JP5916686B2 - 水素ガス製造方法および水素ガス製造装置 - Google Patents

水素ガス製造方法および水素ガス製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、水素ガス製造用シリコン原料A、水素ガス製造用シリコン原料B、水素ガス製造用シリコン原料Aの製造方法、水素ガス製造用シリコン原料Bの製造方法、水素ガス製造方法および水素ガス製造装置に関する。
現在、半導体装置の基板としてシリコンウエハが大量に使用されている。シリコンウエハは次のようにして製造される。まず溶融シリコンから結晶成長によって円柱状のシリコンインゴットを製造する。次にシリコンインゴットに結晶軸の方向を示すオリエンテーションフラットあるいはノッチを形成する。次にシリコンインゴットを所定の厚さにスライスしてシリコンウエハを作製する。スライスはダイサーあるいはマルチワイヤーソーで行なう。次にシリコンウエハに対して、所定の厚さに削るラッピング加工、加工歪を除去するエッチング加工、周辺の欠けを防止するべべリング加工、表面を鏡面にするミラーポリッシング加工などを行なう。このようなシリコンウエハの製造過程において、多量のシリコン屑が発生する。従来、シリコン屑は廃棄されているが、廃棄によるコスト負荷および環境負荷は無視できない。
一方、シリコンをアルカリ水溶液(例えばNaOH水溶液)に入れて加熱すると、水素ガスが発生することが知られている。水素ガスの発生は
Si+2OH+HO→SiO 2−+2H
という反応による。従って、シリコン廃棄物から水素ガスが効率よく得られるようになれば、コスト負荷および環境負荷の面で非常に有利である。
シリコン廃棄物から水素ガスを得る試みは以前から行なわれている。例えば特許文献1(特開2000−191303)では、密閉できる反応槽にシリコン屑とアルカリ水溶液を入れ、反応槽を加熱してシリコン屑とアルカリ水溶液を反応させ、発生した水素ガスを集める。しかしシリコンとアルカリ水溶液の反応の特徴として、反応開始直後は急激に反応が進むが、その後は反応が止まってしまう。そのため水素ガスの発生を制御することが難しい。
また、反応式から分かるように、シリコンとアルカリ水溶液の反応ではケイ酸イオン(SiO 2−)が生成される。アルカリ水溶液やシリコンが過剰であると、ケイ酸イオンがゲル状になって未反応のシリコンを覆い、反応すなわち水素ガスの生成を阻害する。
これらの問題を解決するため、特許文献2(特開2001−213609)では、シリコン粉末を水と混合してスラッジ(泥状物)で供給するようにしている。シリコン粉末をスラッジで供給することにより、シリコンとアルカリ水溶液の接触直後の激しい反応が抑えられ、またゲル状のケイ酸イオンの発生も抑えられるとされる。また、水素ガスを反応槽から取り出しながら、反応槽内の圧力が所定範囲に保持されるように、シリコンスラッジやアルカリ水溶液を追加補給すれば、水素ガスを連続的に得ることができるとされる。
特開2000−191303号公報 特開2001−213609号公報
本願発明者は、特許文献2のように、シリコン粉末を水と混合してスラッジで供給する実験を行なった。その内容は本願図3の比較例の説明として後述するが、結果的には、シリコン粉末を水と混合してスラッジで供給しても、シリコンとアルカリ水溶液の接触直後の激しい反応は抑えられなかった。
また特許文献2の水素ガス製造装置では、シリコン粉末を水と混合しているが、実際のマルチワイヤーソーでは、シリコンインゴットおよびワイヤーをクーラントで冷却しながら切断する。クーラントは単なる水ではなく、水に例えばプロピレングリコール(PG)を混合した液体である。プロピレングリコールは、水の表面張力を小さくし、ワイヤの濡れ性と、シリコンインゴットのスライス溝への浸透性を改善する。プロピレングリコールあるいはこれに類似した機能をもつ材料を、クーラント中の油分という。
このため、マルチワイヤーソーから発生するシリコン屑には、シリコン粒子とクーラント(水と油分)が含まれる。この点、特許文献2の「シリコン粉末を水と混合したスラッジ」は油分を含まないため、現実にマルチワイヤーソーから発生するシリコン屑とは異なる。マルチワイヤーソーから発生するシリコン屑にはクーラントが含まれるため、クーラント中の油分がシリコン粒子の表面を覆っており、シリコン粒子とアルカリ水溶液の接触を妨げて反応を阻害する。そのため水素ガス発生量が理論値より少なくなる。本発明の第一の課題は、クーラント中の油分が水素ガス発生を阻害しないようにすることである。
ところが、本願発明者の実験によると、油分を完全に取り除いてしまうと、反応開始直後に爆発的に反応が進み、その後は全く反応しなくなる。その理由は次の通りである。シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応は、次の3つの反応がシリコン粒子の表面で逐次的に起こる。
Si+2OH→Si(OH) 2++4e・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
4HO+4e→4OH+2H↑・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
Si(OH) 2++4OH→SiO(OH) 2−+2HO・・・・・・・・・・(3)
これらの3式はまとめて次式で表される。
Si+2OH+2HO→2SiO(OH) 2−+2H↑+423.8kJ・・・・・(4)
このように、シリコン粒子の1モルは、2モルのアルカリおよび2モルの水と反応し、2モルのSiO(OH) 2−(メタケイ酸イオンの水和物であり水溶性)と2モルの水素ガスを発生する。
反応槽のアルカリ水溶液はシリコン粒子の2倍のモル数が消費され、さらに発生した水素ガスや水蒸気と一緒にアルカリミストとして反応槽から出ていく。反応槽で不足したアルカリ水溶液はアルカリ水溶液タンクからポンプで直ちに補充される。水は、上記の反応で消費されるばかりでなく、反応槽温度の飽和水蒸気圧に対応する水分が水素ガスとともに蒸発していくので、不足量はスラッジタンクの水分とアルカリ水溶液タンクの水分から補充される。
アルカリ水溶液としてNaOH水溶液を用いた場合、
Si+2NaOH+HO→NaSiO+2H↑+423.8kJ
という発熱反応が起こる。この反応の発熱量は非常に大きく、水の気化熱の約10倍、水素の燃焼熱の約2倍である。つまり、NaOH水溶液にシリコン粒子を混合すると、混合したシリコン粒子の2倍のモルの水素ガスが発生するとともに、その水素ガスが燃焼したときの2倍の反応熱が発生する。反応熱により反応系の温度が上昇すると、より反応速度が速くなって反応熱が増加する。このポジティブフィードバックのためシリコン粒子とアルカリ水溶液の反応は爆発的に激しくなり制御が極めて困難である。このような反応状態を熱暴走という。
シリコンが数μmの微細な粒子であると表面積が大きいため、更に反応の熱暴走が激しくなり、更に制御が困難になる。反応熱により生じるシリコン粒子とアルカリ水溶液の混合液の温度上昇は、反応槽を冷却しても抑制できない。そのため、従来は、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応による水素ガス発生の制御は困難とされていた。本発明の第二の課題は、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を適度に抑制して、コンスタントに水素ガスを得られるようにすることである。
特許文献2の水素ガス製造装置では、水素ガスを反応槽から取り出しながら、反応槽内の圧力が所定範囲に保持されるように、シリコンスラッジやアルカリ水溶液を追加補給している。それにより、水素ガスを連続的に得ることができるとされている。しかし、特許文献2の図6によれば、反応槽の圧力は0.1MPa〜0.2MPaの範囲で変動しており、安定しているとは言えない。しかも図6は、反応熱を考慮していないシミュレーション結果であるから、大量の反応熱が発生する実際の反応とは状況が異なると思われる。またスラッジは約13分おきに断続的に投入されており、水素ガスの発生を連続的に安定制御するシステムとはなっていない。
そこで本発明の第三の課題は、反応槽の圧力変動の少ない水素ガス製造方法および水素ガス製造装置を実現することである。なお第三の課題(圧力変動の少ない水素ガス製造方法および装置)は第二の課題(シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を適度に抑制)と密接に関連しており、第二の課題(シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を適度に抑制)が解決できなければ第三の課題(圧力変動の少ない水素ガス製造装置)は解決できない。
特許文献1の実施例では、反応槽の容量が0.2リットルである。特許文献2の実施例では反応槽の容量が記載されていないが、アルカリ水溶液(NaOH水溶液)が1リットルであるから、反応槽の容量は数リットルと推定される。本願発明者の研究によると、このスケールの実験室用の水素ガス製造装置では問題にならないが、スケールが10倍〜100倍の量産用の水素製造装置では、次の問題が起こる。
シリコン粒子とアルカリ水溶液の
Si+2OH+HO→SiO 2−+2H
という反応式から考えると、反応槽から発生するものは、水素ガスと水蒸気だけのように考えられる。そのため特許文献1、2では、反応槽に凝縮器を結合する構成となっている。凝縮器は、水素ガスと水蒸気の混合気を冷却して混合気の露点を低下させ、水蒸気を水に凝縮させて、混合気から水蒸気を除く装置である。
しかし本願発明者の研究によると、量産スケールの水素ガス製造装置では、反応槽から、水素ガスと水蒸気以外に、アルカリ水溶液ミスト(霧状のアルカリ水溶液)、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子も飛散する。このため、量産スケールの水素ガス製造装置の場合、反応槽に凝縮器を結合すると、アルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子が凝縮器に入り込む。
アルカリ水溶液ミストは凝縮器で低温にされると固化する。またアルカリ水溶液ミストは、凝縮器の材質によっては凝縮器を腐食する。シリコン粒子は凝縮器に堆積する。シリコン粒子の堆積が進むと凝縮器内部の管が詰まる。そこで、本発明の第四の課題は、アルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子による、腐食と詰まりを防止することである。
[水素ガス製造用シリコン原料A]
本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aは、クーラントが油分を含む場合、シリコン粒子の精製をする際、クーラントの油分を完全に取り除くのではなく、適量残したものである。油分は、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を阻害するため、油分が多すぎると水素ガスが発生しない。逆に油分が少なすぎると水素ガスが爆発的に発生して制御できない。そのためクーラントの油分を適量残す。シリコン粒子と油分だけでは固体であるからポンプによる連続供給が難しい。そのため水を加えてスラッジとする。
(1)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aは、シリコン粒子と、シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%の油分と、水を含む。
(2)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aにおいて、油分は、
イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルー1−プロパノール、2−メチルー2−プロパノール、2−エチルー1−ヘキサノール、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1、2−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、
の何れか、あるいは、これらの混合物である。これらの物質はクーラントに油分として含まれることがある。
(3)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aにおいて、シリコン粒子の平均粒径は0.1μm〜30μmである。シリコン粒子の平均粒径が0.1μm未満であると、油分の反応抑制効果が不十分になることがある。シリコン粒子の平均粒径が30μmを超えると、シリコン粒子の表面積が不足して、反応が不十分になることがある。また、シリコン粒子が沈殿しやすくなり、アルカリ水溶液に均一に分散しないことがある。
(4)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aにおいて、水の重量は、シリコン粒子の重量の1倍〜10倍である。水の重量がシリコン粒子の重量の1倍未満であると、スラッジの粘度が高すぎて、スラッジポンプでの供給が困難になることがある。水の重量がシリコン粒子の重量の10倍を超えると、シリコン粒子とアルカリ水溶液のバランスが崩れて(アルカリ水溶液の濃度が薄くなりすぎて)、あるいは、反応槽内の混合液の液温が低下して、水素ガスの発生速度が低下することがある。
[水素ガス製造用シリコン原料B]
本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bは、シリコン粒子の精製をする際、クーラント中の、水素ガス発生反応を阻害するような油分をほとんど取り除き、新たに反応抑制物質を加えたものである。反応抑制物質は油分と同じように、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を抑制する機能をもつ物質である。しかし本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bに用いられる反応抑制物質には、通常、クーラントに含まれない物質もある。反応抑制物質はクーラント中の、水素ガス発生反応を阻害するような油分を除いた後、添加される。クーラント中の油分が残存していると、油分と反応抑制物質の両方が反応抑制作用を生じるため、反応抑制作用の微妙な制御が難しい。そのため、クーラント中の油分をいったん除いてから、反応抑制物質を加える。
(5)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bは、シリコン粒子と、シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%の反応抑制物質と、水を含む。
(6)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bにおいて、反応抑制物質は、
ギ酸、乳酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、アクリル酸、オレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、
ビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、
の何れか、あるいは、これらの混合物である。
(7)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bにおいて、シリコン粒子の平均粒径は0.1μm〜30μmである。
(8)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bにおいて、水の重量は、シリコン粒子の重量の1倍〜10倍である。
[水素ガス製造用シリコン原料Aの製造方法]
本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aの製造方法は、シリコン粒子の精製をする際、クーラントの油分を適量(シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%)残すところに特徴がある。
(9)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aの製造方法は、
シリコン粒子とクーラントに由来する油分と水を含むシリコン屑を準備する工程、
シリコン屑を遠心分離または濾過して、シリコン粒子と、シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%の油分と、少量の水を含む固形物Aを製造する工程、
固形物Aを乾燥して、シリコン粒子と、シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%の油分を含む固形物Bを製造する工程、
固形物Bに水を加えてスラッジAを製造する工程を含む。
(10)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aの製造方法において、油分は、
イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルー1−プロパノール、2−メチルー2−プロパノール、2−エチルー1−ヘキサノール、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1、2−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、
の何れか、あるいは、これらの混合物である。
(11)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aの製造方法において、固形物Aの乾燥温度は100℃〜120℃である。この乾燥温度は、水は蒸発するが、油分は蒸発しない温度である。
[水素ガス製造用シリコン原料Bの製造方法]
本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bの製造方法は、シリコン粒子の精製をする際、クーラント中の、水素ガス発生反応を阻害するような油分を高温乾燥工程でほとんど取り除き、その後、新たに反応抑制物質を加えるところに特徴がある。
(12)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bの製造方法は、
シリコン粒子とクーラントに由来する油分と水を含むシリコン屑を準備する工程、
シリコン屑を遠心分離または濾過して、シリコン粒子と油分と少量の水を含む固形物Aを製造する工程、
固形物Aを乾燥して、シリコン粒子と油分を含む固形物Bを製造する工程、
固形物Bを高温乾燥して油分を蒸発させ、シリコン粒子からなる固形物Cを製造する工程、
固形物Cに、シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%の反応抑制物質と、水を加えてスラッジBを製造する工程を含む。
(13)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bの製造方法において、反応抑制物質は、
イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルー1−プロパノール、2−メチルー2−プロパノール、2−エチルー1−ヘキサノール、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1、2−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、
ギ酸、乳酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、アクリル酸、オレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、
ビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、
の何れか、あるいは、これらの混合物である。
(14)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bの製造方法において、固形物Aの乾燥温度は100℃〜120℃である。この乾燥温度は、水は蒸発するが、油分は蒸発しない温度である。
(15)本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bの製造方法において、固形物Bの高温乾燥温度は500℃〜700℃である。この高温乾燥温度は固形物Bに含まれる油分が、ほとんど蒸発する温度である。
[水素ガス製造方法]
本発明の水素ガス製造方法は、本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aあるいは水素ガス製造用シリコン原料Bを用いること、水素ガス製造用シリコン原料Aあるいは水素ガス製造用シリコン原料Bの注入速度を反応槽内の混合液の温度に基づいてフィードバック制御すること、アルカリ水溶液の注入速度を反応槽内のアルカリ濃度に基づいてフィードバック制御すること、水素ガス、水蒸気、アルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子を含む気体Pをスクラバで処理して、気体Pからアルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子を除去することに特徴がある。
(16)本発明の水素ガス製造方法は、
水素ガス製造用シリコン原料Aあるいは水素ガス製造用シリコン原料Bを準備する工程、
アルカリ水溶液を準備する工程、
水素ガス製造用シリコン原料Aあるいは水素ガス製造用シリコン原料Bを、その注入速度を反応槽内の混合液の温度に基づいてフィードバック制御しながら、反応槽に注入する工程、
アルカリ水溶液を、注入速度を反応槽内のアルカリ濃度に基づいてフィードバック制御しながら、反応槽に注入する工程、
反応槽内の、水素ガス製造用シリコン原料Aあるいは水素ガス製造用シリコン原料B、およびアルカリ水溶液の混合液を所定温度に維持する工程、
反応槽から取り出された、水素ガス、水蒸気、アルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子を含む気体Pをスクラバで処理して、気体Pからアルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子を除去する工程、
スクラバで処理した、水素ガスおよび水蒸気を含む気体Qを凝縮器で処理して、気体Qから水蒸気を除去する工程を含む。
(17)本発明の水素ガス製造方法において、アルカリ水溶液はNaOH水溶液またはKOH水溶液である。
(18)本発明の水素ガス製造方法において、NaOH水溶液またはKOH水溶液の濃度は1mol/L〜8mol/Lである。
(19)本発明の水素ガス製造方法において、所定温度は50℃〜90℃である。
[水素ガス製造装置]
(20)本発明の水素ガス製造装置は、
密閉可能な反応槽と、
反応槽に、水素ガス製造用シリコン原料Aあるいは水素ガス製造用シリコン原料Bを供給する手段と、
反応槽にアルカリ水溶液を供給する手段と、
反応槽に設けられた温度計、ヒーターおよび冷却器と、
反応槽の水素ガス取り出し側に、スクラバ、凝縮器、レギュレーターをこの順に備える。
(21)本発明の水素ガス製造装置において、スクラバは反応槽から発生するアルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子を除去する。
(22)本発明の水素ガス製造装置において、水素ガス製造用シリコン原料Aあるいは水素ガス製造用シリコン原料Bを供給する手段はモーノポンプまたはギヤーポンプが好ましい。モーノポンプ、ギヤーポンプは、スラッジ状の材料を安定して吐出することができる。
(23)本発明の水素ガス製造装置において、反応槽は、水素ガス製造用シリコン原料Aあるいは水素ガス製造用シリコン原料Bと,アルカリ水溶液を混合する手段を備える。
本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aには、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を適度に抑制する適度な量の油分が含まれている。油分はクーラントに由来する。マルチワイヤーソーの廃クーラントから、再生クーラントを分離して得られたシリコン屑には、油分がシリコン粒子の重量の10%を超えて含まれている。このようにシリコン屑に含まれる油分が多すぎる場合、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応が阻害される。そのため、シリコン屑にアルカリ水溶液を加えても、得られる水素ガスは理論値より少ない。このようなシリコン屑は、そのままでは水素ガス製造用シリコン原料として利用できない。
本発明の水素ガス製造用シリコン原料は、含まれる油分がシリコン屑より少ないため、アルカリ水溶液を加えると理論値通りの水素ガスが得られる。しかも本発明の水素ガス製造用シリコン原料には、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を抑制する適度な量(シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%)の油分が含まれているため、反応が爆発的にならない。これにより、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応が適度に抑制され、長時間にわたって水素ガスをコンスタントに発生することができる。この結果、第一の課題(油分が水素ガス発生を阻害)と第二の課題(シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を適度に抑制)が同時に解決される。
本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bは、クーラントに由来する油分を高温乾燥で蒸発させて取り除いた後、所望の種類の反応抑制物質を所望の量だけシリコン粒子と混合して得られる。反応抑制物質は、油分と同様に、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を適度に抑制する機能をもつ物質である。反応抑制物質が、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を適度に抑制するメカニズムは、クーラントに由来する油分によるメカニズムと同様である。水素ガス製造用シリコン原料Bに含まれる反応抑制物質は、通常、クーラントの油分と異なる物質が用いられるが、クーラントの油分と同じ物質を用いてもよい。水素ガス製造用シリコン原料Bを用いても、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応が適度に抑制され、長時間にわたって水素ガスをコンスタントに発生することができる。
本発明の水素ガス製造用シリコン原料は、シリコン粒子の重量の1倍〜10倍、好ましくは1倍〜5倍、さらに好ましくは2倍〜4倍の重量の水を添加し、スラッジ状にしてある。これにより反応槽にスラッジポンプで精度よく注入することができる。
本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aの製造方法は、クーラントに含まれた油分を利用するため、製造工程が短い。一方、本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bの製造方法では、任意の反応抑制物質を精度よく混合することができる。
本発明の水素ガス製造方法では、水素ガス製造用シリコン原料およびアルカリ水溶液の注入速度を、反応槽の混合液の温度およびアルカリ濃度に基づいてフィードバック制御しながら、連続注入するため、一定量の水素ガスが連続して得られる。アルカリ水溶液とシリコン原料を連続的に注入することができるのは、第二の課題(シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を適度に抑制)が解決されているからである。これにより、第三の課題(反応槽の圧力変動)が解決される。
本発明の水素ガス製造装置では、反応槽と凝縮器の間にスクラバを設ける。反応槽内で発生した水素ガスはスクラバに導かれる。スクラバにより、反応槽から飛散するアルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物、シリコン粒子を、凝縮器に入る前に除去する。これにより、第四の課題(アルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物、シリコン粒子による腐食と詰まり)が解決される。
本発明の水素ガス製造用シリコン原料の製造フローチャート 本発明の水素ガス製造装置の構成図 水素ガス製造実験のグラフ(反応抑制物質の効果) 水素ガス製造実験のグラフ(実施例1) 水素ガス製造実験のグラフ(実施例2)
第一の課題(クーラント中の油分が水素ガス発生を阻害)、および、第二の課題(シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を適度に抑制)を解決するため、本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aおよび水素ガス製造用シリコン原料Bは、図1のフローチャートにより製造される。
図1のフローチャートに示すように、マルチワイヤーソー101にシリコンインゴット102を設置し、クーラント103(水と油分の混合液)で冷却しながら、シリコンインゴット102を切断し、シリコンウエハ104を製造する。ワイヤーで切断された部分(切り代、カーフロス)は大きさが0.1μm〜30μm程度の不定形のシリコン粒子となる。本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aおよび水素ガス製造用シリコン原料Bでは、シリコン粒子の平均粒径は1μm程度が好ましい。マルチワイヤーソー101で発生する廃クーラント105は、シリコン粒子とクーラント103を含む。クーラント103に含まれる油分は、例えば、プロピレングリコールである。
図1のフローチャートに示すように、廃クーラント105をまず遠心分離器A106にかけて、上澄みと沈殿物に分ける。上澄みは水と油分を含み、再生クーラント107として、再びマルチワイヤーソー101で使用される。沈殿物はシリコン屑108と呼ばれ、水と油分とシリコン粒子が含まれる。シリコン屑108は、シリコン粒子の重量の10%を超える油分を含むため、アルカリ水溶液との反応が阻害されやすい。
図1のフローチャートに示すように、シリコン屑108中の油分を減らすため、シリコン屑108を、再度、遠心分離器B109にかけるか、あるいは、濾過器110を通す。シリコン屑108を再度遠心分離した場合、上澄み111には水と油分が含まれる。この上澄み111は廃棄される。遠心分離の沈殿物はシリコン粒子を主成分とする固形物A112で、油分(シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%)と少量の水を含む。
シリコン屑108を濾過器110に通した場合、濾液113には水と油分が含まれる。この濾液113は廃棄される。濾過で得られたシリコン粒子を主成分とする固形物A112は、油分(シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%)と少量の水を含む。遠心分離で得られた固形物A112と、濾過で得られた固形物A112は、図1のフローチャートに示すように、次工程(乾燥)に同じように進めることができるので、以後特に区別はしない。
図1のフローチャートに示すように、固形物A112を乾燥炉114で乾燥する。乾燥の目的は、固形物A112に含まれる少量の水分を取り除くことである。そのため乾燥炉114の温度は、100℃〜120℃が好ましい。この温度で水は蒸発するが油分は蒸発しない。乾燥後の固形物B115の成分はシリコン粒子と油分(シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%)である。
本願発明者の実験によると、遠心分離器106の回転数と回転時間を調整することにより、固形物B115に、シリコン粒子の重量の0.1重量%〜10重量%(代表的には3重量%)の油分を含ませることができる。あるいは、濾過器110の分子サイズの細孔の大きさと濾過圧力を調整することにより、固形物B115に、0.1重量%〜10重量%(代表的には3重量%)の油分を含ませることができる。
固形物B115の中のシリコン粒子の表面は、シリコンが露出した部分と、シリコンが油分に覆われた部分が混在していると考えられる。シリコンが露出した部分はアルカリ水溶液と反応し、シリコンが油分に覆われた部分はアルカリ水溶液と反応しないと考えられる。シリコン粒子の表面全体が油分で覆われてしまうと、シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応が起こらないと考えられる。シリコン粒子の表面に、シリコンが露出した部分と、油分に覆われた部分が適度な比率で混在しているとき、シリコン粒子とアルカリ水溶液が緩やかに反応し、シリコン粒子とアルカリ水溶液が長時間にわたって反応を続け、水素ガスをコンスタントに発生することができると考えられる。
乾燥炉114で乾燥して得られた固形物B115に水116を加えてスラッジA117とする。なお、固形物B115に水116を加えて得られたスラッジと、更に後の工程で固形物Cに反応抑制物質121と水123を加えて得られたスラッジを区別するため、固形物B115に水116を加えて得られたスラッジをスラッジA117と名付け、固形物Cに反応抑制物質121と水123を加えて得られたスラッジをスラッジB124と名付ける。スラッジA117が本発明の水素ガス製造用シリコン原料Aである。固形物B115に水116を加えてスラッジA117とする理由は、第一にスラッジポンプで圧送するのに適した状態にするためである。第二にシリコン粒子とアルカリ水溶液の反応熱を水で冷却するためである。第三に反応により消費される水を補充するためである。水116の添加量は、固形物B115に含まれるシリコン粒子の重量の1倍〜10倍が好ましく、1倍〜5倍がより好ましく、2倍〜4倍がさらに好ましい。水116を1倍〜10倍添加すると、シリコン粒子が水116に均一に分散するため、配管やポンプの詰まりが起きにくくなる。
本願発明者の研究によると、水素ガス製造用シリコン原料A(スラッジA117)に、シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%、より好ましくは2重量%〜4重量%、代表的には3重量%の油分が混合しているとき、シリコン粒子とアルカリ水溶液が長時間にわたって反応を続け、水素ガスをコンスタントに発生することができる。
水素ガス製造用シリコン原料A(スラッジA117)のシリコン粒子の分散状態が良好であっても、長時間放置するとシリコン粒子が沈降することがある。そのため反応槽に注入する直前に分散装置でシリコン粒子を再分散させることが好ましい。
油分とは異なる反応抑制物質を含ませたいとき、あるいは、反応抑制物質の量をより精密に制御したいときは、更に図1のフローチャートの次工程を実施する。図1のフローチャートに示すように、油分を含む固形物B115を高温炉118で焼成し、クーラント由来の油分119を蒸発させて、シリコン粒子だけからなる固形物C120を得る。高温炉118の温度は、500℃〜700℃が好ましく、600℃がより好ましい。この温度で油分119は蒸発する。高温炉118には窒素ガスを流して、シリコン粒子の表面酸化と油分119の酸化および燃焼を防ぐ。
高温炉118で焼成した固形物C120には油分がほとんど含まれない。そこで固形物C120に、反応抑制物質121と水123を混合して、スラッジB122とする。反応抑制物質121の量は、シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%、より好ましくは2重量%〜4重量%、代表的には3重量%である。反応抑制物質121は油分119と同じ物質でもよいし、異なる物質でもよい。
混合する反応抑制物質の例を後述するが、カルボン酸や水溶性ポリマー、モノマーのような反応抑制物質はクーラントにほとんど含まれない。従って特にカルボン酸や水溶性ポリマー、モノマーのような反応抑制物質を用いる場合は、高温炉118による焼成以後の工程が必要である。
スラッジB124は本発明の水素ガス製造用シリコン原料Bである。水123を加える理由は、第一にシリコン粒子と反応抑制物質を均一に混合し、スラッジポンプで圧送するのに適した状態にするためである。第二にシリコン粒子とアルカリ水溶液の反応熱を水で冷却するためである。第三に反応により消費される水を補充するためである。水123の添加量(重量)は、固形物C120(シリコン粒子)の重量の1倍〜10倍が好ましく、1倍〜5倍がより好ましく、2倍〜4倍がさらに好ましい。
本願発明者の実験によると、クーラントに由来する3重量%の油分(プロピレングリコール)を含むスラッジA117と、高温炉で焼成後、油分と同種の3重量%の反応抑制物質(プロピレングリコール)を混合したスラッジB124を、水素ガス製造用シリコン原料として用いた場合、水素ガスの発生状況は同様であった。従ってクーラント103に含まれる油分を利用するときは、製造工程の短いスラッジA117を使用する方が有利である。しかしクーラント103に油分として含まれない反応抑制物質を用いるときは、図1のフローチャートの高温炉118以後の工程で製造されたスラッジB124を使用する必要がある。
反応抑制物質として、次のような水溶性の有機物質またはこれらの混合物が好ましい。(1)、(2)は油分としてクーラントに含まれることがある。(3)、(4)は、通常、クーラントに含まれないし、含まれても微量である。
(1)1価アルコール:イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルー1−プロパノール、2−メチルー2−プロパノール、2−エチルー1−ヘキサノール
(2)多価アルコール:エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1、2−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、
(上記の1価アルコールと多価アルコールをまとめて、X−(OH)nと表示できる。ここでXは、炭素数Cmが3〜7の飽和または不飽和炭化水素基、nは1以上の整数、n<Cmである。)
(3)カルボン酸
・飽和脂肪酸:ギ酸、乳酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸
・不飽和脂肪族カルボン酸:アクリル酸、オレイン酸
・ヒゴロキシ酸:リンゴ酸、クエン酸
・ジカルボン酸:シュウ酸、マレイン酸、フマル酸
(4)水溶性ポリマー、モノマー
ビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール。
図2は本発明の水素ガス製造装置200の構成図である。密閉された反応槽201に、水素ガス製造用シリコン原料202をスラッジポンプ203で注入する。水素ガス製造用シリコン原料202は、図1のフローチャートのスラッジA117(水素ガス製造用シリコン原料A)またはスラッジB122(水素ガス製造用シリコン原料B)である。従ってスラッジポンプ203としては、スラッジの圧送ができるモーノポンプやギヤーポンプが適している。
反応槽201に、アルカリ水溶液204(例えばNaOH水溶液)をアルカリ水溶液ポンプ205で注入する。アルカリ水溶液ポンプ205には、例えばフッ素樹脂製あるいはポリエチレン製の耐アルカリ性のポンプが適している。反応槽201は水素ガスが発生し加圧状況となるため耐圧性の必要がある。また、反応槽201は耐アルカリ性であることも必要である。従って反応槽201はステンレス性の耐圧容器が好ましい。
反応槽201内でアルカリ水溶液204と水素ガス製造用シリコン原料202を混合して混合液208とする。水素ガス製造用シリコン原料202はスラッジ(泥状)であるため、アルカリ水溶液204と均一に混合・分散しにくい。そのため、超音波振動子206で超音波振動を与える、あるいは図示しない撹拌翼で撹拌して、水素ガス製造用シリコン原料202とアルカリ水溶液204を均一に混合するようにする。
水素ガス製造用シリコン原料202とアルカリ水溶液204を混合すると
Si+2OH+HO→SiO 2−+2H
という反応が起こり、水素ガスが発生する。発生した水素ガスは反応槽201の内部空間に溜まる。
上式の水素ガスが発生する反応は常温では反応速度が遅いので、水素ガス製造用シリコン原料202を投入する前に、ヒーター207で反応槽201内の混合液208の温度を上げる。混合液208の温度を温度計209で測定しながらヒーター207を制御する。ヒーター207により、混合液208の温度が、50℃〜90℃(好ましくは60℃〜80℃)になるように制御する。混合液208の温度が50℃より低い場合は反応速度が遅くなる(水素ガスの発生が少なくなる)。混合液208の温度が90℃より高い場合、反応速度は速くなるが(水素ガスの発生が多くなる)、反応が熱暴走するおそれが高くなる。また熱暴走したとき対処する時間的余裕が少なくなる。そのため混合液208の温度は50℃〜90℃が適当である。
水素ガス製造用シリコン原料202とアルカリ水溶液204の反応熱が発生するようになったら、ヒーター207の加熱を弱くする、あるいは中止する。さらに反応熱の発生が多くなって、ヒーター207を切っても混合液208の温度が上限より高くなるようであれば、冷却器210で混合液208を冷却する。同時に水素ガス製造用シリコン原料202の注入を少なくするか中止する。
アルカリ水溶液204としてNaOH水溶液を用いる場合、NaOH水溶液の濃度は1mol/L〜8mol/Lが好ましく、3mol/L〜4mol/Lがより好ましい。NaOH水溶液の濃度が8mol/Lを超えると、NaOH水溶液の粘度が高くなりすぎて、水素ガス製造用シリコン原料202と均一に混合しにくくなる。水素ガス製造用シリコン原料202を注入すると、メタケイ酸ナトリウムが形成されるため、さらに混合液208の粘度が高くなり、均一混合しにくくなる。NaOH水溶液と水素ガス製造用シリコン原料202が均一に混合されていないと、反応が不均一になるおそれがある。NaOH水溶液の濃度が1mol/L未満であると、水素ガス発生反応が十分に進行しないおそれがある。そのため、NaOH水溶液の濃度は1mol/L〜8mol/Lが好ましい。
本発明の水素ガス製造装置200では、第二の課題(シリコン粒子とアルカリ水溶液の反応を適度に抑制)を解決するため、図1のフローチャートにより製造された水素ガス製造用シリコン原料Aまたは水素ガス製造用シリコン原料Bを使用する。本発明で用いる水素ガス製造用シリコン原料Aまたは水素ガス製造用シリコン原料Bは、一定量の油分または反応抑制物質を含むため、シリコン粒子とアルカリ水溶液が急激に反応することが抑制される。しかし、油分または反応抑制物質は反応を阻害するほど多くはないので、理論通りの量の水素ガスを発生する。本発明の水素ガス製造装置200では、シリコン粒子とアルカリ水溶液204が緩やかに反応するため、シリコン粒子とアルカリ水溶液204が長時間にわたって反応を続け、水素ガスをコンスタントに発生することができる。
特許文献2の水素ガス製造装置(図6)で反応槽の圧力変動が見られる理由は、シリコンスラッジとアルカリ水溶液を間欠的に注入するためと考えられる。特許文献2の水素ガス製造装置では、シリコンスラッジとアルカリ水溶液が急激に反応する。そのためシリコンスラッジとアルカリ水溶液を連続的に注入することが不可能となり間欠的に注入すると思われる。
本発明の水素ガス製造装置200では、第三の課題(反応槽の圧力変動)を解決するため、アルカリ水溶液204と水素ガス製造用シリコン原料202を原則として連続的に注入する。(本発明の水素ガス製造装置200で用いる水素ガス製造用シリコン原料202は急激に反応しないため、アルカリ水溶液204と水素ガス製造用シリコン原料202を連続的に注入することが可能である。)アルカリ水溶液204と水素ガス製造用シリコン原料202を連続的に注入することにより、水素ガスを安定して連続的に得ることができるようになる。但しアルカリ水溶液204と水素ガス製造用シリコン原料202の注入速度は一定とは限らない。アルカリ水溶液204と水素ガス製造用シリコン原料202を一定速度で注入しても、水素ガスの発生速度は一定にならない場合があるからである。
本発明の水素ガス製造装置200では、アルカリ水溶液204の注入速度は、反応槽201内の混合液208のアルカリ濃度が所定の値(NaOH水溶液を用いる場合、1mol/L〜8mol/L、好ましくは3mol/L〜4mol/L)になるように制御される。混合液208のアルカリ濃度が所定の値になるようにするために、アルカリ濃度を測定すると共にアルカリ濃度の変化率(時間微分)を計算して、アルカリ水溶液204の注入速度をフィードバック制御する。混合液208のアルカリ濃度は、中和滴定用サンプリング端子211からサンプリングした液を中和滴定装置(図示しない)で滴定して測定する。制御結果によりアルカリ水溶液204の注入を中断することがある。
反応槽201には反応式(4)のSiO(OH) 2−が蓄積される。この水和物(SiO(OH) 2−)はいわゆる水ガラスでありpHの緩衝作用がある。そのため混合液208のpHを測定しても、アルカリ濃度を正確に知ることができない。従って混合液208のpHの代わりに、混合液208のサンプルを滴定してアルカリ濃度を測定する。
また、水素ガス製造用シリコン原料202の注入速度は、反応槽201内の混合液208の温度が所定の値(50℃〜90℃、好ましくは60℃〜80℃)になるように制御される。混合液208の温度が所定の値になるようにするため、温度を温度計209で測定すると共に、温度の変化率(時間微分)を計算して、水素ガス製造用シリコン原料202の注入速度をフィードバック制御する。制御結果によりアルカリ水溶液204と水素ガス製造用シリコン原料202の注入を中断することがある。さらに冷却器210で混合液208を冷却することもある。
混合液208の温度は反応熱により上昇する。一方混合液208の温度は、アルカリ水溶液204の注入および水素ガス製造用シリコン原料202の注入により下降する(混合液208より、アルカリ水溶液204および水素ガス製造用シリコン原料202の方が温度が低いためである)。反応熱による混合液208の温度上昇を、アルカリ水溶液204の注入および水素ガス製造用シリコン原料202の注入により抑制するため、注入前のアルカリ水溶液204および水素ガス製造用シリコン原料202を、20℃程度に保持しておくことが望ましい。
このように混合液208のアルカリ濃度と温度を基準としてアルカリ水溶液204と水素ガス製造用シリコン原料202の注入速度を制御することにより、水素ガスの発生速度を一定にすることができる。制御結果により水素ガス製造用シリコン原料202の注入を中断することがある。
従来の水素ガス製造装置では、反応槽内で発生した水素ガスは凝縮器に導かれた。本発明の水素ガス製造装置200では、第四の課題(アルカリ水溶液ミストとシリコン粒子による詰まり)を解決するため、反応槽201と凝縮器213の間にスクラバ214を設けた。反応槽201内で発生した水素ガスはスクラバ214に導かれる。スクラバ214により、反応槽201から飛散するアルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物、シリコン粒子を、凝縮器213に入る前に除去することができる。
スクラバ214では、図示しないが、耐薬品性(例えば塩化ビニル製)の処理容器内に、隙間率の高い耐薬品性の充填物(例えばポリエチレン製の小さな籠)を多数充填する。処理容器の上部から処理液(本発明の場合は水または酸水溶液、好ましくは希硫酸)を充填物全体に散水し、処理容器の下部から被処理ガスを流入させる。本発明の水素ガス製造装置200では、被処理ガス(気体P)は、水素ガス、水蒸気、アルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子を含む。気体Pは充填物の隙間を通過しながら、処理液と反応する。アルカリ水溶液ミストは処理液により中和あるいは溶解される。メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子は処理液により洗い流される。その結果、スクラバ214を通過した気体Qは水素ガスと水蒸気を含むが、アルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子は含まない。これにより気体Q(水素ガスと水蒸気)が得られるので、凝縮器213の詰まりをなくすことができる。
スクラバ214を通過した気体Qは水素ガスと水蒸気が混合しているので凝縮器213を通して、水蒸気を除く。凝縮器213では、例えば冷却水により、気体Qを冷却し、水蒸気を凝縮させて水分を取り除く。凝縮器213で処理された水素ガスは水分をほとんど含まない。凝縮器213の露点の温度は水素ガスの供給先の仕様に従い決める。
凝縮器の出口側にバックプレッシャーレギュレータ215を設置して、反応槽201から凝縮器213までの圧力を規制する。反応槽201内の圧力は圧力計212で測定する。この規制圧力は0.05MPa〜0.5MPaが好ましく、0.05MPa〜0.15MPaがより好ましい。この規制圧力以上に水素ガスが発生すると、その水素ガスは圧縮機216に送られ、圧縮加圧されてボンベ217に貯蔵される。圧縮機216での加圧はボンベ217の規格によるが、燃料電池車(FCV)の水素ステーションの場合、35MPaあるいは70MPaである。
本発明の水素ガス製造装置200では、凝縮器213で処理された水素ガスの純度が高いため(例えば、99.9%)、用途によってはそのまま使用できる。そのような用途に用いる場合は、凝縮器213で処理された水素ガスは、圧縮機216を通してボンベ217に詰められ、商品としての水素ガスとなる。
より高純度の水素ガスが必要な場合は、水素ガスを水素ガス精製装置218に通して処理する。水素ガス精製装置218は、例えばパラジウム合金膜である。パラジウム合金膜は、水素ガス以外のガス(例えば、窒素ガス、酸素ガス、希ガス)を通さないので、パラジウム合金膜を通過した水素ガスは、高純度水素ガスとなる。高純度水素ガスは圧縮機216で高圧高純度水素ガスとされてボンベ217に詰められ、商品としての高純度水素ガスとなる。
反応槽201には反応式(4)のSiO(OH) 2−が蓄積される。これからHOを差し引くとSiO 2−となり、これはメタケイ酸イオンである。この水和物(SiO(OH) 2−)はいわゆる水ガラスである。水ガラスは加水分解により、強アルカリ性を示し、また、pHの緩衝作用がある。反応槽201に水和物(SiO(OH) 2−)がある程度蓄積したら、水和物(SiO(OH) 2−)を除去する必要がある。水和物(SiO(OH) 2−)の濃度は前述の中和滴定の際、同時に測定できる。水和物(SiO(OH) 2−)の濃度がどの程度になるまで水素ガス製造を続けるべきか、水素ガス製造のコスト等を総合的に考慮して判断する。
水素ガス製造用シリコン原料202の累積注入量と水素ガスの累積発生量から考えて、水和物(SiO(OH) 2−)の蓄積により水素ガス発生量が少なくなったと判断したら、水素ガス製造用シリコン原料202の注入を停止する。反応槽201内の水素ガス製造用シリコン原料202がすべて反応したことを確認した後、水和物(SiO(OH) 2−)を含む混合液208を反応槽201から取り出して、反応槽201を清掃する。
[水素ガス製造用シリコン原料Aの製造]
クーラントとして、水90重量%、プロピレングリコール10重量%の混合液を用いた。このクーラントを用いてシリコンインゴットをマルチワイヤーソーで切断してシリコンウエハを製造した。廃クーラントに含まれる切り屑は、平均粒径1μmのシリコン粒子であった。廃クーラントを遠心分離器A(2500rpm)で遠心分離した。
次にシリコン屑を遠心分離器B(3000rpm)で遠心分離して固形物Aを得て、さらに固形物Aを105℃の乾燥炉で乾燥して固形物Bを得た。固形物Bの組成は、シリコン粒子97重量%、プロピレングリコール3重量%であった。このように出発材料であるクーラント103に含まれる油分の量と、遠心分離器Bの回転数の調整により、固形物Bに含まれる油分の量を所望の値(シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%の範囲の任意の値)とすることができる。
図3に水素ガス製造実験における油分または反応抑制物質の効果を示す。図3の上のグラフは、横軸が時間、縦軸が水素ガス発生量(累積)である。図3の下のグラフは、横軸が時間、縦軸がシリコン粒子とアルカリ水溶液の混合液の温度である。図3の上下のグラフにおいて、曲線Aは純粋な(油分または反応抑制物質を含まない)シリコン粒子(1.2g)と純水17gを混合したスラッジを、3.4mol/LのNaOH水溶液(1.2リットル)の入った反応槽(2リットル)に、注射器で5秒間かけて注入した場合のグラフである。油分または反応抑制物質を含まないシリコン粒子としては、図1のフローチャートに示す、高温炉118を通して油分を除去した固形物C120(シリコン粒子の集合体)を砕いて用いた。
また図3の上下のグラフにおいて、曲線Bは油分を3重量%含む、シリコン粒子(1.2g)と純水17gを混合した水素ガス製造用シリコン原料を、3.4mol/LのNaOH水溶液(1.2リットル)の入った反応槽(2リットル)に、注射器で5秒間かけて注入した場合のグラフである。油分を3重量%含む水素ガス製造用シリコン原料は図1のフローチャートのスラッジA117に該当する。油分はプロピレングリコールである。
純粋なシリコン粒子と水を混合したスラッジの場合(曲線A)、シリコン粒子とNaOH水溶液の反応は混合直後に爆発的に起こり、43秒間で終了した。43秒以後に水素ガスの発生は見られない。水素ガスの最大発生速度(曲線Aの傾き)は11リットル/分であった。このような爆発的に水素ガスを発生する反応は制御不可能で、コンスタントに水素ガスを得ることは困難である。従って油分または反応抑制物質を混合していないシリコン粒子は、水と混合してスラッジにしても、水素ガス製造に用いることができない。
油分を3重量%含む水素ガス製造用シリコン原料(曲線B)の場合、純粋なシリコン粒子と水のスラッジ(曲線A)よりも、シリコン粒子とNaOH水溶液の反応がずっと緩やかである。図3の上のグラフから分かるように、純粋なシリコン粒子と水のスラッジ(曲線A)から得られる累積水素ガス量と、油分を3重量%含む水素ガス製造用シリコン原料(曲線B)から得られる累積水素ガス量は同量である。すなわち油分を3重量%含む水素ガス製造用シリコン原料(曲線B)は反応は遅いが理論値通りの水素ガスを発生する。しかし、純粋なシリコン粒子と水のスラッジ(曲線A)の反応時間が約30秒であるのに対し、油分を3重量%含む水素ガス製造用シリコン原料(曲線B)の反応時間は約800秒である。従って油分を3重量%含むことにより、反応速度は約1/27になる。このような緩やかな反応であれば、制御可能である。
図3の下のグラフで、シリコン粒子とアルカリ水溶液の混合液の温度変化を見ると、純粋なシリコン粒子の場合(曲線A)、混合液の温度は、シリコン粒子注入直後に0.7℃低下したが、すぐに2.7℃上昇した。最初に0.7℃低下した理由はスラッジが室温であったためである。2.7℃上昇した理由は反応熱により混合液が加熱されたためである。油分を3重量%混合したシリコン粒子(曲線B)の場合、反応の全期間を通して、混合液の温度変化は1℃以内である。これは反応が緩やかなので反応熱の時間当たりの発生量が少ないためである。
図4(実施例1)は、シリコン粒子と、シリコン粒子の3重量%の油分(プロピレングリコール)と、シリコン粒子の3倍の重量の純水を混合した水素ガス製造用シリコン原料Aを、3.4mol/LのNaOH水溶液(1.2リットル)の入った反応槽(2リットル)に、モーノポンプで連続的に221秒間注入したときの水素ガス発生量と、混合液の温度を示すグラフである。グラフの横軸は時間、左縦軸は水素ガス量(累積)、右縦軸は温度である。シリコン粒子の注入量は4.8g/分である。
水素ガス製造用シリコン原料Aの注入中は、時間にほぼ比例して累積水素ガス量は増加し、最大水素ガス発生速度は3リットル/分であった。水素ガス製造用シリコン原料Aの注入は221秒で中止したが、その後も水素ガスは発生し続けて、1500秒を超えてもまだ発生は終了していない。水素ガス製造用シリコン原料Aの注入後に発生した水素ガス量は、水素ガス製造用シリコン原料Aの注入中に発生した水素ガス量の3倍以上になった。
水素ガス製造用シリコン原料Aの注入中は、混合液の温度も時間にほぼ比例して上昇した。水素ガス製造用シリコン原料Aの注入は221秒で中止したが、その後も温度は同様の傾斜で上昇し、8.6℃上昇した後、ゆっくりと下降した。しかし、1500秒ではまだ反応前の温度に戻っていない。これらの理由は、水素ガス製造用シリコン原料Aの注入量が反応槽の容量に比べ多すぎるためであると考えられる。このように油分を含んでいても、水素ガス製造用シリコン原料Aの注入量が反応槽の容量に比べ多すぎると、水素ガスを連続的に安定して製造することは難しい。しかし、油分を含んでいるため、爆発的な反応は抑えられている。
図5(実施例2)は、シリコン粒子と、シリコン粒子の3重量%の油分(プロピレングリコール)と、シリコン粒子の重量の3倍の純水を混合した水素ガス製造用シリコン原料Aを、3.4mol/LのNaOH水溶液(1.2リットル)の入った反応槽(2リットル)に、モーノポンプで連続的に857秒間注入したときの水素ガス発生量と、混合液の温度変化を示すグラフである。グラフの横軸は時間、左縦軸は水素ガス量(累積)、右縦軸は温度である。シリコン粒子の注入量は1.3g/分である。
水素ガスの発生量(累積)は、水素ガス製造用シリコン原料Aの注入中は時間にほぼ比例して増加し、水素ガス製造用シリコン原料Aの注入停止後は発生速度(グラフの傾き)が緩やかになる。水素ガス製造用シリコン原料Aの注入中の最大水素ガス発生速度は1.2リットル/分であった。水素ガス製造用シリコン原料Aの注入後に発生した水素ガス量は、スラッジの注入中に発生した水素ガス量の約1/2であった。
水素ガス製造用シリコン原料Aの注入中は、混合液の温度は時間にほぼ比例して上昇し、水素ガス製造用シリコン原料Aの注入を停止すると、混合液の温度は徐々に低下して、1400秒付近で反応前の温度に戻った。温度上昇は最大で2.2℃にとどまった。混合液の温度上昇の原因は反応熱であり、ヒーターによる加熱ではなかった。温度変化のグラフから、水素ガス製造用シリコン原料Aの注入量が反応槽の容量にほぼ適合していることが推定される。このように水素ガス製造用シリコン原料Aの注入量が反応槽の容量に対して適切ならば、水素ガスを連続的に安定して製造することができる。
以上の説明は、マルチワイヤーソーで発生するシリコン屑から製造した水素ガス製造用シリコン原料に関するものであった。しかし、ダイサー切断、ラッピング加工などで発生するシリコン屑も、図1のフローチャートを適宜変更することにより、水素ガス製造用シリコン原料とすることができる。ダイサー切断ではクーラントの代わりに純水が使用されるから油分が含まれていない。そのため、ダイサー切断で発生したシリコン屑は、遠心分離し、乾燥させた後、適当な反応抑制物質を混合して水素ガス製造用シリコン原料とすることができる。ラッピング加工ではクーラント(油分を含む)と砥粒がシリコン屑に混ざっているので、砥粒を除いた後、マルチワイヤーソーで発生するシリコン屑と同様の処理で水素ガス製造用シリコン原料とすることができる。
シリコン粒子の平均粒径の測定には、Mie散乱理論の測定原理による、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製)を用いた。
シリコンウエハの製造過程において、多量のシリコン屑が発生する。従来シリコン屑は廃棄されていたが、廃棄によるコスト負荷および環境負荷は無視できない。本発明により、シリコン屑から水素ガスがコンスタントに得られるようになり、廃棄されていたシリコン屑が利用できるようになる。
101 マルチワイヤーソー
102 シリコンインゴット
103 クーラント
104 シリコンウエハ
105 廃クーラント
106 遠心分離器A
107 再生クーラント
108 シリコン屑
109 遠心分離器B
110 濾過器
111 上澄み
112 固形物A
113 濾液
114 乾燥炉
115 固形物B
116 水
117 スラッジA
118 高温炉
119 油分
120 固形物C
121 反応抑制物質
122 スラッジB
123 水
200 水素ガス製造装置
201 反応槽
202 水素ガス製造用シリコン原料
203 スラッジポンプ
204 アルカリ水溶液
205 アルカリ水溶液ポンプ
206 超音波振動子
207 ヒーター
208 混合液
209 温度計
210 冷却器
211 中和滴定用サンプリング端子
212 圧力計
213 凝縮器
214 スクラバ
215 バックプレッシャーレギュレータ
216 圧縮機
217 ボンベ
218 水素ガス精製装置

Claims (21)

  1. シリコン粒子と、クーラントから由来する油分であって、前記シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%の前記油分と、水と、を含む水素ガス製造用シリコン原料Aを準備する工程、
    アルカリ水溶液を準備する工程、
    前記水素ガス製造用シリコン原料Aと前記アルカリ水溶液を反応槽内に供給する工程、
    前記水素ガス製造用シリコン原料Aを、注入速度を前記反応槽内の前記水素ガス製造用シリコン原料Aと前記アルカリ水溶液との混合液の温度および前記温度の時間変化率に基づいてフィードバック制御しながら、前記反応槽に注入する工程、
    前記アルカリ水溶液を、注入速度を前記混合液のアルカリ濃度を測定すると共に、前記アルカリ濃度の時間変化率を計算してフィードバック制御しながら、前記反応槽に注入する工程、
    前記反応槽内の、前記混合液を、所定温度に維持する工程、
    前記反応槽から取り出された、水素ガス、水蒸気、アルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子を含む気体Pを、スクラバで処理して、前記気体Pから前記アルカリ水溶液ミスト、前記メタケイ酸塩水和物ミスト、前記シリコン粒子を除去する工程、
    前記スクラバで処理した、前記水素ガスおよび前記水蒸気を含む気体Qを凝縮器で処理して、前記気体Qから前記水蒸気を除去する工程を含む水素ガス製造方法。
  2. 前記クーラントから由来する油分は、1−ブタノール、2−メチルー1−プロパノール、2−エチルー1−ヘキサノール、 エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1、2−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、
    の何れか、あるいは、これらから選択される2以上の混合物である請求項1に記載の水素ガス製造方法。
  3. 前記シリコン粒子の平均粒径は0.1μm〜30μmである請求項1または2に記載の水素ガス製造方法。
  4. 前記水の重量は、前記シリコン粒子の重量の1倍〜10倍である請求項1〜3の何れかに記載の水素ガス製造方法。
  5. シリコン粒子と、前記シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%の範囲にあるギ酸、乳酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、アクリル酸、オレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、の何れか、あるいは、これらから選択される2以上の混合物と、水を含む水素ガス製造用シリコン原料Bを準備する工程、
    アルカリ水溶液を準備する工程、
    前記水素ガス製造用シリコン原料Bと前記アルカリ水溶液を反応槽内に供給する工程、
    前記水素ガス製造用シリコン原料Bを、注入速度を前記反応槽内の前記水素ガス製造用シリコン原料Bと前記アルカリ水溶液との混合液の温度および前記温度の時間変化率に基づいてフィードバック制御しながら、前記反応槽に注入する工程、
    前記アルカリ水溶液を、注入速度を前記混合液のアルカリ濃度を測定すると共に、アルカリ濃度の時間変化率を計算してフィードバック制御しながら、前記反応槽に注入する工程、
    前記反応槽内の、前記混合液を、所定温度に維持する工程、
    前記反応槽から取り出された、水素ガス、水蒸気、アルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子を含む気体Pを、スクラバで処理して、前記気体Pから前記アルカリ水溶液ミスト、前記メタケイ酸塩水和物ミスト、前記シリコン粒子を除去する工程、
    前記スクラバで処理した、前記水素ガスおよび前記水蒸気を含む気体Qを凝縮器で処理して、前記気体Qから前記水蒸気を除去する工程を含む水素ガス製造方法。
  6. 前記シリコン粒子の平均粒径は0.1μm〜30μmである請求項5に記載の水素ガス製造方法。
  7. 前記水の重量は、前記シリコン粒子の重量の1倍〜10倍である請求項5または6に記載の水素ガス製造方法。
  8. 前記アルカリ水溶液がNaOH水溶液またはKOH水溶液である請求項1〜7の何れかに記載の水素ガス製造方法。
  9. 前記NaOH水溶液またはKOH水溶液の濃度が1mol/L〜8mol/Lである請求項8に記載の水素ガス製造方法。
  10. 前記所定温度が50℃〜90℃である請求項1〜9の何れかに記載の水素ガス製造方法。
  11. 密閉可能な反応槽と、
    前記反応槽に、シリコン粒子と、クーラントから由来する油分であって、前記シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%の油分と、水と、を含む水素ガス製造用シリコン原料Aを供給する手段と、
    前記反応槽にアルカリ水溶液を供給する手段と、
    前記反応槽内の前記水素ガス製造用シリコン原料Aと前記アルカリ水溶液との混合液の温度が所定の温度になるように、前記混合液の温度を測定すると共に、温度の時間変化率を計算して、水素ガス製造用シリコン原料Aの注入速度をフィードバック制御する手段と
    前記混合液のアルカリ濃度が所定の値になるように、前記混合液のアルカリ濃度を測定すると共に、前記アルカリ濃度の時間変化率を計算して、前記アルカリ水溶液の注入速度をフィードバック制御する手段と、
    前記反応槽内に設けられた、水素ガス製造用シリコン原料Aと前記アルカリ水溶液を均一に混合する手段と、
    前記反応槽に設けられた温度計、ヒーターおよび冷却器と、
    前記反応槽の水素ガス取り出し側に、スクラバ、凝縮器、レギュレーターをこの順に備えた水素ガス製造装置。
  12. 前記クーラントから由来する油分は、1−ブタノール、2−メチルー1−プロパノール、2−エチルー1−ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1、2−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、
    の何れか、あるいは、これらから選択される2以上の混合物である請求項11に記載の水素ガス製造装置。
  13. 前記シリコン粒子の平均粒径は0.1μm〜30μmである請求項11または12に記載の水素ガス製造装置。
  14. 前記水の重量は、前記シリコン粒子の重量の1倍〜10倍である請求項11〜13の何れかに記載の水素ガス製造装置
  15. 前記スクラバが前記反応槽から発生するアルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子を除去する請求項11〜14に記載の水素ガス製造装置。
  16. 前記水素ガス製造用シリコン原料Aを供給する手段がモーノポンプまたはギヤーポンプである請求項11〜15に記載の水素ガス製造装置。
  17. 密閉可能な反応槽と、
    前記反応槽に、シリコン粒子と、前記シリコン粒子の0.1重量%〜10重量%の範囲にあるギ酸、乳酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、アクリル酸、オレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、の何れか、あるいは、これらから選択される2以上の混合物と、水を含む水素ガス製造用シリコン原料Bを供給する手段と、
    前記反応槽にアルカリ水溶液を供給する手段と
    前記反応槽内の前記水素ガス製造用シリコン原料Bと前記アルカリ水溶液との混合液の温度が所定の温度になるように、前記混合液の温度を測定すると共に、前記温度の時間変化率を計算して、水素ガス製造用シリコン原料Bの注入速度をフィードバック制御する手段と
    前記混合液のアルカリ濃度が所定の値になるように、前記混合液のアルカリ濃度を測定すると共に、前記アルカリ濃度の時間変化率を計算して、前記アルカリ水溶液の注入速度をフィードバック制御する手段と、
    前記反応槽内に設けられた前記水素ガス製造用シリコン原料Bと前記アルカリ水溶液を均一に混合する手段と、
    前記反応槽に設けられた温度計、ヒーターおよび冷却器と、
    前記反応槽の水素ガス取り出し側に、スクラバ、凝縮器、レギュレーターをこの順に備えた水素ガス製造装置。
  18. 前記シリコン粒子の平均粒径は0.1μm〜30μmである請求項17に記載の水素ガス製造装置。
  19. 前記水の重量は、前記シリコン粒子の重量の1倍〜10倍である請求項17または18に記載の水素ガス製造装置。
  20. 前記スクラバが前記反応槽から発生するアルカリ水溶液ミスト、メタケイ酸塩水和物ミスト、シリコン粒子を除去する請求項17〜19の何れかに記載の水素ガス製造装置。
  21. 前記水素ガス製造用シリコン原料Bを供給する手段がモーノポンプまたはギヤーポンプである請求項17〜20の何れかに記載の水素ガス製造装置。
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