JP6201746B2 - 織物及びそれを備える成形体 - Google Patents
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Description
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
1.基材に積層された状態でのコールドプレス成形に適した合成繊維の織物であって、
[経糸繊度(dtex)×経密度(本/inch)+緯糸繊度(dtex)×緯密度(本/inch)]で算出される値が33000以下であり、
前記合成繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維又はポリトリメチレンテレフタレート繊維であり、
前記経糸繊度及び前記緯糸繊度が、いずれも70〜300dtexであり、且つ略同一であり、前記経密度及び前記緯密度が、いずれも70〜200本/inchであり、且つ略同一であることを特徴とする織物。
2.前記値が10000〜33000である前記1.に記載の織物。
3.前記合成繊維は、紡糸時の巻取速度が2500〜4500m/分の半延伸糸であり、乾熱処理されている前記1.又は2.に記載の織物。
4.基材に積層された状態でのコールドプレス成形に適した合成繊維の織物であって、[経糸繊度(dtex)×経密度(本/inch)+緯糸繊度(dtex)×緯密度(本/inch)]で算出される値が33000以下であり、
前記合成繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維又はポリトリメチレンテレフタレート繊維である前記織物と、前記基材とが接合されてなり、車両用内装材であることを特徴とする成形体。
5.前記値が10000〜33000である前記4.に記載の成形体。
このような構成とされていると、基材に積層された状態でのコールドプレス成形における織物の残留応力が抑えられる。これにより、成形体としたときに、成形体の変形、及び基材からの織物の浮き、剥がれを生じることがない。
また、合成繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維である場合は、強度等に優れた織物とすることができ、成形も容易である。
本発明の成形体は、本発明の織物と、基材とが接合されてなる。
このような構成とされていると、コールドプレス成形したときでも、成形体の変形、及び基材からの織物の浮き、剥がれが防止される。
更に、成形体は、車両用内装材であり、天井材、ドアトリム等の変形部を有する各種の成形体とすることができる。そして、特に変形部における基材からの織物の浮き、剥がれが十分に防止される。また、織物の残留応力による内装材の変形もない。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本実施形態の織物は、基材に積層された状態でのコールドプレス成形に適した合成繊維の織物である。また、[経糸繊度(dtex)×経密度(本/inch)+緯糸繊度(dtex)×緯密度(本/inch)]で算出される値(以下、「dD値」と表記する。)が33000以下である。
織物に用いる合成繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維等のポリエステル系繊維が挙げられる。また、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等のポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維などの各種の合成繊維が挙げられる。これらの繊維のうちでは、強度が大きく、優れた耐久性等を有するポリエステル系繊維、特にPET繊維が好ましく、本発明では、PET繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維又はポリトリメチレンテレフタレート繊維を用いる。
織物の組織は特に限定されず、例えば、平織物、綾織物、朱子織物及びそれらの組み合わせ等の各種の織物とすることができる。また、合成繊維の繊度及び織物の糸密度は、織物が車両用内装材、例えば、天井材等の表皮材として用いられることを想定した場合、合成繊維の繊度は、70〜300dtexとする。更に、織物の糸密度は、経密度及び緯密度ともに、70〜200本/inchとする。このように、繊度及び糸密度ともに低めに設定し、且つdD値が33000以下となるようにすることで、コールドプレス成形に適した織物とすることができる。
前述のdD値が33000以下である本実施形態の織物は、基材に積層された状態でのコールドプレス成形に適している。このコールドプレス成形では、(a)接着剤層が設けられた基材及び織物を加熱し、その後、基材の接着剤層が設けられた面と、織物表面とを対向させて積層し、次いで、冷間プレス機の成形型間に介装させ、加圧することにより成形することができる。また、(b)基材の接着剤層が設けられた面と、織物表面とを対向させて積層し、その後、この積層体を加圧加熱し、次いで、冷間プレス機の成形型間に介装させ、加圧することにより成形することもできる。更に、(c)基材と、織物との間に接着剤フィルムを介在させて積層し、その後、この積層体を加圧加熱し、次いで、冷間プレス機の成形型間に介装させ、加圧することにより成形することもできる。これらの成形方法のうち、(a)では、織物の加熱は積層された接着剤層の溶融を促進することを目的としているため、織物自体はそれほど高温には加熱されない。一方、(b)、(c)では、積層体を加圧加熱することで、織物自体が直接十分に加熱されるため、より高温になる。従って、(b)又は(c)の方法で成形することがより好ましい。
基材の材質は特に限定されない。例えば、(a)ガラス繊維等の無機繊維をポリプロピレン等の樹脂により結着させた基材、(b)ガラス繊維等の無機繊維からなるシートを、樹脂フォーム、特に半硬質ポリウレタンフォームの両面に接着性フィルムにより接合させてなる基材、(c)樹脂フォーム、特に半硬質ポリウレタンフォーム等からなる基材が挙げられる。また、コールドプレス成形では、(a)又は(b)の基材を用いることが好ましい。尚、半硬質ポリウレタンフォームからなる基材は、常法により発泡させ、成形したスラブフォームから所定寸法となるように切り出す等の方法により作製することができる。更に、樹脂フォームからなる基材としては、ポリウレタンフォームの他、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の各種の汎用の熱可塑性樹脂を用いてなる硬質フォームを用いることもできる。また、ガラス繊維等の無機繊維が配合されたフォーム原料を用いてなる繊維強化樹脂フォームを用いることもできる。
接着剤層は特に限定されず、接着剤層の形成には各種の樹脂系接着剤等を用いることができる。この樹脂系接着剤としては、エチレン/アクリル酸共重合体、酸変性ポリエチレン樹脂等の接着性を有するポリオレフィン樹脂などを用いることができる。更に、ポリウレタン樹脂系接着剤を用いることもできる。また、ウレタン系、スチレン系等の熱可塑性エラストマー接着剤を用いることもできる。接着剤層の形態は特に限定されず、接着性熱可塑性樹脂フィルム及び接着性熱可塑性エラストマーフィルム等であってもよく、上述の各種の樹脂系接着剤を接着性成分として含有するエマルション、スラリー、ゲル状接着剤、パウダー状接着剤、及び発泡樹脂状接着剤等を用いてなる接着剤層であってもよい。
本実施形態の成形体は、本実施形態の織物と、前述の基材とが接合されてなる。成形体の成形方法としては、前述のように、コールドプレス成形、ホットプレス成形があるが、本実施形態の成形体は、コールドプレス成形した場合でも、成形体の変形、及び基材からの織物の浮き、剥がれを生じることがない。
実施例1〜6及び比較例1〜6(織物及びそのdD値)
PET繊維を用いてなり、図1のようにして弛緩熱処理した弛緩熱処理糸を空気交絡させ、その後、撚りを加えて、表1に記載の実施例1〜6及び比較例1〜6の繊度のマルチフィラメントを得た。次いで、このマルチフィラメントを使用し、表1に記載の経密度及び緯密度で平織物を製織した。また、繊度、経密度及び緯密度に基づいてdD値を算出した。その結果、dD値は、表1に記載されているように、実施例1〜6では14784〜32736であった。一方、比較例1〜6では44352〜88704であった。
実施例2、3の織物、及び比較例3の織物を使用し、これらの織物と、ガラス繊維をポリプロピレンにより結着させてなり、厚さ3mm、目付け625g/m2であって、一面側にウレタン系接着剤層が設けられた基材を、織物は130℃、基材側は接着剤層の温度が200℃になるまで加熱した。その後、基材の接着剤層が設けられた面と、織物表面とを対向させて積層した。次いで、加熱された積層体を20℃に調温された成形型内に27秒間載置し、コールドプレス成形した[前述の(a)の成形方法]。また、基材の接着剤層が設けられた面と、織物表面とを対向させて積層し、その後、接着剤層の温度が200℃になるまで加熱し、次いで、(a)と同様にしてコールドプレス成形した[前述の(b)の成形方法]。このようにしてコールドプレス成形し、次いで、成形品を型内から取り出し、全外周をトリミングし、車両用天井材を製造した(実施例2の織物を用いた天井材が実施例7、実施例3の織物を用いた天井材が実施例8,比較例3の織物を用いた天井材が比較例7である。)。
コールドプレス成形における残留応力を想定し、オートグラフ試験機を用いて、織物等の引張試験をしたときの、時間と応力との相関を検討した。結果は図4のとおりである。用いた試料は、表1の比較例3の織物(実験例1)、実施例1の織物(実験例2)、実施例3の織物(実験例3)、実施例2の織物(実験例4)、及び不織布(実験例5)である。具体的な試験方法は、長さ200mm、幅50mmの試片をチャック間距離100mmにてセットし、コールドプレス時の織物等の伸長を想定して、80℃に調温された恒温槽中で1分間加熱し、その後、A点までは、恒温槽に入れたまま200mm/分の引張速度で40%伸長させた。次いで、A点からB点までは、コールドプレス時の圧着、冷却を想定して80℃で30秒間保持し、その後、B点からC点までは、成形後の除圧、放冷を想定し、試片から恒温槽を取り外し、室温(20〜25℃)で30秒間放冷させた。
尚、除圧、空冷後の残留応力が実験例5より小さく、且つ実験例5に最も近似している実験例4では実施例2の織物が用いられている。また、表2のように、変形量が目標値により近似している実施例7の天井材では実施例2の織物が用いられている。そして、実施例2の織物のdD値が略33000であることに基づいて、本実施形態の織物では、dD値の上限値を33000とした。
Claims (5)
- 基材に積層された状態でのコールドプレス成形に適した合成繊維の織物であって、
[経糸繊度(dtex)×経密度(本/inch)+緯糸繊度(dtex)×緯密度(本/inch)]で算出される値が33000以下であり、
前記合成繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維又はポリトリメチレンテレフタレート繊維であり、
前記経糸繊度及び前記緯糸繊度が、いずれも70〜300dtexであり、且つ略同一であり、前記経密度及び前記緯密度が、いずれも70〜200本/inchであり、且つ略同一であることを特徴とする織物。 - 前記値が10000〜33000である請求項1に記載の織物。
- 前記合成繊維は、紡糸時の巻取速度が2500〜4500m/分の半延伸糸であり、乾熱処理されている請求項1又は2に記載の織物。
- 基材に積層された状態でのコールドプレス成形に適した合成繊維の織物であって、[経糸繊度(dtex)×経密度(本/inch)+緯糸繊度(dtex)×緯密度(本/inch)]で算出される値が33000以下であり、
前記合成繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維又はポリトリメチレンテレフタレート繊維である前記織物と、前記基材とが接合されてなり、車両用内装材であることを特徴とする成形体。 - 前記値が10000〜33000である請求項4に記載の成形体。
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