JP2005028795A - 樹脂成形品 - Google Patents

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嘉之 姫野
Akira Motonaga
彰 元永
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Abstract

【課題】 外観、耐擦傷性、耐熱水性、および耐候性に優れかつプラスチック基材との十分な密着性を有する保護被膜を形成した、耐擦傷性、耐熱水性、および耐候性に優れた樹脂成形品を提供する。
【解決手段】 プラスチック基材上に、以下の2層構造の保護被膜を形成する:
第1層) 重量平均分子量が150,000〜400,000である(メタ)アクリル系重合体および分子内の水酸基1個あたりの分子量が200〜1,000である有機紫外線吸収剤を含む層;
第2層) 第1層上に、下記式で表されるオルガノシラン類の加水分解物およびコロイド状シリカを含むシリカ系組成物を加熱硬化して得られる層。
1 nSi(OR24-n
(式中、R1は炭素数1〜10の有機基、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。nは1または2である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐擦傷性、耐熱水性、耐候性、プラスチック基材との密着性に優れた保護被膜を有する樹脂成形品に関する。
ポリカーボネート等のプラスチックからなる成形品は、ガラスからなる成形品に比べ、耐衝撃性、軽量性に優れているが、表面硬度が低いので表面に傷が付きやすく、また耐候性に乏しいという問題点を有している。
そこで、これらの問題点を解決するためにプラスチック成形品の表面に保護被膜を形成し、表面硬度等を改良する試みがなされている。そのような保護被膜としては、加水分解性ケイ素化合物を原料としたゾルゲル法によるものが、高い表面硬度を与えるものとして使用されている。特に、ポリカーボネートは紫外線による表面劣化や黄変等の劣化現象の問題が有るが、その紫外線に対する耐候性を改善する為に紫外線吸収剤を配合した被膜を表面に形成する方法も知られている。(例えば、特許文献1〜3参照。)
特許文献1には、コロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる保護被膜に紫外線吸収剤を添加した樹脂被膜が開示されている。
特許文献2には、紫外線吸収剤を添加した下塗り層の上面にコロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる保護被膜を設けた紫外線吸収透明基板が開示されている。
また、特許文献3には、ベンゾトリアゾール基含有紫外線吸収性ビニル単量体、アルコキシシリル基含有ビニル単量体、およびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体を下塗り剤として用いる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されるようにコロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる保護被膜に紫外線吸収剤を添加した場合には、添加量の増加にしたがい、紫外線の吸収は大きくなるものの、添加量が多くなりすぎると保護被膜に白化が発生したり、耐擦傷性、耐熱水性が低下しやすくなったりする問題があり、紫外線吸収剤の添加量は限られている。
特許文献2に開示されるように下塗り剤に紫外線吸収剤を添加した場合には、紫外線吸収剤の種類や添加量によっては、下塗り層とプラスチック基材またはコロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる上塗り層との密着性が悪くなったり、加熱硬化時の紫外線吸収剤の揮発、屋外での長時間使用による紫外線吸収剤のブリードアウトや、保護被膜の白化などの悪影響がでたりする問題があった。
また、特許文献3に開示されたポリマー鎖に紫外線吸収基を持つ共重合体を下塗り剤とした場合には、加熱硬化時の紫外線吸収剤の揮発や、屋外での長時間使用による紫外線吸収剤のブリードアウトなどは抑制されるが、上塗り層のコロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる保護被膜との密着性を得るためには下塗り剤にアルコキシシリル基含有ビニル単量体等を添加する必要がある。このアルコキシシリル基含有ビニル単量体を下塗り剤組成物に添加すると、アルコキシシリル基含有ビニル単量体と他のビニル系単量体との相溶性が悪化したり、下塗り剤組成物の安定性が低下して、その結果、得られる保護被膜に白化などの外観上の問題が生じたり、あるいは基材または上塗り層との密着性が低下するなどの問題が発生しやすくなる。
特開昭56−88469号公報 特開昭55−500856号公報 特開2001−214122号公報
本発明は、上述した従来技術の各課題を解決すべくなされたものである。すなわち本発明の課題は、外観、耐擦傷性、耐熱水性、および耐候性に優れかつ樹脂基材との十分な密着性を有する保護被膜を形成した、耐擦傷性、耐熱水性、および耐候性に優れた樹脂成形品を提供することにある。
本発明者らは、上述した各課題を解決する為に鋭意検討した結果、プラスチック基材上に第1層として、重量平均分子量が150,000〜400,000である(メタ)アクリル系重合体、および分子内の水酸基1個あたりの分子量が200〜1,000である有機紫外線吸収剤を含む層を形成し、さらにその上に第2層として、オルガノシラン類の加水分解物とコロイド状シリカを含むシリカ系組成物を加熱硬化して得られる層を形成することにより、十分な外観、密着性、耐熱水性、耐候性、耐擦傷性に優れた保護被膜付き樹脂成形品が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、プラスチック基材上に、以下の2層構造の保護被膜を有する樹脂成形品である:
第1層)プラスチック基材上に形成された層であって、重量平均分子量が150,000〜400,000である(メタ)アクリル系重合体(A)、および分子内の水酸基1個あたりの分子量が200〜1,000である有機紫外線吸収剤(B)を含む層;
第2層)第1層上に形成された層であって、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)の加水分解物(C)およびコロイド状シリカ(D)を含むシリカ系組成物を加熱硬化して得られる層。
1 nSi(OR24-n (1)
(式中、R1は炭素数1〜10の有機基、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。nは1または2である。)
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルとメタクリルの総称である。
本発明によれば、外観、耐擦傷性、耐熱水性、および耐候性に優れかつプラスチック基材との十分な密着性を有する保護被膜を形成した、耐擦傷性、耐熱水性、および耐候性に優れた樹脂成形品を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明において、保護被膜の第1層は、プラスチック基材上に形成された層であって、重量平均分子量が150,000〜400,000である(メタ)アクリル系重合体(A)、および分子内の水酸基1個あたりの分子量が200〜1,000である有機紫外線吸収剤(B)を含む層である。
本発明の(メタ)アクリル系重合体(A)としては、例えば、下記式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が挙げられる。
CH2=CR3(COOR4) (2)
(式中、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4は水素原子または炭素数9以下の炭化水素基を示す。)
式(2)において、R4が炭素数9以下の炭化水素基である場合、R4の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは1種類を単独で使用しても良いし、R3、R4がそれぞれ異なる複数種を混合して用いてもよい。中でも、得られる保護被膜の耐熱性、硬度の点から、メタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルを主成分とするのが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量は、第1層の耐熱水性、耐候性、成膜性、第2層形成用シリカ系組成物を塗布した時の耐有機溶剤性および第2層との密着性等の点から、150,000〜400,000とすることが必要である。150,000以上とすることで、第1層の耐熱水性、耐候性、および第2層との密着性を向上することができる。さらに、400,000以下とすることで、溶剤への溶解性、プラスチック基材への塗布性を向上することができる。好ましくは、180,000〜350,000である。
(メタ)アクリル系重合体の調製方法は特に限定されず、従来から知られている各種の重合方法を用いることができる。また市販品として購入することもできる。
本発明で用いる有機紫外線吸収剤(B)としては、保護被膜の耐熱水性、耐候性を発現するために、分子内の水酸基1個あたりの分子量が200〜1,000であることが必要である。ここで言う「分子内の水酸基1個あたりの分子量」とは、有機紫外線吸収剤の分子量をその分子が有する水酸基の個数で除した値を意味する。分子内の水酸基1個あたりの分子量を、200以上とすることで、第1層の耐熱水性、耐候性を向上することができる。また、1,000以下とすることで、溶剤への溶解性、(メタ)アクリル系重合体(A)との相溶性を向上することができる。好ましくは、220〜600である。
有機紫外線吸収剤(B)の種類は特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、蓚酸アニリド系、ジフェニルシアノアクレート系、トリアジン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等が挙げられる。特に、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系が汎用性および紫外線吸収能の点から好ましい。
有機紫外線吸収剤(B)の具体例としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤では、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール等があり、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤では、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等がある。
中でも、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールおよび2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノンが好ましい。
これらは単独で使用しても、2種類以上を併用しても良い。
有機紫外線吸収剤(B)の使用量は、保護被膜の耐候性および耐水性の点から、第1層の被膜全体を基準として、有機紫外線吸収剤(B)の使用量は3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
本発明において、第1層は、耐擦傷性および耐候性を低下させない範囲で、目的や用途に応じて適宜、顔料、酸化防止剤、光安定剤等の機能性の添加物を含有してもよい。
第1層をプラスチック基材上に形成する方法としては、例えば、(メタ)アクリル系重合体(A)と有機紫外線吸収剤(B)を含有する溶液を、プラスチック基材上に塗布し、その後乾燥させる方法が一般的である。
以下に、(メタ)アクリル系重合体(A)と有機紫外線吸収剤(B)を含有する溶液を塗布し、その後乾燥させる方法について説明する。
この方法において、(メタ)アクリル系重合体(A)および有機紫外線吸収剤(B)は、溶剤で希釈し、溶液として使用する。溶剤としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、トルエン等が挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体(A)、有機紫外線吸収剤(B)含有溶液の濃度は、プラスチック基材への均一塗布性の点から、5〜20質量%が好ましい。この溶液を、例えば、刷毛塗り、ディップコート、スピンコート、フローコート、スプレーコート、ロールコート等の塗装手段により塗布し、塗膜を形成し、次いで必要に応じて加熱処理等を加えて乾燥させることにより、第1層を形成できる。
本発明における第1層の膜厚は、プラスチック基材と保護被膜との密着性が保持され、クラックが発生しないためには、0.1〜10μmとするのが好ましく、より好ましくは0.5〜6μmである。
本発明において、保護被膜の第2層は、第1層上に形成された層であって、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)の加水分解物(C)とコロイド状シリカ(D)を含むシリカ系組成物を加熱硬化して得られる層である。
1 nSi(OR24-n (1)
(式中、R1は炭素数1〜10の有機基、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。nは1または2である。)
式(1)において、R1は炭素数1〜10の有機基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−デシル基等のアルキル基や、アリル基、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)基、3−アミノプロピル基、ビニル基、3−グリシドキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−クロロブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、置換基を有してもよいフェニル基等が挙げられる。なお、nが2のとき、2つあるR1は同一である必要はなく、異なっていてもよい。
式(1)において、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アセチル基等が挙げられる。なお、複数あるR2は、同一である必要はなく、異なった種類のものを混合して使用してもよい。
本発明の加水分解物(C)は、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)のアルコキシ基またはアシルオキシ基の一部または全部が水酸基に置換されたものである。また、加水分解物(C)の分子間で水酸基同志が縮合していても良い。
これらの加水分解物の製造方法としては、例えば式(1)で表されるオルガノシラン類(X)に、水(オルガノシラン類(X)1モルに対して、例えば1〜10モル)および塩酸や酢酸などを加え、溶液を酸性(例えばpH2〜5)とし、撹拌することによって製造することができる。
また、オルガノシラン類(X)は、1種類を単独で使用しても良いし、数種類を混合して使用しても良い。
中でも、オルガノシラン類(X)として、式(3)で表される3官能オルガノシラン類(X−1)と、式(4)で表されるフェニルシラン類(X−2)あるいは式(5)で表される2官能オルガノシラン類(X−3)を混合して使用することが好ましい。さらに、これらオルガノシラン類(X−1)〜(X−3)を混合して使用することが特に好ましい。
5Si(OR63 (3)
(式中、R5は炭素数1〜10のアルキル基、R6は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。)
PhSi(OR73 (4)
(式中、Phは置換基を有してもよいフェニル基、R7は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。)
8 2Si(OR92 (5)
(式中、R8は炭素数1〜10の有機基、R9は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。)
式(3)で表される3官能オルガノシラン類(X−1)は、第2層形成用シリカ系組成物に使用することで、保護被膜の硬度、耐擦傷性を発現させる成分である。
式(3)において、R5は炭素数1〜10のアルキル基であり、その具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−デシル基等が挙げられる。
式(3)において、R6は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、その具体例として、先に挙げた式(1)のR2と同様のものが挙げられる。
式(3)で表される3官能オルガノシラン類(X−1)の具体例として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリブトキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリブトキシシラン、イソプロピルトリアセトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリブトキシシラン、n−ブチルトリアセトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリプロポキシシラン、イソブチルトリブトキシシラン、イソブチルトリアセトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でも、加水分解や縮合の速度、および得られる保護被膜の硬度、強度、耐擦傷性の点から、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランが好ましい。特に、メチルトリメトキシシランが好ましい。
式(4)で表されるフェニルシラン類(X−2)は、第2層形成用シリカ系組成物に使用することで、第1層との密着性を向上させる成分である。
式(4)において、Phは置換基を有してもよいフェニル基であり、置換基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ハロゲン基等が挙げられる。R7は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、その具体例として、先に挙げた式(1)のR2と同様のものが挙げられる。
フェニルシラン類(X−2)の具体例としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。中でも、加水分解、縮合の速度の速い点から、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが好ましい。
式(5)で表される2官能オルガノシラン類(X−3)は、第2層形成用シリカ系組成物に使用することで、得られる保護被膜の強靱性を付与することができる。
式(5)において、R8は炭素数1〜10の有機基である。なお、R8は、2つが同一である必要はなく、異なっていてもよい。その具体例として、先に挙げた式(1)のR1と同様のものが挙げられる。R9は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。その具体例として、先に挙げた式(1)のR2と同様のものが挙げられる。
式(5)で表される2官能オルガノシラン類(X−3)の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。加水分解速度、縮合速度の速い点から、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランが好ましい。中でも、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが特に好ましい。
また、第2層形成用シリカ系組成物において、1官能あるいは4官能オルガノシラン類(式(1)中、nが3または0である場合。)を、保護被膜の性能を損なわない範囲で併用することもできる。
第2層形成用シリカ系組成物において用いるコロイド状シリカ(D)は、例えば、シリカ微粒子が水に均一に分散したシリカゾル、または親水性溶剤に均一に分散したオルガノシリカゾルである。分散液中のシリカ含有率(固形分濃度)は、10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
このコロイド状シリカ(D)は、保護被膜を形成した際に保護被膜に高硬度、耐擦傷性を付与する成分である。
コロイド状シリカの粒子径は、保護被膜としたときの透明性の点から、100nm以下であることが好ましい。粒子径の下限は1nm以上であることが好ましい。コロイド状シリカの溶剤は、第2層形成用シリカ系組成物に配合した際オルガノシラン類(X)の加水分解物(C)を凝集、沈殿させることなく均一に分散させ、かつ加水分解、縮合等の反応を妨げないという点から、水、メタノール、エタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等の親水性溶剤であることが好ましい。
コロイド状シリカ(D)の具体例として、水分散コロイド状シリカ、メタノール分散コロイド状シリカ、エタノール分散コロイド状シリカ、イソプロパノール分散コロイド状シリカ、エチレングリコール分散コロイド状シリカ、イソブタノール分散コロイド状シリカ等が挙げられる。中でも、他成分と混合した際の安定性の点から、イソプロパノール分散コロイド状シリカが好ましい。市販品としては、日産化学工業(株)製 スノーテックスIPA−ST(商品名)、触媒化成工業(株)製 OSCAL1432(商品名)等が挙げられる。
また、コロイド状シリカにコロイド状のアルミナルやチタンを混合して用いることもできる。
第2層形成用のシリカ系組成物の製造法としては、例えば、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)(好ましくは(X−1)〜(X−3)の混合物)、コロイド状シリカ(D)および水(全シラン化合物の合計1モルに対して、例えば1〜10モル)を混合し、さらに塩酸、酢酸等を加えて混合液を酸性(例えばpH2〜5)にして数時間から数日間撹拌し続け加水分解を充分に進行させる方法がある。このとき、エタノール、イソプロパノール等の親水性溶剤を加えても良い。
また、通常加水分解反応に続いて、縮合反応も進行するが、加水分解が充分に進行した後、縮合反応を進めるために水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウムなどを添加してpHを中性付近(例えば、pH6〜7)に制御しても良い。
第2層形成用シリカ系組成物中の、オルガノシラン類(X)、コロイド状シリカ(D)の使用量比率に関しては、特に制限はなく、所望の保護被膜の性能に応じて適宜決定すればよい。
好ましくは(X)成分に対する(D)成分の仕込みモル数比が、(D)/(X)=250/100〜25/100であることが好ましい。(D)成分の仕込みモル数比が(D)/(X)=250/100より小さいと、得られる保護被膜のクラック発生が抑制される。また、基材との密着性も向上する。一方、(D)の仕込みモル数比が(D)/(X)=25/100より大きいと、得られる保護被膜の表面硬度および耐擦傷性が向上する。より好ましい仕込みモル数比は(D)/(X)=200/100〜50/100である。
オルガノシラン類(X)として、式(3)で表される3官能オルガノシラン類(X−1)、式(4)で表されるフェニルシラン類(X−2)および式(5)で表される2官能オルガノシラン類(X−3)を併用するのが好ましい。
その、使用比率に制限はなく、所望の保護被膜の性能に応じて適宜決定すればよい。好ましい使用比率は、(X−1)〜(X−3)成分の合計仕込みモル対し、それぞれ、40〜94モル%、3〜30モル%、3〜30モル%とするのが好ましい。
(X−1)成分の好ましい使用比率は、(X−1)〜(X−3)成分の合計仕込みモルに対し、40〜94モル%である。(X−1)成分を40モル%以上とすることで、第2層の被膜の硬度、耐擦傷性が向上する。94モル%以下とすることで、第2層の被膜の強度が増し、クラックが発生しにくくなる。より好ましい使用比率は、60〜90モル%である。
(X−2)成分の好ましい使用比率は、(X−1)〜(X−3)成分の合計仕込みモルに対し、3〜30モル%である。(X−2)成分を3モル%以上とすることで、得られる保護被膜とプラスチック基材との密着性が向上する。また、30モル%以下とすることで、得られる保護被膜の硬度と耐擦傷性の低下を抑制することができる。より好ましい使用比率は、5〜20モル%である。
(X−3)成分の好ましい使用比率は、(X−1)〜(X−3)成分の合計仕込みモルに対し、3〜30モル%である。(X−3)成分を3モル%以上とすることで、得られる保護被膜の強靱性が向上する。また、30モル%以下とすることで、得られる保護被膜の硬度と耐擦傷性の低下を抑制することができる。より好ましい使用比率は、5〜20モル%である。
なお、上述した(X)成分、(X−1)成分、(X−2)成分、(X−3)成分および(D)成分の各モル数は、以下の式で示されるものである。
(X)成分のモル数=(オルガノシラン類(X)の仕込み質量)/(オルガノシラン類(X)の分子量)
(X−1)成分のモル数=(3官能オルガノシラン類(X−1)の仕込み質量)/(3官能オルガノシラン類(X−1)の平均分子量)
(X−2)成分のモル数=(フェニルシラン類(X−2)の仕込み質量)/(フェニルシラン類(X−2)の分子量)
(X−3)成分のモル数=(2官能オルガノシラン類(X−3)の仕込み質量)/(2官能オルガノシラン類(X−3)の分子量)
(D)成分のモル数=(コロイド状シリカ溶液中の仕込みシリカ(固形分)質量)/(コロイド状シリカの分子量;60.1(SiO2として))。
本発明の第2層形成用シリカ系組成物は、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上、第1層の保護被膜への密着性向上等を目的として、有機溶媒を含有することが好ましい。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、芳香族化合物類、エステル類などを挙げることができる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどを挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を混合して使用することもできる。
本発明の第2層形成用シリカ系組成物の全固形分濃度は1〜50質量%とするのが好ましい。全固形分濃度を50質量%以下とすることで、シリカ系組成物の保存安定性を保ち、ならびに液の粘度が高くなり過ぎるのを防止して良好な塗膜を得る点で意義が有る。
また、全固形分濃度を1質量%以上とすることで、固形分が低くなりすぎて塗膜が薄くなり、十分な耐擦傷性が得られなくなるのを避ける点で意義が有る。より好ましい全固形分濃度は、5〜40質量%である。
第2層形成用シリカ系組成物には、比較的低い温度でより速く硬化させるために硬化触媒を加えることができる。硬化触媒としては、例えば、カルボン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、過塩素酸塩、アセチルアセトン酸の金属塩、第四級アンモニウムおよび第四級アンモニウム塩等が挙げられる。また、被膜表面の平滑性を向上させるためのレベリング剤(シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等)、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、導電性微粒子等を添加することもできる。
第2層形成用のシリカ系組成物を調製する方法の好適な一例を説明する。
まず、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)を良く混合撹拌する。この混合液を攪拌しながら、適量の水を入れ充分に加水分解する。その際、加水分解を促進するために塩酸、酢酸などによりpH2〜5に調整する。さらにコロイド状シリカ(D)を加え、攪拌を続ける。3〜5時間程度攪拌し、NMR法等により充分に加水分解されているのを確認した後、アンモニウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム水溶液などを添加し、pHを6〜7程度に調整し、約20時間程度攪拌を続け縮合を行う。その後、有機溶媒、必要に応じ硬化剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などを添加し、均一に混合して、第2層形成用シリカ系組成物を得ることができる。
この方法において、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)を複数種類使用する場合(例えば式(3)で表される3官能オルガノシラン類(X−1)、式(4)で表されるフェニルシラン類(X−2)、式(5)で表される2官能オルガノシラン類(X−3)を併用する場合)は、それぞれに適量の水で加水分解した後、混合してもよいし、予め複数種のオルガノシラン(X)を混合した後、適量の水を加え加水分解しても良い。さらには、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)およびコロイド状シリカ(D)を予め混合し、その後加水分解を行っても良い。
このようにして得た第2層形成用シリカ系組成物を用いて、第2層を形成する方法の好適な一例を説明する。
まず、プラスチック基材上に形成された第1層の上に、第2層形成用シリカ系組成物を刷毛塗り、ディップコート、スピンコート、フローコート、スプレーコート、ロールコート等の塗装手段により塗布し、塗膜を形成する。次いで、この塗膜を20〜60℃で5〜60分間乾燥させ、その後80〜130℃で1〜5時間加熱、硬化させることにより、第2層が得られる。
本発明における第2層の膜厚は、1〜10μmとするのが好ましい。厚さを1μm以上とすることで、耐擦傷性を向上させることができる。また、膜厚を10μm以下とすることで、第2層を形成する際にクラックが発生し難くなる。特に好ましい膜厚は、2〜5μmである。
本発明において、プラスチック基材の形状や材質は特に限定されず、従来より樹脂成形品に使用し得るものとして知られる各種のものを使用できる。特に、本発明においては、ポリカーボネートからなる基材を用いることが好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の保護被膜の物性は下記の方法による測定結果を示したものである。
1)外観
目視にて保護被膜を有する樹脂成形品の透明性、クラック、白化の有無を観察し、下記の基準で評価した。
○:透明でクラックおよび白化の欠陥がないもの(良好)。
×:不透明な部分のあったもの、あるいはクラックや白化の欠陥があったもの(不良)。
2)耐擦傷性
保護被膜を有する樹脂成形品の表面を、#000のスチールウールにて、1kg/cm2の圧力を加えて10往復擦り、1cm×3cmの範囲に発生した傷の程度を観察し、以下の基準で評価した。
A:ほとんどキズがつかない。光沢面あり。
B:1〜9本のキズがつく。光沢面あり。
C:10〜99本のキズがつく。光沢面あり。
D:100本以上のキズがつく。光沢面あり。
E:光沢面がなくなる。
3)被膜密着性
樹脂成形品の保護被膜へ、カミソリの刃で1mm感覚に縦横11本ずつの切り目を入れて100個の碁盤目をつくり、セロハンテープをよく密着させた後、45゜手前方向に急激に剥がした後、保護被膜が剥離せずに残存したときのマス目数を数え、以下の基準で評価した。
○:剥離したマス目が無い(密着性良好)。
△:剥離したマス目が1/100〜5/100である(密着性中程度)。
×:剥離したマス目が6/100以上である(密着性不良)。
4)耐熱水性
保護被膜を有する樹脂成形品を95℃の熱水中に2時間浸漬した後に、外観、被膜密着性を下記基準で評価した。
○:透明でクラック、白化の欠陥がなく、被膜密着性があるもの(耐熱水性良好)。
×:試験前と比較して、不透明な部分、クラック、白化の欠陥が増加したもの、被膜密着性が低下したもの(耐熱水性不良)。
5)耐候性
初期物性の良好なものについて、JIS K5400 サンシャインウェザーメーター加速曝露試験(ブラックパネル温度63℃、湿度50%RH、「12分雨有り→48分雨なし」を1サイクルとした。)を実施した。2000時間曝露後と5000時間暴露後の外観、被膜密着性を下記基準で評価した。
○:5000時間暴露後、透明でクラック、白化の欠陥がなく、被膜密着性があるもの(耐候性良好)。
△:2000時間暴露後、透明でクラック及び白化の欠陥がなく、被膜密着性があるものの5000時間暴露後、試験前と比較して、不透明な部分、クラック、白化の欠陥が増加したもの、被膜密着性が低下したもの(耐候性中程度)。
×:2000時間暴露後、試験前と比較して、不透明な部分、クラック、白化の欠陥が増加したもの、被膜密着性が低下したもの(耐候性不良)。
実施例および比較例において、下記化合物を使用した。なお、後記表中の記号は下記を意味する。
・(メタ)アクリル系重合体(A)
P−1:ポリメチルメタクリレート、重量平均分子量約280,000(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−85)。
P−2:ポリメチルメタクリレート、重量平均分子量約188,000(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−85と三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−80の1/1(質量比)混合物)。
P−3:ポリメチルメタクリレート、重量平均分子量約95,000(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−80)。
P−4:ポリメチルメタクリレート、重量平均分子量約480,000(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−88)。
・有機紫外線吸収剤(B)
UVA−1:2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(分子内の水酸基1個あたりの分子量:267)。
UVA−2:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(分子内の水酸基1個あたりの分子量:225)。
UVA−3:2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン(分子内の水酸基1個あたりの分子量:326)。
UVA−4:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(分子内の水酸基1個あたりの分子量:107)。
UVA−5:2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン(分子内の水酸基1個あたりの分子量:137)。
UVA−6:2,2', 4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン(分子内の水酸基1個あたりの分子量:67)。
・オルガノシラン類(X)・・・(C)成分原料
MTMS:メチルトリメトキシシラン (3官能オルガノシラン類(X−1))。
ETMS:エチルトリメトキシシラン (3官能オルガノシラン類(X−1))。
MTES:メチルトリエトキシシラン (3官能オルガノシラン類(X−1))。
PhTMS:フェニルトリメトキシシラン (フェニルシラン類(X−2))。
DMDMS:ジメチルジメトキシシラン (2官能オルガノシラン類(X−3))。
・コロイド状シリカ(D)
IPA−ST:イソプロピルアルコール分散コロイド状シリカ(固形分濃度30質量%、日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックスIPA−ST)。
実施例1
[第1層形成用組成物の調製]
(A)成分としてP−1(重量平均分子量280,000)9gおよび(B)成分としてUVA−1(分子内の水酸基1個あたりの分子量:267)1gを、ジアセトンアルコール30gとプロピレングリコールモノメチルエーテル60gの混合溶剤に十分に溶解し、第1層形成用組成物を得た。
[第2層形成用シリカ系組成物の調製]
(X−1)成分としてMTMS10.9g(0.080mol)、(X−2)成分としてPhTMS1.98g(0.010mol)、(X−3)成分としてDMDMS1.20g(0.010mol)、(D)成分としてIPA−ST40.1g(0.200mol)及び水20.0gを混合した。この溶液を攪拌しつつ、さらに溶液がpH2.0となるように0.05N塩酸を加えた。溶液が発熱するので、水浴で冷却しつつ、液温を約10℃に維持しながら4時間攪拌を続けた。次いで、溶液がpH6.8となるように、酢酸ナトリウムを加え、さらに20時間攪拌した。有機溶剤としてγ−ブチロラクトン12.0gおよびブチルセロソルブ13.9gを加え攪拌し均一溶液とした。さらに、シリコーン系界面活性剤L−7001(商品名、日本ユニカー(株)製)0.01gを添加し、約1時間室温で攪拌し、第2層形成用シリカ系組成物を得た。
[保護被膜の形成]
板厚3.0mmのポリカーボネート板(筒中プラスチック(株)製、商品名:ポリカエースEXK100)上に、第1層形成用組成物をディップコート法(引き上げ速度約30cm/分)で塗布し、室温で約30分自然乾燥し、その後乾燥器により120℃で0.5時間加熱乾燥することにより、第1層を形成した。次いで、第1層を形成したポリカーボネート板上に、第2層形成用シリカ系組成物をディップコート法(引き上げ速度約50cm/分)で塗布し、室温で約20分自然乾燥し、その後乾燥器により120℃で2時間加熱、硬化することにより第2層を形成し、ポリカーボネート基材上に2層構造の保護被膜を有する樹脂成形品を得た。第1層の膜厚は4.1μmであり、第2層の膜厚は3.0μmであった。この樹脂成形品は、優れた外観、被膜密着性、耐熱水性、耐候性を有していた。評価結果を第1表に示した。
実施例2〜10
表1に示す各種組成の保護被膜形成用組成物を実施例1と同様の方法で調整し、実施例1と同様の方法にて保護被膜を有する樹脂成形品を作製した。これらの樹脂成形品について、実施例1と同様に評価し、その結果を第1表に示した。実施例2〜7で得た樹脂成形品は、実施例1と同様に優れた外観、被膜密着性、耐熱水性、耐候性を有していた。
Figure 2005028795
Figure 2005028795
比較例1〜4
表2に示す各種組成の保護被膜形成用組成物を実施例1と同様の方法で調整し、実施例1と同様の方法にて保護被膜を有する樹脂成形品を作製した。得られた樹脂成形品について、実施例1と同様に評価し、その結果を第2表に示した。
比較例5
(A)成分として、P−1に代えてP−4(重量平均分子量約480,000)を使用する以外は、実施例1と同様の方法にて保護被膜を有する樹脂成形品の作製を試みた。その結果、得られた第1層は、表面に凸凹が発生し、均一かつ平滑な被膜とならなかったため、実験を中止した。
比較例6
第2層を形成せず、第1層のみをポリカーボネート板上に形成したこと以外は、実施例1と同様の方法にて保護被膜を有する樹脂成形品を作製した。得られた樹脂成形品について、実施例1と同様に評価し、その結果を第2表に示した。
比較例7
第1層を形成せず、第2層のみをポリカーボネート板上に形成したこと以外は、実施例1と同様の方法にて保護被膜を有する樹脂成形品を作製した。得られた樹脂成形品について、実施例1と同様に評価し、その結果を第2表に示した。
比較例8
保護被膜を形成することなく、実施例1で用いたと同じポリカーボネート板をそのまま実施例1と同様に評価し、その結果を第2表に示した。
Figure 2005028795
Figure 2005028795
第1表および第2表から明らかなように、実施例の樹脂成形品は、比較例のものと比べて、外観、被膜密着性、耐擦傷性、耐熱水性、および耐候性が良好であった。
以上に示したように、本発明によれば、外観、耐擦傷性、耐熱水性、および耐候性に優れかつプラスチック基材との十分な密着性を有する保護被膜を形成した、耐擦傷性、耐熱水性、および耐候性に優れた樹脂成形品を得ることができる。

Claims (2)

  1. プラスチック基材上に、以下の2層構造の保護被膜を有する樹脂成形品:
    第1層) プラスチック基材上に形成された層であって、重量平均分子量が150,000〜400,000である(メタ)アクリル系重合体(A)および分子内の水酸基1個あたりの分子量が200〜1,000である有機紫外線吸収剤(B)を含む層;
    第2層) 第1層上に形成された層であって、式(1)で表されるオルガノシラン類(X)の加水分解物(C)およびコロイド状シリカ(D)を含むシリカ系組成物を加熱硬化して得られる層。
    1 nSi(OR24-n (1)
    (式中、R1は炭素数1〜10の有機基、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。nは1または2である。)
  2. プラスチック基材がポリカーボネートからなる請求項1記載の樹脂成形品。

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