449を用いた処置に対して感受性がない腫瘍を有する前記対象を、前記突然変異したSMOと結合する化合物で処置することをさらに含む、発明21に記載の方法。
(発明23)
前記突然変異の存在または非存在を核酸試料の検査によって行う、発明21に記載の方法。
(発明24)
前記突然変異の存在または非存在をタンパク質試料の検査によって行う、発明21に記載の方法。
(発明25)
前記突然変異SMOを試験化合物と接触させることと、前記化合物と前記突然変異SMOとの結合を検出することとを含み、前記試験化合物と突然変異SMOとの結合により、前記試験化合物が突然変異SMOの阻害剤であることが示される、アミノ酸473に突然変異が取り込まれている突然変異SMOタンパク質のシグナル伝達を阻害する化合物についてスクリーニングする方法。
(発明26)
前記突然変異SMOを発現する細胞を試験化合物と接触させることと、前記細胞中のGliの活性を検出することとを含み、Gli活性の存在により、前記試験化合物が突然変異SMOの阻害剤でないことが示される、アミノ酸473に突然変異が取り込まれている突然変異SMOタンパク質のシグナル伝達を阻害する化合物についてスクリーニングする方法。
(発明27)
位置473にアスパラギン酸以外のアミノ酸をもたらす突然変異を有する突然変異SMOタンパク質と特異的に結合する化合物を、それを必要としている患者に投与することによる、癌を処置する方法。
(発明28)
前記化合物が、位置473でアスパラギン酸以外のアミノ酸を有する突然変異SMOと特異的に結合する抗体である、発明27に記載の方法。
(発明29)
前記化合物が式I、IIおよび/またはIIIの化合物である、発明27に記載の方法。
(発明30)
(a)式I、式IIおよび式IIIを有する構造式を有する化合物からなる群から選択されるSMO阻害剤、ならびに
(b)PI3K阻害剤
を、それを必要としている患者に投与することを含む、SMO阻害剤に対する獲得耐性を遅延させるまたは予防する方法。


Claims (20)

  1. 配列番号2と少なくとも95%同一であり、配列番号2の473番目のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸で、グリシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンを含むアミノ酸配列を含む、突然変異SMOタンパク質をコードしている単離した核酸分子であり、前記突然変異SMOタンパク質がヘッジホッグシグナリングを誘導する機能を有する、該核酸分子。
  2. 突然変異SMOタンパク質が、配列番号2の473番目のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸で、グリシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンを含むアミノ酸配列を含む配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離した核酸分子であり、前記突然変異SMOタンパク質がヘッジホッグシグナリングを誘導する機能を有する、該核酸分子
  3. 配列番号2の473番目のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸をコードしている配列がグリシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンをコードするように変更させる突然変異を含有する、配列番号3の親核酸配列を含み、前記突然変異SMOタンパク質がヘッジホッグシグナリングを誘導する機能を有する、請求項1に記載の単離した核酸分子
  4. 配列番号2の473番目のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸をコードしている配列中に突然変異を取り込んでいる突然変異SMOタンパク質またはその断片をコードしている核酸と特異的にハイブリダイズできる、核酸プローブであり、
    前記突然変異は、配列番号2の473番目のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸をコードしている配列がグリシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンをコードするように変更させ、
    前記核酸プローブは、野生型SMOタンパク質又はその断片をコードする核酸よりも、突然変異SMOタンパク質又はその断片をコードする核酸と示差的に結合する該プローブであり、前記突然変異SMOタンパク質がヘッジホッグシグナリングを誘導する機能を有する、該プローブ。
  5. 突然変異SMOタンパク質またはその前記断片をコードしている前記核酸に相補的である、請求項4に記載のプローブ。
  6. 約10〜約50個のヌクレオチドの長さを有する、請求項4に記載のプローブ。
  7. 検出可能な標識をさらに含む、請求項4に記載のプローブ。
  8. 配列番号2と少なくとも95%同一であり、配列番号2の473番目のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸において、グリシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンを含むアミノ酸配列を含む、単離した突然変異SMOタンパク質であり、前記突然変異SMOタンパク質がヘッジホッグシグナリングを誘導する機能を有する、該タンパク質。
  9. 配列番号2の473番目のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸において、グリシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンを含む配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の単離した突然変異SMOタンパク質であり、前記突然変異SMOタンパク質がヘッジホッグシグナリングを誘導する機能を有する、該タンパク質。
  10. 前記アミノ酸配列が、配列番号2の473番目のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸において、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンを含む、請求項8または9に記載の単離した突然変異SMOタンパク質であり、前記突然変異SMOタンパク質がヘッジホッグシグナリングを誘導する機能を有する、該タンパク質。
  11. 請求項8または9に記載の突然変異SMOタンパク質と特異的に結合する抗体であり、
    前記抗体が、配列番号2の473番目のアミノ酸に対応する位置にアスパラギン酸を有する野生型SMOタンパク質と結合しない、該抗体。
  12. モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体またはそれらの抗原結合断片である、請求項11に記載の抗体。
  13. 細胞毒性剤とコンジュゲートされている、請求項11に記載の抗体。
  14. SMOタンパク質活性を阻害する、請求項11に記載の抗体。
  15. 試料中の突然変異SMO遺伝子を検出する方法であり、
    前記突然変異SMO遺伝子は、突然変異SMOタンパク質又はその断片をコードし、
    前記突然変異SMOタンパク質又はその断片は、配列番号2の473番目のアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置においてグリシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンを含み、
    前記方法は、
    前記試料から、SMOタンパク質の膜貫通ドメイン6のカルボキシ末端に対応する核酸を増幅することと、
    増幅した核酸の電気泳動移動度を、対応する野生型SMO遺伝子またはその断片の電気泳動移動度と比較することとを含む該方法であり、前記突然変異SMOタンパク質がヘッジホッグシグナリングを誘導する機能を有する、該方法。
  16. 電気泳動移動度がポリアクリルアミドゲル上で決定される、請求項15に記載の方法。
  17. 試料中の少なくとも1つのSMO突然変異を同定する方法であり、
    前記試料からの核酸を、配列番号2の473番目のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸位置において、グリシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン、またはアスパラギンを取り込んでいる突然変異SMOタンパク質またはその断片をコードしている核酸と特異的にハイブリダイズできる核酸プローブと接触させることと、前記ハイブリダイゼーションを検出することとを含む、該方法であり、前記突然変異SMOタンパク質がヘッジホッグシグナリングを誘導する機能を有する、該方法。
  18. 前記プローブが検出可能に標識されている、請求項17に記載の方法。
  19. 前記プローブがアンチセンスオリゴマーである、請求項17に記載の方法。
  20. 前記試料中からの前記核酸のSMO遺伝子またはその断片を増幅し、前記プローブと接触させる、請求項17に記載の方法。
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