以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
[実施形態1]
<監視カメラ搭載装置の構成>
以下、図1〜図4を参照して、本実施形態1に係る監視カメラ搭載装置1の構成につき説明する。図1及び図2は、それぞれ、実施形態1に係る監視カメラ搭載装置1の構成を示す図である。また、図3及び図4は、それぞれ、実施形態1に係る監視カメラ搭載装置1の別の構成を示す図である。
図1及び図2は、金融機関や流通機関に設置される自動取引装置(以下、「ATM」と称する)1aを、監視カメラ搭載装置1として構成する場合の例を示している。監視カメラ搭載装置1としてのATM1aは、「特定の処理」として、遠隔地に設置されたホストコンピュータ(図示せず)との間で、現金の預け入れや払い戻し、振り込み等の取引を実行する。
また、図3及び図4は、交通機関や流通機関に設置される発券機1bを、監視カメラ搭載装置1として構成する場合の例を示している。監視カメラ搭載装置1としての発券機1bは、「特定の処理」として、券類の発行を実行する。
なお、ここでは、「特定の処理」とは、操作者と監視カメラ搭載装置1との間でカードや現金等の媒体をやり取りする動作(具体的には、図7及び図8に示すS151bの「媒体受入」動作)を伴う処理を意味している。
本実施形態1に係る監視カメラ搭載装置1は、操作者の少なくとも顔と手元とのいずれか一方又は双方を撮影する複数の監視カメラ2を搭載する構成となっている。図1及び図3に示す例では、監視カメラ搭載装置1は、2台の監視カメラ2を装置の前面に搭載している。
2台の監視カメラ2のうち、一方の監視カメラ2aは、操作者の顔の動画像を撮影するカメラとして機能し、また、他方の監視カメラ2bは、操作者の手元の動画像を撮影するカメラとして機能する。以下、監視カメラ2aと監視カメラ2bとを区別する場合に、監視カメラ2aを「顔カメラ2a」と称し、監視カメラ2bを「手元カメラ2b」と称する。
「顔カメラ2a」は、標準的な身長の操作者の顔と対向する位置に設置されている。「顔カメラ2a」は、操作者の顔を含む操作者の上半身を撮影する。一方、「手元カメラ2b」は、特定の処理の実行時に、操作者の手が頻繁に映り込む領域(例えば、紙幣や硬貨等の現金の取扱部や、タッチパネル等の入力部等の領域)と対向する位置に設置されている。「手元カメラ2b」は、カードや現金等の媒体が挿入及び排出される機構を中心に撮影し、操作者が監視カメラ搭載装置1との間で媒体のやり取りを行う状況を撮影する。
図1及び図3に示すように、顔カメラ2aと手元カメラ2bとは、それぞれの撮影部(具体的には、レンズ)の中心が直線距離で所定の距離L分だけ離間して設けられている。この距離Lは、操作者が左右の手で顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部との双方を遮蔽して不正行為の実行を試みる場合に、操作者に不自然な姿勢(具体的には、左右の手を顔カメラ2aと手元カメラ2bとに向けて伸ばす姿勢)を強いるために、設定されている。
すなわち、操作者は、不正行為の実行を試みる場合に、不正行為が撮影されないように、左右の手で顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とを遮蔽しようとする。その際に、監視カメラ搭載装置1は、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とが両手を使わなければ遮蔽できない程度に離間しているため、操作者に不自然な姿勢を強いる。
このような構成により、監視カメラ搭載装置1は、操作者が何らかの不正行為を実行する場合に、操作者の左右の手の自由度を低下させて、不正行為を実行するための細工をし難くすることができる。同時に、監視カメラ搭載装置1は、不正行為が周囲に露見し易くすることができる。その結果、監視カメラ搭載装置1は、不正行為の実行に対する心理的負荷を操作者に与えて、不正行為の実行自体を抑制させることもできる。
なお、図1及び図3に示す例では、図面の視認性の関係により、距離Lは、顔カメラ2aの撮影部の外縁部と手元カメラ2bの撮影部の外縁部との間の距離として描かれている。しかしながら、実際には、距離Lは、顔カメラ2aの撮影部の中心と手元カメラ2bの撮影部の中心との間の距離である。
このような監視カメラ搭載装置1としてのATM1aは、図1及び図2に示すように、監視カメラ2、処理実行部11(図2参照)、表示部21、入力部22、紙幣取扱部23、硬貨取扱部24、カード取扱部25、通帳取扱部26、通信部27(図2参照)、及び、係員通知部28(図2参照)を有する構成になっている。
監視カメラ2は、操作者の動画像を撮影するカメラである。ただし、監視カメラ2は、動画像だけでなく、静止画像も撮影可能な構成にしてもよい。ATM1aは、監視カメラ2として、顔カメラ2aと手元カメラ2bとを装置の前面に搭載している。図1に示す例では、ATM1aは、カード取扱部25と通帳取扱部26とが顔カメラ2aと手元カメラ2bとの間に配置されており、また、表示部21と入力部22と紙幣取扱部23と硬貨取扱部24とが手元カメラ2bの下方に配置された構成になっている。
ATM1aは、顔カメラ2aによって操作者の顔の動画像を撮影し、また、手元カメラ2bによって操作者の手元の動画像を撮影する。なお、図2は、顔カメラ2a及び手元カメラ2b以外の監視カメラ2(監視カメラ2n参照)がATM1aに搭載されていてもよいことを示している。
ATM1aの顔カメラ2aは、矢印α1aの撮影方向に向けて設置されており、画角β1aの撮影エリアを撮影する構成になっている。図1に示す例では、矢印α1aの方向は、顔カメラ2aの撮影部を、標準的な身長の操作者の顔が配置される想定位置に向けた方向となっている。
また、ATM1aの手元カメラ2bは、矢印α1bの撮影方向に向けて設置されており、画角β1bの撮影エリアを撮影する構成になっている。図1に示す例では、矢印α1bの方向は、手元カメラ2bの撮影部を、入力部22と紙幣取扱部23と硬貨取扱部24との中間位置に向けた方向となっている。
処理実行部11(図2参照)は、各種の処理を実行する機能手段である。処理実行部11は、CPUがROMやHDD等によって構成された記憶部に予め格納された制御プログラムを実行することによって実現される。図2に示すように、ATM1aの処理実行部11は、取引制御部11aと遮蔽検知部11bとして機能する。取引制御部11aは、遠隔地に設置されたホストコンピュータ(図示せず)との間で、現金の預け入れや払い戻し、振り込み等の取引を実行する機能手段である。遮蔽検知部11bは、操作者による監視カメラ2の遮蔽を検知する機能手段である。
表示部21は、各種の情報(例えば、特定の処理を実行する際に必要となる情報等)を表示する構成要素である。ここでは、表示部21がLCDやELディスプレイ等によって構成されている場合を想定して説明する。
入力部22は、操作者によって各種の情報(例えば、特定の処理の実行を指示する情報等)が入力される構成要素である。ここでは、入力部22が表示部21の上に配置されたタッチパネルによって構成されている場合を想定して説明する。
紙幣取扱部23は、紙幣を取り扱う機構である。紙幣取扱部23は、例えば、取引の実行時に、操作者によって紙幣投入排出口から投入される紙幣を装置内部に取り込んだり、紙幣を鑑別したり、紙幣を装置内部の所定の箇所に集積したりする。また、紙幣取扱部23は、装置内部に取り込み不能な紙幣や操作者に返却すべき紙幣を紙幣投入排出口から装置外部に排出したりする。
硬貨取扱部24は、硬貨を取り扱う機構である。硬貨取扱部24は、例えば、取引の実行時に、操作者によって硬貨投入排出口から投入される硬貨を装置内部に取り込んだり、硬貨を鑑別したり、硬貨を装置内部の所定の箇所に集積したりする。また、硬貨取扱部24は、装置内部に取り込み不能な硬貨や操作者に返却すべき硬貨を硬貨投入排出口から装置外部に排出したりする。
カード取扱部25は、カードを取り扱う機構である。カード取扱部25は、例えば、取引の実行時に、操作者によってカード挿入排出口から挿入されるカードを装置内部に取り込んだり、カードに設けられた磁気ストライプから磁気情報を読み取ったり、又は、カードがICカードである場合に、ICカードに内蔵された記憶部から格納情報を読み取ったりする。また、カード取扱部25は、取引の終了時に、カードをカード挿入排出口から装置外部に排出する。
通帳取扱部26は、通帳を取り扱う機構である。通帳取扱部26は、例えば、取引の実行時に、操作者によって通帳挿入排出口から挿入される通帳を装置内部に取り込んだり、通帳に設けられた磁気ストライプから磁気情報等を読み取ったり、通帳に取引情報を印字したりする。また、通帳取扱部26は、取引の終了時に、通帳を通帳挿入排出口から装置外部に排出する。
通信部27(図2参照)は、他の機器との通信を行う構成要素である。ここでは、ATM1aの取引制御部11aは、通信部27を介して遠隔地に設置されたホストコンピュータと通信して、ホストコンピュータとの間で、現金の預け入れや払い戻し、振り込み等の取引を実行するものとして説明する。
係員通知部28(図2参照)は、異常状態を係員に通知する構成要素である。ATM1aの処理実行部11(具体的には、取引制御部11a)は、例えば、遮蔽検知部11bによって顔カメラ2a及び手元カメラ2bのいずれか一方又は双方の撮影部が遮蔽されていると判定された場合に、係員通知部28を介して、撮影部の遮蔽状態を異常状態として係員に通知する。係員通知部28は、例えば、異常状態を係員に通知するためのランプや画面表示用のディスプレイ、スピーカ等によって構成される。ここでは、係員通知部28がランプとして構成されている場合を想定して説明する。以下、このランプを「係員通知ランプ」と称する。ここでは、係員通知部28が装置の裏面パネルに設けられている場合を想定して説明する。しかしながら、係員通知部28は、係員が常駐している係員室に装置とは別体に設けられた構成にすることもできる。
このようなATM1bに対し、監視カメラ搭載装置1としての発券機1bは、図3及び図4に示すように、監視カメラ2、処理実行部11(図4参照)、表示部21、入力部22、紙幣取扱部23、硬貨取扱部24、カード取扱部25、通信部27(図4参照)、係員通知部28(図4参照)、及び、発券部29を有する構成になっている。ここでは、発券機1bが交通機関で用いられる場合を想定して説明する。
発券機1bは、監視カメラ2として、顔カメラ2aと手元カメラ2bとを装置の前面に搭載している。図3に示す例では、発券機1bは、表示部21と入力部22とが顔カメラ2aと手元カメラ2bとの間に配置されており、また、紙幣取扱部23の紙幣投入口23a及び紙幣排出口23bと硬貨取扱部24の硬貨排出口24b及びトレイ24cとカード取扱部25と発券部29とが手元カメラ2bの下方に配置された構成になっている。
発券機1bは、顔カメラ2aによって操作者の顔の動画像を撮影し、また、手元カメラ2bによって操作者の手元の動画像を撮影する。なお、図4は、顔カメラ2a及び手元カメラ2b以外の監視カメラ2(監視カメラ2n参照)が発券機1bに搭載されていてもよいことを示している。
発券機1bの顔カメラ2aは、矢印α2aの撮影方向に向けて設置されており、画角β2aの撮影エリアを撮影する構成になっている。図3に示す例では、矢印α2aの方向は、顔カメラ2aの撮影部を、標準的な身長の操作者の顔が配置される想定位置に向けた方向となっている。
また、発券機1bの手元カメラ2bは、矢印α2bの撮影方向に向けて設置されており、画角β2bの撮影エリアを撮影する構成になっている。図3に示す例では、矢印α2bの方向は、手元カメラ2bの撮影部を、紙幣取扱部23の紙幣投入口23aとカード取扱部25との中間位置、並びに、紙幣取扱部23の紙幣排出口23bと発券部29との中間位置に向けた方向となっている。
図4に示すように、発券機1bの処理実行部11は、図2に示すATM1aの処理実行部11と比較すると、取引制御部11aの代わりに、発券制御部11cとして機能する点で相違している。発券制御部11cは、発券部29による券類の発行処理や、カード取扱部25によるICカードに対する各種の処理等を制御する機能手段である。
図3に示すように、発券機1bは、紙幣取扱部23として、紙幣が投入される紙幣投入口23aと、紙幣が排出される紙幣排出口23bとを備える構成になっている。また、発券機1bは、硬貨取扱部24として、硬貨が投入される硬貨投入口24aと、硬貨が排出される硬貨排出口24bと、排出された硬貨が集積されるトレイ24cとを備える構成になっている。図3に示す例では、紙幣投入口23aは、手元カメラ2bの図面右斜め下方向に配置されている。紙幣排出口23bは、紙幣投入口23aの下方向に配置されている。硬貨投入口24aは、紙幣投入口23aの図面右斜め上方向に配置されている。硬貨排出口24bとトレイ24cとは、紙幣排出口23bの図面下方に配置されている。
また、発券機1bは、カード取扱部25が手元カメラ2bの図面左斜め下方向(すなわち、紙幣投入口23aの図面左横方向)に配置されており、さらに、発券部29が紙幣排出口23bの図面左横方向に配置されている。カード取扱部25は、ICカードを取り扱う構成要素である。カード取扱部25は、例えば、電子マネーをICカードにチャージしたり、又は、発券部29で券類(ここでは、切符)を発行する場合に、発行する切符の額面分の電子マネーをICカードから発券機1b側に移動させたりする。また、カード取扱部25は、発券機1bがICカードの定期券発行機能を有する装置である場合に、定期券情報をICカードの表面に印字するとともに、定期券情報をICカードの記憶部に格納することにより、ICカードを定期券として利用可能な状態にすることができる。一方、発券部29は、発券機1bに内蔵された紙媒体を券類(ここでは、切符)として発行する構成要素である。
なお、ATM1aと発券機1bとの主な違いは、ATM1aでは、手元カメラ2bが、紙幣や硬貨を取り扱う機構を1台で撮影できる位置に設置されているのに対し、発券機1bでは、手元カメラ2bが、紙幣や、釣銭、カード、切符を取り扱う機構を1台で撮影できる位置に設置されている点にある。
係る構成において、監視カメラ搭載装置1は、操作者による監視カメラ2の撮影部の遮蔽を検知する機構として、遮蔽検知部11bを有している。遮蔽検知部11bは、所定のタイミングで、監視カメラ2によって撮影された撮影画像の状態を監視することにより、操作者による監視カメラ2の遮蔽を監視する。例えば、遮蔽検知部11bは、所定のタイミングで、撮影画像の全面領域(又は、一定面積以上の領域)が、所定時間以上、所定の閾値よりも暗い画像であるか否かを判定し、撮影画像の全面領域(又は、一定面積以上の領域)が、所定時間以上、所定の閾値よりも暗い画像であれば、操作者が監視カメラ2を遮蔽しているものとして、これを検知する。
そして、監視カメラ搭載装置1は、遮蔽検知部11bによって、複数の監視カメラ2の中で、特に、顔カメラ2a及び手元カメラ2bのいずれか一方又は双方の撮影部が遮蔽されていると判定された場合に、処理実行部11(具体的には、取引制御部11a(図2参照)又は発券制御部11c(図4参照))が、係員通知部28を介して、撮影部の遮蔽状態を異常状態として係員に通知する構成になっている。
なお、監視カメラ搭載装置1は、好ましくは、この場合に、処理実行部11(具体的には、取引制御部11a(図2参照)又は発券制御部11c(図4参照))が、撮影部の遮蔽状態の解除を操作者に要請する注意画面(図7及び図8参照)を表示部21に表示する構成にするとよい。ここでは、「遮蔽状態の解除」とは、監視カメラ2の撮影部の前から、その前に置かれた物や手等を除く動作を意味している。
<監視カメラ搭載装置の動作>
本実施形態1に係る監視カメラ搭載装置1は、「特定の処理」の実行に際して、処理実行部11が監視カメラ2によって撮影された撮影画像を監視する。そして、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽されていない場合に、監視カメラ搭載装置1は、特定の処理を実行する。一方、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽されている場合に、監視カメラ搭載装置1は、操作者が悪意(故意)ある者であり、操作者が不正行為を実行する可能性があると判断して、直ちに特定の処理を強制的に終了する。
なお、「特定の処理」は、監視カメラ搭載装置1がATM1aとして構成されている場合に、「(ホストコンピュータとの間での)取引」となり、また、監視カメラ搭載装置1が発券機1bとして構成されている場合に、「発券処理」となる。ここでは、監視カメラ搭載装置1がATM1aとして構成されている場合(すなわち、「特定の処理」が「(ホストコンピュータとの間での)取引」である場合)を想定して説明する。
ただし、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とのいずれか一方のみが遮蔽されている場合は、意図的な遮蔽でなく、荷物や障害物等が撮影部の前に置かれている可能性がある。そこで、この場合に、監視カメラ搭載装置1は、直ちに特定の処理を強制的に終了せずに、何らかの異常状態の発生を係員に通知する「アラーム処理」を実行する。
このとき、監視カメラ搭載装置1は、係員通知部28(図2及び図4参照)を介して、撮影部の遮蔽状態を異常状態として係員に通知する。例えば、監視カメラ搭載装置1は、係員通知部28としての係員通知ランプを点灯したり、係員通知部28としてのディスプレイに警告画面を表示したり、係員通知部28としてのスピーカからアラーム音を報音したりして、係員に通知する。通知を受けた係員は、不正行為が実行されている可能性があるため、監視カメラ2の撮影画像を係員用に設けられた図示せぬ表示部で見たり、目視にて操作者を見たりして、操作者の行動を監視する。
なお、本実施形態1では、監視カメラ搭載装置1は、「アラーム処理」の実行時に、後記する注意画面D1a,D1b,D2a,D2b(図7及び図8参照)等を表示部21に表示して、発生した異常状態の要因の解除(除去)を操作者に要請するものとして説明する。
以下、図5及び図6を参照して、監視カメラ搭載装置1の具体的な動作につき説明する。図5及び図6は、それぞれ、実施形態1に係る監視カメラ搭載装置の動作を示すフローチャートである。なお、ATM1aと発券機1bとでは、大きな処理の違いはない。
図5は、監視カメラ搭載装置1が媒体先行型の装置である場合のフローチャートである。図6は、監視カメラ搭載装置1が操作先行型の装置である場合のフローチャートである。なお、「媒体先行型の装置」とは、「特定の処理」の実行開始のトリガーがカードや現金等の媒体の装置への挿入動作となっている装置を意味している。また、「操作先行型の装置」とは、「特定の処理」の実行開始のトリガーが操作者による入力部22でのキー入力操作となっている装置を意味している。ここでは、まず、図5を参照して、監視カメラ搭載装置1が媒体先行型の装置である場合の動作を説明し、次に、図6を参照して、監視カメラ搭載装置1が媒体先行型の装置である場合の動作を説明する。
なお、監視カメラ搭載装置1は、図示せぬタイマによって計測された時間に基づいて動作する。また、監視カメラ搭載装置1の動作は、処理実行部11の図示せぬ記憶部に読み出し自在に予め格納された制御プログラムによって規定されており、処理実行部11によって実行される。以下、これらの点については、情報処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
ここでは、前記した通り、監視カメラ搭載装置1がATM1aとして構成されている場合(すなわち、「特定の処理」が「(ホストコンピュータとの間での)取引」である場合)を想定して説明する。以下に説明する動作は、ATM1aの処理実行部11の取引制御部11a及び遮蔽検知部11bによって実現される。
なお、ATM1aの動作と発券機1bの動作とで、大きな違いはない。監視カメラ搭載装置1が発券機1bとして構成されている場合は、以下に説明する動作中の「取引」を「発券」に読み替えるものとする。この場合に、「発券」動作は、発券機1bの発券制御部11cによって実現される。
監視カメラ搭載装置1としてのATM1aは、媒体先行型の装置である場合に、電源が投入されると、図5に示すルーチンの動作を開始する。図5に示すように、ATM1aの取引制御部11aは、まず、図示せぬ近接センサから出力される検知信号の値に基づいて操作者が接近しているか否かを繰り返し判定する(S105)。これにより、取引制御部11aは、操作者の接近を常に監視する。
なお、近接センサは、操作者の接近を検知するためのセンサである。近接センサは、操作者の接近の有無に応じた値の検知信号を処理実行部11に常に出力する。処理実行部11は、この検知信号の値に基づいて操作者の接近の有無を検知する。処理実行部11は、検知信号の値がオン状態の値である場合に、操作者が接近しているものとして、これを検知する。
S105の判定で、操作者が接近していると判定された場合(“Yes”の場合)に、取引制御部11aは、顔カメラ2a及び手元カメラ2bを含む各監視カメラ2を起動させて、操作者の撮影を開始する(S110)。
S110の後、ATM1aの遮蔽検知部11bは、監視カメラ2の撮影部が遮蔽されているか否かを判定する(S115)。このとき、遮蔽検知部11bは、例えば、監視カメラ2によって撮影された撮影画像の全面領域(又は、一定面積以上の領域)が、所定時間以上、所定の閾値よりも暗い画像になっているか否かを判定する。そして、遮蔽検知部11bは、撮影画像の全面領域(又は、一定面積以上の領域)が、所定時間以上、所定の閾値よりも暗い画像になっていれば、操作者が監視カメラ2の撮影部を遮蔽していると判断する。遮蔽検知部11bは、このような判断を、各監視カメラ2によって撮影された撮影画像に対して行う。これにより、遮蔽検知部11bは、各監視カメラ2の撮影部が遮蔽されているか否かを判定する。
S115の判定で、監視カメラ2の撮影部が遮蔽されていないと判定された場合(“No”の場合)に、処理は、S151aに進む。一方、S115の判定で、監視カメラ2の撮影部が遮蔽されていると判定された場合(“Yes”の場合)に、処理は、S120に進む。この場合に、遮蔽検知部11bは、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽されているか否かを判定する(S120)。
S120の判定で、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽されていると判定された場合(“Yes”の場合)に、ATM1aの取引制御部11aは、取引を強制的に終了する(S125)。これにより、一連のルーチンが終了する。
一方、S120の判定で、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽されていない(すなわち、いずれか一方の撮影部のみが遮蔽されている)と判定された場合(“No”の場合)に、ATM1aの取引制御部11aは、取引の実行を一時的に制限(停止)する(S130)。ここでは、ATM1aが媒体先行型の装置であるため、取引制御部11aは、S130で、例えば、カードや現金等の媒体の装置への受け入れ(挿入)動作を制限するものとして説明する。
S130の後、取引制御部11aは、「アラーム処理」を実行する(S135)。ここでは、取引制御部11aは、例えば、係員通知部28を介して、撮影部の遮蔽状態を異常状態として係員に通知するとともに、発生した異常状態の要因の解除(除去)を操作者に要請する注意画面D1a,D1b(図7参照)等を表示部21に表示するものとして説明する。
なお、図7は、注意画面の一例を示す図である。図7(a)は、顔カメラ2aの周囲に物や手を置かないように注意して、顔カメラ2aの撮影部の遮蔽状態の解除を操作者に要請する注意画面D1aの一例を示している。一方、図7(b)は、手元カメラ2bの周囲に物や手を置かないように注意して、手元カメラ2bの撮影部の遮蔽状態の解除を操作者に要請する注意画面D1bの一例を示している。
なお、監視カメラ搭載装置1が発券機1bとして構成されている場合に、注意画面は、例えば、図8に示す構成になる。図8(a)は、顔カメラ2aの周囲に物や手を置かないように注意して、顔カメラ2aの撮影部の遮蔽状態の解除を操作者に要請する注意画面D2aの一例を示している。一方、図8(b)は、手元カメラ2bの周囲に物や手を置かないように注意して、手元カメラ2bの撮影部の遮蔽状態の解除を操作者に要請する注意画面D2bの一例を示している。
なお、注意画面は、単に文章で遮蔽状態の解除を操作者に要請する構成だけでは、どこに監視カメラ2があり、何が障害になっているのかを操作者にすぐに伝達させることができない。そこで、注意画面は、好ましくは、どこに監視カメラ2があるのかを視覚的に操作者に伝達させる構成にするとよい。例えば、図7及び図8に示すように、注意画面は、装置の主要部又は全体のイメージ図を含み、そのイメージ図に対して、遮蔽状態を解除すべき監視カメラ2の撮影部付近を強調表示する構成にするとよい。そして、注意画面は、顔カメラ2aが遮蔽されている場合に、顔カメラ2aの周辺を強調して表示し、一方、手元カメラ2bが遮蔽されている場合に、手元カメラ2bの周辺を強調して表示するとよい。監視カメラ搭載装置1は、このような構成の注意画面を表示部21に表示することにより、どこに監視カメラ2があり、何が障害になっているのかを分かり易く操作者に伝達することができる。
また、監視カメラ搭載装置1は、図7及び図8に示す注意画面を表示部21(図1及び図3参照)に表示する場合に、例えば、注意画面を表示部21の略全体に表示するとともに、確認ボタンを注意画面の一部に表示する構成にしてもよい。この場合に、監視カメラ搭載装置1は、確認ボタンが押下されると、注意画面が消えるように又は縮小して表示部21の端部付近に表示するように変化させることによって、途中工程まで(例えば、媒体の受入動作が発生する工程まで)、画面操作を継続できる構成にしてもよい。
S135の後、ATM1aは、一定時間待機する(S140)。その後、ATM1aの遮蔽検知部11bは、遮蔽検知されていた監視カメラ2の撮影部の遮蔽状態が解除されたか否かを判定する(S145)。
S145の判定で、撮影部の遮蔽状態が解除されていないと判定された場合(“No”の場合)に、処理は、S125に進む。この場合に、S125で、ATM1aの取引制御部11aは、取引を強制的に終了する。
一方、S145の判定で、撮影部の遮蔽状態が解除されていると判定された場合(“Yes”の場合)に、処理は、S150に進む。この場合に、ATM1aの取引制御部11aは、S130で行った取引の実行制限を解除する(S150)。ここでは、取引制御部11aは、カードや現金等の媒体の装置への受け入れ(挿入)動作の制限を解除するものとして説明する。
S150の後、又は、S115の判定で、監視カメラ2の撮影部が遮蔽されていないと判定された場合(“No”の場合)に、ATM1aの取引制御部11aは、操作者による入力部22でのキー入力操作を受け付ける(S151a)。そして、取引制御部11aは、カードや現金等の媒体の装置への受け入れ動作を実行する(S151b)。
次に、取引制御部11aは、S151aで受け付けられたキー入力操作に基づいて、ホストコンピュータ(図示せず)との間で、現金の預け入れや払い戻し、振り込み等の取引を実行する(S155)。これにより、一連のルーチンが終了する。
なお、監視カメラ搭載装置1としてのATM1aが操作先行型の装置である場合に、電源が投入されると、図6に示すルーチンの動作を開始する。操作先行型の装置の動作(図6参照)は、媒体先行型の装置の動作(図5参照)と比較すると、以下の点で相違している。
(1)S130の処理の代わりに、S130bの処理を実行する点。
すなわち、S120の判定で、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽されていない(すなわち、いずれか一方の撮影部のみが遮蔽されている)と判定された場合(“No”の場合)に、S130の処理の代わりに、S130bの処理を実行する。S130bでは、ATM1aの取引制御部11aは、取引の実行を一時的に制限する。ただし、このとき、取引制御部11aは、例えば、特定の処理(ここでは、「(ホストコンピュータとの間での)取引」)に対して、実行可能な進行工程を一時的に制限する。すなわち、取引制御部11aは、取引を予め定められた途中工程までは実行できるようにし、最終工程までは実行できないようにする。
(2)S140の処理の代わりに、S136b及びS140bの処理を実行する点。
すなわち、S135の後、ATM1aは、図5のS140の処理(「一定時間待機」処理)を行わずに、操作者による入力部22でのキー入力操作を受け付けて(S136b)、取引を予め定められた途中工程まで実行する(S140b)。
(3)S150の処理の代わりに、S150bの処理を実行する点。
すなわち、S145の判定で、撮影部の遮蔽状態が解除されていると判定された場合(“Yes”の場合)に、S150の処理の代わりに、S150bの処理を実行する。S150bでは、ATM1aの取引制御部11aは、S130bで行った取引の実行制限を解除する。ここでは、特定の処理(「(ホストコンピュータとの間での)取引」)に対して、実行可能な進行工程の制限を解除する。すなわち、取引制御部11aは、取引を最終工程まで実行できるようにする。
(4)S150bの後、又は、S115の判定で、監視カメラ2の撮影部が遮蔽されていないと判定された場合(“No”の場合)に、図5のS151aの処理(「操作受付」処理)を行わずに、S151bの処理を実行する点。
すなわち、ATM1aが操作先行型の装置である場合に、ATM1aは、S135の後に、S136bの処理(「操作受付」処理)を行う。そのため、ATM1aは、S150bの後、又は、S115の判定で、監視カメラ2の撮影部が遮蔽されていないと判定された場合(“No”の場合)に、S151bの処理(「媒体受入」処理)を行う。
(5)S155の代わりに、S155bの処理を実行する点。
すなわち、ATM1aが操作先行型の装置である場合に、ATM1aは、S140bで、取引を予め定められた途中工程まで実行している。そのため、ATM1aは、S151bの後、途中工程まで実行された取引を、引き続き最終工程まで実行する(S155b)。
このような監視カメラ搭載装置1は、媒体先行型の装置として構成されている場合で、かつ、図5のS120の判定処理で“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とのいずれか一方のみが遮蔽されていると判定された場合)に、特定の処理(ここでは、「(ホストコンピュータとの間での)取引」)の実行を一時的に制限(停止)する。そして、監視カメラ搭載装置1は、媒体を装置内に受け入れずに、S135でアラーム処理を実行する。そして、監視カメラ搭載装置1は、遮蔽状態が解除されなければ(S145の判定処理で“No”の場合)、特定の処理の実行を強制的に終了する。
一方、監視カメラ搭載装置1は、操作先行型の装置として構成されている場合で、かつ、図6のS120の判定処理で“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とのいずれか一方のみが遮蔽されていると判定された場合)に、特定の処理(ここでは、「(ホストコンピュータとの間での)取引」)の実行を制限(停止)せずに、操作者による入力部22でのキー入力操作を受け付ける。そして、監視カメラ搭載装置1は、特定の処理を予め定められた途中工程まで実行する。そして、監視カメラ搭載装置1は、特定の処理が予め定められた途中工程まで実行されたときに、遮蔽状態が解除されなければ(S145の判定処理で“No”の場合)、特定の処理の実行を強制的に終了する。
このような監視カメラ搭載装置1は、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とが直線距離で所定の距離L以上離間して設けられている。そのため、監視カメラ搭載装置1は、操作者が左右の手で顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とを遮蔽して不正行為の実行を試みる場合に、操作者に不自然な姿勢(具体的には、左右の手を顔カメラ2aと手元カメラ2bとに向けて伸ばす姿勢)を強いる。これにより、監視カメラ搭載装置1は、操作者の左右の手の自由度を低下させて、不正行為を実行するための細工をし難くすることができる。同時に、監視カメラ搭載装置1は、不正行為が周囲に露見し易くすることができる。その結果、監視カメラ搭載装置1は、不正行為の実行に対する心理的負荷を操作者に与えて、不正行為の実行自体を抑制させることもできる。
また、監視カメラ搭載装置1は、図5又は図6のS120の判定処理で“Yes”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽されていると判定された場合)に、操作者が不正行為を働く可能性があるものと判断して、S125で、直ちに特定の処理の実行を強制的に終了する。そのため、監視カメラ搭載装置1は、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽されていると判定された場合に、不正行為が実行されることを防止することができる。
また、監視カメラ搭載装置1は、図5又は図6のS120の判定処理で“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とのいずれか一方のみが遮蔽されていると判定された場合)に、S130又はS130bで、特定の処理の実行を一時的に制限し、その後、S145の判定処理で、遮蔽が解除されたと判定されたときに、S150又はS150bで、制限を解除する。そのため、監視カメラ搭載装置1は、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とのいずれか一方が遮蔽されていると判定された場合に、不正行為が実行されることを防止することができる。
以上の通り、本実施形態1に係る監視カメラ搭載装置1によれば、監視カメラ2の撮影部が遮蔽された場合に、不正行為が実行されることを防止することができる。
[実施形態2]
本実施形態2では、監視カメラ搭載装置1は、構成自体が実施形態1の構成と同じで、動作のみが実施形態1の動作と異なっている。以下、図9及び図10を参照して、本実施形態2に係る監視カメラ搭載装置1の動作について、実施形態1と相違する動作を重点的に説明し、実施形態1と同様の動作(図5及び図6参照)については、前記した実施形態1の動作を本実施形態2の動作に読み替えるものとして、詳細な説明を省略する。
図9及び図10は、それぞれ、実施形態2に係る監視カメラ搭載装置の動作を示すフローチャートである。図9は、監視カメラ搭載装置1が媒体先行型の装置である場合のフローチャートである。図10は、監視カメラ搭載装置1が操作先行型の装置である場合のフローチャートである。
顔カメラ2aは、操作者の顔を撮影するカメラであるため、基本的に、監視カメラ搭載装置1の上部部分に設けられている。したがって、顔カメラ2aは、操作者が意図しない限り、遮蔽されない。一方、手元カメラ2bは、操作者の手元を撮影するカメラであるため、顔カメラ2aよりも低い位置に設けられている。そのため、操作者は、意図せずに、鞄(かばん)等の物体を手元カメラ2bの前に置いてしまうことがある。したがって、手元カメラ2bは、操作者が意図せずに、遮蔽されることがある。
そこで、本実施形態2の動作は、顔カメラ2aの撮影部が遮蔽されている場合に、操作者が意図して撮影部を遮蔽している可能性があると判断して、直ちに取引を強制的に終了し、一方、手元カメラ2bの撮影部のみが遮蔽されている場合に、操作者が意図せずに撮影部を遮蔽している可能性があると判断して、取引の実行を制限して、ある程度の取引の実行を許容する構成にする。なお、「顔カメラ2aの撮影部が遮蔽されている場合」とは、図9又は図10に示すS120の判定処理で“Yes”の場合とS121の判定処理で“No”の場合のいずれか一方に該当するときを意味する。
本実施形態2の動作は、図5又は図6に示す実施形態1の動作と比較すると、図9又は図10に示すように、図5又は図6に示すS120の判定処理で“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とのいずれか一方のみが遮蔽されていると判定された場合)に、S121で、手元カメラ2bの撮影部のみが遮蔽されているのか否かを判定する点で相違している。ここでは、監視カメラ搭載装置1がATM1aである場合を想定して説明する。
S121の判定で、“Yes”の場合(すなわち、手元カメラ2bの撮影部のみが遮蔽されていると判定された場合)に、ATM1aは、操作者が意図せずに撮影部を遮蔽している可能性があると判断する。この場合に、処理は、S130に進む。
一方、S121の判定で、“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部のみが遮蔽されていると判定された場合)に、ATM1aは、操作者が意図して撮影部を遮蔽している可能性があると判断する。この場合に、処理は、符号「1」を介して、S125に進む。その結果、ATM1aは、S125で、取引を強制的に終了する。これにより、一連のルーチンが終了する。
なお、本実施形態2の動作は、図5又は図6に示す実施形態1の動作と比較すると、図9又は図10に示すように、S145の判定処理の代わりに、S146で、手元カメラ2bの撮影部の遮蔽状態が解除されたか否かを判定する点でも相違している。
以上の通り、本実施形態2によれば、実施形態1と同様に、監視カメラ2の撮影部が遮蔽された場合に、不正行為が実行されることを防止することができる。
しかも、本実施形態2によれば、顔カメラ2aの撮影部が遮蔽されている場合に、操作者が意図して撮影部を遮蔽している可能性があると判断して、直ちに取引を強制的に終了し、一方、手元カメラ2bの撮影部のみが遮蔽されている場合に、操作者が意図せずに撮影部を遮蔽している可能性があると判断して、取引の実行を制限して、ある程度の取引の実行を許容することができる。
[実施形態3]
実施形態2では、S121の判定で、“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部のみが遮蔽されていると判定された場合)に、ATM1aは、S125で、直ちに取引を強制的に終了している。
これに対して、実施形態3では、S121の判定で、“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部のみが遮蔽されていると判定された場合)に、ATM1aは、直ちに取引を強制的に終了するのではなく、取引の実行(例えば、媒体の装置への受け入れ(挿入)動作)を制限して、ある程度の取引の実行(例えば、操作者による入力部22でのキー入力操作を受け付け)を許容できるようにする。
本実施形態3では、監視カメラ搭載装置1は、構成自体が実施形態1及び実施形態2の構成と同じで、動作のみが実施形態2の動作と異なっている。以下、図11及び図12を参照して、本実施形態3に係る監視カメラ搭載装置1の動作について、実施形態2と相違する動作を重点的に説明し、実施形態2と同様の動作(図9及び図10参照)については、前記した実施形態2の動作を本実施形態3の動作に読み替えるものとして、詳細な説明を省略する。
図11及び図12は、それぞれ、実施形態3に係る監視カメラ搭載装置の動作を示すフローチャートである。図11は、監視カメラ搭載装置1が媒体先行型の装置である場合のフローチャートである。図12は、監視カメラ搭載装置1が操作先行型の装置である場合のフローチャートである。
本実施形態3の動作は、図9又は図10に示す実施形態2の動作と比較すると、図11又は図12に示すように、図9又は図10に示すS121の判定処理で“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部のみが遮蔽されていると判定された場合)に、S605〜S620の処理を実行する点で相違している。ここでは、監視カメラ搭載装置1がATM1aである場合を想定して説明する。
S121の判定で、“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部のみが遮蔽されていると判定された場合)に、ATM1aの取引制御部11aは、取引の実行を一時的に制限(停止)する(S605)。このとき、取引制御部11aは、例えば、カードや現金等の媒体の装置への受け入れ(挿入)動作を制限する。
S605の後、ATM1aの取引制御部11aは、操作者による入力部22でのキー入力操作を受け付ける(S610)。
S610の後、ATM1aの遮蔽検知部11bは、顔カメラ2aの撮影部の遮蔽状態が解除されたか否かを判定する(S615)。
S615の判定で、“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部の遮蔽状態が解除されていないと判定された場合)に、処理は、符号「1」を介して、S125に進む。その結果、ATM1aは、S125で、取引を強制的に終了する。これにより、一連のルーチンが終了する。
一方、S615の判定で、“Yes”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部の遮蔽状態が解除されていると判定された場合)に、ATM1aの取引制御部11aは、S605で行った取引の実行制限を解除する(S620)。ここでは、取引制御部11aは、カードや現金等の媒体の装置への受け入れ(挿入)動作の制限を解除する。この後、処理は、符号「2」を介して、S151bに進む。
以上の通り、本実施形態3によれば、実施形態1及び実施形態2と同様に、監視カメラ2の撮影部が遮蔽された場合に、不正行為が実行されることを防止することができる。
しかも、本実施形態3によれば、S121の判定で、“No”の場合(すなわち、顔カメラ2aの撮影部のみが遮蔽されていると判定された場合)に、直ちに取引を強制的に終了するのではなく、取引の実行(例えば、媒体の装置への受け入れ(挿入)動作)を制限して、ある程度の取引の実行(例えば、操作者による入力部22でのキー入力操作を受け付け)を許容することができる。
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、実施形態1〜実施形態3で説明した監視カメラ搭載装置1の動作は、その一部を以下のように変更することができる。
<動作の変更例1>
図5、図9、及び、図11に示す監視カメラ搭載装置1の動作は、その一部を、例えば、図13に示すフローのように変更することができる。図13は、動作の変更の一例を示すフローチャートである。図13は、操作者が悪意(故意)ある者である場合に、S151aの処理(「操作受付」処理)の後に、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽される可能性があるため、S151a〜S151bの処理の間で、S205〜S225の処理を実行することを示している。
図13に示すように、S151aの処理(「操作受付」処理)の後、ATM1aの遮蔽検知部11bは、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽されているか否かを判定する(S205)。
S205の判定で、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽されていないと判定された場合(“No”の場合)に、処理は、S151bに進む。この場合に、ATM1aは、S151bで、カードや現金等の媒体の装置への受け入れ動作を実行する。
一方、S205の判定で、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽されていると判定された場合(“Yes”の場合)に、処理は、S210に進む。この場合に、ATM1aは、S130の処理と同様に、取引の実行を一時的に制限(停止)する(S210)。ここでは、取引制御部11aは、S210で、カードや現金等の媒体の装置への受け入れ(挿入)動作を制限するものとして説明する。
S210の後、ATM1aは、一定時間待機する(S215)。その後、ATM1aの遮蔽検知部11bは、手元カメラ2bの撮影部の遮蔽状態が解除されたか否かを判定する(S220)。
S220の判定で、手元カメラ2bの撮影部の遮蔽状態が解除されていないと判定された場合(“No”の場合)に、処理は、符号「1」を介して、S125に進む。その結果、ATM1aは、S125で、取引を強制的に終了する。これにより、一連のルーチンが終了する。
一方、S220の判定で、手元カメラ2bの撮影部の遮蔽状態が解除されていると判定された場合(“Yes”の場合)に、処理は、S225に進む。この場合に、ATM1aの取引制御部11aは、S210で行った取引の実行制限を解除する(S225)。ここでは、取引制御部11aは、カードや現金等の媒体の装置への受け入れ(挿入)動作の制限を解除するものとして説明する。この後、処理は、S151bに進む。
このような変更例1は、S151aの処理(「操作受付」処理)の後に、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽された場合に、取引の実行(例えば、媒体の装置への受け入れ(挿入)動作)を制限し、それでも遮蔽状態が解除されないときに、取引を強制的に終了することができる。これにより、変更例1は、取引の実行をある程度継続しつつ、不正行為が実行されることを防止することができる。
<動作の変更例2>
図5、図9、及び、図11に示す監視カメラ搭載装置1の動作は、その一部を、例えば、図14に示すフローのように変更することができる。図14は、動作の変更の一例を示すフローチャートである。図14は、操作者が悪意(故意)ある者である場合に、S155の処理(「取引実行」処理)中に、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽される可能性があるため、S155の処理で、S305〜S330の処理を実行することを示している。
図14に示すように、S155で、取引の実行が開始されると、ATM1aの遮蔽検知部11bは、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽されているか否かを判定する(S305)。
S305の判定で、“Yes”の場合(すなわち、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽されていると判定された場合)に、ATM1aの取引制御部11aは、取引の実行を一時的に制限する(S310)。ここでは、取引制御部11aは、例えば、特定の処理(ここでは、「(ホストコンピュータとの間での)取引」)に対して、実行可能な進行工程を一時的に制限するものとして説明する。
そして、ATM1aは、取引を予め定められた途中工程まで実行する(S315)。S315の後、ATM1aの遮蔽検知部11bは、手元カメラ2bの撮影部の遮蔽状態が解除されたか否かを判定する(S320)。
S320の判定で、手元カメラ2bの撮影部の遮蔽状態が解除されていると判定された場合(“Yes”の場合)に、ATM1aの取引制御部11aは、S310で行った取引の実行制限を解除する(S325)。ここでは、特定の処理(「(ホストコンピュータとの間での)取引」)に対して、実行可能な進行工程の制限を解除する。すなわち、取引制御部11aは、取引を最終工程まで実行できるようにする。
S305の判定で、“No”の場合(すなわち、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽されていないと判定された場合)、又は、S325の後、ATM1aの取引制御部11aは、取引を最終工程まで実行する(S330)。これにより、S155の取引の実行が終了する。
一方、S320の判定で、手元カメラ2bの撮影部の遮蔽状態が解除されていないと判定された場合(“No”の場合)に、ATM1aの取引制御部11aは、取引を強制的に終了する(S335)。これにより、S155の取引の実行が終了する。
このような変更例2は、S155の処理(「取引実行」処理)中に、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽された場合に、取引の実行(例えば、媒体の装置への受け入れ(挿入)動作)を制限し、それでも遮蔽状態が解除されないときに、取引を強制的に終了することができる。これにより、変更例2は、取引の実行をある程度継続しつつ、不正行為が実行されることを防止することができる。
[付記]
本発明に係る監視カメラ搭載装置1は、好ましくは、以下のように構成するとよい。
<動作について>
監視カメラ搭載装置1は、好ましくは、図示せぬ近接センサがオン状態になったときに、監視カメラ2を起動する構成にするとよい。
監視カメラ搭載装置1は、特定の処理(操作者と監視カメラ搭載装置1との間でカードや現金等の媒体をやり取りする動作を伴う処理)を実行する際に、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽された場合に、特定の処理の実行を強制的に終了し、一方、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とのいずれか一方のみが遮蔽された場合に、特定の処理の実行を制限して、ある程度の特定の処理の実行を許容する構成になっているとよい。
1.顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部がともに遮蔽された場合
(1)監視カメラ搭載装置1は、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部がともに遮蔽された場合、直ちに取引の実行を強制的に終了する。
なお、「終了」の内容としては、(a)装置内に受け入れられている媒体があれば、媒体を返却して取引を終了する、(b)装置をシャットダウンさせる、(c)キー入力操作の受け付け動作を無効にした状態で、アラーム処理(係員通知部28としての係員通知ランプの点灯や、係員通知部28としてのディスプレイへの警告画面の表示、係員通知部28としてのスピーカからのアラーム音の報音等)を実行して、係員に状況を確認させる、等が想定される。
2.顔カメラ2aの撮影部のみが遮蔽された場合
(1)監視カメラ搭載装置1は、特定の処理の実行開始前に、顔カメラ2aの撮影部が遮蔽されている場合に、操作者が意図的に撮影部を遮蔽している可能性があるため、特定の処理の実行を強制的に終了する構成にするとよい。
又は、この場合に、監視カメラ搭載装置1は、キー入力操作の受け付け動作及び媒体の挿入動作をともに実行しない構成にしてもよい。
又は、監視カメラ搭載装置1は、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽されていなければ、キー入力操作を受け付けて特定の処理の実行を途中工程まで許容し、所定の動作(例えば、媒体挿入検知動作、又は、媒体排出動作)を行うときに、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽されていれば、特定の処理の実行を強制的に終了し、一方、顔カメラ2aの撮影部と手元カメラ2bの撮影部とがともに遮蔽されていなければ、特定の処理を最終工程まで実行する構成にしてもよい。このように構成することにより、監視カメラ搭載装置1は、いずれかの時点で操作者の顔を撮影することができた場合に、特定の処理の実行を許容することが可能になる。
(2)監視カメラ搭載装置1は、特定の処理の実行中に、顔カメラ2aの撮影部が遮蔽された場合に、アラーム処理を実行する構成にするとよい。
又は、この場合に、監視カメラ搭載装置1は、顔カメラ2aの撮影部が遮蔽されるまでの工程で、顔カメラ2aによって操作者の顔画像を撮影できていれば、特定の処理を最終工程まで実行する構成にしてもよい。なお、このように構成した場合に、監視カメラ搭載装置1は、好ましくは、操作者の顔画像を撮影できていなければ、特定の処理の実行を一時停止して、注意画面D1a,D2b(図7及び図8参照)等を表示部21に表示したり、図示せぬスピーカから警告音を報音したりして、顔カメラ2aの撮影部の遮蔽状態の解除を操作者に要請する構成にするとよい。
3.手元カメラ2bの撮影部のみが遮蔽された場合
(1)監視カメラ搭載装置1は、媒体先行型の装置として構成されている場合に、手元カメラ2bが遮蔽されていれば、特定の処理の実行を一時停止して、媒体を受け入れずに、アラーム処理を実行する構成にしてもよい。
(2)監視カメラ搭載装置1は、操作先行型の装置として構成されている場合に、手元カメラ2bが遮蔽されていなければ、操作者による入力部22でのキー入力操作の受け付けをできる構成にしてもよい。この場合に、監視カメラ搭載装置1は、特定の処理の実行がある程度進んで、媒体を装置に挿入する段階になったときに、手元カメラ2bが遮蔽されていれば、取引を一時停止して、媒体を受け入れずに、アラーム処理を実行する構成にするとよい。
(3)監視カメラ搭載装置1は、特定の処理の実行中に、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽された場合に、アラーム処理を実行せずに、とりあえず実行可能な範囲内の処理(例えば、入力部22でのキー入力操作の受け付けだけ)を継続して実行する構成にしてもよい。この場合に、監視カメラ搭載装置1は、手元カメラ2bの撮影部が遮蔽された状態で所定の動作(例えば、媒体挿入検知動作、又は、媒体排出動作)を行うときに、特定の処理を一時停止して、アラーム処理を実行する構成にするとよい。また、この場合に、監視カメラ搭載装置1は、手元カメラ2bの撮影部の遮蔽状態が解除されるまで、媒体の受け入れ動作と媒体の排出動作とを一時中止する構成にするとよい。