JP2015150690A - インモールド部材、インモールド成形体及びインモールド成形体の製造方法 - Google Patents

インモールド部材、インモールド成形体及びインモールド成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】人工皮革を含むインモールド部材を用いて薄肉のインモールド成形体を成形したときに、射出成形体のゲートマークの周辺に相当する位置に、インモールド部材に局所的にまたはピンポイント的に孔や変形のような外観不良が発生することを抑制する。
【解決手段】インモールド成形により射出成形体に一体化されるインモールド部材であって、射出成形体はインモールド成形により形成される少なくとも一つのゲートマークを有し、人工皮革と、人工皮革のゲートマークに対向する部分に貼られたパッチ部材とを備えるインモールド部材。
【選択図】図2

Description

本発明は、表面に人工皮革を配したインモールド成形体、及びそれを製造するためのインモールド部材の改良に関する。
携帯電話,モバイル機器,家電製品の筐体や、車両,航空機等の内装部品,建材,家具等の外装部材として、人工皮革を含むインモールド部材(以下、単にインモールド部材とも称する)を用いたインモールド成形体が知られている。このようなインモールド成形体は、プレフォーム成形された人工皮革を含むインモールド部材を金型キャビティ内にインモールドし、射出成形することにより成形される。
射出成形機の金型キャビティ内にインモールド部材をインモールドし、射出成形した場合、樹脂圧及び樹脂温の影響により人工皮革の表面が荒れやすくなるという問題があった。とくに、近年、携帯電話、モバイル機器、家電製品の軽量化が求められている観点から、厚みが1mm以下のような薄肉の筐体が求められている。薄肉のインモールド成形においては、射出成形時の金型内の樹脂ピーク圧が著しく高くなる。そのために、インモールド部材に射出樹脂の高温高圧の影響による荒れが発生したり、シボ模様が消失してしまう等の問題があった。また、射出成形時にウエルドライン形成部に皺が生じたり、プレフォーム成形体の端面が伸ばされて成形のショットごとに端面の長さが変わり、生産安定性が不安定になるというような問題があった。
このような問題を解決するために、下記特許文献1は、人工皮革と人工皮革の裏面に被着された樹脂フィルムとを備えるインモールド部材であって、樹脂フィルムが、ポリカーボネート系樹脂及びポリカーボネート系樹脂に非相溶で且つポリカーボネート系樹脂よりも軟化温度の低い少なくとも1種以上の樹脂を含むポリマーアロイのフィルムであるインモールド部材を開示する。
上述したような技術ではインモールド成形体の薄肉化の要求に応じることが難しかった。すなわち、インモールド成形体の薄肉化を進める場合、射出成形体の薄肉化とともにインモールド部材の薄肉化も要求される。人工皮革の裏面に樹脂フィルムを積層した場合、樹脂フィルムの厚み分だけ厚くなってしまうためである。
特開2013−226815号公報
本発明者らは、樹脂フィルムを積層しない人工皮革をインモールド部材として用いて、1mm以下、さらには0.8mm以下のような薄肉のインモールド成形体を成形することを試みた。しかしながら、このような薄肉のインモールド成形体を成形した場合、人工皮革にしばしば孔が開いてしまうという問題に直面した。
図6は、スマートフォンの保護ケースである、人工皮革を用いたインモールド部材101が一体化された、厚さ約0.6mmのインモールド成形体40である。図6(a)はその上面斜視図、図6(b)は、図6(a)のB断面の部分断面模式図である。図6中、3は射出成形体、3aはゲートマーク、Hは孔である。
図6に示したようなインモールド成形体40を製造した場合、インモールド部材101のゲートマーク3aに対向する位置の周辺に孔Hが開いてしまうという現象がしばしば生じることがあった。
本発明は、人工皮革を含むインモールド部材を用いて薄肉のインモールド成形体を成形したときに、射出成形体のゲートマークの周辺に相当する位置に、インモールド部材に局所的にまたはピンポイント的に孔や変形のような外観不良が発生することを抑制することを目的とする。
本発明者らは、上述したような、人工皮革を含むインモールド部材に、孔や変形のような外観不良が局所的またはピンポイント的に発生することを抑制すべく鋭意検討し、次のような考察をした。すなわち、インモールド成形において、金型のキャビティに溶融樹脂がゲート部から流入してキャビティ全体に充填される際に、ゲート部付近の高い樹脂圧及び樹脂速度により、人工皮革に高いシェアが掛かり、それにより、ゲート部の周囲付近でインモールド部材が局所的またはピンポイント的に削られるようにして孔が形成されると考えた。このような考察に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一局面は、インモールド成形により射出成形体に一体化されるインモールド部材であって、射出成形体はインモールド成形により形成される少なくとも一つのゲートマークを有し、人工皮革と、人工皮革のゲートマークに対向する部分に貼られたパッチ部材とを備えるインモールド部材である。
また、本発明の他の一局面は、射出成形体と射出成形体に一体化されたインモールド部材とを備えたインモールド成形体であって、射出成形体は、インモールド成形により形成された少なくとも一つのゲートマークを有し、インモールド部材は、人工皮革と、人工皮革のゲートマークに対向する部分に貼られたパッチ部材とを備えるインモールド成形体である。
また、本発明の他の一局面は、少なくとも一つのゲート部を有するキャビティを備えたインモールド金型のキャビティ内にインモールド部材を収容する工程と、インモールド部材が収容されたインモールド金型に溶融樹脂を射出することにより射出成形体を成形しながら、射出成形体にインモールド部材を一体化させる工程とを備え、射出成形体にゲート部に相当する部分にゲートマークが形成され、インモールド部材は、人工皮革と、人工皮革のゲートマークに対向する部分に貼られたパッチ部材とを備えるインモールド成形体の製造方法である。
本発明によれば、人工皮革を用いたインモールド部材を一体化したインモールド成形体を製造したときに、インモールド部材に局所的またはピンポイント的な孔や外観不良が発生することが抑制される。
図1は、本実施形態のインモールド部材10の裏面の部分斜視模式図である。 図2は本実施形態のインモールド成形体20の模式図であり、図2(a)は上面斜視図、図2(b)は図2(a)のA断面の部分断面模式図である。 図3は、プレフォーム成形体であるインモールド部材10を製造する工程を説明する工程説明図である。 図4は、インモールド部材10を用いたインモールド成形を説明するための工程説明図である。 図5は、本実施形態のインモールド部材10のパッチ部材2の作用効果を説明するための説明図である。 図6は、従来のインモールド成形体40の模式図であり、図6(a)は上面斜視図、図6(b)は図6(a)のB断面の部分断面模式図である。
以下、本発明に係るインモールド部材、及びそれを用いたインモールド成形体の好ましい実施形態を説明する。
図1は本実施形態インモールド部材10の裏面の部分模式斜視図である。図1中、1は人工皮革であり、2はパッチ部材である。インモールド部材10は、インモールド成形により形成される射出成形体に一体化される部材であり、パッチ部材2はインモールド成形により射出成形体に形成されるゲートマークに対向する部分の周辺領域を覆うように人工皮革1に貼られている。
人工皮革は、織物、編物または繊維絡合体を基材とし、それら基材を目的に応じて、表面の極細繊維を立毛させることによりスエード調やヌバック調の立毛された外観を付与したり、基材に銀面調の樹脂層を積層したりして加飾された、従来から知られた皮革調のシートである。また、人工皮革としては、外観が皮革様あるいは装飾された樹脂シートであってもよい。なかでも、基材がポリウレタン等の高分子弾性体が含浸付与された繊維絡合体であることが風合いや触感に優れる点から好ましい。
人工皮革の厚さは特に限定されないが、250μm以上、さらには300μm以上で、950μm以下、さらには750μm以下であることが、インモールド成形体の薄肉性を保持する点から好ましい。
パッチ部材は、インモールド成形により成形される射出成形体のゲートマークに対向する部分の領域を覆うように、人工皮革に貼られる断片状の部材である。パッチ部材としては、インモールド成形において保形可能な部材であれば特に限定なく用いられ、その具体例としては、金属箔の断片や、耐熱性の高い樹脂フィルムや有機無機複合シートの断片、炭素繊維シート等が挙げられる。また、金属箔と樹脂フィルムとの積層体であってもよい。
金属箔の具体例としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、鉛箔等が挙げられる。金属箔の厚さとしては1〜400μm、さらには5〜100μm程度であることが溶融樹脂の流動を阻害しにくく、また、得られるインモールド成形体の特性に大きな影響を与えにくい点から好ましい。
また、耐熱性の高い樹脂フィルムの具体例としては、例えば、ポリカーボネート系フィルム、ポリイミド系フィルム、液晶ポリエステル系フィルム、2軸延伸ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)系フィルム、芳香族または半芳香族ポリアミドフィルム、ポリフェニレンスルフィド(PPS)系フィルム、シリコーン系フィルム、フッ素樹脂系フィルム等の各種耐熱性フィルムが挙げられる。なお、耐熱性フィルムとは、インモールド成形時に射出される溶融樹脂の温度において保形可能なフィルムを意味する。耐熱性の高い樹脂フィルムの厚さとしては50〜350μm、さらには100〜300μm程度であることが溶融樹脂の流動を阻害しにくく、また、得られるインモールド成形体の特性に大きな影響を与えにくい点から好ましい。樹脂フィルムが厚すぎる場合には、射出成形時に溶融樹脂の流動を阻害するおそれがあり、薄すぎる場合には、パッチ部材を配する効果を充分に発揮しにくくなる傾向がある。
パッチ部材は、射出成形体に形成されるゲートマークに対向する部分の領域を覆うように人工皮革に貼られる断片状の部材である。パッチ部材の断片の大きさは特に限定されないが、面積が10〜100mm2、さらには20〜80mm2程度であることが好ましい。パッチ部材が大きすぎる場合には、射出成形体と人工皮革との層間の接着強度を低下させる傾向があり、パッチ部材が小さすぎる場合には、パッチ部材を配する効果を充分に発揮しにくくなる傾向がある。
人工皮革にパッチ部材を貼り合せる方法の具体例としては、人工皮革の、ゲートマークに対向する部分の周辺領域が覆われるように、例えば、パッチ部材を接着剤で貼り合わせたり、シールを貼るようにして予め粘着剤層や接着剤層(以下、粘接着層とも称する)が形成されたパッチ部材を貼り合せたりする方法が挙げられる。また、人工皮革に他の層と接着するための粘接着層が予め形成されている場合には、その粘接着層の接着力で貼り合せてもよい。粘接着層の厚みは特に限定されないが、20〜100μm程度であることが薄肉性の点から好ましい。
次に、インモールド成形によりインモールド部材を射出成形体に一体化することにより、インモールド成形体を製造する方法について説明する。
インモールド部材は、インモールド成形に用いられる金型のキャビティ形状に沿うように、予め、三次元形状に熱プレス成形することによりプレフォーム成形体として準備されることが好ましい。インモールド部材であるプレフォーム成形体の製造方法について、以下に説明する。なお、本実施形態においては、プレス成形によりプレフォーム成形体を製造する方法について詳しく説明するが、プレス成形の代わりに、従来から知られた、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等その他のプレフォーム成形法を用いてもよい。
図3を参照して、金型5を用いてインモールド部材10のプレフォーム成形体を製造する方法について説明する。プレフォーム成形においては、はじめに、図3(a)に示すように、加熱により軟化させた人工皮革11を上金型5aと下金型5bとの間に配置する。そして、図2(b)に示すように上金型5aと下金型5bとを型締めすることにより、軟化された人工皮革11に賦形する。
そして、上金型5aと下金型5bとを型開きし、離型することにより図3(c)に示すような人工皮革11をプレフォーム成形したインモールド部材12'が得られる。そして、インモールド成形の金型のキャビティの形状に沿うように、インモールド部材12'の周囲の不要な部分をトリミングして除去することにより、図3(d)に示すようなインモールド成形の金型のキャビティの形状に沿うように成形されたインモールド部材12が得られる。そして、図3(e)に示すように、得られたインモールド部材12の所定の位置にパッチ部材2を貼り付ける。このとき、パッチ部材2はインモールド成形により成形される射出成形体のゲートマークを覆うような領域に貼り付ける。このようにしてインモールド部材10が得られる。
次に、インモールド部材10をインモールド成形の金型のキャビティにインモールドし、インモールド部材10の裏面側に樹脂を射出することにより、形成される射出成形体とインモールド部材10とを一体化するインモールド成形の各工程を図4を参照して説明する。
図4中のインモールド成形用の金型15は、インモールド部を有するキャビティ15cを備える可動側金型15aと固定側金型15bとを備える。
図4(a)に示すように、はじめに、インモールド部材10を金型15のキャビティ15cに配置する。そして、図4(b)に示すように可動側金型15aと固定側金型15bとを型締めし、射出成形機のノズル16を固定側金型15bのスプルーブッシュ15fに接触するまで前進させて、射出成形機のシリンダ内で溶融された溶融樹脂21を金型15内に射出する。射出された溶融樹脂21は、樹脂流路を流れて2つのゲート部15g,15hからキャビティ15c内に流入する。そして、射出終了後、冷却工程を経て、可動側金型15aと固定側金型15bとを型開きすることにより、図4(c)に示すように、インモールド部材10と射出成形により成形された射出成形体3とが一体化されたインモールド成形体20'が得られる。インモールド成形体20'はランナー22と一体化されており、インモールド成形体20'からランナー22を切り離すことによりインモールド成形体20が得られる。インモールド成形体20の射出成形体3には、ランナー22を切り離した部分にゲートマーク3aが残される。
図5に示すように、上述したようなインモールド成形においては、インモールド部材10の金型5のゲート部15hに対向する部分には、パッチ部材2が配置されている。このようなパッチ部材2は、キャビティ15c内に流入して高圧及び高速に流れる溶融樹脂のシェアが、人工皮革1に掛かることを緩和する。その結果、インモールド成形によりインモールド成形体を製造するに際して、ゲート部15hに対向する部分付近において、局所的またはピンポイント的な孔や外観不良が人工皮革1に発生することを抑制する。
インモールド成形で射出される、射出成形体を形成するための樹脂としては、各種熱可塑性樹脂が特に限定なく用いられ、用途に応じて適宜選択される。例えば、携帯電話、モバイル機器、家電製品等の筐体に用いられる樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂やABS系樹脂等の耐衝撃性に優れた樹脂が挙げられる。なお、特に、溶融粘度が高い樹脂組成物、例えばガラスファイバーや無機フィラーを高充填(例えば、20%、さらには30%以上)したような樹脂組成物を薄肉成形するときに、本発明の効果が特に顕著に奏される。
また、得られるインモールド成形体の厚さは特に限定されないが、パッチ部材が配設されている領域の厚さが0.5〜1.0mmのような薄肉の場合には、溶融樹脂を金型に完充填するために射出圧力及び射出速度を高く設定する必要があるために、特に本発明の効果が顕著に奏される。また、このような薄肉の成形体を射出成形する場合には、金型のキャビティ内に溶融樹脂を完充填させるために、複数のゲート部を設ける必要がある。このような場合には、特に圧力が集中しやすい部分のゲート部のみにパッチ部材を配置してもよい。
以上、本実施形態のインモールド部材、及びそれを用いたインモールド成形体の製造方法を例示した。次に、インモールド部材を構成する、繊維絡合体を含む人工皮革について詳しく説明する。
人工皮革は、織物、編物または繊維絡合体を基材とし、それら基材を目的に応じて、表面の極細繊維を立毛させることによりスエード調やヌバック調の立毛された外観を付与したり、基材に銀面調の樹脂層を積層したりして加飾された、従来から知られた皮革調のシートである。また、人工皮革としては、外観が皮革様あるいは装飾された樹脂シートであってもよい。なかでも、基材がポリウレタン等の高分子弾性体が含浸付与された繊維絡合体であることが風合いや触感に優れる点から好ましい。
繊維絡合体としては、不織布,織布,織物,編物等の繊維を三次元的に絡合したような構造体であれば特に限定なく用いられる。これらの中では、不織布、とくには極細繊維の不織布を用いた場合には、繊維密度が緻密であるためにインモールド成形において樹脂が射出されても、不織布中の空隙がある程度残るために樹脂ライクにならず、しなやかな繊維感のある風合いが維持される点から好ましい。また、プレフォーム成形するときに、加熱による軟化時の延伸性に優れるために、型形状が正確に転写されて優れた賦形性を呈する点から好ましい。本実施形態においては、代表例として、繊維絡合体として極細繊維の不織布を用いた人工皮革について、詳しく説明する。
極細繊維の不織布は、繊度0.9dtex以下、さらには0.01〜0.8dtex、特には0.05〜0.5dtexのような繊度を有する熱可塑性樹脂からなる極細繊維の不織布であることが好ましい。繊度が高すぎる場合には、高い見かけ密度を有する緻密な不織布が得られにくくなるとともに、人工皮革をプレフォーム成形するときに、加熱による軟化時の延伸性が低下して、型形状を正確に転写しにくくなり賦形性が低下する傾向がある。
極細繊維を形成する熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリトリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバリレート共重合体等の脂肪族ポリエステル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6−12等のポリアミド系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、塩素系ポリオレフィン、などのポリオレフィン系樹脂;エチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコール等から形成される変性ポリビニルアルコール系樹脂;及び、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどの結晶性エラストマーが挙げられる。これらの中では、ガラス転移温度(Tg)が120℃以下のポリエステル系樹脂がプレフォーム成形性に優れる点から好ましい。
ガラス転移温度(Tg)が120℃以下のポリエステルとしては、芳香族ポリエチレンテレフタレートの構成単位に直鎖の構造を乱す共重合成分を構成単位として含有する変性ポリエチレンテレフタレート、特に、イソフタル酸、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の非対称型芳香族カルボン酸や、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸を共重合成分として所定割合で含有する変性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。さらに具体的には、モノマー成分としてイソフタル酸単位を2〜12モル%含有する変性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
極細繊維の不織布の見かけ密度は0.3g/cm3以上、さらには0.45〜0.70g/cm3であることが好ましい。極細繊維の不織布の見かけ密度が低すぎる場合には、繊維の密な部分と疎な部分が存在するようになるために、インモールド成形した場合に、表面にまで成形体の樹脂が表出して意匠性や風合いが低下する傾向がある。
極細繊維の不織布の見かけ密度を高めるためには、極細繊維が複数本集束して繊維束を形成していることが好ましい。具体的には、例えば、5〜1000本、さらには5〜200本、特に好ましくは10〜50本、最も好ましくは10〜30本の極細繊維が繊維束を形成していることが好ましい。
また、極細繊維は長繊維であることが、見かけ密度を高める点から好ましい。ここで、長繊維とは、所定の長さで切断処理された短繊維ではないことを意味する。長繊維の長さとしては、100mm以上、さらには、200mm以上であることが、極細繊維の繊維密度を充分に高めることができる点から好ましい。極細繊維の長さが短すぎる場合には、繊維の高密度化が困難になる傾向がある。
次に、人工皮革の形態安定性を保つために繊維絡合体に必要に応じて付与される高分子弾性体について説明する。
高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン、アクリロニトリルエラストマー、オレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、アクリルエラストマー等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタンが特に好ましい。
ポリウレタンとしては、平均分子量500〜3000の高分子ポリオールと有機ポリイソシアネートと、鎖伸長剤とを、所定のモル比で反応させることにより得られる各種のポリウレタンが挙げられる。
高分子ポリオールの具体例としては、平均分子量500〜3000の、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオール等のポリマーポリオールが挙げられる。また、有機ポリイソシアネ−トの具体例としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系イソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族系イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系イソシアネート等が挙げられる。また、鎖伸長剤としては、エチレングリコール、エチレンジアミン等の2個以上の活性水素原子を有する低分子化合物が挙げられる。
ポリウレタンとしては、架橋された非発泡ポリウレタンがとくに好ましい。架橋された非発泡ポリウレタンは、プレフォーム成形において、未架橋の発泡ポリウレタンに比べて金型から離型した後の弾性回復による変形が抑制される。その結果、深絞り形状のインモールド部材をプレフォーム成形する場合に、山の裾野の立ち上がり部分の角や頂面に接する角をくっきりとした折り角がついたように賦形することができる。
なお、未架橋の発泡ポリウレタンを用いた場合には、金型から離型された後に弾性回復によりインモールド部材が変形してしまうために、型通りに賦形しても離型後に変形する傾向がある。特に深絞り形状のインモールド部材を成形する場合、角が丸みを帯びたような賦形になる傾向がある。上述したような非発泡性のポリウレタンを用いた場合には、架橋構造により金型内で形がセットされるために、離型した後の弾性回復による変形が抑制されると思われる。
このような架橋された非発泡ポリウレタンは、架橋性のポリウレタンの水系エマルジョンを用いて形成されることが好ましい。架橋性のポリウレタンの水系エマルジョンの具体例としては、例えば、乾燥後に架橋構造を形成する、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート/エーテル系ポリウレタンの水系エマルジョンが挙げられる。
繊維絡合体と高分子弾性体との合計に対する高分子弾性体の含有割合は、5〜25質量%、さらには、7〜22質量%、特には10〜22%の範囲で含有させることが好ましい。高分子弾性体の含有割合が5質量%未満の場合には形状安定性が低下する傾向がある。また、25質量%を超える場合には、相対的に絡合体の見かけ密度が低下する傾向がある。
人工皮革は、その表面に意匠性を向上させるための処理がされたものであってもよい。具体的には、繊維絡合体の表面の繊維を立毛させることによりスエード調やヌバック調の外観を付与したり、銀面調の樹脂層を積層したりしてもよい。銀面層を形成するための樹脂成分は特に限定されない。その具体例としては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂等の各種ポリウレタン系樹脂や、アクリル系樹脂、ポリウレタンアクリル複合樹脂、ポリ塩化ビニル、合成ゴム等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタン系樹脂が接着性や、耐磨耗性や耐屈曲性等の機械物性が優れる点から好ましい。
次に、極細繊維の不織布を含む人工皮革の製造方法の一例について説明する。極細繊維の不織布を含む人工皮革は、(1)溶融紡糸により海島型複合繊維からなる長繊維ウェブを製造するウェブ製造工程と、(2)得られた長繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成するウェブ絡合工程と、(3)ウェブ絡合シートを湿熱収縮させる湿熱収縮処理工程と、(4)ウェブ絡合シートに高分子弾性体のエマルジョンまたは溶液を含浸させた後、高分子弾性体を凝固させる高分子弾性体含浸工程と、(5)ウェブ絡合シート中の海島型複合繊維を極細繊維化する極細繊維形成工程と、を備えるような工程により得られる。以下に各工程について、詳しく説明する。
(1)ウェブ製造工程
本工程においては、はじめに、溶融紡糸により海島型複合繊維からなる長繊維ウェブを製造する。長繊維ウェブは、例えば、いわゆるスパンボンド法を用いて、溶融紡糸法により海島型複合繊維を紡糸し、これを切断せずにネット上に捕集してウェブを形成する方法が好ましく用いられる。
海島型複合繊維の海成分は、ウェブ絡合シートを形成させた後の適当な段階で抽出または分解されて除去される。この分解除去または抽出除去により極細繊維の繊維束を形成させることができる。
海島型複合繊維の島成分を構成する熱可塑性樹脂としては、上述したような極細繊維を形成する各種熱可塑性樹脂が用いられる。一方、海島型複合繊維の海成分を構成する熱可塑性樹脂としては、島成分を構成する樹脂とは溶剤に対する溶解性または分解剤に対する分解性を異にする熱可塑性樹脂が選ばれる。
海成分を構成する熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンエチレン共重合体、スチレンアクリル共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられる。中でも、湿熱や熱水で収縮し易い点でポリビニルアルコール系樹脂、特にエチレン変性ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。
海島型複合繊維の紡糸およびウェブ形成には、スパンボンド法が用いられる。具体的には、多数のノズル孔が、所定のパターンで配置された複合紡糸用口金を用いて、海島型複合繊維を個々のノズル孔からコンベヤベルト状の移動式のネット上に連続的に吐出させ、高速気流を用いて冷却しながら堆積させる。このような方法によりウェブが形成される。ネット上に形成されたウェブには融着処理が施されることが好ましい。融着処理により形態安定性が付与される。融着処理の具体例としては、例えば、熱プレス処理が挙げられる。熱プレス処理としては、例えば、カレンダーロールを使用し、所定の圧力と温度をかけて処理する方法を採用することができる。
(2)ウェブ絡合工程
次に、得られた長繊維ウェブを5〜100枚程度重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成する。ウェブ絡合シートは、ニードルパンチや高圧水流処理等の公知の不織布製造方法を用いて長繊維ウェブに絡合処理を行うことにより形成される。
具体的には、例えば、長繊維ウェブに針折れ防止油剤、帯電防止油剤、絡合向上油剤などのシリコーン系油剤または鉱物油系油剤を付与する。その後、ニードルパンチにより三次元的に繊維を絡合させる絡合処理を行う。ニードルパンチ処理を行うことにより、繊維密度が高く、繊維の抜けを起こしにくいウェブ絡合シートが得られる。ウェブ絡合シートの目付は、目的とする厚みに応じて適宜選択されるが、具体的には、例えば、500〜2000g/m2の範囲であることが取扱い性に優れる点から好ましい。
(3)熱収縮処理工程
次に、ウェブ絡合シートを熱収縮させることにより、ウェブ絡合シートの繊維密度および絡合度合を高める。なお、本工程においては、長繊維を含有するウェブ絡合シートを熱収縮させることにより、短繊維を含有するウェブ絡合シートを熱収縮させる場合に比べて、ウェブ絡合シートを大きく収縮させることができる。熱収縮処理されたウェブ絡合シートは、加熱ロールや加熱プレスすることにより、さらに、繊維密度が高められてもよい。
熱収縮処理工程におけるウェブ絡合シートの目付の変化としては、収縮処理前の目付に比べて、1.1倍(質量比)以上、さらには、1.3倍以上で、2.0倍以下、さらには1.8倍以下であることが好ましい。
(4)高分子弾性体含浸工程
ウェブ絡合シートの形態安定性を高める目的で、ウェブ絡合シートの極細繊維化処理を行う前または後に、高分子弾性体の水系エマルジョンや溶液を含浸させた後、高分子弾性体を凝固させる。
ウェブ絡合シートに高分子弾性体の水系エマルジョンや溶液を含浸させる場合には、ウェブ絡合シートを高分子弾性体の水系エマルジョンや溶液で満たされた浴中へ浸した後、プレスロール等で所定の含浸状態になるように絞るという処理を1回又は複数回行うディップニップ法が好ましく用いられる。また、その他の方法として、バーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、コンマコーティング法、スプレーコーティング法等を用いてもよい。
高分子弾性体の水系エマルジョンや溶液をウェブ絡合シートに含浸し、湿式法または乾式法により凝固させることにより、高分子弾性体をウェブ絡合シートに固定する。なお、凝固させた高分子弾性体を架橋させるために、凝固及び乾燥後に加熱処理してキュア処理を行ってもよい。
(5)極細繊維形成工程
ウェブ絡合シート中の海島型複合繊維は、海成分を水や溶剤等で溶解除去または分解除去することにより極細繊維に変換される。ポリビニルアルコール系樹脂等の水溶性樹脂を海成分に用いた海島型複合繊維の場合においては、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等で熱水加熱処理することにより海成分が除去される。
本工程においては、海島型複合繊維から海成分を溶解して極細繊維を形成する際に、極細繊維が大きく捲縮される。この捲縮により繊維密度が緻密になるために、高密度の極細繊維の不織布が形成される。
以上のような工程により人工皮革の中間体シートが得られる。そして、人工皮革の中間体シートは、乾燥後、厚さ方向に垂直な方向に複数枚にスライスしたり研削したりすることにより、厚さ調節や表面状態を調整されて人工皮革に仕上げられる。そして、表面の極細繊維を立毛させることによりスエード調やヌバック調の外観を付与したり、銀面調の樹脂層を積層したりしてもよい。銀面層を形成するための樹脂成分は特に限定されない
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
海成分の熱可塑性樹脂としてエチレン変性ポリビニルアルコール(エチレン単位の含有量8.5モル%、重合度380、ケン化度98.7モル%)、島成分の熱可塑性樹脂としてTgが110℃である、イソフタル酸変性したポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸単位の含有量6.0モル%)を、それぞれ個別に溶融させた。そして、海成分中に均一な断面積の島成分が25個分布した断面を形成しうるような、多数のノズル孔が並列状に配置された複数紡糸用口金に、それぞれの溶融樹脂を供給した。このとき、海成分と島成分との質量比が海成分/島成分=25/75となるように圧力調整しながら供給した。そして、口金温度260℃に設定されたノズル孔より吐出させた。
そして、ノズル孔から吐出された溶融繊維を平均紡糸速度が3700m/分となるように気流の圧力を調節したエアジェット・ノズル型の吸引装置で吸引することにより延伸し、平均繊度が2.1dtexの海島型複合長繊維を紡糸した。紡糸された海島型複合長繊維は、可動型のネット上に、ネットの裏面から吸引しながら連続的に堆積された。堆積量はネットの移動速度を調節することにより調節された。そして、表面の毛羽立ちを抑えるために、ネット上の堆積された海島型複合長繊維を42℃の金属ロールで軽く押さえた。そして、海島型複合長繊維をネットから剥離し、表面温度75℃の格子柄の金属ロールとバックロールとの間を通過させることにより、線圧200N/mmで熱プレスした。このようにして、表面の繊維が格子状に仮融着された目付34g/m2の長繊維ウェブが得られた。
次に、得られた長繊維ウェブの表面に、帯電防止剤を混合した油剤をスプレー付与した後、クロスラッパー装置を用いて長繊維ウェブを10枚重ねて総目付が340g/m2の重ね合せウェブを作成し、更に、針折れ防止油剤をスプレーした。そして、重ね合せウェブをニードルパンチングすることにより三次元絡合処理した。具体的には、針先端から第1バーブまでの距離が3.2mmの6バーブ針を用い、針深度8.3mmで積層体の両面から交互に3300パンチ/cm2のパンチ数でニードルパンチした。このニードルパンチ処理による面積収縮率は18%であり、ニードルパンチ後の絡合ウェブの目付は415g/m2であった。
得られた絡合ウェブは、以下のようにして湿熱収縮処理されることにより、緻密化された。具体的には、18℃の水を絡合ウェブに対して10質量%均一にスプレーし、温度70℃、相対湿度95%の雰囲気中で3分間張力が掛からない状態で放置して熱処理することにより湿熱収縮させて見かけの繊維密度を向上させた。この湿熱収縮処理による面積収縮率は45%であり、緻密化された絡合ウェブの目付は750g/m2であり、見かけ密度は0.52g/cm3であった。そして、絡合ウェブをさらに緻密化するために乾熱ロールプレスすることにより、見かけ密度0.60g/cm3に調整した。
次に、緻密化された絡合ウェブに、架橋型の非発泡ポリウレタンを以下のようにして含浸させた。ポリカーボネート/エーテル系ポリウレタンを主体とする架橋型の水系ポリウレタンエマルジョン(固形分濃度30%)を緻密化された絡合ウェブに含浸させた。そして、150℃の乾燥炉で水分を乾燥し、さらに非発泡ポリウレタンを架橋させた。このようにして、非発泡ポリウレタン/絡合ウェブの質量比が18/82のポリウレタン絡合ウェブ複合体を形成した。
次に、ポリウレタン絡合ウェブ複合体を95℃の熱水中に20分間浸漬することにより海島型複合長繊維に含まれる海成分を抽出除去し、120℃の乾燥炉で乾燥し、スライス及び研削することにより、厚さ約1.0mmのシートが得られた。
得られたシートに含有される極細繊維の不織布の見かけ密度は0.53g/cm3であり、非発泡ポリウレタン/不織布の質量比は22/78であった。また、不織布の極細繊維の平均単繊維繊度は0.08dtexであった。
得られたシートを厚み方向に2分割し、0.45mmに研削した後、表面を起毛処理してスエード調に仕上げた。このようにして、スエード調の人工皮革を得た。得られた人工皮革の見かけ密度は0.66g/cm3であった。
次に、得られたスエード調の人工皮革を用いて、図2に示したようなスマートフォンのケースの形状の3次元形状であって、100×150mmで、側面の幅が5mmの寸法を有するインモールド成形体を成形するためのインモールド部材を成形した。具体的には、常温の一対の金型の下金型に人工皮革を配置し、シート裏面を赤外線で温度150℃に加熱した後に、0.4MPaの圧力をかけた後、冷却することによりプレフォーム成形体を得た。そして、後のインモールド成形の金型に合う形状にトリミングした。そして、トリミングさえたプレフォーム成形体の裏面の、後のインモールド成形の金型の2点のゲート部にそれぞれ対向する部分に直径10mmの円形の厚さ20μmの2枚のアルミニウム箔をアクリル系接着剤で接着した。このようにして、厚さ約300μmのインモールド部材を準備した。
そして、得られたインモールド部材を、そのスエード面が金型表面に接触して配置されるように、射出成形機(住友重機械工業(株)製の180tonの射出成形機)に装着したインモールド金型のキャビティ内に配置した。なお、金型は0.6mm厚のスマートフォンのケースの形状を有し、2点のゲート部を有するような形状であった。
上記のような射出成形機を用い、ノズル温度300℃の成形温度でチョップドガラス繊維30%入りのポリカーボネート樹脂組成物を射出成形した。なお、射出条件は、金型温度70℃、射出速度50mm/秒、保圧50MPa、保圧時間2秒、冷却時間20秒で行った。
このようにして表面がスエード調に加飾されたインモールド成形体を得た。得られたインモールド成形体の表面に配された人工皮革には、孔が開いておらず、外観もきれいなものであった。
[比較例1]
実施例1において、金型の2点のゲート部にそれぞれ対向する部分にアルミニウム箔を配置しなかった以外は、同様にしてインモールド成形体を得た。得られたスエード調に加飾されたインモールド成形体の表面に配された人工皮革には、2つのゲート部付近のそれぞれに、直径約8mm程度の真円上の孔が開いていた。
本発明は、携帯端末本体(スマートフォン、タブレットPC)およびそのケース、カバーなどのアクセサリ、カメラグリップ、車両内装材、化粧品ケースなどの樹脂成形体の表面を皮革用表面で加飾するインモールド成形に用いられる。
1,11 人工皮革
2 パッチ部材
3 射出成形体
3a ゲートマーク
5 金型
5a 上金型
5b 下金型
10 インモールド部材
15 射出成型用金型
15a 可動側金型
15b 固定側金型
15c キャビティ
15f スプルーブッシュ
15g,15h ゲート部
16 ノズル
20,20' インモールド成形体
21 溶融樹脂
H 孔

Claims (13)

  1. インモールド成形により射出成形体に一体化されるインモールド部材であって、
    前記射出成形体は前記インモールド成形により形成される少なくとも一つのゲートマークを有し、
    人工皮革と、前記人工皮革の前記ゲートマークに対向する部分に貼られたパッチ部材とを備えることを特徴とするインモールド部材。
  2. 前記パッチ部材は前記人工皮革に接着されている請求項1に記載のインモールド部材。
  3. 前記パッチ部材は、前記インモールド成形において保形可能な部材である請求項1または2に記載のインモールド部材。
  4. 前記パッチ部材は、金属箔の断片を含む請求項1〜3の何れか1項に記載のインモールド部材。
  5. 前記パッチ部材は、樹脂フィルムの断片を含む請求項1〜4の何れか1項に記載のインモールド部材。
  6. 前記パッチ部材は、樹脂フィルムと金属箔との積層体の断片である請求項5に記載のインモールド部材。
  7. 前記射出成形体は複数の前記ゲートマークを有し、前記各ゲートマークの少なくとも一つに対向する部分に前記パッチ部材が貼られている請求項1〜6の何れか1項に記載のインモールド部材。
  8. 前記人工皮革は、繊度0.9dtex以下の極細繊維の見かけ密度0.3g/cm3以上の不織布を含む請求項1〜7の何れか1項に記載のインモールド部材。
  9. 射出成形体と前記射出成形体に一体化されたインモールド部材とを備えたインモールド成形体であって、
    前記射出成形体は、インモールド成形により形成された少なくとも一つのゲートマークを有し、
    前記インモールド部材は、人工皮革と、前記人工皮革の前記ゲートマークに対向する部分に貼られたパッチ部材とを備えることを特徴とするインモールド成形体。
  10. 前記パッチ部材は、金属箔の断片を含む請求項9に記載のインモールド成形体。
  11. 前記パッチ部材が配設されている領域の厚さが0.5〜1.0mmである請求項9または10に記載のインモールド成形体。
  12. 前記人工皮革は、繊度0.9dtex以下の極細繊維の見かけ密度0.3g/cm3以上の不織布を含む請求項9〜11の何れか1項に記載のインモールド成形体。
  13. 少なくとも一つのゲート部を有するキャビティを備えたインモールド金型のキャビティ内にインモールド部材を収容する工程と、
    前記インモールド部材が収容された前記インモールド金型に溶融樹脂を射出することにより射出成形体を成形しながら、前記射出成形体に前記インモールド部材を一体化させる工程とを備え、
    前記射出成形体に前記ゲート部に相当する部分にゲートマークが形成され、
    前記インモールド部材は、人工皮革と、前記人工皮革の前記ゲートマークに対向する部分に貼られたパッチ部材とを備えることを特徴とするインモールド成形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018047698A (ja) * 2016-09-14 2018-03-29 株式会社クラレ 加飾用シート及び加飾成形体

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