JP2008303113A - 珪素の一方向凝固方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】るつぼ内で溶融させた珪素の下部から上部に向けて一方向凝固させるに際し、凝固方向の固相−液相界面の移動と、この移動距離より短い距離で凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動とを繰り返すことを特徴とする珪素の一方向凝固方法。
【効果】本発明によれば、生産性が高い状態を維持しつつ、効率良く珪素中の不純物を除去することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、工業的に生産される金属珪素の高純度化方法、特に一方向凝固法による高純度化方法に関する。
化石エネルギーは、CO2を排出して地球温暖化を促進するエネルギー源であるとして、化石エネルギーに代替するエネルギーが種々提案され、実用化されている。そのなかでも太陽光発電は、地球上に遍く分布するエネルギーによって作り出されるものであること、比較的小規模の設備でも可能であること、実用化の歴史が長いことなどから、年々その設備発電量が増加している。
太陽光発電には種々の方法があるが、なかでもシリコンウェハーを使用して電池セルを形成した太陽電池は、最も普及している太陽光発電法である。この太陽電池用シリコンウェハーに使用する珪素の不純物成分の濃度は、半導体用の珪素ほどの不純物濃度レベルまでは必要としない。即ち、半導体用珪素の必要純度は、極力低レベルとすることがよいとされ、その純度は99.999999999%が要求されるのに対し、太陽電池用の珪素には99.9999%の純度でよいとされる。
従来、太陽電池用に使用される珪素をこの不純物レベルとするために、その原料には半導体用の99.999999999%純度品に加え、半導体珪素製造工程中で不純物濃縮や異物付着品として廃棄される、いわゆるオフグレード品を再処理、精製した物が使用されてきていた。
即ち、太陽電池用珪素は、半導体用珪素よりも低純度で良いとはいいながら、その供給源は半導体用の珪素或いはその派生品が原料である。そのことから、太陽電池用珪素の流通量は、半導体産業の影響を受けてしまうことになり、半導体産業の成長よりも高い成長率である太陽電池産業の珪素需要と、半導体産業から流れてくる太陽電池用珪素の供給量とに乖離が発生し、ついには太陽電池用珪素の需要に対応できない状態となった。
このため、工業的に充分な製造量を持つ金属珪素の純度を向上させて、太陽電池用の珪素として使用することが検討されてきた。
金属珪素の主な不純物は、鉄、アルミニウム、カルシウム、チタンなどの金属元素と、ドーパントとして作用する硼素、燐などの非金属元素である。このうち、金属元素の除去方法としては、酸洗浄による溶解除去、フラックスによる冶金的精錬、凝固分配係数による溶解−凝固精製などがある。
このなかで、酸洗浄による方法は、たとえば特開昭56−32319号公報(特許文献1)のごとく、金属珪素を粉砕することで珪素中の不純物成分を粉砕粒表面に出し、それを強酸に浸漬することで不純物成分を溶解除去するものである。この方法は、固体珪素中の金属不純物はそのほとんどが珪素とは別の相として存在することから、珪素を粉砕処理することで、珪素結晶に内包されている不純物金属相を表面に暴露させ、これを酸溶解で除去する技術であり、処理が全て室温で実施できる長所があるものの、珪素結晶中に存在する不純物成分が、粉砕で全て自由表面に暴露されるとは限らないし、粉砕した珪素粉は、再溶融の際は溶融しづらいなどの短所がある。
また、フラックスによる精錬では、たとえば特開昭55−67519号公報(特許文献2)のごとく、溶融した珪素と溶融したフラックス成分を接触させることにより、珪素中の金属成分をフラックスへ移動するものである。この方法は、溶融状態で大量の珪素の処理ができる長所があるが、不純分の移動は、珪素と溶融塩の平衡関係によって決定されてしまうので、除去できる元素やその割合に制約がある。
一方、珪素の固相−液相界面における凝固偏析を利用した精製法は、多くの金属元素不純物が一気に除去できる方法として有効な精製方法である。凝固偏析を利用して珪素を高純度化する方法は、たとえば特開平10−182137号公報(特許文献3)のように、溶融した珪素を炉内で一方向に移動することで凝固させる方法で、不純物成分を液相側に排出させて、凝固した珪素を高純度化させるものである。この方法は、珪素を一旦溶解させる手間はあるものの、ほとんどの金属成分は珪素との分配係数が非常に小さいので、珪素の凝固初期から中期にかけて高純度の珪素が得られる長所がある。
これを説明すると、珪素中の不純物金属元素成分の固相−液相界面における凝固偏析現象は、凝固分配係数によって偏析状態が決定されるが、凝固分配係数が小さいほど不純物金属成分は固相にはほとんど捕捉されずに、多くが液相側に移動する。この不純物金属の挙動で固相の不純物濃度が低下することになる。珪素中の多くの不純物金属は、この凝固分配係数が非常に小さく、たとえば金属珪素中に不純物成分として最も多量に存在する鉄の凝固分配係数は、たかだか8×10-6である。従って、凝固開始時の固体珪素中には鉄濃度が低く、凝固中期から末期にかけて固体珪素中の鉄濃度が除々に増加することとなる。この凝固偏析現象を利用して所望の鉄濃度の部分を鋳造塊より選択すれば、低鉄濃度の珪素が得られる。鉄以外の不純物金属元素についても、同様の方法で低濃度珪素が得られる。
これを詳述すると、凝固偏析を利用して珪素中の不純物を偏析させるには、溶融した珪素を一方向に凝固させる方法がとられる。この方法には、(1)溶融した珪素が入る炉内のるつぼを下方に降下することで、るつぼ内の溶融珪素を下方から温度降下させて凝固を開始し、るつぼの降下が進むに従って凝固は下方より上方に一方向に進む方法、(2)炉内るつぼの底部或いはその近傍に冷却機構が設置されており、その冷却によってるつぼ下部より除熱されることで下方から上方に向かって凝固が進む方法、(3)炉の温度勾配が、るつぼ上部より下部の方が低くなる様な位置にるつぼを設置し、炉の設定温度を降下させることで、るつぼの下部より炉温が低下することで溶融珪素の下部より上部に向かって凝固を開始する方法、(4)これらの方法を組み合わせた方法がとられる。これらの方法は、どれもがるつぼ下部から珪素の凝固を開始し、凝固が上部方向に進行する一方向凝固を達成するための方法である。
一方向凝固では、固相−液相界面は、通常下方から上方に向かって移動する。この界面において、不純物成分は、凝固分配係数に応じて凝固相と液相に分配されるが、上述のようにほとんどの金属は液相側に残留するので、液相中の金属不純物元素は濃度が上昇する。特に固相−液相界面近傍では、固相に排除されて液相側に残留した金属不純物元素が高濃度で存在することになる。この高濃度部分は、凝固偏析現象を利用した金属不純物元素排除に対して障害となる。すなわち、固相−液相界面の高濃度部分は、その濃度が凝固分配係数に関わる不純物排除を決定することになり、液相のバルク不純物濃度よりも高い不純物濃度での分配となることで、不純物の排除が充分には達成できなかったり、冷却速度が早過ぎると過度の高濃度状態となって液相側に組成的過冷却現象が起こってしまう。
組成的過冷却現象とは、固−液界面での不純物拡散が充分ではないときに、界面近傍の不純物濃度と液相バルクの濃度とに大きな差が生じ、それが過冷却組成となってしまう現象である。この組成的過冷却現象が起こると、凝固界面の移動が安定的にならず、結果として凝固分配係数に従った固−液界面での不純物の移動とならなくなることで、固相中の不純物濃度が不連続的に増加してしまう。
この組成的過冷却現象を防止するには、液相中の不純物成分の固相−液相界面から液相バルクへの移動と固相−液相界面の移動速度をバランスよくさせることが必要であるが、固相−液相界面の移動速度が早いほど一方向凝固工程に必要とされる時間が短くなるので、今までにいくつかの方法が提案されてきた。
たとえば、特開2006−206392号公報(特許文献4)では、溶融シリコンを撹拌羽根付きシャフトで撹拌しながら0.3〜3.0mm/分の凝固速度で凝固する方法が提案されている。この方法では、撹拌羽根により溶融シリコンの撹拌が充分に行われることで、凝固界面の境界層厚み、分配係数が小さくなり、精製効果が向上するとされる。また、特開平10−182135号公報(特許文献5)では、シリコン融液凝固界面の上方の溶湯内に、該溶湯を撹拌する不活性ガスを吹き込むことで溶湯の撹拌を実施し、固液界面での不純物元素の濃化が抑制される方法が提案されている。
これらの方法は、溶湯外からの力学的作用で溶湯を強制撹拌させる方法であり、撹拌により固液界面での不純物の拡散が図られて、効果的に不純物の排除が達成されるが、前者の方法も後者の方法も、一方向凝固炉に撹拌やガス導入などの特別な装置を必要とすると共に、溶湯にるつぼ材料以外の材料が接触することが不可避である。従って、より効率よく珪素中の不純物を除去する方法が求められていた。
特開昭56−32319号公報 特開昭55−67519号公報 特開平10−182137号公報 特開2006−206392号公報 特開平10−182135号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、従来技術の欠点を補い、生産性が高い状態を維持しつつ、効率良く珪素中の不純物を除去する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、るつぼ内で溶融させた珪素の下部から上部に向けて一方向凝固させるに際し、凝固方向の固相−液相界面の移動と、凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動とを繰り返すことにより、生産性に優れ、効率よく珪素中の不純物を除去できることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記の珪素の一方向凝固方法を提供する。
(1)るつぼ内で溶融させた珪素の下部から上部に向けて一方向凝固させるに際し、凝固方向の固相−液相界面の移動と、この移動距離より短い距離で凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動とを繰り返すことを特徴とする珪素の一方向凝固方法。
(2)凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動前及び/又は移動後に、固相−液相界面の静置時間を取ることを特徴とする(1)記載の珪素の一方向凝固方法。
(3)凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動速度は、凝固方向の固相−液相界面の移動速度の2倍以上であることを特徴とする(1)又は(2)記載の珪素の一方向凝固方法。
(4)凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動距離は、凝固方向の固相−液相界面の移動距離の1/2乃至1/20であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の珪素の一方向凝固方法。
(5)凝固方向の固相−液相界面の移動速度が、1mm/hr〜50mm/hrであることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の珪素の一方向凝固方法。
(6)固相−液相界面の移動が、るつぼの移動によることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の珪素の一方向凝固方法。
(7)固相−液相界面位置を、液相に浸漬した耐火性材料で確認することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の珪素の一方向凝固方法。
本発明によれば、生産性が高い状態を維持しつつ、効率良く珪素中の不純物を除去することができる。
以下、本発明に係る珪素の一方向凝固方法の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の一方向凝固方法に用いられる炉の一例が示されている。ここで、図1において、珪素を溶融するるつぼ1は、断熱材2,3、遮熱板4及び断熱材3の内側に配したヒーター5を具備した炉の中央部に設置されており、るつぼ台6を介して昇降シャフト7で支持されている。るつぼ1の上方には固−液界面の位置確認用の棒8が設置されている。ヒーター5は電源(図示せず)に、昇降シャフト7及び棒8は駆動装置(図示せず)にそれぞれ接続されている。
珪素10は溶融容器としてのるつぼ1に装填される。このるつぼの材質は、黒鉛、石英ガラス、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、マグネシア、ジルコニア等の耐火物などの耐火材から選択できる。るつぼは炉中の断熱材2及び3と遮熱板4に囲まれ、ヒーター5が設置されている空間に置かれる。炉の昇温形態としては、抵抗加熱電気炉、高周波誘導炉、ガス炉、プラズマ炉などが挙げられるが、珪素の融点が比較的高いことからガス炉では溶融することは容易ではないので、電気をエネルギー源とした電気炉が使用されることが好ましい。中でも抵抗加熱式の電気炉は、設備価格が比較的安いこと、電力効率が高いことなどから好適であり、図1は抵抗加熱式の電気炉を想定しているが、本発明はこの図1及び加熱手段に拘束されるものではない。
電気炉はヒーター5に通電することで昇温し、珪素の融点の1450℃以上まで昇温することで珪素は溶融する。溶融した珪素10は、その融体が均一組成となる様に一定時間溶融状態のまま保持することが好ましい。このときの温度は、それが高いほど溶融珪素の均一化が促進されるので、融点温度より20℃以上、特に50℃〜100℃高いことが好ましい。
均一組成となった溶融珪素が入ったるつぼは、昇降シャフト7が下降し、炉の下部に移動する。遮熱板4は、ヒーター5のある空間と炉下部の空間とを温度的に遮断しており、遮熱板4より下部では炉内温度が急激に降下する。るつぼ及び溶融珪素は、この遮熱板近傍を通過することで底部より冷却され、凝固を開始する。この場合、るつぼの降下と共に炉の温度も降下させることで、るつぼ底部より珪素を凝固させることも可能である。
凝固を開始した珪素の固相−液相界面では、時間の経過と共に固相領域が広がり、珪素中の不純物金属成分が液相へ連続的に排除されることで、界面近傍の微細領域で不純物金属成分の高濃度化が生じることになる。この高濃度化は、凝固の進行と共に徐々に進むが、その濃度が珪素の温度に対し組成的過冷却状態となると、凝固が一気に進行することで凝固時の不純物排除機構が不連続となり、固相中には不純物金属成分が一気に取り込まれることになる。
本発明の方法では、るつぼの降下と上昇を間欠的に実施することにより、珪素の凝固方向の固相−液相界面の移動と、凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動とを繰り返すことで、この組成的過冷却現象に起因する不本意な不純物濃度の上昇が抑制できるので、早い引き下げ速度でるつぼを降下させても効果的に不純物金属成分が除去できる。
この動きを図2、3及び4で示す。図2は、珪素の溶融放置時間後に、るつぼを規定の引き下げ速度で規定の引き下げ時間降下させ、次いで急速にるつぼを規定距離上昇させ、再度規定の引き下げ速度、時間でるつぼを降下させることを反復する動作を示した図である。図3は、上昇速度を比較的低速で実施した際の図である。図4は、引き下げ、引き上げ後に、るつぼの移動を規定時間停止した図である。この場合の引き上げ速度は、引き下げ速度と等速でも本発明の目的は達成できるが、引き上げ速度が遅いと、珪素の凝固全体のサイクルタイムをいたずらに長引かせてしまうだけであるので、引き上げ速度(凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動速度)は、引き下げ速度(凝固方向の固相−液相界面の移動速度)の2倍以上、特に10倍以上とするのがよい。
また、引き上げ距離(凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動距離)は、短すぎると本発明の安定した凝固偏析が達成できず、長すぎると珪素の凝固全体のサイクルタイムを長引かせてしまうので、引き下げ距離(凝固方向の固相−液相界面の移動距離)に対し1/2〜1/20とすることが好ましく、より好ましくは1/5〜1/10である。
引き上げ後には再度引き下げとなるが、引き下げ後及び/又は引き上げ後に(凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動前及び/又は後に)、一定時間るつぼの移動を停止することも組成的過冷却現象防止には有効な方法である。この停止時間が長すぎると珪素の凝固全体のサイクルタイムを長引かせてしまうので、通常は1分〜30分、特に5分〜20分の停止時間とするのがよい。
組成的過冷却の発生は、珪素中の金属不純物量と固相−液相界面の移動速度によって決定されるものであるので、本発明の方法の間欠的なるつぼの引き下げの速度は、珪素中の不純物量に依存するものの、本発明の方法を実行するためには、凝固方向の固相−液相界面の移動速度は1mm/hr〜50mm/hrとするのがよく、より好ましくは5mm/hr〜20mm/hrである。凝固方向の固相−液相界面の移動速度が速すぎると本発明の方法によっても過冷却現象が発生してしまうことがあり、遅すぎるとサイクルタイムがかかりすぎて生産性が低下してしまう場合がある。
以上の説明は、溶融した珪素を収容したるつぼを降下、上昇させることで凝固を開始・進行させ、固相−液相界面を移動させる方法であるが、この方法以外にも、上述のように(イ)電気炉の設定温度を降下させてるつぼを冷却する方法、(ロ)るつぼ底部を強制的に冷却することでるつぼ底から冷却する方法、(ハ)それらを組み合わせた方法などでも同様に凝固時の固相−液相界面を移動させることができる。このうち、るつぼの昇降による方法は、るつぼの移動状態が直接的に固相−液相界面の移動として認識できるので、本発明の方法の実施としては好適であるが、その他の方法でも炉外からSi溶融体内に入れた耐火性材料、たとえば黒鉛で作製した図1の棒8を上下させることで、固−液界面の位置を正確に把握することができるので、るつぼを昇降する方法と同様に、冷却速度や固−液界面位置を確認できることで本発明の方法を実施することができる。
ここで、本発明において、精製対象となる金属珪素としては、Fe、Al、Ca、Tiなどの不純物が含まれるものを用いることができる。なお、不純物濃度は、高周波プラズマ発光分析装置(ICP−AES)などを用いて測定することができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
金属珪素の分析
金属珪素2種類を弗硝酸で溶解し、ICP−AES((株)Perkin Elmer製)にて金属不純物濃度を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
MG−1 10kgを石英製の内寸190角×300D(mm)のるつぼに入れ、図1に示すような抵抗加熱式の電気炉中にセットした。電気炉を真空排気した後にArを導入して大気圧まで戻し、そのままArを導入し続けた。電気炉の設定温度を1500℃として通電し、炉の温度が1500℃に達した後も2時間その温度に放置した。その後、るつぼを10mm/hrで降下させてSiを全量凝固させた。
得られたSiインゴットの各部を分析したところ、表2の様にインゴット中間部ですでに不純物排除が阻害されており、組成的過冷却が起こっていることが示唆された。なお、インゴットの頂部、中頂部、中部、低中部及び底部とは、インゴットの上端を0mmとするとそれぞれ5〜15mm、30〜40mm、55〜65mm、80〜90mm、105〜115mmの範囲からのサンプリングを示す。
[比較例2]
比較例1と同様に、MG−1 10kgをるつぼに入れて炉を1500℃まで昇温し、2時間放置後にるつぼを5mm/hrで降下させてSiを全量凝固させた。
得られたSiインゴットの各部を分析したところ、表3の様にインゴット上部に金属不純物が濃縮していた。凝固組織を光学顕微鏡観察すると、インゴット頂部1ミリメートルの範囲には、不純物の凝集体である第2相が図5のように集中していることが観察されたが、この最頂部分以外には第2相は観察されなかった。
表3のインゴット頂部の分析サンプルは、この第2層析出部分を避けてサンプリングしておるので、分析結果は珪素のバルク分析である。以下、各分析値の「インゴット頂部」は第2相の析出個所である最頂部を避けた部分をサンプリングしている。
[比較例3]
MG−2 10kgをるつぼに入れて比較例1と同様に炉を1500℃まで昇温し、2時間放置後にるつぼを10mm/hrで降下させてSiを全量凝固させた。
得られたSiインゴットの各部を分析したところ、表4の様にインゴット中間部ですでに不純物排除が阻害されており、組成的過冷却が起こっていることが示唆された。
[比較例4]
MG−2 10kgをるつぼに入れて比較例1と同様に炉を1500℃まで昇温し、2時間放置後にるつぼを5mm/hrで降下させてSiを全量凝固させた。
得られたSiインゴットの各部を分析したところ、表5の様にインゴット上部に金属不純物が濃縮していた。
[実施例1]
比較例1で使用したるつぼと同様のるつぼにMG−1 10kgを入れ、比較例1と同様の方法で1500℃まで昇温した後に、その温度で2時間放置した。
放置後10mm/hrの速度でるつぼを12mmの距離だけ降下させ、その直後に5cm/minの速度でるつぼを2mmだけ上昇させ、再び10mm/hrの速度でるつぼを降下させた。この方法で降下、上昇を繰り返しながら比較例1の凝固終了点までるつぼを降下させることでSiを全量凝固させた。
得られたインゴットの各部を分析したところ、表6のようにインゴット上部に金属不純物が濃縮しており、本発明の方法で組成的過冷却を防止できたことがわかった。
[実施例2]
比較例1で使用したるつぼと同様のるつぼにMG−2 10kgを入れ、比較例1と同様の方法で1500℃まで昇温した後に、その温度で2時間放置した。
放置後10mm/hrの速度でるつぼを12mmの距離だけ降下させ、その直後に5cm/minの速度でるつぼを2mmだけ上昇させ、再び10mm/hrの速度でるつぼを降下させた。この方法で降下、上昇を繰り返しながら比較例1の凝固終了点までるつぼを降下させることでSiを全量凝固させた。
得られたインゴットの各部を分析したところ、表7のようにインゴット上部に金属不純物が濃縮しており、本発明の方法で組成的過冷却を防止できたことがわかった。
[実施例3]
実施例1と同様の珪素、るつぼ、装置で一方向凝固を実施した。るつぼの降下は10mm/hrの速度でるつぼを10mmの距離だけ降下させ、その直後に5cm/minの速度でるつぼを2mmだけ上昇させて、その位置で10分間るつぼの移動を停止した後に、再び10mm/hrの速度でるつぼを降下させた。この方法で降下、上昇、停止を繰り返しながら比較例1の凝固終了点までるつぼを降下させることでSiを全量凝固させた。
得られたインゴットの各部を分析したところ、表8のようにインゴット上部に金属不純物が濃縮しており、本発明の方法で組成的過冷却を防止できたことがわかった。
本発明の一実施形態に係る炉の概略図である。 るつぼ位置と経過時間の関係を示すグラフである。 るつぼ位置と経過時間の関係を示す他のグラフである。 るつぼ位置と経過時間の関係を示す別のグラフである。 比較例2で得られたインゴット中の不純物の凝集体の光学顕微鏡写真である。
符号の説明
1 るつぼ
2 断熱材
3 断熱材
4 遮熱板
5 ヒーター
6 るつぼ台
7 昇降シャフト
8 棒
10 溶融珪素

Claims (7)

  1. るつぼ内で溶融させた珪素の下部から上部に向けて一方向凝固させるに際し、凝固方向の固相−液相界面の移動と、この移動距離より短い距離で凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動とを繰り返すことを特徴とする珪素の一方向凝固方法。
  2. 凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動前及び/又は移動後に、固相−液相界面の静置時間を取ることを特徴とする請求項1記載の珪素の一方向凝固方法。
  3. 凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動速度は、凝固方向の固相−液相界面の移動速度の2倍以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の珪素の一方向凝固方法。
  4. 凝固方向とは逆方向の固相−液相界面の移動距離は、凝固方向の固相−液相界面の移動距離の1/2乃至1/20であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の珪素の一方向凝固方法。
  5. 凝固方向の固相−液相界面の移動速度が、1mm/hr〜50mm/hrであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の珪素の一方向凝固方法。
  6. 固相−液相界面の移動が、るつぼの移動によることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の珪素の一方向凝固方法。
  7. 固相−液相界面位置を、液相に浸漬した耐火性材料で確認することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の珪素の一方向凝固方法。
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