自動販売機の全体構成について説明する。図1は本発明に係る自動販売機の一実施例を示す正面図、図2は自動販売機の平断面図、図3は自動販売機の側断面図である。
図1〜図3に示すように、本実施例に係る自動販売機は、本体ケース1内に商品を収納する。本体ケース1は、断熱筐体を構成し、前面側の略上半部に開口2を有している。開口2には、前面扉3が設けてある。前面扉3は、矩形の枠体3aにガラスなどの透明板材3bを嵌め込んだものである。前面扉3は、左右一対で構成されて開口2を塞ぎ、それぞれ開口2の左側縁と右側縁とに軸支されて本体ケース1の開口2を左右方向に開閉する。また、本体ケース1と前面扉3との間には、施錠装置4が設けてある。施錠装置4は、本体ケース1の前面側からの施錠/解錠操作により前面扉3の開閉を許可/拒否状態にする。前面扉3は、通常、施錠装置4によって施錠されて開閉拒否状態にしてある。なお、各前面扉3の開放端部には、前面扉3の開放に際して手を掛けられるように取手5が設けてある。
本体ケース1の前面側の下方には、商品取出口6が設けてある。図3に示すように、商品取出口6は、矩形状に開口して本体ケース1の内外に通じてなり、取出扉7により開閉できる。取出扉7は、その下部が商品取出口6の下縁に軸支され、前下方向に回動して商品取出口6を開放する。また、取出扉7は、錘7aによって自動で商品取出口6を閉塞するように回動する。なお、取出扉7には、不図示の扉ロック機構が設けてあり、この扉ロック機構によって取出扉7の閉塞状態を維持できる。
本体ケース1の内部後側であって、前面扉3で開閉される開口2の内側部位には、商品の収納庫8が構成してある。収納庫8には、商品収納部が設けてある。商品収納部は、商品収納ラック10(以下ラックという)を左右方向に複数列(本実施例では8列)に配置してあり、かつ、上下方向に複数段(本実施例では6段)に配置してある。ラック10には、商品が前後方向に並べて収納される。また、ラック10には、搬送手段11が設けてある。搬送手段11は、前後に平行配置したローラ11aに無端状の搬送ベルト11bを掛け回してなる。搬送ベルト11bの上面は、前後方向に水平に配置してある。そして、搬送手段11は、搬送ベルト11bの上面に商品を載置した状態とし、ローラ11aを駆動することにより搬送ベルト11bを循環して当該商品を後方から前方(商品払い出し方向)に向けて払い出す。
各ラック10は、各搬送手段11による商品払い出し方向が相互に平行となる態様で左右方向に並設してある。そして、隣接する各ラック10は、搬送手段11を連動可能に構成してある。すなわち、互いに隣接するラック10の各搬送手段11を連動して、比較的大型の商品を収納して搬送するラック10が得られる。なお、隣接するラック10の搬送手段11を順次連動させれば、1つの段に並べた全てのラック10を1つのラック10とすることができる。かかる場合には全ラック10の総左右幅が商品払出領域の最大領域となる。
本体ケース1の内部前側であって、ラック10の前方域には、商品搬出手段が設けてある。図2および図3に示すように、商品搬出手段は、商品受台12(以下受台という)を備えている。受台12は、1つの段に並べた全ラック10の総左右幅に対応した幅、つまり商品払出領域の最大領域を包括するほぼ同一の幅を有して形成してある。受台12は、左右幅方向の端部に左右側壁13を有している。左右側壁13の間には、前下方向に傾斜して商品収容領域をなす受取面14を形成してある。このように構成した受台12は、ラック10の前方域にて上下方向に昇降可能であり、各段のラック10に対応して商品を受け取る各受取位置(図3中二点鎖線で示す)と、商品取出口6に対応して商品を本体ケース1の外部に受け渡す取出位置(図3中実線で示す)との間を移動する。
また、商品搬出手段は、駆動部15を備えている。駆動部15は、ラック10の搬送手段11を駆動する。この駆動部15は、受台12に設けてあって、受台12の左右方向に移動可能である。そして、駆動部15は、受台12が受取位置にあるとき、各ラック10に対応する駆動位置に移動して各ラック10の搬送手段11に動力を伝達する。動力が伝達されたラック10は、搬送ベルト11bが循環して搬送ベルト11b上の商品を受台12の受取面14に向けて払い出す。
また、商品搬出手段は、内扉16を備えている。内扉16は、板状とされた下端が受台12の前側下方に軸支されて前下方向に回動可能である。この内扉16は、受台12が取出位置にあるときに商品取出口6と対向する受台12の受取面14を開放するように回動が許される。このとき、内扉16は商品取出口6の取出扉7に重なる位置にあり、商品取出口6を開放するべく取出扉7を回動させた際に共に回動する。そして、受台12の受取面14にある商品を商品取出口6から本体ケース1の外に取り出すことができる。また、内扉16は、受台12が移動しているときや各受取位置に移動したときには受台12の前側を閉塞するように起立した位置で回動が規制され、各ラック10から搬送された商品が受台12から落下するのを防止する。
一方、本体ケース1の内部前側には、最下段のラック10の下側の位置であって、取出位置にある受台12の上部位置にカバー部材17が設けてある。図3に示すように、カバー部材17は、矩形状の板で形成してあり、略水平配置された状態で前端側が軸支されて前上方向に回動可能に構成してある。このカバー部材17は、受台12が取出位置にあるとき、略水平な位置に回動して受台12を隠蔽する。このとき、カバー部材17は、カバーロック機構18によって係止してあり当該隠蔽状態が維持される。この結果、商品取出口6から受台12にある商品を取り出す際に受台12がある領域と、ラック10がある領域との間を仕切ることが可能となる。また、カバー部材17は、受台12が移動しているときや、各受取位置に移動したときに、上記カバーロック機構18を解除し略垂直な位置に回動して受台12の通過を許容する。
本体ケース1の外部であって、図1中本体ケース1の右側部には、操作ユニット20が構成してある。操作ユニット20は、商品を自動販売する際に金銭などの受容や払い出しを行う課金部21と、商品の選択を行う操作部22とを有している。課金部21には、紙幣を受容する紙幣口21a、硬貨を受容する硬貨口21b、つり銭や紙幣・硬貨の返却を指示する返却レバー21c、つり銭などを返却する返却口21dなどがある。操作部22には、商品選択用のテンキーおよび決定キーなどの操作ボタン22a、受容した金額やつり銭金額、選択した商品に係る番号、または売り切れ商品に係る番号などを表示する表示パネル22bなどがある。
ところで、本実施例にて例示する自動販売機は、商品を自動販売する自動販売機として使用可能であるとともに、有人販売を前提としたショーケースとしても使用することができる。自動販売機として使用する自動販売機モードでは、前面扉3を施錠した状態とし、操作ユニット20を使用できるように設定する。ショーケースとして使用するショーケースモードでは、前面扉3を解錠するとともに取出扉7を開閉不可とした状態とし、操作ユニット20を使用できないように設定する。また、ショーケースモードでは、商品搬出手段の受台12を取出位置に待機させて、受台12をカバー部材17で覆い隠蔽状態とする。
以下、商品搬出手段の詳細について説明する。図4は受台移動機構などを示す斜視図、図5は駆動部移動機構などを示す斜視図である。
図4に示すように、受台12は、受台移動機構25によって昇降する。受台移動機構25は、本体ケース1の内部の左右側壁に沿って配置した各側板26に設けてある。各側板26には、上下端部にそれぞれプーリ27が設けてある。各プーリ27には、無端状のタイミングベルト28が掛け回してある。そして、一方の側板26において、タイミングベルト28の一部には、受台12の左側壁13から延設した支持板29が固定してある。また、各プーリ27に掛け回したタイミングベルトにおいて、支持板29を固定した位置の対称位置には、受台12の重量を保持するバランサー30が固定してある。また、他方の側板26においても一方の側板26と同様に、タイミングベルト28に受台12の右側壁13から延設した支持板29、およびバランサー30が固定してある。さらに、各側板26の上端部のプーリ27は、回転軸31によって連結してある。この回転軸31は、モータ32によって回転駆動する。すなわち、モータ32の駆動により、各側板26にある各タイミングベルト28が同期して循環して、受台12がバランサー30によって重量を保持されつつ昇降する。
昇降する受台12の位置は、受台位置検出手段33によって検出される。受台位置検出手段33は、一方の側板26および受台12に配置してある。一方の側板26には、受台12が移動する上下方向に沿って位置検出板34および位置確認板35が併設してある。位置検出板34には、座標標識としての切欠溝34aが設けてあり、位置確認板35には、確認標識としての切欠溝35aが設けてある。各切欠溝34a,35aは、各受取位置および取出位置にある受台12の位置に対応して設けてある。これに対し、受台12の支持板29には、位置検出板34および位置確認板35をそれぞれ挟むようにフォトインタラプタからなる停止センサ36および確認センサ37が設けてある。各センサ36,37は、それぞれ切欠溝34a,35aの位置にくると信号を出力する。すなわち、上下移動する受台12は、受台位置検出手段33によって各受取位置または取出位置にあることが検出される。
図5に示すように、駆動部15は、駆動部移動機構40によって受台12の左右方向に移動する。駆動部移動機構40は、受台12の底部に配置した底板41に設けてある。底板41は、受台12の左右幅方向に沿って左右側壁13の間に配置してある。底板41には、左右端部にそれぞれプーリ42が設けてある。各プーリ42には、無端状のタイミングベルト43が掛け回してある。タイミングベルト43の一部には、駆動部15が固定してある。また、一方のプーリ42は、モータ44によって回転駆動する。また、底板41には、ガイド棒45が設けてある。ガイド棒45は、受台12の左右幅方向に渡って、各プーリ42に掛け回したタイミングベルト43と平行する態様で固定してある。駆動部15は、ガイド棒45に沿って摺動可能に設けてある。すなわち、モータ44の駆動により、タイミングベルト43が循環して、駆動部15がガイド棒45に案内されつつ左右方向に移動する。
左右方向に移動する駆動部15の位置は、駆動部位置検出手段46によって検出される。駆動部位置検出手段46は、底板41および駆動部15に配置してある。底板41には、駆動部15が移動する左右方向に沿って位置検出板47および位置確認板48が併設してある。位置検出板47には、座標標識としての切欠溝47aが設けてあり、位置確認板48には、確認標識としての切欠溝48aが設けてある。各切欠溝47a,48aは、各駆動位置にある駆動部15の位置に対応して設けてある。これに対し、駆動部15には、位置検出板47および位置確認板48をそれぞれ挟むようにフォトインタラプタからなる停止センサ49および確認センサ50が設けてある。各センサ49,50は、それぞれ切欠溝47a,48aの位置にくると信号を発生する。すなわち、左右方向に移動する駆動部15は、駆動部位置検出手段46によって各駆動位置にあることを検出する。
上述したように、受台12には、内扉16が設けてある。図5に示すように、内扉16は、内扉駆動機構52によって開閉する。内扉駆動機構52は、右側壁13内に配置してある。この内扉駆動機構52は、モータ53の駆動によって回転する円板54にピン54aが設けてある。ピン54aには、揺動可能に支持されたアーム55が当接可能である。アーム55は、付図示のバネ部材などで揺動端側が常に上方に付勢されることでピン54aに当接する。これにより、円板54の回転によって所定円起動で移動するピン54aに当接したアーム55の揺動端側が上下に揺動する。また、内扉16を軸支する回転軸56には、アーム55の揺動端に当接する可動片57が固定してある。内扉16は、アーム55の揺動端が下方へ揺動することで可動片57が押されて閉塞状態とされる。また、内扉16は、アーム55の揺動端が上方へ揺動することで可動片57が押されず開放を許され、且つ、不図示のバネ部材によって開放側に付勢される。
内扉駆動機構52による内扉16の開放状態および閉塞状態は、内扉開閉検出手段58によって検出される。内扉開閉検出手段58は、円板54の外周縁の一部を延設した遮蔽片54bと、遮蔽片54bを挟むフォトインタラプタからなる開閉センサ59とで構成してある。そして、内扉開閉検出手段58は、遮蔽片54bが開閉センサ59から外れた状態から遮蔽したタイミングによって内扉16が閉塞状態であることを検出する。また、内扉開閉検出手段58は、遮蔽片54bが開閉センサ59を遮蔽した状態から外れたタイミングによって内扉16が開放状態にあることを検出する。
図5に示すように、受台12は、商品取込部材61を備えている。商品取込部材61は、受台12の後方であって傾斜した受取面14の上端側において、受台12の左右幅方向に渡って左右側壁13の間に軸支してある。商品取込部材61は、受台12の左右幅方向に長手状とされた棒状体であり、その長手方向に沿う外周に不図示の羽根片が設けてある。商品取込部材61は、受台12の左側壁13内に設けた取込部材駆動機構62によって回転可能である。この取込部材駆動機構62は、商品取込部材61の軸支された一端に設けたプーリ63と、モータ64の駆動によって回転するプーリ63とに無端状のタイミングベルト65を掛け回してなる。すなわち、モータ64の駆動により、商品取込部材61が回転し、商品を受台12の受取面14側に取り込む。
図5に示すように、受台12は、商品受取検出手段66を備えている。商品受取検出手段66は、受台12の左右側壁にそれぞれ設けて、左右側壁の間で互いに対向する投光素子および受光素子からなる投受光型の商品検出センサで構成してある。商品受取検出手段66は、商品取込部材61の上方位置に商品検出センサ66A、受取面14の中程位置に商品検出センサ66B、受取面14の傾斜の下側位置に商品検出センサ66Cをそれぞれ配置してある。商品検出センサ66Aは、商品の払い出し方向の最もラック10に近い位置に設けてある。また、商品検出センサ66Bおよび商品検出センサ66Cは、商品検出センサ66Aを設けた位置よりも商品の払い出し方向の後段の位置にて商品検出センサ66B、66Cの順に設けてある。商品受取検出手段66は、商品の通過を各センサ66A、66B、66Cが検出することにより当該商品がラック10から受台12に払い出されたことを検出する。
以下、駆動部の詳細について説明する。図6は駆動部を示す正面図、図7は駆動部を示す側面図(図6の矢視A−A図)である。
駆動部15は、ラック10の搬送手段11を駆動する。駆動部15は、モータ70の出力軸に設けたモータ歯車71に減速歯車72を噛合してある。減速歯車72には、同軸で回転するプーリ73が設けてある。このプーリ73と、別の支軸74に設けた他のプーリ73とには、無端状のタイミングベルト75が掛け回してある。また、他のプーリ73の支軸74には、連動歯車76が設けてある。また、連動歯車76には、駆動出力歯車77が噛合している。したがって、モータ70の駆動によって駆動出力歯車77が回転する。
駆動出力歯車77は、連動歯車76に対してリンク78を介して連結してある。駆動出力歯車77は、リンク78によって連動歯車76との噛合状態を維持しつつ連動歯車76の周りを転動する。また、駆動出力歯車77の支軸79には、可動部材80が連結してある。可動部材80には、当接ピン81が設けてある。当接ピン81は、図7に示すように、別のモータ82にて駆動されるナピアネジ83によって移動可能とした押出部材84に当接する。すなわち、駆動出力歯車77は、押出部材84の移動に伴い、図7中実線で示す待避位置と二点鎖線で示す連結位置とに移動可能である。また、連結位置にある駆動出力歯車77は、上述した各ラック10の搬送手段11に動力を伝達する。なお、上記駆動出力歯車77の待避位置と連結位置とは、押出部材84の移動位置を検出する不図示の検出手段にて検出できる。
以下、ラック10の詳細について説明する。図8はラックを示す斜視図、図9はラックの動作を示す側面図、図10はラックの動作を示す平面図である。
上述したようにラック10には、前後に配置した各ローラ11aに無端状の搬送ベルト11bを掛け回した搬送手段11が設けてある。搬送手段11は、搬送ベルト11bを介して前側のローラ11aを駆動ローラ(以下駆動ローラという)として構成し、後側のローラ11aを従動ローラ(以下従動ローラという)として構成してある。各ローラ11aは、ラック10の基体をなすフレーム86に回転可能にして取り付けてある。フレーム86の左外側には駆動ローラ11aの回転軸87に固定されたローラ歯車88が設けてある。ローラ歯車88は、中間歯車89に噛合している。中間歯車89は、駆動伝達歯車90に噛合している。この駆動伝達歯車90には、上述した駆動部15の駆動出力歯車77が噛合する。これにより、駆動伝達歯車90から中間歯車89を介してローラ歯車88が駆動されて駆動ローラ11a(搬送手段11)に動力が伝達される。なお、駆動伝達歯車90は、ローラ歯車88および中間歯車89よりも左側に長く形成してあり、フレーム86の左外側に最も突出している。
フレーム86の内部において、駆動ローラ11aの中途部分には、ローラ歯車88と同軸の歯車91が形成してある。この歯車91には、対をなす連結歯車92の一方が噛合している。連結歯車92は、駆動ローラ11aの回転軸87と平行にしてフレーム86に回転可能に設けた支軸93の両端にそれぞれ設けてあり、その一方の連結歯車92が駆動ローラ11aの歯車91に噛合している。他方の連結歯車92は、フレーム86の右外側に設けてある。すなわち、駆動伝達歯車90に、駆動部15の駆動出力歯車77が噛合して搬送手段11に動力を伝達する際、同時に連結歯車92も駆動する。
上記中間歯車89および駆動伝達歯車90は、ベース部材94に軸支してある。ベース部材94は、駆動ローラ11aの回転軸87に回動可能に支持してある。すなわち、中間歯車89および駆動伝達歯車90は、ベース部材94を介して駆動ローラ11aの回転軸87を中心に回動可能である。この回動に際し、中間歯車89は、ローラ歯車88および駆動伝達歯車90への噛合状態を維持する。また、ベース部材94には、長板状のリンク部材95の一端が軸支してある。リンク部材95の他端は、フレーム86の左側にて前後に延びる長穴部96に支持ピン97を介して支持してある。
フレーム86の左外側には、前後方向に長手状とされた仕切り板98が設けてある。仕切り板98は、フレーム86とは別体であり、上下に移動してフレーム86の上面に対して出没可能に設けてある。この仕切り板98は、前側に上下に延びる長穴部99を有し、後側に斜め後方に延びつつ折れて後方に延びる略逆L字形状の穴部100を有している。そして、長穴部99にリンク部材95の他端を支持する支持ピン97を挿通し、穴部100にフレーム86の左外側に延設された固定ピン101を挿通して、仕切り板98を略上下に移動可能に支持してある。
仕切り板98の前端下側には、後方に向くフック部102が形成してある。このフック部102は、仕切り板98を上方に移動した際に、フレーム86の左外側に延設した係止片103に係止する(図9(a)参照)。また、仕切り板98の前側には、側方に折曲した係止部104が形成してある。この係止部104は、仕切り板98を下方に移動した際に、フレーム86の左外側に延設した係止片105に係止する(図9(b)参照)。また、仕切り板98は、バネ部材106によって常に後方に引っ張られている。
このように構成したラック10は、図9(a)に示すように、仕切り板98を上方に引き出すことにより、仕切り板98が自身の長穴部99に従って上方に移動しつつ、穴部100に従って上前方に移動する。この際、リンク部材95は、仕切り板98の前方への移動に伴って支持ピン97がフレーム86の長穴部96に従って前方に移動するので、ベース部材94を前方に押し出す。すなわち、ベース部材94に設けた中間歯車89および駆動伝達歯車90が前方に押し出される。この結果、図10(a)に示すように、駆動部15の駆動出力歯車77が、駆動伝達歯車90と噛合可能となって駆動部15の動力を搬送手段11に伝達することが可能となる。なお、仕切り板98の後端上側には、突出片98aが設けてある。そして、図9(b)の状態から突出片98aを下方に押すことによって固定ピン101を支点として仕切り板98の前端側が上方に持ち上がるので仕切り板98の上方への引き出しを容易に行うことができる。
また、ラック10は、図9(b)に示すように、仕切り板98を下方に没入させることにより、仕切り板98が自身の長穴部99に従って下方に移動しつつ、穴部100に従って下後方に移動する。この際、リンク部材95は、仕切り板98の後方への移動に伴って支持ピン97がフレーム86の長穴部96に従って後方に移動するので、ベース部材94を後方に引っ張る。すなわち、ベース部材94に設けた中間歯車89および駆動伝達歯車90が後方に引っ張られる。この結果、図10(b)に示すように、駆動部15の駆動出力歯車77が、駆動伝達歯車90と噛合できなくなって駆動部15の動力を搬送手段11に伝達することができなくなる。
そして、図10(b)に示すように、後方に引っ張られた駆動伝達歯車90は、左側に隣接する他のラック10の右外側にある連結歯車92に噛合する。この結果、駆動伝達歯車90が後方に引っ張られたラック10の搬送手段11と、その左側に隣接する他のラック10の搬送手段11とが連結される。駆動伝達歯車90が後方に引っ張られたラック10は、左側に隣接する他のラック10の駆動伝達歯車90に駆動部15の駆動出力歯車77が噛合して駆動部15の動力が伝達された場合に、互いの搬送手段11に共に動力が伝達される。すなわち、左右隣接する各ラック10の搬送手段11が一体に駆動され、左右幅が連結された1つのラック10をなす。
上述の如く構成したラック10に関し、前方に押し出された位置にある駆動伝達歯車90に対して駆動部15の駆動出力歯車77は前側下方から噛合する。この際、駆動伝達歯車90を軸支するベース部材94は、リンク部材95による支持、およびフック部102と係止片103との係止によって駆動伝達歯車90の位置を後方に逃げることなく支持する。このため、駆動伝達歯車90と駆動出力歯車77との噛合が確実に行われ、駆動出力歯車77から駆動伝達歯車90への動力の伝達が確実に行われる。また、後方に引っ張られた位置にある駆動伝達歯車90に対して連結歯車92は後側上方で噛合する。この際、駆動伝達歯車90を軸支するベース部材94は、バネ部材106による引っ張り、リンク部材95による支持、および係止部104と係止片105との係止によって駆動伝達歯車90の位置を前方に逃げることなく支持する。このため、駆動伝達歯車90と連結歯車92との噛合が確実に行われ、駆動伝達歯車90から連結歯車92への駆力の伝達が確実に行われる。
このように、左右隣接する各ラック10は、その間の仕切り板98を引き出すことにより互いの搬送手段11が分離される。また、左右隣接する各ラック10は、その間の仕切り板98を没入することにより互いの搬送手段11が連結され、一方(左側)のラック10の駆動部15の動力を伝達することによって当該各搬送手段11が共に駆動される。また、隣接する各ラック10の搬送手段11を連結したとき、連結した一方の搬送手段11の駆動伝達歯車90のみを駆動部15の駆動出力歯車77に噛合可能とし、連結した他方の搬送手段11の駆動伝達歯車90を駆動出力歯車77に噛合不能とする。
以下、上述した構成の自動販売機の販売動作制御を説明する。図11は本実施例に係る自動販売機の機能ブロック図、図12は本実施例に係る自動販売機の販売動作を示すフローチャート、図13は商品受取検出手段による商品の検出を示す概略図である。
図11に示すように、制御手段115には、操作部22、受台移動機構25、受台位置検出手段33、駆動部移動機構40、駆動部位置検出手段46、駆動部15、商品受取検出手段66、取込部材駆動機構62、内扉駆動機構52、内扉開閉検出手段58、カバーロック機構18、扉ロック機構116、メモリ117、駆動伝達量検出手段118が接続してある。
メモリ117には、受台12における各段のラック10への各アクセス位置(受取位置)、および駆動部15における各ラック10へのアクセス位置(受取位置)が記憶してある。また、駆動伝達量検出手段118は、駆動部15によるラック10の搬送手段11への動力の伝達量を検出して制御手段115に検出信号を出力する。この駆動伝達量検出手段118は、動力の伝達量として動力の伝達時間、あるいは動力を発生する軸の回転数などを検出するものであればよい。
制御手段115は、操作部22の操作ボタン22aの操作に応じた操作信号を入力し、その旨を表示パネル22bに表示する。また、制御手段115は、受台移動機構25を駆動するとともに受台位置検出手段33からの検出信号により、操作部22で指定されたラック10(商品)のある受取位置に受台12を移動させる。また、制御手段115は、駆動部移動機構40を駆動するとともに駆動部位置検出手段46からの検出信号により、操作部22で指定されたラック10(商品)の位置に駆動部15を移動させる。また、制御手段115は、駆動部15の駆動出力歯車77をラック10の駆動伝達歯車90(90a)に噛合させ、駆動出力歯車77を駆動させる。また、制御手段115は、商品受取検出手段66からの検出信号により、取込部材駆動機構62を駆動あるいは停止させ、また駆動出力歯車77を停止させる。また、制御手段115は、受台移動機構25の駆動に際し、内扉駆動機構52を駆動あるいは停止させ、内扉16の開閉状態を内扉開閉検出手段58にて検出する。また、制御手段115は、受台移動機構25の駆動に際し、カバー部材を開放させるためのカバーロック機構18を駆動させる。また、制御手段115は、受台移動機構25の駆動に際し、商品取出口6の取出扉7を閉塞させるための扉ロック機構116を駆動させる。
図12および図13に基づいて自動販売機の販売動作について説明する。なお、受台12は、販売初期の状態にて取出位置(商品取出口6の位置)にある。図12に示すように、課金部21の紙幣口21aまたは硬貨口21bから貨幣の投入が行われると(ステップS1:Yes)、操作ボタン22aの押下が有効となる。操作ボタン22aは、ラック10のアドレスに対応し、例えば、最上段のラック10に左側から1〜8のアドレスが付与されており、以下の段のラック10にそれぞれ左側から9〜16、17〜24、…のようにアドレスが付与されている。
操作ボタン22aを押下して、ラック10の選択が行われると(ステップS2:Yes)、次の工程に進む。なお、操作ボタン22aはいわゆるテンキーと確認キーで構成されているので、ラック10のアドレスに対応する番号を入力した後に確認キーを押下することにより、ラック10の選択が行われる(販売指令)。
販売指令に応じて、取出扉7を閉塞状態でロックするとともに内扉16を閉塞位置で維持する(ステップS3)。そして、受台12が受取位置に移動する(ステップS4)。すなわち、図13(a)に示すように、受台12が選択したラック10の受取位置まで上昇する。続いて、駆動部15を選択したラック10の搬送手段11と駆動位置まで移動する(ステップS5)。なお、受台12の移動(ステップS4)と駆動部の移動(ステップS5)は同時に行ってもよい。
そして、ラック10の搬送手段11と駆動部15とを連結する(ステップS6)。すなわち、駆動部15の駆動出力歯車77を駆動位置に移動してラック10の駆動伝達歯車90(90a)に連結する。次に、商品が受台12に払い出されるまで駆動部15を駆動するとともに、商品取込部材61を駆動する(ステップS7)。すなわち、駆動部15の駆動出力歯車77を駆動してラック10の駆動伝達歯車90(90a)に動力を伝達しラック10の搬送手段11を駆動する。このとき、図13(b)に示すように、商品検出センサ66Aが商品Sを検出した時点から所定の設定時間(ON時間)が経過したときに商品払い出し開始を確定する。その後、図13(c)に示すように、制御手段115は、商品検出センサ66Aが商品Sを検出しなくなった時点から所定の設定時間(OFF時間)が経過したときに商品払い出し完了を確定する。なお、払い出し方向に長尺の商品が販売されている場合、商品検出センサ66Aが当該商品を検出し、かつ、商品検出センサ66Bあるいは商品検出センサ66Cが当該商品を検出したときに商品払い出し完了を確定する。
受台12に設けた商品受取検出手段66によって商品の払い出しが検出されると(ステップS8:Yes)、駆動部15の駆動出力歯車77、および商品取込部材61を停止し、ラック10の搬送手段11から当該駆動部15を離脱する(ステップS9)。すなわち、駆動部15の駆動出力歯車77を待避位置に移動して、ラック10の駆動伝達歯車90(90a)から離反させる。
次に、受台12を下降する(ステップS10)。すなわち、取出位置に受台12を移動する。受台12が取出位置に移動すると、取出扉7のロックを解除するとともに、内扉16の閉塞を解除し、釣銭を放出する(ステップS11)。したがって、取出扉7が開放可能となり、取出扉7の開放に従い内扉16が開放する。また、釣銭は、返却口21dに返却される。
最後に、商品取出が行われたかを判断する(ステップS12)。商品の取出しは、取出扉7を開放し、受台12の受取面14にある商品を取り出すことにより行われる。商品が取り出された旨は、例えば受台12の受取面14の中程位置、あるいは受取面14の傾斜の下側位置にある商品受取検出手段66によって商品が検出されなくなったことにより判断できる。そして、商品取出が行われなければ(ステップS12:No)、商品の取り出しを待つ。商品取出が行われれば(ステップS12:Yes)、本作用を終了する。
一方、ステップS8において、商品が払い出されなければ(ステップS8:No,ステップS13:Yes)、売り切れ表示を行う(ステップS14)。なお、商品が払い出されないとの判断は、駆動部15が所定量駆動しても商品受取検出手段66が商品を検出しない場合に行われる。所定量駆動とは、例えば、駆動部15がラック10の搬送手段11に駆動を伝達して、ラック10の搬送ベルト11b上に載置しうる全ての商品が受台12に払い出されるまでの時間とすることができる。
そして、選択した該当ラックの選択を不可にする(ステップS15)。なお、該当ラックに商品を補充して売り切れ解除の設定を行うことにより、そのラックの選択が可能となる。続いて、駆動部15離脱(ステップS9)、受台12下降(ステップS10)の工程を経て本作用を終了する。この場合、ステップS12の工程は除く。
ところで、上述した自動販売機の販売動作に係り、図14に示すように商品Sがラック10からはみ出して受台12の移動軌跡に掛かる場合がある。この場合、商品Sに移動中(上昇中)の受台12が接触してしまうことになる。
そこで、本実施例では、受台12の移動軌跡に商品Sが掛かっている場合に、これを検出して受台12の移動を規制するようにしてある。具体的には、図14に示すように受台12の移動軌跡に掛かっている商品Sを商品検出手段としての商品検出センサ66Aによって検出している。なお、商品検出手段は、本実施例では商品検出センサ66Aを採用しているが、これに限らず、受台12に設けた他の検出センサ、あるいはラック10の各段に設けた検出センサであってもよい。
以下、商品検出手段によってラック10からはみ出した商品Sを検出した場合の処理を説明する。図15は商品収納ラックから商品がはみ出したときの処理を示すフローチャートである。なお、図15のフローチャートでは、上述した自動販売機の販売動作において、受台12を取出位置から受取位置に移動したとき(図12のステップS4)を主としている。
受台12を受取位置に移動中(上昇中)のとき、ラック10からはみ出した商品Sを検出したとき(ステップS21−Yes)、直ちに受台12の移動(上昇)を停止する(ステップS22)。そして、表示パネル22bへの表示などで異常を報知する(ステップS23)。続けて、投入されている貨幣を返却する(ステップS24)。さらに、受台12を取出位置に下降する(ステップS25)。なお、このとき、商品Sがはみ出したラック10の位置(受取位置)をメモリ117に記憶する。
次いで、商品Sのはみ出しを検出した該当ラック10が最下段である場合には(ステップS26−Yes)、全てのラック10への受台12の移動を規制する(ステップS27)。すなわち、自動販売機の全ての商品を販売不可にする。この場合、例えば表示パネル22bに対して販売中止などの表示をして商品の販売が不可である旨を報知する(ステップS28)。
また、商品Sのはみ出しを検出した該当ラック10が最下段でない場合には(ステップS26−No)、検出したラック10およびその上側のラック10への受台12の移動を規制する(ステップS29)。この場合、例えば表示パネル22bに対して、検出したラック10およびその上側のラック10の商品の販売中止などの表示をして該当商品の販売が不可である旨を報知する(ステップS30)。すなわち、はみ出しを検出したラック10、およびその上側のラック10の商品を販売不可にする一方、はみ出しを検出したラック10より下側のラック10の商品を販売可能にして、自動販売機の一部の商品の販売を継続する。
なお、ステップS21において、ラック10からはみ出した商品Sを検出しない場合には(ステップS21−No)、通常の販売を行う。
このように、上述した自動販売機では、ラック10からはみ出した商品Sがあって、当該商品Sが受台12の移動軌跡上に掛かるとき、この商品Sが移動する受台12に接触する前に検出して受台12の移動を予め規制している。これにより、移動中の受台12が商品Sに接触する事態を防ぐことが可能になる。すなわち、受台12に接触した商品Sがラック10から落下する異常、または、接触した商品Sが受台12とラック10との間に挟まる異常、もしくは、接触した商品Sが移動中の受台12に落下して受台12内の商品受取検出手段66がその商品を検知するなどの動作異常を予め防ぐことが可能になる。この結果、受台12の移動が困難になる異常が生じてから受台12が停止することがないので商品Sやその他の機構に損害を与える事態を防ぐ。また、通常動作に復帰させるには、はみ出した商品Sを通常の状態に直すだけでよいため修復が容易である。
また、商品Sのはみ出しを検出した該当ラック10が最下段でない場合には、検出したラック10およびその上側のラック10の商品を販売不可にする一方、はみ出しを検出したラック10より下側のラック10の商品を販売可能にする。これにより、販売が可能な商品を継続して販売して、異常時でも販売の機会を逃す事態を防止することが可能になる。
また、ラック10からはみ出した商品Sを検出する商品検出手段として、受台12に設けた商品受取検出手段を利用している。このように、ラック10からはみ出した商品Sを検出する検出手段を別に設けることなく他と併用することで、部品点数の増加を抑えることが可能になる。
また、商品収納部が左右列に隣接するラック10を共動して商品払出領域を可変可能に構成してあり、受台12が商品払出領域の最大領域を包括する幅で構成してある。このため、ラック10からはみ出した商品Sを検出したときに、受台12の上昇の規制を行うだけで、移動中の受台12が商品Sに接触する事態を防ぐことが可能になる。