JP5433241B2 - 自動取引装置 - Google Patents

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本発明は自動取引装置に係り、特に、公共機関内、金融機関内、コンビニエンスストア等の店舗内に設置され、顧客の操作に基づき現金の入出金等の取引処理を行う現金自動取引装置(ATM(Automated Teller Machine))における現金等の取り忘れ防止に関する。
24時間稼働のATMや、完全無人化店舗に設置されたATMには、顧客が自動的に現金取引を行えるように種々の機能が備えられている。例えば、顧客が、取引において装置から放出されたカード、通帳、現金等(以下、これらを媒体という)を取り忘れた場合に対して様々な対策がとられている。例えば、媒体が装置から放出された後一定時間が経過すると、警告音を鳴らして、媒体の取り忘れがあることを顧客に知らせる方法や音声案内で注意喚起する方法等、媒体の取り忘れ自体を顧客に気づかせる方法が知られている。
これらの対策にも拘わらず、媒体の取り忘れが発生した場合、その取り忘れられた媒体を装置の内部に設けた専用の収納部に一旦収納して、取引を継続する方法が知られている。しかし、媒体の取り忘れが複数回発生した場合、2回目以降に取り忘れた媒体を別に管理にて収納することが出来ないため、取引を続行することが出来なくなるという課題がある。
この課題に対して、特許文献1には、取り忘れが複数発生しても継続して取引が出来るようにした技術が提案されている。この技術は、顧客が取り忘れた現金を装置内部に収納すると共に、その取り忘れ現金の金額、顧客の口座番号及び取扱時刻等の情報を、取り忘れ情報として記憶手段に記憶しておき、引き続き取引を実行可能とし、その顧客が取り忘れに気づき、返金を求め場合に、顧客にカードを挿入させ、暗証番号を入力させることで本人確認を行ない、取り忘れた補任であることを確認した上で、取り忘れ情報に基いて出金金庫から所定の金額を繰り出して返金する技術である。
また、特許文献2には、取り忘れ後の対策でなく、取り忘れ自体を低減させる対策として、顧客が媒体を取り忘れた場合に、その取り忘れ自体を認識させるように対策された技術が提案されている。この技術は、媒体を放出させる取出し口内部に反射機構を設け、その反射機構を介して、取出し口内部の隅々を映し出すことで、例えば、顧客が身障者、子供のように、通常の大人の人より身長が低い人であった場合、上記取出し口内部の一部が死角となり見えない場合においても、上記反射機構を観ることで、取出し口内部の隅々まで残留媒体がないかどうかを確認することが出来る。これにより、顧客が如何なる視点においても安全に取引を実行出来るように工夫されている。
さらに、特許文献3には、取り忘れ自体を低減させる対策に加えて、取り忘れた現金等を騙し取る犯罪を防止した技術が提案されている。即ち、紙幣等、現金の出金口への出金時の模様をカメラ等の撮像装置で撮像し、撮像した動画を顧客操作画面で表示することにより、取り忘れに対して、現金等の返却を要望する顧客が、取り忘れを利用して現金を不正に搾取する詐欺行為に対して有効となる。
また、特許文献4には、防犯対策として、紙幣取扱口内の所定の箇所に、シャッタが開いた時に撮影可能となる防犯用カメラを設置し、紙幣の取扱口への手の挿入を検知するセンサを設け、顧客が紙幣を抜き取る際に、顧客が紙幣の取扱口に手を挿入したことを検出した時に、この防犯カメラで顧客の手元を含む顧客の姿を撮影することで、顧客にカメラの存在を意識させることで、防犯に役立てる技術が提案されている。
特開平8−335283号公報 特開昭61−80492号公報 特開2003−331339号公報 WO2003/021545号公報
然るに、特許文献1の技術は、取り忘れ媒体を装置内に保持すると共に取り忘れ情報を記憶手段に記憶して、それらの情報を個別毎に管理するため、装置内部の機構を大幅に改造し、及び媒体を別管理するためのスペースも確保する必要があり、装置の改造のために多大なるコストを要する。
また、特許文献2の技術は、低コストであるが、媒体を取り忘れる人は、媒体が放出されたこと自体が念頭から消えた状態になっているため、取出し口内部の反射機構の構成そのものに気づかないで立ち去ってしまう場合が想定される。
特許文献3及び4の技術は、後日、顧客から取り忘れた現金等の媒体の返却時に、取引時の操作状況の画像(動画)を表示部で表示し、再確認することで、正常な取引であったかどうかを検証するためのものであるが、媒体の取り忘れを防止したり、媒体の取り忘れを低減するためのものではない。
本発明の目的は、装置から放出された媒体の取り忘れを低減し、顧客の取引動作を円滑に進め、かつ装置の稼動効率を向上させた自動取引処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、好ましくは、顧客の操作に基づいて取引を行なう自動取引装置において、該取引に必要な操作の案内を表示する表示部と、該取引において用いられる媒体の挿入又は放出を行なう媒体取出口と、該媒体取出口内に該媒体の残留を検知する残留検知手段と、該媒体取出口内を撮像する撮像手段と、該残留検知手段によって、該媒体取出口内に該媒体が残留していることを検知した場合、該撮像手段で該媒体取出口内を撮像した撮像画像を該表示部に表示制御する制御部と、を有することを特徴とする自動取引装置として構成される(請求項1)。
このような構成により、顧客が取引で放出される媒体の取り忘れが発生した場合においても、前記表示部に既存のアニメによる放出媒体の抜き取りを案内する案内ではなく、実際に放出した媒体の残留する画像を表示するために、顧客の注意を惹きつけ、顧客が放出媒体を取り忘れた場合においても、その取り忘れに気づかせるという効果を奏する。また、逆に表示された状態から表示を消去する構成であっても同様の効果が期待される。
さらに本発明は、好ましくは、該自動取引装置を利用する顧客の身長を測定する身長測定手段を設け、前記制御部は、該身長測定手段で顧客の身長を測定した結果、該身長が所定値以上であると判断した場合、該残留検知手段によって該媒体取出口内に該媒体が残留していることを検知した後、該撮像手段で撮像した該撮像画像を所定時間経過した後に該表示部に表示し、
該顧客の身長が該所定値に満たない場合、該残留検知手段によって該媒体取出口内に該媒体が残留していることを検知した後、該撮像手段で撮像した直後に該撮像画像を該表示部に表示するように制御するように構成される(請求項2)。
このような構成により、比較的背が高い人に対しては、十分に媒体取出口内部を覗き込めるものであると判断し、従来通り一定の時間経過後に、残留媒体がある媒体取出口内部の状態を表示部に表示する。一方、背が低く、媒体取出口内部を十分に覗き込めないと判断した場合は、媒体放出直後から残留媒体がある媒体取出口内部の状態を表示部へ表示するように工夫した技術である。顧客に応じて、対策を変えて、取り忘れの低減を図ることができる。
さらに本発明は、好ましくは、複数種の媒体に対応して複数の前記媒体取出口と、それぞれの該媒体取出口内に該媒体の残留の有無を検知する前記残留検知手段とを備え、
前記制御部は、該残留検知手段で少なくとも一つの該媒体取出口内において、該媒体が残留していることを検知した時に、該媒体が残留する種別毎の該媒体取出口内の該撮像画像を該表示部に表示し、以後に該媒体取出口内の少なくとも一つが、該残留検知手段によって媒体の残留無しを検知した時には、残留無しを検知した種別の該媒体取出口内を撮像した該撮像画像を、該表示部から順次消去するように制御するように構成される(請求項3)。
この構成により、媒体種別毎に取出口が異なる場合は、媒体の放出時に表示部に各取出口に媒体が放出された状態を表示し、媒体が抜き取られたことを検知し、検知結果に基づいて、各取出口を順次消去する構成となっており、取り忘れが生じている取出口が存在している場合は、最後までその取出し口内を撮像した画像が表示部から消去しないことで、顧客に取り忘れがあることを認識させることが可能となる。
さらに本発明は、好ましくは、前記制御部は、該顧客から該媒体取出口内を観た視点に基づいた位置及び方向に合わせて、該撮像画像を該表示部に表示する(請求項4)。
この構成により、撮像装置で撮像した画像を加工し、位置及び方向を顧客側が見た視点に合わせて表示部に表示することで、実際に取出口内を覗いているように体感させる。よって、媒体取出口を見る必要が無く、表示部に表示された画像を見ることで残留の有無を確認出来るように工夫されている。この構成により、顧客自身の現在の取引で残留媒体が存在していることを顧客に意識させることが可能となり、取り忘れの低減を図れる。
さらに、本発明は、好ましくは、前記自動取引装置は、現金を出金する機構を有する現金自動取引装置であり、前記媒体取出口は、現金の出金取引のために用いられる顧客のキャッシュカード、通帳、出金用として放出された現金のいずれかを保持する(請求項5)。
この構成により、取引で放出された媒体が現金だけでなく、カード、通帳も対象に含んでおり、例えば、媒体の放出が同時に行なわれる現金取引処理装置においては、現金のみ抜き取って、カード、通帳を忘れることが考えられるが、本発明によれば、これらの場合においても、放出された媒体全ての取り忘れを防止できる。
本発明によれば、装置から放出された媒体の取り忘れを低減し、顧客の取引動作を円滑に進めることができ、装置の稼動効率を向上さることができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態におけるATMの外観図、図2は自動取引装置の内部構成図である。
図1及び図2において、ATM1は顧客が要求する、例えば現金の入出金や振込み等の種々の取引を自動的に実行する装置であり、それは送受信部10を介して上位のホストコンピュータ(図示省略)と接続されている。
ATM1は、操作兼表示部である顧客誘導表示/入力部2、紙幣の入出金処理を行なう紙幣処理部3、硬貨の入出金処理を行なう硬貨処理部4、顧客のキャッシュカード(単にカードという)13の取扱処理や取引情報を印字したジャーナル用紙の放出処理を行なうカード/明細書処理部5、顧客の通帳の処理を行なう通帳処理部6、ATM1の周辺の所定範囲内に進入した人を検知する顧客検知センサ7、顧客を撮像するカメラ8、本体電源部9及び上記各処理部を制御する制御部12、及び制御部12が実行するプログラムや各種データ等が格納される記憶部11を有して構成される。制御部9は、CPU、メモリ等のハードウェア構成と、プログラム、データ等のソフトウェア構成とから成り、CPUでプログラムを実行することによって取引に関する種々の制御やデータ処理を行う。
次に、上記各処理部の構成、機能について説明する。
顧客誘導表示/入力部2は、画面表示、キー入力検知機能をもっており、主にATMの顧客が取引を行う際、取引操作の誘導画面を表示したり、暗証番号など顧客の操作や指で押されたキー入力を受付ける部分である。顧客誘導表示/入力部2は、液晶表示器を利用したタッチパネルにより構成された操作兼表示部が望ましく、様々な情報を表示画面に表示し、この表示画面に含まれる複数の項目に応じた、顧客の押下を検知する。
紙幣処理部3と硬貨処理部4は、現金の入金や出金機能、現金の鑑別や搬送、収納機能を有する。
カード/明細書処理部5は、顧客のカードの挿入又は排出動作、磁気カードの場合には磁気ストライプへのリード又はライト動作、ICカードの場合にはICチップへのリード又はライト動作、及びカードエンボス部分のイメージの読取り機能などを有する。また取引した内容を印字部により明細書に印字し、装置から排出する。
通帳処理部6は、顧客の通帳の挿入/排出動作、磁気ストライプのリード/ライト動作、通帳への印字部による印字機能などを有する。
顧客検知センサ7は、ATM1の前に顧客が居ることを検知するセンサであり、検知範囲を設定し、設定された検知範囲に人物及び障害物が進入した場合にはそれらを検知し、制御部12に通知する。
カメラ8は、顧客の画像を取得する撮像手段であり、顧客の顔面や操作状況、さらには顧客周辺の背景などを撮像して、その撮像した画像を記憶部11に記憶し、更には上位のホストコンピュータに転送してホストコンピュータ内の記憶部(図示せず)に記憶する。
本体電源部9は、自動取引装置1の本体電源部であり、制御部12を含む各種処理部に直接或いは各処理部の副電源部(図示せず)に電源を供給している。送受信部10は、上位のホストコンピュータと接続され、顧客の取引情報、顧客の個人情報及び制御指示情報等をホストコンピュータとの間で送受信する。
記憶部11は、ATM1においては、出金額に対応する紙幣の金種や集積パターンのデータや、顧客の取引履歴や表示画面データ等を記憶する。
図3はカメラ8の外観図、図4及び図5はカメラの設置状態を示す図である。
顧客を撮像するカメラ8は、ATMの上部などに設置する形態(図4)及び、装置内部に取り付ける形態(図5)がある。ATMの上部に設置するカメラ8は、図3に示すように、カメラのレンズ部15を上下(A方向)、及び左右(B方向)に回転自在に調整出来る構成となっている。さらに、手動或いは自動的に撮像範囲を変更できる構成が望ましい。この構成では、顧客の人物検知にも利用でき、放出現金だけでなく、カード、通帳などを含む全ての取出口内の放出媒体を装置の上方から撮影することが出来る。
図5の例では、カメラ8は、ATM1の紙幣や硬貨の現金取出口の上方近傍に設置され、各々の取出口の上方から、放出された紙幣や硬貨の現金を撮像できる。なお、1つのカメラ8のレンズ部を回転可能に設置して、紙幣及び硬貨の取出口双方に残留した現金を撮像する構成としてもよい。
次に図4〜図7を用いて、顧客検知センサ7及び撮像カメラ8の機能について説明する。
図6及び図7は顧客検知センサ7及び撮像カメラ8における検知範囲を示す図である。
図6は、顧客検知センサ7及び撮像カメラ8を利用して、顧客の背丈を検知する。図6(a)は顧客の身長が比較的大きい場合を示し、図6(b)は、顧客の身長が比較的小さい場合を示している。図6(a)において、身長が大きい場合は、先ず顧客検知センサ7で顧客を検知した時に、顧客の頭部に当たる位置に撮像カメラ8を調整しながら撮像する。このタイミングにおいて、図6で図示したATM1と顧客との距離L1、及び撮像カメラ8の前方水平方向に対する傾斜角度θ1を測定し、顧客のおよその身長を測定する。
図6(b)の場合も同様にして、ATM1と顧客との距離L2及び撮像カメラ8の前方水平方向に対する傾斜角度θ2を測定する。上記2つのケースを比較した場合、例えば、L1≒L2である場合のθ1、θ2の値を比較した場合、θ1>θ2になっており、顧客の身長が低い方が顧客の身長が比較的高い場合と比べて、θの値が大きくなっている。このθの値に基づいて顧客のおよその身長を測定することが可能となる。その測定結果と、取出口の位置、深さ、高さ、方向などの諸条件に基づいて、取出口内部を隅々まで観ることが困難であると想定される高さを予め算出しておき、算出された高さと、上記顧客の身長を比べ、身長の方が高いと判断された場合は、通常通りに、所定時間経過後に、取出口内を撮像した画像を顧客誘導表示/入力部2に表示し、身長の方が低いと判断された場合に、媒体を放出した直後から上記画像を顧客誘導表示/入力部2に表示するように構成されている。この構成により、例えば、小人や車椅子を使用した身障者、老人など、身長が低い人が顧客誘導表示/入力部2の表示を見るだけで、残留媒体があるかどうかを確認することができ、顧客の操作性を向上し、かつ装置の稼働率を向上したATMを実現することができる。
上記した例は、撮像カメラ8と顧客検知センサ7を用いて、顧客の身長を判断した構成であったが、例えば、図7に示すように、顧客検知センサ7と同様に、装置の略前方の接近する人を検知する複数のセンサを異なる高さに設置し、上記センサで身長を測定することも可能である。上述したように、取出口の位置、深さ、高さ、方向などの諸条件に基づいて、取出口内部を隅々まで観ることが困難であると想定される高さを予め算出しておき、算出された高さより低い身長の顧客が判定できるように、装置内部に複数の検知センサ7を各々の高さに設置した構成である。
例えば、図7では、従来の検知センサ7bの他に、身長の高い顧客のみ検知する高さに別の検知センサ7aを設けることで、身長の高い人が接近した場合は検知センサ7a、7b共にON状態となる(図7(a))。一方、身長の低い人が接近した場合は検知センサ7bのみON状態となることで、顧客の身長の高低を判断し、上記の方法と同様に、その判断結果に基づいて取出口内の撮像画像の表示タイミングを変えることが可能となる。
なお、図7に示す例では、2つの検知センサを用いた構成で説明を行なったが、本発明はこの構成に限るものでなく、例えば、さらに多くのセンサを設けてもよい。また、単一のセンサで広角、広範囲を検知可能なセンサを設けてもよい。取出口内部を隅々まで観ることが困難であると想定される高さより、顧客の身長が高いか低いかを見分けることが出来るセンサの配置であれば、本発明の趣旨を満たすであろう。
次に、図8〜図11を参照して、ATMの取引処理動作について説明する。
図8は取引開始から各種取引処理移行するまでの取引処理フローを示す。図9は出金取引を一例とした取引処理フローを示す。図10は取引処理中に放出媒体が取り忘れた場合の取り忘れ処理フローを示す。また、図11は他の実施形態による取引処理フローを示す。
まず、図8を参照して、取引開始から各種取引処理移行するまでの取引処理動作について説明する。取引開始時は、顧客検知センサ7がON状態となっており、撮像カメラ8はOFF状態になっている。顧客がATM1の前方の略近傍に接近すると、顧客検知センサ7が顧客を検知する。これにより、制御部12は待機モードから復帰して、取引開始可能状態に移行する(S800)。
その時、顧客誘導表示/入力部2の表示部には、図12(a)の待機画面が表示される。顧客は、ATM1の顧客誘導表示/入力部2の表示部に表示された取引操作画面から、希望する取引種別を選択して、該当する取引種別ボタンを押下する。制御部12は、ある取引種別ボタンが押下されたことを確認すると、当該取引にカード13が必要である場合、顧客が所持するカードを挿入する旨の案内画面(図12(b))を表示部に表示する(S801)。
この案内に従って、顧客は挿入口よりカード13を挿入すると、そのカードが検知され、次に顧客の暗証番号の入力を指示する案内画面(図12(c))が表示部に表示される(S802)。この案内画面に従って、顧客は暗証番号を入力すると、制御部12は入力された暗証番号が正しいか否かをチェックする(S803)。その結果、入力された暗証番号が正しくなければ、次に入力回数が何回実施されたかを計算して(S804)、その回数が所定回以内であれば再度、暗証番号を入力させる処理フローに戻して、顧客に対して暗証番号の再入力をさせる案内画面を表示する(S805)。
上記回数チェックの結果、所定回以上であれば、制御部12は不正操作と判断して、カード13を顧客に返却して(S806)、本取引を強制終了させる(S807)。
一方、暗証番号の入力処理にて正しく入力された場合は、制御部12は、本人確認が正常に行なわれたと判断して、顧客の希望する取引処理(例えば「出金取引」)に移行する(S808)。本取引フローにおいて、取引開始時に、顧客センサ7、撮像カメラ8或いはその他の検知センサ7a、7bを使用して、顧客の身長を測定しておく動作が実施される場合も存在する。
次に、各種取引として、出金取引が選択された場合の処理について、図9及び図13−図14を用いて説明する。上記処理フローにて本人確認が実施された後、顧客の希望する取引内容に従った取引処理を開始する(S900)。
まず、顧客は、希望する取引に必要である情報を入力し、制御部12はその入力された情報に従って希望する媒体(ここではカード及び各種現金)を放出する処理に移行する。一般的には、カード13が挿入された取引の場合は、返却媒体としてカード13を最初に返却する(S901)。即ち、カード13をカード取出口まで搬送して、顧客がカード13の抜き取ることを監視する(S902)。カード13が抜き取られず、所定時間経過すると(S903、S904)、顧客にカード抜き取りを気づかせるために、制御部12はカード抜き取りのための案内画面(図13(a))を表示部に表示する(S905)。この案内画面は、撮像カメラ8によって撮影された、カード13がカード取出口から抜き取られずに、そこに残留した状態を示す画像である。顧客はこの画像を見て、カード13が抜き取られていないことを認識し、カードを抜き取ることができる。
一般的には、カードの抜き取りの案内画面としては、固定的なアニメ画像を表示する例もあるが、常に固定的なアニメ画像を表示する場合、顧客は常時見慣れた画像であることより、特に自己の動作に顧みて認識することを怠るため、取り忘れを認識されない場合が生じる。さらに、本発明は、撮像カメラ8で撮像した画像を制御部12で加工処理して、位置及び方向を顧客側が見た視点に合わせて表示部に表示する。そのため、カード取出口を実際に覗いているように体感させることができ、その画像の中に取り忘れた媒体が存在している場合、自己の取引に顧みて取り忘れていることを認識させることができる。制御部12は、上記撮像画像を表示部に表示した後、再度、カード13の抜き取りをチェックする(S906)。その結果、未だ、カードが抜き取られずに所定時間が経過した場合(S908、S909)、制御部12はその取り忘れたカード13を装置内部に回収し、取り忘れ処理へと移行する(S910)。
一方、カード13の抜き取りをチェックにおいて、カードが抜き取られたことを確認した場合、制御部12は顧客が選択した取引(出金取引)における各種媒体(即ち、現金)の放出処理へ移行する(S907、S911)。顧客が希望した金額の現金が取出口に放出されると、制御部12は、放出した媒体(現金)が全て抜き取られたどうかをチェックする(S912)。現金の抜き取りの検出は、取出口内部に設けられた透過センサの検知により、現金の残留がある場合はON状態、それが抜き取られた場合はOFF状態を検知することで、現金の抜き取りを容易に検出できる。制御部12は、全ての媒体が抜き取られたことを検知すると、当該取引処理を終了する(S913)。
一方、媒体の抜き取りチェックで、媒体の残留が確認された場合、所定時間を経過した後(S914、S915)、顧客に残留媒体の抜き取りを気づかせるために、残留媒体の抜き取り案内画面を表示部に表示する(S916)。その表示画面の例を、図13(c)、図14(d)、(e)に示す。この残留媒体抜き取り案内表示画面では、取引処理において放出する媒体の残留媒体の種類に応じて表示する画面を変えている。例えば、図13(c)は通帳、硬貨、紙幣が残留媒体として抜き取られていない場合の表示画面の例、図14(d)は硬貨と紙幣が抜き取られていない場合の表示画面の例、図13(e)は硬貨のみが抜き取られていない場合の表示画面を示している。これらの表示画面に表示される画像も、カード13の抜き取りの場合と同様に、撮像カメラ8によって、各種残留媒体取出口に媒体が残留している状態を撮像した画像である。これにより、顧客はこれらの撮像画像を見て、残留媒体が抜き取られていないことを認識し、残留媒体を抜き取ることを喚起される。この画像の場合も、制御部12は、撮像カメラ8で撮像した画像を加工処理し、位置及び方向を顧客側が見た視点に合わせて表示部に表示することができる。この抜取り案内画面を表示部に表示した後、制御部12は再度、残留媒体の抜き取りをチェックして(S917)、その媒体が抜き取られずに所定時間が経過した場合(S919、S917)その取り忘れた残留媒体を装置内部に回収して、取り忘れ処理へと移行する(S921)。
一方、カード13の抜き取りのチェックにおいて、それが抜き取られたことを確認した場合は、一連の取引処理が終了する(S918)。なお、残留媒体抜き取り案内画面の表示において、例えば、図14(f)のように、表示画面にスペースがある場合は、上記表示画面を時間経過に合わせてズームさせ、画像を拡大するように表示してもよい。これら案内画面の表示方法を工夫することで、さらに顧客に取り忘れを喚起させることができる。
次に、図10を用いて、取り忘れ処理について説明する。
媒体の取り忘れ処理において、残留媒体抜き取り案内画面を表示しても、顧客が残留媒体の取り忘れに気づかず、その取り忘れ媒体を装置が回収した場合(S1000)、制御部12はその取り忘れが装置稼動中或いは前回の精査時から初回であるかどうかをチェックする(S1001)。取り忘れが初回であれば、予め用意した取り忘れ媒体回収部に取り忘れ媒体を回収して収納する(S1002)。一方、取り忘れ回数が2回目以降であれば、既に取り忘れ媒体回収部に回収物が存在しており、回収物の混合を防ぐために、異常処理へと移行する(S1003)。異常処理の一例としては、特許文献1に開示されたような、取引が一旦停止することを避けるための技術がある。
顧客が取り忘れ現金をATM内部に収納する際に、その現金の金額、顧客の口座番号及び取扱時刻等、取り忘れ情報として記憶部11に記憶して、引き続き取引を実行可能とし、その顧客が取り忘れに気づいて返金を求めた時に、顧客にカードを挿入させ、暗証番号を入力させることで本人確認を行ない、取り忘れた補任であることを確認した上で、取り忘れ情報に基いて出金金庫から所定の金額を繰り出して返金するものである。このように、媒体の取り忘れが複数回発生する場合、ATMを引き続いて稼動させるためには、大幅な改造が必要となり、多大なコストを要するが、本実施例によれば、媒体の取り忘れを喚起して取り忘れを事前に防止するので、上記の事態に対する重要な対策となり得る。
次に、図11及び図13、図14を参照して、他の実施形態による取引処理について説明する。
この例は、図13、図14の代替例であり、取出口に放出された複数の媒体が、顧客によって順次抜き取られた場合、その抜き取られた媒体を順次、表示画面から消去していく例である。
図11において、取引の本人確認が実施された後(図8)、顧客の希望する取引内容に従った取引処理を開始する(S1100)。次に、顧客の希望する取引に必要である情報を入力させ、その入力された情報に従って希望する媒体を放出する処理に移行する。この例では、放出媒体として、カード13、通帳(図示省略)及び現金の各媒体をそれぞれ取出口まで搬送して(S1101)、制御部12は、顧客が各放出媒体を抜き取ったかを監視する(S1103)。この時に、上記取出口を撮影した画像を表示画面(図13(b))として表示部に表示する(S1102)。この表示画面は、放出された媒体及び各取出口(通帳、カード13、硬貨、紙幣の取出口)を撮影した画像を、それぞれ同時に表示した画面構成である。
次に、放出された媒体が顧客によって抜き取られず、所定時間が経過すると(S1104、S1105)、制御部12は、再度、放出媒体の抜き取りをチェックする(S1106)。その結果、全ての放出媒体が抜き取られた場合は(S1107)、この取引を終了する(S1112)。
一方、全ての媒体が抜き取られていない場合は、一部の媒体が抜き取られたかどうかをチェックする(S1108)。その結果、一部の媒体が抜き取られたことが検知された場合は、制御部12は、その抜き取られた媒体及び該取出口の撮像画像を表示部から順次消去していく(S1109)。対象の媒体が順次消去された状態の画面は、例えば、図13(c)、図14(d)、(e)のように移行する。
即ち、図13(c)は、カード13のみが抜き取られた場合にカード13の表示画像を消去した表示画面である。図14(d)は、次に通帳が抜き取られた場合に、更に通帳の表示画像を消去した表示画面である。図14(e)は、紙幣が抜き取られたことで、紙幣の表示画像を消去し、最後に硬貨のみが残留していることを表示した画面である。このように、抜き取られた媒体及び取出口の画像を順次消去していくことで、顧客は本撮像画像を見て残留媒体が抜き取られていないことを認識することができ、最後まで残留媒体を抜き取らせることを顧客に喚起させることができる。上記方法でカード13が抜き取られた場合、次に顧客が希望する現金を放出する処理に移行する(S911)。
さらに、所定時間が経過した後(S1110)、制御部12は、再度、放出媒体の抜き取りをチェックする処理に移行する(S1106)。所定時間が経過しても媒体の一部の取り忘れがある場合は、取り忘れ処理へと移行する(S1111)。
この表示画像においても、上記と同様に、制御部12は、撮像カメラ8で撮像した画像を加工処理し、位置及び方向を顧客側が見た視点に合わせて、表示部に表示する。さらに、図14(f)のように、表示画面にスペースがある場合は、上記表示画面を時間経過に合わせてズームさせ、画像を拡大する方法で複合させてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々変形して実施し得る。の他、上記実施形態で示した取引処理及び表示画面の例は様々な変形が考えられる。
また、本発明において、表示部に表示される画像は、静止画に限らず、動画でもよい。さらには音声によるガイダンスを伴う構成としてもよい。要するに、顧客に対して表示部に表示された画像が自己の取扱を撮像した画像であることを認識させ、取り忘れを意識させるものであればよい。また、本発明において、画像を表示する表示部は、好ましくは、上記実施形態のようにATMの操作案内表示部であることが望ましいが、これに限らず、別に設置した表示器でもよい。
さらに、上記実施形態では、自動取引装置としてATMを例として説明したが、これに限らず、例えば、顧客が希望する種別の現金に換金する両替機、更には金融取引以外の取引を行う情報端末や自動販売機、その他の自動取引装置等においても、本発明の構成を適用することが可能である。
本実施形態におけるATMの外観図。 本実施形態におけるATMの内部構成図。 本実施形態におけるATMに取り付けられた撮像カメラの外観図。 本実施形態のATMにおけるカメラの設置状態を示す図。 本実施形態のATMカメラの設置状態を示す図。 本実施形態における撮像カメラと検知センサを用いた人の検知状態を示す図。 本実施形態における複数の検知センサを用いた場合の人の検知状態を示す図。 本実施形態のATMの取引処理フロー図(その1)。 本実施形態のATMの取引処理フロー図(その2)。 本実施形態のATMにおける取り忘れ処理フロー図。 他の実施形態によるATMの取引処理フロー図。 本実施形態におけるATMの顧客案内画面を示す図。 本実施形態における媒体抜き取り表示画面を示す図(その1)。 本実施形態における媒体抜き取り表示画面を示す図(その2)。
1:ATM、2:顧客誘導表示/入力部、3:紙幣処理部、4:硬貨処理部、5:カード/明細書処理部、6:通帳処理部、7:顧客検知センサ、8:カメラ、9:本体電源部、10:送受信部、11:記憶部、12:制御部、13:カード、15:カメラレンズ。

Claims (3)

  1. 顧客の操作に基づいて取引を行なう自動取引装置において、
    該取引に必要な操作の案内を表示する表示部と、該取引において用いられる媒体の挿入又は放出を行なう媒体取出口と、該媒体取出口内に該媒体の残留を検知する残留検知手段と、該媒体取出口内を撮像する撮像手段と、該残留検知手段によって、該媒体取出口内に該媒体が残留していることを検知した場合、該撮像手段で該媒体取出口内を撮像した撮像画像を該表示部に表示制御する制御部と、を有し、
    更に、該自動取引装置を利用する顧客の身長を測定する身長測定手段を設け、
    前記制御部は、該身長測定手段で顧客の身長を測定した結果、該身長が所定値以上であると判断した場合、該残留検知手段によって該媒体取出口内に該媒体が残留していることを検知した後、該撮像手段で撮像した該撮像画像を所定時間経過した後に該表示部に表示し、
    該顧客の身長が該所定値に満たない場合、該残留検知手段によって該媒体取出口内に該媒体が残留していることを検知した後、該撮像手段で撮像した直後に該撮像画像を該表示部に表示するように制御することを特徴とする自動取引装置。
  2. 前記制御部は、該顧客から該媒体取出口内を観た視点に基づいた位置及び方向に合わせて、該撮像画像を該表示部に表示することを特徴とする請求項記載の自動取引装置。
  3. 前記自動取引装置は、現金を出金する機構を有する現金自動取引装置であり、
    前記媒体取出口は、現金の出金取引のために用いられる顧客のキャッシュカード、通帳、出金用として放出された現金のいずれかを保持することを特徴とする請求項1または2のいずれかの項記載の自動取引装置。
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