JP6727076B2 - 保護シート付加飾シート及び加飾成形体の製造方法 - Google Patents

保護シート付加飾シート及び加飾成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、成形体の表面に接着される加飾シートを熱成形時に保護するための保護シートが接着された保護シート付加飾シート、及びそれを用いた加飾成形体の製造方法に関する。
携帯電話、モバイル機器,家電製品の筐体や、車両,航空機等の内装部品、建材,家具等の外装部材として、表面に加飾層が形成された加飾成形体が知られている。加飾層は、各種成形体の表面に、意匠が付与された樹脂フィルムや、織物,編物,布地,不織布,人工皮革等の繊維素材の加飾シートが接着されて形成される。
加飾成形体の製造において、各種成形体の表面に加飾シートを接着する方法としては、加飾シートを金型キャビティ内に収容した後、キャビティ内に溶融樹脂を射出して加飾成形体を得るインモールド成形が広く用いられている。加飾シートはインモールド成形のキャビティ形状に沿うように予めプリフォーム成形されていてもよい。
繊維素材を含む加飾シートを用いてインモールド成形を行う場合、次のような問題があった。インモールド成形においては、高温高圧の溶融樹脂が金型キャビティ内に射出される際に、キャビティ内で繊維素材を含む加飾シートが位置ズレしたり、高圧の樹脂の剪断力によりシワが発生したりして正確に成形体に一体化できないことがあった。また、溶融樹脂が繊維素材に浸透した後に冷却固化する際に、樹脂の収縮に追従して加飾シートにシワが形成されたり、絵柄がひずんだりすることもあった。
上述したような問題を解決する技術として、例えば、下記特許文献1は、加飾層になる繊維素材の表面に、剥離可能に接着された保護シートを備えたインモールド用シート(保護シート付加飾シート)を開示する。また、保護シートとしては、PETフィルム等の基材フィルムにPVA系フィルムやPVB系フィルムを粘着剤を介して接着した積層体や、基材フィルムに剥離性を有する接着剤層を形成した積層体を開示する。
WO2015/029453号パンフレット
特許文献1に開示されたような保護シート付加飾シートの場合、次のような問題があった。PETフィルム等の基材フィルムにPVA系フィルムやPVB系フィルム等を積層した保護シートを用いた場合、PVA系フィルムやPVB系フィルムは湿気の存在下で加熱しなければ接着力が発現しないために、接着するために加飾シートを予めプリフォーム成形しなければならなかった。また、保護シートの接着力が低いためにインモールド成形に供する前には意図せずに加飾シートから保護シートが自ら剥離して、インモールド成形時の高温高圧の溶融樹脂が射出される際に、キャビティ内で保護シートが剥離して加飾シートが充分に保護されなくなるという問題があった。
また、繊維素材を含む加飾シートは、コシがなく、撓みやすいために、インモールド成形に供する前に保護シートが加飾シートから剥離した場合、金型のキャビティ内の正確な位置にプリフォーム成形した形状をそのまま保持した状態で正確に配置することが困難になり、ハンドリング性がわるいという問題があった。
特許文献1には具体的に記載されていないが、本件発明者らの検討においては、基材フィルムに剥離性を有する接着剤層を形成した保護シートを用いた場合、溶融樹脂の熱によって接着剤層が溶融して、インモールド成形時に繊維素材に接着剤が浸透し、部分的に高い接着力で繊維を接着することによって接着剤が残ったり、剥離時にその部分の繊維を引き抜いて繊維素材を含む加飾シートの外観を低下させることがあった。また、溶融樹脂の熱によって接着剤層が溶融して、接着力が低くなることもあった。
本発明は、繊維素材を含む加飾シートの表面に、起毛された極細繊維が引き出されて粗い表面になることを抑制しながら、剥離したいときのみに正確に剥離できる保護シートで保護された保護シート付加飾シートを提供することを目的とする。
本発明の一局面は、繊維素材を含む加飾シートに接着される加飾シート用保護シートを含む保護シート付加飾シートであって、保護シートは、基材フィルムと基材フィルムに積層された粘着層とを備え、粘着層は、PETフィルムに対する25℃における粘着強度が0.2〜0.5N/10mmであり、且つ、150℃における粘着強度が25℃における粘着強度の0.9〜1.1倍である加飾シート用保護シートである。繊維素材を含む加飾シートとしては、織物,編物,不織布,またはそれらを含む人工皮革が挙げられる。
また、基材フィルムは25〜75μmの厚さを有するPETフィルムであり、粘着層は8〜20μmの厚さを有するアクリル樹脂系粘着剤を含む層であることにより、加飾シートに充分なコシを与えて適度な接着状態を保持させることができる。
また、加飾シートは、例えば、インモールド成形において加飾層の形成に用いられる。
のような保護シート付加飾シートによれば、各種成形体の表面に繊維素材を含む加飾シートを正確かつハンドリング性よく接着することができる。
また、加飾シートが、繊度1dtex以下の極細繊維の不織布を含むことにより、賦形性に優れ、また、繊維間の空隙が少ないことにより射出された樹脂が加飾シートの外表面にまで浸透しにくくなるために、繊維感を充分に保持した加飾層が形成される点から好ましい。
また、本発明の他の一局面は、インモールド成形用金型のキャビティ内に、上記何れかの保護シート付加飾シートを配置する工程と、キャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、表面に保護シート付加飾シートを接着させた成形体を成形する工程と、加飾成形体から加飾シート用保護シートを剥離する工程を備える加飾成形体の製造方法である。また、保護シート付加飾シートはプリフォーム成形されていることが好ましい。
本発明によれば、起毛された極細繊維が引き出されて、粗い表面になることを抑制しながら、剥離したいときのみに正確に剥離できる保護シートで保護された保護シート付加飾シートが得られる。
図1は、実施形態の加飾シート用保護シートの層構成を説明する模式図である。 図2は、実施形態の保護シート付加飾シートの層構成を説明する模式断面図である。 図3は、実施形態の加飾成形体を製造する工程を説明する説明図である。
以下、本発明に係る保護シート付加飾シート及び加飾成形体の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の加飾シート用保護シート(以下単に保護シートとも称する)3は、基材フィルム1と基材フィルムに積層された粘着層2とを備える。なお、粘着層2には好ましくは、離型紙6が接着されて使用の直前まで粘着層2が保護されている。
基材フィルム1としては、成形時には型の形状に沿うように熱変形し、且つ、インモールド成形に用いる場合には射出される樹脂よりも熱軟化温度が低い樹脂フィルムが好ましく用いられる。基材フィルムの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート等のフィルムが挙げられる。本発明においては、熱延伸性と耐熱性のバランスに優れ、また、コシが強い点からPETのフィルムが用いられる。
基材フィルム1の厚さは、25〜75μmである。基材フィルムが厚すぎる場合にはプリフォーム成形性が低下する傾向があり、基材フィルムが薄すぎる場合には加飾シートを保護する効果が充分に得られなくなる傾向がある。
粘着層2は、PETフィルムに対する25℃における粘着強度が0.2〜0.5N/10mmであり、且つ、150℃における粘着強度が25℃における粘着強度の0.9〜1.1倍である。
粘着層は、PETフィルムに対する25℃における粘着強度が0.2〜0.5N/10mmである。25℃における粘着強度が0.2N/10mm未満の場合には、保護シートの接着力が低いために保護シート付加飾シートを後述するような成形に供するときに意図せずに加飾シートから保護シートが剥離する。この場合には、例えば、インモールド成形においては高温高圧の溶融樹脂が射出される際に、キャビティ内で保護シートが剥離して加飾シートが充分に保護されなくなる。また、25℃における粘着強度が0.5N/10mmを超える場合には、接着力が高すぎて保護シートを剥離した後の加飾層に接着剤が残ったり、剥離時に加飾層を形成する繊維を引き抜いて外観を低下させやすくなる。
また、粘着層は、150℃における粘着強度が25℃における粘着強度の0.9〜1.1倍であり、好ましくは、0.95〜1.05倍である。150℃における粘着強度が25℃における粘着強度0.9倍未満である場合には成形時の熱により接着剤層が溶融または軟化して接着力が低くなり、加飾シートから保護シートが剥離又は相対的に動くことにより、加飾シートが充分に保護されにくくなる。また、150℃における粘着強度が25℃における粘着強度1.1倍を超える場合には、成形時の熱によって接着剤層が溶融して加飾層を形成する繊維素材に接着剤が浸透した後、部分的に高い接着力で繊維を接着することによって剥離後に接着剤が残ったり、剥離時にその部分の繊維を引き抜いて繊維素材を含む加飾シートの外観を低下させやすくなる。
このような粘着層を形成する粘着剤は特に限定されないが、例えば、分子量(質量平均分子量)が60万以上のアクリル系高分子量共重合体と分子量が50万以下のアクリル系低分子量共重合体とを主成分とし、さらに架橋剤を添加したアクリル系重合体組成物を含む粘着剤が挙げられる。以下に、このような粘着剤の一例として、アクリル系重合体組成物を含む粘着剤について説明する。
分子量が60万以上のアクリル系高分子量共重合体の具体的としては、主成分モノマー単位として、アルキル基部分の炭素数が3〜12のアルキル(メタ)アクリレート単位97.5〜99質量%と官能基含有アクリル系モノマー単位2.5〜1.0質量%を含み、分子量が60万〜300万、好ましくは80万〜100万のアクリル系高分子量共重合体が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、プロピル(メタ)アクリレート,イソプロピル(メタ)アクリレート,ブチル(メタ)アクリレート,イソブチル(メタ)アクリレート,ヘキシル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート,オクチル(メタ)アクリレート,ノニル(メタ)アクリレート,イソノニル(メタ)アクリレート,デシル(メタ)アクリレート,ドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、官能基含有アクリル系モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有アクリル系モノマーやヒドロキシル基含有アクリル系モノマーが挙げられる。カルボキシル基含有アクリル系モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸,クロトン酸,イタコン酸,マレイン酸,フマル酸などが挙げられる。また、ヒドロキシル基含有アクリル系モノマーの具体例としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート,6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられる。官能基含有アクリル系モノマー単位の含有割合としては、アクリル系高分子量共重合体の酸価が20mg/mgKOH以下となる程度になる、1〜2.5質量%程度、とくには、カルボキシル基含有アクリル系モノマーを1〜2.5質量%程度で含有することが好ましい。
アクリル系高分子量共重合体を構成するモノマー単位としては、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の共重合性モノマー単位をアルキル(メタ)アクリレートの一部として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下で含有してもよい。その他の共重合性モノマーの具体例としては、例えば、アルキル基部分の炭素数は1または2のアルキル(メタ)アクリレート,(メタ)アクリロニトリル,N−ビニルピロリドン,N−ビニルカプロラクタム,アクリロイルモルフォリン,(メタ)アクリルアミド,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル,ジメチルアミノプロピルアクリルアミド,酢酸ビニル等のビニルモノマー等が挙げられる。
アクリル系高分子量共重合体は、上述したモノマー単位を形成するモノマー成分を溶剤に溶解して反応溶液とし、重合開始剤および必要に応じてさらに連鎖移動剤を添加した後、加熱重合することにより得られる。溶剤の具体例としては、例えば、n−ペンタン,トルエン,ベンゼン,n−ヘキサン,ジオキサン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブチル,及びそれらの混合物等が挙げられる。これらの中では、酢酸エチル,トルエンまたはその混合物が好ましい。また、重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO),ラウリルパーオキサイド,クメンパーオキサイド等のパーオキサイド類、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤の添加量としては、全共重合モノマー100質量部に対して、0.05〜2.0質量部、さらには0.1〜0.5質量部であることが好ましい。また、連鎖移動剤としては、チオール類、具体的には、n−ドデカンチオール等が好ましく用いられる。反応溶液中のモノマー成分の濃度としては、質量平均分子量60万以上の高分子量にするために、重合当初は反応溶液のモノマー濃度を比較的高濃度の例えば40〜50質量%とし、反応が進んで粘度が高くなるにつれて溶媒を追加して30〜40質量%程度に希釈するように調整することが好ましい。
加熱重合の条件は、特に限定されないが、例えば、反応系内を窒素ガス等の不活性ガスで置換し、冷却器を使用して還流させながら、5〜15時間、さらには5〜10時間程度重合させることが好ましい。反応は、通常、随時反応液成分をモニターして、溶液濃度、重合開始剤添加量、連鎖移動剤添加量、反応温度、反応時間などを調節して、重合体成分の分子量を制御することが好ましい。
分子量が50万以下のアクリル系低分子量共重合体は、主成分モノマー単位として、アルキル基の炭素数が3〜12のアルキル(メタ)アクリレート単位90〜98質量%と、官能基含有アクリル系モノマー単位2〜10質量%とを含み、分子量が20万〜50万、好ましくは30万〜40万のアクリル系低分子量共重合体が挙げられる。
アクリル系低分子量共重合体を構成するアルキル(メタ)アクリレート単位としては、アクリル系高分子量共重合体を構成するものと同様のモノマー単位が挙げられる。これらの中では、たとえば2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキル基部分の炭素数が7以上のモノマー単位を50質量%以上、さらには90質量%以上含有するものが特に好ましい。
また、アクリル系低分子量共重合体を構成する官能基含有アクリル系モノマー単位としては、アクリル系高分子量共重合体を構成するものと同様のモノマー単位が挙げられる。官能基含有アクリル系モノマー単位の割合としては、アクリル系低分子量共重合体の酸価が25mg/mgKOH以上となる、2〜10質量%、さらには3〜6質量%でありことが好ましい。とくには、カルボキシル基含有アクリル系モノマー単位を3〜6質量%含有することが好ましい。
アクリル系低分子量共重合体を構成するモノマー単位も、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の共重合性モノマー単位を、アルキル(メタ)アクリレート単位の一部として、10質量%以下、さらには5質量%以下含有してもよい。その他の共重合性モノマーとしてはアクリル系高分子量共重合体の場合に挙げたものと同様のモノマー単位が挙げられる。
アクリル系重合体組成物中での相分離を抑制し、また保護シートの剥離後の糊残りを抑制する点から、アクリル系高分子量共重合体及びアクリル系低分子量共重合体の各主成分モノマー単位は、相溶性が良好な互いに構造が類似したものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基部分の炭素数の差は2以下、好ましくは、同じものであることがより好ましい。また、アルキル(メタ)アクリレートは、何れの共重合体においても50質量%以上、さらには90質量%以上含有されていることが好ましい。アルキル基部分の炭素数が3〜12のアルキル(メタ)アクリレートの中では、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)が特に好ましい。
アクリル系低分子量共重合体もアクリル系高分子量共重合体の場合と同様に、モノマー成分を溶媒に溶解して反応溶液を調製し、重合開始剤、連鎖移動剤を添加し、共重合反応させることにより得ることができる。分子量が20万〜50万の重合体を得るためには、反応溶液中のモノマーの濃度は30〜45質量%、さらには35〜45質量%程度であることが好ましい。
アクリル系重合体組成物は、アクリル系高分子量共重合体とアクリル系低分子量共重合体とを配合し、さらに架橋剤を添加した液状で調製される。
架橋剤としては、イソシアネート系化合物やエポキシ系化合物が挙げられる。イソシアネート系化合物の具体例としては、例えば、TDI−TMP(トリレンジイソシアネート−トリメチルプロパンアダクト),HMDI−ビューレットタイプ,HMDI−イソシアヌレート,HMDI−TMPアダクト(ヘキサメチレンジイソシアネート−トリメチルプロパンアダクト),XDI−TMPアダクト(キシリレンジイソシアネート−トリメチルプロパンアダクト)などのイソシアネート系化合物が挙げられる。また、エポキシ系化合物の具体例としては、例えば、エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂,エチレングリコールジグリシジルエーテル,ジグリシジルアニリン,トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル,N,N,N´,N´−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等が挙げられる。架橋剤の割合としては、アクリル系重合体組成物中のアクリル系高分子量共重合体とアクリル系低分子量共重合体との合計量に対して、1〜15質量%程度であることが好ましい。
アクリル系高分子量共重合体とアクリル系低分子量共重合体との配合比率としては、固形分として85:15〜15:85、さらには75:25〜25:85であることが好ましい。85:15を超える場合には耐熱性が不充分になり、高温環境下に曝された場合に剥離強度が高くなりすぎる傾向がある。また、15:85未満の場合には接着当初の接着強度が低いために、接着後のハンドリングの際に意図せずに保護シートが加飾シートから剥離しやすくなる。アクリル系重合体組成物中の固形分濃度としては30〜50質量%程度であることが好ましい。
上述のような液状のアクリル系重合体組成物を用いて基材フィルムに粘着層を形成する方法としては、基材フィルムにアクリル系重合体組成物を塗布し、乾燥する方法が挙げられる。また、アクリル系高分子量共重合体及びアクリル系低分子量共重合体の架橋を進行させるために、乾燥後、例えば、30〜50℃において5〜10日間、または、40〜50℃において5〜7日間のような条件で放置することが好ましい。また、このようにして形成される粘着層には、必要に応じて表面を保護するために離型紙を貼り合わせてもよい。
粘着層の厚さは特に限定されないが5〜100μm,さらには5〜50μm、とくには8〜20μmであることが好ましい。粘着層が厚すぎる場合には粘着強度が高くなりすぎて剥離後に繊維素材を含む加飾シートに粘着剤が残ってしまう傾向がある。また、粘着層が薄すぎる場合には、粘着強度が低くなり、意図せずに剥離しやすくなる傾向がある。
次に、上述したような保護シートを加飾シートに接着して得られる保護シート付加飾シートについて説明する。
図2に示すように、保護シート付加飾シート5は、加飾シート4の表面に加飾シート用保護シート3を粘着層2を介して接着されたシートである。
繊維素材を含む加飾シートは成形の際に金型から熱的または機械的な影響を受けることによりシワや絵柄の歪みが発生することがある。また、インモールド成形においては、溶融樹脂が冷却されて高粘度化する成形体の端部付近において樹脂から剪断力を受けて加飾シートにシワが生じたり伸びたりすることがある。加飾シート用保護シートは、加飾シートが基材フィルムに支持されることにより、成形時の位置ズレやシワや絵柄の歪みを発生させにくくする。また、加飾シートがコシの強い基材フィルムに適度な粘着強度で接着されることにより、搬送時やインモールド成形の金型に収容させるときのハンドリング性にも優れる。成形後に保護シートを剥離することにより、立体感のある風合いを保持した加飾層を露出させることができる。
加飾シートは、繊維素材を含む連続または不連続なシート状素材である。その具体例としては、例えば、不織布、平織組織,斜文織組織,朱子織組織等の織物、レース編み,メリヤス編み等の編物、またはそれらを含む合成皮革や人工皮革等の繊維構造物等が挙げられる。これらは、染料で染められたり、絵柄や模様が印刷されたものであってもよい。繊維素材は、意匠性を付与するとともに、加飾成形体を補強する。繊維としては、各種合成繊維、天然繊維、カーボン繊維等特に限定されない。繊維素材の厚さは特に限定されず使用用途に応じて適宜選択されるが、一般に100〜5000μm程度であることが好ましい。これらの中では厚みの制御が容易な点から不織布が特に好ましい。また、インモールド成形においては、射出成形による溶融樹脂が加飾シートの表面まで浸透することをバリアするバッカーとして機能することにより、加飾シートの空隙を充分に残存させることができる。
本発明においては、繊維素材として、繊度1dtex以下の極細繊維の不織布を用いる。
極細繊維の不織布を形成する材料の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),変性ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリトリメチレンテレフタレート(PTT),ポリトリエチレンテレフタレート,ポリヘキサメチレンテレフタレート,ポリプロピレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリ乳酸,ポリエチレンサクシネート,ポリブチレンサクシネート,ポリブチレンサクシネートアジペート,ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバリレート共重合体等の脂肪族ポリエステル系樹脂;ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド610,ポリアミド10,ポリアミド11,ポリアミド12、ポリアミド6−12等のポリアミド系樹脂;ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリブテン,ポリメチルペンテン,塩素系ポリオレフィン,エチレン酢酸ビニル共重合体,スチレンエチレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;エチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコール等から形成される変性ポリビニルアルコール系樹脂;及び、ポリウレタン系エラストマー,ポリアミド系エラストマー,ポリエステル系エラストマーなどの結晶性エラストマーが挙げられる。これらの中では、ガラス転移温度(Tg)が100〜120℃、さらには105〜115℃であるようなPETが比較的低い温度で軟化し、軟化したときには容易に延伸する点から好ましい。Tgが高すぎる場合には、繊維の熱延伸性が低下して賦形性が低下する傾向があり、Tgが低すぎる場合には、軟化しすぎて固化に時間がかかる傾向がある。なお、Tgが100〜120℃のPETとしては、芳香族PETの構成単位に直鎖の構造を乱す共重合成分を構成単位として含有する変性PET、特に、イソフタル酸,フタル酸,5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の非対称型芳香族カルボン酸や、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸を共重合成分として所定割合で含有する変性PETが好ましい。さらに具体的には、モノマー成分としてイソフタル酸単位を2〜12モル%含有する変性PETが好ましい。
極細繊維の不織布は1dtex以下、好ましくは0.5dtex以下、さらに好ましくは0.1dtex以下であり、好ましくは0.01dtex以上、さらには0.05dtex以上、とくには0.07dtex以上の繊度を有するような極細繊維の繊維絡合体を含むことが好ましい。極細繊維の繊度が高すぎる場合には、保護シート付加飾シートをプリフォーム成形する場合に、加熱による軟化時の熱延伸性が低下して、型形状を正確に転写しにくくなり、賦形性が低下するとともに、インモールド成形において樹脂の浸透を抑制するバッカーとしての機能が低下する傾向がある。
極細繊維の不織布の見掛け密度は0.45g/cm3以上、さらには0.45〜0.70g/cm3、とくには0.50〜0.65g/cm3であることが好ましい。極細繊維の緻密不織布が、このように高い見掛け密度を有する場合にはインモールド成形において加飾シートに溶融樹脂を浸透させにくくし、また、インモールド成形体の表面にシワが形成されたり絵柄が歪んだりすることを低減できるとともに、プリフォーム成形体の形状安定性と賦形性のバランスにも優れる。
極細繊維の繊維長は特に限定されないが、長繊維であることが見掛け密度を高めやすい点からとくに好ましい。ここで、長繊維とは、所定の長さで切断処理された短繊維ではないことを意味する。長繊維の長さとしては、100mm以上、さらには、200mm以上であることが、極細繊維の繊維密度を充分に高めることができる点から好ましい。極細繊維の長さが短すぎる場合には、繊維の高密度化が困難になる傾向がある。上限は、特に限定されないが、例えば、連続的に紡糸された数m、数百m、数kmあるいはそれ以上の繊維長であってもよい。また、これらの繊維は単独ではなく数種の繊維が混合されたものでもよい。
次に、保護シート付加飾シートを用いた加飾成形体の製造方法の一例について図3を参照して説明する。
図3を参照すれば、加飾成形体の製造方法においては、はじめに、保護シート付加飾シート5のプリフォーム成形を行う。具体的には、工程(I)に示すように保護シート付加飾シート5を基材フィルム1がプリフォーム金型(プレス金型)のメス金型17aに対向するように載置する。保護シート付加飾シート5は、予め所定の形状に切断されていてもよい。次に、工程(II)に示すように、メス金型17aとオス金型17bとをプレス機で型締めすることにより、保護シート付加飾シート5をメス金型17aの凹部に押し込む。その結果、保護シート付加飾シート5に賦形される。そして、メス金型17aとオス金型17bとを離間させて、工程(III)に示すように成形されたプリフォーム成形体11を取り出す。プリフォーム成形体11は、必要に応じてバリ取りや不要な部分をレーザカッタや切断ユニット(切断用金型)で切断除去されてもよい。なお、本実施形態においては、プレス成形によるプリフォーム成形を例示するが、プレス成形の代わりに、従来から知られた、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等その他のプリフォーム成形法を用いてもよい。
次に、プリフォーム成形体11を用いてインモールド成形を行う。工程(IV)に示すように、可動側金型18a及び固定側金型18bからなるインモールド成形用金型18を備えた射出成形機13で射出成形する。具体的には、プリフォーム成形体11を可動側金型18aのキャビティの凹部に基材フィルム1が対向するように収容し、可動側金型18a及び固定側金型18bを型締めする。そして、射出成形機13のシリンダ13aを前進させてインモールド成形用金型18の樹脂注入口18cにシリンダ13aの先端に配されたノズル部13bを当てる。そして、スクリュー13cを回転させることにより、ホッパ13d内に貯留されたペレット状の樹脂15をシリンダ13a内で溶融させながら計量する。そして、計量後、インモールド成形用金型18のキャビティに溶融された樹脂15を射出する。射出により溶融された樹脂15は加飾シート4の繊維間の空隙に侵入する。通気性を有する加飾シート4に溶融樹脂が侵入することにより、アンカー効果により加飾シート4と成形される樹脂成形体25との結合強度が高くなる。
そして、樹脂15をインモールド成形用金型18内で冷却固化させた後、可動側金型18aと固定側金型18bとを離間させる。このようにして、工程(V)に示すように、保護シート付加飾シート3をプリフォーム成形したプリフォーム成形体11と樹脂成形体25とが一体化された加飾成形体20が取り出される。溶融した樹脂15が冷却固化するときに樹脂成形体25が収縮し、加飾シート4と樹脂成形体25とがより強固に一体化する。このようにして保護シート3が積層された状態の加飾成形体20が得られる。
そして、工程(VI)に示すように、加飾成形体20から保護シート3を剥離することにより、加飾シート4を表面に備えた加飾成形体20が得られる。保護シート3の剥離は、手で剥離したり、専用の剥離設備を用いて剥離する等、特に限定されない。
射出成形に用いられる樹脂としては、ABS系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、PCとABSとのアロイ樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル(PMMA)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、各種ポリアミド系樹脂のような各種熱可塑性樹脂が特に限定なく用いられる。例えば、携帯電話,モバイル機器,家電製品等の筐体に用いる樹脂としては、ABS系樹脂、PC系樹脂等の耐衝撃性に優れた樹脂が、軽量化を求められる用途(例えば車輌内装パーツなど)に用いられる樹脂としてはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂などが好ましく用いられる。
樹脂成形体の厚さは特に限定されないが、例えば、ハウジング用途の場合、0.5〜10mm、さらには0.8〜5mm程度であることが好ましい。
以上、保護シート付加飾シートをプリフォーム成形したプリフォーム成形体を用いて、インモールド成形して繊維素材を含む加飾層を有する加飾成形体の製造方法について詳しく説明した。なお、本実施形態の保護シート付加飾シートは、このようなインモールド成形により成形体の表面に加飾シートを一体化するような方法に限られず、例えば、予め成形された成形体の表面に、保護シート付加飾シートをホットメルト接着剤を用いて加熱しながらラミネートした後、保護シートを剥離するような方法であってもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
はじめに、本実施例で用いた加飾シート及び保護フィルムについてまとめて説明する。
〈加飾シート〉
加飾シートはスパンボンド法で得られた長繊維の海島型複合繊維の繊維絡合体から海成分を除去することにより得られた次のような不織布を含むスエード調人工皮革である。不織布は、繊度0.08dtexの極細繊維の繊維束(平均25本/束)を絡合させた繊維絡合体と、含浸付与された架橋された非発泡ポリウレタンを含む、見掛け密度0.53g/cm3、厚さ500μm、目付310g/m2の不織布である。なお、極細繊維はTg110℃のイソフタル酸変性PETであった。そして、不織布の表面をバフィング処理した後、液流染色機で分散染料を用いて染色することにより、加飾面としてスエード調の立毛面を形成した人工皮革を得た。
〈保護シートA〉
厚さ50μmのPETフィルムに厚さ10μmのアクリル系粘着層を備え、25℃における粘着強度が0.215N/10mm、150℃における粘着強度が0.217N/10mmである保護シート(パナック(株)製のパナプロテクト(登録商標)GN50)
〈保護シートB〉
厚さ50μmのPETフィルムに厚さ13μmのアクリル系粘着層を備え、25℃における粘着強度が0.42N/10mm、150℃における粘着強度が0.42N/10mmである保護シート(パナック(株)製のパナプロテクトGS50)
〈保護シートC〉
厚さ50μmのPETフィルムに厚さ7μmのアクリル系粘着層を備え、25℃における粘着強度が0.053N/10mm、150℃における粘着強度が0.152N/10mmである保護シート(パナック(株)製のパナプロテクトST50)
〈保護シートD〉
厚さ50μmのPETフィルムに厚さ7μmのアクリル系粘着層を備え、25℃における粘着強度が0.09N/10mm、150℃における粘着強度が0.103N/10mmである保護シート(パナック(株)製のパナプロテクトNT50)
〈保護シートE〉
厚さ75μmのPETフィルムに厚さ25μmのアクリル系粘着層を備え、25℃における粘着強度が2.4N/10mm、150℃における粘着強度が2.5N/10mmである保護シート(パナック(株)製のパナプロテクトSBHF75A)
〈保護シートF〉
厚さ100μmのPETフィルムに厚さ33μmのアクリル系粘着層を備え、25℃における粘着強度が1.55N/10mm、150℃における粘着強度が1.56N/10mmである保護シート(パナック(株)製のパナプロテクトHUCB100A)
〈保護シートG〉
厚さ75μmのPETフィルムに厚さ30μmのPVAフィルムを湿熱圧着した、25℃における粘着強度が0N/10mm、150℃における粘着強度が0N/10mmである保護シート
〈保護シートH〉
厚さ125μmのPMMAフィルムである保護シート
〈保護シートI〉
厚さ50μmのPMMAフィルムである保護シート
なお、保護シートの25℃及び150℃における粘着強度は次のようにして測定した。
(25℃および150℃における粘着強度)
各保護シートから幅25mm、長さ250mmの短冊形試験片を切り出し、厚さ188μmのPETフィルム(東レ(株)製の25T60)に接着し、25℃で30分間放置した。そして、各短冊形試験片の両端に、基材シートまたはPETフィルムを把持するための剥離部を設けた。そして、基材シートとPETフィルムとの間の剥離強度を、JIS Z 0237の粘着力試験方法に準じて、剥離角度180度法により、剥離速度毎分300mmの条件で測定した。これを25℃における粘着強度とした。25℃で30分間放置する代わりに150℃で30分間放置した以外は同様にして150℃における粘着強度も測定した。なお、各粘着強度はN=3の平均値とした。
[実施例1]
25℃雰囲気で加飾シートの表面に保護シートAのアクリル系粘着層を密着させ、2kgのローラーを300mm/分の速度で往復させることにより保護シートAを加飾シートに圧着した。このようにして、保護シート付加飾シートA1を製造した。そして、保護シート付加飾シートA1を用いて、スマートフォンのカバー形状のキャビティ―を有する金型を用いてプリフォーム成形体を成形した。プリフォーム成形は、温度150℃に加熱されたプレス金型のメス金型に保護シートのPETフィルムが面するように保護シート付加飾シートA1を配置し、0.4MPaの圧力でプレス金型をプレスすることにより行った。このようにしてプリフォーム成形体A2を得た。プリフォーム成形後の保護シートの接着性を下記評価方法により評価した。
(プリフォーム成形後の保護シートの接着性)
プリフォーム成形後の保護シートの接着性を以下の基準で判定した。
A:手で剥がすと若干の抵抗があり、加飾シートの変形も、表面の変化も無かった。
B:手で剥がすと力を入れなくても簡単に剥がれるためにハンドリング性がわるかったが、表面の変化は無かった。
C:手で剥がすと強い抵抗があり、加飾シートが変形、表面の極細繊維が引き出されて毛羽立った。
D:成形後、自ら剥離した。
(プリフォーム成形体の腰の強さ)
プリフォーム成形体の腰の強さを以下の基準で判定した。
A:成形体の形状が保持され、手で持ってもその形状が保持されて崩れなかった
B:成形体は得られたが、手で持つとその形状が崩れて変形した
そして、プリフォーム成形体A2を、保護シートのPETフィルムが可動側金型の表面に面するように、インモールド用金型のキャビティの凹部に配置した。そして、樹脂温度240℃、金型温度50℃の条件でABS樹脂を射出成形した。このようにしてインモールド成形することによりスマートフォンのカバー形状のインモールド成形体を得た。インモールド成形後の保護シートの接着性を下記評価方法により評価した。
(インモールド成形後の保護シートの接着性)
インモールド成形後の保護シートの接着性を以下の基準で判定した。
A:手で剥がすと若干の抵抗があり、加飾シートの変形も、表面の変化も無かった。
B:手で剥がすと力を入れなくても簡単に剥がれるためにハンドリング性がわるかったが、表面の変化は無かった。
C:手で剥がすと強い抵抗があり、加飾シートが変形、表面の極細繊維が引き出されて毛羽立った。
D:成形後、自ら剥離した。
そして、得られたインモールド成形体から、保護シートを剥離することにより、加飾成形体A3を得た。そして、加飾成形体A3を下記評価方法により評価した。
(加飾成形体の表面外観)
加飾成形体の表面外観を以下の基準で目視により判定した。
A:加飾シートが樹脂成形体の定位置に正確に貼り合わされ、シワや柄の歪みもなく、粘着剤の付着もなかった。
B:加飾シートに粘着剤が残っていた。
C:保護シートが溶融して加飾シートにしみこんで残っていた。
(加飾成形体の起毛状態)
加飾成形体の起毛状態を以下の基準で目視により判定した。
A:表面の繊維感が美しく、風合いも維持されていた。
B:起毛された極細繊維が引き出されて、粗い表面になっていた。
C:起毛された極細繊維が軟化して光沢感が出ていた。
以上の結果をまとめて下記表1に示す。
Figure 0006727076
[実施例2、比較例1〜7]
実施例1の保護シートAの代わりに、表1に記載の保護シートを用いた以外は実施例1と同様にしてプリフォーム成形体、インモールド成形体、加飾成形体を製造し、同様に評価した。結果を表1に示す。
表1の結果から、粘着層の粘着強度が0.2〜0.5N/10mmであり、150℃における粘着強度が25℃における粘着強度の0.9〜1.1倍である実施例1及び実施例2の保護シートを備えたプリフォーム成形体は、保護シートが手で剥がしたいときに選択的に剥離することができた。一方、粘着層の粘着強度が低い比較例1及び比較例2、または、粘着層の粘着強度が全くない比較例5のプリフォーム成形体は、保護シートを手で剥がそうとするだけで剥離したり、全く接着されていなかったために、インモールド成形等の際には加飾シートを充分に保護することができなかった。また、プリフォーム成形体をインモールド成形用金型に収容しようとしたときにはプリフォーム成形体が型崩れしているために、型内への収容が難しかった。
本発明は、携帯端末本体(スマートフォン、タブレットPC)およびそのケース、カバーなどのアクセサリ、電子機器の筐体、車両内装材、化粧品ケースなどの樹脂成形体の表面をテキスタイル調に加飾できる。
1 基材フィルム
2 粘着層
3 保護シート
4 加飾シート
5 保護シート付加飾シート
6 離型紙
11 プリフォーム成形体
13 射出成形機
15 樹脂
17 プレス金型
18 インモールド成形用金型
20 加飾成形体
25 樹脂成形体

Claims (4)

  1. 25〜75μmの厚さを有するPETフィルムと前記PETフィルムに積層された8〜20μmの厚さを有するアクリル樹脂系粘着剤を含む粘着層とを備えた保護シートを、前記粘着層を介して繊度1dtex以下の極細繊維の不織布を含む加飾シートの表面に接着してなり、
    前記粘着層は、PETフィルムに対する25℃における粘着強度が0.2〜0.5N/10mmであり、且つ、150℃における粘着強度が25℃における粘着強度の0.9〜1.1倍であることを特徴とする保護シート付加飾シート。
  2. 前記保護シートはパナック株式会社製の品番:パナプロテクトGN50またはGS50、である請求項1に記載の保護シート付加飾シート。
  3. インモールド成形用金型のキャビティ内に、請求項1または2に記載の保護シート付加飾シートを配置する工程と、
    前記キャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、表面に前記保護シート付加飾シートを接着させた加飾成形体を成形する工程と、
    前記保護シート付加飾シートを接着させた前記加飾成形体から前記加飾シート用保護シートを剥離する工程と、を備えることを特徴とする加飾成形体の製造方法。
  4. 前記保護シート付加飾シートがプリフォーム成形されている請求項3に記載の加飾成形体の製造方法。
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