JP2019108619A - 刺繍付人工皮革、加飾成形体及びそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インサート成形に用いた場合に、刺繍された面に樹脂漏れを発生したり、縫い目で裂けたり、シワが発生したりすることを抑制できる提供する。また、その刺繍付人工皮革を用いた加飾成形体及び製造方法を提供する。【解決手段】表面側から順に人工皮革,接着剤層,及びバッカー層を順に積層した積層体に刺繍を施してなる刺繍付人工皮革を用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、刺繍付人工皮革及びそれを樹脂成形体の表面に一体化した加飾成形体に関する。
人工皮革を樹脂成形体の表面に一体化した加飾成形体が知られている。このような加飾成形体は、人工皮革またはそれを賦形したプリフォーム成形体を金型のキャビティに配置し、射出成形するインサート成形(インモールド成形とも称される)により製造されたり、予め成形された樹脂成形体の表面にプリフォーム成形体を手貼りしたりして製造されている。
例えば、下記特許文献1は、人工皮革の背面に補強シートを貼り合わせたスエード調又は銀付調触感を有するインサート材を予備成形により3次元形状にし、必要な形状に打抜いて射出成形用金型内のキャビティ内に収めた後、インサート材の補強シート側から溶融樹脂を射出することにより、樹脂成形体を成形すると同時にその表面にインサート材を一体化して得られた成形体を開示する。
ところで、人工皮革に刺繍を施す技術が知られている。しかし、人工皮革に刺繍を施した場合、刺繍の縫目で裂けたり、著しく強力が低下したりするという問題があった。このような問題を解決する技術として、下記特許文献2は、0.8デニール以下の極細繊維と撚り数が1200T/m〜4000T/mである強撚糸織物とが不離一体絡合されてなり、かつ弾性重合体により保持され、立毛、染色処理された立毛シート状物の立毛面表面に刺繍がなされているスエード調人工皮革を開示する。
特開2006−281592号公報 特開平10−273886号公報
刺繍を施した人工皮革である刺繍付人工皮革を射出成形用金型内のキャビティ内に収容し、射出成形するインサート成形により人工皮革を樹脂成形体の表面に一体化した加飾成形体を製造する場合、射出成形の溶融樹脂の樹脂圧により、刺繍を施した人工皮革の刺繍の縫い目に樹脂が侵入し、刺繍された面に樹脂漏れを発生したり、人工皮革が樹脂圧で伸びることにより縫い目で裂けたり、刺繍部分と刺繍部分以外の部分との伸びの差により、シワが発生したりすることがあった。
本発明は、インサート成形に用いた場合に、刺繍された面に樹脂漏れを発生したり、縫い目で裂けたり、シワが発生したりすることが抑制される刺繍付人工皮革を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、表面側から順に人工皮革,接着剤層,及びバッカー層を順に積層した積層体であって、刺繍が施されている刺繍付人工皮革である。このような刺繍付人工皮革によれば、接着剤層及びバッカー層を設けたことにより、インサート成形に用いた場合に、刺繍された面に樹脂漏れを発生させたり、縫い目で裂けたり、刺繍部分と刺繍部分以外の部分との伸びの差により、シワを発生させたりすることを抑制することができる。
バッカー層は、不織布,織物,編物及び人工皮革基布からなる群から選ばれる少なくとも1種のシートを含む、とくには、平均繊度1dtex以下の極細繊維の不織布に高分子弾性体を付与した人工皮革基布を含むことが、樹脂漏れを抑制する効果が高い点から好ましい。
また、本発明の他の一局面は、樹脂成形体と、樹脂成形体の表面に積層された上記何れかの刺繍付人工皮革を備える加飾成形体である。このような加飾成形体は、とくにインサート成形で製造された場合に、刺繍された面の樹脂漏れが発生しにくく、また、縫い目で裂けにくくなる。
また、本発明の他の一局面は、人工皮革と接着剤とバッカー材とを順に積層してプレスすることにより、それらの積層体を製造する工程と、積層体を刺繍糸が貫通するように、刺繍を施す工程と、を備える刺繍付人工皮革の製造方法である。このような製造方法によれば、上述したような刺繍付人工皮革を容易に製造することができる。
また、本発明の他の一局面は、上述した何れかの刺繍付人工皮革またはそのプリフォーム成形体を射出成形用金型のキャビティに収容する工程と、射出成形用金型に溶融樹脂を射出することにより、成形される射出成形体の表面に刺繍付人工皮革を一体化させた加飾成形体を形成する工程と、を備える加飾成形体の製造方法である。このような加飾成形体の製造方法によれば、刺繍された面に樹脂漏れが発生しにくく、縫い目で裂けたりしにくく、シワも発生しにくい、表面に刺繍付人工皮革を配した加飾成形体が得られる。
本発明によれば、インサート成形に用いた場合に、刺繍された面に樹脂漏れを発生したり、縫い目で裂けたり、シワが発生したりすることが抑制される刺繍付人工皮革を提供できる。
図1は、実施形態の刺繍付人工皮革を説明する模式図である。 図2は、プリフォーム成形体を成形するための加熱プレス成形の各工程を説明するための説明図である。 図3は、インサート成形により加飾成形体を製造する方法について説明する説明図である。 図4は、実施形態の加飾成形体を説明する模式図である。
本実施形態の刺繍付人工皮革を図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態の刺繍付人工皮革5を説明する模式図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のB−B’断面の断面図である。図1中、1は人工皮革、2は接着剤層、3はバッカー層、4は刺繍である。刺繍付人工皮革5においては、刺繍4として、多数の刺繍糸で花柄の模様が形成されている。また、人工皮革1とバッカー層3とは、接着剤層2で接着された積層体を形成している。
図1(b)に示すように、刺繍4は、刺繍糸が人工皮革1と接着剤層2とバッカー層3とからなる積層体を貫通するように形成されている。
刺繍付人工皮革5においては、人工皮革1に接着剤層2で接着されたバッカー層3が、人工皮革1が伸びることを抑制する。それにより、人工皮革が伸びることによる縫い目の裂けが抑制される。また、インサート成形においては、バッカー層3が、溶融した樹脂を刺繍4を形成する縫い目の孔に侵入させにくくする。
人工皮革としては、不織布に高分子弾性体を付与した人工皮革生機の表面を起毛処理した立毛人工皮革や、人工皮革生機の表面に樹脂層を形成した銀付人工皮革が用いられる。
人工皮革の不織布の繊維を形成する樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),変性PET,ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリトリメチレンテレフタレート(PTT),ポリトリエチレンテレフタレート,ポリヘキサメチレンテレフタレート,ポリプロピレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリ乳酸,ポリエチレンサクシネート,ポリブチレンサクシネート,ポリブチレンサクシネートアジペート,ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバリレート共重合体等の脂肪族ポリエステル系樹脂;ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド610,ポリアミド10,ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド6−12等のポリアミド系樹脂;ポリプロピレン,ポリエチレン、ポリブテン,ポリメチルペンテン,塩素系ポリオレフィン,エチレン酢酸ビニル共重合体,スチレンエチレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコール等から形成される変性ポリビニルアルコール系樹脂;及び、ポリウレタン系エラストマー,ポリアミド系エラストマー,ポリエステル系エラストマー等の結晶性エラストマー等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、不織布を形成する繊維の繊度は特に限定されず、1dtex超の通常繊維の繊度であっても、1dtex以下、さらには0.6dtex以下、とくには0.5dtex以下であるような極細繊維の繊度であってもよい。
不織布に付与される高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン等の各種ポリウレタンや、アクリル系弾性体、ポリウレタンアクリル複合弾性体、ポリ塩化ビニル、合成ゴム等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタンが接着性や機械特性に優れる点から好ましい。高分子弾性体の含有割合としては、0.1〜50質量%、さらには、5〜35質量%、とくには8〜30%であることが好ましい。高分子弾性体の含有割合が高すぎる場合には、賦形性が低下する傾向がある。
不織布に高分子弾性体を付与した人工皮革生機の一面を起毛処理することにより立毛人工皮革が得られる。また、不織布に高分子弾性体を付与した人工皮革生機の一面に銀面調の樹脂層を積層形成することにより、銀付人工皮革が得られる。立毛人工皮革を形成する方法としては、人工皮革生機の表面をバフィング処理することにより起毛処理されたスエード調やヌバック調の加飾面を形成する方法が挙げられる。バフィング処理は、人工皮革生機の表面をサンドペーパーやブラシ等で擦り、繊維を起毛させる処理である。また、銀付人工皮革を形成する方法としては、人工皮革生機の表面に乾式造面法やダイレクトコート法などの方法によりポリウレタン等の高分子弾性体を含む銀面調の樹脂層を形成する方法が挙げられる。銀面調の樹脂層を形成する高分子弾性体としては、従来から銀面調の樹脂層の形成に用いられているポリウレタンやアクリル系弾性体等を用いることができる。
バッカー層を形成するためのバッカー材としては、絡合不織布,抄紙不織布,織物,編物,人工皮革基布等の繊維素材を含むシート、とくには、平均繊度1dtex以下の極細繊維の不織布に高分子弾性体を付与した人工皮革基布であることが、樹脂漏れを抑制する効果が高い点から好ましい。バッカー層の厚さは、特に限定されないが、0.1〜1mm、さらには、0.35〜0.8mmであることが好ましい。
また、接着剤層を形成する接着剤は特に限定されないが、ホットメルトポリウレタン等のホットメルト接着剤や、ポリビニルブチラール(PVB)接着剤等が挙げられる。接着剤層の厚さは、特に限定されないが、0.03〜0.3mm、さらには、0.05〜0.2mmであることが好ましい。
上述したような刺繍付人工皮革は、人工皮革と接着剤フィルムとバッカー材とを順に積層してプレスすることにより、それらの積層体を製造し、積層体を刺繍糸が貫通するように、人工皮革の表面に表出する刺繍を施すことにより製造することができる。
刺繍に用いられる刺繍糸の種類は特に限定されないが、ポリエステル糸やレーヨン糸が挙げられる。これらの中では、ポリエステル糸が、伸度が高く(例えば16%程度)、レーヨン糸(例えば14%程度)よりも伸びやすい点から好ましい。
また、刺繍の面積は、例えば、5〜80%、刺繍の密度は10〜300本/cm2程度の範囲が例示できる。
次に、上述した刺繍付人工皮革を樹脂成形体の表面に一体化してなる加飾成形体について説明する。加飾成形体の製造方法としては、生産性の観点から、刺繍付人工皮革またはそのプリフォーム成形体を射出成形用金型のキャビティに収容し、射出成形用金型に溶融樹脂を射出することにより、成形される射出成形体の表面に刺繍付人工皮革を一体化させる、インサート成形を採用した製造方法が好ましい。
本実施形態の加飾成形体の製造方法として、射出成形に用いる金型のキャビティに合わせた形状に刺繍付人工皮革を予備成形したプリフォーム成形体を製造した後、金型のキャビティにプリフォーム成形体を収容し、射出成形するインサート成形による製造方法を説明する。
図2は、刺繍付人工皮革のプリフォーム成形体を成形するための加熱プレス成形の各工程を説明するための説明図である。図2中、5は刺繍付人工皮革,21は加熱プレスのための雄型,22は加熱プレスのための雌型であり、21aは雄型21のコア、22aは雌型22のキャビティである。また、9は、トリミング処理前のプリフォーム成形体、10はプリフォーム成形体、8はトリミング処理された刺繍付人工皮革5の不要部である。
はじめに、図2(a)に示すように、刺繍付人工皮革5を雌型22と雄型21との間に配する。このとき、雌型22と雄型21とは刺繍付人工皮革5を軟化させる所定の温度に加熱されている。そして、図2(b)に示すように、雌型22と雄型21とを所定の圧力で型締めする。このとき、刺繍付人工皮革5は雄型21のコア21aと雌型22のキャビティ22aとの間に挟まれて賦形される。
そして、図2(c)に示すように、雌型22と雄型21とを型開きし、冷却することにより、トリミング処理前のプリフォーム成形体9が得られる。そして、雌型22及び雄型21からトリミング処理前のプリフォーム成形体9を取り出し、刺繍付人工皮革5の不要部8をトリミングすることにより、プリフォーム成形体10が得られる。
このようにして得られたプリフォーム成形体は樹脂成形体の表面に一体化されて加飾成形体とされる。プリフォーム成形体を樹脂成形体に一体化する方法としては、射出成形により成形される樹脂成形体にプリフォーム成形体を一体化させるインサート成形が好ましく用いられる。図3を参照して、インサート成形により、射出成形される樹脂成形体7の表面に刺繍付人工皮革5を一体化して得られる加飾成形体20を製造する方法について説明する。
図3中、10は刺繍付人工皮革のプリフォーム成形体,12aは可動側型,12bは固定側型,13は射出成形機の射出部本体,13aはノズル,13bはシリンダ,13cはインラインスクリュ,14はゲート,7は樹脂成形体,7aは溶融樹脂,20は加飾成形体である。可動側型12aと固定側型12bとは一対になってキャビティcを形成する射出成形用金型12を構成する。なお、本実施形態においては、可動側型12aは射出成形用金型の雌型、固定側型12bは射出成形用金型の雄型である。
はじめに、図3(a)に示すように、可動側型12aのキャビティを形成するための凹部に刺繍付人工皮革のプリフォーム成形体10を収容する。このとき、刺繍付人工皮革5の人工皮革1の側がキャビティを形成するための凹部に面し、バッカー層3の側に溶融樹脂が充填されるような方向に配置される。なお、本実施形態では、予め、射出成形用金型のキャビティの形状に沿うように成形された刺繍付人工皮革のプリフォーム成形体を用いた例を説明するが、刺繍付人工皮革をそのままインサート成形に供してもよい。
次に、図3(b)に示すように、可動側型12aと固定側型12bとを型締めする。そして、図3(c)に示すように、可動側型12aと固定側型12bとを型締めした状態で形成されるキャビティcに溶融樹脂7aを充填する。詳しくは、射出成形機の射出部13を前進させ、ノズル13aを固定側型12bに形成されたゲート14に当接させ、シリンダ13b内で溶融樹脂7aをインラインスクリュ13cで射出することにより、溶融樹脂7aが所定の充填圧でキャビティcに完充填される。
射出成形条件は、射出される樹脂の熱特性や溶融粘度、成形体の形状、および樹脂厚みに応じて完充填可能な条件(樹脂温度、金型温度、射出圧力、射出速度、射出後の保持圧力、冷却時間)が適宜設定される。
射出成形される樹脂の具体例としては、例えば、ABS系樹脂、PMMA樹脂のようなアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、各種ポリアミド系樹脂、COP樹脂等が挙げられる。また、これらは、フィラー等を配合したコンパウンド品や、複数種の樹脂をアロイ化またはブレンド化した混合品であってもよい。これらは用途に応じて適宜選択される。また、成形される射出成形体の厚さは特に限定されず、用途や成形性に応じて適宜選択されるが、例えば、0.3〜3mm、さらには0.5〜2.0mmであることが好ましい。
そして、冷却工程において、可動側型12aと固定側型12bとが型締めして形成されるキャビティc内で成形された樹脂成形体7と樹脂成形体7に積層された刺繍付人工皮革のプリフォーム成形体10とが一体化された状態で所定の時間冷却された後、図3(d)に示すように、可動側型32aと固定側型32bとを型開きして、成形された樹脂成形体7と樹脂成形体7に積層された刺繍付人工皮革のプリフォーム成形体10とが一体化された加飾成形体20が取り出される。
このようにして製造された加飾成形体20を図4に示す。図4は、上述のようなインサート成形により得られた加飾成形体20を説明する模式図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のB−B’断面の断面図である。加飾成形体20は、人工皮革1と接着剤層2とバッカー層3とが順に積層された積層体に刺繍4を施してなる刺繍付人工皮革5を、樹脂成形体7の表面に一体化して形成されている。そして、刺繍4が、刺繍糸が人工皮革1と接着剤層2とバッカー層3とからなる積層体を貫通するように形成されている。このような刺繍付人工皮革5を用いてインサート成形して得られる加飾成形体20によれば、インサート成形時に、バッカー層3が人工皮革1が伸びることを抑制する。そのために、インサート成形による樹脂圧により、人工皮革1が伸びることにより縫い目に裂けが生じることが抑制される。また、バッカー層3が存在することにより、インサート成形時に、溶融した樹脂が刺繍4を形成する縫い目の孔に侵入しにくくする。また、人工皮革1がバッカー層に接着支持されていることにより、刺繍4が形成された部分と刺繍4が形成されていない部分との伸びの差により、シワを発生させたりすることが抑制される。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
縦140×横140mmで、厚さ0.5mm、繊度0.9dtexで、T100℃の変性PETの極細繊維とポリウレタンとを含む、見かけ密度0.50g/cm3の人工皮革基布に、銀面層としてシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を表皮とする厚み0.11mmのシボ付の乾式造面層を形成した銀付人工皮革を準備した。この銀付人工皮革のたて方向の20℃における50%伸長応力が170N/25mmであった。
また、縦140×横140mmで厚さ50μmのポリウレタンホットメルトフィルム(Tg100℃)を準備した。さらに、バッカー材として、繊度0.9dtexで、T100℃の変性PETの極細繊維とポリウレタンとを含む、見かけ密度0.50g/cm3の人工皮革基布を準備した。人工皮革基布のたて方向の20℃における50%伸長応力は、140N/25mmであった。
そして、銀付人工皮革、ポリウレタンホットメルトフィルム、バッカー材を順に重ね、加熱プレスすることにより接着して積層体を得た。
そして、積層体を刺繍糸が貫通するように、図1に示したような花柄の刺繍を積層体に施した。刺繍は、針本数50〜100本/cm2であり、刺繍面積は、12cm2であった。このように、積層体に刺繍を施すことにより、刺繍付人工皮革Aを得た。
そして、刺繍付人工皮革Aを型温100℃、プレス圧力100kg/cm2で、後述する射出成型金型に対応する形状に賦形するためのプレス金型を用いて熱プレス成形を行うことにより、プリフォーム成形体を成形した。このとき、刺繍付人工皮革Aのプリフォーム成形体は、しっかりとした型通りの形状を保形していた。
そして、所定の形状にトリミングした刺繍付人工皮革Aを用いてインサート成形を行った。具体的には、電動式射出成形機(住友重機械工業(株)製のSE−100)に搭載された、射出成形用金型の可動側型と固定側型とを型開きした状態で、可動側型のキャビティ形成面に刺繍付人工皮革Aを位置合わせして配置した。そして、可動側型と固定側型とを型締めした。なお、射出成形用金型のキャビティ形状は、厚さ2mm、直径80mm、高さ10mmの図4に示したような外周が円形で断面が台形状の形状であった。
そして、樹脂温度230℃、金型温度40℃の条件で、ABS樹脂を射出してキャビティ内に充填した。そして、完充填後、冷却した後、型開きした。このようにして、ABS樹脂成形体の表面に刺繍付人工皮革Aが一体化された加飾成形体を得た。得られた、加飾成形体は、樹脂漏れ、破れ、シワの発生のない外観が良好なものであった。
(実施例2)
実施例1において、バッカー材として、人工皮革基布の代わりに、抄紙不織布を用いた以外は、実施例1と同様にして加飾成形体を得た。得られた、加飾成形体は、樹脂漏れ、破れ、シワの発生のない外観が良好なものであった。
(実施例3)
実施例1において、ポリウレタンホットメルトフィルムの代わりに、ポリビニルブチラール(PVB)接着剤を用いた以外は、実施例1と同様にして加飾成形体を得た。得られた、加飾成形体は、樹脂漏れ、破れ、シワの発生のない外観が良好なものであった。
(実施例4)
実施例2において、ポリウレタンホットメルトフィルムの代わりに、ポリビニルブチラール(PVB)接着剤を用いた以外は、実施例1と同様にして加飾成形体を得た。得られた、加飾成形体は、樹脂漏れ、破れ、シワの発生のない外観が良好なものであった。
(比較例1)
実施例1と同様の、銀付人工皮革を準備した。そして、銀付人工皮革を刺繍糸が貫通するように、実施例1と同様にして花柄の刺繍を施した。このようにして、刺繍付人工皮革Bを得た。
実施例1において、刺繍付人工皮革Aの代わりに刺繍付人工皮革Bを用いた以外は同様にして、インサート成形を行うことにより、ABS樹脂成形体の表面に刺繍付人工皮革Bが一体化された加飾成形体を得た。得られた加飾成形体は、刺繍の針孔から樹脂漏れが見られ、針孔間に破れも見られ、また、シワも発生した。
1 人工皮革
2 接着剤層
3 バッカー層
4 刺繍
5 刺繍付人工皮革
7 樹脂成形体
10 刺繍付人工皮革のプリフォーム成形体
12 射出成形用金型
20 加飾成形体
c キャビティ

Claims (7)

  1. 表面側から順に人工皮革,接着剤層,及びバッカー層を順に積層した積層体であって、刺繍が施されていることを特徴とする刺繍付人工皮革。
  2. 前記バッカー層が、不織布,織物,編物及び人工皮革基布からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む繊維シートである請求項1に記載の刺繍付人工皮革。
  3. 前記バッカー層が、平均繊度1dtex以下の極細繊維の不織布に高分子弾性体を付与した人工皮革基布を含む請求項1に記載の刺繍付人工皮革。
  4. 樹脂成形体と、樹脂成形体の表面に積層された請求項1〜3の何れか1項に記載の刺繍付人工皮革とを備える加飾成形体。
  5. インサート成形体である請求項4に記載の加飾成形体。
  6. 人工皮革と接着剤フィルムとバッカー材とを順に積層してプレスすることにより、それらの積層体を製造する工程と、
    前記積層体を刺繍糸が貫通するように刺繍を施す工程と、を備えることを特徴とする刺繍付人工皮革の製造方法。
  7. 請求項1〜3の何れか1項に記載の刺繍付人工皮革またはそのプリフォーム成形体を射出成形用金型のキャビティに収容する工程と、
    前記射出成形用金型に溶融樹脂を射出することにより、成形される射出成形体の表面に前記刺繍付人工皮革を一体化させた加飾成形体を形成する工程と、を備える加飾成形体の製造方法。
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