JP7306226B2 - 加飾シート用保護フィルムおよび保護フィルム付加飾シート - Google Patents
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Description
基材層の粘着剤層側とは反対側の面の算術平均粗さが、0.2~0.9μmであり、
粘着剤層は硬化性樹脂組成物の硬化物により構成された層であり、
粘着剤層の250℃における貯蔵弾性率(G’-2)が5×103~1×106Paであり、
粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(G’-1)と粘着剤層の250℃における貯蔵弾性率との比(150℃の貯蔵弾性率/250℃の貯蔵弾性率)(G’-1/G’-2)が、0.3~2であることを特徴とする加飾シート用保護フィルム。
加飾シート用保護フィルム中の基材層としては、熱可塑性樹脂をフィルム状に成形したものが好適に使用できる。熱可塑性樹脂の種類は、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂のアロイ、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂のアロイ、熱可塑性ポリエステル樹脂、メチルメタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、メチルメタアクリレート/スチレン共重合樹脂、メチルメタアクリレート樹脂、ゴム強化メチルメタアクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。この中でも、熱可塑性ポリエステル樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートを使用したフィルムが、耐熱性と加熱時の伸長性に優れ、加熱後の収縮率が小さいため、成形物の寸法安定性が優れる理由で用いるのが好ましい。
粘着剤層は、硬化性樹脂組成物の硬化物により構成された層であり、250℃におけるズリ方向の貯蔵弾性率が5×103~1×106Paである。貯蔵弾性率がこの数値範囲内であると、射出成形といった高温の溶融樹脂とともに成形される工程において、優れた環境異物による押し痕抑制効果が得られる。特に1×105~1×106Paの範囲にあることが特に好ましい。また150℃における貯蔵弾性率(G’-1)と250℃における貯蔵弾性率(G’-2)の比(G’-1/G’-2)が、0.3~2である。この範囲に属することで射出成形のような型内に溶融樹脂が入り込む箇所(一般にゲートと呼称される)とその他の箇所との温度差が大きい成形においても均一に優れた押し痕抑制効果が発揮される。特に(G’-1/G’-2)が、0.8~1.2であることが、成形物の寸法安定性を向上させるために好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
耐熱性を考慮すると、脂肪族ポリイソシアネートおよびそのビュレット体、ヌレート体、アダクト体がより好ましい。これらのポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
より具体的に例示するならば、金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセテートビスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート等のアルミニウム化合物;ジルコニウムテトラアセチルアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセテート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセテートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムジブトキシビスエチルアセトアセテート等のジルコニウム化合物;チタンジイソプロポキシビスアセチルアセテート、チタンテトラアセチルアセテート、チタンジオクチロキシビスオクチレングリコレート、チタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセテート、ポリヒドロキシチタンステアレート等のチタン化合物;エトキシ・アセチルアセトナート亜鉛、ビスアセチルアセトナート亜鉛、プロポキシ・アセチルアセトナート亜鉛、ブトキシ・アセチルアセトナート亜鉛、エトキシ・エチルアセトアセテート亜鉛、ビスエチルアセトアセテート亜鉛、プロポキシ・エチルアセトアセテート亜鉛、ブトキシ・エチルアセトアセテート亜鉛等の亜鉛化合物が挙げられる。
本発明に使用される硬化性樹脂組成物は、溶剤型、即ち有機溶剤可溶型であることが好ましく、この場合、有機溶剤を含有する。有機溶剤としては種々のものを用いることができる。例えば、トルエン、酢酸エチルを主体とし、メチルエチルケトン、アセトン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ゴム揮発油、ヘキサン、ヘプタン、酢酸ブチルなどを適宜使用できる。
本発明の加飾シート用保護フィルムは少なくとも基材層と粘着剤層からなり、加飾シートの成形加工中の保護フィルムとして好適に用いることが出来る。
例えば、剥離処理されたPETフィルムの剥離処理面に粘着剤層を形成させた後、粘着剤層と基材層のマット化処理された面とは反対側の面とをロールラミネートで貼り付けることで剥離処理されたフィルム付きの保護フィルムが得られる。使用時には剥離処理されたフィルムを剥離、粘着剤層を露出させ、加飾シート上の表面に粘着剤層が接するようロールラミネートすることで加飾シートを保護することが出来る。
加飾シート用保護フィルムを貼り付ける加飾シートについて述べる。加飾シートは、金属、プラスチック、木材等の表面に、意匠や傷つき防止、反射防止等の機能を付与するために用いられるシート材料であり、一般にはシート化した熱可塑性樹脂に対し、ハードコート層、意匠層、粘接着層から選ばれる1つ以上の層を積層したシートである。本発明の加飾シート用保護フィルムは、ハードコート層に対する保護フィルムとして好適に使用できる。
保護フィルム付加飾シートとは、加飾シート用保護フィルムと前記加飾シートの積層体を指す。通常は加飾シート用保護フィルムの粘着剤層が、加飾シートの成形後に最表面となる面に接するよう積層される。積層する際には、ラミネーターやハンドローラー等が用いられる。
加飾成形体とは、被加飾体が保護フィルム付加飾シートにより表面が覆われた3次元成形物であり、被覆される被加飾体の素材に特に限定はなく、公知の素材を使用することができる。
被加飾体として用いることのできる素材の例として、木材、紙、金属、プラスチック、繊維強化プラスチック、ゴム、ガラス、鉱物、粘土等を挙げることができ、1種類又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
〈基材層F-1及びF-21の作製〉
ベルポリエステルプロダクツ社製PET樹脂E-03を、150mm幅のT型フィッシュテールダイスを装着したラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を混練温度270℃に設定し、幅120mm×長さ1m×厚み30μmの易成型PETである熱可塑性樹脂のフィルム(基材層F―21)を得た。続いて得られた熱可塑性樹脂のフィルムに対し、ガラスビーズよるサンドマット加工をRa:0.2μmとなるように施し、基材層F-1を得た。
下記に示す基材層F-11に対し、基材層F-1と同様にガラスビーズよるサンドマット加工を施した。粒径と処理時間を変更することで所望の算術平均粗さを有する基材層F―2~4、22、23を得た。表1に基材層の性状を示す。
三菱エンプラ社製PC樹脂E-2000は混練温度260℃にて成形し、幅120mm×長さ1m×厚み30μmの熱可塑性樹脂のフィルムを得た。続いて、ガラスビーズよるサンドマット加工をRa:0.4μmとなるように施し、基材層F-5を得た。
プライムポリプロ製ポリプロピレン樹脂F113Gを混練温度230℃にて成形し、幅120mm×長さ1m×厚み30μmの熱可塑性樹脂のフィルムを得た。続いて、ガラスビーズよるサンドマット加工をRa:0.4μmとなるように施し、基材層F-6を得た。
帝人フィルムソリューション社製二軸延伸PETフィルム 厚み25μmを用意した。
基材層F-11に対し、トーヨーケム社製リオデュラスMOL7000 100質量部、球状シリカ(アドマテックス社製SO―C1 粒径0.2~0.4μm)を10質量部配合した混合物を、乾燥後厚み1μmとなるようにバーコーターで塗工、100℃で2分間乾燥、高圧水銀ランプで80W/cm2、積算光量400mJ/cm2の条件で硬化、Ra:0.4μmの基材層F-8を得た。
ベルポリエステルプロダクツ社製PET樹脂E-03を、150mm幅のT型フィッシュテールダイスを装着したラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を混練温度270℃に設定し、幅120mm×長さ1m×厚み70μmの易成型PETである熱可塑性樹脂のフィルムを得た。続いて得られた熱可塑性樹脂のフィルムに対し、ガラスビーズよるサンドマット加工をRa:0.5μmとなるように施し、基材層F-9を得た。
ベルポリエステルプロダクツ社製PET樹脂E-03を、150mm幅のT型フィッシュテールダイスを装着したラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を混練温度270℃に設定し、幅120mm×長さ1m×厚み15μmの易成型PETである熱可塑性樹脂のフィルムを得た。続いて得られた熱可塑性樹脂のフィルムに対し、ガラスビーズよるサンドマット加工をRa:0.2μmとなるように施し、基材層F-10を得た。
三菱エンプラ社製PC樹脂S-3000は混練温度260℃にて成形し、幅120mm×長さ1m×厚み30μmの熱可塑性樹脂のフィルムを得た。続いて、ガラスビーズよるサンドマット加工をRa:0.4μmとなるように施し、基材層F-11を得た。
表2に樹脂 Pの性状を示す。
〈樹脂 P-1〉
トルエン/酢酸エチル=1/1(質量比)からなる溶剤60部へ、ブチルアクリレート(BA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=95/5(質量比)100部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.13部を反応容器に仕込んだ。この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で共重合させ、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、さらに酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約50%に調製し、質量平均分子量30万のアクリル樹脂溶液を得た。
アセトン/酢酸エチル=1/1(質量比)からなる溶剤50部中でブチルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=95/5(質量比)を100部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.03部を反応容器に仕込んだ。この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で共重合させ、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、さらに酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約50%に調製し、質量平均分子量120万のアクリル樹脂溶液を得た。
トルエン/酢酸エチル=1/1(質量比)からなる溶剤60部へ、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート=95/5(質量比)100部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.11部を反応容器に仕込んだ。この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で共重合させ、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、さらに酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約50%に調製し、質量平均分子量30万のアクリル樹脂溶液を得た。
アセトン/酢酸エチル=1/1(質量比)からなる溶剤50部中で2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=95/5(質量比)を100部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.02部を反応容器に仕込んだ。この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で共重合させ、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、さらに酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約50%に調製し、質量平均分子量120万のアクリル樹脂溶液を得た。
トルエン/酢酸エチル=1/1(質量比)からなる溶剤70部へ、ブチルアクリレート/アクリル酸(AA)=95/5(質量比)100部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.13部を反応容器に仕込んだ。この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で共重合させ、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、さらに酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約50%に調製し、質量平均分子量30万のアクリル樹脂溶液を得た。
アセトン/酢酸エチル/トルエン=1/1/0.5(質量比)からなる溶剤50部中で2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=95/5(質量比)を100部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.03部を反応容器に仕込んだ。この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で共重合させ、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、さらに酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約50%に調製し、質量平均分子量90万のアクリル樹脂溶液を得た。
非晶質ポリエステル樹脂であるバイロン200(東洋紡社製)80部と流動パラフィンP-100(モレスコ社製)20部とを金属製容器中100℃で溶融混合し、ホットメルト型樹脂P-7を得た。
アセトン/酢酸エチル=1.5/1(質量比)からなる溶剤50部中で2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=95/5(質量比)を100部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.03部を反応容器に仕込んだ。この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で共重合させ、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、さらに酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約50%に調製し、質量平均分子量100万のアクリル樹脂溶液を得た。
〈硬化剤 S-1〉デュラネートP301-75E (旭化成社製 ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体)
〈硬化剤 S-2〉JER630 (三菱ケミカル社製 エポキシ基を3つ有する化合物)
表3に示す通りに、樹脂(P)と硬化剤(S)を配合して硬化性樹脂組成物(PSA)を調製した。
東レ社製剥離フィルム(セラピールMF、厚み50μm)の剥離処理面に得られた硬化性樹脂組成物が乾燥後に表4に示す粘着剤層の厚みとなるようにドクターブレードのクリアランス(又はギャップという)を調整して塗工、100℃雰囲気下2分間乾燥させて、粘着剤層を有する剥離フィルムを作製した。得られた粘着剤層を有する面に、基材層(F)のマット処理を施した面とは反対側の面が接するように基材層を配置してラミネートした後、50℃1週間養生し、剥離フィルムと加飾シート用保護フィルムとの積層体Iを得た。
非接触表面形状測定機(レーザー顕微鏡、VK-X200、株式会社キーエンス製)を用いて測定した。算術平均粗さRaは、粗さ曲線の高さ方向の振幅の平均を示すパラメータであって、一定視野内での観察表面の高さの算術平均を示し、算出方法はJIS B601-2001 算術平均粗さの算出式を用いる。非接触表面形状測定機による測定範囲は、対物レンズ50倍の使用し、解析範囲を画面中心200μm×200μm角とし、任意の3箇所の算術平均粗さを算出し、その平均とした。
基材層を長さ15mm、幅5mmの試験片に打ち抜き、動的粘弾性測定装置DVA-200(アイティー計測制御株式会社製)を用いて、ロードセル:600gf、昇温速度:5℃/分、周波数:1Hz条件下引張り時の、25~200℃の温度範囲における貯蔵弾性率(E’)の変化を測定し、150℃における貯蔵弾性率(E’)を求めた。
硬化型樹脂組成物を、東レ社製剥離フィルム(セラピールMF、厚み50μm)の剥離面上に粘着剤層が厚み500μmとなるように塗工し、室温で10分間、100℃環境下で2分間乾燥したものを2枚用意した。2枚を重ね合わせ、オートクレーブ内に30分間静置し、一体化させ、厚み1000μmの剥離フィルムに挟まれた粘着剤層を得た。次に、得られた剥離フィルムに挟まれた粘着剤層を直径10mmの円形に打ち抜き、剥離フィルムを剥がし、粘着剤層のみを測定した。粘弾性測定装置( 製品名「ARES」、ティー・エイ・インスツルメント社製)により、上記の試料に周波数1Hzのひずみを与え、5℃/分の昇温速度で-55~250℃の貯蔵弾性率(G’)を測定し、150℃および250℃における貯蔵弾性率(それぞれG’-1およびG’-2)を求めた。
昭和電工社製ShodexGPC-104/101システムを用いて測定した。
カラムShodexKF-805L+KF-803L+KF-802
検出器 示差屈折率計(RI)
カラム温度 40℃
溶離液 テトラヒドロフラン
流速: 1.0mL/分
試料濃度: 0.2%
検量線用標準試料 TSK標準ポリスチレン
得られた積層体Iの剥離フィルムを剥がし、片面にハードコート層を有するポリカーボネートフィルム(マクダーミッド社製Xtraform M HCL 厚み180μm)のハードコート層側に保護フィルムの粘着剤層が接するよう25℃でラミネートし、加飾シートと加飾シート用保護フィルムの積層体IIを得た。
粘着力は、JIS Z 0237-2009に準拠して求めた冷間圧延ステンレス鋼板に対する値である。得られた積層体Iを幅25mm長さ10cmに切り出し、剥離フィルムを剥がした加飾シート用保護フィルムの粘着剤層の面が接するようステンレス鋼板にロールにより加圧貼付し、20分間静置した後、180°の引き剥がし粘着力を測定した。
得られた積層体IIを、5cm角に切り取って試験片とし、下記条件でプレス成形を行った。プレス前にJIS Z 8901 3種の規格のけい砂を上下金型の内の下金型に付着させ、積層体の保護フィルム側を下金型に接するよう設置してプレスした。
プレス成形後、保護フィルムを加飾シートから剥がし、蛍光灯下加飾シートの表面(ハードコート面)の状態を目視で観察し、押し痕と耐圧耐熱性を評価した。
・プレス圧力:10MPa
・金型温度:150℃
・プレス時間:2分
・金型凹部に落とすけい砂量:0.1mg
S:押し痕が確認されない。良好。
A:加飾シートを正面から観察した場合は押し痕が確認されないが、傾けるとわずかに確認され実用範囲内。
B:加飾シートを正面観察し押し痕がわずかに確認できるが実用範囲内。
C:加飾シートを正面からハッキリと押し痕が確認できる。不良。
A:発泡が確認されない。良好。
B:加飾シート用保護フィルムに発泡が見られるが、発泡痕が加飾シートに転写しない。実用範囲内。
C:加飾シート用保護フィルムに発泡が見られ、加飾シートへ発泡痕が転写する。粘着剤層が端部から溶融、フローして金型を汚す。保護フィルムが加飾シートから剥離困難。実用範囲外。
得られた積層体IIを、45mm角に切り取って試験片とした。射出成形前にJIS Z 8901 3種の規格のけい砂を射出樹脂が触れる面とは反対側の金型に刷毛で付着させ、さらに積層体の保護フィルム側をけい砂と接するよう設置し、溶融した射出樹脂を金型内に流し込むことで射出成形した。射出樹脂が触れる面は、加飾シートのポリカーボネート面となる。
射出成形後、保護フィルム付加飾シートと射出樹脂とが一体となった加飾成形体を金型から取り外し、保護フィルムを剥がし、蛍光灯下で加飾シート表面(ハードコート表面)の状態を目視により観察し、押し痕と耐圧耐熱性を評価した。保護フィルムを剥がした加飾成形体は、厚み9mm、縦横44mmの平板状となる。
さらに保護フィルムを剥がした加飾成形体の四隅の縦横10mm離れた箇所4点の厚みを厚みゲージで測定し、その最大値と最小値の差から寸法安定性を評価した。
・射出成形機:日精樹脂工業社製 PNX60III
・射出樹脂:三菱エンプラ社製 ユーピロンS3000
・射出圧力:120MPa
・金型温度:80℃
・スクリュー内温度:300℃
・射出時間:5秒
・金型寸法:高さ10mm×縦横45mm 平板形状
S:押し痕が確認されない。良好。
A:加飾成形体表面を正面から観察した場合は押し痕が確認されないが、傾けるとわずかに確認され実用範囲内。
B:加飾成形体表面を正面から観察して押し痕がわずかに確認できるが実用範囲内。
C:加飾成形体表面を正面からハッキリと押し痕が確認できる。不良。
A:発泡が確認されない。良好。
B:加飾シート用保護フィルムに発泡が見られるが、保護フィルムを剥がした加飾成形体表面に発泡痕が転写していない。実用範囲内。
C:加飾シート用保護フィルムに発泡が見られ、さらに保護フィルムを剥がした加飾成形体表面に転写痕が確認される。加飾シート用保護フィルムの粘着剤層が溶融、端部からフローして金型を汚す。加飾シート用保護フィルムが剥離困難または粘着剤層が成形体表面に残る。実用範囲外。
A:最大値と最小値の差が±3μm未満。良好。
B:最大値と最小値の差が±3μm以上、±5μm未満。実用範囲内。
C:最大値と最小値の差が±5μm以上。実用範囲外。
Claims (8)
- 基材層と粘着剤層とを有する加飾シート用保護フィルムであって、
基材層の粘着剤層側とは反対側の面の算術平均粗さが、0.2~0.9μmであり、
粘着剤層は硬化性樹脂組成物の硬化物により構成された層であり、
硬化性樹脂組成物は、樹脂としてポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂のいずれかと、硬化剤とを含み、
粘着剤層の250℃における貯蔵弾性率(G’-2)が5×103~1×106Paであり、
粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(G’-1)と粘着剤層の250℃における貯蔵弾性率との比(150℃の貯蔵弾性率/250℃の貯蔵弾性率)(G’-1/G’-2)が、0.3~2であることを特徴とする
加飾シート用保護フィルム。 - 粘着剤層の基材層側とは反対側の面のステンレス鋼板に対する180°引きはがし粘着力が、5~1000mN/25mmの範囲であること特徴とする請求項1記載の加飾シート用保護フィルム。
- 硬化性樹脂組成物が、アクリル樹脂を含んでなることを特徴とする請求項1または2記載の加飾シート用保護フィルム。
- 粘着剤層のガラス転移温度が、-80℃~0℃であることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の加飾シート用保護フィルム。
- 基材層は、熱可塑性樹脂を含んでなり、基材層の150℃における貯蔵弾性率が1×107~1×109Paであることを特徴とする請求項1~4いずれか記載の加飾シート用保護フィルム。
- 粘着剤層の厚みが、5~50μmであることを特徴とする請求項1~5記載いずれか記載の加飾シート用保護フィルム。
- 加飾シート用保護フィルムの厚みが、10~100μmであることを特徴とする請求項1~6いずれか記載の加飾シート用保護フィルム。
- 請求項1~7のいずれか記載の加飾シート用保護フィルム中の粘着剤層の基材層側とは反対側の面が、加飾シートに貼付されてなることを特徴する保護フィルム付加飾シート。
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