JP2013205559A - フォトクロミックレンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好なフォトクロミック性能を有するとともに、高い耐久性を有するフォトクロミックレンズを提供すること。
【解決手段】レンズ基材上に硬化被膜中にフォトクロミック色素を含むフォトクロミック層を有するフォトクロミックレンズの製造方法。レンズ基材上にフォトクロミック色素未含有の光硬化性組成物を塗布して塗布膜を形成すること、上記塗布膜に光硬化処理を施すことによって硬化被膜を形成すること、フォトクロミック色素を加熱により昇華させ上記硬化被膜表面に付着させること、および、上記フォトクロミック色素が表面に付着した硬化被膜を加熱することにより該硬化被膜表面から内部に向かってフォトクロミック色素を拡散させること、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、フォトクロミックレンズの製造方法に関するものであり、詳しくは、良好なフォトクロミック特性と耐久性とを兼ね備えたフォトクロミックレンズの製造方法に関するものである。
近年、有機フォトクロミック染料を応用したフォトクロミックレンズが眼鏡用として市販されている(例えば特許文献1参照)。これらは明るい屋外で発色して高濃度のカラーレンズと同様な防眩効果を有し、室内に移ると高い透過率を回復するものである。
フォトクロミックレンズには、所定の光が入射するとすばやく応答して高濃度で発色し、かつ上記光がない環境下に置かれると速やかに退色することが求められる。従来、このフォフォトクロミックレンズの発退色の反応速度および発色濃度は、分子構造に起因するフォトクロミック色素固有の特性に依存すると考えられていた。そのため、特定の分子構造を有するフォトクロミック色素を使用することにより、フォトクロミック層の光に対する応答性(反応速度および発色濃度)を改善することが検討されてきた。
これに対し、近年、フォトクロミック層に適度な柔軟性(流動性)を持たせることにより、膜中でフォトクロミック色素が動き易くなり、発退色の反応速度および発色濃度が大きく向上することが報告されている(特許文献2参照)。
WO2005/014717A1 WO2008/001578A1
特許文献2に記載されているようにフォトクロミック層の硬度を下げることは良好なフォトクロミック性能を有するフォトクロミックレンズを得るための有効な手段であるが、柔らかいフォトクロミック層は表面に傷がつきやすいため、耐久性の点では不利である。レンズ表面の耐久性については、フォトクロミック層上に硬い被膜(ハードコート、反射防止膜等)を形成することで耐久性向上を図ることも考えられるが、高硬度の被膜の下層に柔軟なフォトクロミック層が存在すると、眼鏡レンズを枠入れする際や眼鏡使用時などに被膜表面に加わる衝撃を下層の硬さによって緩和することができないため、被膜表面にクラック、傷等が発生し、やはり耐久性は低下してしまう。
以上の通り、フォトクロミックレンズにおけるフォトクロミック性能と耐久性の両立は、従来困難であった。
そこで本発明の目的は、良好なフォトクロミック性能を有するとともに、高い耐久性を有するフォトクロミックレンズを提供することにある。
フォトクロミック層を光照射により硬化する硬化被膜として形成する場合、硬化のための光照射を行うと、その光に応答してフォトクロミック色素が発色するため、硬化用に照射された光の膜内部への透過が抑制される。これにより光硬化の進行が妨げられ膜硬度が低下することは、上記の通りフォトクロミック性能の観点からは有利であるが、耐久性向上の点からは望ましくない。
これに対し本発明者は鋭意検討を重ねた結果、フォトクロミック色素未含有の硬化被膜を光硬化により形成したうえ、この硬化被膜に昇華染色によってフォトクロミック色素を後付加する方法により、高い耐久性と良好なフォトクロミック性能を有するフォトクロミックレンズが得られることを新たに見出した。この点について本発明者は、以下のように推察している。
(1)上記方法によれば、硬化被膜の光硬化時には膜中にフォトクロミック色素が存在しないため、該色素の存在により光硬化の進行が妨げられることなく高硬度の被膜形成が可能となる。加えて、フォトクロミック色素により光硬化の進行が妨げられることがないため、所望の硬度の硬化被膜を形成するための光照射時間を短縮することもできる。
(2)フォトクロミック色素を含む硬化性組成物を塗布し硬化させることでフォトクロミック層を形成する方法ではフォトクロミック層内部にフォトクロミック色素の濃度勾配を付けることは困難であるのに対し、昇華染色は表面から内部に向かって色素を拡散させるという染色方式のため、昇華染色によればフォトクロミック色素を層内部に比べて表層部に高濃度に存在させることができる。フォトクロミックレンズでは、光が入射する物体側表面近傍、即ちフォトクロミック層表層部にフォトクロミック色素が高濃度に存在することがフォトクロミック性能の向上に有利であるところ、前記方法によって硬度は高いものの良好なフォトクロミック性能を発現するフォトクロミック層の形成が可能となる理由は、昇華染色によりフォトクロミック層表層部に高濃度でフォトクロミック色素を存在させることができる点にあると考えられる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]レンズ基材上に硬化被膜中にフォトクロミック色素を含むフォトクロミック層を有するフォトクロミックレンズの製造方法であって、
レンズ基材上にフォトクロミック色素未含有の光硬化性組成物を塗布して塗布膜を形成すること、
上記塗布膜に光硬化処理を施すことによって硬化被膜を形成すること、
フォトクロミック色素を加熱により昇華させ上記硬化被膜表面に付着させること、および、
上記フォトクロミック色素が表面に付着した硬化被膜を加熱することにより該硬化被膜表面から内部に向かってフォトクロミック色素を拡散させること、
を含むことを特徴とするフォトクロミックレンズの製造方法。
[2]前記光硬化性組成物の塗布をスピンコートにより行う[1]に記載のフォトクロミックレンズの製造方法。
本発明によれば、良好なフォトクロミック性能と高い耐久性を兼ね備えた、眼鏡レンズとして好適なフォトクロミックレンズを提供することができる。
本発明は、レンズ基材上に硬化被膜中にフォトクロミック色素を含むフォトクロミック層を有するフォトクロミックレンズの製造方法に関する。本発明のフォトクロミックレンズの製造方法は、以下の工程(1)〜(4)を含むことにより、良好なフォトクロミック性能と高い耐久性とを兼ね備えたフォトクロミックレンズの提供を可能とするものである。
(1)レンズ基材上にフォトクロミック色素未含有の光硬化性組成物を塗布して塗布膜を形成すること;
(2)上記塗布膜に光硬化処理を施すことによって硬化被膜を形成すること;
(3)フォトクロミック色素を加熱により昇華させ上記硬化被膜表面に付着させること;および、
(4)上記フォトクロミック色素が表面に付着した硬化被膜を加熱することにより該硬化被膜表面から内部に向かってフォトクロミック色素を拡散させること。
以下、本発明のフォトクロミックレンズの製造方法について、更に詳細に説明する。
工程(1)
その上に塗布膜が形成されるレンズ基材としては、眼鏡レンズのレンズ基材に通常使用される材料、例えば、ポリウレタン系材料(例えばポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリチオウレタン)、ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等のプラスチック、無機ガラス、等からなるものを用いることができる。レンズ基材の厚さおよび直径は、特に限定されるものではないが、通常、厚さは1〜30mm程度、直径は50〜100mm程度である。本発明により製造されるフォトクロミックレンズが視力矯正用の眼鏡レンズの場合、レンズ基材としては、屈折率ndが1.5〜1.8程度のものを使用することが通常である。レンズ基材としては、通常無色のものが使用されるが、透明性を損なわない範囲で着色したものを使用することもできる。また、その上に塗布膜が形成される基材の表面形状は特に限定されず、平面、凸面、凹面等の任意の形状であることができる。
フォトクロミック層は通常、レンズ基材上に直接または一層以上の機能性膜を介して間接的に設けられる。フォトクロミック層とレンズ基材との間に形成され得る機能性膜の一例としては、ハードコートやプライマーを挙げることができる。ここで形成されるハードコートは無機蒸着膜であってもよく、有機系ハードコートであってもよい。または、レンズ基材上に耐摩耗性を付与するために、特表2001−520699号公報に記載されている組成物から形成されたハードコートを設けることも可能である。また、レンズ基材とフォトクロミック層との間に形成されるプライマーとしては、接着層として機能し得る、ポリウレタン等の公知の樹脂を用いることができる。
ここで形成されるハードコート、プライマーの厚さはいずれも、例えば0.5〜10μm程度である。なお、レンズ基材としてはハードコート付きで市販されているものもあり、本発明では、そのようなレンズ基材を用いることもできる。
従来の方法において光硬化によりフォトクロミック層を形成するために使用される光硬化性組成物は、光硬化性成分、重合開始剤および任意に添加される添加剤とともに、フォトクロミック色素を含むものであるが、本発明ではフォトクロミック色素を含まない光硬化性組成物を用いて硬化被膜を形成した後に、この硬化被膜に昇華染色によりフォトクロミック色素を後付加することで、先に説明したように、フォトクロミック性能と耐久性との両立が可能となる。
以下、本発明において使用される光硬化性組成物(被膜形成用塗布液)に含まれ得る各種成分について、順次説明する。
(i)硬化性成分
本発明においてフォトクロミック層形成のために使用可能な硬化性成分は、光により硬化する性質を有するものである限り特に限定されず、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基、スチリル基等のラジカル重合性基を有する公知の光重合性モノマーやオリゴマー、それらのプレポリマーを挙げることができる。これらのなかでも、入手のし易さ、硬化性の良さから(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基をラジカル重合性基として有する化合物が好ましい。即ち、本発明では硬化被膜として、アクリル系化合物の重合反応により形成される樹脂(アクリル系樹脂)を樹脂成分として含む硬化被膜を形成することが好ましい。なお、前記(メタ)アクリロイルは、アクリロイルとメタクリロイルの両方を示し、(メタ)アクリロイルオキシとは、アクリロイルオキシとメタクリロイルオキシの両方を示す。その詳細については、WO2008/001578A1段落[0050]〜[0075]を参照できる。
(ii)重合開始剤
光硬化性組成物に添加する重合開始剤としては公知の光重合開始剤を使用することができ、その詳細については、WO2008/001578A1段落[0089]〜[0090]を参照できる。
(iii)添加剤
光硬化性組成物には、昇華染色により硬化被膜に後付加されるフォトクロミック色素の耐久性の向上、発色速度の向上、退色速度の向上や成形性の向上のために、さらに界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。これら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用できる。その詳細については、WO2008/001578A1段落[0092]〜[0097]を参照できる。
以上説明した成分を含む光硬化性組成物を塗布および光照射により硬化することにより、レンズ基材上に硬化被膜を形成することができる。本発明において、光硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、所定量の各成分を秤取り混合することにより光硬化性組成物を得ることができる。なお、各成分の添加順序は特に限定されず全ての成分を同時に添加してもよいし、モノマー成分のみを予め混合し、重合させる直前に他の成分を添加・混合してもよい。前記光硬化性組成物は、25℃での粘度が20〜500cpsであることが好ましく、50〜300cpsであることがより好ましく、60〜200cpsであることが特に好ましい。この粘度範囲とすることにより、光硬化性組成物の塗布が容易となり、所望の厚さの硬化被膜を容易に得ることができる。光硬化性組成物の塗布は公知の塗布方法で行うことができ、形成される塗布膜の膜厚の均一性の観点からは、スピンコート法を使用することが好ましい。
工程(2)
以上説明した工程(1)によりレンズ基材上に形成された塗布膜に対して光硬化処理を施すことにより、フォトクロミック色素が後付加される硬化被膜が形成される。照射される光は、通常は紫外線である。光硬化処理は、塗布膜に含まれる硬化性成分の種類に応じた光照射条件による光照射によって行うことができる。本発明では、ここで光硬化処理が施される塗布膜にはフォトクロミック色素が含まれていないため、フォトクロミック色素の発色により硬化反応が妨げられることなく高硬度の被膜を形成することができる。ここで形成される硬化被膜の厚さは、最終的に形成されるフォトクロミック層においてフォトクロミック特性を良好に発現させる観点から、10μm以上であることが好ましく、20〜60μmであることが更に好ましい。なお後述の工程(3)〜(4)の昇華染色によりフォトクロミック色素が後付加される前後で膜厚の実質的変化はない。
従来の方法では、光硬化処理により形成される硬化被膜中にフォトクロミック色素が含まれているが、本発明では以下に記載の工程(3)〜(4)の硬化染色により、上記工程(1)〜(2)により形成された硬化被膜にフォトクロミック色素を後付加する。
工程(3)
昇華染色により前記硬化被膜に後付加されるフォトクロミック色素としては、公知のものを使用することができ、例えば、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物等のフォトクロミック化合物が挙げられ、本発明においては、これらのフォトクロミック化合物を特に制限なく使用することができる。その詳細については、WO2008/001578A1段落[0076]〜[0088]を参照できる。
前記硬化被膜表面を上に向けた状態で、またはフォトクロミック色素を付着させた基板と前記硬化被膜表面が対向するように、レンズをチャンバー内に配置するとともに、同チャンバー内でフォトクロミック色素を加熱により昇華させることで、前記硬化被膜表面にフォトクロミック色素を付着させることができる。ここでフォトクロミック色素を付着させる基板としては耐熱性の点からガラス基板が好ましく、例えば特開2010−204640号公報段落[0011]を参照できる。フォトクロミック色素は粉末状態で基板表面に載せてもよく、または溶剤等と混合して塗布液として基板表面に塗布してもよい。フォトクロミック色素は常温で粉末状のものが多いため前者の方法が簡便で有利である。フォトクロミック色素を加熱昇華させるための加熱温度としては、フォトクロミック色素およびレンズが配置されているチャンバー内の雰囲気温度として、200〜250℃とすることが好ましく、またチャンバー内の真空度は2〜700Paとすることが好ましい。フォトクロミック色素は、一般的に使用される昇華性染料と比べて昇華温度が高いため、通常の昇華染色法の染色時の加熱温度を高くし、また真空度を低くすることが、良好な染色を行ううえで有利である。また、フォトクロミック色素は、作業性の観点からは基板1cm2あたり0.1〜0.5g程度載せることが適当である。また、最終的に形成されるフォトクロミック層中に樹脂成分100質量部に対して0.01〜20質量部程度(好ましくは0.1〜10質量部程度)のフォトクロミック色素が含まれるように、昇華条件を決定することが好ましい。
工程(4)
本発明では、上記工程(3)の後、フォトクロミック色素が表面に付着した硬化被膜を加熱する。これにより硬化被膜表面から内部に向かってフォトクロミック色素を拡散させることができるが、こうして形成されるフォトクロミック層は、後述の実施例で示すように、従来の方法で作製されたフォトクロミック層と比べて、フォトクロミック性能には不利と考えられている高硬度な被膜であるにもかかわらず、同等以上のフォトクロミック性能を示すものであった。これは先に説明したように、昇華染色の染色方式に起因し、フォトクロミック性能の発現に主に寄与するフォトクロミック層表層部にフォトクロミック色素を局在させることができることによるものと、本発明者は推察している。上記加熱温度は、レンズ基材および被膜が熱により変質しない程度の温度とすることが好ましく、通常70〜160℃程度であり、80〜160℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、120〜160℃がより一層好ましく、135〜160℃がさらに好ましい。ここでの加熱は減圧下または加圧下で実施することもできるが、大気圧下で実施することが好ましい。加熱時間は、30秒〜150分とすることができ、1分〜150分が好ましく、30分〜150分がより好ましく、40分〜120分がさらに好ましい。
以上説明した工程(1)〜(4)により、レンズ基材上に硬化被膜中にフォトクロミック色素を含むフォトクロミック層を形成することができる。形成されたフォトクロミック層には、公知の方法により、ハードコート、反射防止膜、撥水膜、紫外線吸収膜、赤外線吸収膜、帯電防止膜等の各種機能性膜を形成することもできる。
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[比較例1]
(1)プライマー層の形成
プラスチックレンズ基材として、メニスカス形状のジエチレングリコールビスアリルカーボネート(HOYA(株)製 商品名CR−39、中心肉厚2.0mm厚、直径75mm、凸面の表面カーブ(平均値)約+0.8)を使用し、レンズ基材の凸面上に、プライマー液としてポリウレタン骨格にアクリル基を導入したポリウレタンの水分散液(ポリカーボネートポリオール系ポリウレタンエマルジョン、粘度100mPa・s、固形分濃度38質量%)をスピンコート法により塗布した後、温度25℃湿度50%RHの雰囲気下で15分風乾処理し、厚さ約7μmのプライマー層を形成した。
(2)フォトクロミックコーティング液の調製
プラスチック製容器にトリメチロールプロパントリメタクリレート20質量部、BPEオリゴマー(2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン)35質量部、EB6A(ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート)10質量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート10質量部からなるラジカル重合性組成物を調製した。このラジカル重合性組成物100質量部に対し、フォトクロミック色素として下記クロメン1を3質量部、ヒンダートアミン系酸化防止剤(BASF社Chimassorb2020)を5質量部、紫外線重合開始剤としてCGI−1870(BASF社製)0.6質量部を添加して十分に攪拌混合を行った組成物に、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製KBM503)を攪拌しながら6質量部滴下した。その後、自転公転方式攪拌脱泡装置にて2分間脱泡することで、フォトクロミック性を有する硬化性組成物を得た。
Figure 2013205559
(3)フォトクロミック層の形成
上記(1)で形成したプライマー層上に、(2)で調製した硬化性組成物をスピンコート法でコーティングした。その後、このレンズを窒素雰囲気中(酸素濃度500ppm以下)にて、UVランプ(Dバルブ)で波長405nmの紫外線を積算光量で1800mJ/cm2(100mW/cm2、3分)照射し、さらに、100℃、60分間硬化処理を行い、厚さ40μmのフォトクロミック層を形成した。
[実施例1]
(1)フォトクロミック色素未含有の硬化被膜の形成
上記比較例1の(2)において、硬化性組成物の成分からフォトクロミック色素を除いた点以外は、比較例1と同様の方法で、レンズ基材上のプライマー層表面に硬化被膜を形成した。
(2)昇華染色による硬化被膜へのフォトクロミック色素後付加
真空チャンバー内へ、比較例1で使用したフォトクロミック色素の粉末を基板表面1cm2あたり0.1gの量で載せたガラス基板を配置した。次いで同チャンバー内に、上記(1)で硬化被膜を形成したレンズを、ガラス基板の色素を配置した面と凸面が対向するように配置した後、チャンバー内を250℃、7Paに加熱減圧し、約10分かけて基板上の色素を昇華させ硬化被膜表面に付着させた。
次いで、フォトクロミック色素が付着したレンズを加熱炉内(炉内温度150℃、大気圧)で60分間加熱処理し、硬化被膜表面に付着したフォトクロミック色素を被膜内部に向けて拡散させた。
以上の工程により、厚さ40μmの硬化被膜にフォトクロミック色素が後付加されたフォトクロミック層が形成された。
被膜耐久性の評価
往復摩擦摩耗試験機(新東科学株式会社製HEIDON)を用いて、実施例1、比較例1で作製したフォトクロミック層の耐久性を評価した。スチールボールを圧子として設置し、フォトクロミック層表面に荷重をかけ続けながら一方向に移動させたところ、比較例1で作製したフォトクロミック層は荷重2000gで目視で確認される重度の傷が発生したが、実施例1で作製したフォトクロミック層は同荷重で傷が発生せず、膜硬度が高く優れた耐久性を有することが確認された。
[比較例2]
上記比較例1の(3)において、スピンコート条件および硬化処理条件を調整することで、比較例1で作製したフォトクロミック層と同等の硬度を有する厚さ10μmのフォトクロミック層を形成した点以外、比較例1と同様の方法でフォトクロミックレンズを作製した。
フォトクロミック性能の評価
実施例1で使用したフォトクロミック色素量は、比較例2で使用したフォトクロミック色素量と同量である。
分光光度計を用いて、実施例1、比較例2で作製したフォトクロミックレンズの紫外線透過率を測定したところいずれも40%であり、実施例1で作製したフォトクロミックレンズが、比較例2で作製したフォトクロミックレンズと同等の光応答性を示すことが確認された。
実施例1で作製したフォトクロミックレンズは、上記の通りフォトクロミック層の膜硬度が高い。従来の方法で作製されたフォトクロミック層では、膜硬度を高くすることはフォトクロミック性能に対して不利に働くことが報告されているが、本発明によれば昇華染色により硬化被膜にフォトクロミック色素を後付加してフォトクロミック層を形成することで、高硬度かつ良好なフォトクロミック性能を示すフォトクロミックレンズを得ることができる。
本発明は、眼鏡レンズの製造分野に有用である。

Claims (2)

  1. レンズ基材上に硬化被膜中にフォトクロミック色素を含むフォトクロミック層を有するフォトクロミックレンズの製造方法であって、
    レンズ基材上にフォトクロミック色素未含有の光硬化性組成物を塗布して塗布膜を形成すること、
    上記塗布膜に光硬化処理を施すことによって硬化被膜を形成すること、
    フォトクロミック色素を加熱により昇華させ上記硬化被膜表面に付着させること、および、
    上記フォトクロミック色素が表面に付着した硬化被膜を加熱することにより該硬化被膜表面から内部に向かってフォトクロミック色素を拡散させること、
    を含むことを特徴とするフォトクロミックレンズの製造方法。
  2. 前記光硬化性組成物の塗布をスピンコートにより行う請求項1に記載のフォトクロミックレンズの製造方法。
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