JP2013195883A - フォトクロミックレンズの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジエチレングリコールビスアリルカーボネート系レンズ基材上に直接または間接的にフォトクロミック層を有する積層体を形成すること、上記積層体を吸水率低減工程に付すことにより該積層体表面の吸水量を5×10-6g/cm2以下に低減すること、および、上記吸水率低減工程後の積層体表面上に直接コーティング組成物を塗布し、次いで加熱処理を施すことにより硬化被膜を形成すること、を含むことを特徴とするフォトクロミックレンズの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
[1]ジエチレングリコールビスアリルカーボネート系レンズ基材上に直接または間接的にフォトクロミック層を有する積層体を形成すること、
上記積層体を吸水率低減工程に付すことにより該積層体表面の吸水量を5×10-6g/cm2以下に低減すること、および、
上記吸水率低減工程後の積層体表面上に直接コーティング組成物を塗布し、次いで加熱処理を施すことにより硬化被膜を形成すること、
を含むことを特徴とするフォトクロミックレンズの製造方法。
[2]前記フォトクロミック層を、アクリル系硬化性成分とフォトクロミック色素とを含む組成物を塗布し、次いで硬化処理を施すことにより形成する[1]に記載のフォトクロミックレンズの製造方法。
[3]前記コーティング組成物として、有機ケイ素化合物および金属酸化物粒子を含む熱硬化性組成物を用いる[1]または[2]に記載のフォトクロミックレンズの製造方法。
[4]前記吸水率低減工程を、加熱処理および湿度制御された環境下での保管からなる群から選ばれる手段によって行う[1]〜[3]のいずれか1項に記載のフォトクロミックレンズの製造方法。
以下、本発明のフォトクロミックレンズの製造方法について、更に詳細に説明する。
ここで形成されるハードコート層、プライマー層の厚さはいずれも、例えば0.5〜10μm程度である。なお、レンズ基材としてはハードコート付きで市販されているものもあり、本発明ではそのようなレンズ基材上にフォトクロミック層を形成することもできる。
フォトクロミック層形成のために使用可能な硬化性成分は、特に限定されず、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基、スチリル基等のラジカル重合性基を有する公知の重合性モノマーやオリゴマー、それらのプレポリマーを用いることができる。これらのなかでも、入手のし易さ、硬化性の良さから(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基をラジカル重合性基として有する化合物が好ましい。即ち、フォトクロミック層に含まれる樹脂成分は、アクリル系モノマーの重合反応により形成される樹脂(アクリル系樹脂)であることが好ましい。なお、前記(メタ)アクリロイルは、アクリロイルとメタクリロイルの両方を示し、(メタ)アクリロイルオキシとは、アクリロイルオキシとメタクリロイルオキシの両方を示す。その詳細については、WO2008/001578A1段落[0050]〜[0075]を参照できる。
フォトクロミック液に添加し得るフォトクロミック色素としては、公知のものを使用することができ、例えば、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物等のフォトクロミック化合物が挙げられ、本発明においては、これらのフォトクロミック化合物を特に制限なく使用することができる。その詳細については、WO2008/001578A1段落[0076]〜[0088]を参照できる。フォトクロミック液中のフォトクロミック色素の濃度は、前記硬化性成分100質量部に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜10質量部とすることが更に好ましい。
フォトクロミック液に添加する重合開始剤は、重合方法に応じて、公知の熱重合開始剤および光重合開始剤から適宜選択することができる。それらの詳細については、WO2008/001578A1段落[0089]〜[0090]を参照できる。
フォトクロミック液には、フォトクロミック色素の耐久性の向上、発色速度の向上、退色速度の向上や成形性の向上のために、さらに界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。これら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用できる。その詳細については、WO2008/001578A1段落[0092]〜[0097]を参照できる。
(R1)a(R3)bSi(OR2)4-(a+b) ・・・(I)
R2で表される炭素数1〜4のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、オレイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
R2で表される炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
R3で表される炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖または分岐のアルキル基であって、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
R3で表される炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、特開2007−077327号公報段落[0073]に記載されているものを挙げることができる。一般式(I)で表される有機ケイ素化合物は硬化性基を有するため、塗布後に硬化処理を施すことにより、硬化膜としてハードコート層を形成することができる。
(1)プライマー層の形成
プラスチックレンズ基材として、メニスカス形状のジエチレングリコールビスアリルカーボネート(HOYA(株)製 商品名ハイルックス、中心肉厚2.0mm厚、直径75mm、凸面の表面カーブ(平均値)約+0.8)を使用し、レンズ基材の凸面上に、プライマー液としてポリウレタン骨格にアクリル基を導入したポリウレタンの水分散液(ポリカーボネートポリオール系ポリウレタンエマルジョン、粘度100CPS、固形分濃度38質量%)をスピンコート法により塗布した後、温度25℃湿度50%RHの雰囲気下で15分風乾処理し、厚さ約7μmのプライマー層を形成した。
プラスチック製容器にトリメチロールプロパントリメタクリレート20質量部、BPEオリゴマー(2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン)35質量部、EB6A(ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート)10質量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート10質量部からなるラジカル重合性組成物を調製した。このラジカル重合性組成物100質量部に対し、フォトクロミック色素として下記クロメン1を3質量部、ヒンダートアミン系酸化防止剤(BASF社Chimassorb2020)を5質量部、紫外線重合開始剤としてCGI−1870(BASF社製)0.6質量部を添加して十分に攪拌混合を行った組成物に、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製KBM503)を攪拌しながら6質量部滴下した。その後、自転公転方式攪拌脱泡装置にて2分間脱泡することで、フォトクロミック性を有する硬化性組成物を得た。
上記(1)で形成したプライマー層上に、(2)で調製した硬化性組成物をスピンコート法でコーティングした。その後、このレンズを窒素雰囲気中(酸素濃度500ppm以下)にて、UVランプ(Dバルブ)で波長405nmの紫外線を積算光量で1800mJ/cm2(100mW/cm2、3分)照射し、さらに、100℃、60分間硬化処理を行い、厚さ40μmのフォトクロミック層を形成した。
上記(3)の後に得られた積層体を、炉内温度80℃の加熱炉内に2時間放置することで吸水率低減工程を行った。
マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン17質量部、メタノール30質量部、および、水分散コロイダルシリカ(固形分40質量%、平均粒子径15nm)28質量部を加え充分に混合し、5℃で24時間攪拌を行った。次に、プロピレングリコールモノメチルエーテル15質量部、シリコ−ン系界面活性剤0.05質量部、および、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネ−トを1.5質量部加え、充分に撹拌した後、濾過を行ってハードコーティング液(コーティング組成物)を調製した。
上記(4)の後、加熱炉から取り出して1時間以内に、積層体のフォトクロミック層表面上に、上記(5)で調製したハードコーティング液を用いて、ディッピング法(引き上げ速度20cm/分)でコーティングを行い、100℃、60分加熱硬化することで、厚さ3μmのハードコート層を形成した。
実施例1の(4)に代えて、積層体を温度23℃、相対湿度70%のクリーンルーム内に1週間放置することで吸水率低減工程を行い、クリーンルームから取り出して1時間以内にハードコート層の形成を行った点以外、実施例1と同様としてフォトクロミックレンズを得た。
実施例1の(4)に代えて、積層体をアルミパック包装袋内に1週間保管することで吸水率低減工程を行い、アルミパックから取り出して1時間以内にハードコート層の形成を行った点以外、実施例1と同様としてフォトクロミックレンズを得た。
実施例1の(4)の吸水率低減工程を行わず、積層体を2時間、温湿度制御なしの環境下に放置した点以外、実施例1と同様としてフォトクロミックレンズを得た。
実施例1の(4)の吸水率低減工程を行わず、積層体を1週間、温湿度制御なしの環境下に放置した点以外、実施例1と同様としてフォトクロミックレンズを得た。
実施例1〜3については、各実施例と同様の方法で作製した積層体について、吸水率低下工程の実施前の質量を測定した。その後、積層体に対して吸水率低減工程を行った後、1時間以内に該積層体を温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中に1分間放置した後、該雰囲気から取り出して1分以内に積層体の質量を測定した。吸水率低減工程による質量増加分を積層体の表面積で除することにより単位面積あたりの吸水量を求めた。
比較例1、2については、各比較例と同様の方法で作製した積層体について、温湿度制御なしの環境に放置する前に質量測定を行い、その後、放置後にも質量を測定し、放置後の質量増加分を積層体の表面積で除することで、単位面積あたりの吸水量を求めた。
算出された吸水量を、表1に示す。
作製したフォトクロミックレンズについて、三波長型蛍光灯の反射光および透過光による外観検査によって、凸面に目視で確認されるクラック(長さ数cm程度)が存在するか否かを評価した。目視でクラックが確認されたレンズは、眼鏡レンズとしての外観特性を満たさないものとして不良品と判定し、確認されないレンズはレンズとしての外観特性を満たすものとして良品と判定した。各実施例、比較例について30枚のレンズを上記検査に付し、クラック発生率=(不良品数/レンズ総数(30枚))×100としてクラック発生率を求めた。結果を表1に示す。
以上の結果から、比較例1、2のレンズにおけるクラックはハードコート層およびフォトクロミック層において発生しており、実施例1〜3ではハードコート層形成前に吸水率低減工程により吸水量を5×10-6g/cm2以下に低減したことで、クラックのない優れた外観を有するフォトクロミックレンズが得られたことが確認できる。
Claims (4)
- ジエチレングリコールビスアリルカーボネート系レンズ基材上に直接または間接的にフォトクロミック層を有する積層体を形成すること、
上記積層体を吸水率低減工程に付すことにより該積層体表面の吸水量を5×10-6g/cm2以下に低減すること、および、
上記吸水率低減工程後の積層体表面上に直接コーティング組成物を塗布し、次いで加熱処理を施すことにより硬化被膜を形成すること、
を含むことを特徴とするフォトクロミックレンズの製造方法。 - 前記フォトクロミック層を、アクリル系硬化性成分とフォトクロミック色素とを含む組成物を塗布し、次いで硬化処理を施すことにより形成する請求項1に記載のフォトクロミックレンズの製造方法。
- 前記コーティング組成物として、有機ケイ素化合物および金属酸化物粒子を含む熱硬化性組成物を用いる請求項1または2に記載のフォトクロミックレンズの製造方法。
- 前記吸水率低減工程を、加熱処理および湿度制御された環境下での保管からなる群から選ばれる手段によって行う請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトクロミックレンズの製造方法。
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JP2005239887A (ja) * | 2004-02-26 | 2005-09-08 | Tokuyama Corp | 重合硬化性組成物 |
JP2008256732A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-23 | Hoya Corp | フォトクロミックレンズの保存方法および製造方法 |
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