JP6523806B2 - 加飾成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維基材成形体の製造方法及び繊維調の外観を有する加飾成形体の製造方法、詳しくは、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形を用いた繊維基材成形体の製造方法及び繊維調の外観を有する加飾成形体の製造方法に関する。
車両、航空機等の内装部品、携帯電話,モバイル機器,家電製品の筐体、建材、家具等の外装部材として、繊維調の外観を有する成形体を表面に配した加飾成形体が知られている。
例えば、下記特許文献1は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、インサート成形等の際の加熱時の型に対する追従性に優れる加飾成形用シートとして、平均繊度0.01〜0.8dtexの極細単繊維からなる繊維束の繊維絡合体を含む表面基材層と、表面基材層の裏面に配設された高分子弾性体からなるエアーリークを防ぐ樹脂層と、表面基材層と樹脂層との界面が混在して一体化した中間層とを備える加飾成形用シートを開示する。
また、下記特許文献2は、インモールド成形により溶融樹脂を射出して成形される樹脂成形体に一体化されるテキスタイル調インモールド用シートであって、樹脂成形体に一体化される側になる第1面と、第1面に対する裏面になる第2面と、を有し、第1面から第2面に向かって順に、繊維シート層,接着剤層,及びテキスタイル素材層,テキスタイル素材層に接着された表面保護層を有するテキスタイル調インモールド用シートを開示する。
また、下記特許文献3は、通気性のある不織布では従来不可能であった、真空成形が可能であり、高伸度、低応力とすることで成形性に優れる、ポリエステル繊維不織布と熱可塑性樹脂フィルムとからなる複合シート、及び、このような複合シートを、真空成形、圧空成形又は真空圧空成形で一体加工して成形体を得ることを開示する。
特開2013−132783号公報 WO2015/029453号パンフレット 特開2011−20402号公報
特許文献1に開示された加飾成形用シートにおいては、繊維基材層の裏面に比較的厚い樹脂層を含むために成形体が厚くなり、薄肉化に対応することが難しかった。また、特許文献2に開示されたテキスタイル調インモールド用シートにおいては、接着剤によりテキスタイル素材層に表面保護層を接着しているために、接着剤のアンカー効果により表面保護層の剥離が困難であった。また、特許文献3に開示された複合シートは、ポリエステル繊維不織布と熱可塑性樹脂フィルムとを一体化した複合シートであり、繊維の風合いが低いものであった。
本発明は、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形のような気圧差を利用してシート材を成形する成形法を利用して、通気性のある繊維基材成形体を容易に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、通気性の繊維基材成形体の製造方法であって、熱可塑性の極細繊維の不織布を含む通気性の繊維基材の一面に、通気性のない熱可塑性樹脂シートを載置して積重体を形成する工程と、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形により、積重体を熱圧着させながら成形体を形成する工程と、成形体から熱可塑性樹脂シートを選択的に剥離する工程と、を備える製造方法である。このような製造方法においては、通気性の繊維基材の一面に、通気性のない熱可塑性樹脂シートを載置して積重体を形成することにより、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形において要求される気密性を確保することができる。そして、成形後に、成形体から熱可塑性樹脂シートを選択的に剥離することにより、通気性の繊維基材成形体を容易に成形することができる。
また、本発明の他の一局面は、加飾成形体の製造方法であって、熱可塑性の極細繊維の不織布を含む通気性の繊維基材の一面に、通気性のない熱可塑性樹脂シートを非接着の状態で重ねて積重体を形成する工程と、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形により、繊維基材と熱可塑性樹脂シートとを熱圧着させながら積重体の成形体を形成する工程と、射出成形金型内に成形体を熱可塑性樹脂シートが該金型のキャビティ表面に対面するようにインモールドし、成形体を表面に一体化させたインモールド成形体を成形する工程と、インモールド成形体の表面の熱可塑性樹脂シートを選択的に剥離する工程と、を備える製造方法である。このような製造方法においては、インモールド成形に用いられる通気性の繊維基材成形体を容易に成形することができ、さらにその繊維基材成形体を表面に備えた加飾成形体を容易に製造することができる。
極細繊維としては、ガラス転移温度100〜130℃の変性ポリエチレンテレフタレートを含むことが、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形における賦形性に優れる点から好ましい。
また、熱可塑性樹脂シートは、極細繊維を形成する樹脂のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する非晶性樹脂シートである。このような熱可塑性樹脂シートは、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形における賦形性に優れる
また、非晶性樹脂シートとしては、(メタ)アクリル系樹脂シートが真空成形,圧空成形,または真空圧空成形における賦形性に優れるとともに、剥離性にも優れる点から好ましい。
また、熱可塑性樹脂シートは、10〜300μmの厚さを有することが賦形性と剥離性とのバランスに優れる点から好ましい。
本発明によれば、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形のような気圧差を利用してシート材を成形する成形法を利用して、通気性の繊維基材成形体を容易に製造することができる。また、繊維基材成形体で加飾した加飾成形体を容易に製造することができる。
図1は、実施形態の真空成形による繊維基材成形体の製造方法の工程を説明する説明図である。 図2は、インモールド成形の各工程を説明する模式断面図である。 図3は、熱可塑性樹脂シート2を剥離して繊維基材成形体16が表出した加飾成形体30の模式断面図である。
本実施形態の通気性の繊維基材成形体の製造方法は、熱可塑性の極細繊維の不織布を含む通気性の繊維基材の一面に、通気性のない熱可塑性樹脂シートを載置して積重体を形成する工程と、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形により、積重体を熱圧着させながら成形体を形成する工程と、成形体から熱可塑性樹脂シートを選択的に剥離する工程と、を備える製造方法である。
本実施形態の繊維基材成形体の製造方法を、代表例として真空成形の例に基づいて図1を参照して説明する。本実施形態においては、はじめに、図1(a)に示すように、熱可塑性の極細繊維の不織布を含む通気性の繊維基材1の一面に、熱可塑性樹脂シート2を載置して積重体3を形成する。工業的生産においては、繊維基材1及び熱可塑性樹脂シート2はそれぞれロール状に捲回されており、それぞれ同速度で送り出されながら、送りローラR1,R2により、繊維基材1の上に熱可塑性樹脂シート2が重ねられて積重体3が形成される。
積重体3は、図1(b)に示すように、クランプc1,c2でまとめられて、ヒーターHで加熱されて軟化される。ヒーターによる加熱温度は、次工程の真空成形において、積重体3を真空成形機Mの成形型M1に沿った形に変形させうるような温度であって、完全溶融させないような温度が適宜選択される。具体的には、例えば、熱可塑性の極細繊維を形成する樹脂のガラス転移温度よりも高い温度及び熱可塑性樹脂シート2を形成する熱可塑性の樹脂を軟化させる温度、好ましくは極細繊維を形成する樹脂のガラス転移温度が熱可塑性樹脂シート2の軟化温度よりも高く、極細繊維を形成する樹脂のガラス転移温度よりも10〜50℃程度高い温度であることが好ましい。
加熱されて軟化された積重体3は、図1(c)に示す真空成形の工程に送られて真空成形機Mで真空成形される。具体的には、軟化された積重体3に真空成形機Mの成形型M1を密着させ、積重体3と成形型M1との間の空気を成形型M1に形成された真空孔hから真空ポンプで排気することにより積重体3を成形型M1に吸いつかせて大気圧で密着させた後、賦形された積重体3を冷却して固化させる。このとき、積重体3を形成する繊維基材1と熱可塑性樹脂シート2とは互いに熱圧着される。
そして、図1(d)に示すように、真空孔hから空気を供給することにより、成形型M1から熱可塑性樹脂シート付成形体4を離型する。そして、図1(e)に示すように、樹脂シート付成形体4の不要な部分5をトリミングして除去する。
そして、図1(f)に示すように、熱可塑性樹脂シート付成形体4から熱可塑性樹脂シート2を選択的に剥離することにより、繊維基材成形体6が得られる。熱可塑性樹脂シート2の剥離方法は、特に限定されず、手で剥離したり、専用の剥離設備を用いて剥離する等、特に規定されない。
以上、本実施形態の繊維基材成形体の製造方法の代表例として、真空成形の各工程の概略について説明した。なお、圧空成形,または真空圧空成形においても、真空成形と同様に成形される。すなわち、圧空成形または真空圧空成形の場合には、大気圧で密着させる代わりに大気圧以上の空気を上面から供給して密着させる点以外は実質的に同様である。
次に、本実施形態の製造方法に用いられる熱可塑性の極細繊維の不織布を含む通気性の繊維基材及び通気性のない熱可塑性樹脂シートについて説明する。
本実施形態における通気性の繊維基材は、熱可塑性の極細繊維の不織布を含み、必要に応じて不織布に含浸付与された高分子弾性体を含む。
不織布を形成する極細繊維は、1dtex以下、さらには0.01〜0.8dtex、とくには0.05〜0.5dtex、ことには0.07〜0.1dtexの繊度を有するような極細繊維であることが好ましい。極細繊維の繊度が高すぎる場合には、加熱による軟化時の延伸性が低下して、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形における賦形性が低下する傾向がある。また、繊度が低すぎる場合には不織布の工業的な生産性が低下する傾向がある。
不織布の見掛け密度は特に限定されないが、0.45〜0.70g/cm3、とくには0.50〜0.65g/cm3であることが好ましい。不織布が、このように高い見掛け密度を有する場合には、得られた繊維基材成形体を後述するようなインモールド成形のインモールド部材として用いて加飾成形体を得る場合に、溶融樹脂を表面にまで到達させにくくでき、不織布内の空隙を保持した加飾成形体を得やすい。その結果、表面の高い繊維感を維持する加飾成形体を得ることができる。
不織布を形成する極細繊維は、海島型複合繊維のような極細繊維形成型繊維を経て形成されるような、複数本の極細単繊維が集束してなる繊維束として存在することが好ましい。具体的には、例えば、5〜1000本、さらには5〜200本、特に好ましくは10〜50本、最も好ましくは10〜30本の極細繊維が繊維束として存在していることが好ましい。このように極細繊維が繊維束を形成して存在することにより、不織布の見掛け密度を高めることができる。
熱可塑性の極細繊維を形成する樹脂成分の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、変性PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリトリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバリレート共重合体等の脂肪族ポリエステル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6−12等のポリアミド系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、塩素系ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンエチレン共重合体、などのポリオレフィン系樹脂;エチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコール等から形成される変性ポリビニルアルコール系樹脂;及び、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどの結晶性エラストマーが挙げられる。これらの中では、ガラス転移温度(Tg)が100〜130℃、さらには105〜120℃であるような変性PETが真空成形,圧空成形,または真空圧空成形における賦形性に優れる点から好ましい。Tgが高すぎる場合には、繊維の延伸性が低下して賦形性が低下する傾向があり、Tgが低すぎる場合には、軟化しすぎて固化に時間がかかる傾向がある。なお、Tgが100〜130℃の変性PETとしては、芳香族PETの構成単位に直鎖の構造を乱す共重合成分を構成単位として含有する変性PET、特に、イソフタル酸、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の非対称型芳香族カルボン酸や、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸を共重合成分として所定割合で含有する変性PETが挙げられる。さらに具体的には、モノマー成分としてイソフタル酸単位を2〜12モル%含有する変性PETが好ましい。なお、Tgは、例えば、動的粘弾性測定装置(例えば、レオロジ社製FTレオスペクトラDDVIV)を用いて、幅5mm、長さ30mmの試験片を間隔20mmのチャック間に固定して、測定領域30〜250℃、昇温速度3℃/min、歪み5μm/20mm、測定周波数10Hzの条件で動的粘弾性挙動を測定することにより得られる。
また、極細繊維の繊維長は特に限定されないが、長繊維であることが見掛け密度を高めやすい点からとくに好ましい。ここで、長繊維とは、所定の長さで切断処理された短繊維ではないことを意味する。長繊維の長さとしては、100mm以上、さらには、200mm以上であることが、極細繊維の繊維密度を充分に高めることができる点から好ましい。極細繊維が短すぎる場合には、繊維の高密度化が困難になる傾向がある。上限は、特に限定されないが、例えば、連続的に紡糸された数m、数百m、数kmあるいはそれ以上の繊維長であってもよい。また、これらの繊維は単独ではなく数種の繊維が混合されたものでもよい。
また、繊維基材は、極細繊維を含む不織布に含浸付与された高分子弾性体を含有することが好ましい。このような高分子弾性体は繊維基材成形体の形状安定性を向上させる。このような高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン、アクリロニトリルエラストマー、オレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、アクリルエラストマー等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタン、とくには、架橋された非発泡ポリウレタンが好ましい。
架橋された非発泡ポリウレタンは、架橋性のポリウレタンの水系エマルジョンを用いて形成されることが好ましい。架橋性のポリウレタンの水系エマルジョンの具体例としては、例えば、乾燥後に架橋構造を形成する、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート/エーテル系ポリウレタンの水系エマルジョンが挙げられる。
不織布中の高分子弾性体の含有割合は不織布との合計量に対して5〜40質量%、さらには、8〜35質量%、とくには12〜30質量%の範囲であることが真空成形,圧空成形,または真空圧空成形における賦形性に優れる点から好ましい。
繊維基材の厚さは特に限定されないが、200〜1000μm、とくには300〜700μm程度であることが好ましい。不織布が薄すぎる場合にはクッション性が低下したり、強度が不充分になったりする傾向がある。また、不織布が厚すぎる場合には、加飾成形体を製造する場合に加飾成形体も厚くなりすぎる傾向がある。
通気性のない熱可塑性樹脂シートは、真空成形,圧空成形,または真空圧空成形の際に加熱により賦形可能に軟化し、また、ピンホール等のない気密を維持でき、後の工程で選択的に剥離可能なシートまたはフィルムであればとくに限定なく用いられる。このような熱可塑性樹脂シートを形成する熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂等の非晶性の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等の融点の低い結晶性の熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、(メタ)アクリル系は、メタクリル系またはアクリル系を意味する。これらの中では、(メタ)アクリル系樹脂、とくには、アクリルゴム,ニトリルゴム,イソプレンゴム等のエラストマー成分またはエラストマー単位を含有する(メタ)アクリル系樹脂が真空成形,圧空成形,または真空圧空成形における賦形性に優れるとともに、剥離性にも優れる点から好ましい。
エラストマー単位を含有する(メタ)アクリル系樹脂としては、エラストマー単位を共重合したもの(例えば、(株)クラレ製の商品名クラリティ)や、エラストマー成分をアクリル樹脂中に分散させたもの(例えば、住友化学工業(株)製の商品名テクノロイ)等が市販品として入手しうる。
熱可塑性樹脂シートの厚さとしては、10〜300μm、さらには15〜200μm、とくには30〜100μm程度であることが好ましい。熱可塑性樹脂シートが厚すぎる場合には真空成形,圧空成形,または真空圧空成形における賦形性が低下する傾向がある。また、熱可塑性樹脂シートが薄すぎる場合には、繊維基材から熱可塑性樹脂シートを剥離することが困難になる傾向がある。
熱可塑性樹脂シートは、繊維基材の極細繊維を形成する熱可塑性樹脂よりも軟化しやすいこと、例えば、極細繊維を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する非晶性の熱可塑性樹脂のシートであることが真空成形,圧空成形,または真空圧空成形における賦形性に優れる点からとくに好ましい。
また、熱可塑性樹脂シートの繊維基材に対向する面は、選択的な剥離性を向上させるために、離型剤等が塗布されて易剥離性処理が施されていてもよい。離型剤の具体例としては、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、ワックス系化合物等の離型剤が特に限定なく用いられる。
また、熱可塑性の極細繊維の不織布を含む通気性の繊維基材と、通気性のない熱可塑性樹脂シートとの好ましい組み合わせとしては、ガラス転移温度100〜130℃の変性PETを含む極細繊維の不織布を含む通気性の繊維基材と、通気性のない変性PETよりも5〜30℃、さらには5〜15℃低いガラス転移温度を有する(メタ)アクリル系樹脂との組み合わせが好ましい。
このようにして得られた通気性の繊維基材成形体の肉厚としては、200〜1000μm、とくには300〜700μm程度であることが好ましい。
通気性の繊維基材成形体は、例えば、基材となる成形体の表面に一体化された加飾成形体を製造するために好ましく用いられる。加飾成形体の製造方法としては、通気性の繊維基材成形体の裏面に接着剤や粘着剤を塗布して予め準備した基材となる成形体の表面に貼り合せたり、射出成形金型内に通気性の繊維基材成形体をインモールド部材として用いてインモールドし、射出成形することにより繊維基材成形体を表面に一体化させたインモールド成形体を成形したりするような方法が挙げられる。
また、インモールド成形体を成形する場合には、インモールド成形時には、熱可塑性樹脂シートを剥離していない熱可塑性樹脂シート付成形体をインモールド部材として用いた場合には、繊維基材成形体の表面が金型の熱を受けにくくなり、高い繊維感を維持できる点から好ましい。
以下、図2を参照して、繊維基材成形体16の表面に熱可塑性樹脂シート12を一体化した熱可塑性樹脂シート付成形体14をインモールド部材として用いて、射出成形によりインモールド成形することにより、繊維基材成形体16を表層に備える加飾成形体を成形する工程について説明する。
図2(a)に示すように、金型17は、キャビティCを備える可動側金型17aと、固定側金型17bとを備える。また、可動側金型17aと固定側金型17bとの間にはストリッパプレート17cが配置されている。はじめに、熱可塑性樹脂シート付成形体14をキャビティCに配置する。
キャビティ内部に熱可塑性樹脂シート付成形体14を配置する方法は特に限定されないが、位置決めのために熱可塑性樹脂シート付成形体14はキャビティ内部で固定されていることが好ましい。熱可塑性樹脂シート付成形体14がキャビティ内部で固定されていない場合、次工程での射出成形時に、射出樹脂の流動に伴って熱可塑性樹脂シート付成形体14がキャビティ内部で位置ズレをおこすおそれがある。熱可塑性樹脂シート付成形体14をキャビティ内部に固定する方法の具体例としては、例えば、可動側金型の表面に粘着剤で固定する方法や、熱可塑性樹脂シート付成形体14の形状に含まれる孔部や凹部をその形状に一致する可動側金型のコアにはめ込んで固定するような方法が挙げられる。
そして、図2(b)に示すように、射出成形により金型17内に溶融樹脂21aを射出することにより、熱可塑性樹脂シート付成形体14を表面で一体化したインモールド成形体を成形する。詳しくは可動側金型17aと固定側金型17bとを型締めし、射出成形機15のシリンダ18をノズル13が固定側金型17bのスプルーブッシュ17fに接触するまで前進させて、射出成形機のシリンダ18内で溶融された溶融樹脂21aをスクリュー19で射出することにより、金型17内に溶融樹脂21aを射出して射出成形する。射出された溶融樹脂21aは、金型17内の樹脂流路Rを流れてキャビティC内に流入し、充填される。このとき、極細繊維の不織布に溶融樹脂21aが適度に浸透するために、射出成形により成形される射出成形体21が投錨効果による高い接着性を維持するように熱可塑性樹脂シート付成形体14と一体化される。
インモールド射出成形で射出される、射出成形体を成形するための樹脂としては、ABS系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、各種ポリアミド系樹脂のような各種熱可塑性樹脂が特に限定なく用いられ、用途に応じて適宜選択される。例えば、携帯電話、モバイル機器、家電製品等の筐体に用いる樹脂としては、ABS系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等の耐衝撃性に優れた樹脂が好ましく用いられる。
射出成形条件は、射出する樹脂の融点および溶融粘度、成形体の形状、および樹脂厚みに応じて流動末端部まで樹脂流動が可能な条件(樹脂温度、金型温度、射出圧力、射出速度、射出後の保持圧力、冷却時間)が適宜選択される。
そして、射出終了後、図2(c)に示すように、溶融樹脂21aが冷却されて射出成形体21が形成され、熱可塑性樹脂シート付成形体14が一体化されたインモールド成形体20が成形される。そして、図2(d)に示すように、金型17を型開きすることにより、可動側金型17aと固定側金型17bとが隔離されて、ランナー22及びインモールド成形体20が取り出される。このようにして、熱可塑性樹脂シート付成形体14を表面に有するインモールド成形体20が得られる。
そして、図3に示すように、熱可塑性樹脂シート付成形体14を表面に有するインモールド成形体20から、熱可塑性樹脂シート12を剥離することにより、繊維基材成形体16が表出した加飾成形体30が得られる。熱可塑性樹脂シート12の剥離方法は、特に限定されず、手で剥離したり、専用の剥離設備を用いて剥離する等、特に規定されない。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
長繊維の海島型複合繊維の不織布から海成分を除去することにより得られた、単繊維繊度0.08dtexの極細繊維の繊維束(平均25本/束)を絡合させた見掛け密度0.53g/cm3の不織布に、ポリウレタンを含浸付与して形成された厚み500μmの繊維基材を準備した。そして、繊維基材の一面をサンドペーパーで研削及び起毛処理し、さらに、分散染料を用いて赤色に染色した。なお、極細繊維はTg110℃のイソフタル酸変性ポリエステルからなり、ポリウレタン/不織布の質量比は15/85であった。
そして、繊維基材の一面に厚さ75μmの透明アクリルシート(住友化学工業(株)製の商品名テクノロイ、Tg=103℃)を載置して積重体を形成した。そして、積重体を繊維基材の表面温度が140℃になるような温度に赤外線ヒーターで加熱し、円形盆状の金型で圧空圧力0.8Mpaで真空圧空成形した。真空圧空成形により、積重体を形成する透明アクリルシートの表面と繊維基材の表面とが熱圧着された熱可塑性樹脂シート付成形体が得られた。そして、熱可塑性樹脂シート付成形体から透明アクリルシートを選択的に剥離することにより、円形盆状の通気性の繊維基材成形体が得られた。得られた繊維基材成形体の肉厚は450μm程度であった。
そして、得られた円形盆状の通気性の繊維基材成形体の盆状の内面に接着剤を塗布し、同形状のABS樹脂からなる射出成形体の表面に貼り合せることより、表面に繊維基材成形体を一体化した加飾成形体が得られた。
[実施例2]
実施例1で得られたものと同様の繊維基材成形体の表面に透明アクリルシートが熱圧着された熱可塑性樹脂シート付成形体を用いてインモールド成形を行った。具体的には、熱可塑性樹脂シートが金型表面に接触するように、射出インモールド成形機のインモールド金型のキャビティ内に熱可塑性樹脂シート付成形体を配置し、樹脂温度235℃、金型温度30〜50℃の条件でABS樹脂を射出成形した。このようにして、円形盆状の形状を有するインモールド成形体を得た。そして、インモールド成形体の表層の透明アクリルシートを手で剥離することにより表面に繊維基材成形体を一体化した加飾成形体を得た。
[比較例]
実施例1において、厚さ30μmの透明アクリルシートを用いた代わりに、融点260℃の厚さ75μmの2軸延伸PETフィルム(東レ(株)製の商品名ルミラー)を用いた以外は実施例1と同様にして積重体を形成し、真空圧空成形した。しかしながら、真空圧空成形により、積重体を形成する2軸延伸PETフィルムと繊維基材の表面とが融着一体化した。そのため、2軸延伸PETフィルムを選択的に剥離することができなかった。
本発明によれば、車両内装材、携帯端末本体(スマートフォン、タブレットPC)およびそのケース、カバーなどのアクセサリ、電子機器の筐体、化粧品ケースなどの表面を加飾するための通気性の繊維基材成形体を容易に成形することができる。
1,11 極細繊維の不織布を含む通気性の繊維基材
2,12 熱可塑性樹脂シート
3 積重体
4,14 熱可塑性樹脂シート付成形体
5 熱可塑性樹脂シート付成形体の不要な部分
6,16 繊維基材成形体
13 ノズル
15 射出成形機
17 (射出成形)金型
17a 可動側金型
17b 固定側金型
17c ストリッパプレート
17f スプルーブッシュ
18 シリンダ
19 スクリュー
20 インモールド成形体
21 射出成形体
21a 溶融樹脂
22 ランナー
30 加飾成形体

Claims (4)

  1. 加飾成形体の製造方法であって、
    熱可塑性の極細繊維の不織布を含む通気性の繊維基材の一面に、通気性のない熱可塑性樹脂シートを非接着の状態で重ねて積重体を形成する工程と、
    真空成形,圧空成形,または真空圧空成形により、前記繊維基材と前記熱可塑性樹脂シートとを熱圧着させながら前記積重体の成形体を形成する工程と、
    射出成形金型内に前記成形体を前記熱可塑性樹脂シートが該金型のキャビティ表面に対面するようにインモールドし、前記成形体を表面に一体化させたインモールド成形体を成形する工程と、
    前記インモールド成形体の表面の前記熱可塑性樹脂シートを選択的に剥離する工程と、を備え、
    前記熱可塑性樹脂シートは、前記極細繊維を形成する樹脂のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する非晶性樹脂シートであることを特徴とする製造方法。
  2. 前記極細繊維は、ガラス転移温度100〜130℃の変性ポリエチレンテレフタレートを含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記非晶性樹脂シートは、(メタ)アクリル系樹脂シートである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂シートは、10〜300μmの厚さを有する請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
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