JP6724722B2 - 加飾シート用保護フィルム、および保護フィルム付加飾シート - Google Patents

加飾シート用保護フィルム、および保護フィルム付加飾シート Download PDF

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Description

本発明は、特定のアクリル系塗料から形成されるハードコート層を表面に有する加飾シートのハードコート表面を保護するための加飾シート用保護フィルムに関する。
近年、スマートフォン等の携帯情報端末機器、ノート型パソコン、家電製品、自動車内外装部品などには樹脂成型品が多く用いられている。これらの樹脂成型品はプラスチック樹脂を成型後にその意匠性を高めるため、通常その表面には塗装や印刷等による加飾を施している。
従来から、意匠性付与のために、樹脂成型品の表面には着色塗料を塗装したり、印刷したりしてきた。また、傷や指紋からの表面保護のために、樹脂成型品の表面にはハードコート塗料をスプレー塗装したり、ディッピング塗装したりしてきた。しかし、このような従来の加飾方法は、意匠性の高い加飾を行うことが困難であり、また、生産性に難点がある等の理由により、これに代わる方法として、加飾シートを用いて、樹脂成型物の表面を加飾する方法が普及してきた。加飾シートとは、基材フィルム上に印刷や塗布により図柄や紫外線硬化や熱硬化によるハードコート層を設けたものである。
加飾シートを用いて成型体を得る方法としては、(1)予め成型された樹脂成型品を加飾の対象とし、前記樹脂成型品の表面に加飾シートを積層する方法や、(2)金型内にセットした加飾シートに加飾対象の射出成型用樹脂を射出し、樹脂成型品と加飾シートとを一体化する方法等がある。(2)の方法は、射出成型用樹脂の射出に先立ち、加飾シートを予備成型しておくこともできる。予備成型の手段には真空成型の他、機械的成型等が挙げられる。
これまで、様々な加飾シートが特許文献1〜6に提案されている。
特許文献1には、アクリル系樹脂からなる層と、脂肪族ポリカーボネート樹脂からなる層を積層した多層体が記載されている。特定の構造を有する脂肪族ポリカーボネート樹脂を用いることにより、透明性、耐熱性、耐衝撃性、耐UV変色性、表面硬度に優れた多層体が得られる旨記載されている。
特許文献2には、割れ難く、耐白化性に優れ、表面硬度が高く、成型が容易な樹脂フィルムとして、ポリカーボネート樹脂材料の層の少なくとも一方の面に、メタクリル樹脂(ガラス転移温度が前記ポリカーボネート樹脂材料のガラス転移温度と所定の関係にある)85〜100質量部及びアクリルゴム粒子0〜15質量部を含有するメタクリル樹脂材料の層を積層してなる多層フィルムが開示されている。また、その多層フィルムを、家電製品の外装部材や自動車の内装部材などの表面加飾シートとして好適に用いる旨も開示されている。前記メタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルの重合体が好適であることが示唆されている。
特許文献3では、電離放射線硬化性を有するハードコート層用インキ組成物を用いて、
工程(1)射出成型金型内に、基材フィルムの片面に少なくとも離型層と、電離放射線硬化性を有するハードコート層用インキ組成物を塗工してなるハードコート層形成層とを順に有する加飾シートを配する工程、
工程(2)キャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、樹脂成型体と加飾シートとを積層一体化させる射出工程、
工程(3)樹脂成型体と加飾シートとが一体化した成型体を金型から取り出す工程、
工程(4)成型体から加飾シートの基材フィルムを剥離する工程、
工程(5)酸素濃度2%以下の雰囲気下で前記成型体上に設けられたハードコート層形成層を硬化させるハードコート層形成工程、
の各工程を経て加飾成型品を製造する方法が開示されている。
特許文献4には、基材フィルム上に、樹脂を含有するハードコート層を設けてなる成型用積層ハードコートフィルムであって、前記積層ハードコートフィルムの23℃、50%RHの雰囲気下における伸び率が10%以上である成型用積層ハードコートフィルムが開示されている。ハードコート層に含まれる樹脂は活性エネルギー線硬化性樹脂を用いている。
特許文献5には、少なくともヒドロキシル基とカルボキシル基を有する重合体、ポリイソシアネート及び1分子中に3個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するプレポリマーを含有する樹脂組成物を、剥離性気体フィルム上に塗布して得られる転写フィルムが記載されている(請求項1、5)。請求項2には、前記重合体が、ヒドロキシル基と不飽和二重結合を有する重合性単量体とカルボキシル基を有する不飽和二重結合を有する重合性単量体とを含む重合性単量体混合物を共重合させて得られる重合体である旨記載されており、請求項3には、前記重合体の水酸基価は5〜100mgKOH/g、重量平均分子量は30,000〜300,000、ガラス転移温度は60〜180℃である旨、記載されている。
特許文献6には、硬化樹脂層をトップコート層として有する一体成形可能な積層シートが開示されている(請求項1)。請求項2、3には、前記トップコート層の硬化樹脂層が、水酸基価が10〜300mgKOH/g、重量平均分子量が2,000〜50,000、且つガラス転移温度(Tg)が80℃以下である水酸基含有ビニル系共重合体と、ポリイソシアネート化合物とからなる樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂層である旨、記載されている。
これらの加飾シートを成形加工中に保護するためのフィルムとしてはこれまで、ポリエチレンやポリプロピレンの単層または複層共押出しによる自己粘着フィルムが主流であった。
特許文献7には、プラスチックフィルムの片面に透明の保護樹脂層が積層された保護フィルムを100〜140℃に加熱して圧空型に配置し、前記圧空型に組み合わせた圧空ボックス内に200〜300℃、8〜15MPaの加熱圧縮空気を吹き込んで前記保護フィルムを前記圧空型の型面に密着させることにより前記型面形状に賦形した賦形保護フィルムを得る保護フィルム賦形工程と、 前記賦形保護フィルムを前記保護樹脂層側が射出成形型の一方の型面を向くようにして前記射出成形型内に配置し、前記射出成形型内に基材用樹脂を射出して前記賦形保護フィルムの前記保護樹脂層とは反対側に基材を積層形成するフィルムインサート射出成形工程とにより、 前記賦形保護フィルムと前記基材が一体となった多層樹脂成形品を得ることを特徴とする多層樹脂成形品の製造方法が記載されている。
さらに、特許文献8には車体用及びその他の用途用の部品又はパネルの成形に有用な積層装飾フィルム製品において、
部品又はパネル用の外表面仕上げになり得る熱成形性装飾材料の層と、装飾材料に取り外し可能に固定され、続く成形操作の前及び該成形操作中、及び、その後除去されるまで前記装飾材料への損傷を制限することが出来る熱成形性プラスチックフィルムの第1保護層と、該熱成形性フィルムの第1保護層に取り外し可能に固定され、成形操作前に除去されるまで該第1保護層への損傷を制限することが出来る可撓性のプラスチックフィルムの第2保護層とを具備して成ることを特徴とする積層装飾フィルム製品が提案されている。
しかし、これらのフィルムには成形温度に耐えるほどの耐熱性がなく、成形温度で発泡したり、フィルムの収縮などにより剥がれを生じたりして、その発泡跡がハードコート表面に凹凸として残り表面を保護できなかった。たとえ賦型の際に保護フィルムにダメージがなくても、トリミングした後の射出工程で射出溶融樹脂の高熱により保護フィルムが発泡または溶融し、それが金型内の圧力で押されてハードコート表面に傷や発泡跡などの凹凸を生じ、ハードコートの外観を損ねるだけでなく、基材フィルムの溶融により金型に樹脂が融着して汚染する不具合があった。また、プレス成型においても金型表面に付着した異物がハードコート表面に押し付けられ凹凸を生じることがあった。
これらの加飾シートのハードコート層の表面に印刷、真空成型、トリミング、射出成型またはプレス成型の全行程で貼り付けたままで、ハードコート表面のトリミングによるバリやインキ片等の異物の混入によって生ずる凹凸を防止できる耐熱性、成型性に優れた加飾シート用保護フィルムが求められている。
特開2011−161871号公報 特開2010−125645号公報 特開2011−161692号公報 特開2012−210755号公報 特開2010−126633号公報 特開2002−347179号公報 特開2007−331185号公報 WO97/48776号公報
加飾シート製造時の(1)ブロッキング防止、(2)傷付防止、(3)印刷時、成型時の傷付防止、(4)トリミング時、(5)射出成型時の金型跡防止、(6)成型後加飾成型体が使用に供されるまでの汚れ防止等の点から、成形後に剥離可能な加飾シート用保護フィルムを加飾シート上に設け、成形後に剥離することにより外観に優れた加飾シートを得ることを目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、特定の加飾シート用保護フィルムが前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも基材と粘着剤層とを有する加飾シート用保護フィルムであって、粘着剤層が、(メタ)アクリル系樹脂(a)と、アジリジン系硬化剤(b)とを含有する組成物からなることを特徴とする加飾シート用保護フィルムに関する。
また、本発明は、粘着剤層が、(メタ)アクリル系樹脂(a)の配合量100重量部に対して、アジリジン系硬化剤(b)を0.1〜15重量部含有する組成物からなることを特徴とする前記の加飾シート用保護フィルムに関する。
また、本発明は、粘着剤層Bが、(メタ)アクリル系樹脂(a)の配合量100重量部に対して、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のセルロース(c)を1〜60重量部含有する組成物からなることを特徴とする前記の加飾シート用保護フィルム。
また、本発明は、基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ウレタン、ポリプロピレンから選ばれる1種、または2種以上を積層することを特徴とする前記の加飾シート用保護フィルムに関する。
また、本発明は、前記の加飾シート用保護フィルムの粘着剤層の面に、加飾シートが積層されてなることを特徴する保護フィルム付加飾シートに関する。
本発明により、加飾シートのハードコート表面に傷や凹凸がない、外観に優れた加飾成型品を提供することが出来る。
本発明の加飾シート用保護フィルムの構成例を示す模式的断面図。 本発明の加飾シート用保護フィルムの構成例を示す模式的断面図。 本発明の加飾シート用保護フィルムの構成例を示す模式的断面図。 本発明の加飾シート用保護フィルムの構成例を示す模式的断面図。 本発明の加飾シートの構成例を示す模式的断面図。 本発明の加飾シートの構成例を示す模式的断面図。 本発明の加飾シートの構成例を示す模式的断面図。 本発明の加飾シートの構成例を示す模式的断面図。 本発明の加飾シートの構成例を示す模式的断面図。 本発明の加飾シートの構成例を示す模式的断面図。 本発明の加飾シートの構成例を示す模式的断面図。
以下に加飾シート用保護フィルムの詳細について述べる。
[加飾シート用保護フィルム]
本発明の加飾シート用保護フィルムは少なくとも基材と粘着剤層からなり、粘着剤に使用される樹脂は、粘着剤の主たる構成成分であり、(メタ)アクリル系樹脂(a)を使用することができる。
((メタ)アクリル系樹脂(a))
本発明で使用される樹脂のうち、(メタ)アクリル系樹脂は(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基もしくはその無水物を有する重合性モノマー、アルキル(メタ)アクリレート[ メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等] 、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドなど、(メタ)アクリル系モノマーから選択されたモノマーのホモポリマー、並びに2種以上選択するコポリマー、ターポリマー等の多元ポリマーがある。
更に、前記(メタ) アクリル系モノマーと酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタム、スチレン等の(メタ) アクリル系モノマー以外のビニル化合物とのコポリマーが挙げられる。
これらは、有機過酸化物系重合開始剤や、アゾ系重合開始剤などのラジカル重合開始剤などを用いて、40〜100℃の温度下、2〜8時間反応させて得られ、重量平均分子量(Mw)が10万から100万のものを好適に用いることができる。
(アジリジン系硬化剤(b))
本発明の粘着剤層に用いる硬化剤は、カルボキシル基と反応し得る官能基を有する化合物を用いる。この場合架橋剤として、例えば、ビスアミド系架橋剤(例えば、1,1’−イソフタロイル−ビス(2−メチルアジリジン))、アジリジン系架橋剤(例えば、日本触媒製ケミタイトPZ33、アビシア製NeoCryl CX−100)、カルボジイミド系架橋剤(例えば、日清紡製カルボジライトV−03,V−05,V−07)、エポキシ系架橋剤(例えば綜研化学製E−AX,E−5XM,E5C)、イソシアネート系架橋剤(例えば、日本ポリウレタン製コロネートL、コロネートHK、バイエル社製デスモジュールH、デスモジュールW、デスモジュールI)等を用いることができるが、特にアジリジン系硬化剤を含有することを特徴とする。
本発明で使用されるアジリジン系硬化剤としては、分子内に少なくとも2個以上のアジリジン基(アジリジニル基)を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)ブチレート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)−2−メチルプロピオネート]、ペンタエリスリトール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラ[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリス(1−(2−メチル)アジリジニル)フォスフォンオキサイド、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、エチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ポリエチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、プロピレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ポリプロピレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、テトラメチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ポリテトラメチレングリコール−ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、N,N’−テトラメチレンビスエチレン尿素、N,N’−ヘキサメチレンビスエチレン尿素、N,N’−フェニレンビスエチレン尿素、N,N’−トルイレンビスエチレン尿素、N,N’−ジフェニル−4,4’−ビスエチレン尿素、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ビスエチレン尿素、ジフェニルメタンP,P−ビスエチレン尿素、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、ビス[1−(2−エチル)アジリジニル]ベンゼン−1,3−カルボン酸アミド等が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)ブチレート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン−トリス[3−(1−アジリジニル)−2−メチルプロピオネート]、ペンタエリスリトール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラ[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]などのようなアジリジニル基を3個またはそれ以上有するポリアジリジンが好ましく使用される。また、多官能性アジリジン化合物として、アジリジニル基と反応可能な官能基を2個以上有するポリエステルおよびポリカーボネートから選ばれる少なくとも1種とアジリジニル基を2個以上有するアジリジン化合物とを反応させてなる、アジリジンプレポリマーを用いてもよい。更に、樹脂(a)が水酸基を有する場合、イソシアネート架橋剤を併用することもできるが、耐熱性は低下する。
硬化剤は、樹脂(a)100重量部に対して0.1〜15重量部含有することが好ましく、樹脂(a)中の官能基1モルに対し、1.1モル以下、好ましくは0.01〜0.8モルの範囲が物性とのバランスから好ましい。粘着力を小さくしたい場合には硬化剤を多く、また粘着力を大きくしたい場合に硬化剤を少なく配合することができる。
(セルロースc)
本発明に使用される粘着剤には、セルロースを使用することができる。
本発明の粘着剤に使用できるセルロース(c)は、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート(以下、CABともいう)、セルロースアセテートプロピオネート(以下、CAPともいう)のいずれかであり、CAB、CAPが好ましく、2種以上を併用することもできる。
尚、セルロースとして、ニトロセルロース(以下、NCともいう)やエチルセルロース等の使用も剥離速度依存性を小さくする効果は期待できるが、前記したように160℃以上の温度をかけると、黄変したり、一部分解したり、凝集破壊を起こしたりして、再剥離性を落とすなど、耐熱性に難点がある。
本発明に使用される粘着剤は、樹脂(a)100重量部に対し、上記セルロース(c)を1〜60重量部含有させることが出来、10〜50重量部含有することが好ましい。
セルロース(c)が1重量部未満では、高速剥離時の剥離力が著しく大きくなり、保護フィルムなどを剥離する際の作業性が低下する。一方、セルロース(c)が60重量部を越えると、剥離力自体は剥離速度の影響を受けにくくなるが、粘着剤層自体が硬くなりすぎ、粘着剤としての性能確保が難しい。
樹脂(a)100重量部に対し、上記セルロース(b)を1〜60重量部含有すれば、剥離力が剥離速度の影響を受けにくくなる。
また、低速剥離時の剥離力は、10〜1000mN/25mmの範囲であることが好ましい。
(有機溶剤)
本発明に使用される粘着剤は、再剥離性粘着剤であり、溶剤型、即ち有機溶剤可溶型であり、有機溶剤を含有するものである。有機溶剤としては種々のものを用いることができる。例えば、トルエン、酢酸エチルを主体とし、メチルエチルケトン、アセトン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ゴム揮発油、ヘキサン、ヘプタン、酢酸ブチルなどを適宜使用できる。
この他、一般的に粘着剤に使用される粘着付与樹脂、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤、ぬれ剤、難燃剤、各種薬剤等の添加剤の他、硬化剤、硬化促進剤なども併用することができる。
粘着付与剤の例としては、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジンおよびそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)など既存の全てのものが使用可能である。可塑剤としては、フタル酸エステル類、リン酸エステル類など公知のものが使用できる。
(粘着剤層)
粘着剤層は、上記した溶剤に溶解した粘着剤から形成される粘着剤層が保護フィルムの基材の片面に均一に設けられたものであり、種々の製造方法でつくられる。
例えば、剥離処理をした紙製セパレーターやポリラミグラシン紙セパレーター、剥離処理をしたポリエチレンテレフタレート(PET)セパレーター、剥離処理をしたポリオレフィンセパレーター等のフィルムセパレーターに、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リップコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スピンコーター、シルクスクリーン塗工機等、既知の塗工機を用いて粘着剤を塗工し、乾燥し、粘着剤層を形成し、次いで粘着剤層に保護フィルムの基材をロールラミネートで貼り付ける。
もしくは、保護フィルム基材が溶剤で膨潤あるいは溶解することや乾燥温度で収縮する等の懸念がなければ保護フィルム用基材に粘着剤を塗工し、剥離性基材をロールラミネートで貼り付けても差し支えない。
以上の様に作成した加飾シート用保護フィルムから剥離処理した基材を剥離した後加飾シート上のハードコート表面にロールラミネートする。
さらに、硬化したハードコート層に直接粘着剤を塗工し、保護フィルム用の基材をロールラミネートしても差し支えない。
粘着剤層の厚みは乾燥膜厚で1〜100μmの範囲で粘着力、保持力、再剥離性を鑑みて適宜設定すればよく、より好ましくは5〜50μmの範囲が耐熱性、粘着力、保持力、再剥離性、溶剤の乾燥性の点から望ましい。5μm以下では粘着力が弱く、成形途中で剥がれを生じる可能性があり、50μm以上では再剥離性が低下する可能性がある。
(基材)
加飾シート用保護フィルムの基材としては、加飾シートを印刷、成型する際に外観変化がなく、かつ寸法変化が小さい基材が好ましく、また真空成型、圧空成型、真空圧空成型における成形加工出来るものが好ましい。更に射出成形時にトリミングした際に発生するバリ(加飾シートの破片)やインキ片(インキが乾燥してできた膜の破片)が、表面に付着した時に、加飾シートのハードコート層とは反対側の成型樹脂の背面に射出される溶融樹脂の圧力(金型内圧力)を緩和し、吸収する性質を持つことが好ましい。また、ハードコートの平滑性を保持するために、ハードコート面と接する基材面は平滑性の高いことが好ましい。
基材はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ウレタン、およびポリプロピレンから選ばれる1種、または2種以上を積層することによって得られるが、この組み合わせは成形温度、加飾シートを形成する成型用プラスチック基材の成型温度(賦型、射出成型)によって変更することが可能であり、2層以上積層する場合はドライラミネート接着剤、粘着剤、ホットメルト接着剤等を2層間に設ければよく、基材が熱可塑性の樹脂であれば加熱ラミネートにより積層されても良い。
この2層間に(メタ)アクリル系樹脂(a)と、アジリジン系硬化剤(b)とを含有する組成物を用いるならば、保護フィルムを積層した構成も可能であり、射出成型前に第一の保護フィルムを剥がし、射出成型後にハードコート表面に設けられた第二の保護フィルムを剥がすこともできる。これにより、トリミング時に付着したインキ膜や成型フィルムの破片等を効率よく除去することができる。
さらに、ハードコート表面にはハードコートを塗工する際にブロッキング防止のためにブロッキング防止用保護フィルムを貼り付けることがあるが、本発明の加飾シート用保護フィルムはそのブロッキング防止用保護フィルムの上に設けることもできる。その場合、射出成形後に加飾シート用保護フィルムとブロッキング防止用保護フィルムを両方とも剥がして加飾成型体とする。
次に加飾シート用保護フィルムの基材として用いるプラスチックフィルムについて述べる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムは結晶性の通常のPET(PET:ポリエチレンテレフタレートの略)の他にA−PET、PETGと呼ばれる非晶性ものがあるが、特に望ましくは易成型PETと呼ばれる成型性を付与したものが望ましく、例えば帝人製テフレックスFT、FT3、FW2、あるいは東レ製ルミラー易成型タイプ等を用いることができ、厚みは16〜50μmのものが好ましい。
ポリブチレンテレフタレートはテレフタル酸(TPA)と1,4−ブタンジオール(1,4−BG)を重縮合させて得られるポリエステル樹脂であり、PETほどの耐熱性はないが、流動性も良好で成形性にも優れる。市販品としては例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社のノバデュランを用いることが出来る。厚みは16〜50μmのものが好ましい。
ポリメチルペンテンは、耐熱性のオレフィンフィルムであり、主にポリ−4−メチルペンテン−1の単層押出、または複層押出フィルムである。市販品としては三井化学東セロのオピュランX−44B、X−88B、X―88BMT4、CR1012、CR1012MT4、CR1040、CR2031MT4等がある。これらポリメチルペンテンフィルムは耐熱性が高く、成型性もあり、ガス透過性もあるため発泡しにくく、好適に用いることが出来る。
ウレタンフィルムは熱可塑性のフィルムを用いることが出来る。ウレタンの耐熱性は余り高くないが、加熱時の外観変化が少なく、伸長性があり、成型にも追随するため用いることが出来る。硬度が「JIS K6253」に準拠した「タイプA」の硬度が90A以上のものが望ましく、硬度が低いと射出成型時に金型に貼り付いて金型を汚す等のトラブルを生じる。
ポリプロピレンフィルムは2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)または無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)が耐熱性、寸法安定性の面から望ましく、表面平滑性も高く出来るため好適に用いることが出来る。市販品としては王子エフテック製のFG201、E−201F等の平滑性の高いOPP、三井化学東セロのCPグレード(CPP)等を用いることが出来る。
基材の厚みは層厚で30〜1000μmの範囲で適宜設定すればよく、より望ましくは100〜300μmが成形性、耐熱性の点から望ましい。300μm以上になると射出成形時の粘着剤が金型表面で冷却されにくくなり粘着剤の耐熱性が厳しくなることや成型フィルムに反りを生ずる等の不具合が出やすい。
(加飾シート用保護フィルムの形成)
加飾シート用保護フィルムは上記加飾シート上に常温ロールラミネート・熱ロールラミネートまたはコーティング等で設けることによって形成することが出来る。
・加飾シート用保護フィルム態様
加飾シート用保護フィルムには以下態様がある。
図1に、基材11と粘着剤層12の2層構成からなる保護フィルム101を示す。
図2に2種類の基材11aと基材11bを粘着剤12aにより接着した構成からなる保護フィルム102
図3に2種類の基材11aと基材11bを接着剤13により接着した構成からなる保護フィルム103
図4に2種類の基材2種類11aと11bを共押出しまたは加熱ラミネートにより接着した基材層と粘着剤層12の構成からなる保護フィルム104。
・加飾シート用保護フィルムの製法
加飾シート用保護フィルムは以下の製法により加飾シート上に設けることが出来る。
1)剥離処理をされたフィルムに粘着剤溶液を塗工し、80〜100℃で熱風乾燥した後、基材フィルムとラミネートし、1週間室温〜100℃でエージングさせる。その後剥離フィルムを剥離して、加飾シートのハードコート層にラミネートすることによって貼り付ける。
2)加飾シートのハードコート層もしくはハードコート層の上に張り付けられたブロッキング防止フィルム上に粘着剤溶液を塗工し、80〜100℃で熱風乾燥した後保護フィルムの基材フィルムをラミネートし、1週間室温〜100℃でエージングさせる。
3)基材フィルム上に粘着剤溶液を塗工し、80〜100℃で熱風乾燥した後加飾シートのハードコート層もしくはハードコート層の上に張り付けられたブロッキング防止フィルム上にラミネートし、1週間室温〜100℃でエージングさせる。
以上の製法に限定されるものではないが、最後、保護フィルムとしてハードコート層から粘着剤を残さずきれいに剥がすためには1)の製法が望ましい。
[加飾シート]
次に加飾シート用保護フィルムを貼り付ける加飾シートについて述べる。
(ハードコート層)
加飾シートのハードコート層形成用組成物は、基本的にはこの種のインサート成形用フィルムにおいて従来から公知の組成物を特に制限無く使用することができ、典型的には、紫外線硬化型樹脂(d)と光重合開始剤(e)とを含有してなる紫外線硬化タイプのものと熱硬化樹脂(f)と硬化剤(g)による熱硬化タイプに分類される。
(紫外線硬化タイプのハードコート層)
紫外線硬化タイプの紫外線硬化型樹脂(d)としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(オリゴマー)、エポキシ(メタ)アクリレート(オリゴマー)、ポリエステル(メタ)アクリレート(オリゴマー)、ポリエーテル(メタ)アクリレート(オリゴマー)、(メタ)アクリレート(オリゴマー)等からなる群から選ばれる1種又は2種以上を使用できる。
光重合開始剤(e)は、紫外線(UV)によりハードコート層形成用組成物を硬化させて塗膜を形成する際の、重合開始剤として用いられる。光重合開始剤(e)としては、紫外線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。これら光重合開始剤(e)は、1種のみを使用しても良いし、2種以上を混用することもできる。
(熱硬化タイプ)
熱硬化タイプのハードコート層は、一般には水酸基を有するアクリル系共重合体(f)とイソシアネート系硬化剤(g)を含む塗料を塗工して硬化させることにより得る。これにより、熱可塑性のアクリル系樹脂を溶融押出しにより得られるアクリル系樹脂フィルムでは得られない、成型性と表面硬度を両立できる。また、UV硬化型アクリル系樹脂フィルムでは得られない耐光性を確保することができる。
<水酸基を有するアクリル系共重合体(f)>
水酸基を有するアクリル系共重合体(f)は、水酸基を有するモノマーと水酸基を有さない他のモノマーとを共重合することにより得られる。即ち、アクリル共重合体(f)は、水酸基を有するモノマー由来のユニットと他のモノマー由来のユニットからなるとの共重合体である。
水酸基を有するアクリル系共重合体(f)の重合に供され、前記アクリル系共重合体(f)を構成することとなる水酸基を有するモノマー100mol%のうち、1つの水酸基を持つモノマーの含有率は50mol%以上とする。モノマー仕込み比は、ポリマーの組成比とほぼ等しくなるので、実質上、アクリル共重合体(f)を構成する水酸基を有するモノマー由来のユニット100mol%中、1つの水酸基を持つモノマー由来のユニットの含有率が50mol%以上となる。
1つの水酸基を持つモノマーを用いることにより、水酸基を導入したアクリル系共重合体(f)をイソシアネート硬化剤(g)と硬化させた場合、ハードコート層の層内での架橋がより均一となる。2つ以上の水酸基を持つモノマーの利用により水酸基を導入した共重合体は、共重合体の1つの側鎖に複数の水酸基を持つために、イソシアネート系硬化剤(g)との硬化反応が1つの側鎖内で生じる可能性がある。従って、1つの側鎖に1つの水酸基を持つ共重合体の利用による分子間架橋の場合よりも、硬化塗膜の耐摩耗性や耐薬品性が劣る。
1つの水酸基を持つモノマーとしては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトンが付加した化合物などが挙げられ、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトン付加した化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン1モル付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン2モル付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン3モル付加物などの炭素数が1〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物などが挙げられる。これらの水酸基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
2つ以上の水酸基を持つモノマーとしては、例えば、1,1−ジヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、1,2−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートや、一分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリロイル系モノマーに、エポキシ基と反応し得る官能基を一分子中に1個及び水酸基を有する化合物もしくは水を反応させ、エポキシ基の開環により得られるモノマーなどが挙げられる。これらの水酸基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
アクリル系共重合体(A)の水酸基価は5〜210mgKOH/gであることが好ましい。アクリル系共重合体(A)の水酸基価が5mgKOH/g以上であることで、硬化膜の耐久性が確保でき、また、210mgKOH/g以下であることで、硬化膜の成型性が確保できる。基材との密着性の観点から、例えば、ポリカーボネート系基材上にアクリル系共重合体からなる塗料を塗工し積層させる場合は、アクリル系共重合体(A)の水酸基価は、50mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が50mgKOH/gであることでハードコート層とポリカーボネート系基材層とが良好に密着する。また、その他の基材を用いる際は、150mgKOH/g以下であることがより好ましい。後述するようにハードコート層を単離(キャストフィルムという)し、接着剤を用いて基材層と貼り合わせる場合、膜強度の観点から、水酸基は50mgKOH/g以上であることが好ましく、さらには、70mgKOH/g以上であることがより好ましい。
水酸基を有しない他のアクリル系モノマーとしては、次に示すような種々のモノマーを挙げることができる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル( メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、tert−ブチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
脂環式炭化水素基を有するモノマーとしては、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、 ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジルアクリレート、α−メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。
水酸基を有するアクリル系共重合体(f)は、前記した種々のモノマーのうち、メタクリレート系のモノマーを重合してなるものであることが好ましい。
モノマーを重合させる方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられる。これらの重合方法のなかでは、得られる反応混合物をそのまま使用することができることから、溶液重合法が好ましい。
以下に、モノマーを溶液重合させることによって水酸基を有するアクリル系共重合体(f)を調製する場合の一実施態様について説明する。
モノマーを溶液重合させる際に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;n−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、エチルセロソルブなどのアルコール系溶媒; 酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。溶媒の量は、単量体混合物の濃度、目的とするアクリル系共重合体の分子量などに応じて適宜決定することが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどが挙げられる。重合開始剤の量はモノマー混合物100質量部あたり、通常、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.05〜10質量部である。質量平均分子量(Mw)を100,000以上とする場合には、重合開始剤の量は0.05〜0.1質量部とすることが好ましい。
モノマーを重合させる際の重合温度は、通常、好ましくは40〜200℃ 、より好ましくは40〜160℃である。質量平均分子量(Mw)を100,000以上とする場合には、重合温度は90℃以下が好ましい。
モノマーの重合時間は、重合温度、モノマー混合物の組成、重合開始剤の種類およびその量などによって異なるので一概には決定することができないため、それらに応じて適宜決定することが好ましい。
アクリル系共重合体(f)は、酸価を有していてもよい。酸価を有することで、水酸基とイソシアネートとの反応が促進されるため、耐久性が高い硬化膜を得ることができる。酸価を付与する場合、アクリル系共重合体(f)の酸価は20mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が20mgKOH/g以下であることで、成型性を損なうことなく耐久性を付与することができる。酸価は15mgKOH/g以下であることがより好ましい。
アクリル系共重合体(f)に酸価を付与する方法としては、酸価を有するモノマーと他のモノマーとを共重合することにより得られる。酸価を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−ヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートなどが上げられ、中でも(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。
アクリル系共重合体(f)は、ガラス転移温度が0〜95℃であり、80℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃以上であることにより、良好な耐擦傷性と耐摩耗性が得られ、95℃以下であることにより、良好な成型性が得られる。アクリル系共重合体(f)のガラス転移温度は、前記水酸基含有モノマー、酸性官能基含有モノマーとともに共重合する他のモノマーの組成比によって決まる。
なお、ここで言うガラス転移温度とは、アクリル系共重合体(f)の溶液を乾燥させて固形分を100%にした樹脂について、示差走査熱量分析(DSC)によって測定したガラス転移温度のことを示す。
アクリル系共重合体(f)の質量平均分子量(Mw)は100,000〜1,000,000であり、200,000〜800,000であることが好ましい。
<イソシアネート系硬化剤(g)>
イソシアネート系硬化剤(g)は、前述の水酸基を有するアクリル系共重合体(f)中の架橋性官能基である水酸基と反応し、架橋した硬化樹脂層を形成する。ハードコート層を形成するための塗料におけるアクリル系共重合体(f)とイソシアネート系硬化剤(g)の配合比は、水酸基を有するアクリル系共重合体(A)100質量部(固形分)に対して、イソシアネート系硬化剤(g)中のイソシアネート基とアクリル系共重合体(f)中の水酸基との比が、NCO/OH=1/2〜3/1であることが好ましい。
イソシアネート系硬化剤(g)は、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有することが重要であり、例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。中でも、加飾シートの黄変を防止する点から、脂肪族イソシアネート系硬化剤を用いることが好ましい。イソシアネート系硬化剤(g)は、1種類でもよく、2種類以上の硬化剤を併用してもよい。また、加飾シートの物性に影響を与えない範囲で、他の水酸基と反応する硬化剤を用いてもよい。
芳香族イソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4',4"−トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族イソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる
これらイソシアネート系硬化剤はさらに、上記イソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記イソシアネートのビュレット体やイソシアヌレート体、更には上記イソシアネートと公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体として用いることが好ましい。
これらイソシアネート系硬化剤(g)の中でも、意匠性の観点から、低黄変型の脂肪族または脂環族のイソシアネートが好ましく、硬化被膜の被膜強度の観点からは、アダクト体が好ましい。より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のアダクト体、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)のアダクト好ましい。また、これらの混合体も好適に用いられる。
また、ハードコート層形成用の塗料の保存安定性の観点から、ブロック化イソシアネート硬化剤を用いてもよい。ブロック化イソシアネート硬化剤としては、上記の非ブロック化イソシアネート硬化剤を種々のブロック化剤でブロックしたものが用いられ、ブロック化剤としては80℃〜120℃程度の比較的低温で乖離するものが好ましい。また、非ブロック化イソシアネート硬化剤を用いる場合には、水酸基を有するアクリル系共重合体(f)とイソシアネート系硬化剤(g)とは別々にパッケージングして、使用する直前に混合して使用する方法が好適に用いられる。
<ハードコート層を形成するための塗料>
塗料は、アクリル系共重合体(f)、イソシアネート系硬化剤(g)の他、溶剤を含む。溶剤の種類は特に限定されず、公知のものを使用できるが、アクリル系共重合体(f)やイソシアネート系硬化剤(g)の溶解性の観点から、有機溶剤であることが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、などの芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒などが挙げられる。
溶剤の沸点は50℃〜200℃ のものを用いることが好ましい。沸点が50℃よりも低いと、硬化性組成物である塗料を基材フィルムに塗布する際に溶剤が揮発しやすく、固形分が高くなって均一な膜厚で塗布することが難しくなる。沸点が200℃よりも高いと、溶剤を乾燥し難くなる。なお、溶剤は2種以上用いてもよい。
(加飾シート基材層)
加飾シート基材層は、ハードコート層や後述するその他の着色層や接着剤層などを支持する役割を果たす。
加飾シート基材層は、支持体としての役割を果たすフィルムであれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、アルミニウム箔、紙などが挙げられ、1種または複数種類が積層されたものを使用することができる。特に、透明性、成型性の観点から、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムであることが好ましい。これらのフィルムにおいても、単独で用いることも複数種類が積層されたものを用いることもでき、例えば、ポリカーボネート(PC)上にポリメチルメタクリレート(PMMA)が共押し出しされたPMMA/PCフィルムや、ポリカーボネートフィルムとポリエステルフィルムが接着剤でラミネートされたフィルムなどを用いることもできる。なお、ポリカーボネートフィルムは成型性が良く、ポリエステルフィルムは耐溶剤性(有機溶剤、日焼け止めクリームなどに対して)が良く、ポリメチルメタクリレートフィルムは硬度が良いという特徴があるため、使用用途によりフィルムやその組み合わせを適宜選択して使用することができる。
(接着剤層)
加飾シートは、後述するようにさらに接着剤層、着色層を設けることができる。接着剤層は、前述のように、ハードコート層と基材層との間に設けハードコート層と基材層とを貼り合わせるために用いる他、複数の基材層を用いる場合や、着色層を用いる場合に、種々の層を貼り合せるためにも用いられる。
例えば、接着剤層を用いて第一の基材層と第二の基材層とを貼り合わせることができる。
接着剤層を構成する接着剤は特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば熱硬化型接着剤、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ホットメルト粘着剤などが挙げられ、これらのものを1種類又は2種類以上併用して用いることができる。
これら接着剤を構成する成分は特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン―酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、天然ゴムなどが挙げられ、本発明の粘着剤層である(メタ)アクリル系樹脂(a)と、アジリジン系硬化剤(b)を含有する組成物を用いることも可能であり、1種類又は2種類以上併用して用いることができる。
接着剤層を設ける方法を説明する。接着剤層は、溶剤を含む接着剤を基材層やハードコート層に直接塗工・乾燥して設ける方法や、溶剤を含まない接着剤を熱で軟化させ、基材層やハードコート(HC)に塗工・冷却し設ける方法や、溶剤を含む、もしく含まない接着剤を剥離性シート上に上記方法で塗工し、接着性シートを設けた後、接着の対象物の間に前記接着性シートを挟む方法などにより設けることができる。接着剤層を設けた後に、さらにエージング処理を施してもよい。また、接着剤層の厚さは特に限定されず、接着力が確保できる厚みを任意に設定して設けることができるが、接着力、耐久性とのバランスから、1〜200μmの範囲であることが好ましい。
前記接着剤を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、コンマコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、リップコーティング、スプレーコーティングなど挙げることができる。
(着色層)
加飾シートはさらに着色層を設けてもよい。着色層は、加飾シートに意匠性を持たせるために積層され、ハードコート層と基材層との間、基材層のハードコート層と他方の面など、加飾成型体とした際に、最外層にならない位置であれば自由に設けることができる。また、着色とは、単一の色以外にも、絵・図柄、金属調、文字、模様など様々な装飾を含む意であり、異なる着色層を複数積層させてもよい。
着色層を得る方法を説明する。着色層は着色塗料を基材層に塗工し乾燥して得る方法、基材層に塗工、乾燥、エージングを行い得る方法、基材層に塗工し光照射して得る方法、基材層に印刷し乾燥して得る方法、基材層に印刷し光照射を行い得る方法、基材層に金属を蒸着して得る方法などが挙げられる。着色層の厚さは、意図した色、柄などが認識できる厚みであれば特に限定されないが、成型性の観点から500μm以下であることが好ましい。
前記着色層を基材上に設ける方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、コンマコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、リップコーティング、スプレーコーティング、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、蒸着など挙げることができる。
加飾シートは、真空成型、圧空成型、TOM成型、射出成型、インモールド成型、プレス成型、スタンピング成型など様々な成型方法で加飾成型体を作製することができる。
(加飾シートの態様)
加飾シート用保護フィルムを貼り付ける対象のハードコート層を設けた加飾シートには様々な態様がある。その態様の具体例を図に基づいて説明する。図5〜11に示す図はいずれもハードコートを塗工する時に貼り付けるブロッキング防止用保護フィルムを剥がした後の図であり、加飾シート用保護フィルムはブロッキング防止用保護フィルムの上に設けられ、射出成形後に剥がされるケースもある。
に、ハードコート層10と基材層1の2層構成からなる加飾シート201を示す。
に、ハードコート層10と2層の第一基材層1a、第二基材層1bの積層体からなる加飾シート202を示す。第一の基材層1a、第二基材層1bは、例えば共押出しで設けることができる。
に、ハードコート層10と基材層1の間に接着剤層が挟持された加飾シート203を示す。
に、ハードコート層10と基材層1とを有し、基材層1のハードコート層10との対向面側に着色層3を有する加飾シート204を示す。
に、ハードコート層10と基材層1と着色層3とを有し、ハードコート層10と基材層1との間に着色層が挟持された積層体からなる加飾シート205を示す。
10に、ハードコート層10と基材層1と接着剤層2と着色層を有し、ハードコート層10と基材層1との間に接着剤層2が挟持され、基材層1の接着剤層2との対向面側に着色層3を有する加飾シート206を示す。
11に、ハードコート層10、第一の基材層1a、第二の基材層1b、第一の接着剤層2a、第二の接着剤層2bとからなり、第一の接着剤層2aがハードコート層10と第一の基材層1aとの間に、第二の接着剤層2が第一の基材層1aと第二の基材層1bとの間に位置する加飾シート207を示す。
[加飾成型体]
加飾成型体とは、前記加飾シートで表面が覆われた成型体等の被加飾体であり、被覆される被加飾体の素材に特に限定はなく、公知の素材を使用することができる。
被加飾体として用いることのできる素材の例として、木材、紙、金属、プラスチック、繊維強化プラスチック、ゴム、ガラス、鉱物、粘土などあげることができ、1種類又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられ、1種類又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
繊維強化プラスチックとしては、例えば、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチック、ポリエチレン繊維強化プラスチックなどが挙げられ、1種類又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
金属としては、例えば、熱延鋼、冷延鋼、亜鉛メッキ鋼、電気亜鉛めっき鋼、溶融亜鉛めっき鋼、合金化溶融亜鉛めっき鋼、亜鉛合金めっき鋼、銅めっき鋼、亜鉛―ニッケルめっき鋼、亜鉛―アルミめっき鋼、鉄−亜鉛メッキ鋼、アルミメッキ鋼、アルミニウム−亜鉛メッキ鋼、スズめっき鋼等、アルミ、ステンレス鋼、銅、アルミ合金、電磁鋼などが挙げられ、1種類又は2種類以上組み合わせて使用することができる。また、金属の表面に防剤層などが設けられていてもよい。
加飾シートと被加飾体と一体化する方法に特に限定はなく、公知の一体化方法で一体化させることができる。一体化方法として、例えば、インサート成型、インモールド成型、真空成型、圧空成型、TOM成型、プレス成型などを用いることができる。
保護フィルム付加飾シートを所望の形状に予備成型した後、ハードコート層側が最外層になるように、プラスチックや繊維強化プラスチックを射出成型し、加飾成型体を得る。あるいは、プラスチック、繊維強化プラスチック、金属から成型体を得ておき、該成型体の表面に、保護フィルム付加飾シートを、もしくは加飾シート所望の形状に予備成型した予備成型体を、ハードコート層側が最外層になるように貼り付け得ることもできるが、本発明の加飾シート用保護フィルムが特に効用を発揮するのはハードコート表面に大きな圧力で異物が金型内部に押付けられるインサート成形、インモールド成形、プレス成型においてであり、異物によって生ずる凹凸を防止することが出来る。
塗工、乾燥、エージング、成型一体化などの各工程で生じうる外観不良を保護するために加飾シートのハードコート層上に本発明の保護フィルムを設け、得られた加飾成型体が使用される場面においては、保護フィルムは剥離する。
以下、実施例および比較例(表1)を掲げ、本発明の実施の形態をさらに詳しく説明する。尚、本発明は詳細な説明に従い、これらの実施例のみに限定されるものではない。
まず加飾シートの作成方法について述べる。加飾シートはアクリル系共重合体Aを合成した後、イソシアネートを配合してハードコート溶液を調整した後、その溶液をポリカーボネートシート上に塗工した。
[加飾シートの作成]
(ハードコート用樹脂の合成)
合成例A「アクリル系共重合体A溶液」
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルイソブチルケトン(MIBK)を150部仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら昇温した。フラスコ内の温度が74℃になったらこの温度を合成温度として維持し、メタクリル酸メチル30部、メタクリル酸シクロヘキシル61.21部、メタクリル酸n−ブチル31.33部、メタクリル酸0.77部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル5.79、ファンクリルFA−711MM(日立化成社製、メタクリル酸−ペンタメチルピペリジニル)を1部、アゾビスイソブチロニトリル0.07部を混合したモノマー溶液を2時間掛けて滴下した。モノマー滴下終了1時間後から1時間毎に、アゾビスイソブチロニトリルを0.02部ずつ加えて反応を続け、溶液中の未反応モノマーが1%以下になるまで反応を続けた。未反応モノマーが1%以下になったら冷却して反応を終了し、固形分約40%のアクリル系共重合体A−1溶液を得た。アクリル系共重合体A−1は、ガラス転移温度:70℃、酸価:5mgKOH/g、水酸基価:25mgKOH/g、数平均分子量:70,000、質量平均分子量:300,000、多分散度:4.1であった。固形分は溶剤を揮発させた前後の重量変化で求めた。ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量分析(DSC)装置により求めた。酸価、水酸基価はアルコール性水酸化カリウム溶液の滴定により求めた。数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)は昭和電工社製 Shodex GPC−104/101システムを用いて測定した。得られたMnおよびMwから以下の式によって多分散度を求めた。
多分散度=Mw/Mn
(ハードコート用塗料の作成)
アクリル系共重合体(A−1)100重量部に対し、ポリイソシアネート化合物としてデュラネート「P301−75E」(旭化成ケミカルズ社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアネート体)を15重量部、レべリング剤としてBYK−300(ビックケミージャパン(株)製)、0.8重量部加え、更にメチルイソブチルケトンで希釈して固形分30%としハードコート用塗料(HC−1)を作成した。
(ハードコートの塗工)
ハードコート用塗料(HC−1)を、厚さ300μm、A4サイズのポリカーボネート系基材(帝人製 パンライト0.3t 2151)の片面に乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、100℃のオーブン中で1分間乾燥して溶剤類を揮発させた。次いでブロッキング防止用フィルムとしてポリエチレンテレフタレート(FT3PE 25μm、帝人製)を80℃で熱ラミネートした後50℃の恒温室に4日間放置して、アクリル系共重合体とポリイソシアネート化合物との反応を進行(エージング)させ、ブロッキング防止用フィルムを剥がし加飾シートを得た。
なお、 実施例16ではエージング後もブロッキング防止用フィルムを剥がさずにブロッキング防止用フィルムの上に加飾シート用保護フィルムを室温でロールラミネートしてサンプルに供した。
(加飾シート用保護フィルムの作成)
基材は複層構成の場合、表1の組合せに従い、基材1ないし基材2を接着剤または粘着剤を用いて貼り合せた。
Figure 0006724722
実施例、比較例に使用した粘着剤A〜Jは、以下の様に合成、配合した。
また、つづいて粘着剤の調製方法と塗工方法について説明する。
(粘着剤A)
トルエン/酢酸エチル=1/1の溶剤中で2エチルヘキシルアクリレート/ブチルアクリレート/酢酸ビニル/アクリル酸/2ヒドロキシエチルアクリレート=55.0/33.5/10.0/1.0/0.5(重量比)を共重合し、重量平均分子量(以下Mwという)55万のアクリル系共重合体溶液を得た。アクリル系共重合体の固形分100重量部に対し、セルロースアセテートブチレート樹脂CAB551−0.2を20部配合した粘着剤Aの主剤(固形分100重量部)に対し、アジリジン化合物ケミタイトPZ−33(日本触媒(株)製)を硬化剤として0.5重量部配合し、粘着剤Aを得た。
(粘着剤B)
粘着剤Aと同じアクリル系共重合体の固形分100重量部に対し、セルロースアセテートブチレート樹脂CAB551−0.2を20部配合した粘着剤B(固形分41%)の主剤の固形分100重量部に対し、アジリジン化合物ケミタイトPZ−33を硬化剤として0.39重量部配合した以外は粘着剤Aと同様にして粘着剤Bを得た。
(粘着剤C)
粘着剤Aと同じアクリル系共重合体の固形分100重量部に対し、セルロースアセテートブチレート樹脂CAB551−0.2を10部配合した粘着剤C(固形分41%)の主剤の固形分100重量部に対し、アジリジン化合物ケミタイトPZ−33を硬化剤として10重量部配合した以外は粘着剤Aと同様にして粘着剤Cを得た。
(粘着剤D)
粘着剤Aと同じアクリル系共重合体の固形分100重量部に対し、CAP554―0.2(セルロースアセテートプロピオネート:イーストマンコダック社製)を20重量部配合し、粘着剤層Dの主剤溶液(固形分40%)を得た。この粘着剤Dの主剤の固形分100重量部に対し、アジリジン化合物ケミタイトPZ−33を硬化剤として5重量部配合した、粘着剤Dを得た。
(粘着剤E)
粘着剤Aと同じアクリル系共重合体の固形分100重量部に対し、アジリジン化合物ケミタイトPZ−33を硬化剤として3重量部配合した以外は粘着剤Aと同様にして粘着剤Eを得た。
(粘着剤F)
トルエン/酢酸エチル=1/1の溶剤中で2エチルヘキシルアクリレート/ブチルアクリレート/2ヒドロキシエチルアクリレート=65.0/20.0/15.0(重量比)を共重合し、重量平均分子量(以下Mwという)55万のアクリル系共重合体溶液を得た。固形分100重量部に対し、CAP554―0.2(セルロースアセテートプロピオネート:イーストマンコダック社製)を5重量部配合し、粘着剤層Fの主剤溶液(固形分44%)を得た。粘着剤Cの主剤の固形分100重量部に対し、ポリイソシアネート化合物(タケネートTY−10、三井武田ケミカル(株)製)を10重量部配合し、粘着剤F(固形分45%)を得た。
(粘着剤G)
トルエン/酢酸エチル=1/1の溶剤中で2エチルヘキシルアクリレート/ブチルアクリレート/2ヒドロキシエチルアクリレート=65.0/20.0/15.0(重量比)を共重合し、重量平均分子量(以下Mwという)55万のアクリル系共重合体溶液を得た。固形分100重量部に対し、CAP554―0.2(セルロースアセテートプロピオネート:イーストマンコダック社製)を5重量部配合し、粘着剤層Hの主剤溶液(固形分45%)を得た。粘着剤Hの主剤の固形分100重量部に対し、ポリイソシアネート化合物(タケネートTY−10、三井武田ケミカル(株)製)を10重量部配合し、粘着剤Gを得た。
(粘着剤H)
ポリエーテルポリオール樹脂(アデカポリエーテルG3000B、旭電化工業(株)製)とポリイソシアネート(スミジュールN−75、住友バイエルウレタン(株)製)を反応させて得られた、水酸基価13(mgKOH/g)、Mw=15万のポリウレタンポリオール樹脂の固形分100重量部に、セルロースアセテートブチレート樹脂(CAB551−0.2)を10重量部配合して、固形分57%のウレタン系粘着剤を得た。
このウレタン系粘着剤主剤(固形分100重量部)に対し、硬化剤としてポリイソシアネート(スミジュールN−75)5重量部を配合し粘着剤Hとした。
(粘着剤I)
天然イソプレンラバー(商品名ペールクレープラバー、野村貿易(株))38重量部に、ポリブテン樹脂(イデミツポリブテン300R、出光石油化学(株))23重量部、テルペン系粘着付与樹脂(YSレジンPX1150、ヤスハラケミカル(株))を20重量部、酸化亜鉛を19重量部配合したものに、セルロースアセテートブチレート樹脂CAB551−0.01(イーストマンコダック社製)を5重量部配合し、さらにトルエン/酢酸エチル=80/20にて希釈して固形分30%のゴム系粘着剤Iを得た。
(粘着剤J)
粘着剤Aにおいて、セルロースアセテートブチレート樹脂の代わりに、ニトロセルロース(NC H−1/2秒 旭化成(株)製)を固形分の配合量が同一となるよう添加した以外は、同様にして粘着剤Jを得た。
粘着剤A〜Jを剥離シリコーン処理したPETフィルムセパレーター50μm(SP-PET01−50BU:三井化学東セロ製)に塗工量が乾燥膜厚で25g/m2になるよう塗工し、90℃で2分乾燥させ、表1に示した組合せによる基材と室温でロールラミネートした。
(加飾シート用保護フィルム基材)
基材には以下のものを用いた。
ポリエチレンテレフタレート :FT3PE 25μm (易成型PET、帝人製)
FT50 50μm(易成型PET、帝人製)
ポリブチレンテレフタレート:BS−50 25μm (オージーフィルム製)
ポリメチルペンテン:X−44b 50μm (TPX単層フィルム、三井化学東セロ製)、CR1012 150μm(TPX3層フィルム、三井化学東セロ製)
ウレタン:DUS605CER 100μm(TPU無黄変ウレタンフィルム、シーダム製)
ポリプロピレン:RXC−22 100μm (レトルト用無延伸ポリプロピレンフィルム、 三井化学東セロ製)
(市販自己粘着フィルム)
比較例7、8には加飾シート用保護フィルムとして市販のPP系自己粘着フィルムを使用し、以下の共押出無延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。
MH−14(林一二(株)製)
FSA010M(フタムラ化学(株)製)
(保護フィルムの貼り合せ)
表1の組合せによって作成した加飾シート用保護フィルムを、ブロッキング防止用保護フィルムを剥がしてハードコート層上にまたは実施例16においてはブロッキング防止用保護フィルム上に、それぞれ室温で大成ラミネーターを使用して0.2MPaの圧力でロールラミネートした。
実施例11〜13の貼り合わせに用いた接着剤は東洋モートン製TM−K76であり、この主剤と硬化剤CAT−RT85を100:7の比率で混合し、接着剤を固形分30%に調製した。基材1と基材2の貼り合せ面にそれぞれ、春日電気(株)製枚葉式コロナ処理機を用い、テーブルスピード3m/min、0.25KWの出力でコロナ処理を行い、和光純薬工業(株)製濡れ指数標準液No.35を綿棒に浸し、コロナ処理した基材表面に標準液を綿棒で塗って弾きがないことを確認した。表1に従って基材2上に接着剤または粘着剤aを、バーコーターを用いて5μm塗工し、80℃で1分間乾燥した後、基材1をラミネートし、50℃のオーブンで4日間エージングした。
単層構成の基材を用いる場合はフィルムに春日電気(株)製枚葉式コロナ処理機を用い、テーブルスピード3m/min、0.25KWの出力でコロナ処理を行い、和光純薬工業(株)製濡れ指数標準液No.35を綿棒に浸し、コロナ処理した基材表面に標準液を綿棒で塗って弾きがないことを確認し、基材とした。
実施例14と実施例15は基材間の接着に粘着剤Aを用い、トリミング後に基材1を剥離し、射出成形後に基材2を被成型体より剥離した。
実施例16はハードコート上に設けられたブロッキング防止フィルムを剥がさず、その上に加飾シート用保護フィルムをラミネートしたものを用い、射出成型後まで剥がさず貼り付けたままにし、射出成形後被成型体より剥離した。
[加飾シート用保護フィルムの評価]
得られた加飾シート用保護フィルムについて、以下の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
(粘着力の測定方法)
加飾シート用保護フィルムを、加飾シートのハードコート上に試料の幅25mm、23℃50%雰囲気にて貼着し、JIS0237に準じて2Kgロール圧着し20分後に、小型卓上試験機Eztest(島津製作所製)の引張モードで粘着力(90度ピール、引張り速度0.3m/分)を測定した。
(印刷時耐熱性)
加飾シート用保護フィルムを、加飾シートのハードコート上に試料の幅25mm、23℃50%雰囲気にて貼着し、JIS0237に準じて2Kgロール圧着し20分後に保護フィルム付加飾シートを80℃のオーブンに入れ、30分放置し、外観を観察した。
○:発泡無し。
△:若干発泡が見られる。
×:全面に発泡が見られる。
≪耐熱性、成型性の評価≫
真空成形機は布施真空(株)製NGF−0404−T両面真空成形機を用いた。
保護フィルム付加飾シートを、上下2室のチャンバーボックスに分かれた真空成型機の真ん中に、ハードコート層が上に向くようにセットした。下チャンバーボックスには成型金型をセットし、成型金型は、80mm角の大きさで、立ち上がり10mm、コーナー部がR=3mmのトレー状である深絞り成型用の金型を用いた。次に真空ポンプでチャンバーボックス内を真空状態にし、チャンバー上部の加熱ヒーターを点灯し、加飾シートの表面温度が160℃になるまで加熱を続け、加飾シートが熱軟化し、垂れ下がり状態になった時に、下チャンバーボックスの金型を上昇させて、金型を加飾シートが覆った状態にする。
次に、上チャンバーボックスを大気開放状態にする。加飾シートは気圧差により、金型に密着する。上チャンバーボックスに圧縮空気を送入することにより、加飾シートはさらに大きな力で金型に密着させられる。下チャンバーボックスを大気圧状態に戻し、上チャンバーボックスを上昇させ、冷却してから、金型から予備成型物を取り出す。得られた加飾シート用保護フィルムについて、その外観(耐熱性・成型性)を下記の基準で評価した。
(耐熱性)
○:発泡無し。
△:若干発泡が見られる。
×:全面に発泡が見られ射出成型の際に跡が残る。
(成形性)
◎:皺や破れが全く無い。
○:皺や破れが無いが、一部に浮きがみられる。
△:全体の10%に皺や破れが見られる。
×:全体の50%以上に皺や破れが見られる。
(射出成型)
保護フィルム付加飾シートの保護フィルム上に、トリミングによって生じたバリを想定して白の油性マーカー(ぺんてる製ホワイトX100W−MD)を用い5mm四方で厚さ3〜6μmとなるように印を付けた。厚みはデジタル膜厚計(ニコン製デジマイクロ)を用いて測定し確認した。
金型にセットし、テクノポリマー株式会社製のABS/PCアロイ樹脂「エクセロイCK50(商品名)」を用い、温度100℃で4時間かけて予備乾燥した後、三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社製の100トン射出成形機S−2000i 100Aを使用して、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、射出速度250mm/sec、及び保持圧55MPaの条件で、熱可塑性樹脂製の基体を射出成型した。金型は真空成形で賦型に使用した金型に合わせた金型を作成し用いた。
(射出成型時の耐熱性・保護フィルム剥離性・打痕・平滑性・フローの評価)
射出成形後の耐熱性と保護フィルムの剥離性は、射出成型後成型体を取り出し、保護フィルムの剥離性を以下の様に評価した。
成形前/成形後剥離力比=[0.3m/分の射出成形後剥離力]/[0.3m/分の初期剥離力]が以下の範囲になるかどうかで評価した。剥離力は成形体上で加飾シート用保護フィルムを25mm幅に切り取り、小型卓上試験機Eztest(島津製作所製)の引張モードで粘着力(90度ピール、引張り速度0.3m/分)を測定した。
(射出成形時耐熱性)
○:発泡無し。
△:若干発泡が見られる。
×:全面に発泡が見られ、ハードコート表面に跡が残る。
(射出成形後剥離性)
○:1〜3倍
△:3〜5倍
×:5倍以上
また、成型体から保護フィルムを剥がす前の外観から耐熱性を評価した。
打痕跡は、保護フィルムを剥がし成型体の表面に白の油性マーカーで印を付けた部分に凹凸を生じているかで評価した。
(打痕)
◎:凹凸が全くない。
○:わずかな凹凸がある。
△:やや凹凸が目立つ。
×:はっきりと窪んで凹凸になっている。
平滑性は保護フィルムを剥がした後の平滑性を評価した。
(平滑性)
〇:平滑で光沢がある。
△:ややマットになっている。
×:フィルムの変形や皺などの後がある。
フローとは、フィルムの変形・融解や粘着剤の横からのはみ出しにより金型にフィルムまたは粘着剤が付着して金型を汚すことを指し、成型体を金型から外す時、以下の基準で評価した。
(フロー)
〇:金型にフィルムや粘着剤が付着していない。
△:金型にフィルムや粘着剤が少量付着している。
×:金型にフィルムや粘着剤が付着している。
本実施例1〜10により単層のフィルムによる保護フィルム、及び実施例11〜15に複層のフィルムによる保護フィルムにより耐熱性、成型性に優れた保護フィルムが得られ、かつ加飾シートのハードコート層の外観に優れた加飾シートを得ることが出来た。また、実施例14及び15はトリミング後、射出成型前に基材1を剥がし、基材2を貼ったまま射出成型を行ったところ、打痕や傷を生じず良好なハードコート面が得られた。実施例16においては加飾シート上のブロッキング防止用のフィルムに加飾シート用保護フィルムを貼り付けたが、ハードコート層に貼り付けるのと同様に打痕や傷のない良好なハードコート面が得られた。
比較例でアジリジン系硬化剤を添加しないものは印刷、成型の段階で発泡が見られた。また、市販のポリプロピレンフィルムによる自己粘着フィルムは成形時の耐熱性が不足しており発泡したり、自己粘着フィルム自体が収縮し加飾シートから剥がれたりした。
101〜103:加飾シート用保護フィルム
11:基材層
11a:第一の基材層
11b:第二の基材層
12:粘着剤層
12a:第一の粘着剤層
12b:第二の粘着剤層
13:接着剤層
201〜207:加飾シート
10:ハードコート層
1:基材層
1a:第一の基材層
1b:第二の基材層
2:接着剤層
2a:第一の接着剤層
2b:第二の接着剤層
3:着色層


Claims (5)

  1. 少なくとも基材と粘着剤層とを有する加飾シート用保護フィルムであって、粘着剤層が、(メタ)アクリル系樹脂(a)と、アジリジン系硬化剤(b)とを含有する組成物からなることを特徴とする加飾シート用保護フィルム。
  2. 粘着剤層が、(メタ)アクリル系樹脂(a)の配合量100重量部に対して、アジリジン系硬化剤(b)を0.1〜15重量部含有する組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の加飾シート用保護フィルム。
  3. 粘着剤層が、(メタ)アクリル系樹脂(a)の配合量100重量部に対して、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のセルロース(c)を1〜60重量部含有する組成物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の加飾シート用保護フィルム。
  4. 基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ウレタン、およびポリプロピレンから選ばれる1種、または2種以上の層を積層することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の加飾シート用保護フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の加飾シート用保護フィルムの粘着剤層の面に、加飾シートが積層されてなることを特徴する保護フィルム付加飾シート。












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