以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1〜図3は、それぞれ本発明の実施の形態である自動販売機を示すものである。ここで例示する自動販売機は、容器入り商品や箱入り商品等の定形商品、あるいは袋入り商品等の不定形商品を販売対象とする汎用のもので、本体キャビネット10及び外扉20を備えている。
本体キャビネット10は、前面が開口した箱状を成す自動販売機本体である。外扉20は、厚さ寸法の大きな平板状を成す扉体で、本体キャビネット10の前面開口を開閉する態様で本体キャビネット10の一側部に保持させてある。図には明示していないが、本体キャビネット10及び外扉20は、それぞれ断熱機能を有しており、本体キャビネット10の前面開口を外扉20によって閉塞した場合に、本体キャビネット10の内部に断熱空間となる商品収容庫11を構成する。
本体キャビネット10の商品収容庫11における商品収納域11Aには、上下方向に沿って複数段の商品収納棚12が設けてある。商品収納棚12は、前後方向に沿って複数の商品を収納する収納コラム12aを左右に複数並設することによって構成したもので、各商品収納棚12の前端が同一の鉛直面(以下、「払出面」という)に位置する状態で商品収容庫11に配設してある。商品収納棚12は、商品収容庫11の任意の高さ位置に配置することが可能であり、互いに高さが異なるように設定することができる。また、各商品収納棚12にあっては、収納コラム12aの左右方向に沿った幅を任意に設定することができる。商品収納棚12に設定された収納コラム12aは、個別に動作し、収納した商品を順次前方に繰り出すことにより最前列に位置するものを払出面を介して下方に落下させることが可能である。本実施の形態では、図3に示すように、スパイラルの回転によって収納コラム12aの商品を順次前方に繰り出すように構成した、いわゆるスパイラルラックと称される商品収納棚12を例示している。
尚、商品収納棚12としては、必ずしもスパイラルの回転によって商品を繰り出すものに限らず、例えば、搬送コンベアの駆動によって商品を前方に繰り出すように構成したものを適用することも可能である。
図1に示すように、外扉20には、窓部21及び商品取出口22が設けてある。窓部21は、複層ガラス等の透明、かつ断熱性を有した面材23を配設することによって構成したもので、本体キャビネット10の前面開口が外扉20によって閉塞された場合にも、すべての商品収納棚12の収納コラム12aにおいて最前列に収納された商品を外部から視認させることが可能である。尚、図には明示していないが、収納コラム12aには識別番号が設定してあるとともに、収納コラム12aの前端には窓部21を通じて視認可能となるように識別番号が表示してある。
商品取出口22は、利用者が購入商品を受け取るための開口であり、外扉20において窓部21よりも下方となる位置に形成してある。図3からも明らかなように、商品取出口22の開口上縁22aは、最下段に配設された商品収納棚12よりもさらに下方に位置するように設定してある。この商品取出口22は、外扉20に設けた商品取出扉24によって常時閉成された状態にあり、商品取出扉24を内側に向けて押し回すことで開放することができる。商品取出扉24は、左右方向に沿った開閉軸24aにより、該開閉軸24aの中心軸回りに回動可能となる態様で上端部を介して外扉20に支持させたものである。この商品取出扉24は、後方側(本体キャビネット10側)に開扉動作して商品取出口22を開成する一方、前方に向けて閉扉動作して商品取出口22を閉成するものである。図には明示していないが、外扉20において商品取出口22の周囲に位置する部分には、商品取出口22を通じて商品収容庫11の内部空気と外気とが流通するのを防止するガスケットが商品取出扉24と対向する部分の全周に配設してある。
また、自動販売機の外扉20には、図1に示すように、窓部21の側方となる部位に操作部30が集約して設けてある。操作部30は、利用者が自動販売機を利用する際に操作するためのもので、紙幣挿入口31、硬貨投入口32、返却レバー33、硬貨返却口34、入力部35、表示部36を備えている。紙幣挿入口31は紙幣を受け入れるための開口であり、硬貨投入口32は硬貨を受け入れるための開口である。返却レバー33は、貨幣の返却を行う場合に操作するものである。硬貨返却口34は、返却硬貨や釣り銭が払い出される部分である。入力部35は、購入する商品を指示するためのものである。本実施の形態では、貨幣が投入された場合に有効となり、購入商品を収納した収納コラム12aの識別番号を直接入力するテンキーを備えて入力部35を構成している。表示部36は、入力部35から入力された入力情報や、販売中、投入金額、釣り銭切れ、お札中止といった自動販売機を利用する際に必要となる各種情報を表示するためのものである。
図3に示すように、商品収容庫11における商品収納域11Aの前端部には、商品取出領域11B及び搬送領域11Cが確保してある。商品取出領域11Bは、利用者の購入した商品が最終的に搬送される最下方の空間であり、外扉20が閉塞した状態にある場合に商品取出口22の上縁以下となる部位に構成してある。搬送領域11Cは、商品収納棚12の各収納コラム12aから繰り出された商品を商品取出領域11Bに搬送するための空間であり、商品取出領域11Bの上方に連続するように設けてある。搬送領域11Cの前後寸法及び左右寸法は、いずれも商品取出領域11Bとほぼ同等となるように構成してある。
商品取出領域11Bには、取出ガイド40が配設してある。取出ガイド40は、商品取出領域11Bに払い出された商品を受け取るための皿状部材であり、図2〜図3に示すように、底壁部41及び左右一対の側壁部42を備えて構成してある。底壁部41は、外扉20に近接した平坦な前半部分41aと、外扉20から離隔した平坦な後半部分41bとの間に、外扉20に近接する従って漸次低くなるように傾斜した傾斜部分41cを有したもので、その上面に商品が払い出された場合、傾斜部分41cの傾斜作用により商品を外扉20に近接した前半部分41aに案内するように機能する。一対の側壁部42は、底壁部41の両側から互いに平行となるように立設した平板状部材である。
この取出ガイド40には、図3に示すように、互いに対向配置された発光素子50a及び受光素子50bを備えた商品検出装置50が設けてある。商品検出装置50は、発光素子50aから受光素子50bに向けて光を照射し、受光素子50bに対する光の入射状態に基づいて商品の有無を検出するもので、一対の側壁部42の互いに異なる複数箇所に配設してある。特に、本実施の形態では、図3に示すように、底壁部41の前半部分41aにおいて傾斜部分41cに近接した部分の上方域を検出領域として4対の発光素子50a及び受光素子50bが配設してある。
商品収容庫11における商品収納域11Aの前端部に確保した搬送領域11Cには、搬送トレイ60が配設してある。搬送トレイ60は、一対の側板61の間に中央板62を配設することによって構成したもので、中央板62の左右方向に沿った寸法が商品収納棚12の全幅とほぼ同じに設定してある。
搬送トレイ60の中央板62は、基準部62a、湾曲部62b及び案内部62cを一体に成形したものである。基準部62aは、側板61が図3中の実線で示す受入姿勢に配置された場合に、水平方向に沿って延在する先端縁が外扉20に近接するように配置された平板状部分であり、外扉20から離隔するに従って漸次上方に傾斜するように設けてある。湾曲部62bは、基準部62aの後端部から漸次上方に向けて湾曲状に延在する曲面部分である。案内部62cは、湾曲部62bの端縁部から上方に向けて漸次商品収納棚12に近接するように傾斜延在する部分である。
このような搬送トレイ60は、図示せぬ昇降装置により左右一対の昇降ガイドレールGLに沿って上下方向に沿って移動するものである。かかる搬送トレイ60は、搬送領域11Cにおいては受入姿勢を維持しており、商品取出領域11Bにおいては、図3中の二点鎖線で示すように、搬送トレイ60が回転軸61aを中心として180°回転して天地が逆の払出姿勢となる。従って、商品収納棚12の収納コラム12aから搬送トレイ60の中央板62に繰り出された商品は、確実に取出ガイド40の上面に払い出されることになる。尚、図3中の一点鎖線で示す搬送トレイ60の位置は、最下段の商品収納棚12から商品が繰り出された場合にこれを中央板62に受け入れることができる位置である。
ここで、搬送トレイ60が図3中の二点鎖線で示す位置で払出姿勢となった場合には、案内部62cが外扉20に向けてほぼ水平となるように突出し、商品取出領域11Bから商品収納棚12へ通じる空間を遮るように配置されることになる。また、商品取出領域11Bから商品収納棚12へ通じる空間が狭められることがないため、搬送トレイ60を取出ガイド40の上面にごく近接する位置まで移動させることが可能となる。従って、商品を取出ガイド40に払い出す際の衝撃を可及的に低減でき、比較的衝撃に強くない商品に対してもこれに損傷を来すことなく販売することが可能となる。取出ガイド40に払い出された商品が発光素子50aから受光素子50bに照射されていた光を遮ると、商品検出装置50によって商品の払い出しが検出されることになる。
図4は、図1〜図3に示した本発明の実施の形態である自動販売機の横断面図であり、収納コラム12aのスパイラルや搬送トレイ60の図示を省略している。図5は、図1〜図3に示した自動販売機を構成する本体キャビネット10の内部構造を示す斜視図であり、商品収納棚12や搬送トレイ60の図示を省略している。
これら図4及び図5に示すように、本体キャビネット10の商品収容庫11には、背面ダクト13及び側面ダクト14が設けてある。
背面ダクト13は、商品収容庫11の商品収納域11Aの後方、すなわち商品収納棚12の後方において上下方向に沿って延在する態様で設けてある。この背面ダクト13の下方前面には吹出口(図示せず)が設けられており、かかる吹出口を覆う態様で風洞部材13aが配設してある。この風洞部材13aは、自身の前方に配設された蒸発器13bと背面ダクト13とを連結するものであり、背面ダクト13を通過して吹出口から吹き出された空気を蒸発器13bに案内するためのものである。蒸発器13bは、図示せぬ圧縮機や凝縮器等と冷媒配管を通じて接続されて封入された冷媒を循環させる冷凍サイクルを構成しており、自身の冷媒通路を通過する冷媒が蒸発することにより周囲を通過する空気を冷却して所望の冷却温度に調整する温度調整手段である。この蒸発器13bの前方には、庫内送風ファンF1,F2が左右に並設してある。これら庫内送風ファンF1,F2は、駆動することにより商品収容庫11の内部空気を商品収納域11Aの内外で循環させる循環手段である。
上記背面ダクト13においては、上側部分に複数の吸込口13cが設けてある。吸込口13cは、庫内送風ファンF1,F2が駆動する場合に、商品収容庫11の内部空気を吸い込むための開口である。これら吸込口13cは、商品収納棚12を配設した場合において、該商品収納棚12に塞がれないような個所に形成してある。
側面ダクト14は、商品収容庫11の商品収納域11Aの両側域における各商品収納棚12の前端部に対応する個所に上下方向に沿って延在する左右一対のものである。
図6及び図7は、それぞれ左側の側面ダクト14の構成を示すための図であり、図6は庫外側から見た場合を示す斜視図であり、図7は庫内側から見た場合を示す斜視図である。ここでは、左側の側面ダクト14について説明し、右側の側面ダクト14は、左右が異なる以外は左側の側面ダクト14と同様の構成であるのでその説明を割愛する。
左側の側面ダクト14は、内部が所定形状にくり抜かれた内側断熱ボード14aの外側に内側断熱ボード14aと同様の外径寸法を有する外側断熱ボード14bを配置するとともに、内側断熱ボード14aの内側に板金部材14cを配置してこれらで内側断熱ボード14aを挟み込むようにして構成されるものである。つまり、左側の側面ダクト14は、商品収容庫11の断熱構造を構成する断熱材(断熱ボード14a,14b)に加工を施すことにより形成されており、内側断熱ボード14aのくり抜き部分が通風路14a1を構成している。
板金部材14cには、図8にも示すように、上下方向に沿って所定間隔毎に複数の円形状の吐出口14dが形成してある。尚、図8では、外側断熱ボード14bの図示を省略している。
また、板金部材14cには、内側断熱ボード14aのくり抜き部分(通風路14a1)の下部に連通する矩形状の連通口14eが形成してある。この連通口14eは、図9に拡大して示すように、連結風洞部材15に覆われている。連結風洞部材15は、左右方向に沿って延在する箱状のものであり、上記庫内送風ファンF1,F2が駆動することにより送られた空気、すなわち蒸発器13bで冷却された空気を側面ダクト14に送出するためのものである。
このように側面ダクト14は、連結風洞部材15、蒸発器13b及び風洞部材13aを通じて背面ダクト13に連通している。この連結風洞部材15の内部には、V字状を成す分流部材16が配設してある。分流部材16は、鋼板を屈曲させて構成されたものであり、庫内送風ファンF1,F2が駆動することにより送られた空気を左右に分流させて送出するためのものである。
左側の側面ダクト14を構成する内側断熱ボード14aのくり抜き部分(通風路14a1)は、下方側よりも上方側を幅狭に形成してある。これにより左側の側面ダクト14の通風路14a1は、横断面積が所定の高さレベルまで上方に向かうに連れて小さくしてあり、該高さレベルよりも上方では横断面積を維持している。これにより、左側の側面ダクト14の各吐出口14dから吐出される空気の流速を略均一なものとすることができる。
本実施の形態である自動販売機では、庫内送風ファンF1,F2が駆動することにより、各吸込口13cを通じて背面ダクト13に流入した内部空気が吹出口より吹き出され、蒸発器13bで冷却される。蒸発器13bで冷却された空気は、連結風洞部材15に至り、分流部材16により左右に分流され、各側面ダクト14に進入する。側面ダクト14に進入した内部空気は、各吐出口14dより略均一な風速で吹き出され、商品収納棚12の前端部を含む前方域に吐出される。これにより、各吐出口14dから吐出された内部空気は、図4の矢印で示すように、該前方域を略覆った後に後方に向けて通過して吸込口13cより背面ダクト13に吸い込まれるよう商品収納域11Aの内外を循環することになる。
図10は、上記商品取出扉24を示す断面側面図である。商品取出扉24は、上述したように、左右方向に沿った開閉軸24aにより、該開閉軸24aの中心軸回りに回動可能となる態様で上端部を介して外扉20に支持させたものであり、後方側(本体キャビネット10側)に開扉動作して商品取出口22を開成する一方、前方に向けて閉扉動作して商品取出口22を閉成するものである。この商品取出扉24は、常態においては、図10に示すような姿勢となって商品取出口22を閉成している。かかる商品取出扉24は、前面を成す樹脂製の表面材24bと、後面を成す金属製の保護材24cとで断熱材24dを挟み込むようにして構成されたものである。
このような商品取出扉24には、ガイド板25が設けてある。ガイド板25は、商品取出扉24の下端部に設けられた揺動軸24eの中心軸回りに揺動可能に配設された板材である。このガイド板25は、該揺動軸24eを支持する軸支部25aと、この軸支部25aよりも下方に向けて延在する基部25bと、該軸支部25aよりも上方に向けて延在するストッパ片25cとを有している。
このようなガイド板25は、図10に示すように、商品取出扉24と略一直線になる基準姿勢となる場合には、ストッパ片25cが商品取出扉24の下端後面に当接することで、本体キャビネット10側(後方側)への揺動が規制されている。このような基準姿勢となる場合、ガイド板25のストッパ片25cは、商品取出扉24の下端後面より露出するネジ部材Nを覆うように当接している。
つまり、ガイド板25は、基準姿勢から本体キャビネット10側への揺動が規制された状態で、図11に示すように揺動可能に商品取出扉24に支持されている。また、ガイド板25の前方への揺動は、ガイド板25の基部25bの前面が商品取出扉24の下端部における前方膨出部24fに当接するまでとされている。
このようなガイド板25は、商品取出扉24が開扉動作する場合には、相対的に前方に向けて揺動することとなり、更に取出ガイド40に払い出された商品と当接する場合には、前方に向けて更に揺動することとなる。
従って、利用者が開成する商品取出口22から手を差し入れてガイド板25を前方に揺動させれば、取出ガイド40に払い出された商品を容易に取り出すことが可能となる。その一方、ガイド板25は、基準姿勢より本体キャビネット10側への揺動が規制されており、しかもガイド板25を前方に揺動させてもその揺動幅は、基部25bの前面が前方膨出部24fに当接するまでとされているので、かかるガイド板25が邪魔板として機能することにより、悪意のある者が商品取出扉24を押し開いたとしても、商品収納棚12の収納コラム12aに手が届くことはなく、商品取出口22を介した盗難を有効に防止することができるようになる。
また、本発明の実施の形態である自動販売機には、ロック装置70及び扉開閉検出機構80が設けてある。
図12は、商品取出口22を閉塞する商品取出扉24の横断面図である。この図12に示すように、商品取出口22の両側部にはそれぞれロック装置70が設けてある。
図13は、右側のロック装置70を示す背面図である。ここでは、右側のロック装置70について説明し、左側のロック装置70は、左右が異なる以外は右側のロック装置70と同様の構成であるのでその説明を割愛する。
ロック装置70は、ロックバー71を備えている。ロックバー71は、上下方向が長手方向となる長尺状のものであり、その中央部よりやや下方部分にピン部材72により外扉20に軸支されている。このロックバー71は、ピン部材72の中心軸回りに揺動可能となるものである。
ロックバー71の上端部には、左方、すなわち商品取出扉24側に向けて突出するロック当接部73が設けてある。
ロックバー71の下端部は、プランジャ74を介してソレノイド75に連結されている。ソレノイド75は、図示せぬ制御手段からの駆動指令に応じて駆動するもので、駆動状態となる場合には、バネ部材76の付勢力に抗してプランジャ74を引き込む動作を行うものである。図13に示す例では、ソレノイド75は駆動停止状態にあり、この場合、プランジャ74は、バネ部材76に付勢されてソレノイド75から離隔する方向、すなわち右側に向けて変位している。
このようなロック装置70においては、ソレノイド75が駆動停止状態となる場合には、図13に示すように、ロック当接部73は、商品取出扉24の両側部より側方に突出する扉当接部26のうち、右側の扉当接部26の回動軌跡上に進出している。その一方、ソレノイド75が駆動状態となる場合には、図14に示すように、ソレノイド75がプランジャ74を引き込む動作を行い、これによりロックバー71が揺動する結果、ロック当接部73が右側の扉当接部26の回動軌跡上から離脱する。つまり、ロック当接部73は、商品取出扉24の回動軌跡に対して進退移動する態様で設けてある。
ロック当接部73は、金属製の板状体を屈曲させて構成したものであり、図15に示すように、左方に向けて延在する左延部73aと、この左延部73aの延在端部を折り曲げて右側後方に延在する右後延部73bとを有している。左延部73aには、前方に向けて切り起こしにより押圧片73cが形成してある。右後延部73bは、右側後方に延在することで後面が、商品取出扉24の回動軌跡に近接するに従って漸次前方に傾斜するロック傾斜面73b1を構成している。つまり、ロック当接部73の後部にはロック傾斜面73b1が形成されている。
一方、扉当接部26の前部には、商品取出扉24から離隔するに従って漸次後方に傾斜する扉傾斜面26aが形成されている。
かかるロック装置70は、自動販売機が販売待機状態にある場合には、ソレノイド75が駆動停止状態となっており、これによりロック当接部73が扉当接部26の回動軌跡に進出移動し、図15に示すように、ロック当接部73の押圧片73cが、商品取出口22を閉成する商品取出扉24の扉当接部26の後部に当接することで該商品取出扉24を押圧している。
一方、利用者により操作部30が操作されることにより、搬送トレイ60が所定の商品収納棚12から商品を受け入れて移動し、払出姿勢になることにより取出ガイド40に商品が払い出されたことが商品検出装置50に検出された場合、制御手段がソレノイド75に駆動指令を与えることにより、ソレノイド75が駆動状態になる。このようにソレノイド75が駆動状態になると、プランジャ74を引き込む結果、ロックバー71が揺動してロック当接部73が扉当接部26の回動軌跡から退行移動する。これにより、利用者は、商品取出扉24を押し開くことが可能になる。
ところで、商品取出扉24が開扉動作した状態で、すなわち商品取出口22が開成した状態で、何らかの事情によりソレノイド75が駆動停止状態となってロック当接部73が扉当接部26の回動軌跡に進出移動してしまうことが考えられる。
この場合、図16に示すように、進出移動したロック当接部73の後部に閉扉動作する商品取出扉24の扉当接部26の前部が当接することとなる。ここで、ロック当接部73にはロック傾斜面73b1が形成してあり、扉当接部26には扉傾斜面26aが形成してあるので、ロック当接部73に扉当接部26が当接する場合、図17に示すように、線接触となりしかも当接により生ずる摩擦抵抗を小さくすることができる。しかも互いに傾斜面26a,73b1が形成されていることにより、ロック当接部73を常態時における進出・退行移動方向と同一の方向に退行移動させることができ、従来装置のフェールセーフ時のように旋回させて退行移動させる際の移動量に対してその移動量を十分に小さくすることができる。
次に扉開閉検出機構80について説明する。扉開閉検出機構80は、右側のロック装置70の上方域に設けてあり、図18に示すように、検知スイッチ81と、作用部材82と、リンク部材83とを備えて構成してある。
検知スイッチ81は、接触子81aを有しており、この接触子81aが押圧されることによりオン状態となってオン信号を制御手段に与えるものである。この検知スイッチ81によりオン信号が与えられると、商品取出口22が開成したものと検知される。
作用部材82は、商品取出扉24の開閉軸24aの右端部に取り付けてあり、商品取出扉24と一体的に回動(開扉動作及び閉扉動作)するものである。この作用部材82の下端部には、第1摺動部82a、第2摺動部82b及び第3摺動部82cが形成してある。第1摺動部82aは、作用部材82の下端部の後方に形成してあり、開閉軸24aに向けて湾曲した部位である。第2摺動部82bは、第1摺動部82aの前方側に該第1摺動部82aに連続して形成してある。この第2摺動部82bは、第1摺動部82aとの連続個所から前方に向かうに連れて下方に傾斜する部位である。第3摺動部82cは、作用端部の下端部の前方側に該第2摺動部82bに連続して形成してある。この第3摺動部82cは、第2摺動部82bとの連続個所から前方に向かうに連れて上方に傾斜する部位である。
リンク部材83は、検知スイッチ81と作用部材82との間に配設してある。このリンク部材83は、図19に示すように、1枚の板状部材を屈曲加工等することにより構成したものであり、支持部83aと、操作片83bと、当接片83cとを備えている。支持部83aは、上方に突出する舌片状の部位であり、ピン部材84を貫通させるための貫通孔83a1が形成してあり、かかる貫通孔83a1を貫通するピン部材84により外扉20に取付支持されるものである。操作片83bは、支持部83aから後方側下方に向けて延在するよう形成された部位である。かかる操作片83bは、検知スイッチ81の接触子81aに接触して押圧するものである。当接片83cは、支持部83aから後方側上方に向けて延在するよう形成された部位であり、その端部83c1がカール状を成している。この当接片83cはカール状端部83c1が作用部材82の各摺動部82a,82b,82cと摺接するものである。
このような扉開閉検出機構80においては、商品取出扉24が商品取出口22を閉成している場合には、図18に示すように、リンク部材83の当接片83cのカール状端部83c1が作用部材82の第1摺動部82aに接している。このように当接片83cのカール状端部83c1が第1摺動部82aに接している場合には、操作片83bは、検知スイッチ81の接触子81aと離隔している。
そして、商品取出扉24が商品取出口22を閉成した状態から開扉動作を開始した後、図20に示すように、当接片83cのカール状端部83c1が作用部材82の第2摺動部82bに摺接することで当接片83cが押圧されることとなり、これによりリンク部材83は、操作片83bが接触子81aを押圧する。これにより、接触子81aが接点押圧片を押圧可能な状態となる。
商品取出扉24が更に所定量開扉動作した場合には、図21に示すように、当接片83cのカール状端部83c1が作用部材82の第2摺動部82bと第3摺動部82cとの連接点に摺接することとなる。この場合、検知スイッチ81はオン状態となり、オン信号を制御手段に与えることで、商品取出口22が開成したものと検知される。ここで、商品取出扉24の開扉動作の最大量は、当接片83cのカール状端部83c1が第3摺動部82cの前端部分に接するまでとされているものとする。つまり、作用部材82の第3摺動部82cはリンク部材83を介して接触子81aに対する押圧力が略一定となるようなカム形状に定められ、これにより検知スイッチ81のオン状態が維持される。
一方、開扉動作させた商品取出扉24を閉扉動作させる場合には、当接片83cのカール状端部83c1が第3摺動部82cに摺接している際には検知スイッチ81のオン状態が維持され、カール状端部83c1が第2摺動部82bに摺接している際には当接片83cが復帰して検知スイッチ81がオフ状態となり、カール状端部83c1が第1摺動部82aに摺接する際にはリンク部材83は自身の復元力により元の姿勢に戻り、操作片83bが接触子81aから離隔することとなる。
以上説明したような本実施の形態である自動販売機によれば、庫内送風ファンF1,F2が駆動することにより、各吸込口13cを通じて背面ダクト13に流入した内部空気を各側面ダクト14のそれぞれに進入させ、かつ各吐出口14dより略均一な風速で吐出させることにより、吐出された内部空気が商品収納棚12の前端部を含む前方域を略覆った後に後方に向けて通過して吸込口13cより背面ダクト13に流入するよう内部空気を商品収納域11Aの内外で循環させるので、各商品収納棚12の最前の商品を確実に所望の温度に冷却しながら後方の商品についても良好に冷却することができる。従って、商品収納棚12の商品を良好に冷却し、かつ商品の販売機会を逸脱してしまうことを抑制することができる。
上記自動販売機によれば、ガイド板25が、基準姿勢より本体キャビネット10側への揺動が規制された状態で商品取出扉24の下端部に揺動可能に支持されているので、利用者が開成する商品取出口22から手を差し入れてガイド板25を前方に揺動させれば、取出ガイド40に払い出された商品を容易に取り出すことが可能となる。その一方、ガイド板25は、基準姿勢より本体キャビネット10側への揺動が規制されており、しかもガイド板25を前方に揺動させてもその揺動幅は、基部25bの前面が前方膨出部24fに当接するまでとされているので、かかるガイド板25が邪魔板として機能することにより、悪意のある者が商品取出扉24を押し開いたとしても、商品収納棚12の収納コラム12aに手が届くことはなく、商品取出口22を介した盗難を有効に防止することができるようになる。また、商品取出扉24の下端部にガイド板25を設けるだけなので、従来のように防盗板や連動機構を設ける必要がなく、部品点数の削減等により製造コストを低減させることができる。従って、製造コストの低減化を図りつつ、防盗性を確保しながら商品の取り出しを良好なものとすることができる。
特に、本実施の形態である自動販売機においては、販売待機状態にある場合には、搬送トレイ60が図3中の二点鎖線で示す位置において払出姿勢に維持されているので、中央板62の案内部62cが外扉20に向けてほぼ水平となるように突出し、商品取出領域11Bから商品収納棚12へ通じる空間を遮るように配置されるために、防盗機能を更に向上させることができる。
また、ガイド板25は、基準姿勢となる場合、ストッパ片25cが商品取出扉24の下端後面より露出するネジ部材Nを覆うように当接しているので、搬送トレイ60が払出姿勢になることにより取出ガイド40に商品が払い出される際、当該商品がネジ部材Nに当接して損傷してしまうことを防止することができる。
上記自動販売機によれば、ロック当接部73にはロック傾斜面73b1が形成してあり、扉当接部26には扉傾斜面26aが形成してあるので、ロック当接部73に扉当接部26が当接する場合、線接触となりしかも当接により生ずる摩擦抵抗を小さくすることができる。しかも互いに傾斜面26a,73b1が形成されていることにより、ロック当接部73を常態時における進出・退行移動方向と同一の方向に退行移動させることができ、従来装置のフェールセーフ時のように旋回させて退行移動させる際の移動量に対してその移動量を十分に小さくすることができる。これにより、商品取出扉24の閉扉動作に要する力が小さい場合にも、ロック当接部73を退行移動させて商品取出口22を閉成することができる。従って、商品取出扉24とロック装置70との当接による摩擦抵抗を低減させることにより、商品取出口22を良好に閉成することができる。
また、上記自動販売機によれば、ロック当接部73の押圧片73cが、商品取出口22を閉成する商品取出扉24の扉当接部26の後部に当接することで該商品取出扉24を押圧しているので、商品取出口22をより確実に閉成することができる。
更に、上記自動販売機によれば、扉開閉検出機構80において作用部材82と検知スイッチ81との間に配設したリンク部材83が、商品取出口22を閉成する商品取出扉24が所定量開扉動作した場合に該商品取出扉24の作用部材82に当接片83cが押圧されることにより操作片83bが接触子81aを押圧して検知スイッチ81をオン状態とし、商品取出扉24が更に開扉動作する場合には、作用部材82の第3摺動部82cがリンク部材83を介して接触子81aに対する押圧力が略一定となるようなカム形状に定められて検知スイッチ81のオン状態を維持することができるので、検知スイッチ81がオン状態となった後にも商品取出扉24を開扉動作させることができるとともに、商品取出扉24を閉扉動作させて商品取出口22を閉成する際に検知スイッチ81をオフ状態にすることができる。つまり、検知スイッチ81がオンオフ動作到達点までの商品取出扉24の開度を増大させることができ、商品取出口22の開閉を精度良く検知することができる。しかも、扉開閉検出機構80の設置スペースを十分に小さくことができ、省スペース化を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
本発明の自動販売機においては、側面ダクト14は、図22及び図23に示すように、吐出口14dのそれぞれに対応して、該吐出口14dの径よりも大きい幅を有し、かつ少なくとも周囲の一部が湾曲してなる吐出部位14a2が形成されて成り、通風路14a1には、吐出部位14a2へ内部空気を誘導するためのルーバー部材14a3が設けられたものであっても良い。このような構成によれば、庫内送風ファンF1,F2が駆動することにより、吐出部位14a2で内部空気を旋回させることができ、吐出口14dより該内部空気を旋回流として吐出させることができる。これにより、各吐出口14dより吐出される内部空気は、直進性に優れたものとすることができる。