JP5920451B2 - 内装用表皮材の製造方法及びそれを用いた内装用成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は内装用表皮材の製造方法及びそれを用いた内装用成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、半延伸糸等が乾熱処理され、その後、交絡されてなる糸を用いて製織された織物を備える内装用表皮材の製造方法、又は半延伸糸等が乾熱処理され、その後、撚られ、撚り係数が2000〜24000である撚糸を少なくとも一部に用いて製織された織物を備える内装用表皮材の製造方法、及びこれらの内装材用表皮材が基材に接合されてなる内装用成形体の製造方法に関する。
従来、車両用成形体、住宅用成形体等の成形体の表皮材として伸び易いニットが多く用いられている。しかし、ニットは薄層であるため、成形後、表面に凹凸を生じ、外観不良になることがある。そのため、ポリウレタンフォームシート等に積層接着した複合材などとして用いられている。特に、高級車両等では、外観不良等はより問題になるため、フォームシートの裏面に更に不織布等が積層接着された、より多層構造の表皮材が用いられることもある。また、ニットはループにより構成されているため、緻密な柄を表現することが難しい。そのため、プリントやエンボス等で意匠性を向上させる工夫が行われているが、繊細さや光沢を併せ持たせることは難しい。
一方で、樹脂製の基材に固定される内装用成形体の表皮材として織物を用いることも知られている(例えば、特許文献1参照。)。例えば、内装基材として無架橋のポリプロピレン発泡体を使用し、表皮材として織物等を用いた内装材が知られている(例えば、特許文献2参照。)。更に、ポリエステルの未延伸糸又は半延伸糸を芯糸とした混繊糸を用いた自動車の内装等に適した成型性織物も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2010−248668号公報 特開平7−40484号公報 特開昭61−282452号公報
特許文献1に記載されているように、各種の製品の表皮材として織物を用いることは知られている。しかし、織物では経糸と緯糸とが互いに拘束されており、ニットのように編構造による逃げがない。そのため、鋭利な物で擦られたとき、力が特に単糸に集中し、単糸切れや糸のずれが生じて外観不良となることが問題であった。また、通常の織物では他の物品等が引っ掛かったときなどに、傷付き易く、単糸が伸ばされたり、切れたりして、織物の表面が乱れ、例えば、車両用成形体の表皮材として用いた場合、成形体表面の光沢にむらが発生し、外観不良となることが懸念される。
更に、特許文献2に記載されているように、車両用等の成形体の表皮材として織物を用いた場合、通常の織物では伸び特性に劣り、皺が発生し、見栄えのよい成形体とすることができないことがある。また、特許文献3に記載された成型性織物では、未延伸糸又は半延伸糸を芯糸とした混繊糸が用いられており、伸び特性の改善が図られている。しかし、半延伸糸をチーズ染色するため、延伸糸を染色するときと比べて、表皮として仕上がったときに、光沢が低下することがある。また、熱処理が湿式方式であるときは、捲きの外側と内側とで収縮及び染色のむらが発生し易く、製織後もむらが残留することがある。
本発明は、上述の従来の状況に鑑みてなされたものであり、光沢の低下及び外観不良が抑制される内装用表皮材の製造方法、及びこのような内装用表皮材を用いた内装用成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
1.未延伸糸又は半延伸糸が乾熱処理され、その後、交絡されてなる糸を用いて製織された織物を備える内装用表皮材の製造方法であって、
前記乾熱処理糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が20%以下であり、伸び率が100〜200%であって、
前記織物の一面側に、樹脂が少なくとも付着しており、
前記未延伸糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が40〜80%であり、JIS L 1013により測定した伸び率が150〜500%であって、
前記半延伸糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が40〜80%であり、JIS L 1013により測定した伸び率が80〜200%であることを特徴とする内装用表皮材の製造方法
2.少なくとも一部に撚糸を用いて製織された織物を備える内装用表皮材の製造方法であって、
前記撚糸は、未延伸糸又は半延伸糸が乾熱処理され、その後、撚られた撚糸であり、撚り係数が2000〜24000であって、
前記乾熱処理糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が20%以下であり、伸び率が100〜200%であって、
前記織物の一面側に、樹脂が少なくとも付着しており、
前記未延伸糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が40〜80%であり、JIS L 1013により測定した伸び率が150〜500%であって、
前記半延伸糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が40〜80%であり、JIS L 1013により測定した伸び率が80〜200%であることを特徴とする内装用表皮材の製造方法
3.前記撚糸は、前記乾熱処理後に交絡された糸に撚りが加えられた撚糸であり、撚られる糸の形態は、マルチフィラメントであり、前記撚糸の繊度が86〜330dtexであって、前記撚糸のJIS L 1095.9.17により測定されるスナール指数が0〜30である前記2.に記載の内装用表皮材の製造方法
4.基材と、前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の製造方法により製造された前記内装用表皮材とを接合することを特徴とする内装用成形体の製造方法
5.前記基材と前記内装用表皮材との間にクッション材を介装させる前記4.に記載の内装用成形体の製造方法。
6.前記基材と、前記内装用表皮材と成形と同時に接合する前記4.又は5.に記載の内装用成形体の製造方法
7.前記基材をプレス成形して予備成形体とし、
前記内装用表皮材を前記予備成形体に沿うような形状としつつ、接合する前記4.又は5.に記載の内装用成形体の製造方法
8.前記内装用表皮材が20〜90%伸張されて前記基材に接合されている変形部を有す前記6.又は7.に記載の内装用成形体の製造方法
9.ポリエステルフィラメント間に糸長差が存在しない構成糸による織物により、20〜90%伸張した変形部を有する表面を構成することを特徴とする内装用成形体の製造方法
10.車両用である前記4.乃至9.のうちのいずれか1項に記載の内装用成形体の製造方法
半延伸糸等が乾熱処理され、その後、交絡されてなる糸を用いて製織された織物を備える本発明の内装用表皮材の製造方法によれば、種々の意匠をほぼ制約なく自由に表現することができ、艶の変化で内装用成形体の立体感を向上させることもできる。また、得られる内装用表皮材は、賦形性に優れているため、緻密な織柄及び光沢を保持しながら基材と一体化させることができる。更に、プレセット、液流染色、起毛及びシャーリング等の工程を削減することもできる。
半延伸糸等が乾熱処理され、その後、撚られてなる糸を用いて製織された織物を備える他の本発明の内装用表皮材の製造方法によれば得られる内装用表皮材は、特定の撚糸を少なくとも一部に用いて製織された織物を備え、この撚糸は、撚り止めセットをしたとしても十分な塑性変形性を有し、成形時に賦形し易いため、基材の形状に追随して容易に変形し得る。更に、撚りを加えることで、全ての単糸が収束され、糸の変形及び単糸切れ等が抑制され、これによっても光沢、外観等の低下が抑えられる。また、収束性が大きく向上することで、製織性も向上する。更に、硬度を指標とする耐傷付き性に優れ、他の物品が引っ掛かったときなどに、糸全体で変形を防ぐ、又は少なくとも抑えることができ、傷付き難い。また、撚り数を変えることで、内装用表皮材の触感をしっとりとしたものからドライなものまで調整することもできる。更に、撚り数によって光沢感を調整することができ、撚方向の組み合わせ等によって意匠性をより向上させることもできる。
更に、乾熱処理後の糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が20%以下であり、伸び率が100〜200%であるため、原反時、即ち、表皮材であるときと、基材に接合され、仕上げられたときとの外観の差異を少なくすることができ、基材が複雑な形状であっても、見栄えよく接合することができる表皮材とすることができる。
また、織物の一面側に、樹脂が少なくとも付着しているため、裁断したときの毛羽立ちが殆どなく、毛羽立ちを処理するための後加工工程を省略することができる。
本発明の製造方法により製造された内装用表皮材を用いた本発明の内装用成形体の製造方法によれば、基材と表皮材とが成形と同時に接合されるとき、基材と表皮材とがそれぞれ成形された後、接合されるとき、のいずれの場合も、種々の意匠をほぼ制約なく自由に表現することができ、優れた意匠性を有する内装用成形体とすることができる。また、内装用表皮材の織りによる艶の変化で光沢も十分である。更に、表皮材の織りによる陰影表現で、平面的ではなく、立体感を有する内装用成形体とすることができる。また、基材と表皮材とが成形と同時に接合されてなるときは、工程が簡略化され、より効率よく成形体を製造することができる。
また、内装用表皮材が20〜90%伸張されて接合されている変形部(後述の大変形部Aを意味する。)を有する場合は、特に深絞り成形時等の伸張による皺の発生が抑えられ、より意匠性を向上させることができる。
更に、特定の織物により構成された表面が伸長した変形部を有する他の本発明の内装用成形体の製造方法でも、上述のような優れた特性を有する内装用成形体とすることができるとともに、特に深絞り成形時等の伸張による皺の発生が抑えられ、より意匠性を向上させることができる。
また、内装成形体が車両用である場合は、天井材、ドアトリム等の各種の成形体とすることができ、平面的ではなく立体感のある成形体とすることができるため、特に天井材では、天井を高くみせることができ、乗員に車室内をより広く感じさせることができる。
内装用成形体の成形に用いられる基材側と、表皮材側との模式的な断面図である。 図1の基材側と表皮材側とが積層された積層体の模式的な断面図である。 成形された車両用天井材の幅方向の断面の模式図である。 図2の基材側と表皮材側との間にクッション材が介装された積層体の模式的な断面図である。 乾熱処理の方法の一例を説明するための模式的な説明図である。 乾熱処理の方法の他例を説明するための模式的な説明図である。 糸飛び量の意味を説明するための模式図である。 耐傷付き性試験後の織物の表面を観察した画像に基づく説明図である。 図8の中心部の糸が傷付いた箇所を拡大した説明図である。
以下、図を参照しながら、本発明を詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
内装用成形体に用いられている編物及び不織布は、緻密な柄を表現し難く、多くのものは無地柄且つ起毛等で表面を毛羽立たせているため、糸の配列が乱れても光沢差が現れ難い。一方、織物は経糸と緯糸とが略直交しており、その柄を意匠として表現したいため、少しでも糸の配列が乱れると光沢差が現れる。また、半延伸糸等が乾熱処理された糸は塑性変形し易い。そのため、内装用表皮材に他の物品が引っ掛かったりすると傷付き易い。そして、この傷付いた箇所では、糸が局部的に伸ばされたり、切れたりして、編物及び不織布と比べて光沢差が現れ易い。また、半延伸糸等が乾熱処理された糸は、製織時、筬と糸との擦れにより毛羽が発生したり、フィラメントが割れたりして製織性が低下することがある。
本発明は、上述のような背景の下なされたものである。
1.内装用表皮材の製造方法
本発明の内装用表皮材(15)の製造方法は、未延伸糸又は半延伸糸が乾熱処理され、その後、交絡されてなる糸を用いて製織された織物を備える内装用表皮材の製造方法である(図1参照)。また、他の本発明の内装用表皮材(15)の製造方法は、少なくとも一部に撚糸を用いて製織された織物が用いられ、この撚糸は、未延伸糸又は半延伸糸が乾熱処理され、その後、撚られた撚糸であり、撚り係数が2000〜24000である(図1参照)。
[1]製織に用いる糸
(1)糸の種類及び材質
内装用表皮材(15)に用いる糸としては、原着糸を用いてもよく、紡糸後、常法により染色された糸を用いてもよい。糸としては原着糸を用いることが好ましい。この原着糸としては、各種の合成樹脂に顔料が配合された樹脂ペレットを用いて溶融紡糸されてなる着色糸を用いることができる。原着糸としては各種の合成樹脂繊維を用いることができる。
合成樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維等のポリエステル系繊維が挙げられる。また、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等のポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維などの各種の合成樹脂繊維が挙げられる。これらの繊維のうちでは、強度が大きく、優れた耐久性等を有するポリエステル系繊維、特にPET繊維が好ましい。
(2)未延伸糸又は半延伸糸
糸は、未延伸糸でもよく、半延伸糸でもよく、これらが混合されている混合糸でもよい。未延伸糸であるか半延伸糸であるかは、紡糸時の巻取速度によって区別することができる。例えば、PET繊維では、400m/分から2500m/分未満までである場合を未延伸糸とし、巻取速度が概ね2500〜5000m/分である場合を半延伸糸とすることができる。この糸としては、半延伸糸を用いることが糸の取扱性から好ましい。未延伸糸及び半延伸糸は、延伸糸と比べて低応力で応力の増加とともに少しづつ伸びが増加する。そのため、未延伸糸及び/又は半延伸糸を用いてなる内装用表皮材(15)は、内装用成形体(100)の成形時に賦形し易く、内装用成形体(100)の製造が容易である。
PET繊維等の合成樹脂繊維の半延伸糸のJIS L 1013 A法(かせ寸法変化率)により測定した熱水寸法変化率(以下、「沸収」と略記する。)40〜80%であ、45〜70%であることが好ましい。また、半延伸糸の伸び率は80〜200%であ、100〜180%であることが好ましい。一方、未延伸糸の上述の方法により測定した沸収は40〜80%であ、50〜70%であることが好ましい。また、未延伸糸の伸び率は150〜500%であ、200〜400%であることが好ましい。半延伸糸及び未延伸糸の沸収及び伸び率が、各々、上述の範囲内にあれば、乾熱処理後、所定の沸収及び伸び率を有する糸を容易に調製することができる。
(3)乾熱処理
未延伸糸又は半延伸糸は、織物として熱処理する際、大きく収縮することを防ぐために乾熱処理されて用いられる。乾熱処理の方法は特に限定されず、例えば、図5に記載のように、糸を供給側[処理前の糸(21)参照]から巻取側[処理後の糸(22)参照]へと供給して熱処理する方法が挙げられる。この場合、糸を定長で供給する乾熱処理でもよく、オーバーフィードに供給する弛緩乾熱処理でもよい。尚、図5において、符号231はヒータを意味し、符号241は供給用ローラを意味し、符号242aは引取第1ローラを意味し、符号242bは引取第2ローラを意味し、符号25は空気交絡装置を意味し、符号261、262、263はガイドを意味する。
また、処理時のオーバーフィード率、熱処理温度、熱処理時間により、処理後の糸(22)の沸収及び伸び率を調整することができる。乾熱処理後の糸の沸収は20%以下であ、10%以下であることが好ましく、3〜5%であることが特に好ましい。更に、伸び率は100〜200%であ、100〜160%であることが好ましく、120〜140%であることが特に好ましい。
熱処理には乾式法と湿式法とがあるが、本発明では、乾式法、即ち、乾熱処理によって熱処理する。乾熱処理における温度は、半延伸糸等の材質、沸収、伸び率等にもより、特に限定されないが、図5のように非接触式の場合、通常、120〜260℃とすることができる。また、走行する糸が加熱雰囲気を通過する時間も、半延伸糸等の材質、沸収、伸び率等により、適宜調整されるが、通常、0.05〜1.2秒とすることができる。更に、図6のように接触式の場合、乾熱処理における温度は、半延伸糸等の材質及び所定の沸収、伸び率等にもより、特に限定されないが、通常、100〜260℃とすることができる。また、走行する糸が加熱ローラ232とセパレートローラとに接触することにより、又は複数個並べられた加熱ローラ232に複数回巻き付けられることにより、加熱することができる。その際、加熱ローラを通過する時間も、半延伸糸等の材質及び所定の沸収、伸び率等にもより、特に限定されないが、通常、0.05〜1.0秒とすることができる。
尚、湿式法の場合、例えば、捲芯等に捲回された未延伸糸又は半延伸糸に水蒸気を吹き付けたり、または、捲芯等に捲回された未延伸糸又は半延伸糸を熱処理浴に浸漬したりして熱処理される。しかしながら、これらの場合には、捲きの内側と外側とで沸収及び伸び率に差が生じることがある。そのため、本発明では、特に乾式法を選択して熱処理するものである。これによって、長さ方向に沸収及び伸び率の差がない、又は少なくとも差が小さい糸とすることができる。
(4)交絡
乾熱処理された糸は、その後、本発明の内装用表皮材(15)の製造方法では交絡させる。一方、他の本発明の内装用表皮材(15)の製造方法では、交絡させてもよく、交絡させずに用いてもよいが、乾熱処理された糸は交絡させて用いることが好ましい。交絡させた場合、複数の糸が複雑に絡み合った交絡糸とされる。交絡の方法としては、例えば、空気交絡が挙げられる。また、糸に撚りをかけた後、交絡させることもできる。空気交絡では交絡時の流体噴射加工により糸収束性が向上する。更に、空気交絡では、走行する糸束に高圧空気が噴射され、繊維の配列が乱れ、且つ複雑に絡み合う。空気交絡の方法、条件は特に限定されず、一般的な方法、条件によって実施することができる。更に、原着糸を用いた場合は、色の異なる何色もの絣染糸のような外観の糸とすることもできる。
(5)撚り
他の本発明の内装用表皮材(15)の製造方法では、乾熱処理された糸、又は乾熱処理後に交絡された糸に、撚りが加えられる。撚りの方法は特に限定されず、既存の方法によって撚ることができる。撚機も特に限定されず、アップツイスター、ダウンツイスター及びダブルツイスターのいずれであってもよい。撚り方向はS及びZのいずれでもよく、それらをどのように組み合わせてもよい。撚糸の構成としては、1本の糸を撚ってもよく、複数本の糸を纏めて撚ってもよい。また、糸の繊度及び断面形状等もどのように組み合わせてもよい。
撚られる糸の形態は、マルチフィラメントでもモノフィラメントでもよいが、マルチフィラメントの場合に撚ることによる効果がより大きく発現される。また、撚糸の繊度は特に限定されないが、通常、30〜680dtexの繊維を用いることができる。この繊度は、56〜500dtex、特に86〜330dtexであることが好ましい。更に、内装用表皮材(15)が車両用天井材の表皮材として用いられる場合、撚糸としては、繊度80〜330dtexのマルチフィラメントが好ましい。また、撚糸のJIS L 1095 9.9.6により測定した伸びは80〜450%、特に80〜220%、更に100〜180%であることが好ましい。
撚糸の撚数は、撚り係数で表した場合に、2000〜24000である。この撚り係数は5000〜18000であることが好ましい。撚り係数が2000〜24000、特に5000〜18000であれば、より耐傷付き性に優れた内装用表皮材(15)とすることができる。撚り係数は下記の式により算出することができる。

尚、T/mは、糸1m当たりの回転数(T)を表す。
また、耐傷付き性は、JIS K 5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)により硬度を測定し、評価することができる。
(6)撚り止めセット
撚糸は撚り止めセットをしてもよく、しなくてもよい。撚り止めセットをせず、トルク、即ち、撚りが戻る力が大きい糸を用いて製織した場合、シボ効果等が発現する。一方、撚り止めセットをし、トルクが小さい糸を用いて製織した場合、プレーンな外観を有する内装用成形体(100)とすることができる。
また、撚り止めセットの方法は、糊剤を用いる方法及び加熱する方法のいずれでもよい。内装用表皮材(15)の仕上がりの風合の観点からは、加熱する方法が好ましい。この場合、糸の伸び易さを阻害しないためには、糸を構成する合成樹脂のガラス転移点を20〜30℃上回る温度範囲でセットすることが好ましい。例えば、合成樹脂がPETであるときは、加熱温度は80〜100℃、特に85〜95℃であることが好ましい。加熱時間も特に限定されず、加熱温度にもよるが、10〜30分、特に15〜25分であることが好ましい。
撚糸のトルクは、JIS L 1095.9.17により測定されるスナール指数を指標として評価することができる。撚糸のスナール指数は0〜70であることが好ましい。このスナール指数は、0〜50、特に0〜30でもよいが、整経及び製織の作業性の観点からは0〜10であることがより好ましい。また、スナール指数が10〜70の撚糸であるときは、その残留トルクを利用して内装用表皮材(15)におけるシボ効果等が期待される。
[2]織物
(1)組織及び糸密度
織物の組織は特に限定されず、例えば、平織物、綾織物、朱子織物及びそれらの組み合わせ等の各種の織物とすることができる。また、織物の糸飛び量も特に限定されず、0.1〜5.0mm、特に0.3〜3.5mmとすることができる。糸飛び量が0.1〜5.0mmであれば、耐摩耗性及び耐傷付き性等をより向上させることができる。この糸飛び量とは、図7のように、織物を一面側からみたときに、経糸(A)が緯糸(B)上を連続して飛んでいる量、及び緯糸(B)が経糸(A)上を連続して飛んでいる量である。言い換えれば、経糸(A)が緯糸(B)上を連続して飛んでいる緯糸(B)の本数、及び緯糸(B)が経糸(A)上を連続して飛んでいる経糸(A)の本数である。また、糸飛び長さが耐摩耗性等の向上に影響を及ぼすが、糸飛び長さは糸の繊度や糸密度によって変わるため、好ましい糸飛び量は、糸の本数でなく、上述のように、糸飛び長さにより表すものとする。
尚、図7は、織物が二重織物であり、表面側の糸飛び量が経糸、緯糸ともに5本である場合を例示したものである。
織物の糸密度も特に限定されない。この糸密度は、経密度及び緯密度が、各々、60〜220本/inch、特に60〜180本/inch、更に70〜130本/inchであることが好ましい。経密度及び緯密度がそれぞれ60〜220本/inchであれば、内装用表皮材(15)が接着剤層(12)を介して基材(11)に接合されたときに、接着剤の表皮材表面への滲み出しを十分に抑えることができる。
更に、上述の糸密度であれば、織物、即ち、内装用表皮材(15)が伸び易くなり、基材(11)に密着させることができ、接合させるときの、密着性及び成形性等が低下することもない。また、織物の粗密はカバーファクターにより表してもよい。このカバーファクターは4000以下、特に2000〜3300であることが好ましい。カバーファクターが4000以下であれば、接着剤の滲み出しを十分に抑えることができる。更に、内装用表皮材(15)が伸び易くなることで、基材(11)との密着性及び成形性等が低下することもない。
尚、カバーファクターは、各々の糸の繊度(dtex)の平方根と糸密度(本/inch)との積を経糸及び緯糸の総和により表した数値である。
他の本発明の内装用表皮材の製造方法における織物に用いられる糸としては、少なくとも前述の撚糸が用いられ、全ての糸が撚糸であってもよく、一部に無撚糸が用いられていてもよい。例えば、内装用表皮材(15)では、多重織物において、手に触れる柄の部分には撚糸を用いて耐摩耗性を向上させることが望ましい。一方、凹部を有する織物である場合に、内装用表皮材(15)の表面には撚糸を配置させ、凹部には無撚糸を配置させることができる。凹部は他の物品と接触しない、又は接触し難い、例えば、直接手が触れない、又は触れ難い等の理由で摩耗することがない、又は摩耗し難い。そのため、光沢を強調させる等の意匠性の観点で、凹部に無撚糸を配置させることが好ましく行われる。
(2)基材との接合
乾熱処理された後、交絡されてなる糸を用いて製織された織物、及び撚糸を用いて製織された織物は、このままでも内装用表皮材(15)として用いることができる。この場合、基材(11)の一面側に設けられた接着剤層(12)により、織物を基材(11)に接合させ、内装用成形体(100)を製造することができる。しかし、織物には空隙が多く、特に撚糸を用いて製織された織物は、より空隙が多い。そのため、織物そのものを内装用表皮材(15)として用いたときは、内装用成形体(100)の製造時等に取り扱い難いこともある。また、基材(11)と内装用表皮材(15)とを十分に強固に接合させることができない場合もある。更に、基材(11)の一面側に設けられた接着剤層(12)が溶融、流動し、内装用表皮材(15)の表面に滲み出し、内装用成形体(100)の外観が損なわれることもある。
内装用表皮材(15)の、基材(11)に接合される一面側、即ち、織物の一面側には、樹脂が少なくとも付着されている[図1、2の付着樹脂(14)参照]。この場合、樹脂が接着剤層(12)に混入し、基材(11)と内装用表皮材(15)とがより強固に接合される。また、基材(11)に接合される一面側に樹脂が付着されていると、仮に基材(11)の一面側の接着剤層(12)が溶融、流動した場合であっても、次のように作用するので有用である。即ち、樹脂が堤防となって接着剤層(12)が内装用表皮材(15)の表面に滲み出し、内装用成形体(100)の外観が損なわれることを防止することができる。また、樹脂により、裁断したときの毛羽立ちが殆どなく、毛羽立ちを処理するための後加工を省略することができる。
上述の樹脂が少なくとも付着されているとは、内装用表皮材(15)の一面側の糸に樹脂が付着していればよいという意味である。例えば、樹脂は内装用表皮材(15)の一面側から内部に含浸され、内部の糸にまで付着されていてもよい。また、内装用表皮材(15)の略全厚さに亘って樹脂が含浸されていてもよい。このように樹脂が付着していれば、内装用表皮材(15)の剛性が高められ、取り扱い易くなる。
内装用表皮材(15)の一面側に付着される樹脂の種類は特に限定されないが、基材(11)の表面に設けられている接着剤層(12)とともに、基材(11)と内装用表皮材(15)とを強固に接合させることができる樹脂であることが好ましい。この樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、及びエチレン/アクリル酸共重合体、酸変性ポリエチレン樹脂等の接着性を有するポリオレフィン樹脂などを用いることができる。例えば、基材(11)をポリウレタンフォーム製とし、接着剤層(12)をウレタン系接着剤により形成し、内装用表皮材(15)に付着される樹脂をポリウレタン樹脂とした場合、基材(11)と内装用表皮材(15)とをより強固に接合させることができるため好ましい。更に、内装用表皮材(15)に付着される樹脂が成形体製造時の加熱により溶融しない樹脂であるときは、溶融した接着剤の内装用表皮材(15)の表面への滲み出しを防止、又は少なくとも抑制することができる。
また、内装用表皮材(15)の一面側に樹脂を付着させる方法も特に限定されない。例えば、樹脂粉末を吹き付け、加熱し、溶融させた後、降温させて付着させる方法が挙げられる。更に、水等を媒体とした樹脂粉末等のエマルション、又は樹脂粉末が溶解した溶液を、内装用表皮材(15)の一面側に噴霧し、その後、乾燥させて媒体を除去して付着させる方法が挙げられる。
内装用表皮材(15)の表面に樹脂を付着させて、単糸間又はマルチフィラメント間、及び経糸と緯糸との間などを接着させることで、耐摩耗性を向上させることも有効である。例えば、内装用表皮材(15)の表面に樹脂をコーティング或いはラミネートすることで、内装用表皮材(15)の表面が樹脂により保護され、単糸切れや糸のずれなどの外観異常を防ぐことができる。更に、内装用表皮材(15)を樹脂を含有する溶液又はエマルションにディッピングし、樹脂を含浸させることで、樹脂が繊維間に入り込み、その後、固化し、繊維間の接着強度が高まり、単糸切りや糸のずれなどを生じ難くさせることもできる。
ここで、コーティングは、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、ロッドコーター及び含浸機等の各種の装置を用いて行うことができる。また、用いる材料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。樹脂の付着量は材質にもより特に限定されないが、0.5〜50g/m、特に1〜35g/mとすることができる。一方、ラミネートは、ホットラミネート、コールドラミネート、ドライラミネート及びウェットラミネート等の各種の方法により行うことができる。材料としては、上述のコーティングの場合と同様の各種の樹脂を用いることができる。樹脂層の膜厚は材質にもより特に限定されないが、10〜300μm、特に10〜100μmとすることができる。
尚、コーティングやラミネートにより内装用表皮材(15)の表面を保護することができるものの、光沢が強くなり易い。そこで、樹脂中に酸化マグネシウム、タルク等の各種の粒子状の添加剤を配合することで、光沢を抑えることができる。また、樹脂に着色剤や抗菌剤等の各種の機能材などを適宜添加することもできる。また、コーティングやラミネート、及びディッピング後の乾燥工程では、温度を成形温度よりも低く設定することが好ましい。
2.内装用成形体の製造方法
内装用成形体[図3の内装用成形体(100)参照]の製造方法は、基材(11)[図1、2の基材(11)参照]と、内装用表皮材(15)[図1、2の内装用表皮材(15)参照]とを成形と同時に接合させて製造することができる。また、基材(11)を成形した後、例えば、図1の接着剤層(12)が設けられた基材(11)に、内装用表皮材(15)を所定形状に成形しながら接合させて製造することができる。
尚、基材(11)は図3における基材層(101)となる。また、内装用表皮材(15)は図3における表皮層(102)となる。
(1)基材の材質
基材(11)の材質は特に限定されないが、樹脂フォーム、特に半硬質ポリウレタンフォームが用いられることが多い。半硬質ポリウレタンフォームからなる基材(11)は、常法により発泡させ、成形したスラブフォームから所定寸法となるように切り出す等の方法により作製することができる。また、基材(11)としては、ポリウレタンフォームの他、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の各種の汎用の熱可塑性樹脂を用いてなる硬質フォームを用いることもできる。更に、ガラス繊維等の無機繊維が配合されたフォーム原料を用いてなる繊維強化樹脂フォームを用いることもできる。
基材(11)は、通常、シート状である。そして、基材(11)と内装用表皮材(15)とを接合させた場合、例えば、基材(11)と内装用表皮材(15)とが積層された積層体[図2の積層体(1)参照]を、成形し、接合させたときは、平板状の成形体となる。この平板状の成形体は、用途等によっては、そのまま用いることができる。しかし、内装用成形体(100)には所定の形状が付与されることが多い。このように所定の形状が付与された内装用成形体(100)は、深絞り等による変形部を有することが多い。
例えば、内装用成形体(100)が車両用天井材(図3参照)である場合、変形部(C)において、内装用表皮材(15)は20〜90%、特に30〜80%伸張されて基材(11)に接合されていることが多い。内装用表皮材(15)が20〜90%伸張されて基材(11)に接合されておれば、成形後の成形体における皺の発生が防止される。また、過度に伸張され、変形部で内装用表皮材(15)が薄くなり過ぎてしまうこともない。更に、具体例として、ポリエステルフィラメント間に糸長差が存在しない構成糸による織物により表面が構成され、この表面が20〜90%伸張した変形部を有する内装用成形体(100)が挙げられる。この内装用成形体(100)の場合も、成形後の成形体における皺の発生が防止され、過度に伸張され、変形部で内装用表皮材(15)が薄くなり過ぎてしまうこともない。
尚、変形部における表皮材の伸張率は、所定形状を付与する前の平板状の状態で、変形部(C)となる部分の幅方向の両端部に印を付け、形状付与後の印間の寸法を測定し、下記のようにして算出することができる。
伸張率:α(%)=[(形状付与前の印間の寸法−形状付与後の印間の寸法)/形状付与前の印間の寸法]×100
また、変形部(C)における表皮材の伸張率は、変形部(C)の糸密度差に基づいて下記のようにして算出することもできる。
伸張率:β(%)=[(A−B)/A]×100
A;小変形部(図3のDの部位参照)の経糸密度(本/inch)
B;大変形部(図3のCの部位参照)の経糸密度(本/inch)
尚、内装用成形体(100)の小変形部(通常、成形体の中央部である。)は、成形前の内装用表皮材(15)と比べて10〜30%伸長されている。
(2)基材と内装用表皮材との接合方法
基材(11)と内装用表皮材(15)との間には、通常、基材(11)の一面側に設けられた接着剤層[図1、2の接着剤層(12)参照]が介在する。また、成形後、接着剤層(12)が溶融し、また重合することで固化してなる接合層が形成される。また、内装用表皮材(15)の一面側には樹脂が付着している[図1、2の付着樹脂(14)参照]。この場合、成形時に溶融する樹脂であれば、溶融後、固化し、少なくとも一部は上述の接合層に混入し、基材(11)と内装用表皮材(15)とがより強固に接合される。
内装用表皮材(15)を、接着剤層(12)を介して基材(11)に接合させる方法は特に限定されない。例えば、内装用表皮材(15)と、基材(11)の接着剤層(12)が設けられた面とを対向させて熱プレス機の成形型間に介装させ、加熱、加圧し、その後、冷却することにより接合させることができる。また、内装用表皮材(15)の一面側に樹脂が付着されており、基材(11)の接着剤層(12)が設けられた面と、内装用表皮材(15)の樹脂が付着された面とを対向させて熱プレス機の成形型間に介装させ、加熱、加圧し、その後、冷却することにより接合させることができる。
更に、接着剤層(12)が設けられた基材(11)及び内装用表皮材(15)のうちの少なくとも一方を加熱し、その後、冷間プレス機の成形型間に介装させ、加圧することにより接合させることもできる。また、基材(11)の接着剤層(12)が設けられた面と、内装用表皮材(15)とを対向させて積層し、次いで、この積層体を加熱し、その後、冷間プレス機の成形型間に介装させ、加圧することにより接合させることもできる。この場合、内装用表皮材(15)の一面側樹脂が付着された面と、基材(11)の接着剤層(12)が設けられた面とを対向させて積層し、その後、この積層体を加熱し、次いで、冷間プレス機の成形型間に介装させ、加圧することにより接合させることができる。また、基材(11)をプレス成形により所定形状の予備成形体とし、その後、内装用表皮材(15)を予備成形体に沿うような形状にしつつ、接着剤等により同時接合する2ステップ工法により接合することもできる。
また、成形時、前述の小変形部及び大変形部等の変形量が異なる箇所における糸を構成する樹脂の結晶化度が同程度である場合、変形量が小さい箇所と比べて変形量が大きい箇所では、経時により、又は高温雰囲気下において内装用表皮材(15)が歪むことがある。このような歪は、変形量が小さい箇所と比べて、変形量が大きい箇所での成形温度を高く、成形時間を長くすることで、変形量が大きい箇所での結晶化度を高くすることにより抑制することができる。
より具体的には、熱プレスでは、成形型のみを加熱し、基材(11)上に内装用表皮材(15)を載せて一体に加圧成形するときに、変形量が小さい箇所と変形量が大きい箇所との加熱温度、加熱時間を相違させることで歪を抑えることができる。更に、冷間プレスでは、基材(11)と内装用表皮材(15)とを別々に加熱し、変形量が小さい箇所と変形量が大きい箇所との加熱温度を相違させ、成形型上に基材(11)と内装用表皮材(15)とを載せて同時成形することで歪を抑えることができる。また、2ステップ工法では、基材(11)を成形し、接着剤等により内装用表皮材(15)を同時接合するときに、変形量が小さい箇所と変形量が大きい箇所との加熱温度を相違させることで歪を抑えることができる。
尚、成形温度は樹脂の種類等によもよるが、例えば、PETでは、90℃以上の高温で、変形量が小さい箇所と変形量が大きい箇所との結晶化度に差をつけることで、歪を抑え、形状の安定した内装用成形体(100)とすることができる。
上述のように、変形量が大きい箇所での結晶化度を高くすることにより、内装用表皮材(15)の歪が抑えられるとともに、形状の安定した内装用成形体(100)とすることができる。更に、変形量が大きい箇所では、変形量が小さい箇所と比べて剛性が高くなり、捻れに強くなる。また、成形後に熱セットしても内装用成形体(100)が歪むことがなく、高温下でも歪むことなく所定の形状が保持される。更に、歪が抑えられるため、内装用成形体(100)は寸法安定性に優れ、寸法精度も向上する。
尚、接着剤層(12)は内装用表皮材(15)の一面側に設けることもでき、上述の各種の接着剤を内装用表皮材(15)の一面側に付着させることもできる。更に、基材(11)及び内装用表皮材(15)の各々の一面側に接着剤層(12)を設け、各々の面を対向させて積層し、前述のようにして、熱プレス機又は冷間プレス機を用いて接合させることもできる。また、接着性樹脂フィルム等の接着剤層(12)を介装させて積層し、その後、加熱し、次いで、冷間プレス機を用いて接合させることもできる。
(3)接着剤
接着剤層(12)は特に限定されず、接着剤層(12)の形成には各種の樹脂系接着剤等を用いることができる。この樹脂系接着剤としては、前述のように、ポリウレタン樹脂系接着剤を用いることができる。この他、エチレン/アクリル酸共重合体、酸変性ポリエチレン樹脂等の接着性を有するポリオレフィン樹脂などを用いることもできる。更に、接着剤層(12)の形態は特に限定されず、接着性樹脂フィルムであってもよく、上述の各種の接着剤を接着性成分として含有するエマルション、スラリー、ゲル状接着剤、パウダー状接着剤、及び発泡樹脂等を用いてなる接着剤層(12)が挙げられる。
(4)クッション材
基材(11)と内装用表皮材(15)との間には、図4のように、クッション材(13)を介装させることもできる。クッション材(13)の材質は特に限定されないが、軟質ポリウレタンフォームからなるシート材が用いられることが多い。また、十分なクッション性を有する限り、他の軟質樹脂フォームや不織布シートを用いることもできる。クッション材(13)を介装させる場合、基材(11)と内装用表皮材(15)との接合方法は特に限定されない。例えば、内装用表皮材(15)とクッション材(13)とを、予め接着剤により、又はフレームラミネート法等により接合して予備積層体とし、その後、予備積層体のクッション材(13)と、基材(11)に設けられた接着剤層(12)と、を対向させて熱プレス機の成形型間に介装させ、加熱、加圧し、その後、冷却することにより成形し、接合させることができる。
(5)内装用成形体の用途
本発明の製造方法により製造される内装用成形体(100)の用途は特に限定されず、車両用の内装用成形体、建築用の内装用成形体等が挙げられる。車両としては、乗用車、バス、トラック等の他、鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などが挙げられる。この他、本発明の内装用成形体(100)は、航空機及び船舶等の内装用成形体100として用いることもできる。また、この内装用成形体100は、特に乗用車、バス、トラック等の天井、ドアトリム、インストルメントパネル、ピラー、サンバイザ、パッケージトレーなどとして有用である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
ポリエステル原着糸を用いてなり、JIS L 1013により測定した伸び率が130〜150%、引張強さが1.9〜2.3cN/dtexの半延伸糸を使用した。この半延伸糸を、図5に記載のようにして弛緩乾熱処理し、JIS L 1013により測定した沸収が2〜5%、伸び率が140〜160%の弛緩乾熱処理糸を得た。
その後、弛緩乾熱処理糸を空気交絡させ、撚り数が10個/mの交絡糸を得た。次いで、264dtex/48fの繊度の糸とし、その後、通し幅60.0inchに対して経糸密度84本/inch、緯糸密度80本/inchで製織し、光沢のある織物を得た。
上述のようにして製織した後、生機の裏面にポリウレタン樹脂を30g/mの塗布量となるように塗布し、100℃で3分間加熱し、乾燥させた。この仕上げ後の経糸密度、緯糸密度はともに変化しなかった。その後、一面側に樹脂が接合された厚さ5mmの基材となるポリウレタンフォームシートと、上述のポリウレタン樹脂が付着された織物とを、同時に30秒間加熱成形した。次いで、成形品を型内から取り出し、全外周をトリミングし、ポリウレタンフォーム層を基材とし、ポリエステル織物を表皮材とする車両用天井材を製造した。
また、前述の印間の寸法及び変形部の密度を実際に測定し、下記のようにして車両用天井材の横方向(車幅方向)伸長率を算出した。
形状付与前の印間の寸法:5.0mm
形状付与後の印間の寸法:7.0mm
伸長率α:[(7.0−5.0)/5.0]×100=40%
小変形部(図3のDの部位)の経糸密度:74本/inch
大変形部(図3のCの部位)の経糸密度:50本/inch
伸長率β:[(74−50)/74]×100=32%
本実施例では、優れた光沢感を有し、堅牢度が高く、多色の混色が可能である。また、染色廃水の処理も必要としない。更に、ポリウレタン樹脂を付着させた織物を表皮材として用いており、織物のみの場合と比べて剛性があり、搬送、及び成形時の取り扱いが容易であった。また、成形された内装成形体では、溶融した熱可塑性樹脂の表皮材表面への滲み出しがなく、内装成形体の表面は優れた外観を有していた。更に、深絞り箇所も含めて表皮材には全く皺の発生がみられなかった。また、織物にはポリウレタン樹脂が付着しているため、成形後のトリミングの際の毛羽立ちもなく、所定形状の優れた外観を有する車両用天井材とすることができた。
実施例2〜21及び比較例1〜3
[1]内装用表皮材
PET製の黒色原着糸を用いた半延伸糸を使用し、132dtex−48f、56dtex−24f、264dtex−96f及び528dtex−192fのマルチフィラメントを作製した。これらのマルチフィラメントの物性を表1に記載する。その後、このマルチフィラメントを図5に記載のようにして170℃で乾熱処理し、JIS L 1013により測定した破断点伸びが137〜198%であり、JIS L 1013により測定した沸収が1.7〜3.4%である乾熱処理糸(実施例2〜21)を得た。また、同様にして測定した破断点伸びが142〜148%であり、沸収が1.6〜1.9%である乾熱処理糸(比較例1〜3)を得た。
表1によれば、破断点伸びは糸種による大差はないことが分かる。また、沸収も45〜51%で糸種による差は小さかった。
次いで、乾熱処理糸をアップツイスター撚糸機を用いてZ撚りし、比較例1、2の糸を除いて1本の糸を500、1000、1500及び2000T/m(実施例2〜21)、20T/m(比較例3)追撚した。その後、一部の撚糸については真空釜により90℃で20分加熱し、撚り止めセットをした。次いで、これらの撚糸について、前述の算出式に基づいて撚り係数を算出した。また、前述の方法によりトルクの指標となるスナール指数を測定した。その後、織密度が124本/inchで、糸飛び量として、糸飛び本数は13本で、糸飛び長さは3.0mm(実施例2〜8、18比較例1、3)、織密度が124本/inchで、糸飛び量として、糸飛び本数は3本で、糸飛び長さは0.5mm(実施例9〜14及び19〜21、比較例2)、織密度が168本/inchで、糸飛び量として、糸飛び本数は3本で、糸飛び長さは0.5mm(実施例15)、織密度が84本/inchで、糸飛び量として、糸飛び本数は3本で、糸飛び長さは1.0mm(実施例16)、織密度が84本/inchで、糸飛び量として、糸飛び本数は2本で、糸飛び長さは0.8mm(実施例17)の条件で、図7に示すような二重織組織の織物を得た。
以上、実施例2〜21及び比較1〜3の、糸種、撚り数、撚り係数、撚り止めセットの有無、スナール指数、撚糸繊度、破断点伸び及び沸収を表2に記載する。
表2によれば、実施例2〜21では、破断点伸びは、糸種、撚り係数等による大差はなく、適正な数値範囲内であり、沸収も糸種、撚り係数等によらず全体に低く抑えられていることが分かる。一方、糸が撚られていない、又は撚り数が極めて小さい比較例1〜3では、破断点伸び、沸収ともに実施例と比べて少し小さい値である。
[2]硬度の測定
実施例2〜17及び比較例1〜3では、内装用成形体を模擬するために、裏面側にウレタンエマルションを30g/mの塗布量でコーティングした表皮材の裏面にスラブウレタンシートを敷き、基材とプレス成形した。スラブウレタンシートとしては、密度30kg/m、厚さ3.0mmのエーテル系ウレタンを用いてなるシートを使用した。また、基材は3層からなり、表皮材の側から順にガラスチョップドストランドマット、ウレタンフォームシート及びポリエステルフィルムを積層したものである。ガラスチョップドストランドマットは目付けが135g/m、ウレタンフォームシートは密度31kg/m、厚さ5.3mm、ポリエステルフィルムは密度30kg/m、厚さ24μmである。プレス成形は、表皮材とスラブウレタンシートと基材とを、平板な金型プレス機を用いて、圧力250kgf/cm、温度130℃、プレス時間30秒で、基材の厚さが5.0mmになるようにプレス成形した。硬度の測定はプレス後の表皮材のみで評価した。
次いで、前述の方法により耐傷付き性の指標となる硬度を測定した。
尚、鉛筆硬度は、JIS K 5600−5−4に則り、硬度を徐々に上げて測定し、表面の単糸切れや糸のずれにより光沢が変化する外観異常が発生する前の硬度を、その表皮材の硬度とする。
織密度、糸飛び量、表皮材表面への樹脂コーティング又はラミネートの条件及び鉛筆硬度を表3に記載する。
表2,3によれば、糸に撚りが加わっていない比較例1、2及び撚りが少ない比較例3では、鉛筆硬度試験により、単糸が切れたり、マルチフィラメントの束がばらけたり、ずれたりし易く、それが光沢差となり、外観異常となる。同時に鉛筆硬度の値も5B〜6Bと低くなり、劣っていることが分かる。
また、実施例2〜8では、糸に所定の撚り係数となる撚りが加わっているため、鉛筆硬度が2B〜3Bと優れているが、糸飛び量が大きいため、より鉛筆硬度が高くなると、マルチフィラメントの束がずれ、光沢差が生ずる。一方、実施例9〜15では、糸飛び量が1/6になっているため、マルチフィラメントの束がずれ難い。同様に実施例2〜8と比べて糸飛び量が小さい実施例16、17でもマルチフィラメントの束がずれ難い。そのため、鉛筆硬度の値がB〜3Bと高く、十分な耐傷付き性を有していることが分かる。更に、実施例18、19では、表皮材の表面にアクリルコーティングが施してあり、表面が強固に保護されるため、糸飛び量が大きい実施例18も含めて、単糸切りや糸のずれが生じ難く、鉛筆硬度がHB〜Fと高く、耐傷付き性がより優れている。
また、実施例20では、表皮材の表面にウレタンフィルムがラミネートされており、表面が保護されている。しかし、鉛筆硬度2Bで試験した際に、フィルムが鉛筆の加圧により伸ばされ、やや光沢差を生じたため、鉛筆硬度の値は3Bとした。更に、実施例21では、表皮材をエーテル系ウレタンのエマルションにディッピングしたため、繊維間の接着強度が高まり、単糸切れやマルチフィラメントの束がばらけるのが防止され、鉛筆硬度の値は2Bであり、優れていた。
尚、図8、9は、鉛筆硬度を指標として耐傷付き性を評価した後の傷付いた織物の一例をマイクロスコープにより観察した結果の画像である。図8の中央部の傷付いた箇所を拡大したのが図9である。図9のように、傷付いた箇所では、マルチフィラメントが解れてしまい、糸が捩れ、糸切れを生じている。このような箇所が各所に発生することで、内装用成形体の光沢の乱れ等を生じる結果、外観不良と評価されることになる。
尚、表皮材において糸の捩れ、糸切れを生じていないものは、その後の内装用成形体の成形において、糸の捩れ、糸切れを生じることはない。
[3]内装用成形体
上述のようにして内装用表皮材となる織物を製織した後、実施例14の織物を使用し、生機の裏面に、水にポリウレタン樹脂粉末が分散し、含有されたエマルションを、20g/mの塗布量となるように塗布した。次いで、100℃で3分加熱し、乾燥させ、ポリウレタン樹脂を付着させた。
その後、上述のポリウレタン樹脂が付着された織物と、一面側にポリウレタン樹脂層が設けられた厚さ3mmの基材となるポリウレタンフォームシートとを積層した。これらは、内装用表皮材のポリウレタン樹脂が付着された面と、基材のポリウレタン樹脂層が設けられた面とを対向させて積層させた。次いで、積層体を成形型内に載置し、130℃で30秒加熱して成形し、その後、成形型を室温(20〜25℃)にまで冷却させた。次いで、成形品を型内から取り出し、全外周をトリミングし、ポリウレタンフォーム層を基材とし、ポリエステル織物を表皮材とする車両用天井材を製造した。
本実施例では、内装用表皮材は、撚数や糸飛び量により光沢感を制御することができ、堅牢度が高く、多色の混色も可能である。また、染色廃水の処理も必要としない。更に、ポリウレタン樹脂を付着させた織物を表皮材として用いており、織物のみの場合と比べて剛性があり、搬送、及び成形時の取り扱いが容易であった。また、内装用成形体では、溶融した接着剤の表皮材表面への滲み出しがなく、内装用成形体の表面は優れた外観を有していた。更に、深絞り箇所も含めて表皮材には皺の発生及び傷がみられなかった。また、織物にはポリウレタン樹脂が付着しているため、成形後のトリミングの際の毛羽立ちもなく、所定形状の優れた外観を有する車両用天井材とすることができた。
尚、前述の記載は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施態様を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その態様において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施態様を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、寧ろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は、車両及び住宅等の内装用成形体に用いられる内装用表皮材、及びポリウレタンフォーム等の樹脂発泡体などからなる基材に表皮材が接合されてなる内装用成形体の技術分野において利用することができ、特に車両の天井材等の製品分野において有用である。
100;内装用成形体(車両用天井材)、
101;基材層、
102、表皮層、
1;積層体、
11;基材、
12;接着剤層、
13;クッション材、
14;付着樹脂、
15;内装用表皮材(織物)、
21;処理前の糸、
22;処理後の糸、
231;ヒータ、
232;加熱ローラ
241;供給用ローラ、
242a;引取第1ローラ、
242b;引取第2ローラ、
25;空気交絡装置、
261、262、263;ガイド、
A;経糸、
B;緯糸。

Claims (10)

  1. 未延伸糸又は半延伸糸が乾熱処理され、その後、交絡されてなる糸を用いて製織された織物を備える内装用表皮材の製造方法であって、
    前記乾熱処理糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が20%以下であり、伸び率が100〜200%であって、
    前記織物の一面側に、樹脂が少なくとも付着しており、
    前記未延伸糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が40〜80%であり、JIS L 1013により測定した伸び率が150〜500%であって、
    前記半延伸糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が40〜80%であり、JIS L 1013により測定した伸び率が80〜200%であることを特徴とする内装用表皮材の製造方法
  2. 少なくとも一部に撚糸を用いて製織された織物を備える内装用表皮材の製造方法であって、
    前記撚糸は、未延伸糸又は半延伸糸が乾熱処理され、その後、撚られた撚糸であり、撚り係数が2000〜24000であって、
    前記乾熱処理糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が20%以下であり、伸び率が100〜200%であって、
    前記織物の一面側に、樹脂が少なくとも付着しており、
    前記未延伸糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が40〜80%であり、JIS L 1013により測定した伸び率が150〜500%であって、
    前記半延伸糸のJIS L 1013 A法により測定した熱水寸法変化率が40〜80%であり、JIS L 1013により測定した伸び率が80〜200%であることを特徴とする内装用表皮材の製造方法
  3. 前記撚糸は、前記乾熱処理後に交絡された糸に撚りが加えられた撚糸であり、撚られる糸の形態は、マルチフィラメントであり、前記撚糸の繊度が86〜330dtexであって、前記撚糸のJIS L 1095.9.17により測定されるスナール指数が0〜30である請求項2に記載の内装用表皮材の製造方法
  4. 基材と、請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の製造方法により製造された前記内装用表皮材とを接合することを特徴とする内装用成形体の製造方法
  5. 前記基材と前記内装用表皮材との間にクッション材を介装させる請求項4に記載の内装用成形体の製造方法。
  6. 前記基材と、前記内装用表皮材と成形と同時に接合する請求項4又は5に記載の内装用成形体の製造方法
  7. 前記基材をプレス成形して予備成形体とし、
    前記内装用表皮材を前記予備成形体に沿うような形状としつつ、接合する請求項4又は5に記載の内装用成形体の製造方法
  8. 前記内装用表皮材が20〜90%伸張されて前記基材に接合されている変形部を有する請求項6又は7に記載の内装用成形体の製造方法
  9. ポリエステルフィラメント間に糸長差が存在しない構成糸による織物により、20〜90%伸張した変形部を有する表面を構成することを特徴とする内装用成形体の製造方法
  10. 車両用である請求項乃至のうちのいずれか1項に記載の内装用成形体の製造方法
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