JP2021194823A - 接着シート、物品及び物品の製造方法 - Google Patents

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彰規 森野
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Abstract

【課題】インサートパーツの背面に被覆樹脂層を射出形成するインサートパーツ形成工程において、局所的な加熱によるインサートパーツの熱ダメージを防ぎ、また、上記工程を経て得られた成形品内での気泡発生を抑制し、意匠性を維持することができる接着シートを提供する。【解決手段】透光性樹脂層と、透光性樹脂層の片面の一部又は全部に設けられた加飾層と、をこの順に有するインサートパーツの上記加飾層側の面に貼付して用いられる接着シート5であって、樹脂層A1と樹脂層B2とを含み、樹脂層Aは、周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での損失正接が所定の範囲にあり、樹脂層Bは、周波数3Hzで測定される200℃での引っ張り貯蔵弾性率および60℃〜200℃の温度領域での損失正接がそれぞれ所定の範囲にある接着剤層(b)である。【選択図】図1

Description

本発明は、接着シート、並びに上記接着シートを用いた物品及び物品の製造方法に関する。
家電製品や自動車等に使用されるオーナメントやロゴマーク等が標された意匠性を有する成形品は、意匠面(表面)側から順番に、透光性樹脂層、及び上記透光性樹脂層の背面の一部又は全部に設けられた加飾層を有するインサートパーツと、上記インサートパーツの背面側を被覆する被覆樹脂層と、が積層された構成となっている。透光性樹脂層は、成形品の表面を傷付き等から保護するために設けられる層であり、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等で形成される。また、加飾層は、成形品に意匠性を付すために設けられる層であり、印刷層や金属蒸着層等が用いられる。
なお、インサートパーツにおいて、透光性樹脂層の加飾層が配置された面側、すなわちインサートパーツの加飾層側の面をインサートパーツの背面とし、加飾層が配置されない面側、すなわち透光性樹脂層側の面をインサートパーツの表面とする。
被覆樹脂層により、インサートパーツの背面を被覆する方法としては、例えば上記透光性樹脂層に加飾層が積層されたインサートパーツが事前に作製され、金型にセット後、被覆用樹脂を溶融温度まで加熱して溶融し、ゲートと呼ばれる射出口からインサートパーツの背面へ溶融した被覆用樹脂を射出して被覆する、いわゆるインサート成形によって被覆される方法が取られる。
これらインサート成形工程においては、1本又は複数本の直径1〜5mm程度のゲートから被覆用樹脂を射出し、インサートパーツの背面上へ、ゲート1本当たり直径50mm〜100mm程度の面積を被覆するが、被覆むらが生じないよう、高温に溶融された被覆用樹脂が、ゲートからインサートパーツの背面に対して10MPa〜50MPa程度の高圧で射出されるため、インサートパーツを構成する透光性樹脂層や加飾層が、歪みや加飾層の位置ずれ等のダメージを受けてしまい、ゲートの形状跡となって成形品の意匠面側から見えてしまうという課題がある。
上記課題の解決方法として、例えば特許文献1には、ゲートに対面するインサートパーツの背面にクリア層を印刷して、歪みの発生や加飾層の貼付位置ずれ等のインサートパーツへのダメージを抑制する方法が開示される。しかし、クリア層が数μm程度の厚さであるため、十分なダメージ抑制効果を得ていない場合が多かった。また、クリア層を厚く設けてダメージの抑制を向上させることは、クリア層の印刷を幾度も行う必要があって経済的ではなかった。
また、上記課題の解決方法として、例えば特許文献2には、インサートパーツの加飾層側の表面に射出樹脂と同材質の保護フィルムを貼着し、ゲートに対面するインサートパーツの背面のダメージを抑制する方法が例示される。しかし、上記保護フィルムは射出樹脂と同材質であるため、ゲートから射出された樹脂の熱によって、保護フィルムの塑性変形や溶融を生じ、厚さの変化を伴ってダメージを抑制する効果を十分得られない場合が多かった。また、樹脂の射出で加熱を受けた際に、透光性樹脂、保護フィルム、射出樹脂の少なくとも一つから発生された気体により、保護フィルムと透光性樹脂層や加飾層との間に膨れが生じ、得られる成形品の意匠性が損なわれる場合があった。さらに、上記成形品を85℃及び85%RHといった湿熱環境下に放置された場合に、透光性樹脂、保護フィルム、射出樹脂の少なくとも一つから発生された気体によって、保護フィルムと透光性樹脂層や加飾層との間に膨れが生じ、成形品の意匠性が損なわれる場合があった。
特開2004−181666号公報 特開2004−181667号公報
本発明が解決しようとする課題は、透光性樹脂層及び上記透光性樹脂層の片面に配置された加飾層を有するインサートパーツに被覆用樹脂を射出して、インサートパーツの背面を被覆樹脂層で被覆して成形品を製造するインサート成形工程において、インサートパーツの背面に貼付することにより、被覆用樹脂を溶融してゲートから射出する際に受ける熱により、インサートパーツへの局所ダメージの発生を防止することができる接着シートを提供することである。また、上記インサート成形工程において被覆用樹脂の射出で加熱を受けた際に、インサートパーツや被覆用樹脂、或いは接着シートから発生しうる気体による気泡の形成を防止でき、さらに上記工程により得られた成形品を湿熱環境下に放置しても、インサートパーツや被覆樹脂層、或いは接着シートから発生しうる気体による気泡の形成を防止し、気泡による成形品の外観不良の発生を防止することができる接着シートを提供することである。
本発明者は、以下の接着シートを用いることによって、上記課題を解決することを見出した。すなわち、本発明は、透光性樹脂層と、上記透光性樹脂層の片面の一部又は全部に設けられた加飾層と、をこの順に有するインサートパーツに対し、上記インサートパーツの上記加飾層側の面に溶融した被覆用樹脂を射出塗布して被覆樹脂層を形成するインサート成形において、上記インサートパーツの上記加飾層側の面に貼付して用いられる接着シートであって、樹脂層Aと樹脂層Bとを含み、上記樹脂層Aは、周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での損失正接が0.5以下であり、上記樹脂層Bは、周波数3Hzで測定される200℃での引っ張り貯蔵弾性率が1×10Pa〜1×10Paの範囲内であり、かつ周波数3Hzで測定される60℃〜200℃の温度領域での損失正接が0.8以下である接着剤層(b)である、接着シートを提供する。
また、本発明は、透光性樹脂層及び加飾層を含むインサートパーツと、上記接着シートと、被覆樹脂層とがこの順に積層されてなる物品を提供する。
また、本発明は、透光性樹脂層の片面の一部又は全部に加飾層を形成してインサートパーツを作製する工程[1]、上記インサートパーツの上記加飾層側の面の、ゲートが最も接近する位置へ、上述した接着シートの上記樹脂層B側の表面を上記インサートパーツ側にして貼合する工程[2]、及び上記インサートパーツ及び上記接着シートが順に積層された構成体を金型へセットし、上記構成体の上記接着シート側の面へ前記ゲートから溶融した被覆用樹脂を射出し、上記インサートパーツ及び上記接着シートを被覆する工程[3]をこの順に含む物品の製造方法を提供する。
本発明の接着シートによれば、インサートパーツの背面へ被覆用樹脂を射出してインサート成形する工程において、被覆用樹脂をゲートから射出する前に、予めインサートパーツの背面に本発明の接着シートを貼付しておくことによって、接着シートが塑性変形や溶融を起こさず厚さを一定に保ち、かつずれたり剥がれたりせず、透光性樹脂や加飾層の局所的な歪みやずれ等のダメージや、気泡の発生を防止することができる。また、本発明の接着シートは、インサートパーツと被覆樹脂層との間に配置されることで、インサートパーツに被覆樹脂層が積層された成形品を湿熱環境下に放置しても、透光性樹脂や被覆樹脂層、或いは接着シートから発生しうる気体による膨れを防止でき、意匠性を長期に渡り維持可能である。これにより、本発明の接着シートは、家電製品の外装、自動車の内外装等に使用される意匠性を有する成形品の製造に大きく貢献することができる。
本発明の接着シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の接着シートの別の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の接着シートを貼付するインサートパーツの一実施形態を示す模式断面図である。 インサートパーツの背面(加飾層側の面)に本発明の接着シートを予め貼付しておき、被覆用樹脂を溶融してゲートから射出して被覆するインサート成形工程の実施形態を示す模式断面図である。 透光性樹脂層及び加飾層を含むインサートパーツ、本発明の接着シート、及び被覆樹脂層をこの順に積層されてなる物品の一実施形態を示す模式断面図である。
本発明の接着シートは、透光性樹脂層と、上記透光性樹脂層の片面の一部又は全部に設けられた加飾層と、をこの順に有するインサートパーツに対し、上記インサートパーツの上記加飾層側の面に溶融した被覆用樹脂を射出塗布して被覆樹脂層を形成するインサート成形において、上記インサートパーツの上記加飾層側の面、すなわちインサートパーツの背面に貼付して用いられる。本発明の接着シートは、樹脂層Aと樹脂層Bとを含み、上記樹脂層Aは、周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での損失正接が0.5以下である。また、上記樹脂層Bは、周波数3Hzで測定される200℃での引っ張り貯蔵弾性率が1×10Pa〜1×10Paの範囲内であり、かつ周波数3Hzで測定される60℃〜200℃の温度領域での損失正接が0.8以下である接着剤層(b)である。
図1は、本発明の接着シートの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す接着シート5は、符号1で示す樹脂層Aと、上記樹脂層Aの一方の面に配置された、符号2で示す樹脂層Bとを有する。
ここで、インサートパーツとは、インサート成形機によってゲートから溶融された被覆用樹脂が射出されて積層される前の段階の、インサート成形機に取り付けられるために予め作製された部品を指し、透光性樹脂層と加飾層とが積層されたものである。インサートパーツにおいて、加飾層は透光性樹脂層の片面に形成されるが、上記加飾層は透光性樹脂層の片面の一部に形成されており、上記片面に透光性樹脂層が露出した領域を有していても良く、上記片面の全部に形成されており、上記片面に透光性樹脂層が露出した領域を有さなくても良い。
また、インサート成型工程においては、ゲートから溶融射出された被覆用樹脂を、インサートパーツの背面に積層することで、インサートパーツの背面は、局所的又は全面に被覆用樹脂により被覆される。インサートパーツの背面に積層された被覆用樹脂が、インサート成形工程により得られる成形品(以下、単に成形品とする場合がある。)における被覆樹脂層となる。
本明細書において損失正接とは、周波数3Hzで測定された引っ張り動的粘弾性の損失正接であり、引っ張り損失弾性率の測定値を引っ張り貯蔵弾性率の測定値で除して得られる数値を指す。本明細書内において、接着剤層(a)の、周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での損失正接を、tanδと略して説明する場合がある。また、樹脂層Bの、周波数3Hzで測定される200℃での引っ張り貯蔵弾性率をE’B200℃とし、周波数3Hzで測定される60℃〜200℃の温度領域での損失正接を、tanδと略して説明する場合がある。
本発明の接着シートによれば、tanδが所定の範囲内にある樹脂層Aと、E’B200℃及びtanδがそれぞれ所定の範囲内にある樹脂層Bとを有することで、インサート成形工程において、インサートパーツの背面に本発明の接着シートを貼付して、上記接着シートを介して上記インサートパーツの背面に対して被覆用樹脂を射出することで、高温で射出された被覆用樹脂との接触によるインサートパーツの熱ダメージを抑制することができる。また、インサートパーツや被覆樹脂層からの気泡発生による意匠性の低下を抑制することができる。
具体的には、透光性樹脂と加飾層が積層されたインサートパーツの背面に、溶融した被覆用樹脂をゲートから射出して被覆するインサート成形工程において、溶融した被覆用樹脂をゲートから射出する前に、本発明の接着シートを予めインサートパーツの背面に貼付することによって、射出された被覆用樹脂の熱を受けても接着シートが塑性変形や溶融を起こさず厚さを一定に保つことができ、かつ、貼付位置がずれたり剥がれたりせず、簡便的にかつ高い位置精度で貼付可能となる。これにより、局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を防止することができる。
また、本発明の接着シートは、インサート成形工程により得られる成形品において、インサートパーツと被覆樹脂層との間に配置されることになる。これにより、上記成形品を湿熱環境下に放置しても、透光性樹脂層や被覆樹脂層、或いは接着シートから発生しうる気体による気泡の形成を防止することができ、外観不良による上記成形品の意匠性の低下を防止することができる。
ここで、被覆用樹脂との接触による熱ダメージを抑制するために、耐熱性が高い樹脂層を設けることが考えられるが、単に耐熱性が高い樹脂層を設けても、被覆樹脂と熱接着できず、被覆樹脂と接着シートとの間で十分な接着力が得られない場合や、被覆樹脂との接着力が十分ではないため湿熱環境下において樹脂層が膨張や変形する場合がある。これに対し、本発明によれば、樹脂層Aが所定の物性を示すことで、耐熱性を発揮しつつ、被覆用樹脂から受ける熱により熱接着が可能となり、被覆樹脂と接着シートとの間の接着を強固にすることができる。
また、ゲート対面のインサートパーツの背面のダメージを抑制する方法として、インサートパーツの背面に保護フィルムを貼着する代わりに、ステンレスやアルミニウム或いはガラスやセラミックといった無機シートを使用する方法も考えられる。しかし、上記無機シートを用いた場合は、塑性変形や溶融が生じにくくダメージを抑制できるが、無機シートと加飾層や被覆樹脂層との密着が不十分となるおそれがある。また、成形品が湿熱環境下に放置された場合に、無機シートと加飾層或いは被覆樹脂層との間に膨れが生じ、上記成形品の意匠性が損なわれるおそれがある。とりわけ上記成形品が、自動車外装部品に使用される場合には、上記膨れがミリ波等のレーダー電波の散乱や減衰を引き起こす問題があり、無機シートを使用した場合には、無機シート自体がミリ波等のレーダー電波の遮断や減衰を引き起こす問題がある。
これに対し、本発明の接着シートによれば、樹脂層A及び樹脂層Bを備えることで、塑性変形や溶融が生じにくくなることに加え、無機シートを用いる場合に生じる上述の問題も解消することができる。
[樹脂層A]
本発明における樹脂層Aは、周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での損失正接(tanδ)が0.5以下である。上記tanδが上記範囲にあると、インサート成形時にゲートから溶融射出された被覆用樹脂の熱を受けて接着シートが塑性変形や溶融を起こさず厚さを一定に保つことができる。これにより局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を防止することができる。また、接着シートと被覆層樹脂との間の固定性を高め、成形品において経時による被覆樹脂層のゆがみやずれを防止することができる。さらに上記成形品が湿熱環境下に放置された際に、透光性樹脂や被覆樹脂層、或いは接着シートから発生しうる気体によって、樹脂層Aと被覆樹脂層との界面での剥がれを長期に渡って防止することができる。とくに、自動車外装部品に使用される場合には、空隙によってミリ波等のレーダー電波が散乱して減衰することを防止することができる。
インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、湿熱環境下での気泡の形成の抑制を確実なものとする上で、上記tanδは、0.4以下であることが更に好ましい。又、上記tanδは、0より大きければよく、被覆用樹脂(被覆樹脂層)との接着力を高める上で、0.02以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましい。
なお、周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での損失正接(tanδ)が0.5以下であるとは、換言すれば、200℃〜220℃の温度領域で測定される損失正接のうち最大値が0.5であるということを意味する。また、例えば周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での損失正接(tanδ)が0.02以上であるとは、200℃〜220℃の温度領域で測定される損失正接のうち最小値が0.02であることを意味する。すなわち、例えば周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での損失正接(tanδ)が所定の範囲内であるとは、200℃〜220℃の温度領域で測定される損失正接のうち最大値及び最小値がいずれも上記所定の範囲内にあることを意味する。具体的には、周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での損失正接(tanδ)が0.02以上0.5以下であるとは、200℃〜220℃の温度領域で測定される損失正接(tanδ)の最小値が0.2以上であり、且つ、最大値が0.5以下であることを意味する。後述する樹脂層Aの200℃〜250℃の温度領域での損失正接、200℃〜220℃の温度領域での引っ張り貯蔵弾性率(E’)、ならびに樹脂層Bにおいて規定される60℃〜200℃の温度領域での損失正接についても同様とする。
樹脂層Aは、周波数3Hzで測定される損失正接が0.5以下である温度範囲は、200〜230℃の範囲内でも満たすことが好ましく、200〜250℃の範囲でも満たすことが更に好ましい。被覆用樹脂が過剰に高い温度で溶融されて接着シート上へ射出された際に、被覆用樹脂の熱を受けても樹脂層Aが塑性変形や溶融を起こさず、接着シートの厚さを一定に保持することを確実なものとし、局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生をより確実に防止できるからである。樹脂層Aは、周波数3Hzで測定される200℃〜250℃の温度領域でも損失正接(tanδA2)は、0.4以下であることが更に好ましい。又、200℃〜250℃の温度領域での損失正接(tanδA2)が0より大きければよく、被覆用樹脂(被覆樹脂層)との接着力を高める上で、0.02以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。上述した効果、特に局所的な加熱よるインサートパーツの熱ダメージの発生を防ぐ効果がより発揮されやすくなるからである。
上記樹脂層Aは、周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での引っ張り貯蔵弾性率(E’)が、5×10Pa〜1×10Paの範囲内であることが好ましい。上記E’が上記範囲にあると、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止する効果をより高めることができ、また、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と十分に接着可能となり、さらに湿熱環境下での成形品内での気泡の形成の抑制を確実なものとすることができるからである。加飾層及び透光性樹脂層のダメージをより確実に防止し、樹脂層Aと被覆用樹脂(被覆樹脂層)との接着性を高める上で、上記E’は、8×10Pa〜5×10Paの範囲内であることがより好ましく、1×10Pa〜3×10Paの範囲内であることが更に好ましい。なお、上記範囲内の中でも、上記E’が1×10Pa以上の樹脂層Aは、後述する基材として分類することができる。
なお、樹脂層Aのtanδ及びE’を上記の好ましい範囲内に調整する方法としては、樹脂層Aの種類に応じて適宜選択されるが、例えば、樹脂シートを二軸方向へ延伸する方法、樹脂シートを加熱養生して結晶性を高める方法、樹脂シートに電子線を照射して架橋させる方法、予め熱や紫外線等の外部刺激によって3次元的に架橋反応が進む樹脂層にしておき、樹脂層形成後に加熱養生や紫外線照射によって架橋させる方法等が挙げられる。
樹脂層Aの引っ張り貯蔵弾性率及び損失正接は、動的粘弾性試験機(ティー・エイ・インスツルメント製粘弾性測定機「RSA III」を用い、引っ張りモードで、振動数3Hz、昇温速度5℃/min、負荷歪み0.1%〜0.6%の条件で、50℃〜260℃までの温度領域における引っ張り貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδを測定することができる。E’及びtanδは、50℃〜260℃までの温度領域において測定される値のうち、所定の温度領域での値を用いる。なお、上記測定で使用する試験片としては、樹脂層Aを、厚さ100μm〜400μm及び幅5mm及び測定部の長さを20mmとし、両端の持ち手の長さが各15mmになるように裁断した長方形状のものを使用する。
樹脂層Aのガラス転移温度は、200℃以下が好ましい。後述する樹脂層Aが基材である場合には、40℃〜180℃の範囲内であることがより好ましく、100℃〜180℃の範囲内にあることが更に好ましい。また、後述する樹脂層Aが接着剤層である場合には、−30℃〜80℃の範囲内にあることがより好ましく、0℃〜80℃の範囲内にあることが更に好ましい。
上記樹脂層Aの厚さは、0.05mm〜2mmの範囲内が好ましい。インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防ぐことができ、且つ、加飾層表面に射出された被覆用樹脂からの熱を伝えにくくすることができるからである。中でも、上記樹脂層Aの厚さは0.1mm〜1mmの範囲内が好ましく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を確実に防止し、局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を確実に防止すると共に、インサートパーツや加飾層が微小湾曲している場合の接着シートの貼付性を高める上で、0.2mm〜0.5mmの範囲内がより好ましい。
上記樹脂層Aは、無色透明であってもよく、着色されていてもよい。上記樹脂層Aの色は、成形品において接着シートの貼り模様がインサートパーツの表面(透光性樹脂層側の面)から見えて意匠性を損なわないようにするため、それ自体は加飾されておらず、透明、或いは被覆樹脂層と同一色であることが好ましい。樹脂層Aが透明であると、上記成形品の表面(意匠面)から視認したときに、被覆樹脂層の色が透過して接着シートが視認されにくくなるため、インサートパーツの意匠性を損なわなくすることができる。一方、樹脂層Aが被覆樹脂層と同一色に着色されたものであると、上記成形品の表面(意匠面)から視認したときに、接着シートと被覆樹脂層の境界面で色差が発生せず、接着シートが視認されにくくなるため、インサートパーツの意匠性を損なわなくすることができる。
上記樹脂層Aが無色透明である場合は、JIS K7136[プラスチック―透明材料のヘイズの求め方]に準拠して測定される上記樹脂層Aのヘイズは5%以下であることが好ましく、上記成形品において被覆樹脂層の色を透過させる上で、2%以下であることがさらに好ましい。
一方、上記成形品において被覆樹脂層と同一色に着色された樹脂層Aを使用する場合は、CIE1976のL*a*b色空間座標で測定される被覆用樹脂(被覆樹脂層)との色差(ΔE)は5.0以下が好ましく、被覆用樹脂(被覆樹脂層)との色差を発生させないようにする上で、ΔEは3.0未満がより好ましい。樹脂層Aの着色方法としては、上記範囲となるよう染料や顔料を添加して着色してよい。
上記染料や顔料の添加量は、被覆用樹脂と樹脂層Aとの相溶性を阻害しない範囲であれば特に限定しないが、被覆用樹脂との相溶性や樹脂層Aの強度を維持する上で、樹脂層Aの全量中、1質量%〜30質量%の範囲内が好ましく、3質量%〜10質量%の範囲内がとくに好ましい。
樹脂層Aは、トルエンに対する不溶分率が80質量%以上であることが好ましく、中でも85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。また、トルエンに対する不溶分率の上限は、100質量%であり、好ましくは95質量%である。樹脂層Aのトルエンに対する不溶分率を上記の範囲とすることで、樹脂層Aの樹脂内が高い凝集力で固定されており、溶融射出された被覆用樹脂が接着シートに積層される際に、接着シートが塑性変形や溶融を起こさず厚さを一定に保つことができる。また、樹脂層Aのトルエンに対する不溶分率を上記の範囲とすることで、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と高い強度で接着して、接着シートと被覆樹脂層との界面で剥がれることを抑制でき、さらにインサート成形により得られた成形品を湿熱環境下に放置したときに接着シートと被覆樹脂層の界面に気泡が形成することを抑制することができる。
トルエンに対する不溶分率は、一辺の長さ40mm、直交する一辺の長さを50mmの大きさの長方形へ切断した樹脂層Aを、温度23℃の雰囲気下でトルエン中に24時間浸漬し、基材に付着したトルエンを乾燥除去後に、以下の計算式で算出されたものである。
トルエンに対する不溶分率(質量%)=[(樹脂層Aのトルエン浸漬後の質量)/(樹脂層Aのトルエン浸漬前の質量)]×100
なお、樹脂層Aが後述する接着剤層である場合、上記接着剤層のトルエンに対する不溶分率は、離型ライナーの片面に接着剤層を形成したものを樹脂層Aの試験片として、上述の方法で試験を行い、算出することができる。このとき上記浸漬前の接着剤層の質量は、上記試験片の質量から、その作製に使用した離型ライナーの質量を差し引いた値を指す。また、上記残存した接着剤層の質量は、上記残存物の乾燥後の質量から、上記離型ライナーの質量を差し引いた値を指す。なお、樹脂層Aが接着剤層である場合のトルエンに対する不溶分率とは、すなわち、接着剤層のゲル分率と同義である。また、樹脂層Aが積層体である場合、上記樹脂層Aのトルエンに対する不溶分率は、積層体を試験片として上述の方法で試験を行い算出することができる。
上記樹脂層Aは、少なくともtanδが所定の範囲を満たせばよく、基材であってもよく、接着剤層であってもよく、基材および接着剤層を含む積層体であってもよい。図2は、本発明の接着シートの別の実施形態を示す模式断面図であり、図2に示す接着シート5では、符号1で示す樹脂層Aが、符号2で示す樹脂層B側から、符号11で示す基材と符号12で示す接着剤層(a)とをこの順に有する。図示しないが、樹脂層Aが、1又は2以上の基材と1又は2以上の接着剤層(a)とを有する積層体である場合は、樹脂層Aを構成する基材および接着剤層(a)のうち、樹脂層Bに最も近い基材及び接着剤層(a)が、樹脂層B側から基材、接着剤層の順で積層されていることが好ましい。
上記樹脂層Aは便宜上、200℃以上の温度範囲で被覆用樹脂と接着するが、200℃未満では接着性を有さない樹脂層から成る場合は基材に分類し、200℃未満でも接着性を有する樹脂層から成る場合は接着剤層に分類する。なお、樹脂層Aとしての接着剤層を、接着剤層(a)と称する。
また、上記樹脂層Aは、単層でもよく、2以上の層からなる積層体でもよい。上記樹脂層Aが積層体の場合、例えば、基材の片面或いは両面に接着剤層(a)を積層した積層体であってもよく、基材を2層以上積層した積層体であってもよく、接着剤層(a)を2層以上積層した積層体であってもよい。また、樹脂層Aは、同種又は別種の基材の間に接着剤層(a)が積層された積層体、換言すれば、第1の基材と、接着剤層(a)と、第1の基材と同一もしくは異なる第2の基材と、をこの順に有する積層体であってもよい。なお、上記樹脂層Aが積層体の場合は、積層体を構成する各層の厚さの総和を樹脂層Aの厚さと見なす。また、上記樹脂層Aが積層体の場合は、積層体が上述したtanδを満たす必要があり、積層体を構成する各層がいずれも上述したtanδを満たすことが望ましい。
樹脂層Aは、ロール状に巻いて生産する上で、基材(A1)と同種又は別種の基材(A2)の間に接着剤層(a)が積層された積層体が好ましい。各々の基材をロール状に巻いて生産し、後の工程で巻き出して、接着剤層(a)を中間層として巻き癖によって反っている方向を違えて基材同士を積層した後に、ロール状に巻かずに平判状へ切断することによって、巻き癖の少ない樹脂層Aを得ることができる。
上記樹脂層Aが積層体である場合、例えば基材又は接着剤層(a)で樹脂層A(A3)を作製し、その表面に同種又は異種の溶液化した樹脂層A(A4)の樹脂を直接塗布して乾燥するか、又は離型ライナー上に樹脂層A(A4)を形成して乾燥し、先に作製した樹脂層A(A3)と加熱貼合し、積層品を加熱養生して架橋する方法などによって作製できる。
上記樹脂層Aを構成する樹脂は、後述する様に、樹脂層Aの種類に応じて適宜選択することができる。中でも、上記樹脂層Aは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、又は(メタ)アクリル共重合樹脂のいずれかを含有することが好ましい。上述したtanδの範囲に調整しやすく、インサート成形工程における接着シートの塑性変形や溶融の発生、並びに加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を効果的に防止することができるからである。樹脂層Aが積層体の場合は、積層体を構成する各層が、上記樹脂群から選択される1種又は2種以上の樹脂を含むことが好ましい。
上記樹脂層Aが基材である若しくは基材を含む場合、上記基材は、少なくとも上述した樹脂層Aのtanδの範囲を満たせば特段限定されないが、例えば融点又は軟化点が220℃を超える樹脂製シートを好適に例示できる。基材(樹脂製シート)を構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の熱可塑樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化樹脂を硬化させた硬化物を挙げることができる。その中でも、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂が好ましく、透明性や耐久性及び入手性に優れるポリエチレンテレフタレート樹脂が特に好ましい。
上記基材は、樹脂層Bとの密着性をより一層向上させるために、プライマー層が設けられていてもよく、サンドブラスト法や溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理や、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線照射処理、酸化処理などの表面処理がされていてもよい。上記基材の濡れ張力は、40mN/m〜60mN/mの範囲内が好ましく、中でも46mN/m〜60mN/mの範囲内がより好ましい。基材が所望の濡れ張力を示すことで、接着層Bとの密着性を高め、被覆用樹脂が溶融されてゲートから射出された際に、基材と樹脂層Bとの間でのずれや剥がれを防止するとともに、湿熱環境下に放置された際に、基材と樹脂層Bとの間で剥がれて気泡を形成することを防止するからである。基材の濡れ張力は、JIS K6768[プラスチック-フィルム及びシート−ぬれ張力試験法]に準拠する方法により測定することができる。
上記基材は、公知の作製方法によって得られる。熱可塑樹脂を使用する場合は、上記樹脂のペレットや粉末を予備乾燥して水分を除去後に、着色剤や添加剤等を混合した樹脂組成物を230℃〜300℃程度の高温で溶融し、ダイから押し出して製膜する方法、ダイから押し出した後に一軸方向或いは二軸方向へ延伸して製膜する方法、インフレーション製膜方法、カレンダー製膜方法等、任意の製膜方法で一定の厚さのシートを作製することによって得ることができる。tanδを前記範囲にする上で、前記方法による製膜後に、加熱養生して結晶化を進める方法や、電子線を照射して分子間を架橋させる方法等を併用してもよい。前記方法の中でも、二軸方向へ延伸して製膜することが好ましく、樹脂を配向させて結晶性を高めることができ、被覆用樹脂が溶融されてゲートから射出された際、接着シートが塑性変形や溶融を起こさず厚さを一定に保つことができる。
必要に応じ、基材表面は製膜時に圧力ロールによってグロス調或いはマット調に加工してもよく、接着剤との密着向上のため、サンドブラスト法や溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面処理等を行ってもよい。また、上記基材を、熱硬化樹脂を硬化させて作製する場合は、液状樹脂に硬化剤や着色剤及び添加剤等を配合した後、剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム等の工程フィルム上へ、任意の方法で一定の厚さとなるように塗布し、乾燥機等で熱硬化させて作製し、工程フィルムを除去して得る方法が挙げられる。
一方、上記樹脂層Aが接着剤層(a)である若しくは接着剤層(a)を含む場合、上記接着剤層(a)は、少なくとも上述した樹脂層Aのtanδの範囲を満たせば特段限定されないが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、又は(メタ)アクリル共重合樹脂を含むことが好ましい。中でも分子内に1又は2以上の官能基を有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択される樹脂(a1)を少なくとも含む接着剤組成物により構成されることが好ましく、上記接着層(a)が上記樹脂(a1)を含む接着剤組成物の架橋物を含むことがより好ましい。
上記樹脂(a1)は、分子内に1又は2以上の官能基を有し、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択される樹脂であることが好ましく、その種類としては、水酸基やカルボキシル基等を有するポリエステル樹脂、カルボキシル基や水酸基やグリシジル基等を有する(メタ)アクリル共重合樹脂、イソシアネート基やビニル基や水酸基等を有するポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
また、上記接着剤組成物は、樹脂(a1)のほかに、樹脂(a1)を架橋させるための化合物(a2)を1種又は2種以上含むことが好ましい。上記樹脂(a1)の架橋に使用する化合物(a2)としては、例えば、架橋剤、開始剤等、樹脂(a1)の架橋に寄与することが可能な化合物から、上記樹脂(a1)中の官能基の種類に応じて適宜選択することができる。中でも化合物(a2)としては、樹脂(a1)中の官能基と反応し結合する官能基を分子内に2以上有する化合物が好ましく用いられる。例えば、上記樹脂(a1)中の官能基が水酸基の場合は、化合物(a2)として例えば分子内に2以上のイソシアネート基を含有する化合物が挙げられる。上記樹脂(a1)中の官能基がカルボキシル基の場合は、化合物(a2)として例えば分子内に2以上のグリシジル基を有する化合物が挙げられる。上記樹脂(a1)中の官能基がグリシジル基の場合は、化合物(a2)として例えば分子内に2以上のカルボキシル基やアミノ基を有する化合物が挙げられる。上記樹脂(a1)中の官能基がイソシアネート基の場合は、化合物(a2)として例えば多価アルコール等の分子内に2以上の水酸基を有する化合物が挙げられる。また、上記樹脂(a1)中の官能基がビニル基の場合は、化合物(a2)として、分子内に2以上のビニル基を有する樹脂又は化合物を好ましく用いることができ、上記の場合、化合物(a2)光や熱で活性種を発生する開始剤として、樹脂(a1)のビニル基どうしを重合させて、架橋構造を形成することができる。
中でも、tanδを上記の好適な範囲に調整する上で、樹脂(a1)は、分子内に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物によって架橋可能な、水酸基を有するポリエステル樹脂、水酸基を有するポリウレタン樹脂、及び水酸基を有する(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択されることが好ましい。又は、樹脂(a1)は、分子内に2以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物によって架橋可能な、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂、及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択されることが好ましい。
すなわち、tanδを上記の好適な範囲に調整する上で、上記接着剤層(a)は、分子内に1又は2以上の水酸基若しくはカルボキシル基を有する、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂(a1)と、分子内に2以上のイソシアネート基を有する1種又は2種以上のイソシアネート化合物(a2)、若しくは分子内に2以上のグリシジル基を有する1種又は2種以上のエポキシ化合物(a2)と、を少なくとも含む接着剤組成物の架橋物を含むことが好ましい。
上記接着剤組成物が、ポリエステル樹脂を含む場合、接着剤層(a)の200℃〜220℃の温度範囲の引っ張り貯蔵弾性率(E’)を高め、tanδを上記の好適な範囲に調整する上で、上記接着剤組成物は、上記ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂とを含むことが好ましく、更に相互に相溶し透明性を高めると共に、ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂間の架橋が容易となり、ポリエステル結合による高い接着性とウレタン結合による高い凝集力を兼ね備え、インサート成形時の塑性変形や融解の防止、接着剤層(a)と被覆用樹脂(被覆樹脂層)との界面での剥がれを防止する上で、上記ポリエステル樹脂とポリエステルウレタン樹脂とを含むことがより好ましい。
上記ポリエステル樹脂としては、特に制限されず、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合物であるポリエステル樹脂やこれを変性したポリエステル樹脂を通常使用できる。多価カルボン酸が反応当量より過剰に縮合させた場合は、カルボキシル基を含有するポリエステル樹脂とすることができ、多価アルコールが反応当量より過剰に縮合させた場合は、水酸基を含有するポリエステル樹脂を得ることができる。一種のポリエステル樹脂を使用しても、複数のポリエステル樹脂を混合しても良く、水酸基含有ポリエステル樹脂とカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を併用しても良い。水酸基含有ポリエステル樹脂とカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を各々架橋させるため、後述する化合物(a2)としてイソシアネート化合物とエポキシ化合物とを併用しても良い。
上記ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が−20℃以上のポリエステル樹脂を含有することが好ましく、0℃〜100℃の範囲内のポリエステル樹脂を含有することがより好ましく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、成形品において被覆樹脂層との接着を強固にすることができ、さらに湿熱環境下での成形品からの気泡の形成の抑制を確実なものとする上で、ガラス転移温度が20℃〜80℃の範囲内のポリエステル樹脂を含有することが最も好ましい。
上記ポリエステル樹脂の数平均分子量としては、10,000〜40,000の範囲内であることが好ましく、20,000〜30,000の範囲内であることがより好ましい。数平均分子量が上記範囲のポリエステル樹脂を含有することにより、ポリエステルウレタン樹脂との相溶性に優れ、上記接着剤組成物を離型ライナー上に塗布した際にはじきが発生しにくく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止しやすい。また、接着剤層(a)に透明性が要求される場合に、ポリエステル樹脂の数平均分子量を上記の範囲内とすることで、接着剤層(a)の透明性が維持されやすくなる。
本明細書内において、数平均分子量或いは重量平均分子量は、ゲルパーミエッションクロマトグラフ(GPC)で測定される標準ポリスチレン換算での分子量であり、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8329GPC)を用いて下記条件で測定される、スタンダードポリスチレン換算値とする。
(条件)
サンプル濃度:0.5質量%(THF溶液)
サンプル注入量:100μL
溶離液:THF
流速:1.0mL/分
測定温度:40℃
本カラム:TSKgel GMHXL 4本
ガードカラム:TSKgel HXL−H
検出器:示差屈折計
スタンダードポリスチレン分子量:1万〜2000万(東ソー株式会社製)
上記ポリエステル樹脂は、後述するイソシアネート化合物或いはエポキシ化合物によって架橋し、tanδを上記の好適な範囲に調整する上で、水酸基価或いは酸価が3KOHmg/g〜50KOHmg/gの範囲内であることが好ましい。中でもインサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着でき、さらに湿熱環境下での気泡の形成の抑制を確実なものとする上で、5KOHmg/g〜10KOHmg/gの範囲内がより好ましい。
上記ポリエステル樹脂に使用する多価カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸またはピロメリット酸、不飽和脂肪酸から誘導されたダイマー酸類など、あるいはこれらの酸無水物などが挙げられ、これらのカルボン酸は通常単独で、または2種以上混合して用いられる。
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4ブタンジオール、1,3ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、オクタメチレングリコール等が挙げられる。また、カルボン酸基を含む多価アルコールを多価アルコールとして用いてもよく、特に代表的なものとしてはジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジフェノール酸などが挙げられる。
多価カルボン酸と多価アルコールの縮合反応は、公知慣用の種々の合成法に従って得られるものであって、その一例を挙げると、多価カルボン酸と多価アルコールとを、一緒に加えて、縮合(エステル化)する合成法が一般的である。
また、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合反応では、三価以上のカルボン酸あるいはアルコールを使用すれば、得られる縮合物に分岐構造を付与することもできる。
溶剤を除く接着剤組成物(すなわち接着剤層(a))中の上記ポリエステル樹脂の含有量は、40質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましく、60質量%〜80質量%の範囲内であることがより好ましい。上記含有量の範囲にあると、インサート成形時の塑性変形や溶融を防止することができ、また、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着でき、さらに湿熱環境下での気泡の形成を抑制しやすく、離型ライナー上に塗布した際にはじきが発生しにくい。
上記ポリエステルウレタン樹脂は、水酸基含有ポリエステルに、ポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリエステルウレタン樹脂を好適使用できる。
上記ポリエステルウレタン樹脂に使用する水酸基含有ポリエステル樹脂は、上記ポリエステル樹脂と同様に、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合により得られるポリエステル樹脂を使用できる。水酸基含有ポリエステル樹脂は、数平均分子量が4,000〜20,000の範囲内にあることが好ましい。
水酸基含有ポリエステル樹脂に反応させるポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環族の公知のイソシアネート化合物を利用できる。脂肪族イソシアネート化合物としてはヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が一例として挙げられる。脂環族イソシアネート化合物としてはイソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4ジイソシアネートが代表例として挙げられる。芳香族イソシアネート化合物としてはトリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4、4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’−ジベンジルジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3’−フェニレンジイソシアネート、1,4’−フェニレンジイソシアネートが代表例として挙げられる。また、上記記載の1種または数種のイソシアネートより得られる化合物(2量体、3量体、ヌレート、アダクト、ビューレット、プレポリマー等)も使用することができる。
上記ポリエステルウレタン樹脂として、一種のポリエステルウレタン樹脂を使用しても良く、複数のポリエステルウレタン樹脂を混合しても良いが、数平均分子量が15,000〜100,000の範囲内であるポリエステルウレタン樹脂を使用することが好ましい。
また、上記ポリエステルウレタン樹脂は、ガラス転移温度が好ましくは−20℃〜70℃の範囲内であり、より好ましくは−10℃〜50℃の範囲内であることが好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内にあるポリエステルウレタン樹脂を使用することで、tanδを上記の好適な範囲に調整しやすく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成を抑制することができる。
上記ポリエステルウレタン樹脂は、後述するイソシアネート化合物或いはエポキシ化合物によって架橋し、tanδを上記の好適な範囲に調整する上で、水酸基或いはカルボキシル基が分子内に残存していることが好ましく、水酸基価或いは酸価は3KOHmg/g〜50KOHmg/gの範囲内が好ましい。インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成の抑制を確実なものとする上で、3KOHmg/g〜10KOHmg/gの範囲内がより好ましい。
上記ポリエステルウレタン樹脂の含有量は、溶剤を除く接着剤組成物(すなわち接着剤層(a))中の5質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、15質量%〜35質量%の範囲内がとくに好ましい。上記含有量の範囲にあると、インサート成形時の樹脂層Aの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成を抑制しやすく、離型ライナー上に塗布した際にはじきが発生しにくい。
また、上記接着剤組成物が(メタ)アクリル共重合樹脂を含む場合、上記(メタ)アクリル共重合樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルと他のビニルモノマーとの共重合体を使用することが好ましく、(メタ)アクリル酸エステルとしてアルキル(メタ)アクリレートモノマーを主たるモノマー成分とするアクリル系共重合体が好ましい。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルを表す。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素原子数が1〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。このようなアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等のモノマーが挙げられる。これらのモノマーは1種または2種以上用いることができる。上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーが有するアルキル基は直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。
なかでも、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が1〜4の直鎖または分岐構造を有するアルキル(メタ)アクリレートが更に好ましい。特にエチルアクリレート又はn−ブチルアクリレートは被覆用樹脂(被覆樹脂層)との接着性を確保しやすいため好ましい。エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートは単独で用いてもよく、併用してもよい。
また、本発明においては、アルキル(メタ)アクリレートモノマーとして、エチルアクリレート及びn−ブチルアクリレートから選択される1種又は2種のモノマーの他に、メチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。tanδを上述した範囲に調整しやすく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成を抑制する上で、(メタ)アクリル共重合樹脂のガラス転移温度(Tg)を適した温度に調整することが可能となるからである。上記の場合、エチルアクリレート及びn−ブチルアクリレートから選択される1種又は2種のモノマー、並びにメチル(メタ)アクリレートの含有量の合計は、アルキル(メタ)アクリレートモノマーの総含有量中50質量%〜99質量%の範囲内が好ましく、70質量%〜97質量%の範囲内がより好ましい。
上記(メタ)アクリル共重合樹脂を構成するアクリルモノマーの全量に対するアルキル(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種又は2種以上の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、75質量%〜99質量%の範囲内であることがより好ましく、80質量%〜98質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
また、(メタ)アクリル共重合樹脂を構成するモノマーとして、アルキル(メタ)アクリレートモノマーの他に、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー、アクリロニトリルやN−ビニル−2−ピロリドン等の窒素含有ビニルモノマー、スチレン、酢酸ビニル、水酸基含有ビニルモノマー、グリシジル基含有ビニルモノマー等を1種または2種以上用いてもよい。中でも、上記(メタ)アクリル共重合樹脂は、アルキル(メタ)アクリレートモノマーと水酸基含有ビニルモノマーとをモノマー単位に含む共重合体、或いはアルキル(メタ)アクリレートモノマーとカルボキシル基含有ビニルモノマーとをモノマー単位に含む共重合体が好ましい。後述する化合物(a2)で例示するイソシアネート化合物、或いはエポキシ化合物と反応して架橋構造を作り、tanδが上記の好適な範囲となり、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成を抑制できるからである。水酸基含有ビニルモノマー及びカルボキシル基含有ビニルモノマーは、単独で共重合に用いても共に共重合に用いていても良く、化合物(a2)としてイソシアネート化合物とエポキシ化合物とを併用してもよい。
水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリル、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのエチレン系不飽和モノカルボン酸単量体、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのエチレン系不飽和ジカルボン酸単量体(またはその無水物)などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル共重合樹脂を構成するアクリルモノマーの全量に対する水酸基含有ビニルモノマー或いはカルボキシル基含有ビニルモノマーの含有量は、併せて0.1質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましく、1質量%〜7質量%の範囲内であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル共重合樹脂は、重量平均分子量が、10万〜150万の範囲内であることが好ましく、30万〜100万の範囲内であることがより好ましく、40万〜80万の範囲内であることが、接着剤組成物を離型ライナー上に塗布した際にはじきが発生しにくく、tanδが上記の好適な範囲になり、インサート成形時の樹脂層Aの塑性変形や溶融を防止しやすい。また、樹脂層Aに透明性が要求される場合に、(メタ)アクリル共重合樹脂の分子量を上記の範囲内とすることで、樹脂層Aの透明性が維持されやすくなる。
上記(メタ)アクリル共重合樹脂のガラス転移温度は−25℃以上が好ましく、0℃〜100℃の範囲内がより好ましく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成の抑制を確実なものとする上で、ガラス転移温度が10℃〜80℃の範囲内であることが最も好ましい。
上記(メタ)アクリル共重合樹脂は、後述するイソシアネート化合物或いはエポキシ化合物によって架橋し、tanδを上記の好適な範囲に調整する上で、水酸基価或いは酸価は3KOHmg/g〜50KOHmg/gの範囲内が好ましい。インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成の抑制を確実なものとする上で、5KOHmg/g〜25KOHmg/gの範囲内がより好ましい。
また、上記接着剤組成物に含まれる化合物(a2)は、樹脂(a1)を架橋させることが可能な化合物であればよく、例えば汎用の架橋剤や開始剤等が好ましく挙げられる。中でも、化合物(a2)として、樹脂(a1)中の官能基と反応し結合する官能基を分子内に2以上有する化合物が好ましく、イソシアネート化合物或いはエポキシ化合物を好適に使用できる。化合物(a2)により樹脂(a1)を架橋させることで、樹脂層Aのtanδを上記の好適な範囲に調整し、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成を抑制することができる。
上記イソシアネート化合物としては、分子内に2以上のイソシアネート基を有する芳香族、脂肪族、脂環族等の公知のイソシアネート化合物を利用できるが、反応性及び反応後の凝集性の高さの点から、芳香族イソシアネート化合物を好適に使用できる。
脂肪族イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が一例として挙げられる。
脂環族イソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4、4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’−ジベンジルジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3’−フェニレンジイソシアネート、1,4’−フェニレンジイソシアネートなどが挙げられる。
イソシアネート化合物には、上記記載の1種または数種のイソシアネートより得られる化合物(2量体、3量体、アダクト、ビューレット、プレポリマー等)も含まれる。特にこれらのイソシアネート化合物の中で本発明に用いられるものとしては脂肪族及び、又は脂環族イソシアネート化合物が適しており、この中でヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが特に好意に用いることができる。
イソシアネート化合物の配合量は、溶剤を除いた接着剤組成物(すなわち接着剤層(a))中に0.1質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲の配合量とすることで、イソシアネート化合物の反応が過不足とならず、接着剤に適切な凝集力を付与でき、tanδを上記の好適な範囲に調整できる。さらに、イソシアネート化合物の配合量は、0.5質量%〜7.0質量%の範囲内がより好ましく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成抑制を確実にする上で1.0質量%〜5.0質量%の範囲内であることがとくに好ましい。
エポキシ化合物としては、分子内に2以上のグリシジル基を有する公知のエポキシ化合物を利用できる。
また、上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル,グリシジルアミン,複素環式エポキシ樹脂等のエポキシ化合物を挙げることができ、その中でも、反応性及び反応後の凝集性の高さの点から、グリシジルアミンを好適に使用でき、具体例としては、N,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。
エポキシ化合物の配合量は、溶剤を除いた接着剤組成物(すなわち接着剤層(a))中に0.01質量%〜10.0質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲の配合量とすることで、エポキシ化合物の反応が過不足とならず、接着剤に適切な凝集力を付与でき、tanδを上記の好適な範囲に調整できる。さらに、エポキシ化合物の配合量は、0.05質量%〜5.0質量%の範囲内がより好ましく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成抑制を確実にする上で0.1質量%〜3.0質量%の範囲内であることがとくに好ましい。
上記接着剤層(a)を構成する接着剤組成物は、上述した樹脂(a1)及び化合物(a2)の他に、カルボジイミド等の加水分解抑制剤、接着促進剤、表面調整剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、粘着付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を必要に応じて含むことが出来る。また、架橋反応を調節するため公知の触媒、添加剤などを含むことが出来る。また、接着剤層(a)の貯蔵弾性率(E’)を高めるために、ガラス繊維やカーボン繊維等の強化繊維、無機フィラー等を含有してもよい。
樹脂層Aが上記接着剤層(a)の場合、一般的に使用されている方法で作製できる。例えば、離型ライナー上に、上記接着剤組成物を含む溶液を塗布し、乾燥し、接着剤層を形成後、もう一方の面に離型ライナーを貼付し、加熱養生して架橋する方法などによって作製できる。上記接着剤組成物を塗布する際は、上記接着剤組成物は、接着剤に通常用いられている酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤や、アセトン、メチルケチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等の溶剤に溶解して使用される。
[樹脂層B]
本発明における上記樹脂層Bは、樹脂層Aの一方の面に配置される層であり、周波数3Hzで測定される200℃での引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)が1×10Pa〜1×10Paの範囲内であり、かつ周波数3Hzで測定される60℃〜200℃の温度領域での損失正接(tanδ)が0.8以下である接着剤層(b)である
樹脂層Bは、上記E’B200℃及び上記tanδがそれぞれ所定の範囲内にある接着剤層(b)であればよく、上記接着剤層(b)としては、感圧接着剤を含む接着剤層(感圧接着剤層)、或いは感熱接着剤を含む接着剤層(感熱接着剤層)が使用される。感圧接着剤層は、25℃程度の室温雰囲気下で指圧程度の圧力をかけて被着体表面へ接着するものを指す。一方、感熱接着剤層は25℃程度の室温雰囲気下では指圧程度の圧力で接着しないもの、或いは25℃程度の室温雰囲気下では微粘着であるが、60℃程度以上の熱を掛けて接着すると被着体へ高強度で接着するものを指す。その中でも、ゲートの位置に合わせ、個片に加工された接着シートをインサートパーツの背面の所望の位置に貼付し、そのままインサート成形機へセットしたり、加熱養生のために移動させたりする際に、接着シートの位置ずれや脱落を防止する上で、上記樹脂層Bは、感圧接着剤層或いは微粘着性の感熱接着剤層であることが好ましい。ここでいう微粘着性とは、後で述べる感圧接着時の引き剥がし接着力が0.1N/25mm〜1N/25mmの範囲を指す。
上記樹脂層Bは、周波数3Hzで測定される200℃での引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)が1×10Pa〜1×10Paの範囲内である。上記E’B200℃が上記範囲にあると、インサート成形工程で被覆用樹脂が射出された際に、インサートパーツの背面からの接着シートの剥がれやずれを防止することができ、さらに上記工程により得られる成形品を湿熱環境下に放置した際に、透光性樹脂層や被覆樹脂層、或いは接着シートのいずれからか発生しうる気体による気泡の形成を防止できる。上記効果をより一層確実に奏する上で、上記E’B200℃は2×10Pa〜3×10Paの範囲内が好ましく、3×10Pa〜1×10Paの範囲内がより好ましい。
上記樹脂層Bは、周波数3Hzで測定される60℃〜200℃の温度領域での損失正接(tanδ)が0.8以下である。上記tanδが上記範囲にあると、インサート成形時に接着シートの接着剤層Bの塑性変形や溶融を防止し、接着シートを一定の厚みに保ち、局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を防止できる上、インサート成形時に、加熱によって透光性樹脂や接着シートの樹脂層Aから発生しうる気体による気泡の形成を防止することができる。また、上記tanδが上記範囲にあると、インサート成形により得られる成形品を湿熱環境下に放置しても、樹脂層Bがインサートパーツの背面に強固に接着し、さらに透光性樹脂層や被覆樹脂層、或いは接着シートから発生しうる気体による気泡の形成を防止できる。とくに、上記効果をより一層確実に奏する上で、上記tanδは0.4以下であることが更に好ましい。又、上記tanδは、0より大きければよく、0.02以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。
また、周波数3Hzで測定される温度25℃での引っ張り貯蔵弾性率(E’B25℃)は1×10Pa〜1×10Paの範囲内であることが好ましい。温度25℃での引っ張り貯蔵弾性率が上記範囲にあると、25℃程度の室温雰囲気下において、指圧程度で感圧接着或いは微粘着でき、ゲートの位置に合わせて接着シートを簡便的に且つ高い位置精度で貼付することができ、インサートパーツの熱ダメージを効率的に保護することができる。貼り直し性を付与する上で微粘着性であることがより好ましく、温度25℃での引っ張り貯蔵弾性率は、5×10Pa〜5×10Paの範囲がより好ましく、1×10Pa〜1×10Paの範囲が更に好ましい。
また、室温下で感圧接着性や微粘着性を付与するには、上記樹脂層Bの周波数3Hzで測定される損失正接のピーク温度は−20℃〜20℃の範囲内であることが好ましく、接着シートの貼り直しや位置決めを容易にする上で、上記ピーク温度は、−10℃〜10℃以内であることが好ましい。
樹脂層Bの引っ張り貯蔵弾性率及び損失正接は、樹脂層Bを形成する接着剤を積層して試験片の厚さを400μm〜600μmの範囲にしたこと以外は、上述の樹脂層Aの引っ張り貯蔵弾性率及び損失正接の測定方法と同様にして、上記動的粘弾性試験機を用いて測定することができる。
上記樹脂層Bは、各物性が上述した範囲を有する任意の接着剤組成物又はその架橋物で形成される。上記接着剤組成物に含まれる樹脂成分としては、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル共重合樹脂、エポキシ樹脂の硬化物、ジエンを有するオレフィンモノマーとスチレンモノマーの共重合樹脂、又はその水添樹脂等の接着性樹脂が使用できる。
中でも、引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)や損失正接(tanδ)を所望の範囲に設計する上で、分子内に架橋反応できる官能基を有する樹脂が好ましい。その中でも、25℃程度の室温雰囲気下で指圧程度で感圧接着或いは微粘着でき、ゲートの位置に合わせ接着シートを簡便的に且つ高い位置精度で貼付し、被覆用樹脂から受ける熱によるインサートパーツの効率的なダメージ保護を確実にする上で、上記接着剤組成物は、分子内に1つ又は2つ以上の水酸基若しくはカルボキシル基を有する、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択される樹脂と、架橋剤とを含むことが好ましい。換言すれば、上記樹脂層Bは、分子内に1つ又は2つ以上の水酸基若しくはカルボキシル基を有する、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択される樹脂と、架橋剤とを含む接着剤組成物の架橋物であることが好ましい。
上記樹脂層Bは、分子内に1つ又は2つ以上の水酸基を有する、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択される樹脂と、イソシアネート化合物と、を含む接着剤組成物の架橋物、或いは、分子内に1つ又は2つ以上のカルボキシル基を有する、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択される樹脂と、分子内にグリシジル基を有するエポキシ化合物と、を含む接着剤組成物の架橋物が好ましい。
加飾層として薄膜の金属層が設けられたインサートパーツの加飾層表面に本発明の接着シートを貼付する場合には、湿熱環境下に250時間程度以上の期間晒されることでインサートパーツに設けられた金属層が酸化して退色(透明化)することを抑制する上で、上記樹脂層Bは、カルボキシル基を有する樹脂を含まないことが好ましい。インサートパーツにおける加飾層が金属層の場合、樹脂層Bは、分子内に1つ又は2つ以上の水酸基を有する、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択される樹脂と、イソシアネート化合物との架橋物を含むことが更に好ましい。
また、加飾層として薄膜の金属層が設けられたインサートパーツの加飾層表面に本発明の接着シートを貼付する場合は、上記樹脂層Bは、主鎖にエステル結合を有する樹脂を含まないこと、換言すれば、主鎖にエステル結合を有さない樹脂で形成されることが好ましい。湿熱環境下における気泡発生を抑制する効果及びインサートパーツ表面へ高強度に接着可能となる効果に加え、湿熱環境下に250時間程度以上の期間晒されても接着剤層に含まれる上記樹脂が加水分解しにくくなり、接着剤層から発生したカルボン酸により金属層が酸化して退色(透明化)するのを抑制することができ、湿熱環境下におけるインサートパーツの意匠性低下を抑制することが可能となるからである。なお、主鎖にエステル結合を有さない樹脂は、側鎖にエステル結合を有していてもよい。湿熱環境下に250時間程度以上の期間晒されて加水分解しても、カルボン酸が主鎖の側鎖に結合されていれば、金属層の酸化を起こしにくいためである。
主鎖にエステル結合を有さない樹脂の中でも、25℃程度の室温雰囲気下で感圧接着が可能であり、インサートパーツに対する接着強度をより高めることができることから、樹脂層Bは、分子内に水酸基を有する(メタ)アクリル共重合樹脂と、イソシアネート化合物とを含む樹脂組成物の架橋物が特に好ましい。
接着剤組成物が、樹脂成分としてポリエステル樹脂を含む場合、上記接着剤組成物は、上記ポリエステル樹脂を単独で含んでもよいが、200℃の引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)を高め、tanδを上記の好適な範囲に調整する上で、ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂との配合組成物であることが好ましく、相互に相溶し透明性を高める上で、ポリエステル樹脂とポリエステルウレタン樹脂との配合組成物であることがより好ましい。
上記ポリエステル樹脂としては、特に制限されず、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合物であるポリエステル樹脂やこれを変性したポリエステル樹脂を通常使用できる。
上記ポリエステル樹脂は、一種のポリエステル樹脂を使用しても、複数のポリエステル樹脂を混合しても良いが、接着剤に25℃における感圧接着性や微粘着性を有する感熱接着性を付与するためには、ガラス転移温度が0℃以下のポリエステル樹脂を含有することが好ましく、−40℃〜0℃の範囲内にあるポリエステル樹脂を含有することがより好ましく、感圧接着性や微粘着性を備えつつ、湿熱環境下での気泡の形成の抑制やインサート成形時の接着シートの剥がれやずれを防止する上で、−30℃〜−10℃の範囲内にあるポリエステル樹脂を含有することが最も好ましい。
上記ポリエステル樹脂の数平均分子量としては、10,000〜40,000の範囲内であることが好ましく、20,000〜30,000の範囲内であることがより好ましい。数平均分子量が上記範囲のポリエステル樹脂を含有することで、ポリエステルウレタン樹脂との相溶性に優れ、樹脂層Bの透明性を維持しやすいとともに、離型ライナー上に塗布した際にはじきが発生しにくく、インサート成形する際や感熱接着する際に接着剤層の型崩れが発生しにくい。
上記ポリエステル樹脂は、樹脂層Bのゲル分率を後述する好ましい範囲に調整し、目的の引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)と損失正接(tanδ)の範囲にするために、水酸基価或いは酸価が3KOHmg/g〜50KOHmg/gの範囲内が好ましい。25℃程度の室温雰囲気下で感圧接着性或いは微粘着性を有する感熱接着性を有するとともに、インサート成形時の接着シートの剥がれやずれを防止する上で、5KOHmg/g〜10KOHmg/gの範囲内がより好ましい。
インサートパーツの加飾層が薄膜な金属層であり、加飾層表面に接着シートを貼付する場合は、湿熱環境下に250時間程度以上の期間晒されることでインサートパーツに設けられた金属層が酸化して退色(透明化)することを抑制する上で、上記ポリエステル樹脂の酸価は、3KOHmg/g以下が好ましく、1KOHmg/g未満が特に好ましい。
上記ポリエステル樹脂に使用する多価カルボン酸としては、上記樹脂層Aに挙げたものを使用でき、これらのカルボン酸は通常単独でまたは2種以上混合して用いられる。さらに、多価アルコールをε−カプロラクトンなどのカプロラクトン化合物により変性することで、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を低温化でき、上記引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)や損失正接(tanδ)を目的の範囲に制御しやすい。
多価カルボン酸と多価アルコールの縮合反応は、公知慣用の種々の合成法に従って得られるものであって、その一例を挙げると、多価カルボン酸と多価アルコールとを、一緒に加えて、縮合(エステル化)する合成法が一般的である。
また、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合反応では、三価以上のカルボン酸あるいはアルコールを使用すれば、得られる縮合物に分岐構造を付与することもできる。
上記接着剤中の上記ポリエステル樹脂の含有量は、40質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましく、60質量%〜80質量%であることがより好ましい。上記含有量の範囲にあると、上記引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)や損失正接(tanδ)を目的の範囲に制御しやすいとともに、上記接着剤の透明性を維持しやすく、離型ライナー上に塗布した際にはじきやインサート成形する際や感熱接着する際の接着剤層の型崩れが発生しにくい。
上記ポリエステルウレタン樹脂は、水酸基含有ポリエステルに、ポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリエステルウレタン樹脂を好適使用できる。
上記ポリエステルウレタン樹脂として、一種のポリエステルウレタン樹脂を使用しても、複数のポリエステルウレタン樹脂を混合しても良いが、数平均分子量が15,000〜100,000の範囲内であるポリエステルウレタン樹脂を使用することが好ましい。
また、上記ポリエステルウレタン樹脂は、ガラス転移温度が好ましくは10℃〜100℃、より好ましくは40℃〜85℃の範囲内であることで、上記引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)や損失正接(tanδ)を目的の範囲に制御しやすい。一方、焼き付け型のアクリル塗装やウレタン塗装やメラミン塗装等の表面硬度が高い塗装面へ上記接着シートを貼付する場合は、感圧接着時の接着力を高めるために、ポリエステルウレタン樹脂のガラス転移温度は、−30℃〜60℃の範囲内が好ましく、より好ましくは−20℃〜30℃の範囲内であり、最も好ましくは−10℃〜20℃の範囲内である。
上記ポリエステルウレタン樹脂に使用する水酸基含有ポリエステル樹脂は、上記ポリエステル樹脂と同様に、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合により得られるポリエステル樹脂を使用できる。水酸基含有ポリエステル樹脂は、数平均分子量が4,000〜20,000の範囲にあることが好ましい。
上記ポリエステルウレタン樹脂は、樹脂層Bのゲル分率を後述する好ましい範囲にするために、水酸基価或いは酸価は3KOHmg/g〜50KOHmg/gの範囲内が好ましく、25℃程度の室温雰囲気下で感圧接着性或いは微粘着性を有する感熱接着性を有するとともに、インサート成形時の接着シートのずれや剥がれを防止する上で、3KOHmg/g〜10KOHmg/gの範囲内がより好ましい。
インサートパーツの加飾層表面が薄膜な金属層であり、且つ加飾層表面に接着シートを貼付する場合は、湿熱環境下に250時間程度以上の期間晒されることでインサートパーツに設けられた金属層が酸化して退色(透明化)することを抑制する上で、上記ポリエステルウレタン樹脂の酸価は、3KOHmg/g以下が好ましく、1KOHmg/g未満が特に好ましい。
水酸基含有ポリエステル樹脂に反応させるポリイソシアネート化合物としては、上記樹脂層Aにおいて接着剤層(a)がポリエステルウレタン樹脂を含む場合に水酸基含有ポリエステル樹脂に反応させるポリイソシアネート化合物の例として挙げた化合物を好適に使用できる。
上記ポリエステルウレタン樹脂の含有量は、溶剤を除く接着剤組成物(樹脂層B)中に5質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、15質量%〜35質量%の範囲内がとくに好ましい。上記範囲の含有量とすることで、上記引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)や損失正接(tanδ)を目的の範囲に制御しやすいとともに、適度な凝集力を付与できるため、インサート成形時の接着シートの剥がれやずれを防止するとともに、インサート成形により得られる成形品を湿熱放置した際に気泡の形成を防止しやすい。
また、接着剤組成物が、樹脂成分として(メタ)アクリル共重合樹脂を含む場合、上記(メタ)アクリル共重合樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、或いは(メタ)アクリル酸エステルと他のビニルモノマーとの共重合体を使用することが好ましいが、中でも(メタ)アクリル酸エステルを主モノマー成分とし、(メタ)アクリル酸エステルと他のビニルモノマーとの共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、上記接着剤層(a)において例示したアルキル(メタ)アクリレートを好適に使用できる。アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい、その中でも、(メタ)アクリル酸エステルのアルキル基の炭素数が1〜12のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が4〜8の直鎖または分岐構造を有するアルキル(メタ)アクリレートが更に好ましい。特にn−ブチルアクリレートは被着体との密着性を確保しやすいため好ましい。アルキル(メタ)アクリレートは1種又は2種以上用いることができる。
また、アルキル(メタ)アクリレートモノマーとして、n−ブチルアクリレート及びメチルアクリレートが用いられることが好ましい。すなわち、(メタ)アクリル共重合樹脂は、n−ブチルアクリレート及びメチルアクリレートをモノマー単位に含むことが好ましい。これらのモノマーを含むことで、(メタ)アクリル共重合樹脂のガラス転移温度(Tg)を調整して、接着剤層の感圧接着力を高めることが可能となるからである。上記の場合、アルキル(メタ)アクリレートモノマーの全量に占めるn−ブチルアクリレート及びメチルアクリレートの含有量の総和は、50質量%〜99質量%の範囲内が好ましく、70質量%〜95質量%の範囲内がより好ましい。
上記(メタ)アクリル共重合樹脂を構成する(メタ)アクリルモノマーの全量に対するアルキル(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種又は2種以上のモノマーの含有量の合計は、70質量%以上であることが好ましく、75質量%〜99質量%の範囲内であることがより好ましく、80質量%〜98質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
また、(メタ)アクリル共重合樹脂を構成する他のモノマーとして、上記樹脂層Aの使用例に挙げたものを好適に使用できる。これらのモノマーは1種または2種以上用いることができる。その中でも、前述した通り、加飾層として薄膜の金属層が設けられたインサートパーツの加飾層表面に本発明の接着シートを貼付する場合には、湿熱環境下に250時間程度以上の期間晒されることでインサートパーツに設けられた金属層が酸化して退色(透明化)することを抑制する上で、カルボキシル基を含有するモノマーを含まないことが好ましい。加飾層として薄膜の金属層が設けられたインサートパーツの加飾層表面に本発明の接着シートを貼付する合は、(メタ)アクリル共重合樹脂は、アルキル(メタ)アクリレートモノマーと水酸基含有ビニルモノマーを含むビニルモノマーとの共重合体が好ましい。イソシアネート化合物と反応して架橋構造を作り、感圧接着性と凝集性を好適な範囲に調整しやすく、また、湿熱環境下に250時間程度以上の期間晒されても薄膜の金属層を酸化して退色(透明化)すること無く、側鎖のエステルが加水分解されたとしても、顕著な接着性の低下を抑制できるからである。
上記(メタ)アクリル共重合樹脂を構成するアクリルモノマーの全量に対する水酸基含有ビニルモノマーの含有量は、0.1質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましく、1質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル共重合樹脂の分子量は、重量平均分子量が、10万〜150万の範囲内であることが好ましく、30万〜100万の範囲内であることがより好ましく、40万〜80万の範囲内であることがさらに好ましい。樹脂層Bの引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)や損失正接(tanδ)を目的の範囲に制御しやすくなり、インサート成形時の接着シートやインサートパーツへの熱ダメージを低減し、又、湿熱環境下での成形品からの気泡発生をより効果的に防止することができるからである。
上記(メタ)アクリル共重合樹脂のガラス転移温度は、0℃以下の範囲内が好ましく、−50℃〜0℃の範囲が更に好ましく、−35℃〜−10℃の範囲がより好ましい。樹脂層Bの引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)と損失正接(tanδ)を目的の範囲に制御しつつ、本発明の接着シートが高い感圧接着性を示すことができ、焼き付け型のアクリル塗装やウレタン塗装やメラミン塗装等の表面硬度が高い塗装面に対しても、常温で高い接着力により貼付可能となるからである。
上記(メタ)アクリル共重合樹脂は、水酸基価或いは酸価は3KOHmg/g〜50KOHmg/gの範囲内が好ましい。イソシアネート化合物或いはエポキシ化合物により架橋して、樹脂層Bの引っ張り貯蔵弾性率(E’B200℃)及び損失正接(tanδ)を上述した好適な範囲に調整することができるからである。中でも適切な接着性を確保しつつ、上記イソシアネート化合物或いはエポキシ化合物と確実に架橋し、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、被覆用樹脂(被覆樹脂層)と強固に接着し、湿熱環境下での気泡の形成の抑制を確実なものとする上で、水酸基価或いは酸価が5KOHmg/g〜20KOHmg/gの範囲内がより好ましい。
接着剤組成物は、上述した樹脂成分の他に、樹脂の種類や上記樹脂が有する官能基の種類に応じて架橋剤や開始剤等を含む。架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。
上記接着剤組成物がイソシアネート化合物を含む場合、イソシアネート化合物の配合量は、溶剤を除いた接着剤組成物(接着剤王)中に0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。上記範囲の配合量とすることで、樹脂とイソシアネート化合物の反応が過不足とならず、樹脂層Bに適切な凝集力を付与でき、インサート成形時の接着シートのずれや剥がれを抑制するとともに、成形品を湿熱環境下に放置した際に気泡の形成を防止することができる。さらに、イソシアネート化合物の配合量は、0.5質量%〜5.0質量%の範囲内がより好ましく、感圧接着時の接着力を高め、インサート成形時の接着シートの剥がれや位置ずれの抑制と、湿熱放置環境下での気泡の形成を抑制する上で、1.0質量%〜3.0質量%の範囲内がとくに好ましい。
上記接着剤組成物がエポキシ化合物を含む場合、エポキシ化合物の配合量は、溶剤を除いた接着剤組成物(接着剤層)中に0.01質量%〜5.0質量%であることが好ましい。上記範囲の配合量とすることで、エポキシ化合物の反応が過不足とならず、樹脂層Bに適切な凝集力を付与でき、tanδを上記の好適な範囲に調整できる。さらに、エポキシ化合物の配合量は、0.02質量%〜3.0質量%がより好ましく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、加飾層や透光性樹脂層と接着して湿熱環境下での気泡の形成抑制を確実にする上で0.03質量%〜1.0質量%であることがとくに好ましい。
上記接着剤組成物は、上記成分の他に、カルボジイミド等の加水分解抑制剤、接着促進剤、表面調整剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、粘着付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤などの添加剤を必要に応じて含むことができる。また、架橋反応を調節するため公知の触媒、添加剤などを含んでいても良い。
上記樹脂層Bのゲル分率Bは、40質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましい。樹脂層Bのゲル分率が上記範囲内にあることで、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、樹脂層Bを一定の厚みに保ち、局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を防止することができる。また、インサート形成工程により得られた成形品を湿熱環境下に放置しても、透光性樹脂層や被覆樹脂層、或いは接着シートから発生しうる気体による気泡の形成を防止できる。中でも、上述の効果をより高く奏するために、上記樹脂層Bのゲル分率は55質量%〜90質量%の範囲内であることがより好ましく、60質量%〜90質量%の範囲内であることが最も好ましい。
本明細書内において、樹脂層(B)のゲル分率Bは、前記樹脂層Aが接着剤層の場合のトルエンへの不溶分率を評価した方法と同様にして得た質量を用いて、以下の計算式で算出されたものである。
ゲル分率B(質量%)=[(樹脂層Bのトルエン浸漬後の質量)/(樹脂層Bのトルエン浸漬前の質量)]×100
樹脂層Bの厚さは、所望の接着力によりインサートパーツの背面への貼付が可能であり、インサート成形時の接着シートの位置ずれや剥がれを防止できる厚さであればよいが、成形品において被覆樹脂層と接着シートとの色差を上記好ましい範囲内に制御する上で、1μm〜100μmの範囲内が好ましく、5μm〜50μmの範囲内がより好ましく、20μm〜40μmの範囲内が最も好ましい。
樹脂層Bは、離型ライナー上に、上述した接着剤組成物を含む溶液を塗布し、乾燥し、接着剤層を形成後、もう一方の面に離型ライナーを貼付し、加熱養生して架橋する方法などによって形成できる。接着剤組成物を溶解する溶剤としては、通常用いられている酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤や、アセトン、メチルケチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等を用いることができる。
[易接着層C]
本発明の接着シートは、上記樹脂層Aと被覆用樹脂(被覆樹脂層)との接着性を高め、得られた成形品を湿熱環境下に放置しても、インサートパーツと強固に接着し、透光性樹脂層や被覆樹脂層、或いは接着シートから発生しうる気体による気泡の形成を確実に防止する上で、上記樹脂層Aの樹脂層B側とは反対側の面に、易接着層Cを積層してもよい。樹脂層Aが積層体の場合は、樹脂層B側とは反対側の最外面に易接着層Cを積層してもよい。
上記易接着層Cは、損失正接(tanδ)が1.0を超える温度が200℃以下であることが好ましい。損失正接(tanδ)が1.0を超える温度では、易接着層Cの凝集状態の変化が起こり、軟化して接着しやすい状態になる。損失正接(tanδ)が1.0を超える温度が200℃以下にあると、200℃以上の温度に溶融された被覆用樹脂が射出された際に、易接着層Cが軟化して、被覆樹脂層との接着性をさらに高めることができる。
上記易接着層Cは、周波数3Hzで測定された引っ張り動的粘弾性の損失正接(tanδ)が1.0を超える温度が0℃〜200℃の範囲内であることがより好ましく、10℃〜190℃の範囲内であることが更に好ましく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、接着シートを一定の厚みに保ち、局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を防止し、また、得られた成形品を湿熱環境下に放置しても、インサートパーツとの強固な接着を維持し、透光性樹脂層や被覆樹脂層、或いは接着シートから発生しうる気体による気泡の形成を防止する上で、40℃〜170℃の範囲内が最も好ましい。
なお、上記易接着層Cの損失正接(tanδ)は、上述した樹脂層Aの損失正接の測定方法と同様とすることができる。
上記易接着層Cに使用できる樹脂の種類としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、マレイン酸樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。その中でも、樹脂層Aと同類の樹脂を使用することが好ましく、例えば、樹脂層Aがポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂である場合、易接着層Cに使用する樹脂として、ポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。
また、上記易接着層Cに使用する樹脂は、インサート成形時の加熱によって、易接着層Cが溶融して厚みが薄くなり、被覆用樹脂(被覆樹脂層)との接着性が低下することを防止する上で、官能基を有する樹脂を使用し、官能基と反応できる多官能の架橋剤を併用することが好ましい。例えば、樹脂が水酸基を含有する場合は、2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を架橋剤として用いることができる。
上記易接着層Cには、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、表面調整剤、紫外線吸収剤や光安定剤、ブロッキング防止のためのワックスや無機フィラー等を添加してもよい。
上記易接着層Cの厚さとしては、被覆用樹脂(被覆樹脂層)との接着性を確保できる十分な厚さがあればよく、0.1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.5μm〜10μmであることがより好ましく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、接着シートを一定の厚みに保ち、局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を防止し、得られた成形品を湿熱環境下に放置しても、インサートパーツとの強固な接着を維持し、透光性樹脂層や被覆樹脂層、或いは接着シートから発生しうる気体による気泡の形成を防止する上で、1μm〜5μmがとくに好ましい。なお、易接着層Cの厚さが0.1μm未満であると、被覆樹脂層との接着性が低下し、インサート成形後に成形品を冷却する際に、樹脂層Aと被覆樹脂層との間の寸法収縮差による歪みによって、易接着層Cと被覆樹脂層との間で剥がれを生じやすくなる。一方、易接着層Cの厚さが20μmを超えると、接着シートを一定の厚みに保つことが困難となり、局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を防止することが困難になる場合がある。
上記易接着層Cの積層方法としては、上記樹脂を溶剤に溶解したものを、樹脂層Aの表面へ直接塗布して乾燥する方法、離型ライナー上へ塗布して乾燥後、樹脂層Aへ転写する方法、樹脂層Aを形成した際に溶融した易接着層Cの組成物を共押し出しして積層する方法、等の任意の方法が挙げられる。
[接着シート]
本発明の接着シートは、樹脂層Aがゲート側又は被覆樹脂層側に位置し、樹脂層Bがインサートパーツの背面側、すなわちインサートパーツの加飾層を有する面側に位置することが好ましい。すなわち、本発明の接着シートをインサートパーツの背面に貼付したときに、上記インサートパーツ側から、上記接着シートの樹脂層B、樹脂層Aがこの積層順になることが、本発明の接着シートによる効果を奏する上で好ましい。
また、本発明の接着シートは、上記樹脂層Aの少なくとも1面に上記の樹脂層Bが積層設けられた構成を有すればよく、樹脂層Aは、1層であってもよく2層以上含んでいてもよく、また、樹脂層Bは、1層であってもよく2層以上含んでいてもよいが、本発明の接着シートの層構成のうち、上記易接着層C及び離型ライナーを除き、一方の最外層は樹脂層Aであり、他方の最外層は樹脂層Bとする。
本発明の接着シートの積層構成として、以下に具体例を示すが、これに限定されない。なお、下記に示す積層構成において、左から右に向かって各層の積層順で表し、「/」は積層界面を示し、「[ ]」内は樹脂層内の層構成を示す。
・樹脂層A[基材]/樹脂層B[接着剤層(b)]
・樹脂層A[接着剤層(a)]/樹脂層B[接着剤層(b)]
・易接着層C/樹脂層A[基材]/樹脂層B[接着剤層(b)]
・樹脂層A[接着剤層(a)/基材]/樹脂層B[接着剤層(b)]
・易接着層C/樹脂層A[接着剤層(a)/基材]/樹脂層B[接着剤層(b)]
・樹脂層A[基材(A1)/接着剤層(a)/基材(A1又はA2)]/樹脂層B[接着剤層(b)]
・易接着層C/樹脂層A[基材(A1)/接着剤層(a)/基材(A1又はA2)]/樹脂層B[接着剤層(b)]
本発明の接着シートは、少なくとも樹脂層B側の最表面に離型ライナーを有することができ、更に樹脂層Aの態様に応じて樹脂層A側の最表面にも離型ライナーを有していても良い。離型ライナーとしては、上質紙等の紙基材の片面或いは両面に、ポリエチレン樹脂やクレー等の目止め層を積層し、前記目止め層上の片面或いは両面に離型処理を施したものや、汎用の樹脂フィルムの片面或いは両面に離型処理を施したもの等を用いることができる。なお、接着シートの厚さには、離型ライナーの厚さは含まないものとする。また、接着シートの最外層には、離型ライナーは含まないものとする。
本発明の接着シートの厚さは、インサートパーツの背面への貼付が可能で、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を防止し、接着シートを一定の厚みに保ち、局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を防止できる厚さであれば任意の厚さであってもよいが、インサート成形時のダメージ保護を確実なものとする上で、51μm〜2100μmの範囲内であることが好ましく、100μm〜1100μmの範囲内であることがより好ましく、接着シートの断裁加工を容易にする上で、200μm〜600μmの範囲内であることが更に好ましい。
本発明の接着シートの総厚に占める上記樹脂層Aの厚さの割合は、50%〜99%の範囲内が好ましく、インサート成形時の接着シートの塑性変形や溶融を確実に防止し、局所的な加熱よる加飾層や透光性樹脂層の変形による歪みやずれ等のダメージの発生を確実に防止する上で、70%〜98%の範囲内であることがより好ましく、80%〜95%の範囲内であることが更に好ましい。本発明の接着シートが、樹脂層Aを2層以上含む場合は、接着シートの総厚に占める、2層以上の樹脂層Aの厚さの総和の割合が上記の範囲内であることが好ましい。
上記接着シートは、一般的に使用されている方法で作製できる。例えば、接着シートは、予め前述した方法で樹脂層Aを作製し、樹脂層Aの一方の面に樹脂層Bを直接形成することができる。又、接着シートは、離型ライナー上に樹脂層Bを形成し、該樹脂層Bを予め前述した方法で作製した樹脂層Aと貼合することによって製造することができる。具体的には、溶液化した樹脂層Bを樹脂層Aの表面に塗布し乾燥し、離型処理したライナーを貼り合せるか、又はいったん離型ライナー上に塗布し、乾燥し、接着剤層を形成後、上記樹脂層Aへ貼合し、作製した積層品を加熱養生して架橋する方法などによって作製できる。樹脂層Aが接着剤層の場合は、樹脂層A及びBを各々離型ライナー上に塗布して乾燥し、接着剤層を形成後、樹脂層どうしを貼合し、作製した積層品を加熱養生して架橋する方法などによって作製できる。
本発明の接着シートは、透光性樹脂層又は加飾層の表面(被接着面とする)に感圧接着した直後の接着シートの引き剥がし接着力が、0.1N/25mm以上であることが好ましい。一方、本発明の接着シートは、被接着面に感圧接着し、インサート成形によって被覆用樹脂から熱ダメージを受ける直前の被接着面からの引き剥がし接着力が、3N/25mm以上であることが好ましく、さらに好ましくは4N/25mm以上である。上記範囲にあることで、金型へのインサートパーツのセット時やインサート成形時に接着シートの剥がれやずれを防止できる。引き剥がし接着力の上限は特に制限されるものではないが、本発明の好適な組成においては、実質的に30N/25mm程度を上限とすることができる。
また、本発明の接着シートは、インサート成形によって被覆用樹脂から熱ダメージを受けた後の被接着面からの引き剥がし接着力が、5N/25mm以上であることが好ましく、さらに好ましくは10N/25mm以上である。上記範囲にあることで、インサート成形により得られる成形品を湿熱環境下に放置した際に気体の発生による気泡の形成を防止できる。
なお、感圧接着した直後の引き剥がし接着力は、以下の方法にて測定する。まず、25mm幅で100mm長さに切断した接着シートから、樹脂層B側に配置された離型ライナーを剥離除去した後、23℃及び50%RHの環境下で、光沢状のポリカーボネート板の表面又は表面にアルミニウムを蒸着した光沢状のポリカーボネート板の表面(被接着面)へ接着シートの樹脂層B側の表面を接触させ、2kgローラーで1往復の荷重を掛けて貼付する。貼付から1分以内に、テンシロン型引っ張り試験機にて、接着シートを90°方向へ300mm/分の引張速度で被接着面から剥離し、剥離抵抗力を測定する。このときの剥離抵抗力を、感圧接着直後の引き剥がし接着力とする。
熱ダメージを受ける直前の引き剥がし接着力は、樹脂層Bの種類に応じて、以下の方法にて測定する。樹脂層Bが感圧接着剤層である場合は、まず、25mm幅で100mm長さに切断した接着シートの、樹脂層B側に配置された離型ライナーを剥離した後、23℃及び50%RHの環境下で、前記被接着面へ接着シートの樹脂層B側の表面を接触させ、2kgローラーで1往復の荷重を掛けて貼付する。23℃及び50%RH環境下に1時間放置後、テンシロン型引っ張り試験機にて、接着シートを90°方向へ300mm/分の引張速度で被接着面から剥離し、剥離抵抗力を測定する。このときの剥離抵抗力を、樹脂層Bが感圧接着剤である場合の、熱ダメージを受ける直前の引き剥がし接着力とする。
また、樹脂層Bが感熱接着剤層である場合の熱ダメージを受ける直前の引き剥がし接着力は、以下の方法で測定する。まず、25mm幅で100mm長さに切断した接着シートの、樹脂層B側に配置された離型ライナーを剥離した後、23℃及び50%RHの環境下で、前記被接着面へ接着シートの樹脂層B側の表面を接触させて2kgローラーで1往復の荷重を掛けて貼付する。次に、熱プレス装置の上部プレス板を80℃に加熱し、0.2MPaの圧力で15秒間熱プレスする。23℃及び50%RH環境下に1時間放置後、テンシロン型引っ張り試験機にて、接着シートを90°方向へ300mm/分の引張速度で被接着面から剥離し、剥離抵抗力を測定する。このときの剥離抵抗力を、樹脂層Bが感熱接着剤である場合の、熱ダメージを受ける直前の引き剥がし接着力とする。
熱ダメージを受けた後の引き剥がし接着力は、熱ダメージを受ける直前の引き剥がし接着力の測定で作製したサンプルに追加で、熱プレス装置の上部プレス板を220℃に加熱し、20MPaの圧力で5秒間熱プレスする。23℃及び50%RH環境下に1時間放置後、テンシロン型引っ張り試験機にて、接着シートを90°方向へ300mm/分の引張速度で被接着面から剥離し、剥離抵抗力を測定する。このときの剥離抵抗力を、熱ダメージを受けた後の引き剥がし接着力とする。
上記接着シートは、ゲートの形状や開口面積に応じて、形状及び大きさを調整することが好ましい。通常、均等に熱ダメージの保護を行うために、ゲートの形状と同じ形状に接着シートを型抜きして使用することが好ましい。また、接着シートの大きさは、対角線の長さでゲート口の口径から10mm〜30mm程度大きい大きさで使用することが好ましい。接着シートの型抜きの方法としては、離型ライナー上に配置された接着シートを、抜き刃を取り付けた平圧カッターやローターリーカッターで機械的に切断するか、或いはレーザー等の熱発生装置によって溶融切断する方法等によって、上記形状と大きさへ切断し、不要部分を取り除いて得る方法等が挙げられる。
本発明の接着シートは、以上説明した樹脂層A及び樹脂層Bの適用により、接着シートが加飾されておらず、無色透明であることが好ましく、JIS K7136[プラスチック―透明材料のヘイズの求め方]に準拠して測定される接着シートのヘイズが5.0%以下であることが好ましい。また、上記被覆用樹脂(被覆樹脂層)と同一色に着色された樹脂層Aを使用する場合、接着シートの樹脂層Bと被覆用樹脂(被覆樹脂層)との色差(ΔE)が5.0以内であることが好ましい。インサートパーツ側からの接着シートの視認を防ぎ、高い意匠性を有することができるからである。
本発明の接着シートは、インサートパーツの背面に貼付して用いられるが、上記背面における加飾層上に貼付してもよく、上記背面における加飾層が配置されていない透光性樹脂層上に貼付してもよく、上記背面における加飾層上及び加飾層が配置されていない透光性樹脂層上に貼付してもよい。また、本発明の接着シートは、インサートパーツの背面の全体に貼付して用いられてもよく、上記背面の一部に貼付して用いられてもよい。
[インサートパーツ]
本発明の接着シートを貼付するインサートパーツは、好適な実施態様の一例として、図4の断面図で示すように、透光性樹脂層と加飾層とが積層された構成を有する。
インサートパーツの作製方法の一例として、厚さ1mm〜5mm程度の透光性樹脂の平板の表面へ加飾層を積層した後、熱プレス機等によってフォーミングを行ってインサートパーツを作製する方法等が挙げられる。その他方法としては、金型に加飾フィルムをセットし、透光性樹脂を溶融して金型に挿入し、透光性樹脂と加飾フィルムを一体化したインサートパーツを作製する方法も挙げられる。透光性樹脂の平板を先にフォーミングした後に、透光樹脂層表面へ加飾層を積層する方法であってもよい。
前記加飾層は、透光性樹脂層の片面の一部又は全部に形成される。上記インサートパーツに使用される加飾層としては、インキ層、加飾フィルム、金属薄膜等が挙げられる。加飾層の形成方法は、汎用の方法を適用することができ、例えば、インキ層を設ける場合には、グラビア印刷やシルクスクリーン印刷によって、印刷インキを溶解した溶液を、乾燥後の厚さが1〜10μm程度になるように透光性樹脂層表面へ印刷する方法や、印刷インキを溶解した溶液を透光性樹脂層表面へスプレー噴射して着色する方法が挙げられる。また、金属蒸着層を設ける場合には、銀、アルミニウム、インジウム等の金属を、真空蒸着やめっき処理等によって、透光性樹脂層表面へ厚さ0.01μm〜2μm程度に積層する方法等が挙げられる。
また、前記加飾層は、透光性樹脂層の表面に直接設けてもよく、加飾層と透光性樹脂層との間の接着性を高めるために、透光性樹脂層表面に紫外線硬化型や熱硬化型のプライマー層を設けてから、前記加飾層を施してもよい。
上述の方法で得られたインサートパーツは、加飾性に優れ、本発明の接着シートを積層するのに好適に使用でき、好適な実施態様の一例として、インサート成形工程においてインサートパーツに向けて被覆用樹脂を溶融してゲートから射出する際の、熱による透光性樹脂層や加飾層の歪みやずれ等のダメージから保護できる。また、上記工程により得られた成形品を湿熱環境下に放置してもインサートパーツや被覆樹脂層、或いは接着シートから発生しうる気体による気泡の形成の防止に効果的である。
上記インサートパーツに使用される透光性樹脂層は、任意の透明な樹脂(透光性樹脂)を用いて形成される。上記透光性樹脂としては、透明性があれば特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂及びその他アクリル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系共重合樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などを含むポリアミド樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂などのアミノ樹脂、アリル樹脂、フラン樹脂、フェノール系樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、あるいは、これらの複合樹脂などを使用することができ、透明性や成形のしやすさから、ポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート及びその他アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂の使用が好ましい。
上記透光性樹脂層は、使用する厚みにおいて全光線透過率Ttが80%〜99%であることが好ましく、ヘイズが0%〜5%であることが好ましい。全光線透過率Ttは90%〜99%であり、ヘイズが0%〜3%であることがさらに好ましい。上記範囲の全光線透過率Ttとヘイズにあることで、加飾層の色彩が透光性樹脂層の表面(すなわちインサートパーツの意匠面)まで変化することがなく、意匠性を損なうことがない。ただし、太陽光や蛍光灯等の反射を抑制するため、透光性樹脂層の加飾層や被覆樹脂層を積層しない表面側(透光性樹脂層の背面とは反対側)に反射防止層を設けたり、加飾層の色彩を意図的に変化させるため、透光性樹脂層の内部にヘイズを付与したりしてもよい。
上記透光性樹脂層の表面は、加飾層や被覆用樹脂(被覆樹脂層)との密着性を向上させる目的で、サンドブラスト法や溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面処理を施してもよい。また、透光性樹脂層の表面に、紫外線硬化型や熱硬化型等のプライマー層を設けてもよい。
上記透光性樹脂層の厚さとしては、0.1mm〜5mmが好ましく、1mm〜3mmがより好ましい。上記厚さの範囲にあることで、加飾層表面を効果的に保護できる上、加飾層の色彩が透光性樹脂層の表面(すなわちインサートパーツの意匠面)まで変化することがなく、意匠性を損なうことがない。
[被覆用樹脂(被覆樹脂層)]
上記被覆用樹脂(被覆樹脂層)としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・アクリル共重合体、アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエン・スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ナイロン等を挙げることができる。そのなかでも、200〜250℃程度の温度で溶融でき、溶融時の流動性に優れること等から、スチレン系の重合体或いは共重合体を使用することが好ましく、柔軟性や耐衝撃性に優れるアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体やアクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエン・スチレン共重合体を使用することが最も好ましい。
上記被覆用樹脂(被覆樹脂層)は、有機顔料や無機顔料、顔料を練り込んだマスターバッチやドライカラー等の着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤や光安定剤、強度向上のための無機フィラー等を添加してもよい。着色剤としては、加飾層の意匠性を高める上で、黒色の着色剤を使用することが望ましい。
[物品]
上記接着シートが好ましく使用される物品としては、好適な実施態様の一例として、図5の断面図で示すように、上記透光性樹脂層及び加飾層を含むインサートパーツと、上記接着シートと、上記被覆樹脂層とをこの順に積層されてなる物品が挙げられる。上記物品においては、上記インサートパーツと、上記接着シートの樹脂層Bと、上記接着シートの樹脂層Aと、上記被覆樹脂層とが、この順で積層されていることが、透光性樹脂層及び加飾層の熱ダメージが十分に抑えられ、湿熱環境下に長期間置いても上記物品の意匠性を高く維持できる点でより好ましい。このとき、インサートパーツは、上記接着シート側から、加飾層、透光性樹脂層の順で積層されている。
[物品の製造方法]
上記物品は、透光性樹脂層の片面の一部または全部に加飾層を形成してインサートパーツを作製する工程[1]、上記インサートパーツの上記加飾層側の面の、ゲートが最も接近する位置へ、上述した接着シートの上記樹脂層B側の表面を上記インサートパーツ側にして貼合する工程[2]、及び上記インサートパーツ及び上記接着シートが順に積層された構成体を金型へセットし、上記構成体の上記接着シート側の面へゲートから溶融した被覆用樹脂を射出し、上記インサートパーツ及び上記接着シートを被覆する工程[3]をこの順に含む物品の製造方法により製造することができる。
上記物品の製造においては、インサートパーツ、接着シート、及び被覆用樹脂を射出するゲートは、2以上の個数や種類を同時に使用してもよい。
上記工程[1]は、上記インサートパーツの作製方法に準拠して作製される。
上記工程[2]は、接着シートの貼り直しや位置決めする上で、室温下の10℃〜40℃の環境下で行うことが好ましい。接着シートの貼付は、接着シートの中央がゲートの位置に合うように貼付することが好ましく、人員による作業でもよく、自動ラベラー等による機械による貼付でもよい。接着シートの接着剤層が微粘着であり、感熱接着性の場合は、さらに上記工程[2]の後に、60℃〜100℃程度で10秒〜30秒間程度の加熱工程を経ることが好ましい。上記加熱工程は、無加圧でも良く、熱プレス装置等によって加圧されながら加熱されても良い。
上記工程[3]は、被覆用樹脂の溶融温度に応じ、流動性が得られるまで被覆用樹脂が加熱溶融され、インサート成形機のゲートからインサートパーツの加飾層がある表面へ10MPa〜50MPa程度の圧力で1〜10秒間程度の時間射出され、インサートパーツ表面及び接着シート表面を被覆後、被覆用樹脂の融点以下へ冷却されて被覆完了となる。被覆用樹脂がアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体やアクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエン・スチレン共重合体の場合は、本工程において、200℃〜220℃程度に加熱溶融されて射出される工程となる。
上記製造方法で得られた物品は、家電製品の外装、自動車の内外装等に使用されるオーナメントやロゴマーク等が標された意匠性を有する成形品に好適に使用される。上記物品は、インサートパーツに被覆樹脂層が被覆された立体的な成形品であり、これら成形品をインサート成形で作製する際に、被覆用樹脂を溶融してゲートから射出してインサートパールの背面を被覆する際に、熱による透光性樹脂層や加飾層の変形による歪みやずれ等のダメージを防止し、完成した成形品を湿熱環境下で放置した後も、透光性樹脂層や被覆樹脂、或いは接着シートから発生しうる気体を抑制することによって、意匠性を長期に渡り維持可能であることから、家電製品の外装、自動車の内外装等に使用される意匠性を有する成形品として有用である。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
本発明について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<作製例A1:樹脂層(A1)>
水酸基を有するポリエステル樹脂として、バイロン200(固形分100%、樹脂の数平均分子量21,000、ガラス転移温度67℃、水酸基価6KOHmg/g、東洋紡株式会社製)を酢酸エチルへ溶解し、固形分50質量%の溶液物を作製した。上記溶液物60.6質量部に対して、水酸基を有するポリエステルウレタン樹脂として、バイロンUR1350(固形分33質量%、樹脂の数平均分子量36,000、樹脂のガラス転移温度46℃、樹脂の水酸基価4KOHmg/g、東洋紡株式会社製)39.4質量部を混合し、樹脂組成物の溶液(固形分43.3質量%)を得た。この組成物の溶液100質量部に、イソシアネート化合物としてバーノックDN980(固形分75質量%、ヘキサメチレンジイソシアネート型、DIC株式会社製)2.0質量部、加水分解抑制剤としてカルボジイミド化合物(日清紡ケミカル株式会社製「Elaststab H01」)0.65質量部、アセチルアセトン0.4質量部、架橋促進剤としてクリスボンアクセルT−81E(固形分1質量%、有機錫化合物、DIC株式会社製)1.3質量部を添加し10分攪拌した後、1時間放置して泡抜けさせ、接着剤組成物(S1)の溶液を得た。
接着剤組成物(S1)を棒状の金属アプリケータを用いて、離型ライナー(東洋紡株式会社製非シリコーン系離型ライナー「TN100−50」)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが50μmになるように塗布し、90℃の乾燥機に3分間投入し乾燥して樹脂層を得た。同様にして、同じ樹脂層を4枚作製し、樹脂層の流れ方向が一致するようにして、60℃に加熱したラミネーターを通して貼合して4枚を積層した後、40℃で3日間放置し、厚みが200μmの接着剤層(a1)である樹脂層(A1)を離型ライナー上に得た。
<作製例A2:樹脂層(A2)の作製>
水酸基を有するポリエステル樹脂として、バイロンBX10SS(固形分30質量%、樹脂の数平均分子量21,000、樹脂のガラス転移温度−18℃、樹脂の水酸基価樹脂の水酸基価8KOHmg/g、東洋紡株式会社製)を71質量部と、水酸基を有するポリエステルウレタン樹脂として、上記バイロンUR1350を29質量部混合し、樹脂組成物の溶液(固形分30.9質量%)を得た。この組成物の溶液100質量部に、加水分解抑制剤として上記Elastostab H01を0.46質量部、及びイソシアネート化合物として上記バーノックDN980を0.74質量部添加し10分攪拌した後、1時間放置して泡抜けさせ、接着剤組成物(S2)の溶液を得た。
接着剤組成物(S1)に代えて接着剤組成物(S2)を用いたこと以外は、上述した作製例A1と同様にして厚みが200μmの接着剤層(a2)である樹脂層(A2)を離型ライナー上に得た。
<作製例A3:樹脂層(A3)>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、エチルアクリレート56質量部、メチルメタクリレート40質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート4質量部、及びトルエン186質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。その後、予めトルエンにて溶解したアゾビスイソブチロニトリル溶液2質量部(固形分5質量%)を添加した。その後、攪拌下80℃にて10時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、粘度43,000mPa・s、樹脂のガラス転移温度17℃、樹脂の重量平均分子量40万である水酸基含有アクリル系共重合体の溶液(固形分35.0質量%)を得た。このアクリル共重合体の溶液100質量部に、イソシアネート化合物として上記バーノックDN980を1.2質量部、アセチルアセトン1.0質量部、架橋促進剤として上記クリスボンアクセルT−81Eを1.0質量部添加し10分攪拌した後、1時間放置して泡抜けさせ、接着剤組成物(S3)の溶液を得た。
接着剤組成物(S1)に代えて接着剤組成物(S3)を用いたこと以外は、上述した作製例A1と同様にして厚さが200μmの接着剤層(a3)である樹脂層(A3)を離型ライナー上に得た。
<作製例A4:樹脂層(A4)>
市販のポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット(BASFジャパン株式会社製「ウルトラデュアーB2550」)を、240℃〜260℃に加熱して溶融し、シリンダー及びTダイから押し出して、光沢金属ロールとマット状のゴムロールを備えたカレンダー加工機を通して冷却し、厚さ0.25mmのポリブチレンテレフタレート製シート基材(K1)を作製した。さらに、濡れ張力が54mN/mになるまで両面をコロナ処理し、基材(K1)である樹脂層(A4)を得た。
<作製例A5:樹脂層(A5)>
厚さ0.35mmのポリエチレンテレフタレート製シート(東レ株式会社製「S10」)の両面を、濡れ張力が54mN/mになるまでコロナ処理して基材(K2)とした。この基材(K2)は、トルエン不溶分率が100質量%で、周波数3Hzで測定された引っ張り動的粘弾性の損失正接(tanδ)が、温度200℃から220℃までの範囲で0.2であった。
上記作製した接着剤組成物(S1)の溶液を棒状の金属アプリケータを用いて、上記基材(K2)の片面上に、樹脂層の流れ方向が一致するようにして、乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、90℃の乾燥機に3分間投入し乾燥した後、40℃で3日間放置し、接着剤層(a4)を形成し、接着剤層(a4)及び基材(K2)の積層体からなる樹脂層(A5)を得た。
<作製例A6:樹脂層(A6)>
厚さ0.25mmのポリエチレンテレフタレート製シート(東レ株式会社製「T60」)の両面を、濡れ張力が54mN/mになるまでコロナ処理して基材(K3)である樹脂層(A6)を得た。
<作製例C1:易接着層(C1)>
作製例A6で得た基材(K3)の片面へ、ポリエステル系プライマーコート剤の溶液(DICグラフィックス株式会社製「SFプライマーNo.935」、固形分25質量%)100質量部に、イソシアネート硬化剤の溶液(DICグラフィックス株式会社製「CVLハードナーNo.10」、固形分35質量%)3.0質量部を混合し均一に撹拌後、メイヤーバーを用いて、乾燥後の厚さ1.0μmになるように塗布し、90℃の乾燥機に1分間投入し乾燥した後、40℃で3日間放置し、易接着層(C1)を形成した。
<作製例A7:樹脂層(A7)>
上記作製例A6で作成した基材(K3)の一方の面に、上記接着剤組成物(S2)の溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、樹脂層の流れ方向が一致するようにして、乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、90℃の乾燥機に3分間投入し乾燥して接着剤層(a5)を形成し、基材(K3)及び接着剤層(a5)の積層体(A7−1)を得た。
次に、厚さ100μmの黒色のポリエチレンテレフタレート製シート(東レ株式会社製「X30」)を基材(K4)とし、基材(K3)の樹脂層の流れ方向と基材(K4)の樹脂層の流れ方向が一致するようにして、上記積層体(A7−1)の接着剤層(a5)側の面と上記基材(K4)の片面とを重ね、温度80℃に加熱した熱ラミネーター(テスター産業株式会社製、「SA−1010小型卓上テストラミネーター」)に、速度1m/分、圧力0.2MPaで通過させ、40℃で3日間放置した。これにより、樹脂層(A6)、接着剤層(a5)及び基材(K4)の順で構成される、
<作製例C2:易接着層(C2)>
作製例A7で得た樹脂層(A7)の、上記基材(K3)の接着剤層(a5)とは反対側の面に、作製例C1と同様にして、厚さ1.0μmの易接着層(C2)を形成した。
<作製例A8:樹脂層(A8)>
黒色マスターバッチ(SMF−TT1608、カーボンブラック含有量50質量%、レジノカラー工業株式会社製)を6質量%添加したアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂のペレット(トヨラック600−309、東レ株式会社製)を融解してダイから押し出し、光沢金属ロールとマット状のゴムロールを備えたカレンダー加工機を通して厚さ0.25mmの黒色基材(K5)を作製した。上記黒色基材(K5)の光沢金属ロールが接していた表面側に、濡れ張力が52mN/mになるまでコロナ処理したものを、樹脂層(A8)とした。
<作製例A9:樹脂層(A9)>
上記樹脂層(A1)の作製に使用した接着剤組成物(S1)中のイソシアネート化合物(バーノックDN980)の添加量を2.0質量部から0.2質量部へ減量したこと以外は、作製例A1と同様の方法で厚さ200μmの接着剤層(a5)である樹脂層(A9)を得た。
<調製例B1:接着剤組成物(b1)>
水酸基を有するポリエステル樹脂として、上記バイロンBX10SSを69質量部と、水酸基を有するポリエステルウレタン樹脂としてイロンUR3200(固形分30質量%、数平均分子量40,000、ガラス転移温度−3℃、水酸基価3KOHmg/g、東洋紡株式会社製)31質量部を混合し、溶液(固形分30質量%)を得た。この組成物の溶液100質量部に、加水分解抑制剤として上記Elastostab H01を0.45質量部、及びイソシアネート化合物として上記バーノックDN980を0.7質量部添加し10分攪拌した後、1時間放置して泡抜けさせ、接着剤組成物(b1)の溶液を得た。
<調製例B2:接着剤組成物(b2)>
水酸基を有するポリエステル樹脂として上記バイロンBX10SSを71質量部と、水酸基を有するポリエステルウレタン樹脂として上記バイロンUR1350を29質量部混合し、溶液(固形分30.9質量%)を得た。この組成物の溶液100質量部に、加水分解抑制剤として上記Elastostab H01を0.46質量部、及びイソシアネート化合物として上記バーノックDN980を0.6質量部添加し10分攪拌した後、1時間放置して泡抜けさせ、接着剤組成物(b2)の溶液を得た。
<調製例B3:接着剤組成物(b3)>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート68質量部、メチルアクリレート20質量部、メチルメタクリレート10質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート2質量部、及び酢酸エチル122質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。その後、予め酢酸エチルにて溶解したアゾビスイソブチロニトリル溶液2質量部(固形分5質量%)を添加した。その後、攪拌下80℃にて8時間ホールドした後、内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過し、粘度6000mPa・s、樹脂のガラス転移温度−32℃、樹脂の重量平均分子量70万であるアクリル系共重合体の溶液(固形分45.0質量%)を得た。この組成物の溶液100質量部に、イソシアネート化合物として上記バーノックDN980を0.6質量部、アセチルアセトン1.0質量部、架橋促進剤としてクリスボンアクセルT−81E(固形分1質量%、有機錫化合物、DIC株式会社製)1.0質量部を添加し10分攪拌した後、1時間放置して泡抜けさせ、接着剤組成物(b3)の溶液を得た。
<調製例B4:接着剤組成物(b4)>
上記接着剤組成物(b2)中のイソシアネート化合物(バーノックDN980)の添加量を0.6質量部から0.2質量部へ減量したこと以外は、調製例B1と同様にして、接着剤組成物(b4)の溶液を得た。
(実施例1)
上記接着剤組成物(b1)の溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、ポリエステル基材の離型ライナー(TN100−50、東洋紡株式会社製非シリコーン系離型ライナー)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが30μmになるように塗布し、90℃の乾燥機に3分間投入し乾燥し、樹脂層(B1)を得た。その後、上記樹脂層(B1)を上記樹脂層(A1)の離型ライナーが積層されていない面と貼り合せ、40℃に3日間放置し、接着シート(D1)を得た。
(実施例2)
樹脂層(A1)に代えて上記樹脂層(A2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D2)を得た。
(実施例3)
樹脂層(A1)に代えて上記樹脂層(A3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D3)を得た。
(実施例4)
実施例1と同様にして離型ライナーに積層された樹脂層(B1)を作製し、樹脂層(A4)の一方の面へ樹脂層(B1)を貼合し、接着シート(D4)を得た。
(実施例5)
樹脂層(A1)に代えて上記樹脂層(A5)を用い、上記樹脂層(A5)の基材(K2)面と上記樹脂層(B1)とを貼合したこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D5)を得た。
(実施例6)
樹脂層(A1)に代えて上記樹脂層(A6)を用い、上記樹脂層(A6)の易接着層(C1)を積層していない面と樹脂層(B1)とを貼合したこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D6)を得た。
(実施例7)
樹脂層(A1)に代えて上記樹脂層(A7)を用い、上記樹脂層(A7)の易接着層(C1)を積層していない面と樹脂層(B1)とを貼合したこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D7)を得た。
(実施例8)
接着剤組成物(b1)に代えて上記接着剤組成物(b2)を用いて厚さ30μmの樹脂層(B2)を形成し、樹脂層(B1)に代えて樹脂層(B2)を上記樹脂層(A1)の離型ライナーが積層されていない面に貼合したこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D8)を得た。
(実施例9)
接着剤組成物(b1)に代えて上記接着剤組成物(b2)を用いて厚さ30μmの樹脂層(B2)を形成し、樹脂層(A1)に代えて上記樹脂層(A6)を用い、上記樹脂層(A6)の易接着層(C1)を積層していない面と樹脂層(B2)とを貼合したこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D9)を得た。
(実施例10)
接着剤組成物(b1)に代えて上記接着剤組成物(b3)を用いて厚さ30μmの樹脂層(B3)を形成し、樹脂層(B1)に代えて樹脂層(B3)を上記樹脂層(A1)の離型ライナーが積層されていない面に貼合したこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D10)を得た。
(実施例11)
接着剤組成物(b1)に代えて上記接着剤組成物(b3)を用いて厚さ30μmの樹脂層(B3)を形成し、樹脂層(A1)に代えて上記樹脂層(A6)を用い、上記樹脂層(A6)の易接着層(C1)を積層していない面と樹脂層(B3)とを貼合したこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D11)を得た。
(比較例1)
上記樹脂層(A8)のまま評価に使用した。
(比較例2)
樹脂層(A1)に代えて上記樹脂層(A8)を用い、上記樹脂層(A8)のコロナ処理面に上記樹脂層(B1)を貼合したこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D12)を得た。
(比較例3)
樹脂層(A1)に代えて上記樹脂層(A9)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、接着シート(D13)を得た。
(比較例4)
接着剤組成物(b1)に代えて上記接着剤組成物(b4)を用いて厚さ30μmの樹脂層(B4)を形成し、樹脂層(B1)に代えて樹脂層(B4)と樹脂層(A6)の易接着層(C1)を積層していない面とを貼合したこと以外は、実施例6と同様にして、接着シート(D14)を得た。
(インサートパーツ(T1)、(T2)の作製)
透光性樹脂層のみのインサートパーツ(T1)として、厚さ3mm、各辺の長さ100mmのポリカーボネート製透明樹脂シート(住友ベークライト株式会社製「ポリカエースECK100UU」、表裏無し)を使用した。
また、前記ポリカーボネート製透明樹脂シートの表面へ、アンダーコート層として、メイヤーバーを用いて紫外線硬化型のアンダーコート層(東洋工業塗料株式会社製、UV−270M)を1μmの厚さで塗布し、メタルハライドランプにて500mJ/cmの強度で紫外線照射して硬化させ、その後、上記アンダーコート層表面へ、厚さ0.2μmになるようアルミニウムを真空蒸着して、上記コート層表面の全面に加飾層を有するインサートパーツ(T2)を得た。
(樹脂層Aの引っ張り貯蔵弾性率(E’)及び損失正接(tanδ))
上記樹脂層(A1)〜(A9)を、単層或いは積層体のまま、樹脂層の流れ方向が測定方向となるようにして、幅5mm及び測定部の長さを20mmとし、両端の持ち手の長さが各15mmとなるように裁断して長方形状の試験片を作製して試料を得た。上記試料を、動的粘弾性試験機(ティー・エイ・インスツルメント製粘弾性測定機「RSA III」を用い、引っ張りモードで、振動数3Hz、昇温速度5℃/min、負荷歪み0.1%〜0.6%の条件で、50℃〜260℃までの温度領域における、引っ張り貯蔵弾性率E’と損失正接tanδを測定した。このときの200℃〜220℃までの温度領域における引っ張り貯蔵弾性率をE’、200℃〜220℃までの温度領域における損失正接をtanδとした。また、参考値として、200℃〜250℃までの温度領域における損失正接(tanδA2)も測定した。
なお、樹脂層(A8)、(A9)については、200℃〜250℃までの温度領域における損失正接(tanδA2)の測定中に溶断し最大値は2.0以上であった(tanδA2≧2.0)。
積層体構造を有する樹脂層(A5)及び(A7)については、積層体構造全体での200℃〜220℃までの温度領域における引っ張り貯蔵弾性率(E’)、200℃〜220℃までの温度領域における損失正接(tanδ)、及び200℃〜250℃までの温度領域における損失正接(tanδA2)に加えて、積層体を構成する樹脂層のそれぞれについても、積層する前に同様にして、E’、tanδ、及びtanδA2を測定した。なお、樹脂層(A5)及び樹脂層(A7)の積層に使用した接着剤層(a4)のE’、tanδ、及びtanδA2は、それぞれ樹脂層(A2)のE’、tanδ、及びtanδA2と同一値と見なした。また、樹脂層(A7)の積層に使用した基材(K3)のE’、tanδ、及びtanδA2は、それぞれ樹脂層(A6)のE’、tanδ、及びtanδA2と同一値と見なした。
また、易接着層(C1)を設けたときの樹脂層(A6)及び(A7)のE’、tanδ、及びtanδA2は、易接着層(C1)を設けないときの樹脂層(A6)及び(A7)のE’、tanδ、及びtanδ’と同等であった。
(易接着層(C1)の損失正接(tanδ))
易接着層(C1)は、作製例A1に記載の方法と同様にして厚さ100μmの試料を作製し、樹脂層Aの損失正接の測定方法と同様にして、−20℃〜210℃までの温度領域における損失正接tanδを測定し、周波数3Hzで測定された引っ張り動的粘弾性の損失正接tanδcが1を超える温度を求めた。
(樹脂層Bの引っ張り貯蔵弾性率(E’)及び損失正接(tanδ)
接着剤組成物(b1)〜(b4)を、ポリエステル基材の離型ライナーTN100−50(東洋紡株式会社製非シリコーン系離型ライナー)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが50μmになるように塗布し、90℃の乾燥機に3分間投入し乾燥して得た樹脂層を10枚貼合し、その後、40℃に3日間放置して得た樹脂層を上記大きさに切断し試料を得た。樹脂層Aの引っ張り貯蔵弾性率及び損失正接の測定方法と同様にして、−20℃〜210℃までの温度領域における、引っ張り貯蔵弾性率E’と損失正接tanδを測定した。このときの25℃での引っ張り貯蔵弾性率をE’B25℃、200℃での引っ張り貯蔵弾性率をE’B200℃とし、60℃〜200℃の温度領域での損失正接をtanδとした。
(樹脂層Aのトルエンへの不溶分率[質量%]、ゲル分率A)
樹脂層Aの樹脂層Aのトルエンへの不溶分率(ゲル分率A)を下記の方法で測定した。
<1.樹脂層(A4)、(A6)、(A8)のトルエンへの不溶分率>
基材(K1)〜(K5)を、一辺の長さ40mm、直交する一辺の長さ50mmの大きさの長方形へ切断した後、23℃に調整されたトルエンに24時間浸漬した。上記浸漬後に試験片を取り出し、105℃の乾燥機内にて1時間乾燥させたものの質量を測定した。上記質量と、以下の式に基づいて基材のトルエンへの不溶分率を算出した。基材(K1)、(K3)、(K5)のトルエンへの不溶分率は、それぞれ基材のみで構成される樹脂層(A4)、(A6)、(A8)のトルエンへの不溶分率に相当する。
基材のトルエンへの不溶分率(質量%)={(トルエンに溶解せずに残存した基材の質量)/(上記トルエン浸漬前の基材の質量)}×100
<2.樹脂層(A1)、(A2)、(A3)、及び(A9)のトルエンへの不溶分率>
接着剤層(a1)〜(a5)を、一辺の長さ40mm、直交する一辺の長さ50mmの大きさの長方形へ切断した後、片面の離型ライナーのみ除去して試験片とした。上記試験片の質量を測定した後、23℃に調整されたトルエンに24時間浸漬した。上記浸漬後に試験片を取り出し、105℃の乾燥機内にて1時間乾燥させたものの質量を測定した。上記質量と、以下の式に基づいて接着層のトルエンへの不溶分率(ゲル分率A)を算出した。接着剤層(a1)、(a2)、(a3)、及び(a5)のトルエンへの不溶分率(ゲル分率A)は、それぞれ接着剤層のみで構成される樹脂層(A1)、(A2)、(A3)、及び(A9)のトルエンへの不溶分率(ゲル分率A)に相当する。
接着剤層のトルエンへの不溶分率(ゲル分率A、質量%)={(トルエンに溶解せずに残存した試験片の接着剤層の質量)/(上記トルエン浸漬前の試験片の接着剤層の質量)}×100
上記浸漬前の接着剤層の質量は、上記試験片の質量から、その作製に使用した離型ライナーの質量を差し引いた値を指す。また、上記残存した接着剤層の質量は、上記残存物の乾燥後の質量から、上記離型ライナーの質量を差し引いた値を指す。
<3.樹脂層(A5)、(A7)のトルエンへの不溶分率>
積層体構造を有する樹脂層(A5)、(A7)を、一辺の長さ40mm、直交する一辺の長さ50mmの大きさの長方形へ切断した後、23℃に調整されたトルエンに24時間浸漬した。上記浸漬後に試験片を取り出し、105℃の乾燥機内にて1時間乾燥させたものの質量を測定した。上記質量と、以下の式に基づいて樹脂層(A5)、(A7)のトルエンへの不溶分率を算出した。
積層体構造を有する樹脂層のトルエンへの不溶分率(質量%)={(トルエンに溶解せずに残存した積層体の質量)/(上記トルエン浸漬前の積層体の質量)}×100
(樹脂層Bのゲル分率B)
実施例及び比較例で使用した接着剤組成物(b1)〜(b4)の溶液を、乾燥後の厚さが30μmになるように離型ライナー上に各々塗布し乾燥し、別の軽剥離性の離型ライナー(藤森工業株式会社製、38E−0010BD)を貼合し、40℃に3日間放置した。得られた接着剤層を、一辺の長さ40mm、直交する一辺の長さ50mmの大きさの長方形へ切断した後、上記軽剥離性の離型ライナーのみ除去して試験片とした。上記試験片の質量を測定した後、23℃に調整されたトルエンに24時間浸漬した。上記浸漬後に試験片を取り出し、105℃の乾燥機内にて1時間乾燥させたものの質量を測定した。上記質量と、以下の式に基づいて樹脂層B(接着剤層(b))のゲル分率を算出した。
樹脂層B(接着剤層)のゲル分率B(質量%)={(トルエンに溶解せずに残存した試験片の接着剤層の質量)/(上記トルエン浸漬前の試験片の接着剤層の質量)}×100
上記浸漬前の接着剤層の質量は、上記試験片の質量から、その作製に使用した離型ライナーの質量を差し引いた値を指す。また、上記残存した接着剤層の質量は、上記残存物の乾燥後の質量から、上記離型ライナーの質量を差し引いた値を指す。
(接着シートの接着固定性)
直径30mmの真円形に切断した実施例及び比較例の接着シートから、樹脂層B側の離型ライナーを剥離除去し、樹脂層B側を上記インサートパーツ(T1)の任意の一面及びインサートパーツ(T2)のアルミニウム蒸着面上の各々に、23℃及び50%RHの環境下で2kgローラーで1往復加圧して貼付した。実施例7及び8を除き、更に熱プレス装置の上部プレス板のみ80℃に加熱し、0.2MPaの圧力で15秒間加熱して接着させて各試験片を作製した。熱ダメージ保護層としての各インサートパーツへの接着シートの接着固定性を、下記基準で評価した。熱プレスの装置としては、テスター産業株式会社製熱プレス機「TP−750エアープレス」を使用した。
○:いずれインサートパーツについて、接着シートが強固に接着し、立て掛けても接着シートが容易に脱落しなかった。
△:少なくとも一方のインサートパーツについて、接着シートは手で触ると剥離するが、立て掛けても接着シートが容易に脱落しなかった。
×:少なくとも一方のインサートパーツについて、接着シートが接着せず、立て掛けると接着シートが脱落した。
(熱ダメージ保護性)
上記「接着シートの接着固定性」の評価で作製した、インサートパーツ(T1)及び(T2)各々へ接着シートが接着された状態の各試験片から、樹脂層A側に離型ライナーが積層された実施例及び比較例は、樹脂層A側の離型ライナーを剥離除去し、熱プレス装置への接着防止用として、一辺50mmの正方形に切断した厚さ12μmのアルミニウム箔(株式会社UACJ製、マイホイル)の艶面を接着シート表面側になるようにして被せ、次に、熱プレス機の上部プレス板のみを220℃に加熱し、上記接着シートに押し当て、20MPaの圧力で5秒間加圧して熱ダメージを与えた。熱ダメージ保護性として、接着シートの塑性変形(はみ出し含む)の有無、及び接着シートを貼付していないポリカーボネート板側から各インサートパーツと接着シート間の気泡発生や剥がれの有無、インサートパーツへの押し跡の有無を、下記基準で目視確認した。熱プレスの装置は、上記「接着シートの接着固定性」の評価で用いた熱プレス装置を使用した。
◎:いずれのインサートパーツについても、接着シートの塑性変形、気泡発生、剥がれ、押し跡のいずれも見られなかった。
○:少なくとも一方のインサートパーツについて、接着シートの塑性変形はごくわずかに見られたが、気泡発生、剥がれ、押し跡は見られなかった。
△:少なくとも一方のインサートパーツについて、接着シートの塑性変形がごくわずかに見られ、気泡発生、剥がれ、押し跡のいずれかもごくわずかに見られた。
×:少なくとも一方のインサートパーツについて、接着シートの塑性変形、気泡発生、剥がれ、押し跡押し跡のいずれかが強く見られた。
(被覆樹脂層との接着性)
上記「接着シートの接着固定性」の評価で作製した、インサートパーツ(T1)及び(T2)各々へ接着シートが接着された状態の各試験片から、樹脂層A側に離型ライナーが積層された実施例及び比較例は、樹脂層A側の離型ライナーを剥離除去し、各樹脂層A側の表面へ、上記基材(K5)を被覆樹脂層と見なし、50mm角に切断した基材(K5)の光沢面側を被せた。更に、熱プレス装置への接着防止用として、一辺70mmの正方形に切断した厚さ12μmのアルミニウム箔(株式会社UACJ製、マイホイル)の艶面側を、上記基材(K5)のマット面側の表面へ被せ、次に、熱プレス機の上部プレス板のみを220℃に加熱し、上記アルミニウム箔上から押し当て、20MPaの圧力で10秒間加圧した。なお、基材(K5)を溶融するための時間として5秒間を要するものと見なし、実質接着シートの加熱時間は5秒間と見なした。接着シートと被覆樹脂層との接着性として、下記基準で評価した。熱プレスの装置は、上記「接着シートの接着固定性」の評価で用いた熱プレス装置を使用した。
○:いずれのインサートパーツについても、被覆樹脂層が接着シートの表面と強固に接着し、容易に剥離できなかった。
△:少なくとも一方のインサートパーツについても、被覆樹脂層が接着シートの表面と接着するが、手では剥離できた。
×:少なくとも一方のインサートパーツについて、被覆樹脂層が接着シートの表面と接着しなかった。
(湿熱放置後の耐発泡性)
上記「被覆樹脂層との接着性」の評価で得られた、インサートパーツ(T1)又は(T2)、接着シート及び基材(K4)の順で積層された積層物を、温度85℃及び湿度85%RHの環境下に200時間放置した後、上記インサートパーツのポリカーボネート板表面側或いは接着シート表面側からインサートパーツと接着シート間の気泡の有無、積層物の外観を下記基準で評価した。
○:いずれのインサートパーツについても、気泡は全く無かった。
△:少なくとも一方のインサートパーツについて、ごくわずかに微細な気泡が有ったが、問題ないレベルであった。
×:少なくとも一方のインサートパーツについて、気泡が有った。
(引き剥がし接着力1)
実施例1〜3、実施例8、実施例10、及び比較例3は、接着シートの樹脂層A側の表面から離型ライナーを剥離除去し、補強材として厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン100H」)をハンドローラーで貼付した。全ての実施例及び比較例について、幅25mm及び長さ100mmの大きさに切断し、樹脂層B側の離型ライナーを剥離した後、23℃及び50%RHの環境下で、上記インサートパーツ(T1)の任意の一面及びインサートパーツ(T2)のアルミニウム蒸着表面側へ、各々2kgローラーで1往復の荷重を掛けて貼付し、感圧接着させた。貼付から1分以内に、テンシロン型引っ張り試験機(株式会社エー・アンド・ディ製、RTG−1210)にて、接着シートを90°方向へ300mm/分の引張速度でアルミニウムの蒸着面から接着シートを剥離し、感圧接着直後の剥離抵抗力を測定した。
(引き剥がし接着力2)
上記「引き剥がし接着力1」と同様にしてインサートパーツ(T1)及び(T2)各々へ接着シートを貼付し、次に、熱プレス装置の上部プレス板のみを80℃に加熱し、0.2MPaの圧力で15秒間熱プレスして、感熱接着させた。23℃及び50%RH環境下に1時間放置後、テンシロン型引っ張り試験機にて、接着シートを90°方向へ300mm/分の引張速度でアルミニウムの蒸着面から剥離し、熱ダメージを受ける前の剥離抵抗力を測定した。熱プレスの装置としては、上記「接着シートの接着固定性」の評価で用いた熱プレス装置を使用した。ただし、実施例10及び11は感圧接着性のため、熱プレス装置で加圧せず、23℃及び50%RH環境下に1時間放置のみ行い、引きが剥がし接着力を測定した。
(引き剥がし接着力3)
上記「引き剥がし接着力1」と同様にしてインサートパーツ(T1)及び(T2)各々へ接着シートを貼付後に、熱プレス装置への接着防止用として厚さ12μmのアルミニウム箔(株式会社UACJ製、マイホイル)の艶面を接着シート表面側になるようにして被せ、熱プレス装置の上部プレス板のみを220℃に加熱し、アルミニウム箔の上から20MPaの圧力で5秒間熱プレスして熱ダメージを与えた。23℃及び50%RH環境下に1時間放置後、テンシロン型引っ張り試験機にて、接着シートを90°方向へ300mm/分の引張速度でインサートパーツ(T1)及び(T2)それぞれから剥離し、熱ダメージ後の剥離抵抗力を測定した。
(蒸着層の耐変色性)
上記「被覆樹脂層との接着性」の評価で得られたインサートパーツ(T2)の各積層物を、温度85℃及び湿度85%RHの環境下に500時間放置した後、上記インサートパーツのポリカーボネート板表面側からアルミニウム蒸着面の耐変色性を下記基準で目視評価した。
○:放置する前のアルミニウム蒸着面の外観に比べ、変色は全く無かった。
△:放置する前のアルミニウム蒸着面の外観に比べ、ごくわずかにアルミニウム蒸着面の変色が有ったが、問題ないレベルであった。
×:放置する前のアルミニウム蒸着面の外観に比べ、アルミニウム蒸着面の変色が有った。
作製例等で作成した樹脂層A、樹脂層B、及び易接着層Cの物性、並びに実施例及び比較例の接着テープの構成および評価結果を下記各表に示す。なお、表1及び2中の樹脂層Aの構成の欄に記載の「/」は積層界面を表す。また、表1及び2中のE’、tanδ、及びtanδA2の各物性の欄において、「接着剤層」の欄に記載の数値は、樹脂層Aが接着剤層単層である場合若しくは樹脂層Aが接着剤層を含む積層体の場合の「接着剤層」単体での物性値を示しており、「基材」の欄に記載の数値は、樹脂層Aが基材単層である場合若しくは樹脂層Aが基材を含む積層体の場合の「基材」単体での物性値を示している。また、樹脂層Aが基材を2つ以上含む場合、「基材」の欄に各基材の物性値を分けて示している。樹脂層Aが、基材単層もしくは接着剤層単層から構成される場合は、「樹脂層」の欄又は「接着剤層」の欄に記される物性値と、「樹脂層A全体」の欄に記される物性値とは同じである。
Figure 2021194823
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実施例1〜11の接着シートは、インサートパーツを保護する接着シートとして、容易に脱落したり、ずれたりすることなく、簡便で熱ダメージから保護したい場所に精度良く接着固定できた。また、実施例1〜11の接着シートは、被覆用樹脂の射出に相当する熱ダメージ(220℃)を受けても、接着シートが塑性変形したり剥がれたり気泡発生したりせず、インサートパーツを熱ダメージから保護し、且つ湿熱放置後のインサートパーツや接着シートに由来する発泡を防止することができるものであった。一方、比較例1の接着シートは、容易に脱落するため、精度良く接着固定してインサートパーツを保護することができなかった。比較例2〜3は、精度良く接着固定できるものの、接着シートの樹脂層が塑性変形し、熱ダメージ保護性に劣るものであり、比較例3は湿熱放置後の耐発泡性が比較例2よりも劣った。比較例4は、接着シートの脱落や熱ダメージの保護性には優れるものの、湿熱放置後に発泡を防止することができなかった。
また、実施例10〜11の接着シートでは、実施例1〜9の接着シートと比較して、湿熱環境下でアルミニウム蒸着面の変色が生じておらず、気泡発生による保護フィルムと加飾層の間の膨れ発生防止、及びインサート成形時の接着剤層の変形防止に加え、湿熱環境下での加飾層である金属層の退色防止の効果が確認された。
1・・・樹脂層A
2・・・樹脂層B
3・・・透光性樹脂層
4・・・加飾層
5・・・接着シート
6・・・ゲート
7・・・被覆樹脂層
11・・基材
12・・接着剤層(a)

Claims (15)

  1. 透光性樹脂層と、前記透光性樹脂層の片面の一部又は全部に設けられた加飾層と、をこの順に有するインサートパーツに対し、前記インサートパーツの前記加飾層側の面に溶融した被覆用樹脂を射出塗布して被覆樹脂層を形成するインサート成形において、前記インサートパーツの前記加飾層側の面に貼付して用いられる接着シートであって、
    樹脂層Aと樹脂層Bとを含み、
    前記樹脂層Aは、周波数3Hzで測定される200℃〜220℃の温度領域での損失正接が0.5以下であり、
    前記樹脂層Bは、周波数3Hzで測定される200℃での引っ張り貯蔵弾性率が1×10Pa〜1×10Paの範囲内であり、かつ周波数3Hzで測定される60℃〜200℃の温度領域での損失正接が0.8以下である接着剤層(b)である、接着シート。
  2. 前記樹脂層Aは、周波数3Hzで測定される200〜220℃の温度領域での引っ張り貯蔵弾性率が5×10Pa〜1×10Paの範囲内である、請求項1に記載の接着シート。
  3. 前記樹脂層Aが基材であり、前記樹脂層Aの一方の面に前記樹脂層Bが配置されている、請求項1又は2に記載の接着シート。
  4. 前記樹脂層Aが接着剤層(a)であり、前記樹脂層Aの一方の面に前記樹脂層Bが配置されている請求項1又は2に記載の接着シート。
  5. 前記樹脂層Aの一方の面に前記樹脂層Bが配置されており、前記樹脂層Aが、前記樹脂層B側から基材と接着剤層(a)とをこの順に含む積層体である、請求項1又は2に記載の接着シート。
  6. 前記樹脂層Aのトルエンに対する不溶分率が80質量%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着シート。
  7. 前記樹脂層Aの前記樹脂層Bとは反対側の面に、損失正接が1.0を超える温度が200℃以下である易接着層Cを積層した、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着シート。
  8. 前記樹脂層Aの厚さが0.05mm〜2mmの範囲内である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着シート。
  9. 前記接着シートの総厚に占める前記樹脂層Aの厚さの割合が50%〜99%の範囲内である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着シート。
  10. 前記樹脂層Aが、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、又は(メタ)アクリル共重合樹脂のいずれかを含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着シート。
  11. 前記樹脂層Bのゲル分率Bが40質量%〜90質量%の範囲内である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着シート。
  12. 前記樹脂層Bが、分子内に水酸基若しくはカルボキシル基を1つ又は2つ以上有する、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、又は(メタ)アクリル共重合樹脂からなる群から選択される樹脂と、架橋剤とを含有する接着剤組成物の架橋物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の接着シート。
  13. 透光性樹脂層及び加飾層を含むインサートパーツと、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着シートと、被覆樹脂層とがこの順に積層されてなる物品。
  14. 前記インサートパーツと、前記接着シートの樹脂層Bと、前記接着シートの樹脂層Aと、前記被覆樹脂層とが、この順で積層されている、請求項13に記載の物品。
  15. 透光性樹脂層の片面の一部または全部に加飾層を形成してインサートパーツを作製する工程[1]、
    前記インサートパーツの前記加飾層側の面の、ゲートが最も接近する位置へ、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着シートの前記樹脂層B側の表面を前記インサートパーツ側にして貼合する工程[2]、及び
    前記インサートパーツ及び前記接着シートが順に積層された構成体を金型へセットし、前記構成体の前記接着シート側の面へゲートから溶融した被覆用樹脂を射出し、前記インサートパーツ及び前記接着シートを被覆する工程[3]
    をこの順に含む物品の製造方法。
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