以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、駅構内における自動券売機1のレイアウトを示す概略斜視図である。一般的に、駅構内では、図1に示すように、正面上部に接客面として傾斜面を備えたボックス状の自動券売機1が、所定の間隔Lを隔てて複数台並設されている。なお、本発明の場合、図1に示すようなレイアウトに限らず、複数の自動券売機1が、間隔Lを隔てることなく隣接していてもよい。また、複数台毎に前記間隔Lを隔てて並設されるようなレイアウトであってもよい。
また、本実施形態では、図1に示すように、複数台の自動券売機1、1、…同士を、LANケーブル2でシリアル接続している。なお、図1では、LANケーブル2を用いた有線の通信システムを採用しているが、無線LANシステムを採用してもよい。
図2は、自動券売機1の外観を示す斜視図である。自動券売機1には、図2に示すように、表示及び入力を行うタッチモニタ11が備えられている。このタッチモニタ11は、画像表示を行うモニタの表面に透明のタッチパネルが重ねて設けられたものである。
このタッチモニタ11の左側には、大人か子供か、普通券か往復券かといった選択をさせるファンクションボタン12が複数個並設されている。
タッチモニタ11下側には、硬貨を投入させる硬貨投入口13、クレジットカードやキャッシュカード等の磁気カードCの投入を許容し、かつ所定の操作後該磁気カードCを排出するカード投入/排出口14、商品として販売する券媒体を排出する券排出口15、紙幣を投入させる紙幣投入口16、及び紙幣を排出する紙幣排出口17が備えられている。また、紙幣排出口17の右側方には、硬貨を排出する硬貨排出口18が備えられている。
以上の構成により、利用者は、硬貨投入口13や紙幣投入口16から貨幣を投入し、主にタッチモニタ11で購入する券媒体の金額ボタンを押下(タッチ)して、乗車券、回数券、または定期乗車券などの券媒体を購入できる。
また、利用者は、カード投入/排出口14に磁気カードCを投入し、後述するように、タッチモニタ11に表示される操作情報に従って所定のタッチ操作を行うことで、硬貨投入口13や紙幣投入口16から貨幣を投入することが不要な、いわゆる電子決済によって前記券媒体を購入することもできる。
また、本実施形態に係る自動券売機1では、タッチモニタ11の左右両側において、正面側に突出した板状のカバー体19、19が配設されている。
また、自動券売機1は、モニタ11の上側に、接客処理中の利用者の正面及びその周辺を撮影するための接客カメラ20が配設されている。
また、券排出口15の左側の側壁部には、紙幣排出口17及び硬貨排出口18を撮影するための手元カメラ21が配設されている。
図3は、自動券売機1の構成を示すブロック図である。自動券売機1は、制御部30が設けられ、この制御部30には、上述した接客カメラ20、手元カメラ21の他、硬貨処理部41、紙幣処理部42、表示部43、カード処理部44、発券処理部45、操作入力部46、記憶部47、LAN通信部48が接続されている。
硬貨処理部41は、計数部41aと釣銭払出部41bとが設けられている。この硬貨処理部41は、硬貨投入口13(図2参照)から投入された硬貨の枚数や、釣銭等として硬貨排出口18(図2参照)に払い出す硬貨の枚数を計数部41aで金種毎に計数する。また硬貨処理部41は、図示省略する釣銭貯蔵部に貯蔵されている釣銭を釣銭払出部41bで硬貨排出口18(図2参照)に払い出す。またこの硬貨処理部41は、投入された硬貨を金種判別したのち、各金種の釣銭貯蔵部に振り分けて貯蔵する釣銭貯蔵処理も実行する。
紙幣処理部42は、計数部42aと釣銭払出部42bとが設けられている。この紙幣処理部42は、紙幣投入口16(図2参照)から投入された紙幣の枚数や、釣銭等として紙幣排出口17(図2参照)に払い出す紙幣の枚数を計数部42aで金種毎に計数する。また紙幣処理部42は、図示省略する釣銭貯蔵部に貯蔵されている釣銭を釣銭払出部42bで紙幣排出口17(図2参照)に払い出す。またこの紙幣処理部42は、投入された紙幣を金種判別したのち、各金種の釣銭貯蔵部に振り分けて貯蔵する釣銭貯蔵処理も実行する。
表示部43は、タッチモニタ11(図2参照)に券媒体を購入許容する普通券販売画面を表示する。また、磁気カードCのカード投入/排出口14への投入時において、表示部43は、タッチモニタ11に暗証番号入力操作等の所定の入力操作に関連する操作情報を表示する。
カード処理部44は、カード読取り部44aが設けられており、磁気カードCで構成されるキャッシュカードまたはクレジットカードに対して情報の読取りを行う。これにより、磁気カードCに記憶されているカード所有者に関連する情報の特定を行う。
発券処理部45は、ロール紙から適当な長さを引き出して切断した券紙に金額などの印字及び磁気書き込みを行って券媒体として利用可能な状態にし、この券媒体を発行する。
操作入力部46は、図2に示したタッチモニタ11やファンクションボタン12等による利用者の操作入力を受け付ける。
また、記憶部47は、各種のプログラムや情報(データ)を記憶しており、例えば、タッチモニタ11に表示する情報表示パターンを複数記憶している。
また、LAN通信部48は、図1に示すLANケーブル2を介して、他の自動券売機1(機台)との間で後述する盗み見通知信号の入出力を行う。
以上の構成により、貨幣投入の受け付け、券媒体の販売、釣銭の払い出し、磁気カードCを用いた電子決済による券媒体の販売を実行することができる。
次に、タッチモニタ11(図2参照)に表示する接客画面について説明する。図4は、接客画面としての個人認証画面50をタッチモニタ11上に表示した状態の画面イメージ図である。
自動券売機1では、カード投入/排出口14(図2参照)に磁気カードC(図2、図3参照)が投入されると、磁気カードCがカード読取り部44a(図3参照)にて検知される。この時、カード処理部44(図3参照)は、磁気カードCの検知信号を制御部30(図3参照)に送信し、制御部30は、前記検知信号に基づいて、記憶部47から適切な情報表示パターンを読み出す。そして、表示部43に対し、図4に示すような個人認証画面50をタッチモニタ11に表示させる制御を実行する。
ここで、磁気カードCは、券媒体を購入する利用者の本人確認手段として用いられる。そして、自動券売機1を操作している利用者が、この磁気カードCの所有者本人であるか否かの確認、すなわち個人認証は、投入された磁気カードCからカード読取り部44aが読取った情報と、個人認証画面50上での入力操作により利用者が入力した暗証番号(パスワード)によって行われる。
この時、制御部30は、入力された番号と予め設定された暗証番号との照合を実行する。そして、前記入力された暗証番号が正しい時には、表示部43を制御し、タッチモニタ11の表示を、購入を希望する券媒体の券種を選択させる販売画面に切り替える。
個人認証画面50では、利用者の個人認証操作に関連する各種操作情報を表示している。具体的には、画面上部にメッセージ表示部51、該メッセージ表示部51の画面下部中央にテンキー表示部52、画面左側に暗証番号入力バー53、画面右側下部に訂正ボタン54及び取消ボタン55を表示している。
個人認証画面50では、メッセージ表示部51において、図示のように、「暗証番号を入力して下さい。」とのメッセージが表示され、利用者に対して暗証番号の入力を指示する。
利用者は、テンキー表示部52に表示される数字を、予め設定した暗証番号に従って順番にタッチすることにより、入力操作を行う。この時、暗証番号入力バー53では、利用者が入力した暗証番号の桁数を「●」の数で表示する。
また、利用者が、数字の入力を誤った場合には、訂正ボタン54をタッチすることにより、入力結果の訂正が許容されるようになっている。また、取消ボタン55をタッチすることにより、個人認証画面50の表示が停止され、入力操作を取り止めることができるようになっている。
図5は、利用者U3が個人認証画面50で入力操作中に、他人ST21、ST31、ST41が盗み見をしている状態を模式的に示す平面図である。なお、図5では、利用者U3から見て左端の自動券売機1を1号機と定義し、その他の機台を、右側に向かうにつれて順番に2号機、3号機、…と定義している。
図5では、3号機において、最前列に位置する利用者U3が、個人認証画面50で入力操作を行っている状態を示している。図5では、利用者U3の直ぐ後方で順番待ちをしている他人ST31が、その後方の他人ST32とは異なり、利用者U3の入力操作を盗み見すべく、必要以上に利用者U3に接近し、且つ列から横方向にずれて並んでいる。
ここで、自動券売機1(3号機)に配設された接客カメラ20は、接客処理中の利用者U3を正面から撮影するものであり、本来であれば、図中二点鎖線で示す撮影範囲X320内にて最前列に位置する利用者U3の顔のみが撮影されるはずである。ところが、図5の場合には、上述したように、他人ST31が、利用者U3に接近し、かつ横方向にずれて並んでいるために、接客カメラ20では、利用者U3の顔と並列に他人ST31の顔も撮影されることになる。
この時、3号機の制御部30(図3参照)は、自身が設けられている自機台(3号機)の接客カメラ20の撮影画像を分析し、該撮影画像内における顔及びその向きを検知するようになっている。この制御部30による撮影画像の分析方法としては、例えば、特開2001−101429号公報に開示されている技術が挙げられる。
具体的には、制御部30が、前記撮影画像の三次元データから、個人差の少ない両目の虹彩の輪郭線に相当する部位、及び顔の他の部位に比べ安定して検出される口部の代表的な特徴点を検知する。そして、これら虹彩及び口部の検知位置に基づいて、顔面及び顔の向きを検知する。
図5の場合、3号機の制御部30は、接客カメラ20の撮影画像を分析することにより、利用者U3の他に、他人ST31の虹彩及び口部を検知し、この検知結果に基づいて、利用者U3の顔以外の他人ST31の顔を検知する。これにより、制御部30は、自機台を利用している利用者U3の入力操作を他人ST31が覗き込んで、盗み見をしていると判定する。
この時、制御部30は、表示部43(図3参照)を制御し、図4に示すような通常時の表示とは異なる表示(図6参照)をさせる盗み見防止表示モードに切り替える。この盗み見防止表示モードでは、制御部30が、予め記憶部47に記憶した情報表示パターンの中から、盗み見判定時に利用者U3に対して表示すべき表示内容を含むものを読み出して、タッチモニタ11に表示させる。
例えば、記憶部47には、通常時における個人認証画面50の表示パターン(図4参照)の他、盗み見防止表示モードに対応すべく、図6(a)に示すような表示パターンを記憶している。
盗み見防止表示モードでは、図6(a)に示すように、個人認証画面50のメッセージ表示部51に、「盗み見発生中!入力操作を中断して下さい。」とのメッセージ内容を表示させる。この場合、利用者U3に対して、自身の入力操作が盗み見されていることを通知し、警戒を促すことができるため、結果として盗み見を確実に防止することができる。
なお、盗み見防止表示モードにおける個人認証画面50の表示パターンとしては、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、図6(b)に示すように、テンキー表示部52を通常時よりも小さく表示したり、図6(c)に示すように、テンキー表示部52の輝度が通常時よりも低くなるように表示したりしてもよい(図では、輝度が低い状態を破線により表現している。)。このような、テンキー表示部52の表示状態の変更により、他人ST31は盗み見が困難となり、その結果盗み見を確実に防止することができる。
また、盗み見防止表示モードにてテンキー表示部52の表示状態を変更する場合、例えば、他人ST31による盗み見をより確実に防止するために、テンキー表示部52の表示を停止し、利用者U3による入力操作を強制的に中断するようにしてもよい。
ところで、本実施形態のように、自動券売機1を駅構内において複数台並設している場合、これらが間隔無く隣接している場合や、たとえ機台間に所定の間隔Lを形成したとしても、その間隔Lが狭い場合、左右に隣接する他の機台に並ぶ他人によって、利用者の操作が盗み見をされる可能性がある。そこで、本実施形態では、自動券売機1においてタッチモニタ11の両側にカバー19、19を設け、視界を遮るような構成となっている。しかしながら、このカバー19のみでは、個人認証画面50を完全に覆い隠すのに十分であるとは必ずしも言い難い。
図5では、利用者U3が入力操作を行っている状態で、3号機に隣接する2号機の最前列に並ぶ他人ST21が、前記入力操作を盗み見している状態を示している。他人ST21は、利用者U3の入力操作を盗み見すべく、顔を右側に向けている。
ここで、他人ST21が並んでいる自動券売機1(2号機)に配設された接客カメラ20では、図5にて二点鎖線で示す撮影範囲X220内に他人ST21が位置することにより、図7に示すように、他人ST21が撮影される。この場合、他人ST21は、右側の3号機側を覗き込んでいることにより、撮影画像には、左目の虹彩ELと、口部Mの略半分しか映し出されていない。
そこで、2号機の制御部30は、自機台の接客カメラ20の撮影画像を分析することにより、他人ST21の虹彩LE及び口部Mの検知位置に基づき、他人ST21の顔の向きが3号機側であると判定する。そして、2号機の制御部30は、他人ST21の顔の向きの判定結果に基づき、この他人ST21が3号機の利用者U3の入力操作を盗み見していると判定する。
この時、2号機の制御部30は、盗み見関連情報としての盗み見通知信号を生成し、通信部48(図3参照)から、LANケーブル2を介して、この盗み見通知信号を3号機に出力させる。
ここで、この盗み見関連情報は、盗み見発生の事実に関連する情報と、盗み見判定を行った制御部30が設けられている機台の位置情報(例えば機台番号情報)とから構成される。
ところで、近年、紙幣排出口17(図2参照)から釣銭として複数枚の紙幣が排出される時、利用者が一部の紙幣のみを予め抜き取り、その後、駅員に対して釣銭が不足しているとの虚偽の申告をすることにより、利用者自らが抜き取った金額分を詐取するいわゆる釣銭詐欺が問題となっている。また、前の利用者の取り忘れにより、紙幣排出口17や硬貨排出口18(図2参照)から排出されたまま残っている釣銭を、後から来た者が窃取する窃盗被害も問題となっている。
そこで、本実施形態では、手元カメラ21(図2参照)が、紙幣排出口17及び硬貨排出口18を撮影することにより、上述した釣銭詐欺や窃盗を検知することを可能にしている。
そして、この手元カメラ21は、その撮影範囲が、紙幣排出口17及び硬貨排出口18のみならず、その周辺にも及んでおり、これにより、隣接する右側の機台に並ぶ最前列の利用者を撮影することを可能にしている。
例えば、2号機の左側の自動券売機1(1号機)に配設された手元カメラ21では、その撮影範囲が、図5にて二点鎖線で示す範囲X121となっており、右側の2号機の最前列に並ぶ他人ST21の位置まで及ぶようになっている。
従って、図5の場合、1号機の手元カメラ21では、図5にて二点鎖線で示す撮影範囲X121内に他人ST21が入ることにより、図8に示すように、紙幣排出口17や硬貨排出口18と併せて、他人ST21が撮影される。この場合、他人ST21は、右側の3号機側を覗き込んでいることにより、撮影画像には、虹彩が殆ど映し出されることはなく、かつ口部Mについては、その左端部分しか映し出されていない。
そこで、1号機の制御部30は、自機台(1号機)の手元カメラ21の撮影画像を分析することにより、他人ST21の虹彩(ここでは虹彩が検知されていない。)及び口部Mの検知位置に基づき、他人ST21の顔の向きが3号機側であると判定する。
そして、1号機の制御部30は、他人ST21の顔の向きの判定結果に基づき、この他人ST21が、3号機の利用者U3の入力操作を盗み見していると判定する。
この時、1号機の制御部30は、盗み見通知信号を生成し、この盗み見通知信号を、通信部48からLANケーブル2を介して3号機に出力させる。
このように、1、2号機から盗み見通知信号が出力されると、3号機では、自身のLAN通信部48にて前記各盗み見通知信号が入力される。そして、3号機の制御部30は、この盗み見通知信号に基づき、表示部43を制御し、上述した盗み見防止表示モードに切り替える。この時、盗み見防止表示モードでは、個人認証画面50のテンキー表示部52の表示状態を変更する。
具体的には、盗み見通知信号内の機台番号情報に基づき、図9に示すように、個人認証画面50のテンキー表示部52の表示位置を、他人ST21が位置する左(2号機)側と反対側、すなわち他人ST21から遠い右(4号機)側の下部に移動させる。これにより、他人ST21が盗み見をしようとしても、利用者U3の存在によって視界を完全に遮ることができる。従って、他人ST21は、盗み見が困難となり、結果的に他人ST21による盗み見を防止することができる。なお、この時、テンキー表示部52の表示位置を確保するために、元々右側下部に位置する訂正ボタン54及び取消ボタン55の位置は、右側上部に切り替わっている。
ところで、図5では、利用者U3が入力操作を行っている状態で、3号機に隣接する4号機の最前列に並ぶ他人ST41が、前記入力操作を盗み見している状態を示している。他人ST41は、利用者U3の入力操作を盗み見すべく、顔を左側に向けている。
ここで、3号機に配設された手元カメラ21では、その撮影範囲が、図5にて二点鎖線で示す範囲X321となっており、右側の4号機の最前列に並ぶ他人ST41の位置まで及ぶようになっている。従って、図10に示すように、紙幣排出口17及び硬貨排出口18と併せて他人ST41が撮影される。
この場合、他人ST4は、左側の3号機側を覗き込んでいることにより、撮影画像には、両目の虹彩EL、ER、及び口部Mの全範囲が映し出されることになる。
そこで、3号機の制御部30は、自機台(3号機)の手元カメラ21の撮影画像を分析することにより、他人ST41の虹彩EL、ER及び口部Mの検知位置に基づき、他人ST41の顔の向きが3号機側であると判定する。
そして、3号機の制御部30は、他人ST41の顔の向きの判定結果に基づき、この他人ST41が、3号機の利用者U3の入力操作を盗み見していると判定する。
また、他人ST41が並んでいる自動券売機1(4号機)に配設された接客カメラ20では、図5にて二点鎖線で示す撮影範囲X420内に他人ST41が位置することにより、図11に示すように、他人ST41が撮影される。この場合、他人ST41は、左側の3号機側を覗き込んでいることにより、撮影画像には、右目の虹彩ERと、口部Mの略半分しか映し出されていない。
そこで、4号機の制御部30は、自機台(4号機)の接客カメラ20の撮影画像を分析することにより、他人ST41の虹彩RE及び口部Mの検知位置に基づき、他人ST41の顔の向きが3号機側であると判定する。そして、4号機の制御部30は、他人ST41の顔の向きの判定結果に基づき、この他人ST41が、3号機の利用者U3の入力操作を盗み見していると判定する。
この時、4号機の制御部30は、盗み見通知信号を生成し、この盗み見通知信号を、通信部48からLANケーブル2を介して3号機に出力させる。
このように、4号機から盗み見通知信号が出力されると、3号機では、自身のLAN通信部48にて前記盗み見通知信号が入力される。そして、3号機の制御部30は、自身の盗み見判定結果や、前記盗み見通知信号に基づき、表示部43を制御し、上述した盗み見防止表示モードに切り替える。この時、盗み見防止表示モードでは、個人認証画面50のテンキー表示部52の表示状態を変更する。
具体的には、3号機の手元カメラ21の撮影画像や、前記盗み見通知信号内の機台番号情報に基づき、図12に示すように、テンキー表示部52の表示位置を、他人ST41が位置する右(4号機)側と反対側、すなわち他人ST41から遠い左(2号機)側の下部に移動させる。これにより、他人ST41が盗み見をしようとしても、利用者U3の存在によって視界を完全に遮ることができる。従って、他人ST41は、盗み見が困難となり、結果的に他人ST41による盗み見を防止することができる。
このように、記憶部47には、盗み見している他人の位置に応じた表示パターンを記憶しており、制御部30は、盗み見防止表示モードを実行するにあたり、盗み見関連情報内の機台番号情報等に基づいて、適切な表示パターンを記憶部47から読み出し、タッチモニタ11に表示させる。
但し、前記盗み見防止表示モードにおいて、隣接する他の機台の最前列に並ぶ他人ST21、ST41が盗み見をしている場合であっても、上述したように、テンキー表示部52を移動させることに必ずしも限定されることはない。例えば、他人ST31の場合と同様、図6(a)〜(c)に示すような表示状態に変更してもよいし、テンキー表示部52の表示を停止し、利用者U3による入力操作を強制的に中断するようにしてもよい。この場合、前記盗み見関連情報は、盗み見発生の事実に関連する情報のみで構成することができる。
また、本実施形態では、3号機を主体にして考えた場合、3号機の接客カメラ20、手元カメラ21により、他の2、4、5号機での入力操作に対する盗み見を判定し、盗み見の対象機台に対して盗み見通知信号を出力することもできる。
例えば、図13(a)に示すように、3号機の最前列に並ぶ他人ST31′が、2号機の利用者U2の入力操作を盗み見している場合、他人ST31′は、図示のように顔を左側に向けている。このため、他人ST31′を3号機の接客カメラ20で撮影した場合には、図11に対応する撮影画像を得ることができる。従って、この顔の向きを3号機の制御部30で判定することにより、2号機の利用者U2の入力操作に対する盗み見を判定することができ、2号機に盗み見通知信号を出力することができる。
また、図13(b)に示すように、3号機の最前列に並ぶ他人ST31″が、4号機の利用者U4の入力操作を盗み見している場合、他人ST31″は、図示のように顔を右側に向けている。このため、他人ST31″を3号機の接客カメラ20で撮影した場合には、図7に対応する撮影画像を得ることができる。従って、この顔の向きを3号機の制御部30で判定することにより、利用者U4の入力操作に対する盗み見を判定することができ、4号機に盗み見通知信号を出力することができる。
また、図14に示すように、4号機の最前列に並ぶ他人ST41′が、5号機の利用者U5の入力操作を盗み見している場合、他人ST41′は、図示のように顔を右側に向けている。このため、他人ST41′を3号機の手元カメラ21で撮影した場合には、図8に対応する撮影画像を得ることができる。従って、この顔の向きを3号機の制御部30で判定することにより、5号機の利用者U5の入力操作に対する盗み見を判定することができ、5号機に盗み見通知信号を出力することができる。
次に、図15に示すフローチャートとともに、他の機台での盗み見の発生を判定する自動券売機1の動作について説明する。
制御部30は、図15に示すフローチャートの動作を常時実行しており、制御部30は、接客カメラ20、手元カメラ21を制御し、機台周辺を常時撮影させている(ステップS1)。そして、ステップS1で撮影した撮影画像を分析する画像分析サブルーチンを実行する(ステップS2)。この画像分析サブルーチンでは、上述したように、虹彩及び口部の検知により、撮影画像内の顔を検知するともに、前記虹彩及び口部の検知位置に基づいて顔の向きを判定する。
そして、制御部30は、ステップS2で判定した他人の顔の向きに基づき、自身が設けられている自機台での盗み見、及び該自機台とは異なる他の機台での盗み見を判定する。ここで、ステップS3では、制御部30が、ステップS2で判定した他人の顔の向きに基づき、他の機台で盗み見が発生しているか否かを判定する。
ここで、顔の向きの判定結果に基づき、他の機台での盗み見を判定しなかった場合(ステップS3:NO)、制御部30は、処理をリターンする一方、他の機台での盗み見を検知した場合には(ステップS3:YES)、ステップS2での顔の向きの判定結果に基づき、盗み見の対象となっている機台を判定する(ステップS4)。
この時、制御部30は、ステップS5に移行し、少なくとも盗み見発生の事実に関連する情報を含む盗み見通知信号を生成する。そして、ステップS5では、ステップS4で盗み見の対象と判定した機台を選択して、通信部48から、LANケーブル2を介して前記盗み見通知信号を出力させ、処理をリターンする。
次に、図16に示すフローチャートとともに、暗証番号入力操作用のテンキー表示部52を表示する自動券売機1の動作について説明する。
利用者により、磁気カードC(図2参照)がカード投入/排出口14(図2参照)に投入されると、制御部30は、表示部43(図3参照)を制御し、タッチモニタ11に対し、テンキー表示部52等を含む個人認証画面50の表示を開始させる(ステップS101)。
そして、制御部30は、図15に示すフローチャートのステップS2の画像分析サブルーチンで判定した他人の顔の向きに基づき、自機台の利用者の後方で順番待ちをしている他人や、右側に隣接している機台に並ぶ他人により盗み見が行われているか否かを判定する(ステップS102)。ここで、制御部30は、自機台での盗み見を判定しなかった場合(ステップS102:NO)、ステップS103に移行し、LAN通信部48において、他の機台から盗み見通知信号が入力されているか否かを判定する(ステップS103)。
ここで、盗み見通知信号が入力されていなければ(ステップS103:NO)、制御部30は、個人認証画面50の表示を、図4に示すような通常の表示パターンのままにして(ステップS104)、一連の処理を終了させる。
一方、ステップS102において、制御部30が、自機台での盗み見を判定するか(ステップS102:YES)、またはLAN通信部48に盗み見通知信号が入力された場合(ステップS103:YES)、制御部30は、上述した盗み見防止表示モードを実行し(ステップS105)、一連の処理を終了させる。
この盗み見防止表示モードでは、図6(b)、図6(c)、図9、図12に示すように、個人認証表示画面50内のテンキー表示部52の表示位置、大きさ、輝度を変更したり、図6(c)に示すように、個人認証表示画面50の各種表示内容を変更したりする。
このように、本実施形態では、制御部30が、図15のステップS3〜S5において、他の機台における盗み見を判定可能とし、盗み見関連情報としての盗み見通知信号を出力するようにしている。これにより、隣接する他の機台に並ぶ他人を撮影するためのカメラを1つの機台に余計に設けることなく、より広範囲で盗み見の発生を判定することができる。従って、カメラの設置コスト低減や、カメラの設置領域の増大抑制を図ることができる。
そして、盗み見通知信号をLAN通信部48から出力する構成としたことにより、盗み見をされている対象機台は、前記盗み見通知信号に基づき盗み見防止のための適切な対策を講じることができる。その結果、利用者以外の他人による盗み見を確実に防止することが可能になる。
なお、上述した盗み見通知信号を出力する際には、先ず盗み見発生の事実に関連する情報と、盗み見の判定を行った制御部30が設けられた機台の位置情報とを含む盗み見通知信号を生成し、そして、該盗み見通知信号と、盗み見判定時の撮影画像データとを、盗み見関連情報として全ての機台に対し出力することも考えられる。この場合、前記盗み見関連情報に基づき、各機台の制御部30は、自機台での盗み見か否かを判定することが可能になる。
しかしながら、この場合、盗み見関連情報のデータ量が増大することになり、その結果、LAN通信部48及びLANケーブル2での通信が円滑に行えなくなる虞がある。
そこで、本実施形態では、図15のステップS4、S5において、盗み見を判定した制御部30が、撮影画像内の顔の向きに基づいて盗み見対象機台を判定し、該判定結果により前記盗み見対象機台を選択して盗み見通知信号を出力している。
これにより、盗み見関連情報として出力する情報は、盗み見発生の事実に関連する情報のみで構成することが可能になる。この場合、LAN通信部48やLANケーブル2を用いて通信される盗み見関連情報は、画像データを含まないため、前記盗み見関連情報のデータ量を軽減することができ、前記盗み見対象機台に対し、より素早く盗み見発生の事実を通知することができる。
また、図16のステップS102において、制御部30が設けられている自機台の接客カメラ20や手元カメラ21の撮影画像から、前記自機台における盗み見を判定できるようにしたことで、自機台で盗み見が発生した時には、盗み見発生の事実をより素早く把握することができる。
また、ステップS105において、制御部30が、記憶部47から適切な表示パターンを読み出して、盗み見判定時に対応する盗み見防止表示モードを実行することにより、利用者に対して盗み見発生の事実を通知したり、テンキー表示部52の出力状態を、盗み見が困難になるようなものに変更したりすることができ、その結果盗み見状態を確実に防止することができる。
ところで、上述した実施形態では、暗証番号を入力するテンキーを、タッチモニタ11上に表示されるテンキー表示部52により構成した場合について説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図17に示すように、テンキー160を機台の接客面に備えた自動券売機100に本発明を適用してもよい。なお、図1〜図16に示す最初の実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
自動券売機100では、図17に示すように、タッチモニタ11の直ぐ下側の略中央部に凹部101が形成され、該凹部101には、押しボタン式のテンキー160が配設されている。
また、自動券売機100では、図18に示すように、制御部130に、表示部43に対応する表示部143、操作入力部46に対応する操作入力部146、及び記憶部に対応する記憶部147が接続されている。このうち、操作入力部146は、図16に示したファンクションボタン12、タッチモニタ11の他、テンキー160による利用者の操作入力を受け付けるようになっている。
自動券売機100では、制御部130が盗み見を判定した時、該制御部130は、記憶部147から適切な表示パターンを読み出すとともに、表示部143を制御して、タッチモニタ11における表示を盗み見防止表示モードに切り替えるようになっている。
具体的には、図19に示すように、タッチモニタ11の表示画面150に、「盗み見発生中!入力操作を中断して下さい。」とのメッセージ内容を表示させる。この場合、テンキー160が、タッチモニタ11の直ぐ下側に位置していることで、テンキー160を操作している利用者の視界には、前記メッセージ内容が入る。このため、自身の入力操作が盗み見されていることを前記利用者に対して確実に通知し、警戒を促すことができる。
なお、本発明では、盗み見発生に関するメッセージ内容をタッチモニタ11にて表示させることに必ずしも限定されない。例えば、図17、図18に示すように、スピーカ161及び報知部162を備え、音声案内出力による報知をスピーカ161により行わせるようにしてもよい。
また、上述した各実施形態では、盗み見の対象が暗証番号である場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、磁気カードCの所有者の個人情報であってもよく、磁気カードCの所有者の住所、氏名、生年月日、電話番号等であってもよい。
また、本発明は、駅構内に設置される自動券売機1に適用することに必ずしも限定されない。例えば、金融機関等に設置されている自動取引装置(ATM)等、自動取引用の機台において、個人を特定するための各種情報を入力操作することが要求されるものであれば、本発明を適用することができる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、撮影手段は、接客カメラ20、手元カメラ21に対応し、
以下同様に、
盗み見判定手段は、ステップS3〜S5、S102を実行する制御部30に対応し、
自動取引装置は、自動券売機1、100に対応し、
通信手段は、LAN通信部48に対応し、
他機台盗み見判定部は、ステップS3を実行する制御部30に対応し、
対象機台判定部は、ステップS4を実行する制御部30に対応し、
自機台盗み見判定部は、S102を実行する制御部30に対応し、
操作情報出力手段は、タッチモニタ11、スピーカ161に対応し、
出力制御手段は、ステップS105を実行する制御部30に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。