JP6923054B1 - 加飾フィルム及び加飾成形体 - Google Patents
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Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
接着層は、イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体と、テルペンフェノール樹脂と、着色顔料とを含有する、加飾フィルム。
[2] ブロック共重合体は、
イソペンタン由来構造から構成されるブロック及びスチレン系ポリマーから構成されるブロックを含むブロック共重合体である、[1]に記載の加飾フィルム。
[3] テルペンフェノール樹脂の軟化点は125〜170℃であり、
テルペンフェノール樹脂の数平均分子量は800〜1500である、[1]又は[2]に記載の加飾フィルム。
[4] テルペンフェノール樹脂の含有量は、ブロック共重合体100質量部に対して、40〜200質量部である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
[5] 着色顔料は、金属酸化物及びカーボンブラックから選択される少なくとも1種類を含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
[6] 接着層の厚みは、0.5〜20μmである、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
[7] 加飾フィルムは、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法による被着体加飾用である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
[8] [1]〜[7]のいずれか1項に記載の加飾フィルムを、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に貼合してなる加飾成形体。
[9] 自動車部材、電子機器又は建材用である、[8]に記載の加飾成形体。
本発明の加飾フィルムは、加飾層と、接着層とを有する加飾フィルムであって、接着層は、イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体と、テルペンフェノール樹脂と、着色顔料とを含有する。本発明の加飾フィルムは、上記構成を有するため、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に対して優れた密着性を発揮し、かつ優れた隠蔽性を発揮する。このため、本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン樹脂を主成分として含み、フィラーなどが混合された被着体への貼合用の隠蔽機能付きの加飾フィルムとして好ましく用いられる。
さらに、加飾フィルムのうち、加飾層よりも被着体側に配置される接着層に着色顔料を含有させることで、被着体の色や模様や異物などを十分に隠蔽し、被着体が透けて見えることに起因して加飾性が損なわれることを抑制することに成功した。
なお、本発明の加飾フィルムをフィルムインサート成形に用いる場合は、加飾層21の最表層(接着層11と接する逆面)には加飾性層とは別にハードコート層や反射防止層などの機能層を設けていてもよい。
一方で、本発明の加飾フィルムをインモールド成形に用いる場合は、加飾層21の加飾性層は必ず接着層11と接する面に設けられ、成形後に基材と加飾性層が容易に剥がれるように離型性を有する基材を用いるか、もしくは、基材と加飾性層の間に離型層を設けることで、基材(離型層)と加飾性層とが接するように構成されていることが好ましい。
加飾フィルムは、接着層を有する。本発明において、接着層は、加飾層の両面に設けられていてもよいが、加飾層のいずれか一方の面に一層設けられていることが好ましい。
テルペンフェノール樹脂の含有量は、ブロック共重合体100質量部に対して40質量部以上であることが好ましく、45質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましく、55質量部以上であることが特に好ましい。また、テルペンフェノール樹脂の含有量は、ブロック共重合体100質量部に対して200質量部以下であることが好ましく、180質量部以下であることがより好ましく、160質量部以下であることがさらに好ましく、140質量部以下であることが特に好ましい。テルペンフェノール樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、加飾フィルムはポリプロピレン樹脂を含む被着体に対して優れた密着性を発揮することができる。また、テルペンフェノール樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、接着層と加飾層の層間密着性を高めることもできる。
接着層に含まれるブロック共重合体は、イソペンタン由来構造から構成されるブロック及びスチレン系ポリマーから構成されるブロックを含むことが好ましい。本明細書において、イソペンタン由来構造とは、以下の構造である。そして、イソペンタン由来構造から構成されるブロックは、上記構造のイソペンタン由来構造が重合してなるブロックである。なお、イソペンタン由来構造は、プロピレン・エチレン共重合体であることが好ましい。
接着層は、上述したブロック共重合体に加えて、テルペンフェノール樹脂を含む。テルペンフェノール樹脂は、少なくともテルペンモノマーとフェノールを共重合した樹脂である。
接着層は、着色顔料を含む。
着色顔料は黒色顔料及び白色顔料から選択される少なくとも1種類であることがより好ましく、両者を併用することがより好ましい。着色顔料として、黒色顔料及び白色顔料を併用することにより、加飾フィルムの隠蔽性(加飾成形体とした場合に、被着体が透けて見えない度合い)をより効果的に高めることができる。なお、着色顔料としては、黒色顔料及び白色顔料の他に、他の着色顔料を含んでいてもよい。
さらに、着色顔料は、金属酸化物及びカーボンブラックから選択される少なくとも1種類であることがより好ましく、両者を併用することがより好ましい。着色顔料として、金属酸化物及びカーボンブラックを併用することにより、加飾性を損なわずに加飾フィルムの隠蔽性をより効果的に高めることができる。なお、着色顔料としては、金属酸化物及びカーボンブラックの他に、他の着色顔料を含んでいてもよい。
着色顔料として黒色顔料(特にカーボンブラック)を用いる場合、着色顔料の含有量は、イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましい。また、着色顔料として黒色顔料を用いる場合、着色顔料の含有量は、イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが特に好ましい。黒色顔料の含有量を上記範囲内とすることにより、接着性を損なうことなく加飾フィルムの隠蔽性をより効果的に高めることができる。
着色顔料として白色顔料および黒色顔料を併用する場合、着色顔料の含有量の好ましい範囲は、単独で白色顔料または黒色顔料を用いる場合の好ましい範囲と同様である。
接着層は、上述したブロック共重合体、テルペンフェノール樹脂および着色顔料の他に、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤(又は老化防止剤)、シランカップリング剤、テルペンフェノール樹脂以外の粘着付与剤、オイル成分、軟化剤、架橋剤、水素引抜型開始剤等を挙げることができる。
接着層の厚みは、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。また、接着層の厚みは、40μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。本発明においては、上記好ましい範囲のように接着層の厚みを薄くしても、着色顔料の含有量を好ましい範囲に制御することで、十分に隠蔽性を発揮できる。
加飾フィルムは、加飾層を有する。ここで、加飾層は、基材に顔料や染料が練りこまれた単層の着色フィルムであってもよい。また、加飾層は、基材と加飾性層を含む多層フィルムであってもよい。
(1)基材層のみからなる構成(着色フィルムなど基材に顔料や染料が練りこまれている)(一般的にこの構成はフィルムインサート成形に用いられインモールド成形には用いられない)
(2)基材層、印刷層、印刷保護層がこの順で設けられた構成
(3)表面保護層、印刷層、基材層がこの順で設けられた構成
(4)基材層、印刷層がこの順で設けられた構成
(5)機能層、基材層、印刷層がこの順で設けられた構成
(一般的にこの構成はフィルムインサート成形に用いられインモールド成形には用いられない)
(6)基材層、離型層、印刷保護層、印刷層がこの順で設けられた構成
(一般的にこの構成はインモールド成形に用いられフィルムインサート成形には用いられない)
(7)上述した(1)〜(6)の構成の最表面にさらにプロテクトフィルムが設けられた構成
(8)上述した(1)〜(6)の構成の最表面にさらに粘着剤層及びセパレーター層が設けられた構成
本発明の加飾フィルムの製造方法は、加飾層上に、接着剤組成物を塗工し、乾燥又は硬化させることで、接着層を形成する工程を含むことが好ましい。
接着剤組成物は、既存の方法により調製することができる。
例えば、イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体と、テルペンフェノール樹脂と、着色顔料とを、溶剤に溶解して、接着剤組成物を調製してもよい。また、イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体と、テルペンフェノール樹脂と、着色顔料とを加熱および混錬して、接着剤組成物を調製してもよい。
接着剤組成物は、既存の方法により塗工することができる。溶剤に溶解して製造した接着剤組成物を用いる場合は、ナイフコーター等で塗工した後、乾燥炉にて溶剤を乾燥させることでシート化できる。一方、加熱による混練法で製造した接着剤組成物を用いる場合は、予め加熱することにより接着剤組成物を軟化さることが可能なホットメルトコーダーを用いることによりシート化が可能となる。
本発明の加飾成形体は、本発明の加飾フィルムを、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に貼合してなる。なお、加飾成形体においては、被着体と、少なくとも加飾フィルム(又はインモールド成形の場合は加飾層)が接着層を介して一体化した状態であり、被着体の表面の少なくとも一部が加飾フィルム(又は加飾層)によって被覆された状態である。
なお、インモールド成形で得られた本発明の加飾成形体には、本発明の加飾フィルムの加飾層のうち基材が剥離されて加飾性層のみが残っている態様も含まれる。
本発明は、被着体におけるポリプロピレン樹脂の含有量が100質量%未満であって、リユース樹脂であるポリプロピレン樹脂やフィラーなどの添加剤を含むポリプロピレン樹脂を用いる場合に好ましく用いられる。本発明では、被着体における、ポリプロピレン樹脂の含有量は99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが特に好ましい。
加飾成形体の製造方法は、本発明の加飾フィルムを被着体に貼合する工程を含むことが好ましい。加飾成形体の製造方法としては、例えば、熱プレス成形、インモールド成形、フィルムインサート成形、真空条件下又は減圧条件下における成形等を挙げることができる。中でも、加飾成形体の製造方法は、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法であることが好ましく、本発明の加飾フィルムは、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法における加飾成形用に適した加飾フィルムである。
接着剤組成物(A−1)
イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体(クラレ社製、セプトン1020;下記構造式で表される樹脂)100質量部、テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、YS ポリスター T130、軟化点130℃、数平均分子量900)60質量部、酸化防止剤(BASF社製、IRGANOX1010)0.6質量部、着色顔料として酸化チタン顔料組成物(トーヨーカラー社製、マルチラック S−161 ホワイト)20質量部(酸化チタン換算で10質量部)を、固形分濃度が30質量%になるようにトルエンに溶解して接着剤組成物(A−1)を得た。
イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体であるセプトン1020の代わりに別のイソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体(クラレ社製、セプトン2002;下記構造式で表される樹脂)を使用し、酸化チタン顔料組成物の代わりにカーボンブラック顔料組成物(トーヨーカラー社製、マルチラック A 903)30質量部(カーボンブラック換算で3質量部)を使用した以外は接着剤組成物(A−1)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(A−2)を得た。
イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体であるセプトン1020の代わりに別のイソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体(クラレ社製、セプトン4033;下記構造式で表される樹脂)を使用し、着色顔料として酸化チタン顔料組成物(トーヨーカラー社製、マルチラック S−161 ホワイト)20質量部(酸化チタン換算で10質量部)に加えてさらにカーボンブラック顔料組成物(トーヨーカラー社製、マルチラック A 903)30質量部(カーボンブラック換算で3質量部)を使用した以外は接着剤組成物(A−1)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(A−3)を得た。
テルペンフェノール樹脂であるYS ポリスター T130の添加量を160質量部に変更した以外は接着剤組成物(A−3)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(A−4)を得た。
テルペンフェノール樹脂であるYS ポリスター T130の代わりに別のテルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、YS ポリスター T160、軟化点160℃、数平均分子量1300)を使用した以外は接着剤組成物(A−3)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(A−5)を得た。
イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体であるセプトン1020の代わりに、イソペンタン由来構造を有さない下記構造式で表される水添ポリブタジエン系樹脂(クラレ社製、セプトン8004)を使用した以外は接着剤組成物(A−1)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(B−1)を得た。
テルペンフェノール樹脂であるYS ポリスター T130の代わりにスチレン系樹脂(三井化学社製、FTR8100、数平均分子量800)を使用した以外は接着剤組成物(A−3)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(B−2)を得た。
着色顔料である酸化チタン顔料組成物を添加しなかった以外は接着剤組成物(A−1)の作製方法と同様にして固形分濃度30質量%の接着剤組成物(B−3)を得た。
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却管を備えた反応容器に、アクリル酸nブチル(BA)と、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)を、質量比が80:20となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱することでモノマー成分をランダム共重合させ、共重合体溶液を得た。上記で得られた共重合体の固形分100質量部に対して、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)を0.11質量部、着色顔料としてカーボンブラック顔料組成物(トーヨーカラー社製、マルチラック A 903)30質量部(カーボンブラック換算で3質量部)を加えて、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルを添加して、接着剤組成物(C−1)を得た。
酸成分として、テレフタル酸:イソフタル酸:アジピン酸を、質量比が30:30:40となるように配合し、グリコール成分として、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを質量比が25:75となるように配合し、触媒(テトラブチルチタネート)の存在下、加熱することで、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂を得た。上記で得られた熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂を溶剤(メチルエチルケトン)に溶解し、固形分濃度が30質量%の溶液となるように希釈撹拌した。次いで、この溶液にポリイソシアネート(日本ポリウレタン製、「コロネートHX」(ヘキサメチレンジイソシアネート)、固形分濃度100質量%)を、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部加えることで接着剤組成物(C−2)を得た。
(実施例1)
基材として用いるアクリルフィルム(クラレ社製、パラピュア HIグレード 75μm)に対して、印刷により加飾性層を設け、加飾層を作製した。
上記で作製した接着剤組成物(A−1)を、ナイフコーターを用いて、上記で作製した加飾層の加飾性層の面に、乾燥後の接着層の厚みが20μmとなるように塗工した後、100℃で3分間乾燥して溶剤のトルエンを揮発させた。このようにして、加飾層と接着層とを有する加飾フィルムを得た。
接着剤組成物(A−1)を接着剤組成物(A−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
接着剤組成物(A−1)を接着剤組成物(A−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
接着剤組成物(A−1)を接着剤組成物(A−4)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
接着剤組成物(A−1)を接着剤組成物(A−5)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
乾燥後の接着層の厚みを10μmに変更した以外は、実施例3と同様にして加飾フィルムを得た。
接着剤組成物(A−1)を接着剤組成物(B−1)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
接着剤組成物(A−1)を接着剤組成物(B−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
接着剤組成物(A−1)を接着剤組成物(B−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
接着剤組成物(A−1)を接着剤組成物(C−1)に変更した以外は、実施例1と同様にして加飾フィルムを得た。
接着剤組成物(A−1)を接着剤組成物(C−2)に変更した以外は、比較例1と同様にして加飾フィルムを得た。
(加飾成形体の作製)
各実施例及び比較例で得た加飾フィルムを用いてフィルムインサート成形法により加飾成形体を作製した。まず、成形品の大きさが100mm×100mm×2mmの板状となる金型の内側に、接着層が射出樹脂側になるように加飾フィルムをセットした。続いて加飾フィルムをセットした金型を60℃に加温した後、200℃に加熱溶融したポリプロピレン(三菱ケミカル社製、ノバテックTMPP)を金型に流し込み、室温まで冷却してから加飾成形体を金型より取り出すことで加飾成形体を得た。
上記で作製した加飾成形体を23℃、相対湿度50%の環境下で24時間養生した後、加飾フィルムとポリプロピレン樹脂被着体の密着性をJIS K 5600−5−6に準拠し評価した。具体的には、以下のようにしてクロスカット法による密着試験を行った。
まず、加飾フィルム側からかみそりを用いて1mm×1mmのクロスカットのマス目が100マスできるように切込みを入れた後、セロハンテープ(ニチバン社製、CT28)を指で上から押し付けるようにして加飾フィルムに密着させた後に剥離した。100マスの内、全てのマス目で加飾フィルムが剥離していない場合を100/100、全てのマス目で剥離している場合を0/100とし、加飾フィルムが剥離していないマス目を数え、以下の評価基準にて加飾フィルムの密着性を評価した。
A:80/100〜100/100
B:50/100〜79/100
C:0/100〜49/100
実用上、密着性評価はAであることが好ましい。
加飾性層を設けない以外は各実施例および比較例の加飾フィルムと同様にして、隠蔽性評価用のフィルムを作製した。具体的には、接着剤組成物(A−1)〜(A−5)、(B−1)〜(B−3)、(C−1)または(C−2)のいずれか1種類を、ナイフコーターを用いて、基材として用いるアクリルフィルムの面に、乾燥後の接着層の厚みが各実施例および比較例と同じ厚みとなるように塗工した後、100℃で3分間乾燥して溶剤のトルエンを揮発させた。このようにして、基材と接着層とを有する隠蔽性評価用のフィルムを得た。
図3に記載の評価パターンが印刷されたアート紙の印刷面と、隠蔽性評価用のフィルムの接着層が接するようにセットし、150℃の加熱ロールを用いて熱ラミネートして評価サンプルを得た。
得られた評価サンプルを、下記の評価基準で評価した。
A:網点率6.25%以上の網点が見えない。
B:網点率6.25%の網点が見えない。
C:網点率6.25%の網点が見える。
一方、イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体を用いていない、比較例1で得られた加飾フィルムにおいては、ポリプロピレン樹脂被着体に対する密着性が劣っていた。
テルペンフェノール樹脂を用いていない、比較例2で得られた加飾フィルムにおいては、ポリプロピレン樹脂被着体に対する密着性が劣っていた。
着色顔料を用いていない、比較例3で得られた加飾フィルムにおいては、隠蔽性が劣っていた。
イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体もテルペンフェノール樹脂も用いていない、比較例4で得られた加飾フィルムにおいては、ポリプロピレン樹脂被着体に対する密着性が劣っていた。
イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体もテルペンフェノール樹脂も着色顔料も用いていない、比較例5で得られた加飾フィルムにおいては、ポリプロピレン樹脂被着体に対する密着性も、隠蔽性も劣っていた。
なお、隠蔽性評価で用いた評価サンプルは白地に黒色で図3に記載の評価パターンが印刷されているが、白地にシアン、マゼンタまたはイエローで図3に記載の評価パターンが印刷された評価サンプルを用いた場合も、表1と同様の結果であった。
11 接着層
30 加飾フィルム
50 被着体
100 加飾成形体
Claims (9)
- 加飾層と、接着層とを有する加飾フィルムであって、
前記接着層は、イソペンタン由来構造から構成されるブロックを含むブロック共重合体と、テルペンフェノール樹脂と、着色顔料とを含有する、加飾フィルム。 - 前記ブロック共重合体は、
イソペンタン由来構造から構成されるブロック及びスチレン系ポリマーから構成されるブロックを含むブロック共重合体である、請求項1に記載の加飾フィルム。 - 前記テルペンフェノール樹脂の軟化点は125〜170℃であり、
前記テルペンフェノール樹脂の数平均分子量は800〜1500である、請求項1又は2に記載の加飾フィルム。 - 前記テルペンフェノール樹脂の含有量は、前記ブロック共重合体100質量部に対して、40〜200質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
- 前記着色顔料は、金属酸化物及びカーボンブラックから選択される少なくとも1種類を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
- 前記接着層の厚みは、0.5〜20μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
- 前記加飾フィルムは、フィルムインサート成形法又はインモールド成形法による被着体加飾用である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の加飾フィルムを、ポリプロピレン樹脂を含む被着体に貼合してなる加飾成形体。
- 自動車部材、電子機器又は建材用である、請求項8に記載の加飾成形体。
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