JP6067442B2 - 車両内装用複合材 - Google Patents

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Description

本発明は、車両座席などに用いられる車両内装用複合材に関する。詳しくは、織物からなる表皮材とポリウレタンフォームシートからなる裏打ち材とを積層した車両内装用複合材に関する。
地球環境への負荷低減に対する関心が高まるなか、車両から排出される二酸化炭素の削減にダイレクトに結びつく車両の軽量化が重要な課題となっている。これに伴い、車両を構成するあらゆる部品において、いっそうの軽量化が求められている。
例えば、特許文献1には、車両座席の表皮部材として、適用される部位毎に目付の異なる織物を用いることにより、軽量化を図り得ることが記載されている。具体的には、表皮部材のうち座部や背もたれ部に相当する織物部分には、耐久性、例えば、人の着座の繰り返しに伴う損耗防止の観点から、厚く、400〜700g/mの目付のものを用い、かまち部に相当する織物部分には、薄く、200〜350g/mの目付のものを用いる。
また、特許文献2には、組織デザインプログラムを用いて所望の装飾模様を損なうことなく軽量化を図った、自動車用シートカバー(表皮材)として、260〜340g/mの装飾模様を有する平坦織物状軽量布地が開示されている。
しかしながら、特許文献1では、かまち部の表面積は、座席の全表面積に対し20〜30%にすぎず、十分な軽量化が達成されているとは言い難い。また、ほつれ防止のため、織物の裏面に樹脂が塗布されており(「バッキング」と呼ばれる)、風合いが硬くなる傾向にあった。この樹脂の乾燥重量は50〜100g/mにも及び(前記目付はこれを含んだ値である)、軽量化を妨げる要因となっていた。
また、特許文献2でも、軽量布地の使用は一部であり、高い摩耗を受ける表面には重量布地を使用するため、十分な軽量化が達成されているとは言い難い。
これらをさらに軽量化しようとすると強度や耐久性が低下し、車両内装用複合材に必要な、引張強度、引裂強度、縫目強度、耐縫目疲労性、耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐スナッキング性、といった強度を保持できなくなるという問題があった。
実開平5−91500号公報 特表2005−506469号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、表皮材として織物を用いながら、いわゆるバッキングを行わなくても車両用途に適した強度、具体的には、引張強度、引裂強度、縫目強度、耐縫目疲労性、耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐スナッキング性を有する軽量な車両内装用複合材を提供することを目的とする。
本発明は、織物からなる表皮材と、前記表皮材の裏面に積層されたポリウレタンフォームシートからなる裏打ち材とを備えてなり、前記織物が以下の要件を満たすことを特徴とする、車両内装用複合材である。
前記織物が、85〜120g/mの目付であって、経糸の浮きの長さが0.8mm以下であり、少なくとも一部に単糸繊度2.3dtex以下の繊維で構成されるマルチフィラメント糸を有し、
経糸の平均繊度:A(dtex)、緯糸の平均繊度:B(dtex)、経糸の密度:Ma(本/25.4mm)、および緯糸の密度:Mb(本/25.4mm)が以下の式を満たす。
0.5≦A/B≦2.0
90≦Ma、90≦Mb
9000≦A×Ma≦18000
9000≦B×Mb≦18000
また、前記車両内装用複合材において、織物の目付が95〜110g/mであることが好ましい。
本発明によれば、表皮材として織物を用いながら、いわゆるバッキングを行わなくても車両用途に適した強度、具体的には、引張強度、引裂強度、縫目強度、耐縫目疲労性、耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐スナッキング性を有する軽量な車両内装用複合材を提供することができる。
本発明の実施例で用いる織物の組織図
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の車両内装用複合材は、織物からなる表皮材と、前記表皮材の裏面に積層されたポリウレタンフォームシートからなる裏打ち材とを備えてなる。
はじめに、表皮材としての織物について説明する。
本発明において用いられる織物とは、周知の通り、糸条を経(タテ)と緯(ヨコ)に組み合わせて作った布地である。
織物を構成する繊維(単繊維)の素材は特に限定されるものではなく、例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維など挙げることができる。なかでも、耐久性、特には機械的強度、耐熱性、耐光性の観点から、合成繊維が好ましく、ポリエステルがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートがさらに好ましい。また、これらを2種類以上組み合わせて構成した複合繊維としても良い。また、機能性を付与した繊維、例えば、難燃性、導電性、消臭性など従来公知の機能性繊維を用いることができる。例えば、高い難燃性能を求められる場合には、難燃性を付与した繊維を用いることができる。
織物を構成する繊維の断面形状も特に限定されるものではなく、通常の丸型であっても、扁平型、楕円型、三角形、中空型、Y型、T型、U型などの異型であってもよい。さらには、表面に微細な凹凸(「ミクロクレーター」と呼ばれる)を有するものであってもよい。
本発明の織物を構成する繊維の繊度(単繊維繊度)については、少なくとも一部に単糸繊度2.3dtex以下の繊維を用いる。具体的には、少なくとも、経糸もしくは緯糸に繊度2.3dtex以下の繊維を用いることが肝要であり、1.7dtex以下であることが好ましい。2.3dtexを超えると耐縫目疲労性が損なわれる。また、経糸もしくは緯糸が混繊糸である場合は、該混繊糸の平均単繊維繊度が、1.7dtex以下であることが好ましく、1.2dtexであることがさらに好ましい。
織物を構成する糸条は、マルチフィラメント糸である。マルチフィラメント糸は、必要に応じて撚りをかけてもよいし、仮撚加工や流体撹乱処理(タスラン加工、インターレース加工等)などにより、捲縮性や嵩高性を付与してもよい。また、繊維を2種類以上組み合わせて構成した複合糸としても良く、その複合形態としては、混繊、引き揃え、合撚、交撚、捲回等が挙げられる。
本発明の織物を構成する糸条の繊度(糸繊度)は、56〜167dtexであることが好ましく、84〜110dtexであることがより好ましい。繊度が56dtex未満であると、十分な耐久性、特には耐摩耗性が得られない虞がある。繊度が167dtexを超えると、十分な軽量化が達成されない虞がある。
表皮材としての織物は、以上に説明した糸条より構成される。
経糸の平均繊度:A(dtex)と、緯糸の平均繊度:B(dtex)は、0.5≦A/B≦2.0の式を満たすことが肝要であり、0.8≦A/B≦1.2であることが好ましい。
本発明において、経糸の平均繊度:A(dtex)と、緯糸の平均繊度:B(dtex)の算出方法は以下のとおりである。
A=Σ(YTn×PTn)
B=Σ(YYn×PYn)
経糸に使用している糸がn種類であるとき、それぞれの糸繊度をYTnとし、経糸全体の本数を1とした場合のそれぞれの経糸の本数比率をPTnとする。
また、緯糸に使用している糸がn種類であるとき、それぞれの糸繊度をYYnとし、緯糸全体の本数を1とした場合のそれぞれの緯糸の本数比率をPYnとする。
織物の組織は特に限定されるものではなく、例えば、三元組織である平織、斜文織、朱子織;これら三元組織の変化組織;なし地織などの特別組織;さらにこれらを2種以上組み合わせた混合組織などを挙げることができる。なかでも、軽量化の観点から、平織またはその変化組織が好ましい。
経糸の浮きの長さは最長でも0.8mm以下であることが肝要であり、0.6mm以下であることが好ましい。経糸の浮きの長さが0.8mm以下であることにより、織物表面の凹凸が小さく、局所的(凸部)に加わる力が小さくなるため、外力が加わった場合でも経糸と緯糸が動きにくくなり、得られた車両内装用複合材の耐久性、特には、耐スクラッチ性、耐スナッキング性が向上する。なお、本発明において経糸の浮きとは、織物の表側の面に連続して表出している経糸の長さ、すなわち、経糸の所謂「浮き沈み」の浮きの部分の長さのことをいう。
また、経糸の浮きの長さが最小である部分(経糸の裏面)に存在する緯糸の繊度の合計は、84dtex以上であることが好ましく、さらには110dtex以上であることが好ましい。経糸の浮きの長さが最小である部分に存在する緯糸の繊度の合計が84dtex以上であることにより、得られた車輌内装用複合材の引裂強度が向上する。
経糸の密度Ma(緯方向25.4mm間に存在する経糸の本数)、および、緯糸の密度Mb(経方向25.4mm間に存在する緯糸の本数)は、90≦Ma、90≦Mbであることが肝要であり、100≦Ma≦130、100≦Mb≦130であることが好ましい。
また、以下の式を満たすことが肝要である。
9000≦A×Ma≦18000
9000≦B×Mb≦18000
さらは、以下の式を満たすことが好ましい。
9900≦A×Ma≦12500
9900≦B×Mb≦12500
織物の目付は、85〜120g/mであることが肝要であり、95〜110g/mであることが好ましい。目付が85g/m未満であると、十分な耐久性が得られない虞がある。目付が120g/mを超えると、十分な軽量化が達成されない虞がある。
以上に説明したように製織し、得られた生機を必要に応じて、熱処理、精練、染色、起毛などを施し、織物からなる表皮材が得られる。
本発明の車両内装用複合材は、以上に説明した織物からなる表皮材の裏面に、ポリウレタンフォームシートからなる裏打ち材を積層してなるものである。これにより、バッキングを施さなくてもほつれを防止することができ、風合いが硬くなることもなく、加えて、十分な耐久性、特には、引張強度、引裂強度、縫目強度、耐縫目疲労性、耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐スナッキング性を有する車両内装用複合材となる。
ポリウレタンフォームシートは特に限定されるものではなく、車両内装用表皮材の裏打ち材として一般的に用いられているものを用いることができる。例えば、軟質スラブ発泡により連続的に製造したブロックを長手方向にスライスし、長尺のシート状としたものを挙げることができる。
積層方法は特に限定されるものではなく、例えば、接着剤を用いる方法、フレームラミネートによる方法などを挙げることができる。なかでも、工程負荷や軽量化の観点から、フレームラミネートによる方法が好ましい。
かくして、本発明の車両内装用複合材を得ることができる。
本発明の車両内装用複合材として、各種強度は、以下の範囲のものが好適である。
引張強度は、経方向、緯方向共に500N/50mm以上であることが好ましく、さらには600N/50mm以上であることが好ましい。
なお、試験方法は次のとおりである。
経方向・緯方向からそれぞれ採取した幅50mm、長さ250mmの大きさの試験片を、室温20±2℃、湿度65±5%RHの雰囲気下で、引張試験機オートグラフAG−100A(株式会社島津製作所製)に取り付け、試験片を移動速度200mm/分で試験片が破断するまで引っ張り、荷重を測定する。試験片が破断したときの荷重(最大荷重)(N/50mm)を引張強度の値とする。
引裂強度は、経方向、緯方向共に70N以上であることが好ましく、さらには100N以上が好ましい。
なお、試験方法は次のとおりである。
経方向、緯方向からそれぞれ採取した幅50mm、長さ250mmの大きさの試験片を、室温20±2℃、湿度65±5%RHの雰囲気下で、引張試験機オートグラフAG−100A(株式会社島津製作所製)に取り付け、試験片を移動速度200m/分で引き裂き、荷重(N)を測定する。ピーク値を引裂強度の値とする。
縫目強度は、経方向、緯方向共に300N/25.4mm以上が好ましく、さらには400N/25.4mm以上が好ましい。
なお、試験方法は次のとおりである。
経方向、緯方向からそれぞれ採取しミシン掛けした試験片を、室温20±2℃、湿度65±5%RHの雰囲気下で、引張試験機オートグラフAG−100A(株式会社島津製作所製)に取り付け、移動速度200mm/分で試験片が破断するまで引っ張り、荷重(N/25.4mm)を測定する。試験片が破断したときの荷重(最大荷重)を引張強度の値とする。
耐縫目疲労性は、経方向、緯方向共に2.2mm以下が好ましく、さらには1.5mm以下が好ましい。
なお、試験方法は次のとおりである。
経方向、緯方向からそれぞれ採取しミシン掛けした試験片を縫目疲労試験機(山口科学産業社製)に取り付けて、試験片に荷重29.4Nを掛け、引っ張り・戻りの動作を2500回繰り返し後に、荷重29.4Nを掛けた状態で縫目疲労を測定する。なお、ここで縫目疲労とは、繰り返し疲労によって荷重方向に移動したミシン糸に最も近い生地の糸とミシン糸との距離を指す。
耐平面摩耗性は、経方向、緯方向共に3級以上が好ましく、さらには4級以上が好ましい。
なお、試験方法は次のとおりである。
経方向、緯方向からそれぞれ採取した試験片を、平面摩耗試験機T−TYPE(株式会社大栄科学精器製作所製)に固定後、綿布(綿帆布)をかぶせた摩擦子に荷重9.8Nを掛けて、試験片の表面上140mmの間を60回往復/分の速さで10000回往復摩耗し、摩耗後の試験片を観察し、等級を付ける。3級は毛羽立ちがある状態、4級はやや毛羽立ちがある状態である。
耐テーバ摩耗性は、経方向、緯方向共に3級以上が好ましく、さらには4級以上が好ましい。
なお、試験方法は次のとおりである。
JIS L 1096 8.19.3 C法(テーバ形法)に準拠して測定する。条件は、摩耗輪CS−10、荷重4.9N、摩耗回数1000回である。摩耗後の試験片を観察し、等級を付ける。3級は毛羽立ちがある状態、4級はやや毛羽立ちがある状態である。
耐スクラッチ性は、経方向、緯方向共に3級以上が好ましく、さらには4級以上が好ましい。
なお、試験方法は次のとおりである。
経方向、緯方向からそれぞれ採取しミシン掛けした試験片を、平面摩耗試験機T−TYPE(株式会社大栄科学精器製作所製)に固定後、摩擦子の先端に面ファスナーを貼り付け、荷重9.8N、60回往復/分の速さで5回往復摩耗した後の試験片を観察し、等級をつける。3級はこすった部分がもやもやと毛羽立っているが、糸切れや組織の異常は目立たない状態、4級は繊維が組織から引き出されている状態(毛羽立ち)がわずかに認められる状態である。
耐スナッキング性は、経方向、緯方向共に3級以上が好ましく、さらには4級以上が好ましい。
なお、試験方法は次のとおりである。
JIS L 1058 7.1 ICI形メース試験機法(A法)に準拠する(ドラム回転数は600回)。試験後の試験片を観察し、ICIの標準見本と比較して、等級判定する。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、得られた複合材の評価は以下の方法に従った。
[引張強度]
幅50mm、長さ250mmの大きさの試験片を、経方向・緯方向からそれぞれ1枚採取した。室温20±2℃、湿度65±5%RHの雰囲気下で、試験片を、引張試験機オートグラフAG−100A(株式会社島津製作所製)のつかみ具に、つかみ幅50mm、つかみ間隔150mmで、たるみのないように取り付けた。試験片を、つかみ具の移動速度200mm/分で試験片が破断するまで引っ張り、荷重(N/50mm)を測定した。試験片が破断したときの荷重(最大荷重)を引張強度の値とし、下記の基準に従って判定した。
○:600N/50mm以上
△:500N/50mm以上 600N/50mm未満
×:500N/50mm未満
[引裂強度]
幅50mm、長さ200mmの大きさの試験片を、経方向・緯方向からそれぞれ1枚採取し、試験片に上辺が100mm、底辺が150mmの等脚台形のマークを付け、このマークの上辺の中央に辺と垂直に10mmの切り込みを入れた。室温20±2℃、湿度65±5%RHの雰囲気下で、試験片を、引張試験機オートグラフAG−100A(株式会社島津製作所製)のつかみ具に、つかみ幅50mm、つかみ間隔100mmで、たるみのないように取り付けた。試験片を、つかみ具の移動速度200m/分で引き裂き、荷重(N)を測定した。複数発現するピーク値の平均値を求め、これを引裂強度の値とし、下記の基準に従って判定した。
○:100N以上
△:70N以上 100N未満
×:70N未満
[縫目強度]
100mm四方の大きさの試験片を、経方向・緯方向からそれぞれ2枚1組で採取し、2枚の表側を合わせて重ね、1辺の端から6mmの位置をミシン掛けし、経・緯の試験片を作製した。室温20±2℃、湿度65±5%RHの雰囲気下で、試験片を、引張試験機オートグラフAG−100A(株式会社島津製作所製)のつかみ具に、つかみ幅25.4mm、つかみ間隔76.2mmで、たるみのないように取り付けた。試験片を、つかみ具の移動速度200mm/分で試験片が破断するまで引っ張り、荷重(N/25.4mm)を測定した。試験片が破断したときの荷重(最大荷重)を引張強度の値とし、下記の基準に従って判定した。
○:400N/25.4mm以上
△:300N/25.4mm以上 400N/25.4mm未満
×:300N/25.4mm未満
[耐縫目疲労性]
100mm四方の大きさの試験片を、経方向・緯方向からそれぞれ2枚1組で採取し、2枚の表側を合わせて重ね、1辺の端から6mmの位置をミシン掛けし、経・緯の試験片を作製した。試験片を縫目疲労試験機(山口科学産業社製)に取り付けて、試験片の一端に荷重29.4Nを掛け、引っ張り・戻りの動作を2500回繰り返し後に、荷重29.4Nを掛けた状態で、目盛り付きルーペを用いて縫目疲労を測定し、下記の基準に従って判定した。ここで縫目疲労とは、繰り返し疲労によって荷重方向に移動したミシン糸に最も近い生地の糸とミシン糸との距離を指し、0.1mm単位で測定される。
○:1.5mm以下
△:1.5mm超え 2.2mm以下
×:2.2mm超え
[耐平面摩耗性]
幅70mm、長さ300mmの大きさの試験片を、経方向・緯方向からそれぞれ1枚採取し、裏面に幅70mm、長さ300mm、厚み10mmの大きさのウレタンフォームシートを添えて、平面摩耗試験機T−TYPE(株式会社大栄科学精器製作所製)に固定した。綿布(綿帆布)をかぶせた摩擦子に荷重9.8Nを掛けて、試験片の表面上140mmの間を60回往復/分の速さで10000回往復摩耗した。この間、摩耗回数2500回往復ごとに綿布を交換した。摩耗後の試験片を観察し、下記の基準に従って等級をつけ、判定した。
5級:摩耗前と比較しても表面状態に変化がない
4級:やや毛羽立ちがある
3級:毛羽立ちがある
2級:毛羽立ちが多く、糸が細くなっている
1級:糸切れがある
○:4級以上
△:3級以上 4級未満
×:3級未満
[耐テーバ摩耗性]
JIS L 1096 8.19.3 C法(テーバ形法)に準拠して測定した。条件は、摩耗輪CS−10、荷重4.9N、摩耗回数1000回とした。摩耗後の試験片を観察し、下記の基準に従って等級をつけ、判定した。
5級:摩耗前と比較しても表面状態に変化がない
4級:やや毛羽立ちがある
3級:毛羽立ちがある
2級:毛羽立ちが多く、糸が細くなっている
1級:糸切れがある
○:4級以上
△:3級以上 4級未満
×:3級未満
[耐スクラッチ性]
幅50mm、長さ300mmの大きさの試験片を、経方向・緯方向からそれぞれ2枚1組で採取し、2枚の表側を合わせて重ね、1辺の端から6mmの位置をミシン掛けし、経・緯の試験片を作製した。裏面に幅88mm、長さ300mm、厚み10mmの大きさのウレタンフォームシートを添えて、平面摩耗試験機T−TYPE(株式会社大栄科学精器製作所製)に固定した。
摩擦子の先端に25mm×50mmの大きさの面ファスナー(A8693Y−71:クラレ製)を貼り付け、荷重9.8Nを掛けて、試験片の表面上140mmの間を60回往復/分の速さで5回往復摩耗した。摩耗後の試験片を観察し、下記の基準に従って等級をつけ、判定した。
5級:摩耗前と比較しても表面状態に変化がない
4級:繊維が組織から引き出されている状態(毛羽立ち)がわずかに認められる
3級:こすった部分がもやもやと毛羽立っているが、糸切れや組織の異常は目立たない
2級:繊維、糸ともに組織から引き出され、毛羽立ちが著しく目立つ
1級:繊維、糸ともに組織から引き出され、組織が波打つ
○:4級以上
△:3級以上 4級未満
×:3級未満
[耐スナッキング性]
JIS L 1058 7.1 ICI形メース試験機法(A法)に準拠して測定した。ドラム回転数は600回とした。試験後の試験片を観察し、ICIの標準見本と比較して等級をつけ、判定した。
○:4級以上
△:3級以上 4級未満
×:3級未満
[実施例1]
経糸として、84dtex/36fのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸を用い、緯糸として、84dtex/72fのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(緯糸1)と110dtex/96fのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(緯糸2)とを交互に用いて(本数比率は緯糸1:緯糸2=50:50)、図1の組織aにて製織し、生機を得た。
次いで、ヒートセッターにより150℃で2分間熱処理してプレセットした後、分散染料を用いてラピット染色機により130℃で30分間染色し、次いで、ヒートセッターにより150℃で1分間熱処理して乾燥・仕上げセットした。
得られた織物の経糸の平均繊度(A)は84dtex、緯糸の平均繊度(B)は97dtex、緯糸の平均繊度に対する経糸の平均繊度の比(A/B)は0.87、経糸の密度(Ma)は131本/25.4mm、緯糸の密度(Mb)は124本/25.4mm、A×Maは11004、B×Mbは12028、経糸の浮きの長さは0.41mm、緯糸の浮きの長さは0.78mm、目付は96g/mであり、経糸の浮きの長さが最小である部分に存在する緯糸の繊度の合計は110dtexであった。
かかる織物を表皮材とし、その裏面に、裏打ち材として厚さ2.5mmのポリウレタンフォームシートを、フレームラミネート法により積層し、実施例1の複合材を得た。
得られた複合材の評価結果を表2に示す。
実施例2〜4および比較例は、織組織、糸使いを表1および図1に基づいて変更した以外は実施例1と同様にして、複合材を得た。
得られた複合材の評価結果を表2に示す。

Claims (2)

  1. 織物からなる表皮材と、前記表皮材の裏面に積層されたポリウレタンフォームシートからなる裏打ち材とを備える車両内装用複合材であって、
    前記織物が、85〜120g/mの目付であって、経糸の浮きの長さが0.8mm以下であり、少なくとも一部に単糸繊度2.3dtex以下の繊維で構成されるマルチフィラメント糸を有し、
    経糸の平均繊度:A(dtex)、緯糸の平均繊度:B(dtex)、経糸の密度:Ma(本/25.4mm)、緯糸の密度:Mb(本/25.4mm)が以下の式を満たすことを特徴とする車両内装用複合材。
    0.5≦A/B≦2.0
    90≦Ma、90≦Mb
    9000≦A×Ma≦18000
    9000≦B×Mb≦18000
  2. 織物の目付が95〜110g/mであることを特徴とする請求項1に記載の車両内装用複合材。
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