JP5954257B2 - 車両用ウインド材 - Google Patents

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本発明は、透明積層体に関する。具体的には、割れや剥離が生じにくく耐傷付性に優れた透明保護膜を備えた透明積層体、及びかかる透明積層体の製造方法に関する。
燃費改善を目的として、車両の軽量化が求められている。そこで従来より、ガラスよりも比重の小さい樹脂を基材とする車両用ウインド材の開発が試みられてきた。しかし、かかる樹脂製ウインド材の場合、樹脂は耐傷付性が悪いため、ウインド材の透明性を充分確保できないという問題があった。
かかる問題を解決するために、例えば特許文献1には、ガラスの表面に接着層を介してフィルム積層体が貼着された透明構造体が開示されている。該フィルム積層体は、光硬化性を有するかご型シルセスキオキサン樹脂を含有した層と、該層上の透明プラスチックフィルム層とからなる。
また、例えば特許文献2には、樹脂基材と、該樹脂基材上にかご型シルセスキオキサン樹脂を含む保護膜とを備えた透明有機ガラスが開示されている。
これらの技術によれば、かご型シルセスキオキサンを、透明樹脂基材を保護する透明保護膜に適用することにより、樹脂製ウインド材の透明性の維持効果が期待できる。
特開2010−125719 特開2009−29881
ところで、基材と保護膜とを備えた車両用ウインド材には、実使用環境での使用中に想定される衝撃や荷重に対する耐荷重性が要求される。この要求を満たすためには、ウインド材の基材の厚さと弾性率を考慮する必要がある。また、保護膜の割れや剥離を防止しつつ耐傷付性を向上させるためには、保護膜自体の厚さを大きくし、さらに基材の耐熱性等も考慮する必要がある。ただし、保護膜の厚さが大きすぎると、ウインド材の製造時の体積収縮による保護膜の割れや剥離、傷付きにつながる。したがって、かご型シルセスキオキサンを保護膜に適用する場合、これらを考慮しながら、その含有割合や保護膜の厚さ等を設定する必要がある。
しかしながら、特許文献1,2では、車両用ウインド材の耐荷重性を考慮した基材の弾性率や厚さの検討が行われておらず、また、保護膜の割れや剥離、傷付き等を生じにくくするための基材の耐熱性や、保護膜の厚さ、組成等についての検討が充分になされていない。
そこで、本発明は、車両用ウインド材として要求される耐荷重性が達成され、割れや剥離が生じにくく耐傷付性に優れた透明保護膜を備えた透明積層体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、透明樹脂基材と、該透明樹脂基材の少なくとも一方の面上に設けられた透明保護膜とを備えた車両用ウインド材であって、前記透明樹脂基材は、70℃以上の耐熱性、1mm以上の略均一な厚さ、及び室温下で1GPa以上の弾性率を有し、前記透明保護膜は、アクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサン樹脂が15重量%以上50重量%以下、重合性不飽和化合物が50重量%以上75重量%以下含まれるシリコーン樹脂組成物を含み、前記透明保護膜は、10μm以上80μm以下の厚さを有することを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記透明樹脂基材は、室温下で10kgf/mm以上のビッカース硬度を有し、かつ、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を主成分とすることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記透明保護膜は、前記シリコーン樹脂組成物が、かご型シルセスキオキサン樹脂以外の材料を含む場合に、はしご型シルセスキオキサン樹脂及びランダム型シルセスキオキサン樹脂の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に係る発明において、前記透明保護膜は、紫外線吸収剤を含むことを特徴とする。
以上の構成により、本願各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
まず、本願の請求項1に係る発明によれば、透明樹脂基材の厚さ、弾性率を前記範囲とすることで、車両用ウインド材として要求される耐荷重性が達成される。また、透明樹脂基材の耐熱性、透明保護膜の厚さ及びシリコーン樹脂組成物中のかご型シルセスキオキサン樹脂の割合を前記範囲とすることで、割れや剥離が生じにくく耐傷付性に優れた透明保護膜を備えた透明積層体が実現される。
ここで、透明樹脂基材の耐熱性が向上すると、該基材の変形等が抑制され、透明保護膜の指示面が安定することにより、該保護膜の割れや剥離、傷付きが抑制されることになる。
また、請求項2に係る発明によれば、透明樹脂基材のビッカース硬度を前記範囲とすることで、該基材の耐熱性を前記範囲とすることとあいまって、透明保護膜の耐傷付性が向上し、さらに透明樹脂基材がポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を主成分として含むことにより、透明樹脂基材の耐荷重性、透明保護膜の耐傷付性についての効果が具体的に達成される。
また、請求項3に係る発明によれば、シリコーン樹脂組成物に、かご型シルセスキオキサン樹脂に加えて、該かご型シルセスキオキサン樹脂以外の他の樹脂を含ませる場合に、これに似た性質を有するはしご型シルセスキオキサン樹脂やランダム型シルセスキオキサン樹脂を用いるので、透明保護膜中で光劣化する部分が減少し、透明保護膜自体の耐候性を向上させることができる。
また、請求項4に係る発明によれば、紫外線吸収剤を含むことにより、透明保護膜の紫外線吸収力を向上させることができる。それゆえ、透明積層体の耐候性を向上させることができる。
本発明の実施の形態による透明積層体の模式図である。 透明樹脂基材の耐熱性の範囲についての説明図である。 透明樹脂基材の弾性率の範囲についての説明図である。 耐傷付性試験の試験装置を示す。 表面光沢値の測定装置を示す。 耐候性試験の試験装置を示す。
(透明積層体)
図1は、本発明の実施の形態による透明積層体の模式図である。透明積層体1は、透明樹脂基材2(以下、単に基材という)と、該基材2上に設けられた透明保護膜3(以下、単に保護膜という)とを備える。図1では、保護膜3は基材2の一方の面上に設けられているが、両面上に設けられてもよい。
基材2は、主成分としてポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を含む。図2,3を用いて説明する実験では、基材2として、ポリカーボネート(帝人化成(株)製:L−1250)を用いた。
図2は、基材の耐熱性についての説明図である。ブラックボックス内に配置した基材2に、実使用環境で想定される0〜900W/mの照度の光を3時間程度照射した。図2中の実線は、実使用環境で想定される最も高い雰囲気温度40℃での実験結果を示している。また、比較のため、雰囲気温度20℃での実験結果を点線で示している。
図2に示すように、雰囲気温度40℃での最大到達温度は70℃であった。それゆえ、基材2は、70℃以上の耐熱性を有することが好ましい。この70℃は、ガラス転移温度であって、これを超えると基材2に反りや変形が生じる温度である。
図3は、基材の弾性率についての説明図である。一般に、樹脂はガラスの半分程度の比重を有する。また、従来の車両用のガラスウインドの厚さは3mm程度である。それゆえ、樹脂製ウインドの厚さが約6mm以下であれば、従来より軽量化することができるといえる。図3では、1mmの略均一な厚さを有する、一辺が150mmの正方形状の基材2の4辺を固定し、JISK7191B法に準拠して0.6Nの中心集中荷重を加えた場合の、室温での基材2の弾性率と最大たわみ量との関係を示している。
車両用ウインドでは、前記条件での最大たわみ量が約0.4mm以下であることが要求される。図3に示すように、最大たわみ量が0.34mmのとき、弾性率は1GPaである。それゆえ、基材2は、室温下で弾性率が1GPa以上とされる。
また、基材2の表面硬度が充分大きくなければ、保護膜3に荷重が加わった場合に変形が生じやすくなり、該基材2の変形に応じて保護膜3に生じる傷が大きくなる可能性がある。それゆえ、透明積層体1の車両のウインド材として必要な耐傷付性を確保するために、基材2は、室温下で10kgf/mm以上のビッカース硬度を有することが好ましい。
保護膜3は、シリコーン樹脂組成物を主成分とする。該シリコーン樹脂組成物は、下記の一般式(1)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂でなり、又は、このかご型シルセスキオキサン樹脂と、はしご型シルセスキオキサン樹脂、ランダム型シルセスキオキサン樹脂、及びかごの一部が開いている不完全なかご型構造のシルセスキオキサン樹脂の少なくとも一つとを含む。
[RSiO3/2 …(1)
(但し、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基若しくはビニル基、又は下記一般式(2)〜(4)のいずれか一つを有する有機官能基であり、nは8、10、12又は14である。) ただし、かご型シルセスキオキサン樹脂としては、これらに限定されず、他の構造を持つものを用いることができ、それぞれ単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
Figure 0005954257
シリコーン樹脂組成物として、かご型シルセスキオキサン樹脂に加えて、これと似た性質を有するはしご型、ランダム型、及びかごの一部が開いている不完全なかご型構造のシロキサン樹脂を用いることで、保護膜3中で光劣化する部分が減少し、保護膜3自体の耐候性を向上させることができる。
さらに、シリコーン樹脂組成物は、シルセスキオキサン樹脂の他に不飽和化合物を含んでもよい。
具体的に述べると、不飽和化合物として、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジアクリレート(又は、ジシクロペンタニルジアクリレート)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジアクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンアクリレートメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンアクリレートメタクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジアクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジアクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジメタクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジメタクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンアクリレートメタクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンアクリレートメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエン/チオール、シリコーンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルエチルメタクリレート、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、又は、他の反応性オリゴマー、モノマーを用いることができる。また、これらの反応性オリゴマーやモノマーは、それぞれ単独で使用してもよく、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。
一般に、耐傷付性に優れた保護膜3を得るためには、保護膜3の厚さを大きくすることが好ましい。しかし、透明積層体1を製造するための光硬化工程又は熱硬化工程において分子間架橋(硬化)が保護膜3全体に均一に生じない場合には、分子間架橋による体積収縮が大きくなる位置が生じる。これにより、保護膜3に割れが生じやすいという問題がある。また、製造直後には割れが生じなくても、実使用環境下での使用により、体積収縮が大きく生じた位置で、保護膜3の割れや剥離、傷付きが生じやすくなる。この問題は、シリコーン樹脂組成物中に一定以上の割合でかご型シルセスキオキサン樹脂を含むことにより解消しうるが、それでも保護膜3の厚さが大きすぎると、割れや剥離、傷付きを抑制することが困難になる。
耐傷付性の観点で、保護膜3の厚さは10μm以上であることが好ましく、このとき、シリコーン樹脂組成物がかご型シルセスキオキサン樹脂を15重量%以上含むことが好ましい。また、実使用環境下で割れや剥離が生じないようにするために、保護膜3の厚さは80μm以下であることが好ましい。
また、保護膜3は、紫外線吸収剤や光安定剤、熱線吸収剤等を含んでもよい。紫外線吸収剤は、例えばヒドロキシフェニルトリアジン系の有機系紫外線吸収剤が可能である。また、光安定剤は、例えばヒンダートアミン系光安定剤が可能である。
具体的に述べると、紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、又は、2−(5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、又は、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類、又は、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート類、又は、ジエチル−p−メトキシベンジリデンマロネート、ビス(2−エチルヘキシル)ベンジリデンマロネート等のベンジリデンマロネート類、又は、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(メチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(エチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(プロピル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ブチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン類、又は、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、硫化亜鉛、硫化カドミウム等の金属酸化物微粒子類を用いることができる。これらの紫外線吸収剤は、それぞれ単独で使用してもよく、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。
また、光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p′−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、又は、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体を用いることができる。これらの光安定剤は、それぞれ単独で使用してもよく、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。
以上で説明したように、基材2の厚さ、弾性率を所定の範囲とすることで、基材2の材料に樹脂を用いたことによる軽量化の利点を得つつ、車両用ウインド材として要求される耐荷重性が達成される。また、基材2の耐熱性、ビッカース硬度、保護膜3の厚さ及びシリコーン樹脂組成物中のかご型シルセスキオキサン樹脂の割合を所定の範囲とすることで、製造工程中の割れが防止されるとともに、実使用環境における割れや剥離が生じにくく耐傷付性に優れた保護膜3を備えた透明積層体1が実現される。
(透明積層体の製造方法)
透明積層体1の製造方法は、前記の基材2を準備する基材準備工程と、保護膜3を構成する塗料組成物を基材2上に塗布する塗布工程と、基材2の耐熱温度(ガラス転移温度)未満の雰囲気温度で光を照射して塗料組成物を光硬化させ、基材2上に保護膜3を設ける光硬化工程等を含む。
塗布工程では、シリコーン樹脂組成物、非極性溶媒、塩基性触媒及び光重合開始剤を含む塗料組成物を基材2上に流延する。該シリコーン樹脂組成物として、前記の一般式(1)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂、又は、このかご型シルセスキオキサン樹脂と、はしご型シルセスキオキサン樹脂、ランダム型シルセスキオキサン樹脂、及びかごの一部が開いている不完全なかご型構造のシルセスキオキサン樹脂の少なくとも一つとの混合物を用いる。非極性溶媒は、低沸点の難水溶性溶媒が好ましい。また、塩基性触媒は、アルカリ金属水酸化物、又はテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の水酸化アンモニウム塩等が可能であり、非極性溶媒に可溶性の触媒であることが好ましい。
具体的に述べると、非極性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、灯油等の炭化水素類、アセトニトリル、ニトロメタン、水等が可能である。これらの非極性溶媒は、それぞれ単独で使用してもよく、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。
ここで、塗布工程において、紫外線吸収剤や光安定剤を含む塗料組成物を用いることにより、保護膜3が紫外線吸収剤や光安定剤を含有する透明積層体1を作成できる。
また、塗布工程において、有機/無機フィラー、可塑剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋剤、分散助剤、樹脂成分等のうち少なくとも1つを添加剤として含む塗料組成物を用いることも可能である。
また、塗布工程の前に、保護膜3が所定の厚みになるように、基材2上にスペーサを接着する工程を含んでもよい。さらに、塗布工程の後に、基材2の耐熱温度より充分低い温度(例えば基材2が、耐熱温度が140℃のポリカーボネートや100℃のポリメチルメタクリレートである場合は約80℃)で加熱し、上からフィルム等で余分な塗料組成物を除去する工程を含んでもよい。
光硬化工程では、例えば水銀ランプを用いて、200nm以上400nm以下の波長域の光を、照度が1×10−2mW/cm以上1×10mW/cm以下、該波長域での積算光量が5×10mJ/cm以上3×10mJ/cm以下、の条件で照射する。
かかる光硬化工程は、大気開放化で実施してもよく、好ましくは、窒素パージして酸素分圧を小さくした雰囲気下で実施する。さらに、上部に透明部材、例えば透明フィルム、ラミネート又はガラス等を配置して光硬化工程を実施してもよい。
以上で説明した方法により、車両用ウインド材として要求される耐荷重性が達成され、割れや剥離が生じにくく耐傷付性に優れた保護膜3を備えた透明積層体1を製造可能である。また、光硬化工程により迅速に保護膜3を設けることができるので、焼成工程による方法よりも歩留まりを向上させることができる。
また、光硬化反応はラジカル反応であり、酸素阻害を受ける。前記のように、酸素分圧を小さくした雰囲気下で光硬化工程を実施した場合、かかる酸素阻害を抑制することが可能である。また、上部に透明部材を配置して光硬化工程を実施することにより、透明積層体1の表面の平滑性を向上させることができる。
なお、光硬化工程の代わりに熱硬化工程を実施した場合でも、同様に透明積層体1を製造可能である。その場合、塗布工程では、フタルイミドDBU等の硬化触媒を含む塗料組成物を用いる。熱硬化工程では、基材2の耐熱温度より充分低い温度(例えば基材2がポリカーボネートの場合は約120℃)で加熱を行う。熱硬化工程によれば、光硬化工程よりも物理的な障害や熱源からの距離の影響を受けにくいため、製造される透明積層体1の形状自由度を高くすることができるという利点も想定される。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
以下、透明積層体1の実施例を比較例とともに説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。尚、実施例において、部及び%は、重量部及び重量%を意味する。
(シリコーン樹脂の合成)
本実施例では、以下の合成例1〜3により合成されたシリコーン樹脂を使用した。
[合成例1]
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、溶媒として2−プロパノール(IPA)40ml、及び塩基性触媒として5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH水溶液)を加えた。滴下ロートに、IPA15mlと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SZ−6030)12.69gを加えた。続いて反応容器を撹拌しながら、室温で3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのIPA溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、非加熱環境で2時間撹拌した。続いて減圧下で溶媒を除去し、トルエン50mlで溶解させた。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。続いて無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮させた。これにより、8.6gの加水分解生成物(シルセスキオキサン)が得られた。かかるシルセスキオキサンは、種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。次に、撹拌機、ディンスターク及び冷却管を備えた反応容器に、得られたシルセスキオキサン20.65g、トルエン82ml及び10%TMAH水溶液3.0gを入れ、徐々に加熱し水を留去した。続いてこれを130℃まで加熱し、トルエンを還流温度で再縮合反応を行った。このときの反応溶液の温度は108℃であった。トルエン還流後2時間撹拌し、反応を終了させた。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。続いて無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮させた。これにより、目的物であるかご型シルセスキオキサン(混合物)が18.77g得られた。得られたかご型シルセスキオキサンは、種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。再縮合反応後の反応物の液体クロマトグラフィー分離後の重量分析を行い、アクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサンを60%以上含むシリコーン樹脂であることを確認した。
[合成例2]
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、溶媒としてIPA120mlと塩基性触媒として5%TMAH水溶液4.0gを加えた。滴下ロートにIPA30mlとビニルトリメトキシシラン10.2gを加えた。続いて反応容器を撹拌しながら、0℃でビニルトリメトキシシランのIPA溶液を60分かけて滴下した。滴下終了後、徐々に室温に戻し、非加熱状態で6時間撹拌した。撹拌後、溶媒から減圧下でIPAを除去し、トルエン200mlで溶解させた。次に、撹拌機、ディンスターク及び冷却管を備えた反応容器に前記で得られたシルセスキオキサン20.65g、トルエン82ml及び10%TMA H水溶液3.0gを入れ、徐々に加熱し水を留去した。続いて、これを130℃まで加熱し、トルエンを還流温度で再縮合反応を行った。このときの反応溶液の温度は108℃であった。トルエン還流後2時間撹拌し、反応を終了させた。続いて反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別して濃縮させた。これにより、目的物であるかご型シルセスキオキサン(混合物)が18.77g得られた。得られたかご型シルセスキオキサンは、種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。再縮合反応後の反応物の液体クロマトグラフィー分離後の重量分析を行い、ビニル基を有するかご型シルセスキオキサンを60%以上含むシリコーン樹脂であることを確認した。
[合成例3]
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製カタロイドSN−35、固形分濃度30%)133部に1Mの塩酸1.3部を加え、よく攪拌した。この分散液を10℃まで冷却し、氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン162部を滴下して加えた。メチルトリメトキシシランの滴下直後から、反応熱で混合液の温度は上昇を開始し、滴下開始から5分後に60℃まで温度上昇した。続いて冷却の効果で徐々に混合液温度が低下した。混合液の温度が30℃になった段階で、この温度を維持した状態で10時間攪拌し、硬化触媒としてコリン濃度45%のメタノール溶液0.8部、pH調整剤として酢酸5部、希釈溶剤としてイソプロピルアルコール200部を混合した。これにより、オルガノシロキサン樹脂組成物が得られた。
(光硬化により製造した透明積層体)
[実施例1〜15、比較例1〜4]
基材2として、ポリカーボネート(帝人化成(株)製:L−1250)又はポリメチルメタクリレート((株)カネカ製)を用いた。まず、厚さ3mmの基材2上に、保護膜3が所定の厚みになるようスペーサを接着した。続いて、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.5部を混合した、保護膜3を構成する塗料組成物を流延し、80℃で3分間加熱を行った。続いてPETフィルムで押さえつけ余分な塗料組成物を除去した。その後、PETフィルムでカバーした状態で、200nm以上400nm以下の波長域の光を、照度が505mW/cmの条件で、水銀ランプを用いて照射し、8400mJ/cmの積算露光量で塗料組成物を硬化させた。これにより、透明積層体1を得た。
(熱硬化により製造した透明積層体)
[実施例16,17]
基材2として、ポリカーボネート(帝人化成(株)製:L−1250)を用いた。まず、厚さ3mmの基材2上に、保護膜3が所定の厚みになるようスペーサを接着した。続いて、硬化触媒としてフタルイミドDBU2.5部を混合した、保護膜3を構成する塗料組成物を流延し、80℃で3分間加熱を行った。続いてコーターブレードで余分な塗料組成物を除去した。その後、120℃で11時間加熱を行い、塗料組成物を硬化させた。これにより、透明積層体1を得た。
[比較例5]
基材2として、ポリカーボネート(帝人化成(株)製:L−1250)を用いた。まず、厚さ3mmの基材2上に、保護膜3が所定の厚みになるようスペーサを接着した。続いて、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.5部を混合した、保護膜3を構成する塗料組成物を流延し、ブレードで余分な塗料組成物を除去した。続いて標準環境で1時間放置し、120℃で1時間焼成し塗料組成物を硬化させた。これにより、透明積層体1を得た。
下記の表1は、各実施例1〜17、比較例1〜5において使用した基材2の材料、保護膜3の組成及び膜厚を示す。
Figure 0005954257
表1において、各記号は以下のものを示す。
基材樹脂
S1:ポリカーボネート(PC)(帝人化成(株)製:L−1250)
S2:ポリメチルメタクリレート(PMMA)((株)カネカ製)
シリコーン樹脂組成物
A:合成例1で得られた化合物(アクリロイル基)
B:合成例2で得られた化合物(ビニル基)
C:合成例3で得られた化合物(オルガノシロキサン樹脂組成物)
D:トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートTMP−A)
E:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A)
F:ジシクロペンタニルジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートD
CP−A)
G:オクタキス[[3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル]ジメチルシロキシ]オクタシルセスキオキサン(Mayaterials社製:Q−4)
H:1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(新日本理化社製:リカレジンDME−100)
I:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(東京化成工業社製)
紫外線吸収剤
U1〜U3:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン(株)製:TINUVIN400,TINUVIN477,TINUVIN479)
光安定剤
H1,H2:ヒンダートアミン系光安定剤(BASFジャパン(株)製:TINUVIN123,TINUVIN5100)
前記基材S1は、約140℃の耐熱性(JISK7191B法)、並びに室温下で約2.2GPaの弾性率及び約13kgf/mmのビッカース硬度を有する。同様に、基材S2は、約100℃の耐熱性(JISK7191B法)、並びに室温下で約3.1GPaの弾性率及び約20kgf/mmのビッカース硬度を有する。
また、表1中のシリコーン樹脂組成物に含まれるA〜Fのうち、合成例1,2で得られた化合物A,Bが、かご型シルセスキオキサン樹脂を含む。上述のように、合成例1,2で得られた化合物A,Bは、かご型シルセスキオキサン樹脂を60%以上含む。表1中の「かご型の割合(重量%)」では、これを考慮して、シリコーン樹脂組成物に占めるかご型シルセスキオキサン樹脂の割合の範囲を示している。尚、実施例15,16における、シリコーン樹脂組成物に占めるかご型シルセスキオキサン樹脂の割合の範囲は、表1の通りである。また、前記化合物E,Fは、不飽和化合物としてシリコーン樹脂組成物に加えている。
また、表1には、実施例及び比較例によって得られた透明積層体1に対して行った試験の評価結果を示している。
各試験は、下記の方法により行った。
初期外観:各試験を行う前の透明積層体1の外観を目視にて観察した。保護膜3に割れや剥離が生じていない場合は○とした。
耐傷付性試験:図4に示す耐傷付性の試験装置を用いて試験を行った。綿で覆われ、加重腕11に取り付けられた傷付子12を、試験片Gとの間にダストDが存在する状態で、矢印(ア)で示す方向に前後移動させた。加重腕11が印加する加重は2N、傷付子12の移動距離は120mm、往復速度は0.5回/sとし、雰囲気温度20℃で試験を行った。ダストDは、平均粒径300μm以下のシリカ粒子及びアルミナ粒子を含む粒子群とした。表1に示す耐傷付性の数値は、試験開始前の表面光沢値を100とした場合に、所定の回数往復させた後の表面光沢値を示す。表面光沢値は、図5に示す測定装置によって、光源21から試験片Gに光を照射して、受光器22によって受光した反射光の強度に基づいて算出した。光沢保持率(=試験後の表面光沢値/試験前の表面光沢値)が70%未満の場合、実使用環境において充分な耐傷付性が確保できないと判断した。
耐熱密着性試験:長さ50mmのスクラッチを十字に入れ、70℃の環境下に168時間放置した後の透明積層体1の外観を目視にて観察した。保護膜3に剥離が生じていない場合は○とした。
耐候性試験:図6に示すように、キセノン光源31及び散水器32を備えた耐候性試験装置を使用して、1)ブラックパネル温度73℃、湿度35%の条件で、照度180W/mの光を60minの間照射した。続いて、2)ブラックパネル温度50℃、湿度95%の条件で、照度180W/mの光を80minの間照射した。1),2)を1サイクルとして、このサイクルを繰り返した。積算照射光量は、200MJ/mとした。透明積層体1の外観変化を目視にて観察した。保護膜3に割れや色変化が生じていなければ○とした。
実施例1〜4、比較例1〜3では、シリコーン樹脂組成物中のかご型シルセスキオキサン樹脂の割合を15%〜25%として、保護膜3の膜厚を変えた。また、実施例5〜9では、かご型シルセスキオキサン樹脂の割合を変え、保護膜3の膜厚を30μmとした。また、比較例4,5では、かご型シルセスキオキサン樹脂の割合を0%とした。
まず、実施例1と比較例1とを比較すると、膜厚が5μm(比較例1)では光沢保持率が23%と低く、一方、膜厚が10μm(実施例1)では80%と大きく上昇する。それゆえ、耐傷付性の観点で、保護膜3の膜厚は10μm以上が好ましいと判る。
また、実施例2、5〜9と比較例4とを比較すると、シリコーン樹脂組成物中のかご型シルセスキオキサン樹脂の割合が0%(比較例4)では光沢保持率が23%と低く、該割合が15%〜100%(実施例2、5〜9)ではいずれも80%以上と大きく上昇する。それゆえ、耐傷付性の観点で、シリコーン樹脂組成物中のかご型シルセスキオキサン樹脂の割合は15%以上が好ましいと判る。
また、実施例1〜4と比較例2,3とを比較すると、保護膜3の膜厚が100μm以上(比較例2,3)では、耐熱密着性試験において保護膜3に剥離が生じ、耐候性試験において保護膜3に割れが生じたが、保護膜3の膜厚が80μm以下(実施例1〜4)では生じなかった。また、光沢保持率についても、保護膜3の膜厚が100μm以上(比較例2,3)では70%を下回った。それゆえ、保護膜3の割れや剥離の防止、耐傷付性の観点から、保護膜3の膜厚は80μm以下が好ましいと判る。
実施例10〜14では、シリコーン樹脂組成物中のかご型シルセスキオキサン樹脂の割合を15%〜25%とし、保護膜3の膜厚を30μmとして、保護膜3に紫外線吸収剤や光安定剤を加えた。
実施例2と実施例10〜14とを比較すると、試験結果に大きな差は認められないが、耐候性試験をより厳しい条件で実施した場合には、保護膜3に紫外線吸収剤や光安定剤を加えることにより黄変や割れ等が抑制される効果が現れると考えられる。
実施例15では、他の実施例、比較例と基材樹脂を変更した。各試験結果について、他と大きな変化は認められなかった。
実施例16,17では、シリコーン樹脂組成物中のかご型シルセスキオキサン樹脂の割合を15%〜30%として、保護膜3の膜厚を変えた。実施例16,17では他の実施例と異なり熱硬化により保護膜3を設けたが、光硬化と同様の結果を得ることができた。
本発明は、車両用ウインド材等、移動体のウインド材として広く適用することができる。
1 透明積層体、 2 透明樹脂基材、 3 透明保護膜、 11 加重腕、 12 傷付子、 21 光源、 22 受光器、 31 キセノン光源、 32 散水器、 D ダスト、 G 試験片

Claims (4)

  1. 透明樹脂基材と、該透明樹脂基材の少なくとも一方の面上に設けられた透明保護膜とを備えた車両用ウインド材であって、
    前記透明樹脂基材は、70℃以上の耐熱性、1mm以上の略均一な厚さ、及び室温下で1GPa以上の弾性率を有し、
    前記透明保護膜は、アクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサン樹脂が15重量%以上50重量%以下、重合性不飽和化合物が50重量%以上75重量%以下含まれるシリコーン樹脂組成物を含み、
    前記透明保護膜は、10μm以上80μm以下の厚さを有することを特徴とする車両用ウインド材
  2. 前記透明樹脂基材は、室温下で10kgf/mm以上のビッカース硬度を有し、かつ、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を主成分とすることを特徴とする、請求項1記載の車両用ウインド材
  3. 前記透明保護膜は、前記シリコーン樹脂組成物が、かご型シルセスキオキサン樹脂以外の材料を含む場合に、はしご型シルセスキオキサン樹脂及びランダム型シルセスキオキサン樹脂の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両用ウインド材
  4. 前記透明保護膜は、紫外線吸収剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ウインド材
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