以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1〜図4は、本発明の実施の形態である自動販売機を示したものである。ここで例示する自動販売機は、複数種類の商品を陳列・販売するためのものである。販売商品としては、缶入り飲料、紙パック入り飲料、箱入り菓子等のように定形物として取り扱うことのできるものに限らず、袋入りパンや袋入り菓子等のように定形物として取り扱うことの困難なものも対象としている。また、パック入り惣菜や弁当等のように比較的大型で重量の嵩むものからサンドイッチやおにぎり等のように比較的小型で軽量のものまでをも販売商品とするものである。
図1〜図4に示すように、この自動販売機は、本体キャビネット1と外扉2とを備えている。本体キャビネット1は、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって堅牢に構成したもので、前面に開口1aを有した箱状を成している。
外扉2は、本体キャビネット1の開口1aを覆うに十分な大きさを有したもので、鋼板により堅牢に構成してある。外扉2は、左側縁部を介して本体キャビネット1に支承させてあり、本体キャビネット1の開口1aを開閉可能となっている。また、外扉2には、ガラス等の透明部材21が嵌め込んであり、外扉2の前面から本体キャビネット1の内部が視認可能となっている。
外扉2は、購入操作部22、表示部23、商品取出口24を備えている。購入操作部22は、利用者が商品を購入する際に利用者によって操作される部分であり、外扉2の正面に向かって右側部となる位置に設けてある。この購入操作部22は、課金部221及び入力部222を備えている。課金部221は、商品の購入に際して有価価値(硬貨、紙幣、プリペイドカード等)の収受を行う部分である。
具体的な課金部221の構成として、硬貨投入口223、紙幣挿入口224、カード提示部225、硬貨返却口226が設けてある。硬貨投入口223は、利用者が硬貨を投入するための開口である。硬貨投入口223を通じて投入された硬貨は、コインメカニズム31(図13参照)において、その金種が識別され、その後、コインメカニズム31の内部に収容されることになる。紙幣挿入口224は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。この紙幣挿入口224を通じて挿入された紙幣は、ビルバリデータ32(図13参照)において、その金種が識別され、その後、ビルバリデータ32の内部に収容されることになる。また、この紙幣挿入口224は、ビルバリデータ32において識別できなかった紙幣を返却するための紙幣返却口としても機能する。カード提示部225は、利用者が提示したカードとの間で識別情報と残額情報とを送受信するもので、このカード提示部225に提示されたカードの識別情報と残額情報とは、リーダライタ33(図13参照)において読み取られ、新たな残額情報がカードに書き込まれることになる。硬貨返却口226は、コインメカニズム31において識別できなかった硬貨、あるいは釣銭としてコインメカニズム31から払い出された硬貨を利用者に返却するための開口である。
入力部222は、商品の購入に関わる指示情報を入力するための部分である。具体的な入力部222の構成として、商品を選択するためのテンキー227、入力情報の実行や訂正を指示するための機能キー228、投入した有価媒体の返却操作を行うための返却レバー229が設けてある。
表示部23は、利用者に対して各種の情報を報知するためのものであり、購入操作部22の近傍となる部位に設けてある。表示部23として本実施の形態では、選択商品や入金額等、購入操作の際に必要となる視覚情報を表示するための表示装置であり、例えば、液晶表示器によって構成してある。
商品取出口24は、図1および図4に示すように、透明部材21よりも下方となる位置に設けたもので、当該透明部材21よりもわずかに幅の狭い矩形状に形成してある。この商品取出口24は、図4に示すように、本体キャビネット1の内部と外部とを互いに連通させるもので、取出扉25によって開閉することが可能である。取出扉25は、矩形の板状を成す取出扉本体25aと、この取出扉本体25aの下端部から下方に向けて突設した重錘25bとを備えたもので、取出扉本体25aの下端縁を介して外扉2に支承させてある。この取出扉25は、重錘25bの作用により通常状態において商品取出口24を閉塞した位置に維持される一方、その上端縁部に設けた取手25cを介して手前側に向けて下方に揺動させることにより、外扉2の商品取出口24を開放することができる。
取出扉25と外扉2との間には、取出扉施錠装置26(図13参照)および取出扉開閉検出センサ27(図13参照)が設けてある。取出扉施錠装置26は、電磁ソレノイド(図示せず)の駆動により、取出扉25と外扉2との間を施錠/解錠するもので、施錠した場合に外扉2の商品取出口24に対する取出扉25の開成移動を阻止する一方、解錠した場合に商品取出口24に対する取出扉25の開成移動を許容する。取出扉開閉検出センサ27は、外扉2の商品取出口24に対して取出扉25が閉成状態にあるか否かを検出するためのものである。
また、上記本体キャビネット1には、図2〜図4に示すように、その内部に商品を収容するための収容庫4を有している。収容庫4は、複数段(本実施の形態では6段)の商品陳列棚50を備えて商品陳列装置を構成するもので、商品陳列棚50に陳列した商品に応じた温度状態に維持できるように構成してある。具体的には、収容庫4の内部において最下段に位置する商品陳列棚50よりもさらに下方となる位置に冷却ユニット51が設けてあり、この冷却ユニット51を適宜駆動することにより商品を所望の温度状態に維持するようにしている。
商品陳列棚50は、それぞれの上面に複数列(図2及び図3に示す形態では8列)のコンベアラック52を左右方向に相互に平行に並設することによって構成したものである。それぞれのコンベアラック52は、図5および図6に示すように、前後一対のローラ53a,53bと、これらローラ53a,53bの間に架け渡した無端状の搬送ベルト54とを備えたもので、ローラ53a,53bの駆動によって搬送ベルト54を移動させることにより、該搬送ベルト54の上面に載置した商品を奥方から前方に向けて送り出すことが可能である。また、コンベアラック52には、個々の前端部に入力ギア55が設けてあるとともに、フロントプレート56が設けてある。入力ギア55は、後述するコンベア駆動装置80の駆動出力ギア803と歯合した場合に該駆動出力ギア803によって回転駆動し、前方のローラ53aを介して搬送ベルト54を移動させるためのものである。フロントプレート56は、コンベアラック52のベースとなる板金部材を下方に屈曲延在して構成した部分である。このフロントプレート56は、商品を選択するための指標となる番号や商品の販売価格を表示した条片を貼り付けるために用いられるもので、入力ギア55の側方域に設けてある。なお、本実施の形態では、適用するコンベアラック52として、左右方向の幅が互いに異なるものを複数用意してあり、これらを適宜組み合わせることによってそれぞれの商品陳列棚50を構成してある。
また、収容庫4の内部には、図1〜図4に示すように、庫内照明装置60およびキャッチャーバケット70が設けてある。庫内照明装置60は、商品陳列棚50に陳列した商品の視認性を向上させるためのもので、例えば収容庫4の両側にそれぞれ蛍光灯を配設することにより構成してある。
キャッチャーバケット70は、図7および図8に示すように、左右幅方向の両端部にそれぞれ側壁71,71を備えるとともに、これら側壁71,71の間に前方に向けて漸次下方に傾斜する受取板72を備えたもので、商品陳列棚50に並べた全コンベアラック52の総左右幅に対応した幅を有して構成してある。このキャッチャーバケット70は、キャッチャーバケット駆動装置73によって商品陳列棚50の前方域を適宜上下方向に移動することにより、任意の商品陳列棚50に陳列された商品を受け入れ、さらに受け入れた商品を商品取出口24まで搬出することが可能である。
キャッチャーバケット駆動装置73は、図7に示すように、左右一対の側板731,731と、それぞれの側板731,731に配設した昇降用タイミングベルト732,732と、各昇降用タイミングベルト732,732に設けたバランサ733,733および支持板734,734とを備えて構成してある。側板731,731は、キャッチャーバケット駆動装置73のベースとなるもので、それぞれ本体キャビネット1の側壁71,71に沿って上下方向に延設してある。昇降用タイミングベルト732,732は、無端状を成すもので、それぞれ対応する側板731,731の上下両端部に配設した一対の昇降用プーリ735a,735bの間に巻回してある。各側板731,731の上端部に配設した昇降用プーリ735aは、左右方向に沿って配設した駆動軸735cによって互いに連結してある。この駆動軸735cは、昇降用モータ736に連係させたもので、該昇降用モータ736が駆動した場合に回転し、それぞれの側板731,731の上端部に配設した昇降用プーリ735aを同一方向に回転させることができる。バランサ733,733は、それぞれがキャッチャーバケット70のほぼ半分となる重量を持つように構成したもので、昇降用タイミングベルト732,732の外周部に固着してある。支持板734,734は、個々の昇降用タイミングベルト732,732においてバランサ733,733と対称となる位置に固着してあり、それぞれの内側面がキャッチャーバケット70の側壁71,71に取り付けてある。図7からも明らかなように、これらバランサ733,733および支持板734,734は、支持板734,734の相互間に取り付けたキャッチャーバケット70が水平となり、かつキャッチャーバケット70に対して均等にバランサ733,733が作用するように、左右で互いに同一となる位置に固着してある。
このキャッチャーバケット駆動装置73では、昇降用モータ736を駆動することによって駆動軸735cを回転させると、昇降用プーリ735aを介して昇降用タイミングベルト732,732が適宜方向に周回し、さらに昇降用タイミングベルト732,732の周回に伴ってキャッチャーバケット70が商品陳列棚50の前方域を上下動することになり、それぞれの商品陳列棚50のコンベアラック52から払い出された商品を受け取ることが可能になる(例えば、図4において二点鎖線で示す位置であり、以下、単に受取位置と称する)。また、キャッチャーバケット駆動装置73によってキャッチャーバケット70を最も下動させた場合には、最下段に位置する商品陳列棚50よりもさらに下方に移動し、キャッチャーバケット70が本体キャビネット1の商品取出口24に対向する位置に配置されるようになる(図4において実線で示す位置であり、以下、単に取出位置と称する)。
キャッチャーバケット駆動装置73によるキャッチャーバケット70の移動は、キャッチャーバケット位置検出手段74によってその位置が検出される。キャッチャーバケット位置検出手段74は、図7に示すように、一方の側板731に設けた昇降位置検出板741および昇降位置確認板742と、キャッチャーバケット70とともに移動する支持板734に設けた昇降停止センサ743および昇降確認センサ744とを備えたもので、キャッチャーバケット70が受取位置や取出位置に配置された場合に、昇降停止センサ743および昇降確認センサ744が、昇降位置検出板741および昇降位置確認板742のそれぞれに設けた昇降用切欠溝741a,742aを検出するように構成してある。なお、昇降停止センサ743および昇降確認センサ744としては、昇降用切欠溝741a,742aを検出した場合にパルス信号を発生するフォトインタラプタを適用している。
また、上記キャッチャーバケット70には、図8に示すように、商品検出センサ75および商品取込部材76が設けてある。商品検出センサ75は、一方の側壁71に設けた投光素子と、他方の側壁71に設けた受光素子とを互いに対向配置し、投光素子から照射された光が受光素子に入力しなかった場合に検出信号を出力するもので、受取板72の上面よりも上方となる位置の3カ所、具体的には、奥方側から手前側に向けて漸次低くなる態様の3カ所に設けてある。商品取込部材76は、キャッチャーバケット70の両側壁71,71間において奥方側の上方部に設けたもので、取込用アクチュエータ76aの駆動によって回転し、コンベアラック52からキャッチャーバケット70への商品の払い出しを補助するように機能する。
さらに、上記キャッチャーバケット70には、商品陳列棚50のコンベアラック52を駆動するためのコンベア駆動装置80、コンベア駆動装置80をキャッチャーバケット70に対して移動させるためのスライド装置82、キャッチャーバケット70の受取板72に商品を保持しておくためのフラッパー77、およびこのフラッパー77の移動を制限するためのフラッパー開閉装置78が設けてある。
コンベア駆動装置80は、入力ギア55を通じて各コンベアラック52の搬送ベルト54を移動させるためのもので、図8〜図10に示すように、装置本体801と、この装置本体801の内部に配設した連動ギア802、駆動出力ギア803および押出部材804とを備えている。
装置本体801は、奥方に向けて漸次高さが増大し、かつ奥方面および下面が開口したカバー状を成すものである。図からも明らかなように、この装置本体801は、その左右の幅がキャッチャーバケット70よりも十分小さく構成してあり、後述するスライド装置82のガイドロッド821を案内とし、一対の走行ローラ805,805を介して左右方向に移動することが可能である。
連動ギア802は、減速機構部806を通じてコンベア駆動モータ807により回転駆動されるもので、左右方向に沿ってほぼ水平に延在するギア支持軸802aによりブラケット801aを介して装置本体801に支持させてある。
駆動出力ギア803は、ギア支持軸802aに設けたリンク808を介して連動ギア802に歯合し、かつこの連動ギア802との歯合状態を維持したまま当該連動ギア802の周囲を回転するように支持させたものである。図10−1に示すように、駆動出力ギア803は、最も手前側に位置させた際に装置本体801の奥方端よりも手前側に位置する一方、図10−2に示すように、最も奥方側に位置させた際に少なくともその一部を装置本体801の奥方端より突出させることが可能である。この駆動出力ギア803の中心軸には、可動プレート809が連結してある。可動プレート809は、ブラケット801aとの間に介在させたリターンスプリング810の弾性力により、装置本体801に対して常時手前側に付勢させたもので、左右方向に向けて突出する当接ピン811を備えている。
押出部材804は、図示せぬ従動片を介してナピアネジ812の往復螺旋溝に係合し、該ナピアネジ812の軸心方向に移動可能、かつ軸心回りの回転を規制した状態で配設したもので、軸駆動モータ813の駆動によりナピアネジ812を一方方向に回転させた場合に装置本体801に対して前後方向に往復移動する。上述した可動プレート809の当接ピン811は、この押出部材804の移動域上に位置しており、該押出部材804が奥方側へ移動した場合に当接し、リターンスプリング810の弾性力に抗して可動プレート809を奥方側へ移動させることができる。
図9および図10に示すように、連動ギア802と駆動出力ギア803との間を連結するリンク808の一方には、駆動出力ギア803の側方となる位置に、フック部808aが設けてある。このフック部808aは、駆動出力ギア803の側方域において左右方向に突設しており、図10−1に示すように、駆動出力ギア803が最も手前側に位置した場合に装置本体801の奥方端よりも手前側に配置される一方、図10−2に示すように、駆動出力ギア803が最も奥方側に位置した場合には屈曲した先端を上方に向けた状態で装置本体801の奥方端よりも突出した位置に配置されるものである。
スライド装置82は、図8に示すように、キャッチャーバケット70の底板79に設けたもので、ガイドロッド821およびスライド用タイミングベルト822を備えている。ガイドロッド821は、底板79の後端縁に沿って左右方向にほぼ水平となるように配設したもので、コンベア駆動装置80の装置本体801に摺動可能に貫通することにより、当該装置本体801の移動を案内する。スライド用タイミングベルト822は、無端状を成すもので、底板79の左右両端部に配設した一対のスライド用プーリ823a,823bの間に巻回してある。一方のスライド用プーリ823aは、スライド用モータ824によって回転し、スライド用タイミングベルト822を周回させることができる。このスライド用タイミングベルト822には、その適宜箇所にコンベア駆動装置80の装置本体801が固着してある。
このスライド装置82では、スライド用モータ824を駆動すると、スライド用プーリ823a,823bを介してスライド用タイミングベルト822が適宜方向に周回し、さらにスライド用タイミングベルト822の周回に伴ってコンベア駆動装置80の装置本体801が連動ギア802、駆動出力ギア803および押出部材804とともにキャッチャーバケット70の底板79に対して左右方向に移動することになり、該キャッチャーバケット70が受取位置に配置された場合に商品陳列棚50の各コンベアラック52に対してコンベア駆動装置80を選択的に対向させることができるようになる。
スライド装置82によるコンベア駆動装置80の移動は、スライド位置検出手段825によってその位置が検出される。スライド位置検出手段825は、底板79に設けたスライド位置検出板8251およびスライド位置確認板8252と、コンベア駆動装置80の装置本体801に設けたスライド停止センサ8253およびスライド確認センサ8254とを備えたものである。このスライド位置検出手段825は、キャッチャーバケット70が受取位置にある状態においてコンベア駆動装置80を適宜移動させ、駆動出力ギア803を後方側に移動させた際に当該駆動出力ギア803をコンベアラック52の入力ギア55に歯合させることのできる位置(以下、単に駆動位置と称する)にコンベア駆動装置80が配置された場合に、スライド停止センサ8253およびスライド確認センサ8254が、スライド位置検出板8251およびスライド位置確認板8252のそれぞれに設けたスライド用切欠溝8251a,8252aを検出するように構成してある。なお、スライド停止センサ8253およびスライド確認センサ8254としては、スライド用切欠溝8251a,8252aを検出した場合にパルス信号を発生するフォトインタラプタを適用している。
フラッパー77は、キャッチャーバケット70の両側壁71,71の間において起立させた場合に該キャッチャーバケット70の前方域を覆うことのできる大きさを有した透明樹脂製の板状を成すもので、その一端縁部の両側から突出する揺動支持軸771をそれぞれ側壁71,71の前端下方部に支承させることにより、該揺動支持軸771の軸心回りに揺動することが可能である。このフラッパー77は、上述したように、キャッチャーバケット70の両側壁71,71の間において上方に起立させた場合に該キャッチャーバケット70の前方域を覆う一方、揺動支持軸771の軸心回りに前方側へ揺動させた場合にキャッチャーバケット70の前方域を開放することができる。
フラッパー開閉装置78は、フラッパー77の揺動支持軸771に設けた可動片781と、キャッチャーバケット70の側壁71に設けた規制アーム782および回転プレート783とを備えて構成してある。可動片781は、揺動支持軸771に固着した舌片状部材であり、フラッパー77を起立させた場合に、揺動支持軸771から下方に向けて突出する態様で設けてある。規制アーム782は、その基端部に設けた支持ピン782aを介して側壁71に支持させてあり、可動片781よりも奥方となる位置に先端を手前側に向けた状態で、支持ピン782aの軸心回りに上下に揺動することが可能である。図には明示していないが、この規制アーム782とキャッチャーバケット70の側壁71との間には、該規制アーム782の先端を常時上方に揺動する方向に付勢するためのアーム付勢バネが介在させてある。回転プレート783は、規制アーム782よりも上方となる位置に、左右方向に沿ってほぼ水平となる回転軸を介して側壁71に回転可能に支持させたもので、規制用モータ784の駆動により回転軸の軸心回りに回転することが可能である。この回転プレート783には、その外周部に押圧ピン785が設けてある。押圧ピン785は、回転プレート783の表面から突出し、規制アーム782の上方域を横切る態様で左右方向に沿ってほぼ水平に延在しており、当該規制アーム782に常時当接している。
このフラッパー開閉装置78は、規制用モータ784の駆動によって回転プレート783が適宜方向に回転し、該回転プレート783の回転に伴って押圧ピン785が予め設定した上端位置と下端位置との間を移動する。押圧ピン785が上端位置に配置された場合には、これに当接する規制アーム782がほぼ水平に延在し、この規制アーム782の先端面が、フラッパー77の揺動支持軸771から下方に向けて延在する可動片781の後面に近接した状態で対向配置されることになる。この結果、可動片781の奥方への揺動が規制アーム782によって阻止されるため、フラッパー77の前方側への揺動、つまり、キャッチャーバケット70の前方域を開放する方向への移動も阻止されることになる。一方、押圧ピン785が下端位置に配置された場合には、これに当接する規制アーム782がアーム付勢バネ(図示せず)の弾性力に抗して下方に揺動し、その先端面が可動片781の後端面から逸脱した位置に配置されることになる。この結果、可動片781の奥方への揺動が許容されるため、フラッパー77の前方側への揺動、つまり、キャッチャーバケット70の前方域を開放する方向への移動も許容されることになる。
フラッパー開閉装置78の動作状態、つまりフラッパー77が開放許容状態にあるか否かは、開放許容検出手段786によって検出される。開放許容検出手段786は、回転プレート783の外周縁から一部を径外方向に延設して構成した遮蔽片7861と、この遮蔽片7861の有無を検出する態様で配置した開放検出センサ7862とを備えて構成したもので、押圧ピン785が上端位置にある場合と下端位置にある場合とで開放検出センサ7862に対する遮蔽片7861の有無が異なるように構成してある。具体的には、本実施の形態の場合、遮蔽片7861が開放検出センサ7862によって検出された場合に押圧ピン785が上端位置にあり、フラッパー77の開放が阻止されるように開放許容検出手段786を構成してある。なお、開放検出センサ7862としては、遮蔽片7861を検出した場合にパルス信号を発生するフォトインタラプタを適用している。
一方、上記収容庫4には、図3および図4に示すように、キャッチャーバケット70の移動域において最下段に位置する商品陳列棚50よりも下方となる部位に金属製の防盗板90が設けてある。防盗板90は、キャッチャーバケット70の上方域を覆うのに十分な大きさを有し、かつ多数の通気孔90aを有した板状を成すもので、その一端縁部の両側から突出する開閉支持軸90bをそれぞれ収容庫4の内壁手前側部分に支承させることにより、該開閉支持軸90bの軸心回りに揺動することが可能である。図には明示していないが、防盗板90と本体キャビネット1との間には、該防盗板90の他端縁部を常時上方に揺動させる方向に付勢するための開放復帰バネ部材を介在させてある。
この防盗板90は、他端縁部を上方に向けて起立させた状態においてキャッチャーバケット70の移動域を開放し、上述したそれぞれの受取位置から取出位置までの間のキャッチャーバケット70の移動を許容する。この状態から、キャッチャーバケット70が取出位置に配置された場合には、図示していないリンク機構を通じて防盗板90が下方に揺動し、上述した開放復帰バネ部材(図示せず)の弾性力に抗して防盗板90が他端縁部を奥方に向けて略水平に配置され、さらに防盗板施錠装置100によって施錠されると当該水平状態が維持されることになる。防盗板90が水平状態に維持された状態においては、キャッチャーバケット70の上方域が当該防盗板90によって覆われることになり、収容庫4において商品陳列棚50に商品が陳列される領域と、取出位置に配置されたキャッチャーバケット70を収納する領域とを相互に仕切ることができるようになる。但し、防盗板90の通気孔90aにより、収容庫4の内部に発生する対流を阻止することはない。さらに、水平状態において防盗板施錠装置100が解錠されると、上述した開放復帰バネ部材(図示せず)の弾性力によって防盗板90が再び立設された状態に復帰し、キャッチャーバケット70の移動域が開放されるようになる。
図11および図12は、それぞれ上述した防盗板施錠装置100を示したものである。本実施の形態で例示する防盗板施錠装置100は、開閉規制部材101とその揺動駆動機構(カム式駆動機構)110とを備えている。
開閉規制部材101は、防盗板90と同等の幅を有した金属製のプレート状を成すもので、その下端縁部に設けた揺動支承軸102を介して、ボックス状を成すベース部材111の手前側下端部に揺動可能に支承させてある。図4からも明らかなように、開閉規制部材101およびベース部材111は、本体キャビネット1の内部において商品取出口24の奥方となる位置に、キャッチャーバケット70の移動域を確保した状態で設けてある。
この開閉規制部材101には、その上端部において手前側となる部位にストッパ片101aおよびプレート支持片101bが設けてある。ストッパ片101aは、開閉規制部材101が鉛直方向に沿って配置された状態において、該開閉規制部材101の上端から手前側に向けて屈曲した部分であり、上述した防盗板90が水平状態に維持された場合にこの防盗板90の上面に当接することが可能である。このストッパ片101aは、開閉規制部材101の幅方向において左右の両端部および中央部となる位置にそれぞれ設けてある。プレート支持片101bは、開閉規制部材101が鉛直方向に沿って配置された状態において、ストッパ片101aよりも下方となる位置から手前側に向けて屈曲した部分であり、上述した防盗板90が水平状態に維持された場合にこの防盗板90の下面に当接することが可能である。このプレート支持片101bは、開閉規制部材101においてストッパ片101aを除いた部分の全長に亘って設けてある。
揺動駆動機構110は、上述したベース部材111の内部にストッパ付勢バネ112および平面カム113を備えて構成してある。ストッパ付勢バネ112は、開閉規制部材101の背面側において揺動支承軸102よりもわずかに上方となる部位とベース部材111との間に介在し、図12−2に示すように、該開閉規制部材101を常時後傾させる方向に付勢するためのものである。本実施の形態では、開閉規制部材101の幅方向において左右の両端部となる位置にそれぞれストッパ付勢バネ112を設けてある。平面カム113は、左右方向に沿って水平に延在するカム軸114に固着し、該カム軸114の回転に伴ってそのカム面113aを開閉規制部材101の背面に摺接させることにより該開閉規制部材101を揺動させるもので、開閉規制部材101の幅方向において左右の両端部および中央部となる位置にそれぞれ設けてある。この平面カム113のカム面113aには、図12−2に示すように、後傾した開閉規制部材101の背面に当接する短径部分Sと、図12−1に示すように、ストッパ付勢バネ112の弾性力に抗して開閉規制部材101を鉛直方向に沿った姿勢に維持するための長径部分Lとを設けてある。なお、図11−1中の符号115はカム軸114を回転させるためのカム用モータである。
上述した平面カム113の回転位置、つまり開閉規制部材101が後傾状態にあるか鉛直状態にあるかは、カム検出センサ116によって検出される。カム検出センサ116は、図12に示すように、平面カム113の短径部分Sが開閉規制部材101に当接している場合にのみ長径部分Lによって遮られる位置に設けたもので、該長径部分Lの有無に基づいて開閉規制部材101が後傾状態にあるか鉛直状態にあるかを検出するようにしている。なお、カム検出センサ116としては、長径部分Lを検出した場合にパルス信号を発生するフォトインタラプタを適用している。
また、上記揺動駆動機構110には、カム軸114に羽根車部材120を設けてある。羽根車部材120は、カム軸114から径方向に向けて放射状に延在した複数の外力受部121を有するもので、平面カム113と一体に回転するようにカム軸114に固着してある。この羽根車部材120の外力受部121は、図4に示すように、開閉規制部材101の背後に位置するため、商品取出口24から操作することはできないが、図12−1の矢印Aで示すように、最下段に位置する商品陳列棚50との間の間隙を通じてドライバー等の工具を差し入れることにより、操作することが可能である。
なお、図からも明らかなように、開閉規制部材101およびベース部材111は、多数の通気孔101c,111aを有しており、収容庫4の内部に発生する対流を阻止することはない。
上述した防盗板施錠装置100では、カム用モータ115を適宜駆動し、図12−1に示すように、平面カム113の長径部分Lを開閉規制部材101に当接させると、水平状態にある防盗板90に対してその上面にストッパ片101aが当接するとともに、その下面にプレート支持片101bが当接することになり、これらストッパ片101aおよびプレート支持片101bの協働により、上述した開放復帰バネ部材(図示せず)の弾性力に抗して当該防盗板90を水平状態に維持することができるようになる。
一方、上述した状態から平面カム113を回転させると、ストッパ付勢バネ112の弾性力により平面カム113のカム面113aに従って開閉規制部材101が順次後傾し、短径部分Sが当接した時点で、図12−2に示すように、開閉規制部材101が防盗板90から完全に離隔した状態となる。この結果、防盗板90は、上述した開放復帰バネ部材(図示せず)の弾性力によって立設された状態に復帰し、キャッチャーバケット70の移動域が開放されるようになる。
図13に示すように、上述したコインメカニズム31、ビルバリデータ32、リーダライタ33、入力部222、表示部23は主制御部1000に接続してあり、上述した取出扉施錠装置26、取出扉開閉検出センサ27、フラッパー開閉装置78、開閉許容検出手段786、キャッチャーバケット駆動装置73、キャッチャーバケット位置検出手段74、スライド装置82、スライド位置検出手段825、コンベア駆動装置80、商品検出センサ75、防盗板施錠装置100、カム検出センサ116は、搬出制御部2000を介して主制御部1000に接続してある。
次に、図14に基づいて、上述した自動販売機の動作について説明する。自動販売機は、キャッチャーバケット70を取出位置に配置した状態で、防盗板施錠装置100により防盗板90を水平状態に維持し、商品取出口24から商品陳列棚50に至る経路を閉鎖して販売待機状態となる。この販売待機状態では、商品取出口24に対する取出扉25が開放可能であって、フラッパー開閉装置78によりフラッパー77が開放可能状態に保持されている。したがって、取出扉25が開成移動されれば、該取出扉25とともにフラッパー77が前方側に揺動し、キャッチャーバケット70の前方域を開放することになる。
この販売待機状態から、例えば、購入操作部22の課金部221を通じて貨幣が投入されると(ステップS1)、主制御部1000は、購入操作部22から商品の選択が成されたか否かを判断することなく、初動制御指令を搬出制御部2000に出力する。搬出制御部2000に初動制御指令が入力されると、搬出制御部2000は、取出扉25が閉塞した状態で取出扉施錠装置26を施錠操作し(ステップS2)、商品取出口24に対する取出扉25の開成移動を阻止する。その後、フラッパー開閉装置78によりフラッパー77の前方側への揺動を阻止し(ステップS3)、かつ、防盗板施錠装置100を解錠操作する(ステップS4)。また、主制御部1000は、利用者に対して入金額や選択商品等、表示部23から販売に関わる各種の情報を報知する処理を行う。
そして、投入された入金額が商品販売価格に達した場合に購入操作部22の入力部222を有効化する。その後、利用者から入力部222を通じて購入に関わる指示情報が入力されると(ステップS5)、この指示情報が搬出制御部2000に対して販売指令として与えられる。販売指令が与えられた搬出制御部2000は、キャッチャーバケット駆動装置73を通じてキャッチャーバケット70を適宜上動させることにより、当該キャッチャーバケット70を取出位置から該当する商品陳列棚50の受取位置まで移動させ(ステップS6)、この状態を維持したままスライド装置82を通じてコンベア駆動装置80を適宜左右移動させることにより、該コンベア駆動装置80を該当するコンベアラック52の駆動位置へ移動させる(ステップS7)。
キャッチャーバケット駆動装置73およびスライド装置82が動作している間、コンベア駆動装置80では、押出部材804が最も手前側に位置し、駆動出力ギア803およびフック部808aが装置本体801に没入した状態に保持されており、これら駆動出力ギア803およびフック部808aがキャッチャーバケット駆動装置73およびスライド装置82の動作に支障を来す虞れはない。
一方、コンベア駆動装置80がコンベアラック52の駆動位置に配置されると、搬出制御部2000は、押出部材804を最も後方側に位置させることにより駆動出力ギア803を当該コンベアラック52の入力ギア55に歯合させ、さらにこの状態からコンベア駆動モータ807を駆動させる(ステップS8)。これにより、連動ギア802を通じて駆動出力ギア803が回転駆動することになり、これに歯合する入力ギア55を通じてコンベアラック52の搬送ベルト54が商品を前方側へ払い出すように移動されることになる。
ここで、コンベアラック52の商品を前方側へ払い出す場合には、駆動出力ギア803を、図10−2中の矢印で示す順方向に回転駆動する必要がある。このため、例えば比較的重量物となる商品の払い出しを行う場合、あるいは搬送ベルト54に異常が発生する等して大きな負荷が加わった場合には、商品陳列棚50に対してコンベア駆動装置80が上方へ移動するようになる。しかしながら、上述した自動販売機によれば、同図に示すように、コンベア駆動装置80の駆動出力ギア803がコンベアラック52の入力ギア55に歯合している場合、当該駆動出力ギア803の側方となる位置に設けたフック部808aがコンベアラック52のフロントプレート56に対向配置されることになる。従って、商品陳列棚50に対してコンベア駆動装置80が上方へ移動しようとした場合には、これらフック部808aおよびフロントプレート56が相互に当接係合してこれを阻止することになり、駆動出力ギア803と入力ギア55との歯合状態が正常に維持されることになる。この結果、駆動出力ギア803の回転が入力ギア55に効率良く伝達され、コンベアラック52の搬送ベルト54に載置された商品が確実にキャッチャーバケット70に払い出されることになる。
この間、キャッチャーバケット70のフラッパー77は、上述したようにフラッパー開閉装置78によって前方側への揺動が阻止された状態にあり、コンベアラック52の搬送ベルト54から払い出された商品がキャッチャーバケット70の受取板72から逸脱する事態が招来されることもない。また、搬出制御部2000は、駆動出力ギア803の回転とともに、商品取込部材76を回転駆動し、コンベアラック52からキャッチャーバケット70への商品の払い出しを補助する。
商品検出センサ75を通じてキャッチャーバケット70に商品が払い出されたことを検出した搬出制御部2000は、直ちに駆動出力ギア803を停止することによって搬送ベルト54の移動を終了させ、当該コンベアラック52に載置された次の商品がキャッチャーバケット70に払い出される事態を防止する(ステップS9)。
駆動出力ギア803の回転を停止した後、搬出制御部2000は、予め設定した時間だけ、例えば1秒間だけ、商品取込部材76の回転を継続する。この結果、商品取込部材76の回転によってキャッチャーバケット70への商品の払い出しがより確実になる。
さらに、搬出制御部2000は、商品取込部材76の回転を継続している間、駆動出力ギア803を逆方向に回転駆動する。この結果、例えば比較的重量物となる商品の払い出しを行うことにより、あるいは搬送ベルト54に異常が発生する等して大きな負荷が加わることにより、駆動出力ギア803と入力ギア55とが互いに食い込む等、両者の歯合状態がきわめて強固となった場合であっても、大きな衝撃を与えることなくこれら駆動出力ギア803および入力ギア55の歯合状態を容易に解除することが可能になり、騒音の発生や損傷を来す虞れがなくなる。
上記のようにして駆動出力ギア803とコンベアラック52の入力ギア55との歯合状態を解除した搬出制御部2000は、キャッチャーバケット駆動装置73を通じてキャッチャーバケット70を取出位置に復帰移動させる(ステップS10)。この結果、再び防盗板90が防盗板施錠装置100により水平状態に維持され(ステップS11)、該防盗板90によってキャッチャーバケット70の上方域が覆われた状態に復帰する。そして、フラッパー開閉装置78によりフラッパー77が開放可能状態に復帰する(ステップS12)。
その後、搬出制御部2000は、取出扉施錠装置26を解錠し(ステップS13)、商品取出口24に対する取出扉25の開成移動を許容した状態となる。従って、利用者が取出扉25を開成させれば、この取出扉25とともにフラッパー77が開成されることになり、商品取出口24から直接手を差し入れてキャッチャーバケット70の商品を取り出すことが可能となる。なお、商品を取り出した後においては、重錘25bの作用により取出扉25が商品取出口24を閉塞した状態に復帰されることになる。
以下、上述した動作が繰り返し行われ、自動販売機として商品の無人販売を行うことが可能になる。
ここで、上記のように取出扉施錠装置26の施錠/解錠を行うようにした自動販売機によれば、外扉2を通じて商品の陳列状態、つまり商品の収納状態を外部から視認することが可能であるものの、水平状態に維持された防盗板90により、商品取出口24から商品陳列棚50に至る経路が閉鎖されているため、商品陳列棚50への侵入を防止できる。しかも、防盗板90を水平状態に維持する場合に、平面カム113の動作による押圧力を開閉規制部材101に伝達するようにした防盗板施錠装置100を適用するとともに、この平面カム113を開閉規制部材101の背後に配置するようにしているため、仮に商品取出口24から開閉規制部材101を押圧する等の操作した場合にも、該開閉規制部材101と防盗板90との係合状態が解除される虞れがなく、防盗性の点できわめて有利となる。
また、上記自動販売機においては、商品を受け入れたキャッチャーバケット70を本体キャビネット1の商品取出口24に対向した取出位置に配置させ、商品取出口24を通じてキャッチャーバケット70の商品を直接取り出せるように構成してあるため、上述した商品の盗難を招来することなく、構造の単純化、並びに設置スペースの縮小化を図ることが可能となる。
上述した自動販売機によれば、貨幣が投入された場合に、商品が選択されたか否かを判断することなく、取出扉25が閉塞した状態で取出扉施錠装置26を施錠操作する一方、防盗板施錠装置100を解錠操作するので、貨幣を投入してから商品取出口24を通じて商品の取り出しが可能となるまでの時間を短縮することができる。この結果、従来の汎用自動販売機に較べて販売の滞りを緩和することができる。