JP5946101B2 - マスト装置、及び、該マスト装置を備えるフォークリフト - Google Patents

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Description

本発明は、荷を昇降させるためのマスト装置、及び、該マスト装置を備えるフォークリフトに関する。
フォークリフトは、荷を昇降させるためのマスト装置を備えている。図5は、従来のマスト装置の構成を部分的に示す側面図である。マスト装置は、上下方向に立設されたマスト3’と、マスト3’に沿って昇降可能にマスト3’の前面に設けられたリフトブラケット4と、リフトブラケット4の前面に支持されたフォーク5と、リフトブラケット4を昇降させるリフトシリンダなどからなる昇降手段(図示されない)とを備えている。
マスト3’には上下方向にのびるガイド溝30’が形成されており、リフトブラケット4には、当該ガイド溝30’に沿って摺動する2つのガイド部材(ガイドローラ)42、43が上下に取り付けられている。それによって、リフトブラケット4はマスト3’に案内される。フォーク5は、リフトブラケット4に取り付けられて上下方向にのびるシャンク部50と、荷を支えるためにシャンク部50の下端から水平方向にのびるブレード部51とからなる。ブレード部51は、傾斜せず平坦な上面と、先端に向かって斜め上向きに傾斜する下面とを備えており、先端に向けて厚みが小さくなる形状である。このような形状によってブレード部51をパレットに差し込み易くなっている。
オペレータは、荷役作業を終えてフォークリフトを駐車する際、フォーク5が周囲の作業者の邪魔にならないように、リフトブラケット4を最も下降させてフォーク5を地面Fに接地させる。しかしながら、フォーク5は、前述した形状ゆえに、その後端部は地面Fに接地するが、その先端部は地面Fから浮き上がる。この先端部の浮き上がりが原因で、作業者が躓いて転倒する事故が発生していた。
このような事故を防止するために、フォーク5の傾動角度を調整するティルト装置が利用されている。具体的には、オペレータは、フォークリフトを駐車する際にマスト装置でリフトラケット4を最下降させるとともに、ティルト装置でフォーク5を前傾させることで、フォーク5の先端部を地面Fに接地させている。このような動作を自動でするフォークリフトもある(例えば、特許文献1)。
特開2007−22711号公報
しかしながら、フォークリフトには、ティルト装置を備えず、それゆえフォーク5の先端部を地面Fに接地させることができないものもある。このようなフォークリフトでは、フォーク5の先端部の浮き上がりが原因で発生する事故を防止できなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ティルト装置を用いなくてもフォークの先端部を地面に接地させることができるマスト装置、及び、該マスト装置を備えるフォークリフトを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るマスト装置は、
ガイド溝が形成された上下方向にのびるマストと、
前記ガイド溝に嵌り前記ガイド溝に沿って摺動する上側ガイド部材と、前記上側ガイド部材から下方向に間隔をあけて配置され、前記ガイド溝に嵌り前記ガイド溝に沿って摺動する下側ガイド部材と、を有し、前記マストに沿って昇降可能に設けられたリフトブラケットと、
前記リフトブラケットを前記マストに沿って昇降させる昇降手段と、
前記リフトブラケットに対して離間する水平方向に突出するブレード部を有し、前記リフトブラケットに支持されたフォークと、を備え、前記ブレード部の下面は先端に向かって斜め上向きに傾斜している、マスト装置であって、
前記ガイド溝は、前記上側ガイド部材及び下側ガイド部材の幅に対応する一定の幅で上下方向にのびるように前記マストの下部を除く部分に形成された第1領域と、前記一定の幅で上下方向にのびるように前記マストの下部に形成され、前記第1領域に対して前記ブレード部の突出方向と反対の方向にオフセットした第2領域と、前記第1領域の下端と前記第2領域の上端とを接続する第3領域とからなり、
前記リフトブラケット及び前記フォークが前記昇降手段により下降する際、前記上側ガイド部材が前記第1領域にある状態で前記下側ガイド部材が前記第1領域から前記第3領域を通って前記第2領域に移動することで前記リフトブラケット及び前記フォークが前傾姿勢になり、
前記リフトブラケット及び前記フォークが前傾姿勢のまま前記昇降手段によりさらに下降することで前記ブレード部の先端部が地面に接地する、
ことを特徴とするマスト装置。
好ましくは、前記上側ガイド部材及び前記下側ガイド部材は、ガイドローラである。
上記課題を解決するために、本発明に係るフォークリフトは、車体と、前記車体に設けられた上記のマスト装置と、を備えることを特徴とする。
本発明は、上記構成を備えることにより、ティルト装置を用いなくてもフォークの先端部を地面に接地させることができるマスト装置、及び、該マスト装置を備えるフォークリフトを提供することができる。
本発明に係るフォークリフトを概略的に示す側面図である。 図2Aは、本発明に係るマスト装置の一方のマストを示す側面図であり、図2Bは、図2AのT−T’線の断面図である。 図3A及び図3Bは、リフトブラケットの下降によってフォークが前傾する動作を説明する図である。 リフトブラケットが最も下降して、フォークの先端部が地面に接地した状態を示す図である。 従来のフォークリフトのマスト装置を部分的に示す側面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係るマスト装置、及び該マスト装置を備えるフォークリフトについて説明する。
図1に、本発明に係るフォークリフト1の側面図が示されている。フォークリフト1は、車体10、及び、車体10の前部に立設されたマスト装置2を備えている。フォークリフト1は、本実施例では、運転席を備えず、オペレータが歩きながら操縦するウォーキータイプである。走行用の車輪11が車体10の前部及び後部に取り付けられ、地面Fに接地している。車体10の後部に、車体10及びマスト装置2を操縦するためのハンドル12が接続されている。
マスト装置2は、本実施例では、シングルマスト構造である。マスト装置2は、車体10の前部に立設されて上下方向にのびる左右一対のマスト3を備えている。各マスト3には、後述するガイド溝30が形成されている。一対のマスト3は、ガイド溝30が互いに対向するよう左右方向(図1の紙面に対して垂直方向)に間隔をあけて配置されている。
マスト装置2は、マスト3に沿って昇降可能にマスト3の前面に設けられたリフトブラケット4と、リフトブラケット4に支持されリフトブラケット4の前面に設けられた左右一対のフォーク5とを備えている。さらに、マスト装置2は、リフトブラケット4をマスト3に沿って昇降させる昇降手段を備えている。
リフトブラケット4は、フォーク支持部40と、フォーク支持部40の背面で互いに左右方向に間隔をあけて配置された2つのガイド支持部41とを備えている。フォーク支持部40にはフォーク5が支持されている。各ガイド支持部41には、上側ガイド部材42及び下側ガイド部材43が支持されている。下側ガイド部材43は、上側ガイド部材42から下方向に所定の間隔をあけて配置されている。
上側ガイド部材42及び下側ガイド部材43はどちらも、本実施例では、左右方向にのびる回転軸周りに回転可能にガイド支持部41に支持されたガイドローラである。
左側のガイド支持部41の上側ガイド部材42及び下側ガイド部材43は、左側のマスト3のガイド溝30に嵌り、ガイド溝30に沿って摺動可能である。一方、右側のガイド支持部41の上側ガイド部材42及び下側ガイド部材43は、右側のマスト3のガイド溝30に嵌り、ガイド溝30に沿って摺動可能である。この構成によって、リフトブラケット4がマスト3に案内されるようになっている。
各フォーク5は、リフトブラケット4のフォーク支持部40に支持されて上下方向にのびるシャンク部50と、シャンク部50の下端からリフトブラケット4に対して離間する水平方向に、即ち前方向X1に突出するブレード部51とを備えている。
ブレード部51は、リフトブラケット4よりも低い位置にある。ブレード部51の上面は傾斜がなく平坦であり、ブレード部51の下面は、先端に向けて斜め上向きに傾斜している。従って、ブレート部51の厚みは、先端に向けて小さくなっている。
昇降手段は、図示されていないが、マスト3に取り付けられたシリンダサポート上に設置され、上下方向に伸縮するリフトシリンダと、リフトシリンダを駆動する油圧回路とを備えている。さらに、昇降手段は、リフトシリンダのピストンロッドの先端に回転可能に取り付けられたチェーンホイールと、リフトブラケット4を吊り下げるチェーンとを備える。チェーンは、チェーンホイールに掛けられ、その一端がマスト3に固定され、その他端がリフトブラケット4に固定されている。上記構成により、リフトシリンダが伸縮すると、リフトブラケット4及びこれに支持されたフォーク5がマスト3に案内されて昇降する。なお、リフトブラケット4が昇降手段により昇降する際、上側ガイド部材42と下側ガイド部材43はともにガイド溝30に沿って摺動する。
図2に、一方のマスト3の構成が示されている。マスト3は、その上端から下端に渡ってガイド溝30が形成されており、横断面がコ字形状である(図2B参照)。図2Aを参照して、マスト3のガイド溝30は、第1領域S1、第2領域S2、及び第3領域S3とからなる。
第1領域S1は、上下方向にのびるようにマスト3の下部を除く部分に形成されている。第2領域S2は、上下方向にのびるようにマスト3の下部に形成されている。この第2領域S2は、第1領域S1に対して、前方向X1(ブレード部51の突出方向)と反対の方向、即ち後方向X2にオフセットしている。第2領域S2の長さは、上側ガイド部材42と下側ガイド部材43との配置間隔よりも短い。第3領域S3は、第1領域S1の下端と第2領域S2の上端とを滑らかに接続する。
他方のマスト3のガイド溝30も同様に、マスト3の下部を除く部分に形成された第1領域S1と、マスト3の下部に形成され、第1領域S1に対して後方向X2にオフセットした第2領域S2と、第1領域S1と第2領域S2とを滑らかに接続する第3領域S3とからなる。
図3Aの通り、リフトブラケット4がマスト3の下部より高い位置にあるとき、上側ガイド部材42及び下側ガイド部材43はともにガイド溝30の第1領域S1にあり、リフトブラケット4及びフォーク5は前傾していない。
リフトブラケット4が昇降手段によりマスト3の下部に下降する際、図3Bに示される通り、上側ガイド部材42及び下側ガイド部材43のうち、下側ガイド部材43だけが第1領域S1から第3領域S3を経て第2領域S2へ移動する。このように、上側ガイド部材42が第1領域S1にある状態で、下側ガイド部材43が第1領域S1に対して後方向X2にオフセットした第2領域S2へ移動することで、リフトブラケット4及びフォーク5が前傾する。
それから、リフトブラケット4及びフォーク5は前傾姿勢のまま下降する。リフトブラケット4が最も下降すると、図4に示される通り、ブレード部51の先端部が地面Fに接地する。なお、前述の通り、第2領域S2の長さは、上側ガイド部材42及び下側ガイド部材43の配置間隔よりも短いので、上側ガイド部材42が第1領域S1から第2領域S2へ移動することはない。
以上のように、このマスト装置2によれば、リフトブラケット4が最も下降すると、フォーク5(ブレード部51)の先端部が自動的に地面に接地する。しかも、このフォーク5の先端部の地面Fへの接地は、従来のようにフォーク5の傾動角度を調整するティルト装置を用いずに行われている。従って、本発明によれば、ティルト装置を備えていないフォークリフト1おけるフォーク5の先端部の浮き上がりに起因する事故を防止できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
フォークリフト1は、上記実施形態では、運転席を備えていないウォーキータイプのものであったが、運転席を備えているフォークリフトでもよい。また、フォークリフト1が、マスト装置2を車体10の前部でなく側部に備え、フォーク5のブレード部51を車体10の左右方向のいずれかの方向に突出させるサイドフォークリフトでもよい。
マスト装置2は、上記実施形態では、固定マストを備え、上下方向に可動するマストを備えていないシングルマスト構造であった。しかしながら、本発明に係るマスト装置2は、二段マスト構造、三段マスト構造といった、固定マストと一以上の上下動する可動マストとからなる多段マスト構造(伸縮マスト構造)にも適用できる。
例えば、二段マスト構造は、車体に立設されたアウタマスト(固定マスト)と、アウタマストの内側でアウタマストに昇降可能に設けられたインナマスト(可動マスト)と、インナマストに沿って昇降可能に設けられたリフトブラケットとを備える。この場合、リフトブラケットが昇降可能に設けられるインナマストが、図2に示される第1領域S1、第2領域S2、及び第3領域S3からなるガイド溝30を有していればよい。
要するに、多段マスト構造の場合、リフトブラケットが昇降可能に設けられる可動マストが、図2に示されるガイド溝30を有していればよい。
また、本発明に係るフォークリフト1は、ティルト装置を備えていてもよい。本発明によれば、オペレータは、ティルト装置を作動させず、マスト装置2を作動させるだけでフォーク5の先端部を地面Fに接地させることができるので、駐車の際のオペレータの負担は従来よりも軽減される。
ティルト装置によるフォークの最大前傾角度は、フォークリフトの機種にもよるが約3度〜約6度である。フォーク5の形状によっては、ティルト装置でフォーク5を最も前傾させても、フォーク5の先端部が地面Fに接地しないものもある。従って、このようなフォークリフトに本発明を適用することも有効である。
上側ガイド部材42及び下側ガイド部材43は、上記実施形態では、ガイドローラであったが、例えば、ガイド溝30に沿って摺動可能なガイドシュー等でもよい。
1 フォークリフト
10 車体
2 マスト装置
3 マスト
30 ガイド溝
S1 ガイド溝の第1領域
S2 ガイド溝の第2領域
S3 ガイド溝の第3領域
4 リフトブラケット
42 上側ガイド部材
43 下側ガイド部材
5 フォーク
50 シャンク部
51 ブレード部
F 地面
X1 前方向
X2 後方向

Claims (3)

  1. ガイド溝が形成された上下方向にのびるマストと、
    前記ガイド溝に嵌り前記ガイド溝に沿って摺動する上側ガイド部材と、前記上側ガイド部材から下方向に間隔をあけて配置され、前記ガイド溝に嵌り前記ガイド溝に沿って摺動する下側ガイド部材と、を有し、前記マストに沿って昇降可能に設けられたリフトブラケットと、
    前記リフトブラケットを前記マストに沿って昇降させる昇降手段と、
    前記リフトブラケットに対して離間する水平方向に突出するブレード部を有し、前記リフトブラケットに支持されたフォークと、を備え、前記ブレード部の下面は先端に向かって斜め上向きに傾斜している、マスト装置であって、
    前記ガイド溝は、前記上側ガイド部材及び前記下側ガイド部材の幅に対応する一定の幅で上下方向にのびるように前記マストの下部を除く部分に形成された第1領域と、前記一定の幅で上下方向にのびるように前記マストの下部に形成され、前記第1領域に対して前記ブレード部の突出方向と反対の方向にオフセットした第2領域と、前記第1領域の下端と前記第2領域の上端とを接続する第3領域とからなり、
    前記リフトブラケット及び前記フォークが前記昇降手段により下降する際、前記上側ガイド部材が前記第1領域にある状態で前記下側ガイド部材が前記第1領域から前記第3領域を通って前記第2領域に移動することで前記リフトブラケット及び前記フォークが前傾姿勢になり、
    前記リフトブラケット及び前記フォークが前傾姿勢のまま前記昇降手段によりさらに下降することで前記ブレード部の先端部が地面に接地する、
    ことを特徴とするマスト装置。
  2. 前記上側ガイド部材及び前記下側ガイド部材は、ガイドローラであることを特徴とする請求項1に記載のマスト装置。
  3. 車体と、前記車体に設けられた請求項1または請求項2に記載のマスト装置と、を備えることを特徴とするフォークリフト。
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