JP5954257B2 - 車両用ウインド材 - Google Patents
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図1は、本発明の実施の形態による透明積層体の模式図である。透明積層体1は、透明樹脂基材2(以下、単に基材という)と、該基材2上に設けられた透明保護膜3(以下、単に保護膜という)とを備える。図1では、保護膜3は基材2の一方の面上に設けられているが、両面上に設けられてもよい。
[RSiO3/2]n …(1)
(但し、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基若しくはビニル基、又は下記一般式(2)〜(4)のいずれか一つを有する有機官能基であり、nは8、10、12又は14である。) ただし、かご型シルセスキオキサン樹脂としては、これらに限定されず、他の構造を持つものを用いることができ、それぞれ単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
具体的に述べると、不飽和化合物として、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジアクリレート(又は、ジシクロペンタニルジアクリレート)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジアクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンアクリレートメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンアクリレートメタクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジアクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジアクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジメタクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジメタクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンアクリレートメタクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンアクリレートメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエン/チオール、シリコーンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルエチルメタクリレート、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、又は、他の反応性オリゴマー、モノマーを用いることができる。また、これらの反応性オリゴマーやモノマーは、それぞれ単独で使用してもよく、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。
透明積層体1の製造方法は、前記の基材2を準備する基材準備工程と、保護膜3を構成する塗料組成物を基材2上に塗布する塗布工程と、基材2の耐熱温度(ガラス転移温度)未満の雰囲気温度で光を照射して塗料組成物を光硬化させ、基材2上に保護膜3を設ける光硬化工程等を含む。
本実施例では、以下の合成例1〜3により合成されたシリコーン樹脂を使用した。
[合成例1]
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、溶媒として2−プロパノール(IPA)40ml、及び塩基性触媒として5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH水溶液)を加えた。滴下ロートに、IPA15mlと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SZ−6030)12.69gを加えた。続いて反応容器を撹拌しながら、室温で3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのIPA溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、非加熱環境で2時間撹拌した。続いて減圧下で溶媒を除去し、トルエン50mlで溶解させた。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。続いて無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮させた。これにより、8.6gの加水分解生成物(シルセスキオキサン)が得られた。かかるシルセスキオキサンは、種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。次に、撹拌機、ディンスターク及び冷却管を備えた反応容器に、得られたシルセスキオキサン20.65g、トルエン82ml及び10%TMAH水溶液3.0gを入れ、徐々に加熱し水を留去した。続いてこれを130℃まで加熱し、トルエンを還流温度で再縮合反応を行った。このときの反応溶液の温度は108℃であった。トルエン還流後2時間撹拌し、反応を終了させた。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。続いて無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮させた。これにより、目的物であるかご型シルセスキオキサン(混合物)が18.77g得られた。得られたかご型シルセスキオキサンは、種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。再縮合反応後の反応物の液体クロマトグラフィー分離後の重量分析を行い、アクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサンを60%以上含むシリコーン樹脂であることを確認した。
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、溶媒としてIPA120mlと塩基性触媒として5%TMAH水溶液4.0gを加えた。滴下ロートにIPA30mlとビニルトリメトキシシラン10.2gを加えた。続いて反応容器を撹拌しながら、0℃でビニルトリメトキシシランのIPA溶液を60分かけて滴下した。滴下終了後、徐々に室温に戻し、非加熱状態で6時間撹拌した。撹拌後、溶媒から減圧下でIPAを除去し、トルエン200mlで溶解させた。次に、撹拌機、ディンスターク及び冷却管を備えた反応容器に前記で得られたシルセスキオキサン20.65g、トルエン82ml及び10%TMA H水溶液3.0gを入れ、徐々に加熱し水を留去した。続いて、これを130℃まで加熱し、トルエンを還流温度で再縮合反応を行った。このときの反応溶液の温度は108℃であった。トルエン還流後2時間撹拌し、反応を終了させた。続いて反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別して濃縮させた。これにより、目的物であるかご型シルセスキオキサン(混合物)が18.77g得られた。得られたかご型シルセスキオキサンは、種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。再縮合反応後の反応物の液体クロマトグラフィー分離後の重量分析を行い、ビニル基を有するかご型シルセスキオキサンを60%以上含むシリコーン樹脂であることを確認した。
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製カタロイドSN−35、固形分濃度30%)133部に1Mの塩酸1.3部を加え、よく攪拌した。この分散液を10℃まで冷却し、氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン162部を滴下して加えた。メチルトリメトキシシランの滴下直後から、反応熱で混合液の温度は上昇を開始し、滴下開始から5分後に60℃まで温度上昇した。続いて冷却の効果で徐々に混合液温度が低下した。混合液の温度が30℃になった段階で、この温度を維持した状態で10時間攪拌し、硬化触媒としてコリン濃度45%のメタノール溶液0.8部、pH調整剤として酢酸5部、希釈溶剤としてイソプロピルアルコール200部を混合した。これにより、オルガノシロキサン樹脂組成物が得られた。
[実施例1〜15、比較例1〜4]
基材2として、ポリカーボネート(帝人化成(株)製:L−1250)又はポリメチルメタクリレート((株)カネカ製)を用いた。まず、厚さ3mmの基材2上に、保護膜3が所定の厚みになるようスペーサを接着した。続いて、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.5部を混合した、保護膜3を構成する塗料組成物を流延し、80℃で3分間加熱を行った。続いてPETフィルムで押さえつけ余分な塗料組成物を除去した。その後、PETフィルムでカバーした状態で、200nm以上400nm以下の波長域の光を、照度が505mW/cm2の条件で、水銀ランプを用いて照射し、8400mJ/cm2の積算露光量で塗料組成物を硬化させた。これにより、透明積層体1を得た。
[実施例16,17]
基材2として、ポリカーボネート(帝人化成(株)製:L−1250)を用いた。まず、厚さ3mmの基材2上に、保護膜3が所定の厚みになるようスペーサを接着した。続いて、硬化触媒としてフタルイミドDBU2.5部を混合した、保護膜3を構成する塗料組成物を流延し、80℃で3分間加熱を行った。続いてコーターブレードで余分な塗料組成物を除去した。その後、120℃で11時間加熱を行い、塗料組成物を硬化させた。これにより、透明積層体1を得た。
基材2として、ポリカーボネート(帝人化成(株)製:L−1250)を用いた。まず、厚さ3mmの基材2上に、保護膜3が所定の厚みになるようスペーサを接着した。続いて、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.5部を混合した、保護膜3を構成する塗料組成物を流延し、ブレードで余分な塗料組成物を除去した。続いて標準環境で1時間放置し、120℃で1時間焼成し塗料組成物を硬化させた。これにより、透明積層体1を得た。
基材樹脂
S1:ポリカーボネート(PC)(帝人化成(株)製:L−1250)
S2:ポリメチルメタクリレート(PMMA)((株)カネカ製)
シリコーン樹脂組成物
A:合成例1で得られた化合物(アクリロイル基)
B:合成例2で得られた化合物(ビニル基)
C:合成例3で得られた化合物(オルガノシロキサン樹脂組成物)
D:トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートTMP−A)
E:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE−6A)
F:ジシクロペンタニルジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートD
CP−A)
G:オクタキス[[3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル]ジメチルシロキシ]オクタシルセスキオキサン(Mayaterials社製:Q−4)
H:1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(新日本理化社製:リカレジンDME−100)
I:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(東京化成工業社製)
紫外線吸収剤
U1〜U3:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン(株)製:TINUVIN400,TINUVIN477,TINUVIN479)
光安定剤
H1,H2:ヒンダートアミン系光安定剤(BASFジャパン(株)製:TINUVIN123,TINUVIN5100)
各試験は、下記の方法により行った。
初期外観:各試験を行う前の透明積層体1の外観を目視にて観察した。保護膜3に割れや剥離が生じていない場合は○とした。
耐傷付性試験:図4に示す耐傷付性の試験装置を用いて試験を行った。綿で覆われ、加重腕11に取り付けられた傷付子12を、試験片Gとの間にダストDが存在する状態で、矢印(ア)で示す方向に前後移動させた。加重腕11が印加する加重は2N、傷付子12の移動距離は120mm、往復速度は0.5回/sとし、雰囲気温度20℃で試験を行った。ダストDは、平均粒径300μm以下のシリカ粒子及びアルミナ粒子を含む粒子群とした。表1に示す耐傷付性の数値は、試験開始前の表面光沢値を100とした場合に、所定の回数往復させた後の表面光沢値を示す。表面光沢値は、図5に示す測定装置によって、光源21から試験片Gに光を照射して、受光器22によって受光した反射光の強度に基づいて算出した。光沢保持率(=試験後の表面光沢値/試験前の表面光沢値)が70%未満の場合、実使用環境において充分な耐傷付性が確保できないと判断した。
耐熱密着性試験:長さ50mmのスクラッチを十字に入れ、70℃の環境下に168時間放置した後の透明積層体1の外観を目視にて観察した。保護膜3に剥離が生じていない場合は○とした。
耐候性試験:図6に示すように、キセノン光源31及び散水器32を備えた耐候性試験装置を使用して、1)ブラックパネル温度73℃、湿度35%の条件で、照度180W/m2の光を60minの間照射した。続いて、2)ブラックパネル温度50℃、湿度95%の条件で、照度180W/m2の光を80minの間照射した。1),2)を1サイクルとして、このサイクルを繰り返した。積算照射光量は、200MJ/m2とした。透明積層体1の外観変化を目視にて観察した。保護膜3に割れや色変化が生じていなければ○とした。
また、実施例2、5〜9と比較例4とを比較すると、シリコーン樹脂組成物中のかご型シルセスキオキサン樹脂の割合が0%(比較例4)では光沢保持率が23%と低く、該割合が15%〜100%(実施例2、5〜9)ではいずれも80%以上と大きく上昇する。それゆえ、耐傷付性の観点で、シリコーン樹脂組成物中のかご型シルセスキオキサン樹脂の割合は15%以上が好ましいと判る。
また、実施例1〜4と比較例2,3とを比較すると、保護膜3の膜厚が100μm以上(比較例2,3)では、耐熱密着性試験において保護膜3に剥離が生じ、耐候性試験において保護膜3に割れが生じたが、保護膜3の膜厚が80μm以下(実施例1〜4)では生じなかった。また、光沢保持率についても、保護膜3の膜厚が100μm以上(比較例2,3)では70%を下回った。それゆえ、保護膜3の割れや剥離の防止、耐傷付性の観点から、保護膜3の膜厚は80μm以下が好ましいと判る。
Claims (4)
- 透明樹脂基材と、該透明樹脂基材の少なくとも一方の面上に設けられた透明保護膜とを備えた車両用ウインド材であって、
前記透明樹脂基材は、70℃以上の耐熱性、1mm以上の略均一な厚さ、及び室温下で1GPa以上の弾性率を有し、
前記透明保護膜は、アクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサン樹脂が15重量%以上50重量%以下、重合性不飽和化合物が50重量%以上75重量%以下含まれるシリコーン樹脂組成物を含み、
前記透明保護膜は、10μm以上80μm以下の厚さを有することを特徴とする車両用ウインド材。 - 前記透明樹脂基材は、室温下で10kgf/mm2以上のビッカース硬度を有し、かつ、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を主成分とすることを特徴とする、請求項1記載の車両用ウインド材。
- 前記透明保護膜は、前記シリコーン樹脂組成物が、かご型シルセスキオキサン樹脂以外の材料を含む場合に、はしご型シルセスキオキサン樹脂及びランダム型シルセスキオキサン樹脂の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両用ウインド材。
- 前記透明保護膜は、紫外線吸収剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ウインド材。
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