以下に添付図面を参照して、本発明に係る昇降装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1〜図4−2は、本発明の実施の形態である昇降装置を適用した自動販売機を示したものである。ここで例示する自動販売機は、容器入り商品や箱入り商品等の定形商品、あるいは袋入り商品等の不定形商品を販売対象とする汎用のもので、本体キャビネット10及び外扉20を備えている。
本体キャビネット10は、前面が開口した箱状を成すものである。外扉20は、厚さ寸法の大きな平板状を成すもので、本体キャビネット10の前面開口を開閉する態様で本体キャビネット10の一側部に保持させてある。図には明示していないが、本体キャビネット10及び外扉20は、それぞれ断熱機能を有しており、本体キャビネット10の前面開口を外扉20によって閉塞した場合に、本体キャビネット10の内部に断熱空間となる商品収納庫11を構成する。
本体キャビネット10の商品収納庫11には、上下方向に沿って複数段の商品収納棚12が設けてある。商品収納棚12は、前後方向に沿って複数の商品を収納する収納コラム12aを左右に複数並設することによって構成したもので、各商品収納棚12の前端が同一の鉛直面(以下、「払出面」という)に位置する状態で商品収納庫11に配設してある。商品収納棚12は、商品収納庫11の任意の高さ位置に配置することが可能であり、互いに高さが異なるように設定することができる。また、各商品収納棚12にあっては、収納コラム12aの左右方向に沿った幅を任意に設定することができる。商品収納棚12に設定された収納コラム12aは、個別に動作し、収納した商品を順次前方に繰り出すことにより最前列に位置するものを払出面を介して下方に落下させることが可能である。本実施の形態では、図3に示すように、スパイラルの回転によって収納コラム12aの商品を順次前方に繰り出すように構成した、いわゆるスパイラルラックと称される商品収納棚12を例示している。
尚、商品収納棚12としては、必ずしもスパイラルの回転によって商品を繰り出すものに限らず、例えば、搬送コンベアの駆動によって商品を前方に繰り出すように構成したものを適用することも可能である。
図1に示すように、外扉20には、窓部21及び商品取出口22が設けてある。窓部21は、複層ガラス等の透明、かつ断熱性を有した面材23を配設することによって構成したもので、本体キャビネット10の前面開口が外扉20によって閉塞された場合にも、すべての商品収納棚12の収納コラム12aにおいて最前列に収納された商品を外部から視認させることが可能である。尚、図には明示していないが、収納コラム12aには識別番号が設定してあるとともに、収納コラム12aの前端には窓部21を通じて視認可能となるように識別番号が表示してある。
商品取出口22は、利用者が購入商品を受け取るための開口であり、外扉20において窓部21よりも下方となる位置に形成してある。図3からも明らかなように、商品取出口22の開口上縁22aは、最下段に配設された商品収納棚12よりもさらに下方に位置するように設定してある。この商品取出口22は、外扉20に設けた取出蓋24によって常時閉塞された状態にあり、取出蓋24を内側に向けて押し回すことで開放することができる。取出蓋24は、左右方向に沿った開閉軸24aにより、上端部を介して外扉20に支持させたものである。図には明示していないが、外扉20において商品取出口22の周囲に位置する部分には、商品取出口22を通じて商品収納庫11の内部雰囲気と外気とが流通するのを防止するガスケットが取出蓋24と対向する部分の全周に配設してある。
また、自動販売機の外扉20には、図1に示すように、窓部21の側方となる部位に操作部30が集約して設けてある。操作部30は、利用者が自動販売機を利用する際に操作するためのもので、紙幣挿入口31、硬貨投入口32、返却レバー33、硬貨返却口34、入力部35、表示部36を備えている。紙幣挿入口31は紙幣を受け入れるための開口であり、硬貨投入口32は硬貨を受け入れるための開口である。返却レバー33は、貨幣の返却を行う場合に操作するものである。硬貨返却口34は、返却硬貨や釣り銭が払い出される部分である。入力部35は、購入する商品を指示するためのものである。本実施の形態では、貨幣が投入された場合に有効となり、購入商品を収納した収納コラム12aの識別番号を直接入力するテンキーを備えて入力部35を構成している。表示部36は、入力部35から入力された入力情報や、販売中、投入金額、釣り銭切れ、お札中止といった自動販売機を利用する際に必要となる各種情報を表示するためのものである。
図3〜図4−2に示すように、商品収納庫11の前端部には、商品取出領域11A及び搬送領域11Bが確保してある。商品取出領域11Aは、利用者の購入した商品が最終的に搬送される最下方の空間であり、外扉20が閉塞した状態にある場合に商品取出口22の上縁以下となる部位に構成してある。搬送領域11Bは、商品収納棚12の各収納コラム12aから繰り出された商品を商品取出領域11Aに搬送するための空間であり、商品取出領域11Aの上方に連続するように設けてある。搬送領域11Bの前後寸法及び左右寸法は、いずれも商品取出領域11Aとほぼ同等となるように構成してある。
商品取出領域11Aには、取出ガイド40が配設してある。取出ガイド40は、商品取出領域11Aに払い出された商品を受け取るための皿状部材であり、図2〜図4−2に示すように、底壁部41及び左右一対の側壁部42を備えて構成してある。底壁部41は、外扉20に近接した平坦な前半部分41aと、外扉20から離隔した平坦な後半部分41bとの間に、外扉20に近接する従って漸次低くなるように傾斜した傾斜部分41cを有したもので、その上面に商品が払い出された場合、傾斜部分41cの傾斜作用により商品を外扉20に近接した前半部分41aに案内するように機能する。一対の側壁部42は、底壁部41の両側から互いに平行となるように立設した平板状部材である。
この取出ガイド40には、図3〜図5に示すように、互いに対向配置された発光素子50a及び受光素子50bを備えた商品検出装置50が設けてあり、さらに底壁部41には遮光部43が設けてある。商品検出装置50は、発光素子50aから受光素子50bに向けて光を照射し、受光素子50bに対する光の入射状態に基づいて商品の有無を検出するもので、一対の側壁部42の互いに異なる複数箇所に配設してある。特に、本実施の形態では、図3〜図4−2に示すように、底壁部41の前半部分41aにおいて傾斜部分41cに近接した部分の上方域を検出領域として4対の発光素子50a及び受光素子50bが配設してある。より具体的には、図4に示すように、底壁部41の前半部分41aに沿って前後に並設した第1商品検出装置50及び第2商品検出装置50が設けてあり、さらにこれらの間に上下に並設した第3商品検出装置50及び第4商品検出装置50が設けてある。尚、対となる発光素子50aと受光素子50bとが互いに対向していれば、どちらの側壁部42に設けても良いが、隣接する商品検出装置50の間においては、互いに逆の態様で発光素子50a及び受光素子50bを設けることが好ましい。すなわち、第1商品検出装置50の発光素子50aを正面向かって左側の側壁部42に配設したのであれば、第2商品検出装置50の発光素子50aは正面向かって右側の側壁部42に配設すると良い。このような配置をとれば、受光素子50bに入射する光の照射元が、対となる発光素子50aに限定される。
遮光部43は、図5に示すように、各商品検出装置50の発光素子50aから照射された光が、底壁部41で反射して受光素子50bに入射するのを遮るためのものである。本実施の形態では、前半部分41a、傾斜部分41c及び後半部分41bに渡る底壁部41の上面において両側壁部42から等距離となる中点領域Cに中央溝部44を形成するとともに、中央溝部44の両側に側方溝部45を形成することにより、中央溝部44と側方溝部45との間に上方に突出した遮光部43を設けるようにしている。遮光部43として横断面が三角形状のものを例示しているが、中央溝部44の内底面において発光素子50a及び受光素子50bの中点に対応する位置と発光素子50aとの間を結ぶ直線Nに対して交差し、かつ発光素子50a及び受光素子50bの間を直接結ぶ直線Gとは交差しない高さを有していれば、その他の横断面形状であっても構わない。
上記のように取出ガイド40の底壁部41に遮光部43を設けた商品検出装置50によれば、発光素子50aとして比較的直進性に乏しいものを適用した場合にも、発光素子50aからの反射光が対となる受光素子50bに入射することがない。従って、発光素子50a及び受光素子50bを底壁部41の上面に近接して配置し、第1商品検出装置50及び第2商品検出装置50の検出領域を底壁部41の上面に近い位置に設定した場合にも反射光の影響による誤検出を招来する恐れがなくなる。これにより、底壁部41からの突出高さが小さい商品であってもこれを正確に検出することが可能となる。尚、本実施の形態では、上述したように第1商品検出装置50及び第2商品検出装置50として両側壁部42のそれぞれ発光素子50aを配設する構成をとっているため、遮光部43を中点領域Cの両側に設けるようにしている。しかしながら、一方の側壁部42にのみ発光素子50aを設ける構成であれば、これに対応した遮光部43を中点領域Cの一方側に設ければ十分である。
一方、商品収納庫11の前端部に確保した搬送領域11Bには、搬送トレイ60及び昇降装置70が配設してある。搬送トレイ60は、一対の側板61の間に中央板62を配設することによって構成したもので、中央板62の左右方向に沿った寸法が商品収納棚12の全幅とほぼ同じに設定してある。
搬送トレイ60の中央板62は、基準部62a、湾曲部62b及び案内部62cを一体に成形したものである。基準部62aは、側板61が図3中の実線で示す受入姿勢に配置された場合に、水平方向に沿って延在する先端縁が外扉20に近接するように配置された平板状部分であり、外扉20から離隔するに従って漸次上方に傾斜するように設けてある。湾曲部62bは、基準部62aの後端部から漸次上方に向けて湾曲状に延在する曲面部分である。案内部62cは、湾曲部62bの端縁部から上方に向けて漸次商品収納棚12に近接するように傾斜延在する部分である。
昇降装置70は、図7−1〜図8に示すように、商品収納庫11の搬送領域11Bにおいて搬送トレイ60を上下方向に沿って移動させるためのもので、搬送トレイ60の側板61にそれぞれ昇降体71,72及び姿勢規定ローラ73を設ける一方、本体キャビネット10に左右一対の昇降ガイドレール74,75を設けることによって構成してある。昇降体71,72は、搬送トレイ60の側板61に対して左右方向に沿った回転軸61aを中心に回転可能となるように支持させたもので、それぞれが上下一対のガイドローラ71a,72aを備えている。姿勢規定ローラ73は、左右方向に沿った軸心回りに回転可能となる態様で搬送トレイ60の側板61に配設したものである。昇降ガイドレール74,75は、主案内路74a,75aを介して昇降体71,72のガイドローラ71a,72aを長手方向に沿った直線上に案内する長尺部材であり、搬送領域11Bの両側となる位置に上下方向に沿う態様で本体キャビネット10に取り付けてある。また、一方の昇降ガイドレール74には、受入姿勢にある側板61の姿勢規定ローラ73を案内する補助案内路74bが設けてある。補助案内路74bは、主案内路74aに平行となるように並設したもので、側板61の姿勢規定ローラ73を上下方向に沿って案内するように機能する。
図6〜図7−2に示すように、この昇降装置70には、一方の昇降ガイドレール74にスプロケット(反転要素)76が付設してある。スプロケット76は、図には明示していないが、電動モータ等の回転アクチュエータによって正転/逆転するもので、軸心が昇降ガイドレール74の上方域で左右方向に沿って水平となる状態で本体キャビネット10に取り付けてある。このスプロケット76には、タイミングチェーン(索状体)77が巻回してある。タイミングチェーン77は、一方の端部が搬送トレイ60の一方の端部に設けた昇降体71の上端面に接続してあり、かつ他方の端部がバランスウエイト78の上端面に接続してある。以下、2つの昇降体71,72を区別する場合には、タイミングチェーン77を介してバランスウエイト78に接続したものを「主昇降体71」と称し、もう一方を「従昇降体72」と称する。
これに対して、もう一方の昇降ガイドレール75には、スプロケット76やタイミングチェーン77に相当する構成を設けておらず、先のバランスウエイト78と従昇降体72との間が唯一プルケーブル79によって接続してある。プルケーブル79は、シース79aの内部に金属製のインナワイヤーを配設したもので、シース79aを介して本体キャビネット10の開口上縁22a部に保持させてある。プルケーブル79の両端部は、それぞれ下方に向けて延在しており、シース79aの各端部から延出したインナワイヤー79bの端部が従昇降体72の上端面及びバランスウエイト78の上端面に接続してある。インナワイヤー79bの長さは、途中で弛むことなく従昇降体72とバランスウエイト78との間を接続できる長さに設定してある。
上記のように構成した昇降装置70を適用する自動販売機によれば、スプロケット76を回転させると、タイミングチェーン77の繰り出し長さが変化し、図7−1及び図7−2に示すように、主昇降体71を介して搬送トレイ60を上下方向に沿って移動させることができる。このとき、タイミングチェーン77のもう一方の端部に接続したバランスウエイト78は、搬送トレイ60とは逆方向に上下に移動するため、プルケーブル79のインナワイヤー79bによって接続された従昇降体72がバランスウエイト78とは逆方向に上下に移動することになる。つまり、従昇降体72については、スプロケット76、タイミングチェーン77、バランスウエイト78を必要とすることなく、唯一プルケーブル79を設けることで主昇降体71と同期して上下に移動する。このため、昇降ガイドレール74,75に対していずれの位置に配置された場合にも、搬送トレイ60の左右の高さが常に同じとなり、かつ姿勢が常時水平に維持されることになる。搬送トレイ60が上下に移動する間、搬送トレイ60の側板61に設けた姿勢規定ローラ73が常に昇降ガイドレール74の補助案内路74bによって直線上を案内されるため、側板61が受入姿勢に維持され、かつ昇降体71,72に対して搬送トレイ60が相対的に回転することはない。従って、商品収納棚12に対して搬送トレイ60を位置決め停止させれば、中央板62の案内部62cが左右方向の全長に渡って同じ高さに配置されることになり、収納コラム12aのいずれから商品が繰り出されたとしても、側板61の間の基準部62aに確実に受け入れることができるようになる。
一方、本体キャビネット10には、図8に示すように、昇降体71,72に対して搬送トレイ60を左右方向に沿った回転軸61aを中心として相対的に回転させるための姿勢制御レール81が設けてある。姿勢制御レール81は、合成樹脂材から成るレール構成部材80に設けた案内部材である。この姿勢制御レール81は、昇降ガイドレール74の補助案内路74bに連続する態様で構成してあり、搬送トレイ60が下方に向けて移動し、所定の姿勢変更開始位置に到達した以降に側板61の姿勢規定ローラ73に係合することが可能である。すなわち、搬送トレイ60が姿勢変更開始位置を超えて下方に移動すると、図9−1〜図9−6に示すように、姿勢規定ローラ73が補助案内路74bから姿勢制御レール81に移行し、姿勢制御レール81の作用により、姿勢規定ローラ73の位置が外扉20から順次離隔する方向に移動され、搬送トレイ60の案内部62cが商品収納棚12から離隔するように側板61が回転される。姿勢規定ローラ73が姿勢制御レール81の終端に達した場合には、図3中の二点鎖線及び図9−6で示すように、搬送トレイ60が180°回転して天地が逆の払出姿勢となる。従って、商品収納棚12の収納コラム12aから搬送トレイ60の中央板62に繰り出された商品は、確実に取出ガイド40の上面に払い出されることになる。
この払出姿勢に姿勢変更された搬送トレイ60は、中央板62の案内部62cが商品取出口22のほぼ中央となる高さ位置に配置される。姿勢変更開始位置とは、図3中の一点鎖線で示す位置を超えて搬送トレイ60が下方に移動した位置であれば良い。図3中の一点鎖線で示す搬送トレイ60の位置は、最下段の商品収納棚12から商品が繰り出された場合にこれを中央板62に受け入れることができる位置である。
ここで、搬送トレイ60が図3中の二点鎖線で示す位置で払出姿勢となった場合には、案内部62cが外扉20に向けてほぼ水平となるように突出し、商品取出領域11Aから商品収納棚12へ通じる空間を遮るように配置されることになる。従って、商品取出領域11Aから商品収納棚12へ通じる空間を狭めるように別途防盗板等の邪魔板を配設せずとも、商品取出口22を介した盗難を有効に防止することができるようになる。しかも、商品取出領域11Aから商品収納棚12へ通じる空間が狭められることがないため、搬送トレイ60を取出ガイド40の上面にごく近接する位置まで移動させることが可能となる。従って、商品を取出ガイド40に払い出す際の衝撃を可及的に低減でき、比較的衝撃に強くない商品に対してもこれに損傷を来すことなく販売することが可能となる。
取出ガイド40に払い出された商品が発光素子50aから受光素子50bに照射されていた光を遮ると、商品検出装置50によって商品の払い出しが検出されることになる。但し、搬送トレイ60を単に受入姿勢から払出姿勢に姿勢変更することで商品取出領域11Aに商品を払い出すようにした自動販売機にあっては、同じ種類の商品を払い出す場合であっても、搬送トレイ60から商品が払い出されるタイミングや払い出される位置が常に一定となるとは限らないため、わずか4対の商品検出装置50を設けただけでは、取出ガイド40に払い出された商品を検出できない事態が生じ得る。
そこで、この自動販売機では、搬送トレイ60に規制板63を設けるとともに、規制板63を動作させるための規制制御レール82を姿勢制御レール81と同じレール構成部材80に設けるようにしている。規制板63は、搬送トレイ60の側板61において基準部62aの先端縁よりもさらに外扉20に近接する部位に揺動軸63aを介して揺動可能に配設した平板状部材であり、左右方向に沿った寸法が中央板62とほぼ同じに形成してある。この規制板63は、図3中の実線及び一点鎖線で示すように、基準部62aの先端縁から上方に向けて屈曲状に突出した逸脱防止姿勢に配置された場合、一対の側板61の間において基準部62aの先端延長域を閉塞するように機能する。この状態から、図3中の二点鎖線で示すように、揺動軸63aを中心として先端縁が中央板62の案内部62cから離隔する方向に揺動して規制板63が通過許容姿勢に配置された場合には、基準部62aの先端部延長域を開放することができる。
この規制板63には、図9−1に示すように、アーム63bを介して第1リンク部材90の一端部が枢止してある。第1リンク部材90は、左右方向に沿った第1枢止軸91を介して規制板63のアーム63bに接続したもので、その他端部が第2リンク部材92の一端部に回転可能に接続してある。第2リンク部材92は、姿勢規定ローラ73及び回転軸61aを適宜迂回して延在し、他端部が側板61の上方部において左右方向に沿った第2枢止軸93を介して側板61に接続してある。第1リンク部材90と第2リンク部材92との接続部には、上述したレール構成部材80の規制制御レール82に係合する規制制御ローラ94が配設してある。規制制御レール82は、昇降ガイドレール74の主案内路74aに連続する態様で設けたもので、搬送トレイ60が下方に向けて移動し、上述した姿勢変更開始位置に到達した以降に規制制御ローラ94に係合することが可能である。すなわち、搬送トレイ60が姿勢変更開始位置よりも上方に配置されている場合、規制制御ローラ94は、昇降ガイドレール74の主案内路74aによって上下方向に案内されることになり、側板61に対して相対的に移動しない。規制制御ローラ94が主案内路74aに配置されている場合、規制板63は、上述した逸脱防止姿勢に保持されており、受入姿勢にある搬送トレイ60の基準部62aに対してその先端から上方に向けて屈曲状に突出した状態にある。
搬送トレイ60が姿勢変更開始位置を超えて下方に移動すると、規制制御ローラ94が主案内路74aから規制制御レール82に移行し、規制制御レール82の作用により、図9−1〜図9−6に示すように、側板61に対する規制制御ローラ94の位置を順次変更し、規制板63を上述した通過許容姿勢に向けて移動させる。規制板63が通過許容姿勢となり、中央板62に受け入れた商品の払い出しが可能となるのは、搬送トレイ60が図9−5に示す開放姿勢となった時点であり、規制板63の先端縁が取出ガイド40に配設した4対の商品検出装置50の上方域となるように設定してある。
以下、自動販売機において商品を販売する際の一連の動作について説明し、併せて本発明の特徴部分について詳述する。
まず、自動販売機が販売待機状態にある場合には、搬送トレイ60が図3中の二点鎖線で示す位置において払出姿勢に維持されるとともに、搬送トレイ60の規制板63が通過許容姿勢に維持されている。この状態においては、中央板62の案内部62cが外扉20に向けてほぼ水平となるように突出し、商品取出領域11Aから商品収納棚12へ通じる空間を遮るように配置されるため、この案内部62cが邪魔板となって機能することにより、悪意のあるものが取出蓋24を押し開いたとしても、商品収納棚12の収納コラム12aに手が届くことはなく、商品取出口22を介した盗難を有効に防止することができるようになる。
この販売待機状態から外扉20の操作部30を通じて商品の購入操作が行われ、収納コラム12aが指示されると、スプロケット76が回転することによって搬送トレイ60が上方に移動し、該当する商品収納棚12に対して位置決め配置される。この間、搬送トレイ60の上昇に伴い、最下段の商品収納棚12に到達するまでの間に姿勢規定ローラ73が姿勢制御レール81から昇降ガイドレール74の補助案内路74bに移行し、かつ規制制御ローラ94が規制制御レール82から主案内路74aに移行する。従って、搬送トレイ60が受入姿勢に姿勢変更し、かつ規制板63が逸脱防止姿勢に姿勢変更した状態となる。これにより、収納コラム12aが動作して最前列から商品が繰り出されれば、この商品が搬送トレイ60の案内部62cを介して中央板62の上面に受け入れられる。
ここで、搬送トレイ60の中央板62は、案内部62cと基準部62aとの間を湾曲状の湾曲部62bによって連続させるように構成したものである。このため、商品収納棚12の収納コラム12aから繰り出された商品は、途中で停止することなく案内部62c及び湾曲部62bを進行して基準部62aを通過することになり、商品収納棚12からの商品の繰り出し不良を招来する恐れがない。しかも、基準部62aの先端延長域に配設した規制板63が逸脱防止姿勢に保持された状態にあるため、基準部62aに案内された商品が搬送トレイ60から逸脱する事態を確実に防止することができ、面材23に衝突する事態を招来する恐れがない。
また、一方の昇降ガイドレール74にのみスプロケット76、タイミングチェーン77、バランスウエイト78を設けるようにしているものの、プルケーブル79によって従昇降体72とバランスウエイト78との間を接続しているため、従昇降体72を主昇降体71と同期して上下に移動させることが可能である。従って、搬送トレイ60が商品収納棚12に位置決め配置された場合には、中央板62の案内部62cが左右方向の全長に渡って同じ高さに配置されることになり、商品収納棚12のいずれの収納コラム12aから商品が繰り出されたとしても、側板61の間の中央板62に確実に受け入れることが可能となる。
しかも、昇降装置70においては、スプロケット76、タイミングチェーン77、バランスウエイト78を配置するためのスペースを商品収納庫11の一方側にのみ確保すれば良いため、その分だけ商品が通過可能となる開口幅を大きく確保することができる。従って、両側にスプロケット76、タイミングチェーン77、バランスウエイト78を配置するためのスペースを確保した自動販売機に比べて商品の収納数を増やすことが可能となる。
収納コラム12aが動作して所定の時間が経過すると、スプロケット76が回転することで搬送トレイ60が下方に向けて移動し、上述した販売待機状態に復帰する。この間、搬送トレイ60においては、姿勢規定ローラ73が昇降ガイドレール74の補助案内路74bから姿勢制御レール81に移行することで回転軸61aを中心として回転し、受入姿勢から払出姿勢に姿勢が変更される。これと同時に規制制御ローラ94が主案内路74aから規制制御レール82に移行し、逸脱防止姿勢から通過許容姿勢に姿勢が変更されるため、中央板62に受け入れた商品が取出ガイド40の上面に払い出されることになり、取出蓋24を押し開けば、商品取出口22を介して購入商品を受け取ることが可能となる。
上述した動作の間、この自動販売機によれば、姿勢制御レール81と規制制御レール82を一体のレール構成部材80に設けているため、自動販売機を組み立てる際に誤差が生じたとしても、その影響を受けることなく規制板63が逸脱防止姿勢から通過許容姿勢に変更されるタイミングが搬送トレイ60の姿勢に応じて一義的に決定されることになる。これにより、商品を払い出すタイミングや商品を払い出す位置を正確に制御することが可能となり、商品取出領域11Aに多数の商品検出装置50を設けることなく搬送トレイ60からの商品の払い出しを確実に検出することができるようになる。
しかも、取出ガイド40の底壁部41に遮光部43を設けているため、反射光が要因となる誤検出を防止することができ、商品検出装置自体の検出精度も高まることになる。これらの結果、収納コラム12aの動作終了後、所定の時間が経過した時点で商品の払い出しが検出できない場合には、収納コラム12aの商品が売り切れていると正確に判断することが可能となり、収納コラム12aごとに売り切れを検知するための手段を設ける必要がなくなる。
さらに、上述したように、商品取出領域11Aから商品収納棚12へ通じる空間に、防盗性を確保するための構成を別途設ける必要がないため、搬送トレイ60を取出ガイド40の上面に近接する位置まで移動させることが可能となり、商品を取出ガイド40に払い出す際の衝撃を低減できる。これにより、比較的衝撃に強くない商品に対しても、これに損傷を来すことなく販売することが可能となる。
尚、上述した実施の形態では、スプロケットに巻回するタイミングチェーンを介して搬送トレイの一方の端部にバランスウエイトを接続するようにしているが、本発明はこれに限定されず、例えば、プーリーに巻回したワイヤによって搬送トレイの一方の端部にバランスウエイトを接続したものにも適用することが可能である。