JP7467962B2 - 加飾フィルム及び加飾成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、加飾フィルム及び加飾成形体に関する。
従来、自動車内外装部品、家電用部品、建材用部品などの表面を保護したり、装飾(加飾)をする場合、射出成形や真空成形によって成形体を加工した後、成形体の表面にスプレー塗装などで塗料を塗布し、乾燥・加熱硬化させることが行われていた。しかし、この様な塗装は、揮発性有機溶剤の排出が作業環境を悪化させるという問題に加え、成形部品ごとの作業工程と生産設備が必要となることや、塗料の重ね塗りが必要となるため塗料の歩留りが悪く、生産性が低いという問題があった。
近年は、自動車内外装部品、家電用部品、建材用部品などを軽量化する目的で、成形体として樹脂成形体の使用が進んでいる。樹脂成形体の装飾(加飾)には、スプレー塗装が適さない場合が多く、樹脂成形体の表面を加飾するために、様々な手法が開発されている。中でも、成形体の最表面を、加飾フィルムで加飾して加飾成形体を得る方法は、塗料等を使って表面に塗布又は印刷する方法よりも、意匠の自由度が高く、生産性も優れるといった利点を有する。また、加飾フィルムを用いた加飾方法は、三次元的な凹凸を有する成形体表面も加飾をすることができるため、様々な用途に用いられている。
例えば、特許文献1には、基材層と、粘着剤層とを有する加飾成形用積層体であって、粘着剤層がシリコーン系粘着剤層と、アクリル系粘着剤層を有する加飾成形用積層体が開示されている。また、特許文献2には、表層フィルムの下面に接着層を有する真空成形用シートが開示されている。ここでは、接着層に、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂にポリイソシアネート1.5~2.5当量を配合し硬化したものを用いている。
特許文献3には、射出成形同時転写加飾法に用いられる加飾フィルムが開示されている。ここでは、基材上に離型層、保護層、着色層及び接着剤層をこの順に積層してなる射出成形同時転写用の三次元成形加飾フィルムが開示されており、接着剤層に用いられる樹脂として、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン-アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの樹脂が挙げられている。
特開2017-154410号公報 特開2010-120209号公報 特開2011-88420号公報
加飾成形体においては、当然ながら被着体と加飾フィルムが十分に密着しており、容易に剥離しないことが求められている。しかしながら、被着体にポリプロピレン樹脂の素材を用いた場合に、従来の加飾成形用粘着シート(加飾フィルム)を用いると、被着体に対する加飾フィルムの密着性が十分に発揮されないという問題があった。
また、加飾成形体を製造する際には、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法によって、加飾フィルムと被着体を貼合する方法が用いられる場合がある。この場合、被着体を構成する溶融樹脂を射出する前に、加飾フィルムを所望の形状となるように金型加工することがある。しかしながら、このような加工工程において、加飾フィルムが加工用金型から剥離せず、加飾フィルムを所望形状に前加工することが困難な場合があった。このように、加飾フィルムの前加工段階において不具合が生じると、加飾成形体の生産効率が著しく低下したり、また、加飾フィルム自体に意図しない欠陥が生じる場合があり、問題となる。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に対して、優れた密着性を発揮する加飾フィルムであって、金型への耐ブロッキング性に優れた加飾フィルムを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、加飾フィルムにおいて、加飾層を有する基材、接着層及びポリプロピレン層をこの順に積層することで、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に対して、優れた密着性を発揮し、かつ金型への耐ブロッキング性に優れた加飾フィルムが得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 加飾層を有する基材、接着層及びポリプロピレン層をこの順に有する加飾フィルムであって、
ポリプロピレン樹脂を含む被着体加飾用である、加飾フィルム。
[2] 接着層は、
イソペンタン由来構造から構成されるブロック及びスチレン系ポリマーから構成されるブロックを含むブロック共重合体と、
テルペン系樹脂と、を含有する、[1]に記載の加飾フィルム。
[3] テルペン系樹脂はテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びテルペンフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であり、
テルペン系樹脂の軟化点は60~130℃であり、
テルペン系樹脂の数平均分子量は300~1500である、[2]に記載の加飾フィルム。
[4] テルペン系樹脂の含有量は、ブロック共重合体100質量部に対して、40~200質量部である、[2]又は[3]に記載の加飾フィルム。
[5] 接着層の厚みは、0.5~20μmである、[1]~[4]のいずれかに記載の加飾フィルム。
[6] ポリプロピレン層の厚みは、1~30μmである、[1]~[5]のいずれかに記載の加飾フィルム。
[7] 加飾フィルムは、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法による被着体加飾用である、[1]~[6]のいずれかに記載の加飾フィルム。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の加飾フィルムを、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に貼合してなる加飾成形体。
[9] 自動車部材、電子機器又は建材用である、[8]に記載の加飾成形体。
本発明によれば、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に対して優れた密着性を発揮し、かつ金型への耐ブロッキング性に優れた加飾フィルムを得ることができる。
図1は、加飾フィルムの構成の一例を表す断面図である。 図2は、加飾成形体の構成の一例を表す断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(加飾フィルム)
本発明は、加飾層を有する基材、接着層及びポリプロピレン層をこの順に有する加飾フィルムに関する。本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン樹脂を含む被着体加飾用である。本発明の加飾フィルムは、上記構成を有するため、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に対して優れた密着性を発揮する。このため、本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン樹脂を主成分として含む被着体への貼合用として好ましく用いられる。また、本発明の加飾フィルムは、上記構成を有するため、金型への耐ブロッキング性に優れている。すなわち、本発明の加飾フィルムは金型からの剥離性に優れている。このため、加飾フィルムを金型加工する際には、加飾フィルムが加工用金型から容易に剥離し、その後の被着体との貼合工程にスムーズに移行できる。また、加飾フィルムが加工用金型から容易に剥離することで、加飾フィルムに欠陥が生じることを抑制できるため、加飾成形体の意匠性を損ねることもない。
従来、加飾成形体の被着体としては、ポリカーボネート系樹脂やABS樹脂が用いられていた。このため、ポリプロピレン樹脂を主成分として含む被着体を加飾するための加飾フィルムについては、その具体的構成について十分な検討がなされていなかった。また、被着体を加飾して加飾成形体を作製する際には、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法が用いられる場合があるが、その際の加飾フィルムの加工性や加工効率についても課題が残されていた。そこで、本発明者らは、加飾フィルムの層構成について抜本的な見直しと検討を繰り返すことで、加飾フィルムの最外層にポリプロピレン層を積層し、加飾層を有する基材、接着層及びポリプロピレン層をこの順に有する加飾フィルムを作製するに至った。これにより、ポリプロピレン樹脂を主成分として含む被着体に対して優れた密着性を発揮する加飾フィルムであって、加飾フィルムを金型加工する際には、加飾フィルムが加工用金型から容易に剥離する加飾フィルムを得ることに成功した。
図1は、本発明の加飾フィルムの構成の一例を説明する断面図である。図1に示されるように、加飾フィルム30は、加飾層を有する基材10と、接着層12と、ポリプロピレン層14とをこの順に含む。加飾フィルム30において、各層の間には、他の層が設けられていてもよいが、本実施形態においては、加飾層を有する基材10と接着層12は直接接するように積層されており、接着層12とポリプロピレン層14も直接接するように積層されていることが好ましい。特に、接着層12とポリプロピレン層14は直接接するよう積層されていることが好ましい。
図1においては、加飾層を有する基材10は便宜上単層で描画しているが、加飾層を有する基材10は加飾層からなる単層であってもよく、少なくとも基材と加飾層を含む多層構造を有していてもよい。中でも、加飾層を有する基材10は基材と加飾層を含む多層構造であることが好ましい。加飾層を有する基材10が基材と加飾層を含む場合、加飾層を有する基材10における加飾層は接着層12に接するように設けられていてもよい。この場合、加飾層を有する基材10における基材は、加飾フィルムの最表層に配されることになる。また加飾層と接着層12の間に密着性を高める易接着層などの層を設けてもよい。
また、本発明の加飾フィルムをフィルムインサート成形に用いる場合は、加飾層を有する基材10の最表層(接着層12と接する逆面)に加飾層とは別にハードコート層や反射防止層などの機能層を設けていてもよい。
一方で、本発明の加飾フィルムをインモールド成形に用いる場合は、加飾層を有する基材10の加飾層は必ず接着層12と接する面に設けられ、成形後に基材と加飾層が容易に剥がれるように離型性を有する基材を用いるか、もしくは、基材と加飾層の間に離型層を設けることで、基材(離型層)と加飾層とが接するように構成されていることが好ましい。
本発明の加飾フィルムは、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法による被着体加飾用であることが好ましい。フィルムインサート成形法やインモールド成形法においては、加飾フィルムを予め3次元形状に加工した後、金型のキャビティに配置し、被着体を構成する溶融樹脂を金型内に射出することで加飾フィルムと被着体が一体化した加飾成形体が得られる。
(接着層)
加飾フィルムは、接着層を有する。本発明において、接着層の両面には、加飾層を有する基材とポリプロピレン層がそれぞれ積層されており、加飾フィルムにおいて接着層は露出していない。
本実施形態において、接着層は、ブロック共重合体とテルペン系樹脂を含むことが好ましい。ここで、ブロック共重合体は、イソペンタン由来構造から構成されるブロック及びスチレン系ポリマーから構成されるブロックを含む。テルペン系樹脂の含有量は、ブロック共重合体100質量部に対して40質量部以上であることが好ましく、45質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましく、55質量部以上であることが特に好ましい。また、テルペン系樹脂の含有量は、ブロック共重合体100質量部に対して200質量部以下であることが好ましく、180質量部以下であることがより好ましく、160質量部以下であることがさらに好ましく、140質量部以下であることが特に好ましい。テルペン系樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、接着層とポリプロピレン層の層間密着性を高めることができ、さらに、接着層と加飾層を有する基材の層間密着性を高めることもできる。
また、ブロック共重合体とテルペン系樹脂の合計含有量は、接着層の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。なお、ブロック共重合体とテルペン系樹脂の合計含有量は、接着層の全質量に対して、100質量%であってもよい。ブロック共重合体とテルペン系樹脂の合計含有量を上記範囲とすることにより、接着層は、加飾層を有する基材及びポリプロピレン層との間の層間強度をより効果的に高めることができる。
接着層に含まれるブロック共重合体は、イソペンタン由来構造から構成されるブロック及びスチレン系ポリマーから構成されるブロックを含む。本明細書において、イソペンタン由来構造とは、以下の構造である。そして、イソペンタン由来構造から構成されるブロックは、上記構造のイソペンタン由来構造が重合してなるブロックである。なお、イソペンタン由来構造は、プロピレン・エチレン共重合体であることが好ましい。
Figure 0007467962000001
スチレン系ポリマーから構成されるブロックは、スチレン重合体やα-メチルスチレン重合体から構成されるブロックであることが好ましい。
接着層に含まれるブロック共重合体は、イソペンタン由来構造から構成されるブロック及びスチレン系ポリマーから構成されるブロックに加えて、他のポリマーから構成されるブロックを含んでいてもよい。他のポリマーから構成されるブロックとしては、例えば、エチレン由来構造から構成されるブロックや、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーから構成されるブロック等が挙げられる。
接着層に含まれるブロック共重合体において、イソペンタン由来構造から構成されるブロックをAとし、スチレン系ポリマーから構成されるブロックをBとした場合、ブロック共重合体は、A-B構造のジブロック共重合体であってもよく、A-B-A構造や、B-A-B構造のトリブロック共重合体であってもよい。また、-A-B-A-B-構造のように各ブロックの繰り返し構造を有するブロック共重合体であってもよい。さらに、上述したように、他のポリマーから構成されるブロックをさらに含むブロック共重合体であってもよい。
接着層に含まれるブロック共重合体は、そのポリマー鎖にさらに置換基を有していてもよく、例えば、置換基として不飽和結合を有する置換基を有するブロック共重合体を用いてもよい。
上述したブロック共重合体は公知方法により重合により作製してもよいが、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、クラレ社製のセプトン1020、セプトン2002、セプトン4033、セプトンHG252等を用いることができる。
接着層に含まれるテルペン系樹脂は、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びテルペンフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。より具体的には、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体や、これらをフェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性したテルペン系樹脂を挙げることができる。
テルペン系樹脂の軟化点は60℃以上であることが好ましく、65℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましく、75℃以上であることが特に好ましい。テルペン系樹脂の軟化点は100℃以上であってもよい。また、テルペン系樹脂の軟化点は130℃以下であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましい。なお、テルペン系樹脂の軟化点は、JIS K2207に記載の方法に準じて自動軟化点測定装置(FLEX SCIENTIFIC 社製、EX-719PD4)を用いて測定した値である。
テルペン系樹脂の数平均分子量は、300以上であることが好ましく、350以上であることがより好ましく、400以上であることがさらに好ましい。また、テルペン系樹脂の数平均分子量は、1500以下であることが好ましく、1400以下であることがより好ましく、1300以下であることがさらに好ましい。なお、テルペン系樹脂の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、分子量が既知である標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を用いて換算して求めた値である。
テルペン系樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ヤスハラケミカル社製のYS レジン PX 1150、YS レジン PX 1250、YS レジン TO 125、YS レジン TO 105、YS ポリスター T 125、YS ポリスター T 80、YS ポリスター G 125等を用いることができる。
接着層は、上述したブロック共重合体や樹脂の他に、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤(又は老化防止剤)、シランカップリング剤、テルペン系樹脂以外の粘着付与剤、オイル成分、軟化剤、架橋剤、顔料、水素引抜型開始剤等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプト基を含有するメルカプト系シランカップリング剤や、エポキシ基を有するエポキシ系シランカップリング剤、ビニル基を有するビニル系シランカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、本発明の用途ではメルカプト系シランカップリング剤を用いることが好ましい。メルカプト系シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、トリエトキシ(2-メルカプトエチル)シラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、4-メルカプトブチルトリメトキシシラン、10-メルカプトデシルトリエトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリメトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリエトキシシランなどが例示できる。
テルペン系樹脂以外の粘着付与剤としては、例えば、スチレン系樹脂、ロジン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂などの石油系樹脂を挙げることができる。
オイル成分としてはパラフィン系やナフテン系のシステムオイルが好ましく、ゴムの劣化が起き難い等の理由から、パラフィン系のシステムオイルがより好ましく用いられる。
水素引抜型開始剤としては、ベンゾイルギ酸メチルや4メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物が挙げられる。
接着層の厚みは、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。また、接着層の厚みは、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。本実施形態においては、このように接着層の厚みを薄くすることも可能となる。
(加飾層を有する基材)
加飾フィルムは、加飾層を有する基材を有する。ここで、加飾層を有する基材は、フィルム状の基材と加飾層を含むことが好ましい。
加飾層を有する基材を構成する加飾層は、加飾フィルムの最表面(接着層の接する側の逆面)に設けられる層であってもよく、接着層に接する側に設けられる層であってもよいが、接着層に接する側の面に設けられる層であることが好ましい。特に、加飾フィルムがインモールド成形に用いられる場合には、加飾層は接着層に接する側の面に設けられる必要がある。一方、加飾フィルムがフィルムインサート成形に用いられる場合には、加飾層は加飾フィルムの最表面(接着層の接する側の逆面)に設けられることが好ましく、この場合、さらに最表層にはハードコート層や反射防止層などの機能層が設けられてもよい。
加飾層は、印刷層であることが好ましい。印刷層は、例えば熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を主剤とするインクを用いて、上記フィルム状の基材の一方の面側に印刷を施すことによって形成される。印刷は、例えばインクジェット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法を採用することができる。印刷を施すフィルム状の基材としては、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、及び、スチレンの共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル、スチレンの共重合体)、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリスチレン、ウレタン樹脂等を挙げることができる。これらの基材は、成形工程において被着体に追従する形で延伸可能なものであることが好ましい。また、フィルム状の基材は通常透明なフィルムを用いるが、意匠性を付与するためにカーボン(グラファイト)等の着色剤が配合されていてもよく、有色の層であってもよい。
加飾層を有する基材は印刷層を保護するために、さらに表面保護層や印刷保護層を有していてもよい。表面保護層は、加飾層を有する基材において、最も露出表面側に配置され、耐傷性や耐候性を高める働きをする層であることが好ましい。このため、表面保護層は硬化性樹脂層を含む層であることが好ましく、ハードコート層であることがより好ましい。中でも、硬化性樹脂は、光硬化性樹脂であることが好ましく、紫外線硬化性樹脂であることがより好ましい。この場合、表面保護層を形成するための樹脂組成物は、例えば、紫外線硬化性樹脂に加えて光重合開始剤を含むことが好ましい。また、加飾層が印刷により形成される場合は、用いられるインキによってはキズがつきやすいため、傷付き防止のためハードコート層のような印刷保護層をインキ層の上に設けてもよい。
表面保護層は、さらに微粒子を含んでもよい。微粒子としては、例えば、無機微粒子を挙げることができ、金属酸化物を好ましく例示することができる。また、必要に応じて、顔料や染料を含んでもよい。また、表面保護層は、必要に応じて、顔料分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、ハルス、酸化防止剤、帯電防止剤、耐磨耗防止剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。
加飾層を有する基材は、さらにプロテクトフィルムや最表層に粘着剤層がある場合はセパレーター層を含んでいてもよい。プロテクトフィルムやセパレーター層は、表面保護層を一時的に保護するために設けられるものである。例えば、使用時までに表面保護層や印刷層に傷がつくこと等を防止するために設けられる。プロテクトフィルムは、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる自着性フィルムや、PETフィルムなどにウレタン系及び/又はアクリル系の再剥離性を有する粘着剤層を積層した微粘着フィルムであることが好ましい。セパレーター層は、例えば、上述したような基材層の表面にシリコーン等の剥離層を設けた構成であることが好ましい。このようなセパレーター層は、製造工程や使用時に剥離され、加飾フィルムや加飾成形体から除去される。
加飾層を有する基材の構成としては、例えば、以下のような層構成が挙げられる。なお、各層を接着するために、必要に応じて各層の間には粘着剤層や易接着材層が設けられていてもよい。
(1)基材層、印刷層、印刷保護層がこの順で設けられた構成
(2)表面保護層、印刷層、基材層がこの順で設けられた構成
(3)基材層、印刷層がこの順で設けられた構成
(4)機能層、基材層、印刷層がこの順で設けられた構成
(一般的にこの構成はフィルムインサート成形に用いられインモールド成形には用いられない)
(5)基材層、離型層、印刷保護層、印刷層がこの順で設けられた構成
(一般的にこの構成はインモールド成形に用いられフィルムインサート成形には用いられない)
(6)上述した(1)~(5)の構成の最表面にさらにプロテクトフィルムが設けられた構成
(7)上述した(1)~(5)の構成の最表面にさらに粘着剤層及びセパレーター層が設けられた構成
各層を接着するために粘着剤層が設けられる場合、粘着剤層を構成する粘着剤としては、公知の粘着剤を利用することができる。粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。粘着剤は、溶剤系、無溶剤系、エマルジョン系、水系のいずれであってもよい。
(ポリプロピレン層)
加飾フィルムは、ポリプロピレン層を有する。ポリプロピレン層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。また、ポリプロピレン層の厚みは、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、15μm以下であることが一層好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。
(加飾フィルムの製造方法)
本発明の加飾フィルムの製造方法は、加飾層を有する基材上に、接着剤組成物を塗工し、乾燥又は硬化させることで、接着層を形成する工程と、接着層上にポリプロピレン層を形成又はポリプロピレンフィルムを貼合する工程と、を含む。もしくは、本発明の加飾フィルムの製造方法は、ポリプロピレン層上に接着剤組成物と塗工し、乾燥又は硬化させることで、接着層を形成する工程と、接着層上に加飾層を有する基材とを貼合する工程とを含むものであってもよい。
接着剤組成物は、既存の方法により塗工することができる。溶剤に溶解して製造した接着剤組成物を用いる場合は、ナイフコーター等で塗工した後、乾燥炉にて溶剤を乾燥させることでシート化できる。一方、加熱による混練法で製造した粘着剤を用いる場合は、予め加熱することにより接着剤組成物を軟化さることが可能なホットメルトコーダーを用いることによりシート化が可能となる。
加飾層を有する基材上に形成した接着層上にポリプロピレン層を形成する際には、接着層上にポリプロピレンフィルムを貼合し、圧着する方法を採用することができる。貼合方法としては既存の貼合機を使用することができる。例えば、接着層とポリプロピレン層は、ロールtoロール、シートtoロール、ロールtoシート、シートtoシートなどの組合せで貼合してよく、この際、ニップロールやローラーなどで加圧しながら貼合することが好ましい。また、ポリプロピレン層上に接着層を形成した場合も、加飾層を有する基材を同様の方法で貼合することができる。
なお、加飾層を有する基材上に形成した接着層上にポリプロピレン層を形成する際には、エクストルージョンラミネート法にて、Tダイを用いた溶融押し出しにより、接着層の上にポリプロピレン層を形成してもよい。
(加飾成形体)
本発明は、加飾フィルムを、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に貼合してなる加飾成形体に関するものでもある。なお、加飾成形体においては、被着体と、少なくとも加飾フィルム(又はインモールド成形の場合は加飾層)がポリプロピレン層を介して一体化した状態であり、被着体の表面の少なくとも一部が加飾フィルム(又は加飾層)によって被覆された状態である。
図2は、加飾成形体の構成の一例を説明する断面図である。図2に示されるように、加飾成形体100は、被着体50に、加飾フィルム30が積層された構成を有する。図2に示されるように、加飾フィルム30は、加飾層を有する基材(又はインモールド成形の場合は加飾層)10、接着層12及びポリプロピレン層14を有しており、ポリプロピレン層14が被着体50に直接貼り合わされている。なお、図2においては、加飾成形体100の構成をわかりやすく説明するために、ポリプロピレン層14を層として描画しているが、実際に得られた加飾成形体においては、ポリプロピレン層14と被着体50は一体化しており、その境界がわからない場合がある。
被着体は、ポリプロピレン樹脂を含む。ここで、被着体は、ポリプロピレン樹脂を主成分として含むものである。具体的には、被着体における、ポリプロピレン樹脂の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。なお、被着体におけるポリプロピレン樹脂の含有量は、100質量%であってもよく、被着体は、ポリプロピレン樹脂からなるものであってもよい。
ポリプロピレン樹脂を含む被着体の形状は特に限定されるものではなく、板状であってもよく、3次元立体形状を有するものであってもよい。また、被着体は、その表面の一部に凹凸構造を有するものであってもよい。
加飾成形体は、自動車部材、電子機器又は建材用であることが好ましい。本発明は、上述した加飾成形体を含む自動車部材、電子機器又は建材に関するものであってもよい。自動車部材としては、例えば、ボディー、バンパー、スポイラー、ミラー、ホイール、エンブレム、内装材等の部品等が挙げられる。また、電子機器としては、家電製品等の電子機器や、パソコンといった液晶表示装置等を挙げることができる。建材としては、家具、建築材料等を挙げることができる。さらに、被着体は、道路用資材(例えば、交通標識、防音壁等)、トンネル用資材(例えば、側壁板等)、楽器、容器、事務用品、スポーツ用品、玩具等であってもよい。
(加飾成形体の製造方法)
加飾成形体の製造方法は、加飾フィルムを被着体に貼合する工程を含むことが好ましい。加飾成形体の製造方法としては、例えば、熱プレス成形、インモールド成形、フィルムインサート成形、真空条件下又は減圧条件下における成形等を挙げることができる。中でも、加飾成形体の製造方法は、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法であることが好ましく、上述した加飾フィルムは、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法における加飾成形用に適した加飾フィルムである。
加飾成形体の製造方法として、インモールド成形を採用する場合には、加飾フィルムを射出成形機の金型内に固定し、金型内に被着体を構成するポリプロピレン樹脂を主成分とする樹脂組成物を射出し、該樹脂組成物を固化した後、加飾層を有する基材の基材のみを除去することで加飾成形体を得る。また、加飾成形体の製造方法として、フィルムインサート成形法を採用する場合には、加飾フィルムを射出成形機の成形金型内に固定し、成形金型内にポリプロピレン樹脂を主成分とする樹脂組成物を射出し、該樹脂組成物を固化することで加飾成形体を得る。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<接着剤組成物の製造>
接着剤組成物(A-1)
下記構造式で表される構造を有するブロック共重合体(クラレ社製、セプトン1020)100質量部、テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製、YS レジン PX 1150、軟化点115℃、数平均分子量1000)60質量部、酸化防止剤(BASF社製、IRGANOX1010)0.6質量部を、固形分濃度が30質量%になるようにトルエンに溶解して接着剤組成物(A-1)を得た。
Figure 0007467962000002
接着剤組成物(A-2)
ブロック共重合体として下記構造式で表される構造を有する樹脂(クラレ社製、セプトン2002)を使用した以外は接着剤組成物(A-1)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(A-2)を得た。
Figure 0007467962000003
接着剤組成物(A-3)
ブロック共重合体として下記構造式で表される構造を有する樹脂(クラレ社製、セプトン4033)を使用した以外は接着剤組成物(A-1)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(A-3)を得た。
Figure 0007467962000004
接着剤組成物(A-4)
テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製、YS レジン PX 1150、軟化点115℃、数平均分子量1000)を、テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製、YS レジン PX 800、軟化点80℃ 数平均分子量700)に変更し、さらに添加量を100質量部に変更した以外は接着剤組成物(A-3)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(A-4)を得た。
接着剤組成物(A-5)
テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製、YS レジン PX 1150、軟化点115℃、数平均分子量1000)を、芳香族変性テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製、YS レジン TO 125、軟化点125℃ 数平均分子量800)に変更した以外は接着剤組成物(A-3)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(A-5)を得た。
接着剤組成物(A-6)
テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、YS ポリスター T 80、軟化点80℃ 数平均分子量500)に変更した以外は接着剤組成物(A-3)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(A-6)を得た。
接着剤組成物(B-1)
イソペンタン由来構造を有するブロック共重合体の代わりに、イソペンタン由来構造を有さない下記構造式で表される水添ポリブタジエン系樹脂(クラレ社製、セプトン8004)を使用した以外は接着剤組成物(A-1)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(B-1)を得た。
Figure 0007467962000005
接着剤組成物(B-2)
テルペン樹脂の代わりにスチレン系樹脂(三井化学社製、FTR8100、数平均分子量800)を使用した以外は接着剤組成物(A-3)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(B-2)を得た。
接着剤組成物(C-1)
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却管を備えた反応容器に、アクリル酸nブチル(BA)と、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)を、質量比が80:20となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱することでモノマー成分をランダム共重合させ、共重合体溶液を得た。上記で得られた共重合体の固形分100質量部に対して、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD-110N)を0.11質量部加えて、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルを添加して、接着剤組成物(C-1)を得た。
接着剤組成物(C-2)
酸成分として、テレフタル酸:イソフタル酸:アジピン酸を、質量比が30:30:40となるように配合し、グリコール成分として、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールを質量比が25:75となるように配合し、触媒(テトラブチルチタネート)の存在下、加熱することで、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂を得た。上記で得られた熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂を溶剤(メチルエチルケトン)に溶解し、固形分濃度が30質量%の溶液となるように希釈撹拌した。次いで、該溶液にポリイソシアネート(日本ポリウレタン製、「コロネートHX」(ヘキサメチレンジイソシアネート)、固形分濃度100質量%)を、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部加えることで接着剤組成物(C-2)を得た。
<加飾フィルムの作製>
(実施例1)
上記で作製した接着剤組成物(A-1)を、ナイフコーターを用いてアクリルフィルム(クラレ社製、パラピュア HIグレード 75μm)に、乾燥後の接着層の厚みが5μmとなるように塗工した後、100℃で3分間乾燥して溶剤のトルエンを揮発乾燥させた。次いでポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製、EM-501 5μm)を接着層側にハンドローラーで貼合し、加飾フィルムを得た。
(実施例2)
接着剤組成物(A-1)を接着剤組成物(A-2)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
(実施例3)
接着剤組成物(A-1)を接着剤組成物(A-3)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
(実施例4)
接着剤組成物(A-1)を接着剤組成物(A-4)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
(実施例5)
接着剤組成物(A-1)を接着剤組成物(A-5)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
(実施例6)
接着剤組成物(A-1)を接着剤組成物(A-6)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
(実施例7)
乾燥後の接着層の厚みを1μmに変更し、ポリプロピレンフィルムを厚みが20μmのポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製、SS-121 20μm)に変更した以外は、実施例3と同様にして加飾フィルムを得た。
(実施例8)
乾燥後の接着層の厚みを20μmに変更し、ポリプロピレンフィルムを厚みが12μmのポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製、MAM-411 12μm)にした以外は、実施例3と同様にして加飾フィルムを得た。
(比較例1)
ポリプロピレンフィルムを貼合しなかった以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン層を有さない加飾フィルムを得た。
(比較例2)
接着剤組成物(A-1)を接着剤組成物(B-1)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
(比較例3)
接着剤組成物(A-1)を接着剤組成物(B-2)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
(比較例4)
接着剤組成物(A-1)を接着剤組成物(C-1)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
(比較例5)
接着剤組成物(A-1)を接着剤組成物(C-2)に変更した以外は、比較例1と同様にして加飾フィルムを得た。
(密着性評価)
<加飾成形体の作製>
各実施例及び比較例で得た加飾フィルムを用いてフィルムインサート成形法により加飾成形体を作製した。まず、成形品の大きさが100mm×100mm×2mmの板状となる金型の内側に、ポリプロピレン層が射出樹脂側になるように加飾フィルムをセットした。続いて加飾フィルムをセットした金型を60℃に加温した後、200℃に加熱溶融したポリプロピレン(三菱ケミカル社製、ノバテックTMPP)を金型に流し込み、室温まで冷却してから加飾成形体を金型より取り出すことで加飾成形体を得た。
<評価>
上記で作製した加飾成形体を23℃、相対湿度50%の環境下で24時間養生した後、加飾フィルムとポリプロピレン樹脂被着体の密着性をJIS K 5600-5-6に準拠し評価した。具体的には、以下のようにしてクロスカット法による密着試験を行った。
まず、加飾フィルム側からかみそりを用いて1mm×1mmの碁盤目が100マスできるように切込みを入れた後、セロハンテープ(ニチバン社製、CT28)を指で上から押し付けるようにして加飾フィルムに密着させた後に剥離した。100マスの内、全てのマス目で加飾フィルムが剥離していない場合を100/100、全てのマス目で剥離している場合を0/100とし、加飾フィルムが剥離していないマス目を数え、以下の評価基準にて加飾フィルムの密着性を評価した。
A:80/100~100/100
B:50/100~79/100
C:0/100~49/100
(金型への耐ブロッキング性評価)
各実施例及び比較例で得た加飾フィルムを用いて、金型への耐ブロッキング性(金型への密着性)を評価した。まず加飾フィルムを25mm×300mmのサイズに切り出したものを作製した。この加飾フィルムを、50℃に加温したSUS304鋼板(表面仕上げBA)に、JIS Z 0237に準じた方法で2kgローラーを用いて圧着した。圧着から5分後に引き剥がし速度300mm/分、引き剥がし角度180°にて粘着力を測定し、以下の基準で評価した。
A:粘着力が0.05N/25mm未満
B:粘着力が0.05N/25mm以上
Figure 0007467962000006
Figure 0007467962000007
実施例で得られた加飾フィルムは、ポリプロピレン樹脂被着体に対して良好な密着性を示した。また、実施例で得られた加飾フィルムは、金型への耐ブロッキング性が良好であった。一方、比較例で得られた加飾フィルムにおいては、ポリプロピレン樹脂被着体に対する良好な密着性と、金型への耐ブロッキング性が両立されていなかった。
10 加飾層を有する基材
12 接着層
14 ポリプロピレン層
30 加飾フィルム
50 被着体
100 加飾成形体

Claims (6)

  1. 加飾層を有する基材、接着層及びポリプロピレン層をこの順に有する加飾フィルムであって、
    前記接着層は、イソペンタン由来構造から構成されるブロック及びスチレン系ポリマーから構成されるブロックを含むブロック共重合体と、テルペン系樹脂と、を含有し、
    前記テルペン系樹脂はテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びテルペンフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記テルペン系樹脂の軟化点は60~130℃であり、
    前記テルペン系樹脂の数平均分子量は300~1500であり、
    前記テルペン系樹脂の含有量は、前記ブロック共重合体100質量部に対して、40~200質量部であり、
    ポリプロピレン樹脂を含む被着体加飾用である、加飾フィルム。
  2. 前記接着層の厚みは、0.5~20μmである、請求項に記載の加飾フィルム。
  3. 前記ポリプロピレン層の厚みは、1~30μmである、請求項1又は2に記載の加飾フィルム。
  4. 前記加飾フィルムは、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法による被着体加飾用である、請求項1~のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の加飾フィルムを、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に貼合してなる加飾成形体。
  6. 自動車部材、電子機器又は建材用である、請求項に記載の加飾成形体。
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