JP2010100482A - 粒状シリコン製造方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】製造開始時、高周波誘導コイルの起動により導電円筒を高周波誘導加熱し、その輻射熱で、下開口部内のシリコンブロックと粉末シリコンの一部とを溶融する。それ以降は、輻射熱による加熱を継続するか、抜き差し手段により高周波誘導コイルと下開口部の間から導電円筒を抜き、加熱により電気的な抵抗率が低下した溶融シリコンを、直接、高周波誘導加熱する。
【選択図】図1
Description
スライス工程や研削工程からは、多量の粉末シリコンが排出されている。回収可能なウェーハ残材のうち、切削粉などは表面積が大きくて不純物による汚染度が高い。そのため、デバイス用ウェーハの単結晶原料として再利用することは難しい。これを踏まえ、近年では粉末シリコンを太陽電池用のシリコン材料として有効利用する方法が検討されている。
すなわち、製造開始時には、下開口部の外回りに設けられた導電円筒を高周波誘導加熱し、その輻射熱で、ルツボの下開口部を塞いだシリコンブロックと粉末シリコンの一部とを溶融する。それ以降は、輻射熱での加熱を継続するか、溶融シリコンを直接高周波誘導加熱する。これにより、下開口部内まで到達した粉末シリコンが順次溶ける。その結果、シリコン材料として、常温ではほとんど誘導電流が流れない高純度シリコン製のものを採用した場合でも、予熱装置が不要で、かつ製造開始時から連続して粒状シリコンを製造可能であることを知見し、この発明を完成させた。
シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコンを採用することができる。
ルツボの素材としては、石英、窒化ボロン、炭化珪素などを採用することができる。
ルツボの形状は、上開口部より下開口部の方が小さい筒形状(円筒形状、角筒形状など)であれば任意である。
「下窄み形状」とは、下方へ向かって徐々に開口面積が小さくなる形状である。ルツボの全長にわたって下窄み形状でも、その下部のみが下窄み形状でもよい。
ルツボの下開口部の形状としては、例えば、下方へ向けて徐々に小径化したロート形状でもよい。または、下開口部の全長にわたって開口面積が均一な筒形状でもよい。もしくは、前記ロート部分の下端の開口に、開口面積が全長にわって等しい前記筒体が連通された形状でもよい。
導電円筒の素材である導電性材料としては、例えば黒鉛、タングステンなどの2000℃以上の融点を持つ金属などを採用することができる。
導電円筒の高周波誘導加熱には、高周波誘導コイルを使用し、その誘導電流による加熱を採用することができる。
高周波誘導コイル用の電源としては、例えば20〜500kHz、20〜200KWのものが採用される。
下開口部内の溶融シリコンは、導電円筒の輻射熱により継続して加熱してもよい。また、導電円筒を取り除き、下開口部内の溶融シリコンを、直接、高周波誘導加熱してもよい。これは、仮に原料が高純度シリコンであっても、シリコンが融点を超える温度まで加熱されるので、シリコンの電気的な抵抗率が低く、誘導電流が十分に流れるためである。
ルツボの下開口部から溶融シリコンが滴下される際、バイブレータによりルツボに振動を加えて、粒状の溶融シリコンの粒径を揃えるようにしてもよい。
この還元ガスにより生成される粒状シリコンの酸素濃度が減少し、太陽電池の変換効率が高まる。
ルツボ11は、全体が下窄み形状の石英製の容器で、図1において、ルツボ11の上部の傾斜角度(5°)より下部の傾斜角度(25°)の方が大きくなっている。ルツボ11の上開口部11aの内径(開口直径)は200mm、下開口部11bの下端内径は6mmである。
ここでいう下開口部11bとは、ルツボ11の前記下部の略下半分で、下方へ向けて徐々に小径化したロート部分と、このロート部分の下端の開口に連通され、全長にわたって開口面積が等しい筒体部分とを含む部分をいう。
ルツボ11の内側空間には、粉末シリコン12を攪拌しながら、下端に形成された吹き出し口18aより、還元ガスGを溶融シリコン13の液面に吹き付ける攪拌ノズル18が収納されている。攪拌ノズル18は、垂直方向へ長い細管で、図示しない60Hzの電磁バイブレータが設けられている。還元ガスGとしては、5容量%の水素が混入されたアルゴンガスが採用されている。還元ガスGの流出量は、粉末シリコン12の還元ガスGによる巻き上げが発生せず、粉末シリコン12を円滑に溶融シリコン13に溶かし込める10リットル/分である。
導電円筒16は、下開口部11bの外径より内径が大きく、かつ高周波誘導コイル14の内径より外径が小さい黒鉛製の円筒である。導電円筒16の上端部は、下開口部11bの前記ロート部分の傾斜に合わせ、上方へ向かうほど徐々に拡径化されている。
電動シリンダ17は、ロッド17aが上方へ出し入れされる縦長なアクチュエータである。ロッド17aは、水平に屈曲した上端部が導電円筒16の外周面の一部に連結されている。電動シリンダ17によりロッド17aを出し入れすることで、導電円筒16が高周波の電磁界から出し入れされる。
シリコンブロック15は、多結晶シリコンからなる厚さ10mmの円盤形状のブロックである。
まず、電動シリンダ17によりロッド17aを突出させ、導電円筒16を高周波誘導コイル14と下開口部11bとの間(高周波交流電界内)に配置する。具体的には、導電円筒16の上開口が前記ロート部分の下端部と対峙する位置で、かつ導電円筒16の下開口が、前記筒体部分の下開口付近と対峙する位置に、導電円筒16が配置される。このような位置に導電円筒16を配置したことで、溶融開始時には最上部に配置し溶融開始時間を短くし、安定した溶融シリコン流が得られた後は下部開口部が閉塞しない範囲で下部に下げ、ルツボの劣化を遅らせることができる。
それ以降は、電動シリンダ17のロッド17aを引き込ませて高周波誘導コイル14と下開口部11bとの間から導電円筒16を抜き取り、加熱で電気的な抵抗率が低下した溶融シリコン13を、直接、高周波誘導コイル14によって高周波誘導加熱する。
なお、シリコンブロック15の溶融後は、導電円筒16を必ずしも高周波誘導コイル14と下開口部11bとの間から抜き取らなくても、導電円筒16の輻射熱を利用した溶融シリコン13の加熱を継続するようにしてもよい。
図2に示すように、実施例2に係る粒状シリコン製造装置20の特徴は、ルツボ11の下開口部11bの直下に、下開口部11bから滴下された直後の粒状シリコン19が、斜面を転がりながら冷却される冷却傾斜板21を設けた点である。
冷却傾斜板21は、石英製で下方へ向かうほど徐々に曲率が大きくなった板材である。ルツボ11の下開口部から滴下された粒状シリコン19は、表面張力により球状化された後、粒冷却傾斜板21の内面を転がりながら徐々に冷却される。これにより、例えば完全に固まる前の粒状シリコン19が、図示しない回収容器の底板に衝突した際の衝撃による変形を防ぐことができる。しかも、粒状シリコン18が底板に衝突した際の圧力が数分の1となるため、粒状シリコン19に不純物が混入するおそれが低減される。
その他の構成、作用および効果は、実施例と同じであるので、説明を省略する。
11 ルツボ、
11a 上開口部、
11b 下開口部、
12 粉末シリコン、
13 溶融シリコン、
14 高周波誘導コイル、
15 シリコンブロック、
16 導電円筒、
17 電動シリンダ(抜き差し手段)、
18 攪拌ノズル、
19 粒状シリコン、
21 冷却傾斜板、
G 還元ガス。
Claims (5)
- 粉末シリコンが収納された下窄み形状のルツボの下開口部をシリコンブロックにより塞ぐ蓋止め工程と、
該蓋止め工程後、前記下開口部の外回りに配置された導電性材料からなる補助加熱用の導電円筒を高周波誘導加熱し、その輻射熱により、前記下開口部内の前記シリコンブロックおよび前記粉末シリコンの一部を溶融させ、前記下開口部から溶融シリコンを連続して滴下させる初期溶融工程と、
該初期溶融工程後、前記下開口部内の溶融シリコンを前記導電円筒の輻射熱により継続して加熱するか、該導電円筒を取り除いて前記下開口部内の溶融シリコンを高周波誘導加熱し、前記下開口部からの溶融シリコンの連続した滴下に伴い前記下開口部内へ到達した前記粉末シリコンを、順次、前記溶融シリコンの熱により溶融させる溶融工程とを備えた粒状シリコン製造方法。 - 上開口部から粉末シリコンが投入され、下開口部から前記粉末シリコンの溶融後の溶融シリコンが連続して滴下される下窄み形状のルツボと、
前記下開口部の外回りに配置された高周波誘導コイルと、
該高周波誘導コイルと前記下開口部との間に抜き差し可能に設けられ、前記高周波誘導コイルの起動により加熱され、その輻射熱で、前記下開口部内のシリコンブロックおよび前記粉末シリコンの一部を溶融させる補助加熱用の導電円筒と、
該導電円筒を、前記高周波誘導コイルと前記下開口部との間に抜き差しさせる抜き差し手段とを備えた粒状シリコン製造装置。 - 前記ルツボ内の粉末シリコンを攪拌しながら、前記溶融シリコンに還元ガスを吹き付ける攪拌ノズルを有した請求項2に記載の粒状シリコン製造装置。
- 前記ルツボの下開口部の直下に、該下開口部から滴下されて凝固した直後の粒状シリコンが、斜面を転がりながら冷却される冷却傾斜板を設けた請求項2または請求項3に記載の粒状シリコン製造装置。
- 前記ルツボの下開口部の開口直径が5〜20mmである請求項2〜請求項4のうち、何れか1項に記載の粒状シリコン製造装置。
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